JP2010163489A - 樹脂組成物 - Google Patents

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JP2010163489A JP2009004701A JP2009004701A JP2010163489A JP 2010163489 A JP2010163489 A JP 2010163489A JP 2009004701 A JP2009004701 A JP 2009004701A JP 2009004701 A JP2009004701 A JP 2009004701A JP 2010163489 A JP2010163489 A JP 2010163489A
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Rieko Hayashi
理英子 林
Osamu Matsuzaka
治 松坂
Takemi Okubo
健実 大久保
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Abstract

【課題】耐熱性及び加工性に優れ、かつ、高湿、高電圧条件下での電気的信頼性(耐マイグレーション性)を十分に向上することができる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
本発明の樹脂組成物は、150℃における溶融粘度が30〜10000Pa・sであり、1%重量減少温度が350℃以上であるポリイミド樹脂と、テルペンフェノール共重合体とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
近年、エレクトロニクス分野における進歩に伴い電子機器の小型化及び高速化が進められており、このため、ICやLSIなどの半導体素子を直接実装するパッケージにおいてもファインパターンによる高密度化及び高い信頼性が求められている。
従来、ICやLSIなどの半導体素子を実装したパッケージにおいて、ノボラック型エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂組成物が、半導体素子の保護、防湿、絶縁を目的としたアンダーフィル材料又は封止材料として一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、熱硬化性樹脂組成物をアンダーフィル材料又は封止材料として用いた場合、半導体素子と実装基板との熱膨張率の差によってアンダーフィル材料又は封止材料にクラック等が発生することがあり、電気的信頼性が低下し易い傾向がある。また、内部応力緩和による歩留まり及び耐湿性の向上を目的として、特定の酸無水物を硬化剤としたエポキシ樹脂組成物などが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、歩留まりや電気的信頼性は充分とは言えず、更なる性能向上が望まれている。
一方、熱可塑性樹脂は可とう性に優れ、熱硬化による硬化収縮を伴わないので応力を緩和し易いという利点を有している。このような熱可塑性樹脂の中でも特に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、優れた電気的信頼性を有する(例えば、特許文献3参照)が、耐熱性が十分ではない傾向がある。
特開2000−103940号公報 特開2002−080562号公報 国際公開第2007/032406号パンフレット
これに対し、電気的信頼性及び耐熱性に優れる絶縁性材料として、ポリイミド樹脂が知られている。しかしながら、ポリイミド樹脂は、一般的に融点が高く、ポリアミド酸から加工する際に高い硬化温度を必要とするため基材への負荷がかかり、電気的信頼性が低下してしまうことがある。そのため、高湿・高電圧等の厳しい使用条件での電気的信頼性の更なる向上が望まれている分野へ、ポリイミド樹脂を電気絶縁材料として使用することは難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び加工性に優れ、かつ、高湿・高電圧条件下での電気的信頼性(耐マイグレーション性)を十分に向上することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、150℃における溶融粘度が30〜10000Pa・sであり、1%重量減少温度が350℃以上であるポリイミド樹脂と、テルペンフェノール共重合体とを含有する樹脂組成物を提供する。
本発明の樹脂組成物は、上記構成を備えることで、耐熱性及び加工性に優れ、かつ、高湿、高電圧条件下での電気的信頼性を十分に向上することができる。本発明者らは、特定の理論に拘束されるものではないが、上記所定のポリイミド樹脂と、テルペンフェノール共重合体との相溶性が高く、得られる樹脂組成物は、耐熱性及び可とう性を維持しつつ十分に高い加工性を示すものとなり、より厳しい条件においても十分に高い耐マイグレーション性を発現することができると推測している。
本発明の樹脂組成物において、上記ポリイミド樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010163489

ここで、式(1)中、Arは4価の有機基を示し、Arは2価の有機基を示し、Ar及び/又はArは主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を含む。これにより、樹脂組成物は、可とう性が高くなり、加工性により一層優れるものとなる。
また、上記Arが、下記一般式(2)で表される基であると、樹脂組成物の可とう性をより一層向上することができる。
Figure 2010163489

ここで、式(2)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)において、Arが下記一般式(3)で表される2価の基であると、可とう性に優れるため加工性を向上できるだけでなく、反りを低減することができる。
Figure 2010163489

ここで、式(3)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示す。
耐熱性の観点から、上記Zが、下記一般式(4)、(5)及び(6)でそれぞれ表される2価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましく、これにより、耐熱性が向上し、アウトガスをより一層低減できる。
Figure 2010163489

ここで、式(4)、(5)及び(6)中、R、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、q、r及びsは、それぞれ独立に1〜4の整数を示す。qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、sが2以上の場合、複数存在するR10は同一でも異なっていてもよい。
上記ポリイミド樹脂が、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を更に有することが好ましい。これにより、耐熱性及び電気的信頼性に優れるという本発明の効果をより一層有効かつ確実に発揮することができる。
Figure 2010163489

ここで、式(7)中、Arは下記一般式(2)で表される4価の有機基を示し、Arは、芳香族炭化水素基を含む2価の有機基を示す。
Figure 2010163489

ここで、式(2)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式(7)において、Arが、置換基を有していてもよいアリーレン基、下記一般式(8)で表される基及び下記一般式(9)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。これにより、ポリイミド樹脂の150℃における溶融粘度を良好な範囲にすることができ、かつ、耐熱性を向上することができる。
Figure 2010163489

Figure 2010163489

ここで、式(8)及び(9)中、D及びEはそれぞれ独立に単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、スルホニル基、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基を示し、R11、R12、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、t1、t2、t3、t4、t5及びt6はそれぞれ独立に1〜4の整数を示す。t1が2以上の場合、複数存在するR11は同一でも異なっていてもよく、t2が2以上の場合、複数存在するR12は同一でも異なっていてもよく、t3が2以上の場合、複数存在するR13は同一でも異なっていてもよく、t4が2以上の場合、複数存在するR14は同一でも異なっていてもよく、t5が2以上の場合、複数存在するR15は同一でも異なっていてもよく、t6が2以上の場合、複数存在するR16は同一でも異なっていてもよい。
また、耐熱性及び電気的信頼性をより一層向上するためには、ポリイミド樹脂のイミド化率が80%以上であることが好ましい。
本発明によれば、耐熱性及び加工性に優れ、かつ、高湿、高電圧条件下での耐マイグレーション性(電気的信頼性)を十分に向上することができる樹脂組成物を提供することができる。
耐マイグレーション性評価用基板の模式平面図である。
本発明の樹脂組成物は、150℃における溶融粘度が30〜10000Pa・sであり、1%重量減少温度が350℃以上であるポリイミド樹脂と、テルペンフェノール共重合体とを含有する。
以下、本発明の樹脂組成物を構成する各成分について、詳細に説明する。
(ポリイミド樹脂)
上記ポリイミド樹脂は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。一般式(1)中、Arは4価の有機基を示し、Arは2価の有機基を示し、Ar及び/又はArは主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を含む。
ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とから公知の方法によって合成される。テトラカルボン酸二無水物成分及び/又はジアミン成分は、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を含むことが好ましい。炭素数5〜20のアルキレン基を含むことで、樹脂組成物の低温硬化性、可とう性、低吸水性及び低反り性を達成することができる。
また、テトラカルボン酸二無水物成分及び/又はジアミン成分が主鎖に芳香族基を有する場合、耐熱性が向上するため、アウトガスの発生を低減できる。
一方、ポリイミド樹脂は、ポリアルキレンオキシ基等のエーテル結合を含まないことが好ましい。エーテル結合は、高温で結合が壊れやすく、耐熱性が低下し、アウトガスが発生し易くなる。また、ポリイミド樹脂がエーテル結合を有すると、吸水性が増し、絶縁特性に影響を及ぼすこともある。
テトラカルボン酸二無水物成分は、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有することが好ましく、上記一般式(2)で表される基を有することがより好ましい。このようなテトラカルボン酸二無水物成分としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010163489

ここで、式(10)中、Xは炭素数5〜20アルキレン基であり、8〜15のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(10)で表される化合物としては、例えば、ペンタメチレンビストリメリテート二無水物、ヘキサメチレンビストリメリテート二無水物、ヘプタメチレンビストリメリテート二無水物、オクタメチレンビストリメリテート二無水物、ノナメチレンビストリメリテート二無水物、デカメチレンビストリメリテート二無水物、ドデカメチレンビストリメリテート二無水物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ポリイミド樹脂を合成するにあたり、上記主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するテトラカルボン酸二無水物成分以外のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。このようなテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、2,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ノナン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]テトラデカン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル〕ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−メチルオクタン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]−2−エチルペンタデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ドデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]デカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]トリデカン二無水物、2,2−ビス[3,5−ジエチル−4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ペンタデカン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]シクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピルシクロヘキサン二無水物、1,1−ビス[4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル]ヘプチルシクロヘキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、4,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物が挙げられる。これらは1種を単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
ジアミン成分としては、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を有することが好ましく、上記一般式(3)で表される2価の基を有することがより好ましい。なお、式(3)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基であり、6〜10のアルキレン基であることが好ましい。また、一般式(3)において、Zは、単結合又は2価の有機基を示し、Zが2価の有機基である場合、上記一般式(4)、(5)及び(6)でそれぞれ表される2価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
主鎖に炭素数5〜20のアルキレン基を有するジアミン成分としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン並びに下記一般式(11)、(12)及び(13)でそれぞれ表される化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
Figure 2010163489

ここで、式(11)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、qは1〜4の整数を示す。なお、qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。上記一般式(11)で表される化合物を含有するジアミン成分として、例えば、1,4−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メトキシ−4−アミノペンチル)ベンゼンが挙げられる。
Figure 2010163489

ここで、式(12)中、Y及びYそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、rは1〜4の整数を示す。なお、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2010163489

ここで、式(13)中、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、sは1〜4の整数を示す。なお、sが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(12)で表される化合物を含有するジアミン成分として、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシルー5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン(コグニスジャパン社製、商品名「バーサミン551」)が市販品として入手可能である。ここで、「バーサミン551」は、下記式(21)で表される化合物及び/又は下記(21)で表される化合物の不飽和部が水添された化合物を含むジアミン化合物である。
Figure 2010163489
また、ジアミン成分として、耐熱性(1%重量減少温度)を向上させる観点から、芳香族炭化水素基を有するジアミン化合物を、上記主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を有するジアミン化合物と併用して用いることが好ましい。芳香族炭化水素基を有するジアミン化合物として、置換基を有していてもよいアリーレン基、上記一般式(8)で表される基及び一般式(9)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有するジアミン化合物を、主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を有するジアミン化合物と併用して用いることがより好ましい。
上記一般式(8)で表される基を有するジアミン化合物としては、下記一般式(14)で表されるジアミン化合物が挙げられる。
Figure 2010163489

ここで、式(14)中、Dは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、スルホニル基、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基を示し、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、t1及びt2はそれぞれ独立に1〜4の整数を示す。t1が2以上の場合、複数存在するR11は同一でも異なっていてもよく、t2が2以上の場合、複数存在するR12は同一でも異なっていてもよい。
Figure 2010163489
上記一般式(9)で表される基を有するジアミン化合物としては、下記一般式(15)で表されるジアミン化合物が挙げられる。
Figure 2010163489

ここで、式(15)中、Eは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、スルホニル基、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、上記式(i)で表される基又は上記式(ii)で表される基を示し、R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、t3、t4、t5及びt6はそれぞれ独立に1〜4の整数を示す。t3が2以上の場合、複数存在するR13は同一でも異なっていてもよく、t4が2以上の場合、複数存在するR14は同一でも異なっていてもよく、t5が2以上の場合、複数存在するR15は同一でも異なっていてもよく、t6が2以上の場合、複数存在するR16は同一でも異なっていてもよい。
上記芳香族炭化水素基を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノジベンジルスルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4−アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,2−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,5−ジアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジアミノ−2−フェニルナフタレン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1−メトキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)デカフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタ−1−エン−3−イン4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−トルイジン)スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。これらのジアミン成分は、1種を単独で又は2種以上併用して使用してもよい。
また、本発明の樹脂組成物中のポリイミド樹脂において、上記一般式(11)〜(15)で表されるジアミン化合物以外のジアミン化合物を併用することができる。一般式(11)〜(15)で表されるジアミン化合物以外のジアミン化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジアミノジエチルスルフィドが挙げられる。これらのジアミン成分は、1種を単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。本発明において、溶融粘度、耐熱性(1%重量減少温度)、吸水率及び耐マイグレーション性を良好にできる観点から、一般式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、一般式(11)又は(12)で表されるジアミン化合物と、置換基を有していてもよいアリーレン基を有するジアミン化合物、一般式(14)又は(15)で表されるジアミン化合物と、から合成されるポリイミド樹脂が好ましい。
上記芳香族炭化水素基を有するジアミン化合物を用いる場合の添加量は、ジアミン成分全量に対して、1〜80モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがより好ましく、20〜40モル%であることがさらに好ましい。芳香族炭化水素基を有するジアミン化合物の添加量が1モル%未満では耐熱性が不足する傾向があり、アウトガスが発生し易くなり、80モル%を超えると、ポリイミド樹脂の流動性が不足し150℃における溶融粘度が高くなる傾向にあり、ボイド発生の要因となり易い。
なお、ジアミン成分として、上述したジアミン化合物以外のジアミン化合物を本発明が奏する効果の範囲を逸脱しない範囲で併用することができる。
ポリイミド樹脂は、上記テトラカルボン酸二無水物成分と上記ジアミン成分とを選択的に組み合わせ、有機溶媒中で反応させることにより合成することができる。具体的には、ポリイミド樹脂は、ほぼ当モルのテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中、30〜80℃で2〜3時間付加重合してポリアミック酸を合成した後、120℃以上、好ましくは150℃以上で1〜5時間脱水縮合して閉環させてイミド化することで得られる。
耐熱性及び保存安定性を良好にする観点から、イミド化率が80%以上となるように閉環させることが好ましく、90%以上となることがより好ましく、95%以上となることがさらに好ましい。
上記溶媒としては、例えば、含窒素系溶剤類(N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホアミド、N−メチルピロリドン等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等)、脂環式ケトン類(シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート等)が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び吸水性の観点から、含窒素系溶剤類、脂環式ケトン類がより好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサノンが特に好ましい。これらは、1種を単独又は2種以上混合して使用することができる。また、ポリアミック酸を合成した後、脱水縮合反応によるイミド化を促進するために、水と共沸する溶媒(例えば、トルエン)を添加してもよい。なお、樹脂組成物から硬化物(以下、場合により「樹脂硬化物」という)を形成する際の乾燥温度を低減でき、加工性をより向上するために、ポリイミドを合成した後、合成時に用いた溶媒の一部を除去して、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン)等の沸点が比較的低い溶媒に置換してもよい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との組合せは、最終的に形成されるポリイミド樹脂からなる硬化膜の耐熱性、機械的特性、電気的特性等を考慮して、上述した成分の中から選択することができる。
ポリイミド樹脂の150℃における溶融粘度は、30〜10000Pa・sであり、40〜5000Pa・sであることが好ましく、40〜3000Pa・sであることがより好ましく、50〜2500Pa・sであることが特に好ましい。上記溶融粘度が30Pa・s未満では、目的の厚みで樹脂硬化物層を形成し難くなり、10000Pa・sを超えると、樹脂組成物の可とう性が低下し、加工性が低下する傾向がある。
ポリイミド樹脂の1%重量減少温度は、350℃以上であり、360℃以上であることが好ましく、370℃以上であることがより好ましい。上記1%重量減少温度が350℃未満では、耐熱性が低下するため、アウトガスが発生し易くなる。なお、ポリイミド樹脂の1%重量減少温度の上限は特に制限されないが、通常、400℃程度である。
また、150℃以下におけるポリイミド樹脂の流動性及び溶媒への溶解性を良好にする観点から、ポリイミド樹脂の数平均分子量は、1000〜30000であることが好ましく、1500〜20000であることがより好ましく、2000〜15000であることが更に好ましく、3000〜10000であることが特に好ましい。ポリイミド樹脂の数平均分子量が1000未満では、耐熱性が不十分となる傾向があり、30000を超えると溶融粘度が高くなり、テルペンフェノール共重合体との相溶性が低下したり加工性が低下したりする傾向がある。
ポリイミド樹脂の150℃における溶融粘度を30〜10000Pa・sにし、かつ、1%重量減少温度を350℃以上とするためには、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量を800〜1500とすることが好ましく、850〜1200とすることがより好ましく、900〜1100とすることが特に好ましい。なお、上記ポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は、ポリイミド樹脂合成時のテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の配合割合(モル比)から計算できる。
(テルペンフェノール共重合体)
テルペンフェノール共重合体は、モノテルペンと、フェノール又はフェノール誘導体とを反応させて得ることができる。
モノテルペンとしては、α−ピネン、β−ピネン、リモネンを好適に用いることがでる。α−ピネンとフェノールとから得られるテルペンフェノール共重合体としては、下記一般式(A)又は(B)で表される重合体を挙げることができる。
Figure 2010163489

ここで、式(A)及び(B)中、v及びwはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、1〜10の整数であることが好ましい。
テルペンフェノール共重合体として、例えば、ヤスハラケミカル社製のYSポリスターシリーズ(商品名)、スケネクタデー社製のスケネクタデーSPシリーズ(商品名)、ヘキスト社製のAlresenシリーズ(商品名)、ハーキュレス社製のテルペンフェノール共重合体を商業的に入手することが可能である。
テルペンフェノール共重合体の軟化点は100〜200℃であることが好ましく、110℃〜190℃であることがより好ましく、140〜180℃であることが特に好ましい。上記軟化点が100℃未満では耐熱性が不足しアウトガス発生の原因となったり、ポリイミド樹脂との相溶性が低下したりする傾向があり、200℃を越えると樹脂組成物の加工性が低下する傾向がある。
また、テルペンフェノール共重合体の分子量は、500〜1500であることが好ましく、550〜1200であることがより好ましい。
テルペンフェノール共重合体の含有量は、上記ポリイミド樹脂の固形分に対して、1〜50質量%とすることが好ましく、5〜40質量%とすることがより好ましく、10〜30質量%とすることが特に好ましい。上記含有量が1質量%未満では、耐湿熱性及び耐マイグレーション性の向上効果が発現し難い傾向があり、50質量%を超えると、ポリイミド樹脂との相溶性が低下したり、樹脂組成物の耐熱性が低下したりする傾向がある。テルペンフェノール共重合体は、形成される樹脂硬化物の耐熱性、機械的特性、電気的特性等を考慮して、適宜選択することができる。
(その他の樹脂)
樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリイミド樹脂及びテルペンフェノール共重合体以外の熱可塑性樹脂を含有することができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、使用条件(使用温度等)に合わせて選択することが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、各種基材との接着性を向上し、耐マイグレーション性をさらに向上させるため、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、消泡剤、シランカップリング剤、酸化防止材、無機又は有機フィラー、顔料が挙げられる。
樹脂組成物は、必要に応じて溶媒を添加して粘度を調整し、ペースト状で使用することができる。使用できる溶媒としては、ポリイミド樹脂並びに必要に応じて含まれる熱可塑性樹脂及び添加剤と反応性がなく、かつ十分な溶解性を示すものであれば、特に制限されない。
また、樹脂組成物は、フィルム状にして用いることもできる。この場合、必要に応じて溶媒を添加して粘度を調整した溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材上に塗布し、あるいは不織布等の基材に上記溶液を含浸させて剥離性基材上に載置し、溶媒等を除去して樹脂フィルムを作製する。フィルムの形状で使用すると取扱性の点から一層便利である。
樹脂組成物は、耐マイグレーション性を向上する観点から、イオン性不純物の含有量が少ないことが好ましい。一般に、エポキシ樹脂と比較して、ポリイミド樹脂はイオン性不純物の含有量が少ないことが知られており、本発明の樹脂組成物はイオン性不純物の含有量が少なく、イオン性不純物に起因するマイグレーションの発生を抑制することができる。イオン性不純物としては、塩素イオン等が挙げられる。樹脂組成物中に含有される塩素イオンの含有量は、5ppm以下であることが好ましく、3ppm未満であることがより好ましく、1ppm未満であることが更に好ましい。
また、樹脂組成物から形成される樹脂硬化物の弾性率は、10〜3500MPaであることが好ましく、10〜3000MPaであることがより好ましく、50〜2800MPaであることがさらに好ましく、50〜1500MPaであることが特に好ましく、100〜1000MPaであることが最も好ましい。
上記樹脂硬化物の線膨張係数は、300ppm/℃以下であることが好ましく、200ppm/℃以下であることがより好ましく、150ppm/℃以下であることがさらに好ましい。
樹脂硬化物の弾性率が3500MPaを超え、かつ、線膨張係数が300ppm/℃を超えると、材料間に応力が発生し、クラック又は剥離の原因となり、耐マイグレーション性を低下させる傾向がある。
上記樹脂組成物の吸水率は、樹脂組成物から形成される硬化膜の厚みを20μmとした場合、水に25℃24時間浸漬後、絶縁特性(耐マイグレーション性)向上の観点から、2%未満であることが好ましく、1.5%未満であることがより好ましく、0.5%未満であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、例えば、回路接続材料、CSP(チップ・サイズ・パッケージ)用エラストマー、COF(チップ・オン・フィルム)用アンダーフィル材、LOCテープ、ダイボンド接着材等に代表される半導体素子接着剤として使用することができる。本発明の樹脂組成物は、特に、高湿、高電圧下等の厳しい条件で使用される絶縁性樹脂として有用である。また、本発明の樹脂組成物は、低弾性率であるため、COF用アンダーフィル材として特に好適である。本発明の樹脂組成物をCOF用アンダーフィル材として用いる場合、ボイドをより低減できる観点から、溶融粘度は50〜500Pa・sであることが好ましい。ここでボイドとは、めっき処理された配線基板上にアンダーフィル材を形成後、半導体素子を、該アンダーフィル材を介してめっき処理された配線基板に接合する工程において、半導体素子とアンダーフィル材との界面に生じる空隙を意味する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<分子量の測定>
ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して求めた。GPCの測定条件を以下に示す。
ポンプ:日立 L−6000型(日立製作所社製、商品名)
検出器:日立 L−3300型RI(日立製作所社製、商品名)
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(以上、日立化成工業社製、商品名)
溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/THF(テトラヒドロフラン)(質量比1/1)
流量:1mL/分
[ポリイミド樹脂の合成]
(合成例1)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、デカメチレンビストリメリテート二無水物(黒金化成社製、商品名「DBTA−KU」)7.3g(14mmol)及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)18.05g(56mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」(コグニスジャパン社製、商品名)38.86g(70mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加え、40℃で15分間攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液を150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7200であり、分散度(Mw/Mn)は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は881であった。
(合成例2)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、「DBTA−KU」36.55g(70mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」19.46g(35mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加え、40℃で15分攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液中へジアミン成分として2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化社製、商品名「BAPP」)14.36g(35mmol)を30分かけて添加し、添加後、150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7200、分散度は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は969であった。
(合成例3)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、「DBTA−KU」36.55g(70mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」23.36g(42mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加え、40℃で15分攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液中へジアミン成分として「BAPP」11.49g(28mmol)を30分かけて添加し、添加後、150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7200、分散度は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は984であった。
(合成例4)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、「DBTA−KU」36.55g(70mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」31.15g(56mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加え、40℃で15分攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液中へジアミン成分として「BAPP」5.75g(14mmol)を30分かけて添加し、添加後、150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7200、分散度は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は1012であった。
(合成例5)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、「DBTA−KU」36.55g(70mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」11.68g(21mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加え、40℃で15分攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液中へジアミン成分として「BAPP」11.5g(28mmol)を15分かけて添加し、更に1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(三井化学ファイン社製、商品名「APBーN」)6.13g(21mmol)を15分かけて添加した。添加後、150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7400、分散度は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は905であった。
(合成例6)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、テトラカルボン酸二無水物成分として、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業社製、商品名「エピクロンB4400」)18.4g(70mmol)、ジアミン成分として、「バーサミン551」11.68g(21mmol)、溶媒として、シクロヘキサノン164gを加えて40℃で15分攪拌し反応を行った。次いで、上記反応液中へジアミン成分として「BAPP」11.49g(28mmol)を15分かけて添加し、更に「APB−N」6.13g(21mmol)を15分かけて添加した。添加後、150℃まで昇温し、3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは7400、分散度は2.6であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は629であった。
(合成例7)
攪拌機、温度計、窒素導入管及びディーンスターク還流冷却器を備えた300mLのセパラブルフラスコに、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(サンテクノケミカル社製、商品名「XTJ−542」)53.43g(52.5mol)、ヘキサメチレンジアミン2.03g(17.5mmol)、N−メチルピロリドン164gを加えて40℃で15分攪拌し、そこへ、テトラカルボン酸二無水物成分として、「エピクロンB4400」18.4g(70mmol)を15分かけて添加した。完全に溶解した後、トルエン50gを加え、150℃へ昇温して3時間加熱還流し、200℃へ昇温して3時間加熱還流を行い、生成する水及び溶媒の一部を除去しながらイミド化反応を行った。次に、上記反応液を40℃まで冷却した後、固形分が30質量%になるように調整して、ポリイミド樹脂のN−メチルピロリドン溶液からなる樹脂組成物を作製した。得られたポリイミド樹脂のMnは20420、分散度は4.18であった。また、ポリイミド樹脂中のポリイミド構造繰り返し単位当たりの平均分子量は997であった。
(ポリイミド樹脂の物性評価)
合成例1〜7でポリイミド樹脂溶液をそれぞれ用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「ピューレックス」)上にマイクロアプリケーターを用いて塗布した後、130℃30分乾燥し、PETフィルムから剥離して、厚み35μmのポリイミドフィルムを得た。
<イミド化率の測定>
上記各ポリイミドフィルムについて、赤外線測定装置(DIGILAB社製、商品名「EXCALIBUR SERIES」)を用い、赤外吸収スペクトル(透過光)を4000cm−1〜500cm−1の範囲で測定し、イミド基の特性吸収の吸光度比からイミド化率を求めた。なお、ポリイミドフィルムを更に250℃で1時間熱処理した後のフィルムの吸収スペクトルを理論的にイミド化率100%とし、下記式(a)にてイミド化率X(%)を算出した。
X(%)=[(K/L)−(M/N)]/[(O/P)−(M/N)] (a)
K:ポリイミドフィルムの1375cm−1付近の極大ピークの吸光度
L:ポリイミドフィルムの1500cm−1付近の極大ピークの吸光度
M:ポリイミド樹脂合成時、150℃に昇温する前に樹脂の一部を抜き出し、130℃で15分間乾燥させた後のポリアミック酸の(イミド化率0%)の1375cm−1付近の極大ピークの吸光度
N:ポリイミド樹脂合成時、150℃に昇温する前に樹脂の一部を抜き出し、130℃で15分間乾燥させた後のポリアミック酸の(イミド化率0%)の1500cm−1付近の極大ピークの吸光度
O:250℃で1時間熱処理した後のポリイミドフィルム(イミド化率100%)の1375cm−1付近の極大ピークの吸光度
P:250℃で1時間熱処理した後のポリイミドフィルム(イミド化率100%)の1500cm−1付近の極大ピークの吸光度
<溶融粘度の測定>
各ポリイミドフィルムから試験片として2gを量り取り、レオメーター(セイコーインスツルメンツ社製、商品名「EXTRADMS6000」)を用いて周波数5Hz、降温速度:5℃/分、測定温度23〜200℃の条件でずり粘度を測定し、150℃におけるずり粘度をポリイミド樹脂の溶融粘度とした。
<1%重量減少温度の測定>
各ポリイミドフィルムから試験片として0.5mgを量りとり、示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、商品名「TG/DTA6300」)を用いて、TG−DTA法により昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20mL/分)におけるポリイミド樹脂の1%重量減少温度を測定した。
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(ヤスハラケミカル社製、商品名;YSポリスターT145、分子量1050、軟化点145℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(実施例2)
合成例2で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(ヤスハラケミカル社製、商品名;YSポリスターT115、分子量600、軟化点115℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して10質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(実施例3)
合成例3で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(スケネクタデー社製、商品名;スケネクタデーSP559、分子量720、軟化点115℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して10質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(実施例4)
合成例4で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(ヤスハラケミカル社製、商品名;YSポリスターT145、分子量1050、軟化点145℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(実施例5)
合成例5で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(スケネクタデー社製、商品名;スケネクタデーSP559、分子量720、軟化点115℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して10質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(比較例1)
合成例5で得られたポリイミド樹脂溶液に、ジシクロペンタジエン系樹脂(トーネックス社製、商品名;ECR−235E)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(比較例2)
合成例5で得られたポリイミド樹脂溶液に、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、商品名;MA3)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(比較例3)
合成例6で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(ヤスハラケミカル社製、商品名;YSポリスターT145、分子量1050、軟化点145℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
(比較例4)
合成例1で得られたポリイミド樹脂溶液をそのまま樹脂組成物として用いた。
(比較例5)
合成例7で得られたポリイミド樹脂溶液に、テルペンフェノール共重合体(ヤスハラケミカル社製、商品名;YSポリスターT145、分子量1050、軟化点145℃)をポリイミド樹脂の固形分に対して20質量%添加し、樹脂組成物を調整した。
上記実施例1〜5及び比較例1〜5で作製した樹脂組成物をそれぞれ用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「ピューレックス」)上にマイクロアプリケーターを用いて塗布した後、130℃30分乾燥し、PETフィルムから剥離して、厚み35μmの樹脂フィルムを得た。
(比較例6)
市販のエポキシ系熱硬化性樹脂組成物(日立化成工業社製、商品名「RC281C」)を準備した。上記「RC281C」をガラス板に塗布した後、150℃で2時間硬化し、ガラス板から剥離して、厚み35μmのエポキシ樹脂からなる樹脂フィルムを得た。
[各種特性の評価]
実施例及び比較例で作製した樹脂組成物の各種特性を以下の方法で評価した。結果を表1及び2に示す。
<吸水率の測定>
各樹脂フィルムから5cm×5cmの試験片を切り出して、23℃、24時間脱イオン水に浸漬し、以下の式(b)により吸水率を算出した。なお、浸漬後の質量は、試験片表面をペーパータオルにて軽く拭き取り、10秒後の値を読み取った。
λ(%)=[(w−w)/w]×100 (b)
λ:吸水率(%)
:脱イオン水に浸漬前の樹脂の質量
w:脱イオン水に浸漬後の樹脂の質量
<引張り弾性率の測定>
各樹脂フィルムから1cm×4cmの試験片を切り出し、引張り試験機(島津製作所社製、商品名「オートグラフAGF−5KN」)を用い、温度23℃、チャック間20mm、引張り速度5mm/分の条件で引張り弾性率を測定した。
<線膨張係数の測定>
各樹脂フィルムから1cm×4cmの試験片を切り出し、引張り試験機(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「熱機械分析装置TMA−120」)を用いて、昇温速度10℃/分、加重3gでTMA法により、線膨張係数を測定した。
<イオン性不純物>
よく洗浄した耐圧容器に各樹脂フィルムから試験片約2gを量り取り、純水約18gを入れ、121℃/100%RHの環境で20時間抽出し、陰イオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、商品名「DX−120」、カラム:AS12A)を用いて塩素イオンの含有量を測定した。
<反りの試験>
実施例1〜5及び比較例1〜5で作製した樹脂組成物並びに比較例6で準備したエポキシ系樹脂組成物をそれぞれ、スピンコータを用いて8インチシリコンウェハ(厚み:420±25μm)に塗布し、加熱乾燥して厚み200μmの塗布膜をそれぞれ作製した。反りの評価は、ウェハの片端から1cmまでを平板で押さえ、反対側の浮き高さが1mm未満であるものを「○」、1mm以上を「×」とした。
<接合評価試験>
各樹脂フィルムをPETフィルム上の形成した状態で3mm×15mmに切り出した試験片、フレキシブル配線基板(日立超LSI社製、商品名「JKIT COF TEG 30−B」、2層キャスティング材、30μmピッチ、錫めっき)及び半導体チップ(日立超LSI社製、商品名「JTEG PHASE6_30」)を準備した。次に、上記試験片を樹脂面がフレキシブル配線基板と接触するように配置して、本圧着装置(日化設備エンジニアリング社製、商品名「MB−50C」)を用いて260℃、20kgf/cmの条件で圧着した。圧着後、PETフィルムを剥離し、ボンディング装置(東レエンジニアリング社製、商品名「FC−100M」)を用いて半導体チップを、ステージ温度100℃、ツール温度420℃、圧力60Nで0.5秒間熱圧着した。金属接合後、150℃で1時間加熱してボイドがないものを「○」、残っているものを「×」とした。
<アウトガスの評価>
上記接合評価試験におけるフレキシブル配線基板をスライドガラスに代えた以外は接合評価試験と同様の条件で樹脂フィルムを熱圧着した。熱圧着後、スライドガラス上の試験片周辺に付着物が目視できないものを「○」、目視できるものを「×」とした。
<耐マイグレーション性(HAST(不飽和加圧蒸気)耐性)>
図1は、耐マイグレーション性評価用基板30の概略平面図である。各樹脂フィルムをPETフィルム上に形成した状態で5mm×30mmに切り出した試験片3及びすずめっき銅配線2を施したポリイミドフレキシブル基板(30μmピッチ、すずめっき)1を準備した。上記試験片を樹脂フィルム面がポリイミドフレキシブル配線基板と接触するように配置して、本圧着装置(日化設備エンジニアリング社製、商品名「MB−50C」)を用いて260℃、20kgf/cmの条件で圧着した。圧着後、PETフィルムを剥離し、イオンマイグレーションテスター(商品名:IMV社製、MIG−8600)を用いて、65℃/95%RH/100V条件下で200時間処理した後の耐マイグレーション性を評価した。抵抗値が1.E+8以上であるものは「○」、抵抗値が1.E+8未満となったものは「×」とした。また、上記条件で300時間処理した後の抵抗値が1.E+8以上であるものは「◎」とした。
<耐折り曲げ性>
耐折り曲げ性は、上記耐マイグレーション性評価後の試験片を180度に折り曲げた時の状態を観察して評価した。クラックが発生しなかったものを「○」、クラックが発生したものを「×」とした。
<相溶性>
相溶性は、上記樹脂フィルム作製後の状態を目視で観察して評価した。透明なものを「○」、濁っているものを「×」とした。
Figure 2010163489
Figure 2010163489

*「RC281C」の物性。
実施例1〜5で得られた樹脂組成物は、可とう性に優れ十分な加工性を有し、耐熱性が高くアウトガスの発生を十分に低減でき、吸水率も極めて低く、耐マイグレーション性に十分に優れていた。
一方、比較例1、2及び4で得られた樹脂組成物は、テルペンフェノール共重合体を含有しないため、耐マイグレーション性の向上効果が得られなかった。また、比較例3及び5で得られた樹脂組成物は、ポリイミド樹脂の耐熱性が低いためアウトガスの発生が観察され、ポリイミド樹脂がエーテル結合を有することもあり、吸水率が比較的高く、耐マイグレーション性が低下した。さらに、比較例5では、溶融粘度の高いポリイミド樹脂を含有し流動性が悪いため加工性が不十分となり、反りも大きかった。また、比較例6では、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂からなる樹脂組成物でため、耐熱性が不十分となりアウトガスの発生が観察され、弾性率が高くフレキシブル配線基板等への追随性が低く、耐マイグレーション性が低下した。
1…ポリイミドフレキシブル基板、2…すずめっき銅配線、3…樹脂フィルム。

Claims (8)

  1. 150℃における溶融粘度が30〜10000Pa・sであり、1%重量減少温度が350℃以上であるポリイミド樹脂と、
    テルペンフェノール共重合体と、
    を含有する、樹脂組成物。
  2. 前記ポリイミド樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する、請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    [式(1)中、Arは4価の有機基を示し、Arは2価の有機基を示し、Ar及び/又はArは主鎖に炭素数5〜20のアルキレン鎖を含む。]
  3. 前記Arが、下記一般式(2)で表される基である、請求項2記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    [式(2)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
  4. 前記Arが、下記一般式(3)で表される2価の基である、請求項2又は3記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    [式(3)中、Zは単結合又は2価の有機基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に炭素数5〜20のアルキレン基を示す。]
  5. 前記Zが、下記一般式(4)、(5)及び(6)でそれぞれ表される2価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である、請求項4記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    [式(4)、(5)及び(6)中、R、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、q、r及びsは、それぞれ独立に1〜4の整数を示す。qが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、rが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、sが2以上の場合、複数存在するR10は同一でも異なっていてもよい。]
  6. 前記ポリイミド樹脂が、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を更に有する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    [式(7)中、Arは下記一般式(2)で表される4価の有機基を示し、Arは、芳香族炭化水素基を含む2価の有機基を示す。]
    Figure 2010163489

    [式(2)中、Xは炭素数5〜20のアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
  7. 前記Arが、置換基を有していてもよいアリーレン基、下記一般式(8)で表される基及び下記一般式(9)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である、請求項6記載の樹脂組成物。
    Figure 2010163489

    Figure 2010163489

    [式(8)及び(9)中、D及びEは、それぞれ独立に単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、スルホニル基、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基を示し、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示し、t1、t2、t3、t4、t5及びt6は、それぞれ独立に1〜4の整数を示す。t1が2以上の場合、複数存在するR11は同一でも異なっていてもよく、t2が2以上の場合、複数存在するR12は同一でも異なっていてもよく、t3が2以上の場合、複数存在するR13は同一でも異なっていてもよく、t4が2以上の場合、複数存在するR14は同一でも異なっていてもよく、t5が2以上の場合、複数存在するR15は同一でも異なっていてもよく、t6が2以上の場合、複数存在するR16は同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 2010163489
  8. 前記ポリイミド樹脂のイミド化率が80%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
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