JP2010162106A - 電磁調理器用調理器具 - Google Patents

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Abstract


【課題】 本発明の目的は、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具を提供することである。
【解決手段】 金属部6は、母層4の一方の面に第1の金属層2を設け、もう一方の面に第2の金属層3を設け、更に、母層4に接していない第1の金属層2の面に酸化膜5aを設け、母層4に接していない第2の金属層3の面に酸化被膜層5bを設けて作製する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁調理器に使用される調理器具に関するものである。
近年、省エネルギー対策や防火対策のひとつとして、ガスコンロの代わりに電磁調理器が普及してきている。電磁調理器は、本体のプレートの下に誘導コイルを設け、誘導コイルに高周波電流を流して交流磁界を発生させるものであり、交流磁界が発生しているプレートの上に金属製の調理器具をのせることにより調理器具に渦電流を発生させ、金属が有する固有の電気抵抗によってジュール熱を発生させて、調理器具に調理用の熱を供給するものである。
また、電磁調理器は、ガスを燃焼させた炎で調理器具に熱を伝えるガスコンロと異なり、金属製の調理器具自体を直接発熱させるものであり、ガスコンロに比べ、エネルギー効率が高く、また、炎を出さないことで防火対策のひとつになるとともに、二酸化炭素を直接発生させないことから環境問題の面でも利点があり、急速に普及しつつある。
電磁調理器用の調理器具は、金属製であればどの様な金属を用いたものでも良いという訳ではない。例えば、アルミニウム製や銅製の調理器具は、軽くて取り扱いが容易であるが、電気抵抗が小さい為に発熱量が小さく適さない。また、鉄製の調理器具は、電気抵抗が高く充分な発熱量が得られるが、重くて取り扱いにくいと言う欠点がある。
電磁調理器用調理器具において、上記のアルミニウム製や銅製の調理器具の電気抵抗が小さいという欠点と、鉄製の調理器具の重いという欠点を補い、軽量で電気抵抗が大きい金属製の調理器具が特許文献1に開示されている。
特許文献1には、鍋の外面をステンレス(磁性体)で形成して高周波誘導加熱を可能にすると共に側板外面からの放熱を防ぎ、鍋の内面をアルミ(熱伝導率の大きい金属)で形成して、側板上方への熱の伝導と、側板内面からの内容物への熱の伝導を向上した電磁調理器用の鍋が記載されている。
電磁調理器用調理器具に用いる材料として、例えば、特許文献1に記載の様なアルミニウムとステンレス鋼を圧接した金属材料があり、この金属材料はクラッド材料と呼ばれ、異なる金属を貼り合せてそれぞれの長所を生かした高機能複合材料であり、近年、このクラッド材料を用いた電磁調理器用調理器具が広く用いられるようになった。
しかし、アルミニウムとステンレス鋼のクラッド材料を用いた電磁調理器用調理器具は、ステンレス鋼を用いている為に軽量化が十分でなく、耐食性が悪く、傷つきやすいという欠点を有する。さらに近年、健康志向の高まりとともに、食器や調理器具には、より体に安全で、より体に優しい材料を用いることを求める傾向にある。
人体に対して安全な金属材料の代表的なものにチタンがある。チタンは、比重が銅やニッケルの約半分、鋼の約6割という軽さであり、ステンレス鋼を上回り、アルミニウムの約3倍の比強度を持ち、傷つきにくく、キズ耐性に優れる。更に、耐食性にも優れ、毒性が無く、人体に害を与えずに機能する性質を示し、すなわち生体適合性が非常に高く、医療の分野で広く用いられている。
アルミニウムとチタンを用いたクラッド材料の製造方法が、特許文献2に開示されている。
特許文献2には、母層となるアルミを370〜430℃、同アルミの表面を被覆すべきチタン、又はステンレス鋼もしくは鉄は150〜240℃に加熱保持して、チタン−アルミ−チタン、又はチタン−アルミ−ステンレス鋼、もしくはチタン−アルミニウム−鉄といった3層の順序、或いは、チタン−アルミニウムの2層の順序に積重してワンパスで圧下率20〜40%で圧延することによって一体に接合せしめ、ついで350〜430℃で拡散焼鈍して作製したクラッド材料が記載されている。
実公平2−27518号公報 特開2002−035959号公報
一般に、チタン及びステンレス鋼の比抵抗は、50μΩ・cm程度であり、例えば、チタン−アルミニウムのクラッド材料を用いた電磁調理器用調理器具に対し、電磁調理器で、ガスコンロの強火に相当する加熱を行うためには、1400ワット程度の高い出力の交流磁界が必要とされる場合がある。近年、電磁波による周辺機器への影響が問題になっており、電磁調理器の発生する交流磁界を低く抑えても、高い加熱温度が確保できる電磁調理器用調理器具が望まれている。
しかしながら、チタンと比較して、軽量で、キズ耐性に優れ、更に、耐食性に優れるとともに、生体適合性が高く、比抵抗が高い金属材料の開示が成されておらず、従来は、電磁誘導に対して高い加熱効率を得る為に必要な、100μΩ・cm以上の比抵抗を得ることが困難であった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具を提供することにある。
本発明によれば、電磁誘導により発熱する金属部からなる電磁調理器用調理器具であって、前記金属部は1つまたは複数の金属層を備え、前記金属層は、5質量%以上のMo及び6質量%以上のSnを含有し、且つ前記Mo及び前記Snの含有量の合計が20質量%以下であるβ型チタン合金からなることを特徴とする電磁調理器用調理器具が得られる。
また、本発明によれば、前記β型チタン合金の表面に酸化膜を形成することを特徴とする電磁調理器用調理器具が得られる。
また、本発明によれば、前記電磁調理器用調理器具の形態が、少なくとも、鍋、釜、フライパンの一部であることを特徴とする電磁調理器用調理器具が得られる。
本発明では、チタンを合金化することで、比抵抗を電磁誘導による高い加熱効率を得る為に必要な、100μΩ・cm以上とすることができる。
チタン合金は、その常温における金属組織を構成する相の結晶構造から、α(稠密六方晶:hcp)型、β(体心立方晶:bcc)型、およびα+β型に大別される。一般にα+β型チタン合金のTi−6Al−4Vがチタン合金としとて代表され、比強度が高く耐食性に優れ、かつ耐熱性も備えているという反面、加工性が良くないという欠点を有している。しかし、チタン合金の中で、常温までβ相を残留させることができるβ型チタン合金は、冷間加工性が良い、つまり、再結晶温度未満または常温で行なわれる加工、例えば、圧延加工、引抜き、鍛造加工、プレス成型等の加工がしやすく、更に、熱処理により高強度が得られるという特性を有する。
本発明では、チタン合金に、β型チタン合金を用いることで、チタン合金を電磁調理器用調理器具に適した形状に加工することができ、チタン合金を用いた電磁調理器用調理器具を得ることができる。
β型チタン合金は、チタンに対してβ相の領域を低温度側に広げる元素であるβ安定化元素を含有するものである。β安定化元素としては、例えば、Fe、Mo、Nb、V、Ta、Cr、Ru等がある。特に、Moは、β相に固溶して強度上昇に寄与するとともに、チタン中に固溶して微細な等軸晶組織を作り易くする性質があり、冷間加工性の向上に極めて有効に作用する。更に、Moは、一般に、生体適合性がある元素とされているが、合金化することで、より生体適合性を高くすることが可能である。
また、β安定化元素としてMoを用いる場合、Moのみを含有させただけでは、比抵抗を十分に大きくできない。MoとともにSnを含有させることにより、β相を安定化しつつ、比抵抗を十分大きくでき、電磁誘導による加熱効率を高くできる。更には、耐食性を向上でき、調理時の酸性およびアルカリ性液体との接触においても、イオン溶出がなく、調理器具として安全な材料が得られる。
本発明では、β型チタン合金のβ安定化元素として元素のMoを用いると共に、Snを含有させることによって、より生体適合性の高いβ型チタン合金からなる電磁調理器用調理器具を得ることができる。
更に、本発明では、電磁調理器用調理器具の内面または両面を成すβ型チタン合金の表面に酸化膜を設けることで、さらに耐食性及びキズ耐性を向上させることができるとともに、電磁調理器用調理器具の形態を少なくとも、鍋、釜、フライパンの一部とすることで、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具を実現できる。
本発明によれば、5質量%以上のMo及び6質量%以上のSnを含有し、且つMo及びSnの含有量の合計が20質量%以下であるβ型チタン合金で電磁調理器用調理器具を作製する、または、該β型チタン合金を、電磁調理器用調理器具の内面に対応する面または両面に用い、更に、β型チタン合金の表面に酸化膜を設け、鍋、釜、フライパンのいずれかの形態とすることで、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、電磁誘導による加熱効率が良く、人体への安全性を有した電磁調理器用調理器具が得られる。
本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1(a)は電磁調理器用調理器具の構成を説明する図、図1(b)は図1(a)の部位Aの拡大図。 本発明の第2の実施の形態を示す図で、図2(a)は電磁調理器用調理器具の構成を説明する図、図2(b)は図2(a)の部位Bの拡大図。 比較例の実施の形態を示す図で、図3(a)は電磁調理器用調理器具の構成を説明する図、図3(b)は図3(a)の部位Cの拡大図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図であり、図1(a)は、電磁調理器用調理器具の構成を説明する図である。電磁調理器用調理器具1は、複数の金属層からなる金属部6を鍋状に加工して作製する。
電磁調理器用調理器具1は、調理に適した形態であり、少なくとも、鍋、釜、フライパンの一部であれば良く、適宜選択するのが好ましい。
金属部6は、2層以上あれば良く、コスト等を考慮し適宜選択するのが好ましく、軽量化及び耐食性を考慮すれば、3層の金属層が望ましい。
図1(b)は、図1(a)の部位Aの拡大図であり、電磁調理器用調理器具を成す金属部6の構成を説明するものである。金属部6は、母層4の一方の面に第1の金属層2を設け、もう一方の面に第2の金属層3を設け、更に、母層4に接していない第1の金属層2の面に酸化膜5aを設け、母層4に接していない第2の金属層3の面に酸化膜5bを設けて作製する。
母層4は、熱伝導率が良い金属が良く、コスト等を考慮し適宜選択するのが好ましく、アルミニウム及び銅が使用できるが、軽量化を考慮すれば、アルミニウムが好ましい。
第1の金属層2は、電磁調理器用調理器具の内面に設けられる金属層であり、食材と接触する可能性が高く、生体適合性の高い金属材料を用いるのが良く、適宜選択するのが好ましく、純チタン及びα型チタン合金、β型チタン合金、およびα+β型チタン合金が使用できるが、冷間加工性を考慮すれば、β型チタン合金が特に好ましい。
β型チタン合金は、β安定化元素としてFe、Mo、Nb、V、Ta、Cr、Ru等が使用できるが、生体適合性等を考慮すれば、Moを用いるのが好ましい。更に、β相の体積比を増加させると共に、β相に固溶して強度向上に寄与する為には、Moを5質量%以上含有させるのが良い。更に、β相を安定化しつつ、比抵抗を十分大きくする為には、Snを6質量%以上させるのが良く、MoとSnの含有量の合計が20質量%以下であることが特に好ましい。
第2の金属層3は、電磁調理器用調理器具の外面に設けられる金属層であり、比抵抗が100μΩ・cm以上あれば良く、α型チタン合金、β型チタン合金、およびα+β型チタン合金が使用できるが、冷間加工性を考慮すれば、β型チタン合金が特に好ましい。
酸化膜5a及び酸化膜5bは、空気中において800℃以下での加熱処理を5分から10分行い作製する。酸化膜の膜厚は、5μm以上あれば良く、適宜選択するのが好ましく、キズ耐性及び調理時の離型性を考慮すれば、10μmが望ましい。
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、図2(a)は、電磁調理器用調理器具の構成を説明する図である。電磁調理器用調理器具11は、1つの金属層からなる金属部66を鍋状に加工して作製する。
図2(b)は、図2(a)の部位Bの拡大図であり、電磁調理器用調理器具を成す金属部66の構成を説明するものである。金属部66は、第3の金属層7の両面に、酸化膜55a及び酸化膜55bを設けて作製する。
第3の金属層7は、電磁調理器用調理器具の内面で食材と接触する可能性が高く、生体適合性の高い金属材料を用いるのが良く、適宜選択するのが好ましく、α型チタン合金、β型チタン合金、およびα+β型チタン合金が使用できるが、冷間加工性を考慮すれば、β型チタン合金が特に好ましい。
更に、第3の金属層7は、比抵抗が100μΩ・cm以上あれば良く、α型チタン合金、β型チタン合金、およびα+β型チタン合金が使用できるが、冷間加工性を考慮すれば、β型チタン合金が特に好ましい。
β型チタン合金は、β安定化元素としてFe、Mo、Nb、V、Ta、Cr、Ru等が使用できるが、生体適合性等を考慮すれば、Moを用いるのが好ましい。更に、β相の体積比を増加させると共に、β相に固溶して強度向上に寄与する為には、Moを5質量%以上含有させるのが良い。更に、β相を安定化しつつ、比抵抗を十分大きくする為には、Snを6質量%以上させるのが良く、MoとSnの含有量の合計が20質量%以下であることが特に好ましい。
酸化膜5a及び酸化膜5bは、空気中において800℃以下での加熱処理を5分から10分行い作製する。酸化膜の膜厚は、5μm以上あれば良く、適宜選択するのが好ましく、キズ耐性及び調理時の離型性を考慮すれば、10μmが望ましい。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
まず、後に説明する本発明の実施例、及び比較例の金属材料に対して行った、評価内容について説明する。評価した特性は、(1)冷間加工性、(2)比抵抗、(3)密度、(4)キズ耐性、(5)耐食性の5つの特性とし、以下の方法で評価した。
(1) 冷間加工性
冷間加工性の評価は、作製した金属材料から真空アーク溶解により80gの鋳塊を製造し、これを900℃加熱で厚さ4mmにまで熱間圧延した後、830℃で10分間加熱(焼鈍)し、次いでショットブラスト処理および酸洗を行なって表面の脱スケールを行なった後、圧延機を用いて冷間で圧延を行い、割れが発生しない圧延後の厚さを測定し、圧延前の厚さ(4mm)に対する変化率を次の式(1)から算出して評価した。
冷間加工性=(1−圧延後の厚さ/圧延前の厚さ)×100・・・・・(1)
(判定基準)
×:冷間加工性の値が60%未満。
○:冷間加工性の値が60%以上75%未満。
◎:冷間加工性の値が75%以上。
(2) 比抵抗
比抵抗の評価は、作製した金属材料からφ1.0線材を作製し、測定温度20±1℃において、定電流100mAにおける比抵抗を測定して評価した。
(判定基準)
比抵抗は、値が大きいほど電磁誘導による発熱効率が良いことを示し、電磁調理器用調理器具として必要な比抵抗の値は、100μΩ・cm以上とした。
(3) 密度
密度の評価は、アルキメデス法により密度を測定して評価した。
(判定基準)
密度は、値が小さいほど軽量であることを示しており、電磁調理器用調理器具としては、より軽量である材料が優れているとした。
(4)キズ耐性
キズ耐性の評価は、キズの付き難さで評価した。キズの付き難さは、材料の硬さを示すビッカース硬度を指標とした。ビッカース硬度は、材料に酸化膜が無い状態でビッカース硬度計を用いて測定し、評価した。
(判定基準)
材料の硬さは、値が大きいほど硬いことを示し、電磁調理器用調理器具として必要な材料の硬さの値は、ビッカース硬度で300Hv以上とした。
(5)耐食性
耐食性の評価は、アノード分極試験にて腐食が開始する電圧を測定して評価した。
(判定基準)
腐食が開始する電圧を示す腐食電圧は、値が高いほど腐食し難いことを示し、電磁調理器用調理器具として必要な腐食電圧の値は、4V以上とした。
(実施例1乃至4)
次に、本発明の電磁調理器用調理器具に係る金属材料について説明する。
実施例1は、11質量%のMo及び9質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を20質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、実施例2は、11質量%のMo及び6質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を17質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、実施例3は、7質量%のMo及び12質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を19質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、実施例4は、5質量%のMo及び12質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を17質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料である。
次に、実施例1乃至4の金属材料に対して、(1)冷間加工性、(2)比抵抗、(3)密度、(4)キズ耐性、(5)耐食性の5つの特性について評価を行い、評価結果を表1及び表2に示した。
Figure 2010162106
Figure 2010162106
表1及び表2に示されるように、実施例1乃至4の金属材料に対する特性評価の結果、冷間加工性は、全て75%以上であり、優れた冷間加工性を得た。更に、比抵抗は、全て100μΩ・cm以上であり、電磁調理器用調理器具として必要な比抵抗を得た。更に、密度は、全て約5.0g/cm3であり、鉄(Fe)、ステンレス(SUS304、SUS430)、銅(Cu)に比べ、40%程度低く、軽量化に適した密度を得た。更に、ビッカース硬度は、全て300Hv以上であり、電磁調理器用調理器具として必要な材料の硬さを有しており、電磁調理器用調理器具に適したキズ耐性を得た。更に、腐食電圧は、全て4V以上であり、電磁調理器用調理器具として十分な耐食性を得た。
よって、本発明に係る金属材料によれば、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具に適した金属材料が得られた。
(実施例5)
次に、すでに図1で説明した第1の実施の形態において、母層4をアルミニウムとし、第1の金属層2及び第2の金属層3に実施例1で作製したβ型チタン合金からなる金属材料を用い、厚みが4mmの3層のクラッド材を作製した。その後、作製した厚みが4mmの3層のクラッド材を830℃で5分間加熱し、第1の金属層2及び第2の金属層3の表面に、膜厚10μmの酸化膜5a及び酸化膜5bを作製した。その後、深絞り加工を行い、鍋状の電磁調理器用調理器具(実施例5)を作製した。
実施例5の電磁調理器用調理器具は、表面に割れ等の外傷の発生が無く、調理器具として使用できる。よって、本発明によれば、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具が得られた。
(実施例6)
次に、すでに図2で説明した第2の実施の形態において、第3の金属層7に実施例1で作製したβ型チタン合金からなる、厚みが4mmの金属材料を用い、第3の金属層7の両面に、膜厚10μmの酸化膜55a及び酸化膜55bを設けて作製した。その後、深絞り加工を行い、鍋状の電磁調理器用調理器具(実施例6)を作製した。
実施例6の電磁調理器用調理器具は、表面に割れ等の外傷の発生が無く、調理器具として使用できる。よって、本発明によれば、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具が得られた。
(比較例1乃至11)
次に、比較例の電磁調理器用調理器具に係る金属材料について説明する。
比較例1は、6質量%のMo及び15質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を21質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、Mo及びSnの含有量の合計が20質量%を超えた、Mo及びSnを含有するβ型チタン合金(以下、Mo−Sn・β型チタン合金と表記する)の例である。
比較例2は、9質量%のMo及び5質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を14質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、Snの含有量が6質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金の例である。
比較例3は、20質量%のMoのみを含有させ、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、Snを含有せず、Moのみを含有したβ型チタン合金の例である。
比較例4は、4質量%のMo及び16質量%のSnを含有させ、Mo及びSnの含有量の合計を20質量%とし、作製したβ型チタン合金からなる金属材料であり、Moの含有量が5質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金の例である。
比較例5は、6質量%のAl及び4質量%のVを含有させ、作製したα+β型チタン合金からなる金属材料であり、α+β型チタン合金の代表例である。
更に、チタン合金以外に、Ti(実施例6)、SUS304(実施例7)、SUS430(実施例8)、Al(実施例9)、Cu(実施例10)、Fe(実施例7)を比較例として用いた。
次に、比較例1乃至11の金属材料に対して、(1)冷間加工性、(2)比抵抗、(3)密度、(4)キズ耐性、(5)耐食性の5つの特性について評価を行い、評価結果を表1及び表2に示した。
表1及び表2に示されるように、比較例1の金属材料に対する特性評価の結果、比抵抗が115μΩ・cmであり、密度が約5.1g/cm3であり、ビッカース硬度が300Hvであり、腐食電圧が6Vであり、評価の4項目で、電磁調理器用調理器具に必要する値を満足していたが、冷間加工性が60%未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られなかった。
よって、Mo及びSnの含有量の合計が20質量%を超えたMo−Sn・β型チタン合金からなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
比較例2の金属材料に対する特性評価の結果、比抵抗が120μΩ・cmであり、密度が約5.2g/cm3であり、ビッカース硬度が301Hvであり、腐食電圧が6Vであり、評価の4項目で、電磁調理器用調理器具に必要する値を満足していたが、冷間加工性が60%未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られなかった。
よって、Snの含有量が6質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金からなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
比較例3の金属材料に対する特性評価の結果、比抵抗が103μΩ・cmであり、密度が約5.4g/cm3であり、腐食電圧が6Vであり、評価の3項目で、電磁調理器用調理器具に必要する値を満足していたが、ビッカース硬度が300Hv未満であり、電磁調理器用調理器具に必要なキズ耐性が得られず、更に、冷間加工性が60%未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られなかった。
よって、Snを含有せず、Moのみを含有したβ型チタン合金からなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
比較例4の金属材料に対する特性評価の結果、密度が約5.2g/cm3であり、腐食電圧が5Vであり、評価の2項目で、電磁調理器用調理器具に必要する値を満足していたが、比抵抗が100μΩ・cm未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な比抵抗が得られず、更に、ビッカース硬度が300Hv未満であり、電磁調理器用調理器具に必要なキズ耐性が得られず、更に、冷間加工性が60%未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られなかった。
よって、Moの含有量が5質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金からなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
比較例5の金属材料に対する特性評価の結果、比抵抗が171μΩ・cmであり、密度が約4.4g/cm3であり、ビッカース硬度が311Hvであり、評価の3項目で、電磁調理器用調理器具に必要する値を満足していたが、腐食電圧が4Vで未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な耐食性が得られず、更に、冷間加工性が60%未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られなかった。
よって、α+β型チタン合金からなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
次に、チタン合金以外のTi(実施例6)、SUS304(実施例7)、SUS430(実施例8)、Al(実施例9)、Cu(実施例10)、Fe(実施例7)に対する特性評価の結果、冷間加工性は、全て60%以上で、電磁調理器用調理器具に必要な冷間加工性が得られたが、比抵抗が全て100μΩ・cm未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な比抵抗が得られず、更に、Al(実施例9)及びTi(実施例6)以外は、密度が7.9g/cm3と大きく、更に、ビッカース硬度が全て300Hv未満であり、電磁調理器用調理器具に必要なキズ耐性が得られず、更に、腐食電圧が全て4Vで未満であり、電磁調理器用調理器具に必要な耐食性が得られなかった。
よって、チタン合金以外のTi、SUS304、SUS430、Al、Cu、Feからなる金属材料では、本願発明と同様な効果を得ることができなかった。
よって、Mo及びSnの含有量の合計が20質量%を超えたMo−Sn・β型チタン合金、Snの含有量が6質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金、Snを含有せずMoのみを含有したβ型チタン合金、Moの含有量が5質量%未満のMo−Sn・β型チタン合金、α+β型チタン合金、及びチタン合金以外のTi、SUS304、SUS430、Al、Cu、Feからなる金属材料では、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具に適した金属材料が得られなかった。
(比較例12)
図3は、比較例の実施の形態を示す図であり、図3(a)は、電磁調理器用調理器具の構成を説明する図である。電磁調理器用調理器具91は、複数の金属層からなる金属部96を鍋状に加工した。
図3(b)は、図3(a)の部位Cの拡大図であり、電磁調理器用調理器具を成す金属部96の構成を説明するものである。金属部96は、母層94をアルミニウムとし、第1の金属層92及び第2の金属層93に比較例1で作製したβ型チタン合金からなる金属材料を用い、厚みが4mmの3層のクラッド材を作製した。その後、作製した厚みが4mmの3層のクラッド材を830℃で5分間加熱し、第1の金属層92及び第2の金属層93の表面に、膜厚10μmの酸化膜95a及び酸化膜95bを作製した。その後、深絞り加工を行い、鍋状の電磁調理器用調理器具(比較例12)を作製した。
比較例12の電磁調理器用調理器具は、表面に割れ等の外傷の発生があり、調理器具として使用できない。よって、比較例1で作製したβ型チタン合金からなる金属材料では、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具が得られない。
以上の比較の通り、従来技術による、Mo及びSnの含有量の合計が20質量%を超えたMo−Sn・β型チタン合、Snの含有量が6質量%未満のMo−Sn・β型チタン合、Snを含有せずMoのみを含有したβ型チタン合金、Moの含有量が5質量%未満のMo−Sn・β型チタン合、α+β型チタン合金、及びチタン合金以外のTi、SUS304、SUS430、Al、Cu、Feからなる金属材料を用いても得られなかった、軽量で、キズ耐性及び耐食性に優れ、人体への安全性を有するとともに、電磁誘導による加熱効率が高い電磁調理器用調理器具を、本発明のβ型チタン合金からなる金属材料によれば、得ることができた。
以上、図面を用いて本発明の実施例を説明したが、本発明は、この実施例に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で部材や構成の変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当事者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
1、11、91 電磁調理器用調理器具
2、92 第1の金属層
3、93 第2の金属層
4、94 母層
5a、5b、55a、55b、95a、95b 酸化膜
6、66、96 金属部
7 第3の金属層

Claims (3)

  1. 電磁誘導により発熱する金属部からなる電磁調理器用調理器具であって、前記金属部は1つまたは複数の金属層を備え、前記金属層は、5質量%以上のMo及び6質量%以上のSnを含有し、且つ前記Mo及び前記Snの含有量の合計が20質量%以下であるβ型チタン合金からなることを特徴とする電磁調理器用調理器具。
  2. 前記β型チタン合金の表面に酸化膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の電磁調理器用調理器具。
  3. 前記電磁調理器用調理器具の形態が、少なくとも、鍋、釜、フライパンの一部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁調理器用調理器具。
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