JP2010159933A - 電気カーペット - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱効果による省エネルギー性能に優れているのは勿論のこと、座り心地が良く、かつ長時間の荷重を受けてもへたりが生じることがなく、安定したクッション性能を維持することができる電気カーペットを提供する。
【解決手段】電気カーペット用表面材層2と、配線布層3と、中綿層4、下材層5からなる電気カーペット1において、前記下材層を立体編物とし、前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されている構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】電気カーペット用表面材層2と、配線布層3と、中綿層4、下材層5からなる電気カーペット1において、前記下材層を立体編物とし、前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されている構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットであって、クッション性及び省エネルギー効果のある電気カーペットに関するものである。
近年、インテリア性が高く、しかもオールシーズン敷きっぱなしという使い方をする電気カーペットが注目されてきた。このような電気カーペットの多くは、例えばニードルパンチフェルト等からなる断熱材上に溶融樹脂で被覆した発熱線を配線し、熱プレスして一旦固定したあと、その上に接着層を塗布した表面材層を重ね、熱プレスによって断熱材と表面材層を接着し、発熱線を断熱材と表面材層の間に固定し、その後外縁部をオーバーロックミシンでほつれ止め加工を施し、発熱制御をするコントローラーを取り付けた構成になっている。
電気カーペットの内部に配設された電熱式の発熱線からの熱は、カーペット上面から室内に有効に放散される一方で、カーペット裏面からその電気カーペットを敷設した床面に対しても相当量の熱が熱伝達により逃げることになり、それだけ余分な熱を費消するため、熱消費の面で不経済であった。さらに、近年の住宅では、畳の床が減少し、フローリングの床面が主体となってきていることから、電気カーペットをフローリング床面上で使用することが多くなっている。フローリング床面上では、電気カーペットの熱が畳の上で使用するときよりも床面に逃げやすいことから、この不経済な熱消費の問題が大きくなっている。
また、このような電気カーペットは、断熱効率を上げるためと適度なクッション性を得るため、普通空気層を多く含んでいるニードルパンチフェルトや軟質合成樹脂フォームなどの断熱材を使用している。しかしながら、前記のような従来の電気カーペットは、熱プレスあるいは熱ロールで加熱圧着されているため、断熱材の中の空気層がつぶれ、厚みも薄くなってしまい、また、長時間或いは繰返しの荷重でへたりが生じ、空気層の断熱効果の経時的に減少してしまう問題があった。発熱体から発生する熱の床面に逃げる量が多くなり、すなわち断熱効率が悪くなり、かつクッション性も損なわれ、座り心地も悪くなるという課題があった。
特許文献1においては、断熱材の繊維中に中空糸を含む繊維材料を含ませ、空気層を多く含んだ構成とする省エネルギー効果のある電気カーペットについて記載されている。
また、特許文献2においては、裏面材に発泡材と繊維材とが混在したものを用いて、クッション性が高く、強度に優れた電気カーペットを提供することを目的としている。
しかしながら、特許文献1のような断熱材の繊維中に中空糸を含む方法は、その効果は認められるものの、中空部を有するため繊維材そのものの弾性が弱く、長時間或いは繰返しの荷重でへたりが生じ、空気層の断熱効果の経時的に減少してしまう問題があった。また、当然のことながら弾力性がなくなるので、座り心地も悪くなるという問題があった。さらに、中空繊維は、カーペットの裏面材としては特殊な素材であり、コストが割高になるという課題があった。また特許文献2では、クッション性や強度は優れてはいるが、省エネルギーの視点での言及が全くされていない。
本発明は、断熱効果による省エネルギー性能に優れているのは勿論のこと、座り心地が良く、かつ長時間の荷重を受けてもへたりが生じることがなく、安定したクッション性能を維持することができる電気カーペットを提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究の結果、電気カーペット用表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、前記下材層を立体編物とし、前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されている構成とすることにより、上記所望の電気カーペットが得られることを見出すに至り、この発明を完成したものである。
[1]表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、前記下材層が立体編物からなり、前記中綿層の下面に配置され、前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されていることを特徴とする電気カーペット。
[2]表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、下材層として断熱シートを前記立体編物の下側にさらに積層一体化して、前記表面材層と、配線布層と、中綿層と積層し、外縁部を縫合して一体化したことを特徴とする前項1に記載の電気カーペット。
[3]前記立体編物が表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成され、厚みが2.5〜25mmの立体編物であることを特徴とする前項1または2に記載の電気カーペット。
[1]の発明では、表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、下材層として立体編物を用いているために、座り心地が良く、かつへたりが生じることがなく、安定したクッション性能を維持することができる。また、前記立体編物は大きな空気層を有し、且つ前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されているために、前記配線布層によって暖められた前記立体編物が有する空気層の保温断熱効果が高まり、前記電気カーペット用表面材層の温度が降下しにくくなる。さらに下材層については、暖められた空気が床面に放散する事なく、効率良く保温することができる。したがって、ヒーターの加熱時間が短くなり消費電力を減少させるとができ、特にフローリング床の上で使用しても、消費電力を減少させることができ、省エネルギー型の電気カーペットとなる。
[2]の発明では、下材層として断熱シートを前記立体編物の下側にさらに積層一体化しているので、該断熱シートにより、断熱効果を加えることが可能となる。
[3]の発明では、前記立体編物が表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成され、厚みが2.5〜25mmの立体編物であることから、良好なクッション性能を有し、断熱効果のある大きな空気層を形成された電気カーペットとすることができる。
次に、この発明に係る電気カーペットの実施形態を図面に基づいて説明する。この発明の電気カーペット(1)は、図1に示すように、表面材層(2)と、配線布層(3)と、中綿層(4)、下材層(5)を上面からこの順序で積層一体化された積層構造を有するものである。
この発明において、表面材層(2)は、特に限定されるものではなく、例えば合成樹脂シート類、ニードルパンチ等の不織布カーペット類、フックドラグ、タフテッド等の刺繍カーペット類、段通、ウィルトン、アキスミンスター等の織カーペット類、ボンデッド、電着、コード等の接着カーペット類、ニット、ラッセル等の編カーペット類も採用することもできるが、外観、機能性、経済性等の観点から合成樹脂シート類が好ましい。
前期合成樹脂シート類のなかでも、オレフィン系合成樹脂を主成分とする樹脂から構成されるシートであれば、食べこぼしや、醤油、ソース等が表面に付着しても容易に拭き取って除去することができると共に、傷が付きにくく耐擦傷性に優れたものとなすことができる。さらに外観、環境保全、経済性等の観点からポリプロピレン樹脂が好ましく、燃焼時に有毒ガスを発生しにくく、従って環境保全に貢献することができる。
また、前記合成樹脂シート類の製造方法としては、特に限定されず、例えば押出機等の公知の装置や、その他の公知の積層技術を用いて積層することにより製造することができる。
この発明において、配線布層(3)は、発熱線(6)を配線ベース材(7)に埋め込んだ構成になっており、配線ベース材(7)としては、厚さ3〜8mm、目付300〜500g/m2のポリエステル製ニードルパンチフェルトが好ましい。発熱線(6)は、ヒーター線を塩化ビニール等の樹脂で覆い、さらにその表面を塩化ビニールより低い融点のポリエチレン樹脂で被覆した線材を使用するのが好ましい。例えば、シリコン板の上で配線し、その上に配線ベース材(7)を置いて、熱プレスを行うことにより、ヒーター線を被覆したポリエチレン樹脂が溶融し配線ベース材(7)と発熱線(6)が接着される。この時発熱線(6)は、配線ベース材(7)の中に埋め込むように溶融接着されている。
次に、配線ベース材(7)に発熱線(6)を接着したものに、発熱線(6)を挟むように表面材層(2)を重ね合わせ熱プレスすれば、表面材層(2)に具備した酢酸ビニルの接着層によって表面材層(2)と配線ベース材(7)がしっかりと接着される。酢酸ビニルと発熱線は非接着であり、発熱線(6)は配線ベース材(7)と溶融接着するのみとなる。
この発明において、中綿層(4)は下地材(床面、畳、カーペットなど)への放熱を防ぐ断熱性能及び電気カーペット(1)の寸法安定性を確保する役割を果たすものであり、不織布が最適に使用されるが、保温効果を考慮すれば、伝導率が約0.06kcal/mh℃以下の効果を出せる空気層をもつ物であれば特に限定されるものではない。構成する繊維としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維等または羊毛、木綿等の天然繊維等を単一または複数混合したものを挙げられるが、特に限定されない。不織布の種類としては、スパンボンド不織布、短繊維フェルト、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられるが、熱伝導率、寸法安定性、経済性を考慮すればポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布が好ましい。
中綿層(4)の目付は、50〜160g/m2 の範囲とするのが好ましい。50g/m2 未満では十分な断熱効果が得られず、電気カーペット(1)としての寸法安定性が低下するので好ましくないし、一方160g/m2 を超えると、電気カーペット(1)の嵩が高くなり過ぎて、電気カーペット(1)上での安定した歩行が困難になるという問題が生じる。
また、中綿層(4)の重ね合わせ面側には、予め酢酸ビニル等の接着剤を塗布し、配線布層(3)に重ね、熱プレスによって、中綿層(4)と配線布層(3)を積層一体化する。
この発明における下材層(5)は、本発明の最大の特徴として立体編物を用いる。該立体編物は前記立体編物が表裏二層の編地と該二層の編地
を連結する連結糸から構成され、表編地と裏編地は相互に異なる種類の組織に編成されることが推奨される。例えば表編地を菱形の透孔組織(網組織)とし、裏編地を鎖組織を基本としたクインズコード組織に編成する形態、或いは表編地を六角形の透孔組織(網組織)とし、裏編地を鎖組織を基本とした挿入組織に編成するハニカム状構造が挙げられる。本実施の形態では、床面への放熱を防ぐために、菱形の透孔組織を有する層を接着面とし、クインズコード組織を有する層を裏面として使用している。
を連結する連結糸から構成され、表編地と裏編地は相互に異なる種類の組織に編成されることが推奨される。例えば表編地を菱形の透孔組織(網組織)とし、裏編地を鎖組織を基本としたクインズコード組織に編成する形態、或いは表編地を六角形の透孔組織(網組織)とし、裏編地を鎖組織を基本とした挿入組織に編成するハニカム状構造が挙げられる。本実施の形態では、床面への放熱を防ぐために、菱形の透孔組織を有する層を接着面とし、クインズコード組織を有する層を裏面として使用している。
該立体編物は二列針床を備えた編機、最も一般的にはダブルラッセル機によって編成されるが、針列の配置密度が6〜18ゲージ、即ち1インチ当たりに6〜18の針列を有する編機を用いて、しかも針床頂端からのニードルによる編糸の引き込み量(度目)が1.2〜3.0mm程度で、結果的に8〜28コース/インチのコース密度に編成したものとすることが必要である。
針列密度が6ゲージ未満あるいはコース密度が8コース/インチ未満では、形態安定性に優れた編地を編成することが困難なものとなる。また、18ゲージを超え、あるいは28コース/インチを超えるときは、編目部分の糸太さが太いものとなることとの関係で、編成困難となる。好適には、8〜18ゲージの編機を用い、8〜28コース/インチの編成条件を採用するのが良い。
図3及び図4は、本実施形態にかかる立体編物(8)の一部を示す図であり、まず、これらの図に基づき、該立体編物(8)の基本構造を説明する。図3に示すように、このハニカム状立体編物(8)は、表編地(9)、裏編地(10)及び該表編地(9)と裏編地(10)とを結合する多数の連結糸(11)とを有する三次元構造から構成されている。
表編地(9)は、例えば、図3に示したように、単繊維を撚った糸から、ハニカム状のメッシュを有する構造に形成されている。裏編地(10)は、例えば、図4に示したように、単繊維を撚った糸が編成され、表編地(9)のハニカム状のメッシュよりも小さなメッシュ(細目)を有する構造に形成されている。連結糸(11)は、モノフィラメント又はマルチフィラメントで形成し、表編地(9)と裏編地(10)とが所定の間隔を保持するように、該表編地(9)と裏編地(10)との間に編み込んだもので、この立体メッシュニットとなっている立体編物(8)に所定の空気層及びクッション性を付与している。
この立体編物(8)は、表編地(9)と裏編地(10)を連結糸(11)でつないだ厚さ2.5〜25mmの立体編物であることにより、大きな空気層を有し、クッション性にも優れるものである。しかも、連結糸にフィラメント糸が使用されているから、良好なクッション性と復元力を保有したものとなる。厚さが2.5mm未満であるときは、良好なクッション性を保有せしめることが困難であり、一方25mmを超える場合にはクッション性に優れるものの、形態安定性に乏しいものとなる。中でも、上記厚さは3.5〜8mmの範囲とするのが、良好なクッション性を確保しつつ形態安定性をより向上させることができる点で、好ましい。
表編地(9)、裏編地(10)又は連結糸(11)を構成する繊維の材料としては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂などを用いることができる。
表編地(9)、裏編地(10)又は連結糸(11)を構成する繊維の太さは任意であり、その好ましい範囲は、加工される立体編物(8)によって種々異なるが、例えば、連結糸(11)であれば、200〜1000dtexが好ましく、より好ましくは450〜800dtexがよい。これによって電気カーペット(1)にかかる荷重を各編地(9)、(10)を構成するメッシュの変形と連結糸(11)の倒れによって支持することができ、応力集中の起きないクッション性を有する構造とすることができる。
本発明において、もうひとつの実施の形態では、図2に示すように、下材層(5)として断熱シート(12)を前記立体編物(8)の下側に、部分接着もしくは接着せずに積層し、前記表面材層(2)と、配線布層(3)と、中綿層(4)と積層し、外縁部を縫合して一体化した構成とすることができる。
断熱シート(12)を前記立体編物(8)の下側にさらに積層一体化することにより、前記立体編物(8)による断熱効果に加え、断熱シート(12)の断熱効果、さらに前記立体編物(8)と断熱シート(12)の間に空気層を形成し断熱効果をさらに上げることができる。また、電気カーペット(1)の外縁部だけを縫製して一体化した場合、大きなサイズの電気カーペット(1)では、中央部分の断熱シート(12)が撓んで扱いにくく、皺になり易いことから、断熱シート(12)の数箇所を前記立体編物(8)に接着材で固定してもよい。
断熱シート(12)は、特に限定されないが、厚さ1〜4mm、目付50〜400g/m2のポリエステル製ニードルパンチフェルトが好ましく、断熱シート(12)の床面側には、滑り止めを目的にアクリル樹脂等を塗布してもよい。また、断熱シート(12)の上側に確実に空気層をつくるために、断熱シート(12)にフィルム層を積層したものを使用してもよい。
つぎに、この発明における特徴として、表面材層(2)、配線布層(3)、中綿層(4)、下材層(5)からなる4層を積層一体化し、外縁部を縫合している。この外縁部の縫合及び床面との密着により、気密性が保たれた各層に空気層が構成され、特に立体編物(8)からなる下材層(5)の大きな空気層によって表面材層(2)が効率よく暖められる。
空気層の熱伝導率は一般的に約0. 02kcal/mh℃と0.06kcal/mh℃程度の繊維で構成される不織布に比べて小さく、裏面部分が不織布だけの構成の電気カーペットに比べて、空気層が存在することにより、熱伝導率がちいさくなり、下材層(5)から床面に逃げる熱量が小さくなる。その結果、省エネルギー化が図れる電気カーペット(1)となる。さらに、電気カーペット(1)上からの荷重によるへたりが少ない立体編物(8)によって、その効果が耐久性のあるものとなる。
電気カーペット(1)の、外縁部を縫製する方法は、特に限定されず、オーバーロックやテープロックといわれる既知の方法で縫製し、ほつれ止め加工して、各層を一体化すればよい。このようにして作成したカーペット(1)にコントローラーを取り付け省エネルギー性能に優れ、安定したクッション性能を維持することができる電気カーペット(1)が完成する。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>ポリプロピレン(PP)70重量部と、水添SBR(スチレン−ブタジエン共重合体)30重量部とを混合して得られる組成物を、周知の押出機を用いて押出成形して得られる厚さ300μmのシート(表面樹脂層)の下面にグラビア印刷により所定の柄を印刷し、更にこの印刷層の下面に、目付60g/m2 のポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布(第1不織布)をアクリル系接着剤を用いて貼り合わせて積層一体化して、第1中間シート体を得た。
次に、ポリエチレン(PE)80重量部と、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMMA)20重量部とを混合して得られる組成物を、周知の押出機により、厚さ700μmのシート状(中間樹脂)に押出成形して、上記第1中間シート体における不織布(第1不織布)上に溶融積層して、第2中間シート体を得た。
さらに、目付500g/m2 のポリエステル繊維/PP繊維(混合比90/10)混合繊維からなるニードルパンチフェルト(第2不織布)を、前記第2中間シート体における中間樹脂の上に溶融積層して、電気カーペット用表面材層を得た。
ヒーター線を塩化ビニールの樹脂で覆い、さらにその表面を塩化ビニールより低い融点のポリエチレン樹脂で被覆した線材を用意した。次に、シリコン板の上で配線し、その上に配線ベース材を置いて、熱プレスを行うことにより、配線ベース材と発熱線が接着された配線布層を得た。
中綿層として、重ね合わせ面側に、予め酢酸ビニル等の接着剤を塗布した目付、100g/m2ポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布を用意し、熱プレスによって、表面材層、配線布層と積層一体化した。尚配線布層はヒーター線側を表面材層との接着面とした。
下材層として下記仕様の立体編物を準備した。6枚筬を装備した18ゲージ、釜間5.6mmのダブルラッシェル機を用い、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)から連結糸として200dtexのナイロン6モノフィラメント糸を供給し、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)から表編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を、編機背面に位置する二枚の筬(L5、L6)から裏編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸をL1、L3、L5ガイドに1イン1アウト、L2、L4、L6に1アウト1インの配列で供給した。打ち込み20.7コース/2.5cmに設定して、表編地は菱形ダブルトリコット、裏編地はクインズコードの編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。得られた立体編物を70℃で精練後、幅出し熱セット(180℃)した。得られたハニカム状立体編物の性量は、厚み5.0mm、27.0コース/2.5cm、13.0ウエール/2.5cmであった。
前記4層(表面材層、配線布層、中綿層、下材層)を所定の形状に裁断し、積層一体化し、オーバーロックにて外縁部を縫合し電気カーペットを得た。得られた電気カーペットについて、圧縮率、圧縮復元率、省エネルギー性、形態安定性を測定し、その結果を後掲の表1に示す。(以下の実施例、比較例において同じ)。
圧縮率及び圧縮復元率の指標として、次の測定法と計算式を用いた。
[測定法]電気カーペットを5×5cmの試験に切出し、その初期厚みAを測定した。次に試験片上に5kgの重りを載せて10分間放置し、そのときの厚さBを測定したのち、重りを取除いて10分経過後の厚さCを測定した。
[圧縮率]圧縮率(%)=(A−B)/A×100[圧縮復元率]圧縮復元率(%)=(C−B)/(A−B)×100
[省エネルギー性能]各電気カーペットを用い、その設定温度を40℃にセットし、室温20℃・フローリング床温15℃の部屋で1時間、通電可能状態にし、該カーペットの実通電時間を測定することによって、該カーペットでの省エネルギー性能を評価した。下材層を用いない電気カーペット(比較例1)の通電時間に対しての差を%で表した。
[形態安定性]各電気カーペットを手で強く押してその形態変化を調べた。各電気カーペットの形態に変化が全く認められなかったものを「◎」とし、殆ど認められなかったものを「○」とし、形態変化が目立っていたものを「×」とした。
<実施例2>下材層として前記立体編物に加えて、厚さ1.5mm、目付100g/m2のポリエステル製ニードルパンチフェルトからなる断熱シートを前記ハニカム状立体編物の下側に積層したこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<実施例3>立体編物の厚みを3.0mmとしたこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<実施例4>立体編物の厚みを10mmとしたこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<比較例1>下材層を用いずに、表面材層と、配線布層と、中綿層の3層を積層一体化し、外縁部を縫合したこと以外実施例1
と全く同様にして電気カーペットを得た。
と全く同様にして電気カーペットを得た。
<比較例2>下材層として、厚さ5.0mm、目付400g/m2のポリエステル製ニードルパンチフェルトを用いたこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<比較例3>立体編物の厚みを1,5mmとしたこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<比較例4>立体編物の厚みを30mmとしたこと以外実施例1と全く同様にして電気カーペットを得た。
<表1>
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜4の電気カーペットは、圧縮率及び圧縮復元率ともに優れているし、形態安定性も良好で、人間工学的に心地良いとされる10mm程度の沈み込み感が得られた。また、省エネルギー性能にも優れていた。これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例のものは、いずれかの特性に劣っており、電気カーペットとして好適に利用できないのが判る。
1・・電気カーペット 2・・表面材層 3・・配線布層 4・・中綿層 5・・下材層6・・発熱線7・・配線ベース材8・・立体編物9・・表編地10・・裏編地11・・連結糸12・・断熱シート
Claims (3)
- 表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、前記下材層が立体編物からなり、前記中綿層の下面に配置され、前記4層が積層一体化されて、外縁部が縫合されていることを特徴とする電気カーペット。
- 表面材層と、配線布層と、中綿層、下材層からなる電気カーペットにおいて、下材層として断熱シートを前記立体編物の下側にさらに積層一体化して、前記表面材層と、配線布層と、中綿層と積層し、外縁部を縫合して一体化したことを特徴とする請求項1に記載の電気カーペット。
- 前記立体編物が表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成され、厚みが2.5〜25mmの立体編物であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気カーペット。
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JP2015014326A (ja) * | 2013-07-05 | 2015-01-22 | 大日本印刷株式会社 | 断熱部材および保冷保温用箱体 |
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