JP2010158821A - 耐加水分解性に優れる容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】レトルト処理環境下での耐加水分解性に優れるとともに、食品缶詰素材に求められる多くの特性を満足する容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板を提供する。
【解決手段】2層構造の樹脂層を少なくとも一方の面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、前記2層構造の樹脂層は以下の(A)および(B)を満たす。
(A)上層となる樹脂層は、付着量が0.1g/m2以上5.0g/m2以下のポリエステルを主成分とする樹脂層であり、イソシアネート化合物を含有し、該イソシアネート化合物中に含まれるNCO基のモル数がポリエステルに含まれるOH基のモル数の5.0倍以上20.0倍以下である。
(B)下層となる樹脂層は、残存配向度が5%以上30%以下のポリ乳酸を主成分とする樹脂層であり、前記ポリ乳酸はポリカルボジイミド化合物を0.01〜10mass%含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、食品缶詰の缶胴及び蓋等に用いられる容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板に関するものである。
従来、食缶に用いられる金属缶用素材であるティンフリースチール(TFS)、アルミニウム等の金属板には、耐食性・耐久性・耐候性などの向上を目的として、塗装が施されていた。しかし、この塗装を施す工程は、焼き付け処理が煩雑であるばかりでなく、多大な処理時間を要し、さらには多量の溶剤を排出するという問題を抱えていた。
そこで、これらの問題を解決するため、塗装鋼板に替わり、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積層してなるフィルムラミネート金属板が開発され、現在、食品缶詰用素材として工業的に用いられている。
食品缶詰用素材には、加工性、密着性などの基本特性のほか、2ピース缶用途であれば、深絞り成形性、加工・レトルト後密着性や耐食性、耐衝撃性など、多様な機能が求められる。そのため、熱可塑性樹脂フィルムとしては、力学特性や化学的安定性に優れるポリエステル系フィルムが広く使用されており、中でもポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートからなる二軸延伸ポリエステルフィルムが最も多く使用されている。
しかし、近年、石油資源の枯渇、プラスチック廃棄物の処理、地球温暖化などの深刻化に伴い、エネルギー・資源における極度の石油依存から脱却する方策が模索され始めた。とりわけ、有限の化石資源からバイオマスなどの再生可能資源への転換が図られようとしている。植物が光合成により大気中の二酸化炭素を同化してつくりあげたバイオマス資源を利用すれば、廃棄処理をしても大気中の二酸化炭素の負荷を与えることにはならない。この環境中の二酸化炭素を増やさない性質は、カーボンニュートラルと呼ばれている。
このような状況を受けて、ポリ乳酸は、とうもろこしや砂糖、大根などの植物由来の熱可塑性樹脂であり、一般に良好な機械特性、透明性、加工性を有するため、フィルム、シート、繊維、電子機器などの様々な分野での利用が期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸は、吸湿性が高く、耐加水分解性が低いという大きな欠点がある。ポリ乳酸の加水分解連鎖反応は、分子鎖末端のカルボキシル基が起点となって生じ、高温・多湿環境下で著しく進行し、それに起因して分子量、強度、弾性率などの力学特性が低下してしまう。そのため、食品缶詰の一般的な製造プロセスの一つである、レトルト殺菌処理には耐えることができない。高温(120℃以上)の水蒸気に曝されるレトルト環境下では、エステル結合部の加水分解反応が急進し、分子鎖が断裂してしまうためである。
この課題を解決するため、加水分解連鎖反応の起点である、分子鎖末端のカルボキシル基を封鎖する技術が検討されている。例えば、脂肪族アルコールとカルボキシル基の縮合反応によりポリ乳酸の末端カルボキシル基を封鎖する方法が、特許文献1及び2に提案されている。しかしながら、アルコールとカルボキシル基の脱水縮合反応では末端封鎖と同時に副生成物として水が生成してしまう。したがって、末端のカルボキシル基は封鎖されるものの、樹脂内に水分を残留させることとなるため、部分的なエステル結合の分解による外観の劣化や、力学特性の低下を招いてしまう。
特許文献3および4では、エポキシ、イソシアネートなどの付加反応型のカルボキシル基末端封鎖剤を使用するものが開示されている。これらの化合物は、カルボキシル基と付加反応する際に、副生成物を生じないというメリットを有するが、カルボキシル基だけでなく水酸基とも反応する。そのため、一部がポリ乳酸の水酸基末端の封鎖に取られ、カルボキシル基末端を封鎖する効率が悪くなる。そのため、添加量が必要以上に増え、当該技術の経済効果を低減させるばかりでなく、ゲル化を誘発しやすくなるため、製造安定性が損なわれる危険性がある。
特開平7-316273号公報 特開平9-21017号公報 特開2001-323056号公報 特開2002-30208号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、レトルト処理環境下での耐加水分解性に優れるとともに、食品缶詰素材に求められる多くの特性を満足する容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板を提供することを目的とする。
本発明者らが、課題解決のため鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
ポリ乳酸を主成分とする樹脂層にポリカルボジイミド化合物を特定の割合で添加して、かつ、前記樹脂層の残存配向度を制御する。そして、その上層には、ポリエステル樹脂層を形成する。さらに、前記上層となるポリエステル樹脂層はイソシアネート化合物を特定の割合で添加する。このような2層構造からなる樹脂層とすることで、優れた深絞り成形性、加工後密着性などの基本特性に加え、レトルト処理環境下での性能劣化が抑制可能な、容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板を得ることができる。
本発明は上記知見に基づくものであり、特徴は以下の通りである。
[1]2層構造の樹脂層を少なくとも一方の面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、前記2層構造の樹脂層は以下の(A)および(B)を満たすことを特徴とする耐加水分解性に優れる容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板。
(A)上層となる樹脂層は、付着量が0.1g/m2以上5.0g/m2以下のポリエステルを主成分とする樹脂層であり、イソシアネート化合物を含有し、該イソシアネート化合物中に含まれるNCO基のモル数がポリエステルに含まれるOH基のモル数の5.0倍以上20.0倍以下である。
(B)下層となる樹脂層は、残存配向度が5%以上30%以下のポリ乳酸を主成分とする樹脂層であり、前記ポリ乳酸はポリカルボジイミド化合物を0.01〜10mass%含有する。
本発明によれば、食品缶詰素材に要求される多くの特性に対応可能な、容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板が得られる。そして、エネルギー・資源における極度の石油依存から脱却する方策に合わせて、食品缶詰に要求される多くの機能を容易に付加できる新たな容器用ポリエステル樹脂被覆金属板として、産業上有益な発明となる。
金属板のラミネート装置の要部を示す図である。(実施例1) 樹脂被覆金属板の断面構造を示す図である。(実施例1)
以下、本発明の容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板について詳細に説明する。
(金属板)
まず、本発明で用いる金属板について説明する。
本発明の金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができる。特に、下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(以下、TFSと称す)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量については、特に限定されないが、加工後密着性、耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/mの範囲とすることが望ましい。
次いで、金属板に被覆する樹脂層について説明する。本発明の樹脂層は、2層構造の樹脂層であり、下層となる樹脂層は、残存配向度が5%以上30%以下のポリ乳酸を主成分とする樹脂層であり、前記ポリ乳酸はポリカルボジイミド化合物を0.01〜10mass%含有する。上層となる樹脂層は、付着量が0.1g/m2以上5.0g/m2以下のポリエステルを主成分とする樹脂層であり、イソシアネート化合物を含有し、該イソシアネート化合物中に含まれるNCO基のモル数がポリエステルに含まれるOH基のモル数の5.0倍以上20.0倍以下である。
まず、下層について、説明する。
(ポリ乳酸を主成分とする樹脂層)
本発明では、ポリ乳酸を主成分とする樹脂層を、2層構造の下層とし、金属板との密着層とする。なお、ポリ乳酸を主成分とするとは、ポリ乳酸を50mass%以上100mass%以下含む樹脂であり、ポリ乳酸以外の樹脂として、例えばポリオレフィンなどを、本発明で規定する機能を確保できる範囲内であれば添加しても構わない。
ポリ乳酸樹脂層の組成としては、L-乳酸及び/またはD-乳酸を主な構成成分とするポリマーであるが、他のエステル形成能を有する単量体成分と共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。例えば、L-乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、またはこれらのブレンド物、ジカルボン酸及びジオールをエステル反応させて得られたポリエステル成分を乳酸成分と共重合させたものが挙げられる。中でも好適なのは、L-乳酸を主たる構成成分とするポリ乳酸であり、製造安定性が高い。
また、ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と成形性のバランスが良く、好適である。
(ポリカルボジイミド化合物の添加)
本発明では、ポリカルボジイミド化合物をポリ乳酸に添加する。ポリカルボジイミド化合物としては、ジイソシアネート化合物を重合したものが好適に用いることができる。中でも、ジンクロヘキシルメタンカルボジイミドの重合体や、テトラメチルキシリレンカルボジイミドの重合体やその末端をエチレングリコール等で封鎖したものが望ましい。
ポリカルボジイミド化合物の添加量としては、ポリ乳酸樹脂全量に対して0.01〜10mass%であり、好ましくは0.05〜5mass%である。添加量が、0.01mass%未満であると、十分な加水分解抑制効果が得られず、レトルト環境下での分子鎖断裂を抑制できない。一方、10mass%超となると溶融粘度の低下が顕著となり、成形性の劣化を招く。
ポリカルボジイミド化合物の添加方法としては、ポリ乳酸樹脂の溶融混練時に、直接ポリカルボジイミド化合物を添加することが望ましい。例えば、ポリ乳酸の溶融部でポリカルボジイミドを添加したり、別々に溶融したポリカルボジイミド化合物とポリ乳酸を静止混練機にて混練する方法である。
(ポリ乳酸を主成分とする樹脂層の残存配向度)
本発明では、上記ポリカルボジイミド化合物をポリ乳酸に添加することに加え、ポリ乳酸を主成分とする樹脂層の残存配向度を、5%〜30%の範囲に制御することが重要である。なお、ここでいう残存配向度とは、X線回折法により求められた値であって、以下により定義されるものとする。
(1)ラミネート前の配向ポリ乳酸樹脂(もしくは配向ポリ乳酸フィルム)及びラミネート後の該樹脂(もしくは該フィルム)について、X線回折強度を2θ=5〜30°の範囲で測定する。
(2)2θ=5°、2θ=30°におけるX線回折強度を直線で結びベースラインとする。
(3)2θ=17°近辺にあらわれる最も高いピークの高さをベースラインより測定する。
(4)ラミネート前のフィルムの最も高いピークの高さをP1、ラミネート後のフィルムの最も高いピークをP2とした時、P2/P1×100を残存配向度(%)とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、残存配向度の上昇に伴い、ポリ乳酸樹脂内部に侵入する水蒸気量が低下することを見出した。残存配向度を5%以上とすることで、ポリ乳酸樹脂の内部に到達する水蒸気量が低減し、上記のポリカルボジイミド化合物の添加効果と併せ、レトルト殺菌処理環境下での加水分解連鎖反応を抑制することができる。残存配向度の上昇とともに、樹脂内に侵入する水蒸気量は更に減少傾向となり、耐加水分解性は良好となるが、一方で、樹脂の柔軟性・伸び特性は、低下する。残存配向度が30%超となると、製缶加工への追随が不十分となり、樹脂もしくはフィルムの剥離や素材の断裂が生じてしまう。以上より、ポリ乳酸を主成分とする樹脂層の残存配向度を、5%〜30%の範囲に制御することで、耐加水分解性と樹脂の成形性を両立可能となる。
次に、上層について、説明する。
(上層となる樹脂層)
本発明では、ポリ乳酸を主成分とする樹脂層の上層に、ポリエステルを主成分とする樹脂層を形成する。さらに、前記ポリエステルを主成分とする樹脂層にイソシアネート化合物を含有させることで、耐加水分解性を更に向上させることができる。以下、詳細に説明する。なお、ポリエステルを主成分とするとは、樹脂成分中にポリエステル樹脂を50mass%以上含む樹脂層であり、ポリエステル以外の樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂などを含むことができる。
(上層となるポリエステル樹脂層の組成・付着量)
上層となるポリエステル樹脂層の組成としては、カルボン酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコールよりなるポリエチレンテレフタレートに代表されるが、他のカルボン酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸等と、また他のグリコール成分としてジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等と成分を置き換えた共重合樹脂等も含まれる。酸成分として、テレフタル酸は、機械的強度、耐熱性、化学的耐性などから必須であるが、更に、イソフタル酸と共重合させることで、柔軟性、引き裂き強度などが向上する。イソフタル酸成分を、10.0mol%以上60.0mol%以下の範囲でテレフタル酸成分と共重合させることで、本提案に規定する熱物性の確保が容易になるとともに、深絞り成形性、加工後密着性を向上させるよう機能するため、好適である。グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオールなどの柔軟性に優れる低Tg(Tg=ガラス転移温度)成分と、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの環構造を有する剛直な高Tg成分とを共重合させることが望ましい。本発明で規定する熱物性の確保が容易であるとともに、強度と柔軟性をバランスできるためである。好適な例としては、酸成分がイソフタル酸10〜30mol%、テレフタル酸70〜90mol%で構成され、グリコール成分がエチレングリコール30〜50mol%、プロパンジオール50〜70mol%で構成されるポリエステル樹脂を挙げることができる。
前記上層となるポリエステル樹脂層の付着量は、0.1g/m2以上5.0g/m2以下の範囲に規定する。0.1g/m2未満では、下層の樹脂層表面を均一に被覆することができず、本発明に規定する効果が期待できない。一方、5.0g/m2超とすると、樹脂内部の残留応力が過大となり、樹脂層の強度が低下してしまう場合がある。その結果、製缶加工時に、樹脂層が破壊しやすく、そこを起点に缶胴部が断裂してしまうこととなる。よって、付着量は、0.1g/m2以上5.0g/m2以下の範囲、好ましくは、1.0g/m2以上2.0g/m2以下の範囲である。
前記上層となるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10000以上40000以下、望ましくは15000〜20000の範囲が好ましい。このような範囲の重量平均分子量を有するポリエステル樹脂は、加工性と強度のバランスに優れ、深絞り成形性及び成形加工後の密着性が良好となる。分子量10000以上とすることで樹脂の強度がアップし、深絞り成形時に樹脂が断裂することなく変形に追随する。その後のレトルト処理においても、上層に形成したフィルムの熱収縮に対抗して、トリム端等からのデラミを抑制することができる。また、製缶後の耐衝撃性についても、欠陥の発生を抑制し、良好な性能を得ることができるようになる。一方、分子量が40000超となると、樹脂の強度が過大となり、逆に柔軟性を損なうおそれがある。40000以下とすることで、強度と柔軟性のバランスを維持することができる。
さらに、上層となるポリエステル樹脂層は、ガラス転移点が30℃以上であり、樹脂層が非晶性樹脂からなる場合は軟化点が、結晶性樹脂からなる場合は融点が、130℃以上であるのが好ましい。樹脂被覆金属板が保管・運搬される際、20℃程度の温度で長時間保持される可能性があるため、ガラス転移点は、30℃以上であることが必要である。また、食缶用のレトルト殺菌処理は、120℃以上の高温で1時間以上に及ぶことがあり、十分な耐熱性を有することが求められるため、樹脂層が非晶性樹脂の場合は、JIS K2425に定める軟化点が130℃以上とする必要があり、樹脂層が結晶性樹脂の場合は、JIS K7121に定める融点が130℃以上である必要があり、150℃以上であれば更に好適である。
(上層中のイソシアネート化合物)
前記上層となるポリエステル樹脂層にイソシアネート化合物を添加する。上層となるポリエステル樹脂層に添加するイソシアネート化合物として、本発明では、ブロックフリーイソシアネートを適用する。ブロック化剤を用いないことで、フリーのイソシアネート基は、ポリエステル樹脂の末端の官能基や、基材であるポリエステルフィルムの表面の官能基と、速やかに反応することができる。これにより、熱融着ラミネート法などの、極めて短時間(1秒未満)の熱処理においても、イソシアネート架橋反応による高分子化が可能となる。
イソシアネート架橋による三次元ネットワークが形成されることで、ガス透過性や水蒸気透過性を大幅に低下させることができる。すなわち、該ポリエステル樹脂層を、ポリ乳酸を主成分とする樹脂層の上層に形成することで、レトルト殺菌処理における水蒸気の透過を、該ポリエステル樹脂層内部で遮断することができる。よって、ポリ乳酸樹脂層に到達する水蒸気量が大幅に低減することで、耐加水分解性の飛躍的向上が見込めるのである。また、該架橋構造は、樹脂の力学特性をも向上させるため、成形性についても大幅な向上が見込める。
適用するイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンイソシアネートなどが挙げられ、中でも、キシリレンイソシアネート化合物が、密着性、耐久性などの観点から、最も好適である。
ここで、ブロックフリーイソシアネート化合物中に含まれるNCO基(イソシアネート基)のモル数は、ポリエステル樹脂中のOH基のモル数の5.0倍以上とする。5.0倍未満のモル数であると、ポリエステル樹脂の末端官能基との架橋反応、もしくは下層であるポリ乳酸樹脂の表面官能基との架橋反応の、いずれかが不十分となり、水蒸気の透過を十分に抑制できず、ポリ乳酸樹脂の加水分解連鎖反応を制御できない。一方、NCO基のモル数の上限としては、ポリエステル樹脂中のOH基のモル数に対し、20.0倍以下とする。20.0倍を超える場合、ポリエステル樹脂層の加工性や耐水性が低下してしまう。そのため、製缶時に、ポリエステル樹脂層が破断して素材の断裂を招いたり、レトルト処理時等にフィルムが缶から剥離してしまうおそれがある。好ましくは、8.0倍以上15.0倍以下の範囲であり、加工性・密着性などの諸性能を、最適にバランスさせることができる。
(疎水性ポリマー)
上層となるポリエステル樹脂層の耐水性が向上すれば、水蒸気に対するバリア効果の安定性を高めることができる。耐水性の向上を図るためには、脂肪酸由来の疎水性ポリオール樹脂を5mass%以上20mass%以下の範囲で添加することが好ましい。疎水性ポリオール樹脂としては、ダイマー酸系ポリオール、ポリジエン系ポリオール、ポリイソプレン系ポリオール等が挙げられる。中でも、長鎖アルキル基の炭素数20〜50のものを適用することで、エステル結合部を水から遮蔽し、レトルト処理等の湿潤環境下におけるフィルム剥離を効果的に防止することができる。
疎水性ポリオール樹脂の添加量は5mass%以上20mass%以下であることが望ましい。5mass%未満では、十分な耐水性を得ることができず、20mass%超となると、ポリエステル樹脂の表面自由エネルギーが過度に低下するため、ポリエステルフィルム及び金属板との密着性が阻害されてしまう場合がある。5mass%以上20mass%以下の範囲に規定することで、耐水性及び密着性の両立が可能となる。更に好ましくは、7mass%以上15mass%以下の範囲である。
また、疎水性を阻害しない範囲で、ポリエステルポリオールを添加することも好適である。この場合、疎水性ポリオールとして、全ポリオール重量の50mass%以上の範囲が好適である。ポリエステルポリオールとしては、1、6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール成分と、マレイン酸、アジピン酸、オレイン酸、これらのダイマー酸等のエステル、を用いることができる。特に好ましくは、オレイン酸のダイマー酸を用いたポリエステルポリオールである。
(着色剤)
更に、下層となるポリ乳酸を主成分とする樹脂層もしくは上層のポリエステル樹脂層中に、染料、顔料などの着色剤を添加することで、下地の金属板を隠蔽し、樹脂独自の多様な色調を付与できる。例えば、黒色顔料として、カーボンブラックを添加することで、下地の金属色を隠蔽するとともに、黒色のもつ高級感を食品缶詰に付与することができる。カーボンブラックの添加量は、5mass%以上40mass%以下が望ましい。5mass%未満では黒色度が不十分であるとともに下地金属の色調が隠蔽できず、高級感のある意匠性を付与できない場合がある。一方、40mass%としても、黒色度は変化しないため意匠性の改善効果は得られないばかりか、ポリエステル樹脂の構造が脆弱となるため、製缶加工時に樹脂層が容易に破壊してしまう場合がある。添加量を5mass%以上40mass%以下の範囲とすることで、意匠性と他の要求特性との両立が可能となる。なお、着色剤を添加する層は、密着層であることが望ましい。中間層、最上層を形成するポリエステル樹脂層に保護されるため、製缶加工時などに生ずる加工疵による意匠性の劣化を、効果的に抑止できるためである。
カーボンブラックの粒子径としては、5〜50nmの範囲のものを使用できるが、ポリ乳酸もしくはポリエステル樹脂中での分散性や発色性を考慮すると、5〜30nmの範囲が好適である。
黒色顔料以外にも、白色顔料を添加することで下地の金属光沢を隠蔽するとともに、印刷面を鮮映化することができ、良好な外観を得ることができる。添加する顔料としては、容器成形後に優れた意匠性を発揮できることが必要であり、係る観点からは、二酸化チタンなどの無機系顔料を使用できる。着色力が強く、展延性にも富むため、容器成形後も良好な意匠性を確保できるので好適である。二酸化チタンの添加量は、対象樹脂層に対して、5〜30mass%であることが望ましい。5mass%以上であれば、充分な白色度が得られ、良好な意匠性が確保できる。一方、30mass%を超えて添加しても、白色度が飽和するため、経済上の理由で30mass%以下とすることが望ましい。より好ましくは、10〜20mass%の範囲である。なお、着色剤の添加量とは、着色剤を添加した樹脂層に対する割合である。
容器表面に光輝色を望む場合には、アゾ系顔料の使用も好適である。透明性に優れながら着色力が強く、展延性に富むため、容器成形後も光輝色のある外観が得られる。本発明で使用できるアゾ系顔料としては、カラーインデックス(C.I.登録の名称)が、ピグメントイエロー12、13、14、16、17、55、81、83、139、180、181のうちの少なくとも1種類を挙げることができる。特に、色調(光輝色)の鮮映性、レトルト殺菌処理環境での耐ブリーディング性(顔料がフィルム表面に析出する現象に対する抑制能)などの観点から、分子量が大きく、PET樹脂への溶解性が乏しい顔料が望ましい。例えば、分子利用が700以上の、ベンズイミダゾロン構造を有するC.I.ピグメントイエロー180がより好ましく用いられる。
アゾ系顔料の添加量は、対象樹脂層に対して、10〜40mass%とすることが望ましい。添加量が10mass%以上であれば、発色に優れるので好適である。40mass%以下の方が、透明度が高くなり光輝性に富んだ色調となる。
(ポリ乳酸系樹脂被覆金属板の製造方法)
次に上記の2層構造の樹脂層を少なくとも一方の面に有する容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板の製造方法について説明する。
本発明の容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板は、まず、前記上層となるポリエステル樹脂層を下層となるポリ乳酸フィルムの表面に形成する。次いで、複層構造となったポリ乳酸系樹脂フィルムを金属板表面にラミネートする。
(ポリ乳酸フィルムの製造方法)
ポリ乳酸フィルムは、ポリ-L-乳酸とポリ-D-乳酸を含むポリ乳酸系組成物を用いて押し出し成形して得られるフィルムあるいはシートを、好ましくは一方向に2倍以上、より好ましくは2〜12倍延伸することにより、耐熱性、透明性に優れる延伸フィルムが得られる。延伸倍率の上限は、特に限定されないが、通常、12倍を超えるとフィルムが破断したりして安定に延伸できない危険性がある。また、押し出し成形して得られるフィルムあるいはシートを、好ましくは縦方向に2倍以上、横方向に2倍以上、より好ましくは縦方向に2〜7倍及び横方向に2〜7倍、さらに好ましくは縦方向に2.5〜5倍及び横方向に2.5〜5倍延伸することにより、耐熱性、透明性に優れる延伸フィルム(二軸延伸フィルム)が得られる。延伸倍率の上限は、特に限定されないが、通常、7倍を超えるとフィルムが破断したりして安定に延伸できないおそれがある。本発明に関わるポリ乳酸系延伸フィルムは、延伸後、140〜220℃、より好ましくは150〜200℃で、1秒以上、より好ましくは3〜60秒熱処理を施すと、更に耐熱性が向上する。
(上層となるポリエステル樹脂層の形成方法)
上層となるポリエステル樹脂をフィルム表面に形成する方法について説明する。本発明で規定する樹脂組成を有するポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させコーティング液とする。次いで、作製したコーティング液を、ポリエステルフィルム製膜時もしくは製膜後に、フィルム表面に塗布し乾燥する。形成方法は特に限定しないが、前述した方法が、本発明の目的・用途に適合しているため好適である。
本発明に規定するポリエステル樹脂を溶解させるための有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン溶剤、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤などを挙げることができ、これらの1種以上を適宜選定して使用することができる。
また、本発明で規定するブロックフリーイソシアネート化合物や、長鎖アルキル基を側鎖に有する疎水性ポリオール樹脂、着色剤としてカーボンブラック、アゾ系顔料などの添加剤は、有機溶剤中に分散させて使用するのが望ましい。この際、分散剤を併用すると、添加剤の均一性が付与できるため、好適である。
コーティング液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、ロールコーター方式、ダイコーター方式、グラビア方式、グラビアオフセット方式、スプレー塗布方式など、既知の塗装手段が適用できるが、グラビアロールコート法が最も好適である。コーティング液塗布後の乾燥条件としては、80℃〜170℃で20〜180秒間、特に80℃〜120℃で60〜120秒間が好ましい。乾燥後のポリエステル樹脂層の付着量は、本発明に規定する0.1g/m2以上5.0g/m2以下の範囲が好ましい。
(金属板へのラミネート方法および残存配向度の調整方法)
本発明では、例えば、金属板を加熱装置(例えば、図1中、金属帯加熱装置2)にて一定温度以上に昇温し、その表面にポリ乳酸フィルムを圧着ロールを用いて接触させ熱融着させる方法を用いることができる。このとき、コーティングした面を圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて金属板に接触させ熱融着させることが必要である。なお、本発明で規定するポリ乳酸フィルムの残存配向度は、ラミネート条件を調整することで達成できる。
熱融着開始時の金属板の温度は、ポリ乳酸フィルムの融点を基準として、+5℃〜+20℃の範囲とする。熱融着法によって、金属板−ポリ乳酸フィルムの層間密着性を確保するためには、密着界面における樹脂の熱流動が必要である。金属板の温度を、ポリ乳酸フィルムの融点を基準として、+5℃以上の温度範囲とすることで、ポリ乳酸樹脂が熱流動し、界面における濡れが相互に良好となって、優れた密着性を得ることができる。よって、熱融着開始時の温度の下限は、ポリ乳酸フィルムの融点+5℃とする。
一方、熱融着開始時の温度を、+20℃以下としたのは、+20℃超としても、更なる密着性の改善効果が期待できないことと、フィルムの溶融が過度となり、ラミロール表面の型押しによる表面荒れなどの問題が生じる懸念があるためである。よって、熱融着開始時の温度の上限は、融点+20℃とする。
熱融着時、ポリ乳酸フィルムは、融点を超える温度で加熱されるため、少なからず溶融し、結晶構造が崩れ、配向度が低下する。したがって、ポリ乳酸フィルムが、熱融着時に金属板から与えられる熱量を調整することで、残存配向度を制御することができるのである。与えられる熱量が大きければ、ポリ乳酸フィルムが溶融するため、残存配向度が低下し、与えられる熱量が小さければ、ポリ乳酸フィルムの溶融が抑えられ、残存配向度が増加することになる。
ポリ乳酸フィルムの残存配向度を、30%以下とするためには、熱融着開始時の温度をポリ乳酸の融点+5℃とした場合、融着時間は、10msec以上、必要となる。
一方、残存配向度を5%以上とするためには、熱融着開始時の温度を、ポリ乳酸の融点+20℃とした場合、融着時間は30msec以下に制限する必要がある。
このようなラミネート条件を達成するためには、150mpm以上の高速操業に加え、熱融着中の冷却も必要である。例えば、図1中ラミネートロール3は内部水冷式であり、冷却水を通過させることで、フィルム及び各樹脂層が過度に加熱されるのを抑制することができる。更に、冷却水の温度を変化させることで、ポリ乳酸フィルム及び上層のポリエステル樹脂層の熱履歴をコントロールできるため、好適である。
ラミネートロールの加圧は、面圧として9.8〜294N/cm2(1〜30kgf/cm)が望ましい。9.8N/cm2未満の場合、たとえ熱融着開始時の温度がフィルムの融点+5℃以上であって、十分な流動性が確保できていたとしても、金属表面に樹脂を押し広げる力が弱いため十分な被覆性が得られず、結果として密着性、耐食性などの性能に影響を及ぼす可能性がある。また、294N/cm2超となると、ラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。よって、ラミネートロールの加圧は、好適には9.8〜294N/cm2である。
以下、本発明の実施例について説明する。
予備乾燥を行ったポリ乳酸系樹脂(テラマック(登録商標))と、ポリカルボジイミド化合物を表1、表2に示す割合で予備混合した後、二軸混練押し出し機に供給して、250℃で溶融混練した後、押し出しし、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸・熱固定して、二軸配向ポリ乳酸フィルムを得た。延伸倍率は、縦方向に4.5倍、横方向に4.5倍とした。
次いで、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂とイソシアネート化合物などの各種添加剤を、表1、表2に示す重量比にてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒中に溶解してコーティング液を作製した。このコーティング液を前記にて得られたポリ乳酸フィルムの上層に、グラビアロールコーターで用いて塗布・乾燥し、乾燥後の樹脂層の付着量を調整し、2層構造の樹脂層からなるフィルムを作成した。なお、表1から容器成形後に容器内面側になるフィルム4aを、表2から容器成形後に容器外面側になるフィルム4bを作製した。乾燥温度は、80〜120℃の範囲とした。
Figure 2010158821
Figure 2010158821
なお、金属板としては、クロムめっき鋼板を用いた。厚さ0.18mm、幅977mmの冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO 2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m、15mg/mに調整した。
次いで、図1に示す金属帯のラミネート装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板1を金属帯加熱装置2で加熱し、ラミネートロール3で前記クロムめっき鋼鈑1の一方の面に、容器成形後に容器内面側になるフィルムとして、表1から作製したフィルム4aをラミネート(熱融着)し、他方の面に、容器成形後に容器外面側となるフィルムとして、表2から作製したフィルム4bをラミネート(熱融着)した。
ラミネート開始温度は、フィルムの融点+5℃〜20℃の範囲とし、融着時間は10msec〜30msecの範囲とした。ポリ乳酸フィルムの残存配向度は、温度及び時間を変化させ、フィルムに与えられる熱量を増減させることで調整した。
その後、金属帯冷却装置5にて水冷を行い、ポリ乳酸系樹脂被覆金属板を製造した。図2に、ポリ乳酸系樹脂被覆金属板の断面構造を示す。
なお、ラミネートロール3は内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。
次いで、以上により得られたポリ乳酸系樹脂被覆金属板及び金属板上に有するポリ乳酸系樹脂層の特性について、下記の(1)〜(3)の方法によりそれぞれ測定、評価した。
(1)成形性
ポリ乳酸系樹脂被覆金属板にワックスを塗布後、直径200mmの円板を打ち抜き、絞り比2.00で浅絞り缶を得た。次いで、この絞り缶に対し、絞り比2.20で加工し、更に、絞り比2.50となるよう、再度、絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、缶の内外面のフィルムについて、損傷程度を目視観察した。
(評点について)
◎:内外面のフィルムのいずれも成形後フィルムに損傷が認められない状態
○:成形可能であるが、内外面のフィルムのいずれかに部分的にフィルム損傷が認められる状態
×:缶が破胴し、成形不可能
(2)耐加水分解性
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶を対象とした。レトルト殺菌処理を130℃、90分間の条件で実施し、その後、缶外面フィルムの損傷状態を目視にて観察した。
(評点にについて)
◎:フィルムに損傷も変色も認められない状態
○:損傷は認められないが、部分的にフィルムの変色(白化)が認められる状態
×:フィルムが加水分解し、断裂した部分が認められる状態
(3)加工後密着性
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶を対象とした。缶の内部に水道水を充填した後、蓋を巻き締めて密閉した。続いて、レトルト殺菌処理を130℃、90分間の条件で実施し、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/min.でピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。測定の対象としたフィルムは、缶内面フィルムである。
(評点)
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:5.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
×:5.0(N)/15(mm)未満
以上により得られた結果を表3に示す。
Figure 2010158821
表3より、本発明例は、容器用素材に要求される成形性、耐加水分解性、成形後密着性について、良好な性能を有することがわかる。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、いずれかの特性が劣っている。
本発明の容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板レトルト処理環境下での耐加水分解性に優れるとともに、食品缶詰素材に求められる多くの特性を満足するため、食品缶詰の缶胴及び蓋等を中心に、容器用途として好適な素材である。
1 金属板(クロムめっき鋼板)
2 金属帯加熱装置
3 ラミネートロール
4a、4b フィルム
5 金属帯冷却装置

Claims (1)

  1. 2層構造の樹脂層を少なくとも一方の面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、前記2層構造の樹脂層は以下の(A)および(B)を満たすことを特徴とする耐加水分解性に優れる容器用ポリ乳酸系樹脂被覆金属板。
    (A)上層となる樹脂層は、付着量が0.1g/m2以上5.0g/m2以下のポリエステルを主成分とする樹脂層であり、イソシアネート化合物を含有し、該イソシアネート化合物中に含まれるNCO基のモル数がポリエステルに含まれるOH基のモル数の5.0倍以上20.0倍以下である。
    (B)下層となる樹脂層は、残存配向度が5%以上30%以下のポリ乳酸を主成分とする樹脂層であり、前記ポリ乳酸はポリカルボジイミド化合物を0.01〜10mass%含有する。
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