JP2010144056A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】植物性材料を多量に含みながらも射出成形性を備え、効率よく製造することができる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本組成物は、植物性材料と、第1の熱可塑性樹脂と、第1の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂と、を含有し、植物性材料、第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、植物性材料は50〜95質量%であり、第1の熱可塑性樹脂は4〜49質量%であり、且つ第2の熱可塑性樹脂は1〜10質量%である。本方法は、混合室及び混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の混合室中で、第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂を混合羽根の回転により溶融させて、植物性材料と混合させる混合工程を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、植物性材料を50〜95質量%と多く含有する熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法に関する。
近年、ケナフ等の成長が早く、二酸化炭素吸収量が多い植物性材料は、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素の固定化等の観点から注目され、樹脂との複合用途で期待されている。
しかし、特に多量の植物性材料を樹脂に混合し、更には、得られた複合材料を成形するには大きな困難を伴う。これは複合材料に従来の樹脂と同等の十分な流動性を付与することが難しいからであると考えられる。多量の植物材料を含む複合材料を扱う技術としては下記特許文献1が知られている。
特開2007−326998号公報
上記特許文献1は、10質量%以上のリグニンを含む植物性材料を50〜95質量%含む植物性材料と水と熱可塑性樹脂とを混合して得られた材料が開示されている。この材料には多量の植物性材料を含有しつつも射出成形性が確保されており、尚かつ高い機械的特性を兼ね備えている点において優れているが、これらの特性を十分に維持しながら更なる混合時間の短縮が求められる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、植物性材料を多量に含みながらも射出成形性を備え、効率よく製造することができる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)植物性材料と、第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂と、を含有し、
上記植物性材料、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、該植物性材料は50〜95質量%であり、該第1の熱可塑性樹脂は4〜49質量%であり、且つ該第2の熱可塑性樹脂は1〜10質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(2)上記第2の熱可塑性樹脂の融点は、上記第1の熱可塑性樹脂の融点よりも20℃以上低い上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂は、共にポリオレフィンである上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)上記第1の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、且つ、上記第2の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンランダム共重合体である上記(3)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)上記植物性材料としてケナフ繊維を含む上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の該混合室中で、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂を該混合羽根の回転により溶融させて、上記植物性材料と混合させてなる上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法であって、
混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の該混合室中で、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂を該混合羽根の回転により溶融させて、上記植物性材料と混合させる混合工程を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(8)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする成形体。
(9)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、植物性材料が50〜95質量%と多く含有しながら射出成形性を有する熱可塑性樹脂組成物を従来に比べてより短時間で得ることができる。このため、製造効率がよく安価に植物性材料が50〜95質量%と多く含有されながら射出成形性を有する熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
第2の熱可塑性樹脂の融点が第1の熱可塑性樹脂の融点よりも20℃以上低い場合は、より効率よく短時間で混合できる熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂が、共にポリオレフィンである場合は、より高い流動性を発現させて優れた射出成形性を得ることができる。また、得られる成形体において優れた柔軟性も得ることができる。
第1の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、且つ、第2の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンランダム共重合体である場合は、より優れた混合時間の短縮効果が得られ、製造効率がよく安価な熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
植物性材料としてケナフ繊維を含む場合は、ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。
混合室及び混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の混合室中で、第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂を混合羽根の回転により溶融させて、植物性材料と混合させてなる場合には、とりわけ優れた混合時間の短縮効果が得られ、特に製造効率がよく安価な熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、植物性材料を50〜95質量%と多く配合しながら射出成形性を有する熱可塑性樹脂組成物を従来に比べてより短時間で得ることができる。このため、植物性材料が50〜95質量%と多く含有されながら射出成形性を有する熱可塑性樹脂組成物を製造効率がよく安価に得ることができる。
本発明の成形体によれば、前記熱可塑性樹脂組成物からなる機械的特性に優れた成形体とすることができる。
本発明の成形体の製造方法によれば、射出成形により機械的特性に優れた前記熱可塑性樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、植物性材料と、第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂と、を含有し、
上記植物性材料、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、該植物性材料は50〜95質量%であり、該第1の熱可塑性樹脂は4〜49質量%であり、且つ該第2の熱可塑性樹脂は1〜10質量%であることを特徴とする。
上記「植物性材料」は、植物に由来する材料である。この植物性材料としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などの各種植物体から得られた植物性材料が挙げられる。この植物性材料は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかではケナフが好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。
また、上記植物性材料として用いる植物体の部位は特に限定されず、非木質部、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、本発明におけるジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
上記植物性材料(混合前の植物性材料)の形状は特に限定されず、繊維状及び非繊維状の形態が挙げられる。このうち非繊維状としては、粉末状(粒状及び球状等を含む)、チップ状(板状及び薄片状等を含む)及び不定形状(粉砕物状等を含む)などの形態が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。形態が挙げられる。
上記のうち、繊維状の植物性材料(以下、単に「植物性繊維」ともいう)は、植物体から取り出された繊維であり、且つ繊維長Lに対する繊維径tの割合L/tが5.0〜20,000であるものをいう。この植物性繊維において、上記繊維長Lは、通常、0.5〜300mmであり、上記繊維径tは、通常、0.01〜1mmである。この繊維長は、JIS L1015における直接法と同様に、1本の植物性繊維を伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で測定した値(L)である。一方、繊維径は、繊維長を測定した当該植物性繊維について、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて測定した値(t)である。
更に、この植物性繊維の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は、30mm以下が好ましく、1〜20mmがより好ましく、3〜10mmが特に好ましい。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。
一方、上記平均繊維径は、0.2mm以下が好ましく、0.01〜0.15mmがより好ましく、0.01〜0.1mmが特に好ましい。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
また、上記のうち、非繊維状の植物性材料(以下、単に「非繊維状植物性材料」ともいう)は、植物体から取り出された上記繊維状には含まれない形態の植物性材料である。その大きさは特に限定されないが、例えば、最大長さ(粒状の場合は最大粒径)は20mm以下(通常0.1mm以上、更には0.3〜20mm、より更には0.3〜15mm、特に0.5〜10mm)とすることが好ましい。
更に、その形状が粉末状である場合には、平均粒径は5.0mm以下(通常0.1mm以上、更には0.2〜5.0mm、より更には0.3〜4.0mm、特に0.3〜3mm、とりわけ0.5〜2mm)とすることが好ましい。尚、平均粒径とは、粒度分布測定装置によって測定された粒度分布におけるD50の値である。
尚、本熱可塑性樹脂組成物では、上記混合前の植物性材料の形状及び大きさは、熱可塑性樹脂組成物内でそのまま維持されてもよく、維持されなくてもよい。維持されない場合としては、混合時に更に細かく粉砕されて熱可塑性樹脂組成物内に含まれる場合が挙げられる。また、植物性材料としてケナフを用いる場合、上記植物性繊維としてはケナフ繊維が挙げられ、上記非繊維状植物性材料としてはケナフコア粉末が挙げられる。
本熱可塑性樹脂組成物に含有される植物性材料は50〜95質量%である。この含有量は、通常、製造時に配合する植物性材料の配合量と同じである。この含有量は50〜90質量%が好ましく、52〜87質量%がより好ましく、54〜85質量%が更に好ましく、56〜83質量%が特に好ましい。
上記「第1の熱可塑性樹脂」(以下、単に「第1樹脂」ともいう)は、第2の熱可塑性樹脂に比べて融点が高い熱可塑性樹脂である。この第1樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂などが挙げられる。このうち、ポリオレフィンとしては、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記「第2の熱可塑性樹脂」(以下、単に「第2樹脂」ともいう)は、第1樹脂に比べて融点が低い熱可塑性樹脂である。この第2樹脂としては、前記第1樹脂として例示した各種熱可塑性樹脂をそのまま適用できる。前記に例示した熱可塑性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この第2樹脂が含まれることによって、本熱可塑性樹脂組成物の製造時に、植物性材料と熱可塑性樹脂との混合が短時間で進行されて、効率よく混合された熱可塑性樹脂組成物を低コストに得ることができる。
上記第2樹脂の融点は、上記第1樹脂の融点よりも低ければよいが、20℃以上(通常、50℃以下である)低いことが好ましい。第2樹脂の融点が20℃以上低いことによって、特に短時間での混合が可能となる。この温度差は、更に、23〜45℃がより好ましく、25〜40℃が更に好ましく、25〜32℃が特に好ましい。好ましい温度範囲の融点差においては、第1樹脂と第2樹脂とを併用することによる混合時間の短縮効果をより顕著に得ることができる。
更に、第1樹脂の融点は、145〜190℃が好ましく、150〜180℃がより好ましく、165〜170℃が更に好ましい。一方、第2樹脂の融点は、125〜150℃が好ましく、130〜145℃がより好ましく、130〜140℃が更に好ましい。
尚、本発明における融点とは、示差走査型熱量計(DSC)を用い、5.0mgの試料を200℃で3分間保持して完全溶融させた後、40℃まで10℃/分の速度で降温させ、次いで、10℃/分の速度で昇温させて融解させた際に測定される融解ピーク温度である。
更に、前記第1樹脂及び前記第2樹脂は、共にポリオレフィンであることが好ましい。ポリオレフィンは、植物性材料を高濃度に含む本熱可塑性樹脂組成物においても高い流動性を発現させて優れた射出成形性を得ることができる。また、高い柔軟性を付与できる。
本熱可塑性樹脂組成物においては、ポリオレフィンのなかでも、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、更には、エチレン・プロピレン共重合体がより好ましい。即ち、第1樹脂及び第2樹脂が共にエチレン・プロピレン共重合体であることが好ましい。更に、第1樹脂がプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、且つ、第2樹脂がプロピレン・エチレンランダム共重合体であることが好ましい。
なかでも、上記第1樹脂としてのプロピレン・エチレンブロック共重合体は、チーグラー型触媒を用いて得られたブロック共重合体が好ましく、更には、チーグラー型触媒を用いてプロピレン単独重合に次いでプロピレン及びエチレンのランダム共重合を行って得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体が特に好ましい。
この第1樹脂としてのプロピレン・エチレンブロック共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合(以下、単に「エチレン含有量」ともいう)は、このブロック共重合体全体を100質量%とした場合に、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%がより好ましく、7〜15質量%が更に好ましい。また、このブロック共重合体のMFR(JIS K−7210による230℃、2.16kg荷重)は、10〜50g/10分が好ましく、15〜45g/10分がより好ましく、20〜40g/10分であることが特に好ましい。
一方、上記第2樹脂としてのプロピレン・エチレンランダム共重合体は、メタロセン触媒を用いて得られたランダム共重合体が好ましく、更には、メタロセン触媒を用いてプロピレン及びエチレンのランダム共重合を行って得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体が特に好ましい。
この第2樹脂としてのプロピレン・エチレンランダム共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合は、このランダム共重合体全体を100質量%とした場合に、0.5〜12質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜9質量%が更に好ましい。また、このランダム共重合体の重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算)のMFR(JIS K−7210による230℃、21.18kg荷重)は、1〜30g/10分が好ましく、2〜19g/10分がより好ましく、3〜14g/10分であることが特に好ましい。
上記植物性材料、上記第1樹脂及び上記第2樹脂の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、植物性材料が50〜95質量%であり、第1樹脂が4〜49質量%であり、第2樹脂が1〜10質量%である。この範囲では、熱可塑性樹脂組成物全体に半分以上の割合で植物性材料を含有させながら、射出成形性を有する組成物を短時間で製造することができる。
更に、各成分の含有割合は、上記植物性材料は50〜90質量%が好ましく、50〜87質量%がより好ましい。また、第1樹脂は5〜48質量%が好ましく、8〜47質量%がより好ましく、第2樹脂は1〜9質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
また、本熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%とした場合に、通常、植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂は合計で90質量%以上(100質量%であってもよい)含有される。この含有量は90〜98質量%が好ましく、94〜98質量%がより好ましい。
本熱可塑性樹脂組成物には、植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含有できる。他の成分としては、酸変性熱可塑性樹脂が挙げられる。更に、各種帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられる。これらの他の成分は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
酸変性熱可塑性樹脂は、酸基を有する熱可塑性樹脂である。この酸変性熱可塑性樹脂としては、前記第1樹脂として挙げた熱可塑性樹脂に酸基を導入したものが挙げられる(尚、以下では酸基が導入されていない状態の樹脂を「ベース樹脂」ともいう)。
第1樹脂及び第2樹脂としてポリオレフィンが好ましいのと同様に、ベース樹脂としてもポリオレフィンが好ましい。即ち、酸変性ポリオレフィンが好ましい。更に、ポリオレフィンのなかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン及びエチレン・プロピレンランダム共重合体が好ましい。これらは1種のみで用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記酸基の種類は特に限定されないが、通常、無水カルボン酸残基(−CO−O−OC−)及び/又はカルボン酸残基(−COOH)である。この酸基は共重合段階で導入されたものであってもよく、グラフト導入されたものであってもよい。また、酸基はどのような化合物により導入されたものであってもよく、その化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、無水マレイン酸及び無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。即ち、酸変性熱可塑性樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
酸変性熱可塑性樹脂に導入される酸基の量は特に限定されないものの、酸価において5以上であることが好ましい。このような酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、酸変性熱可塑性樹脂の添加量を抑制しつつ高い添加効果を得ることができる。この酸価は、10〜80がより好ましく、15〜70が更に好ましく、20〜60が特に好ましい。尚、この酸価はJIS K0070によるものである。
更に、酸変性熱可塑性樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量において10,000〜200,000であることが好ましい。即ち、比較的分子量の小さい酸変性熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、酸変性熱可塑性樹脂の添加による熱可塑性樹脂組成物全体への性状変化を抑制しつつ、高い添加効果を得ることができる。更に、この範囲の酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、更に優れた耐衝撃性を発揮させることができる熱可塑性樹脂組成物を得られる。この重量平均分子量は、15,000〜150,000がより好ましく、25,000〜120,000が更に好ましく、35,000〜100,000が特に好ましい。尚、この重量平均分子量はGPC法を用いたポリスチレン換算によるものである。
上記酸変性熱可塑性樹脂を用いる場合、植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂の合計を100質量部とした場合に、酸変性熱可塑性樹脂は1〜10質量部を用いることが好ましく、1.5〜8.5質量部がより好ましく、2〜8質量部が更に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、どのようにして得られたものであってもよいが、混合室及び混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の混合室中で、第1樹脂及び第2樹脂を混合羽根の回転により溶融させて、植物性材料と混合させてなる熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。
上記混合溶融装置は、植物性材料と第1樹脂と第2樹脂とを混合溶融する装置であって、押出タイプのものを除いた装置である。この混合溶融装置は混合室及び混合室内に配置された混合羽根を備えていること以外は特に限定されないが特に下記混合溶融装置が好ましい。この混合溶融装置を用いた場合には、第2樹脂を含有することにより混合時間短縮効果を特に効果的に得ることができる。
この混合溶融装置{以下、図3、図4(図4は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図1を引用)及び図5(図5は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図2を引用)参照}としては、国際公開04/076044号パンフレットに記載の混合溶融装置1が好ましい。即ち、混合溶融装置1は、材料供給室13と、該材料供給室13に連接された混合室3と、該材料供給室13と該混合室3とを貫通して回転自在に設けられた回転軸5と、該材料供給室13内の該回転軸5に配設され且つ該材料供給室13に供給された混合材料(植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂)を該混合室3へ搬送するらせん状羽根12と、該混合室3内の該回転軸5に配設され且つ該混合材料を混合する混合羽根10a〜10fと、を備える混合溶融装置が好ましい。
上記混合溶融装置を用い、植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂を混合溶融装置1(材料供給室13)へ投入し、混合溶融装置1の混合羽根10a〜10fを回転させることで、植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂が共に、混合室3の内壁へ向かって押し付けるように打撃し且つ押し進められ、材料同士の衝突するエネルギー(熱量)により短時間で第1樹脂及び第2樹脂が軟化され、更には溶融され、植物性材料と混合され、更には混練される。また、得られる混合物には射出成形が可能な優れた流動性が発現される。
特に本発明の組成物では、第1樹脂と第2樹脂とを併用するために、併用しない場合に比べて混合時のトルク上昇に要する時間が軽減され、結果的に短時間で本組成物を得ることができる。上記混合溶融装置を用いて、植物性材料と熱可塑性樹脂とを混合する際に、混合羽根の軸に負荷されるトルクを計測すると、当初トルクの変動は少ないが、その後、急激にトルクが上昇し、ピークに達した後、トルクは下降する。これに対して、第1樹脂及び第2樹脂を併用した場合には、急激なトルクの上昇からピークに達するまでに要する時間の変動はほとんど無いのに対して、急激なトルクの上昇を生じるまでの時間が短縮されることが分かった。この結果、初期混合の時間が短縮されて、従来に比べてより短時間で本熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。このような急激なトルク上昇に至るまでの時間が短縮される理由は定かではないが、熱可塑性樹脂のうちの主成分をなす第1樹脂に対して、より低融点である第2樹脂を配合することで、混合初期に第2樹脂が優先して溶融されて流動を生じよりスムーズな混合を行うことができるものと考えることができる。
上記混合溶融装置の混合羽根10a〜10fは、上記回転軸5の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向すると共に、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で該回転軸5に配設された少なくとも2枚の混合羽根(10a〜10f)によって構成され、該混合羽根10a〜10fの該回転軸5に対する取付け角は、該回転軸5に取り付けられる該混合羽根10a〜10fの根元部から半径方向外方の先端部まで同一であることが好ましく、更には、上記混合羽根10a〜10fが矩形板状をなすことが好ましい。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性樹脂の分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
上記混合における各種条件は特に限定されないが、例えば、混合時の温度は特に限定されないが、混合室外壁の温度を200℃以下(より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下)に制御することが好ましく、更には、50℃以上(より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上)に制御することが好ましい。また、この温度は10分以内(より好ましくは5分以内)に到達させることが好ましい。短時間で高温にすることで急激に水分を蒸散させると共に上記混合を行うことができ、熱可塑性樹脂の劣化をより効果的に抑制できる。更に、上記温度範囲とするのも15分以内(より好ましくは10分以内)とすることが好ましい。
また、上記温度の制御は、混合溶融装置の混合羽根の回転速度を制御することによって行うことが好ましい。より具体的には、混合羽根の先端の回転速度を5m/秒〜50m/秒となるように制御することが好ましい。この範囲に制御することで、効率よく熱可塑性樹脂を軟化・溶融させつつ、植物性材料とより強力に(より均一に)混合することができる。
更に、この混合における終点は特に限定されないが、上記回転軸に負荷されるトルクの変化により決定できる。即ち、上記回転軸に負荷されるトルクを測定し、そのトルクが最大値(ピーク)となった後に混合を停止することが好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性樹脂とを分散性よく混合できる。更に上記トルクの最大値となった後にトルクが低下し始めてから混合を停止させることがより好ましい。特に最大トルクに対して40%以上(とりわけ好ましくは50〜80%)のトルク範囲で混合を停止することが特に好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性樹脂とをより分散性よく混合できると共に、混合室内部から混合物を160℃以上の温度で取り出すことができ、混合室内に熱可塑性樹脂組成物が付着して残存されることをより確実に防止できる。
[2]熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の該混合室中で、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂を該混合羽根の回転により溶融させて、上記植物性材料と混合させる混合工程を備えることを特徴とする。
上記「混合工程」は、混合溶融装置の混合室中で、第1樹脂及び第2樹脂を混合羽根の回転により溶融させて植物性材料と混合させる工程である。この工程における上記「混合溶融装置」、上記「第1の熱可塑性樹脂」、上記「第2の熱可塑性樹脂」、及び上記「植物性材料」は、いずれも前記本熱可塑性樹脂組成物の説明において述べた通りである。
本製造方法では、上記混合工程に以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程(図3参照)が挙げられる。前記本熱可塑性樹脂組成物は射出形成に供する際には、ペレット化されていることが取扱い上好ましい。
ペレット化は、どのように行ってもよい。例えば、混合溶融装置と、得られた熱可塑性樹脂組成物が除熱される前にペレット化(細分化)できるペレット化装置と、が一体的に設けられた装置を用いる場合には、混合とペレット化とを連続的に行ってペレットを得ることができる。また、上記のようなペレット化装置が併設されていない装置を用いる場合は、混合溶融装置からは、通常、塊状の熱可塑性樹脂組成物が得られるため、この塊状の熱可塑性樹脂組成物をペレット化することでペレットを得ることができる。
尚、塊状の熱可塑性樹脂組成物は、通常、ペレット化前に破砕を行う。破砕方法は特に限定されないが、従来公知の破砕機を用いて行うことができる。
上記後者の方法(混合溶融装置から塊状の熱可塑性樹脂組成物を得る場合)においては、混合工程の後に、混合工程で得られた混合物(ペレット化される前の熱可塑性樹脂組成物)を加熱せず押し固めてペレットを得るペレット化工程を備えることが好ましい(図3参照)。このように加熱せず押し固めてペレット化することで、例えば、混合工程で得られた熱可塑性樹脂組成物を再度溶融させて二軸押出し機等の一般的な方法を用いてペレット化を行う場合に比べて、熱可塑性樹脂組成物への熱履歴を低減できるために得られる成形体の機械的特性をより高く維持できる。
この加熱せず押し固めてペレット化するペレット化工程では、どのような装置及び手段を用いてもよいが、特に各種圧縮成形方法を用いることが好ましい。この圧縮成形方法としては、例えば、ローラー式成形方法及びエクストルーダ式成形方法などが挙げられる。ローラー式成形方法は、ローラー式成形機を用いる方法であり、ダイに接して回転されるローラーにより混合物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。ローラー式成形機には、ダイの形状が異なるディスクダイ式(ローラーディスクダイ式成形機)とリングダイ式(ローラーリングダイ式成形機)が挙げられる。一方、エクストルーダ式成形方法は、エクストルーダ式成形機を用いる方法であり、スクリューオーガの回転により混合物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。これらの圧縮成形方法のなかでは、特にローラーディスクダイ式成形方法を用いる方法が好ましい。この圧縮成形方法で用いられるローラーディスクダイ式成形機は圧縮効率が高く特に好適である。
更に、本方法では下記特定のローラーディスクダイ式成形機500(図3及び主要部を図6に例示)を用いてペレット化することが特に好ましい。即ち、複数の貫通孔511が穿設されたディスクダイ51と、該ディスクダイ51上で転動されて該貫通孔511内に非圧縮物(混合物)を押し込むプレスローラ52と、該プレスローラ52を駆動する主回転軸53と、を備え、上記ディスクダイ51は、上記貫通孔511と同方向に貫通された主回転軸挿通孔512を有し、上記主回転軸53は、上記主回転軸挿通孔512に挿通され且つ該主回転軸53に垂直に設けられたプレスローラ固定軸54を有し、上記プレスローラ52は、上記プレスローラ固定軸54に回転可能に軸支されて上記主回転軸53の回転に伴って上記ディスクダイ51表面で転動されるローラーディスクダイ式成形部50を有するローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)500である。
このローラーディスクダイ式成形機500では、上記構成に加えて更に、上記プレスローラ52は表面に凹凸521を備えるものであることが好ましい。また、主回転軸53の回転に伴って回転される切断用ブレード55を備えることが好ましい。
上記ローラーディスクダイ式成形機500では、例えば、図6においては、主回転軸53の上方から投入された混合物をプレスローラ52が備える表面凹凸521が捉えて貫通孔511内に押し込み、ディスクダイ51の裏面側から押し出される。押し出された紐状の混合物は、切断用ブレード55により適宜の長さに切断されてペレット化され、下方に落下されて回収される。
ペレット化された熱可塑性樹脂組成物の形状及び大きさは特に限定されないが、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その最大長さは1mm以上(通常20mm以下)とすることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
本方法では、上記混合工程及び上記ペレット工程以外に他の工程を備えることができる。他の工程としては、混合工程前に用いる植物性材料を押し固めて原料ペレットを調製する工程が挙げられる。この原料ペレット作製工程においても上記ペレット化工程と同様に上記ローラーディスクダイ式成形機500を用いることができる。原料ペレット作製工程を備えることで、植物性材料と熱可塑性樹脂との間の比重差を小さくでき、作業性が向上され、混合の際の材料の偏在も抑制でき、植物性材料と熱可塑性樹脂とが相互に均一に分散された熱可塑性樹脂組成物を得ることができ、得られる成形体にも高い機械的強度を付与できる。
[3]成形体
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする。即ち、本成形体は、植物性材料と第1樹脂と第2樹脂とを含有し、植物性材料、第1樹脂及び第2の樹脂の合計を100質量%とした場合に、植物性材料は50〜95質量%であり、第1樹脂は4〜49質量%であり、第2樹脂は1〜10質量%である。各成分については前述の通りである。また、この成形体の成形方法は特に限定されないが、射出成形が特に好ましい。
本発明の成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体としては、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
[4]成形体の製造方法
本発明の成形体の製造方法は、前記本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする。
上記熱可塑性樹脂組成物は、植物性材料を多く含有しつつも、優れた流動性が発現される。このため、成形サイクルが短縮されて、成形効率を向上させることができる。射出成形における各種成形条件及び使用する装置等は特に限定されず、目的とする成形体及び性状、使用されている熱可塑性樹脂の種類等により適宜のものとすることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
[1]熱可塑性樹脂組成物の製造
(1)実施例1〜9、比較例1〜4
下記に示す各植物性材料、第1樹脂及び第2樹脂を、表1に示す組合せ及び配合量で用い、混合溶融装置1(株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製、WO2004−076044号に示された器機)の材料供給室(図4の13)に投入(植物性材料と第1樹脂と第2樹脂とで合計600g)した後、混合室(容量5L、図4の3)内で混合した。この混合に際して混合羽根(図3の10及び図5の10a〜10f)は回転速度1750rpmで回転させた。そして、混合羽根にかかる負荷(トルク)が上昇し、最大値に達して(100%を超えて)6秒後を終点として混合を停止して、得られた混合物を混合溶融装置から排出した。そして、この混合において、上記装置1の混合羽根が回転開始したときから上記トルクが最大値に達したのち6秒後までの時間を混合時間として表1に示した。
その後、得られた混合物を破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)を用いて5.0mm程度に破砕した後、ローラーディスクダイ式成形機500{株式会社菊川鉄工所製、形式「KP280」、貫通孔径(図6の511)4.2mm且つ厚さ25mmのダイ}に、フィダー周波数20Hzで投入し、各混合物を直径約4mm且つ長さ約5mmの円柱状のペレットにした。その後、得られたペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させて、実施例1〜9及び比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物を得た。
Figure 2010144056
尚、PE1とPE21との融点差は28℃(>20℃)であり、PE1とPE22との融点差は16℃(<20℃)である。
[植物性材料]
「ケナフ繊維」;ケナフ繊維(ケナフ繊維裁断物のうち、JIS Z8801による目開き7.0mm円孔板篩の篩下且つ目開き5.0mm円孔板篩の篩上の回収物)
[第1の熱可塑性樹脂]
「PE1」;プロピレン・エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ株式会社製、品名「NBC03HR」、融点163℃、MFR30g/10分、チーグラー型触媒による重合)
[第2の熱可塑性樹脂]
「PE21」;プロピレン・エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製、品名「WFW4」、融点135℃、MFR7g/10分、メタロセン触媒による重合)
「PE22」;プロピレン・エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製、品名「MG03B」、融点147℃、MFR30g/10分、メタロセン触媒による重合)
[2]成形体の製造
上記[1]で得られた実施例1〜9及び比較例1〜4の各熱可塑性樹脂組成物を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型温度40℃の条件で、各種試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を成形した。
[3]成形体の評価
上記[2]で得られた実施例1〜9及び比較例1〜4の成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率を測定(JIS K7171に準拠)した。この測定に際しては、含水率約10%の状態における上記各試験片を用いた。そして、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行って各特性の測定を行った。この結果を表1に併記した。
更に、表1の結果から、第2樹脂の含有量と混合時間との相関を図1に、植物性材料の含有量と混合時間との相関を図2に、各々グラフにして示した。
[4]実施例の効果
表1及び図1の結果より、第2樹脂を配合することで混合時間を顕著に短縮できることが分かる。また、得られる熱可塑性樹脂組成物は射出成形性を有し、射出成形性により得られた成形体は優れた機械的特性を有している。特に第2樹脂を含有しない各比較例に比べて、熱可塑性樹脂組成物を得る際の混合時間は短縮されながら、得られた成形体の機械的特性は高度に維持されていることが分かる。また、実施例1〜5の条件下で、第2樹脂は10質量%程度の含有で混合時間短縮効果が飽和され得ることが分かる。
表1及び図2の結果より、第2樹脂を配合することで短縮される混合時間は植物性材料の含有量が少ない程、効果が顕著に表れることが分かる。特に植物性材料の含有量が50〜70質量%の間では高い効果が得られていることが分かる。
また、表1の実施例3と実施例9とを比較すると、各々同量の第2の熱可塑性樹脂を配合しており、曲げ強度及び曲げ弾性率はほぼ同等の値であるのの、実施例3は実施例9よりも混合時間が21%も短い結果となっている。この違いは、実施例3で使用した第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との融点差が20℃以上であるのに対して、実施例9では20℃以下であることと考えられ、このことから融点差が20℃以上であれば混合時間をより顕著に短縮できることが分かる。
本発明の熱可塑性組成物及びその製造方法並びに成形体及びその製造方法は、自動車関連分野及び建築関連分野などにおいて広く利用される。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に好適であり、なかでも自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等に好適である。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材にも好適である。具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等としても好適である。
第2の熱可塑性樹脂と混合時間との相関を示すグラフである。 植物性材料の含有量と混合時間との相関を示すグラフである。 本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を説明する模式的な説明図である。 混合溶融装置の一例を示す模式的な断面図である。 混合溶融装置に配設された混合羽根の一例を示す模式的な側面図である。 ローラーディスクダイ式成形機の要部の一例を示す模式的な斜視図である。
符号の説明
1;混合溶融装置、3;混合室、5;回転軸、10及び10a〜10f;混合羽根、12;らせん状羽根、13;材料供給室、500;ローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)、50;ローラーディスクダイ式成形部(ペレット化部)、51;ディスクダイ、511;貫通孔、512;主回転軸挿通孔、52;プレスローラ、521;凹凸部、53;主回転軸、54;プレスローラ固定軸、55;切断用ブレード。

Claims (9)

  1. 植物性材料と、第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂と、を含有し、
    上記植物性材料、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、該植物性材料は50〜95質量%であり、該第1の熱可塑性樹脂は4〜49質量%であり、且つ該第2の熱可塑性樹脂は1〜10質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記第2の熱可塑性樹脂の融点は、上記第1の熱可塑性樹脂の融点よりも20℃以上低い請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂は、共にポリオレフィンである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記第1の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、且つ、上記第2の熱可塑性樹脂はプロピレン・エチレンランダム共重合体である請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記植物性材料としてケナフ繊維を含む請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の該混合室中で、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂を該混合羽根の回転により溶融させて、上記植物性材料と混合させてなる請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂の製造方法であって、
    混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備えた混合溶融装置の該混合室中で、上記第1の熱可塑性樹脂及び上記第2の熱可塑性樹脂を該混合羽根の回転により溶融させて、上記植物性材料と混合させる混合工程を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする成形体。
  9. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
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