JP2009073941A - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法及び熱可塑性樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物性材料を50質量%以上含有しながら射出成形が可能であり、比重が小さい熱可塑性樹脂成形体を得る製造方法及び熱可塑性樹脂成形体を提供する。
【解決手段】第1植物性材料101(ケナフコアなど)と第2植物性材料102(ケナフコアなど)と熱可塑性樹脂103(ポリ乳酸樹脂など)と用いた熱可塑性樹脂成形体104の製造方法であって、第1植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、第1植物性材料は50〜70質量%であり、第2植物性材料は、粒状であり且つ第1植物性材料より大きく、第1植物性材料及び熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、熱可塑性樹脂組成物及び第2植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備える。本成形体は、本方法に製造される。
【選択図】図1
【解決手段】第1植物性材料101(ケナフコアなど)と第2植物性材料102(ケナフコアなど)と熱可塑性樹脂103(ポリ乳酸樹脂など)と用いた熱可塑性樹脂成形体104の製造方法であって、第1植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、第1植物性材料は50〜70質量%であり、第2植物性材料は、粒状であり且つ第1植物性材料より大きく、第1植物性材料及び熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、熱可塑性樹脂組成物及び第2植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備える。本成形体は、本方法に製造される。
【選択図】図1
Description
本発明は熱可塑性樹脂成形体の製造方法及び熱可塑性樹脂成形体に関する。更に詳しくは、植物性材料と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法に関する。
近年、二酸化炭素排出量削減や環境保護等の観点から植物等の天然資源を用いた材料及びその技術が注目されている。特に、石油等の鉱物資源を用いた樹脂から生物資源を用いた樹脂へと転換する試みや、鉱物資源から得られた樹脂に生物資源から得られた補強剤等を混合して鉱物資源の使用量を削減する試み等がなされている。
これらのなかで、樹脂に植物性材料を含有させた材料を射出成形できる技術が求められている。射出成形では得られる成形品の形状自由度が高く、生産効率がよい反面、使用できる樹脂材料には高い流動性が求められる。しかし、植物性材料を含む樹脂材料では、植物性材料の配合量が多いほど流動性が低下し、射出成形性が劣ることとなる。これに関連して下記特許文献1及び下記特許文献2に開示された技術が知られている。
これらのなかで、樹脂に植物性材料を含有させた材料を射出成形できる技術が求められている。射出成形では得られる成形品の形状自由度が高く、生産効率がよい反面、使用できる樹脂材料には高い流動性が求められる。しかし、植物性材料を含む樹脂材料では、植物性材料の配合量が多いほど流動性が低下し、射出成形性が劣ることとなる。これに関連して下記特許文献1及び下記特許文献2に開示された技術が知られている。
上記特許文献1では、植物性材料であるケナフ繊維が50質量%を超えると、樹脂組成物の流動性が著しく低下して射出成形性において満足する製品形状や製品形態が得られないことが示されている。
また、上記特許文献2では、植物性材料である植物繊維を50質量%以上含有させた樹脂にロジンや可塑剤を加えず、植物繊維のみを配合した場合には植物繊維が均一に分散され難く、樹脂と植物繊維の間の親和性が悪いことなどから、強度等に劣り、又品質の均一性にも欠け、実用性に乏しい材料しか得られないことが示されている。
更に、加えて植物性材料を多量に含有する樹脂材料を射出成形できたとしても、植物性材料の含有量が多い樹脂材料の比重は、植物性材料の含有量が多いほど、植物性材料の真比重と考えられる比重1.5(植物の細胞壁の密度と考えられ、種類によらず一定である)へと近づき、得られる成形体が重くなってしまうという問題がある。このため、植物性材料を50質量%以上と多量に含む樹脂材料であっても射出成形でき、更には、より比重の小さい成形体が得られる技術が求められている。
また、上記特許文献2では、植物性材料である植物繊維を50質量%以上含有させた樹脂にロジンや可塑剤を加えず、植物繊維のみを配合した場合には植物繊維が均一に分散され難く、樹脂と植物繊維の間の親和性が悪いことなどから、強度等に劣り、又品質の均一性にも欠け、実用性に乏しい材料しか得られないことが示されている。
更に、加えて植物性材料を多量に含有する樹脂材料を射出成形できたとしても、植物性材料の含有量が多い樹脂材料の比重は、植物性材料の含有量が多いほど、植物性材料の真比重と考えられる比重1.5(植物の細胞壁の密度と考えられ、種類によらず一定である)へと近づき、得られる成形体が重くなってしまうという問題がある。このため、植物性材料を50質量%以上と多量に含む樹脂材料であっても射出成形でき、更には、より比重の小さい成形体が得られる技術が求められている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂に植物性材料を50質量%以上の高い割合で含有させながら、射出成形により成形体を得ることができ且つ比重がより小さい熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、植物性材料と熱可塑性樹脂とを含む複合材料を検討する過程で、植物性材料をより細かく均一に熱可塑性樹脂と混合することで、組成物全体の50質量%以上となる多量の植物性材料を配合でき、尚かつ、得られる組成物では射出成形可能な優れた流動性が発揮されることを知見した。しかし、高い流動性が得られる組成物では比重が大きくなり、例えば、汎用樹脂よりも重い組成物となってしまう場合があることが分かった。これは、植物性材料が非常に細かく均一に分散されているために、例えば、植物性材料の内部にまで熱可塑性樹脂が浸透する等して、比重が大きくなっているものと考えられた。このため、配合する全植物性材料の一部を熱可塑性樹脂が浸透され難い、即ち、同体積を配合するのにより表面積を小さくできる形態の植物性材料に換え、更には、この様な形態の植物性材料を混合工程の後に配合することで比重を効果的に小さくできることを見出した。また、混合工程において高い流動性を得ることで、その後の成形工程で上記形態の植物性材料を配合したとしても射出成形は可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第2の植物性材料は、粒状であり且つ上記第1の植物性材料よりも大きく、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(2)上記成形工程では、上記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に、上記第2の植物性材料を5〜20質量部用いる上記(1)に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(3)上記第2の植物性材料は、粒径2〜10mmである上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(4)上記第1の植物性材料は、粒径0.1〜1.5mmの粒状、及び/又は、長さ0.1〜5mmの繊維状である上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(5)上記第1の植物性材料及び上記第2の植物性材料は、共にケナフコアである上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(6)上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はポリ乳酸である上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(7)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体。
(1)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第2の植物性材料は、粒状であり且つ上記第1の植物性材料よりも大きく、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(2)上記成形工程では、上記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に、上記第2の植物性材料を5〜20質量部用いる上記(1)に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(3)上記第2の植物性材料は、粒径2〜10mmである上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(4)上記第1の植物性材料は、粒径0.1〜1.5mmの粒状、及び/又は、長さ0.1〜5mmの繊維状である上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(5)上記第1の植物性材料及び上記第2の植物性材料は、共にケナフコアである上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(6)上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はポリ乳酸である上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(7)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体。
本発明の熱可塑性樹脂成形体(以下、単に「成形体」ともいう)の製造方法によれば、熱可塑性樹脂に植物性材料を50質量%以上の高い割合で含有させながら、射出成形により成形体を得ることができる。また、成形体の軽量化が図れる。即ち、植物性材料を2種類に分けて異なる工程(混合工程及び成形工程)で配合することで、1工程(混合工程)のみで植物性材料を配合した場合に比べて比重が小さい成形体を得ることができる。更に、植物性材料の配合に2工程(混合工程及び成形工程)を要するものの、従来と同様の必須の工程(混合工程及び成形工程)を要するのみであり、工程数を増やすことなくより優れた成形体を得ることができる。
成形工程で熱可塑性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に第2の植物性材料を5〜20質量部用いる場合は、より効果的に比重を小さくすることができる。
第2の植物性材料が粒径2〜10mmである場合は、より効果的に比重を小さくすることができる。
第1の植物性材料が粒径0.1〜1.5mmの粒状、及び/又は、長さ0.1〜5mmの繊維状である場合は、より優れた機械的特性を有する成形体が得られる。
第1の植物性材料及び第2の植物性材料が共にケナフコアである場合は、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するケナフを多量に用いることができ、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。特にこれまで使用が困難であったケナフのコアを多量に用いることができるために上記有効利用等により大きく貢献できる。
熱可塑性樹脂がポリプロピレン及び/又はポリ乳酸である場合は、優れた環境特性を備える熱可塑性樹脂成形体が得られる。特に、ポリプロピレンにおいてはポリプロピレンが有する優れた低環境負荷性及び優れた軽量特性を、ポリ乳酸においてはポリ乳酸が有する生合成できる非石油系樹脂であるという特性を、各々活かした成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体によれば、熱可塑性樹脂に植物性材料を50質量%以上と高い割合で含有しながら、射出成形により形状自由度が高い成形体とすることができる。更に、比重が小さい、より軽量な成形体とすることができる。
成形工程で熱可塑性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に第2の植物性材料を5〜20質量部用いる場合は、より効果的に比重を小さくすることができる。
第2の植物性材料が粒径2〜10mmである場合は、より効果的に比重を小さくすることができる。
第1の植物性材料が粒径0.1〜1.5mmの粒状、及び/又は、長さ0.1〜5mmの繊維状である場合は、より優れた機械的特性を有する成形体が得られる。
第1の植物性材料及び第2の植物性材料が共にケナフコアである場合は、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するケナフを多量に用いることができ、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。特にこれまで使用が困難であったケナフのコアを多量に用いることができるために上記有効利用等により大きく貢献できる。
熱可塑性樹脂がポリプロピレン及び/又はポリ乳酸である場合は、優れた環境特性を備える熱可塑性樹脂成形体が得られる。特に、ポリプロピレンにおいてはポリプロピレンが有する優れた低環境負荷性及び優れた軽量特性を、ポリ乳酸においてはポリ乳酸が有する生合成できる非石油系樹脂であるという特性を、各々活かした成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体によれば、熱可塑性樹脂に植物性材料を50質量%以上と高い割合で含有しながら、射出成形により形状自由度が高い成形体とすることができる。更に、比重が小さい、より軽量な成形体とすることができる。
[1]熱可塑性樹脂成形体の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第2の植物性材料は、粒状であり且つ上記第1の植物性材料よりも大きく、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第2の植物性材料は、粒状であり且つ上記第1の植物性材料よりも大きく、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする。
本方法で用いる上記「第1の植物性材料」(以下、単に「第1植物性材料」ともいう)及び上記「第2の植物性材料」(以下、単に「第2植物性材料」ともいう)は、いずれも植物性材料(以下、第1植物性材料及び第2植物性材料を併せていう場合には単に「植物性材料」ともいう)である。また、第2植物性材料は第1植物性材料よりも大きい材料(即ち、第1植物性材料は第2植物性材料よりも小さい材料)である。
上記植物性材料は、植物に由来する材料である。植物は、草類であってもよく、木類であってもよく、その他の植物であってもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。この植物としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、植物性材料として用いる植物の部位は特に限定されず、木質部、非木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定の部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キュウバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、本発明におけるジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キュウバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、本発明におけるジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
第1植物性材料の形状は限定されない。第1植物性材料の形状としては、例えば、粒状(下記第2植物性材料における粒状と同様)、繊維状{長さL/直径R(円形でない場合は最大長さ)が10以上となる形状}等とすることができる。また、これらのなかでも粒状及び繊維状が好ましい。また、植物性材料の有効活用の目的(例えば、ケナフにおいては靭皮繊維だけでなくコアを使用でき、より多くの部位を有効活用できる)においては粒状(粒状のケナフコアなど)の第1植物性材料がより好ましい。一方、得られる成形体の機械的特性(曲げ弾性率及び耐衝撃性等)を特に大きくする目的においては繊維状(例えば、ケナフの靭皮繊維など)の第1植物性材料がより好ましい。更に、併用することでこれら両方の効果を得ることができる。
また、第1植物性材料の大きさは第2の植物性材料との上記関係以外特に限定されないが、粒状である場合には粒径2mm未満(通常0.1mm以上、より好ましくは0.1〜1.5mm、更に好ましくは0.1〜1.0mm)が好ましい。一方、繊維状である場合には長さ5mm以下(通常0.1mm以上、より好ましくは0.1〜3mm、更に好ましくは0.3〜0.5mm)が好ましい。
第1植物性材料として、2mm未満の粒状物及び/又は長さ5mm以下の繊維状物を用いることで、混合時間を短縮しながら、優れた機械的特性(曲げ弾性率、曲げ強さ、硬さ、引張り強さ、耐衝撃性等を含む、以下同様)を有する成形体を得ることができる。
第1植物性材料として、2mm未満の粒状物及び/又は長さ5mm以下の繊維状物を用いることで、混合時間を短縮しながら、優れた機械的特性(曲げ弾性率、曲げ強さ、硬さ、引張り強さ、耐衝撃性等を含む、以下同様)を有する成形体を得ることができる。
尚、第1植物性材料が粒状である場合の粒径は、後述する実施例における測定法(JIS Z8801に準拠)を用いて得られる。従って、本発明において粒状の第1植物性材料の粒径が「X〜Ymm」であるとは、目開きXmmの円孔板篩を通過せず且つ目開きYmmの円孔板篩を通過するものを意味する。一方、第1植物性材料が繊維状である場合の長さは、JIS L1015に準拠し、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値として得られる。
更に、本発明における植物性材料の「質量」は、平衡水分率(10%)における値であるとする。
更に、本発明における植物性材料の「質量」は、平衡水分率(10%)における値であるとする。
上記第2植物性材料の形状は粒状である。粒状とは、球状、立方体状、ブロック状、直方体状、柱状及び不定形塊状等を含む形状であるが、繊維状{長さL/直径R(円形でない場合は最大長さ)が10以上となる形状}は含まない。これらの形状のなかでは、球状、立方体状、ブロック状、直方体状及び不定形塊状がより好ましい。第2植物性材料が粒状であることで、第2植物性材料の体積あたりの表面積の割合をより小さくすることができ、成形体の比重をより小さくすることができる。これは熱可塑性樹脂が溶融された状態で第2植物性材料と接触したとしても、熱可塑性樹脂が第2植物性材料の内部へ浸透されることが抑制されるためであると考えられる。また、第2植物性材料として粒状のものを使用することで、植物性材料を有効活用できる。更に、第2植物性材料としてはケナフコアが特に好ましい。ケナフコアは比重が非常に小さく(約0.1程度)、得られる成形体の比重を小さくする効果に優れている。加えて、ケナフにおいては繊維化できないコアを使用することができ、従来使用し難かった部位(ケナフコア)を積極的に活用することができる。
また、第2植物性材料の粒径は特に限定されないが、粒径2mm以上(通常15mm以下、より好ましくは2〜10mm、更に好ましくは3〜9mm、特に好ましくは3〜8mm、とりわけ好ましくは3.5〜7mm)が好ましい。
第2植物性材料として、粒径2mm以上の粒状物を用いることで、得られる成形体の比重をより効果的に小さくできる。また、この粒径が2〜10mmであることにより比重を小さくできる効果を十分に得ながら、優れた機械的特性が維持された成形体を得ることができる。
尚、粒状である第2植物性材料の粒径は、後述する実施例における測定法(JIS Z8801に準拠)を用いて得られる。従って、本発明において第2植物性材料の大きさが「X〜Ymm」であるとは、目開きXmmの円孔板篩を通過せず且つ目開きYmmの円孔板篩を通過するものを意味する。
第2植物性材料として、粒径2mm以上の粒状物を用いることで、得られる成形体の比重をより効果的に小さくできる。また、この粒径が2〜10mmであることにより比重を小さくできる効果を十分に得ながら、優れた機械的特性が維持された成形体を得ることができる。
尚、粒状である第2植物性材料の粒径は、後述する実施例における測定法(JIS Z8801に準拠)を用いて得られる。従って、本発明において第2植物性材料の大きさが「X〜Ymm」であるとは、目開きXmmの円孔板篩を通過せず且つ目開きYmmの円孔板篩を通過するものを意味する。
上記のことから本方法には下記(1)及び(2)の方法が含まれる。
(1)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第1の植物性材料は、粒径2mm未満の粒状であり、且つ、上記第2の植物性材料は、粒径2mm以上の粒状であり、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(2)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第1の植物性材料は、長さ5mm以下の繊維状であり、且つ、上記第2の植物性材料は、粒径2mm以上の粒状であり、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(1)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第1の植物性材料は、粒径2mm未満の粒状であり、且つ、上記第2の植物性材料は、粒径2mm以上の粒状であり、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
(2)第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第1の植物性材料は、長さ5mm以下の繊維状であり、且つ、上記第2の植物性材料は、粒径2mm以上の粒状であり、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
また、第1植物性材料及び第2植物性材料の各植物性材料を構成する植物種及びその部位等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。即ち、例えば、同じ材質の植物性材料を用いる場合とは、第1植物性材料としてケナフコアを用い、第2植物性材料としてケナフコアを用いる場合である。本方法では、従来、見掛け比重が小さいために混合が難しく、一方で配合量を多くすると射出成形が困難となる上に比重が大きくなるという問題があり、用いることが困難であったケナフコアを、成形体に含まれる植物性材料の全量に用いることができる。更に、得られる熱可塑性樹脂組成形体は射出成形により得られ、比重も従来に比べて小さくすることができる。一方、異なる材質の植物性材料を用いる場合とは、例えば、第1植物性材料としてケナフ繊維を用い、第2植物性材料としてもケナフコアを用いる場合である。このような組合せで用いた場合には、植物性材料として全量にケナフ繊維を用いた場合に比べて比重を小さく抑えることができる。
更に、本方法で用いる上記「熱可塑性樹脂」は、特に限定されず種々のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル樹脂{(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂)、(ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエチレン樹脂)}、ポリスチレン、ポリアクリル樹脂(メタアクリレート、アクリレート等)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂のうちの少なくとも一方であることが好ましい。また、上記ポリオレフィンのなかではポリプロピレンがより好ましい。
これらのなかでは、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂のうちの少なくとも一方であることが好ましい。また、上記ポリオレフィンのなかではポリプロピレンがより好ましい。
一方、ポリエステル樹脂のなかでは、生分解性を有するポリエステル樹脂(以下、単に「生分解性樹脂」ともいう)が好ましい。生分解樹脂としては、(1)乳酸、リンゴ酸、グルコース酸及び3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体、並びに、これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体、などのヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、(2)ポリカプロラクトン、及び、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体、などのカプロラクトン系脂肪族ポリエステル、(3)ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンアジペート、などの二塩基酸ポリエステル、等が挙げられる。
これらのなかでは、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。
これらの生分解性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
これらのなかでは、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。
これらの生分解性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
本方法では、植物性材料及び熱可塑性樹脂以外の他の成分を配合できる。他の成分としては、熱可塑性樹脂として前記ポリエステル樹脂を用いる場合のカルボジイミド化合物{ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩}が挙げられる。更に、各種帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、及び着色剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記「混合工程」は、第1植物性材料及び熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る工程である。
この混合工程で用いる第1植物性材料と熱可塑性樹脂との割合は、これらの合計を100質量%とした場合に第1植物性材料が50〜70質量%である。この範囲であれば、50質量%以上の高い植物性材料割合を有しながら、混合工程を備えることで射出成形が可能な高い流動性を有する熱可塑性樹脂組成物(熱可塑性樹脂と第1植物性材料とを含む組成物)を得ることができる。この割合は、50〜65質量%がより好ましく、55〜65質量%が更に好ましい。
この混合工程で用いる第1植物性材料と熱可塑性樹脂との割合は、これらの合計を100質量%とした場合に第1植物性材料が50〜70質量%である。この範囲であれば、50質量%以上の高い植物性材料割合を有しながら、混合工程を備えることで射出成形が可能な高い流動性を有する熱可塑性樹脂組成物(熱可塑性樹脂と第1植物性材料とを含む組成物)を得ることができる。この割合は、50〜65質量%がより好ましく、55〜65質量%が更に好ましい。
上記「撹拌機」は、第1植物性材料と熱可塑性樹脂とを混合するための装置である。この撹拌機1{以下、図3(特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図1を引用)及び図4(特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図2を引用)参照}としては、国際公開04/076044号パンフレットに記載の撹拌機を利用できる。即ち、撹拌機1は、材料供給室13と、該材料供給室13に連接された混合室3と、該材料供給室13と該混合室3とを貫通して回転自在に設けられた回転軸5と、該材料供給室13内の該回転軸5に配設され且つ該材料供給室13に供給された混合材料(第1植物性材料及び熱可塑性樹脂)を該混合室3へ搬送するらせん状羽根12と、該混合室3内の該回転軸5に配設され且つ該混合材料を混合する混合羽根10a〜10fと、を備える撹拌機が好ましい。
上記撹拌機を用い、第1植物性材料及び熱可塑性樹脂を撹拌機1(材料供給室13)へ投入し、撹拌機1の混合羽根10a〜10fを回転させることで、第1植物性材料及び熱可塑性樹脂が共に、混合室3の内壁へ向かって押し付けるように打撃し且つ押し進められ、材料同士の衝突するエネルギー(熱量)により短時間で熱可塑性樹脂が軟化又は溶融され、第1植物性材料と混合される。また、得られる熱可塑性樹脂組成物には射出成形が可能な優れた流動性が発現される。
上記混合羽根10a〜10fは、上記回転軸5の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向すると共に、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で該回転軸5に配設された少なくとも2枚の混合羽根(10a〜10f)によって構成され、該混合羽根10a〜10fの該回転軸5に対する取付け角は、該回転軸5に取り付けられる該混合羽根10a〜10fの根元部から半径方向外方の先端部まで同一であることが好ましく、更には、上記混合羽根10a〜10fが矩形板状をなすことが好ましい。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性樹脂の分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性樹脂の分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
上記「混合」における各種条件は特に限定されないが、例えば、混合時の温度は特に限定されないが、混合室外壁の温度を200℃以下(より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下)に制御することが好ましく、更には、50℃以上(より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上)に制御することが好ましい。また、この温度は10分以内(より好ましくは5分以内)に到達させることが好ましい。短時間で高温にすることで急激に水分を蒸散させると共に上記混合を行うことができ、熱可塑性樹脂の劣化をより効果的に抑制できる。更に、上記温度範囲とするのも15分以内(より好ましくは10分以内)とすることが好ましい。
また、上記温度の制御は、撹拌機の混合羽根の回転速度を制御することによって行うことが好ましい。より具体的には、混合羽根の先端の回転速度を5m/秒〜50m/秒となるように制御することが好ましい。この範囲に制御することで、効率よく熱可塑性樹脂を軟化又は溶融させつつ、第1植物性材料とより強力に(より均一に)混合することができる。
更に、この混合における終点は特に限定されないが、上記回転軸に負荷されるトルクの変化により決定できる。即ち、上記回転軸に負荷されるトルクを測定し、そのトルクが最大値となった後に混合を停止することが好ましい。これにより、分散性よく第1植物性材料を熱可塑性樹脂内に混合できる。更に上記トルクの最大値となった後にトルクが低下し始めてから混合を停止させることがより好ましい。特に最大トルクに対して40%以上(とりわけ好ましくは50〜80%)のトルク範囲で混合を停止することが特に好ましい。これにより、より分散性よく第1植物性材料を熱可塑性樹脂内に混合できると共に、混合室内部から混合物(熱可塑性樹脂組成物)を160℃以上の温度で取り出すことができ、混合室内に熱可塑性樹脂組成物が付着して残存されることをより確実に防止できる。
更に、通常、熱可塑性樹脂に比べて第1植物性材料の見掛け比重は小さいため、両者の比重差を小さくすることで第1植物性材料のより均一な分散を促し、得られる熱可塑性樹脂成形体の機械的特性を向上させることができる。このため、第1植物性材料を混合前に押し固めてペレット化して、見掛け比重を大きくして用いることができる。押し固める方法は特に限定されず、ローラー式成形方法及びエクストルーダ式成形方法などを用いることができる。ローラー式成形方法は、ローラー式成形機を用いる方法であり、ダイに接して回転されるローラーにより第1植物性材料がダイス内に圧入された後、ダイスから押し出されて成形される。ローラー式成形機には、ダイの形状が異なるディスクダイ式(ローラーディスクダイ式成形機)とリングダイ式(ローラーリングダイ式成形機)が挙げられる。
上記「成形工程」は、熱可塑性樹脂組成物及び第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る工程である。
上記「熱可塑性樹脂組成物」は、上記混合工程で得られた熱可塑性樹脂組成物であり、第1植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に第1植物性材料を50〜70質量%含有する組成物である。
上記「熱可塑性樹脂組成物」は、上記混合工程で得られた熱可塑性樹脂組成物であり、第1植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に第1植物性材料を50〜70質量%含有する組成物である。
成形工程で用いる第2植物性材料の割合は特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物全体(第1植物性材料と熱可塑性樹脂との合計)を100質量部とした場合に、第2植物性材料は1質量部以上(通常30質量部以下、更には3質量部以上)を用いることができるが、5質量部以上を用いることが好ましい。理由は定かではないが、実施例及び図2に示すように第2植物性材料の配合量が5質量部以下の範囲に比べて、5質量部以上の範囲の方が第2植物性材料の配合量に対する比重低下が大きく、より効果的に比重を小さくできる。この配合量は、5〜23質量部が好ましく、7〜23質量部がより好ましく、7〜17質量部が更に好ましい。
また、上記「射出成形機」としては、特に限定されず種々の射出成形機を使用できる。
また、上記「射出成形機」としては、特に限定されず種々の射出成形機を使用できる。
本方法では、上記混合工程及び上記成形工程以外の他の工程を備えることができる。他の工程としては、混合工程と成形工程との間に備える工程であって、得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット(チップ形態等を含む)にする熱可塑性樹脂組成物ペレット化工程が挙げられる。この工程では、例えば、熱可塑性樹脂組成物を破砕機等を用いて破砕して熱可塑性樹脂組成物チップ等を得ることができる。また、同様に、混合工程と成形工程との間に備える工程であって、熱可塑性樹脂組成物(例えばペレット状の組成物)と第2植物性材料とを混ぜるミキシング工程が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物ペレット化工程及びミキシング工程の両方を備える場合には、当然ながら熱可塑性樹脂組成物ペレット化をミキシング工程より前の工程として備える。尚、本方法における各工程は、連続して行ってもよく、個別に行ってもよい。
[2]熱可塑性樹脂成形体
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に製造されたことを特徴とする。
即ち、本発明の熱可塑性樹脂成形体(図1の100)は、第1植物性材料として配合された第1植物性材料由来物(図1の101)と、第2植物性材料として配合された第2植物性材料由来物(図1の102)と、熱可塑性樹脂(図1の103)と、を含有する。更に、第1植物性材料由来物と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に第1植物性材料由来物は50〜70質量%含有される。更に、第1植物性材料由来物と熱可塑性樹脂との合計を100質量部とした場合に、第2植物性材料由来物は10〜20質量部含有できる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に製造されたことを特徴とする。
即ち、本発明の熱可塑性樹脂成形体(図1の100)は、第1植物性材料として配合された第1植物性材料由来物(図1の101)と、第2植物性材料として配合された第2植物性材料由来物(図1の102)と、熱可塑性樹脂(図1の103)と、を含有する。更に、第1植物性材料由来物と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に第1植物性材料由来物は50〜70質量%含有される。更に、第1植物性材料由来物と熱可塑性樹脂との合計を100質量部とした場合に、第2植物性材料由来物は10〜20質量部含有できる。
尚、前述のように、混合工程では撹拌機を用いて高速混合を行うことができるために大きな剪断力等が負荷される場合があり、得られた熱可塑性樹成形体内において第1植物性材料由来物は配合当初の第1植物性材料の形状及び大きさを維持していてもよいが、維持していなくてもよい。同様に、成形工程では射出成形を行うために成形圧力を負荷する。従って、得られた熱可塑性樹成形体内において第2植物性材料由来物は配合当初の第2植物性材料の形状及び大きさを維持していてもよいが、維持していなくてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体としては、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に用いられる。このうち自動車用品としては、自動車内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
[1]熱可塑性樹脂成形体の製造1(実施例1〜7の製造)
第1植物性材料として、粒径1.0mm以下の(目開き1.0mmの円孔板篩を通過した)ケナフコアの破砕物を用いた。また、第2植物性材料として、粒径1.0〜5.0mmの(目開き1.0mmの円孔板篩を通過せず、且つ、目開き5.0mmの円孔板篩を通過した)ケナフコアの破砕物を用いた。更に、熱可塑性樹脂として、粒径1.0mm以下の(目開き1.0mmの円孔板篩を通過した)ポリ乳酸樹脂ペレット(トヨタ自動車株式会社製、品名「U’s S−17」)を用いた。
尚、第1植物性材料、第2植物性材料及び熱可塑性樹脂の上記各粒径は、JIS Z8801に準拠して計測を行った。
[1]熱可塑性樹脂成形体の製造1(実施例1〜7の製造)
第1植物性材料として、粒径1.0mm以下の(目開き1.0mmの円孔板篩を通過した)ケナフコアの破砕物を用いた。また、第2植物性材料として、粒径1.0〜5.0mmの(目開き1.0mmの円孔板篩を通過せず、且つ、目開き5.0mmの円孔板篩を通過した)ケナフコアの破砕物を用いた。更に、熱可塑性樹脂として、粒径1.0mm以下の(目開き1.0mmの円孔板篩を通過した)ポリ乳酸樹脂ペレット(トヨタ自動車株式会社製、品名「U’s S−17」)を用いた。
尚、第1植物性材料、第2植物性材料及び熱可塑性樹脂の上記各粒径は、JIS Z8801に準拠して計測を行った。
上記第1植物性材料と熱可塑性樹脂とを各々表1に示す配合割合で撹拌機(株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製、WO2004−076044号に示された器機)の材料供給室(図3の13)に投入した後、混合室(容量5L、図3の3)内で撹拌して混練した。混練に際して混合羽根(図4の10a〜10f)は回転速度2000rpmで回転させた。そして、混合羽根にかかる負荷(トルク)が上昇し、最大値に達した時点を終点として撹拌を停止して、得られた熱可塑性樹脂組成物(実施例1〜7)を撹拌機から排出した。
得られた各熱可塑性樹脂組成物を破砕機(回転刃と固定刃とを備える)を用いて5.0mm程度に破砕して熱可塑性樹脂組成物チップを得た。得られた各熱可塑性樹脂組成物チップと上記第2植物性材料とを各々表1に示す配合割合で混ぜた後、射出成形機(宇部興産機械株式会社製、形式「MD350S−IIIDP」)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型温度40℃の条件で射出成形して板状の試験片(実施例1〜7)を得た。
[2]熱可塑性樹脂成形体の製造2(比較例1〜3の製造)
成形工程前に第2植物性材料の混合を行わなかったこと以外は、上記[1]と同方法で熱可塑性樹脂成形体を製造した。
成形工程前に第2植物性材料の混合を行わなかったこと以外は、上記[1]と同方法で熱可塑性樹脂成形体を製造した。
[3]成形体(試験片)の評価
実験例1〜7及び比較例1〜3の各試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの板形状)の比重を測定した(JIS Z8807の固体比重測定方法の液中ひょう量方法に準じて測定した)。この結果を表1に併記した。
更に、比較例2及び実施例3〜6に比重と第2植物性材料の配合割合との相関をグラフにして図2に示した。
実験例1〜7及び比較例1〜3の各試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの板形状)の比重を測定した(JIS Z8807の固体比重測定方法の液中ひょう量方法に準じて測定した)。この結果を表1に併記した。
更に、比較例2及び実施例3〜6に比重と第2植物性材料の配合割合との相関をグラフにして図2に示した。
[4]実施例の効果
表1より、比較例1〜3に示すように植物性材料の一部を第1植物性材料として熱可塑性樹脂と予め混合工程において混合することで射出成形を行うことができたが、比重はポリ乳酸樹脂自体の比重である1.26よりも大きくなった。更に、比較例1〜3では、植物性材料の配合割合が大きくなるに従って比重が大きくなることが分かる。これに対して、比較例1と実施例1〜2とを比べると、比較例1では比重が1.32であるが、植物性材料の配合量がより多い実施例1では1.28と比重を小さくできることが分かる。更に、実施例1よりも植物性材料の配合量が多い実施例2では比重を1.26と更に小さくでき、ポリ乳酸樹脂の比重と同じ大きさにまで低下させることができた。同様に、比較例2と実施例3〜6とを比べても、比較例3と実施例7とを比べても、同じように植物性材料を成形工程で第2植物性材料として配合することで比重を小さくできることが分かる。即ち、植物性材料の一部を第2植物性材料として、成形工程で配合することにより、植物性材料の配合量を増やしながら比重がより小さい成形体を得ることができることが分かる。
表1より、比較例1〜3に示すように植物性材料の一部を第1植物性材料として熱可塑性樹脂と予め混合工程において混合することで射出成形を行うことができたが、比重はポリ乳酸樹脂自体の比重である1.26よりも大きくなった。更に、比較例1〜3では、植物性材料の配合割合が大きくなるに従って比重が大きくなることが分かる。これに対して、比較例1と実施例1〜2とを比べると、比較例1では比重が1.32であるが、植物性材料の配合量がより多い実施例1では1.28と比重を小さくできることが分かる。更に、実施例1よりも植物性材料の配合量が多い実施例2では比重を1.26と更に小さくでき、ポリ乳酸樹脂の比重と同じ大きさにまで低下させることができた。同様に、比較例2と実施例3〜6とを比べても、比較例3と実施例7とを比べても、同じように植物性材料を成形工程で第2植物性材料として配合することで比重を小さくできることが分かる。即ち、植物性材料の一部を第2植物性材料として、成形工程で配合することにより、植物性材料の配合量を増やしながら比重がより小さい成形体を得ることができることが分かる。
また、図2より、第2植物性材料の配合量が5質量部以下の範囲に比べて、5質量部以上の範囲の方が第2植物性材料の配合量に対する比重低下の割合が大きくなっていることが分かる。即ち、第2植物性材料を配合する際に、5質量部以上を配合することで、射出成形性を低下させることなく、より効果的に比重を小さくできることが分かる。特に比重低下率は5〜15質量部の配合範囲で顕著であることが分かる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法及び熱可塑性樹脂成形体は、自動車関連分野及び建築関連分野などにおいて広く利用される。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に好適であり、なかでも自動車用品としては、自動車内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等に好適である。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材にも好適である。具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等としても好適である。
1;撹拌機、3;混合室、5;回転軸、10a〜10f;混合羽根、12;らせん状羽根、13;材料供給室、100;熱可塑性樹脂成形体、101;第1植物性材料由来物、102;第2植物性材料由来物、103;熱可塑性樹脂。
Claims (7)
- 第1の植物性材料と第2の植物性材料と熱可塑性樹脂と用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
上記第1の植物性材料と上記熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、該第1の植物性材料は50〜70質量%であり、
上記第2の植物性材料は、粒状であり且つ上記第1の植物性材料よりも大きく、
上記第1の植物性材料及び上記熱可塑性樹脂を撹拌機を用いて混合して熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
上記熱可塑性樹脂組成物及び上記第2の植物性材料を共に射出成形機に投入して成形し、熱可塑性樹脂成形体を得る成形工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂成形体の製造方法。 - 上記成形工程では、上記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量部とした場合に、上記第2の植物性材料を5〜20質量部用いる請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 上記第2の植物性材料は、粒径2〜10mmである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 上記第1の植物性材料は、粒径0.1〜1.5mmの粒状、及び/又は、長さ0.1〜5mmの繊維状である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 上記第1の植物性材料及び上記第2の植物性材料は、共にケナフコアである請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はポリ乳酸である請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法に製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形体。
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JP2013508497A (ja) * | 2009-10-21 | 2013-03-07 | 熙龍 柳 | 葦複合材、複合材の製造方法及びこれを用いた建築材 |
-
2007
- 2007-09-20 JP JP2007244365A patent/JP2009073941A/ja active Pending
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