JP2010139609A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無駄なトナー消費を抑制し、またトナーの小粒径化にも対応することのできる技術を提供する。
【解決手段】トナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性(すなわち正極性)の転写バイアスVt1を中間転写ベルト8aに印加し、転写位置TPの手前位置TP0で感光体2の非露光部との間に放電を生じさせる。非露光部に付着した正帯電粒子は帯電量が増強され、負帯電粒子は極性が反転する。ブラシローラ4aに与えるクリーニングバイアスVbrも正極性とし、正帯電粒子を残し負帯電粒子のみを吸着し感光体2表面から除去する。現像ローラ7aの表面にトナーを担持しない非担持領域を設けておくことにより、現像位置DPにおける過剰な正帯電粒子はこの非担持領域に吸着され、感光体2表面には常時概ね一定量の正帯電粒子が付着した状態で画像形成プロセスが進行する。
【選択図】図12
【解決手段】トナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性(すなわち正極性)の転写バイアスVt1を中間転写ベルト8aに印加し、転写位置TPの手前位置TP0で感光体2の非露光部との間に放電を生じさせる。非露光部に付着した正帯電粒子は帯電量が増強され、負帯電粒子は極性が反転する。ブラシローラ4aに与えるクリーニングバイアスVbrも正極性とし、正帯電粒子を残し負帯電粒子のみを吸着し感光体2表面から除去する。現像ローラ7aの表面にトナーを担持しない非担持領域を設けておくことにより、現像位置DPにおける過剰な正帯電粒子はこの非担持領域に吸着され、感光体2表面には常時概ね一定量の正帯電粒子が付着した状態で画像形成プロセスが進行する。
【選択図】図12
Description
この発明は、潜像担持体上に形成した静電潜像をトナー担持体に担持させた帯電トナーにより現像することで画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
潜像担持体上で静電潜像をトナー像として現像し、該トナー像を転写媒体に転写するように構成された画像形成装置および画像形成方法においては、潜像担持体から転写媒体への転写効率が100%以下であるため、転写後の潜像担持体表面に少量ながらトナーが残留している場合がある。また一般的には、静電潜像のうち本来トナーを付着させるべきでない非画像部に付着したトナー(いわゆるカブリトナー)も転写されずに残留している。このような残留トナーを除去するため、一般的な画像形成装置では、転写後の潜像担持体表面にクリーニング部材を当接させるようにしている(特許文献1参照)。また、これとは別に、例えば特許文献2に記載されたように、潜像担持体上の残留トナーに適当な電荷を与えておき、潜像担持体と当接する現像ローラによって静電的に残留トナーを現像器内に回収する技術も提案されている。
このような残留トナーは画像形成プロセスを実行する度に発生する。そのため、残留トナーを除去する構成においては、画像形成に寄与しない無駄なトナーの消費量が増大してしまう。また、現像器内に残留トナーを回収する構成ではこのようなトナーの無駄は生じないが、使用済みの劣化したトナーが現像器内で増加してゆくことになるため、画像品質は次第に低下することとなる。
さらに、近年では、画像の高精細化、プロセスの高速化および定着温度の低温化などの目的のために、これまでより粒径の小さなトナーの採用が検討されつつある。このような小粒径トナーでは、鏡像力やファンデルワールス力などの増大に起因して潜像担持体へのトナーの付着力がより粒径の大きなトナーに比して大きくなっており、このことが潜像担持体からの残留トナーの除去を難しくする一因となっている。特に、潜像担持体とトナー担持体とを非接触対向配置し交番電界によりトナーを飛翔させることで現像を行うACジャンピング現像方式では、小粒径トナーが往復動する間に上記の力により潜像担持体にトラップされ、本来付着しないはずの帯電極性を有するトナーが潜像担持体上に付着して、地カブリの原因となったりカブリによるトナー消費量が増加したりするといった課題も顕著になっていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、潜像担持体上に形成した静電潜像をトナー担持体に担持させた帯電トナーにより現像することで画像を形成する装置および方法において、無駄なトナー消費を抑制し、またトナーの小粒径化にも対応することのできる技術を提供することを目的とする。
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に周回移動する潜像担持体と、所定の帯電位置で、前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、前記回転方向において前記帯電位置よりも下流の潜像形成位置で、帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記回転方向において前記潜像形成位置よりも下流の現像位置で前記潜像担持体に対し非接触対向配置されたトナー担持体を有し、該トナー担持体がその表面に帯電トナーを担持して前記現像位置へトナーを搬送するとともに現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記回転方向において前記現像位置よりも下流の転写位置で、前記潜像担持体に転写媒体を当接させるとともに前記転写媒体に前記正規帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加して前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置で、トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与された当接部材を当接させて、前記潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性に帯電したトナーを除去するクリーニング手段とを備え、しかも、前記トナー担持体の表面が導電性を有するとともに、前記現像位置において該表面はトナーを担持するトナー担持領域とトナーを担持せず導電性表面が露出した非担持領域とを有しており、前記転写バイアスの電位は、前記潜像担持体の画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせず前記潜像担持体の非画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせる直流電位であり、前記現像位置における前記潜像担持体の前記非画像部の電位をVo、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記潜像担持体から前記トナー担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVmax、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記トナー担持体から前記潜像担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVminとしたとき、下式:
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係が成立することを特徴としている。
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係が成立することを特徴としている。
このように構成された画像形成装置は、静電潜像を担持する潜像担持体とトナー担持体とを非接触で対向配置し、両者の間に交番電界を形成することで静電潜像をトナーにより現像する、いわゆるACジャンピング現像方式の画像形成装置である。このような構成の画像形成装置において、本発明では、トナー担持体の表面にトナーを担持せず導電性表面が露出した非担持領域を設け、転写位置では潜像担持体の非画像部と転写媒体との間で放電を生じさせる構成としている。そして、さらに、
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係が成立するように、現像バイアスと潜像担持体の表面電位とを設定している。
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係が成立するように、現像バイアスと潜像担持体の表面電位とを設定している。
詳しくは後述するが、上式の左辺は、使用トナーに期待される本来の帯電極性である正規帯電極性に帯電したトナー(以下、単に「正規帯電トナー」という)に対して潜像担持体の非画像部からトナー担持体に向かう方向の力を生じさせる一方、正規帯電極性とは逆極性に帯電したトナー(以下、単に「逆帯電トナー」という)に対してはトナー担持体から潜像担持体の非画像部に向かう方向の力を生じさせる電界の強度に関する値である。これに対して、上式の右辺は、正規帯電トナーに対してトナー担持体から潜像担持体の非画像部に向かう方向の力を生じさせる一方、逆帯電トナーに対し潜像担持体の非画像部からトナー担持体に向かう方向の力を生じさせる電界の強度に関する値である。
なお、以下の説明では、その帯電極性にかかわらず、帯電トナーがトナー担持体から潜像担持体へ向かう方向を「現像方向」、逆に潜像担持体からトナー担持体へ向かう方向を「引き戻し方向」と称することとする。
したがって上記不等式は、現像位置において潜像担持体の非画像部と対向するトナー担持体の表面から帯電トナーを飛翔させようとする現像方向の電界の力が、正規帯電トナーよりも逆帯電トナーの方により強く作用することを意味している。その結果、トナー担持体表面に担持されて現像位置へ搬送されてくる過程の中では、正規帯電トナーよりも逆帯電トナーの方が早く飛翔開始することになる。
こうして飛翔した逆帯電トナーが潜像担持体の非画像部に付着すると、引き戻し方向の電界がより弱いため一部はトナー担持体には戻らず潜像担持体上に残留することとなる。またトナー担持体に戻ってきたトナーがトナー担持体の非担持領域に付着すると、非担持領域は表面が導電性を有しているため帯電トナーには強い鏡像力が作用し、再飛翔しにくくなる。つまり、トナー担持体の非担持領域はトナーを捕捉する作用をする。一方、正規帯電トナーが潜像担持体の非画像部に付着する確率はより低い。逆帯電トナーよりも飛翔開始が遅いことに加え、正規帯電トナーに対しては現像方向よりも引き戻し方向の力の方が強く働くからである。
このため、現像位置を通過した潜像担持体の表面は、主として逆帯電トナーによって薄く覆われた状態となる。こうして潜像担持体の非画像部に薄く付着した逆帯電トナーは、潜像担持体表面からほとんど引き剥がされることなく転写位置、クリーニング位置および帯電位置を通過して、再び現像位置へ戻ってくる。というのは、この発明の構成においては、帯電手段が非接触であるため潜像担持体上のトナーが帯電手段に移行してしてしまうことがなく、また潜像担持体に当接する転写媒体およびクリーニング手段の当接部材のいずれもが逆帯電トナーと同極性の電位を与えられているため、これらに対しても逆帯電トナーの移行はほとんど起こらないからである。
一方、現像位置において潜像担持体の非画像部に付着した正規帯電トナーに対しては、転写位置において、正規帯電極性とは逆極性で、しかも潜像担持体の非画像部と転写媒体との間で放電が生じる大きさの電位が転写媒体に与えられる。そのため、この転写位置直前で潜像担持体の非画像部と転写媒体との間で放電が発生し、この放電によって正規帯電トナーはその帯電極性が反転し逆極性トナーとなる。また、クリーニング位置において正規帯電極性とは逆極性の電位を与えられた当接部材が潜像担持体に当接しているため、正規帯電トナーは電荷を与えられて極性が反転するか、もしくは当接部材に移行する。このように、潜像担持体の非画像部に付着した正規帯電トナーは極性が反転されたり当接部材に移行したりするため、潜像担持体上にはほとんど残らないことになる。
なお、潜像担持体上の逆帯電トナーの付着量はある程度以上には大きくならない。というのは、トナー担持体表面に担持されるトナーに占める逆帯電トナーの割合がもともと低く、また潜像担持体が逆帯電トナーにより覆われ始めると新たに飛翔してくるトナーに対して作用する付着力が低下するからである。潜像担持体への付着力が低下すると、いったん潜像担持体に付着しても引き戻し方向の電界の作用でトナー担持体に引き戻されるトナーが多くなり、こうして引き戻されてくる逆帯電トナーを非搬送領域に付着させて、その鏡像力により電界の力に打ち勝ってトナー担持体上に捕捉することにより、潜像担持体の非画像部に付着する逆帯電トナーの増大が抑えられる。
結果として、この発明では、潜像担持体の表面に概ね一定量の逆帯電トナーが付着した状態で動作が進行することとなる。言い換えれば、本発明の構成を採ることによって、潜像担持体の表面に一定量の逆帯電トナーを付着させた状態で、潜像担持体を周回させることができる。ここで、潜像担持体の周回過程で残留トナーを除去する構成とした場合には、上記した原理により現像位置で新たな逆帯電トナーが潜像担持体の非画像部に供給されては除去される、というプロセスが繰り返されることとなり、トナーの無用な消費の増大を招いてしまう。これに対して、本発明では、潜像担持体の非画像部に付着した逆帯電トナーの量が次第に増加することもなく、また除去されることもないので、このような無駄なトナー消費が抑制される。
潜像担持体の非画像部に付着したトナーは地カブリの原因となりうるが、この発明では、正規帯電トナーについてはクリーニング手段により除去することで潜像担持体上に逆帯電トナーを選択的に残留させており、しかも転写媒体に対し正規帯電極性とは逆極性の、つまり逆帯電トナーと同極性の転写バイアスを与えているので、潜像担持体上の逆帯電トナーが転写媒体に転写されてしまうことはなく、地カブリを生じさせることはない。
また、転写後の残留トナーを全て除去することを必要とせず、むしろその帯電極性を制御しながら積極的に潜像担持体上に残留させる構成としているので、付着力が強いため完全なトナー除去が難しい小粒径のトナーを使用する場合にも好適である。
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の周囲に、その回転方向に沿って、前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、表面が導電性を有し、該表面は帯電トナーを担持するトナー担持領域とトナーを担持せず導電性表面が露出した非担持領域とを有するとともに前記潜像担持体に対し非接触で対向するトナー担持体を備え、該トナー担持体が現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記潜像担持体に転写媒体を当接させるとともに前記転写媒体に前記正規帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加して前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置で、トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与された当接部材を当接させて、前記潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性に帯電したトナーを除去するクリーニング手段とをこの順番に配置し、しかも、前記転写バイアスの電位を、前記潜像担持体の画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせず前記潜像担持体の非画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせる直流電位とし、前記トナー担持体との対向位置における前記潜像担持体の前記非画像部の電位をVo、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記潜像担持体から前記トナー担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVmax、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記トナー担持体から前記潜像担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVminとしたとき、下式:
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係を満たす前記現像バイアスを前記トナー担持体に印加することを特徴としている。
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係を満たす前記現像バイアスを前記トナー担持体に印加することを特徴としている。
このように構成された発明では、上記した画像形成装置の発明と同様に、無駄なトナー消費を抑制し、またトナーの小粒径化にも対応することができる。
また、上記発明において、前記トナー担持体の有効表面積に対して前記非担持領域の表面積が占める比率が、個数基準の帯電量分布において全トナーに占める前記正規帯電極性とは逆極性に帯電したトナーの比率以上であるようにしてもよい。ここで、トナー担持体の「有効表面積」とは、トナー担持体表面のうち、例えば端部など現像に寄与しない領域を除いた、実際に現像に寄与する領域の面積を意味する。このようにすると、現像位置において飛翔する逆帯電トナーのほとんどをトナー担持体の非担持領域に付着させて回収することが可能となるので、潜像担持体の非画像部に付着するトナーを帯電量が高く付着力の強いもののみに制限することができる。帯電量の低い逆帯電トナーは転写位置において転写媒体に転写されてしまい画像に地カブリを生じさせたり装置内に飛散したりしやすいが、そのような問題の発生を防止することができる。
また、前記トナー担持体を表面に規則的な凹凸を有するローラ状に形成されて回転するトナー担持ローラとし、前記トナーが前記トナー担持ローラ表面の凹部に担持されて該凹部が前記トナー担持領域となる一方、前記トナー担持ローラ表面の凸部の少なくとも一部が前記非担持領域となるようにしてもよい。このようにすると、トナー担持領域と非担持領域とが規則的に配置されることでトナー層の均一性が得られる。また、トナー担持領域から飛翔したトナーをその近傍の非担持領域に付着させることができる。また、潜像担持体表面に向かってより突出した凸部が非担持領域となることで、飛翔したトナーをより確実に捕捉することができる。
あるいは、前記トナー担持体が表面に規則的な凹凸を有するローラ状に形成されて回転するトナー担持ローラであるとともに各凸部の頂面が互いに同一の円筒面の一部をなすようにし、前記現像手段は、前記トナー担持ローラの回転方向において前記現像位置よりも上流側でエッジ部が前記トナー担持ローラの凸部に当接することによって前記凸部へのトナー付着を規制する、弾性材料からなる規制部材を備えるようにしてもよい。このようにすると、単にトナー担持ローラを回転させながら規制部材を当接させるという簡単な構成によってトナー搬送領域と非搬送領域とを規則正しく配置することが可能となる。また、トナー搬送領域(凹部)に搬送されるトナーは規制部材による摺擦を受けないため、トナーの劣化が防止される。
これらの場合において、凹部に1層以上のトナー層を担持させるために、凹凸の高低差がトナーの体積平均粒径以上であることが望ましい。こうすることで、凹部に十分な量のトナーを搬送することができる。
また、前記クリーニング手段の前記当接部材は、導電性を有しトナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与されて前記潜像担持体表面に当接する多数のブラシ毛を備えるブラシローラであってもよい。このような構成によれば、クリーニング位置において潜像担持体上に付着するトナーに対しブラシ毛を接触させることにより、正規帯電トナーを確実に除去する一方で逆帯電トナーを潜像担持体上に選択的に残留させることができる。
特に、前記ブラシローラが前記潜像担持体に対してウィズ回転する、つまりクリーニング位置において潜像担持体表面とブラシ毛の先端との間で移動方向が同じとなるようにすると、ブラシ毛が潜像担持体上から逆帯電トナーを強制的に掻き取ってしまうことがなくなるので、逆帯電トナーを潜像担持体上に分散させ残留させておくことができるという点で好ましい。
本発明は、前記転写位置と前記帯電位置との間において前記潜像担持体の除電を行わない場合に特に有効である。潜像担持体の表面電位を除電によりリセットしてしまうと、帯電位置において次の帯電を受ける際に潜像担持体表面は大きな電位変化を必要とする。このときに発生する帯電手段と潜像担持体の間の放電が潜像担持体上の逆帯電トナーの帯電極性を反転させてしまい発明の効果を減じてしまう可能性がある。したがって除電を行わない方が高い効果を得られる。
さらに、本発明は、前記トナーの体積平均粒径が5μm以下である場合にも有効である。前記したように小粒径のトナーはトナー担持体や潜像担持体に対する付着力が大きいため、電界の力によりまたは機械的にトナー担持体や潜像担持体から引き離すのが困難である。このような性質はトナーの体積平均粒径が5μm以下であるときに特に顕著となる。しかしながら本発明は、強制的にトナーを除去するのではなくむしろ積極的に潜像担持体上に逆帯電トナーを分散させた状態で動作するように構成しているため、このような小粒径のトナーを使用する場合に特に優れた効果を奏するものである。すなわち、本発明はトナーの小粒径化を図る上で好適な技術を提供するものである。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の一実施形態の主要構成を模式的に示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この例の画像形成装置1においては、非磁性一成分系負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。すなわち、この実施形態では、負極性が「正規帯電極性」である。もちろん、正極性を正規帯電極性とする正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、単に「トナー」という場合には、トナー母粒子に外添剤が外添されてなる粒子全体を指すものとする。
図1に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。
感光体2の周囲には、感光体2表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器5、感光体2表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット6、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット7、該トナー像を転写される転写ユニット8およびクリ−ニングローラ4が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向D2(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
帯電器5は感光体2の表面に接触しないものであり、この帯電器5には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bには負のワイヤ電流Iwが流されるとともに、グリッド5aには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVgが印加される。帯電器5によりトナーと同極性(負極性)のコロナ放電で感光体2が帯電されることで、感光体2の表面の電位が略均一の負電位、より具体的には画像形成時に設定される電位Voに設定される。
露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLにより感光体2表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。より具体的には、図2に示すように、画像信号を生成するホストコンピュータなどの外部装置からインタフェース112を介して画像信号が与えられると、この画像信号が画像処理ユニット111によって所定の処理を施される。この画像信号は、装置全体の動作を制御するCPU101を介して露光ユニット6に受け渡される。露光ユニット6は画像信号に応じて感光体2表面に光ビームLを照射して露光し、露光された感光体2の表面領域(露光部)では電荷が中和されて、露光されなかった表面領域(非露光部)とは異なる表面電位VLに変化する。こうして感光体2上に画像信号に対応した静電潜像が形成される。
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット7からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この例の画像形成装置1の現像ユニット7は、現像ローラ7aが感光体2に接触しない非接触現像方式の現像器である。現像ローラ7aは感光体2と所定のギャップを隔てて対向配置されており、図1の矢印方向D7に回転駆動される。現像ローラ7aには現像バイアス電源71から所定の現像バイアスVbが印加される。この現像ユニット7の構造については後に詳しく説明するが、従来周知慣用の非接触現像器も用いることができる。
また、転写ユニット8は、表面にトナー像を担持可能な無端状ベルトであり図1の矢印方向D8に周回移動する中間転写ベルト8aを有しており、感光体2に近接配置されたバックアップローラ8bによって、中間転写ベルト8aは感光体2の表面に当接されている。さらに、中間転写ベルト8aには転写バイアス電源81からトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスVt1が印加されており、その作用により感光体2上で現像されたトナー像が中間転写ベルト8aに転写(一次転写)される。中間転写ベルト8aに転写されたトナー像はさらに図示しない記録紙に二次転写され、定着ユニット9によって記録紙上に永久定着されて出力される。
クリーニングローラ4は、回転可能に設けられたブラシローラ4aを有している。このブラシローラ4aは例えばナイロン製の多数のブラシ毛4bを有しており、これらのブラシ毛4bが感光体2の表面に当接して配設されている。ブラシローラ4aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛4bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛4bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)、すなわちいわゆるウィズ回転で回転するように構成されている。
このブラシローラ4aには、トナーの正規帯電極性とは逆極性、つまり正極性の直流(DC)のクリーニングバイアスVbrが印加される。これにより、中間転写ベルト8aとの当接位置を通過した感光体2上の転写残りトナーと外添剤のうち、正規帯電極性に帯電したものがブラシローラ4aへ引き寄せられてブラシ毛4bに付着する。なお、クリーニングローラ4には、ブラシローラ以外に導電性ゴムローラ等の他の導電性のクリーニングローラを用いることができる。
さらに、クリーニングローラ4は、ブラシローラ4aのブラシ毛4bに当接するクリーニングブレード4cを有している。クリーニングブレード4cは、ブラシ毛4bに付着する転写残りトナーおよび外添剤を除去し回収する。このクリーニングブレード4cには、従来周知慣用のクリーニングブレードを用いることができる。
なお、以下の説明においては、感光体2と帯電器5との対向位置を帯電位置CP、感光体2表面に露光ユニット6からの光ビームLが照射される位置を露光位置EP、感光体2と現像ローラ7aとの対向位置を現像位置DP、感光体2と中間転写ベルト8aとの当接位置を転写位置TP、感光体2にクリーニングローラ4が当接する位置をクリーニング位置BPと称する。この実施形態では、これらの各位置が感光体2の回転方向D2の上流側から下流側に向けて上記順序で設けられている。
図3はこの実施形態における現像ユニットの構造を示す断面図である。この現像ユニット7では、その内部に非磁性一成分トナーTを収容するハウジング72に供給ローラ7bおよび現像ローラ7aが軸着されており、現像ローラ7aが感光体2と現像位置DPにおいて所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ7a、7bが本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。供給ローラ7bは例えば発泡ウレタンゴム、シリコンゴムなどの弾性材料により円筒状に形成されている。また、現像ローラ7aは、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金などの導電性材料の金属素管により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ7a、7bが接触しながら回転することでトナーが現像ローラ7aの表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ7a表面に形成される。
ハウジング72の内部空間は隔壁72aによって第1室721および第2室722に仕切られている。供給ローラ7bおよび現像ローラ7aはともに第2室722に設けられており、これらのローラの回転に伴って第2室722内のトナーが流動し攪拌されながら現像ローラ7aの表面に供給される。
また、この現像ユニット7では、現像ローラ7aの表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード76が配置されている。この規制ブレード76は、ステンレスやリン青銅などの弾性を有する板状部材761と、板状部材761の先端部に取り付けられたシリコンゴムやウレタンゴムなどの樹脂部材からなる弾性部材762とで構成されている。この板状部材761の後端部はハウジング72に固着されており、図3の矢印に示す現像ローラ7aの回転方向D7において、板状部材761の先端部に取り付けられた弾性部材762が板状部材761の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材762が現像ローラ7a表面に弾性的に当接することで規制ニップを形成し、現像ローラ7aの表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
さらに、ハウジング72には、現像ローラ7aの回転方向D7において感光体2との対向位置(現像位置DP)よりも下流側で現像ローラ7a表面に圧接されたシール部材77が設けられている。シール部材77は、ポリエチレン、ナイロンまたはフッ素樹脂などの柔軟性を有する材料により形成され、現像ローラ7aの回転軸に平行な方向Xに沿って延びる帯状のフィルムであり、長手方向Xに直交する短手方向における一方端部がハウジング72に固着されるとともに、他方端部が現像ローラ7a表面に当接されている。他方端部は現像ローラ7aの回転方向D7における下流側に向かうように、いわゆるトレイル方向に現像ローラ7aに当接されており、感光体2との対向位置を通過した現像ローラ7a表面に残留しているトナーをハウジング72内に案内するともに、ハウジング内のトナーが外部へ漏れ出すのを防止している。
図4は現像ローラおよびその表面の部分拡大図を示す図である。その表面が導電性材料の金属素管で形成される現像ローラ7aは略円筒形のローラ状に形成されており、その長手方向の両端にはローラと同軸にシャフト740が設けられており、該シャフト740が現像器本体により軸支されて現像ローラ7a全体が回転自在となっている。現像ローラ7a表面のうちその中央部74aには、図4の部分拡大図(点線円内)に示すように、規則的に配置された複数の凸部741と、それらの凸部741を取り囲む凹部742とが設けられている。
複数の凸部741のそれぞれは、図4紙面の手前側に向けて突出しており、各凸部741の頂面は、現像ローラ7aの回転軸と同軸である単一の円筒面(包絡円筒面)の一部をそれぞれ成している。また、凹部742は凸部741の周りを網目状に取り囲む連続した溝となっており、凹部742全体も現像ローラ7aの回転軸と同軸かつ凸部の成す円筒面とは異なる1つの円筒面を成している。そして、凸部741とそれを取り囲む凹部742との間は緩やかな斜面743によって繋がれている。すなわち、該斜面743は現像ローラ7aの半径方向外向き、つまり現像ローラ7aの回転軸から遠ざかる方向の成分を有する。
このような構造の現像ローラ7aについては、例えば特開2007−140080号公報に記載のいわゆる転造加工を用いた製造方法により製造することができる。これにより、現像ローラ7aの円筒面に規則的かつ均一な凹凸部を形成することができる。そのため、得られる現像ローラ7aは、その円筒面に均一かつ最適な量のトナーを担持させることができ、また、現像ローラ7aの円筒面でのトナーの転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。その結果、トナーの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。また、型を用いて凹凸部を形成するため、ブラスト加工により得られた一般的な現像ローラと異なり、得られる凹凸部はその凸部の先端の幅を比較的大きくすることができる。このような凹凸部は優れた機械的強度を有する。特に、型により押圧された部位は機械的強度が向上するので、得られる凹凸部は、切削加工のような処理で得られたものと比しても優れた機械的強度を有する。このような凹凸部を有する現像ローラ7aは、優れた耐久性を発揮することができる。また、凹凸部の凸部の先端の幅が比較的大きいと、磨耗しても形状変化が少ないので、現像特性が急激に低下することも防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
図5は現像ローラ表面の構造の詳細を示す断面図である。図5(a)に示すように、現像ローラ7a表面を断面方向から見ると、周方向外側に向けて突出した凸部741と、これに比べると後退した凹部742とが交互に配列されている。また凸部741と凹部742とが斜面743により繋がれている。凸部741頂面の寸法および凹部742の幅は例えば100μm程度とすることができるがこれに限定されない。一方、凸部741と凹部742との高低差、言い換えれば凸部741を取り囲む溝状の凹部742の深さについては、使用トナーの体積平均粒径Daveよりも大きな値とする。こうすることにより、凹部742に1層以上のトナーを担持させることができ、しかも、担持されたトナーの多くは凸部741の頂面から外部に突出しないので、規制ブレード76やシール部材77による摺擦に起因する外添剤の剥落や変形などの劣化を免れることができる。
より好ましくは、図5(a)に示すように、凹部742の深さを体積平均粒径Daveの2倍(2Dave)以上とする。こうすることで、図5(b)に示すように、凸部742頂面を結ぶ線(破線で示す)よりも外部に突出することなく凹部742に2層以上のトナーを担持させることが可能となる。図5(b)において、符号T1を付した白丸印は現像ローラ7a表面に直接接触しているトナー(接触トナー)を示している。また、符号T2およびハッチングを付した丸印は現像ローラ7a表面には直接接触せずに凹部742に担持されているトナー(非接触トナー)を示している。2層以上のトナー層はこのように接触トナーおよび非接触トナーの双方を含む。非接触トナーT2は接触トナーT1に比べて現像ローラ表面への拘束力が弱いため飛翔しやすく、トナーの飛翔量を大きくして画像濃度を確保するのに効果的である。その一方、拘束力の弱さに起因して、現像ローラ7aの回転によりその表面に生じる気流により現像ローラ7a表面から離脱して飛散しやすいという問題もある。
図5(b)において破線で示した凸部742頂面を結ぶ線は、各凸部741の頂面を1つの円筒面の一部と考えたときの包絡円筒面上の曲線である。凹部742に担持されるトナーがこの線を越えないということは、現像ローラ7a表面においてこの包絡円筒面よりも外側にトナーが露出することがないということを意味する。したがって、現像ローラ7aの回転に起因して現像ローラ7a表面に強い気流が発生したとしても、現像ローラ7a表面から後退した位置に担持されているトナーにはその影響が及ばず、現像ローラへの拘束力の弱い非接触トナーであっても離脱、飛翔することは防止されている。
現像ローラ7a表面に図5(b)に示すようにトナーを担持させるためには、図5(c)に示すように、現像ローラ回転方向D7における規制ブレード76の弾性部材762の上流側エッジ762aを現像ローラ7aの凸部741に当接させる、いわゆるエッジ規制によって凸部741へのトナー付着を規制する。これとともに、弾性部材762として適度な弾性を有する材料を選ぶことによって、凹部742との対向位置で弾性部材762が凹部742に向けてわずかにせり出すようにすればよい。こうすることで、凸部741へのトナー付着を規制するとともに、包絡円筒面を越えてトナーが凹部742に担持されることが防止される。
凹部742のみにトナーを担持させることによって、次のような効果も得られる。まず、凸部741に均一なトナー層を形成するためには規制ブレード76と凸部741とのギャップの精密な管理が必要となるが、凹部742のみにトナーを担持させるためには規制ブレード76と凸部741とを当接させて凸部741のトナーを全て除去すればよいので実現が比較的容易である。また、搬送されるトナーの量は規制ブレード76と凹部742との隙間に生じる空間の容積によって決まるので、トナー搬送量を安定させることができる。
また、搬送されるトナー層の良好さという点においても利点がある。すなわち、凸部741にトナーを担持させると規制ブレード76との摺擦に起因するトナーの劣化が起こりやすい。具体的には、トナーの流動性や帯電性が低下したり、トナーが圧粉状態となり凝集したり現像ローラ7aに固着してフィルミングを生じさせるなどの問題がある。これに対し、規制ブレード76からの押圧をあまり受けない凹部742にトナーを担持させるとこのような問題が起こりにくい。また、凸部741に担持されるトナーと凹部742に担持されるトナーとでは規制ブレード76との摺接のされ方が大きく異なるため、トナーの帯電量のばらつきが大きくなることが予想されるが、凹部742のみにトナーを担持させることでこのようなばらつきも抑えられる。
特に近年では、画像の高精細化やトナー消費量および消費電力の削減を実現するためにトナーの小粒径化や定着温度の低温化が求められているが、本実施形態の構成はこのような要求にも対応することが可能なものである。小粒径トナーにおいては帯電の立ち上がりが鈍いにもかかわらず飽和帯電量が高いため、凸部741に担持されたトナーは凹部742に担持されたトナーよりも帯電量が著しく高く(過帯電)なる傾向にある。このような帯電量の差はいわゆる現像履歴として画像に現れる。また、低融点トナーでは摺擦によるトナー同士または現像ローラ7a等への固着が起きやすい。しかしながら、凹部742のみにトナーを担持する本実施形態の構成ではこのような問題は生じにくい。
なお、この実施形態において、使用するトナーの粒子径は特に限定されないが、体積平均粒径Daveが5μm以下であるトナーを使用する場合に特に顕著な効果を発揮する。このような小粒径トナーは、その粒子径の小ささゆえにファンデルワールス力が強く作用し現像ローラ7aからの飛翔が難しい。また、導電性材料からなる現像ローラ7aに強く働く鏡像力により現像ローラ7aからの飛翔が難しい。このため、1層を越えるトナーを現像ローラ7aに担持させ、接触トナー、非接触トナーのいずれをも飛翔させて現像動作に寄与させる本実施形態の現像方式が、特に優れた効果を奏する。
また、5μm程度を境にして、これ以下の体積平均粒径を有するトナーは粉体としての性質が強まり、より粒径の大きなトナーとは挙動が異なってくる。例えば、粒子径の小さなトナーは質量が小さいため、いったん飛散すると長い時間空中を漂うことになり、装置内ばかりか装置外部へも漏れ出してしまうことがある。本実施形態の装置はトナー飛散を効果的に抑制しているため、粒子径の小さなトナーを使用する場合でもこのような問題が生じることはない。
また、詳しくは詳述するが、この実施形態では、こうしてトナーを担持させず露出させた凸部741の金属表面が、現像位置DPにおいて飛翔する過剰なトナーを捕捉して飛翔を抑制するトラップとしての機能を果たしている。
次に、上記のように構成された画像形成装置に適用されるトナーについて説明する。この実施形態の画像形成装置では、負極性に帯電させた非磁性一成分系のトナーを用いて静電潜像の現像を行う。以下では、トナーの本来の帯電極性である負極性を「正規極性」、これとは反対の正極性を「逆極性」と称することとする。一方、絶対的な帯電極性が正極性であるトナーや外添剤などの粒子を「正帯電粒子」、帯電極性が負であるトナーや外添剤などの粒子を「負帯電粒子」と称する。したがって、絶対的な帯電極性が正極性である「正帯電トナー」は本実施形態においては「逆帯電トナー」である。一方、絶対的な帯電極性が負極性である「負帯電トナー」が本実施形態における「正規帯電トナー」である。
図6はトナーの帯電量分布を示す図である。この図は、現像ローラ表面から採集されたトナーの帯電量分布を個数基準で計測した結果を示している。この実施形態において使用するトナーは負極性を正規帯電極性とするが、図6に示すように、トナーの帯電特性にはばらつきがあり、帯電量分布は概ね正規分布となる。中には全く帯電しなかったり、逆極性(この場合は正極性)に帯電するトナーも含まれる。
図7はこの実施形態において各部に付与する電位の関係を示す図である。感光体2の表面電位Vsは、帯電器5により帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLを照射された露光部においては電荷が中和されて電位VLとなる一方、露光されなかった非露光部では暗減衰後の電位Voとなっている。一方、現像バイアスVbは図7に示すように矩形波交流電圧であり、その正側の最大値を符号Vmax、負側の最大値を符号Vmin、両者の電位差(振幅に相当)を符号Vppにより表す。また、現像バイアスの平均電位を符号Vaveにより表す。
現像バイアスVbの交流成分の繰り返し周期Tcのうち、電位が正側に振れている期間を符号Tp、負側に振れている期間を符号Tnにより表すとともに、現像バイアスVbの波形デューティWDを次式:
WD=Tp/(Tp+Tn)=Tp/Tc
により定義する。図7に示すように、この実施形態ではTp>Tnとなるように、つまり波形デューティWDが50%より大きくなるように、バイアス波形が定められている。これは、正規帯電トナーが感光体2から現像ローラ7aに向かって飛翔する期間がその逆の期間よりも長くなるようにすることで、感光体2の非露光部、つまり本来トナーを付着させるべきでない領域に付着した正規帯電トナーを現像ローラ7a側へ効率よく引き戻し地カブリを抑制するためである。
WD=Tp/(Tp+Tn)=Tp/Tc
により定義する。図7に示すように、この実施形態ではTp>Tnとなるように、つまり波形デューティWDが50%より大きくなるように、バイアス波形が定められている。これは、正規帯電トナーが感光体2から現像ローラ7aに向かって飛翔する期間がその逆の期間よりも長くなるようにすることで、感光体2の非露光部、つまり本来トナーを付着させるべきでない領域に付着した正規帯電トナーを現像ローラ7a側へ効率よく引き戻し地カブリを抑制するためである。
図8は各部の電位の数値の一例を示す図である。なお、ここに開示する数値は本発明の要件を満たす一例に過ぎず、本発明の実施の態様はこれらの数値に限定されるものではない。感光体2の非露光部電位Voは、代表的には(−500)Vであるが後述するようにその前後で可変である。一方、露光部電位VLは感光体材料の特性によって決まる値でここでは(−100)Vとする。現像バイアスVbの正側最大値Vmax、負側最大値Vminはそれぞれ(+200)V、(−800)Vである。したがって振幅Vppは1000Vである。波形デューティWDを60%としているので、現像バイアスVbの平均電位Vaveは(−200)Vとなる。また現像バイアスVbの周波数は4kHzである。
現像バイアスVbの平均値Vaveと感光体2の露光部電位VLとの電位差は、一般に「コントラスト電圧」と呼ばれる画像濃度に影響を与えるパラメータであり、これを符号Vcontにより表す。一方、現像バイアスVbの平均値Vaveと感光体2の非露光部電位Voとの電位差は、画像濃度への影響は少ないが現像位置DPにおけるトナー飛散やカブリの量に影響を与えるパラメータであり、ここではこの電位差を「逆コントラスト電圧」と称し符号Vrにより表す。
画像濃度を制御するために、コントラスト電圧Vcontを可変とする必要がある一方、トナー飛散やカブリ量を安定化させるためには逆コントラスト電圧Vrについては一定値を維持することが好ましい。そこで、この実施形態では、現像バイアスVbの各パラメータVmax、VminおよびWDを変更可能とすることで平均電圧Vaveを制御して所望の画像濃度を得るとともに、平均電圧Vaveの変化に帯電バイアスVgを連動させて感光体2の非露光部電位Voを変化させることにより、逆コントラスト電圧Vrが一定値に保たれるようにしている。
また、中間転写ベルト8aに印加する転写バイアスVt1およびブラシローラ4に印加するクリーニングバイアスVbrはいずれも(+300)Vである。ただし、これらを同値とする必要は特にない。
このような電位関係とする理由について以下説明する。図8に示すように、現像バイアスVbの正側最大値Vmaxと感光体非露光部電位Voとの電位差の絶対値を符号V1、現像バイアスVbの負側最大値Vminと感光体非露光部電位Voとの電位差の絶対値を符号V2により表す。また、転写バイアス電位Vt1と感光体露光部電位VLとの電位差の絶対値を符号V3、転写バイアス電位Vt1と感光体非露光部電位Voとの電位差の絶対値を符号V4により表す。すなわち、
V1=|Vmax−Vo|
V2=|Vmin−Vo|
V3=|Vt1−VL|
V4=|Vt1−Vo|
である。なお、上記数値例からわかるように、この実施形態では、
V1=|(+200)−(−500)|=700
V2=|(−800)−(−500)|=300
であるから、V1>V2、すなわち
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo| … (式1)
の関係が成立している。
V1=|Vmax−Vo|
V2=|Vmin−Vo|
V3=|Vt1−VL|
V4=|Vt1−Vo|
である。なお、上記数値例からわかるように、この実施形態では、
V1=|(+200)−(−500)|=700
V2=|(−800)−(−500)|=300
であるから、V1>V2、すなわち
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo| … (式1)
の関係が成立している。
図9は各部の電位が帯電粒子に与える影響を模式的に示す図である。まず、正極性に帯電した粒子(トナーまたは外添剤)への影響について図9(a)を参照して説明する。図において、「+」を付した丸印は正に帯電した粒子(正帯電粒子)を表す。現像バイアスVbが正側の値Vmaxに振れている時刻においては、現像ローラ7aは感光体2の露光部、非露光部のいずれに対しても高電位となっている。そのため、現像位置DPに生じる電界は、正帯電粒子に対しては、現像ローラ7a側から感光体2側に向かう方向(以下、「現像方向」という)の力を発生させるように作用する。この力により感光体2表面に移行するトナーのうち、非露光部に付着したものはカブリを生じさせることとなる。一方、現像バイアスVbが負側の値Vminに振れている時刻においては、電界は感光体2から現像ローラ7aに向かって正帯電粒子を引き戻す方向(以下、「引き戻し方向」という)の力を生じさせる。
次に、負極性に帯電した粒子(負帯電粒子)への影響について図9(b)を参照して説明する。図において「−」を付した丸印で示す負帯電粒子に対しては、電界は上記と逆の作用をする。すなわち、現像バイアスVbが正側に振れている時、負帯電粒子には感光体2側から現像ローラ7a側へ向かう引き戻し方向の力が作用する。また現像バイアスVbが負側に振れている時、負帯電粒子には現像ローラ7a側から感光体2側へ向かう現像方向の力が作用する。この力により感光体2表面に移行する負帯電トナーのうち、露光部に付着したものは静電潜像を現像する作用をする。
ここで、上記したようにV1>V2の関係があるため、感光体2の非露光部と現像ローラ7aとの間に形成される電界については次のようにいうことができる。すなわち、正帯電粒子については、引き戻し方向の電界よりも現像方向の電界の方が強くなっている。一方、負帯電粒子については、現像方向よりも引き戻し方向の電界の方が強くなる。したがって、感光体2の非露光部に対しては、負帯電粒子よりも正帯電粒子の方がより付着しやすくなっていることがわかる。
図10は現像位置における電界分布を模式的に示す図である。互いに円筒形状を有する感光体2と現像ローラ7aとがギャップを隔てて対向する現像位置DPにおいては、両者が最も近接しその距離が最小値Dgとなる最近接ギャップ位置を中心に、そこから離れるにつれて距離が広がってゆく。したがって、両者の間に生じる電界の強度は、図10に示すように最近接ギャップ位置で最も高くその両側で漸減する。
現像ローラ7a上に担持され現像位置へ搬送されてくる帯電トナーTは、静電的に現像ローラ7a表面に付着しており、現像ローラ7aから引き剥がす方向の電界の強度がその付着力に打ち勝つ所定の閾値Ethを超えると、トナーは現像ローラ7a表面から飛翔開始し、交番電界の作用により往復飛翔する。すなわち、現像位置DPにおいて電界強度が閾値Eth以上である幅Wの領域が、トナーが往復飛翔する飛翔領域JRであり、その意味でこの幅Wが実効的な現像ニップ幅であるということができる。
図11は現像バイアスによって生じる電界分布を示す図である。より具体的には、感光体2の非露光部と現像ローラ7aとの間に形成される電界の強度分布を示す図である。現像バイアスVbは矩形波交流電圧であるため、現像バイアスVbの変化に応じて現像位置DPにおける電界強度も変化する。現像バイアスVbが正側の値Vmaxに振れている時および負側の値Vminに振れている時の、最近接ギャップ位置における電界強度E1、E2はそれぞれ、
E1=V1/Dg=|Vmax−Vo|/Dg
E2=V2/Dg=|Vmin−Vo|/Dg
と表される。ここで、V1>V2であるからE1>E2であり、現像位置DPにおける電界分布は図11(a)に示すとおりとなる。
E1=V1/Dg=|Vmax−Vo|/Dg
E2=V2/Dg=|Vmin−Vo|/Dg
と表される。ここで、V1>V2であるからE1>E2であり、現像位置DPにおける電界分布は図11(a)に示すとおりとなる。
ここで、電界強度が閾値Eth以上となる領域を飛翔領域JRと考えたとき、現像バイアスVbが正側Vmaxに振れた時の飛翔領域の幅W1は、負側Vminに振れた時の飛翔領域の幅W2よりも大きくなっている。前記したように、現像バイアスVbが正側Vmaxに振れている時、正帯電粒子には現像方向の力が、負帯電粒子には引き戻し方向の力が作用する。逆に、現像バイアスVbが負側Vminに振れている時、正帯電粒子には引き戻し方向の力が、負帯電粒子には現像方向の力が作用する。
したがって、図11(b)に示すように、正帯電粒子については、現像方向の飛翔領域の幅がW1、引き戻し方向の飛翔領域の幅がW2となる。一方、負帯電粒子についてみれば、引き戻し方向の飛翔領域の幅がW1、現像方向の飛翔領域の幅がW2となる。つまり、現像ローラ7aからトナーを飛翔開始させる現像方向の飛翔領域に着目すると、負帯電粒子よりも正帯電粒子の方が飛翔領域JRの幅が広い。
このことから、現像ローラ7a表面においては、現像位置DPへ向かって移動してゆくにつれて電界強度が上昇し、まず正帯電粒子が先に飛翔を開始し、負帯電粒子はこれより遅れて飛翔を開始することとなる。最初に飛翔を開始した正帯電粒子は感光体2表面に向かって飛翔し、一部がその表面に付着する。このとき、強い鏡像力が作用するにもかかわらず引き戻し方向の電界が弱いため、感光体2表面に付着したまま再飛翔しない粒子が現れる。また、現像ローラ7a側に引き戻された正帯電粒子が現像ローラ7aの露出した凸部741の表面に付着すると、鏡像力が強く作用するため再飛翔しにくくなる。すなわち、この実施形態では、トナーを担持させず露出させた凸部741の金属表面が、現像位置DPにおいて飛翔する過剰なトナー、特に正帯電トナーを捕捉して飛翔を抑制するトラップとしての機能を果たしている。このため、この時点で感光体2の表面および現像ローラ7a表面の凸部741は正帯電粒子で薄く覆われた状態となる。
遅れて飛翔開始した負帯電粒子は、感光体2の露光部に付着して静電潜像を現像する一方、非露光部にはほとんど付着しない。というのは、負帯電粒子に対しては引き戻し方向に強い電界が形成されるのに加えて、感光体2表面に正帯電粒子が付着していることに起因して新たな粒子に対し感光体2が及ぼす付着力が弱められているからである。
図12は感光体表面上で生じる現象を模式的に示す図である。上記したように、現像位置DPを通過した感光体2表面では、その露光部には主に負帯電粒子が付着して静電潜像が現像される一方、非露光部には主として正帯電粒子が薄く付着した状態となっている。この状態で感光体2は転写位置TPに向かって移動してゆく。中間転写ベルト8aには正極性の転写バイアスVt1が印加されており、その大きさは、中間転写ベルト8aと感光体2の露光部との電位差V3(図8)が中間転写ベルト8aと感光体2との間の放電開始電圧を超えず、中間転写ベルト8aと感光体2の非露光部との電位差V4が放電開始電圧を超えるような値に設定される。一般的な装置構成である膜厚25μmの感光体では放電開始電圧は600V程度であり、図8に示すように転写バイアスVt1を(+300)Vとすると、V3が400V、V4が800Vとなって上記条件を満たす。
このような条件下では、中間転写ベルト8aから感光体2の非画像部に向かって放電が生じる。この放電は、感光体2の回転方向D2において転写位置TPの手前側位置TP0で生じ、この放電によって感光体2の非露光部に付着しているトナーや外添剤などの粒子にも電荷が注入され、正帯電粒子はその帯電量が増加する一方、負帯電粒子は極性が反転し正帯電粒子となる。こうして非露光部に付着している粒子はほとんどが正帯電粒子となる。
転写位置TPにおいて、正極性の転写バイアスVt1を印加された中間転写ベルト8aが感光体2表面に当接されており、したがって感光体2上の負帯電粒子は中間転写ベルト8aへ移行する。感光体2表面のうち露光部に付着した負帯電トナーはトナー像として中間転写ベルト8aに転写されるが、非露光部に付着した負帯電トナーはトナー像に地カブリを生じさせる。この実施形態では上記のように非露光部の負帯電粒子の極性を反転させているので地カブリが抑制される。
一方、正帯電粒子は正の転写バイアスVt1の作用により中間転写ベルト8aには移行せず感光体2上に残留したままクリーニング位置BPへ送られる。クリーニング位置BPにおいて感光体2と当接するブラシローラ4aにも正極性のクリーニングバイアスVbrが付与されているため、感光体2上に付着している正帯電粒子を収集する作用はない。特に、ブラシローラ4aを感光体2に対しウィズ回転させることにより、ブラシによる正帯電粒子の掻き取り作用も小さく抑えられる。
転写効率が100%以下であることに起因して、転写位置TPを通過した感光体2の露光部表面には転写残りの負帯電粒子が残留していることがある。このような負帯電粒子はブラシローラ4aとの当接により正の電荷を与えられて正極性に転換するか、ブラシ毛4bに吸着されて感光体2表面から除去される。こうして、クリーニング位置BPの下流側ではほぼ正帯電粒子のみが感光体2表面に付着した状態となっている。
この正帯電粒子は、非接触であるため帯電器5に付着することもなく、帯電位置CPおよび露光位置EPを通過して再び現像位置DPに到達する。前記したように現像位置DPでは負帯電粒子よりも正帯電粒子が先に飛翔開始し、しかも感光体2から現像ローラ7aへ向かうよりも、現像ローラ7aから感光体2へ向かう方向の飛翔が先に開始される。したがって現像ローラ7a上の正帯電粒子が最初に飛翔開始するが、感光体2表面には周回の過程で帯電量を高められた正帯電粒子が既に付着しているために感光体2が及ぼす付着力が弱められており、新たな正帯電粒子の付着は起こりにくい。感光体2に付着せずに現像ローラ7a側に引き戻された正帯電粒子は現像ローラ7aのトナーを担持しない凸部741表面に捕捉される。このため、凸部741表面は正帯電粒子により覆われる。したがって、感光体2上に付着する正帯電粒子はある程度の量に達するとそれ以上はほとんど増えない。すなわち、この実施形態では、凸部741が過剰な正帯電粒子を回収する作用をしており、これにより一定量の正帯電粒子が常時感光体2上に分散付着した状態で画像形成プロセスが進行する。
図13は感光体上の残留トナー量の変化の実測結果を示す図である。実験は、上記のようなプロセスにより感光体2表面に正帯電粒子を付着させた後、トナーが全く入っていない現像器を装置に装着して動作させたときの、感光体2上のトナー付着量の変化を感光体2表面の光学濃度(OD)を測定することによって行った。その結果、図13に示すように、感光体2の周回を重ねても表面のOD値は初期値OD2からほとんど変化せず、感光体2上のトナーがほとんど除去されていないことが確認された。図13における破線は、感光体上の残留物を現像器に回収したりクリーニングブレードで掻き取るように構成された従来の画像形成装置において予想されるOD値の変化を比較例として示したものである。また一点鎖線で示す値OD1は感光体2単体のOD値であり、トナーが全く付着していないときのOD値を表す。なお、トナーを充填した現像器を装着し感光体2上に全くトナーが付着していない状態から動作させたときには、当初OD値が増加するものの最終的には図13に示す値OD2でほぼ一定となり、付着量が飽和することが確認された。
ここで、現像ローラ表面の総面積と、そのうちトナーを担持させずに露出させるべき領域の面積との関係について検討する。トナーを担持させずに露出させた現像ローラ7aの表面(凸部741)は、現像位置DPにおいて飛翔開始した正帯電トナーを捕捉するトラップとしての機能を有する。したがって、飛翔した正帯電トナーを全て捕捉するに足りるだけの面積が露出していればよいこととなる。トナーに含まれる正帯電トナーの比率は、図6に示す当該トナーの帯電量分布から推定することが可能である。ここでは、トナーの帯電量分布曲線から推定される正帯電トナーの比率をN%とする。
図14は凸部の必要面積を検討するための図である。現像ローラ7a表面に担持されるトナーのうち正帯電トナーのみを選択的に取り出したと仮定したとき、この正帯電トナーの全てを凸部741上に担持させることができれば、上記目的は達成される。したがって、現像ローラ7a表面に均一にトナーを担持させると仮定すると、該表面のうち実際にトナーが担持される中央部74a(図14(a))の総面積(有効表面積)に占める各凸部741頂面の合計面積の比率が、N%以上であればよいことになる。より簡便には、図14(b)に斜線を付して示す1つの凸部頂面Aaの面積と、図14(b)に破線で示す隣接する各凸部間の中央を通る線によって囲まれる、図14(b)に太い実線で示す菱形領域Abの面積との比が、上記N%以上であればよい。
また、図14(c)に示すように、凸部741の頂面にも少量のトナーTを担持させることを許可する場合には、各凸部741頂面のトナーに覆われていない領域の合計面積と現像ローラ7a全体の有効表面積との比がN%以上であればよい。
以上のように、この実施形態では、凹凸を設けた現像ローラ7a表面のうち凸部741にトナーを担持させないことによって導電性の表面を露出させておき、感光体2表面を非接触の帯電器5により帯電させ、前記した(式1)の関係を満たすようにバイアス電位を設定している。また、中間転写ベルト8aに、感光体2の露光部との間に放電を生じず非露光部との間に放電を生じるような正極性の転写バイアスVt1を印加する一方、ブラシローラ4にも正極性のクリーニングバイアスVbrを印加している。
このような構成とすることによって、一定量の正帯電粒子が常時感光体2上に分散付着した状態で、画像形成プロセスが進行することになる。この正帯電粒子はプロセスの進行中ほとんど増減せず、また除去もされないので、最初に感光体2上に正帯電粒子を供給するために消費された後は新たにトナーを消費することがない。このため、クリーニングブレードにより残留トナーを掻き取る従来技術に比べて無駄なトナー消費を抑えることができる。また、感光体2に付着した状態で周回したトナーが現像ローラ7aに回収される可能性も低いので、現像器内で劣化トナーが増加してゆくという不具合も生じない。
また、この実施形態では、上記のように正帯電粒子を感光体2上に残留させる一方で、トナーの本来の帯電極性である負帯電粒子については、転写位置TP手前の位置TP0で極性を反転させるか、クリーニング位置BPなどで確実に除去したりして感光体2上に残留させないようにしている。感光体2の非露光部に付着した負帯電粒子は中間転写ベルト8aに転写されてしまうため、非露光部上の負帯電トナーの存在はトナー像に地カブリを生じさせる原因となるが、この実施形態では負帯電粒子を極性を反転させて正帯電粒子にするか除去してしまうため、正帯電粒子のみを選択的に感光体2上に残留させることで、地カブリの発生を抑えることができる。
またこの実施形態は、例えば体積平均粒径が5μm以下といった小粒径トナーを使用する場合にも優れた効果を発揮する。その理由は以下のとおりである。このような小粒径のトナーはその粒径の小ささおよび感光体への付着力の強さに起因して、感光体から完全に除去してしまうことが困難である。特に、トナー母粒子から脱落した外添剤は極めて微小な粒子となっていることがあり、これを取り除くことは極めて困難である。
クリーニングブレードにより、あるいは現像器への回収により感光体から残留トナーを除去してしまうことを前提としている従来技術の装置においては、このようなトナー除去の困難さに起因して、小粒径トナーを使用した場合にプロセスに無理が生じることがあった。例えばクリーニングブレードによるものでは、より確実にクリーニングを行うためブレードの当接圧を高めることが考えられるが、このことは感光体にフィルミングを生じさせたり磨耗を早めてしまうことになる。また、現像器へ回収する構成においては、回収しきれない残留物が画像品質を低下させてしまうおそれがある。
これに対して、この実施形態では、一定量の帯電粒子が感光体2上に残留することを許容しつつもその帯電極性を制御することにより、画像品質や装置寿命に悪影響を与えることなく動作することが可能となっている。すなわち、この実施形態は小粒径トナーを好適に使用することができるものである。
また、この画像形成装置では、転写位置TP後に感光体表面を除電する除電ユニットを設けていない。感光体の表面電位をリセットしていわゆる画像履歴を消去する目的で除電ユニットを設けることがあるが、この実施形態では、感光体2表面に正帯電粒子を残留させておくことで上記した効果を得ており、残留するトナー等を除電してしまうとこの効果は薄れるので、上記効果を最大に発揮させるという観点からは除電を行わないことが望ましい。また、感光体の表面電位をリセットすると次の帯電時に大きな電位の変更が必要となり、この際に帯電器5と感光体2との間で放電が生じて感光体2上の正帯電粒子の帯電量や極性を変動させてしまうことがある。この点でも除電を行わないことが望ましい。
以上説明したように、この実施形態では、感光体2が本発明の「潜像担持体」として機能する一方、帯電器5および露光ユニット6がそれぞれ本発明の「帯電手段」および「潜像形成手段」として機能している。そして、感光体2表面のうち露光ユニット6により露光される露光部が本発明の「画像部」に相当しており、非露光部が「非画像部」に相当している。また、この実施形態では、現像器7が本発明の「現像手段」として機能する一方、現像ローラ7aが「トナー担持体」および「トナー担持ローラ」として機能しており、凸部741および凹部742がそれぞれ本発明の「非担持領域」および「トナー担持領域」に相当している。
また、この実施形態では、転写ユニット8が本発明の「転写手段」として機能しており、中間転写ベルト8aが「転写媒体」として機能している。また、クリーニングローラ4が本発明の「クリーニング手段」として機能しており、ブラシローラ4aが「当接部材」として機能している。さらに、規制ブレード76に設けられた弾性部材762が、本発明の「規制部材」としての機能を果たしている。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の説明において示した各数値は一例にすぎず、本発明がこれらに限定されるものではない。また、クリーニングローラ4に印加されるクリーニングバイアスは、上記実施形態のように直流電位だけでなく、直流電位に交流電位を重畳したものであってもよい。この場合にはクリーニングバイアスの平均電位がトナーの正規帯電極性と逆極性となるようにすればよい。
また、上記実施形態は帯電させた感光体2表面のうち露光により電荷が除去された領域にトナーを付着させる、いわゆるネガ潜像タイプの画像形成装置であり、感光体2上においては露光された領域(露光部)がトナーを付着させるべき本発明における「画像部」である一方、露光されなかった領域(非露光部)が本発明における「非画像部」となっている。しかしながら、本発明は露光により電荷の発生した領域にトナーを付着させる、いわゆるポジ潜像タイプの画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。この場合には、感光体上の露光された領域が「画像部」、露光されなかった領域が「非画像部」となる。また、本実施形態では負帯電トナーを使用しているが、正帯電トナーを使用する画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。この場合には各部の電位関係を上記と逆転させればよい。
また、上記実施形態の画像形成装置は、均一に帯電された感光体2表面を露光ユニット6により露光することで静電潜像を形成する装置であるが、帯電された潜像担持体の表面に静電潜像を形成することができるものであれば、上記のように露光によるもの以外の潜像形成手段を用いてもよい。
また、本実施形態における現像ローラ7aの表面構造は、略菱形の頂面を有する凸部741とこれを取り囲むように設けられた凹部742とを規則的に配してなるものであるが、凸部の形状や現像ローラの表面構造はこれに限定されるものではない。これ以外にも例えば、ほぼ平滑な包絡円筒面上に多数のディンプルを設けた構造のものや、螺旋状の溝を設けたものも利用可能である。
また、このように規則的な凹凸を設けた現像ローラ以外にも、表面の一部をトナーを担持させず露出させることができるのであれば、例えば従来から用いられているブラスト加工により表面を荒らした現像ローラであってもよいが、本実施形態のように露出させる領域の面積を管理できるような構造であることがより望ましい。また、本実施形態のように、微小な面積のトナー担持領域と非担持領域とが交互に配置されるようにすると、凹部から飛翔した正帯電粒子を近傍の凸部で確実に捕捉することができるので、この点からも規則的な凹凸を設けた構造とすることが好ましい。
また、上記実施形態では現像ユニット7の個数について特に言及していないが、本発明は、回転自在のロータリー現像ユニットに複数の現像ユニットを装着したカラー画像形成装置や、複数の現像ユニットを中間転写媒体の周囲に配置したいわゆるタンデム型の画像形成装置、現像ユニットを1個だけ備えてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置などに対して好適に適用することが可能である。
2…感光体(潜像担持体)、 4…クリーニングローラ(クリーニング手段)、 4a…ブラシローラ(当接部材)、 5…帯電器(帯電手段)、 6…露光ユニット(潜像形成手段)、 7…現像器(現像手段)、 7a…現像ローラ(トナー担持体、トナー担持ローラ)、 8…転写ユニット(転写手段)、 8a…中間転写ベルト(転写媒体)、 741…凸部(非担持領域)、 742…凹部(トナー担持領域)、 762…弾性部材(規制部材)、 BP…クリーニング位置、 CP…帯電位置、 DP…現像位置、 EP…露光位置(潜像形成位置)、 TP…転写位置
Claims (9)
- 所定の回転方向に周回移動する潜像担持体と、
所定の帯電位置で、前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、
前記回転方向において前記帯電位置よりも下流の潜像形成位置で、帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記回転方向において前記潜像形成位置よりも下流の現像位置で前記潜像担持体に対し非接触対向配置されたトナー担持体を有し、該トナー担持体がその表面に帯電トナーを担持して前記現像位置へトナーを搬送するとともに現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記回転方向において前記現像位置よりも下流の転写位置で、前記潜像担持体に転写媒体を当接させるとともに前記転写媒体に前記正規帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加して前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、
前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置で、トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与された当接部材を当接させて、前記潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性に帯電したトナーを除去するクリーニング手段と
を備え、
前記トナー担持体の表面が導電性を有するとともに、前記現像位置において該表面はトナーを担持するトナー担持領域とトナーを担持せず導電性表面が露出した非担持領域とを有しており、
前記転写バイアスの電位は、前記潜像担持体の画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせず前記潜像担持体の非画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせる直流電位であり、
前記現像位置における前記潜像担持体の前記非画像部の電位をVo、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記潜像担持体から前記トナー担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVmax、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記トナー担持体から前記潜像担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVminとしたとき、下式:
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係が成立する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記トナー担持体の有効表面積に対して前記非担持領域の表面積が占める比率が、個数基準の帯電量分布において全トナーに占める前記正規帯電極性とは逆極性に帯電したトナーの比率以上である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナー担持体は表面に規則的な凹凸を有するローラ状に形成されて回転するトナー担持ローラであり、前記トナーが前記トナー担持ローラ表面の凹部に担持されて該凹部が前記トナー担持領域となる一方、前記トナー担持ローラ表面の凸部の少なくとも一部が前記非担持領域となっている請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記トナー担持体は表面に規則的な凹凸を有するローラ状に形成されて回転するトナー担持ローラであるとともに各凸部の頂面が互いに同一の円筒面の一部をなしており、
前記現像手段は、前記トナー担持ローラの回転方向において前記現像位置よりも上流側でエッジ部が前記トナー担持ローラの凸部に当接することによって前記凸部へのトナー付着を規制する、弾性材料からなる規制部材を備える請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記クリーニング手段の前記当接部材は、導電性を有しトナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与されて前記潜像担持体表面に当接する多数のブラシ毛を備えるブラシローラである請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ブラシローラが、前記潜像担持体に対してウィズ回転する請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記転写位置と前記帯電位置との間において前記潜像担持体の除電を行わない請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記トナーの体積平均粒径が5μm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の周囲に、その回転方向に沿って、
前記潜像担持体表面に対し非接触で該表面をトナーの正規帯電極性と同極性の電位に帯電させる帯電手段と、
帯電された前記潜像担持体表面の電位を、トナーを付着させる画像部と付着させない非画像部との間で異ならせることにより前記潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
表面が導電性を有し該表面は帯電トナーを担持するトナー担持領域とトナーを担持せず導電性表面が露出した非担持領域とを有するとともに前記潜像担持体に対し非接触で対向するトナー担持体を備え、該トナー担持体が現像バイアスとしての交番電圧を印加されて前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、
前記潜像担持体に転写媒体を当接させるとともに前記転写媒体に前記正規帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加して前記トナー像を前記転写媒体に転写する転写手段と、
前記回転方向において前記転写位置よりも下流のクリーニング位置で、トナーの正規帯電極性と逆極性の電位を付与された当接部材を当接させて、前記潜像担持体表面に残留付着する正規帯電極性に帯電したトナーを除去するクリーニング手段と
をこの順番に配置し、しかも、
前記転写バイアスの電位を、前記潜像担持体の画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせず前記潜像担持体の非画像部と前記転写媒体との間で放電を生じさせる直流電位とし、
前記トナー担持体との対向位置における前記潜像担持体の前記非画像部の電位をVo、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記潜像担持体から前記トナー担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVmax、前記正規帯電極性に帯電したトナーに対し前記トナー担持体から前記潜像担持体に向かう方向の力を生じさせ、かつその力が最大となるときの前記現像バイアスの電位をVminとしたとき、下式:
|Vmax−Vo|>|Vmin−Vo|
の関係を満たす前記現像バイアスを、前記トナー担持体に印加する
ことを特徴とする画像形成方法。
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