JP2010105897A - 光学ガラス、光学素子及び光学機器 - Google Patents

光学ガラス、光学素子及び光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率及びアッベ数が所望の範囲内にありながら、低いソラリゼーションを保持し、低い温度で軟化し易く、且つガラス形成時における耐失透性が高く、精密プレス成形可能な光学ガラス及び光学素子を提供する。
【解決手段】この光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を15.0〜40.0%、TiO成分を1.5〜9.5%、Nb成分を40.0〜60.0%、及びLiO成分を1.0〜25.0%含有する。また、光学素子は、この光学ガラスを母材とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、光学素子及び光学機器に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化、軽量、及び小型化の要求は、ますます強まっている。
光学素子を作製する光学ガラスの中でも、1.80以上1.90以下の屈折率(n)を有し、20以上30以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率高分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率高分散ガラスとして、特許文献1には、屈折率(nd)が1.825〜1.870、アッベ数(ν)が22〜27未満の範囲内にあるようなガラスが開示されている。
また、光学素子の中でも高屈折率高分散ガラスの非球面レンズの要望が非常に高くなっている。非球面レンズは、精密微細転写プレス(精密プレス成形)を用いて光学面を維持したままレンズ形状に成形することで、研磨でレンズ形状を形成するよりも安価で、高効率に製造できる。その中でも特に、精密プレス成形を用いて成形できる光学ガラスは、市場からの需要が特に高い。このような精密プレス成形が可能なガラスとして、特許文献2にはリン酸ニオブ系のガラスが開示されている。
国際公開第2004/110492号パンフレット 特開平08−157231号公報
こうしたガラスを用いて光学素子を作製する場合には、ガラスを加熱軟化して成形(リヒートプレス成形)して得られたガラス成形品を研削研磨する方法や、ゴブ又はガラスブロックを切断し研磨したプリフォーム材、若しくは公知の浮上成形等により成形されたプリフォーム材を加熱軟化して、高精度な成形面を持つ金型で加圧成形する方法(精密プレス成形)が用いられている。
しかしながら、特許文献1で開示されたガラスには、ガラス転移点(Tg)が高いものが多く、これらのガラスは加熱しても軟化し難かった。このため、特許文献1のガラスからプリフォーム材を作製し、プリフォーム材を加熱軟化及びプレス成形して光学素子を作製しようとすると、プリフォーム材を加熱軟化してプレス成形する温度を高める必要があるため、プレス成形に用いた金型とプリフォーム材とが融着を起こしたり、光学素子の光学特性に影響が及んだりしていた。また、特許文献2で開示されたリン酸ニオブ系のガラスは、ガラスのソラリゼーションが大きく、プレス成形を行った後にガラスが失透し易くなったり、ガラスが着色したりするため、生産性や光学特性の面で不具合があった。
この点、特許文献1で開示されたガラスでは、ガラス転移点(Tg)が低すぎるとガラス化が困難になり易く、ガラス形成時における耐失透性が低下する。ため、また、特許文献2で開示されたガラスでは、所望の光学特性を得ようとするとガラス化が困難になり易く、プレス成形を行った後にガラスが失透し易くなる。このため、特許文献1及び特許文献2で開示されたガラスは、ガラス自体の生産性が低く、精密プレス成形にも適さなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、低い温度で軟化し易く、且つガラス形成時における耐失透性の高い光学ガラスと、これを用いた光学素子及び精密プレス成形用プリフォームを得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分を併用し、SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分の含有率を所定の範囲内に抑えることによって、ガラスの高屈折率化が図られ、所望のアッベ数が得られるとともに、ガラス転移点(Tg)が低くなり、液相温度が低くなることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を15.0〜40.0%、TiO成分を1.5〜9.5%、Nb成分を40.0〜60.0%、及びLiO成分を1.0〜25.0%含有する光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
NaO成分 0〜25.0%及び/又は
O成分 0〜25.0%及び/又は
Ta成分 0〜10.0%
の各成分をさらに含有する(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成における質量比LiO/(NaO+KO)が、1.00以上15.00以下である(2)記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成における質量比LiO/(Nb+Ta)が、0.100以上0.500以下である(2)又は(3)記載の光学ガラス。
(5) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でRnO成分を0.0〜25.0%(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)含有する(2)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
ZnO成分 0〜10.0%及び/又は
MgO成分 0〜15.0%及び/又は
CaO成分 0〜20.0%及び/又は
SrO成分 0〜20.0%及び/又は
BaO成分 0〜20.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でRO成分を0〜20.0%(式中、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)含有する(6)記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
成分 0〜20.0%及び/又は
Al成分 0〜15.0%及び/又は
ZrO成分 0〜15.0%及び/又は
WO成分 0〜10.0%及び/又は
La成分 0〜10.0%及び/又は
Gd成分 0〜10.0%及び/又は
成分 0〜10.0%及び/又は
Yb成分 0〜10.0%及び/又は
Lu成分 0〜10.0%及び/又は
Sb成分 0〜1.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) 1.80以上1.90以下の屈折率(n)を有し、20以上30以下のアッベ数(ν)を有する(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) ガラス転移点(Tg)が100℃以上590℃以下である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) (1)から(10)のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
(12) (1)から(10)のいずれか記載の光学ガラスをリヒートプレス成形して作製する光学素子。
(13) (1)から(10)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して作製する光学素子。
(14) (1)から(10)のいずれか記載の光学ガラスで作製された光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分を併用し、SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分の含有率を所定の範囲内に抑えることによって、ガラスの高屈折率化が図られ、所望のアッベ数が得られるとともに、ガラス転移点(Tg)が低くなり、液相温度が低くなる。このため、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、低い温度で軟化し易く、且つガラス形成時における耐失透性が高く、且つ紫外線の長時間照射によるソラリゼーションが低減された光学ガラスと、これを用いた光学素子を得ることができる。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を15.0〜40.0%、TiO成分を1.5〜9.5%、Nb成分を40.0〜60.0%、及びLiO成分を1.0〜25.0%含有する。SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分を併用し、SiO成分、TiO成分、Nb成分、及びLiO成分の含有率を所定の範囲内に抑えることによって、ガラスの高屈折率化が図られ、所望のアッベ数が得られるとともに、ガラス転移点(Tg)が低くなり、液相温度が低くなる。このため、1.80以上1.90以下の屈折率(n)と20以上30以下のアッベ数(ν)を有しながら、低い温度で軟化し易く、且つガラス形成時における耐失透性の高い光学ガラスと、これを用いた光学素子を得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラス形成成分であり、ガラス形成時における耐失透性を高め、ガラスの化学的耐久性を向上させ、成形時の粘性を調整する成分である。特に、SiO成分の含有率を15.0%以上にすることで、所望のガラスの耐失透性及び化学的耐久性を及び成形時に必要な粘性を達成することができる。一方で、SiO成分の含有率を40.0%以下にすることで、低いガラス転移点(Tg)を確保することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは20.0%を下限とし、好ましくは40.0%、より好ましくは35.0%、最も好ましくは30.0%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
TiO成分は、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの分散を大きくする成分である。特に、TiO成分の含有率を1.5%以上にすることで、所望のガラスの屈折率、アッベ数等を達成することができる。一方で、TiO成分の含有率を9.5%以下にすることで、ソラリゼーションを低く抑え、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは1.5%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは3.0%を下限とし、好ましくは9.5%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは7.5%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有することができる。
Nb成分は、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの分散を大きくする成分である。特に、Nb成分の含有率を40.0%以上にすることで、ガラスの屈折率及びアッベ数を所望の値に調整し易くすることができる。一方で、Nb成分の含有率を60.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNb成分の含有率は、好ましくは40.0%、より好ましくは43.0%、最も好ましくは45.0%を下限とし、好ましくは60.0%、より好ましくは59.0%、最も好ましくは58.6%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有することができる。
LiO成分は、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの平均線膨張係数を小さく維持し、ガラスの溶融性を向上する成分である。特に、LiO成分の含有率を1.0%以上にすることで、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの屈折率及びアッベ数を所望の値に調整し易くすることができる。一方で、LiO成分の含有率を25.0%以下にすることで、アッベ数を所望の値に調整し易くするとともに、ガラスのリヒート(再加熱)工程における失透及び乳白化を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLiO成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは5.5%を下限とし、好ましくは25.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは13.0%を上限とする。
NaO成分は、ガラス転移点(Tg)を低下し、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、NaO成分の含有率を25.0%以下にすることで、プレス成形時におけるガラスの失透を低減することができるとともに、化学的耐久性を悪化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNaO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。本発明において、NaO成分は含有しなくとも所望の物性を有する光学ガラスは製造することはできるが、上記効果を奏し易くするためには、好ましくは0.5%、より好ましくは0.8%、最も好ましくは1.0%を下限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
O成分は、ガラス転移点(Tg)を低下し、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの分散を大きくする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、KO成分の含有率を25.0%以下にすることで、プレス成形時におけるガラスの失透を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するKO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
Ta成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの耐失透性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Ta成分の含有率を10.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa成分の使用量が減るとともに、ガラスがより低温で溶解し易くなるため、ガラスの生産コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTa成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有することができる。
本発明の光学ガラスは、NaO成分及びKO成分の質量和に対するLiO成分の質量比が、1.00以上15.00以下であることが好ましい。この質量比を1.00以上とすることで、ガラス転移点(Tg)を低くすることができる。また、この質量比を15.00以下とすることで、ガラスの精密プレス成形性を高めることができる。従って、質量比LiO/(NaO+KO)は、好ましくは1.00、より好ましくは1.10、最も好ましくは1.17を下限とし、好ましくは15.00、より好ましくは13.00、最も好ましくは10.00を上限とする。
また、本発明の光学ガラスは、Nb成分及びTa成分の質量和に対するLiO成分の質量比が0.100以上0.500以下であることが好ましい。この質量比を0.100以上にすることで、ガラスの液相温度を低くすることが出来る。また、この質量比を0.500以下にすることで、ガラスの精密プレス成形性を高めることができる。従って、質量比LiO/(Nb+Ta)は、好ましくは0.100、より好ましくは0.105、最も好ましくは0.110を下限とし、好ましくは0.500、より好ましくは0.480、最も好ましくは0.450を上限とする。
本発明の光学ガラスは、RnO(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)成分の質量和が25.0%以下であることが好ましい。この質量和を25.0%以下にすることで、ガラスの平均線膨張係数を上昇し難くし、プレス成形時におけるガラスの失透を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分の質量和は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは17.0%を上限とする。なお、本発明の光学ガラスは、RnO成分を含有しなくとも所望の物性を有する光学ガラスを得ることは可能であるが、RnO成分の質量和を1.0%以上にすることで、低いガラス転移点(Tg)を得易くし、ガラスの溶融性を向上することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分の質量和は、好ましくは1.0%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは5.0%を下限とする。
ZnO成分は、ガラスの溶融性及び耐失透性を向上し、屈折率を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZnO成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZnO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス内に含有することができる。
MgO成分は、ガラスの溶融性及び耐失透性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、MgO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するMgO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラス内に含有することができる。
CaO成分は、ガラスの溶融性及び耐失透性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス内に含有することができる。
SrO成分は、ガラスの溶融性及び耐失透性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、SrO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSrO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス内に含有することができる。
BaO成分は、ガラスの溶融性及び耐失透性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、BaO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するBaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有することができる。
本発明の光学ガラスは、RO(式中、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)成分の質量和が20.0%以下であることが好ましい。この質量和を20.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分の質量和は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。なお、本発明の光学ガラスは、RO成分を含有しなくとも所望の物性を有する光学ガラスを得ることは可能であるが、RO成分の質量和を1.0%以上にすることで、所望のガラスの光学特性を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分の含有率の合計は、好ましくは1.0%、より好ましくは1.2%、最も好ましくは1.5%を下限とする。
成分は、ガラスの化学的耐久性の低下を抑制しつつ、ガラス転移点(Tg)を低くする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、B成分の含有率を20.0%以下にすることで、所望の屈折率を得ることができるとともに、光線透過性を低下し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するB成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有することができる。
Al成分は、ガラスの化学的耐久性を高めるのに有効な成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Al成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するAl成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス内に含有することができる。
ZrO成分は、ガラス形成時における失透を低減し、ガラスの屈折率を高め、ガラスの化学的耐久性を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZrO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高め、ガラスをより低温で溶解し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは8.0%を上限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス内に含有することができる。
WO成分は、ガラス転移点(Tg)を下げ、ガラスのプレス成形性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、WO成分の含有率を10.0%以下にすることで、高価なWO成分の使用量が減るとともに、ガラスがより低温で溶解し易くなるため、ガラスの生産コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するWO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.5%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有することができる。
La成分は、高屈折率を実現し、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、La成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
Gd成分は、高屈折率を実現し、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Gd成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するGd成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
成分は、高屈折率を実現し、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Y成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するY成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
Yb成分は、高屈折率を実現し、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Yb成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するYb成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
Lu成分は、高屈折率を実現し、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Lu成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLu成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
本発明の光学ガラスは、Ln成分(LnはY、La、Gd、Yb、及びLuからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以下であることが好ましい。この質量和を15.0%以下にすることで、ガラスの分散の低下を抑制し、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLn成分の質量和は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
Sb成分は、ガラスの脱泡を促進し、ガラスを清澄する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Sb成分の含有率を1.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くすることができ、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.8%、最も好ましくは0.5%を上限とする。特に、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、Sb成分を含有しないことが好ましい。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有することができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。
ただし、Bi成分は、ガラス転移点(Tg)を下げ、ガラスの屈折率を高める成分であるが、プレス成形時に揮発してレンズ表面にクモリを発生させる場合がある。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するこれらの成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.5%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
また、TeO成分は、ガラス転移点(Tg)を下げ、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラス溶融時の清澄作用を促進する成分であるが、プレス成形時に揮発してレンズ表面にクモリを発生させる場合がある。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTeO成分の含有率は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.5%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
また、Ti、Zr、Nb、Ta、La、Gd、Y、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
さらに、PbO等の鉛化合物及びAs等のヒ素化合物、並びに、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
本発明のガラス組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
SiO成分 22.0〜55.0mol%
TiO成分 1.8〜10.0mol%、
Nb成分 13.0〜20.0mol%、及び
LiO成分 3.0〜60.0mol%、
並びに
NaO成分 0〜40.0mol%及び/又は
O成分 0〜25.0mol%及び/又は
Ta成分 0〜3.0mol%及び/又は
ZnO成分 0〜12.0mol%及び/又は
MgO成分 0〜35.0mol%及び/又は
CaO成分 0〜30.0mol%及び/又は
SrO成分 0〜20.0mol%及び/又は
BaO成分 0〜13.0mol%及び/又は
成分 0〜30.0mol%及び/又は
Al成分 0〜15.0mol%及び/又は
ZrO成分 0〜10.0mol%及び/又は
WO成分 0〜10.0mol%及び/又は
La成分 0〜3.0mol%及び/又は
Gd成分 0〜3.0mol%及び/又は
成分 0〜4.0mol%及び/又は
Yb成分 0〜3.0mol%及び/又は
Lu成分 0〜3.0mol%及び/又は
Sb成分 0〜0.3mol%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1200〜1400℃の温度範囲で3〜10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1250℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
[物性]
本発明の光学ガラスは、所望の屈折率(n)及び分散(アッベ数ν)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.80、より好ましくは1.82、最も好ましくは1.84を下限とし、好ましくは1.90、より好ましくは1.89、最も好ましくは1.88を上限とする。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは20、より好ましくは22、最も好ましくは23を下限とし、好ましくは30、より好ましくは29、最も好ましくは28を上限とする。これらにより、光学設計の自由度が広がり、さらに素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。
また、本発明の光学ガラスは、100℃以上590℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。ガラス転移点(Tg)が100℃以上であることにより、ガラスに対して研磨加工を行う際に発生する摩擦熱による悪影響を低減することができる。一方で、ガラス転移点(Tg)が590℃以下であることにより、より低い温度で軟化するため、低い温度でのプレス成形が可能になり、精密プレス成形に用いる金型の酸化を低減して金型の長寿命化を図ることができる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点(Tg)は、好ましくは100℃、より好ましくは200℃、最も好ましくは300℃を下限とし、好ましくは590℃、より好ましくは580℃を上限とし、最も好ましくは560℃未満とする。
また、本発明の光学ガラスは、800℃以上1200℃以下の液相温度を有することが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの液相温度は、好ましくは950℃、より好ましくは1000℃、最も好ましくは1020℃を下限とし、好ましくは1200℃、より好ましくは1190℃、最も好ましくは1150℃を上限とする。これにより、より低い温度で溶融ガラスを流出しても、作製されたガラスの結晶化が低減されるため、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性を高めることができ、ガラスを用いた光学素子の光学特性への影響を低減することができる。なお、本明細書中における「液相温度」とは、粉砕したガラス試料を白金板上に載せ、800℃から1220℃の温度傾斜のついた炉内で30分間保持した後取り出し、冷却後にガラス中の結晶の有無を倍率80倍の顕微鏡にて観察することで測定される、ガラス中に結晶が認められず失透が生じない最も低い温度である。この際、サンプルとして光学ガラスを直径2mm程度の粒状に粉砕する。
また、本発明の光学ガラスは、100℃以上620℃以下の屈服点(At)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈服点(At)は、好ましくは100℃、より好ましくは200℃、最も好ましくは300℃を下限とし、好ましくは620℃、より好ましくは610℃、最も好ましくは600℃を上限とする。屈服点(At)は、ガラス転移点(Tg)と同様にガラスの低温軟化性を示す指標の一つであるが、よりプレス成形温度に近い温度を示す指標である。そのため、屈服点(At)が低いガラスでは、プレス成形温度をより低くすることができ、こうしたガラスは容易にプレス成形を行うことができる。
また、本発明の光学ガラスは、着色が少ないことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)が460nm以下であり、より好ましくは450nm以下であり、最も好ましくは440nm以下である。これにより、可視域におけるガラスの透明性が高められるため、可視域の波長の光に用いられるレンズ等の光学素子の材料としてこの光学ガラスを好ましく用いることができる。
また、本発明の光学ガラスは、ソラリゼーションが14nm以下であることが好ましい。これにより、光学ガラスを組み込んだ機器は、長期間の使用によってもカラーバランスが悪くなり難くなる。特に、使用温度が高いほどソラリゼーションはより大きく低減するため、車載用等、高温下で用いられる場合に、本発明の光学ガラスは特に有効である。従って、本発明の光学ガラスのソラリゼーションは、好ましくは14nm、より好ましくは13nm、最も好ましくは12nmを上限とする。なお、本明細書中において「ソラリゼーション」とは、ガラスに紫外線を照射した前後における分光透過率70%を示す波長(λ70)の変化量(Δλ70)を表すものであり、具体的には、日本光学硝子工業会規格JOGIS04−1994「光学ガラスのソラリゼーションの測定方法」に従い、高圧水銀灯の光を照射した前後のガラスについて、JISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率をそれぞれ測定することにより求められる。
[光学素子及び光学機器]
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用であるが、その中でも特に、本発明の光学ガラスからリヒートプレス成形や精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等の光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現することができる。
本発明の実施例(No.1〜No.14)及び比較例(No.1)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、光照射前後における分光透過率で70%を示す透過波長(λ70)、ソラリゼーション(Δλ70)、ガラス転移点(Tg)、屈伏点(At)、液相温度、及びモールドプレス試験の結果を表1〜表3に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.14)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1〜表3に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1200〜1400℃の温度範囲で3〜10時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1200℃以下に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
ここで、実施例(No.1〜No.14)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)は、徐冷降温速度を−25℃/hにして得られたガラスについて測定を行うことで求めた。
また、実施例(No.1〜No.14)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスのガラス転移点(Tg)及び屈服点(At)は、横型膨張測定器を用いた測定を行うことで求めた。ここで、測定を行う際のサンプルはφ4.5mm、長さ5mmのものを使用し、昇温速度4℃/minとした。
また、実施例(No.1〜No.14)及び比較例(No.1)のガラスのソラリゼーション(Δλ70)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS04−1994「光学ガラスのソラリゼーションの測定方法」に準じて、光照射前後における厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)の変化(nm)を測定した。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、光照射前後における透過率70%時の波長(λ70)を各々求めた。ここで、光の照射は、光学ガラス試料を100℃に加熱し、超高圧水銀灯を用いて波長450nmの光を4時間照射することにより行った。
また、実施例(No.1〜No.14)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスの液相温度は、粉砕したガラス試料を10mm間隔で白金板上に載せ、これを800℃から1200℃の温度傾斜のついた炉内で30分間保持した後で取り出し、冷却後にガラス試料中の結晶の有無を倍率80倍の顕微鏡にて観察することで測定した。この際、サンプルとして光学ガラスを直径2mm程度の粒状に粉砕した。
また、実施例(No.1〜No.14)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスの精密プレス試験は、市販の成形機を用いた。ここで、試験に用いたプリフォームは浮上成形し、若しくは金型に流し出して得られたブロックを切断・研磨することにより、球体状のサンプルを得た。試験は、屈服点(At)から(At+70)℃まで5〜15分で昇温して、炭素系若しくは貴金属系の膜を蒸着したWC(タングステンカーバイド)からなる上下2対の金型の間にプリフォームを挟み、50〜300秒、20〜300kgfの圧力でプレスした後、ガラス転移点(Tg)まで冷却速度0.1〜5℃/secで冷却した。プレス成形後のガラスに失透、カン、曇りが無く、且つ、金型の曇りと離型膜の剥離が無いものを○とし、これらのいずれかがあるものを×とした。
Figure 2010105897
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表1〜表3に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもガラス転移点(Tg)が590℃以下、より詳細には560℃以下であった。一方で、比較例のガラスは、ガラス転移点(Tg)が590℃より高かった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて低いガラス転移点(Tg)を有しており、低い温度で軟化し易いことが明らかになった。
また、表1〜表3に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもソラリゼーション(Δλ70)が14nm以下、より詳細には12nm以下であり、所望の範囲内であった。一方で、比較例のガラスは、ソラリゼーションが14nmより大きかった。従って、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて紫外線の長時間照射による光学ガラスのソラリゼーションが低減されていることが明らかになった。
また、表1〜表3に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも液相温度が1200℃以下、より詳細には1190℃以下であり、本発明の実施例の光学ガラスは、ガラス形成時における耐失透性が高いことが明らかになった。
また、表1〜表3に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもモールドプレス試験において、成形後のガラスへの失透、カン、曇りが無く、且つ、金型の曇りや離型膜の剥離が見られなかった。一方で、比較例のガラスは、成形後のガラスに失透が生じた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて精密プレス成形に好適に用いられることが明らかになった。
また、表1〜表3に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈服点(At)が620℃以下、より詳細には600℃以下であった。一方で、比較例のガラスは、屈服点(At)が620℃より高かった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて低い屈服点(At)を有しており、プレス成形を行い易いことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.80以上、より詳細には1.82以上であるとともに、この屈折率(n)は1.90以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が20以上、より詳細には24以上であるとともに、このアッベ数(ν)は30以下、より詳細には28以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも光照射前のλ70(透過率70%時の波長)が460nm以下、より詳細には440nm以下であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、低い温度で軟化し易く、ソラリゼーションが小さく、プレス成形を行い易く、且つガラス形成時における耐失透性が高いことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形加工したところ、安定に様々なレンズ形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (14)

  1. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を15.0〜40.0%、TiO成分を1.5〜9.5%、Nb成分を40.0〜60.0%、及びLiO成分を1.0〜25.0%含有する光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    NaO成分 0〜25.0%及び/又は
    O成分 0〜25.0%及び/又は
    Ta成分 0〜10.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成における質量比LiO/(NaO+KO)が、1.00以上15.00以下である請求項2記載の光学ガラス。
  4. 酸化物換算組成における質量比LiO/(Nb+Ta)が、0.100以上0.500以下である請求項2又は3記載の光学ガラス。
  5. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でRnO成分を0.0〜25.0%(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)含有する請求項2から4のいずれか記載の光学ガラス。
  6. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    ZnO成分 0〜10.0%及び/又は
    MgO成分 0〜15.0%及び/又は
    CaO成分 0〜20.0%及び/又は
    SrO成分 0〜20.0%及び/又は
    BaO成分 0〜20.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でRO成分を0〜20.0%(式中、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)含有する請求項6記載の光学ガラス。
  8. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    成分 0〜20.0%及び/又は
    Al成分 0〜15.0%及び/又は
    ZrO成分 0〜15.0%及び/又は
    WO成分 0〜10.0%及び/又は
    La成分 0〜10.0%及び/又は
    Gd成分 0〜10.0%及び/又は
    成分 0〜10.0%及び/又は
    Yb成分 0〜10.0%及び/又は
    Lu成分 0〜10.0%及び/又は
    Sb成分 0〜1.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 1.80以上1.90以下の屈折率(n)を有し、20以上30以下のアッベ数(ν)を有する請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
  10. ガラス転移点(Tg)が100℃以上590℃以下である請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
  11. 請求項1から10のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
  12. 請求項1から10のいずれか記載の光学ガラスをリヒートプレス成形して作製する光学素子。
  13. 請求項1から10のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して作製する光学素子。
  14. 請求項1から10のいずれか記載の光学ガラスで作製された光学素子を備える光学機器。
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