JP2010098821A - 減速度比推定装置を有する列車制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】列車の減速動作中に実際の車両特性を計測し、この実際の車両特性に基づいて減速動作を制御し、列車を停止目標位置に精度よく停止させる。
【解決手段】車両特性保持手段4は、ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性データとして保持する。減速度比推定手段7は減速度算出手段6にて算出された減速度と、車両特性保持手段4にて保持された標準減速度との比を示す減速度比を算出する。制御指令算出手段8は、前記減速度比算出手段にて算出された減速度比を用いて、前記車両特性データを更新し、列車速度及び位置と前記更新された車両特性データに基づいてブレーキ装置へのブレーキノッチ指令値を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】車両特性保持手段4は、ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性データとして保持する。減速度比推定手段7は減速度算出手段6にて算出された減速度と、車両特性保持手段4にて保持された標準減速度との比を示す減速度比を算出する。制御指令算出手段8は、前記減速度比算出手段にて算出された減速度比を用いて、前記車両特性データを更新し、列車速度及び位置と前記更新された車両特性データに基づいてブレーキ装置へのブレーキノッチ指令値を算出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ブレーキノッチ指令値に対応する車両減速度データ等の車両特性データを利用して、定位置停止制御など列車の走行を制御する列車制御装置に関する。
車両特性データを利用した列車制御システムでは、ノッチ切換えによる定位置停止制御を例にすると、或るブレーキノッチの選択状態で現在位置から停止するまで減速したときの停止位置を、車両特性データに基づく計算により予測する。この車両特性データは、列車を手動試験運転して得た車両特性や設計仕様に定められた車両特性などに基づいて予め設定されるデータである。このようにして予測した停止位置と停止目標位置との間の誤差(予測停止誤差)がある場合、その誤差を縮小させるようなブレーキノッチ指令値を算出し出力する。この制御動作を減速走行中、所定の制御サイクルに従い繰り返すことにより、列車は停止目標位置に近い位置に停止する(特許文献1)。
特開2005−51910号公報
このような車両特性データに基づく制御システムにおいて、車両特性データとして設定された特性と実際の車両特性との間の誤差が大きいと、車両特性データによる予測の精度が悪化し、列車制御の性能が悪化する。例えば、応加重装置の限界を超えるような一時的な乗車率の上昇があると、実際の減速度が車両特性データによる減速度よりも小さい値となり予測停止精度が悪化する。この結果、停止位置精度が悪化したり、乗り心地が低下する。従って実際の列車運行において、各ノッチに対応する実際の減速度を測定及び記憶し、このような実際の減速度に基づいて停止制御を行えば、停止位置精度は向上する。
しかし実際の運行中に、全てのノッチについて減速度データが得られるとは限らない。また、車両特性データをノッチ1段当たりの減速度として記憶しておけば、全ノッチについて停止位置を算出できるが、車両特性データを初期状態に戻すのが難しい。車両特性データを利用した制御の性能悪化の問題は、上記例に限らず力行制御、惰行制御、或いは制限速度維持のための減速制御でも同様に存在する。
本発明の主要な目的は、列車の減速動作中に実際の車両特性を計測し、この実際の車両特性に基づいて減速動作を制御し、列車を停止目標位置に精度よく停止させることである。
列車の車両特性(各ブレーキノッチ指令値に対する減速度特性)変化を、標準の減速度に対する減速度比として保持することで、全てのブレーキノッチに対応する減速度を補正する。
すなわち本発明の一実施例に係る列車制御装置は、列車の速度及び位置を検出する速度位置検出手段と、ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性として保持する車両特性保持手段と、列車制動時に減速度を算出する減速度算出手段と、前記減速度算出手段にて算出された減速度と、前記車両特性として保持された標準減速度との比を示す減速度比を算出する減速度比算出手段と、前記減速度比算出手段にて算出された減速度比を用いて、前記車両特性データを更新する更新手段と、前記列車の速度及び位置と、前記更新された車両特性データに基づいてブレーキ装置へのブレーキノッチ指令値を算出する制動指令算出手段とを具備する。
列車の減速動作中に実際の車両特性を計測し、この実際の車両特性に基づいて減速動作を制御するので、列車を停止目標位置に精度よく停止させることが可能となる。
以下、本発明の減速度比推定装置を有する列車制御装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明による列車制御装置の構成を示すブロック図である。この列車制御装置は列車の例えば先頭車両1に搭載されている。この車両1は、例えば定位置に減速して停止する動作を自動で行うATO車両である。この列車制御装置において、路線データ保持手段2には、軌道(レール)の曲線半径や勾配などのデータが記憶されている。運行条件保持手段3には、当該車両の運行ダイヤ、停止駅情報、停止位置などの運行条件のデータが記憶されている。車両特性データ保持手段4には、手動による試験走行及び設計仕様などに基づき当該列車の車両特性データが予め記憶されている。この車両特性データは、減速及び力行時に運転台から入力される各ノッチ指令値に対応する当該列車の加速度及び減速度の標準値(初期値)、これらノッチ指令に対する応答遅れ、車両重量、乗車率、勾配抵抗式や曲線抵抗式の係数、車輪径などを含む。本実施例では、これら車両特性データのうち、各ブレーキノッチ指令値に対応する当該列車の減速度の標準値を用いて列車の停止減速動作が制御される。しかし本発明はこれに限らず、力行時のノッチ指令値に対応する当該列車の加速度の標準値を用いた列車の加速制御動作にも適用可能である。
本実施例では車両特性データとして、次式のような減速度算出式を用いる。
β0 =A・Nx+B …(1)
ここで、Nxはブレーキノッチ指令値、β0はノッチNxに対応する減速度標準値であり、A、Bは当該列車の試験走行等により予め決定される減速度の初期値である。
ここで、Nxはブレーキノッチ指令値、β0はノッチNxに対応する減速度標準値であり、A、Bは当該列車の試験走行等により予め決定される減速度の初期値である。
尚、車両特性データとしては図2のように、各ブレーキノッチに対応する減速度標準値を示すテーブルを用いてもよい。このテーブルにおいて減速度標準値[km/h/s]は、当該列車の走行実験等により予め求めた減速度の初期値である。
前記速度・位置検出手段5は、車輪に設けられた速度発電機(TG)11からのTGパルス信号に基づいて、列車の現在速度を算出する。また速度・位置検出手段5は、軌道に沿って既知の位置に配置された地上子(図示されず)から、車上子10を介して絶対位置情報を入力する。更に速度位置検出手段5は、現在速度データあるいはTGパルスの積分処理により得られる走行距離及び車上子10から得られる絶対位置情報に基づいて、列車の現在位置を算出する。
減速度算出手段6は、制動による減速走行(停止を目的としない減速を含む)中に、列車の減速度を計算する。本例では、減速度算出手段6は、速度位置検出手段5から入力される列車速度の単位時間当たりの変化に基づいて、減速走行中に自列車の実際の減速度を算出する。
減速度比推定手段7は、減速度算出手段6により算出された実際の減速度と、速度位置・検出手段にて検出された現在位置と、路線データ保持手段2にて保持されている路線データ、ならびに車両特性データ保持手段4に保持された減速度標準値(減速度算出式)に基づいて、現在の減速度比(後述される)を推定する。この減速度比は、例えば95%、85%などと表すことができ、列車に搭載されたブレーキの“効き”の良さを示す。
制御指令算出手段8は、ノッチ指令値、出力トルク、或いは加減速度などの形式で指令値を駆動・制動装置9に出力する。本実施例において制御指令算出手段8は、列車が停止位置に近づいた場合、減速度比、列車位置、路線データ、運行条件に基づいて、ブレーキノッチ指令値を選択し駆動・制動装置9に出力する。
次に、減速度比推定手段7の減速度比の計算方法について説明する。
本実施例は、駅停車等の減速時にブレーキノッチと減速度の関係を計測し、車両特性データを自動調整する仕組みとなっている。自動調整の仕組みは以下の通りである。減速度比(k)は、減速度β0[km/h/s]が減速度標準値である場合、実測した減速度がβ[km/h/s]であれば、(1)式を用いて以下の計算式で計算される。
k=(β/β0)×100 [%]
=(β/[A・Nx+B])×100 [%] …(2)
次に、減速度比を算出する動作の一実施例を説明する。
=(β/[A・Nx+B])×100 [%] …(2)
次に、減速度比を算出する動作の一実施例を説明する。
図3は減速度比推定手段7の動作を示すフローチャートである。ステップS101において減速度比推定手段7は、列車の空気抵抗、勾配抵抗、曲線抵抗を算出する。
空気抵抗は例えば次式により求められる。
空気抵抗R1[N]=(a0+a1×v+a2×v2)×車両重量M[ton]×重力加速度9.8[m/s2] …(3)
ここで、a0,a1,a2はパラメータ、vは列車速度[km/h]、Mは列車重量[ton](パラメータa0〜a2は、トンネル区間と明かり区間で異なる値をとる)
勾配抵抗は例えば次式により求められる。
ここで、a0,a1,a2はパラメータ、vは列車速度[km/h]、Mは列車重量[ton](パラメータa0〜a2は、トンネル区間と明かり区間で異なる値をとる)
勾配抵抗は例えば次式により求められる。
勾配抵抗R2[N]=勾配Slope[‰]×車両重量M[ton]×重力加速度9.8[m/s2] …(4)
曲線抵抗は例えば次式により求められる。
曲線抵抗は例えば次式により求められる。
曲線抵抗R3[N]=(係数C×車両重量M[ton]/曲線半径R[m])×重力加速度9.8[m/s2] …(5)
ただし、曲線半径R=0のときは曲線抵抗=0、係数Cは一般的に800や600が使われる。
ステップS102において減速度比推定手段7は、上記のようにして求めた空気抵抗R1,勾配抵抗R2、曲線抵抗R3の合計値を、以下のように減速度算出手段6から入力される現在の減速度Daから差し引く。これにより、ブレーキ装置のみによる減速度βが求まる。
ただし、曲線半径R=0のときは曲線抵抗=0、係数Cは一般的に800や600が使われる。
ステップS102において減速度比推定手段7は、上記のようにして求めた空気抵抗R1,勾配抵抗R2、曲線抵抗R3の合計値を、以下のように減速度算出手段6から入力される現在の減速度Daから差し引く。これにより、ブレーキ装置のみによる減速度βが求まる。
β=Da−(R1+R2+R3) …(6)
ステップS103において減速度比推定手段7は、ステップS102で算出した減速度βを、該当する(現在使用している)ブレーキノッチに対応する減速度標準値β0で除算して上記(2)式のように減速度比kを求める。
ステップS103において減速度比推定手段7は、ステップS102で算出した減速度βを、該当する(現在使用している)ブレーキノッチに対応する減速度標準値β0で除算して上記(2)式のように減速度比kを求める。
次に、上記のようにして求めた減速度比kを用いた列車の停止減速動作の一実施例を説明する。
図4は本発明による減速度比kを用いた制御指令算出手段8による列車の停止動作制御の一実施例を示すフローチャートである。本実施例では、停止予測位置が停止目標位置を超えない範囲で、最も停止目標位置に近くなるブレーキノッチが選択される。ここでは、ブレーキ装置のブレーキノッチ段数が7段階(B1〜B7)設けられているものとして説明する。
制御指令算出部14は例えば定速で惰行中、ステップS201のように、車両特性データ保持手段4から車両特性データとして(1)式のような減速度算出式を読み出し、減速度比推定手段7から受信した減速度比kを用いて更新する。すなわち次式のように、(1)式に減速度比kを乗算して新たな数式を作成し保持することで、車両特性データを更新する。
β=β0・k
=(A・Nx+B)k …(7)
なお、図2のようのようなノッチ対応減速度を示す表を車両特性データとして有している場合は、ブレーキノッチ指令B1〜B7について設定されている各減速度標準値(初期値)に減速度比kを乗算することにより表を更新する。
=(A・Nx+B)k …(7)
なお、図2のようのようなノッチ対応減速度を示す表を車両特性データとして有している場合は、ブレーキノッチ指令B1〜B7について設定されている各減速度標準値(初期値)に減速度比kを乗算することにより表を更新する。
ステップS202において制御指令算出手段14は、列車が停止減速中であるか判断する。ここでは惰行中であるので、フローはステップS203へ移行する。ステップS203において制御指令算出手段14は、基準ブレーキノッチ(例えばB4)で減速した時の停止位置を予測する。すなわち、ステップS201で更新した数式に従って標準ブレーキノッチでの減速度を求め、該減速度、現在の列車速度及び位置を基に停止位置を計算する。
ステップS204のように停止位置が停止目標位置付近より手前か、すなわち停止目標位置より所定距離以上手前か判断する。停止位置が停止目標位置付近より手前の場合、制御指令算出手段14はステップS205のように減速を開始しない(すなわち惰行を選択)。ステップS204において、停止位置が停止目標位置付近あるいは停止目標位置付近を超えている場合、制御指令算出手段14はステップS206のように減速を開始する。つまり、基準ブレーキノッチを選択し、駆動・制動制御装置9に出力する。この後、制御指令算出手段14はステップS201を実行して車両特性を新たな減速度比を用いて更新し、ステップS202のように列車が停止減速中であるか判断する。
ステップS202において停止減速中であると判断すると、制御指令算出手段14はステップS207のように、現在のブレーキノッチ(ここでは基準ブレーキノッチ)で減速した時の停止位置を予測する。すなわち、ステップS201で更新した数式に従って、現在選択しているブレーキノッチでの減速度を求め、該減速度、現在の列車速度及び位置を基に停止位置を計算する。
ステップS208のように、停止位置が停止目標位置付近より手前であれば、制御指令算出手段14はステップS209のように、現在選択しているブレーキノッチより弱いブレーキノッチで減速した時の停止位置を予測する。すなわち、ステップS201で更新した数式に従って、現在より弱いブレーキノッチでの減速度を求め、該減速度、現在の列車速度及び位置を基に停止位置を計算する。
ステップS210のように、予測した停止位置が停止目標位置付近より先の位置であった場合、制御指令算出手段14はステップS212のように、現在のブレーキノッチの選択を維持する。またステップS210において、予測した停止位置が停止目標位置付近より手前の位置であった場合(Noの場合)、制御指令算出手段14はステップS211のように、ブレーキノッチを現在より弱い値に変更する。この後、制御指令算出手段14は前述したように、ステップS201を実行して車両特性を新たな減速度比を用いて更新し、ステップS202のように列車が停止減速中であるか判断する。停止減速中であればフローはステップS207を介してステップS208へ移行する。尚、ステップS201の車両特性を更新する処理は、減速度比推定手段7が所定制御周期(例えば数十ms)で減速度を推定するタイミングに同期したタイミングで実行されるように、制御指令算出手段14はこの停止減速処理を制御する。
ステップS208において、予測した停止位置が停止目標位置より先の位置であった場合、制御指令算出手段14はステップS213のように、現在選択しているブレーキノッチより強いブレーキノッチで減速したときの停止位置を予測する。すなわちステップS201で更新した数式に従って、現在より強いブレーキノッチでの減速度を求め、該減速度、現在の列車速度及び位置を基に停止位置を計算する。
ステップS214のように、予測した停止位置が停止目標位置付近より先の位置であった場合、制御指令算出手段14はブレーキノッチを更に強い値に変更する。またステップS214において、予測した停止位置が停止目標位置付近より手前の位置であった場合(Noの場合)、制御指令算出手段14はステップS213で仮定した強いブレーキノッチを選択する。ステップS208において、予測した停止位置が停止目標位置付近の位置であった場合、制御指令算出手段14はステップS212のように、現在のブレーキノッチの選択を維持する。
ステップS202において、列車が停止していると判断した場合、制御指令算出手段14は、ステップS217のように転動防止ブレーキノッチ(例えばB4)を選択し、列車の意図しない移動を防止する。
以上説明したように本実施例によれば、停止位置の予測を現在のブレーキの効きを示す減速度比を用いて行うので、停止位置予測精度が向上し、適切なブレーキノッチを選択できるので、実際の停止位置精度が向上する。また、算出された1つの減速度比を用いて全てのブレーキノッチに対応する減速度が更新されるので、減速動作中に停止位置を予測する場合、如何なるブレーキノッチを選択した場合でも、正確な停止位置の予測が可能である。また、減速度比を100%に戻すだけで、車両特性データを簡単に初期状態に戻すことができる。
次に、ブレーキ装置の応答遅れについて説明する。
ブレーキノッチ指令を制御指令算出手段8から駆動・制動制御手段15に出力してから、実際にブレーキ力が発生するまでには遅延時間が存在する。この遅延時間をここでは応答遅れとして参照する。
図5は、この応答遅れを説明する図である。図5(a)はノッチ指令値の変化を示し、図5(b)はブレーキ指令に応答して発生する実際のブレーキ力を示す。一般に列車のブレーキとしては、摩擦力を利用した機械式ブレーキ及び/又は電気ブレーキの2種類が用いられる。機械式ブレーキであっても電気ブレーキであっても、同様な応答遅れを有している。図5は列車の総合的なブレーキ特性を示している。
図5において、例えば時刻t1でブレーキノッチ指令値がB1からB3に変化した場合、ブレーキ力は無駄時間Td1、時定数に対応する時間Td2を経て、時刻t2で安定する。このノッチ指令値が変化した時刻t1から、ブレーキ力が安定する時刻t2までの遅延時間(例えば2.8秒程度)を応答遅れTd3と定義する。従って、図1の減速度比推定手段7は、時刻t1のようにブレーキ指令が変化してから、応答遅れTd3が経過しブレーキ力が安定している状態で、減速度算出手段6から提供される減速度を用いて減速度比を推定する。尚、惰行などの状態からブレーキ指令を最初に出力した場合のブレーキの応答遅れは、減速中にブレーキノッチ指令値を変化させた場合より大きい。従って減速度比推定手段7は、このような応答遅れを計算に取り込み、減速度比を推定する。
次に、減速度比の上下限値について説明する。
列車が減速制御中に滑走すると、速度/時間特性には、図6のように急激な減速が観測される。これはTGパルスを発生している車輪とレール間の摩擦係数の減少などにより車輪が滑り、TGパルスの周波数が急激に減少するためである。滑走が発生すると、減速度比推定手段7は減速度比として大きな値を推定し制御指令算出手段14に提供する。制御指令算出手段14は大きなブレーキ力が発生していると判断し、各ノッチに対応する減速度として減速度標準値より大きな値を設定して停止位置を計算する。この結果、制御指令算出手段14は通常より弱いノッチを出力するので、列車は停止目標位置に停止することができずオーバーランすることになる。
従って本実施例では、上記した滑走やノイズ混入に起因する速度検出異常などにより、減速度比として異常値を検出しても、異常値を採用して制御性能が悪化しないように、上下限値(例えば130%及び80%)を設定する。この上下限値を超える減速度比を入力した場合、制御指令算出手段は前記車両特性データを更新するための減速度比として、上限値または下限値を用いるか、または車両特性データを更新せずに以前の車両特性データを用いて停止位置を予測する。これにより、停止位置の大幅なオーバーラン、あるいは大幅に手前で停止することを防ぐことができる。
次に、減速度比の制限に関する他の実施例について説明する。
図7は減速度比の時間的変化を示し、縦軸は減速度比k(%)、横軸は経過時間である。図7において、時刻T1の減速度比を100%としたとき、減速制御中に時刻T2付近で減速度算出手段6が制御サイクルのタイミングに従い算出した減速度の大きさが、減速度標準値の90%となっている。この場合、減速度比推定手段7は、減速度比を100%から推定値90%に変更するのではなく、これらの差に減速度差の採用率(本例では50%)を乗じた分だけ動かして95%に調整する。この調整後の減速度比に基づいて制御指令算出手段8が制御指令を算出する。このように減速度比を調整することにより、異常値の除去、制御量の急変による不測の事態の回避などが可能となる。
次に、本発明の構成に関する他の実施例を説明する。
図8は本発明に係る列車制御装置の構成に関する他の実施例を示すブロック図である。この車両1は、在来線のような運転士が乗務する車両に本発明を適用した例を示す。この車両には、減速度比推定手段7の推定結果を表示する推定結果表示手段12が設けられている。説明を簡単にするため、運転台、駆動・制動装置等は省略されている。この推定結果表示手段12により、列車の運転士は当該列車に設けられたブレーキ装置の効きの程度を常に把握することができる。従って、ブレーキの効きが規定範囲を超えて悪くなったことを認識でき、ブレーキ装置の点検あるいは修理を適切な時期に行うことができる。また運転士は、減速度比に応じてブレーキノッチを選択し、適切な減速停止運転を行うことが可能となる。
尚、推定結果表示手段12を図1に示したATO車両に設けても良い。手動運転区間と自動運転区間が混在する路線で運行する場合、そのような車両は手動運転区間において上記したような効果を奏する。
本発明の他の実施例として、減速度比が所定値以下になったら通知やアラームを警告してもよい。また、本発明をTASC、ATCなどに組み込むことにより、減速度比の推定結果を制御に反映させ、列車の動きを正確に予測し、ブレーキノッチ段数の少ない車両でも、ノッチを頻繁に切り換えることなく(=乗り心地良く)精度の高い制御を行うことができる。
以上の説明はこの発明の実施の形態であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができるものである。
1…車両、2…路線データ保持手段、3…運行条件保持手段、4…車両特性データ保持手段、5…速度・位置検出手段、6…減速度算出手段、7…減速度比推定手段、8…制御指令算出手段、9…駆動・制動装置、10…車上子、11…速度発電機。
Claims (7)
- 列車の速度及び位置を検出する速度位置検出手段と、
ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性データとして保持する車両特性保持手段と、
列車制動時に減速度を算出する減速度算出手段と、
前記減速度算出手段にて算出された減速度と、前記標準減速度との比を示す減速度比を算出する減速度比算出手段と、
前記減速度比算出手段にて算出された減速度比を用いて、前記車両特性データを更新する更新手段と、
前記列車の速度及び位置と、前記更新された車両特性データに基づいてブレーキ装置へのブレーキノッチ指令値を算出する制動指令算出手段と、
を具備することを特徴とする列車制御装置。 - 前記減速度比は、前記ブレーキ装置の全ブレーキノッチ指令値の減速度について同一の値が適用されることを特徴とする請求項1記載の列車制御装置。
- 前記車両特性データは、各ブレーキノッチ指令値に対応する減速度を計算する数式で示され、前記更新手段は前記減速度比を用いて前記数式を変形することにより、前記車両特性データを更新することを特徴とする請求項1記載の列車制御装置。
- 前記減速度比推定手段は、ブレーキ指令値が変化してから、応答遅れ時間が経過しブレーキ力が安定している状態で、減速度算出手段から提供される減速度を用いて減速度比を推定することを特徴とする請求項1記載の列車制御装置。
- 前記変更手段は、前記減速度比算出手段から入力される減速度比について上下限値を設け、該上下限値を超える減速度比を入力した場合、前記車両特性データを更新するための減速度比として前記上限値または下限値を用いるか、または車両特性データを更新せずに以前の車両特性データを維持することを特徴とする請求項1記載の列車制御装置。
- 列車の速度及び位置を検出する速度位置検出手段と、
ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性データとして保持する車両特性保持手段と、
列車制動時に減速度を算出する減速度算出手段と、
前記減速度算出手段にて算出された減速度と、前記車両特性データとして保持された標準減速度との比を示す減速度比を算出する減速度比算出手段と、
前記減速度比算出手段にて算出された減速度比を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする列車制御装置。 - 列車の速度及び位置を検出し、
ブレーキ指令値に対応する標準減速度を車両特性として保持し、
列車制動時に減速度を算出し、
前記算出された減速度と、前記保持された標準減速度との比を示す減速度比を算出し、
前記算出された減速度比を用いて、前記車両特性データを更新し、
前記列車の速度及び位置と、前記更新された車両特性データに基づいてブレーキ装置へのブレーキノッチ指令値を算出することを特徴とする列車制御方法。
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