JP2010095737A - 固体有機物表面の酸化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制との両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置を提供する。
【解決手段】オゾン酸化促進剤が充填された前処理槽1と、オゾン水処理槽3を有するオゾン処理装置2とを備える。前処理槽1は、オゾン酸化促進剤Qで満たされており、ワークPが、前処理槽1とオゾン水処理槽3との間を図示しない駆動装置により往復動可能な複数の固定用保持具4に保持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂等の固体有機物表面の酸化装置に関し、特にオゾン水を用いた促進酸化法によって、オゾンの自己分解による浪費を抑えながら、かつ効率的に固体有機物表面を酸化することの可能な酸化装置に関する。
プラスチック成形品等の固体有機物の無電解めっきの前処理には、硫酸・クロム酸による粗面化処理が行われている。しかしながら、硫酸・クロム酸による粗面化処理を行った後の排水は、有害なクロムを含んでいる。このためクロムを含む排水は、還元、中和、凝集沈殿等の排水処理が必要となる上に、沈殿物もクロムを含むために容易には廃棄できないという問題点があった。
そこで、クロム酸による粗面化処理の代わりに、オゾンを用いてプラスチック成形品の表面を酸化することで改質する方法が種々検討されている。このオゾンを用いた酸化方法としては、処理対象となる固体有機物によって、オゾン自身を酸化剤として有効に作用させる方法と、オゾンの分解過程で発生する酸化力の高いヒドロキシラジカル(・OH)を始めとするラジカルを酸化剤として有効に作用させる方法とが知られている。
これらの方法のうち、オゾン自身を酸化剤として有効に作用させる方法では、オゾンの自己分解を抑制し、反応場でのオゾン濃度を高く維持することが酸化反応を促進するには効果的である。具体的には、オゾン濃度を高く維持するためにオゾン水の水素イオン濃度を高め、酸性領域に維持することが行われている。これは、オゾンの自己分解に対してOHイオンやヒドロキシラジカル(・OH)が、オゾンの自己分解を促進する効果を有しているためである。
そこで、OHイオンやヒドロキシラジカル(・OH)を抑制することを目的として、オゾンをあらかじめ溶解させた炭酸水素化合物水溶液を用いてプラスチック成形品に酸化処理する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、めっき素材を、オゾンを含む第1溶液に接触させた後、アルカリ成分を含む第2溶液と接触させる前処理方法が提案されている(特許文献2,3参照)。
さらに、めっき素材をオゾン溶液に接触させながら紫外線照射処理を行う前処理方法も提案されている(特許文献4,5参照)。
特開2001−131759号公報 特開2004−131805号公報 特開2005−68497号公報 特開2004−315894号公報 特開2005−68495号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたオゾン水を用いたプラスチック成形品表面の酸化処理方法は、炭酸水素化合物水溶液によりラジカルを捕捉することで、オゾンの自己分解を抑制するものであるため、ラジカルを介したオゾンの連鎖分解反応が起こりにくく、プラスチック成形品を効率よく酸化できないという問題がある。
一方、オゾンに起因するヒドロキシラジカル(・OH)を始めとするラジカルを酸化剤として有効に作用させる方法においても、長期間効果を持続するためには、オゾンの自己分解を抑制するのが好ましいが、オゾンの自己分解を抑制することは、ラジカルの発生も抑制することになるので、固体有機物表面の酸化の点で必ずしも効果的でない。
また、特許文献2及び3に開示されためっき素材の前処理方法では、オゾンを含む第1溶液に接触させた後、アルカリ成分を含む第2溶液と接触させているため、アルカリ成分によるめっき素材表面の脆化層除去の効果は奏するもののオゾン酸化の促進は十分でない場合がある。
さらに、特許文献4及び5に開示されためっき素材の前処理方法では、めっき素材をオゾン溶液に接触させながら紫外線照射処理を行っているため、オゾンに起因するヒドロキシラジカル(・OH)を効率的に生成して、めっき素材表面を酸化することができるが、長時間効果を持続するのが困難であり、用途によっては適しない場合がある。
このように従来は、オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制の両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置はなかった。
本発明は、上記従来の課題を解決し、オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制との両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、固体有機物表面をオゾン酸化促進剤で濡らす前処理手段と、オゾン水処理槽を有するオゾン処理装置とを備え、前記固体有機物を前記前処理手段で処理した後、オゾン水処理槽に浸漬することを特徴とする固体有機物表面の酸化装置を提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、前処理手段において、固体有機物表面をオゾン酸化促進剤で濡らし、これをオゾン水処理槽に浸漬することで、オソンの自己分解を促進するオゾン酸化促進剤は固体有機物の表面にのみ付着しているため、オゾン水処理槽内の溶媒に存在するオゾンの過剰な自己分解を抑制し、反応槽内のオゾン水のオゾン濃度を充分な値に維持することができる。その一方で、オゾン酸化促進剤により、固体有機物の表面近傍では、活発なオゾンの自己分解反応が開始され、固体有機物の表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、固体有機物表面の酸化を効率的に行なうことができる。
上記発明(請求項1)においては、前記オゾン酸化促進剤が、界面活性剤溶液、過酸化水素溶液及びアルカリ溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい(請求項2)。
上記発明(請求項2)によれば、これらの溶液のヒドロキシイオンの効果によって、固体有機物の表面近傍で、活発なオゾンの自己分解反応を開始することができる。
上記発明(請求項1,2)においては、前記前処理手段として、前記オゾン酸化促進剤溶液の浸漬槽、又は前記オゾン酸化促進剤溶液の噴霧装置を用いることができる(請求項3)。かかる発明(請求項3)によれば、固体有機物の表面のみを効果的にオゾン酸化促進剤溶液で濡らすことができる。
上記発明(請求項1〜3)においては、前記オゾン処理装置として、オゾン発生装置と、このオゾン発生装置で発生したオゾンガスを原水に溶解させるとオゾン溶解装置と、このオゾン溶解装置で製造されたオゾン水を前記オゾン水処理槽に供給する供給手段とを有するものを用いることができる(請求項4)。
上記発明(請求項4)によれば、高濃度のオゾン水をオゾン水処理槽に供給することができるので、固体有機物の表面の酸化を効率的に行うことができ、しかもかかる効果を長時間保持することができる。
上記発明(請求項4)においては、前記オゾン溶解装置の前段又は後段に水素イオン濃度調整手段を有するのが好ましい(請求項5)。かかる発明(請求項5)によれば、製造したオゾン水におけるオゾンの自己分解を抑制し、オゾン濃度を長時間高い濃度に維持することができる。
さらに、上記発明(請求項4,5)においては、前記オゾン水処理槽にオゾン水排出機構が設けられており、前記オゾン水排出機構を経由して排出オゾン水が原水側に合流するのが好ましい(請求項6)。
上記発明(請求項6)によれば、オゾン水処理槽内のオゾン水を回収して再度オゾン水の原水として再利用することで、オゾン溶解装置においてオゾン水を効率よく製造することができる。
上記発明(請求項1〜6)においては、前記オゾン水処理槽が撹拌手段を有しているのが好ましい(請求項7)。かかる発明(請求項7)によれば、固体有機物の表面ではオゾンの自己分解により局部的にオゾン濃度が低下するが、オゾン水処理槽内を撹拌手段により撹拌することで、固体有機物の表面近傍のオゾン水を入れ替え、高い濃度に維持することができ、オゾンの自己分解による酸化反応の減衰を抑制することができる。
上記発明(請求項1〜7)においては、前記オゾン水処理槽に固体有機物表面の脱泡機構を有するのが好ましい(請求項8)。かかる発明(請求項8)によれば、オゾンの酸化過程で発生する気泡が固体有機物の表面に付着残存することによる被処理固体表面の不均一な酸化を防止することができる。
上記発明(請求項8)においては、前記固体有機物表面の脱泡機構として、水流噴射手段、機械的振動手段及び超音波振動手段からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる(請求項9)。かかる発明(請求項9)によれば、固体有機物の表面に付着した気泡を簡単にかつ効率的に除去することができる。
本発明の固体有機物表面の酸化装置は、固体有機物表面をオゾン酸化促進剤で濡らす前処理手段と、オゾン水処理槽を有するオゾン処理装置とを備え、固体有機物を前処理手段で処理した後、オゾン水処理槽に浸漬するものであるため、前処理手段において、固体有機物表面をオゾン酸化促進剤で濡らし、これをオゾン水処理槽に浸漬することができる。これにより、オゾン水処理槽内のpHをオゾンの自己分解を抑制可能な範囲に維持可能な酸性とすることができるため、オゾン濃度を高く維持できる一方、固体有機物の表面を濡らしたオゾン酸化促進剤により、活発なオゾンの自己分解反応が開始され、固体有機物の表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、固体有機物表面の酸化を効率的に行なうことができる。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置を示すフロー図である。
図1において、固体有機物たる合成樹脂製のワークP表面の酸化装置は、前処理手段たるオゾン酸化促進剤Qで満たされた前処理槽1と、オゾン水処理槽3を有するオゾン処理装置2とを備える。
複数のワークPは、前処理槽1内でそれぞれ固定用保持具4に保持されており、図示しない駆動装置により前処理槽1とオゾン水処理槽3との間を往復動可能となっている。
この複数の固定用保持具4は、後述するオゾン水処理槽3内でワークPが、隣接するワークPへのオゾン水の撹拌流れを阻害することのないように配列されている。
また、オゾン処理装置2は、空気中の酸素を濃縮するPSA式酸素濃縮装置5と、この酸素濃縮装置5で濃縮された酸素からオゾンを製造するオゾン製造装置6とを有し、このオゾン製造装置6で製造されたオゾンガス(O)は、後述する第1の供給管路7のエジェクタ12に供給される。
一方、第1の供給管路7には、水素イオン濃度調整手段としての酸添加装置9と、入口ポンプ11と、オゾン溶解装置たるエジェクタ12とが順次設けられており、第1の供給管路7は、このエジェクタ12の下流側で気液分離装置13に接続されている。原水Wは、第1の供給管路7を介してエジェクタ12に供給され、エジェクタ12にてオゾン製造装置6から供給されるオゾンを溶解したオゾン水が製造される。そして、この気液分離装置13には第2の供給管路8が接続さており、これらによりオゾン水W0の供給手段が構成されている。
また、気液分離装置13には、オゾンガス排出管14が接続されている。なお、15A、15Bはそれぞれ開閉バルブであり、23は排オゾンガス分解処理装置である。
さらに、オゾン水処理槽3の上縁には、第1のオーバーフロー受部16と、第2のオーバーフロー受部17とが設けられていて、第1のオーバーフロー受部16に流入したオゾン水W1は、環流管路18を経て第1の供給管路7の酸添加装置9の上流側に環流され、これら第1のオーバーフロー受部16及び環流管路18によりオゾン水排出機構が構成される。
一方、第2のオーバーフロー受部17に流入したオゾン水W2は、循環管路19及び循環ポンプ20を経由して熱交換器21で熱交換された後、オゾン水処理槽3間を循環し、一部はブローする。
また、オゾン水処理槽3には、その底部に、攪拌手段としてのインペラ22が回動可能に設けられているとともに、脱泡機構として、ワークPを振動させ得る機械的振動手段(図示せず)が設けられている。さらに、オゾン水処理槽3には、図示しないオゾン濃度計とpHセンサとが付設されている。
上述したような装置において、前処理槽1に充填されるオゾン酸化促進剤Qとしては、ヒドロキシイオンが存するアルカリ溶液及び界面活性剤溶液を用いることができる。
上記アルカリとしては、例えば、NaOH、KOH、NaCO、KCO等が挙げられる。このアルカリ溶液は、pH7〜12で、オゾン水処理槽3に微量に混入してもオゾン水処理槽3のpHが容易に6を超えない程度の濃度に調整されたものであるのが好ましい。
上記界面活性剤としては、炭素数4〜12の飽和炭化水素骨格を有し、水溶液にした場合にアルカリ性を示す構造を持つものが好ましい。このようなアルカリ性の界面活性剤を用いれば、別途、上述した無機アルカリを添加する必要はない。このような界面活性剤として、具体的には、脂肪族モノカルボン酸塩等が挙げられる。また、界面活性剤の炭化水素骨格は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。
さらに、オゾン酸化促進剤Qとして過酸化水素水を用いることもできる。オゾン酸化促進剤Qとして過酸化水素水を用いる場合には、上述したような無機アルカリと併用してもよいし、過酸化水素水単独で用いてもよい。
また、オゾン水処理槽3におけるオゾン水W0のオゾン濃度は20mg−O/L(pH5)〜50mg−O/L(pH2)に保つのが好ましい。オゾン濃度が20mg−O/L未満では、合成樹脂製のワークPの表面の酸化が十分でなく、例えば、その後に行なわれるめっき工程等におけるめっきの密着性が低下するおそれがあるため好ましくない。なお、上限については、オゾンの飽和濃度を超えることはできない。
次に、このような構成を有する固体有機物表面の酸化装置の動作について説明する。まず、原水Wを入口ポンプ11により第1の供給管路7に供給し、酸添加装置9により酸性に調整する。このとき使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、有機酸等を用いることができる。具体的には、原水WのpHを2〜5に調整するのが好ましい。これにより、エジェクタ12で製造されたオゾン水W0の自己分解が抑制され、オゾン水処理槽3におけるオゾン水W0のオゾン濃度を20mg−O/L(pH5)〜50mg−O/L(pH2)に保つことが可能となる。
また、原水Wの温度が低いほど、オゾンを高濃度で溶解してこれを維持するために有利である一方、酸化反応速度は温度が高いほど速いため、両者の均衡を考慮して、原水Wの温度は20〜40℃であるのが好ましい。
これと並行して空気中の酸素をPSA式酸素濃縮装置5で濃縮し、続いて濃縮された酸素からオゾン製造装置6でオゾンを製造し、この製造されたオゾンガス(O)をエジェクタ12に供給する。
これによりエジェクタ12で原水Wにオゾンガスが溶解し、気液分離装置13でオゾン水W0と排出オゾンガスとに気液分離した後、オゾン水Wを第2の供給管路8からオゾン水処理槽3に供給する一方、排出オゾンガスは、オゾンガス排出管14を経て排オゾンガス分解処理装置23で分解された後、排気される。
そして、オゾン水処理槽3に所定量のオゾン水W0が満たされたら、合成樹脂製のワークPをオゾン酸化促進剤Qで満たされた前処理槽1に浸漬して、表面をオゾン酸化促進剤Qで濡らし、続いて固定用保持具4を引き上げてワークPをオゾン水処理槽3に浸漬する。そうすると、ワークPの表面はオゾン酸化促進剤Qで濡れているので、そのヒドロキシイオンの効果によって、オゾン水処理槽3内のオゾン水W0中のオゾンの活発な自己分解反応が開始される。その結果、ワークPの表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、ワークPの表面を効率的に酸化することができる。
なお、オゾンの分解に伴うヒドロキシラジカルによる酸化処理においては、ワークPの表面にてオゾンが迅速に消費されるため、層流境界層内にラジカルを供給する物質移動を速やかに行なう必要がある。したがって、ワークPの表面におけるオゾン水のスリップ速度を高く維持する必要がある。そこで、本実施形態では、オゾン水処理槽3の底部にインペラ22を設けてオゾン水処理槽3内のオゾン水を攪拌して循環流を形成することにより、ワークPに接触するオゾン水を連続的に交換することにより、ヒドロキシラジカルによる酸化を維持している。
さらに、あらかじめ調製されたオゾン水W0が開放系であるオゾン水処理槽3に入ると気液平衡関係が崩れるため、一部オゾンの放散による気泡生成が起こる。また、ヒドロキシラジカルによる酸化反応に作用したオゾンは溶解度の低い酸素となるため、酸素の気泡生成も起こる。その結果、ワークPの表面で発生したこれらの気泡の一部がワークPの表面に付着して脱離しないことがある。このように気泡が付着した部分は、ヒドロキシラジカルによる表面の均一な酸化処理を妨げるおそれがある。そこで、本実施形態では、オゾン水処理槽3に脱泡機構としてワークPを振動させ得る機械的振動手段を設けることで、このような気泡の付着を回避している。
上述したようなオゾン水処理槽3へのワークPの浸漬時間は、オゾン水のオゾン濃度にもよるが、2〜30分程度でよい。このようにしてワークPの表面の酸化を行ったら、固定用保持具4を引き上げてワークPを取り外して乾燥し、無電解めっき等の所望の工程を行えばよい。
一方、上記操作の間、オゾン水処理槽3中のオゾン水の溶存オゾン濃度が低下しないように、第2の供給管路8からオゾン水を連続的に供給する。このため、オゾン水W0は、オゾン水処理槽3をオーバーフローする。そこで、第1のオーバーフロー受部16に流入したオゾン水W1は、環流管路18を経て第1の供給管路7の酸添加装置9の上流側に環流させて再利用する一方、第2のオーバーフロー受部17に流入したオゾン水W2は、循環管路19及び循環ポンプ20を経由して熱交換器21で熱交換された後、オゾン水処理槽3間を循環させ一部はブローすることで、オゾン水の有効利用を図るのが好ましい。
なお、ワークPとなる固体有機物としては、合成樹脂が一般的であり、このような合成樹脂としては、オゾンにより酸化されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ノリル等が挙げられる。さらには、オゾンにより酸化されるものであれば、合成樹脂以外の固体有機物にも適用可能である。このようにして表面を酸化された固体有機物は、表面に被膜を形成した場合にその密着性が向上するので、無電解めっき等のめっき処理を施す成形品として好適である。特にABS樹脂は、引張強さ、曲げ強さ、耐衝撃強度等に優れており、無電解めっきされることが最も多い合成樹脂である。
以上、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されず、種々の変更実施が可能である。
例えば、ワークPの表面をオゾン酸化促進剤Qで濡らす手段として、本実施形態では、前処理槽1に浸漬したが、オゾン酸化促進剤Q液をスプレー等の噴霧装置で噴霧してワークPの表面をオゾン酸化促進剤Qで濡らしてもよい。
また、ワークPの脱泡機構としては、ワークPを振動させ得る機械的振動手段に限らず、超音波振動手段や水流噴射手段であってもよい。水流噴射手段の場合、用いる水は脱気水であるとさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<試験装置及び条件>
図1に示すオゾン水供給システムを備えた試験装置を用意した。試験装置の仕様は以下の通りであった。
・オゾン水処理槽3:容量46L(幅470mm×奥行210mm×高さ470mm)
・前処理槽(アルカリ処理水槽)1:オゾン水処理槽3と同じものに、アルカリ性界面活性剤(50g/LのNaOH水溶液にラウリル酸ナトリウムを1g/L溶解させたもの)を充填
・オゾン製造装置6:発生オゾン濃度は、オゾン水処理槽3内のオゾン水濃度が20mg/Lとなるように電流を任意に調整
・熱交換器21:オゾン水処理槽3内の水温が30℃となるように熱交換器21へ供給する冷却水量を調整
・酸添加装置9:オゾン水処理槽3内がpH3.0となるように制御しながら硫酸を添加
・ワークP:試験用に縦50mm、横100mm、厚さ3mmのABS樹脂製のテストピースを用意した
〔実施例1〕
ワークPを前処理槽1に浸漬した後、オゾン水処理槽3に6分間浸漬して酸化処理を行った。この際、オゾン水処理槽3内のオゾン水をインペラ22により攪拌し、ワークPはオゾン水の流れに対して平行に設置し、単軸ロボットを起動させてワークPを振幅10cm、速度20cm/秒で上下に振動させた。
このようにして処理したワークPを水洗した後、ラウリル硫酸ナトリウム(濃度;50g/L)とNaOH(濃度;1g/L)とを含む50℃に設定された混合水溶液に2分間浸漬し、ワークPを取り出して水洗を行った。
次に塩酸水溶液(3N)中に塩化パラジウム(0.1質量%)及び塩化スズ(5質量%)をそれぞれ溶解して、触媒溶液を調製した。そして、この触媒溶液中にワークPを4分間浸漬した。この際、触媒溶液の温度は40℃に設定した。その後、パラジウムを活性化するために、50℃に設定した塩酸水溶液(1N)中にワークPを2分間浸漬した。この工程によりワークPに触媒を吸着させ、塩酸水溶液からワークPを取り出して水洗を行った。
続いて、30℃に保温されたNi−P化学めっき浴(めっき液)中に、ワークPを10分間浸漬して、ワークPの樹脂基材表面にNi−Pめっき被膜を形成した。このようにして処理したワークPには均一なめっきの析出が確認された。この際のめっき被膜の厚みは0.5μmであった。
さらに、このめっき後のワークPを硫酸銅系電気めっき浴(25℃)に40分間浸漬することで、Ni−Pめっき被膜上に銅めっき被膜を形成した被めっき樹脂部材を得た。なお、Ni−Pめっき被膜と銅めっき被膜とを併せた被膜の厚みは、約30μmであった。
上記のようにして得られたワークP(被めっき樹脂部材)のめっき被膜の密着強度を評価するために、引っ張り試験を行った。引っ張り試験は、ワークP上のめっき被膜に幅10mmの短冊状に切れ込みを入れたものを試験片とし、この試験片を用いて、JIS H8630(密着性試験方法)に準じてめっき被膜の密着強度(kg/cm)を測定した。
〔比較例1〕
実施例1において、前処理槽1に浸漬しない以外は同様にして酸化処理を行ったワークPを水洗した後、同様にして無電解めっきを行ったところ、ワークPには均一なめっき析出は観察されず、全表面の約30%が未析出であった。
〔比較例2〕
実施例1において、前処理槽1に浸漬せず、さらに単軸ロボットを起動させずにワークPに機械的振動を付与しない以外は同様にして酸化処理を行ったワークPを水洗した後、同様にして無電解めっきを行ったところ、ワークPには均一なめっき析出は観察されず、全表面の約50%が未析出であった。
これら実施例1及び比較例1,2の結果を表1に示す。
Figure 2010095737
表1に示すように、オゾン水処理槽3に浸漬する前にアルカリ処理を行うことで、効率的にワークPの表面を酸化することができ、均一なめっき処理が可能であることが確認された。また、めっきの密着性も良好であることが確認された。
本発明の一実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置を示すフロー図である。
符号の説明
1…前処理槽
2…オゾン処理装置
3…オゾン水処理槽
6…オゾン製造装置
7…第1の供給管路(オゾン水供給装置)
8…第2の供給管路(オゾン水供給装置)
9…酸添加装置(水素イオン濃度調整手段)
11…入口ポンプ(オゾン水供給装置)
12…エジェクタ(オゾン溶解装置)
13…気液分離装置(オゾン水供給装置)
16…第1のオーバーフロー受部(オゾン水排出機構)
18…環流管路(オゾン水排出機構)
22…インペラ(攪拌手段)
P…ワーク(固体有機物)
W…原水
W0,W1,W2…オゾン水
Q…オゾン酸化促進剤

Claims (9)

  1. 固体有機物表面をオゾン酸化促進剤で濡らす前処理手段と、オゾン水処理槽を有するオゾン処理装置とを備え、
    前記固体有機物を前記前処理手段で処理した後、オゾン水処理槽に浸漬することを特徴とする固体有機物表面の酸化装置。
  2. 前記オゾン酸化促進剤が、界面活性剤溶液、過酸化水素溶液及びアルカリ溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の固体有機物表面の酸化装置。
  3. 前記前処理手段が、前記オゾン酸化促進剤溶液の浸漬槽、又は前記オゾン酸化促進剤溶液の噴霧装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体有機物表面の酸化装置。
  4. 前記オゾン処理装置が、オゾン発生装置と、このオゾン発生装置で発生したオゾンガスを原水に溶解させるオゾン溶解装置と、このオゾン溶解装置で製造されたオゾン水を前記オゾン水処理槽に供給する供給手段とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
  5. 前記オゾン溶解装置の前段又は後段に水素イオン濃度調整手段を有することを特徴とする請求項4に記載の固体有機物表面の酸化装置。
  6. 前記オゾン水処理槽にオゾン水排出機構が設けられており、
    前記オゾン水排出機構を経由して排出オゾン水が原水側に合流することを特徴とする請求項4又は5に記載の固体有機物表面の酸化装置。
  7. 前記オゾン水処理槽が、撹拌手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
  8. 前記オゾン水処理槽に固体有機物表面の脱泡機構を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
  9. 前記固体有機物表面の脱泡機構が、水流噴射手段、機械的振動手段及び超音波振動手段からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の固体有機物表面の酸化装置。
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