JP2010077202A - 透湿性フィルム、コーティング剤、塗膜用フィラー及び塗装シート - Google Patents

透湿性フィルム、コーティング剤、塗膜用フィラー及び塗装シート Download PDF

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Abstract

【課題】透湿性に極めて優れた透湿性フィルム、抗菌性及び抗黴性の高いコーティング剤と塗膜用フィラー及び塗装シートを提供する。
【解決手段】マトリックス樹脂と、架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末を含む透湿性フィルムであって、前記コラーゲン粉末による連通度が1〜95%であることを特徴とする透湿性フィルムである。また、マトリックス樹脂と、フィラーを含むコーティング剤であって、前記フィラーは、有機樹脂とアルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記有機樹脂に化学的に結合され、粉末化したフィラーである。本発明の塗装シートは、前記のコーティング剤を基布シートに塗装したものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン吸着性、抗菌性、及び抗黴性を有するコーティング剤、塗膜用フィラー、塗装シート、及び透湿性フィルムに関する。
従来、布等の衣料素材に適当な樹脂を付着させることにより、衣料の防水性や保温性を高め、透湿性を向上させて、むれ等を防ぎ、着心地を改善することが行われている。いわゆる透湿性防水布であり、このような例として、ポリウレタン樹脂を用いた透湿性防水フィルム、あるいは、基布上に前記フィルムを積層させた透湿性防水布が知られ、合成皮革、スポーツ衣料などに用いられている。
ポリウレタン樹脂は優れた機械強度、弾性を有することから、コーテイング剤、成形材料、表面処理剤、塗料等、種々の用途にも使用されるが、通常のポリウレタン樹脂を塗布した透湿性防水布は透湿性に劣る為に、着用時に蒸れる欠点があった。これを解決する為にポリウレタン樹脂溶液を湿式凝固させて多孔質にする方法が提案されている(特許文献1)。しかし、加工工程が煩雑であり、また膜強度が劣るなどの欠点を有していた。また、ポリウレタン樹脂のポリオール成分として、親水性のあるポリオキシエチレングリコールを用いて主鎖に導入する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、得られたポリウレタン樹脂は、一般に耐水性及び耐溶剤性が低く、耐久性が劣る問題があった。また、ポリウレタン系樹脂の場合、ウレタン特有のベトツキ感があり、特に、汗をかいた肌で接触した場合のベトツキ感が多いことが大きな課題であった。そこで、ポリウレタン樹脂溶液中に天然コラーゲン等の吸湿性の粉末を混合して塗布する方法が提案されている(特許文献3)。しかし、表面触感や透湿性の機能は満足されるものの、天然コラーゲンの耐熱性が低く、高温で加工すると熱劣化したり、湿熱劣化してゼラチン化したりして、ベタツキ感が発生するなどの欠点を有していた。
また、従来から抗菌・抗黴塗料としては多くの提案がある。例えばヒノキチオールを塗料に加えて抗菌塗料とする提案(特許文献4)、イオン交換により第4級アンモニウムイオン又は3級イオンを導入したマガディアイト又はケニヤアイトを含む抗菌性珪酸を使用する提案(特許文献5)、茶殻を塗料に混合してダンボールに塗布する提案(特許文献6)、銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を抗菌剤とする提案(特許文献7)、銅又は亜鉛をカルボニル化合物に配位させた金属錯体を塗料に配合する提案(特許文献8)等がある。
特開平11−269773号公報 特開平7−3148号公報 特開平4−82974号公報 特開2007−126602号公報 特開2007−106737号公報 特開2007−46182号公報 特開2007−39444号公報 特開2006−282647号公報
本発明は、前記従来の問題を改善するため、抗菌性及び抗黴性が高く、吸放湿性も高く、かつ感触の良好なコーティング剤、塗膜用フィラー、塗装シート、透湿性に優れた透湿性フィルムを提供することである。
上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明を完成するにいたった。即ち本発明は、マトリックス樹脂と、架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末を含有する透湿性フィルムであって、前記コラーゲン粉末による連通度が1〜95%であることを特徴とする透湿性フィルムに関する。
好適な実施態様としては、架橋された再生コラーゲンが、有機化合物および/または金属塩を含有する処理液で架橋処理されたことを特徴とする透湿性フィルムがある。
好適な実施態様としては、有機化合物が単官能エポキシ化合物であり下記一般式(1):
Figure 2010077202
(式中、Rは、R1−、R2−O−CH2−またはR2−COO−CH2−で表される置換基を示し、R1は炭素数2以上の炭化水素基またはCH2Clであり、R2は炭素数4以上の炭化水素基を示す。)で表される化合物であることを特徴とする透湿性フィルムがある。
好適な実施態様としては、金属塩が次の式で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムである透湿性フィルムがある。
Al(OH)n Cl3-n、又はAl2 (OH)2n(SO4 3-n
(式中、nは0.5〜2.5である)
好適な実施態様としては、マトリックス樹脂が、ポリウレタン系樹脂であることを特徴とする透湿性フィルムがある。
また、本発明のコーティング剤は、マトリックス樹脂と、フィラーを含むコーティング剤であって、前記フィラーは、有機樹脂とアルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記有機樹脂に化学的に結合され、粉末化されたフィラーであることを特徴とする。
本発明の塗膜用フィラーは、有機樹脂とアルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記有機樹脂に化学的に結合され、粉末化されたフィラーであり、前記フィラーの平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下であることを特徴とする。
本発明の塗装シートは、前記のコーティング剤を基布シートに塗装したものである。
本発明の透湿性フィルムは、透湿性が優れているおり、且つ合成皮革に近似したさらっとスベスベした心地よい触感、加熱や紫外線による変色に対する耐性を有する。
また、本発明の塗膜用フィラー及びこれを含むコーティング剤並びに塗装シートは、リン吸着能が高いことに起因して、細菌の養分であるリンを奪い取り、抗菌性及び抗黴性を発揮する。更に合成皮革に近似したさらっとスベスベした心地よい触感、加熱や紫外線による変色に対する耐性も有する。
また、本発明の塗膜用フィラーは、粒径が特定の範囲にあるため、吸放湿性が高く、かつ感触の良好なコーティング剤を提供できる。更に合成皮革に近似したさらっとスベスベした心地よい触感、加熱や紫外線による変色に対する耐性を有する。
また、本発明の透湿性フィルム、塗装用フィラー、これを含むコーティング剤、及び塗装シートに使用する再生コラーゲン粉末は、分散性や改質用添加剤としての特性にも優れている。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の透湿性フィルムは、マトリックス樹脂と、架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末を含有する透湿性フィルムであって、前記コラーゲン粉末による連通度が1〜95%であることを特徴とする。
本発明の再生コラーゲン粉末について以下に説明する。
本発明の再生コラーゲンは、牛、豚、馬、鹿、兎、鳥、魚などの動物の皮膚、骨、腱などから可溶化コラーゲン溶液を製造し、架橋処理することにより製造され、従来のコラーゲン粉末が有していた品質問題を解決しうる新規なコラーゲン粉末を提供しうるものである。さらに、可溶化コラーゲン水溶液を紡糸し、再生コラーゲン繊維とすることにより、コラーゲンの徹底的な精製と、紡糸による繊維化工程において緻密な架橋を行うことにより、全く新規なコラーゲン粉末を提供できる。
上記再生コラーゲンの製造方法としては、例えば特開2002−249982号公報に開示されているように、原料は床皮の部分を用いるのが好ましい。床皮は、たとえば牛、豚、馬、鹿、兎、鳥、魚等の動物から得られるフレッシュな床皮や塩漬けした生皮より得られる。これら床皮は、大部分が不溶性コラーゲン繊維からなるが、通常網状に付着している肉質部分を除去し、腐敗・変質防止のために用いた塩分を除去したのちに用いられる。また、前記動物の骨、腱など他の材料も同様に用いることができる。
この不溶性コラーゲン繊維には、グリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸等の脂質、糖タンパク質、アルブミン等のコラーゲン以外のタンパク質等、不純物が存在している。これらの不純物は、粉末化するにあたって光沢や強度等の品質、臭気等に多大な影響を及ぼす。したがって、たとえば石灰漬けにして不溶性コラーゲン繊維中の脂肪分を加水分解し、コラーゲン繊維を解きほぐした後、酸・アルカリ処理、酵素処理、溶剤処理等のような一般に行われている皮革処理を施し、予めこれらの不純物を除去しておくことが好ましい。
前記のような処理の施された不溶性コラーゲンは、架橋しているペプチド部を切断するために、可溶化処理が施される。前記可溶化処理の方法としては、一般に採用されている公知のアルカリ可溶化法や酵素可溶化法等を適用することができる。前記アルカリ可溶化法を適用する場合には、たとえば塩酸等の酸で中和することが好ましい。なお、従来から知られているアルカリ可溶化法の改善された方法として、特公昭46−15033号公報に記載された方法を用いても良い。
前記酵素可溶化法は、分子量が均一な再生コラーゲンを得ることができるという利点を有するものであり、本発明において好適に採用しうる方法である。かかる酵素可溶化法としては、たとえば特公昭43−25829号公報や特公昭43−27513号公報等に記載された方法を採用することができる。さらに、前記アルカリ可溶化法及び酵素可溶化法を併用しても良い。
このように可溶化処理を施したコラーゲンにpHの調整、塩析、水洗や溶剤処理等の操作をさらに施した場合には、品質等の優れた再生コラーゲンを得ることが可能なため、これらの処理を施すことが好ましい。得られた可溶化コラーゲンは、たとえば1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%程度の所定濃度の原液になるように塩酸、酢酸、乳酸等の酸でpH2〜4.5に調整した酸性溶液を用いて溶解される。なお、得られたコラーゲン水溶液には必要に応じて減圧攪拌下で脱泡を施し、水不溶分である細かいゴミを除去するために濾過を行ってもよい。得られる可溶化コラーゲン水溶液には、さらに必要に応じてたとえば機械的強度の向上、耐水・耐熱性の向上、光沢性の改良、紡糸性の改良、着色の防止、防腐等を目的として安定剤、水溶性高分子化合物等の添加剤が適量配合されてもよい。
可溶化コラーゲン水溶液を、たとえば紡糸ノズルやスリットを通して無機塩水溶液に吐出することにより再生コラーゲンが形成される。無機塩水溶液としては、たとえば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム等の水溶性無機塩の水溶液が用いられ、通常これらの無機塩の濃度は10〜40重量%に調整される。無機塩水溶液のpHは、たとえばホウ酸ナトリウムや酢酸ナトリウム等の金属塩や塩酸、ホウ酸、酢酸、水酸化ナトリウム等を配合することにより、通常pH2〜13、好ましくはpH4〜12となるように調整することが好ましい。pHが2未満である場合及び13をこえる場合、コラーゲンのペプチド結合が加水分解を受けやすくなり、目的とするコラーゲン粉末が得られにくくなる傾向がある。また、無機塩水溶液の温度は特に限定されないが、通常35℃以下であることが望ましい。温度が35℃より高い場合、可溶性コラーゲンが変性を起こすため、強度が低下し、安定した製造が困難となる。なお、温度の下限は特に限定されないが、通常無機塩の溶解度に応じて適宜調整することができる。
前記コラーゲンの遊離アミノ基を、β―位又はγ―位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数主鎖が2〜20のアルキル基で修飾する。前記炭素数主鎖とは、アミノ基に結合したアルキル基の連続した炭素鎖を示すものであり、他の原子を介在して存在する炭素数は考慮しないものとする。遊離アミノ基を修飾する反応としては、通常知られているアミノ基のアルキル化反応を用いることが出来る。反応性、反応後の処理の容易さ等から前記β―位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数2〜20のアルキル基が下記一般式(2)で表わされる化合物であることが好ましい。
―CH2―CH(OX)―R (2)
(式中、Rは、R1−、R2−O−CH2−又はR2−COO−CH2−で表される置換基を示し、前記置換基中のR1は炭素数2以上の炭化水素基又はCH2Clであり、R2は炭素数4以上の炭化水素基を示し、Xは水素又は炭化水素基を示す。)
一般式(2)の好ましい例としては、グリシジル基、1−クロル―2―ヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基が挙げられる。加えて、グリシジル基がコラーゲン中の遊離アミノ基に付加した構造が挙げられる。さらには、前述の好ましい基に記載されたアルキル基に含まれる水酸基を開始点として、用いたエポキシ化合物が開環付加、及び又は開環重合した構造が挙げられ、このときの付加及び又は重合の末端構造として、前述のアルキル基の構造を有しているものが挙げられる。
前記再生コラーゲンの遊離アミノ基を構成するアミノ酸としては、リジン及びヒドロキシリジンが挙げられる。さらに、本来コラーゲンを構成するアミノ酸としてはアルギニンで存在するものの、前記再生コラーゲンを得るために、アルカリ条件下で加水分解を行う際に、一部加水分解が進行して生じたオルニチンのアミノ基もアルキル化反応される。加えて、本発明においてはヒスチジンに含まれる2級アミンにおいても反応が進行する。
遊離アミノ基の修飾率は、アミノ酸分析により測定することが可能であり、アルキル化反応前の再生コラーゲン繊維のアミノ酸分析値、又は原料として用いたコラーゲンを構成する遊離アミノ酸の既知組成を基準に算出される。尚、本発明におけるアミノ基の修飾では、β―位又はγ―位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数2以上のアルキル基で修飾された構造が、遊離アミノ基の50%以上であれば良く、その他の部分は遊離アミノ基のままでもよいし他の置換基で修飾された構造であっても良い。再生コラーゲンの遊離アミノ酸の修飾率は50%以上である必要があり、より好ましくは、65%以上、更に好ましくは80%以上である。反応率が低い場合、耐熱性で良好な特性が得られない。
ここで、遊離アミノ基の修飾においては、通常、遊離アミノ基1つあたり1分子のアルキル化剤が反応するが、2分子以上反応していてもよい。さらに、遊離アミノ基に結合したアルキル基のβ―位又はγ―位に存在する水酸基又はアルコキシ基又はその他の官能基を介して、分子内又は分子間での架橋反応が存在していても良い。アルキル化反応の具体例としては、エポキシ化合物の付加反応、α―位又はβ―位に水酸基又はこの誘導体を有するアルデヒド化合物の付加反応とこれに続く還元反応、β―位又はγ―位に水酸基又はアルコキシ基を有する炭素数2以上のハロゲン化物、アルコール及びアミン等の置換反応が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明において、アルキル化反応剤として使用しうる有機化合物としては、アルデヒド類、エポキシ類、フェノール誘導体等が挙げられるが、反応性・処理条件の容易さからエポキシ化合物による修飾反応が、優れた特性を示すことから好ましく、単官能エポキシ化合物が特に好ましい。
ここで用いられる単官能エポキシ化合物の具体例としては、たとえば、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化イソブチレン、酸化オクテン、酸化スチレン、酸化メチルスチレン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール等のオレフィン酸化物類、グリシジルメチルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、ポリエチレンオキシドグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、蟻酸グリシジル、酢酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、安息香酸グリシジル等のグリシジルエステル類、グリシジルアミド類等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
単官能エポキシ化合物のなかでも、再生コラーゲンの吸水率が低下するため、下記一般式(1)で表される単官能エポキシ化合物を用いて処理することが好ましい。なお、式中、Rは、R1−、R2−O−CH2−またはR2−COO−CH2−で表される置換基を示し、R1は炭素数2以上の炭化水素基またはCH2Clであり、R2は炭素数4以上の炭化水素基を示す。
Figure 2010077202
このようにして得られた再生コラーゲンは、水又は無機塩の水溶液で膨潤した状態になっている。この膨潤体は再生コラーゲンの重量に対して4〜15倍の水又は無機塩の水溶液を含有した状態が良い。水又は無機塩の水溶液の含有量が4倍以上では再生コラーゲン中のアルミニウム塩含有量が多いため、耐水性が充分となる。また15倍以下であれば、強度が低下せず、取扱い性は良好である。
膨潤した再生コラーゲンは、次いでアルミニウム塩の水溶液に浸漬する。このアルミニウム塩水溶液のアルミニウム塩としては、次の式
Al(OH)n Cl3-n、又はAl2 (OH)2n(SO4 3-n
(式中、nは0.5〜2.5である)
で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムが好ましい。具体的には、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバン等が用いられる。これらのアルミニウムは単独で又は2種以上混合して用いることができる。このアルミニウム塩水溶液のアルミニウム塩濃度としては、酸化アルミニウムに換算して0.3〜5重量%であることが好ましい。アルミニウム塩の濃度が0.3重量%以上であれば、再生コラーゲン繊維中のアルミニウム塩含有量が高く、耐水性が充分となる。また5重量%以下であれば、処理後もそれほど硬くなく、取り扱い性が良好である。
このアルミニウム塩水溶液のpHは、例えば塩酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いて通常2.5〜5に調整する。このpHは、2.5以上であればコラーゲンの構造を良好に維持できる。pHが5以下であれば、アルミニウム塩の沈殿も生じず、均一に浸透し易くなる。このpHは、最初は2.2〜3.5に調整して充分にアルミニウム塩水溶液を再生コラーゲン内に浸透させ、その後に、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を添加して3.5〜5に調整して処理を完結させることが好ましい。塩基性の高いアルミニウム塩を用いる場合には、2.5〜5の最初のpH調整だけでもかまわない。また、このアルミニウム塩水溶液の液温は特に限定されないが、50℃以下が好ましい。この液温が50℃以下であれば、再生コラーゲンの変性や変質は起きにくい。
このアルミニウム塩水溶液に再生コラーゲンを浸漬する時間は、3時間以上、好ましくは6〜25時間とする。この浸漬時間は、3時間以上であればアルミニウム塩の反応が進み、再生コラーゲンの耐水性が充分となる。また、浸漬時間の上限には特に制限はないが、25時間以内でアルミニウム塩の反応は充分に進行し、耐水性も良好となる。なお、アルミニウム塩が再生コラーゲン中に急激に吸収されて濃度むらを生じないようにするため、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩を適宜前記アルミニウム塩の水溶液に添加しても良い。
このようにアルミニウム塩で処理された架橋された再生コラーゲンは、次いで水洗、オイリング、乾燥を行う。こうして得られた再生コラーゲン繊維は、従来法のクロム塩で処理されたような着色がほとんどなく、かつ、耐水性に優れたものとなる。一般にコラーゲンの変性(ゼラチン化)を防ぐため、加工時の温度履歴には注意が必要である。架橋後においても変性を防ぐためには、製造時、粉末化加工時・製品保管時の水分と温度の管理を再生コラーゲンの変性条件以下に保持することが必要である。大部分がゼラチン化したものは特性が変化しているため、目的であるコラーゲンの特性を発現することは困難である。変性防止の点において前記の再生コラーゲンを使用することは有利である。
また、コラーゲン溶液から紡糸する場合には、溶液中又は紡出直前に顔料や染料を混合して着色することも公知の方法により容易である。使用する顔料や染料は用途に応じて、紡糸工程や粉末化工程での溶出分離が無いこと、また使用製品の要求品質に対応して種類や色相を選択することができる。また必要に応じて、充填剤、老化防止剤、難燃剤、酸化防止剤等を添加することもできる。このようなコラーゲン繊維製造工程に代えて、スリットノズルを用いてフィルムを同様の方法で製造して、これを粉末化することもできる。
本発明においては、上記の方法により得られた再生コラーゲンを、粉砕することで架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末(再生コラーゲン粉末)とすることができる。再生コラーゲンが繊維あるいはフィルムの場合には、粉砕に適した繊維長もしくはサイズに切断するか、この切断したものをさらに粉砕するか、もしくは、繊維やフィルムを直接粉砕することにより再生コラーゲン粉末とすることができる。再生コラーゲン粉末の製造に使用できるカッターは特に制限は無い。例えば、繊維のカットに通常使われる回転刃カッター、ベルトカッター、シャーリングマシン、カッターミル等で0.1mm〜数mm程度に切断する。さらに、このカット綿を、ローラーミル、ロッドミル、ボールミル(乾式、湿式)、ジェットミル、ピンミル、振動ミル、セントリフューガル(CF)ミル、遊星型ボールミル、グラインダーミル等せん断型ミル等の粉砕機を用いて微粉砕、また媒体攪拌型超微粉砕機等を用い超微粉砕する。ジルコニア製ボール等の硬質のボールを使用することで粉末へのボール素材の混入を防ぐ点及び粉砕効率の点から好ましく使用することができる。アルミナ製ボール等他の素材のボールを用いることもできる。その他の粉砕方法として、冷凍粉砕も使用できる。このようにして得られた再生コラーゲン粉末の平均粒子径は0.01〜80μmであることが好ましい。
上記粉砕機の種類や粉砕時間によって得られる再生コラーゲン粉末の粒子径を適宜調節することも可能である。例えば振動ミルを使用した場合、1時間〜数十時間で、平均粒子径として5〜80μm程度のものが得られるが、0.01〜5μmの平均粒子径のものを得る場合には破砕した再生コラーゲン粉末を分級することで得られる。分級は風ひ分級でも良いし、水中で分級してもよい。
また、再生コラーゲン粉末の金属単体として換算したアルミニウムの含量は、0.1〜70重量%の範囲が好ましい。さらに好ましい範囲は0.2〜50重量%であり、特に好ましくは、1〜40重量%の範囲である。
上記粉砕機の種類や粉砕時間によって得られる再生コラーゲン粉末の粒子径を適宜調節することも可能であるが、例えば振動ミルを使用した場合、1時間〜数十時間で、平均粒径として5〜80μm程度のものが得られるが、0.01〜5μmの平均粒径のものを得る場合には破砕した再生コラーゲン粉末を分級することで得られる。
再生コラーゲン粉末の平均粒径は、0.01〜80μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。0.01μm以上80μm以下であると、フィルムを形成した後の表面触感や、有機溶剤やポリウレタン塗料への分散性が良く、好ましい。平均粒径は、例えば、レーザー回折法の1つである、マイクロトラック法により求めることができる。
透湿性フィルムの場合には、マトリックス樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、合成ゴムなどを用いることができる。この中で、機械強度や、柔軟性、耐擦傷性等の点で、ポリウレタン系樹脂であることが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、フッ素変性ウレタン樹脂、ポリアミノ酸系ウレタン樹脂などが挙げられる。この中で、強度と透湿性のバランスから、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂としては、市販のポリウレタン塗料を用いることができる。また、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることもできる。
マトリックス樹脂と再生コラーゲン粉末の組成比は、透湿性と膜強度の観点から、95:5〜30:70(重量比)であることが好ましく、90:10〜50:50(重量比)であることがより好ましい。前記範囲以上に再生コラーゲン粉末を配合すると膜強度が低下して、好ましくない。前記範囲以下に配合すると、十分な透湿性が発現しないため、好ましくない。
連通度とは、連通構造の含有量である。本発明の再生コラーゲン粉末は、不定形な粒子形状であるため、マトリックス樹脂に分散させた場合に、粒子同士が容易に接触点を形成するため、連通構造をとり、そのため、透湿性に極めて優れている。特に、CFミルを用いて製造した再生コラーゲン粉末は、針状形状が強く、粒子同士が接触し易く、好ましい。連通構造の概略を図1に示す。
連通度は、電子顕微鏡により、測定、算出することができる。フィルムのミクロトーム切断面を走査型電子顕微鏡で観察し、2300倍の倍率画像を無作為に10視野取得する。次に、この画像それぞれについてフィルム上面側(キャスト上面側)の表面部中央100ミクロンの長さにおいて粉末が突出している部分の割合を算出する。この10視野それぞれについて算出した粉末突出部の割合の平均を連通度と定義する。
連通度は、1〜95%であることが好ましく、10〜90%であることがより好ましい。連通度が1%未満であると、十分な透湿性が発揮されず、好ましくない。連通度を95%以上とするためには、再生コラーゲンの配合量を多量に配合する必要があり、フィルムの強度が著しく低下し、好ましくない。
本発明の透湿性フィルムは、透湿性と膜強度の観点から、その厚みは通常5〜30μmが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。厚みが30μm以上であると、透湿性が低下して好ましくない。厚みが5μm以下であると、膜強度が低下して好ましくない。
透湿性とは、湿気(水蒸気)を通す性質であり、透湿度は、例えば、JIS L 1099−1985 A−1法(塩化カルシウム法)により測定することができる。透湿度は、300g/m2/24h以上であることが好ましく、500g/m2/24h以上であることが、より好ましい。合成皮革やスポーツ衣料に関して、透湿度が高いと、発汗時にむれを防ぎ、快適性を得ることができる。
本発明の透湿性フィルムは、透湿性を損なわない範囲において、強度を付与する目的で、本発明以外のフィルムを積層し、積層フィルムとすることができる。このような積層フィルムは、2層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。本発明以外のフィルムとしては、ポリウレタン系樹脂からなるフィルムなどが挙げられ、フィルムは無孔質であってもよく、多孔質であってもよい。また、再生コラーゲン粉末の含有量の異なる本発明の透湿性フィルムを積層することもできる。
本発明の透湿性フィルムは、乾式製膜、湿式製膜、押出成形など、公知の方法を用いて製造することができる。この中で、乾式製膜法により作製することが好ましい。乾式製膜は、樹脂溶液をキャストして溶媒を蒸発させることにより製膜されるが、好ましくは離型紙上に樹脂溶液をコンマコーター、ナイフコーター、リバースコーターなどにより均一厚みに塗布した後、乾燥させ離型紙を剥離することにより製膜される。なお樹脂膜中に、着色剤(顔料)、安定剤、充填剤、その他の添加剤を添加してもよい。また、有機溶媒で希釈し、溶液粘度を調整しても良い。有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、イソプロパノール、トルエンなどの単独またはこれらの混合物を使用することができる。
本発明の透湿性フィルムを乾湿製膜により、基布上に形成させ、透湿性防水布とするための方法としては、スプレー塗工、グラビア塗工、ナイフコーティング、ロールコーティング、離型紙を用いたラミネート法などの公知の方法が採用できる。基布としては、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、綿、レーヨンなどの繊維単独またはこれらの混合繊維よりなる織布、編布、不織布などが用いられ、必要により起毛処理を施してもよい。
このようにして得られる透湿性防水フィルムは、人が皮膚に接触した場合に違和感の無い表面触感を有し、ベタツキ感が無く、かつ、優れた透湿性を有する。
本発明の透湿性フィルムは、透湿性に優れているため、合成皮革、人工皮革、靴、スポーツ衣料、サウナスーツ、ウインドブレーカー、レインコート、防寒服などに好適に用いることができる。
本発明の再生コラーゲン粉末は、天然皮革に由来する特徴である吸放湿性、触感、冷涼感と、アルミ架橋に由来する抗菌、抗黴性を有するため、本発明の透湿性フィルムは、これら特徴を発揮するものである。
コーティング剤、塗膜用フィラー、塗装シートの場合には、本発明に用いられる再生コラーゲン粉末の粒子径としては、0.1〜数mm程度でも抗菌性を示すが、平均粒子径が0.01〜80μmまで微粉砕することでより抗菌性が向上する。また、感触の観点から、平均粒子径は1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。平均粒径が、上記範囲よりも大きいと、コーティング剤を塗布した後の塗装面がザラザラ感のある感触となり、好ましくない。また、1μm以上であると、ハンドリング性が良好である。
前記分級後のフィラーの平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下とするのが好ましい。さらに好ましくは、平均粒子径5μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径20μm以下となるようにする。前記範囲であれば、塗装物の触感はさらっと感を発揮でき、吸放湿性も好適である。
本発明の再生コラーゲン粉末は、接触冷温感に優れる。接触冷温感とは、材料の温かさ(冷たさ)を指す感性因子(触感)であり、通常、表面示差熱(Qmax)が指標として用いられる。PVCレザーでは、Qmaxが大きく、すなわち、熱移動が大きく、冷たい触感が得られる。本皮は、Qmaxが小さく、温かい触感が得られる。本発明の再生コラーゲン粉末をコーティングしたシートは、本皮と同じ成分であるコラーゲンを含有するため、PVCレザーよりも、表面示差熱(Qmax)が低く、より本皮に近い「温かい」触感を得ることができる。
本発明のコラーゲン粉末は、白色度に優れる。本発明のコラーゲン粉末は、コラーゲン繊維の製造段階で、充分に精製され、不純物が取り除かれているため、白色度が高く、黄色味も少ない。
前記粒子分布及び平均粒子径は市販の粒度分布計で測定できる。例えば、レーザ回折散乱法によるマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製“MT3300”)などを用いて測定できる。分散媒としては例えばメタノールを用いる。また、粒子屈折率はコラーゲンの屈折率である1.44を用いる。
本発明の再生コラーゲン粉末は、リン吸着能を有する。吸着する対象であるリンは、リン元素を含むもの、又はリン化合物であれば特に限定されない。例えば、リン酸構造体を吸着することができる。ここで、リン酸構造体とは、リン酸、リン酸塩、リン酸エステルなどのリン酸骨格を有する物質をいう。リン元素は、自然界では一般にリン酸構造体の形で存在する場合が多く、本発明のリン吸着剤がリンを吸着する好ましい方法としては、単にリンを含む水溶液とリン吸着剤である再生コラーゲン粉末、あるいは担持体との混合物であるリン吸着体とを混ぜ合わせるだけでよい。より効率的な吸着をするにはリン吸着剤あるいは同吸着体をできるだけ溶液中に均一に分散させることが望ましい。
本発明のコーティング剤組成物中、前記再生コラーゲン粉末は0.1〜70重量%添加
するのが好ましい。さらに好ましくは2〜60重量%であり、とくに好ましくは5〜60重量%である。0.1重量%以上であれば有効な抗菌性が認められる。70重量%以下であれば、コーティング剤として好ましい流動性がある。
次に、本発明のカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールについて説明する。
本発明においては、有機樹脂粉末としてカルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールも使用できる。カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールも、架橋前は水に可溶なマトリックス樹脂ゲル成分であり、アルミニウム塩を接触させることにより架橋され、アルミニウム塩が樹脂のゲル成分に化学的に結合させ、水不溶化樹脂にすることができる。すなわち、カルボキシメチルセルロースは−COOH基と−OH基を有することから、アルミニウム塩で架橋できる。また、ポリビニルアルコールは−OH基を有することから、アルミニウム塩で架橋できる。ポリビニルアルコールとして、−COOH基を導入したものを用いてもよい。−COOH基の導入量は、例えば0.1〜5モル%程度とすることができる。
カルボキシメチルセルロースとしては、例えばシグマ(SIGMA)社製“カルボキシメチルセルロースナトリウム塩”がある。ポリビニルアルコールとしては、例えば日本酢ビ・ポバール社製“アニオン変性PVA(Aシリーズ)”グレード:AF17がある。
1.有機樹脂粉末からなるフィラー
本明細書において、有機樹脂とアルミニウム塩を含む粉末化されたフィラーは、「有機樹脂粉末からなるフィラー」、又は単に「有機フィラー」という。
2.マトリックス樹脂
マトリックス樹脂材料としては、一般の塗料に使用される樹脂であればどのようなものでも良い。例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、エポキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマーからなる群から選ばれる樹脂を少なくとも一種含有する組成物とすることが好ましく、再生コラーゲン粉末の特性である吸放湿性や化学物質吸着性等の損なわない範囲で併用することも可能である。この中でも、耐磨耗性、耐寒性、耐屈曲性、耐油性等の点で、ポリウレタン系樹脂が好ましい。ポリウレタン系樹脂/再生コラーゲン粉末をコーティング剤に用いると、再生コラーゲン粉末の特徴である吸放湿性、皮革様の感触、特に「さらっとした」触感が得られ、ベタツキも無く触感良好となる。また、さらに、シリカ微粉末を配合することで、「しっとりとした触感」となり、高級感を発揮できる。ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂、シリコーン共重合タイプ、水系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
3.コーティング剤
本発明のコーティング剤は、マトリックス樹脂及び再生コラーゲン粉末などの有機フィラーを含有する。また、必要に応じて、有機溶剤又は水、シリカ粉末などの無機フィラー、着色剤(顔料)、可塑剤、老化防止剤等を加えることもできる。混合条件については、公知の条件であればよく、特に限定はない。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂の場合、樹脂の溶解性から、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロパノールなどの有機溶剤が好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、近年、環境負荷やVOCの問題、あるいは溶剤回収・廃棄に関するコスト、労力の問題から、水性ポリウレタン樹脂や、水性アクリル樹脂が注目されており、これらの水系樹脂も使用可能である。
このようにして得られた再生コラーゲン粉末とマトリックス樹脂材料とを混合することで、抗菌性または抗黴性に優れたコーティング剤組成物を得ることができる。また、本発
明のコーティング剤は、耐水性、ホルムアルデヒド吸着性、吸放湿性、濡れ性、つや消しなどの点に優れたものである。
本発明のコーティング剤は壁や天井等の固定物体に塗布してもよいし、基布シートに塗装した塗装シートとしても良い。塗装シートとしては、壁紙や布、合成皮革、ポリ塩化ビニルレザー、人工皮革、あるいは合成樹脂成形品がある。コーティングする方法は特に限定されず、例えば、グラビアプリンター法、スプレー法、ロールコーター法、リバースコーター法、ドクターナイフ法、刷毛塗り法、ディッピング法等を用いることができる。
本発明のコーティング剤は、他の抗菌剤または抗黴剤、例えばAgを含む組成物又は化合物、ピリジン系化合物などを新たに添加する必要がない点で経済性に安価なものとなる。もちろん、他の抗菌剤または抗黴剤と併用してもかまわない。
4.菌
菌としては、細菌と真菌に分類されるが、通常これらのいずれにも効果を有するような素材は少なく、このような機能を有するものが望まれている。一般に細菌の分類としては、以下に示すように細胞壁にペプチドグリカンを多量に持つグラム陽性菌、リポポリサッカライドを持つグラム陰性菌、及びその他の菌に大別される。グラム陽性菌としては、更に、グラム陽性球菌とグラム陽性桿菌に大別される。
グラム陽性球菌には、通性嫌気性および好気性球菌があり、属としては、ミクロコッカス属、スタフィロコッカス属、連鎖球菌属のストレプトコッカス属およびエンテロコッカス属があり、スタフィロコッカス属の黄色ぶどう球菌、メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)、連鎖球菌属では化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、緑色連鎖球菌が病原菌として知られている。
グラム陽性桿菌には、コリネバクテリウム属、リステリア属、エリジペロスリックス属、バチルス属、マイコバクテリウム属に分類され、病原菌としてはコリネバクテリウム属のジフテリア菌、リステリア属のリステリア・モノサイトゲネス、エリジペロスリックス属のブタ丹毒菌、バチルス属の炭そ菌、セレウス菌、マイコバクテリウム属の結核菌が主なものである。
グラム陰性菌としては、グラム陰性桿菌が主なものである。
グラム陰性桿菌としては、好気性グラム陰性桿菌とグラム陰性通性嫌気性桿菌を挙げることができる。
好気性グラム陰性桿菌の主な菌属として、Pseudomonas, Burkholderia, Rastonia, Legionella, Brucella, Bordetella, Alcaligenes, Francisella などが挙げられる。病原性を持つものとして、Pseudomonas属の緑膿菌、Legionella属のレジオネラ・ニューモフィラ、Brucella属のマルタ熱菌、ウシ流産熱菌、ブタ流産菌などが知られている。
グラム陰性通性嫌気性桿菌は、腸内細菌科、ビブリオ科、パスツレラ科に分類され、腸内細菌科はさらに大腸菌属、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、エルシニア属に分類され、病原性を持つものとして、大腸菌属ではO157などの大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クレブシエラ属では肺炎桿菌、セラチア属では霊菌、プロテウス属ではProteus vulgaris, Proteus mirabilis、エルシニア属ではペスト菌が知られている。またビブリオ科はビブリオ属のコレラ菌、パスツレラ科は
パスツレラ属のPasturella multocidaが病原性菌として知られている。
その他の菌としては、グラム陽性、陰性の両方が存在する菌群として、偏性嫌気性菌、らせん菌群があり、以下のような菌が知られている。
偏性嫌気性菌としては、偏性芽胞形成菌、偏性嫌気性グラム陽性無芽胞桿菌、偏性嫌気性グラム陰性無芽胞桿菌、嫌気性グラム陽性球菌、嫌気性グラム陰性球菌に分類され、病原菌としては、偏性芽胞形成菌の破傷風菌、ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、ディフィシル菌が挙げられる。
らせん菌群としては、カンピロバクター属のC. fetus, C. jejuni, C. colitが病原菌として知られている。
上記の細菌が様々な病原菌において知られている。特に、食中毒や院内感染でよく検出される以下、大腸菌、黄色ぶどう球菌、緑膿菌、MRSA、セレウス菌、肺炎桿菌は抗菌剤の対象菌として極めて重要なものであるといえる。
5.真菌類(酵母と黴)
次に、真菌類については、酵母と黴に大別される。
黴としては、Aspergillus属、Penicillium属、Cladosporium属、Alternaria属、Fusarium属、Aureobasidium属、Trichoderma属、Chaetomium属、に分類される。対象となる黴としては、JIS Z 2911に挙げられた、例えば、(第1群)アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、ユーロチウム・トノヒルム、(第2群)ペニシリニウム・シトリナム、ペニシリニウム・フニクロスム、(第3群)リゾプス・オリゼ、(第4群)クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(クロカワ黴)、オーレオバシジウム・プルランス、グリオクラジウム・ビレンス、(第5群)ケトミウム・グロボスム、フザリウム・モニリホルメ、ミロテシウム・ベルカリア、などの黴が考えられる。
酵母としては、Candida属、Rhodotorula属、Saccharomyces属、に分類される。
本発明のコーティング剤は、上記細菌、及び上記酵母に該当する真菌に対して増殖阻害効果を有する。
また、本発明の抗黴剤は、上記黴に該当する真菌に対して増殖阻害効果を有する。
本発明は、抗菌剤、又は抗黴剤に関するものであるが、いずれの性能をも持ち合わせる場合を否定するものではなく、両立する場合もありうる。
本発明のコーティング剤の金属単体としてのアルミニウムの定量は、粉末を湿式酸化分解したのちに原子吸光分析により測定する。塗膜も前記と同様の方法により測定できる。なお、金属単体としてのアルミニウムとは、アルミニウム原子及びこれの会合体のみを示す。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。下記の実施例において、単に「%」と表示しているのは、「wt%」を意味する。
(実施例1)
(1)再生コラーゲン粉末の作製
牛の床皮を原料とし、アルカリで可溶化した皮片1200kg(コラーゲン分180kg)に30重量%に希釈した過酸化水素水溶液30gを投入後、乳酸水溶液で溶解し、pH3.5、固形分7.5重量%に調整した原液を作製した。原液を減圧下で撹拌脱泡機((株)ダルトン製、8DMV型)により撹拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置し、脱泡を行った。かかる原液をピストンで押し出した後、ギアポンプで定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで濾過後、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の紡糸ノズルを通し、硫酸ナトリウム20重量%を含有してなる25℃の凝固浴(ホウ酸及び水酸化ナトリウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出した。
次に、得られた再生コラーゲン繊維(300本、20m)を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸化ナトリウム0.0246重量%、及び硫酸ナトリウム17重量%を含有した水溶液1.32kgに25℃で4時間浸漬した後、さらに反応液温度を43℃に昇温して2時間含浸した。
反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。この後、硫酸アルミニウム5重量%、クエン酸三ナトリウム塩0.9重量%、水酸化ナトリウム1.2重量%を含有した水溶液1.32kgに30℃で含浸し、反応開始から2時間後、3時間後及び4時間にそれぞれ5重量%水酸化ナトリウム水溶液13.2gを反応液に添加し、合計6時間反応させた。反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。
ついで、作製した繊維の一部をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた。50℃に設定した熱風対流式乾燥機内部で繊維束の一方の端を固定し、他方の端に繊維1本に対して2.8gの重りを吊り下げ2時間緊張下で乾燥させ、60deci texの再生コラーゲン繊維を得た。
得られた再生コラーゲン繊維を物理的に粉砕した。すなわち、まず再生コラーゲン繊維2kgをカッターミルSF−8(三力製作所製)にて1mm前後の長さに細断し、同社製サイクロンCYC−600型にて回収した。この細断物を後述の実施例1の黄色ブドウ球菌の抗菌試験に用いた。次に、振動ミル(株式会社トーケン製)を用い粉砕を行った。粉砕条件としては、容量4Lのアルミナ製容器に同じアルミナ製のボール(径19mm)を充填容量80%、細断したコラーゲン繊維を充填容量として40%(500g)で入れ、4〜12時間粉砕処理を実施した。その結果、4時間の粉砕では平均粒子径33μm、15時間の粉砕では平均粒子径10μmの粉末を得ることができた。この平均粒子径10μmの粉末を分級し、20μm以上の粗大粒子をカットした。この結果、平均粒子径は8.8μmとなった。
(2)コーティング剤組成物の調製とコーティング
前記で得られた再生コラーゲン粉末と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製“ニッポラン5199”(固形分30wt%)を使用し、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をそれぞれ表1に示すように計量して混合し、コーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は30μmとした。
(3)抗菌試験
得られたコーティング物を抗菌試験をした。試験サンプルは、板状のものを5cm×5cmに切断し、抗菌試験に用いた。試験は、5mlの普通ブイヨン培地(栄研化学社製)で大腸菌(Escherichia coli IFO3972)を27℃で一晩振盪培養後、終濃度で1/500濃度の普通ブイヨン培地を含む滅菌した生理食塩水(0.85重量%NaCl)で希釈した。この菌懸濁液0.4mlを樹脂シャーレー(西部社製)中に置き、この菌液の上に試験面を下にして資料をかぶせ、ふたをして30℃に放置した。接種時及び24時間後にこの菌懸濁液を4.5mlの滅菌生理食塩水中に回収し、10倍ずつ5段階希釈を行い、これら菌懸濁液0.5ml中の生菌数を測定した。なお、対照は試料の代わりにポリエチレンシートを用い、同様のも操作を行った。生菌数の測定は衛生試験法・注解(2005)1.2.1.1細菌一般試験法3)菌測定(1)混釈平板培養法(p.59
)に準じて行った。ただし、微生物の培養にはSCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬社製)を用い、37℃で24時間培養した。生菌数は、試料に接種した菌懸濁液中での生菌数濃度に換算した。生菌数の検出限界は102個/ml以下であった。
以上の条件と結果を表1に示す。
Figure 2010077202
表1から明らかなとおり、実験2は実験1(比較例)に比べて大腸菌の生菌数は半分に減
少した。尚、実験2の再生コラーゲン粉末量は、乾燥重量で約0.1wt%であった。また、実験3〜6の再生コラーゲン粉末5〜30wt%では、大腸菌の生菌数は大きく減少した。
(実施例2)
実施例1と同様にコーティング剤組成物を調製し、PVCの上にコーティングし、抗黴性をクロカワ黴の菌株を使用し、以下の方法で実施した。
すなわち、乾燥後の塗膜中に、0wt%、0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、30wt%の濃度になるように再生コラーゲン粉末を加えた。コーティング剤を塗布した各試料を50℃に保った寒天入り培地((株)栄研化学製サブロー寒天培地)に添加し、十分に混合後、これをシャーレに分注、固化させて測定用平板を作製した。次に各試験菌株を増殖用培地(クロカワ黴;Difco社製Potato Dextrose Agar)で25℃、10日間培養後、106/ml(クロカワ黴は胞子数)となるよう
に調整し、平板上に塗抹し、25℃、7日間培養後培養した。判定は、菌の発育が阻止された最低濃度をもって最小発育阻止濃度とした。
Figure 2010077202
以上の結果から、本実施例のコーティング剤は抗黴性が認められた。
(実施例3−1〜3−9、比較例1〜2)
実施例1と同様に再生コラーゲン粉末を作製し、粉砕後分級し、20μm以上の粗大粒子をカットし、実施例1と同様にコーティング剤を調整し、コーティングした。添加物と配合量、塗装条件、及び評価結果を表3に示す。表3中、添加物は次のとおりである。
(1)ポリウレタン“ニッポラン5199”:ポリカーボネート系ポリウレタン、固形分30wt%、日本ポリウレタン社製
(2)ポリウレタン“クリスボン3354”:ポリエステル系ポリウレタン、固形分20wt%、大日本インキ社製
(3)再生コラーゲン粉末 CFM−R1:平均粒子径8.8μm
(4)再生コラーゲン粉末 VMS:平均粒子径10.0μm
(5)シリコーンオイル TSF451−100CS:GE東芝シリコーン社製
(6)シリカ粉末 ACEMATT TS−100:平均粒径4μm、テグサジャパン社製
(7)シリカ粉末 ACEMATT OK412:平均粒子径3μm、テグサジャパン社製
(8)溶剤 DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
(9)溶剤 MEK:メチルエチルケトン
Figure 2010077202
表3中、評価結果の「触感」は次のとおりとした。評価者10名に塗装物を手で触ってもらい、そのときの感触の評価を平均点で表わした。感触の評価基準は、合成皮革に近似しているかどうかを基準にした。
5点:非常にタッチ感がよく、合成皮革によく近似している。
4点:タッチ感がよく、合成皮革に近似している。
3点:普通
2点:タッチ感はあまりよくない。
1点:タッチ感は悪い。
以上のとおり、本発明の実施例品は普通以上の評価が得られた。
(実施例4)
不溶化カルボキシメチルセルロース(CMC)粉末を次のように製造した。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC;シグマ社製)の1wt%水溶液を作製、同液をアルミニウム架橋用の硫酸アルミニウム液に滴下することで不溶体を形成させた。同不溶体を回収し、乾燥後、乳鉢にて粉砕し、微粒子を得た。この微粒子を分級して20μm以上の粒子をカットし、平均粒子径は12μmであった。この不溶化カルボキシメチルセルロース(CMC)粉末を乾燥重量で10wt%となるように日本ポリウレタン社製“ニッポラン5199”(固形分30wt%)に添加し、他の条件は実施例1と同様にしてコーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は30μmとした。得られたコーティング物の抗菌性評価を実施例1と同様に行った。この結果、生菌数は検出されなかった。以上の結果から、抗菌性が認められた。
(実施例5)
不溶化PVA粉末を次のように製造した。アニオン変性ポリビニールアルコール(日本酢ビ・ポバール社製商品名“AF−17”)の10%(W/V)水溶液を作製、同液をアルミニウム架橋用の硫酸アルミニウム液に滴下することで不溶体を形成させた。同不溶体を回収し、乾燥後、乳鉢にて粉砕、微粒子を得た。この微粒子を分級して20μm以上の粒子をカットし、平均粒子径は11μmであった。この不溶化PVA粉末を乾燥重量で10wt%となるように日本ポリウレタン社製“ニッポラン5199”(固形分30wt%)に添加し、他の条件は実施例1と同様にしてコーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は30μmとした。得られたコーティング物の抗菌性評価を実施例1と同様に行った。この結果、生菌数は検出されなかった。以上の結果から、抗菌性が認められた。
(実施例6)
実施例1で得られた再生コラーゲン繊維を粉砕した粉末を風ひ分級した。分級装置は、ホソカワミクロン社製“ミクロンセパレータMS−1H”と同社製“パルスジェットコレクタCP−16−6”を使用した。その結果、表4に示す粒径のフィラーを得た。表4に示す実験No.1〜4のフィラーの粒子分布は、レーザ回折散乱法によるマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製“MT3300”)を用い、分散媒はメタノールを用い、粒子屈折率はコラーゲンの屈折率である1.44を用いた。図1は本実施例の実験No.1〜4のフィラーの粒子分布を示すグラフである。
(2)コーティング剤組成物の調製とコーティング
前記で得られた再生コラーゲン粉末20重量部と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製“ニッポラン5199”(固形分30wt%)を100重量部、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を20重量部計量して混合し、コーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は30μmとした。得られた塗装シートの評価結果を表4に示す。
Figure 2010077202
表4の結果から、再生コラーゲンフィラーの平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下の実験No.1〜2が触感と官能検査で好ましいことが確認できた。
(実施例7)
実施例6の実験No.1〜2のフィラー20重量部と、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製“ニッポラン5199”(固形分30wt%)を100重量部、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を20重量部計量して混合し、コーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は40μmとした。
得られた塗装シートの吸湿性と放湿性を調べた。塗装シートは縦5cm、横7cmの大きさに切断し、最初の4日間は温度30℃、温度相対湿度30%の恒温恒湿槽内に保持した後、温度30℃、温度相対湿度80%の恒温恒湿槽内に移し、1、2、3時間後の質量を測定し、次に、温度30℃、温度相対湿度30%の恒温恒湿槽内に移し、1、2、3時間後の質量を測定した。その結果を図2に示す。図2から本実施例の塗装シートは、比較例のPVCシートに比べて吸放湿性が高いことが確認できた。
(製造例1)再生コラーゲン繊維の製造方法
牛の床皮を原料とし、アルカリで可溶化した皮片1200kg(コラーゲン分180kg)に30重量%に希釈した過酸化水素水溶液30gを投入後、乳酸水溶液で溶解し、pH3.5、固形分7.5重量%に調整した原液を作製した。原液を減圧下で撹拌脱泡機(株式会社ダルトン製、8DMV型)により撹拌脱泡処理し、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さらに減圧下で静置し、脱泡を行った。かかる原液をピストンで押し出した後、ギアポンプ定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで濾過後、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の紡糸ノズルを通し、硫酸ナトリウム20重量%を含有してなる25℃の凝固浴(ホウ酸及び水酸化ナトリウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出した。
次に、得られた再生コラーゲン繊維(300本、20m)を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸化ナトリウム0.0246重量%、及び硫酸ナトリウム17重量%を含有した水溶液1.32kgに25℃で4時間浸漬した後、さらに反応液温度を43℃に昇温して2時間含浸した。
反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。この後、硫酸アルミニウム5重量%、クエン酸三ナトリウム塩0.9重量%、水酸化ナトリウム1.2重量%を含有した水溶液1.32kgに30℃で含浸し、反応開始から2時間後、3時間後及び4時間にそれぞれ5重量%水酸化ナトリウム水溶液13.2gを反応液に添加し、合計6時間反応させた。反応終了後に反応液を除去後、流動型装置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗を行った。
ついで、作製した繊維の一部をアミノ変性シリコーンのエマルジョン及びプルロニック型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤を満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた。
50℃に設定した熱風対流式乾燥機内部で繊維束の一方の端を固定し、他方の端に繊維1本に対して2.8gの重りを吊り下げ2時間緊張下で乾燥させ、60dtexの再生コラーゲン繊維を得た。
(製造例2)再生コラーゲン粉末−Aの製造方法
再生コラーゲン粉末−Aは製造例1に示した再生コラーゲン繊維を物理的に粉砕することにより調製した。すなわち、まず再生コラーゲン繊維30kgをカッターミルSF−8(株式会社力製作所製)にて1mm前後の長さに細断し、同社製サイクロンCYC−600型にて回収した。次に、振動ミルFV−100(中央化工機株式会社製)を用い粉砕を行った。粉砕条件としては、容量283Lのアルミナ製容器に同じアルミナ製のボール(径20mm)を充填容量80%、細断したコラーゲン繊維を充填容量として50kgで入れ、24時間粉砕処理を実施した。その結果、24時間の粉砕により平均粒径11.0μmの粉末を得ることができた。この平均粒径11.0μmの粉末を乾式分級した。乾式分級機ミクロンセパレータMS−1H(ホソカワミクロン株式会社製)とパルスジェット式集塵機CP−16−6(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、風量12m3/min(2次風量3m3/min)、回転数5000rpmとした。その結果、平均粒径5.0μmの粉末(以下、再生コラーゲン粉末−Aとする。)を得た。粉末の粒径は、湿式レーザー回折・散乱法により測定した。マイクロトラックMT3300(日機装株式会社製)を用い、分散媒としてメタノールを用いた。
(製造例3)再生コラーゲン粉末−Bの製造方法
再生コラーゲン粉末−Bは製造例1に示した再生コラーゲン繊維を物理的に粉砕することにより調製した。すなわち、まず再生コラーゲン繊維2kgをカッターミルSF−8(株式会社三力製作所製)にて1mm前後の長さに細断し、同社製サイクロンCYC−600型にて回収した。次に、CFミルCF−630(宇部興産株式会社製)を用い粉砕を行った。粉砕条件としては、ジルコニア製容器に同じジルコニア製ボール(径6mm)を40kg、セパレータ回転数1400rpm、ミル回転数1000rpm、供給量1.8kg/hとした。その結果、平均粒径13μmの粉末(以下、再生コラーゲン粉末−Bとする。)を得た。再生コラーゲン粉末−Bは、再生コラーゲン粉末−Aよりも、平均粒径が大きく、電子顕微鏡による観察の結果、針状形状の強い粒子形状の粉末であった。
(実施例8)
下記処方の塗料組成物をフィルムアプリケータ(クリアランス200μm)を用いて離型紙上に均一厚みに塗布した。室温で30分間乾燥し、さらに100℃で10分間乾燥させ、離型紙を剥離して厚み29μmの透湿性フィルムを得た。
ニッポラン5199(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30wt%)100重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製)
再生コラーゲン粉末−A 5重量部
2−ブタノン(メチルエチルケトン)25重量部
(実施例9)
下記の塗料組成物を実施例8と同じ操作を行い、厚み30μmの透湿性フィルムを得た。
ニッポラン5199(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30wt%)100重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製)
再生コラーゲン粉末−A 30重量部
2−ブタノン(メチルエチルケトン)80重量部
(実施例10)
下記の塗料組成物を実施例8と同じ操作を行い、厚み32μmの透湿性フィルムを得た。
ニッポラン5199(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30wt%)100重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製)
再生コラーゲン粉末−A 60重量部
2−ブタノン(メチルエチルケトン)150重量部
(実施例11)
下記の塗料組成物を実施例8と同じ操作を行い、厚み32μmの透湿性フィルムを得た。
ニッポラン5199(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30wt%)100重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製)
再生コラーゲン粉末−B 5重量部
2−ブタノン(メチルエチルケトン)25重量部
(比較例4)
再生コラーゲン粉末を含まない下記の塗料組成物を実施例8と同じ操作を行い、厚み32μmの透湿性フィルムを得た。
ニッポラン5199(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、固形分30wt%)100重量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製)
2−ブタノン(メチルエチルケトン)15重量部
(1)透湿度
透湿度は、JIS L 1099−1985 A−1法(塩化カルシウム法)により測定した。
(2)連通構造
フィルムの連通度は以下の方法で測定、算出した。すなわち、まず実施例8〜11および比較例4で作製したフィルムのミクロトーム切断面を走査型電子顕微鏡JSM−6060LA(日本電子株式会社製)で観察し、2300倍の倍率画像を無作為に10視野取得した。この画像それぞれについてフィルム上面側(キャスト上面側)の表面部中央100ミクロンの長さにおいて粉末が突出している部分の割合を算出した。この10視野それぞれについて算出した粉末突出部の割合の平均を表5に記載した連通度とした。
Figure 2010077202
実施例8〜11では、再生コラーゲン粉末を含有し、マトリックス樹脂であるポリウレタン樹脂中で、粉末の粒子同士が連通構造をとることに起因して、極めて良好な透湿性を示した。また、実施例11では、針状形状の強い粒子形状で、平均粒径の大きな再生コラーゲン粉末−Bを使用しているため、再生コラーゲン粉末−Aを使用している実施例1よりも、高い透湿度を示した。比較例4は、再生コラーゲン粉末を含有しないポリウレタン樹脂のみのフィルムであるため、透湿性が不十分であった。
(実施例12)カーポンアーク灯光を用いた再生コラーゲン粉末の紫外線耐光試験
錠剤成形装置(φ44mmの鉄製円筒)にコラーゲン粉末を入れ、100MPaで1分間加圧成形し、さらに表面処理として、サンドペーパー♯1200で軽く数回研磨し照射用試験片を作成した。カーボンアーク灯照射(スガ試験機株式会社製 FAL−SP型)条件は、JIS L0842に準じた。ブラックパネル温度は、63℃、放電電圧電流は、125−145V、15−17Aとし、照射時間は、20時間とした。表面の測定方法は、粉末の測色に準じた。
Figure 2010077202
その結果、表6にように、再生コラーゲン粉末には、紫外線耐光性があることがわかった。
(実施例13)再生コラーゲン粉末の加熱による変色試験
再生コラーゲン粉末1gをアルミ容器に入れ、120℃の恒温装置に静置、経時的にサンプルの変色度を肉眼にて観察した。120℃に静置後、1時間、3時間、6時間、24時間の各経過時点での変色を肉眼的に評価した。
その結果、いずれの時間も加熱前のものと差異は認められなかった。
(実施例14)分散性について
再生コラーゲン粉末1gをアセトン10g、または水10gに加え、攪拌した。分散状態の評価に際しては、目視にて容易に検出できる大きさの凝集粒子が認められない場合、良好であるとした。容易に検出できる大きさの凝集粒子が認められる場合は分散状態が不良であるとした。
その結果、分散性を評価した結果、再生コラーゲン粉末は、アセトン、水に対する分散性は良好であった。一晩置いて、もう一度振ったところ、同様に分散性は良好であった。
(実施例15)消臭性について
5Lのテドラーバッグに再生コラーゲン粉末またはシルク粉末と、窒素3Lを入れ、ヒートシールした。各種悪臭成分を、例えばアンモニアの場合、初期濃度30ppmとなるように加え、ガス検知管(株式会社ガステック製)を用いて3時間後に残存する悪臭成分濃度を測定した。サンプル仕込み量(g)および悪臭物質の初期濃度(ppm)は表7の通りとした。
Figure 2010077202
その結果、表7のように、3h後のアンモニア濃度は100%であった。再生コラーゲン粉末は、アンモニア、トリメチルアミン、酢酸、イソ吉草酸、ホルムアルデヒド消臭性について優れていることがわかった。
(実施例16)
5Lのテドラーバッグに再生コラーゲン粉末またはシルク粉末と、窒素3Lを入れ、ヒートシールした。各種悪臭成分を、例えばアンモニアの場合、初期濃度30ppmとなるように加え、ガス検知管(株式会社ガステック製)を用いて24時間後に残存する悪臭成分濃度を測定した。サンプル仕込み量(g)および悪臭物質の初期濃度(ppm)は表8の通りとした。
Figure 2010077202
その結果、表8のように、再生コラーゲン粉末は優れた24h後の各種悪臭成分の濃度はND(未検出)であった。また、ホルムアルデヒド吸着性は図4の通りであった。同様に、トリメチルアミン20ppm、酢酸12ppm、イソ吉草酸13ppmとなるように、それぞれ加えたところ、24h後の各悪臭成分の残存濃度は、それぞれND(未検出)であった。アセトアルデヒドを22ppmとなるように加えたところ、24h後の残存アセトアルデヒド濃度は17ppmであった。ピリジンを20ppmとなるように加えたところ、24h後の残存ピリジン濃度は9ppmであった。
(実施例17)
5Lのテドラーバッグに再生コラーゲン粉末またはシルク粉末0.5gと、窒素3Lを入れ、ヒートシールした。アンモニアの初期濃度を30ppmとなるように加え、ガス検知管(株式会社ガステック製)を用いて5分後、10分後、20分後、30分後に残存する悪臭成分濃度を測定した。
その結果、図5のように、再生コラーゲン粉末の場合、5分後にND(未検出)となり、即効性が確認された。
(実施例18)
5Lのテドラーバッグに再生コラーゲン粉末またはシルク粉末0.5gと窒素3Lを入れ、ヒートシールした。アンモニアの初期濃度を70ppmとなるように加え、ガス検知管(株式会社ガステック製)を用いて2時間後に残存するアンモニア濃度を測定した(1サイクル目)。一度、テドラーバッグ内を空にした後、新たに窒素3Lとアンモニア70ppmを加え、2時間後に残存するアンモニア濃度を測定した(2サイクル目)。同様の作業を繰り返し行った。
その結果、図6のように、再生コラーゲン粉末は、アンモニア消臭率が低下しにくいことが確認された。尚、表中、消臭率は下記の式(3)とした。
式(3)
消臭率(%)=(1−N/Nb)×100 (3)
N:2時間後のアンモニア濃度、Nb:アンモニアの初期濃度
(実施例19)吸放湿と触感について
1.コーティング剤組成物の調製とコーティング
前記で得られた再生コラーゲン粉末2gと、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製"ニッポラン5199(固形分30wt%)10gを使用し、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)6gをそれぞれ計量して混合し、コーティング剤組成物を得た。このコーティング剤組成物を軟質ポリ塩化ビニル(PVC)シートの上にフィルムアプリケータを用いてコーティングし、その後100℃ で5分間乾燥した。乾燥後の膜厚は30μmとした。
評価方法は、評価者10名に塗装物を手で触ってもらい、そのときの感触の評価を平均点で表わした。感触の評価基準は、合成皮革に近似しているかどうかを基準にした。
5点:非常にタッチ感がよく、合成皮革によく近似している。
4点:タッチ感がよく、合成皮革に近似している。
3点:普通
2点:タッチ感はあまりよくない。
1点:タッチ感は悪
その結果、得られたコーティングシートの触感は4点と良好であり、「さらっと」して、「スベスベ感」のある感触であった。
本発明のコーティング剤の塗布場所又は塗装シートの貼る場所としては、病院、老人ホーム、養護施設、学校、幼稚園、公民館、体育館、駅、住宅、マンションなどの建物、自動車、車両、船舶、飛行機などの内部ないしは内装、バス(風呂)、トイレなどに好適である。とくに、壁、手すり、天井、ドアなど抗菌、抗黴が必要な部分に好適である。他の例として、手帳、筆記用具、かばん、衣料、手袋、靴、スポーツシューズ、ソファーや椅子などの家具、自動車用シートなどに使用する合成皮革、人工皮革、ポリ塩化ビニルレザーなどの表面、あるいは自動車内装材、家庭調度品、電化製品、携帯電話、カーテン、シャワーカーテン、スリッパ、ヘッドホン、スポーツ用品、ゴルフクラブのグリップ、車椅子のグリップ、階段の手摺、デスクマット、マウスパッド、マウスなどの外装が挙げられる。
図1は実施例6における実験No.1〜4のフィラーの粒子分布を示すグラフである。 図2は実施例7の塗装シートの吸放湿性を示すグラフである。 図3は本発明の透湿性フィルムの概念図である。 図4はにおいの捕り切り試験の結果である。 図5はアンモニアの消臭即効性試験の結果である。 図6はサイクル消臭試験の結果である。
符号の説明
1 再生コラーゲン粉末
2 マトリックス樹脂

Claims (17)

  1. マトリックス樹脂と、架橋された再生コラーゲンからなるコラーゲン粉末を含有する透湿性フィルムであって、連通度が1〜95%であることを特徴とする透湿性フィルム。
  2. 架橋された再生コラーゲンが、有機化合物および/または金属塩を含有する処理液で架橋処理されたことを特徴とする請求項1に記載の透湿性フィルム。
  3. 有機化合物が単官能エポキシ化合物であり下記一般式(1):
    Figure 2010077202
    (式中、Rは、R1−、R2−O−CH2−またはR2−COO−CH2−で表される置換基を示し、R1は炭素数2以上の炭化水素基またはCH2Clであり、R2は炭素数4以上の炭化水素基を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透湿性フィルム。
  4. 金属塩が次の式で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムである請求項1〜3のいずれかに記載の透湿性フィルム。
    Al(OH)nCl3-n、又はAl2(OH)2n(SO43-n
    (式中、nは0.5〜2.5である)
  5. マトリックス樹脂が、ポリウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4に記載の透湿性フィルム。
  6. マトリックス樹脂と、フィラーを含むコーティング剤であって、
    前記フィラーは、有機樹脂とアルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記有機樹脂に化学的に結合され、粉末化されたフィラーであることを特徴とするコーティング剤。
  7. 前記有機樹脂は、再生コラーゲン、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つの有機樹脂である請求項6のコーティング剤。
  8. 前記有機樹脂は、前記アルミニウム塩で架橋されている請求項6又は7に記載のコーティング剤。
  9. 前記有機樹脂は、さらに有機化合物からなる架橋成分を含み、架橋成分は下記一般式(1)で表される単官能エポキシ化合物である請求項8に記載のコーティング剤。
    Figure 2010077202
    (式中、Rは、R1−、R2−O−CH2−またはR2−COO−CH2−で表される置換基を示し、R1は炭素数2以上の炭化水素基またはCH2Clであり、R2は炭素数4以上の炭化水素基を示す。)
  10. 前記アルミニウム塩は次の式で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムである請求項6又は8に記載のコーティング剤。
    Al(OH)n Cl3-n、又はAl2 (OH)2n(SO4 3-n
    (式中、nは0.5〜2.5である)
  11. 前記有機樹脂粉末の平均粒子径は0.01〜80μmである請求項6〜10のいずれかに記載のコーティング剤。
  12. 前記有機樹脂粉末は、リン吸着能を有する請求項6〜11のいずれかに記載のコーティング剤。
  13. 前記マトリックス樹脂が、ポリウレタン系樹脂である請求項6〜12のいずれかに記載のコーティング剤。
  14. 前記コーティング剤中、前記再生コラーゲン粉末は0.1〜70重量%添加されている請求項6〜13のいずれかに記載のコーティング剤。
  15. 前記フィラーの平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下である請求項6〜14のいずれかに記載のコーティング剤。
  16. 塗膜用フィラーであって、
    前記フィラーは、有機樹脂とアルミニウム塩を含み、前記アルミニウム塩は、前記有機樹脂に化学的に結合され、粉末化されたフィラーであり、
    前記フィラーの平均粒子径は10μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下であることを特徴とする塗膜用フィラー。
  17. 請求項6〜15のいずれかに記載のコーティング剤を基布シートに塗装した塗装シート。
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