JP2010077004A - 亜塩素酸塩溶液の安定化方法、安定化亜塩素酸塩溶液、二酸化塩素の発生方法および除去方法 - Google Patents

亜塩素酸塩溶液の安定化方法、安定化亜塩素酸塩溶液、二酸化塩素の発生方法および除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亜塩素酸塩溶液の安定化方法、安定化亜塩素酸塩溶液、安定化亜塩素酸塩溶液を用いた二酸化塩素の発生方法、発生した二酸化塩素の除去方法を提供する。
【解決手段】本亜塩素酸塩溶液の安定化方法は、亜塩素酸塩溶液を準備する工程S1と、亜塩素酸塩溶液に還元剤を添加することにより亜塩素酸塩溶液を安定化する工程S2と、を備える。本安定化亜塩素酸塩溶液は、亜塩素酸塩と、還元剤と、を含む。本二酸化塩素の発生方法は、安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程と、安定化亜塩素酸塩溶液に酸を添加することにより二酸化塩素を発生させる工程S3と、を備える。本二酸化塩素の除去方法は、発生させた二酸化塩素に還元剤を接触させることにより二酸化塩素を除去する工程S4を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化塩素の発生に用いられる亜塩素塩溶液の安定化方法および安定化亜塩素酸塩溶液に関する。また、本発明は、安定化亜塩素酸塩溶液を用いて二酸化塩素を発生させる方法、および発生させた二酸化塩素を除去する方法に関する。
二酸化塩素(ClO2)は、強い酸化力を有するため、殺菌剤、消臭剤、漂白剤として好適に用いられる。かかる二酸化塩素は、標準環境温度(25℃)および標準環境圧力(1bar(100kPa))下において気体であるため、使用する場所で二酸化塩素の気体を発生させながら使用する場合が多い。かかる二酸化塩素を発生させる方法としては、亜塩素酸塩溶液に酸溶液を添加して亜塩素酸塩と酸とを反応させる2液法、亜塩素酸塩溶液に塩素ガスを添加して亜塩素酸塩と塩素とを反応させる塩素ガス法、亜塩素酸塩溶液に次亜塩素酸塩溶液および酸溶液を添加して亜塩素酸塩と次亜塩素酸塩と酸とを反応させる3液法などがある(特開2006−290717号公報(特許文献1)を参照)。
2液法においては、次式(1)で表される酸として硫酸を用いた方法
5NaClO2 + 2H2SO4 → 4ClO2 + 2Na2SO4 + NaCl + 2H2O ・・・(1)
次式(2)で表される酸として塩酸を用いた方法
5NaClO2 + 4HCl → 4ClO2 + 5NaCl + 2H2O ・・・(2)
次式(3)で表される酸としてクエン酸を用いた方法
15NaClO2 + 4HO2CC(OH)(CH2CO2H)2 → 12ClO2 + 4C65Na37 + 3NaCl + 6H2O ・・・(3)
などがある。
また、塩素ガス法は、たとえば、次式(4)
2NaClO2 + Cl2 → 2ClO2 + 2NaCl ・・・(4)
で表される。
また、3液法は、たとえば、次式(5)
2NaClO2 + NaClO + 2HCl → 2ClO2 + NaCl + H2O ・・・(5)
で表される。
上記式(1)、(2)および(5)の方法は、温泉または銭湯のお湯に対して、発生する二酸化塩素の濃度が0.4mg/l(lはリットルの単位を示す。以下同じ。)となるように適用されている。
また、水道法において上水に対する添加剤として二酸化塩素が認可されており、それらの濃度は二酸化塩素が0.6mg/l以下および亜塩素酸イオン(ClO2 -)が0.6mg/lと規定されている(水道施設の技術的基準を定める省令の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第5号)および資機材等の材質に関する試験の一部改正する件(平成16年厚生労働省告示第14号))。かかる観点から、上水に対しては、亜塩素酸イオンの残存量が多い上式(3)の方法は使用ができず、亜塩素酸イオンの残存量が少ない上記式(1)、(2)および(5)の方法が使用される。これらの添加剤は、上水中の鉄および/またはマンガンの除去処理に用いられている。
また、亜塩素酸ナトリウムによる食品の殺菌漂白が認可されているが、この処理方法は、食品添加物公定書によれば、亜塩素酸ナトリウムに酸を添加して二酸化塩素を遊離させて使用すると定義されている。また、最終製品の完成前には、亜塩素酸ナトリウムの分解および二酸化塩素の除去が義務付けられている。二酸化塩素は、生食野菜の殺菌、もも、ふき、ぶどう、ならびにさくらんぼの漂白および殺菌(菓子の製造に用いるものに限る)、卵殻の殺菌(卵殻の部分に限る)、柑橘系の果物の漂白および殺菌などにも認可されている。これらの場合、式(1)〜(3)および(5)の方法が用いられるが、最終製品に亜塩素酸イオンが残らないようにする必要がある。
なお、上式(4)の方法は、高圧ガス取締法による規制があり、また塩素ガスの毒性が高いことなどから、我が国では使用されていない。
上記のようにして発生する二酸化塩素は、水溶液中において、pHが9以下のアルカリ性領域および酸性領域でも殺菌力が変わらず、塩素の2.6倍の有効塩素量を有する強力な酸化剤である。なお、二酸化塩素の殺菌作用および消臭作用は、次式(6)
ClO2 + e- → Cl- + 2O・ ・・・(6)
により生成する原子状(ラジカル)酸素(O・)に基づくものと考えられる。
近年、シックハウス症候群、化学物質過敏症などの原因となる室内の有害化学物質、病院内感染、流行性伝染病などの原因となる室内の病原体などの浄化が問題となっている。かかる有害物質としては、ホルムアルデヒド、アセトン,n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、パラジクロルベンゼン、ナフタレン、アミン類、タバコの煙などが挙げられる。また、かかる病原体としては、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、H5N1型鳥インフルエンザウイルスなどが挙げられる。
上記の有害物質を分解除去し、また上記の病原体を殺菌するための方法としては、一般家庭、病院などの室内において、使用の際に必要に応じて集中的に二酸化塩素を発生させて室内に放出する方法が好ましい。放出された二酸化塩素は、気体であるため、室内の隅々まで拡散することにより、室内の有害物質を分解除去しまた室内の病原体を殺菌することができる。
特開2006−290717号公報
上記のように、二酸化塩素は、たとえば2液法においては、亜塩素酸塩と酸との反応により発生する。二酸化塩素の発生において、亜塩素酸塩と酸との反応性を高めるため、亜塩素酸塩は亜塩素酸塩溶液(特に亜塩素酸塩水溶液)の形態で用いられる。かかる亜塩素酸塩水溶液(たとえば亜塩素酸ナトリウム水溶液)は、水溶液中において、光および/または温度の変化などにより、二酸化塩素がガス状となって遊離する。このことによって、プラスチック容器のパッキン、キャップなどを酸化し、二酸化塩素が消費される。このため、水溶液中の亜塩素酸塩の濃度が低減し、酸と反応させたときに発生する二酸化塩素の量が低減する。また、この遊離した二酸化塩素が、亜塩素酸塩水溶液を収容するプラスチック製の容器および蓋ならびにプラスチック製またはゴム製のパッキンを腐食して、容器、蓋またはパッキンの破損または液もれの原因となるとともに、亜塩素酸塩溶液調製後酸と反応させて二酸化塩素を発生させることのできる期間(可使用期間ともいう、以下同じ。)が短くなる原因となっていた。
上記問題を解決するため、亜塩素酸塩水溶液のpHを8〜9の中性からアルカリ性の領域に調整して、二酸化塩素の遊離を低減する方法が採用されている。たとえば、通常製造される25質量%亜塩素酸ナトリウム水溶液はpHが10〜12に調整されている。特に海外に輸出または海外から輸入される25質量%亜塩素酸ナトリウム水溶液は、輸出入における亜塩素酸ナトリウムの分解および二酸化塩素の遊離を抑制するために、pHが12付近に調整されているものが多い。ここで、亜塩素酸ナトリウム水溶液は、25質量%台を超えると毒劇物となるため、亜塩素酸ナトリウムの分解を考慮して、25.2〜25.5質量%の濃度に製造されることが多い。しかし、かかる方法をおいても、水溶液中での二酸化塩素の遊離を抑制することは困難であり、容器、蓋またはパッキンの破損または液もれを抑制するのは困難であった。
本発明は、亜塩素酸塩溶液における二酸化塩素の遊離を抑制することにより、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩の濃度の低減を抑制するとともに、亜塩素酸塩溶液の保存中の容器、蓋またはパッキンの破損または液もれを抑制するために、亜塩素酸塩溶液の安定化方法および安定化亜塩素酸塩溶液を提供することを目的とする。また、本発明は、安定化亜塩素酸塩溶液を用いた二酸化塩素の発生方法、発生した二酸化塩素の除去方法を提供することをも目的とする。
本発明は、亜塩素酸塩溶液を準備する工程と、亜塩素酸塩溶液に還元剤を添加することにより亜塩素酸塩溶液を安定化する工程と、を備える亜塩素酸塩溶液の安定化方法である。ここで、還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含むことができる。また、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩に対する還元剤の質量比は1×10-5以上1×10-2以下とすることができる。
また、本発明は、亜塩素酸塩と、還元剤と、を含む安定化亜塩素酸塩溶液である。ここで、還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含むことができる。また、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素イオンに対する前記還元剤の質量比は1×10-5以上1×10-2以下とすることができる。
また、本発明は、上記のいずれかの安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程と、安定化亜塩素酸塩溶液に酸を添加することにより二酸化塩素を発生させる工程と、を備える二酸化塩素の発生方法である。
また、本発明は、上記の発生方法により発生させた二酸化塩素に還元剤を接触させることにより二酸化塩素を除去する工程を備える二酸化塩素の除去方法である。ここで、還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含むことができる。
本発明によれば、亜塩素酸塩溶液の安定化方法および安定化亜塩素酸塩溶液を提供することにより、亜塩素酸塩溶液における二酸化塩素の遊離を抑制して、亜塩素酸塩の濃度の低減を抑制するとともに、亜塩素酸塩溶液が保存されている容器、蓋またはパッキンの破損または液もれを抑制ことができる。また、安定化亜塩素酸塩溶液を用いて効率的に二酸化塩素を発生させ、発生した二酸化塩素を効率的に除去することができる。
(実施形態1)
図1を参照して、本発明にかかる亜塩素酸塩溶液の安定化方法の一実施形態は、亜塩素酸塩溶液を準備する工程S1と、亜塩素酸塩溶液に還元剤を添加することにより亜塩素酸塩溶液を安定化する工程S2と、を備える。
次式(7)に示すように、
NaClO2 → ClO2 - + Na+ ・・・(7)
亜塩素酸塩溶液(たとえばNaClO2水溶液)中で、亜塩素酸塩(NaClO2)は、亜塩素酸イオン(ClO2 -)および対イオン(Na+)に解離している。また、次式(8)に示すように、
5Na+ + 5ClO2 - + 4HCl → 4ClO2 + 5NaCl + 2H2O ・・・(8)
亜塩素酸塩溶液(NaClO2水溶液)に酸(たとえばHCl)を添加することにより、亜塩素酸イオン(ClO2 -)が酸化(すなわち化学種の酸化数が増大)されてガス状の二酸化塩素(ClO2)が解離する。これに対して、次式(9)に示すように、
2ClO2 + H22 + 2NaOH → 2NaClO2 + 2H2O + O2 ・・・(9)
亜塩素酸塩溶液(NaClO2水溶液)中に遊離したガス状の二酸化塩素(ClO2)は、還元剤(たとえばH22)により、亜塩素酸イオン(ClO2 -)に還元(すなわち化学種の酸化数が減少)される。
ここで、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩の濃度は、ヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いた滴定分析法、DPD(N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン)吸光光度法(高濃度の亜塩素酸塩の分析)、イオンクロマトグラフ法、電流法(低濃度の亜塩素酸塩の分析)により測定できる。
亜塩素酸塩水溶液においては、亜塩素酸塩は亜塩素酸イオンと対イオンとに解離しているため、式(10)における亜塩素酸塩(たとえばNaClO2)の濃度は、亜塩素酸イオン(ClO2 -)の濃度に相当する。
なお、亜塩素酸塩溶液から遊離する二酸化塩素の量は、上記のヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いた滴定分析法、イオンクロマトグラフィー法などにより測定できる。
本実施形態の亜塩素酸塩溶液の安定化方法は、まず亜塩素酸塩溶液を準備する工程S1を備える。亜塩素酸塩溶液の溶媒としては、安全性が高い観点から、一般的に水が用いられる。亜塩素酸塩溶液に溶質として用いられる亜塩素酸塩は、特に制限はないが、入手が容易な観点から、亜塩素酸ナトリウムが好ましい。また、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩の濃度は、特に制限はないが、0.1質量%以上26質量%未満が好ましく、1質量%以上26質量%未満がより好ましい。亜塩素酸塩の濃度が0.1質量%未満であると発生させることができる二酸化塩素の量が少なくなり、26質量%以上であると毒劇物に該当するため取扱いにおいて厳しい法規制の対象となる。
本実施形態の亜塩素酸塩溶液の安定化方法は、次いで亜塩素酸塩溶液に還元剤を添加することにより亜塩素酸塩溶液を安定化する工程S2を備える。亜塩素酸塩溶液中に遊離した二酸化塩素(ClO2)が還元剤により亜塩素酸イオン(ClO2 -)に還元されるため、亜塩素酸塩溶液が安定化する。
ここで、還元剤は、特に制限はないが、還元力が高く、また、酸と反応させて二酸化塩素を発生させる際に毒性の高いガスを放出しない観点から、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)からなる群から選ばれる1種類を含むことが好ましく、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類以上であることがより好ましい。
たとえば、亜硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムは、亜塩素酸塩溶液に酸を添加して二酸化塩素を発生させる際に、pH4〜5において硫化水素ガスが発生し、pH2〜3において亜硫酸ガスが発生するため、還元剤としては好ましくない。なお、塩酸ヒドロキシルアミンなどの酸性還元剤は、亜塩素酸塩溶液に添加すると溶液が酸性となり、二酸化塩素を発生する場合があるため、注意が必要である。
また、還元剤の添加量は、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩に対する還元剤の質量比が1×10-5以上1×10-2以下であることが好ましく、1×10-4以上5×10-3以下であることがより好ましく、3×10-4以上3×10-3以下であることがさらに好ましい。亜塩素酸塩に対する還元剤の質量比が、1×10-5より低いと亜塩素酸塩溶液における二酸化塩素の遊離を抑制する還元剤の作用効果が低減し、1×10-2より高いと酸を反応して二酸化塩素を発生する亜塩素酸塩の作用効果が低減する。
(実施形態2)
図1を参照して、本発明にかかる安定化亜塩素酸塩溶液の一実施形態は、亜塩素酸塩と還元剤とを含む。上式(8)および(9)を参照して、かかる還元剤により亜塩素酸塩溶液中に遊離した二酸化塩素(ClO2)が亜塩素酸イオン(ClO2 -)に還元されるため、二酸化塩素の遊離が抑制された安定化亜塩素酸塩溶液が得られる。
安定化亜塩素酸塩溶液の溶媒としては、特に制限はないが、安全性が高い観点から、一般的に水が用いられる。使用される水は、重金属を含まない、蒸留水、イオン交換水などの精製水、純水が好ましい。亜塩素酸塩溶液に重金属が混入するとNaClO2の分解反応が発生する。安定化亜塩素酸塩溶液に含まれる亜塩素酸塩は、特に制限はないが、入手が容易な観点から、亜塩素酸ナトリウムが好ましい。また、安定化亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩の濃度は、特に制限はないが、0.1質量%以上26質量%未満が好ましく、1質量%以上26質量%未満がより好ましい。亜塩素酸塩の濃度が0.1質量%未満であると発生させることができる二酸化塩素の量が少なくなり、26質量%以上であると毒劇物に該当するため取扱いにおいて厳しい法規制の対象となる。
また、安定化亜塩素酸塩溶液に含まれる還元剤は、特に制限はないが、還元力が高く、また、酸と反応させて二酸化塩素を発生させる際に毒性の高いガスを放出しない観点から、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)からなる群から選ばれる1種類を含むことが好ましく、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類以上であることがより好ましい。
たとえば、亜硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムは、亜塩素酸塩溶液に酸を添加して二酸化塩素を発生させる際に、pH4〜5において硫化水素ガスが発生し、pH2〜3において亜硫酸ガスが発生するため、還元剤としては好ましくない。なお、塩酸ヒドロキシルアミンなどの酸性還元剤は、亜塩素酸塩溶液に添加すると溶液が酸性となり、二酸化塩素を発生する場合があるため、注意が必要である。
また、還元剤の添加量は、亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩に対する還元剤の質量比が1×10-5以上1×10-2以下であることが好ましく、1×10-4以上5×10-3以下であることがより好ましく、3×10-4以上3×10-3以下であることがさらに好ましい。亜塩素酸塩に対する還元剤の質量比が、1×10-5より低いと亜塩素酸塩溶液における二酸化塩素の遊離を抑制する還元剤の作用効果が低減し、1×10-2より高いと酸を反応して二酸化塩素を発生する亜塩素酸塩の作用効果が低減する。
(実施形態3)
図1を参照して、本発明にかかる二酸化塩素の発生方法の一実施形態は、実施形態2の安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程(図1において、この工程は、実施形態1の亜塩素酸塩水溶液を安定化する工程S2と同じである)と、安定化亜塩素酸塩溶液に酸を添加することにより二酸化塩素を発生させる工程S3と、を備える。
本実施形態の二酸化塩素の発生方法は、まず実施形態2の安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程を含む。かかる安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程は、実施形態1の亜塩素酸塩溶液を安定化する工程S2と同じであり、実施形態1において説明したとおりである。
本実施形態の二酸化塩素の発生方法は、次いで安定化亜塩素酸塩溶液に酸を添加することにより二酸化塩素を発生させる工程S3を備える。かかる工程により、一般家庭、病院などの室内において、使用の際に必要に応じて効率的に二酸化塩素を発生させて室内に放出することができる。こうして発生し室内に放出された二酸化塩素により、室内の有害化化学物質の分解除去および/または室内の病原体の殺菌を行なうことができる。
二酸化塩素を発生させる工程S3において、安定化亜塩素酸塩溶液に添加される酸は、二酸化塩素の発生を阻害せずかつ有害な副反応を起こさない限り特に制限はなく、硫酸、塩酸などの無機酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸が好ましく用いられる。上水あるいはプールなどに添加する二酸化塩素はClO2 -濃度の規制があり、有機酸を用いることができないが、本実施形態の二酸化塩素ガスの発生方法においては、発生するのは二酸化塩素ガスのみであるため、安定化塩素酸塩に添加される酸として有機酸を用いても問題はない。また、酸の添加量は、特に制限はないが、二酸化塩素の発生量を高める観点から、安定化亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩の含有量に対して化学量論的に必要な量以上であることが好ましい。
また、亜塩素酸塩溶液に添加する酸の形態は、粒状などの有機酸などのように固体状の酸であってもよいが、有機酸亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩との反応を高める観点から酸溶液が好ましく、さらに安全性が高い観点から酸水溶液がより好ましい。
(実施形態4)
図1を参照して、本発明にかかる二酸化塩素の除去方法の一実施形態は、実施形態3の発生方法により発生させた二酸化塩素に還元剤を接触させることにより二酸化塩素を除去する工程S4を備える。上式(9)を参照して、かかる二酸化塩素を除去する工程により、発生させた二酸化塩素が還元剤により亜塩素酸イオンに還元されることにより除去される。こうして、室内の有害化化学物質の分解除去および/または室内の病原体の殺菌に使用された後に残存する二酸化塩素を除去することにより、残存する二酸化塩素の刺激臭を除去することができる。
二酸化塩素を除去する工程S4において二酸化塩素に接触させる還元剤は、特に制限はないが、還元力が高く、また、酸と反応させて二酸化塩素を発生させる際に毒性の高いガスを放出しない観点から、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)からなる群から選ばれる1種類を含むことが好ましく、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類以上であることがより好ましい。
たとえば、亜硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムは、亜塩素酸塩溶液に酸を添加して二酸化塩素を発生させる際に、pH4〜5において硫化水素ガスが発生し、pH2〜3において亜硫酸ガスが発生するため、還元剤としては好ましくない。なお、塩酸ヒドロキシルアミンなどの酸性還元剤は、亜塩素酸塩溶液に添加すると溶液が酸性となり、二酸化塩素を発生する場合があるため、注意が必要である。また、還元剤の添加量は、特に制限はないが、二酸化塩素の除去量を高める観点から、発生させた二酸化塩素の残存量に対して化学量論的に必要な量以上であることが好ましい。
また、二酸化塩素に接触させる還元剤の形態は、発生させた二酸化塩素との反応性が高い観点から還元剤溶液が好ましく、さらに安全性が高い観点から還元剤水溶液がより好ましい。
(実施例1)
1.安定化亜塩素酸塩溶液の調製
容量100ml用ポリエチレン製容器に、pHが10.6の8.1質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)を100ml収容した。次いで、この亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤として3質量%の過酸化水素(H22)水溶液を0.334ml(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のH22濃度が0.01質量%となるように)添加して、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Aを得た。次いで、上記ポリエチレン製容器に、ポリプロピレン製中蓋をした後、ポリエチレン製キャップを閉めてポリエチレン製容器を密封した。
2.安定性評価試験
上記の密封したポリエチレン製容器を、20℃〜25℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後のポリエチレン製容器およびポリプロピレン製中蓋は、腐食されていなかった。また上記静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Aの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、ヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いた滴定分析法により測定したところ、8.0質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表1にまとめた。
ここで、亜塩素酸ナトリウム水溶液の亜塩素酸イオンの濃度は、亜塩素酸ナトリウム水溶液を酸性および弱アルカリ性においてヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定することにより、以下に示すように算出される。
亜塩素酸ナトリウム水溶液は、リン酸水素ナトリウムなどでpHが8〜10程度の弱アルカリ性とすると、亜塩素酸イオン(ClO2 -)および遊離した二酸化塩素(ClO2)がいずれも安定に存在する。このうち、遊離した二酸化塩素は、弱アルカリ性において、ヨウ化カリウムと次式(10)
2ClO2 + 2KI → 2KClO2 + I2 ・・・(10)
に示すように反応して遊離ヨウ素I2を生成する。また、亜塩素酸ナトリウム水溶液は、塩酸、硫酸などでpHが3以下程度の酸性とすると、弱アルカリ性において安定に存在していた遊離二酸化塩素(ClO2)に加えて、弱アルカリ性において安定に存在していた亜塩素酸イオン(ClO2 -)が二酸化塩素(ClO2)として遊離する。ここで、遊離した全ての二酸化塩素は、酸性において、ヨウ化カリウムと次式(11)
2ClO2 + 10KI + 8HCl → 10KCl + 4H2O + 5I2 ・・・(11)
に示すように反応して遊離ヨウ素I2を生成する。上記の式(10)または式(11)で生成した遊離ヨウ素I2は、チオ硫酸ナトリウム(Na223)と次式(12)
2 + 2Na223 → Na246 + 2NaI ・・・(12)
に示すように反応する。
したがって、酸性において亜塩素酸ナトリウム水溶液をヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定をすることにより、式(11)および式(12)を用いて、亜塩素酸ナトリウム水溶液の酸性における遊離二酸化塩素の濃度(この濃度は、亜塩素酸ナトリウム水溶液における遊離二酸化塩素および亜塩素酸イオンの合計濃度に相当する)を算出できる。また、弱アルカリ性において亜塩素酸ナトリウム水溶液をヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定をすることにより、式(10)および式(12)を用いて、亜塩素酸ナトリウム水溶液の弱アルカリ性における遊離二酸化塩素の濃度(この濃度は、亜塩素酸ナトリウム水溶液における遊離二酸化塩素の濃度に相当する)を算出できる。したがって、亜塩素酸ナトリウム水溶液の酸性における遊離二酸化塩素の濃度と弱アルカリ性における遊離二酸化塩素の濃度の差が、亜塩素酸ナトリウム水溶液の亜塩素酸イオンの濃度として算出される。
(実施例2)
還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)を0.01g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のエリソルビン酸ナトリウム濃度が0.01質量%となるように)添加したこと以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Bを調製した。次に、実施例1と同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Bを密封して20℃〜25℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後のポリエチレン製容器およびポリプロピレン製中蓋は、腐食されていなかった。また上記静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Bの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、8.0質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表1にまとめた。
(実施例3)
還元剤としてL−アスコルビン酸を0.01g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のL−アスコルビン酸濃度が0.01質量%となるように)添加したこと以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Cを調製した。次に、実施例1と同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Cを密封して20℃〜25℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後のポリエチレン製容器およびプロピレン製中蓋は、腐食されていなかった。また上記静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Cの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、8.0質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表1にまとめた。
(実施例4)
還元剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を0.01g(すなわち亜塩素酸塩溶液中のEDTA濃度が0.01質量%となるように)添加したこと以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Dを調製した。次に、実施例1と同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Dを密封して20℃〜25℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後のポリエチレン製容器およびプロピレン製中蓋は、腐食されていなかった。また上記静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Dの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、8.0質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表1にまとめた。
(比較例1)
容量100ml用ポリエチレン製容器に、pHが10.6の8.1質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)を100ml収容した。この亜塩素酸ナトリウム水溶液に還元剤を添加することなく、上記ポリエチレン製容器に、ポリプロピレン製中蓋をした後、ポリエチレン製キャップを閉めてポリエチレン製容器を密封した。次に、実施例1と同様にして、亜塩素酸ナトリウム水溶液を密封して20℃〜25℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後のポリエチレン製容器およびポリプロピレン製中蓋は、腐食されており手で押さえると破砕した。また上記静置後の亜塩素酸ナトリウム水溶液の亜塩素酸ナトリウムの濃度は、5.8質量%と、初期濃度に比べて低減した。結果を表1にまとめた。
Figure 2010077004
表1を参照して、比較例1と実施例1〜4とを対比すると、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)は、還元剤として過酸化水素(H22)、エリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)、L−アスコルビン酸またはEDTAを添加することにより、20℃〜25℃で6ヶ月間静置しても、亜塩素酸塩の濃度(亜塩素酸イオンの濃度)の低減が極めて小さい安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液(安定化亜塩素酸塩溶液)が得られることがわかった。
(実施例5A)
容量50ml用ガラス製容器に、pHが10.6の16.21質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)を50ml収容した。次いで、ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤として3質量%の過酸化水素(H22)水溶液を0.0835ml(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のH22濃度が0.005質量%となるように)添加して、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Eを得た。次いで、上記ポリエチレン製容器に、ポリプロピレン製中蓋をした後、ポリエチレン製キャップを閉めてポリエチレン製容器を密封した。この密封したガラス製容器を、45℃〜50℃の恒温槽内で2ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Eの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、15.80質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例5B)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤として3質量%の過酸化水素(H22)水溶液を0.505ml(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のH22濃度が0.03質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Fを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Fを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Fの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、16.18質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例6A)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)を0.005g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のエリソルビン酸ナトリウム濃度が0.01質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Gを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Gを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Gの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、14.30質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例6B)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてエリソルビン酸ナトリウムを0.15g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のエリソルビン酸ナトリウム濃度が0.03質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Hを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Hを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Hの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、15.20質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例7A)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてL−アスコルビン酸を0.05g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のL−アスコルビン酸濃度が0.01質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Iを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Iを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Iの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、15.80質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例7B)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてL−アスコルビン酸を0.15g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のL−アスコルビン酸濃度が0.03質量%ppmとなるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Jを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Jを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Jの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、16.10質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例8A)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を0.0025g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のEDTA濃度が0.005質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Kを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Kを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Kの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、15.70質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表2にまとめた。
(実施例8B)
ガラス容器の亜塩素酸ナトリウム水溶液に、還元剤としてEDTAを0.15g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のEDTA濃度が0.03質量%となるように)添加したこと以外は、実施例5Aと同様にして、ガラス製容器内で安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Lを調製した。次に、実施例5Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Lを密封して45℃〜50℃の恒温槽内で6ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキンに異常は認められなかった。上記静置後の密封した容器内の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Lの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、16.20質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表2にまとめた。
(比較例2)
16.21質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液50mlを、ポリエチレン製ネジ蓋キャップおよびポリウレタン製パッキン付の容量50ml用ガラス製容器に収容してキャップを閉めて密封した。この密封したガラス製容器を、45℃〜50℃の恒温槽内で2ヶ月間静置した。上記静置後の容器において、ポリウレタン製パッキンに二酸化塩素ガスの透過が認められ、ポリエチレン製ネジ蓋キャップに割れが認められた。上記静置後の密封した容器内の亜塩素酸ナトリウム水溶液の亜塩素酸ナトリウムの濃度は、8.50質量%と、初期濃度に比べて大きく低減した。結果を表2にまとめた。
Figure 2010077004
表2を参照して、比較例2と実施例5A、5B、6A、6B、7A、7B、8Aおよび8Bとを対比すると、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)は、還元剤として過酸化水素(H22)、エリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)、L−アスコルビン酸またはEDTAを添加することにより、45℃〜50℃で2ヶ月間静置しても、亜塩素酸塩の濃度(亜塩素酸イオンの濃度)の低減が極めて小さい安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液(安定化亜塩素酸塩溶液)が得られることがわかった。
(実施例9A)
容量500ml用ポリエチレン製容器に、25.40質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液を500ml収容し、還元剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を0.05g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のEDTA濃度が0.01質量%となるように)添加して、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Mを調製した後、ポリエチレン製キャップで閉めてポリエチレン製容器を密封した。密封したポリエチレン製容器を、30℃の恒温槽内で静置した。静置してから1ヵ月後、2ヶ月および3ヶ月後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Mの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、それぞれ25.20質量%、25.20質量%および25.02質量%と、初期濃度に比べて低減が極めて小さかった。結果を表3にまとめた。
(実施例9B)
25.40質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液500mlに、還元剤としてEDTAを0.01g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のEDTA濃度が0.002質量%となるように)添加して、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Nを調製したこと以外は、実施例9Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Nを収容したポリエチレン製容器を密封し、密封したポリエチレン製容器を、30℃の恒温槽内で静置した。静置してから1ヵ月後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Nの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、19.66質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表3にまとめた。
(実施例9C)
25.40質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液500mlに、還元剤としてEDTAを0.0025g(すなわち亜塩素酸ナトリウム水溶液中のEDTA濃度が0.0005質量%となるように)添加して、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Oを調製したこと以外は、実施例9Aと同様にして、安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Oを収容したポリエチレン製容器を密封し、密封したポリエチレン製容器を、30℃の恒温槽内で静置した。静置してから1ヵ月後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Oの亜塩素酸ナトリウムの濃度は、19.43質量%と、初期濃度に比べて低減が小さかった。結果を表3にまとめた。
Figure 2010077004
表3を参照して、実施例9Aから、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)は、還元剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を添加することにより、30℃で1〜3ヶ月間静置しても、亜塩素酸塩の濃度(亜塩素酸イオンの濃度)の低減が極めて小さい安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液(安定化亜塩素酸塩溶液)が得られることがわかった。また、実施例9A〜9Cを対比すると、亜塩素酸ナトリウム(亜塩素酸塩)に対するEDTA(還元剤)のモル比が大きくなるほど、亜塩素酸ナトリウムの濃度の初期濃度に対する低減が小さくなり、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)が安定化されていることがわかった。
(実施例10)
中古乗用車のエアコンの黴臭およびタバコ臭が強い室内(室内長さ2.07m×室内幅1.53m×室内高さ1.20mで室内容積が約3.8m3)の後部座席のセンターシート上に、内径8.6cm×深さ6cmで内容積が約350mlのガラス製の二酸化塩素発生容器を配置した。この二酸化塩素発生容器に、実施例1で得られた20℃〜25℃で6ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Aを10ml入れ、さらに、10質量%のクエン酸水溶液を10mlを入れて、二酸化塩素発生容器を左右に振ることより、二酸化塩素(ClO2)を発生させた。乗用車の密閉された室内でエアコンの風量を最大にして20分間経過した後、室内の二酸化塩素の濃度は、北川式検知管を用いて測定したところ、3.0ppmであった。その直後に、後部座席左右の扉を開いて、二酸化塩素発生容器に蓋をして室外に取り出した。残存した二酸化塩素の臭いを除去するために、還元剤としてL−アスコルビン酸4.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を、手動式の霧吹きを用いて、室内に4回(約3〜4ml)散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、室内の二酸化塩素の濃度を北川式検知管を用いて測定したところ、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例11)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例2で得られた20℃〜25℃で6ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Bを用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。20分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は3.0ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を4回(約3〜4ml)散布したこと以外は、実施例10と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例12)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例3で得られた20℃〜25℃で6ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Cを用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。20分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は3.0ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を4回(約3〜4ml)散布したこと以外は、実施例10と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例13)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例4で得られた20℃〜25℃で6ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Dを用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。20分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は3.2ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を4回(約3〜4ml)散布したこと以外は、実施例10と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(比較例3)
亜塩素酸ナトリウム水溶液として比較例1で得られた20℃〜25℃で6ヶ月間静置後の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。20分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は1.5ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を4回(約3〜4ml)散布したこと以外は、実施例10と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(参考例1)
亜塩素酸ナトリウム水溶液として8.0質量%の新品の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。20分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は3.0ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を4回(約3〜4ml)散布したこと以外は、実施例10と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から30秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
上記の実施例10〜13、比較例3および参考例1を対比すると、20℃〜25℃で6ヶ月間静置後に酸と反応させると、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)は、還元剤として過酸化水素(H22)、エリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)、L−アスコルビン酸またはEDTAが添加された安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液は、還元剤が添加されなかった亜塩素酸水溶液に比べて多くの二酸化塩素を発生し、新品の亜塩素酸ナトリウム水溶液と同等の二酸化塩素を発生することがわかった。また、いずれの場合においても、残留した二酸化塩素に、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによって、二酸化塩素を除去できることがわかった。
(実施例14)
家屋のエアコンの黴臭およびタバコ臭が強い室内(室内長さ3.45m×室内幅2.58m×室内高さ2.50mで室内容積が約22m3)の床の中央に、内径8.6cm×深さ6cmで内容積が約350mlのガラス製の二酸化塩素発生容器を配置した。この二酸化塩素発生容器に、実施例5Bで得られた45℃〜50℃で2ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Fを10ml入れ、さらに、20.5質量%のクエン酸水溶液を10mlを入れて、二酸化塩素発生容器を左右に振ることより、二酸化塩素(ClO2)を発生させた。家屋の密閉された室内でエアコンの風量を最大しさらに扇風機の最大の風量を二酸化塩素発生容器に送って二酸化塩素を室内に拡散させながら30分間経過した後、室内の二酸化塩素の濃度は、北川式検知管を用いて測定したところ、0.3ppmであった。その直後に、二酸化塩素発生容器に蓋をして室外に取り出した。残存した二酸化塩素の臭いを除去するために、還元剤としてエリソルビン酸ナトリウム5.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を、手動式の霧吹きを用いて、室内に5回(約4〜5ml)散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、室内の二酸化塩素の濃度を北川式検知管を用いて測定したところ、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例15)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例6Bで得られた45℃〜50℃で2ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Hを用いたこと以外は、実施例14と同様にして、二酸化塩素を発生させた。30分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は0.3ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するため、実施例14と同様にして還元剤(エリソルビン酸ナトリウム)を散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例16)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例7Bで得られた45℃〜50℃で2ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Jを用いたこと以外は、実施例14と同様にして、二酸化塩素を発生させた。30分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は0.3ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するための還元剤としてL−アスコルビン酸4.0gを1000mlの純水に溶かした溶液を5回(約4〜5ml)散布したこと以外は、実施例14と同様にして還元剤を散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(実施例17)
安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液として実施例8Bで得られた45℃〜50℃で2ヶ月間静置後の安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液Lを用いたこと以外は、実施例14と同様にして、二酸化塩素を発生させた。30分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は0.32ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するため、実施例14と同様にして還元剤(エリソルビン酸ナトリウム)を散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(比較例4)
亜塩素酸ナトリウム水溶液として比較例2で得られた45℃〜50℃で2ヶ月間静置後の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例14と同様にして、二酸化塩素を発生させた。30分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は0.1ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するため、実施例14と同様にして還元剤(エリソルビン酸ナトリウム)を散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
(参考例2)
亜塩素酸ナトリウム水溶液として16.0質量%の新品の亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、二酸化塩素を発生させた。30分経過後の室内の二酸化塩素の濃度は0.3ppmであった。残存する二酸化塩素の臭いを除去するため、実施例14と同様にして還元剤(エリソルビン酸ナトリウム)を散布した。還元剤の散布から60秒後の室内には、悪臭および二酸化塩素臭はいずれもなく、二酸化塩素は検出されなかった。
上記の実施例14〜17、比較例4および参考例2を対比すると、45℃〜50℃で2ヶ月間静置後に酸と反応させると、亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸塩溶液)は、還元剤として過酸化水素(H22)、エリソルビン酸ナトリウム(エリソルビン酸Na)、L−アスコルビン酸またはEDTAが添加された安定化亜塩素酸ナトリウム水溶液は、還元剤が添加されなかった亜塩素酸水溶液に比べて多くの二酸化塩素を発生し、新品の亜塩素酸ナトリウム水溶液と同等の二酸化塩素を発生することがわかった。また、いずれの場合においても、残留した二酸化塩素に、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによって、二酸化塩素を除去できることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
亜塩素酸塩溶液の安定化方法、安定化亜塩素酸塩溶液、二酸化塩素の発生方法および二酸化塩素の除去方法を示す工程図である。
符号の説明
S1 亜塩素酸塩溶液を準備する工程、S2 亜塩素酸塩溶液を安定化する工程、S3 二酸化塩素を発生させる工程、S4 二酸化塩素を除去する工程。

Claims (9)

  1. 亜塩素酸塩溶液を準備する工程と、前記亜塩素酸塩溶液に還元剤を添加することにより前記亜塩素酸塩溶液を安定化する工程と、を備える亜塩素酸塩溶液の安定化方法。
  2. 前記還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含む請求項1に記載の亜塩素酸塩溶液の安定化方法。
  3. 前記亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩に対する前記還元剤の質量比は1×10-5以上1×10-2以下である請求項1または請求項2に記載の亜塩素酸塩溶液の安定化方法。
  4. 亜塩素酸塩と、還元剤と、を含む安定化亜塩素酸塩溶液。
  5. 前記還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含む請求項4に記載の安定化亜塩素酸塩溶液。
  6. 前記亜塩素酸塩溶液中の亜塩素酸塩に対する前記還元剤の質量比は1×10-5以上1×10-2以下である請求項4または請求項5に記載の安定化亜塩素酸塩溶液。
  7. 請求項4から請求項6までのいずれかの前記安定化亜塩素酸塩溶液を準備する工程と、前記安定化亜塩素酸塩溶液に酸を添加することにより二酸化塩素を発生させる工程と、を備える二酸化塩素の発生方法。
  8. 請求項7の発生方法により発生させた前記二酸化塩素に還元剤を接触させることにより前記二酸化塩素を除去する工程を備える二酸化塩素の除去方法。
  9. 前記還元剤は、エリソルビン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩、過酸化水素ならびにエチレンジアミン四酢酸からなる群から選ばれる1種類を含む請求項8に記載の二酸化塩素の除去方法。
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