JP2010067587A - Memsスイッチ素子およびその製造方法 - Google Patents

Memsスイッチ素子およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010067587A
JP2010067587A JP2009010889A JP2009010889A JP2010067587A JP 2010067587 A JP2010067587 A JP 2010067587A JP 2009010889 A JP2009010889 A JP 2009010889A JP 2009010889 A JP2009010889 A JP 2009010889A JP 2010067587 A JP2010067587 A JP 2010067587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
movable
electrode
fixed
silicon substrate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009010889A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuharu Takemura
光治 竹村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2009010889A priority Critical patent/JP2010067587A/ja
Publication of JP2010067587A publication Critical patent/JP2010067587A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micromachines (AREA)

Abstract

【課題】 信号の減衰を抑制することができると共に、生産性を向上できるようにする。
【解決手段】 可変容量素子1を、第1,第2の基板2,3に挟まれたシリコン基板4を用いて形成する。シリコン基板4には、支持部5、可動部6、支持梁7および傾斜部8を形成する。また、シリコン基板4の両面には、第1,第2の可動側金属電極9,10を全面に亘って形成する。第1の可動側金属電極9のうち可動部6に設けた部位は可動側信号電極13となり、基板2に設けた固定側信号電極15と対向する。一方、第2の可動側金属電極10のうち可動部6に設けた部位は可動側駆動電極14となり、基板3に設けた固定側駆動電極16と対向する。そして、第1,第2の可動側金属電極9,10は基板2,3に設けた固定側金属電極19,20と圧着接合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン基板を加工して厚さ方向に変位可能な可動部を形成したMEMSスイッチ素子およびその製造方法に関する。
一般に、可変容量素子、リレー素子等のMEMS(microelectromechanical systems)スイッチ素子として、シリコン基板を加工して厚さ方向に変位可能な可動部を形成したものが知られている。このような可動部を有するセンサでは、例えば2枚のガラス基板等によってシリコン基板を挟むと共に、シリコン基板にはガラス基板に固定された支持部を形成し、該支持部に支持梁を介して可動部を変位可能に支持する構成となっている(例えば、特許文献1,2参照)。
ここで、特許文献1に記載された加速度センサでは、ガラス基板のうち可動部と対向した位置に固定電極を設け、可動部と固定電極との間の静電容量を検出することによって、センサに作用した加速度を検出する構成となっている。
また、ガラス基板とシリコン基板との接合には、陽極接合法を用いるのが一般的である。しかし、陽極接合時にガラス基板とシリコン基板との間に大きな電位差が生じるから、この電位差によって可動部がガラス基板に貼り付くことがある。この点を考慮して、特許文献2には、ガラス基板とシリコン基板との間に金属薄膜をそれぞれ設け、これらの金属薄膜を圧着接合することによって、ガラス基板およびシリコン基板を接合する構成が開示されている。
特開平5−172846号公報 特開2007−69320号公報
ところで、上述した特許文献1,2に記載されたセンサでは、可動部を導電性のシリコン材料によって形成し、可動部とガラス基板に設けた固定電極との間の静電容量を検出する構成となっている。ここで、可動部を外部の処理回路に電気的に接続するためには、シリコン材料に金(Au)等の導電性金属からなる引出し電極を設ける必要がある。このとき、金とシリコン(Si)は密着性が悪いため、これらの間にクロム(Cr)を中間層として挿入する。しかし、シリコンとクロムとの間の接触抵抗が大きいから、検出信号が減衰して、検出感度、検出精度が低下する傾向がある。特に、固定電極に例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号を伝送する場合には、シリコンとクロムとの間の接触抵抗によって高周波信号の損失が大きいという問題がある。
また、特許文献2のセンサでは、引出し電極とは別個に接合用の金属薄膜を設ける構成としている。このため、引出し電極と接合用の金属薄膜をそれぞれ別個に形成する必要があり、製造工程が複雑化し、生産性が低下するという問題もある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、信号の減衰を抑制することができると共に、生産性を向上できるようにしたMEMSスイッチ素子およびその製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、第1,第2の基板に挟まれたシリコン基板と、該シリコン基板に形成され、前記第1,第2の基板に固定された支持部と、前記シリコン基板に形成され、支持梁を用いて該支持部に厚さ方向に変位可能に支持された可動部と、前記第1の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側信号電極と、前記第2の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側駆動電極とを備えてなるMEMSスイッチ素子に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記シリコン基板は、前記支持部および可動部の厚さ寸法に比べて前記支持梁の厚さ寸法を小さく形成し、前記シリコン基板には、前記支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部と、前記可動部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部とを形成し、前記シリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて前記シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着することによって、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成し、前記シリコン基板と該第1,第2の可動側金属電極との間には、第1,第2の絶縁膜をそれぞれ設け、前記第1の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側信号電極と対向した部位に位置して前記固定側信号電極に対して近接,離間する可動側信号電極を形成し、前記第2の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側駆動電極と対向した部位に位置して前記固定側駆動電極との間の静電力を作用させるための可動側駆動電極を形成し、前記第1の基板には、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成すると共に、前記第1の可動側金属電極と該第1の固定側金属電極とを圧着接合し、前記第2の基板には、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成すると共に、前記第2の可動側金属電極と該第2の固定側金属電極とを圧着接合し、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との間には、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との接触を防止するストッパを設け、前記第1の基板には、前記固定側信号電極に電気的に接続された信号用のビアホールを設け、前記第2の基板には、前記固定側駆動電極に電気的に接続された駆動用のビアホールと、前記第2の固定側金属電極に電気的に接続された他の駆動用のビアホールとを設ける構成としたことにある。
請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記シリコン基板は、前記支持部および可動部の厚さ寸法に比べて前記支持梁の厚さ寸法を小さく形成し、前記シリコン基板には、前記支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部を形成し、前記可動部は、前記支持部を前記第1の基板に固定する前の状態では、前記支持部の裏面よりも前記第1の基板に向けて突出し、前記支持部の表面よりも窪んだ形状に形成し、前記シリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて前記シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着することによって、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成し、前記シリコン基板と該第1,第2の可動側金属電極との間には、第1,第2の絶縁膜をそれぞれ設け、前記第1の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側信号電極と対向した部位に位置して前記固定側信号電極に対して近接,離間する可動側信号電極を形成し、前記第2の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側駆動電極と対向した部位に位置して前記固定側駆動電極との間の静電力を作用させるための可動側駆動電極を形成し、前記第1の基板には、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成すると共に、前記第1の可動側金属電極と該第1の固定側金属電極とを圧着接合し、前記第2の基板には、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成すると共に、前記第2の可動側金属電極と該第2の固定側金属電極とを圧着接合し、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との間には、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との接触を防止するストッパを設け、前記第1の基板には、前記固定側信号電極に電気的に接続された信号用のビアホールを設け、前記第2の基板には、前記固定側駆動電極に電気的に接続された駆動用のビアホールと、前記第2の固定側金属電極に電気的に接続された他の駆動用のビアホールとを設ける構成としたことにある。
請求項3の発明では、前記第1,第2の可動側金属電極は、前記シリコン基板の両面に全面に亘って形成し、前記第1,第2の絶縁膜は、前記シリコン基板の両面に全面に亘って形成し、前記第1の可動側金属電極および固定側信号電極の厚さ寸法は、伝搬する高周波信号による表皮の厚さよりも大きな値に設定し、前記第2の可動側金属電極の厚さ寸法は、前記第1の可動側金属電極とシリコン基板との間の線膨脹率の差によって前記可動部に生じる反りを相殺する値に設定する構成としている。
請求項4の発明では、前記固定側信号電極と可動側信号電極との間には、前記固定側信号電極と可動側信号電極とが電気的に接触するのを防止する他のストッパを設ける構成としている。
請求項5の発明では、前記固定側信号電極と可動側信号電極との間には、前記固定側信号電極と可動側信号電極とを電気的に接触させる導電性材料からなる接点部を設ける構成としている。
請求項6の発明では、第1,第2の基板に挟まれたシリコン基板と、該シリコン基板に形成され前記第1,第2の基板に固定された支持部と、前記シリコン基板に形成され支持梁を用いて該支持部に厚さ方向に変位可能に支持された可動部と、前記第1の基板に設けられ前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側信号電極と、前記第2の基板に設けられ前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側駆動電極とを備えてなるMEMSスイッチ素子の製造方法であって、加工前のシリコン基板に異方性エッチング処理を行い、該シリコン基板のうち前記可動部および支持梁と対応した部位に残余の部位の表面から凹陥し、残余の部位の裏面から突出した窪み部を形成する工程と、前記窪み部にエッチング処理を行い、前記支持部、支持梁および可動部を形成する工程と、前記シリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて前記シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着し、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成する工程と、前記第1の基板には、前記固定側信号電極を形成し、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成する工程と、前記第2の基板には、前記固定側駆動電極を形成し、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成する工程と、前記第1の基板の第1の固定側金属電極と前記シリコン基板の第1の可動側金属電極とを圧着接合する工程と、前記第2の基板の第2の固定側金属電極と前記シリコン基板の第2の可動側金属電極とを圧着接合する工程とを備える構成としている。
請求項7の発明では、前記第1の基板の第1の固定側金属電極と前記シリコン基板の第1の可動側金属電極とを圧着接合する工程では、前記シリコン基板のうち第2の基板と対向する表面側に前記第2の固定側金属電極を保護するための保護部材を設け、該保護部材を介して前記シリコン基板を第1の基板に向けて加圧する構成としている。
請求項1の発明によれば、シリコン基板の厚さ方向の両面には、第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成したから、第1の可動側金属電極のうち可動部に配置された部位を用いて固定側信号電極に対して近接,離間する可動側信号電極を形成することができると共に、第2の可動側金属電極のうち可動部に配置された部位を用いて固定側駆動電極との間の静電力を作用させる可動側信号電極を形成することができる。このため、固定側駆動電極と可動側信号電極との間に電圧を印加することによって、可動部を厚さ方向に変位させることができるから、可動部の変位に応じて固定側信号電極と可動側信号電極との静電容量が変化する可変容量素子を構成することができる。これにより、可変容量素子は、容量変化に応じて信号電極を伝搬する高周波信号をスイッチングすることができる。また、固定側信号電極と可動側信号電極とが電気的に接続可能な構成とした場合には、可動部の変位に応じて2つの電極間の接触、非接触を切換えるスイッチ素子を構成することができる。
また、第1,第2の可動側金属電極を用いて可動側信号電極、可動側駆動電極を形成するから、第1,第2の可動側金属電極と圧着接合した第1,第2の固定側金属電極を通じて可動側信号電極、可動側駆動電極を外部の処理回路等に電気的に接続することができる。このため、シリコンを介さずに外部との間で検出信号の伝送や駆動信号の印加を行うことができるから、信号の減衰を抑制することができ、容量検出における導体損失の低減やスイッチング時間の短縮等を図ることができる。
さらに、第1,第2の基板には第1,第2の可動側金属電極と接触する第1,第2の固定側金属電極を形成したから、第1,第2の可動側金属電極と第1,第2の固定側金属電極とを圧着接合することによって、第1,第2の基板の間にシリコン基板を固定することができる。このため、可動側信号電極となる第1の可動側金属電極および可動側駆動電極となる第2の可動側金属電極の一部を用いて固定側金属電極を圧着接合することができるから、接合用の金属薄膜を別途に設けた場合に比べて、製造工程を簡略化して、生産性を高めることができる。
また、第1,第2の可動側金属電極と第1,第2の固定側金属電極とを圧着接合することによって、第1,第2の基板の間に可動部を収容する密閉空間を画成することができる。このとき、密閉空間を気密な状態で封止することができるから、減圧雰囲気中で圧着接合を行うことによって、可動部の空気抵抗を減少させることができ、応答性を高めることができる。
また、シリコン基板と第1,第2の可動側金属電極との間には第1,第2の絶縁膜を設ける構成としたから、第1,第2の絶縁膜を用いて第1,第2の可動側金属電極の間を絶縁することができる。このため、第1,第2の可動側金属電極に別個の機能をもたせることができるから、第1の可動側金属電極によって容量検出等に用いる可動側信号電極を形成できると共に、第2の可動側金属電極によって可動部に静電力を作用させる可動側駆動電極を形成することができる。
また、シリコン基板は、支持部および可動部の厚さ寸法に比べて支持梁の厚さ寸法を小さく形成したから、支持梁のばね定数を低下させて可動部を容易に変位させることができる。また、シリコン基板には、支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部と、可動部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部とを形成したから、支持部と支持梁との間や可動部と支持梁との間に段差が形成されることがない。即ち、シリコン基板の表面および裏面は滑らかに連続した状態となる。このため、例えば蒸着法やスパッタ法を用いてシリコン基板の両面に第1,第2の可動側金属電極を形成したときには、シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料が付着するから、シリコン基板の端面(支持梁の側面等)には金属電極が形成されないのに対して、支持部および可動部と支持梁との間で第1,第2の可動側金属電極を確実に電気的に接続することができる。これにより、第1,第2の可動側金属電極の途中で断線が生じることがなく、シリコン基板の両面に第1,第2の可動側金属電極を確実に形成することができる。
さらに、固定側駆動電極と可動側駆動電極との間にはストッパを設けたから、該ストッパによって固定側駆動電極と可動側駆動電極との接触を防止することができ、これらが電気的に短絡するのを防止することができる。
請求項2の発明でも、請求項1の発明と同様の構成を備えるから、請求項1の発明と同様の効果を有する。また、シリコン基板には、支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部を形成したから、支持部と支持梁との間に段差が形成されることがなく、例えばシリコン基板の表面は滑らかに連続した状態となる。このため、例えば蒸着法やスパッタ法を用いてシリコン基板の表面に第2の可動側金属電極を形成したときには、シリコン基板の端面(支持梁の側面等)には金属電極が形成されないのに対して、支持部と可動部との間で第2の可動側金属電極を確実に電気的に接続することができる。これにより、第2の可動側金属電極の途中で断線が生じることがなく、シリコン基板の表面に第2の可動側金属電極を確実に形成することができる。
また、可動部は、支持部の裏面よりも第1の基板に向けて突出した形状に形成したから、可動部の突出寸法が大きくなるに従って、可動部を第1の基板に押付ける支持梁のばね力が大きくなる。このため、可動部の突出寸法に応じて支持梁のばね力を調整することができる。
さらに、可動部は第1の基板に向けて突出させるから、第2の基板に向けて突出する必要がなく、可動部の表面は支持部の表面よりも第1の基板に向けて凹陥する。このため、シリコン基板を第1の基板に圧着接合するときに、加圧治具を用いてシリコン基板を第1の基板に向けて押付けたときでも、可動部が支持部よりも第1の基板側に向けて突出することがなくなる。この結果、加圧治具に可動部が接触することがなく、可動部および可動側駆動電極の損傷を防止することができる。
請求項3の発明によれば、シリコン基板の厚さ方向の両面には全面に亘って第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成した。このため、第1,第2の可動側金属電極となる金属薄膜をシリコン基板に形成したときには、該金属薄膜をパターニングする必要がなく、そのまま第1,第2の可動側金属電極として用いることができる。従って、製造工程を簡略化して、生産性を高めることができる。
また、第1の可動側金属電極および固定側信号電極の厚さ寸法は、伝搬する高周波信号による表皮の厚さ(skin depth)よりも大きな値に設定した。ここで、高周波信号が伝搬するときには、第1の可動側金属電極および固定側信号電極には表皮効果が生じ、第1の可動側金属電極および固定側信号電極の表面に集中して電流が流れる。このとき、高周波信号の振幅が表面の値の1/eとなる表皮の厚さは、高周波信号の周波数に応じて変化し、周波数が高くなるに従って薄くなる。本発明では、第1の可動側金属電極および固定側信号電極の厚さ寸法を表皮の厚さよりも大きな値に設定したから、伝送損失が増大しない範囲で、第1の可動側金属電極および固定側信号電極を薄く形成することができる。
さらに、第2の可動側金属電極の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極とシリコン基板との間の線膨脹率の差によって可動部に生じる反りを相殺するように、その値を設定している。これにより、MEMSスイッチ素子に温度変化が生じたときでも、温度変化に伴う可動部等の反りを抑制することができる。この結果、例えば可動側信号電極と固定側信号電極との間の静電容量の最大値、最小値、変化幅等はその温度変動が抑制されるから、温度変化に対するこれらの安定性を高めることができる。
請求項4の発明によれば、固定側信号電極と可動側信号電極との間には他のストッパを設けたから、該ストッパによって固定側信号電極と可動側信号電極との接触を防止することができる。これにより、固定側信号電極と可動側信号電極との近接、離間に応じてこれらの間の静電容量が最大値と最小値とで選択的に変化する。このため、例えば信号電極を伝搬する高周波信号を、静電容量に応じて、接続、遮断することができ、高周波信号用のスイッチ素子(可変容量素子)を構成することができる。
請求項5の発明によれば、固定側信号電極と可動側信号電極との間には導電性材料からなる接点部を設けたから、該接点部によって固定側信号電極と可動側信号電極とを電気的に接続することができる。これにより、固定側信号電極と可動側信号電極との近接、離間に応じてこれらの接続、遮断を選択的に切り換えることができる。このため、例えば直流信号型のスイッチ素子を構成することができる。
請求項6の発明によれば、シリコン基板の異方性エッチング処理を行い、シリコン基板のうち可動部および支持梁と対応した部位に残余の部位よりも窪んだ窪み部を形成したから、窪み部の周囲には斜めに傾斜した壁面を形成することができる。このため、窪み部にエッチング処理を行い、支持部、支持梁および可動部を形成したときには、シリコン基板の表面には、支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部を形成することができる。
このとき、支持部と支持梁との間に段差が形成されることがなく、例えばシリコン基板の表面は滑らかに連続した状態となる。このため、蒸着法やスパッタ法を用いてシリコン基板の表面に第2の可動側金属電極を形成したときには、シリコン基板の端面(支持梁の側面等)には金属電極が形成されないのに対して、支持部および可動部と支持梁との間で第2の可動側金属電極を確実に電気的に接続することができる。これにより、第2の可動側金属電極の途中で断線が生じることがなく、シリコン基板の表面に第2の可動側金属電極を確実に形成することができる。
また、窪み部は支持部と対応した残余の部位よりも裏面側に向けて突出するから、窪み部によって可動部を形成したときには、可動部は支持部よりも第1の基板に向けて突出する。このとき、可動部の突出寸法が大きくなるに従って、可動部を第1の基板に押付ける支持梁のばね力が大きくなる。このため、窪み部の突出寸法に応じて支持梁のばね力を調整することができる。
さらに、可動部は第1の基板に向けて突出させるから、第2の基板に向けて突出する必要がなく、可動部の表面を支持部の表面よりも第1の基板に向けて凹陥する。このため、シリコン基板を第1の基板に圧着接合するときに、加圧治具を用いてシリコン基板を第1の基板に向けて押付けたときでも、可動部が支持部よりも第2の基板側に向けて突出することがなくなる。この結果、加圧治具に可動部が接触することがなく、可動部および可動側駆動電極の損傷を防止することができる。
請求項7の発明によれば、第1の基板の第1の固定側金属電極とシリコン基板の第1の可動側金属電極とを圧着接合する工程では、シリコン基板の表面側には保護部材を設け、該保護部材を介してシリコン基板を第1の基板に向けて加圧する。このため、保護部材を用いてシリコン基板の第2の可動側金属電極を保護することができ、第2の可動側金属電極に損傷や凹凸等が形成されることがなくなる。これにより、第1の基板を圧着接合した後に、第2の基板を圧着接合するときでも、シリコン基板の第2の可動側金属電極を平坦な状態に保持しつつ、第2の基板の第2の固定側金属電極に圧着することができ、接合不良を防止することができる。
本発明の第1の実施の形態による可変容量素子を示す縦断面図である。 第1の基板を図1中の矢示II−II方向からみた平面図である。 第1の基板およびシリコン基板を図1中の矢示III−III方向からみた平面図である。 第2の基板を図1中の矢示IV−IV方向からみた底面図である。 可動部が静電力によって変位した状態を示す図1と同様な縦断面図である。 異方性エッチング工程によりシリコン基板に凹部を形成した状態を示す縦断面図である。 絶縁膜形成工程によりシリコン基板にシリコン酸化膜を形成した状態を示す縦断面図である。 可動部形成工程により支持部、可動部、支持梁および傾斜部を形成した状態を示す縦断面図である。 可動側金属電極形成工程によりシリコン基板に金属薄膜を形成した状態を示す縦断面図である。 第1の基板形成工程によりガラス基板に固定側信号電極等を形成した状態を示す縦断面図である。 第1の基板接合工程により第1の基板にシリコン基板を圧着接合する状態を示す縦断面図である。 第2の基板形成工程によりガラス基板に固定側駆動電極等を形成した状態を示す縦断面図である。 第2の基板接合工程によりシリコン基板に第2の基板を圧着接合する状態を示す縦断面図である。 第2の実施の形態によるスイッチ素子を示す断面図である。 第1の基板を図14中の矢示XV−XV方向からみた平面図である。 第3の実施の形態によるリレー素子を示す断面図である。 第4の実施の形態によるスイッチ素子を示す縦断面図である。 第1の基板およびシリコン基板を図17中の矢示XVIII−XVIII方向からみた平面図である。 異方性エッチング工程によりシリコン基板に窪み部を形成した状態を示す縦断面図である。 シリコン基板からマスク用の熱酸化膜を除去した状態を示す縦断面図である。 薄肉部形成工程によりシリコン基板に薄肉部を形成した状態を示す縦断面図である。 可動部形成工程により支持部、可動部、支持梁および傾斜部を形成した状態を示す縦断面図である。 絶縁膜形成工程によりシリコン基板に絶縁膜を形成した状態を示す縦断面図である。 可動側金属電極形成工程によりシリコン基板に金属薄膜を形成した状態を示す縦断面図である。 第1の基板形成工程によりガラス基板に固定側信号電極等を形成した状態を示す縦断面図である。 第1の基板接合工程により第1の基板にシリコン基板を圧着接合する状態を示す縦断面図である。 第2の基板形成工程によりガラス基板に固定側駆動電極等を形成した状態を示す縦断面図である。 第2の基板接合工程によりシリコン基板に第2の基板を圧着接合する状態を示す縦断面図である。 第1の変形例による可変容量素子を示す縦断面図である。 第2の変形例による可変容量素子を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態によるMEMSスイッチ素子を、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1ないし図13は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、MEMSスイッチ素子として可変容量素子を例に挙げて述べる。
図中、可変容量素子1は、第1,第2の基板2,3と、これらの基板2,3に挟まれたシリコン基板4とによって形成されている。ここで、基板2,3は、例えば絶縁性を有するガラス材料等からなり、数ミリ程度の大きさの四角形状に形成されている。
そして、基板2,3およびシリコン基板4は、互いに直交する3軸方向をX軸,Y軸およびZ軸としたときに、例えばX軸およびY軸に沿って水平方向に延びている。また、第2の基板3の裏面側には、略四角形に窪んだ凹陥部3Aが形成されている。これにより、基板2,3の間には、凹陥部3Aと対応した位置に後述の可動部6を収容する密閉空間が画成されている。
一方、シリコン基板4は、単結晶シリコンを用いて形成されている。そして、シリコン基板4には、マイクロマシニング技術を用いて後述する支持部5、可動部6、支持梁7が形成されている。
支持部5は、シリコン基板4に形成され、第1,第2の基板2,3に固定されている。この支持部5は、例えば基板2,3の周縁に沿って延びる四角形の枠状に形成され、可動部6、支持梁7等を取囲んでいる。ここで、支持部5の内側には、可動部6を挟んでX軸方向の両側に位置する2つの梁連結部5Aが設けられている。そして、支持部5は、例えば200〜300μm程度の厚さ寸法を有し、基板2,3の間に可動部6を配置する密閉空間を保持している。
可動部6は、シリコン基板4に形成され、後述の支持梁7を用いて支持部5に支持されている。この可動部6は、基板3の凹陥部3Aと対向した位置に配置され、厚さ方向(Z軸方向)に変位可能な状態となっている。ここで、可動部6は、四角形の平板状に形成され、支持部5と同程度の厚さ寸法(例えば200〜300μm程度)を有している。また、可動部6は、シリコン基板4に異方性エッチング等を施すことにより、支持部5、支持梁7等と一緒に形成されている。
そして、可動部6は、後述する駆動電極14,16の間に発生する静電力によって垂直方向(Z軸方向)に変位し、第1の基板2に対して近接,離間する。このため、可動部6は、駆動電極14,16の間に電圧を印加していないときに、後述の支持梁7によって基板2と近接した位置に保持され、固定側駆動電極16とは例えば数μm程度の隙間Sを介して離間している。
なお、可動部6には、周囲の気体による抵抗を低減するために、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を設ける構成としてもよい。
支持梁7は、可動部6を垂直方向に変位可能に支持し、可動部6と支持部5との間に例えば4本設けられている。これらの支持梁7は、例えばクランク状に屈曲した梁として形成され、基板2,3の間に位置して水平方向に延びると共に、これらの基板2,3から垂直方向に離間している。
また、各支持梁7は、基端側が支持部5の梁連結部5Aに連結され、先端側が可動部6の四隅にそれぞれ連結されている。そして、支持梁7は、図5に示すように、可動部6が基板3に向けて変位するときに、垂直方向に撓み変形するものである。
さらに、支持梁7は、支持部5および可動部6よりも小さい厚さ寸法(例えば30〜70μm程度)を有している。これにより、支持梁7は、垂直方向に向けて容易に変形できる構成となっている。
傾斜部8は、例えばシリコン基板4のうち支持部5と支持梁7との間、および可動部6と支持梁7との間にそれぞれ配置され、支持部5、可動部6から支持梁7に向けて厚さ寸法が漸次縮小したテーパ状に形成されている。そして、傾斜部8の表面には、シリコン結晶の(111)面に沿った傾斜面が形成されている。
なお、傾斜部8は、例えば支持部5と支持梁7との間や可動部6と支持梁7との間に支持部5、可動部6、支持梁7とは別個に設けた場合に限らず、例えば支持部5や可動部6の一部が傾斜することによって形成してもよく、支持梁7の一部が傾斜することによって形成してもよい。
第1,第2の可動側金属電極9,10は、シリコン基板4の厚さ方向の両面にそれぞれ形成されている。ここで、シリコン基板4の厚さ方向の両面には、例えばシリコン酸化膜等の第1,第2の絶縁膜11,12が全面に亘ってそれぞれ設けられている。このため、第1,第2の可動側金属電極9,10とシリコン基板4との間には、第1,第2の絶縁膜11,12が配置されている。なお、第1,第2の絶縁膜11,12は、シリコン酸化膜に限らず、例えばシリコン窒化膜等によって形成してもよい。
また、第1の可動側金属電極9は、シリコン基板4の裏面側に全面に亘って形成され、第1の基板2と対向している。これにより、第1の可動側金属電極9は、支持部5、可動部6、支持梁7および傾斜部8の裏面側に形成され、途中で断線することなく、その全体が電気的に接続されている。
一方、第2の可動側金属電極10は、シリコン基板4の表面側に全面に亘って形成され、第2の基板3と対向している。これにより、第2の可動側金属電極10は、支持部5、可動部6、支持梁7および傾斜部8の表面側に形成され、その全体が電気的に接続されている。そして、第1,第2の可動側金属電極9,10は、例えば金を含む合金または金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。なお、第1,第2の可動側金属電極9,10は、必ずしも同じ材料を用いる必要はなく、互いに異なる材料を用いて形成してもよい。
また、第1の可動側金属電極9と後述の固定側信号電極15とには、高周波信号が伝搬する。このとき、第1の可動側金属電極9等には高周波信号の周波数に応じて表皮効果が生じ、第1の可動側金属電極9等の表面に集中して電流が流れる。このため、第1の可動側金属電極9の厚さ寸法は、高周波信号の伝送損失を低減するために、高周波信号による表皮の厚さよりも大きな値に設定されている。なお、表皮の厚さよりも大きい値であれば、第1の可動側金属電極9の厚さ寸法に関係なく、高周波信号の伝送損失はほぼ一定となる。このため、第1の可動側金属電極9の厚さ寸法は、高周波信号による表皮の厚さよりも大きな範囲で、できるだけ小さい値(例えば表皮の厚さの2倍程度の値)に設定されている。
また、第2の可動側金属電極10の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極9とシリコン基板4との間の線膨脹率の差によって可動部6に生じる反りを相殺するように、その値を設定している。このため、第2の可動側金属電極10の厚さ寸法は、例えば第1の可動側金属電極9の厚さ寸法とほぼ同じ値に設定されている。
なお、第2の可動側金属電極10には、高周波信号に比べて周波数の低い駆動信号が印加される。このため、第2の可動側金属電極10の厚さ寸法は、表皮の厚さを考慮する必要はなく、例えば第1の可動側金属電極9の厚さ寸法よりも小さい値に設定してもよい。
また、第1,第2の絶縁膜11,12も、可動部6に反りを発生させる要因となる。しかし、第1,第2の絶縁膜11,12は、第1,第2の可動側金属電極9,10に比べて、シリコン基板4との間の線膨脹率の差が小さい。このため、可動部6の反りには、第1,第2の可動側金属電極9,10が支配的に作用する。また、後述する絶縁膜形成工程に示すように、第1,第2の絶縁膜11,12は、シリコン基板4を加熱することによって、同時に形成される。このため、第1,第2の絶縁膜11,12の厚さ寸法は、例えばほぼ同じ値に設定されている。これにより、本実施の形態では、シリコン基板4には、その厚さ方向に対して、略対称な状態で第1の可動側金属電極9、第1の絶縁膜11と第2の可動側金属電極10、第2の絶縁膜12とが形成されている。
可動側信号電極13は、第1の可動側金属電極9のうち可動部6の裏面側に形成され、後述する固定側信号電極15と対向している。そして、可動側信号電極13は、可動部6と同様に四角形状に形成され、可動部6と一緒に垂直方向に変位する。このため、可動側信号電極13は、可動部6の変位に伴って固定側信号電極15に対して近接,離間する。
可動側駆動電極14は、第2の可動側金属電極10のうち可動部6の表面側に形成され、後述する固定側駆動電極16と対向している。そして、可動側駆動電極14は、可動部6と同様に四角形状に形成され、固定側駆動電極16との間に電圧を印加することによって、静電引力を発生させる。この静電引力によって、可動側駆動電極14は、可動部6と一緒に第2の基板3に向けて垂直方向に変位する。
固定側信号電極15は、可動部6と対向する位置で第1の基板2の表面側に設けられている。この固定側信号電極15は、図1、図2に示すように、例えば金を含む合金または金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。また、固定側信号電極15の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極9と同様に、高周波信号による表皮の厚さよりも大きい値(例えば表皮の厚さの2倍程度の値)に設定されている。そして、固定側信号電極15は、ほぼ全面に亘って可動側信号電極13と対面すると共に、後述の信号用引出電極22に接続されている。
この場合、可動側信号電極13と固定側信号電極15との間には、エアギャップコンデンサが形成されている。そして、このコンデンサの静電容量、即ち可動側信号電極13と固定側信号電極15との間の静電容量は、各電極13,15の電極間距離に応じて変化する構成となっている。
固定側駆動電極16は、可動部6と対向する位置で第2の基板3の裏面側に設けられている。この固定側駆動電極16は、固定側信号電極15とほぼ同様に例えば金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。ここで、固定側駆動電極16には低周波の駆動信号が印加される。このため、固定側駆動電極16の厚さ寸法は、表皮の厚さを考慮する必要はなく、例えば第2の可動側金属電極10の厚さ寸法よりも小さい値に設定されている。また、固定側駆動電極16は、基板3の凹陥部3A内に位置してほぼ全面に亘って可動側駆動電極14と対面している。さらに、固定側駆動電極16には、凹陥部3Aの外側に向けて延びた配線部16Aが接続されている。そして、固定側駆動電極16は、配線部16Aを介して後述の駆動用引出電極24に接続されている。
また、固定側駆動電極16は、可動側駆動電極14と垂直方向(Z軸方向)の間隔をもって対向している。そして、これらの駆動電極14,16の間に電圧(駆動信号)を印加することによって、可動部6を基板3に向けて引付ける垂直方向の静電力が発生し、この静電力によって可動部6が基板2から離れる方向に駆動するものである。
即ち、駆動電極14,16間に電圧を印加しないときには、可動部6は、支持梁7によって基板2と近接した位置に保持され、固定側駆動電極16とは隙間Sを介して離間している。
一方、駆動電極14,16間に電圧を印加したときには、これらの間に静電力が作用することにより、可動側駆動電極14が固定側駆動電極16に引付けられる。この結果、可動部6は、図5に示すように、固定側駆動電極16に設けた後述のストッパ18に当接する位置まで垂直方向に変位し、基板2から離間した位置に保持される。
そして、可変容量素子1は、可動部6の位置に応じて可動側信号電極13と固定側信号電極15との電極間距離が変化することにより、これらの信号電極13,15間の静電容量値が選択的に切換わるものである。
信号側のストッパ17は、信号電極13,15の間に位置して固定側信号電極15に複数個設けられている。これらのストッパ17は、例えばシリコン酸化物等により絶縁性の突起として形成され、固定側信号電極15から可動部6に向けて突出している。
一方、駆動側のストッパ18は、駆動電極14,16の間に位置して固定側駆動電極16に複数個設けられている。これらのストッパ18は、ストッパ17と同様に例えばシリコン酸化物等により絶縁性の突起として形成され、固定側駆動電極16から可動部6に向けて突出している。
そして、駆動電極14,16間に電圧を印加しないときには、ストッパ17は可動側信号電極13に当接し、ストッパ18は可動側駆動電極14から離間する。このとき、ストッパ17は、信号電極13,15が接触しないように、信号電極13,15間に所定寸法の間隔を保持する。
一方、駆動電極14,16間に電圧を印加したときには、ストッパ17は可動側信号電極13から離間し、ストッパ18は可動側駆動電極14に当接する。このとき、ストッパ18は、駆動電極14,16が接触しないように、駆動電極14,16間に所定寸法の間隔を保持する。
第1の固定側金属電極19は、第1の基板2の表面側に設けられ、支持部5とほぼ同じ枠形状に形成されている。これにより、第1の固定側金属電極19は、第1の可動側金属電極9のうち支持部5に設けられた部位と接触する。
また、第2の固定側金属電極20は、第2の基板3の裏面側に設けられ、支持部5とほぼ同じ枠形状に形成されている。これにより、第2の固定側金属電極20は、第2の可動側金属電極10のうち支持部5に設けられた部位と接触する。
ここで、第1,第2の固定側金属電極19,20は、第1,第2の可動側金属電極9,10とほぼ同様に例えば金等の導電性の金属薄膜によって形成され、例えば1〜3μm程度の厚さ寸法を有している。そして、第1の固定側金属電極19は第1の可動側金属電極9に圧着接合されると共に、第2の固定側金属電極20は第2の可動側金属電極10に圧着接合されている。この結果、第1,第2の基板2,3とシリコン基板4との間が封止され、第1,第2の基板2,3間には、気密状態の密閉空間が画成されるものである。
信号用引出電極21,22は、第1の基板2に設けられ、信号電極13,15にそれぞれ接続されている。ここで、信号用引出電極21は、支持部5と対応した位置に配置され、第1の固定側金属電極19を通じて可動側信号電極13(可動側金属電極9)に電気的に接続されている。一方、信号用引出電極22は、可動部6と対応した位置に配置され、固定側信号電極15に電気的に接続されている。
これらの信号用引出電極21,22は、例えばレーザー加工やマイクロブラスト法を用いることによって基板2に厚さ方向に貫通した信号用のビアホール(スルーホール)を穿設し、このスルーホール内に銅(Cu)等の導電性金属材料を充填することよって形成されている。そして、信号電極13,15間の静電容量は、信号用引出電極21,22を介して外部の回路等に出力される。
駆動用引出電極23,24は、第2の基板3に設けられ、駆動電極14,16にそれぞれ接続されている。ここで、駆動用引出電極23は、支持部5と対応した位置に配置され、第2の固定側金属電極20を通じて可動側駆動電極14(可動側金属電極10)に電気的に接続されている。一方、駆動用引出電極24は、配線部16Aと対応した位置に配置され、配線部16Aを通じて固定側駆動電極16に電気的に接続されている。
これらの駆動用引出電極23,24は、信号用引出電極21,22と同様に、駆動用のビアホールに導電性金属材料を充填することによって形成されている。そして、駆動用引出電極23,24は、図5に示すように、駆動電極14,16を直流の電源25に接続する。これにより、電源25は、例えば10〜20V程度の直流電圧を駆動電極14,16間に印加し、駆動電極14,16間に静電引力を発生させるものである。
次に、図6ないし図13を参照しつつ、可変容量素子1の製造方法について説明する。
まず、単結晶シリコンからなる加工前のシリコン基板30(面方位(100))を用意する。そして、図6に示す異方性エッチング工程では、シリコン基板30のうち支持部5および可動部6に対応した位置を熱酸化膜(シリコン酸化膜)によってマスクした状態で、シリコン基板30に対して表面側から異方性エッチングを施す。
これにより、シリコン基板30のうち支持部5と可動部6との間に対応した位置には、表面から窪んだ凹部31が形成される。そして、シリコン基板30のうち支持部5および可動部6に対応した位置に例えば200〜300μm程度の厚さ寸法の大きい厚肉部30Aが形成されると共に、支持部5と可動部6との間に対応した位置には例えば50μm程度の厚さ寸法の小さい薄肉部30Bが形成される。
また、凹部31は、シリコン結晶の(111)面に沿った傾斜面をもって形成される。このため、厚肉部30Aと薄肉部30Bとの間には、厚肉部30Aから薄肉部30Bに向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部30Cが形成されている。
次に、図7に示す絶縁膜形成工程では、例えばシリコン基板30を加熱することにより、絶縁膜11,12となるシリコン酸化膜32,33をシリコン基板30の両面にそれぞれ形成する。なお、シリコン酸化膜32,33は、同時に形成した場合に限らず、それぞれ別個に形成してもよい。
次に、図8に示す可動部形成工程では、例えばRIE加工(反応性イオンエッチング)等の手段を用いて、シリコン基板30の薄肉部30Bのうち不要な部位を除去し、残った部位によって可変容量素子1の支持部5、可動部6、支持梁7を形成する。このとき、傾斜部30Cによって、支持部5、可動部6と支持梁7との間には傾斜部8が形成される。これにより、支持部5、可動部6、支持梁7および傾斜部8を備えたシリコン基板4が形成されると共に、シリコン基板4の両面には絶縁膜11,12が形成される。
次に、図9に示す可動側金属電極形成工程では、例えば蒸着法を用いて、シリコン基板4の両面にそれぞれ金(Au)等の導電性の金属薄膜を形成する。ここで、蒸着を行うときには、金等の導電性材料とシリコン基板4との間を十分に離す。これにより、導電性材料は、シリコン基板4の表面および裏面には蒸着するものの、支持梁7の端面(側面)等には付着しなくなる。これにより、シリコン基板4の両面には第1,第2の可動側金属電極9,10が全面に亘って形成されると共に、第1,第2の可動側金属電極9,10との間は絶縁された状態となる。
また、支持部5、可動部6と支持梁7との間は傾斜部8によって接続されている。このため、例えば膜厚が数μm程度の薄い金属薄膜によって第1,第2の可動側金属電極9,10を形成したときでも、厚さ寸法の異なる支持部5、可動部6と支持梁7との間で、第1,第2の可動側金属電極9,10に断線が生じることがない。このため、可動側金属電極9のうち支持部5に設けられた部位と可動側信号電極13との間を確実に接続することができる。同様に、可動側金属電極10のうち支持部5に設けられた部位と可動側駆動電極14との間を確実に接続することができる。
一方、図10に示す第1の基板形成工程では、可変容量素子1の第1の基板2となる絶縁性のガラス基板34を用意する。そして、ガラス基板34には、レーザー加工、マイクロブラスト法等を用いてスルーホールを形成した後に、このスルーホール内に銅等の導電性金属材料を例えばメッキ処理によって充填する。その後、スルーホールから突出した導電性金属材料を研磨して、ガラス基板34の表面および裏面を平滑化する。これにより、ガラス基板34には、電極19,15にそれぞれ接続された信号用引出電極21,22を形成する。
また、ガラス基板34に対して、例えばスパッタ、蒸着法等を用いることによって、金等の導電性の金属薄膜を形成する。これにより、ガラス基板34の表面には、可動部6と対応した位置に固定側信号電極15を形成すると共に、支持部5と対応した位置に第1の固定側金属電極19を形成する。
さらに、固定側信号電極15の表面にシリコン酸化膜を形成し、これをエッチング加工等によって所定の形状にパターニングする。これにより、固定側信号電極15には、上側に向けて突出した複数のストッパ17を形成する。以上の工程によって、固定側信号電極15および第1の固定側金属電極19等を備えた第1の基板2が形成される。
なお、信号用引出電極21,22のスルーホールは、レーザー加工、マイクロブラスト法等を用いて形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばガラス基板34を感光性ガラス材料を用いて形成すると共に、この感光性ガラス材料に紫外線等を照射することによってスルーホールを形成してもよい。
次に、図11に示す第1の基板接合工程では、第1の基板2の固定側金属電極19とシリコン基板4の第1の可動側金属電極9とを熱圧着する。具体的には、金属電極9,19を例えば200℃から400℃までの範囲で予め決められた温度を加熱しつつ、可動側金属電極9と固定側金属電極19とが密着するように所定の荷重(例えば4インチウェハに対して4t程度の荷重)を加える。これにより、金属電極9,19が互いに圧着接合され、第1の基板2にシリコン基板4が接合、固定される。この結果、シリコン基板4の可動部6は、基板2の固定側信号電極15を覆う位置に配置され、信号電極13,15間にストッパ17を挟んだ状態となる。
一方、図12に示す第2の基板形成工程では、可変容量素子1の第2の基板3となる絶縁性のガラス基板35を用意する。そして、ガラス基板35には、厚さ方向に貫通したスルーホールを形成した後に、このスルーホール内に銅等の導電性金属材料を充填する。その後、スルーホールから突出した導電性金属材料を研磨して、ガラス基板35の表面および裏面を平滑化する。これにより、ガラス基板35には、電極20,16にそれぞれ接続された駆動用引出電極23,24を形成する。
次に、このガラス基板35の裏面のうち所定部位にエッチング加工を施すことによって、凹陥部3Aを形成する。そして、ガラス基板35に対して、例えばスパッタ、蒸着法等を用いることによって、金等の導電性の金属薄膜を形成する。これにより、ガラス基板35の裏面には、凹陥部3A内に固定側駆動電極16を形成すると共に、支持部5と対応した位置に第2の固定側金属電極20を形成する。
また、固定側信号電極15の表面にシリコン酸化膜を形成し、これをエッチング加工等によって所定の形状にパターニングする。これにより、固定側信号電極15には、下側に向けて突出した複数のストッパ18を形成する。以上の工程によって、固定側信号電極15および第2の固定側金属電極20等を備えた第2の基板3が形成される。
次に、図13に示す第2の基板接合工程では、第1の基板接合工程とほぼ同様に、第2の基板3の固定側金属電極20とシリコン基板4の第2の可動側金属電極10とを熱圧着する。これにより、金属電極10,20が互いに圧着接合され、シリコン基板4の表面側に第2の基板3が接合、固定される。この結果、シリコン基板4の可動部6は、基板3の固定側駆動電極16と対向した位置に配置され、可変容量素子1が完成する。
本実施の形態による可変容量素子1は上述の製造方法によって製造されるもので、次にその作動について説明する。
まず、可変容量素子1に電圧を印加していない状態では、図1に示すように、可動部6(可動側信号電極13)が固定側信号電極15と近接した位置に保持され、信号電極13,15間の静電容量は、互いに近接した信号電極13,15間の距離に対応する容量値となる。
また、図5に示すように、駆動電極14,16間に電圧を印加したときには、これらの間に静電力が発生する。これにより、可動部6は、支持梁7を撓み変形させつつ、固定側駆動電極16(ストッパ18)と当接する位置まで垂直方向に変位し、可動側信号電極13は固定側信号電極15から離間した位置に保持される。この結果、信号電極13,15間の静電容量は、互いに離間した信号電極13,15間の距離に対応する容量値となるので、電圧印加の有無に応じて静電容量を切換えて、高周波信号に対して信号電極13,15間の接続、遮断を切換えることができる。
かくして、本実施の形態によれば、シリコン基板4の厚さ方向の両面には、全面に亘って第1,第2の可動側金属電極9,10をそれぞれ形成したから、第1の可動側金属電極9のうち可動部6に配置された部位を用いて固定側信号電極15に対して近接,離間する可動側信号電極13を形成することができると共に、第2の可動側金属電極10のうち可動部6に配置された部位を用いて固定側駆動電極16との間の静電引力を作用させる可動側駆動電極14を形成することができる。このため、固定側駆動電極16と可動側駆動電極14との間に電圧を印加することによって、可動部6を厚さ方向に変位させることができるから、可動部6の変位に応じて固定側信号電極15と可動側信号電極13との静電容量が変化する可変容量素子1を構成することができる。
また、第1,第2の可動側金属電極9,10を用いて可動側信号電極13、可動側駆動電極14を形成するから、第1,第2の可動側金属電極9,10と圧着接合した第1,第2の固定側金属電極19,20を通じて可動側信号電極13、可動側駆動電極14を外部の処理回路等に電気的に接続することができる。このため、シリコンを介さずに外部との間で検出信号の伝送や駆動信号の印加を行うことができるから、信号の減衰を抑制することができ、信号電極13,15を伝送する信号の導体損失を低減することができると共に、可動部6の応答速度の向上を図ることができる。
さらに、第1,第2の基板2,3には第1,第2の可動側金属電極9,10と接触する第1,第2の固定側金属電極19,20を形成したから、第1,第2の可動側金属電極9,10と第1,第2の固定側金属電極19,20とを圧着接合することによって、第1,第2の基板2,3の間にシリコン基板4を固定することができる。このため、可動側信号電極13となる第1の可動側金属電極9および可動側駆動電極14となる第2の可動側金属電極10の一部を用いて固定側金属電極19,20を圧着接合することができる。従って、第1,第2の可動側金属電極9,10をパターニングする必要がなく、シリコン基板4の両面に全面に亘って第1,第2の可動側金属電極9,10を形成するだけで足りるから、シリコン基板4に接合用の金属薄膜を別途に設けた場合に比べて、製造工程を簡略化して、生産性を高めることができる。
また、第1,第2の可動側金属電極9,10と第1,第2の固定側金属電極19,20とを圧着接合することによって、第1,第2の基板2,3の間に可動部6を収容する密閉空間を画成することができる。このとき、密閉空間を気密な状態で封止することができるから、減圧雰囲気中で圧着接合を行うことによって、可動部6の空気抵抗を減少させることができ、その応答性を高めることができる。
また、シリコン基板4と第1,第2の可動側金属電極9,10との間には第1,第2の絶縁膜11,12を設ける構成としたから、第1,第2の絶縁膜11,12を用いて第1,第2の可動側金属電極9,10の間を絶縁することができる。このため、第1,第2の可動側金属電極9,10に別個の機能をもたせることができるから、第1の可動側金属電極9によって容量検出等に用いる可動側信号電極13を形成できると共に、第2の可動側金属電極10によって可動部6に静電力を作用させる可動側駆動電極14を形成することができる。
また、絶縁膜11,12によってシリコン基板4と第1,第2の可動側金属電極9,10との間を絶縁することができるから、抵抗の大きなシリコン基板4と金属電極9,10との接触箇所をなくすことができ、信号の損失を低減することができる。
さらに、シリコン基板4は、支持部5および可動部6の厚さ寸法に比べて支持梁7を厚さ寸法を小さく形成したから、支持梁7のばね定数を低下させて可動部6を容易に変位させることができる。また、シリコン基板4には、支持部5から支持梁7に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部8と、可動部6から支持梁7に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部8とを形成したから、支持部5と支持梁7との間や可動部6と支持梁7との間に段差が形成されることがない。即ち、シリコン基板4の表面および裏面は滑らかに連続した状態となる。
一方、例えば蒸着法やスパッタ法を用いてシリコン基板4の両面に第1,第2の可動側金属電極9,10を形成したときには、成膜素材となる導電性金属材料と成膜対象となるシリコン基板4とを十分に離すことによって、シリコン基板4の両面に対して垂直方向から導電性金属材料が付着する。このため、蒸着法等を用いることによって、支持部5および可動部6と支持梁7との間が連続した状態で第1,第2の可動側金属電極9,10を形成することができる。これにより、第1,第2の可動側金属電極9,10の途中で断線が生じることがなく、シリコン基板4の両面全面に第1,第2の可動側金属電極9,10を確実に形成することができる。
また、蒸着法等を用いて第1,第2の可動側金属電極9,10を形成したときには、支持梁7の側面や枠状をなす支持部5の内壁面のようにシリコン基板4の端面には金属薄膜が形成されないから、可動側金属電極9,10が短絡するのを防ぐことができる。
さらに、固定側駆動電極16と可動側駆動電極14との間には絶縁性材料からなるストッパ18を設けたから、該ストッパ18によって固定側駆動電極16と可動側駆動電極14との接触を防止することができ、これらが電気的に短絡するのを防止することができる。
また、第1の可動側金属電極9および固定側信号電極15の厚さ寸法は、伝搬する高周波信号の表皮の厚さよりも大きな値に設定した。このため、高周波信号の伝送損失が増大しない範囲で、第1の可動側金属電極9および固定側信号電極15を薄く形成することができ、可変容量素子1の高さ寸法を小さくすることができる。
さらに、第2の可動側金属電極10の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極9とシリコン基板4との間の線膨脹率の差によって可動部6に生じる反りを相殺するように、その値を設定した。これにより、可変容量素子1に温度変化が生じたときでも、温度変化に伴う可動部6等の反りを抑制することができる。この結果、例えば可動側信号電極13と固定側信号電極15との間の静電容量の最大値、最小値、変化幅等はその温度変動が抑制されるから、温度変化に対するこれらの安定性を高めることができる。
次に、図14および図15は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1の基板に2つの固定側信号電極を設け、これらの間で高周波信号をスイッチングするスイッチ素子に適用したことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
MEMSスイッチ素子としてのスイッチ素子41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、第1,第2の基板2,3、シリコン基板4、支持部5、可動部6、支持梁7、傾斜部8、第1,第2の可動側金属電極9,10、可動側信号電極13、可動側駆動電極14、固定側信号電極42、固定側駆動電極16および第1,第2の固定側金属電極19,20等によって大略構成されている。
しかし、固定側信号電極42は、可動部6と対向する位置で基板2に例えば2個設けられ、例えば高周波信号を伝送するマイクロストリップ線路を形成している。そして、各固定側信号電極42の一端側は、可動側信号電極13のほぼ中央に対応する位置でX軸方向の間隔を挟んで互いに対向している。また、固定側信号電極42の他端側は可動部6の外側位置まで延び、この部位は第1の基板2に形成された信号用のビアホールからなる信号用引出電極43に接続されている。一方、可動側信号電極13は、第1の実施の形態と異なり、信号用引出電極には接続されていない。
そして、スイッチ素子41は、電圧印加の有無に応じて可動側信号電極13を固定側信号電極42に対して近接,離間させることにより、左,右の固定側信号電極42の間で高周波信号を伝送,遮断する構成となっている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、第2の実施の形態では、固定側信号電極42はマイクロストリップ線路を形成するものとしたが、例えばコプレーナ線路等のように高周波信号を伝送する他の伝送線路を形成する構成としてもよい。
次に、図16は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、金属−金属コンタクト型のリレー素子に適用したことにある。なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
MEMSスイッチ素子としてのリレー素子51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、第1,第2の基板2,3、シリコン基板4、支持部5、可動部6、支持梁7、傾斜部8、第1,第2の可動側金属電極9,10、可動側信号電極13、可動側駆動電極14、固定側信号電極15、固定側駆動電極16および第1,第2の固定側金属電極19,20等によって大略構成されている。
ここで、固定側信号電極15の表面には、第1の実施の形態のストッパ17に代えて、導電性材料により形成された突起状の接点部52が複数個突設されている。
これらの接点部52は、リレー素子51に電圧を印加していないときに、可動側信号電極13と接触した状態に保持され、固定側信号電極15と可動側信号電極13とを接続している。また、リレー素子51の駆動電極14,16間に電圧を印加したときには、可動側信号電極13が各接点部52から離れる方向に変位し、これらの信号電極13,15が互いに絶縁された状態となる。
このように、金属−金属コンタクト型のリレー素子51は、電圧印加の有無に応じて各接点部52を可動側信号電極13に接触させ、または可動側信号電極13から離間させることにより、信号電極13,15の間を接続,遮断する構成となっている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、MEMSスイッチ素子として、金属−金属コンタクト型のリレー素子51にも適用範囲を広げることができる。
次に、図17ないし図26は第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、可動部は、支持部を第1の基板に固定する前の状態では、支持部よりも第1の基板に向けて突出した形状に形成したことにある。
図中、スイッチ素子61は、第1の実施の形態とほぼ同様に、第1,第2の基板62,63、シリコン基板64、支持部65、可動部66、支持梁67、傾斜部68、第1,第2の可動側金属電極69,70、可動側信号電極73、可動側駆動電極74、固定側信号電極75、固定側駆動電極76および第1,第2の固定側金属電極79,81等によって大略構成されている。
第1,第2の基板62,63は、例えば絶縁性を有するガラス材料等からなり、数ミリ程度の大きさの四角形状に形成されている。そして、基板62,63およびシリコン基板64は、第1の実施の形態による基板2,3およびシリコン基板4と同様に、X軸およびY軸に沿って水平方向に延びている。
また、第2の基板63の裏面側には、略四角形に窪んだ凹陥部63Aが形成されている。これにより、基板62,63の間には、凹陥部63Aと対応した位置に後述の可動部66を収容する密閉空間が画成されている。
一方、シリコン基板64は、例えば抵抗率が5kΩ・cm以上となった単結晶シリコンを用いて形成され、厚さ方向の両側が第1,第2の基板62,63に挟まれている。そして、シリコン基板64には、マイクロマシニング技術を用いて後述する支持部65、可動部66、支持梁67が形成されている。
支持部65は、シリコン基板64に形成され、第1,第2の基板62,63に固定されている。この支持部65は、例えば基板62,63の周縁に沿って延びる四角形の枠状に形成され、可動部66、支持梁67等を取囲んでいる。ここで、支持部65の内側には、可動部66を挟んでX軸方向の両側に位置する2つの梁連結部65Aが設けられている。そして、支持部65は、例えば200〜300μm程度の厚さ寸法を有し、基板62,63の間に可動部66を配置する密閉空間を保持している。
可動部66は、シリコン基板64に形成され、後述の支持梁67を用いて支持部65に支持されている。この可動部66は、基板63の凹陥部63Aと対向した位置に配置され、厚さ方向(Z軸方向)に変位可能な状態となっている。ここで、可動部66は、四角形の平板状に形成され、支持部65と同程度の厚さ寸法(例えば200〜300μm程度)を有している。また、可動部66は、シリコン基板64にエッチング処理を施すことにより、支持部65、支持梁67等と一緒に形成されている。
そして、可動部66は、後述する駆動電極74,76の間に発生する静電力によって垂直方向(Z軸方向)に変位し、第1の基板62に対して近接,離間する。このため、可動部66は、駆動電極74,76の間に電圧を印加していないときに、後述の支持梁67によって基板62と近接した位置に保持され、固定側駆動電極76とは例えば数μm程度の隙間Sを介して離間している。
また、可動部66は、支持部65を第1の基板62に固定する前の状態では、支持部65の裏面よりも第1の基板62に向けて突出し、支持部65の表面よりも窪んだ形状に形成されている(図24参照)。このため、支持部65を第1の基板62に固定したときには、可動部66は、支持梁67によって第1の基板62に向けて弾性的に押付けられた状態となっている。
なお、可動部66には、周囲の気体による抵抗を低減するために、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を設ける構成としてもよい。
支持梁67は、可動部66を垂直方向に変位可能に支持し、可動部66と支持部65との間に例えば4本設けられている。これらの支持梁67は、例えばクランク状に屈曲した梁として形成され、基板62,63の間に位置して水平方向に延びると共に、これらの基板62,63から垂直方向に離間している。
また、各支持梁67は、基端側が支持部65の梁連結部65Aに連結され、先端側が可動部66の四隅にそれぞれ連結されている。そして、支持梁67は、第1の実施の形態による支持梁7と同様に、可動部66が基板63に向けて変位するときに、垂直方向に撓み変形するものである。
さらに、支持梁67は、支持部65および可動部66よりも小さい厚さ寸法(例えば10〜70μm程度)を有している。これにより、支持梁67は、垂直方向に向けて容易に変形できる構成となっている。
また、支持梁67は、例えばシリコン基板64の裏面側から等方性のエッチング処理を施すことによって、支持部65および可動部66よりも小さい厚さ寸法をもった形状に形成されている(図24参照)。このため、支持梁67と支持部65、可動部66との間には、段差部67Aが形成されている。
傾斜部68は、例えばシリコン基板64のうち支持部65の梁連結部65Aに配置され、支持部65から支持梁67に向けて厚さ寸法が漸次縮小したテーパ状に形成されている。そして、傾斜部68の表面には、シリコン結晶の(111)面に沿った傾斜面が形成されている。
なお、傾斜部68は、支持部65の一部が傾斜することによって形成したが、例えば支持部65と支持梁67との間に形成してもよく、支持梁67の一部が傾斜することによって形成してもよい。
第1,第2の可動側金属電極69,70は、シリコン基板64の厚さ方向の両面にそれぞれ形成されている。ここで、シリコン基板64の厚さ方向の両面には、例えばシリコン酸化膜等の第1,第2の絶縁膜71,72が全面に亘ってそれぞれ設けられている。このため、第1,第2の可動側金属電極69,70とシリコン基板64との間には、第1,第2の絶縁膜71,72が配置されている。
なお、第1,第2の絶縁膜71,72は、シリコン基板64に可動部66等を形成した後に一緒に形成されている。このため、本実施の形態では、第1,第2の絶縁膜71,72は、支持部65、可動部66、支持梁67等の端面部分を通じて互いに繋がっている。但し、本発明はこれに限らず、第1の実施の形態による第1,第2の絶縁膜11,12と同様に、第1,第2の絶縁膜71,72は、互いに分離されていてもよい。また、第1,第2の絶縁膜71,72は、シリコン酸化膜に限らず、例えばシリコン窒化膜等によって形成してもよい。
また、第1の可動側金属電極69は、シリコン基板64の裏面側に例えば全面に亘って形成され、第1の基板62と対向している。但し、支持梁67と支持部65、可動部66との間には、段差部67Aが形成されているから、第1の可動側金属電極69のうち支持部65、可動部66、支持梁67に対応した部分は、互いに電気的に断線した状態となっている。
一方、第2の可動側金属電極70は、シリコン基板64の表面側に形成され、第2の基板63と対向している。ここで、第2の可動側金属電極70のうち一方の梁連結部65Aに設けられた部位は、配線支持部70Aとなり、他の部分と絶縁されている。そして、配線支持部70Aは、後述の配線部76Aと対向した位置に配置されている。
また、第2の可動側金属電極70のうち配線支持部70Aを除いた残余の部位は、支持部65、可動部66、支持梁67および傾斜部68の表面側に形成されている。このため、第2の可動側金属電極70の残余の部位は、他方の梁連結部65Aを通じて連続的に形成され、途中で断線することなく、その全体が電気的に接続されている。
そして、第1,第2の可動側金属電極69,70は、例えば金を含む合金または金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。なお、第1,第2の可動側金属電極69,70は、必ずしも同じ材料を用いる必要はなく、互いに異なる材料を用いて形成してもよい。
また、第1の可動側金属電極69のうち可動部66に形成された可動側信号電極73には、高周波信号が伝搬する。また、後述の固定側信号電極75にも、高周波信号が伝搬する。このとき、第1の可動側金属電極69等には高周波信号の周波数に応じて表皮効果が生じ、第1の可動側金属電極69等の表面に集中して電流が流れる。このため、第1の可動側金属電極69の厚さ寸法は、高周波信号の伝送損失を低減するために、高周波信号による表皮の厚さよりも大きな値に設定されている。なお、表皮の厚さよりも大きい値であれば、第1の可動側金属電極69の厚さ寸法に関係なく、高周波信号の伝送損失はほぼ一定となる。このため、第1の可動側金属電極69の厚さ寸法は、高周波信号による表皮の厚さよりも大きな範囲で、できるだけ小さい値(例えば表皮の厚さの2倍程度の値)に設定されている。
また、第2の可動側金属電極70の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極69とシリコン基板64との間の線膨脹率の差によって可動部66に生じる反りを相殺するように、その値を設定している。このため、第2の可動側金属電極70の厚さ寸法は、例えば第1の可動側金属電極69の厚さ寸法とほぼ同じ値に設定されている。さらに、第1,第2の絶縁膜71,72の厚さ寸法は、例えばほぼ同じ値に設定されている。これにより、本実施の形態では、シリコン基板64には、その厚さ方向に対して、略対称な状態で第1の可動側金属電極69、第1の絶縁膜71と第2の可動側金属電極70、第2の絶縁膜72とが形成されている。
なお、後述の固定側駆動電極76には、高周波信号に比べて周波数の低い駆動信号が印加される。このため、固定側駆動電極76の厚さ寸法は、表皮の厚さを考慮する必要はなく、例えば第1の可動側金属電極69の厚さ寸法よりも小さい値に設定してもよい。
可動側信号電極73は、第1の可動側金属電極69のうち可動部66の裏面側に形成され、後述する固定側信号電極75と対向している。そして、可動側信号電極73は、可動部66と同様に四角形状に形成され、可動部66と一緒に垂直方向に変位する。このため、可動側信号電極73は、可動部66の変位に伴って固定側信号電極75に対して近接,離間する。
可動側駆動電極74は、第2の可動側金属電極70のうち可動部66の表面側に形成され、後述する固定側駆動電極76と対向している。そして、可動側駆動電極74は、可動部66と同様に四角形状に形成され、固定側駆動電極76との間に電圧を印加することによって、静電引力を発生させる。この静電引力によって、可動側駆動電極74は、可動部66と一緒に第2の基板63に向けて垂直方向に変位する。
固定側信号電極75は、可動部66と対向する位置で基板62に例えば2個設けられ、例えば高周波信号を伝送するマイクロストリップ線路を形成している。そして、各固定側信号電極75の一端側は、可動側信号電極73のほぼ中央に対応する位置でX軸方向の間隔を挟んで互いに対向している。また、各固定側信号電極75の他端側は可動部66の外側位置まで延び、この部位は第1の基板62に形成された信号用のビアホールからなる後述の信号用引出電極82に接続されている。一方、可動側信号電極73は、第1の実施の形態と異なり、信号用引出電極には接続されていない。
固定側信号電極75は、例えば銅等の導電性の金属薄膜によって形成されている。また、固定側信号電極75の厚さ寸法は、第1の可動側金属電極69と同様に、高周波信号による表皮の厚さよりも大きい値(例えば表皮の厚さの2倍程度の値)に設定されている。
そして、スイッチ素子61は、電圧印加の有無に応じて可動側信号電極73を固定側信号電極75に対して近接,離間させることにより、左,右の固定側信号電極75の間で高周波信号を伝送,遮断する構成となっている。
固定側駆動電極76は、可動部66と対向する位置で第2の基板63の裏面側に設けられている。この固定側駆動電極76は、第1の実施の形態による固定側駆動電極16とほぼ同様に例えば金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。また、固定側駆動電極76は、基板63の凹陥部63A内に位置してほぼ全面に亘って可動側駆動電極74と対面している。さらに、固定側駆動電極76には、凹陥部63Aの外側に向けて延びた配線部76Aが接続されている。そして、固定側駆動電極76は、配線部76Aを介して後述の駆動用引出電極84に接続されている。
また、固定側駆動電極76は、可動側駆動電極74と垂直方向(Z軸方向)の間隔をもって対向している。そして、これらの駆動電極74,76の間に電圧(駆動信号)を印加することによって、可動部66を基板63に向けて引付ける垂直方向の静電力が発生し、この静電力によって可動部66が基板62から離れる方向に駆動するものである。
即ち、駆動電極74,76間に電圧を印加しないときには、可動部66は、支持梁67によって基板62と近接した位置に保持され、固定側駆動電極76とは隙間Sを介して離間している。
一方、駆動電極74,76間に電圧を印加したときには、これらの間に静電力が作用することにより、可動側駆動電極74が固定側駆動電極76に引付けられる。この結果、可動部66は、固定側駆動電極76に設けた後述のストッパ78に当接する位置まで垂直方向に変位し、基板62から離間した位置に保持される。
信号側のストッパ77は、信号電極73,75の間に位置して固定側信号電極75に複数個設けられている。これらのストッパ77は、例えばシリコン酸化物等により絶縁性の突起として形成され、固定側信号電極75から可動部66に向けて突出している。
一方、駆動側のストッパ78は、例えば凹陥部63Aに設けられた複数の突起(1個のみ図示)によって形成されている。このため、ストッパ78は、第2の基板63と同様に、絶縁性のガラス材料等によって形成されている。そして、ストッパ78の先端部分は、駆動電極74,76の間に位置している。なお、ストッパ78は、第1の実施の形態によるストッパ18と同様に、固定側駆動電極76に設けられた絶縁性の突起によって形成してもよい。
そして、駆動電極74,76間に電圧を印加しないときには、ストッパ77は可動側信号電極73に当接し、ストッパ78は可動側駆動電極74から離間する。このとき、ストッパ77は、信号電極73,75が接触しないように、信号電極73,75間に所定寸法の間隔を保持する。
一方、駆動電極74,76間に電圧を印加したときには、ストッパ77は可動側信号電極73から離間し、ストッパ78は可動側駆動電極74に当接する。このとき、ストッパ78は、駆動電極74,76が接触しないように、駆動電極74,76間に所定寸法の間隔を保持する。
第1の固定側金属電極79は、第1の基板62の表面側に設けられ、支持部65とほぼ同じ枠形状に形成されている。そして、第1の固定側金属電極79は、第1の可動側金属電極69のうち支持部65に設けられた部位と対向する。ここで、第1の固定側金属電極79は、第1の可動側金属電極69と同様に例えば銅等の導電性の金属薄膜によって形成され、例えば1〜3μm程度の厚さ寸法を有している。
また、第1の固定側金属電極79の表面には、接合用電極80が形成されている。このとき、接合用電極80は、第1の可動側金属電極69とほぼ同様に例えば金等の導電性の金属薄膜によって形成されている。そして、第1の固定側金属電極79は、接合用電極80を介して第1の可動側金属電極69に圧着接合されている。
なお、本実施の形態では、固定側信号電極75および固定側金属電極79は、銅等の導電性金属材料を用いて形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、第1の実施の形態による固定側信号電極15と同様に金や金を含む合金を用いて形成してもよい。この場合、固定側金属電極79と可動側金属電極69とは、直接的に圧着接合することができる。
第2の固定側金属電極81は、固定側駆動電極76と絶縁された状態で第2の基板63の裏面側に設けられ、支持部65とほぼ同じ枠形状に形成されている。これにより、第2の固定側金属電極81は、第2の可動側金属電極70のうち支持部65に設けられた部位と接触する。
ここで、第2の固定側金属電極81は、第2の可動側金属電極70とほぼ同様に例えば金等の導電性の金属薄膜によって形成され、例えば1〜3μm程度の厚さ寸法を有している。そして、第2の固定側金属電極81は第2の可動側金属電極70に圧着接合されている。この結果、第1,第2の基板62,63とシリコン基板64との間が封止され、第1,第2の基板62,63間には、気密状態の密閉空間が画成されるものである。
信号用引出電極82は、第1の基板62に2個設けられ、2個の信号電極75にそれぞれ接続されている。ここで、信号用引出電極82は、可動部66と対応した位置に配置され、固定側信号電極75に電気的に接続されている。これらの信号用引出電極82は、例えばレーザー加工やマイクロブラスト法を用いることによって基板62に厚さ方向に貫通した信号用のビアホール(スルーホール)を穿設し、このスルーホール内に銅(Cu)等の導電性金属材料を充填することよって形成されている。
駆動用引出電極83,84は、第2の基板63に設けられ、駆動電極74,76にそれぞれ接続されている。ここで、駆動用引出電極83は、他方の梁連結部65Aと対応した位置に配置され、第2の固定側金属電極81を通じて可動側駆動電極74(可動側金属電極70)に電気的に接続されている。一方、駆動用引出電極84は、一方の梁連結部65Aと対応した位置に配置され、配線部76Aを通じて固定側駆動電極76に電気的に接続されている。これらの駆動用引出電極83,84は、信号用引出電極82と同様に、駆動用のビアホールに導電性金属材料を充填することによって形成されている。
次に、図19ないし図26を参照しつつ、スイッチ素子61の製造方法について説明する。
まず、単結晶シリコンからなる加工前のシリコン基板90(面方位(100))を用意する。そして、図19に示す異方性エッチング工程では、シリコン基板90の表面側には、支持部65に対応した位置(周縁部分)を熱酸化膜91(シリコン酸化膜)によってマスクする。一方、シリコン基板90の裏面側は、可動部66に対応した位置(中央部分)を熱酸化膜92によってマスクする。この状態で、シリコン基板90に対して表面および裏面から例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いたウエットエッチングによって異方性エッチングを施す。なお、異方性エッチングには、ウエットエッチングに限らず、ドライエッチングを用いてもよい。
これにより、シリコン基板90のうち可動部66および支持梁67と対応した部位には、窪み部93が形成される。このとき、窪み部93は、数μm(例えば1〜5μm)の深さ寸法d1をもって第2の基板63と対向する表面から窪むと共に、数μm(例えば1〜5μm)の突出寸法d2をもって第1の基板62と対向する裏面側に突出している。
また、窪み部93は、シリコン結晶の(111)面に沿った傾斜面をもって形成される。このため、シリコン基板90の表面側には、窪み部93の周囲から窪み部93内に向けて傾斜した傾斜部90Aが形成されている。そして、異方性エッチングが終了すると、図20に示すように、熱酸化膜91,92を除去する。
なお、異方性エッチングは、シリコン基板90の両面に対して同時に行ってもよく、表面と裏面とで別個に行ってもよい。シリコン基板90の表面と裏面に別個に異方性エッチングを行った場合には、窪み部93の突出寸法d2を、窪み部93の深さ寸法d1とは独立して調整することができる。これにより、可動部66を第1の基板62に押付ける押付け力と、可動部66の駆動ストロークを独立して調整することができる。
次に、図21に示す薄肉部形成工程では、シリコン基板90のうち支持梁67と対応した部位に対して、裏面側から例えば等方性エッチングを行う。これにより、シリコン基板90のうち支持部65と対応した位置には、例えば200μm程度の厚さ寸法の大きい厚肉部94が形成される。また、シリコン基板90のうち支持梁67と対応した位置には、例えば10〜70μm程度の厚さ寸法の小さい薄肉部95が形成される。さらに、シリコン基板90のうち可動部66と対応した位置には、例えば150μm程度の突出寸法をもって裏面側に突出した突出部96が形成される。
そして、エッチング処理が終了すると、シリコン基板90の裏面側には、例えばアルミニウム等の熱伝導性が高い材料を用いてバックメタル膜97を形成する。このバックメタル膜97は、後述のRIE加工を行うときに、シリコン基板90に温度分布が生じるのを防止し、エッチング処理をシリコン基板90全体で均一に行うために用いるものである。
次に、図22に示す可動部形成工程では、マスクの付け易さ等を考慮して例えばシリコン基板90のうち凹凸が少ない表面側からシリコン基板90を貫通するエッチングを行う。このため、まずシリコン基板90の裏面側をレジスト膜98A等を介してエッチング用のサポート基板98に取付ける。この状態で、シリコン基板90の表面側から例えばRIE加工(反応性イオンエッチング)を施す。これにより、シリコン基板90の薄肉部95のうち不要な部位を除去し、残った部位によってスイッチ素子61の支持部65、可動部66、支持梁67を形成する。このとき、傾斜部90Aによって、支持部65の梁連結部65Aには、傾斜部68が形成される。これにより、支持部65、可動部66、支持梁67および傾斜部68を備えたシリコン基板64が形成される。そして、シリコン基板64が形成された後は、サポート基板98からシリコン基板64を取外し、レジスト膜98Aおよびバックメタル膜97を除去する。
次に、図23に示す絶縁膜形成工程では、例えばシリコン基板64を加熱することにより、シリコン酸化膜からなる絶縁膜71,72をシリコン基板64の両面にそれぞれ形成する。このとき、絶縁膜71,72は、例えば1μm程度の厚さ寸法を有する。また、シリコン基板64の表面および裏面に限らず、端面も酸化する。このため、絶縁膜71,72は、支持部65、可動部66および支持梁67の端面部分を通じて互いに繋がっている。
次に、図24に示す可動側金属電極形成工程では、例えば蒸着法を用いて、シリコン基板64の両面にそれぞれ金(Au)等の導電性の金属薄膜を形成する。ここで、蒸着を行うときには、金等の導電性材料とシリコン基板64との間を十分に離す。これにより、導電性材料は、シリコン基板64の表面および裏面には蒸着するものの、支持梁67の端面(側面)等には付着しなくなる。これにより、シリコン基板64の両面には第1,第2の可動側金属電極69,70が形成されると共に、第1,第2の可動側金属電極69,70との間は絶縁された状態となる。
また、支持部65の梁連結部65Aには傾斜部68が形成されている。このため、例えば膜厚が数μm程度の薄い金属薄膜によって第2の可動側金属電極70を形成したときでも、段差が生じる支持部65と支持梁67との間で、第2の可動側金属電極70に断線が生じることがない。このため、可動側金属電極70のうち支持部65に設けられた部位と可動側駆動電極74との間を確実に接続することができる。
一方、図25に示す第1の基板形成工程では、スイッチ素子61の第1の基板62となる絶縁性のガラス基板99を用意する。そして、ガラス基板99には、レーザー加工、マイクロブラスト法等を用いてスルーホールを形成した後に、このスルーホール内に銅等の導電性金属材料を例えばメッキ処理によって充填する。その後、スルーホールから突出した導電性金属材料を研磨して、ガラス基板99の表面および裏面を平滑化する。これにより、ガラス基板99には、電極75に接続された信号用引出電極82を形成する。
また、ガラス基板99に対して、例えばスパッタ、蒸着法等を用いることによって、銅等の導電性の金属薄膜を形成する。これにより、ガラス基板99の表面には、可動部66と対応した位置に固定側信号電極75を形成すると共に、支持部65と対応した位置に第1の固定側金属電極79を形成する。
さらに、固定側信号電極75の表面にシリコン酸化膜を形成し、これをエッチング加工等によって所定の形状にパターニングする。これにより、固定側信号電極75には、上側に向けて突出した複数のストッパ77を形成する。一方、固定側金属電極79の表面には、金等からなる接合用電極80を形成する。以上の工程によって、固定側信号電極75および第1の固定側金属電極79等を備えた第1の基板62が形成される。
次に、図26に示す第1の基板接合工程では、第1の基板62の接合用電極80とシリコン基板64の第1の可動側金属電極69とを熱圧着する。具体的には、可動側金属電極69および接合用電極80を例えば200℃から400℃までの範囲で予め決められた温度を加熱しつつ、可動側金属電極69と接合用電極80とが密着するように所定の荷重(例えば4インチウェハに対して4t程度の荷重)を加える。これにより、電極69,80が互いに圧着接合され、第1の基板62にシリコン基板64が接合、固定される。この結果、シリコン基板64の可動部66は、基板62の固定側信号電極75を覆う位置に配置され、信号電極73,75間にストッパ77を挟んだ状態となる。
なお、第1の基板接合工程では、シリコン基板64の表面側に保護基板100を設け、該保護基板100の表面側からシリコン基板64を第1の基板62に向けて加圧する。このとき、保護基板100は、シリコン基板64側の接触面が平坦化された板体であればよく、例えば接触面が鏡面研磨されたシリコン基板やガラス基板等によって形成されている。また、保護基板100は、単一の板体に限らず、例えば図26中に二点差線で示すように、板体の表面に板体の凹凸を吸収するためのグラファイトシートを積み重ねる構成としてもよい。この保護基板100によって、接合前の第2の可動側金属電極70の表面に凹凸が生じるのを防止することができる。これにより、後述する第2の基板形成工程での接合不良を防止することができ、例えば気密性、歩留まり等の接合品質を高めることができる。
一方、図27に示す第2の基板形成工程では、スイッチ素子61の第2の基板63となる絶縁性のガラス基板101を用意する。そして、ガラス基板101には、厚さ方向に貫通したスルーホールを形成した後に、このスルーホール内に銅等の導電性金属材料を充填する。その後、スルーホールから突出した導電性金属材料を研磨して、ガラス基板101の表面および裏面を平滑化する。これにより、ガラス基板101には、電極81,76にそれぞれ接続された駆動用引出電極83,84を形成する。
次に、このガラス基板101の裏面のうち所定部位にエッチング加工を施すことによって、凹陥部63Aおよびストッパ78を形成する。そして、ガラス基板101に対して、例えばスパッタ、蒸着法等を用いることによって、金等の導電性の金属薄膜を形成する。これにより、ガラス基板101の裏面には、凹陥部63A内に固定側駆動電極76を形成すると共に、支持部65と対応した位置に第2の固定側金属電極81を形成する。以上の工程によって、固定側駆動電極76および第2の固定側金属電極81等を備えた第2の基板63が形成される。
次に、図28に示す第2の基板接合工程では、第1の基板接合工程とほぼ同様に、第2の基板63の固定側金属電極81とシリコン基板64の第2の可動側金属電極70とを熱圧着する。これにより、金属電極70,81が互いに圧着接合され、シリコン基板64の表面側に第2の基板63が接合、固定される。この結果、シリコン基板64の可動部66は、基板63の固定側駆動電極76と対向した位置に配置され、スイッチ素子61が完成する。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、本実施の形態では、シリコン基板64には、支持部65から支持梁67に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部68を形成したから、支持部65と支持梁67との間に急な段差が形成されることがなく、例えばシリコン基板64の表面は滑らかに連続した状態となる。このため、例えば蒸着法やスパッタ法を用いてシリコン基板64の表面に第2の可動側金属電極70を形成したときには、シリコン基板64の端面(支持梁の側面等)には金属電極が形成されないのに対して、支持部65と可動部66との間で第2の可動側金属電極70を確実に電気的に接続することができる。これにより、第2の可動側金属電極70の途中で断線が生じることがなく、シリコン基板64の表面に第2の可動側金属電極70を確実に形成することができる。
また、可動部66は、支持部65の裏面よりも第1の基板62に向けて突出した形状に形成したから、可動部66の突出寸法が大きくなるに従って、可動部66を第1の基板62に押付ける支持梁67のばね力が大きくなる。このため、可動部66の突出寸法に応じて支持梁67のばね力を調整することができる。
さらに、可動部66は第1の基板62に向けて突出させるから、第2の基板63に向けて突出する必要がなく、可動部66の表面は支持部65の表面よりも第1の基板62に向けて凹陥する。このため、シリコン基板64を第1の基板62に圧着接合するときに、加圧治具としての加圧プレートを用いてシリコン基板64を第1の基板62に向けて押付けたときでも、可動部66が支持部65よりも第2の基板63側に向けて突出することがなくなる。この結果、加圧プレートに可動部66が接触することがなく、可動部66および可動側駆動電極74の損傷を防止することができる。
異方性エッチング工程では、シリコン基板90に異方性エッチング処理を行い、シリコン基板90のうち可動部66および支持梁67と対応した部位に残余の部位よりも窪んだ窪み部93を形成したから、窪み部93の周囲には斜めに傾斜した壁面を形成することができる。このため、薄肉部形成工程で窪み部93を有するシリコン基板90にエッチング処理を行い、支持部65、支持梁67および可動部66を形成したときには、シリコン基板64には、支持部65から支持梁67に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部68を形成することができる。
また、窪み部93は支持部65と対応した残余の部位よりも裏面側に突出するから、窪み部93によって可動部66を形成したときには、可動部66は支持部65よりも第1の基板62に向けて突出する。このため、窪み部93の突出寸法d2に応じて支持梁67のばね力を調整することができる。
さらに、第1の基板62の第1の固定側金属電極79とシリコン基板64の第1の可動側金属電極69とを圧着接合する第1の基板接合工程では、シリコン基板64の表面側には保護部材100を設け、該保護部材100を介してシリコン基板64を第1の基板62に向けて加圧する。このため、保護部材100を用いてシリコン基板64の第2の可動側金属電極70を保護することができ、第2の可動側金属電極70に損傷や凹凸等が形成されることがなくなる。これにより、第1の基板62を圧着接合した後に、第2の基板63を圧着接合するときでも、シリコン基板64の第2の可動側金属電極70を平坦な状態に保持しつつ、第2の基板63の第2の固定側金属電極81に圧着することができ、接合不良を防止することができる。
なお、前記第4の実施の形態では、シリコン基板64の表面にのみ異方性エッチングを施し、裏面には等方性エッチングを施す構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、シリコン基板64の両面に異方性エッチングを施す構成としてもよい。この場合、第1の可動側金属電極69も全体に亘って接続することができ、第1の実施の形態と同様な可変容量素子を形成することができる。
また、前記第1〜第3の実施の形態では、シリコン基板4の片面(表面)にのみ異方性エッチングを施す構成としたが、例えば図29に示す第1の変形例による可変容量素子1′のように、シリコン基板4′の両面に異方性エッチングを施し、シリコン基板4′の厚さ方向の中間位置に支持梁7′を形成する構成としてもよい。この場合でも、他の実施の形態と同様に、可動側信号電極13を固定側信号電極15に強く押付けることができ、衝撃に対する安定性を高めることができる。
また、前記各実施の形態では、第2の基板3,63には凹陥部3A,63Aを形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図30に示す第2の変形例による可変容量素子1″のように、可動部6″を支持部5″よりも薄く形成することによって、裏面が平面状となった第2の基板3″を用いる構成としてもよい。この場合、シリコン基板4″のエッチング加工の方が、ガラス材料からなる第2の基板3″に凹陥部を加工するよりも、高精度な加工が可能である。このため、可動部6″の可動範囲を正確に設定することができる。
さらに、前記第1〜第3の実施の形態では、第1,第2の可動側金属電極9,10はシリコン基板4の両面に全面に亘って設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、第1,第2の基板2,3間に可動部6を収容する密閉空間が画成できる構成であれば、必ずしも全面に亘って設ける必要はない。このため、例えば左,右の支持梁7のうち一方の支持梁7は、第1,第2の可動側金属電極9,10を省く構成としてもよい。
1,1′,1″ 可変容量素子(MEMSスイッチ素子)
2,62 第1の基板
3,63 第2の基板
4,64,4′,4″ シリコン基板
5,65,5′,5″ 支持部
6,66,6′,6″ 可動部
7,67,7′,7″ 支持梁
8,68,8′,8″ 傾斜部
9,69 第1の可動側金属電極
10,70 第2の可動側金属電極
11,71 第1の絶縁膜
12,72 第2の絶縁膜
13,73 可動側信号電極
14,74 可動側駆動電極
15,42,75 固定側信号電極
16,76 固定側駆動電極
19,20,81 固定側金属電極
21,22,43,82 信号用引出電極(信号用のビアホール)
23,24,83,84 駆動用引出電極(駆動用のビアホール)
41,61 スイッチ素子(MEMSスイッチ素子)
51 リレー素子(MEMSスイッチ素子)
52 接点部

Claims (7)

  1. 第1,第2の基板に挟まれたシリコン基板と、
    該シリコン基板に形成され、前記第1,第2の基板に固定された支持部と、
    前記シリコン基板に形成され、支持梁を用いて該支持部に厚さ方向に変位可能に支持された可動部と、
    前記第1の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側信号電極と、
    前記第2の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側駆動電極とを備えてなるMEMSスイッチ素子において、
    前記シリコン基板は、前記支持部および可動部の厚さ寸法に比べて前記支持梁の厚さ寸法を小さく形成し、
    前記シリコン基板には、前記支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部と、前記可動部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部とを形成し、
    前記シリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて前記シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着することによって、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成し、
    前記シリコン基板と該第1,第2の可動側金属電極との間には、第1,第2の絶縁膜をそれぞれ設け、
    前記第1の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側信号電極と対向した部位に位置して前記固定側信号電極に対して近接,離間する可動側信号電極を形成し、
    前記第2の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側駆動電極と対向した部位に位置して前記固定側駆動電極との間の静電力を作用させるための可動側駆動電極を形成し、
    前記第1の基板には、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成すると共に、前記第1の可動側金属電極と該第1の固定側金属電極とを圧着接合し、
    前記第2の基板には、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成すると共に、前記第2の可動側金属電極と該第2の固定側金属電極とを圧着接合し、
    前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との間には、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との接触を防止するストッパを設け、
    前記第1の基板には、前記固定側信号電極に電気的に接続された信号用のビアホールを設け、
    前記第2の基板には、前記固定側駆動電極に電気的に接続された駆動用のビアホールと、前記第2の固定側金属電極に電気的に接続された他の駆動用のビアホールとを設ける構成としたことを特徴とするMEMSスイッチ素子。
  2. 第1,第2の基板に挟まれたシリコン基板と、
    該シリコン基板に形成され、前記第1,第2の基板に固定された支持部と、
    前記シリコン基板に形成され、支持梁を用いて該支持部に厚さ方向に変位可能に支持された可動部と、
    前記第1の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側信号電極と、
    前記第2の基板に設けられ、前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側駆動電極とを備えてなるMEMSスイッチ素子において、
    前記シリコン基板は、前記支持部および可動部の厚さ寸法に比べて前記支持梁の厚さ寸法を小さく形成し、
    前記シリコン基板には、前記支持部から支持梁に向けて厚さ寸法が漸次縮小した傾斜部を形成し、
    前記可動部は、前記支持部を前記第1の基板に固定する前の状態では、前記支持部の裏面よりも前記第1の基板に向けて突出し、前記支持部の表面よりも窪んだ形状に形成し、
    前記シリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて前記シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着することによって、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成し、
    前記シリコン基板と該第1,第2の可動側金属電極との間には、第1,第2の絶縁膜をそれぞれ設け、
    前記第1の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側信号電極と対向した部位に位置して前記固定側信号電極に対して近接,離間する可動側信号電極を形成し、
    前記第2の可動側金属電極には、前記可動部のうち固定側駆動電極と対向した部位に位置して前記固定側駆動電極との間の静電力を作用させるための可動側駆動電極を形成し、
    前記第1の基板には、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成すると共に、前記第1の可動側金属電極と該第1の固定側金属電極とを圧着接合し、
    前記第2の基板には、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成すると共に、前記第2の可動側金属電極と該第2の固定側金属電極とを圧着接合し、
    前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との間には、前記固定側駆動電極と可動側駆動電極との接触を防止するストッパを設け、
    前記第1の基板には、前記固定側信号電極に電気的に接続された信号用のビアホールを設け、
    前記第2の基板には、前記固定側駆動電極に電気的に接続された駆動用のビアホールと、前記第2の固定側金属電極に電気的に接続された他の駆動用のビアホールとを設ける構成としたことを特徴とするMEMSスイッチ素子。
  3. 前記第1,第2の可動側金属電極は、前記シリコン基板の両面に全面に亘って形成し、
    前記第1,第2の絶縁膜は、前記シリコン基板の両面に全面に亘って形成し、
    前記第1の可動側金属電極および固定側信号電極の厚さ寸法は、伝搬する高周波信号による表皮の厚さよりも大きな値に設定し、
    前記第2の可動側金属電極の厚さ寸法は、前記第1の可動側金属電極とシリコン基板との間の線膨脹率の差によって前記可動部に生じる反りを相殺する値に設定する構成となる請求項1または2に記載のMEMSスイッチ素子。
  4. 前記固定側信号電極と可動側信号電極との間には、前記固定側信号電極と可動側信号電極との接触を防止する他のストッパを設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のMEMSスイッチ素子。
  5. 前記固定側信号電極と可動側信号電極との間には、前記固定側信号電極と可動側信号電極とを電気的に接続する導電性材料からなる接点部を設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のMEMSスイッチ素子。
  6. 第1,第2の基板に挟まれたシリコン基板と、該シリコン基板に形成され前記第1,第2の基板に固定された支持部と、前記シリコン基板に形成され支持梁を用いて該支持部に厚さ方向に変位可能に支持された可動部と、前記第1の基板に設けられ前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側信号電極と、前記第2の基板に設けられ前記シリコン基板の可動部と対向した位置に配置された固定側駆動電極とを備えてなるMEMSスイッチ素子の製造方法であって、
    加工前のシリコン基板に異方性エッチング処理を行い、該シリコン基板のうち前記可動部および支持梁と対応した部位に残余の部位の表面から凹陥し、残余の部位の裏面から突出した窪み部を形成する工程と、
    前記窪み部を有するシリコン基板にエッチング処理を行い、前記支持部、支持梁および可動部を形成する工程と、
    前記支持部、支持梁および可動部を有するシリコン基板の厚さ方向の両面には、蒸着法またはスパッタ法を用いて当該シリコン基板の両面に対して垂直方向から導電性金属材料を付着し、前記第1,第2の基板に対向した第1,第2の可動側金属電極をそれぞれ形成する工程と、
    前記第1の基板には、前記固定側信号電極を形成し、前記第1の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第1の固定側金属電極を形成する工程と、
    前記第2の基板には、前記固定側駆動電極を形成し、前記第2の可動側金属電極と接触する導電性金属材料からなる第2の固定側金属電極を形成する工程と、
    前記第1の基板の第1の固定側金属電極と前記シリコン基板の第1の可動側金属電極とを圧着接合する工程と、
    前記第2の基板の第2の固定側金属電極と前記シリコン基板の第2の可動側金属電極とを圧着接合する工程とを備える構成としたMEMSスイッチ素子の製造方法。
  7. 前記第1の基板の第1の固定側金属電極と前記シリコン基板の第1の可動側金属電極とを圧着接合する工程では、前記シリコン基板のうち第2の基板と対向する表面側に前記第2の固定側金属電極を保護するための保護部材を設け、該保護部材を介して前記シリコン基板を第1の基板に向けて加圧する構成としてなる請求項6に記載のMEMSスイッチ素子の製造方法。
JP2009010889A 2008-08-13 2009-01-21 Memsスイッチ素子およびその製造方法 Pending JP2010067587A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009010889A JP2010067587A (ja) 2008-08-13 2009-01-21 Memsスイッチ素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008208535 2008-08-13
JP2009010889A JP2010067587A (ja) 2008-08-13 2009-01-21 Memsスイッチ素子およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010067587A true JP2010067587A (ja) 2010-03-25

Family

ID=42192979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009010889A Pending JP2010067587A (ja) 2008-08-13 2009-01-21 Memsスイッチ素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010067587A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012030333A (ja) * 2010-08-02 2012-02-16 Canon Inc ホルダ部とデバイス部を有する構造体及びその固定方法
US8970005B2 (en) 2013-03-25 2015-03-03 Kabushiki Kaisha Toshiba MEMS element

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012030333A (ja) * 2010-08-02 2012-02-16 Canon Inc ホルダ部とデバイス部を有する構造体及びその固定方法
US8970005B2 (en) 2013-03-25 2015-03-03 Kabushiki Kaisha Toshiba MEMS element

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5187441B2 (ja) Mems素子およびその製造方法
US5095752A (en) Capacitance type accelerometer
CN100498256C (zh) 静电电容式半导体物理量传感器及其制造方法
EP2346083B1 (en) Mems sensor
JP2011011325A (ja) Mems素子
US9618404B2 (en) Transducer and measurement apparatus
JP2005201818A (ja) 圧力センサ
CN1551853A (zh) 限制声能横向传播的微加工的超声换能器基片
US7554136B2 (en) Micro-switch device and method for manufacturing the same
WO2006038395A1 (ja) 陽極接合構造を用いた電子装置
JP2010067587A (ja) Memsスイッチ素子およびその製造方法
JP4443438B2 (ja) エレクトロメカニカルスイッチ
JP3805644B2 (ja) 圧電アクチュエータ
JP5442277B2 (ja) Memsセンサ及びその製造方法
JP2010021252A (ja) 可変容量素子およびその製造方法
WO2011016348A1 (ja) Memsセンサ
JP2009218418A (ja) 可変容量素子
JP2007057455A (ja) 圧力センサ及び圧力センサの製造方法
JP2010223599A (ja) 機能素子
JPH09210824A (ja) 静電容量形圧力センサ
WO2010137447A1 (ja) 可変容量素子
JP2006200920A (ja) 静電容量型半導体物理量センサ及びその製造方法
JP4345907B2 (ja) 半導体センサの製造方法
JP2007287929A (ja) 配線接続方法及び配線構造
JPH06340452A (ja) 静電容量型センサの製造方法