JP2010066731A - レンズ光学系、画像表示装置およびヘッドアップディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置を小型化できるレンズ光学系を提供する。
【解決手段】物体側より順に、複数の第1要素凸レンズ21が平面状に配置された第1凸レンズ群20と、複数の第2要素凸レンズ23が平面状に配置された第2凸レンズ群22と、複数の第3要素凸レンズ25が平面状に配置された第3凸レンズ群24とを備える。第1凸レンズ群20、第2凸レンズ群22、第3凸レンズ群24の順に、要素凸レンズのレンズ径およびレンズピッチが大きくなるように構成されている。
【選択図】図5
【解決手段】物体側より順に、複数の第1要素凸レンズ21が平面状に配置された第1凸レンズ群20と、複数の第2要素凸レンズ23が平面状に配置された第2凸レンズ群22と、複数の第3要素凸レンズ25が平面状に配置された第3凸レンズ群24とを備える。第1凸レンズ群20、第2凸レンズ群22、第3凸レンズ群24の順に、要素凸レンズのレンズ径およびレンズピッチが大きくなるように構成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、レンズ光学系、並びに該レンズ光学系を用いた画像表示装置およびヘッドアップディスプレイに関する。
従来より、車両のフロントウィンドウの前方に車速などの情報を表示するヘッドアップディスプレイが知られている。運転者は、ヘッドアップディスプレイにより表示された表示画像と車両前方の風景とを重ね合わせて見ることにより、車両運転中に視線の移動をあまり行わずに車速などの情報を確認することができる。
図1は、従来のヘッドアップディスプレイの一例を示す。このヘッドアップディスプレイは、特許文献1に開示されたものである。図1に示すように、車のダッシュボードに配置される光学ユニット80は、表示器88、平面鏡81、凹面鏡82で構成されている。表示器88の光は、平面鏡81と拡大光学系である凹面鏡82で反射され、出射窓87を通って、フロントウィンド101に設けられたコンバイナ102で運転者に向けて反射される。運転者にとっては、前方に表示の虚像103が視認される。
平面鏡81の役割は、光学ユニット80の形状的制約で、表示器88から凹面鏡82に至る光路を一直線にできない場合の、光路の折り曲げである。
図2は、凹面鏡82による遠方拡大表示の説明図を示す。表示器88と凹面鏡82(中心点をQとする)の距離をL1、表示器上の点Pの凹面鏡による虚像をP'としたときのQP'の距離をL2、点Qとコンバイナ102の中心の点Rの距離をL3、点Rと運転者の目の位置(点E)の距離をL4とする。
運転者の目の位置(点E)と前方に形成される虚像P"の距離は、L2+L3+L4である。このうち、L3とL4は自動車により決まり、乗用車の場合は、1m程度である。このため、目の焦点移動を行わずに表示と車外風景を視認できるように、より遠方に虚像を表示するためには、L2を大きくする必要がある。
L2を大きくする方法の一つは、凹面鏡82の焦点距離を短く(曲率半径を小さく)して表示器88から凹面鏡82に至る光路長L1を、凹面鏡の焦点距離よりも短い状態で、できるだけ焦点距離に近づけることである。これにより、大きな拡大倍率が得られ、表示器88が小さくて済む。
別の方法としては、焦点距離の長い(曲率半径の大きい)凹面鏡82を用い、L1を長くとる方法がある。この方法では、低拡大率であっても、表示距離を大きくすることができる。たとえば図3に示す光学ユニットの如く、平面鏡91、92、凹面鏡93を設けて、限られた空間に光路を重複させる構成としている。これにより光学ユニットの小型化を図っている。
特開平06−55957号公報
しかしながら、図1の従来のヘッドアップディスプレイの光学ユニットでは、より遠方に表示の虚像を表示するために、光学系の光路長L1を長くしないで、光学系の拡大倍率を大きくすると、光学ユニットを大きくすることなく、表示像をより遠方に表示できるが、表示像の歪み、収差が大きく、視点を変えたときに像の流れが生じるという問題があった。
一方、図3の光学ユニットの如く、光学系の拡大倍率を大きくしないで、光学系の光路長L1を大きくとると、表示像の歪み、収差、視点を変えたときの像の流れの問題を生じないで、表示像をより遠方に表示できるが、光路を鉛直方向の面内で折り曲げているため、光学ユニットの厚みが大きく小型化は不十分で、自動車のダッシュボード内に収納できないという問題点があった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置を小型化できるレンズ光学系、並びに該レンズ光学系を用いた画像表示装置およびヘッドアップディスプレイを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のレンズ光学系は、物体側より順に、複数の凸レンズが平面状に配置された第1凸レンズ群と、複数の凸レンズが平面状に配置された第2凸レンズ群と、複数の凸レンズが平面状に配置された第3凸レンズ群と、を備える。第1凸レンズ群、第2凸レンズ群、第3凸レンズ群の順に、凸レンズのレンズ径およびレンズピッチが大きくなるように構成されている。第2凸レンズ群は、その主平面が第1凸レンズ群の結像面に位置するように配置されてもよい。
この態様によると、物体から放射状に放出された光を受けた第1凸レンズ群の各凸レンズは、各凸レンズの結像点に物体の倒立像を形成する。第2凸レンズ群の各凸レンズは、この各倒立像の光束を受けて、各凸レンズの光軸方向に曲げる。第3凸レンズ群の各凸レンズは、この曲げられた各光束を受け、視点から物体までの光路長よりも遠方に物体の虚像を形成する。第3凸レンズ群の凸レンズのレンズピッチおよび曲率半径を調整することで、虚像を任意の位置に形成することができる。この態様によれば、上述した従来技術のように光学系の光路長を大きくとらなくとも、任意の位置に物体の虚像を形成することができるので、ヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置を小型化できる。
一方の面に規則的に配置された複数の第1外側凸レンズと、他方の面に規則的に配置された複数の第1内側凸レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、一方の面に規則的に配置された複数の第2外側凸レンズと、他方の面に規則的に配置された複数の第2内側凸レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、第1内側凸レンズと第2内側凸レンズが対向するように、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが積層されており、複数の第1外側凸レンズが第1凸レンズ群を構成し、第1内側凸レンズと第2内側凸レンズの複数の組が第2凸レンズ群を構成し、複数の第2外側凸レンズが第3凸レンズ群を構成してもよい。第1内側凸レンズと第2内側凸レンズは、レンズ径およびレンズピッチが等しくてもよい。
この場合、2枚のレンズアレイプレートを積層することで上述のレンズ光学系を構成できるので、レンズ光学系を簡易な構造とすることができ、コストを低減することができる。
本発明の別の態様は、画像表示装置である。この装置は、画像を表示する画像表示部と、画像表示部からの光を受け、画像の虚像を表示する上述のレンズ光学系とを備える。
この態様によると、小型の画像表示装置を構成できる。このような画像表示装置は、たとえばゲーム機に利用することができる。すなわち、画像表示部で表示した画像よりも遠方に、奥行きのある虚像を形成することにより、ゲームの立体感を演出することができる。
本発明のさらに別の態様は、ヘッドアップディスプレイである。このヘッドアップディスプレイは、画像を表示する画像表示部と、画像表示部からの光を受けるレンズ光学系と、レンズ光学系からの光を観察者に向けて反射して、観察者の前方に画像の虚像を表示するコンバイナとを備える。
この態様によると、ヘッドアップディスプレイにおける光学ユニットを小型化することができる。これにより、ダッシュボード内にあまりスペースが確保できない場合であっても、ヘッドアップディスプレイの光学ユニットを収納することが可能となる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置を小型化できるレンズ光学系、並びに該レンズ光学系を用いた画像表示装置およびヘッドアップディスプレイを提供できる。
図4は、本発明の実施の形態に係るレンズ光学系10を説明するための図である。図4に示すように、レンズ光学系10は、複数の凸レンズが両面に形成された第1レンズアレイプレート12と第2レンズアレイプレート14とが積層された構造となっている。図4では、第2レンズアレイプレート14の第2外側面14c上に、複数の第2外側凸レンズ14aが配置されている様子が示されている。
レンズ光学系10は、第1レンズアレイプレート12の第1外側面12c側である物体側に位置する物体40からの光を受けて、第2レンズアレイプレート14の第2外側面14c側である観察側に位置する観察者44に、虚像42を表示するものである。虚像42は、観察者44の視点から物体40までの光路長よりも遠方に形成される。本実施の形態に係るレンズ光学系10を用いることにより、たとえばヘッドアップディスプレイなどの、観察者に虚像を表示する画像表示装置を構成することができる。
図5は、本実施の形態に係るレンズ光学系10の断面図である。上述したように、レンズ光学系10は、両面に複数の凸レンズが配置された第1レンズアレイプレート12と、第2レンズアレイプレート14とが積層された構造となっている。すなわち、第1レンズアレイプレート12の一方の面である第1外側面12c上には、複数の第1外側凸レンズ12aが規則的に配置されており、他方の面である第1内側面12d上には、複数の第1内側凸レンズ12bが規則的に配置されている。また、第2レンズアレイプレート14の一方の面である第2外側面14c上には、複数の第2外側凸レンズ14aが規則的に配置されており、他方の面である第2内側面14d上には、複数の第2内側凸レンズ14bが規則的に配置されている。第1レンズアレイプレート12と第2レンズアレイプレート14は、第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bとが対向するように積層されている。
第1外側面12c、第1内側面12d、第2外側面14cおよび第2内側面14d上において、第1外側凸レンズ12a、第1内側凸レンズ12b、第2外側凸レンズ14aおよび第2内側凸レンズ14bは、それぞれ最密充填配列で配置されている。図4には、第2レンズアレイプレート14の第2外側面14c上に、第2外側凸レンズ14aが最密充填配列で配置されている様子が示されている。
本実施の形態において、平面状に配置された複数の第1外側凸レンズ12aは、第1凸レンズ群20を構成している。以下においては適宜、第1外側凸レンズ12aを「第1要素凸レンズ21」と称する。
また、平面状に配置された第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bは、同一のレンズ径およびレンズピッチであり、対向する第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bは、光軸が一致し、且つ凸レンズの表面同士が当接するように配置されている。このように配置された第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bの1つの組は、1つの凸レンズとして機能する。従って、以下においては適宜、対向する第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bの組を「第2要素凸レンズ23」として扱う。そして、複数の第2要素凸レンズ23は、第2凸レンズ群22を構成している。
また、平面状に配置された複数の第2外側凸レンズ14aは、第3凸レンズ群24を構成している。以下においては適宜、第2外側凸レンズ14aを「第3要素凸レンズ25」と称する。
本実施の形態においては、第1凸レンズ群20、第2凸レンズ群22、第3凸レンズ群24の順に、凸レンズのレンズ径およびレンズピッチが大きくなるように構成されている。すなわち、第1要素凸レンズ21のレンズ径d1<第2要素凸レンズ23のレンズ径d2<第3要素凸レンズ25のレンズ径d3、且つ、第1要素凸レンズ21のレンズピッチp1<第2要素凸レンズ23のレンズピッチp2<第3要素凸レンズ25のレンズピッチp3となるように構成されている。なお、本実施の形態において、レンズピッチとは、最も近接する2つのレンズの中心間の距離である。また、レンズ径とは、レンズとしての機能を有する部分の直径である。
また、本実施の形態においては、第2凸レンズ群22は、その主平面が第1凸レンズ群20の結像面に位置するように配置されている。第2凸レンズ群22の主平面とは、各第2要素凸レンズ23における第1内側凸レンズ12bと第2内側凸レンズ14bとの接点が位置している平面である。第1凸レンズ群20の結像面とは、各第1要素凸レンズ21の結像点が位置している平面である。後述するように、このような位置に第2凸レンズ群22を配置することにより、物体からの光束を好適に曲げ、物体よりも遠方に虚像を形成することができる。また、第1凸レンズ群20に対する第3凸レンズ群24の位置は、後述するように、物体から第1凸レンズ群20までの距離に応じて設定される。
第1レンズアレイプレート12および第2レンズアレイプレート14は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート12および第2レンズアレイプレート14の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
図6(a)〜(c)は、本実施の形態に係るレンズ光学系10の動作を説明するための図である。図6(a)は、物体「F」を距離Dだけ離れた位置から両眼で観察すると、観察者は、物体を距離Dの位置に確認できることを示している。
ここで、図6(b)に示すように、物体と観察者の視点との間にレンズ径およびレンズピッチの異なる第1凸レンズ群20と第3凸レンズ群24を所望の間隔で配置し、物体からの光を、第1凸レンズ群20の各第1要素凸レンズ21から放射される光束に分けて考える。ここで、第1凸レンズ群20と第3凸レンズ群24との間隔は、物体から放射される光束が、角度変化なく第3凸レンズ群24から出射し、物体から第1凸レンズ群20の個々の第1要素凸レンズ21に張った光線角度(放射角度)に整合するように決める。
図6(b)のような構成の場合、物体から放射状に放出された光を受けた第1凸レンズ群20の各第1要素凸レンズ21は、各第1要素凸レンズ21の結像点に倒立像(要素画像とも呼ぶ)を形成する。第3凸レンズ群24の各第3要素凸レンズ25は、この各要素画像の各光束を受けて、観察者に向けて放出する。観察者がこのような放射光線を両眼で観察すると、物体は、観察者の視点から距離Dの位置に反転して視認できる。
次いで、図6(c)に示すように、第1凸レンズ群20と第3凸レンズ群24の間に、第1凸レンズ群20よりレンズ径およびレンズピッチが大きく、第3凸レンズ群24よりレンズ径およびレンズピッチが小さく、しかも第1凸レンズ群20、第3凸レンズ群24よりも屈折力の大きな第2凸レンズ群22を追加する。第2凸レンズ群22は、上述したように、その主平面が第1凸レンズ群20の結像面に位置するように配置される。
第2凸レンズ群22の各第2要素凸レンズ23は、各要素画像の結像に寄与した各光束を、各第2要素凸レンズ23の光軸方向に曲げる。このように第2凸レンズ群22の各第2要素凸レンズ23により光束が曲げられることにより、観察者は、曲げられた光束の視点から反対方向の延長線上に、虚像である観察像を視認できる。第3凸レンズ群24のレンズピッチおよび第3要素凸レンズ25の曲率半径を調整することで、観察像を任意の位置D’に結像させることができる。もちろん、物体と第1凸レンズ群20の距離Eを変更することにより、観察像の倍率を変化させることができる。
つまり、第1凸レンズ群20により、高品位な倒立像を形成し、第3凸レンズ群24のレンズピッチ、曲率半径、および第2凸レンズ群22と第3凸レンズ群24の位置を調整して、倒立像を読み出すことで、任意の位置に虚像を結像することが可能となり、視差と視度の両立を図ることができる。
このように、本実施の形態に係るレンズ光学系10によれば、物体と第1凸レンズ群20との距離Eを大きくとらなくても、任意の位置に物体の虚像を形成することができるので、ヘッドアップディスプレイなどの画像表示装置を小型化できる。
図7は、本実施の形態に係るレンズ光学系10を用いたヘッドアップディスプレイ100を説明するための図である。このヘッドアップディスプレイ100は、画像表示部30と、上述したレンズ光学系10と、コンバイナ34とを備える。レンズ光学系10と画像表示部30は、ヘッドアップディスプレイ100の光学ユニットを構成し、たとえば車両のダッシュボード内に収納される。
画像表示部30は、たとえば液晶ディスプレイで構成され、図示しない画像処理部からの信号に基づいて、車速、燃料残量などの情報を画像52として表示する。
レンズ光学系10は、第1レンズアレイプレート12の第1外側面12cが画像表示部30の表面と対向するように配置される。画像表示部30から出射された光は、第1凸レンズ群20に入射した後、第2凸レンズ群22を通って第3凸レンズ群24より出射される。レンズ光学系10は、第3凸レンズ群24から出射した光がフロントウィンドウ32に対して所定の入射角、たとえば45度の入射角で入射するように配置される。
コンバイナ34は、フロントウィンドウ32の表面に形成された反射膜であり、レンズ光学系10から出射された光を運転者50に向けて反射する。運転者は、視点からコンバイナ34までの光路の延長線上に、画像52の虚像54を視認することができる。
ここで、画像表示部30からレンズ光学系10の第1凸レンズ群20までの距離をD1、レンズ光学系10の第3凸レンズ群24からコンバイナ34までの距離をD2、コンバイナ34から運転者50の視点までの距離をD3、コンバイナ34から虚像54までの距離をD4とする。このとき、運転者50の視点から画像52までの光路長は、D1+D2+D3である。また、運転者50の視点から虚像54までの光路長は、D3+D4である。本実施の形態に係るレンズ光学系10は、図6において説明したのと同様に、運転者50の視点から虚像54までの光路長D3+D4を、運転者50の視点から画像52までの光路長D1+D2+D3よりも長くすることができる。
運転者50が車両前方の風景と虚像54とを重ね合わせて視認することができるように、虚像54は、車両前方の出来るだけ遠方に形成されることが好ましい。たとえば、コンバイナ34から虚像54までの距離D4は、1m程度を確保することが望ましい。図3に示すような従来のヘッドアップディスプレイの光学ユニットでは、コンバイナから虚像までの距離を1m確保するためには、画像から凹面鏡までの光路長を1m確保する必要があった。この場合、光学ユニットを小型化することは難しい。しかしながら、本実施の形態に係るレンズ光学系10を用いてヘッドアップディスプレイ100を構成することにより、距離D1+D2を距離D4よりも小さくすることができる。従って、光学ユニット内においてそれほど大きな光路長を確保する必要がないため、光学ユニットを小型化することができる。
また、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、非常に簡易な構成により、画像表示部30に表示された画像52の奥行き画像である虚像54を構成できる。奥行き感のある画像を形成する装置としては、従来より、映像投影系の結像位置にレンチキュラスクリーンを配置し、両眼視差を含んだ画像をそれぞれ左右の眼に空間的に分離して提示する装置が開示されている。しかしながら、このような装置では、両眼視差を含んだ左右の画像を観察者の頭の中で合成して奥行き感を得るものであるので、奥行き感のある画像を認識するのに疲労感を伴ってしまう。しかしながら、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100では、両眼視差を含んだ左右の画像を観察者の頭の中で合成するような作業は必要なく、容易に奥行き感のある虚像54を視認できるため、観察者が疲労感を感じることはない。
次に、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100を実際に試作した実施例について説明する。図8は、試作した第1実施例の光学系を示す図である。また、図9は、第1実施例において用いたレンズ光学系10の諸元を示す図である。第1実施例においては、図7の運転者の位置にカメラ60を置き、また、虚像が形成される位置に、目印62を置いた。
図8に示すように、第1実施例においては、画像表示部30から第1凸レンズ群20までの距離D1=50mm、第3凸レンズ群24からコンバイナ34までの距離D2=100mm、コンバイナ34からカメラ60までの距離D3=1000mm、コンバイナ34から目印62までの距離D4=400mmと設定した。
また、図9に示すように、第1凸レンズ群20をレンズ径=1.659mm、レンズピッチ=1.173mm、焦点距離=1.915mmと設定した。また、第2凸レンズ群22を、レンズ径=1.697mm、レンズピッチ=1.2mm、焦点距離=1.915mmと設定した。また、第3凸レンズ群24を、レンズ径=1.735mm、レンズピッチ=1.227mm、焦点距離=3.559mmと設定した。また、第1レンズアレイプレート12の厚みを3.095mmとし、第2レンズアレイプレート14の厚みを5.87mmと設定した。なお、レンズの屈折率は、1.56である。
このように構成された第1実施例において、大きさが9mm角の文字「M」を画像表示部30に表示し、カメラ60によって形成された虚像を撮像した。図10は、カメラ60により撮像された虚像54を示す図である。図10に示すように、目印62とともに虚像が形成できていることが分かる。虚像の大きさは、約18mm角であり、約2倍に拡大された虚像を表示することができた。
このように実施例1より、画像表示部30から第1凸レンズ群20までの距離D1を50mmと短くしても、コンバイナ34から距離D4=400mmの位置に視差と視度を持った虚像が結像できることが判り、ヘッドアップディスプレイ100の光学ユニットをコンパクトにしかも低コストに構成できることが分かった。
図11は、試作した第2実施例の光学系を示す図である。また、図12は、第2実施例において用いたレンズ光学系10の諸元を示す図である。第2実施例においては、図7の運転者の位置にカメラ60を置き、また、虚像が形成される位置に、目印62として方眼チャートを置いている。
図11に示すように、第1実施例においては、画像表示部30から第1凸レンズ群20までの距離D1=240mm、第3凸レンズ群24からコンバイナ34までの距離D2=240mm、コンバイナ34からカメラ60までの距離D3=1000mm、コンバイナ34から目印62までの距離D4=1000mmと設定した。
また、図12に示すように、第1凸レンズ群20をレンズ径=0.863mm、レンズピッチ=0.747mm、焦点距離=1.429mmと設定した。また、第2凸レンズ群22を、レンズ径=0.866mm、レンズピッチ=0.75mm、焦点距離=1.25mmと設定した。また、第3凸レンズ群24を、レンズ径=0.872mm、レンズピッチ=0.755mm、焦点距離=3.217mmと設定した。また、第1レンズアレイプレート12の厚みを2.208mmとし、第2レンズアレイプレート14の厚みを5.00mmと設定した。なお、レンズの屈折率は、1.56である。
このように構成された第2実施例において、大きさが約9mm角の文字「M」を画像表示部30に表示し、カメラ60によって形成された虚像を撮像した。図13は、カメラ60により撮像された虚像54を示す図である。図13に示すように、目印62の方眼チャートとともに虚像が形成できていることが分かる。虚像の大きさは、約18mm角であり、約2倍に拡大された虚像を表示することができた。
このように実施例2より、画像表示部30から第1凸レンズ群20までの距離D1を240mmと短くしても、コンバイナ34から距離D4=1000mmの位置に視差と視度を持った虚像が結像できることが分かり、ヘッドアップディスプレイ100の光学ユニットをコンパクトにしかも低コストに構成できることが分かった。
図14は、試作した第3実施例の光学系を示す図である。図11に示す第2実施例において、さらに、画像表示部30と第1凸レンズ群20との距離D1を短縮し、あるいは凸レンズ群の表示(光線束)透過領域を拡大するためには、画像表示部30と第1凸レンズ群20の間に単レンズまたはフレネルレンズを配置して、画像表示部30から第1凸レンズ群20の各凸レンズに入射する光束を、各凸レンズの光軸方向に曲げることで実現できる。
図14に示す第3実施例では、屈折率1.607、1.498で板厚10mmの両面に意匠面を形成した2枚の非球面フレネルレンズ64、66を、画像表示部30と第1凸レンズ群20の間に設置している。このように構成することで、画像表示部30と第1凸レンズ群20との距離D1を80mmに短縮でき(非球面フレネルレンズの設計値は以下の通り)、虚像倍率が約6倍になることが実験により分かっている。
・非球面レンズ設計値(屈折率n=1.607、物体側を1面目とする)
1面目:曲率=-0.02028、Conic係数a0=0、a2=0、a4= 1.3777E-06、a6=-3.6567E-10、・・・・・。
2面目:曲率=-0.01060、Conic係数a0=0、a2=0、a4=-3.2833E-08、a6= 1.1356E-11、・・・・・。
・非球面レンズ設計値(n=1.498、物体側を3面目)
3面目:曲率=-0.00271、Conic係数a0=0、a2=0、a4= 1.8098E-08、a6=-6.6097E-12、・・・・・。
4面目:曲率=-0.02349、Conic係数a0=-0.7259、a2=0、a4=3.4313E-07、a6=2.4388E-11、・・・・。
・非球面レンズ設計値(屈折率n=1.607、物体側を1面目とする)
1面目:曲率=-0.02028、Conic係数a0=0、a2=0、a4= 1.3777E-06、a6=-3.6567E-10、・・・・・。
2面目:曲率=-0.01060、Conic係数a0=0、a2=0、a4=-3.2833E-08、a6= 1.1356E-11、・・・・・。
・非球面レンズ設計値(n=1.498、物体側を3面目)
3面目:曲率=-0.00271、Conic係数a0=0、a2=0、a4= 1.8098E-08、a6=-6.6097E-12、・・・・・。
4面目:曲率=-0.02349、Conic係数a0=-0.7259、a2=0、a4=3.4313E-07、a6=2.4388E-11、・・・・。
また、各要素凸レンズ、あるいは物体と第1凸レンズ群20との間の単レンズを非球面化する、要素凸レンズのレンズ径をφ0.7〜φ0.8にすることで、要素レンズの粒状感と光学性能を格段に向上することができる。また、上記レンズ径により、第3凸レンズ群24のレンズピッチの変更幅、いわゆる虚像の奥行幅も得られる。さらには上記単レンズの焦点距離、あるいは物体と第1凸レンズ群20との間の距離変更で虚像の倍率も変更できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 レンズ光学系、 12 第1レンズアレイプレート、 14 第2レンズアレイプレート、 20 第1凸レンズ群、 21 第1要素凸レンズ、 22 第2凸レンズ群、 23 第2要素凸レンズ、 24 第3凸レンズ群、 25 第3要素凸レンズ、 30 画像表示部、 32 フロントウィンドウ、 34 コンバイナ、 40 物体、 42 虚像、 52 画像、 54 虚像、 60 カメラ、 62 目印、 100 ヘッドアップディスプレイ。
Claims (6)
- 物体側より順に、複数の凸レンズが平面状に配置された第1凸レンズ群と、複数の凸レンズが平面状に配置された第2凸レンズ群と、複数の凸レンズが平面状に配置された第3凸レンズ群と、を備え、
前記第1凸レンズ群、前記第2凸レンズ群、前記第3凸レンズ群の順に、前記凸レンズのレンズ径およびレンズピッチが大きくなるように構成されていることを特徴とするレンズ光学系。 - 前記第2凸レンズ群は、その主平面が第1凸レンズ群の結像面に位置するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ光学系。
- 一方の面に規則的に配置された複数の第1外側凸レンズと、他方の面に規則的に配置された複数の第1内側凸レンズとを有する第1レンズアレイプレートと、
一方の面に規則的に配置された複数の第2外側凸レンズと、他方の面に規則的に配置された複数の第2内側凸レンズとを有する第2レンズアレイプレートと、を備え、
前記第1内側凸レンズと前記第2内側凸レンズが対向するように、前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとが積層されており、
前記複数の第1外側凸レンズが前記第1凸レンズ群を構成し、前記第1内側凸レンズと前記第2内側凸レンズの複数の組が前記第2凸レンズ群を構成し、前記複数の第2外側凸レンズが前記第3凸レンズ群を構成することを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ光学系。 - 前記第1内側凸レンズと前記第2内側凸レンズは、レンズ径およびレンズピッチが等しいことを特徴とする請求項3に記載のレンズ光学系。
- 画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部からの光を受け、前記画像の虚像を表示する請求項1から4のいずれかに記載のレンズ光学系と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部からの光を受ける請求項1から4のいずれかに記載のレンズ光学系と、
前記レンズ光学系からの光を観察者に向けて反射して、観察者の前方に前記画像の虚像を表示するコンバイナと、
を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
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