JP2010059013A - リン酸塩系ガラス体およびその製造方法、ならびに該ガラス体を用いた近赤外カットフィルタ - Google Patents

リン酸塩系ガラス体およびその製造方法、ならびに該ガラス体を用いた近赤外カットフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】近赤外カットフィルタに好適な、耐候性に優れた新規なリン酸塩系ガラス体、およびその製造方法の提供。
【解決手段】表面の少なくとも一部分において、当該表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、該表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)に比べて大きいことを特徴とするリン酸塩系ガラス体。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン酸塩系ガラス体およびその製造方法、ならびに該ガラス体を用いた近赤外カットフィルタに関する。
近年、高精細かつ小型のデジタルカメラやカメラ付携帯電話等の普及により、光学系の軽量化・小型化の要求が急速に高まっている。これらのカメラでは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)といった固体撮像素子を使用しているが、これらの撮像素子は一般的には人間の視感度と比較して近赤外の感度が高いという特徴を持つため、人間の視感度と類似の感度特性に補正する目的で、撮像素子の全面には近赤外域の光線をカットする近赤外カットフィルタが使用されている。
人間の視感度と同等の感度特性を持つためには、近赤外カットフィルタに使用するガラス材料は、可視光領域で出来るだけ高い透過率をもち、630nmよりも長波長側となる近赤外域(具体的には、630〜1200nm)では出来るだけ低い透過率を持つことが望ましい。そのような特性を持つガラス材料としては、Cu2+を含有させることで、近赤外域の光線を選択的に吸収する特性(近赤外カット特性)を有するリン酸塩系ガラスがある。リン酸塩系ガラス以外のガラスにおいては、Cu2+を含有させた場合、Cu2+の吸収波長が可視域に位置するため、近赤外カットフィルタには適さないことが知られている。
加えて近赤外カットフィルタ用のガラス材料には非常に高い耐候性が求められており、ヤケと呼ばれる雰囲気中の水分による表面の劣化が起こらないことが重要な特性となっている。しかしながら、一般的なリン酸塩系ガラスはこの耐候性が低く、光学的性能を長期間保てない欠点があった。
上記問題を解決するために、リン酸塩系ガラスの表面にMgF2などの誘電体保護膜をコーティング処理する方法が特許文献1などに提案されているが、ピンホールの存在により膜面から水蒸気が侵入して母ガラスが劣化するといった問題点や、膜とガラスとの熱膨張係数差から、成膜後に膜が剥離してしまうなどといった問題点がある。
また、特許文献2には、リン酸塩ガラス板表面のリン酸化合物濃度を内部よりも小さくすることで耐候性を向上させる方法が提案されているが、この方法はガラス板表面のリン濃度を若干減少させるのみの方法であるため、これによって得られる耐候性向上効果は十分なものではない。
また、特許文献3には、特定の組成とすることで、近赤外領域において急峻な吸収端部とともに低い透過率を有し、かつ可視領域における非常に均一な高い透明性、そして高温及び高湿度に対する曝露条件下における優れた化学的耐久性を有するフィルターガラス用アルミノリン酸ガラスが提案されている。しかしながら、このアルミノリン酸ガラスには、Al23濃度が低いために強度が弱いという問題がある。
特開平3−37142号公報 特許第3151914号公報 特開2006−342045号公報
上記した従来技術の問題点を解決するため、本発明は、近赤外カットフィルタに好適な、耐候性に優れた新規なリン酸塩系ガラス体、およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該リン酸塩系ガラス体を用いた近赤外カットフィルタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、表面の少なくとも一部分において、当該表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、該表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)に比べて大きいことを特徴とするリン酸塩系ガラス体を提供する。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、前記表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)の1.5倍以上であることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が0.5〜1000であることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記リン酸塩系ガラス体におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、前記ガラス体の深さ方向において傾斜的に減少していることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、アルミニウム原子を含有しており、前記表面におけるフッ素原子と、リン原子およびアルミニウム原子と、の濃度比(フッ素原子濃度/(リン原子濃度+アルミニウム原子濃度))が、前記表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子と、リン原子およびアルミニウム原子と、の濃度比(フッ素原子濃度/(リン原子濃度+アルミ原子濃度))に比べて大きいことが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記ガラス体の前記表面の少なくとも一部分におけるフッ素原子が、物理的手法または化学的手法によって、前記ガラス体の前記表面の少なくとも一部分に導入されたものであることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記ガラス体の表面の少なくとも一部分におけるフッ素原子が、フッ素化剤を前記ガラス体の表面の少なくとも一部分に接触させることによって導入されたものであることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でP25を50%以上含有することが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でCuOを0.5%以上含有することが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示で下記を満たすことが好ましい。
25:65〜89%、
Al23:10〜30%、
CuO:1〜10%
また、本発明は、表面の少なくとも一部分にフッ素原子が導入されたリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させることにより、前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入することを含む、リン酸塩系ガラス体の製造方法を提供する。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記フッ素化剤が、フッ素単体、またはフッ素化合物から選ばれる物質であって、リン酸塩系ガラスの骨格中の酸素原子と金属原子との結合を切断してフッ素原子と金属原子との結合を形成することのできる物質であることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させる手順を、前記ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤のガスまたはフッ素化剤を不活性なガスで希釈した混合ガスを接触させることにより行うことが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記フッ素化剤のガスまたは前記混合ガスの温度が−50〜500℃であることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記フッ素化剤のガスの圧力、または、前記混合ガスにおける前記フッ素化剤の分圧が0.1Pa〜500kPaであることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させる手順を、固体金属フッ化物の存在下において行うことが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記固体金属フッ化物が、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物およびこれらの混合物からなる群より選ばれたものであることが好ましい。
また、本発明は、本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法で製造されたリン酸塩系ガラス体を提供する。
本発明のリン酸塩系ガラス体において、前記リン酸塩系ガラス体が対向する研磨面をもつ板状体であり、その少なくとも一方の研磨面が、前記ガラス体の前記表面を有することが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体において、前記板状体の両方の研磨面が、前記ガラス体の前記表面を有することが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法で製造されたリン酸塩系ガラス体は、前記リン酸塩系ガラス体が対向する研磨面をもつ板状体であり、その少なくとも一方の研磨面が、前記フッ素化剤と接触させた後、研磨された面であることが好ましい。
前記板状体の両方の研磨面が、前記フッ素化剤と接触させた後、研磨された面であることが好ましい。
また、本発明は、本発明のリン酸塩系ガラス体により構成される近赤外カットフィルタを提供する。
本発明によれば、近赤外カットフィルタに好適な、耐候性に優れたリン酸塩系ガラス体が得られる。
以下に、本発明の実施の形態を図、表、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、実施例等、およびこれらを用いた説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
<定義等>
本発明において、「リン酸塩系ガラス体」とは、リン酸塩系ガラスからなる、ある形状を有する物体を意味する。その「形状」および「物体」の種類については特に制限はない。本発明において、好ましいリン酸塩系ガラス体は、板状体、または、厚みが一定であっても一定でなくてもよく、レンズ形状であってもよい面状体である。面状体が有する面は、平面であってもよく、曲面であってもよい。その中でも、板状体、または、一定の厚さを有する面状体、若しくは少なくとも1つの平面を有する面状体がより好ましい。
これらのより好ましい特性は重複していてもよい。これらの特性を有することにより、その形状がレンズ状、板状等の実用上好ましいリン酸塩系ガラス体が得られる。
本発明において、「リン酸塩系ガラス」とは、主要骨格成分としてP25を含むガラスを意味する。リン酸塩系ガラスにおいて、P25以外の成分は特に限定されない。但し、本発明におけるリン酸塩系ガラスを近赤外カットフィルタに使用する場合、P25以外にAl23およびCuOを必須成分として含有することが好ましい。
リン酸塩系ガラスにおける個々の成分の役割および含有量の範囲を以下に示す。
25はガラスの骨格を形成する成分であり、熱的に安定なガラスを形成するために必要なP25の含有量は50%以上である。50%未満であると高温での粘性が低くなりすぎ、ガラス体の成形時に生じる不良が増加しやすくなる。好ましくは55%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、特に好ましくは65%以上である。
Al23はガラスの化学的耐久性向上に効果があるが、10%未満だとその効果が認められず、30%を超えると溶融性が著しく悪化する。好ましくは、14〜22%、より好ましくは15〜21%、さらに好ましくは16〜20%である。
CuOは近赤外カット特性を示す成分であり、リン酸塩系ガラスを近赤外カットフィルタに使用する場合、CuOの含有量を0.5%以上とすることが好ましい。CuOの含有量が0.5%未満では十分な近赤外カット特性が得られない。CuOの含有量は1%以上であることがより好ましく、2.5%以上であることがさらに好ましい。但し、CuOの含有量が10%を超えると、可視域の透過率が低下し、また、失透傾向が増すので好ましくない。
本発明において、リン酸塩系ガラスを近赤外カットフィルタに使用する場合、その酸化物基準の質量%で下記を満たすことが好ましい。
25:65〜89%、
Al23:10〜30%、
CuO:1〜10%
リン酸塩系ガラスは、P25、Al23およびCuO以外の成分を含有してもよい。リン酸塩系ガラスの成分として含有されうるものとしては、Na2O,Li2O,K2O等のアルカリ金属酸化物、MgO,CaO,BaO,SrO等のアルカリ土類金属酸化物、B23、Sb23、La23、In23、Y23等が挙げられる。また、本発明に用いるリン酸塩系ガラスは、後述するフッ素化剤を接触させる処理によってガラス体の表面の少なくとも一部分に導入されるフッ素原子以外に、リン酸塩系ガラスのガラス成分としてフッ素を含有していてもよい。
Na2O,Li2O,K2O等のアルカリ金属酸化物、ガラスの溶融性を改善し失透を防止する効果があるが、合計で10%を超えると化学的耐久性が悪くなる。
MgO,CaO,BaO,SrO等のアルカリ土類金属酸化物は、ガラスの溶融性を改善し、失透を改善する効果があるが、10%を超えると失透傾向が増し溶融温度が高くなる。
23、Sb23、La23、In23、Y23は、ガラスの化学的耐久性を向上させる効果があり、また、ガラスの骨格構造の修飾酸化物として失透防止に有効であるが、10%を超えると失透傾向が増し溶融温度が高くなる。
リン酸塩系ガラスが、その成分としてフッ素を含有すると、ガラスの耐候性が向上する。但し、30%を超えるとガラスが不安定になる。
本発明に係るリン酸系塩系ガラス体は、公知のリン酸塩系ガラスを出発材料とすることができる。
<本発明に係る発見>
リン酸塩系ガラスの耐候性が低いのは以下の理由による。
リン酸塩系ガラス骨格中のリン原子と酸素原子との結合には、P−O−P結合、P−O−Al結合などが主として存在するが、一部P=O-結合、P−OH結合などの不安定な結合が形成される。その不安定なP=O-結合、P−OH結合が高温高湿下で水蒸気と反応し、最終的にはリン酸(H3PO4)となって溶出することになるのが耐候性が低い理由である。
本発明において、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入することにより、リン酸塩系ガラス体の耐候性が向上することが高温高湿下での耐候性試験によって見出された。リン酸塩系ガラス体のリン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入した結果、該表面において、ガラスの骨格中のリン原子と酸素原子との結合(例えば、P=O-結合、P−OH結合など)が切断されて、リン原子とフッ素原子との結合(P−F結合)が形成されることによって、不安定なP=O-結合、P−OH結合が減少し、高温高湿下での水蒸気との反応が抑制されて、耐候性が向上していると考えられる。
リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に導入されたフッ素原子は、ガラス体の深さ方向に濃度勾配を有すること、すなわち、ガラス体の深さ方向において傾斜的にフッ素原子の濃度が減少していくものと考えられる。リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に導入されたフッ素原子が、ガラス体の深さ方向において濃度勾配を有していれば、フッ素原子が導入されたガラス体の表面と、ガラス体の内部と、の熱膨張差により、フッ素原子が導入された部分が剥離するといった事態が起こりにくい。
なお、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入した場合、ガラス骨格中のリン原子以外の金属原子(以下、「他の金属原子」という場合もある。)と酸素原子との結合が切断されて、他の金属原子とフッ素原子との結合が形成されることも考えられるが、これによっても、リン酸塩系ガラス骨格中の耐候性の低い他の金属原子と酸素原子との結合(例えば、Al−OH結合、P−O−Na結合など)が減少し、高温高湿化での水蒸気との反応が抑制され、耐候性が向上すると考えられる。
<本発明のリン酸塩系ガラス体>
以上の検討結果より、表面の少なくとも一部分にフッ素原子が導入されたリン酸塩系ガラス体では、フッ素原子が導入されていないリン酸塩系ガラスに比べて高い耐候性を示すことが判明した。本発明のリン酸塩系ガラス体は、以上の検討結果に基づくものであり、表面の少なくとも一部分において、当該表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)(以下、「F/P濃度比」という。)が、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比に比べて大きいことを特徴とするリン酸塩系ガラス体である。以後、特に記載がない限り、原子濃度とは、原子数の濃度(モル%)を示す。
本発明のリン酸塩系ガラス体は、上記の特徴を有することにより耐候性に優れている。
なお、上述したように、リン酸塩系ガラス体の耐候性が向上するのは、該ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入したことによる効果と考えられる。ここでリン酸ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入する方法は特に限定されず、どのような方法で導入しても良いと考えられ、物理的手法、化学的手法のいずれであってもよい。物理的手法としては、例えばイオン注入法、蒸着法等が挙げられる。化学的手法としては、例えばフッ素化剤を用いる方法(フッ素化剤をリン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に接触させる方法)、CVD(化学的気相成長法)法等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化剤をリン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に接触させる方法は、(1)常圧、常温に近い条件で実施することができるため、低コストで実施することができる、(2)適当な物質でマスキングすることにより、リン酸塩系ガラス体が有する表面のうち、少なくとも一部分のみに選択的にフッ素原子を導入することができる、(3)リン酸塩系ガラス体の表面形状に影響されにくい(蒸着法やCVD法ではリン酸塩系ガラス体の表面形状(特にアスペクト比の高い材料、すなわち深い凹部を持つもの)によってはフッ素原子を導入できない場合が多くあったが、本法では、フッ素化剤がガラス体の表面の少なくとも一部分に接触できる限り、どのような形状の表面にもフッ素原子を導入することができる、ことから好ましい。
本発明において、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させる具体的な手順については後述する。
上述したように、本発明では、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入した結果、ガラスの骨格中のリン原子と酸素原子との結合が切断されて、リン原子とフッ素原子との結合が形成されている。この結果、フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/P濃度比が、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比に比べて大きくなっている。
なお、リン酸塩系ガラスの表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比と比較しているのは、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に導入されたフッ素原子は、当該表面から2000nmの深さまでは到達しないため、フッ素原子が導入される以前のリン酸塩系ガラス体の組成と等しいからである。また、リン酸塩系ガラスの表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比と比較しているのは、フッ素原子が導入される以前のリン酸塩系ガラス体の組成と等しい部位と比較するためであり、厳密な意味でリン酸塩系ガラス体の表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比であることは要求されない。具体的には、例えば、リン酸塩系ガラス体の表面から2000±200nmの深さにおけるF/P濃度比であればよい。以下、本明細書において、リン酸系ガラス体の表面から2000nmの深さと言った場合、リン酸塩系ガラス体の表面から2000±200nmの深さまでを包含する。
上述したように、本発明のリン酸塩系ガラス体は、P25以外にAl23およびCuOを必須成分として含有することが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体がAl23を必須成分として含有する場合、フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるフッ素原子と、リン原子およびアルミニウム原子と、の濃度比(フッ素原子濃度/(リン原子濃度+アルミニウム原子濃度))(以下、「F/(P+Al)濃度比」という。)が、該表面から2000nmの深さにおけるF/(P+Al)濃度比に比べて大きいことが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体において、フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/P濃度比が、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比の1.5倍以上であることが、不安定なP=O-結合、P−OH結合が十分に減少することとなり、耐候性を向上させる効果を発揮するうえで好ましい。
フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/P濃度比が、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比の1.8倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることがさらに好ましい。
リン酸塩系ガラス体がAl23を必須成分として含有する場合、フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/(P+Al)濃度比が、該表面から2000nmの深さにおけるF/(P+Al)濃度比の1.5倍以上であることが好ましく、1.8倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることがさらに好ましい。
フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/P濃度比(若しくはF/(P+Al)濃度比)、および、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比(若しくはF/(P+Al)濃度比)の測定方法は特に限定されず、好適な方法を適宜選択すればよい。例えば、後述する実施例では、フッ素原子導入後のガラス体表面に対してX線光電子分光分析(ESCA)を実施し、得られたP2sピークおよびF1sピークのピーク強度から、表面におけるF/P濃度比を求め、ついで、リン酸塩系ガラス体の表面から約2000nmの深さまでの部分をエッチング除去した後、露出した表面に対してESCA分析を実施して、表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比を求めている。
F/(P+Al)濃度比を求める場合、上記に加えてAl2sピークを求めて、P2sピーク、F1sピークおよびAl2sピークのピーク強度から、F/(P+Al)濃度比を求めればよい。
なお、リン酸塩系ガラス体の表面から約2000nmの深さまでの部分をエッチング除去しているが、リン酸塩系ガラス体の表面から約2000nmの深さまでの部分の除去には他の方法を用いてもよく、例えば、機械研磨や機械化学研磨(CMP)を用いてもよい。
フッ素原子が導入されたガラス体の表面におけるF/P濃度比(若しくはF/(P+Al)濃度比)、および、該表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比(若しくはF/(P+Al)濃度比)の測定方法としては、上記したESCA分析を用いた方法以外に例えば、XRF(蛍光X線分光法)、SIMS(二次イオン質量分析法)などが挙げられる。
本発明のリン酸塩系ガラス体において、F/P濃度比が該ガラス体の深さ方向において傾斜的に減少していることが好ましい。F/P濃度比が該ガラス体の深さ方向において傾斜的に減少していれば、リン酸塩系ガラス体に熱が加わった際に、フッ素原子が導入されたガラス体の表面と、内部と、の熱膨張差によって表面が剥離するといった事態が起こりにくい。
本発明のリン酸塩系ガラス体がAl23を必須成分として含有する場合、F/(P+Al)濃度比が該ガラス体の深さ方向において傾斜的に減少していることが好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体では、フッ素原子が導入されたガラス体の表面の少なくとも一部分におけるF/P濃度比が0.5以上であることが好ましい。フッ素原子が導入されたガラス体の表面の少なくとも一部分におけるF/P濃度比が0.5以上であると、不安定なP=O-結合、P−OH結合が十分に減少することとなり、耐候性を向上させる効果を発揮するうえで好ましい。より好ましくは、0.8以上であり、さらに好ましくは1.0以上である。
一方で、耐候性の観点では、フッ素原子が導入されたガラス体の表面の少なくとも一部分におけるF/P濃度比の上限は特にないが、ガラス構造の骨格を保持する観点、および、相対的に反応時間が長くなり、リン酸塩系ガラスに対するエッチング作用によるリン酸塩系ガラス体の表面特性を悪化させる場合があり得ることから、1000以下が好ましく、より好ましくは750以下であり、さらに好ましくは600以上である。
したがって、フッ素原子が導入されたガラス体の表面の少なくとも一部分におけるF/P濃度比は0.5〜1000であることが好ましく、0.8〜750であることがより好ましく、1〜600であることがさらに好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラス体がAl23を必須成分として含有する場合、前述と同様の理由から、フッ素原子が導入されたガラス体の表面の少なくとも一部分におけるF/(P+Al)濃度比は0.2〜30であることが好ましく、0.3〜20であることがより好ましく、0.3〜10であることがさらに好ましい。
一方、リン酸塩系ガラスの表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比は、上述したように、フッ素原子が導入される以前のリン酸塩系ガラス体におけるF/P濃度比と等しい。したがって、フッ素原子が導入される以前のリン酸塩系ガラスが、その成分としてフッ素原子を含有しない場合、F/P濃度比はゼロとなる。また、フッ素原子が導入される以前のリン酸塩系ガラスが、その成分としてフッ素原子を含有する場合、F/P濃度比はリン酸塩系ガラスの成分におけるF/P濃度比となる。この点については、F/(P+Al)濃度比も同様である。
上述したように、リン酸塩系ガラスの表面から2000nmの深さにおける組成は、フッ素原子が導入される以前のガラス組成と等しい組成を持つ。したがって、リン酸塩系ガラス体は、該ガラス体の表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でP25を50%以上含有する。
当該部位がP25を50%以上含有することにより、リン酸塩系ガラス体が低い屈折率と低い屈折率分散を示す。したがって、レンズや光学フィルタ等の光学素子に好適に使用できる。また、耐候性が高く、強度にも優れており、この点からも、レンズや光学フィルタ等の光学素子に使用するのに好適である。
リン酸塩系ガラス体は、該ガラス体の表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でP25を55%以上含有することが好ましく、60%以上含有することがより好ましく、65%含有することがさらに好ましい。
また、リン酸塩系ガラス体は、該ガラス体の表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でCuOを0.5%以上含有することが好ましい。当該部位が酸化物基準の質量%表示でCuOを0.5%以上含有すると、近赤外域の吸収特性が人間の視感度補正に適していることから、近赤外カットフィルタに好適に使用できる。
リン酸塩系ガラス体は、該ガラス体の表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でCuOを1%以上含有することがより好ましく、2.5%以上含有することがさらに好ましい。但し、CuOの含有量が10%を超えると、可視域の透過率が低下し、また、失透傾向が増すので好ましくない。
リン酸塩系ガラス体を近赤外カットフィルタに使用する場合、該ガラス体の表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%で下記を満たすことが好ましい。
25:65〜89%、
Al23:10〜30%、
CuO:1〜10%
<本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法>
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法は、表面の少なくとも一部分にフッ素原子が導入されたリン酸塩系ガラス体の製造方法である。したがって、本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法は、上述した本発明のリン酸塩系ガラス体の製造に好適である。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法は、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させることにより、該ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入する。
本発明において、フッ素化剤とはフッ素原子をその化学構造の一部として含有し、リン酸塩系ガラスの骨格中の酸素原子と金属原子(主としてリン原子)との結合を切断してフッ素原子と金属原子との結合を形成することのできる物質、または、例えば熱等による分解の結果、フッ素原子をその化学構造の一部として含有し、リン酸塩系ガラスの骨格中の酸素原子と金属原子との結合を切断してフッ素原子と金属原子との結合を形成することのできる物質である。
このようなフッ素化剤の具体例としては、フッ素単体(F2)、またはフッ素化合物から選ばれる物質であって、リン酸塩系ガラスの骨格中の酸素原子と金属原子との結合を切断してフッ素原子と金属原子との結合を形成することのできる物質(以下、本明細書において、「反応性フッ素化合物」という。)が挙げられる。反応性フッ素化合物の具体例としては、フッ化水素(HF)、四フッ化ケイ素(SiF4)、五フッ化リン(PF5)、三フッ化リン(PF3)、三フッ化ホウ素(BF3)、三フッ化窒素(NF3)、三フッ化塩素(ClF3)が挙げられる。ただし、フッ化水素は、リン酸塩系ガラスに対するエッチング作用が強いため、リン酸塩系ガラス体の表面特性を悪化する場合があり得るので注意を要する。これらのフッ素化剤は、1種のみ使用してもよいし、2種以上の混合物を使用してもよい。上記のフッ素化剤の中でも、熱などの分解を介する必要がなく、そのままでも反応性が高いため、装置の簡略化ができ、フッ素原子の導入に要する時間を短縮できる観点から、フッ素単体が最も好ましい。
フッ素化剤は、反応条件への適合性や取り扱いの容易性などの理由で、ガス状のフッ素化剤として、すなわち、フッ素化剤のガスとして、または、フッ素化剤をフッ素化剤やリン酸塩系ガラスに対して不活性なガスで希釈した混合ガスとして、リン酸塩系ガラスの表面の少なくとも一部分に接触させることが好ましい。混合ガスに使用される不活性なガスとしては、窒素ガス、若しくはヘリウムガスやアルゴンガスのような希ガスが挙げられる。但し、不活性なガス中に水分が含まれると、混合ガスとして使用する際にフッ素化剤と反応し、フッ化水素が生成する可能性があり注意が必要である。この観点において、不活性なガスの露点が−10℃以下であることが好ましく、より好ましくは−40℃以下であり、−60℃以下が特に好ましい。
フッ素化剤は、フッ素化剤を不活性なガスで希釈した混合ガスとして使用することが好ましく、特にフッ素化剤を窒素ガスで希釈した混合ガスとして使用することが好ましく、最も好ましくは、フッ素単体を窒素ガスで希釈した混合ガスとして使用する。
なお、フッ素単体を窒素ガスで希釈した混合ガスとして使用する場合、反応の制御のしやすさ、および経済的な観点から、フッ素単体の濃度が100molppm〜50mol%であることが好ましく、1000molppm〜20mol%であることがより好ましい。100molppm未満であると、フッ素原子が導入される速度が遅くなりフッ素原子の導入に要する時間が長くなる。一方で50mol%を越えると、フッ素原子が導入される速度が速くなり、フッ素原子の導入の制御が困難となる。
他のフッ素化剤を用いる場合もこの濃度に希釈された希釈フッ素化剤を用いることが好ましい。
フッ素化剤のうち、フッ化水素は、少量であれば許容できることも多いが、上述したように、リン酸塩系ガラスに対するエッチング作用が強いため、リン酸塩系ガラス体の表面特性を悪化させやすいので、除去または濃度を減少させた方がよい場合がある。
そのような観点からは、上記接触を固体状フッ化金属の存在下において行うことが好ましい。固体状フッ化金属は効率よくフッ化水素を吸着してその悪影響を阻止できる。この場合、リン酸塩系ガラスの表面の少なくとも一部分にガス状のフッ素化剤を接触させる手順を、ガス状のフッ素化剤と、固体金属フッ化物と、を含有する密閉容器内で実施することになる。
使用する固体状フッ化金属には特に制限はないが、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物およびこれらの混合物からなる群より選ばれたものが好ましく、その中でもフッ化ナトリウムがとりわけ好ましい。固体状フッ化金属は固体であり、その形状は任意に選択することができる。
また、ガス状のフッ素化剤をリン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分に接触させる手順を、流通系、すなわち、ガス状のフッ素化剤が連続的に流通している系、で実施した場合、連続的に流通しているガス状のフッ素化剤によってリン酸塩系ガラス体の表面からフッ化水素を運び去ることができるので、フッ化水素による悪影響を阻止できる。
リン酸塩系ガラスの表面にガス状のフッ素化剤を接触させる系(上述した密閉容器内での実施と流通系での実施の両方を指す。以下、同様。)において、フッ素化剤の圧力は0.1Pa〜500kPaの範囲にあることが好ましい。フッ素化剤の圧力が0.1Pa未満では、実用上、フッ素原子が導入される速度が小さくなりすぎる場合が多い。一方、フッ素化剤の圧力が500kPaを超えるとフッ素原子の導入の制御が困難になる場合があり、また、過剰のフッ素化剤を使用することにより製造コストが増加する問題がある。なお、上記したフッ素化剤の圧力は、フッ素化剤のガスを使用する場合、フッ素化剤のガスの圧力を指し、不活性なガスで希釈した混合ガスを使用する場合、該混合ガスにおけるフッ素化剤の分圧を指す。
フッ素化剤の圧力は、より好ましくは1Pa〜200kPaであり、更に好ましくは1Pa〜100kPaである。
不活性なガスで希釈した混合ガスを使用する場合、接触させる系の全圧は特に制限されないが、全圧が高いほど使用する装置を耐圧仕様にする必要があり、装置コストが大きくなる。一方で、全圧が低く、大気圧より小さくなると、外気がリークし、反応を阻害する危険性がある。コストおよび安全性の観点からは、0〜1MPa(ゲージ圧)が好ましい。
接触させる系の温度、すなわち、ガス状のフッ素化剤の温度については特に制限はないが、フッ素原子の導入の調整のしやすさ等を考慮すると、一般的には−50℃以上であることが好ましく、該フッ素化剤を接触させるリン酸塩系ガラスの融点よりも低い温度であることが好ましい。−50℃未満では、フッ素原子が導入される速度が遅く実用的でない場合が多い。フッ素化剤の温度がリン酸塩系ガラスの融点を超えると、リン酸塩系ガラスの軟化や溶融などによって、リン酸塩系ガラス体の変形等の問題を生じるおそれがあることから、フッ素化剤の温度は該フッ素化剤を接触させるリン酸塩系ガラスの融点よりも低くすることが好ましい。
また、フッ化水素を吸着させるために固体金属フッ化物を使用する場合は、フッ化水素の吸着能は高温になると低下するので300℃以下とすることが好ましい。固体金属フッ化物を使用する場合、ガス状のフッ素化剤の温度は、より好ましくは−20〜250℃であり、更に好ましくは60〜200℃である。
一方、流通系で実施する場合、固体金属フッ化物によるフッ化水素の吸着能という理由での温度の制約はない。したがって、ガス状のフッ素化剤の温度をより高くすることができる。フッ素化剤の温度をより高くすれば、リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にガス状のフッ素化剤を接触させる時間を短くできるので、より低コストでリン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入することができる。しかしながら、上述したように、フッ素化剤の温度がリン酸塩系ガラスの融点を超えると、ガラスの軟化や溶融などによって、リン酸塩系ガラス体の変形等の問題を生じるおそれがある。したがって、ガス状のフッ素化剤の温度は500℃以下であることが好ましい。ガス状のフッ素化剤の温度は、より好ましく0℃〜500℃であり、更に好ましくは100℃〜500℃である。
リン酸塩系ガラス体の温度は、接触させる系の温度と同一であっても異なっていてもよい。例えば、リン酸塩系ガラス体を伝熱性の良い基板上におき、その基板を冷却しながら、フッ素化剤を接触させた場合には、リン酸塩系ガラス体でのフッ素原子の拡散速度が低下するので、そのような冷却を行わない場合に比べ、リン酸塩系ガラス体におけるフッ素原子の濃度勾配を変えることができる。
リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にガス状のフッ素化剤を接触させる時間は特に限定されず、接触させる系やガラス体の表面部分へフッ素原子を導入させる程度に応じて適宜選択すればよい。例えば、ガス状のフッ素化剤と、固体金属フッ化物と、を含有する密閉容器内で接触させる手順を実施する場合、1分〜1週間、特に10分〜2日間が好ましい。一方、流通系で接触させる手順を実施する場合、0.1秒〜1日であることが好ましく、より好ましくは1秒〜10時間であり、更に好ましくは1秒〜5時間である。
上記接触させる系に、フッ素化剤と上記不活性なガス以外に他の物質が共存する場合もあり、許容され得る。フッ素化剤の分解を促進する物質を使用することが好ましい場合もある。フッ素化剤の分解の促進または反応の促進の観点からは紫外線等の光を使用してもよい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法では、リン酸塩系ガラス体が有する全ての表面にフッ素原子を導入することもできるし、表面の一部分にのみにフッ素原子を導入することもできる。表面の一部分にのみにフッ素原子を導入する場合、フッ素原子を導入したくない表面を適当な物質でマスキングした状態でフッ素化剤の接触を行えばよい。
本発明のリン酸塩系ガラス体の製造方法では、表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入した後、該表面を研磨してもよい。
また、表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入した後、必要に応じてリン酸塩系ガラス体のアニール処理を実施しても良い。アニール処理により、表面の少なくとも一部分にフッ素原子が導入されたガラス体の構造を安定化することができる場合がある。さらには、リン酸塩系ガラス体の表面に吸着している余剰のフッ素化剤を除去できる場合があり、その後、リン酸塩系ガラス体の表面を洗浄する際の負荷が軽減する場合がある。アニール処理は、空気や窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下もしくは真空下で、処理温度100〜600℃、処理時間5分〜1日で処理するのが好ましい。
以下、本発明の具体的な態様を実施例(例1〜5)及び比較例(例6〜10)により説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(リン酸塩系ガラス体の作製)
原料調製法としては、表1に示す組成(酸化物基準の質量%表示)のリン酸塩系ガラスが得られるように下記原料を調合して石英製もしくは白金製るつぼに入れ、1100〜1300℃で3時間溶解した。この際白金製スターラにより0.5時間撹拌して溶融ガラスを均質化した。均質化された溶融ガラスは流し出して板状に成形後、T(ガラス転移温度)+10℃の温度で4時間保持後、−1℃/minの冷却速度で室温まで徐冷して、平板(縦2〜3cm×横2〜3cm×厚さ0.3〜2mm)状に成形されたリン酸塩系ガラス体を得た。
原料としては、二酸化珪素(SiO2)、ホウ酸(H3BO3)、酸化アルミニウム(Al23)、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、酸化銅(CuO)、酸化アンチモン(Sb23)として、関東化学社製の特級試薬を使用した。リン酸溶液として関東化学社製の純度85%の試薬を使用した。
例1〜例5については、図1に示す装置を用いて、上記の手順で得られた平板状のリン酸塩系ガラス体の表面にガス状のフッ素化剤を接触させた。
上記の手順で得られた平板状のリン酸塩系ガラス体をSUS316製の冶具に担持させ、冶具とともにニッケル製オートクレーブ(容積1L)に入れた。
次いで、NaF顆粒(ステラケミファ製)をリン酸塩系ガラス板と接しないようにオートクレーブ内に挿入した後、オイルバスを用いてオートクレーブ外部より加熱し、昇温速度0.5〜2℃/分の範囲で常温から80℃まで昇温した。
次いで、装置内を80℃に保ったまま、装置内の圧力が絶対圧266Pa以下となるまで真空脱気し、1時間保持した。この操作は混入した有機不純物や水分等を取るのが目的である。取りきれなかった場合には、ガス状のフッ素化剤を導入した際に、これらの混入物と反応してフッ化水素が生成する可能性がある。上述のNaFはフッ化水素吸着能を有するため、フッ素化剤がこれら混入物と反応することによって生成するフッ化水素を除去するために用いた。
次いで、ガス状のフッ素化剤として、窒素ガスで表2〜3の濃度(体積%)に希釈したフッ素単体(F2)のガスを用い、装置内の圧力をゲージ圧0.18MPaとなるまで120NmL/分で導入した。−2〜2℃/分の範囲の速度で表2〜3の温度(T℃)まで昇温もしくは冷却した後、表2〜3の時間t[時間]の間保持し、表面部分にフッ素原子が導入されたリン酸塩系ガラス体を得た。
例6〜例10については、リン酸塩系ガラス体の表面にガス状のフッ素化剤を接触させる手順は実施しなかった。
(リン酸塩系ガラス体の評価)
<リン酸塩系ガラス体のフッ素原子濃度>
平板状のリン酸塩系ガラス体の表面をX線光電子分光分析(ESCA)した。装置にはアルバック・ファイ社製 QuanteraSXMを使用した。ESCA分析の条件としては、X線源に単色化AlKα線を25Wで用い、光電子検出面積を100μmφ,光電子検出角を45度、パスエネルギーを224eVとし、スパッタイオンにはArイオンを用いた。ESCA分析よりP2sピークおよびF1sピークのピーク強度から、表面におけるF/P濃度比を求めた。また、Al2sピーク、P2sピークおよびF1sピークのピーク強度から、表面におけるF/(P+Al)濃度比を求めた。同様に、ついで、リン酸塩系ガラス体の表面から約2000nmの深さまでの部分をエッチング除去した後、露出した表面をESCA分析し、上記と同様の手順で表面から2000nmの深さにおけるF/P濃度比、および、F/(P+Al)濃度比を求めた。
<リン酸塩系ガラス体の耐候性試験>
上記の手順で得られた平板状のリン酸塩系ガラスを、テフロン(登録商標)製の冶具に立てて設置したものを、プレッシャークッカー装置(エスペック社製 EHS−411M)中で、温度120℃、相対湿度100%の条件で8時間保持後、取り出したものの外観を目視で観察し、平板表面の面積中の80%以上の領域で変化が認められなかったものについて○を、それ以下のものを×とし、表中に示した。
Figure 2010059013

Figure 2010059013

Figure 2010059013
図1は、実施例でリン酸塩系ガラス体の表面にガス状のフッ素化剤を接触させるのに使用した装置の模式図である。

Claims (23)

  1. 表面の少なくとも一部分において、当該表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、該表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)に比べて大きいことを特徴とするリン酸塩系ガラス体。
  2. 前記表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、前記表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)の1.5倍以上である請求項1記載のリン酸塩系ガラス体。
  3. 前記表面におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が0.5〜1000である、請求項1または2に記載のリン酸塩系ガラス体。
  4. 前記リン酸塩系ガラス体におけるフッ素原子とリン原子との濃度比(フッ素原子濃度/リン原子濃度)が、前記ガラス体の深さ方向において傾斜的に減少している、請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  5. 前記リン酸塩系ガラス体がアルミニウム原子を含有し、前記表面におけるフッ素原子と、リン原子およびアルミニウム原子と、の濃度比(フッ素原子濃度/(リン原子濃度+アルミニウム原子濃度))が、前記表面から2000nmの深さにおけるフッ素原子と、リン原子およびアルミニウム原子と、の濃度比(フッ素原子濃度/(リン原子濃度+アルミ原子濃度))に比べて大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  6. 前記ガラス体の前記表面の少なくとも一部分におけるフッ素原子が、物理的手法または化学的手法によって、前記ガラス体の前記表面の少なくとも一部分に導入されたものである、請求項1〜5のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  7. 前記ガラス体の表面の少なくとも一部分におけるフッ素原子が、フッ素化剤を前記ガラス体の表面の少なくとも一部分に接触させることによって導入されたものである、請求項6に記載のリン酸塩系ガラス体。
  8. 前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でP25を50%以上含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  9. 前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示でCuOを0.5%以上含有する、請求項1〜8のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  10. 前記表面から2000nmの深さにおいて、酸化物基準の質量%表示で下記を満たす請求項1〜9のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
    25:65〜89%、
    Al23:10〜30%、
    CuO:1〜10%
  11. 表面の少なくとも一部分にフッ素原子が導入されたリン酸塩系ガラス体の製造方法において、前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させることにより、前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素原子を導入することを含む、リン酸塩系ガラス体の製造方法。
  12. 前記フッ素化剤が、フッ素単体、またはフッ素化合物から選ばれる物質であって、リン酸塩系ガラスの骨格中の酸素原子と金属原子との結合を切断してフッ素原子と金属原子との結合を形成することのできる物質である、請求項11に記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  13. 前記リン酸塩系ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させる手順を、前記ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤のガスまたはフッ素化剤を不活性なガスで希釈した混合ガスを接触させることにより行う、請求項11または12に記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  14. 前記フッ素化剤のガスまたは前記混合ガスの温度が−50〜500℃である、請求項13に記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  15. 前記フッ素化剤のガスの圧力、または、前記混合ガスにおける前記フッ素化剤の分圧が0.1Pa〜500kPaである、請求項13または14に記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  16. 前記ガラス体の表面の少なくとも一部分にフッ素化剤を接触させる手順を、固体金属フッ化物の存在下において行う、請求項11ないし15のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  17. 前記固体金属フッ化物が、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物およびこれらの混合物からなる群より選ばれたものである、請求項16に記載のリン酸塩系ガラス体の製造方法。
  18. 請求項11〜17のいずれかに記載の製造方法で製造されたリン酸塩系ガラス体。
  19. 前記リン酸塩系ガラス体が対向する研磨面をもつ板状体であり、その少なくとも一方の研磨面が、前記ガラス体の前記表面を有する請求項1〜10のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体。
  20. 前記リン酸塩系ガラス体が対向する研磨面をもつ板状体であり、その少なくとも一方の研磨面が、前記フッ素化剤と接触させた後、研磨された面である請求項18に記載のリン酸塩系ガラス体。
  21. 前記板状体の両方の研磨面が、前記ガラス体の前記表面を有する請求項19に記載のリン酸塩系ガラス体。
  22. 前記板状体の両方の研磨面が、前記フッ素化剤と接触させた後、研磨された面である請求項20に記載のリン酸塩系ガラス体。
  23. 請求項1〜10、18〜22のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス体により構成される近赤外カットフィルタ。
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