JP2010056127A - シリコン膜用cmpスラリー - Google Patents
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Abstract
【課題】セルフアライン方式によるコンタクトプラグ形成のためのCMPを1種類のスラリーで実施することができるシリコン膜用CMPスラリーを提供する。
【解決手段】水と、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスである砥粒と、pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜、砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持しうるカチオン性界面活性剤とを含有し、pHが6.0〜8.0の範囲であるシリコン膜用CMPスラリー。
【選択図】なし
【解決手段】水と、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスである砥粒と、pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜、砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持しうるカチオン性界面活性剤とを含有し、pHが6.0〜8.0の範囲であるシリコン膜用CMPスラリー。
【選択図】なし
Description
本発明は、コンタクトプラグ形成に使われるシリコン膜のCMP(Chemical Mechanical Polishing)において、少ない工程数で、優れた平坦性とウエハー面内均一性を得ることができるシリコン膜用CMPスラリーに関する。
半導体素子の高集積化のため、特にDRAM、SRAMのようなメモリー素子では、MOSトランジスタのソース及びドレインと上層配線の接続のため、セルフアライン方式によるコンタクトプラグの形成が必須となっている。図1に、セルフアライン方式でコンタクトホールを形成した後、導電材となるポリシリコン膜をウエハー全面に形成したときの半導体素子の断面の模式図を示す。図1において、1はシリコン基板、2はゲート絶縁膜、3はゲート構造を示す。ゲート構造3は、導電層の上に絶縁膜のゲートキャップ層4を有した構造となっている。ゲートの導電層には、金属シリサイド9とポリシリコン10からなる2層構造が用いられ、ゲートキャップ層4にはシリコン窒化膜が用いられる。5はゲートスペーサー、6はエッチストパーを示し、ゲートスペーサー5及びエッチストパー6にはシリコン窒化膜が用いられる。7は絶縁膜を示し、絶縁膜7にはシリコン酸化膜又はBPSG膜などが用いられる。
コンタクトホールは、フォトレジストを用いたドライエッチングにより、絶縁膜7を除去することで形成される。8はコンタクトプラグの導電材となるポリシリコン膜を示す。
コンタクトプラグを形成するためには、ポリシリコン膜8の不要な部分をCMPによって除去し、さらに、コンタクトホール間の短絡を防ぐため、ゲートキャップ層4も一部除去する必要がある。但し、ゲートキャップ層4はCMP後も残す必要があるため、ゲートキャップ層4を構成するシリコン窒化膜の研磨速度は速すぎてはいけない。従って、ポリシリコン膜とシリコン窒化膜の研磨速度比、すなわち、ポリシリコン膜の研磨速度:シリコン窒化膜の研磨速度は5〜50:1が適切である。
ゲートキャップ層4の一部を除去し、ポリシリコン膜8の不要な部分を完全に除去するためのオーバー研磨は、絶縁膜7が露出した状態で行われる。この時、絶縁膜7の研磨速度が大きいと、ゲートキャップ層4が消失し、ゲートの導電層まで研磨が進行し、デバイスの歩留まりや信頼性の低下を招く。そのため、絶縁膜7を構成するシリコン酸化膜の研磨速度が、ゲートキャップ層4を構成するシリコン窒化膜に対して十分小さく、CMPがほぼ停止することが必要となる。但し、シリコン酸化膜が全く研磨されないと、逆に平坦性を損ねる。そのため、シリコン酸化膜の研磨速度は、シリコン窒化膜の1/3〜1/20が適切である。CMP後の半導体素子の断面図を図2に示す。
図1に示すような半導体素子において、ポリシリコン膜8の膜厚は100〜400nm、ゲートキャップ層4の膜厚は10〜100nm程度である。このような場合に、CMPを1種類のスラリーで実施するためには、ポリシリコン膜の研磨速度は100〜300nm/分、シリコン窒化膜の研磨速度は5.0〜30nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度は0.3〜3nm/分が適切であり、ポリシリコン膜とシリコン窒化膜の研磨速度比、すなわち、ポリシリコン膜の研磨速度:シリコン窒化膜の研磨速度は5〜50:1、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の研磨速度比、すなわち、シリコン窒化膜の研磨速度:シリコン酸化膜の研磨速度は3〜20:1が適切である。
しかし、従来の技術では、ポリシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜に対して、1種類のスラリーで上記の研磨速度と研磨速度比が得られるスラリーはなかった。そのため、2種類のスラリーを用いて2段階のCMPを行うなどの方法が必要となり、プロセスコストの増大が大きな問題となっていた。
米国特許出願公開第2006/0105569号明細書には、ポリシリコン膜の研磨速度:シリコン窒化膜の研磨速度:シリコン酸化膜の研磨速度が、1:1:1〜4:1:1となるCMP条件で1種類のスラリーでCMPを行なう方法が示されている。しかし、この方法では、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の研磨速度比、すなわち、シリコン窒化膜の研磨速度:シリコン酸化膜の研磨速度が1:1と小さいため、シリコン酸化膜がCMPの停止層にならず、研磨量の制御が難しいと考えられる。
特開2002−305167号公報には、ポリエチレンイミンとコリン誘導体を含む研磨液を用いる方法が提案されている。この研磨液では、ポリシリコン膜の研磨速度600nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度15.2nm/分、シリコン窒化膜の研磨速度33.4nm/分が得られるとされている。しかし、この方法でも、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の研磨速度比、すなわち、シリコン窒化膜の研磨速度:シリコン酸化膜の研磨速度が2.2:1と小さいため、シリコン酸化膜がCMPの停止層にならず、研磨量の制御が難しいと考えられる。
特許第3457144号公報には、塩基性有機化合物を含むポリシリコン研磨用組成物を用いる方法が示されている。この方法では、ポリシリコン膜とシリコン酸化膜の研磨速度比が大きいが、シリコン窒化膜の研磨速度が遅いため、コンタクトプラグ形成のCMPを1種類のスラリーで実施することは出来ない。
特許第3190742号公報には、燐酸を含む研磨剤を用いてシリコン窒化膜を研磨する方法が示されている。この方法では、シリコン窒化膜の研磨速度は120nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度は15nm/分であり、シリコン窒化膜に対するシリコン酸化膜の研磨速度比は十分小さいが、ポリシリコン膜の研磨速度が70nm/分と遅い。そのため、この場合も、コンタクトプラグ形成のCMPを1種類のスラリーで実施することは出来ない。
このように、コンタクトプラグ形成のCMPを1種類のスラリーで実施可能なCMPスラリーは従来技術では得られていない。
米国特許出願公開第2006/0105569号明細書
特開2002−305167号公報
特許第3457144号公報
特許第3190742号公報
このように、コンタクトプラグ形成のCMPを1種類のスラリーで実施可能なCMPスラリーは従来技術では得られていない。
本発明の課題は、セルフアライン方式によるコンタクトプラグ形成のためのCMPを1種類のスラリーで実施することができるシリコン膜用CMPスラリーを提供することであり、さらには、半導体素子の製造コスト低減が可能なシリコン膜用CMPスラリーを提供することである。
本発明は、カチオン性界面活性剤を用いることで上記課題を解決するシリコン膜用CMPスラリーに関する。また本発明の別の側面としては、砥粒、カチオン性界面活性剤及び水を含有し、pHを最適範囲に調整してなるシリコン膜用CMPスラリーに関する。
本発明は以下の通りである。
1. 水と、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスである砥粒と、pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜、砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持しうるカチオン性界面活性剤とを含有し、pHが6.0〜8.0の範囲であるシリコン膜用CMPスラリー。
2. カチオン性界面活性剤の添加によるシリコン窒化膜表面のゼータ電位の変化量の絶対値が10mV以下であることを特徴とする前記のシリコン膜用CMPスラリー。
3. カチオン性界面活性剤が、脂肪族アミンまたはその塩、脂肪族アンモニウム塩、から選択される一種以上である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
4. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
[R1N(R2)3]+X− ・・・・・(1)
(式中、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基、R2はそれぞれ独立に一価の置換基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
5. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(2)で表される脂肪族アンモニウム塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
[CnH2n+1N(CH3)3]+X− ・・・・(2)
(式中、nは8〜18の整数である。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
6. カチオン性界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチルベンジルアンモニウムから選択される一種以上の脂肪族アンモニウム塩である、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
7. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(3)で表される脂肪族アミンである前記のシリコン膜用CMPスラリー。
H2N−R3−NH2 ・・・・・(3)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
8. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(4)で表される脂肪族アンモニウムの塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
((CH3)3N−R3−N(CH3)3)2+2X− ・・・・・(4)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
9. シリコン膜の研磨速度R(pSi)が100nm/分以上、シリコン窒化膜の研磨速度R(SiN)が5.0〜30nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度R(SiO2)が0.3〜3nm/分である、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
10. シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比:R(pSi)/R(SiN)が5より大きく、かつ、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシリコン窒化膜の研磨速度比:R(SiN)/R(SiO2)が2より大きい、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
本発明は以下の通りである。
1. 水と、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスである砥粒と、pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜、砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持しうるカチオン性界面活性剤とを含有し、pHが6.0〜8.0の範囲であるシリコン膜用CMPスラリー。
2. カチオン性界面活性剤の添加によるシリコン窒化膜表面のゼータ電位の変化量の絶対値が10mV以下であることを特徴とする前記のシリコン膜用CMPスラリー。
3. カチオン性界面活性剤が、脂肪族アミンまたはその塩、脂肪族アンモニウム塩、から選択される一種以上である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
4. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
[R1N(R2)3]+X− ・・・・・(1)
(式中、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基、R2はそれぞれ独立に一価の置換基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
5. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(2)で表される脂肪族アンモニウム塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
[CnH2n+1N(CH3)3]+X− ・・・・(2)
(式中、nは8〜18の整数である。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
6. カチオン性界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチルベンジルアンモニウムから選択される一種以上の脂肪族アンモニウム塩である、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
7. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(3)で表される脂肪族アミンである前記のシリコン膜用CMPスラリー。
H2N−R3−NH2 ・・・・・(3)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
8. カチオン性界面活性剤が、下記一般式(4)で表される脂肪族アンモニウムの塩である前記のシリコン膜用CMPスラリー。
((CH3)3N−R3−N(CH3)3)2+2X− ・・・・・(4)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。)
9. シリコン膜の研磨速度R(pSi)が100nm/分以上、シリコン窒化膜の研磨速度R(SiN)が5.0〜30nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度R(SiO2)が0.3〜3nm/分である、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
10. シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比:R(pSi)/R(SiN)が5より大きく、かつ、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシリコン窒化膜の研磨速度比:R(SiN)/R(SiO2)が2より大きい、前記のシリコン膜用CMPスラリー。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーによれば、シリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜の各膜を適切な研磨速度と研磨速度比でCMPすることが出来るため、半導体素子のセルフアラインコンタクトプラグ形成のためのCMPを1種類のスラリーで行うことが出来る。それによって、半導体素子の製造コスト低減が可能である。
以下に発明を実施するための最良の形態について詳述する。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、その実施態様の一つとして、シリカ砥粒、カチオン性界面活性剤及び水を含有するものであり、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜などのシリコン膜のCMPに有用である。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、その実施態様の一つとして、シリカ砥粒、カチオン性界面活性剤及び水を含有するものであり、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜などのシリコン膜のCMPに有用である。
本発明で用いられる砥粒は、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスとなるものであれば特に制限はないが、砥粒の中ではシリカが好ましく、特にコロイダルシリカは粒径が小さい砥粒を低コストで得られ、研磨傷を低減できる点で好ましい。砥粒表面および研磨基板のゼータ電位は、電気泳動方で測定できる。具体的には、ベックマンコールター製のゼータ電位測定装置Delsa Nano Cにより測定することができる。
研磨傷の発生はLSIの歩留まりを低下させるため、微細化したLSIほど研磨傷の低減の要求が厳しくなっている。従って、砥粒の平均粒径として、CMPスラリー作製前の砥粒の二次粒子の平均粒径は、好ましくは5〜150nm、より好ましくは10〜100nmである。また、CMPスラリー作製後の砥粒の二次粒子の平均粒径は、好ましくは5〜200nm、より好ましくは10〜150nmである。CMPスラリー作製前後における砥粒の二次粒子の平均粒径が上記範囲を外れる場合は、研磨傷が発生し易くなる可能性がある。ここで、CMPスラリー作製後とは、CMPスラリー作製から約24時間経過後を指す。また、砥粒の二次粒子の平均粒径は、動的光散乱法により測定できる。具体的には、ベックマンコールター製のサブミクロン粒子アナライザーN5などにより測定することができる。
シリコン膜用CMPスラリー中の砥粒の濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。前記砥粒の濃度が0.1重量%未満である場合はシリコン膜の研磨速度が遅くなる傾向にあり、10重量%を超える場合は研磨傷が発生し易くなる傾向にある。
本発明で用いるカチオン性界面活性剤は、分子内に親水部分と疎水部分を有し、親水部分がCMPスラリー中で正イオンとなる化学的構造を有する。pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜,砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持する効果を有し、スラリーに添加することにより、シリコン膜の研磨速度を向上しシリコン酸化膜の研磨速度抑制を抑制する。pH6.0〜8.0の中性領域で用いることによりシリコン膜の高い研磨速度、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜の十分な研磨速度比、シリコン窒化膜に対するシリコン膜の十分な研磨速度比を得ることができる。pH6.0〜8.0の中性領域を用いる理由は、適切なシリコン窒化膜研磨速度を得るためである。
このpH領域において、カチオン性界面活性剤を使用しない状態では、シリコン窒化膜の研磨速度は良好であるが、シリコン膜の研磨速度が遅く、またシリコン酸化膜の研磨速度が速いという課題を有している。この時の各研磨膜の表面は、シリコン膜及びシリコン窒化膜がややマイナスに帯電し、シリコン酸化膜および砥粒は強くマイナスに帯電している。本発明のカチオン性界面活性剤は、添加することによりシリコン膜表面に疎水部分が吸着し、正イオンの親水部分が、シリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させる効果を有している。これにより砥粒が電気的にシリコン膜表面に引き寄せられ、シリコン膜の研磨速度が向上する。また、シリコン酸化膜の表面には正イオンを有する親水部分を内側に、疎水部分を外側に向けて吸着するため、シリコン酸化膜の表面が保護されて研磨速度を抑制する効果がある。また、シリコン窒化膜の表面にはほとんど吸着せず、ゼータ電位に殆ど影響を与えないことが望ましい。好ましくはゼータ電位の変化量が10mV以下であることが望ましい。ゼータ電位の変化量が10mVより大きくなると、中性領域で良好であったシリコン窒化膜の研磨速度も変化し、シリコン膜やシリコン酸化膜との研磨速度比のバランスが悪化するためである。
pHが8.0より大きいと、シリコン膜の研磨速度は速くなるが、シリコン窒化膜の研磨速度が低下し、シリコン酸化膜の研磨速度よりも遅くなるため、結果として適切な研磨速度比が得られない。pHが6.0未満である場合は、シリコン膜の研磨速度が遅くなり、シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比が小さくなる。なお、それぞれの膜の好ましい研磨速度及び好ましい研磨速度比については後述する。
本発明で用いられるカチオン性界面活性剤としては、分子内に親水部分と疎水部分を有する化学的構造を有し、親水部分がCMPスラリー中で正イオンとなるものであれば特に制限はないが、例えば、脂肪族アミンまたはその塩、脂肪族アンモニウム塩等を挙げることができる。
上記脂肪族アンモニウム塩としては、下記一般式(1)で表される化合物を使用することが好ましい。
[R1N(R2)3]+X− ・・・・・(1)
(式中、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基、R2はそれぞれ独立に一価の置換基を示す。)
[R1N(R2)3]+X− ・・・・・(1)
(式中、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基、R2はそれぞれ独立に一価の置換基を示す。)
前記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩は、R1として長鎖の1価のアルキル基を有し、シリコン膜の研磨速度とスラリーの保存安定性の点で、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基が好ましく、10〜16である1価のアルキル基がより好ましい。前記炭素数が小さ過ぎると疎水性が小さくなるため、シリコン膜表面への添加剤の吸着量が少なくなり十分な研磨速度が得られない傾向にあるため、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。前記炭素数が大きすぎるとCMPスラリーの安定性が悪くなる傾向にあるため、18以下が好ましく、16以下がより好ましい。前記一般式(1)においてXは、カチオン部分に対するマイナスイオンとなるものであれば特に制限はないが、例えば、Cl、Br、NO3、CH3COO、OH等を挙げることができる。また、前記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩は、最終的にCMPスラリー中で一般式(1)で表される化合物になっていればよく、CMPスラリー中で[R1N(R2)3]+となる物質とX−となる物質とを水中で混合することで得ても良い。テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような、長鎖アルキル基を有しない4級アンモニウム塩を用いた場合は、特にpH6.0〜8.0の中性領域において、シリコン膜の研磨速度が遅くなり、シリコン酸化膜の研磨速度が速くなってしまう。
上記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩は、シリコン膜の研磨速度、シリコン窒化膜に対するシリコン膜の研磨速度比、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜の研磨速度比の点で、R2がメチル基である下記一般式(2)で表されるアルキルトリメチルアンモニウムであることがより好ましい。
[CnH2n+1N(CH3)3]+X− ・・・・・(2)
(式中、nは8〜18の整数である。)
また、上記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩として、R1が主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基であり、R2の一つがR1と同じでその他がメチル基であるジアルキルジメチルアンモニウム、R2の一つがベンジル基、その他がメチル基であるアルキルジメチルベンジルアンモニウムを使用することも好ましい。
(式中、nは8〜18の整数である。)
また、上記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩として、R1が主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基であり、R2の一つがR1と同じでその他がメチル基であるジアルキルジメチルアンモニウム、R2の一つがベンジル基、その他がメチル基であるアルキルジメチルベンジルアンモニウムを使用することも好ましい。
上記脂肪族アミン又はその塩としては、モノアミン、ジアミン又はそれらの塩が好ましい。脂肪族ジアミンとしては、下記一般式(3)で表される化合物を使用することが好ましい。
H2N−R3−NH2 ・・・・・(3)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
また、脂肪族アンモニウムの塩としては、下記一般式(4)で表されるメトニウム化合物を使用することが好ましい。
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
また、脂肪族アンモニウムの塩としては、下記一般式(4)で表されるメトニウム化合物を使用することが好ましい。
((CH3)3N−R3−N(CH3)3)2+2X− ・・・・・(4)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
前記一般式(3)又は(4)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物と同等の特性が得られるが、CMPスラリーの泡立ちを低減できる点で優れている。前記一般式(3)又は(4)において、R3は主鎖の炭素数が小さ過ぎるとシリコン膜の研磨速度が遅くなる傾向にあるため、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。前記炭素数が大きすぎるとCMPスラリーの安定性が悪くなる傾向にあるため、18以下が好ましく、16以下がより好ましい。前記一般式(4)においてXは、カチオン部分に対するマイナスイオンとなるものであれば特に制限はないが、例えば、Cl、Br、NO3、CH3COO、OHなどを挙げることができる。
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。)
前記一般式(3)又は(4)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物と同等の特性が得られるが、CMPスラリーの泡立ちを低減できる点で優れている。前記一般式(3)又は(4)において、R3は主鎖の炭素数が小さ過ぎるとシリコン膜の研磨速度が遅くなる傾向にあるため、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。前記炭素数が大きすぎるとCMPスラリーの安定性が悪くなる傾向にあるため、18以下が好ましく、16以下がより好ましい。前記一般式(4)においてXは、カチオン部分に対するマイナスイオンとなるものであれば特に制限はないが、例えば、Cl、Br、NO3、CH3COO、OHなどを挙げることができる。
本発明において用いられるカチオン性界面活性剤の具体例としては、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの脂肪族アンモニウム塩;オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,16−ジアミノヘキサデカンなどの脂肪族アミン;塩化オクタメトニウム、臭化デカメトニウム、臭化ドデカメトニウム、塩化テトラデカメトニウム、塩化ヘキサデカメトニウムなどのメトニウム化合物;などが挙げられる。
シリコン膜用CMPスラリー中のカチオン性界面活性剤の濃度は、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜500ppmである(ppmは全て重量換算である)。前記カチオン性界面活性剤の濃度が1ppm未満である場合は、シリコン膜の研磨速度が遅くなり、シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比が低下する傾向にあり、1000ppmを超える場合は、砥粒の凝集が起こり、CMPスラリーの保存安定性が悪化する傾向にある。
本発明においては、カチオン性界面活性剤を添加することで、pH6.0〜8.0の中性領域において、シリコン膜の高い研磨速度と、シリコン酸化膜の低い研磨速度を達成することができ、シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比、及びシリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン酸化膜の研磨速度比を適切なものとすることができる。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、砥粒が水中にスラリー状に分散したものである。水の配合量は前述した各種成分の合計量に対する残分となる。
シリコン膜用CMPスラリーのpHは6.0〜8.0であり、好ましくは6.2〜7.8である。本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、pHが6.0〜8.0の領域では、pHが低いほどシリコン窒化膜の研磨速度が速くなるのに対し、シリコン膜の研磨速度及びシリコン酸化膜の研磨速度の変化は小さい。そのため、pHを調整することにより、各研磨膜の研磨速度比を容易に調節することが可能である。前記シリコン膜用CMPスラリーのpHが6.0未満である場合は、シリコン膜の研磨速度が遅くなり、シリコン窒化膜の研磨速度が速くなるため、適切な研磨速度比が得られない。前記pHが8.0を超える場合は、シリコン窒化膜の研磨速度がシリコン酸化膜の研磨速度よりも遅くなり、適切な研磨速度比が得られない。CMPスラリーのpHはpHメータを用いることにより測定できる。
シリコン膜用CMPスラリーのpHの調整には、必要応じて適切な酸、アルカリを用いることが出来る。酸としては特に制限は無く、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、シュウ酸、酢酸、りんご酸などの有機酸を用いることが出来る。アルカリとしても特に制限はなく、アンモニア、アミン、4級アンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウムなどを用いることが出来る。前記酸又はアルカリの配合量は適宜選択されるが、通常、シリコン膜用CMPスラリーに対して1〜1000ppmである。
前記特許第3457144号公報に開示されている塩基性有機化合物を含むスラリーでは、シリコン膜の高い研磨速度とシリコン酸化膜の低い研磨速度を得ることが可能であるが、pHが6.0未満であるとシリコン膜の研磨速度が遅くなり、pHが8を超えるとシリコン窒化膜の研磨速度が遅くなり、適切な研磨速度比を得ることは出来ない。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、カチオン性界面活性剤及びpH調整用に用いる酸又はアルカリの添加量が微量であるため、砥粒の凝集が起こりにくく、保存安定性に優れている。
また、本発明のシリコン膜用CMPスラリーは、CMPスラリーの成分を濃縮しても安定であることから、使用時に希釈して使用する方法も可能である。それによって、CMPスラリーのコストを更に低減することが可能である。
セルフアライン方式によるコンタクトプラグ形成時のシリコン膜のCMP工程では、シリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜の各膜の厚さに合わせて、各膜の適切な研磨速度及び研磨速度比が得られるように研磨条件を調節する必要がある。しかし、各膜の研磨速度は、膜質や、研磨パッドの種類、研磨装置の種類など様々な要因によって変化すると考えられる。それらの要因に対して、研磨圧力や研磨定盤の回転数などの研磨条件によって調節可能な範囲は限られるため、研磨条件の最適化のみで、各膜の適切な研磨速度及び研磨速度比を得るのは困難である。従って、CMPスラリーによる研磨速度及び研磨速度比を調節することが好ましい。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーでは、pHの調整によって、シリコン膜の研磨速度とシリコン酸化膜の研磨速度をほぼ一定に保ちながら、シリコン窒化膜の研磨速度のみを調節できるため、各膜の研磨速度比の調節が容易となり、適切な研磨速度と研磨速度比を容易に達成することが可能となる。
次に本発明のシリコン膜用CMPスラリーを使用する場合において、各膜の適切な研磨速度について説明する。シリコン膜の研磨速度R(pSi)は、100nm/分以上であることが好ましく、100〜300nm/分であることがより好ましく、110〜250nm/分であることがさらに好ましい。前記シリコン膜の研磨速度R(pSi)が100nm/分未満である場合は、研磨時間が長くなるため、生産性が低下し、300nm/分を超える場合は、過剰研磨により平坦性が悪化する傾向にある。シリコン窒化膜の研磨速度R(SiN)は、5.0〜30nm/分であることが好ましく、5.0〜20nm/分であることがより好ましい。前記シリコン窒化膜の研磨速度R(SiN)が5.0nm/分未満である場合は、シリコン窒化膜の研磨時間を長くする必要があるため、生産性が低下する傾向にあり、30nm/分を超える場合は、過剰研磨により平坦性が悪化する傾向にある。シリコン酸化膜の研磨速度R(SiO2)は、0.3〜3nm/分であることが好ましく、0.3〜2.5nm/分であることがより好ましい。前記シリコン酸化膜の研磨速度R(SiO2)が0.3nm/分未満である場合は、シリコン膜表面の自然酸化膜が研磨されにくくなるため、シリコン膜の研磨時間が長くなり、生産性が低下する傾向にあり、3nm/分を超える場合は、過剰研磨により、平坦性が悪化する傾向にある。
また、本発明のシリコン膜用CMPスラリーを使用する場合において、各膜の適切な研磨速度比は、下記式(5)及び(6)を両方同時に満たすことが好ましい。
R(pSi)/R(SiN)>5 ・・・・・(5)
R(SiN)/R(SiO2)>2 ・・・・・(6)
前記式(5)は、シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比を示すものであり、R(pSi)/R(SiN)の値は5より大きいことが好ましく、5より大きく50以下であることがより好ましく、9以上50以下であることが特に好ましい。前記R(pSi)/R(SiN)の値が5以下である場合は、不要なポリシリコン膜を除去するためオーバー研磨するときに、シリコン窒化膜が過剰に研磨され、平坦性が低下する傾向にある。前記式(6)は、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシリコン窒化膜の研磨速度比を示すものであり、R(SiN)/R(SiO2)の値は2より大きいことが好ましく、2より大きく20以下であることがより好ましく、2.5以上20以下であることが特に好ましい。前記R(SiN)/R(SiO2)の値が2以下である場合は、平坦性が悪化する傾向にある。
R(SiN)/R(SiO2)>2 ・・・・・(6)
前記式(5)は、シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比を示すものであり、R(pSi)/R(SiN)の値は5より大きいことが好ましく、5より大きく50以下であることがより好ましく、9以上50以下であることが特に好ましい。前記R(pSi)/R(SiN)の値が5以下である場合は、不要なポリシリコン膜を除去するためオーバー研磨するときに、シリコン窒化膜が過剰に研磨され、平坦性が低下する傾向にある。前記式(6)は、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシリコン窒化膜の研磨速度比を示すものであり、R(SiN)/R(SiO2)の値は2より大きいことが好ましく、2より大きく20以下であることがより好ましく、2.5以上20以下であることが特に好ましい。前記R(SiN)/R(SiO2)の値が2以下である場合は、平坦性が悪化する傾向にある。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーを用いたCMP研磨方法は、上記本発明のシリコン膜用CMPスラリーを用いてシリコン膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を含む被研磨膜が形成された基板を研磨する。研磨対象である被研磨膜はシリコン膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜であり、これらそれぞれの膜は単層でも積層でも構わない。本発明においてシリコン膜は、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜である。
基板としては、半導体装置の製造に係る基板、例えば回路素子と配線パターンが形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に、絶縁層が形成された基板などが挙げられる。
被研磨膜の研磨は化学機械研磨により行なわれ、具体的には、被研磨面が形成された基板を研磨定盤の研磨布(パッド)上に押圧した状態で、本発明のシリコン膜用CMPスラリーを供給しながら研磨定盤と基板とを相対的に動かすことによって被研磨面を研磨する。
研磨する装置としては、例えば研磨布により研磨する場合、研磨される基板を保持できるホルダと、回転数が変更可能なモータ等に接続し、研磨布を貼り付けられる定盤とを有する一般的な研磨装置が使用できる。例えば、アプライドマテリアルズ製のMirraが使用できる。
研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は基板が飛び出さないように130rpm以下が好ましい。被研磨面を有する基板の研磨布への押し付け圧力(研磨圧力)が3〜60kPaであることが好ましく、CMP速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、6〜40kPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨布にはシリコン膜用CMPスラリーをポンプ等で連続的に供給する。シリコン膜用CMPスラリーの供給量に制限はないが、研磨布の表面が常にシリコン膜用CMPスラリーで覆われていることが好ましい。
研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。研磨布の表面状態を常に同一にしてCMPを行うために、研磨の前に研磨布のコンディショニング工程を入れることが好ましい。例えば、ダイヤモンド粒子のついたドレッサを用いて少なくとも水を含む液で研磨布のコンディショニングを行う。続いて本発明によるCMP研磨工程を実施し、さらに、基板洗浄工程を加えることが好ましい。
本発明のシリコン膜用CMPスラリーを用いて、図1に示すような断面を有する半導体素子のCMPを行うと、ポリシリコン膜8が研磨された後、ゲートキャップ層4及び絶縁膜7が露出する。その後は適切なオーバー研磨を行う。本発明のシリコン膜用CMPスラリーを用いるCMPでは、ポリシリコン膜8の研磨速度、ゲートキャップ層4の研磨速度、絶縁膜7の研磨速度、ゲートキャップ層4の研磨速度に対するポリシリコン膜8の研磨速度比、絶縁膜7の研磨速度に対するゲートキャップ層4の研磨速度比のそれぞれが適切であることから、図2に示すように、ゲート導電層を露出することなくゲートキャップ層4を一部除去し、不要なポリシリコン膜8を完全に除去することができる。従って、1種類のスラリーを用いたCMPで、良好な平坦性と被研磨面内均一性を得ることが出来、半導体素子の製造コストの低減、歩留まりの向上、信頼性の向上が可能である。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜3
実施例1〜3及び比較例1〜3は、水、コロイダルシリカ、表1及び表2に示すカチオン性界面活性剤を混合後、りんご酸を添加して表1及び表2のpHになるよう調整してCMPスラリーを作製した。pHは、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社製の型番HM−21P)で測定した。具体的には、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液pH6.86(25℃)、ホウ酸塩標準液pH:9.18(25℃))を用いて、3点校正した後、電極をCMPスラリーに入れて、10分以上経過して安定した後の値を測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜3は、水、コロイダルシリカ、表1及び表2に示すカチオン性界面活性剤を混合後、りんご酸を添加して表1及び表2のpHになるよう調整してCMPスラリーを作製した。pHは、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社製の型番HM−21P)で測定した。具体的には、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液pH6.86(25℃)、ホウ酸塩標準液pH:9.18(25℃))を用いて、3点校正した後、電極をCMPスラリーに入れて、10分以上経過して安定した後の値を測定した。
CMPスラリー中のコロイダルシリカの濃度は3重量%とした。コロイダルシリカの二次粒子の平均粒径はCMPスラリー作製前が10nm程度、スラリー作製後は20nm程度であり、この平均粒径はスラリー作製後1ヶ月室温放置した後も殆ど変化しなかった。平均粒径はサブミクロン粒子アナライザーN5(ベックマンコールター製)を用いて測定した。
CMPスラリーのpHを表1及び表2の値になるよう用いたりんご酸の配合量は、CMPスラリー中5〜100ppmの間であった。
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の各CMPスラリにおける砥粒表面ゼータ電位は、ベックマンコールター製のゼータ電位測定装置Delsa Nano Cにより測定した。その結果を表1及び表2に示す。また研磨基板表面のゼータ電位測定は、別途評価用スラリを調整し、ベックマンコールター製のゼータ電位測定装置Delsa Nano Cにより測定した。まず実施例1〜3及び比較例1〜3の各CMPスラリの砥粒を除いた液を作製し、この液に大塚電子製の固体表面セル用標準粒子(部品番号A54496)を0.5重量%添加したものを評価用のスラリとした。評価用基板は1.2cm×2.5cmにカットし、固体表面測定用セルを用いて基板表面のゼータ電位を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
ポリシリコン膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜が形成された以下に示す各ウエハーを使用し、上記実施例1〜3の各CMPスラリーを定盤に貼り付けたパッドに滴下しながら、下記に示す研磨条件でCMP処理を行った。CMP処理前後の各膜厚を光干渉膜厚計で測定し、その膜厚差と研磨時間とから研磨速度を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
(ウエハ)
ポリシリコン膜のCMP用としては、直径(φ)8インチのシリコンウエハーにシリコン酸化膜100nmを形成後、CVD(Chemical Vapor Deposition)によってポリシリコン膜500nmを形成したウエハーを用いた。
ポリシリコン膜のCMP用としては、直径(φ)8インチのシリコンウエハーにシリコン酸化膜100nmを形成後、CVD(Chemical Vapor Deposition)によってポリシリコン膜500nmを形成したウエハーを用いた。
シリコン窒化膜のCMP用としては、直径(φ)8インチのシリコンウエハーにCVDによってシリコン窒化膜200nmを形成したウエハーを用いた。
シリコン酸化膜のCMP用としては、直径(φ)8インチのシリコンウエハーにプラズマCVDによってシリコン酸化膜500nmを形成したウエハーを用いた。
(研磨条件)
研磨装置:定盤寸法600mmφ、ロータリータイプ
研磨パッド:発泡ポリウレタン樹脂
パッドグルーブ:同心円状のもの
研磨圧力:210hPa
ウエハー基板の回転数:80min−1
研磨定盤の回転数:80min−1
スラリー流量:200ml/min
研磨時間:各膜当たり1分
研磨装置:定盤寸法600mmφ、ロータリータイプ
研磨パッド:発泡ポリウレタン樹脂
パッドグルーブ:同心円状のもの
研磨圧力:210hPa
ウエハー基板の回転数:80min−1
研磨定盤の回転数:80min−1
スラリー流量:200ml/min
研磨時間:各膜当たり1分
表1及び表2に示されるように、実施例1〜3と、比較例1の比較から、今回の実施例に用いたカチオン性界面活性剤を加えることにより、スラリー中でのポリシリコン膜表面のゼータ電位はマイナスからプラスに逆転し、シリコン酸化膜,砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持されていることが分かる。また、シリコン窒化膜の表面電位は、殆ど変化しなかった。比較例1に対し実施例1〜3では、ポリシリコン膜の研磨速度は大きく向上し、シリコン酸化膜の研磨速度は抑制された。その結果、実施例1〜3のいずれの場合も、ポリシリコン膜の研磨速度、シリコン窒化膜の研磨速度、シリコン酸化膜の研磨速度、シリコン窒化膜の研磨速度に対するポリシリコン膜の研磨速度比、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシコン窒化膜の研磨速度比のいずれにおいても良好な値が得られた。
また、pHを小さくすればシリコン窒化膜の研磨速度が遅くなるので、pHを調整することによって、シリコン窒化膜の研磨速度を調節できることが明らかである。シリコン酸化膜の代わりに、BPSG膜を用いた場合、研磨速度は最大で2倍程度まで増大すると予想されるが、本実施例の結果から、BPSGを用いた場合でも本発明のCMPスラリーは適用可能である。
CMPスラリーのpHが低い比較例2は、ポリシリコン膜の研磨速度が遅く、シリコン窒化膜の研磨速度に対するポリシリコン膜の研磨速度比が不十分である。CMPスラリーのpHが高い比較例3は、シリコン窒化膜の研磨速度がシリコン酸化膜の研磨速度よりも遅くなってしまう。これらの結果から、CMPスラリーのpHが6.0未満又は8.0より大きい場合は、3種類の膜の適切な研磨速度、研磨速度比が得られないことが分かる。
1:シリコン基板
2:ゲート絶縁膜
3:ゲート構造
4:ゲートキャップ層
5:ゲートスペーサー
6:エッチストパー
7:絶縁膜
8:ポリシリコン膜
9:金属シリサイド
10:ポリシリコン
2:ゲート絶縁膜
3:ゲート構造
4:ゲートキャップ層
5:ゲートスペーサー
6:エッチストパー
7:絶縁膜
8:ポリシリコン膜
9:金属シリサイド
10:ポリシリコン
Claims (10)
- 水と、pH6.0〜8.0の領域において砥粒表面のゼータ電位がマイナスである砥粒と、pH6.0〜8.0の領域におけるシリコン膜表面のゼータ電位の符号をマイナスからプラスに逆転させ、シリコン酸化膜、砥粒及びシリコン窒化膜表面のゼータ電位の符号は同一のまま維持しうるカチオン性界面活性剤とを含有し、pHが6.0〜8.0の範囲であるシリコン膜用CMPスラリー。
- カチオン性界面活性剤の添加によるシリコン窒化膜表面のゼータ電位の変化量の絶対値が10mV以下であることを特徴とする請求項1記載のシリコン膜用CMPスラリー。
- カチオン性界面活性剤が、脂肪族アミンまたはその塩、脂肪族アンモニウム塩、から選択される一種以上である請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
- カチオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される脂肪族アンモニウム塩である請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
[R1N(R2)3]+X− ・・・・・(1)
(式中、R1は主鎖の炭素数が8〜18である1価のアルキル基、R2はそれぞれ独立に一価の置換基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。) - カチオン性界面活性剤が、下記一般式(2)で表される脂肪族アンモニウム塩である請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
[CnH2n+1N(CH3)3]+X− ・・・・(2)
(式中、nは8〜18の整数である。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。) - カチオン性界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチルベンジルアンモニウムから選択される一種以上の脂肪族アンモニウム塩である、請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
- カチオン性界面活性剤が、下記一般式(3)で表される脂肪族アミンである請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
H2N−R3−NH2 ・・・・・(3)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。) - カチオン性界面活性剤が、下記一般式(4)で表される脂肪族アンモニウムの塩である請求項1又は2記載のシリコン膜用CMPスラリー。
((CH3)3N−R3−N(CH3)3)2+2X− ・・・・・(4)
(式中、R3は主鎖の炭素数が8〜18である2価のアルキル基を示す。Xは、任意のマイナスイオンとなるもの。) - シリコン膜の研磨速度R(pSi)が100nm/分以上、シリコン窒化膜の研磨速度R(SiN)が5.0〜30nm/分、シリコン酸化膜の研磨速度R(SiO2)が0.3〜3nm/分である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリコン膜用CMPスラリー。
- シリコン窒化膜の研磨速度に対するシリコン膜の研磨速度比:R(pSi)/R(SiN)が5より大きく、かつ、シリコン酸化膜の研磨速度に対するシリコン窒化膜の研磨速度比:R(SiN)/R(SiO2)が2より大きい、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリコン膜用CMPスラリー。
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