JP2010053712A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】SOxトラップ触媒からSOxが放出されるのを抑制してNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されるSOxを低減し、NOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率を高く維持する。
【解決手段】機関排気通路内に上流側のNOx吸蔵還元触媒27u及び下流側のNOx吸蔵還元触媒27dを直列配置し、排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうるSOxトラップ触媒26を上流側のNOx吸蔵還元触媒27u上流の機関排気通路内に配置する。SOxトラップ触媒26上流の排気通路内に上流側の燃料添加弁32uを配置し、NOx吸蔵還元触媒27u,27d同士間の排気通路内に下流側の燃料添加弁32dを配置する。上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率を検出し、NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量及び下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量を検出されたNOx浄化率に基づいてそれぞれ設定する。
【選択図】図1
【解決手段】機関排気通路内に上流側のNOx吸蔵還元触媒27u及び下流側のNOx吸蔵還元触媒27dを直列配置し、排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうるSOxトラップ触媒26を上流側のNOx吸蔵還元触媒27u上流の機関排気通路内に配置する。SOxトラップ触媒26上流の排気通路内に上流側の燃料添加弁32uを配置し、NOx吸蔵還元触媒27u,27d同士間の排気通路内に下流側の燃料添加弁32dを配置する。上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率を検出し、NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量及び下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量を検出されたNOx浄化率に基づいてそれぞれ設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵還元触媒を機関排気通路内に配置した内燃機関が公知である。この内燃機関ではリーン空燃比のもとで燃焼が行われているときに発生するNOxがNOx吸蔵還元触媒に吸蔵される。一方、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されているNOx量が上限NOx量よりも多くなると排気ガス中に還元剤を供給することによって排気ガスの空燃比が一時的にリッチにされ、それによってNOx吸蔵還元触媒からNOxが放出され還元される。
ところで燃料および潤滑油内にはイオウが含まれており、したがって排気ガス中にはSOxが含まれている。このSOxはNOxと共にNOx吸蔵還元触媒に吸蔵される。ところがこのSOxは排気ガスの空燃比を単にリッチにしただけではNOx吸蔵還元触媒から放出されず、したがってNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されているSOxの量が次第に増大していく。その結果、NOx吸蔵還元触媒が吸蔵しうるNOx量すなわち吸蔵容量が次第に減少してしまう。
そこでNOx吸蔵還元触媒にSOxが送り込まれるのを阻止するためにNOx吸蔵還元触媒上流の機関排気通路内にSOxトラップ触媒を配置した内燃機関が公知である。この内燃機関では排気ガス中に含まれるSOxがSOxトラップ触媒により捕獲され、斯くしてNOx吸蔵還元触媒にSOxが流入するのが阻止される。その結果、SOxの吸蔵によりNOx吸蔵還元触媒の吸蔵容量が減少するのを阻止することができる。
ところが、SOxトラップ触媒に捕獲されているSOx量が次第に多くなるので、SOxトラップ触媒を通過するSOx量が次第に多くなる。その結果、SOxがNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されてしまうことになる。
一方、NOx吸蔵還元触媒をSOx放出温度以上に保持しつつNOx吸蔵還元触媒への流入排気ガスの空燃比を理論空燃比又はリッチに切り換えると、NOx吸蔵還元触媒から吸蔵されているSOxが放出される。
そこで、NOx吸蔵還元触媒がSOx放出温度以上に保持されつつNOx吸蔵還元触媒への流入排気ガスの空燃比がリッチになるように、SOxトラップ触媒上流の排気通路に配置された燃料添加弁から燃料を添加し、それによりNOx吸蔵還元触媒からSOxを放出させるようにした内燃機関が公知である(特許文献1参照)。また、この内燃機関では、SOxトラップ触媒からSOxが放出されるのを抑制しつつNOx吸蔵還元触媒からSOxが放出されるように、燃料添加弁から燃料が添加される。
しかしながら、すべてのSOxをSOxトラップ触媒に捕捉することは困難であり、すなわちSOxがSOxトラップ触媒を通過してNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されるおそれがある。また、SOxトラップ触媒上流に配置された燃料添加弁から燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒からNOx又はSOxを放出させようとすると、SOxトラップ触媒への流入排気ガスの空燃比もリッチになるので、このときSOxトラップ触媒から捕捉されているSOxが放出され、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されるおそれがある。すなわち、上述の内燃機関では必ずしも十分な排気浄化性能を得ることができないのである。
この点、例えばNOx吸蔵還元触媒下流の排気通路内に追加のNOx吸蔵還元触媒を配置すれば、排気浄化性能を高めることができると考えられる。
しかしながら、上述の内燃機関と同様に燃料添加を行うのであれば、SOxトラップ触媒又はNOx吸蔵還元触媒から放出されたSOxが追加のNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されることになる。したがって、燃料添加の仕方を工夫する必要がある。
本発明によれば、機関排気通路内に上流側のNOx吸蔵還元触媒及び下流側のNOx吸蔵還元触媒を直列配置し、各NOx吸蔵還元触媒は流入排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを放出して還元し、排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうるSOxトラップ触媒を上流側のNOx吸蔵還元触媒上流の機関排気通路内に配置し、該SOxトラップ触媒上流の排気通路内に燃料を供給するための上流側の燃料供給手段と、NOx吸蔵還元触媒同士間の排気通路内に燃料を供給するための下流側の燃料供給手段とを設け、NOx吸蔵還元触媒から吸蔵されているNOxを放出させて還元するNOx放出処理を行うべきときには、流入排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになるように上流側の燃料供給手段及び下流側の燃料供給手段の一方又は両方から燃料を供給する内燃機関の排気浄化装置であって、上流側のNOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率を検出し、NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料供給手段の燃料供給作用及び下流側の燃料供給手段の燃料供給作用を該検出されたNOx浄化率に基づいてそれぞれ制御するようにしている。
SOxトラップ触媒からSOxが放出されるのを抑制してNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されるSOxを低減し、それによりNOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率を高く維持することができる。
図1は本発明を圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。なお、本発明はガソリン機関にも適用することができる。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための電磁制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7cの出口に連結され、コンプレッサ7cの入口は吸気導入管8を介してエアフローメータ9及びエアクリーナ10に順次連結される。吸気ダクト6内には電気制御式スロットル弁11が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置12が配置される。一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7tの入口に連結され、排気タービン7tの出口は排気後処理装置20に連結される。
各燃料噴射弁3は燃料供給管13を介してコモンレール14に連結され、このコモンレール14は電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ15を介して燃料タンク16に連結される。燃料タンク16内の燃料は燃料ポンプ15によってコモンレール14内に供給され、コモンレール14内に供給された燃料は各燃料供給管13を介して燃料噴射弁3に供給される。なお、コモンレール14にはコモンレール14内の燃料圧を検出する燃料圧センサ(図示しない)が取り付けられており、燃料圧センサからの信号に基づきコモンレール14内の燃料圧が目標圧に一致するように燃料ポンプ15の燃料吐出量が制御される。
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRという。)通路17を介して互いに連結され、EGR通路17内には電気制御式EGR制御弁18が配置される。また、EGR通路17周りにはEGR通路17内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置19が配置される。
排気後処理装置20は排気タービン7tの出口に連結された排気管21を具備し、この排気管21はケーシング22に連結される。ケーシング22内には三元触媒23が収容される。ケーシング22は排気管24を介してケーシング25に連結される。ケーシング25内の上流側にはSOxトラップ触媒26が収容され、下流側にはNOx吸蔵還元触媒27uが収容される。ケーシング25は排気管28を介してケーシング29に連結される。ケーシング29の上流側にはNOx吸蔵還元触媒27dが収容され、下流側にはパティキュレートフィルタ30が収容される。さらに、ケーシング29には排気管31が連結される。本発明による実施例では、ケーシング22,25は機関本体1に隣接配置され、ケーシング29は車両床下に配置される。また、SOxトラップ触媒26とNOx吸蔵還元触媒27uとは互いに隣接して又は密接に設けられる。
排気マニホルド5及び排気管28には排気マニホルド5及び排気管28内に燃料(炭化水素)をそれぞれ添加ないし供給するための燃料添加弁32u,32dがそれぞれ取り付けられる。なお、燃料添加弁32uを排気管21、排気管24又はSOxトラップ触媒26上流のケーシング25内に配置してもよい。また、排気管28にはケーシング25から流出する排気ガスの温度を検出する温度センサ33uが取り付けられ、この排気ガスの温度はNOx吸蔵還元触媒27uの温度Tuを表している。また、排気管31にはケーシング29から流出する排気ガスの温度を検出する温度センサ33dが取り付けられ、この排気ガスの温度はNOx吸蔵還元触媒27d又はパティキュレートフィルタ30の温度Tdを表している。さらに、排気管28にはケーシング25から流出する排気ガス中のNOxの量ないし濃度を検出するためのNOxセンサ34が取り付けられる。
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45及び出力ポート46を具備する。エアフローメータ9、温度センサ33u,33d、及びNOxセンサ34の出力電圧はそれぞれ対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、アクセルペダル49にはアクセルペダル49の踏み込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ50が接続され、負荷センサ50の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。さらに、クランクシャフトが例えば30度回転するごとに出力パルスを発生するクランク角センサ51が入力ポート45に接続される。CPU44ではクランク角センサ51からの出力パルスに基づいて機関回転数が算出される。一方、出力ポート46は対応する駆動回路48を介して燃料噴射弁3、スロットル弁11の駆動装置、燃料ポンプ15、EGR制御弁18、及び燃料添加弁32u,32dに接続される。
パティキュレートフィルタ30はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路を具備する。これら排気流通路は下流端が栓により閉塞された排気ガス流入通路と、上流端が栓により閉塞された排気ガス流出通路とにより構成される。したがって排気ガス流入通路及び排気ガス流出通路は薄肉の隔壁を介して交互に配置される。言い換えると、排気ガス流入通路及び排気ガス流出通路は各排気ガス流入通路が4つの排気ガス流出通路によって包囲され、各排気ガス流出通路が4つの排気ガス流入通路によって包囲されるように配置される。パティキュレートフィルタ30は例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、したがって排気ガス流入通路内に流入した排気ガスは周囲の隔壁内を通って隣接する排気ガス流出通路内に流出する。
排気ガス中に含まれる粒子状物質はパティキュレートフィルタ30上に捕集され、順次酸化される。しかしながら捕集される粒子状物質の量が酸化される粒子状物質の量よりも多くなると粒子状物質がパティキュレートフィルタ30上に次第に堆積し、この場合粒子状物質の堆積量が増大すると機関出力の低下を招いてしまう。
そこで本発明による実施例では、パティキュレートフィルタ30上に堆積した粒子状物質の量が許容量を越えたときには、流入排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつパティキュレートフィルタ30の温度を例えば600℃程度まで上昇させる昇温処理を行い、それによって堆積した粒子状物質を酸化除去するようにしている。パティキュレートフィルタ30上に堆積した粒子状物質の量が許容量を越えたか否かは例えばパティキュレートフィルタ30の前後差圧に基づいて判断することができる。また、昇温処理は燃料添加弁32u及び燃料添加弁32dの一方又は両方から燃料を添加しこの添加燃料を三元触媒23、SOxトラップ触媒26、NOx吸蔵還元触媒27u,27d又はパティキュレートフィルタ30等で酸化することにより行うことができる。
NOx吸蔵還元触媒27u,27dはハニカム構造をなしており、薄肉の隔壁により互いに分離された複数個の排気ガス流通路を具備する。各隔壁の両側表面上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図2(A)及び2(B)はこの触媒担体55の表面部分の断面を図解的に示している。図2(A)及び2(B)に示されるように触媒担体55の表面上には貴金属触媒56が分散して担持されており、更に触媒担体55の表面上にはNOx吸収剤57の層が形成されている。
本発明による実施例では、貴金属触媒56として白金Pt、パラジウムPd、オスミウムOs、金Au、ロジウムRh、イリジウムIr、ルテニウムRuから選ばれた少なくとも一つが用いられ、NOx吸収剤57を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられる。
吸気通路、燃焼室5及び、排気通路内の或る位置よりも上流の排気通路内に供給された空気及び燃料(炭化水素)の比をその位置における排気ガスの空燃比と称すると、NOx吸収剤57は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。
すなわち、貴金属触媒56として白金Ptを用いNOx吸収剤57を構成する成分としてバリウムBaを用いた場合を例にとって説明すると、排気ガスの空燃比がリーンのとき、すなわち排気ガス中の酸素濃度が高いときには排気ガス中に含まれるNOは図2(A)に示されるように白金Pt56上において酸化されてNO2となり、次いでNOx吸収剤57内に吸収されて炭酸バリウムBaCO3と結合しながら硝酸イオンNO3 −の形でNOx吸収剤57内に拡散する。このようにしてNOxがNOx吸収剤57内に吸収される。排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Pt56の表面でNO2が生成され、NOx吸収剤57のNOx吸収能力が飽和しない限りNO2がNOx吸収剤57内に吸収されて硝酸イオンNO3 −が生成される。
これに対し、排気ガスの空燃比がリッチにされると排気ガス中の酸化濃度が低下するために反応が逆方向(NO3 −→NO2)に進み、斯くして図2(B)に示されるようにNOx吸収剤57内の硝酸イオンNO3 −がNO2の形でNOx吸収剤57から放出される。次いで放出されたNOxは排気ガス中に含まれるHC,COによって還元される。
本発明による実施例では、酸素過剰のもとでの燃焼が継続して行われる。したがって、NOx吸蔵還元触媒27u,27d内に流入する排気ガスの空燃比はリーンに維持され、このとき排気ガス中のNOxがNOx吸蔵還元触媒27u,27d内に吸蔵される。しかしながら、機関運転が継続されるとNOx吸蔵還元触媒27u,27d内に吸蔵されているNOx量が多くなり、ついにはNOx吸蔵還元触媒27u,27dによりNOxを吸蔵できなくなってしまう。そこで本発明による実施例では、NOx吸蔵還元触媒27u,27dがNOxにより飽和する前に排気ガスの空燃比を一時的にリッチしそれによってNOx吸蔵還元触媒27u,27dからNOxを放出させ、排気ガス中のHC,COによりN2等に還元するNOx放出処理を行うようにしている。
すなわち、本発明による実施例では、NOx吸蔵還元触媒27u,27dに単位時間当り吸蔵されるNOx量が例えば機関負荷率KL及び機関回転数Neといった機関運転状態の関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されており、このNOx量を積算することによってNOx吸蔵還元触媒27u,27dに吸蔵されている総NOx量が算出される。その上で、NOx吸蔵還元触媒27u,27dの総NOx吸蔵量が上限NOx量を越えるごとにNOx放出処理を行うべきと判断され、このとき燃料添加弁32u及び燃料添加弁32dの一方又は両方から燃料(炭化水素)が添加され、NOx吸蔵還元触媒27u,27dへの流入排気ガスの空燃比が一時的にリッチに切り換えられる。その結果、NOx吸蔵還元触媒27u,27dからNOxが放出され還元される。なお、機関負荷率KLは全負荷に対する機関負荷の割合をいう。
ところが、排気ガス中にはSOxすなわちSO2が含まれており、このSO2がNOx吸蔵還元触媒27u,27dに流入するとこのSO2は白金Pt56において酸化されてSO3となる。次いでこのSO3はNOx吸収剤57内に吸収されて炭酸バリウムBaCO3と結合しながら硫酸イオンSO4 2−の形でNOx吸収剤57内に拡散し、安定した硫酸塩BaSO4を生成する。しかしながら、この硫酸塩BaSO4は安定していて分解しづらく、排気ガスの空燃比を単にリッチにしただけでは硫酸塩BaSO4は分解されずにそのまま残る。したがってNOx吸収剤57内には時間が経過するにつれて硫酸塩BaSO4が増大することになり、斯くして時間が経過するにつれてNOx吸蔵還元触媒27u,27dの吸蔵容量ないしNOx浄化率が低下することになる。
そこで本発明による実施例では、NOx吸蔵還元触媒27u,27dの上流にSOxトラップ触媒26を配置してこのSOxトラップ触媒26により排気ガス中に含まれるSOxを捕獲し、それによってNOx吸蔵還元触媒27u,27dにSOxが流入しないようにしている。次にこのSOxトラップ触媒26について説明する。
このSOxトラップ触媒26は例えばハニカム構造をなしており、薄肉の隔壁により互いに分離された複数個の排気ガス流通路を具備する。各隔壁の両側表面上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図3はこの触媒担体60の表面部分の断面を図解的に示している。図3に示されるように触媒担体60の表面上にはコート層61が形成されており、このコート層61の表面上には貴金属触媒62が分散して担持されている。
本発明による実施例では、貴金属触媒62として白金が用いられており、コート層61を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。すなわち、SOxトラップ触媒26のコート層61は強塩基性を呈している。
排気ガス中に含まれるSOxすなわちSO2は図3に示されるように白金Pt62において酸化され、次いでコート層61内に捕獲される。すなわち、SO2は硫酸イオンSO4 2−の形でコート層61内に拡散し、硫酸塩を形成する。なお、上述したようにコート層61は強塩基性を呈しており、したがって図3に示されるように排気ガス中に含まれるSO2の一部は直接コート層61内に捕獲される。このようにして、SOxトラップ触媒26内にSOxが捕獲され、NOx吸蔵還元触媒27u,27d内にSOxが吸蔵されるのが阻止される。
ところで、本発明による実施例では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが繰り返し検出され、この劣化度合いDDETuが、劣化度合いDDETuが検出されたときの機関運転状態に関連付けて記憶されている。
すなわち、図4に示されるように例えば機関負荷率KL及び機関回転数Neにより定まる運転状態領域がm×n個の領域OCAij(i=1,…,m、j=1,…,n)に分割されており、各運転状態領域OCAijに関連付けて劣化度合いDDETuが記憶される。劣化度合いDDETuが新たに検出されると、対応する運転状態領域OCAijに関連付けて記憶されている劣化度合いDDETuが更新される。
ここで、劣化度合いDDETuは上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化性能を表すものであり、例えば上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuに応じ、低レベル(L)、中レベル(M)及び高レベル(H)のいずれかに設定される。すなわち、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuがまず検出され、検出されたNOx浄化率EFFuがあらかじめ定められた第1の設定値よりも低いときに劣化度合いDDETuが高レベル(H)に設定され、NOx浄化率EFFuが第1の設定値よりも高くかつあらかじめ定められた第2の設定値よりも低いときに中レベル(M)に設定され、NOx浄化率EFFuが第2の設定値よりも高いときに低レベル(L)に設定される。なお、劣化度合いDDETuは図4に示されるマップの形でRAM43に記憶されている。また、劣化度合いDDETuの初期値は例えば低レベル(L)にすることができる。
NOx吸蔵還元触媒に流入するNOx量をNOXi、NOx吸蔵還元触媒から流出するNOx量をNOXoで表すと、NOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率は(NOXi−NOXo)/NOXiで求めることができる。上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuを検出するには種々の方法が考えられるが、例えば次のようにしてNOx浄化率EFFuを検出できる。すなわち、流入排気ガスの空燃比がリッチになるように上流側の燃料添加弁32uから燃料が添加され、このとき上流側のNOx吸蔵還元触媒27uから流出する排気ガス中のNOx量NOXoがNOxセンサ34によって検出される。一方、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに流入する排気ガス中のNOx量NOXiはNOxセンサを用いて求めることもできるが、機関運転状態例えば機関負荷率KL及び機関回転数Neの関数として求めることもできる。
次に、本発明による実施例のNOx放出処理について詳しく説明する。
本発明による実施例では、NOx放出処理を行うべきときには、まずこのときの機関運転状態が属する運転状態領域OCAijが特定され、この運転状態領域OCAijに関連付けて記憶されている劣化度合いDDETuが獲得される。次いで、劣化度合いDDETuに基づいて上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用及び下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用がそれぞれ制御される。
すなわち、図5に示されるように、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが低レベル(L)のときには、上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量QAFuが上流側の要求量QRuに設定され、下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdがゼロに設定される。すなわち、この場合には、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用が行われ、下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用が行われない。なお、上流側の要求量QRuは上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに吸蔵されたNOxを放出させ還元させるのに必要な量とすることができる。
一方、劣化度合いDDETuが中レベル(M)のときには、燃料添加量QAFuが下流側の要求量QRuのうちの一部に設定され、燃料添加量QAFdが要求量QRdのうちの一部に設定される。すなわち、この場合には、両方の燃料添加弁32u,32dから燃料添加が行われる。なお、下流側の要求量QRdは下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに吸蔵されたNOxを放出させ還元させるのに必要な量とすることができる。
劣化度合いDDETuが高レベル(H)のときには、燃料添加量QAFuがゼロに設定され、燃料添加量QAFdが要求量QRdに設定される。すなわち、この場合には、下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用が行われ、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用が行われない。
このようにしているのは次の理由による。
すなわち、SOxトラップ触媒26を設けたとしても排気ガス中のすべてのSOxをSOxトラップ触媒26で捕獲するのは困難であり、したがってNOx吸蔵還元触媒27u,27d、特に上流側のNOx吸蔵還元触媒27uにSOxが吸蔵されるおそれがある。その結果、時間の経過と共に上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに吸蔵されているSOx量が次第に増大し、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuが次第に低下し、劣化度合いDDETuが次第に高くなる。
一方、流入排気ガスの空燃比がリッチになるように上流側の燃料添加弁32uから燃料添加を行うと、SOxトラップ触媒26から捕獲されているSOxが放出されるおそれがあり、このSOxも特に上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに吸蔵されるおそれがある。
そうすると、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが高いときに、流入排気ガスの空燃比がリッチになるように上流側の燃料添加弁32uから燃料添加を行うと、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが更に高くなるおそれがある。
そこで本発明による実施例では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが高くなったときには、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用を低減し又は禁止するようにしている。具体的に言うと、劣化度合いDDETuが中レベル(M)になると上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量QAFuが上流側の要求量QRuよりも少なく設定され、劣化度合いDDETuが高レベル(H)になると燃料添加量QAFuがゼロに設定される。その結果、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが燃料添加によって更に高くなるのを阻止することができる。
上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用を低減し又は禁止すると、排気後処理装置20全体のNOx浄化率が低くなるおそれがある。
そこで、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用を低減し又は禁止するときには、下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用を増強するようにしている。具体的には、劣化度合いDDETuが中レベル(M)になると下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdが下流側の要求量QRdの一部に設定され、劣化度合いDDETuが高レベル(H)になると燃料添加量QAFdが下流側の要求量QRdに設定される。その結果、排気後処理装置20全体のNOx浄化率を高く維持することができる。
上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが低レベル(L)のときには、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuが高いので、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uでNOx浄化作用を行えば足り、燃料消費量を低減するために下流側のNOx吸蔵還元触媒27dでNOx浄化作用は行われない。
なお、NOx放出処理を行うべきときの燃料添加量QAFu,QAFdを、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuではなくNOx浄化率EFFuに基づいて設定するようにしてもよい。この場合、図6に示されるように、NOx浄化率EFFuが低くなるにつれて少なくなるように燃料添加量QAFuを設定し、NOx浄化率EFFuが低くなるにつれて多くなるように燃料添加量QAFdを設定することができる。
したがって、一般化すると、NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量QAFuをNOx浄化率が低いときにはNOx浄化率が高いときに比べて少なくなるように設定し、NOx放出処理を行うべきときの下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdをNOx浄化率が低いときにはNOx浄化率が高いときに比べて多くなるように設定しているということになる。
図7は本発明による実施例のNOx放出制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図7を参照すると、まずステップ100ではNOx放出処理を行うべきか否かが判別される。NOx放出処理を行うべきでないときには処理サイクルを終了する。NOx放出処理を行うべきときには次いでステップ101に進み、現在の機関運転状態が属する運転状態領域OCAijが特定される。続くステップ102では、この運転状態領域OCAijに関連付けて記憶されている上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが図4のマップから読み込まれる。続くステップ103では、劣化度合いDDETuの検出及び更新を行うための条件が成立しているか否かが判別される。本発明による実施例では、例えばステップ102で獲得された劣化度合いDDETuが高レベル(H)でなくかつ上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの温度Tuがあらかじめ定められた設定温度以上でありかつ機関定常運転があらかじめ定められた時間にわたって継続されたときに条件が成立したと判断され、それ以外は条件不成立と判断される。劣化度合いDDETuが高レベル(H)のときには劣化度合いDDETuを更新する必要性がないからである。また、この設定温度は上流側のNOx吸蔵還元触媒27uにおいて良好なNOx浄化が期待できる温度(例えば、300℃)に設定することができる。条件が成立しているときには次いでステップ104に進み、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuが検出される。続くステップ105では検出されたNOx浄化率EFFuに応じて上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが決定され、ステップ102で特定された運転状態領域OCAijに関連付けて記憶されている劣化度合いDDETuが当該決定された劣化度合いDDETuに更新される。
一方、ステップ103で条件が成立していないときには次いでステップ106に進み、NOx放出処理ルーチンが実行される。このルーチンは図8に示されている。
図8を参照すると、ステップ200では図7のステップ102で読み込まれた上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが低レベル(L)であるか否かが判別される。DDETu=Lのときには次いでステップ201に進み、下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加が停止されつつ上流側の燃料添加弁32uから燃料添加が行われる。このときの燃料添加量QAFuは上流側の要求量QRuに設定される。これに対し、DDETu≠Lのときにはステップ200からステップ202に進み、劣化度合いDDETuが中レベル(M)であるか否かが判別される。DDETu=Mのときには次いでステップ203に進み、両方の燃料添加弁32u,32dから燃料添加が行われる。このときの燃料添加量QAFu,QAFdは上流側の要求量QRuの一部及び下流側の要求量QRdの一部にそれぞれ設定される。これに対し、DDETu≠Mのときすなわち劣化度合いDDETdが高レベル(H)のときにはステップ202からステップ204に進み、上流側の燃料添加弁32dからの燃料添加が停止されつつ下流側の燃料添加弁32uから燃料添加が行われる。このときの燃料添加量QAFdは下流側の要求量QRdに設定される。
図9はNOx放出処理ルーチンの別の実施例を示している。図9のルーチンは劣化度合いDDETdが高レベル(H)のときにステップ202からステップ204aに進む点を除いて図8のルーチンと同じである。そこでステップ204aについて説明すると、ステップ204aでは両方の燃料添加弁32u,32dからの燃料添加が停止される。すなわち、劣化度合いDDETdが高レベル(H)の機関運転状態では燃料添加が停止され、劣化度合いDDETdが低レベル(L)又は中レベル(M)の機関運転状態になると燃料添加が行われる。その結果、燃料添加を効果的に行うことができる。
次に、本発明による実施例の昇温処理について詳しく説明する。
本発明による実施例では、図10に概略的に示されるように、上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加作用によって上流側のNOx吸蔵還元触媒27uがあらかじめ定められた目標温度TTuまで昇温され、下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加作用によってパティキュレートフィルタ30が目標温度TTuから酸化除去温度TOXまで昇温される。言い換えると、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uが目標温度TTuまで昇温されるように上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量QAFuが設定され、パティキュレートフィルタ30が酸化除去温度TOXまで昇温されるように下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdが設定される。このようにすると、下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdが過度に多くなるのを阻止することができる。
一方、上述したように、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが大きいときには上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用を低減するのが好ましい。
そこで本発明による実施例では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuに基づいて目標温度TTuを設定している。すなわち、劣化度合いDDETuが低いときには劣化度合いDDETuが高いときに比べて低くなるように目標温度TTuが設定される。具体的には、図11に示されるように、劣化度合いDDETuが中レベル(M)のときの目標温度TTuは劣化度合いDDETuが低レベル(L)のときの目標温度TTuよりも低く設定され、劣化度合いDDETuが高レベル(H)のときの目標温度TTuは劣化度合いDDETuが中レベル(M)のときの目標温度TTuよりも低く設定される。
また、パティキュレートフィルタ30内に流入する排気ガス量を表す吸入空気量Gaが多くなると、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uを昇温するのが困難となる。そこで図11に示されるように、吸入空気量Gaが多くなるにつれて低くなるように目標温度TTuを設定している。目標温度TTuは図11に示されるマップの形でROM42内に記憶されている。
この場合、パティキュレートフィルタ30を酸化除去温度TOXまで昇温するのに、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用が部分的に寄与し、下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用が部分的に寄与していると考えることができる。そうすると、本発明による実施例では、図12に示されるように劣化度合いDDETuが高いときには劣化度合いDDETuが低いときに比べて、上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用の寄与度DCNTuを小さくし、下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用の寄与度DCNTdを大きくしているという見方もできる。
なお、劣化度合いDDETuが低レベル(L)のときに下流側の燃料添加弁32dの燃料添加作用を停止し、又は劣化度合いDDETuが高レベル(H)のときに上流側の燃料添加弁32uの燃料添加作用を停止するようにしてもよい。
図13は本発明による実施例の昇温処理を実行するためのルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図13を参照すると、ステップ300では昇温処理を行うべきか否かが判別される。昇温処理を行うべきでないときには処理サイクルを終了する。昇温処理を行うべきときには次いでステップ301に進み、現在の機関運転状態が属する運転状態領域OCAijが特定される。続くステップ302では、この運転状態領域OCAijに関連付けて記憶されている上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが図4のマップから読み込まれる。続くステップ303では、図11のマップから目標温度TTuが算出される。続くステップ304では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uを目標温度TTuまで昇温するのに必要な上流側の燃料添加弁32uからの燃料添加量QAFuが算出される。続くステップ305では、パティキュレートフィルタ30を酸化除去温度TOXまで昇温するのに必要な下流側の燃料添加弁32dからの燃料添加量QAFdが算出される。続くステップ306では、上流側の燃料添加弁32uから燃料添加量QAFuだけ燃料添加が行われ、下流側の燃料添加弁32dから燃料添加量QAFdだけ燃料添加が行われる。
次に、本発明による実施例のSOx放出処理について説明する。
これまでの説明からわかるように、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに吸蔵されているSOx量が次第に増大し、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが次第に高くなるおそれがある。
そうすると、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが高いときには、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの吸蔵容量が低下しており、したがって上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに流入したSOxが上流側のNOx吸蔵還元触媒27uを通過して下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに吸蔵されるおそれがあるということになる。下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに多量のSOxが吸蔵されると、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uだけでなく、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのNOx浄化作用も期待できなくなる。
ここで、NOx吸蔵還元触媒27u,27dをSOx放出温度(例えば、600℃)以上に保持しつつNOx吸蔵還元触媒27u,27dへの流入排気ガスの空燃比を理論空燃比又はリッチに切り換えるSOx放出処理を行うと、NOx吸蔵還元触媒27u,27dから吸蔵されているSOxが放出される。
そこで本発明による実施例では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuがあらかじめ定められた許容上限ULよりも高くなった後には、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに吸蔵されているSOx量SSdを検出し、このSOx吸蔵量SSdがあらかじめ定められた許容値よりも大きくなるごとに、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx放出処理を行うようにしている。すなわち、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dがSOx放出温度以上に保持されつつ流入排気ガスの空燃比が理論空燃比に維持されるように、下流側の燃料添加弁32dから燃料添加作用が行われる。その結果、良好なNOx浄化作用を維持することができる。
この場合、いずれか一つの運転状態領域OCAijに関連付けられた劣化度合いDDETuが高レベル(H)になったときに、劣化度合いDDETuが許容上限ULよりも高くなったと判断することができる。あるいは、関連付けられている劣化度合いDDETuが高レベル(H)である運転状態領域OCAijの個数があらかじめ定められた値よりも大きくなったときに、劣化度合いDDETuが許容上限ULよりも高くなったと判断することもできる。
下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx吸蔵量SSdは例えば下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに単位時間当たり流入するSOx量sdを積算することによって求めることができる。この流入SOx量sdは例えば、機関から単位時間当たり排出されるSOx量、SOxトラップ触媒26に捕捉されているSOx量、及び上流側のNOx吸蔵還元触媒27uに吸蔵されているSOx量などに基づいて求めることができる。
下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx吸蔵量SSdが許容値SS1よりも大きくなると直ちにSOx放出処理を行うようにしてもよい。しかしながら、上述したパティキュレートフィルタ30の昇温処理の完了直後には、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dの温度も高くなっている。そこで本発明による実施例では、SOx吸蔵量SSdが許容値SS1よりも大きくなった後の昇温処理の完了直後にSOx放出処理を行うようにしている。その結果、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dをSOx放出温度以上に昇温するのに必要な燃料添加量を低減できる。
一方、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが許容上限ULよりも高くなるまでは、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx吸蔵量SSdは少ないと考えられる。そこでこの場合には、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx放出処理を行わないようにしている。
したがって、一般化すると、図14に示されるように、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのNOx浄化率EFFuが許容下限LLよりも小さいか否かを判断し、NOx浄化率EFFuが許容下限LLよりも小さくなるまでは下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx放出処理を行わず、NOx浄化率EFFuが許容下限LLよりも小さくなった後にはSOx放出処理を繰り返し行うということになる。
なお、本発明による実施例では、上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのSOx放出処理は行われない。上流側のNOx吸蔵還元触媒27uのSOx放出処理を行うと、放出されたSOxが下流側のNOx吸蔵還元触媒27dに流入し吸蔵されるおそれがあるからである。また、SOxトラップ触媒26からSOxが放出されるおそれもある。同様の理由から、SOxトラップ触媒から捕捉されたSOxを放出させる処理も行われない。
図15は本発明による実施例のSOx放出処理を実行するためのルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとの割り込みによって実行される。
図15を参照すると、ステップ400では上流側のNOx吸蔵還元触媒27uの劣化度合いDDETuが許容上限ULよりも高いか否かが判別される。DDETu≦ULのときには処理サイクルを終了し、DDETu>ULのときには次いでステップ401に進み、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx吸蔵量SSdが算出される。続くステップ402では、SOx吸蔵量SSdが許容値SS1よりも大きいか否かが判別される。SSd≦SS1のときには処理サイクルを終了し、SSd>SS1のときには次いでステップ403に進み、パティキュレートフィルタ30の昇温処理の完了直後であるか否かが判別される。昇温処理の完了直後でないときには処理サイクルを終了し、昇温処理の完了直後のときには次いでステップ404に進み、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx放出処理が行われる。続くステップ405では下流側のNOx吸蔵還元触媒27dのSOx吸蔵量SSdがゼロに戻される。
これまで述べてきた本発明による実施例では、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dとパティキュレートフィルタ30は別個に設けられる。しかしながら、下流側のNOx吸蔵還元触媒27dをパティキュレートフィルタ30上に形成することもできる。また、パティキュレートフィルタ30を下流側の燃料添加弁32dと下流側のNOx吸蔵還元触媒27dとの間に配置することもできる。あるいは、三元触媒23を省略することもできる。
さらに、SOxトラップ触媒26として、アルミナからなる担体上に鉄Fe,マンガンMn,ニッケルNi,スズSnのような遷移金属及びリチウムLiから選ばれた少なくとも一つを担持した触媒を用いることもできる。
また、これまで述べてきた本発明による実施例では、SOxトラップ触媒上流の排気通路内に燃料を供給するために上流側の燃料添加弁32uから燃料を添加するようにしている。しかしながら、内燃機関から排出される排気ガスの空燃比を理論空燃比又はリッチにすることにより、SOxトラップ触媒上流の排気通路内に燃料を供給するようにしてもよい。この場合、例えばリッチ空燃比のもとで燃焼を行うようにしてもよいし、リーン空燃比のもとで燃焼を行いながら燃料噴射弁3から膨張行程又は排気行程に追加の燃料を噴射するようにしてもよい。このようにすると上流側の燃料添加弁32uを省略することができる。
1 機関本体
20 排気後処理装置
26 SOxトラップ触媒
27u,27d NOx吸蔵還元触媒
32u,32d 燃料添加弁
34 NOxセンサ
20 排気後処理装置
26 SOxトラップ触媒
27u,27d NOx吸蔵還元触媒
32u,32d 燃料添加弁
34 NOxセンサ
Claims (10)
- 機関排気通路内に上流側のNOx吸蔵還元触媒及び下流側のNOx吸蔵還元触媒を直列配置し、各NOx吸蔵還元触媒は流入排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを放出して還元し、排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうるSOxトラップ触媒を上流側のNOx吸蔵還元触媒上流の機関排気通路内に配置し、該SOxトラップ触媒上流の排気通路内に燃料を供給するための上流側の燃料供給手段と、NOx吸蔵還元触媒同士間の排気通路内に燃料を供給するための下流側の燃料供給手段とを設け、NOx吸蔵還元触媒から吸蔵されているNOxを放出させて還元するNOx放出処理を行うべきときには、流入排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになるように上流側の燃料供給手段及び下流側の燃料供給手段の一方又は両方から燃料を供給する内燃機関の排気浄化装置であって、上流側のNOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率を検出し、NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料供給手段の燃料供給作用及び下流側の燃料供給手段の燃料供給作用を該検出されたNOx浄化率に基づいてそれぞれ制御するようにした内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx浄化率を繰り返し検出すると共に該NOx浄化率を該NOx浄化率が検出されたときの機関運転状態に関連付けて記憶しておき、NOx放出処理を行うべきときには、そのときの機関運転状態に関連付けて記憶されているNOx浄化率に基づき上流側の燃料供給手段の燃料供給作用及び下流側の燃料供給手段の燃料供給作用をそれぞれ制御するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- NOx放出処理を行うべきときの上流側の燃料供給手段からの燃料供給量を前記NOx浄化率が低いときには該NOx浄化率が高いときに比べて少なくなるように設定し、NOx放出処理を行うべきときの下流側の燃料供給手段からの燃料供給量を前記NOx浄化率が低いときには該NOx浄化率が高いときに比べて多くなるように設定する請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx浄化率があらかじめ定められた第1の設定値よりも低いときにはNOx放出処理を行うべきときに上流側の燃料供給手段からの燃料供給を禁止して下流側の燃料供給手段のみから燃料供給を行うようにした請求項1から3までのいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx浄化率が前記第1の設定値よりも高くかつあらかじめ定められた第2の設定値よりも低いときにはNOx放出処理を行うべきときに両方の燃料供給手段から燃料供給を行い、前記NOx浄化率が前記第2の設定値よりも高いときにはNOx放出処理を行うべきときに下流側の燃料供給手段からの燃料供給を禁止して上流側の燃料供給手段のみから燃料供給を行うようにした請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 排気ガス中の粒子状物質を捕集するためのパティキュレートフィルタを下流側の燃料供給手段下流の排気通路内に配置し、パティキュレートフィルタ上に堆積した粒子状物質を酸化除去するためにパティキュレートフィルタを酸化除去温度まで昇温する昇温処理を行うべきときには、上流側の燃料供給手段及び下流側の燃料供給手段の一方又は両方から燃料を供給すると共に、そのときの機関運転状態に関連付けて記憶されているNOx浄化率に基づき上流側の燃料供給手段の燃料供給作用及び下流側の燃料供給手段の燃料供給作用をそれぞれ制御するようにした請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 昇温処理を行うべきときには、そのときの機関運転状態に関連付けて記憶されているNOx浄化率に基づき上流側のNOx吸蔵還元触媒の目標温度を設定して上流側のNOx吸蔵還元触媒が該目標温度まで昇温されるように上流側の燃料供給手段からの燃料供給量を設定すると共に、パティキュレートフィルタが酸化除去温度まで昇温されるように下流側の燃料供給手段からの燃料供給量を設定する請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記目標温度を前記NOx浄化率が低いときには該NOx浄化率が高いときに比べて低くなるように設定する請求項7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx浄化率が許容下限よりも小さいか否かを判断し、前記NOx浄化率が許容下限よりも小さくなるまでは、下流側のNOx吸蔵還元触媒から吸蔵されているSOxを放出させるSOx放出処理を行わず、前記NOx浄化率が許容下限よりも小さくなった後にはSOx放出処理を繰り返し行うようにした請求項1から8までのいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 上流側のNOx吸蔵還元触媒から流出する排気ガス中のNOx量を検出するためのNOxセンサを設け、上流側のNOx吸蔵還元触媒に上流側の燃料供給手段から燃料を供給したときに該上流側のNOx吸蔵還元触媒から流出する排気ガス中のNOx量を検出して該検出されたNOx量に基づき該上流側のNOx吸蔵還元触媒のNOx浄化率を求めるようにした請求項1から9までのいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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JP2008216780A JP2010053712A (ja) | 2008-08-26 | 2008-08-26 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018021564A (ja) * | 2017-10-26 | 2018-02-08 | 三菱自動車工業株式会社 | 内燃機関の排気浄化装置 |
JP2018035808A (ja) * | 2012-04-13 | 2018-03-08 | ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトUmicore AG & Co.KG | ガソリン車用の汚染物質低減装置 |
-
2008
- 2008-08-26 JP JP2008216780A patent/JP2010053712A/ja active Pending
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