JP2010053314A - 熱硬化性樹脂、熱硬化性組成物、積層フィルム及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリインダン骨格を有する熱硬化性樹脂に関し、より詳細には、ポリインダン骨格にエポキシ基を含む置換基が導入された熱硬化性樹脂、該熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性組成物、積層フィルム及び積層体に関する。
各種コンピュータ、デジタルディスプレイ、デジタル機器、カーエレクトロニクス及び電子エンターテイメント機器等の電子機器が普及している。また、これらの電子機器の小型化及び高性能化が進行している。このため、電子回路等に用いられる絶縁材料に対する要求性能が高まってきている。上記絶縁材料は、例えば、ソルダーマスクやカバーレイなどの表面保護層形成用材料、基板材料又は接着材料として用いられている。
絶縁材料に対する主な要求性能として、高集積回路に対応できる絶縁信頼性、高周波に対応できる電気特性、又は過酷な使用条件であっても基板や回路が破損しない安定性等が挙げられる。上記電気特性として、低誘電率や低誘電損失等が挙げられる。
なかでも、絶縁材料に対する要求性能として、温度変化に対する安定性が注目されている。例えば、コンピュータでは、大容量データの高速処理により、プロセサ近傍の温度変化が大きくなってきている。絶縁材料では、このような温度変化に耐え得ることが強く求められている。また、カーエレクトロニクスに用いられる絶縁材料は、低温から高温までの環境変化に晒される。このため、低温から高温までの環境変化に耐え得るだけの安定性を、絶縁材料は有していなければならない。
絶縁材料の温度変化に対する安定性は、絶縁材料の線膨張係数に依存することが多い。すなわち、絶縁材料は固有の線膨張係数を有し、温度変化に晒された絶縁材料は寸法が変化する。例えば、回路基板では、銅等の金属により形成された配線が絶縁材料に接触又は埋設されている。回路基板では、絶縁材料と配線材料との線膨張係数の差が大きいと、配線が伸びて導電性が低下しやすかった。また、断線又は短絡等が生じて、回路基板が故障することがあった。
また、基板材料として用いられる絶縁材料では、該絶縁材料により形成された基板の薄型化が進行している。このため、絶縁材料と配線材料との線膨張係数の差が大きいと、基板が変形することがあった。デジタル機器等の小型化により、基板は筐体内に高密度で配置されている。このため、基板が変形すると、筐体内で断線又は短絡等が生じやすかった。さらに、筐体が変形したり、筐体内に配置されたディスプレイなどの機能部品が圧迫されたりして、機器が故障することがあった。
接着材料として用いられる絶縁材料では、例えば半導体チップ等が絶縁材料により接着されている。絶縁材料と半導体チップとの線膨張係数の差が大きいと、絶縁材料と半導体チップとの接着界面に大きな応力が生じやすかった。この結果、半導体チップが絶縁材料から剥離することがあった。
一般的な絶縁材料は、エポキシ樹脂等を含む。この絶縁材料の線膨張係数は、銅やアルミニウム等の配線材料の線膨張係数よりも比較的高い。例えば、エポキシ樹脂を含む絶縁材料の線膨張係数は70〜80ppm/K程度である。なお、樹脂の線膨張係数は、ガラス転移温度以下の温度領域での線膨張係数を示す。この樹脂の線膨張係数はα1と呼ばれることがある。銅の線膨張係数は約18ppm/Kである。アルミニウムの線膨張係数は24ppm/Kである。従って、絶縁材料と配線材料とでは、約50ppm/K程度の線膨張係数の差がある。従って、例えば、絶縁材料により100mm×100mmの大きさの基板を形成し、該基板の対角線上に配線を形成し、かつ配線が形成された基板が100℃の温度変化に晒された場合、配線と基板との間に0.6mm程度の膨張差が生じる。
近年、基板に形成される回路の幅が小さくされている。例えば、回路の幅は、100μm以下にされることもある。このような狭い幅の回路が形成された場合、上記の膨張差は大きく影響する。
上記のような理由から、線膨張係数が低い絶縁材料が強く求められていた。
絶縁材料の線膨張係数を低くする方法として、シリカ等の無機充填材を添加する方法が知られている。シリカの線膨張係数は10ppm/Kである。このため、シリカの添加により、絶縁材料の線膨張係数を低くすることができる。しかし、絶縁材料の線膨張係数程度まで絶縁材料の線膨張係数を低くするためには、シリカを大量に添加しなければならない。このため、絶縁材料の加工性が低下したり、絶縁材料が脆くなって割れやすくなることがあった。
絶縁材料の線膨張係数を低くする他の方法として、ビフェニレンやナフタレン等の芳香族骨格を多く含むエポキシ樹脂を用いる方法が知られている。このエポキシ樹脂を用いた場合、絶縁材料の線膨張係数は60ppm/K程度になるものの、線膨張係数を充分に低くすることができなった。また、上記芳香族骨格を多く含むエポキシ樹脂を用いた場合、誘電率や誘電正接が高くなる。このため、絶縁材料は高周波に対応できないことがあった。
硬化物の誘電率が低い熱硬化性樹脂として、ポリインダン化合物が下記の特許文献1に開示されている。特許文献1の実施例には、ポリインダン化合物の硬化物の誘電率が2.3〜2.5の範囲内にあることが記載されている。このポリインダン化合物は、層間絶縁膜材料として用いることができる。
また、ポリインダン化合物の硬化物の線膨張係数は比較的低い。下記の非特許文献1では、ポリインダン化合物の硬化物の25〜250℃の範囲内での線膨張係数が20ppm/Kであることが記載されている。
ところで、回路基板等の基板材料として用いられる絶縁材料は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂を用い、該熱硬化性樹脂が架橋されることにより、硬化物の変形や溶解を抑制できる。このため、絶縁材料は熱架橋性基を有する熱硬化性樹脂であることが好ましい。
架橋性基が導入されたポリインダン化合物が下記の特許文献2,3に開示されている。ここでは、ポリインダン骨格の末端にフェノール基、又はフェノール誘導体基が架橋性基として導入されている。このような架橋性基が導入されたポリインダン化合物の架橋反応は効率的に進行しないことがあった。これは、ポリインダンの末端にしか架橋基が存在しないため、架橋性基の反応の機会が少なくなることに起因する。ポリインダン化合物が充分に架橋しないと、絶縁材料の線膨張係数が充分に低くならなかったり、高温での形状安定性が低下したりすることがあった。このため、絶縁材料の温度変化に対する安定性が低くなりがちであった。
特開2007−311732号公報
特開平06−172242号公報
特表2002−504531号公報
D.−H.Suh、J.V.Crivello、「Chemistry of Materials」、1993年、第5巻、p.210−213
本発明の目的は、電気特性に優れており、かつ温度変化に対する安定性に優れている硬化物を与える熱硬化性樹脂、並びに該熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性組成物、積層フィルム及び積層体を提供することにある。
本発明によれば、下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する熱硬化性樹脂が提供される。
上記式(1)中、Rはエポキシ基を含む置換基を表す。
本発明のある特定の局面では、熱硬化性樹脂は、上記式(1)で表される構造を3以上有し、かつ下記式(2)で表される構造を有しないか又は1以上有し、上記式(1)で表される構造と下記式(2)で表される構造とを合計で3〜5000の範囲内で有する。
本発明に係る熱硬化性樹脂の他の特定の局面では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内にある。
本発明に係る熱硬化性組成物は、本発明の熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含むことを特徴とする。
本発明に係る積層フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に積層されており、かつ本発明の熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムとを備えることを特徴とする。
本発明に係る積層体は、基板と、該基板上に積層されており、かつ本発明の熱硬化性組成物又は該熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムを硬化させることにより形成された硬化物層とを備えることを特徴とする。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、基板上に、複数の前記硬化物層が積層されている。
本発明に係る積層体の他の特定の局面では、前記硬化物層の少なくとも一方の面に積層されている金属層がさらに備えられる。
本発明に係る熱硬化性樹脂は、上記式(1)で表される構造を少なくとも1つ有するので、熱硬化性樹脂の硬化物の電気特性が高い。さらに、熱硬化性樹脂の硬化物は、温度変化に対する安定性に優れている。
本発明に係る熱硬化性組成物は、上記式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むので、加熱により硬化されると、電気特性及び温度変化に対する安定性に優れた硬化物を与える。
以下、本発明の詳細を説明する。
(熱硬化性樹脂)
本発明に係る熱硬化性樹脂は、下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する。
本発明に係る熱硬化性樹脂は、下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する。
上記式(1)中、Rはエポキシ基を含む置換基を表す。
インダンとは、ベンゼン環に5員環のシクロパラフィンが縮合した構造を有する化合物である。ポリインダンとは、ベンゼン環と5員環とが共有結合により結びついた化合物である。ポリインダンは、下記式(11)で表される構造を有する。
上記式(11)中、nは重合度を示す整数である。
本明細書では、上記式(11)で表されるポリインダンと、上記式(11)で表されるポリインダンのベンゼン環及び5員環の内の少なくとも一方に置換基が導入されている化合物とを含めて、ポリインダン化合物と呼ぶことがある。ポリインダン化合物は、複数のインダン骨格が結合されたポリインダン骨格を有する。
ポリインダン化合物は、既知の化合物である。例えば、特開平3−155986号公報に、ポリインダン化合物の構造、及びポリインダン化合物を得る際の重合方法が記載されている。
上述した特許文献2,3に記載のポリインダン化合物では、ポリインダン骨格の末端のみに架橋性基が導入されている。
これに対し、本発明に係る熱硬化性樹脂では、インダン骨格のベンゼン環に、エポキシ基を含む置換基が導入されている。本発明に係る熱硬化性樹脂の特徴は、インダン骨格のベンゼン環に、エポキシ基を含む置換基が導入されていることにある。本発明では、ポリインダン骨格の複数のベンゼン環に、エポキシ基を含む複数の置換基を導入できる。エポキシ基を含む複数の置換基を導入できるので、エポキシ基の反応の機会を多くできる。従って、熱硬化性樹脂が効果的に架橋する。このため、熱硬化性樹脂の硬化物の線膨張係数を低くすることができ、温度変化に対する安定性を高めることができる。
本発明に係る熱硬化性樹脂では、エポキシ基を含む置換基は、ポリインダン骨格の複数のベンゼン環の全てに導入されていてもよく、一部に導入されていてもよい。
本発明に係る熱硬化性樹脂は、上記式(1)で表される構造を3以上有し、かつ下記式(2)で表される構造を有しないか又は1以上有し、上記式(1)で表される構造と下記式(2)で表される構造とを合計で3〜5000の範囲内で有することが好ましい。熱硬化性樹脂は、上記式(1)で表される構造(以下、エポキシ基を有するインダンユニットともいう)と、上記式(2)で表される構造(以下、エポキシ基を有しないインダンユニットともいう)とを有していてもよい。エポキシ基を有するインダンユニットとエポキシ基を有しないインダンユニットとはランダム状に存在していてもよく、ブロック状に存在していてもよい。
本発明に係る熱硬化性樹脂は、上記式(1)で表される構造と上記式(2)で表される構造とを合計で10〜3000の範囲内で有することが好ましい。
上記式(1)中のRは、エポキシ基を含む置換基である。上記Rはエポキシ基を有していれば特に制限されない。上記Rとして、脂肪族エポキシ基、脂環式エポキシ基又は芳香族エポキシ基等が挙げられる。上記Rは、脂肪族エポキシ基、脂環式エポキシ基又は芳香族エポキシ基であることが好ましい。なかでも、上記Rは、下記式(3)又は(4)で表される基であることが好ましい。
上記式(1)で表される構造は、下記式(1A)で表される構造であることが好ましい。
上記式(1A)中のRaは水素又はメチル基を示す。
本発明に係る熱硬化性樹脂の重合度は、3〜5,000の範囲内にあることが好ましく、10〜3,000の範囲内にあることがより好ましい。重合度が低すぎると、熱硬化性樹脂の硬化物の線膨張係数の低減効果を充分に得ることが困難になることがある。重合度が高すぎると、熱硬化性樹脂の溶媒への溶解性が低下したり、熱硬化性樹脂を溶媒に溶解させた熱硬化性組成物の粘度が高くなりすぎることがある。この結果、熱硬化性組成物をフィルム状に成形することが困難になることがある。
上記エポキシ基を有するインダンユニットと、エポキシ基を有しないインダンユニットとの比は特に制限されない。エポキシ基を有するインダンユニットが多いほど、熱硬化性樹脂の反応性が高くなる。このため、エポキシ基を有するインダンユニットと、エポキシ基を有しないインダンユニットとの合計100モル%中に、エポキシ基を有するインダンユニットは1モル%以上含まれることが好ましく、5モル%以上含まれることが好ましい。
本発明に係る熱硬化性樹脂では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内にあることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、熱硬化性樹脂の硬化物の線膨張係数の低減効果を充分に得ることが困難になることがある。重量平均分子量が大きすぎると、熱硬化性樹脂の溶媒への溶解性が低下したり、熱硬化性樹脂を溶媒に溶解させた熱硬化性組成物の粘度が高くなりすぎることがある。この結果、熱硬化性組成物をフィルム状に成形することが困難になることがある。
なお、式(1)又は式(2)中の芳香族環、脂肪族環又は脂肪族環に結合されているアルキル基の水素を、ハロゲン基、アルキル基、アラルキル基又は芳香族基等で置換してもよい。
本発明に係る熱硬化性樹脂の合成方法は特に制限されない。例えば、特開平3−166986号公報の記載に従って、上記熱硬化性樹脂を合成できる。
具体的には、1,3−ジイソプロペニルベンゼン又は1,4−ジイソプロペニルベンゼン等のジイソプロペニルベンゼン化合物と、ブレンステッド酸又はルイス酸とを反応させることにより、ポリインダン化合物を容易に得ることができる。また、α、α、α’、α’−テトラメチル−1,3−ベンゼンジメタノール又はα、α、α’、α’−テトラメチル−1,4−ベンゼンジメタノールと、ブレンステッド酸とを反応させることにより、ポリインダン化合物を得ることができる。さらに、α、α、α’、α’−テトラメチル−1,3−ベンゼンジメチルハライド又はα、α、α’、α’−テトラメチル−1,4−ベンゼンジメチルハライドと、ルイス酸とを反応させることにより、ポリインダン化合物を得ることができる。これらの反応によって得られたポリインダン化合物は、上記式(2)で表される構造を有し、トリメチルインダンユニットを有するポリマーである。ここで、1,3−置換体を用いるか、又は1,4−置換体を用いるかで、5員環のベンゼン環に対する結合位置を異ならせることができる。5員環のベンゼン環に対する結合位置は特に制限されない。
ポリインダン骨格にエポキシ基含む置換基を導入する方法は特に制限されない。この方法として、上記ジイソプロペニルベンゼン化合物に、エポキシ基を予め導入しておく方法、又は上記ジイソプロペニルベンゼン化合物に、エポキシ基を導入できる不飽和結合又は不飽和結合の前駆体を予め導入しておく方法が挙げられる。また、ポリインダン化合物を合成した後、ポリインダン骨格にエポキシ基を含む置換基を導入する方法も挙げられる。
ポリインダン骨格にエポキシ基含む置換基を導入する方法の具体例を例示する。
上記の方法等により得られたポリインダン化合物に、臭化アリル、塩化インジウム及び炭酸カルシウムを加え、n−ヘプタン溶媒中、60℃で一夜撹拌する。この反応により、ベンゼン環にアリル基が導入される。その後、ジクロロメタン溶媒中で、アリル基が導入されたポリインダン化合物とメタクロロ過安息香酸とを反応させることにより、アリル基の不飽和結合をエポキシ化する。このようにしてポリインダン骨格にエポキシ基を含む置換基を導入できる。もっとも、ポリインダン骨格にエポキシ基を含む置換基を導入する方法は、上述した方法に限定されない。
(熱硬化性組成物)
本発明に係る熱硬化性組成物は、上述した式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する熱硬化性樹脂(以下、熱硬化性樹脂Aともいう)と、硬化剤とを含む。熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを混合することにより、熱硬化性組成物が得られる。
本発明に係る熱硬化性組成物は、上述した式(1)で表される構造を少なくとも1つ有する熱硬化性樹脂(以下、熱硬化性樹脂Aともいう)と、硬化剤とを含む。熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを混合することにより、熱硬化性組成物が得られる。
上記硬化剤は公知のエポキシ樹脂用の硬化剤等を用いることができ特に限定されない。硬化剤の具体例として、フェノール類、アミン類、イミダゾール類、ジシアンジアミド、アミン変性物、マイケル付加反応性ポリアミン、ポリアミン−ホルムアルデヒド−フェノールの反応により生成するマンニッヒ塩基、ウレア類、シッフ塩基、イソシアネート化合物類、有機酸ヒドラジド、N,N−ジメチル尿素誘導体又は酸無水物類等が挙げられる。硬化剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール類として、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、トリメチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフトール、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、3,3’−エチレンジオキシジフェノール、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエン−フェノールノボラック又はテルペンフェノールノボラック等が挙げられる。
上記アミン類として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノフェニルスルホン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、N−アミノメチルピペラジン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等が挙げられる。
上記イミダゾール類として、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]エチル−s−トリアジン又は2−フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
上記アミン変性物として、ポリアミノアミド又はアミン−エポキシアダクト等が挙げられる。上記ウレア類として、尿素又はチオ尿素等が挙げられる。上記シッフ塩基として、ケチミン等が挙げられる。
上記酸無水物類として、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸ポリ無水物又はクロレンド酸無水物等が挙げられる。
上記硬化剤とともに、硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂Aと硬化剤との混合比率は、反応機構により適宜設定され得る。通常、熱硬化性樹脂A中のエポキシ基の当量と、硬化剤中の反応基の当量とを、ほぼ等しくなるように、熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを用いることが好ましい。また、反応性や物性の調整を考慮して、熱硬化性樹脂A中のエポキシ基の当量よりも、硬化剤中の反応基の当量が大きくなるように、熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂Aのエポキシ基の100当量に対して、硬化剤中の反応基の当量は3〜200当量の範囲内にあることが好ましい。硬化剤中の反応基の当量が小さすぎると、熱硬化性組成物が充分に硬化しないことがある。硬化剤中の反応基の当量が大きすぎると、熱硬化性組成物を硬化させる効果が飽和することがある。
また、上記熱硬化性樹脂Aと硬化剤との配合量は、熱硬化性樹脂A中のエポキシ基導入量や硬化剤の置換基当量に依存するため一概には言えないが、一例としてあげると熱硬化性樹脂A100重量部に対して、硬化剤は1〜300重量部の範囲内で含有されることが好ましい。硬化剤の量が少なすぎると、熱硬化性組成物が充分に硬化しないことがある。硬化剤の量が少なすぎると、熱硬化性組成物を硬化させる効果が飽和することがある。
上記熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを容易に混合するため、希釈剤として溶媒を用いてもよい。希釈剤は公知の溶媒の中から選択して用いられる。希釈剤は、上記熱硬化性樹脂Aと硬化剤とを均一に混合できれば特に制限されない。希釈剤は、揮発可能な希釈剤であることが好ましい。希釈剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記希釈剤の具体例として、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、環状脂肪族炭化水素類、エーテル類、エステル類、アミド類、ピロリドン類又はスルホキシド類等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類として、トルエン又はキシレン等が挙げられる。上記脂肪族炭化水素類として、ヘキサン又はペンタン等が挙げられる。上記環状脂肪族炭化水素類として、シクロヘキサン又はシクロペンタン等が挙げられる。上記エーテル類として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。上記エステル類として、酢酸エチル、γブチルラクトン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。上記アミド類として、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミド等が挙げられる。上記ピロリドン類として、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
硬化剤を希釈剤に完全に溶解させる必要はなく、硬化剤を希釈剤に分散させて使用してもよい。このため、硬化剤が完全に溶解しない希釈剤を用いてもよい。
また、熱硬化性組成物は、上述した熱硬化性樹脂以外の他の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を含有していてもよい。用途に応じて物性を調整するために、上記他の熱硬化性樹脂を用いることができる。ただし、硬化物の低い線膨張係数と、良好な電気特性とを損なわない範囲で、上記他の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記他の熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、上記熱硬化性樹脂Aと上記他のエポキシ樹脂との合計100重量%中に、他のエポキシ樹脂は90重量%以下の割合で含有されることが好ましい。他のエポキシ樹脂の量が多すぎると、硬化物の線膨張係数及び電気特性等の性能が低下することがある。
上記他のエポキシ樹脂は特に制限されない。他のエポキシ樹脂として、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。他のエポキシ樹脂の具体例として、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の重合体であるフェノキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂又はグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、トリスフェノールメタングリシジルエーテル、ナフトールノボラックグリシジルエーテル、ナフトールアラルキルグリシジルエーテル、シクロペンタジエン−フェノールグリシジルエーテル又はビフェニレン−フェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ樹脂として、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジエポキシド又は1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等が挙げられる。
上記グリシジルエステル型エポキシ樹脂として、フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂として、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン又はトリグリシジルアミノフェノール等が挙げられる。
本発明の目的を損なわない範囲であれば、着色剤、充填材、レベリング剤、界面活性剤又は密着性改良剤を熱硬化性組成物に添加してもよい。
特に、熱線膨張係数を調整するために、無機添加剤、無機繊維又は有機繊維を熱硬化性組成物に添加してもよい。
上記無機添加剤として、無機充填材が挙げられる。上記無機充填材の具体例として、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、ボロンナイトライト、酸化チタン、マイカ、雲母粉、クレイ、タルク、シリカ、硫酸バリウム又は窒化珪素等が挙げられる。なかでも、シリカ、クレイ又は硫酸バリウムが好ましい。上記シリカとして、溶融シリカ又は結晶シリカ等が挙げられる。
熱硬化性組成物は、無機充填材を0.1〜80重量%の範囲内でさらに含むことが好ましい。無機充填材の量が少なすぎると、無機充填材の添加により硬化物の線膨張係数を低減する効果が充分に得られないことがある。無機充填材の量が多すぎると、硬化物の加工性が低下したり、硬化物が脆くなって割れやすくなったりする。
上記無機繊維として、ガラス繊維又はガラスクロス等が挙げられる。上記有機繊維として、アラミド繊維又は超延伸ポリエチレン繊維等が挙げられる。
上記無機添加剤、無機繊維又は有機繊維は、必要に応じて表面処理剤により表面処理されていてもよい。上記無機添加剤、無機繊維又は有機繊維は、表面処理剤により表面処理されていることが好ましい。上記表面処理剤は、シランカップリング剤であることが好ましい。
熱硬化性組成物に、炭素繊維やナノカーボン材料を添加してもよい。ただし、これらを添加する場合には、硬化物の導電性に注意する必要がある。これらを添加する場合には、電磁波吸収材料、帯電防止シート又は熱伝導シート等として熱硬化性組成物を好適に使用できる。
上記熱硬化性樹脂Aと、上記硬化剤と、必要に応じて配合される添加物とを混合する方法は公知の混合方法を用いることができ、特に制限されない。この方法の具体例として、攪拌機、ボールミル又は三本ロール等を用いて混合する方法が挙げられる。
(積層フィルム)
図1に、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを部分切欠正面断面図で示す。
図1に、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを部分切欠正面断面図で示す。
図1に示すように、積層フィルム1は、基材フィルム2と、該基材フィルム2の上面2aに積層されている樹脂フィルム3とを備える。樹脂フィルム3は、本発明に係る樹脂組成物により形成されている。
樹脂フィルム3は、具体的には、熱硬化性組成物を成形することにより形成されている。熱硬化性組成物を基材フィルムの上面に塗工した後、必要に応じて乾燥することにより、樹脂フィルムを形成できる。希釈剤を用いた場合、希釈剤を加熱や減圧により揮発させることが好ましい。また、熱硬化性組成物を押出機にて溶融混練した後、押出し、Tダイやサーキュラーダイ等を用いて成形することにより、樹脂フィルムを形成できる。なお、「フィルム」には、シートも含まれる。
基材フィルムの離型性、熱硬化性組成物の各成分の濃度、熱硬化性組成物に配合する溶媒や添加剤等を調整することにより、樹脂フィルムを所望の形状に成形できる。
上記基材フィルムとして、樹脂コート紙、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム又は銅箔などの金属箔等が挙げられる。
樹脂組成物又は樹脂フィルムは、加熱することにより硬化される。硬化温度及び硬化時間は、硬化剤の種類や添加量又は形状等により適宜設定される。硬化温度は、一般的には150〜250℃の範囲内であり、硬化時間は30分から12時間の範囲内である。硬化温度及び硬化時間は、使用する硬化剤により調整できる。硬化温度が高すぎると、例えば熱硬化性組成物を回路基板に用いる場合に配線等が酸化しやすくなり、また加熱工程のコストも高くなる。硬化温度が低すぎると、ポットライフが短くなる可能性がある。硬化時間は短いほど、硬化の際の作業効率が高められる。硬化温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって、熱硬化性組成物の発熱ピークから判断できる。
(積層体)
本発明に係る積層体は、基板と、該基板上に積層されており、かつ本発明の熱硬化性組成物又は該熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムを硬化させることにより形成されている硬化物層とを備える。基板上に、上記熱硬化性組成物又は樹脂フィルムを積層した後、該熱硬化性組成物又は該樹脂フィルムを加熱し、硬化させることにより硬化物層を形成できる。基板上に、複数の上記硬化物層が積層されていてもよい。積層体は、硬化物層の少なくとも一方の面に積層されている金属層をさらに備えていてもよい。
本発明に係る積層体は、基板と、該基板上に積層されており、かつ本発明の熱硬化性組成物又は該熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムを硬化させることにより形成されている硬化物層とを備える。基板上に、上記熱硬化性組成物又は樹脂フィルムを積層した後、該熱硬化性組成物又は該樹脂フィルムを加熱し、硬化させることにより硬化物層を形成できる。基板上に、複数の上記硬化物層が積層されていてもよい。積層体は、硬化物層の少なくとも一方の面に積層されている金属層をさらに備えていてもよい。
図2に、本発明の一実施形態に係る積層体としての多層プリント配線板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図2に示す多層プリント配線板11は、基板12の上面12aに、複数の絶縁層3Aが積層されている。絶縁層3Aは、樹脂フィルム3を硬化させた硬化物層により形成されている。
最上層の絶縁層3A以外の絶縁層3Aの上面3aには、一部の領域に金属層13が形成されている。絶縁層3Aの各層間に、金属層13が配置されている。下方の金属層13と上方の金属層13とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
〔GPC測定〕
島津製作所社製の高速液体クロマトグラフシステムを使用し、テトラヒドロフラン(THF)を展開媒として、カラム温度40℃及び流速1.0ml/分の条件でGPC測定を行った。検出器として「RID−10A」を用いた。カラムはShodex社製「KF−804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー社製「TSKスタンダードポリスチレン」を用いて、重量平均分子量Mw354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500のものを使用して較正曲線を作成し、分子量を計算した。
島津製作所社製の高速液体クロマトグラフシステムを使用し、テトラヒドロフラン(THF)を展開媒として、カラム温度40℃及び流速1.0ml/分の条件でGPC測定を行った。検出器として「RID−10A」を用いた。カラムはShodex社製「KF−804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー社製「TSKスタンダードポリスチレン」を用いて、重量平均分子量Mw354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500のものを使用して較正曲線を作成し、分子量を計算した。
〔NMR測定〕
日本電子社製のJMN−ECX400型核磁気共鳴装置を用いて測定した。測定核は主として水素であり、特に断りのない限り、検体を重クロロホルムに溶解して測定した。
日本電子社製のJMN−ECX400型核磁気共鳴装置を用いて測定した。測定核は主として水素であり、特に断りのない限り、検体を重クロロホルムに溶解して測定した。
〔試薬〕
試薬は特に断りのない限りアルドリッチ社製の試薬を精製せずに用いた。
試薬は特に断りのない限りアルドリッチ社製の試薬を精製せずに用いた。
(実施例1)
(1)合成例1:ポリインダン化合物の合成
1,3−ジ(イソプロペニル)ベンゼン81.6g(0.52mol)を塩化メチレン3.3Lに溶解し、トリフルオロ酢酸288g(2.53mol)の300mL塩化メチレン溶液を加え、室温にて3時間撹拌した。撹拌開始から3時間後、500mLのメタノールを加えた。得られた溶液を約750mLになるように濃縮し、濃縮液を4.5Lイソプロパノールに投入し、15分撹拌した。沈殿した固体を濾過してとり、イソプロパノールにて中性になるまで洗浄した。中性となった固体を減圧にて乾燥し、トルエンに溶解した後、トルエン溶液を5倍量のイソプロパノール中に投入し、再沈殿を行った。得られた固体を真空乾燥し、白色固体70gを得た。収率は約80%であった。
(1)合成例1:ポリインダン化合物の合成
1,3−ジ(イソプロペニル)ベンゼン81.6g(0.52mol)を塩化メチレン3.3Lに溶解し、トリフルオロ酢酸288g(2.53mol)の300mL塩化メチレン溶液を加え、室温にて3時間撹拌した。撹拌開始から3時間後、500mLのメタノールを加えた。得られた溶液を約750mLになるように濃縮し、濃縮液を4.5Lイソプロパノールに投入し、15分撹拌した。沈殿した固体を濾過してとり、イソプロパノールにて中性になるまで洗浄した。中性となった固体を減圧にて乾燥し、トルエンに溶解した後、トルエン溶液を5倍量のイソプロパノール中に投入し、再沈殿を行った。得られた固体を真空乾燥し、白色固体70gを得た。収率は約80%であった。
白色固体のNMR測定を行った結果、芳香族プロトンに基づく7ppm付近のブロードなシグナルと、メチル基プロトンに基づく1〜2ppm付近のブロードなシグナルとが観察され、原料であるジイソプロペニルベンゼンに基づくオレフィン領域(5〜6ppm)は観察されなかったことから、白色固体は上記式(2)で表される構造を有するポリインダン化合物と矛盾しない。
(2)合成例2:ポリインダン化合物へのアリル基導入
臭化アリル122.2gを、脱水したn−ヘプタン150.3gに溶解した。この溶液を窒素バブリングしながら、合成例1で得られたポリインダン化合物31.7gを加え溶解した。この溶液に20gのモレキュラーシーブ4Aと炭酸カルシウム105gを加え、撹拌した。この溶液にインジウム粉末を加え、50℃まで加熱し、8時間撹拌した。反応混合物は冷却後、6時間室温にて撹拌を続けた。この溶液にn−ヘプタン300mLを加えて希釈し、15分撹拌した後、固体を濾過して取り除いた。濾液は200mLとなるように濃縮し、lLのイソプロパノールに投入し、ポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過してとり、イソプロパノールで洗浄した。得られた固体をトルエン200mLに溶解し、1Lイソプロパノール中に投入して再沈殿させた。70℃にて真空乾燥を行い、27gのポリマーを得た。計算収率は83%であった。NMR測定により、5〜6ppmのオレフィン領域に新たなシグナルが観察された。このことから、アリル基が導入されたポリインダン化合物が得られていることを確認した。プロトンNMRの積分値よりアリル基の導入率を確認したところ、アリル基の導入率は18%(mol/mol)であった。
臭化アリル122.2gを、脱水したn−ヘプタン150.3gに溶解した。この溶液を窒素バブリングしながら、合成例1で得られたポリインダン化合物31.7gを加え溶解した。この溶液に20gのモレキュラーシーブ4Aと炭酸カルシウム105gを加え、撹拌した。この溶液にインジウム粉末を加え、50℃まで加熱し、8時間撹拌した。反応混合物は冷却後、6時間室温にて撹拌を続けた。この溶液にn−ヘプタン300mLを加えて希釈し、15分撹拌した後、固体を濾過して取り除いた。濾液は200mLとなるように濃縮し、lLのイソプロパノールに投入し、ポリマーを沈殿させた。ポリマーを濾過してとり、イソプロパノールで洗浄した。得られた固体をトルエン200mLに溶解し、1Lイソプロパノール中に投入して再沈殿させた。70℃にて真空乾燥を行い、27gのポリマーを得た。計算収率は83%であった。NMR測定により、5〜6ppmのオレフィン領域に新たなシグナルが観察された。このことから、アリル基が導入されたポリインダン化合物が得られていることを確認した。プロトンNMRの積分値よりアリル基の導入率を確認したところ、アリル基の導入率は18%(mol/mol)であった。
(3)合成例3:アリル基の酸化(エポキシ化)
合成例2で得られたアリル基が導入されたポリインダン化合物26gを塩化メチレン270gに溶解し、溶液を得た。この溶液にメタクロロ過安息香酸(70%)20.6g(アリル基に対して3当量)をゆっくり加えた後、室温にて18時間攪拌した。次に、得られた溶液を濾過し、固形分を塩化メチレンで洗浄した後、濾液を粘度のある液体となるまで濃縮した。この液体をトルエンに溶解し、生じた固体を濾過して取り除いた。トルエン溶液を濃縮し、若干粘度のある溶液の状態とした。このトルエン溶液をイソプロパノールに投入し、生じた沈殿を濾過してとり、更に沈殿をイソプロパノールにて洗浄した。再度、固体をトルエンにとかし、イソプロパノールに投入し、濾過して固体をとり、イソプロパノールとメタノールにより洗浄し、その後、この固体を乾燥した。このようにして白色固体23gを得た。
合成例2で得られたアリル基が導入されたポリインダン化合物26gを塩化メチレン270gに溶解し、溶液を得た。この溶液にメタクロロ過安息香酸(70%)20.6g(アリル基に対して3当量)をゆっくり加えた後、室温にて18時間攪拌した。次に、得られた溶液を濾過し、固形分を塩化メチレンで洗浄した後、濾液を粘度のある液体となるまで濃縮した。この液体をトルエンに溶解し、生じた固体を濾過して取り除いた。トルエン溶液を濃縮し、若干粘度のある溶液の状態とした。このトルエン溶液をイソプロパノールに投入し、生じた沈殿を濾過してとり、更に沈殿をイソプロパノールにて洗浄した。再度、固体をトルエンにとかし、イソプロパノールに投入し、濾過して固体をとり、イソプロパノールとメタノールにより洗浄し、その後、この固体を乾燥した。このようにして白色固体23gを得た。
得られた白色固体のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)は25,000、重量平均分子量(Mw)は150,000であった。得られた白色固体のプロトンNMR測定を行ったところ、オレフィン領域のシグナルが消失し、2.5〜3.5ppmにエポキシ基由来のブロードなシグナルが観察された。このことから、ほぼ定量的にアリル基の不飽和結合がエポキシ化されたこをと確認した。
合成例3で得られた白色固体は、上記式(1)で表される構造を有し、かつ上記式(2)で表される構造を有し、上記式(1)中のRが上記式(3)で表される基である熱硬化性樹脂であった。また、合成例3で得られた白色固体は、上記式(1)で表される構造のエポキシ基を有するインダンユニットと、上記式(2)で表される構造のエポキシ基を有しないインダンユニットとの合計100モル%中に、上記エポキシ基を有するインダンユニットを約18モル%有し、上記エポキシ基を有しないインダンユニットを約82モル%有する熱硬化性樹脂であった。
(4)熱硬化性組成物の調製
合成例3で得られた白色固体3.0g(熱硬化性樹脂、エポキシ当量計算値約345)と、ジシクロペンタジエンフェノール硬化剤(新日本石油社製、DPP6115H、OH当量183)1.5gとをトルエン5.0gに溶解し、粘稠な溶液である熱硬化性組成物を得た。
合成例3で得られた白色固体3.0g(熱硬化性樹脂、エポキシ当量計算値約345)と、ジシクロペンタジエンフェノール硬化剤(新日本石油社製、DPP6115H、OH当量183)1.5gとをトルエン5.0gに溶解し、粘稠な溶液である熱硬化性組成物を得た。
(評価)
実施例1で得られた熱硬化性組成物を離型処理されたPETフィルム上に、アプリケーター(テスター産業社製)を用いて塗工した。その後、80℃で30分間乾燥し、PETフィルム上に膜厚100μmの樹脂フィルムを形成した。得られた樹脂フィルムを180℃のオーブン内で3時間加熱し、硬化させた。硬化後の樹脂フィルムは、透明でわずかに脆かった。
実施例1で得られた熱硬化性組成物を離型処理されたPETフィルム上に、アプリケーター(テスター産業社製)を用いて塗工した。その後、80℃で30分間乾燥し、PETフィルム上に膜厚100μmの樹脂フィルムを形成した。得られた樹脂フィルムを180℃のオーブン内で3時間加熱し、硬化させた。硬化後の樹脂フィルムは、透明でわずかに脆かった。
SIIナノテクノロジー社製のTMA装置SS−6100にて室温から100℃における硬化後の樹脂フィルムの線膨張係数を測定した。この結果、硬化後の樹脂フィルムの線膨張係数は40ppm/Kであった。また、アジレントテクノロジー E−8801A装置を用いて、硬化後の樹脂フィルムの誘電率及び誘電正接を測定(空洞共振法)した。この結果、硬化後の樹脂フィルムの周波数1GHzでの誘電率は2.95であり、誘電正接は0.008であった。
実施例1の熱硬化性組成物の硬化物の線膨張係数は、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化物の線膨張係数70〜80ppm/Kよりも低かった。従って、温度変化に晒されても、熱硬化性組成物の硬化物と配線との熱膨張の差を小さくすることができる。このため、実施例1の熱硬化性組成物は、極めて信頼性の高い絶縁材料であるといえる。また、実施例1の熱硬化性組成物の硬化物の誘電率は、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化物の誘電率3.5以上よりも低かった。また、実施例1の熱硬化性組成物の硬化物の誘電正接も十分に低いことから、実施例1の熱硬化性組成物は極めて有効な絶縁材料であることを確認できた。
1…積層フィルム
2…基材フィルム
2a…上面
3…樹脂フィルム
3A…絶縁層
3a…上面
11…多層プリント配線板
12…基板
12a…上面
13…金属層
2…基材フィルム
2a…上面
3…樹脂フィルム
3A…絶縁層
3a…上面
11…多層プリント配線板
12…基板
12a…上面
13…金属層
Claims (8)
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内にある、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含むことを特徴とする、熱硬化性組成物。
- 基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に積層されており、かつ請求項4に記載の熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムとを備えることを特徴とする、積層フィルム。
- 基板と、該基板上に積層されており、かつ請求項4に記載の熱硬化性組成物又は該熱硬化性組成物により形成された樹脂フィルムを硬化させることにより形成された硬化物層とを備えることを特徴とする、積層体。
- 基板上に、複数の前記硬化物層が積層されている、請求項6に記載の積層体。
- 前記硬化物層の少なくとも一方の面に積層されている金属層をさらに備える、請求項6または7に記載の積層体。
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---|---|---|---|
JP2008222423A JP2010053314A (ja) | 2008-08-29 | 2008-08-29 | 熱硬化性樹脂、熱硬化性組成物、積層フィルム及び積層体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019085131A (ja) * | 2017-11-02 | 2019-06-06 | 積水化学工業株式会社 | ロール包装体 |
KR20190098212A (ko) * | 2016-12-19 | 2019-08-21 | 이스트만 케미칼 컴파니 | 폴리인단 수지를 포함하는 접착제 |
-
2008
- 2008-08-29 JP JP2008222423A patent/JP2010053314A/ja active Pending
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JP2019085131A (ja) * | 2017-11-02 | 2019-06-06 | 積水化学工業株式会社 | ロール包装体 |
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