JP2010043573A - 圧縮機の弁板装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】とくに吸入孔の構造の改良により、圧縮機の騒音の増大を招くことなく、吸入効率の大幅な改善、耐久性の確保が可能な圧縮機の弁板装置を提供する。
【解決手段】圧縮機の吸入室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吸入孔と、該吸入孔を開閉可能なリード弁からなる吸入弁を備えた圧縮機の弁板装置において、吸入孔を、弁板の平面視方向に見て、孔幅よりも孔長さの方が大きい長孔部を有する細長形状に形成し、長孔部における孔長さをL、最大孔幅をWとするとき、L≧4Wを満たしていることを特徴とする圧縮機の弁板装置。
【選択図】図3
【解決手段】圧縮機の吸入室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吸入孔と、該吸入孔を開閉可能なリード弁からなる吸入弁を備えた圧縮機の弁板装置において、吸入孔を、弁板の平面視方向に見て、孔幅よりも孔長さの方が大きい長孔部を有する細長形状に形成し、長孔部における孔長さをL、最大孔幅をWとするとき、L≧4Wを満たしていることを特徴とする圧縮機の弁板装置。
【選択図】図3
Description
本発明は、圧縮機の弁板装置に関し、とくに、吸入孔および吸入弁部の構造を改良した圧縮機の弁板装置に関する。
図18および図19に示すように、吸入室101および吐出室102が形成されたシリンダヘッド103とシリンダボア104が形成されたシリンダブロック105との間に、吸入室101とシリンダボア104との間を連通可能な吸入孔106および吐出室102とシリンダボア104との間を連通可能な吐出孔107が形成された弁板108が介装され、該弁板108の吸入孔106に対し、吸入孔開閉用のリード弁からなる吸入弁109が設けられているとともに、該リード弁109の先端側に吸入孔106が配置されている圧縮機の構造はよく知られている。図示例では、吐出孔107に対しては吐出弁110が設けられ、シリンダボア104の吸入弁109の先端側には、リード弁からなる吸入弁109開時に該リード弁の先端部を係止可能な、ストッパとしてのリセス111が形成されている。なお、図18において、112は、シリンダボア104内に往復動自在に挿入されたピストン、113は、吐出弁110開時のストッパとしてのリテーナを、それぞれ示している。また、図19における114は、リード弁からなる吸入弁109の根元部側に形成された穴を示しており、該穴114の形成により、吸入弁109が、吐出孔107を介してのシリンダボア104と吐出室102との間の連通を妨げないようになっている。図20は、7気筒の場合の吸入弁109全体の構造例を、図21は、7気筒の場合の弁板108全体の構造例を、それぞれ示している。
図18、図19に示したように、従来のピストン式圧縮機における弁板108の吸入孔106は円形に形成されており、これを塞ぐ吸入弁109は、吸入孔106より一回り大きい頭部を持つリード弁に構成されることが一般的であった。しかし、この形状では、吸入行程における流体(例えば、冷媒)の吸入効率が悪く、これを向上させるためにリセス111を深くする手法がよく採られてきた。しかしながら、リセス111を深くすると、吸入弁109の先端部がリセス111に係止される際の衝撃が大きくなり、圧縮機の騒音レベルの増加を招くという悪影響を伴うことが多かった。また、リセス111を深くせずに吸入効率を向上させるために、吸入孔106の孔径を拡大する手法がよく採られてきたが、吸入孔径を拡大すると吸入弁109の吹き抜け耐久性が低下してしまい、その分圧縮機の耐久性が損なわれるおそれがあった。
そこで、特許文献1、2に開示されているような構造が提案されている。特許文献1では、弁板吸入孔面積を部分的に拡大し、かつ、その拡大部中に、圧縮時の高圧力を受ける支持部を設けている。また、特許文献2では、吸入弁が、吸入時の受圧面積が大きくなるような形状に形成されている。
特開平8−28449号公報
特開2002−81381号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されているような構造をもってしても、吸入ガス流路面積は未だ不十分であり、とくに、大きな吸入効率改善には至っていない。
そこで本発明の課題は、とくに吸入孔の構造、さらには吸入弁の構造を従来にない新規な構造とすることにより、圧縮機の騒音の増大を招くことなく、吸入効率の大幅な改善、圧縮機の耐久性の確保をはかることが可能な圧縮機の弁板装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る圧縮機の弁板装置は、圧縮機の吸入室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吸入孔と、該吸入孔を開閉可能なリード弁からなる吸入弁を備えた圧縮機の弁板装置において、前記吸入孔を、弁板の平面視方向に見て、孔幅よりも孔長さの方が大きい長孔部を有する細長形状に形成し、前記長孔部における孔長さをL、最大孔幅をWとするとき、L≧4Wを満たしていることを特徴とするものからなる。
上記のように吸入孔をL≧4Wを満たす長孔部を有する細長形状に形成することにより、吸入孔径を拡大しなくても、十分に大きな吸入ガス流路面積を確保することが可能になるとともに、吸入孔の周長を容易に大きくとることができるため吸入孔の周縁部を通して容易にガスが通過できるようになり、吹き抜け耐久性の低下が防止可能となる。また、吸入ガスの通過性が向上されるため、吸入弁係止のためのリセスを敢えて深くする必要はなく、吸入弁の先端部がリセスに係止される際の衝撃を小さく抑えて、圧縮機の騒音レベルの増加を防止することも可能になる。したがって、圧縮機の騒音の増大を招くことなく、吸入効率の大幅な改善、圧縮機の耐久性の確保が可能となる。
本発明に係る圧縮機の弁板装置においては、上記最大孔幅Wが弁板の厚さ以上であることが好ましい。このような最大孔幅Wが弁板の厚さとの関係とすることによって、とくに、吸入孔を弁板にパンチで穿設する際、目標とする形状の吸入孔を容易に精度良く形成できるようになる。最大孔幅Wが弁板の厚さ未満だと、パンチで吸入孔を目標とする形状に精度良く穿孔しずらくなる。
また、上記長孔部は、各種の形態に形成可能である。例えば、上記長孔部は、直線状に延びる形状に形成することも可能であるが、湾曲または屈曲して延びている形状に形成することも可能である。湾曲して延びる形状としては、例えば、U字形やS字形の形状を採用でき、屈曲して延び延びる形状としては、例えば、V字形やW字形の形状を採用できる。
また、上記長孔部は、一つの吸入孔を形成するために、一つだけ設けることもでき、一つのシリンダボアに対応する一つの吸入孔形成用に、上記長孔部が複数設けられている形態とすることもできる。
一つの吸入孔形成用に複数の長孔部を設ける場合には、その複数の長孔部が互いに接続されている形態(例えば、十字状やX字状に接続されている形態)、複数の長孔部が互いに離間されている形態(例えば、互いに平行に延びるように離間配置されている形態)のいずれも採用可能である。
また、上記長孔部の孔幅が、孔長さ方向において、部分的に変化している形態とすることも可能である。例えば、長孔部の長手方向途中部分の孔幅が部分的に拡大されている形態(円形や長孔状に部分的に拡大されている形態等)や、長孔部の長手方向途中部分から長孔部の端部までの孔幅が、それまでの部分に比べ拡大されている形態、等とすることが可能である。
一つの吸入孔の全体形状としても、弁板の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態、弁板の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右非対称形状に形成されている形態、のいずれをも採り得る。
上記のように形成される長孔部を有する吸入孔に対し、吸入弁の形状、構成についても各種態様を採り得る。例えば、吸入弁が開かれたとき、シリンダボア内に流入される流体の主要通過経路が3つ以上となるように、上記吸入弁が上記吸入孔の形状に沿った形状に形成されている形態とすることができる。例えば、吸入孔がU字状やS字状の形状に形成されている場合には、その吸入孔の形状に沿った形状に吸入弁を形成し、吸入弁の延設部各部に対して流体の主要通過経路を形成することが可能である。
あるいは、吸入弁が開かれたとき、シリンダボア内に流入される流体の主要通過経路が3つ以上となるように、吸入弁中に吸入弁の板厚方向に貫通する連通孔が設けられている、形態とすることができる。例えば、吸入孔がU字状の形状に形成されている場合には、その吸入孔の形状に沿ったU字形状の吸入弁のU字の両腕間を連通孔として形成することが可能である。また、吸入孔が、平行に配置された複数の長孔部から形成されている場合には、各長孔部間部分に対応する吸入弁部分に板厚方向に貫通する連通孔を設けておくことが可能である。
また、後述の実験結果から、吸入弁が開かれたときの、簡易開口面積が、シリンダボア横断面積の0.055以上に設定されていることが好ましい。ここで、簡易開口面積は、吸入弁が弁板の面に対し1mm分平行移動して開いたと仮定したときの、吸入孔周縁とそれに対向する吸入弁の面との間の帯状に延びる仮想面の面積として定義される。このように設定すれば、圧縮機の高速回転時にも、所定レベル以上の高い取り込み効率(吸入効率)が確保されることになる。
なお、圧縮機の弁板装置には、圧縮機の吐出室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吐出孔と、該吐出孔を開閉可能な吐出弁(例えば、同様にリード弁からなる吐出弁)も備えられるが、本発明における上記のような吸入孔および吸入弁は、これら吐出孔および吐出弁よりも、圧縮機の径方向外側に配置されている構成とすることもできるし、吐出孔および吐出弁よりも、圧縮機の径方向内側に配置されている構成とすることもできる。
本発明に係る圧縮機の弁板装置が適用される圧縮機としては特に限定されないが、本発明は、騒音の低減、吸入効率の改善、耐久性の向上が強く求められる、車両用空調装置に使用される圧縮機にとくに好適なものである。
このように、本発明に係る圧縮機の弁板装置によれば、吸入孔を特定の細長形状に形成したので、吸入孔径を拡大しなくても、十分に大きな吸入ガス流路面積を確保でき、吸入孔の周長を大きくし容易にガスが通過できるようにして吹き抜け耐久性を改善でき、また、吸入弁係止のためのリセスを深くしなくても済むので圧縮機の騒音レベルを低く抑えることができる。したがって、圧縮機の騒音の増大を招くことなく、吸入効率の大幅な改善、圧縮機の耐久性の確保が可能となる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る圧縮機の弁板装置の一気筒部分およびその周りの構造例を示している。なお、以下の構造例は、本発明における吸入孔および吸入弁が、弁板装置に設けられる吐出孔と吐出弁よりも圧縮機の径方向外側に配置されている構造例について説明するが、前述の如く、本発明は、本発明における吸入孔および吸入弁が、弁板装置に設けられる吐出孔と吐出弁よりも圧縮機の径方向内側に配置されている構造についても成立する。図1において、吸入室1および吐出室2が形成されたシリンダヘッド3とシリンダボア4が形成されたシリンダブロック5との間に、吸入室1とシリンダボア4との間を連通可能な吸入孔6および吐出室2とシリンダボア4との間を連通可能な吐出孔7が形成された弁板8が介装されている。弁板8の吸入孔6に対して、吸入孔開閉用のリード弁からなる吸入弁9が設けられているとともに、該リード弁9の先端側に吸入孔6が配置されている。吐出孔7に対しては吐出弁10が設けられ、シリンダボア4の吸入弁9の先端側には、リード弁からなる吸入弁9開時に該リード弁の先端部を係止可能な、ストッパとしてのリセス11が形成されている。シリンダボア4内には往復動自在にピストン12が挿入されており、該往復動に伴って、吸入室1からシリンダボア4内へ被圧縮流体(例えば、冷媒ガス)が吸入され、圧縮された流体がシリンダボア4内から吐出室2内へ吐出される。13は、吐出弁10開時のストッパとしてのリテーナを示している。
図1は、本発明の一実施態様に係る圧縮機の弁板装置の一気筒部分およびその周りの構造例を示している。なお、以下の構造例は、本発明における吸入孔および吸入弁が、弁板装置に設けられる吐出孔と吐出弁よりも圧縮機の径方向外側に配置されている構造例について説明するが、前述の如く、本発明は、本発明における吸入孔および吸入弁が、弁板装置に設けられる吐出孔と吐出弁よりも圧縮機の径方向内側に配置されている構造についても成立する。図1において、吸入室1および吐出室2が形成されたシリンダヘッド3とシリンダボア4が形成されたシリンダブロック5との間に、吸入室1とシリンダボア4との間を連通可能な吸入孔6および吐出室2とシリンダボア4との間を連通可能な吐出孔7が形成された弁板8が介装されている。弁板8の吸入孔6に対して、吸入孔開閉用のリード弁からなる吸入弁9が設けられているとともに、該リード弁9の先端側に吸入孔6が配置されている。吐出孔7に対しては吐出弁10が設けられ、シリンダボア4の吸入弁9の先端側には、リード弁からなる吸入弁9開時に該リード弁の先端部を係止可能な、ストッパとしてのリセス11が形成されている。シリンダボア4内には往復動自在にピストン12が挿入されており、該往復動に伴って、吸入室1からシリンダボア4内へ被圧縮流体(例えば、冷媒ガス)が吸入され、圧縮された流体がシリンダボア4内から吐出室2内へ吐出される。13は、吐出弁10開時のストッパとしてのリテーナを示している。
上記のような基本構成を備えた圧縮機の弁板装置において、本発明では、吸入孔6が、弁板8の平面視方向に見て(図1における上方から見て)、孔幅よりも孔長さの方が大きい長孔部を有する細長形状に形成され、かつ、その長孔部における孔長さをL、最大孔幅をWとするとき、L≧4Wを満たすように形成される。例えば図2(A)、(B)に示すように、細長形状の吸入孔6a、6bにおいて、長手方向の孔長さをLとし、短手方向の最大孔幅をWとする(孔幅が一定の場合にはその孔幅をWとする)。また、例えば図3(A)に示すように、吸入孔6cが折り曲げられている形状(湾曲したり屈曲している形状、例えば、図示のようにU字形)では、Lは、図3(B)に示すように折り曲げられた吸入孔6cを直線状に戻したときの長さとする。さらに、例えば図4(A)に示すようにT字形やX字形、E字形のように複数の孔が組み合わさった形状の吸入孔6d、6eでは、図4(B)に示すように、組み合わさったそれぞれの孔21a、21bを分離させたときの吸入孔形状として考え、Lは各孔21a、21bの長さを足し合わせた時の長さ、Wは各孔21a、21bの幅のうちの最大幅とする。この長孔部における上記最大孔幅Wは、前述の如く吸入孔のパンチ加工性の面から、弁板8の厚さ以上であることが好ましい。
本発明において、一つの吸入孔全体の弁板8の平面視方向に見た形状としては、前述の如く各種形態、各種形状を採り得る。図3に示したU字形状以外の形状例を、図5〜図11に弁板8全体の平面図として例示する。何れの例も、本発明で規定したL≧4Wを満たす長孔部を有する細長形状の吸入孔に構成されている。図5に示す例では、W字形の吸入孔6fに形成されており、この場合、一つの吸入孔6f形成用の複数の長孔部が互いに接続されておりかつ屈曲して延びている形態となる。また、一つの吸入孔6fの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。図6に示す例では、S字形の吸入孔6gに形成されており、この場合、一つの吸入孔6g形成用の長孔部が湾曲して延び、かつ、一つの吸入孔6gの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右非対称形状に形成されている形態となる。
また、図7に示す例では、十字形の吸入孔6hに形成されており、この場合、一つの吸入孔6h形成用の複数の長孔部が互いに十字に交差、接続されており、かつ、一つの吸入孔6hの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。この場合、十字形に代えてX字形の吸入孔を形成することも可能である(図示略)。また、図8に示す例では、略E字形の吸入孔6iに形成されており、この場合、一つの吸入孔6h形成用の複数の長孔部が互いに略E字状に接続されており、かつ、一つの吸入孔6iの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。また、図9に示す例では、一つの長孔部の途中を部分的に円形にした形状の吸入孔6jに形成されており、この場合、一つの吸入孔6jの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。この場合、本発明における長孔部における最大孔幅は、円形部の直径となる。
また、図10に示す例では、弁板8の略径方向に延びる互いに離間された複数の長孔部が一つの吸入孔6kを形成しているいる形態に構成され、複数の長孔部は略同じ長さにて互いに平行に延びるように離間配置されている。この場合、一つの吸入孔6kの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。また、図11に示す例では、弁板8の径方向と交差する方向に延びる互いに離間された複数の長孔部が一つの吸入孔6lを形成しているいる形態に構成され、複数の長孔部は互いに異なる長さにて互いに平行に延びるように離間配置されている。この場合にも、一つの吸入孔6lの全体形状としては、弁板8の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている形態となる。
また、図9に示したのと同様に、長孔部の孔幅が、孔長さ方向において、部分的に変化している形態とすることも可能である。例えば、図12(A)に示すように、長孔部22aの長手方向途中部分の孔幅が部分的に拡大されている形態(より大きな孔幅部22bを有する形態)に構成したり、図12(B)に示すように、長孔部23aの長手方向途中部分から長孔部の端部までの間に、孔幅がより大きな長孔部23bが形成されている形態とすることが可能である。図12(A)や図12(B)に示した形状の長孔は、単体で一つの吸入孔を形成することもできるし、複数組み合わせて一つの吸入孔を形成することもできる。複数組み合わせる場合には、各長孔の形状は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
また、本発明においては、上記のような各種長孔部を有する吸入孔に対し、吸入弁の形状、構成についても工夫を加えることができる。例えば図13に示すように(図13では図1とは天地逆転して示されている)、吸入弁9が開かれたとき、シリンダボア内に流入される流体の主要通過経路31a、31b、31cが3つ以上となるように、吸入弁9の中央部に連通孔32が形成されている。例えば、図3に示したようなU字状の形状に形成されている吸入孔の場合には、その吸入孔の形状に沿ったU字形状の吸入弁とし、該吸入弁のU字の両腕間を連通孔として形成することが可能である。また、吸入孔が、平行に配置された複数の長孔部から形成されている場合には、各長孔部間部分に対応する吸入弁部分に板厚方向に貫通する連通孔を設けておくことが可能である(後述の図14に例示する)。さらに吸入孔が、図6に示したようなS字状の形状に形成されている場合には、そのS字に沿わせて吸入弁を形成することにより、吸入弁の延在途中部分に上記同様の主要通過経路を形成するための連通孔と同等の連通路を形成することが可能である(後述の図15に例示する)。
図14、図15に、上記のような場合の吸入孔と吸入弁の組み合わせについて例示する。図14(A)は、連通孔42を有する吸入弁41を、図14(B)は、弁板8に形成された平行に離間させて配列された複数の長孔からなる吸入孔43を示しており、図14(C)に示すように、これらが組み合わされて、吸入孔43を構成する各長孔間に吸入弁41の連通孔42が位置されて、上述した主要通過経路を形成するための連通孔として機能する。図15(A)は、連通路52を有するS字状に延びる吸入弁51を、図15(B)は、弁板8に形成されたS字状に延びる吸入孔53を示しており、図15(C)に示すように、これらが組み合わされて、吸入孔53を構成するS字状に延びる各部位間に吸入弁51の連通路52が位置されて、上述した主要通過経路を形成するための連通孔(連通路)として機能する。
また、本発明では、簡易開口面積の概念を規定して、簡易開口面積と取り込み効率(吸入効率)との関係を実験によって求め、所定の簡易開口面積以上とすることにより、所定レベル以上の高い取り込み効率(吸入効率)を確保でき、本発明による明確な効果が得られることを確認した。ここで、簡易開口面積は、図16に示すように規定される。すなわち、図16(A)に示すような吸入弁9が図16(B)に示すようにリフトしたとき、吸入弁9と弁板8間に生じる開口面積S1は、吸入弁9が吸入弁9の慣性や衝突する流体の運動エネルギーにより変形するため、厳密に求めることが困難である。そのため、図16(C)に示すように、吸入弁9が弁板8の面に対し1mm分平行移動して開いたと仮定したときの、吸入孔6周縁とそれに対向する吸入弁9の面との間の帯状に延びる仮想面の面積を簡易開口面積S2として定義する。
このように定義される簡易開口面積が、シリンダボア横断面積の0.055以上に設定されていることが好ましい。すなわち、図17に、シリンダボア横断面積に対する簡易開口面積の比と、取り込み効率(吸入効率)(単位:%)との関係について、ある圧縮機を1000rpm、2000rpm、3000rpmにて試験した結果を示すが、目標取り込み効率を3000rpmにて95%以上と設定した場合、上記定義による簡易開口面積をシリンダボア横断面積の0.055以上とすることにより、目標取り込み効率を達成できることを実験により確認できた。
なお、ここで、取り込み効率:ηsuction[%]は次のように定義される。
ηsuction=Gsuction/Gidea
Gsuction:実取り込み冷媒量
Gidea :理論冷媒取り込み量
ηsuction=Gsuction/Gidea
Gsuction:実取り込み冷媒量
Gidea :理論冷媒取り込み量
本発明に係る圧縮機の弁板装置は、とくに、騒音の低減、吸入効率の改善、耐久性の向上が強く求められる、車両用空調装置に使用される圧縮機に好適なものである。
1 吸入室
2 吐出室
3 シリンダヘッド
4 シリンダボア
5 シリンダブロック
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h、6i、6j、6k、6l、6m、6n、43、53 吸入孔
7 吐出孔
8 弁板
9、41、51 吸入弁
10 吐出弁
11 リセス
12 ピストン
13 リテーナ
31a、31b、31c 流体の主要通過経路
32 連通孔
連通孔 42
連通路 52
2 吐出室
3 シリンダヘッド
4 シリンダボア
5 シリンダブロック
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h、6i、6j、6k、6l、6m、6n、43、53 吸入孔
7 吐出孔
8 弁板
9、41、51 吸入弁
10 吐出弁
11 リセス
12 ピストン
13 リテーナ
31a、31b、31c 流体の主要通過経路
32 連通孔
連通孔 42
連通路 52
Claims (15)
- 圧縮機の吸入室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吸入孔と、該吸入孔を開閉可能なリード弁からなる吸入弁を備えた圧縮機の弁板装置において、前記吸入孔を、弁板の平面視方向に見て、孔幅よりも孔長さの方が大きい長孔部を有する細長形状に形成し、前記長孔部における孔長さをL、最大孔幅をWとするとき、L≧4Wを満たしていることを特徴とする圧縮機の弁板装置。
- 前記最大孔幅Wが弁板の厚さ以上である、請求項1に記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記長孔部が湾曲または屈曲して延びている、請求項1または2に記載の圧縮機の弁板装置。
- 一つのシリンダボアに対応する一つの吸入孔形成用に、前記長孔部が複数設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記複数の長孔部が互いに接続されている、請求項4に記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記複数の長孔部が互いに離間されている、請求項4に記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記長孔部の孔幅が、孔長さ方向において、部分的に変化している、請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記吸入孔が、弁板の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右対称形状に形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記吸入孔が、弁板の中心から半径方向に延びる仮想軸線に対して、左右非対称形状に形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記吸入弁が開かれたとき、シリンダボア内に流入される流体の主要通過経路が3つ以上となるように、前記吸入弁が前記吸入孔の形状に沿った形状に形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記吸入弁が開かれたとき、シリンダボア内に流入される流体の主要通過経路が3つ以上となるように、前記吸入弁中に吸入弁の板厚方向に貫通する連通孔が設けられている、請求項1〜9のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記吸入弁が開かれたときの、下記定義による簡易開口面積が、シリンダボア横断面積の0.055以上に設定されている、請求項1〜11のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
簡易開口面積:吸入弁が弁板の面に対し1mm分平行移動して開いたと仮定したときの、吸入孔周縁とそれに対向する吸入弁の面との間の帯状に延びる仮想面の面積。 - 圧縮機の吐出室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吐出孔と、該吐出孔を開閉可能な吐出弁を備えており、前記吸入孔および吸入弁が、前記吐出孔および吐出弁よりも、圧縮機の径方向外側に配置されている、請求項1〜12のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 圧縮機の吐出室とシリンダボアとを連通可能に弁板に設けられた吐出孔と、該吐出孔を開閉可能な吐出弁を備えており、前記吸入孔および吸入弁が、前記吐出孔および吐出弁よりも、圧縮機の径方向内側に配置されている、請求項1〜12のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
- 前記圧縮機が、車両用空調装置に使用される圧縮機からなる、請求項1〜14のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008206948A JP2010043573A (ja) | 2008-08-11 | 2008-08-11 | 圧縮機の弁板装置 |
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CN101949379A (zh) * | 2010-09-20 | 2011-01-19 | 亚新科美联(廊坊)制动***有限公司 | 一种可有效降低噪音的车用空压机进排气组件 |
EP2362487A1 (en) | 2010-02-26 | 2011-08-31 | NTT DoCoMo, Inc. | Apparatus having mushroom structures |
-
2008
- 2008-08-11 JP JP2008206948A patent/JP2010043573A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2362487A1 (en) | 2010-02-26 | 2011-08-31 | NTT DoCoMo, Inc. | Apparatus having mushroom structures |
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CN101949379B (zh) * | 2010-09-20 | 2012-11-07 | 亚新科美联(廊坊)制动***有限公司 | 一种可有效降低噪音的车用空压机进排气组件 |
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