JP5324841B2 - 圧縮機の弁板装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機の弁板装置に関し、とくに、吸入弁に円滑な作動を行わせるようにした圧縮機の弁板装置に関する。
例えば複数のシリンダを備えたピストン式圧縮機においては、通常、吸入室と吐出室を有するシリンダヘッドと、シリンダボアを有するシリンダブロックとの間に弁板装置が介在される。この弁板装置は、吸入室とシリンダボアとを連通する吸入孔、およびシリンダボアと吐出室とを連通する吐出孔を有する弁板と、該弁板のシリンダブロックに対向する面上に配置され、吸入孔を開閉する吸入弁と、弁板のシリンダヘッドに対向する面上に配置され、吐出孔を開閉する吐出弁とを備えた弁装置を有している。
この弁板装置は、シリンダボア内に往復動自在に挿入されたピストンが吸入行程および吐出行程にあるときに、ガスが逆流しないようにするためのものである。より具体的は、ピストンが吸入行程にあるときに、吸入弁が弁板の吸入孔を開き、吐出弁が弁板の吐出孔を閉じ、ピストンが吐出行程にあるときに、吸入弁が弁板の吸入孔を閉じ、吐出弁が弁板の吐出孔を開くことにより、ガスの逆流を防いでいる。
従来の一般的な弁板装置の場合、弁板は平坦な板体で凹凸がない形状に形成されている。一方、圧縮機によって吸入、圧縮されるガスには、圧縮機を潤滑するための潤滑油が霧状に含まれている。このガスに含まれる霧状の潤滑油は、弁板に触れると、その一部が油膜となって弁板に付着する。この弁板に付着した潤滑油は、弁板と吸入弁との間に入り込み、その表面張力、粘着力等による張り付き力によって吸入弁を開き難くする。この結果、吸入弁を開かせるためには、吸入弁自身の剛性による張り付き力に加えて、潤滑油の表面張力、粘着力等による張り付き力の分、余分に力を加える必要があり、この力を得るためにシリンダボア内と吸入室内との圧力差を大きくする必要が生じ、そのためにピストンが余分な仕事を行う必要がある。また、張り付いていた吸入弁が開くと、開弁度合を規制しているリセス部を激しく叩くおそれがあるので、騒音、振動の発生の原因となることがある。
なお、吐出弁側に対しては、潤滑油により吐出弁が開き難くなることによって生じる過圧縮を防止するために、弁板の吐出弁への対向部にガス充填凹部を形成する構造が特許文献1に開示されている。しかしこの特許文献1においては、吸入弁側については言及されていない。
特開平11−166480号公報
そこで本発明の課題は、上記のような吸入弁側の問題点に着目し、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることによって生じていた消費動力の増加、および騒音や振動の発生を防止あるいは抑制可能な圧縮機の弁板装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る圧縮機の弁板装置は、吸入室と吐出室を有する圧縮機のシリンダヘッドと、ピストンが往復動自在に挿入されたシリンダボアを有するシリンダブロックとの間に介在する弁板装置であって、前記吸入室と前記シリンダボアとを連通する吸入孔、および前記シリンダボアと前記吐出室とを連通する吐出孔を有する弁板と、該弁板の前記シリンダブロックに対向する面上に配置され、前記吸入孔を開閉する吸入弁と、前記弁板の前記シリンダヘッドに対向する面上に配置され、前記吐出孔を開閉する吐出弁とを有する圧縮機の弁板装置において、前記弁板に、該弁板と前記吸入弁との間に前記吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを導入・充填可能なガス充填室の少なくとも一部を構成するとともに、前記吸入弁の閉弁側の面へと連通する連通孔を設け、前記ガス充填室内のガス量を調節するための手段を有することを特徴とするものからなる。
このような本発明に係る圧縮機の弁板装置においては、吸入弁が閉弁されているときに、その吸入弁の閉弁側の面へと、上記連通孔を介して吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスが導入可能となり、導入されたガスは、弁板と吸入弁との間に該ガスを導入・充填可能に形成されたガス充填室に充填される。このガス充填室はその少なくとも一部が上記連通孔によって構成されればよく、上記連通孔のみによって構成される形態、上記連通孔に後述の圧力導入経路または/およびガス充填凹部を加えて構成される形態のいずれの形態も含まれる。このように連通孔を介して吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスが、閉弁されている吸入弁の閉弁側の面(弁板と対向する側の面)へと導かれ、その部位に充填されることにより、ピストンの吸入行程(シリンダボア内ガスの膨張行程)においてシリンダボア内の圧力が低下することで、上記充填ガスの圧力とシリンダボア内圧力との間に差圧が生じ、この圧力差によって吸入弁を押し上げる方向の(開弁する方向の)力が生じる。この開弁方向の力が付加されるこにより、潤滑油による張り付きがあっても、吸入弁を速やかに円滑に開かせることが可能になり、ピストンが余分な仕事を行う必要がなくなるので、圧縮機の消費動力が低減される。また、速やかにかつ円滑に吸入弁が開くことで、吸入弁が激しくリセスを叩くことによって発生するおそれのあった騒音や振動が低減されることになる。
上記本発明に係る圧縮機の弁板装置においては、吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスとして吐出室内の吐出ガスを利用することができ、該吐出ガスを上記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている形態を採用できる。吸入弁が閉弁されているときに、吐出ガスをガス充填室に導入、充填しておくことで、この充填ガスの圧力とシリンダボア内圧力との圧力差によって吸入弁開弁方向の力を付加することが可能になる。
この吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスとしては、ピストン上死点近傍での上記シリンダボア内の圧縮ガスを利用することも可能であり、この圧縮ガスを上記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている形態を採用することもできる。
さらに、上記吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスとして、上記吐出室内の吐出ガスの圧力と吸入室内の吸入ガスの圧力の中間圧力のガス、例えばクランク室内のガス等を利用することも可能であり、この中間圧力のガスを上記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている形態を採用することもできる。
また、吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを上記連通孔に導入するために、該連通孔とは別に圧力導入経路が設けられている形態とすることもできる。すなわち、ガスが導入、充填され吸入弁に開弁方向の力を付加可能な上記ガス充填室が、連通孔と圧力導入経路を有する形態である。
また、上記連通孔の吸入弁の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁の閉弁側の面に対し、上記連通孔の横断面積よりも大きな横断面積のガス充填凹部が形成されている形態とすることもできる。すなわち、ガスが導入、充填され吸入弁に開弁方向の力を付加可能な上記ガス充填室が、連通孔とガス充填凹部を有する形態、あるいは、連通孔とガス充填凹部と上記圧力導入経路を有する形態である。
上記圧力導入経路は、適当な各種の部位に形成可能である。例えば、上記圧力導入経路の少なくとも一部が弁板に形成されている形態、上記圧力導入経路の少なくとも一部が吐出弁に形成されている形態、上記圧力導入経路の少なくとも一部が、シリンダヘッドと弁板の間に介装されたガスケットに形成されている形態、上記圧力導入経路の少なくとも一部が、吐出弁の開度を規制するリテーナに形成されている形態のいずれの形態も採り得、これらの任意の組み合わせ形態も採り得る。さらに、上記圧力導入経路の少なくとも一部を形成する板が追加されている形態も採り得る。
また、本発明に係る圧縮機の弁板装置においては、上記ガス充填室内に供給されるガスの量を調節するための手段として、上記ガス充填室と上記ガス充填室へのガス供給元との間の通路、または上記ガス充填室の一部を構成する上記ガス充填室内通路に、該通路を開閉可能な電磁弁が設けられている形態とすることもできる。電磁弁の作動によってガス充填室内に最適な量の所定のガスを導入、充填することにより、より適切に吸入弁の張り付き防止を達成できるようになる。
また、上記ガス充填室内のガス量を調節するための手段として、上記ガス充填室と上記ガス充填室へのガス供給元との間の通路、または上記ガス充填室の一部を構成する上記ガス充填室内通路に、該通路を開閉可能なロータリー弁が設けられている形態とすることもできる。上記電磁弁設置の場合と同様、ロータリー弁の作動によってガス充填室内に最適な量の所定のガスを導入、充填することにより、より適切に吸入弁の張り付き防止を達成できるようになる。このロータリー弁による上記通路の開閉は、後述の実施形態に示すように、適切なタイミングで動作させることが好ましい。
また、吸入弁の張り付き防止を達成する観点からは、上記ガス充填室は、吸入弁閉弁時に閉空間となるように構成されていることが好ましい。閉空間に構成されていることにより、該ガス充填室されたガスがより適切に吸入弁を開弁方向に押圧できるようになる。
また、上記圧力導入経路については、各種の形態を採ることが可能である。例えば、圧縮機が複数のシリンダを有し、上記圧力導入経路が、上記連通孔が設けられているシリンダと同じシリンダからのガスを導入するように形成されている形態を採ることができる。つまり、同じシリンダから、吸入弁張り付き防止のためのガス充填室充填用のガスを取り入れる形態である。あるいは、圧縮機が複数のシリンダを有し、上記圧力導入経路が、上記連通孔が設けられているシリンダとは異なるシリンダからのガスを導入するように形成されている形態を採ることもできる。つまり、異なるシリンダ、例えば隣接するシリンダから、吸入弁張り付き防止のためのガス充填室充填用のガスを取り入れる形態である。圧力導入経路の形成の容易さや、異なるシリンダから、例えば位相のずれた異なるシリンダからガスを取り入れることによる利点、例えば、より適切な圧力のガスを取り入れることができる等の利点を、総合的に考慮して、上記のうちいずれの形態を採用するかを決定すればよい。
また、上記ガス充填凹部についても、各種の形状や形態を採り得る。例えば、上記ガス充填凹部が、上記吸入孔の周囲に形成された吸入弁の弁座の周囲の環状溝と独立して形成されている形態、該環状溝と連通する形状に形成されている形態のいずれも採り得る。
なお、本発明に係る圧縮機の弁板装置は、基本的にあらゆる圧縮機に適用可能である。なかでも、とくに吸入弁に安定した作動が求められ、騒音や振動の抑制が望まれる車両用空調装置に使用される圧縮機に適用して好適なものである。
本発明に係る圧縮機の弁板装置によれば、吸入弁の弁板側の面に、ガス充填室に導入、充填された適切な圧力のガスにより、吸入弁に開弁方向の力を付加できるようにしたので、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1および図2は、本発明の第1実施態様に係る圧縮機の弁板装置を示しており、圧縮機が複数のシリンダを有する場合の、一つのシリンダの弁板装置部分を示している。図1(A)は、この第1実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面を示しており、図1(B)は、吸入弁側から見た部分平面図である。1は、弁板装置を示しており、弁板装置1は、吸入室2と吐出室3を有する圧縮機のシリンダヘッド4と、シリンダボア5を有するシリンダブロック6との間に介在されている。弁板装置1は、吸入室2とシリンダボア5とを連通する吸入孔7、およびシリンダボア5と吐出室3とを連通する吐出孔8を有する弁板9と、弁板9のシリンダブロック6に対向する面上に配置され、吸入孔7を開閉する吸入弁10と、弁板9のシリンダヘッド4に対向する面上に配置され、吐出孔8を開閉する吐出弁11とを有している。吸入弁10の最大開度は、シリンダボア5の内周の一部に形成されたリセス12によって規制されるようになっている。
上記弁板9には、該弁板9と吸入弁10との間に吸入室2内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガス(本実施態様では、吐出室3内の吐出ガス)を導入・充填可能なガス充填室の一部を構成するとともに、吸入弁10の閉弁側の面(弁板9側の面)へと連通する連通孔13が設けられている。本実施態様では、さらに、連通孔13の吸入弁10の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁10の閉弁側の面に対し、連通孔13の横断面積よりも大きな横断面積のガス充填凹部14が形成されており、連通孔13とガス充填凹部14とによりガス充填室15が構成されている。このガス充填室15は、吸入弁10の閉弁時には閉空間となるように構成されている、また、本実施態様においては、吸入孔7の吸入弁10側には、吸入孔7の周囲に吸入弁10の弁座16が形成されており、弁座16の周囲には環状溝17が形成されており、ガス充填凹部14は環状溝17とは独立して(連通しない形状に)形成されている。このガス充填凹部14は、環状溝17と連通する形状とすることも可能である。
このガス充填凹部14と環状溝17との関係を、例えば、図2に比較して例示する。図2(A)は、図1の弁板装置の吸入弁10を除去した状態にてシリンダボア5側から見た部分平面図、図2(B)は、図2(A)とは別の形態を示す、同じ方向から見た部分平面図を示している。図2(A)に示す形態では、上述の如く、ガス充填凹部14は、弁座16の周囲に形成された環状溝17と独立して(連通しない形状に)形成されている。これに対し、図2(B)に示す形態では、ガス充填凹部14aは、弁座16の周囲に形成された環状溝17aと連通し、環状溝17aと一体的に形成されている。このように、いずれの形態とすることも可能である。
上記のように構成された第1実施態様に係る圧縮機の弁板装置1は、例えば図3に示すように作動される。図3(A)に示すように、吐出行程時に、吐出弁11が開くと、連通孔13に吐出ガスが流入し、ガス充填凹部14までのガス充填室15に充填される。このとき、シリンダボア5内の圧力は、吐出室3内の吐出ガスの圧力と同程度であるから、吸入弁10が開くことはない。その後、膨張行程になると、図3(B)に示すように、シリンダボア内圧とガス充填凹部14内の圧力との圧力差によって吸入弁10を押し上げる方向の力(吸入弁10を開く方向の力)が生じる。これによって、吸入弁10は速やかに開くことができるようになる。吸入弁10が開くと、図3(C)に示すように、連通孔13、ガス充填凹部14からなるガス充填室15内に充填されていたガスがシリンダボア5内に流れる。
このように、連通孔13、ガス充填凹部14からなるガス充填室15内に充填されていたガスの圧力とシリンダボア内圧との圧力差による力が吸入弁10の開弁方向の力として付加されるので、潤滑油の張り付き力により吸入弁10が開き難くなることを防止でき、吸入弁10が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加が抑制される。また、吸入弁10は速やかにかつ円滑に開弁されるので、開弁時にリセス12に激しく当たったり振動したりすることも防止され、開弁する際の騒音や振動の発生が防止あるいは抑制される。
図4は、本発明の第2実施態様に係る圧縮機の弁板装置21を示しており、圧縮機が複数のシリンダを有する場合の、一つのシリンダの弁板装置部分を示している。弁板装置21は、吸入室22と吐出室23を有する圧縮機のシリンダヘッド24と、ピストン25が往復動されるシリンダボア26を有するシリンダブロック27との間に介在されている。弁板装置21は、吸入室22とシリンダボア26とを連通する吸入孔28、およびシリンダボア26と吐出室23とを連通する吐出孔29を有する弁板30と、弁板30のシリンダブロック27に対向する面上に配置され、吸入孔28を開閉する吸入弁31と、弁板30のシリンダヘッド24に対向する面上に配置され、吐出孔29を開閉する吐出弁32とを有している。吸入弁31の最大開度は、シリンダボア26の内周の一部に形成されたリセス33によって規制されるようになっている。
上記弁板30には、該弁板30と吸入弁31との間に吸入室22内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガス(本実施態様では、吐出室23内の吐出ガス)を導入・充填可能なガス充填室34が形成されている。本実施態様では、ガス充填室34は、該ガス充填室34の一部を構成するとともに、吸入弁31の閉弁側の面(弁板30側の面)へと連通する連通孔35と、連通孔35の吸入弁31の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁31の閉弁側の面に対し、連通孔35の横断面積よりも大きな横断面積の空間に形成されたガス充填凹部36と、吸入室22内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを連通孔35に導入するために連通孔35とは別に形成された圧力導入経路37とから構成されている。このガス充填室34は、吸入弁31の閉弁時には閉空間となるように構成されている、また、本実施態様においては、吸入孔28の吸入弁31側には、吸入孔28の周囲に吸入弁31の弁座38が形成されており、弁座38の周囲には環状溝39が形成されている。本実施態様では、ガス充填凹部36は環状溝39とは独立して(連通しない形状に)形成されているが、環状溝39と連通する(例えば、環状溝39と一体的に形成された)形状のガス充填凹部とすることも可能である。
圧力導入経路37は、その全体が弁板30に形成されている形態、その少なくとも一部が弁板30に形成されている形態、その少なくとも一部が吐出弁32に形成されている形態、その少なくとも一部が、シリンダヘッド24と弁板30の間に介装されるガスケット(図示略)に形成されている形態、その少なくとも一部が、吐出弁32の開度を規制するリテーナ(図示略)に形成されている形態のいずれの形態も採り得、さらに、圧力導入経路37の少なくとも一部を形成する別の板が追加されている形態も採り得る。本実施態様では、圧力導入経路37の実質的に全体が弁板30に形成されている。なお、図示は省略するが、圧力導入経路が長く延びる形態に構成される場合には、そのいずれかの部位に、ガス充填室34へと供給されるガスの量を調節するために電磁弁を設けることも可能である。電磁弁設置の実施形態については後述する。
上記実施態様においては、図4(A)に示すように、ピストン25が上死点近傍にあり、吐出弁32が開いているときに、吐出室23から高圧の吐出ガスが、圧力導入経路37、連通孔35、ガス充填凹部36からなるガス充填室34に導入され、図4(B)に示すように、吸入行程が開始され吐出弁32が閉じられると、導入されたガスがガス充填室34内に充填された状態となる。この状態で吸入行程が続行されるが、ガス充填室34内に充填されたガスの圧力とシリンダボア内圧との圧力差による力が吸入弁31の開弁方向に作用し、とくに本実施態様では、ガス充填凹部36内のガス圧力とシリンダボア内圧との圧力差による力が吸入弁31の開弁方向に作用し、吸入行程における吸入弁31の開弁方向の力として付加されて、図4(C)に示すように、吸入弁31が開弁される。この圧力差による力が吸入弁31の開弁方向の力として付加されることにより、潤滑油の張り付き力により吸入弁31が開き難くなることが防止され、吸入弁31が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加が抑制される。また、吸入弁31は速やかにかつ円滑に開弁されるので、開弁時にリセス33に激しく当たったり振動したりすることも防止され、開弁する際の騒音や振動の発生が防止あるいは抑制される。
上記実施態様では、上記圧力導入経路37へ導入されるガスは、連通孔35が形成されているシリンダと同じシリンダからのガスが導入され、導入され充填されたガスの圧力が同じシリンダの吸入弁31の開弁に利用されるようにしたが、圧力導入経路からの導入ガスが、異なるシリンダ、例えば隣接シリンダからのガスが導入されるようにしてもよい。換言すれば、圧力導入経路へ導入されるガスは、その圧力導入経路に対応するシリンダとは異なるシリンダ、例えば隣接シリンダにおける吸入弁の開弁に利用されるようにしてもよい。図5は、隣接シリンダからのガスが導入される場合の一例を、一連の動作とともに示している。
図5は、本発明の第3実施態様に係る圧縮機の弁板装置41を示しており、圧縮機が複数のシリンダを有する場合の、隣接する二つのシリンダの弁板装置部分を示している。この弁板装置41においては、シリンダヘッド44内に形成された吸入室42と吐出室43に対して、本発明におけるガス充填室45が、隣接するシリンダ46a、46b間にわたって形成されている。ガス充填室45は、該ガス充填室45の一部を構成するとともに、吸入弁47の閉弁側の面(弁板52側の面)へと連通する連通孔48と、連通孔48の吸入弁47の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁47の閉弁側の面に対し、連通孔48の横断面積よりも大きな横断面積の空間に形成されたガス充填凹部49と、吸入室42内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを連通孔48に導入するために連通孔48とは別に形成された圧力導入経路50とから構成されている。そして、隣接するシリンダ(シリンダボア)46a、46bの一方のシリンダ46bの吐出弁51が開かれたときに、吐出室43から圧力導入経路50内に高圧の吐出ガスが導入され(図5(A))、吐出弁51が閉じられることにより導入されたガスがガス充填室45内に充填され(図5(B))、充填されたガスによる力が、隣接するシリンダ46aの吸入弁47が開かれるときに開弁圧として付加されるようになっている(図5(C))。
このように、本発明におけるガス充填室を異なるシリンダ間にわたって構成することもでき、この場合にも、前述の実施態様同様、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になる。
図6は、本発明の第4実施態様に係る圧縮機の弁板装置61を示しており、電磁弁を設けた場合の例を示している。図6において、弁板装置61は、吸入室62と吐出室63を有する圧縮機のシリンダヘッド64と、ピストン65が往復動されるシリンダボア66を有するシリンダブロック67との間に介在されている。弁板装置61は、吸入室62とシリンダボア66とを連通する吸入孔68、およびシリンダボア66と吐出室63とを連通する吐出孔69を有する弁板70と、弁板70のシリンダブロック67に対向する面上に配置され、吸入孔68を開閉する吸入弁71と、弁板70のシリンダヘッド64に対向する面上に配置され、吐出孔69を開閉する吐出弁72とを有している。吸入弁71の最大開度は、シリンダボア66の内周の一部に形成されたリセス73によって規制されるようになっている。
上記弁板70には、該弁板70と吸入弁71との間に吸入室62内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを導入・充填可能なガス充填室74が形成されている。本実施態様では、ガス充填室74は、該ガス充填室74の一部を構成するとともに、吸入弁71の閉弁側の面(弁板70側の面)へと連通する連通孔75と、連通孔75の吸入弁71の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁71の閉弁側の面に対し、連通孔75の横断面積よりも大きな横断面積の空間に形成されたガス充填凹部76と、吸入室62内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを連通孔75に導入するために連通孔75とは別に形成された圧力導入経路77とから構成されている。本実施態様においては、この圧力導入経路77に、該圧力導入経路77を開閉可能な電磁弁78が設けられており、電磁弁78の開閉作動によってガス充填室74内のガス量を調節できるようになっている。このような電磁弁78を備えた構成とすることにより、任意のタイミングでガス充填を行うことができ、かつ、ガス充填室74内のガス量を容易に最適な量に調節できるようになる。したがって、前述の実施態様同様、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になり、これらの作用、効果がより容易に得られるようになる。
図7は、本発明の第5実施態様に係る圧縮機の弁板装置81を示しており、ロータリー弁を設けた場合の例を示している。図7において、弁板装置81は、吸入室82と吐出室83を有する圧縮機のシリンダヘッド84と、ピストン85が往復動されるシリンダボア86を有するシリンダブロック87との間に介在されている。弁板装置81は、吸入室82とシリンダボア86とを連通する吸入孔88、およびシリンダボア86と吐出室83とを連通する吐出孔89を有する弁板90と、弁板90のシリンダブロック87に対向する面上に配置され、吸入孔88を開閉する吸入弁91と、弁板90のシリンダヘッド84に対向する面上に配置され、吐出孔89を開閉する吐出弁92とを有している。吸入弁91の最大開度は、シリンダボア86の内周の一部に形成されたリセス93によって規制されるようになっている。
上記弁板90および該弁板90の側部に、該弁板90と吸入弁91との間に吸入室82内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを導入・充填可能なガス充填室94が形成されている。本実施態様では、ガス充填室94は、該ガス充填室94の一部を構成するとともに、吸入弁91の閉弁側の面(弁板90側の面)へと連通する連通孔95と、連通孔95の吸入弁91の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁91の閉弁側の面に対し、連通孔95の横断面積よりも大きな横断面積の空間に形成されたガス充填凹部96と、吸入室82内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを連通孔95に導入するために連通孔95とは別に形成された圧力導入経路97とから構成されている。圧力導入経路97は、吐出弁92の下面に対向する位置に形成されており、吐出弁92が開かれた時に、吐出室83内のガス(つまり、吸入室82の圧力よりも高い圧力のガス)を圧力導入経路97内に導入するようになっている。そして、本実施態様においては、上記連通孔95が、弁板90の側部に設けられたロータリー弁98の側面上に形成されたロータリー弁連通路として形成されている(以下、ロータリー弁連通路95として同じ数字符号を使用する)。つまり、ロータリー弁連通路95は、ガス充填室94の一部を構成するガス充填室内通路を形成している。このロータリー弁98は、シャフト99に連結され、シャフト99とともに回転作動される。
シャフト99とともにロータリー弁98を適切なタイミングで回転作動させることにより、ロータリー弁連通路95が圧力導入経路97とガス充填凹部96とを連通させ(つまり、ロータリー弁98の回転によってガス充填室94の一部を構成するガス充填室内通路が開かれ)、吐出室83内から圧力導入経路97を通して導入されてきたガスがガス充填凹部96に充填される。ロータリー弁連通路95による連通時のみガス充填凹部96にガスが充填されるので、ロータリー弁98の回転を適切に制御することで、ガス充填凹部96への充填ガス量も適切に調節されることになる。このようなロータリー弁98を備えた構成により、ガス充填凹部96内のガス量を容易に最適な量に調節できるようになる。したがって、前述の実施態様同様、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になり、これらの作用、効果がより容易に得られるようになる。
図7に示した構成では、例えば図8(A)に示すように、同じシリンダ100からのガスが(同じシリンダ100の吐出弁92開時のガスが)、圧力導入経路97、ロータリー弁連通路95を介してガス充填凹部96内に導入されるようになっているが、異なるシリンダからのガスを導入することも可能である。例えば、図8(B)に示すように、ガス導入対象シリンダ101bに隣接するシリンダ101aの吐出弁102a開時に(このとき対象シリンダ101bの吐出弁102bは閉じており圧力導入経路103bは閉じられている)、隣接シリンダ101a側の圧力導入経路103aを通して吐出室ガスが導入され、ロータリー弁104のロータリー弁連通路105を介して対象シリンダ101bのガス充填凹部106bへとガスが導入、充填される(このとき、隣接シリンダ101a側のガス充填凹部106aにはこのガスは導入されない)。
ロータリー弁に形成するロータリー弁連通路の形状は、例えば図9(A)、(B)に示すようになる。すなわち、図8(A)に示した同じシリンダ100からのガスを導入する場合には、図9(A)に示すようにロータリー弁98の円筒面上に上下に延びる溝状のロータリー弁連通路95が形成されればよく、図8(B)に示した隣接シリンダ101aからのガスをシリンダ101b側に導入する場合には、ロータリー弁104の円筒面上に斜めに延びる溝状のロータリー弁連通路105が形成されればよい。
前述したように、本発明におけるガス導入経路を異なるシリンダ間にわたって構成する場合にも、問題なく、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になる。
以上の実施態様では、所定のガス導入元が主として吐出室の場合を示したが、本発明では、所定のガス導入元を、シリンダボア内とし、ピストンが上死点近傍にあるときのシリンダボア内の圧縮ガスをガス充填室に導入することも可能である。図10は、本発明の第6実施態様に係る圧縮機の弁板装置111を示しており、ロータリー弁を設けた場合で、かつ、前述の図7に示した実施態様とは異なり、吐出弁の動作を利用せずに、シリンダボア内の圧縮ガスをガス充填室に導入するようにした場合の例を示している。図10において、弁板装置111は、吸入室112と吐出室113を有する圧縮機のシリンダヘッド114と、ピストン115が往復動されるシリンダボア116を有するシリンダブロック117との間に介在されている。弁板装置111は、吸入室112とシリンダボア116とを連通する吸入孔118、およびシリンダボア116と吐出室113とを連通する吐出孔119を有する弁板120と、弁板120のシリンダブロック117に対向する面上に配置され、吸入孔118を開閉する吸入弁121と、弁板120のシリンダヘッド114に対向する面上に配置され、吐出孔119を開閉する吐出弁122とを有している。吸入弁121の最大開度は、シリンダボア116の内周の一部に形成されたリセス123によって規制されるようになっている。
上記弁板120および該弁板120の側部に、該弁板120と吸入弁121との間に吸入室112内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを導入・充填可能なガス充填室124が形成されている。本実施態様では、ガス充填室124は、図11(A)にも示すように、ピストン115が上死点近傍にあるときのシリンダボア116内の圧縮ガスを導入することが可能な圧力導入経路125と、ロータリー弁128に形成された本発明における連通孔としてのロータリー弁連通路126と、吸入弁121の閉弁側の面に対し、該連通孔の横断面積よりも大きな横断面積の空間に形成されたガス充填凹部127とから構成されている。ロータリー弁128は、シャフト129に連結され、シャフト129とともに回転作動される。
シャフト129とともにロータリー弁128を適切なタイミングで回転作動させることにより、ロータリー弁連通路126が圧力導入経路125とガス充填凹部127とを連通させ、シリンダボア116内の圧縮ガスが圧力導入経路125、ロータリー弁連通路126導入され、ガス充填凹部127内に充填される。したがって、吐出弁122の作動とは無関係に所望のガスがガス充填凹部127内に導入、充填される。ロータリー弁連通路126による連通時のみガス充填凹部127にガスが充填されるので、ロータリー弁128の回転を適切に制御することで、ガス充填凹部127への充填ガス量も適切に調節されることになる。このようにシリンダボア116内の圧縮ガスを導入する構成によっても、ガス充填凹部127内のガス量を容易に最適な量に調節でき、所定圧以上のガスをガス充填凹部127内に適切に充填できる。したがって、前述の各実施態様同様、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になる。
この態様の場合においても、前記第5実施態様で示したのと同様、異なるシリンダ、例えば隣接シリンダからのガスを導入する形態を採用可能である。図11(A)は、図10に示した同じシリンダからのガスを導入する場合を示しており、図11(B)は、隣接シリンダからのガスを導入する場合を示している。図11(B)に示すように、ガス導入対象シリンダ131bに隣接するシリンダ131aのシリンダボア内に開口する圧力導入経路132aと対象シリンダ131bのガス充填凹部133bとを、回転制御されるロータリー弁134のロータリー弁連通路135を介して連通させることにより、隣接シリンダ131aからのシリンダボア内圧縮ガスが対象シリンダ131bのガス充填凹部133bに導入される。このとき、対象シリンダ131bの圧力導入経路132bと隣接シリンダ131aのガス充填凹部133aは、このガス導入には使用されない。
ロータリー弁に形成するロータリー弁連通路の形状は、例えば図12(A)、(B)に示すようになる。すなわち、図11(A)に示した同じシリンダからのガスを導入する場合には、図12(A)に示すようにロータリー弁128の円筒面上に周方向に延びる溝状のロータリー弁連通路126が形成されればよく、図11(B)に示した隣接シリンダ131aからのガスをシリンダ131b側に導入する場合には、ロータリー弁134の円筒面の肉厚内を内部通路状に延び、その通路両端で開口するロータリー弁連通路135が形成されればよい。
この場合にも、前述したように、本発明におけるガス導入経路を異なるシリンダ間にわたって構成する場合にあっても、問題なく、潤滑油の張り付き力により吸入弁が開き難くなることを防止でき、吸入弁が開き難くなることによって生じていた圧縮機の消費動力の増加、およびその吸入弁が開弁する際の騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することが可能になる。
ちなみに、本発明を適用した場合と適用しなかった従来品とについて、圧縮機の各回転数(1000、2000、3000rpm)にて、ある吸入室圧力(Ps)時の、吸入弁が開くために必要な吸入室圧力とシリンダボア内圧力との差圧(ΔP)を測定したところ、図13に示すような結果が得られた。図13から分かるように、本発明によるガス充填室を有する本発明品では、ガス充填室が設けられていない従来品に比べ、より小さな差圧で容易に吸入弁を開弁できるようになる。
本発明に係る圧縮機の弁板装置は、基本的にあらゆる圧縮機に適用可能であり、とくに吸入弁に安定した作動が求められ、騒音や振動の抑制が望まれる車両用空調装置に使用される圧縮機等に好適なものである。
本発明の第1実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図(A)および吸入弁側から見た部分平面図(B)である。 図2(A)は、図1の弁板装置の吸入弁を除去した状態にてシリンダボア側から見た部分平面図、図2(B)は図2(A)とは別の形態を示す部分平面図である。 図1の弁板装置の作動状態を示す部分縦断面図である。 本発明の第2実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図である。 本発明の第3実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図である。 本発明の第4実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図である。 本発明の第5実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図である。 (A)は図7の装置の概略透視平面図、(B)は隣接シリンダからのガスを導入する場合の例を示す弁板装置の概略部分透視平面図である。 (A)は図8(A)に対応するロータリー弁の正面図、(B)は図8(B)に対応するロータリー弁の正面図である。 本発明の第6実施態様に係る圧縮機の弁板装置の部分縦断面図である。 (A)は図10の装置の概略透視平面図、(B)は隣接シリンダからのガスを導入する場合の例を示す弁板装置の概略部分透視平面図である。 (A)は図11(A)に対応するロータリー弁の正面図および平面図、(B)は図11(B)に対応するロータリー弁の正面図および平面図である。 本発明品と従来品の試験の結果を示す比較特性図である。
符号の説明
1、21、41、61、81、111 弁板装置
2、22、42、62、82、112 吸入室
3、23、43、63、83、113 吐出室
4、24、44、64、84、114 シリンダヘッド
5、26、46a、46b、66、86、100、101a、101b、116、131a、131b シリンダボア(シリンダ)
6、27、67、87、117 シリンダブロック
7、28、68、88、118 吸入孔
8、29、69、89、119 吐出孔
9、30、52、70、90、120 弁板
10、31、47、71、91、121 吸入弁
11、32、51、72、92、122 吐出弁
12、33、73、93、123 リセス
13、35、48、75 連通孔
14、14a、36、49、76、96、106a、106b、127、133a、133b ガス充填凹部
15、34、45、74、94、124 ガス充填室
16、38 弁座
17、39、17a 環状溝
25、65、85、115 ピストン
37、50、77、97、103a、103b、125、132a、132b 圧力導入経路
95、105、126、135 ロータリー弁連通路(連通孔)
98、104、128、134 ロータリー弁
99、129 シャフト

Claims (19)

  1. 吸入室と吐出室を有する圧縮機のシリンダヘッドと、ピストンが往復動自在に挿入されたシリンダボアを有するシリンダブロックとの間に介在する弁板装置であって、前記吸入室と前記シリンダボアとを連通する吸入孔、および前記シリンダボアと前記吐出室とを連通する吐出孔を有する弁板と、該弁板の前記シリンダブロックに対向する面上に配置され、前記吸入孔を開閉する吸入弁と、前記弁板の前記シリンダヘッドに対向する面上に配置され、前記吐出孔を開閉する吐出弁とを有する圧縮機の弁板装置において、前記弁板に、該弁板と前記吸入弁との間に前記吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを導入・充填可能なガス充填室の少なくとも一部を構成するとともに、前記吸入弁の閉弁側の面へと連通する連通孔を設け、前記ガス充填室内のガス量を調節するための手段を有することを特徴とする圧縮機の弁板装置。
  2. 前記吐出室内の吐出ガスを前記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で前記吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている、請求項1に記載の圧縮機の弁板装置。
  3. ピストン上死点近傍で前記シリンダボア内の圧縮ガスを前記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で前記吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている、請求項1に記載の圧縮機の弁板装置。
  4. 前記吐出室内の吐出ガスの圧力と前記吸入室内の吸入ガスの圧力の中間圧力のガスを前記ガス充填室に導入可能で、導入されたガスの圧力で前記吸入弁に開弁方向の力を付加可能に構成されている、請求項1に記載の圧縮機の弁板装置。
  5. 前記吸入室内の吸入ガスの圧力よりも高い圧力のガスを前記連通孔に導入するために、該連通孔とは別に圧力導入経路が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  6. 前記連通孔の前記吸入弁の閉弁側の面への連通端に、該吸入弁の閉弁側の面に対し、前記連通孔の横断面積よりも大きな横断面積のガス充填凹部が形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  7. 前記圧力導入経路の少なくとも一部が弁板に形成されている、請求項5または6に記載の圧縮機の弁板装置。
  8. 前記圧力導入経路の少なくとも一部が吐出弁に形成されている、請求項5〜7のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  9. 前記圧力導入経路の少なくとも一部が、シリンダヘッドと弁板の間に介装されたガスケットに形成されている、請求項5〜8のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
    形成する
  10. 前記圧力導入経路の少なくとも一部が、吐出弁の開度を規制するリテーナに形成されている、請求項5〜9のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  11. 前記圧力導入経路の少なくとも一部を形成する板が追加されている、請求項5〜10のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  12. 前記ガス充填室内のガス量を調節するための手段として、前記ガス充填室と前記ガス充填室へのガス供給元との間の通路、または前記ガス充填室の一部を構成する前記ガス充填室内通路に、該通路を開閉可能な電磁弁が設けられている、請求項1〜11のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  13. 前記ガス充填室内のガス量を調節するための手段として、前記ガス充填室と前記ガス充填室へのガス供給元との間の通路、または前記ガス充填室の一部を構成する前記ガス充填室内通路に、該通路を開閉可能なロータリー弁が設けられている、請求項1〜11のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  14. 前記ガス充填室は、吸入弁閉弁時に閉空間となるように構成されている、請求項1〜13のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  15. 圧縮機が複数のシリンダを有し、前記圧力導入経路が、前記連通孔が設けられているシリンダと同じシリンダからのガスを導入するように形成されている、請求項5〜14のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  16. 圧縮機が複数のシリンダを有し、前記圧力導入経路が、前記連通孔が設けられているシリンダとは異なるシリンダからのガスを導入するように形成されている、請求項5〜14のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  17. 前記ガス充填凹部が、前記吸入孔の周囲に形成された吸入弁の弁座の周囲の環状溝と独立して形成されている、請求項6〜16のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  18. 前記ガス充填凹部が、前記吸入孔の周囲に形成された吸入弁の弁座の周囲の環状溝と連通する形状に形成されている、請求項6〜16のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
  19. 前記圧縮機が、車両用空調装置に使用されるものからなる、請求項1〜18のいずれかに記載の圧縮機の弁板装置。
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