JP2010042585A - ポリアミド系多層延伸フィルム - Google Patents

ポリアミド系多層延伸フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性、等に優れ、かつシール層をラミネートした時にラミネート強度の測定が可能となるポリアミド系多層延伸フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】外面層(A)と内面層(B)の少なくとも2層を有する多層積層体を2軸延伸することにより得られるポリアミド系多層延伸フィルムであって、
(A)層が結晶性ポリエステルを含有し、(B)層が脂肪族ポリアミドを含有し、
(B)層の厚みが5μm以上である、ポリアミド系多層延伸フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた強靱性を保持しつつ、優れた寸法安定性及び保香性を有し、取り扱い性に優れたポリアミド系多層延伸フィルムに関する。
従来からナイロン樹脂を含むポリアミド系フィルムは、ガスバリア性、強靭性、耐ピンホール性等を有するフィルムとして各方面で多用されている。このようなポリアミドフィルムに寸法安定性や保香性を付与するために、ポリエステルをポリエステル/ポリアミド/ポリエステルと積層した多層フィルムが開示されている。
このような多層フィルムは、上記の様な優れた特性を有するものの、例えばオレフィン系樹脂等からなるシール層をドライラミネート法等で積層した包装フィルムを作製した場合、多層フィルムとシール層のラミネート強度を測定しようとすると、シール層を積層している側のポリエステル/ポリアミドの層間で剥離し、ラミネート強度が測定できないことがあった。ラミネート強度が測定できないと包装フィルムの品質の確認ができないため好ましくない。そのためラミネート特性に優れた、ポリアミドとポリエステルが積層されたフィルムが望まれていた。
特開2008−74008 特開2008−100496
本発明は、耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性等に優れ、かつシール層をラミネートした時にラミネート強度の測定が可能となるポリアミド系多層延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、外面層(A)と内面層(B)の少なくとも2層を有する多層積層体を2軸延伸することによって得られる多層延伸フィルムであれば、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果完成されたものである。
すなわち、本発明は以下のポリアミド系多層延伸フィルムを提供する。
項1.外面層(A)と内面層(B)の少なくとも2層を有する多層積層体を2軸延伸することにより得られるポリアミド系多層延伸フィルムであって、
(A)層が結晶性ポリエステルを含有し、(B)層が脂肪族ポリアミドを含有し、
(B)層の厚みが5μm以上である、ポリアミド系多層延伸フィルム。
項2.(A)層に含まれる結晶性ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、スルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項3.(B)層の脂肪族ポリアミドが、ナイロン−6、ナイロン−6とナイロン−6,6との共重合体、及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項4.前記(B)層が、さらに芳香族ポリアミドを1〜50重量%含有する、項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項5.前記(B)層が、さらに芳香族ポリアミド50〜90重量%含有する、項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項6.前記芳香族ポリアミドが、ポリメタキシレンアジパミド又はアモルファスナイロンである、項4又は5に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項7.前記(B)層側の表面にコロナ放電処理が施されていることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
項8.項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルムの(B)層側に、シール層をラミネートしてなる包装用フィルム。
項9.項8に記載の包装用フィルムを袋状に成形し、シール層面同士をヒートシールして得られる包装用袋。
項10.項9に記載の包装用袋に内容物を充填してなる包装物。
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性、等に優れ、かつシール層をラミネートした時にラミネート強度の測定が可能である。さらに、本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、20μm以上の膜厚を有する場合、又は(B)層に芳香族ポリアミドを50〜90重量%、脂肪族ポリアミドを10〜50重量%を含有する場合には、優れた耐カール性をも有するものである。このような優れた特徴を有する本発明の多層延伸フィルムは、包装用フィルムとして好適に用いられる。
I.ポリアミド系多層延伸フィルム
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、外面層(A)と内面層(B)の少なくとも2層を有する多層積層体を2軸延伸することにより得られるポリアミド系多層延伸フィルムであって、
(A)層が結晶性ポリエステルを含有し、(B)層が脂肪族ポリアミドを含有し、
(B)層の厚みが5μm以上であることを特徴とする。
以下、本発明のポリアミド系多層延伸フィルムの各構成について詳述する。なお、以下、ポリアミド系多層延伸フィルムを、単に多層延伸フィルムと略記することがある。
(1) (A)層(外面層(A))
本発明において外面層を構成する(A)層は、多層延伸フィルムに寸法安定性、保香性、耐熱性等の機能を付与する。本明細書においては、外面層を構成する(A)層を単に(A)層と記載することがある。
(A)層は、結晶性ポリエステルを主成分として含有する。結晶性ポリエステルとしては、本発明のポリアミド系多層延伸フィルムに寸法安定性、保香性、耐熱性等の機能を付与し得るものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させることにより得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジアルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スルホイソフタル酸ジアルキル及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン基含有ジカルボン酸等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類、1,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸、1,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸等のスルホン基含有ジオール等が挙げられる。
この中でも特に、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99〜80モル%)及びイソフタル酸(1〜20モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート;ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99.5〜90モル%)及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸(0.5〜10モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート等が寸法安定性、保香性、耐熱性等の点から好適であり、より好ましくはテレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート(PET)である。
このような結晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、ベルペット−EFG6C、ベルペットPIFG5(いずれも(株)ベルポリエステルプロダクツ製)等を(A)層を構成する結晶性ポリエステルとして用いることができる。
なお、(A)層に用いられる結晶性ポリエステルは1種のみでも良いし、必要に応じ2種以上をブレンドして用いてもよい。或いは(A)層を2層以上設けることも可能である(例えば後述の実施例3の態様)。これによって(B)層との接着性を付与することも可能となる。
また、(A)層は、必要に応じ結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂を含有していても良いが、(A)層を構成する成分の総重量に対する結晶性ポリエステルの含有量は、50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂としては非晶性ポリエステル等が例示できる。非晶性ポリエステルとはJIS K 7121に基づく示差走査熱量測定において融解熱量が観察されないポリエステルである。このような特性を有するポリエステルであれば特に限定されないが、具体例として、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコール(20〜80モル%)及びシクロヘキサンジメタノール(80〜20モル%)であるポリエステル;ジカルボン酸に由来する成分としてテレフタル酸(20〜80モル%)及びイソフタル酸(80〜20モル%)、ジオールに由来する成分としてエチレングリコールからなるポリエステルが好適である。このような非晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、Eastar Copolyester 6763(イーストマンケミカル製)等を非晶性ポリエステルとして用いることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、(A)層に公知の無機または有機添加剤等を適宜配合することができる。無機または有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、染料等を適宜配合することができる。
(2) (B)層(内面層(B))
本発明において内面層を構成する(B)層は、本発明の多層延伸フィルムの最内層に位置し、該多層延伸フィルムに耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものである。(B)層は、脂肪族ポリアミドを含有する。本明細書においては、内面層を構成する(B)層を単に(B)層と記載することがある。
(2-1)脂肪族ポリアミド
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)などを例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
好ましい脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン−6/6,6(ナイロン6とナイロン6,6の共重合体)が挙げられ、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6であり、さらに好ましくはナイロン−6である。2種以上の脂肪族ポリアミドとしてはナイロン−6とナイロン−6/6,6の組み合わせ(重量比で50:50〜95:5程度)が好ましい。
(2-2)芳香族ポリアミド
(B)層は、上記脂肪族ポリアミドを必須成分として含有するが、必要に応じて芳香族ポリアミドを添加してもよい。芳香族ポリアミドを添加することによって、さらに、配合量によっては、本発明の多層延伸フィルムに優れた耐カール性を付与することもできる。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S-6007、S-6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
或いは、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンジアミン-テレフタル酸-ヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸の共重合体等である。具体例としては、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)等が例示される。
本発明の(B)層として、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの好ましい組み合わせは、ナイロン−6とMXD−ナイロンの組み合わせ、ナイロン-6と非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)の組み合わせが挙げられる。
(2-3)芳香族ポリアミドの含有量
本発明の(B)層に芳香族ポリアミドを添加する場合、芳香族ポリアミドの含有量は、付与される物性によって上記数値範囲内から適宜選択することができる。例えば、芳香族ポリアミドが1〜50重量%の割合で含有されるように調整すれば、耐屈曲性、耐衝撃性等の(B)層の機能を損なうことがない。また、耐屈曲性、耐衝撃性等の機能に加え、耐カール性を付与する場合は、芳香族ポリアミドが50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%の割合で含有されるように調整する。また、本発明の(B)層において、脂肪族ポリアミドの含有量を10重量%以上、好ましくは20重量%以上にすることによって、シール層をラミネートする場合の十分なラミネート強度を保持することも可能である。
(B)層は、上記ポリアミド系樹脂からなるものであってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機または有機添加剤等を配合することができる。耐屈曲性改良剤としては、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ、0.5〜10重量%程度の範囲で適宜配合することができる。無機または有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。例えば、アンチブロッキング剤であれば、シリカ、タルク、カオリン等を100〜5000ppm程度の範囲で適宜配合することができる。
(3) 接着層
本発明において接着層は、上記(A)層と(B)層を接着させる目的で形成されても良い。接着層を介在させることによって、両者の接着後の層間強度が飛躍的に向上する。接着層としては特に限定されず、多層延伸フィルムの(A)層と(B)層の間に形成され、例えば不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された酸変性樹脂を用いることができる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された酸変性樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン、変性スチレン系エラストマー等が挙げられる。
変性ポリオレフィンは、公知の製法で得られ、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体とポリオレフィンとをラジカル発生剤の存在下で加熱混合して得られる。
ポリオレフィンとしては、オレフィン類の単独重合体、相互共重合体、他の共重合可能なモノマー(例えば、他のビニル系モノマー)との共重合体を例示できる。具体的には、例えば、ポリエチレン(例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)、ポリプロピレン、ポリブテン、これらの相互共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を例示できる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物、そのエステル又はその金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)等が例示できる。このうち、変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。
具体的には、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(例えば、三井化学(株)アドマーSF731、SE800等や三菱化学(株)モディック)が例示される。
変性スチレン系エラストマーとは、公知の製法で得られ、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体とスチレン系エラストマーとをラジカル発生剤の存在下で加熱混合して得られる。
スチレン系エラストマーは、スチレン―ブタジエン共重合体の水素添加物やスチレン―イソプレン共重合体の水素添加物等を例示できる。不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物、そのエステル又はその金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)等が例示できる。このうち、変性スチレン系エラストマーとして、無水マレイン酸で変性したスチレン−ブタジエン共重合体水素添加物が好ましい。
具体的には、無水マレイン酸で変性したスチレン−ブタジエン共重合体水素添加物(例えば、クレイトンポリマー製 クレイトンFG1901や旭化成ケミカルズ製タフテックM1913等)が例示される。
(4)層構成
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、(A)層と(B)層の少なくとも2層を有する。その他にも接着層やガスバリア層、シール層などを必要に応じて設けることもできる。具体的な層構成として、(A)層/(B)層、(A)層/接着層/(B)層、(A)層/(B)層/ガスバリア層/(B)層、(A)層/接着層/(B)層/ガスバリア層/(B)層、(A)層/(B)層/シール層、(A)層/接着層/(B)層/シール層などが挙げられる。
ここで、ガスバリア層とは酸素、窒素、二酸化炭素等のガスの透過性の低い層である。具体例として、エチレン−ビニルアルコール系共重合体や芳香族ポリアミド等が挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるものである。エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量は20〜70モル%、好ましくは25〜50モル%が好ましい。エチレン含有量が20モル%を下回ると熱安定性が悪く成形性が悪くなり、押出溶融成形においてゲル等の異物が発生しやすくなったり、延伸成形においてフィルムが破れやすくなる。エチレン含有量が70モル%を上回ると十分なバリア性を得られなくなる。またエチレン−ビニルアルコール系共重合体において、ガスバリア性が著しく低下しないような公知の他の成分が共重合されていたり、ブレンドされていても良い。またエチレン−ビニルアルコール系共重合体は組成が異なるエチレン−ビニルアルコール系共重合体をブレンドしているものであっても良い。エチレン−ビニルアルコール系共重合体の市販品としては、「エバール」((株)クラレ製)、「ソアノール」(日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S6007、S6011(何れも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
また、シール層としては、シール性を有する樹脂フィルムであればよく、例えば、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィンから構成される層を採用することができる。
このような層構成を有する本発明のポリアミド系多層延伸フィルムの総膜厚は、用途にあわせて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常6〜50μm程度、好ましくは10〜30μm程度である。また、各層の膜厚は、通常、(A)層は1μm以上、好ましくは1〜15μm程度、より好ましくは2〜12μm程度である。(A)層の厚みが1μm以上であることによって、熱寸法安定性、保香性等の優れた機能が本発明の多層フィルムに付与され得る。また、(B)層の厚みは5μm以上、好ましくは5〜40μm程度、より好ましくは7〜30μm程度である。(B)層の厚みが5μm以上であれば、耐屈曲性に優れ、かつシール層をラミネートした時にラミネート強度の測定が可能となる。接着層を設ける場合、厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは0.5〜2.5μm程度である。接着層が0.5μm以上であれば膜厚のコントロールがしやすく、5μm以下であれば十分な接着強度を付与しつつ、生産コストを抑えることができる。
さらに、本発明の多層延伸フィルムは、総膜厚を20μm以上とすることによって、(B)層が脂肪族ポリアミドからなり、芳香族ポリアミドの含有量が前記50〜90重量%の範囲外であっても優れた耐カール性を付与することができる。なお、総膜厚20μm未満の場合、耐カール性の付与を目的とするなら、且つ(B)層における芳香族ポリアミドの含有量が前記50〜90重量%の範囲内になるように調整してもよい。
本発明の多層延伸フィルムの好ましい態様を下記に例示する。
例1.(A)層がポリエチレンテレフタレートからなり(膜厚2〜12μm); (B)層がナイロン−6(膜厚7〜20μm)である。
例2.(A)層がポリエチレンテレフタレートからなり(膜厚2〜12μm); (B)層がナイロン−6及びMXDナイロンからなり、ナイロン−6の含有量が80〜95重量%、MXDナイロンの含有量が5〜20重量%(膜厚7〜20μm)である。
例3.(A)層がポリエチレンテレフタレートからなり(膜厚2〜12μm);;(B)層がナイロン−6及びMXDナイロンからなり、ナイロン−6の含有量が20〜40重量%、MXDナイロンの含有量が60〜80重量%(膜厚7〜20μm)である。
II.製造方法
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムの製造方法は、例えば、各層の順になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出せしめ、フラット状の多層フィルムを得る。得られたフィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2.5〜4.5倍に縦延伸し、更に50〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により2.5〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。本発明の多層延伸フィルムは、同時二軸延伸、逐次二軸延しても良く、得られた多層延伸フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
コロナ放電処理としては、例えば接地された金属ロールと、それに数ミリの間隔で置かれたナイフ状の電極の間に数千ボルトの高電圧かけてコロナ放電を発生させる方法が挙げられる。この放電中の電極とロールとの間を高速でフィルムを通過させる。この時にフィルムの表面はコロナ放電処理され、接着剤、インク、塗料などに対する親和性が向上するする。ここで、放電電流を制御することにより処理の程度が設定できる。コロナ放電処理後の表面のぬれ張力は、JIS K 6768の方法に従い測定した値が46mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上である。
III.ポリアミド系多層延伸フィルムの特徴
上記のようにして製造される本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、優れた耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性を有し、かつシール層をラミネートした時にラミネート強度の測定が可能であることから、包装用フィルムとして好適に用いられる。
[耐屈曲性]
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、屈曲による耐摩耗性に優れている。具体的には、常温(23℃)×1,000回のゲルボフレックス試験で発生するピンホールの個数が20個/300cm2以下、更に10個/300cm2以下であるという特徴を有している。屈曲によるピンホールの評価は、試験例1に記載の通りである。
[熱寸法安定性]
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、優れた熱寸法安定性を有している。熱寸法安定性の評価は、MD×TD=100mm×100mmのサンプルをレトルト処理(121℃×30分)し、処理後の収縮率を測定した。かかる測定条件において本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは収縮率が3%以下、好ましくは2.5%以下である。
[保香性]
本発明の多層延伸フィルムは、優れた保香性を有する。保香性の評価方法は、試験例1に記載の通りである。
[耐カール性]
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、耐カール性にも優れ、特に総膜厚が25〜50μm、好ましくは35〜50μmの場合、ならびに(B)層に含有される芳香族ポリアミドが50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%である場合に、優れた耐カール性を付与することができる。
[ラミネート強度]
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、上記の特徴を有しているため、包装用フィルムとして好適に用いられる。本発明のポリアミド系多層延伸フィルムを包装用フィルムとする場合、該フィルムの(B)層側に、シール層をラミネートして、包装用フィルムを製造する。ラミネート強度の測定は、包装用フィルムにおいて、本発明のポリアミド系多層延伸フィルムとシール層をT字剥離法にて測定する。本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、剥離時に(A)層と(B)層間で剥離するのではなく、当該ポリアミド系多層延伸フィルムとシール層の間で剥離することから、ラミネート強度の測定が可能である。ここで、シール層としては、ヒートシール性を有する樹脂フィルムであればよく、上記ヒートシール層の素材を用いることができる。ポリアミド系多層フィルムとシール層とをラミネートする方法は、公知の方法を採用することができる。
本発明のポリアミド系多層延伸フィルムは、上記の特徴を有しているため、包装用フィルムとして好適に用いられる。本発明のポリアミド系多層延伸フィルムを包装用フィルムとする場合、該フィルムの(C)層側に、シール層をラミネートして、包装用フィルムを製造する。これを、外層((A)層)を外側に向けて袋状にして、シール層面同士をヒートシールして袋状に加工して包装用袋を製造する。
得られた包装用袋に内容物を充填して包装物を得る。包装する内容物の種類に限定は無いが、特に、スープ、蒟蒻、漬物等の水物系の食品や、餅、ウィンナー、調味料等の重量のある食品、詰め替え用のシャンプー、リンス、ボディソープ、洗剤などの重量のある液体を包装する場合や米、氷等の袋の容積が大きいものの包装、醤油、酢などの臭気のきついものに、本発明の効果が顕著に発揮される。包装用袋の形態としては、例えば、3方シール形、封筒形、カゼット形、平底形等の袋状形態、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、詰替えパウチ等が例示される。
さらに、本発明の多層フィルムは、高い透明性を有しているため、包装物としたとき内容物の目視が容易である。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(A)層としてポリエチレンテレフタレート「ベルペット−EFG6C」((株)ベルポリエステルプロダクツ製)を用い、 (B)層として脂肪族ポリアミド ナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)を用いた。
各層を構成する樹脂を、(A)層/(B)層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の2層フィルムを得た。この2層フィルムを、65℃のロール延伸機により2.7倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmの2層フィルムを得た。得られたフィルムの(B)層表面にはコロナ放電処理を施し、ぬれ張力は56mN/mであった。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例2]
(A)層としてポリエチレンテレフタレート「ベルペット−EFG6C」((株)ベルポリエステルプロダクツ製)を用い、 (B)層として脂肪族ポリアミド ナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)を用いた。また接着層として変性スチレン系エラストマー「タフテックM1913」(旭化成ケミカルズ(株)製)を用いた。
各層を構成する樹脂を、(A)層/接着層/(B)層の順序になるように 用い、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例3]
(A−1)層としてポリエチレンテレフタレート「ベルペット−EFG6C」((株)ベルポリエステルプロダクツ製)を用い、(A−2)層としてスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(95モル%)及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールである結晶性ポリエステル(極限粘度:0.50 dl/g))を用い、(B)層として脂肪族ポリアミド ナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)を用いた。
各層を構成する樹脂を、(A−1)層/(A−2)層/(B)層の順序になるように用い、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例4]
(B)層の脂肪族ポリアミド樹脂としてナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)90重量%、芳香族ポリアミド樹脂としてアモルファスナイロン「シーラーPA」(三井・デュポンポリケミカル(株)製)10重量%を配合した樹脂を用い、接着層として変性ポリオレフィン「アドマー SF731」(三井化学(株)製)を用いる以外は、実施例2と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例5]
(B)層の脂肪族ポリアミド樹脂としてナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)30重量%、芳香族ポリアミド樹脂としてMXDナイロン「S6007」(三菱ガス化学(株)製)70重量%を配合した樹脂を用いること以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例6]
(B)層の脂肪族ポリアミド樹脂としてナイロン−6「UBEナイロン−1022B」(宇部興産(株)製)30重量%、芳香族ポリアミド樹脂としてMXDナイロン「S6007」(三菱ガス化学(株)製)70重量%を配合した樹脂を用いること以外は、実施例2と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[実施例7]
各層厚みを下記表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。
[実施例8〜10]
実施例8〜10の多層延伸フィルムは、各層厚みを下記表1に記載した通りに変更した以外は、実施例4と同様にして多層延伸フィルムを製造した。
[実施例11]
(A)層としてスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(97モル%)及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸(3モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールである結晶性ポリエステル(極限粘度:0.55dl/g))を用いること以外は実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。
[実施例12]
各層厚みを下記表1に記載した通りに変更した以外は、実施例11と同様にして多層延伸フィルムを製造した。
[比較例1]
各層厚みを下記表1に記載した通りに変更した以外は、実施例4と同様にして多層延伸フィルムを製造した。
[比較例2]
(B)層として、脂肪族ポリアミドに代えて芳香族ポリアミド樹脂(MXDナイロン「S6007」(三菱ガス化学(株)製))を用いること以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[比較例3]
層構成を(A)層/(B)層/(A)層の順に3層構成とし、(A)層の片表面にコロナ放電処理を施してぬれ張力を56mN/mとすること以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを製造した。各層の厚みは下記表1に記載の通りである。
[試験例1]
実施例1〜12及び比較例1〜3において得られた多層延伸フィルムについて、耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性、耐カール性、及び包装用フィルムの耐カール性について評価した。結果を表2に示す。
[耐屈曲性試験]
屈曲によるピンホール性の評価(耐屈曲性)は、理化学工業(株)製のゲルボフレックステスターを用いて行った。その方法は、折り径150mm、長さ300mmの筒状に製袋したフィルムをゲルボフレックステスターに装着し、捻り角度440°で62.5cmの直線水平運動を常温(23℃)条件下で1000回繰り返した後、浸透液を用いてピンホールの数を調べるものである。なお、ピンホール数の測定は、捻り屈曲を行ったサンプル中央部分の300cm2の箇所で行った。3枚のサンプルについてピンホールの数を測定し、その平均値を結果として示す。
[熱寸法安定性試験]
熱寸法安定性の評価は、MD×TD=100mm×100mmのサンプルをレトルト処理(121℃×30分)し、処理後の収縮率を測定した。
[保香性試験]
各フィルムにて小袋(3cm×8cm)を作製し、それぞれ5mlずつ食酢(米酢、醸造酢)を充填
して密封した。これをガラス瓶に入れて密封した。3日後の食酢臭を、評価基準に従って官能評価にて評価した(n=6)。表2中の数値は、平均値を表す。
官能評価基準
5:全く臭わない
4:かすかに臭う
3:少し臭う
2:臭う
1:強く臭う
[耐カール性]
23℃×50%RH雰囲気下にて24時間保管後、(A)層を上面にし、マット上にてMD×TD=10cm×10cmの正方形の対角線に十字の切り込みを入れ、真上から観察したときにフィルムがカールすることによって確認できるマットの面積を測定した。マットの面積の測定はデジタルカメラにて撮影した画像をコンピューターに取り込み、画像解析ソフトNIH Image (National Institute of Health)にて行った。測定された面積の値が30cm2以下である場合を、良好な耐カール性を有するものとした。ただし、面積の値が30cm2以上であっても、75cm2以下であれば実用上問題のないレベルである。
[ラミネート特性]
得られたポリアミド系多層延伸フィルムを用いて次のようにしてドライラミネートを行った。フィルムのコロナ放電処理面側にリバースロールコーターにて、接着剤(大日精化工業(株)製 主剤:セイカボンドE-372、硬化剤:セイカボンドC-76-2.0、主剤:硬化剤:酢酸エチル=17:2:1000 (重量比))を乾燥塗布量が4.0g/m2-dryとなるように塗布する。60℃の熱風で乾燥した後、シール層(東セロ(株)製 T.U.X. FCS 50μm)を張り合わせ40℃のニップロールにて圧着した。40℃で48時間加熱養生を行い、包装用フィルムを得た。この包装用フィルムにおいて、ポリアミド系多層延伸フィルムとシール層をT字剥離法にて剥離させ、剥離時にポリアミド系多層延伸フィルムとシール層の間で剥離するものを○、ポリアミド系多層延伸フィルムの層間で剥離するものを×とした。
Figure 2010042585
Figure 2010042585
表2より、実施例1〜12の多層延伸フィルムは、いずれも優れた耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性、耐カール性及びラミネート特性を有していることが示された。また、実施例1〜12は、(A)層/(B)層/(A)層の3層によって構成される比較例3の多層延伸フィルムと比較しても、同等以上の保香性を有していた。さらに、総膜厚が25μmである実施例7、9、10及び12については、優れた耐カール性を示した。一方、(B)層が所定量の脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドで形成される実施例5及び6の場合は、総膜厚が15μmであっても優れた耐カール性を示した。
これに対し、(B)層の膜厚が3μmである比較例1の多層延伸フィルムは、耐屈曲性及び耐カール性、ラミネート特性が劣っていた。また、(B)層を芳香族ポリアミドのみによって形成した比較例2のフィルムは、耐屈曲性に劣っていた。さらに、最内層にポリエステル層((A)層)を配した場合、耐カール性に優れるものの、ラミネート特性が劣っていた。
以上の結果より、(A)層と(B)層を有する多層延伸フィルムであって、各層の厚みが(A)層3〜12μm; (B)層7〜17μmであり、(A)層が結晶性ポリエステル、(B)層が脂肪族ポリアミドを含有する多層延伸フィルムは、優れた耐屈曲性、熱寸法安定性、保香性、及びラミネート特性を有していることが示された。
さらに、前記多層延伸フィルムにおいて、総膜厚が20μm以上の場合、又は(B)層が脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミドを所定量含有する場合には、より優れた耐カール性を有することが示された。

Claims (10)

  1. 外面層(A)と内面層(B)の少なくとも2層を有する多層積層体を2軸延伸することにより得られるポリアミド系多層延伸フィルムであって、
    (A)層が結晶性ポリエステルを含有し、(B)層が脂肪族ポリアミドを含有し、
    (B)層の厚みが5μm以上である、ポリアミド系多層延伸フィルム。
  2. (A)層に含まれる結晶性ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、スルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  3. (B)層の脂肪族ポリアミドが、ナイロン−6、ナイロン−6とナイロン−6,6との共重合体、及びその混合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  4. 前記(B)層が、さらに芳香族ポリアミドを1〜50重量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  5. 前記(B)層が、さらに芳香族ポリアミド50〜90重量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  6. 前記芳香族ポリアミドが、ポリメタキシレンアジパミド又はアモルファスナイロンである、請求項4又は5に記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  7. 前記(B)層側の表面にコロナ放電処理が施されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系多層延伸フィルムの(B)層側に、シール層をラミネートしてなる包装用フィルム。
  9. 請求項8に記載の包装用フィルムを袋状に成形し、シール層面同士をヒートシールして得られる包装用袋。
  10. 請求項9に記載の包装用袋に内容物を充填してなる包装物。
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