以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機である乗用型苗植機1の側面図と平面図である。この施肥装置付きの乗用型苗植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右の前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右の前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置である伝動装置21及び油圧式変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、ミッションケース12の後面から後方に延びる左右の伝動軸となるドライブシャフト209,209を介して各々の後輪ギヤケース18,18に伝達され、後輪11,11を駆動する。尚、ミッションケース12の後部には左右各々のサイドクラッチ211,211及びサイドブレーキ212,212が設けられ,該サイドクラッチ211,211及びサイドブレーキ212,212を介して各々のドライブシャフト209,209へ伝動される。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これら上リンク40及び下リンク41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる苗植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。尚、苗植付装置52は、複数個の苗植付け具126を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらセンターフロート55、ミドルフロート57及びサイドフロート56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート55、ミドルフロート57及びサイドフロート56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。センターフロート55、ミドルフロート57及びサイドフロート56の各々のフロートは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でセンターフロート55、ミドルフロート57及びサイドフロート56に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
苗植付部4には整地装置の一例であるサイドロータ27a及びセンタロータ27bが取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
サイドロータ27a及びセンタロータ27bは、次のような支持構造に支持されている。すなわち苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられ、該ロータ支持フレーム68の下端にはサイドロータ27aとセンタロータ27bの第一駆動軸70aと第二駆動軸70bが取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは苗植付伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
センターフロート55、ミドルフロート57及びサイドフロート56の配置位置の関係でセンターフロート55の前方にあるセンタロータ27bはサイドフロート56とミドルフロート57の前方にある各々のサイドロータ27aより前方に配置されている。そのためサイドロータ27aの第一駆動軸70aへの動力は後輪11の後輪ギアケース18内のギアから伝達され、センタロータ27bの第二駆動軸70bへはサイドロータ27aの第一駆動軸70aの車体内側の端部から動力が伝達される。
また、センタロータ27bは梁部材66に上端部が支持された第一リンク部材76及び第二リンク部材77により第二スプリング78を介して吊り下げられている。
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲板82が固着されており、該折曲板82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記ロータ上下位置調節レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲板82が上下に回動する。折曲板82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがロータ上下位置調節レバー81の機体右方向の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77と第二スプリング78を介してセンタロータ27bを上方に上げることができる。センタロータ27bを上方に移動させると、第二駆動軸70bと第一駆動軸70aを介してサイドロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は走行車体2のほぼ中央部に設けているので、サイドロータ27a及びセンタロータ27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
また、苗植付部4を圃場に下げたときに、苗植付部4を水平位置に戻すケーブル45をセンタロータ27bの第一リンク部材76及び第二リンク部材77と第二スプリング78等からなる引上げスプリング部と昇降油圧シリンダ46と連動させた。
このように、センタロータ27bの第二スプリング78等によるスイング機構の他にケーブル45を設けることで苗植付部4を上昇位置から下降させるごとにセンタロータ27bを水平位置に戻すことができ、センタロータ27bの保持位置を安定化させることができる。
エンジン20の回転動力は、伝動装置21などを介して油圧式変速装置23に伝えられ、油圧式変速装置23からの出力はベルト(図示せず)を介してミッションケース12の図示しない入力軸に伝えられる。
苗植付部4は、走行車体2のメインフレーム15に昇降リンク装置3で昇降自在に装着されているが、その昇降させる構成と苗植付部4の構成について説明する。先ず、走行車体2に基部が回動自在に設けられた一般的な昇降油圧シリンダー46(図1)のピストン上端部を昇降リンク装置3に連結し、走行車体2に設けた油圧ポンプ(図示せず)により昇降油圧シリンダー46に圧油を供給したり、昇降油圧シリンダー46から圧油を排出したりて、昇降油圧シリンダー46のピストンを伸進させたり縮退させて昇降リンク装置3に連結した苗植付部4が上下動されるように構成されている。
ここで、ハンドル(ステアリングハンドル)34にて前輪10,10が操向操作される部分の構成について図3と図4に基づいて説明する。
ハンドル34は、フロントカバー32内に設けられたステアリング軸上部に固定されており、ステアリング軸の回転はミッションケース12内に設けられたステアリング変速歯車を介して減速されて出力軸174に伝動される。そして、出力軸174の下端は、ミッションケース12底面から突出してピットマンアーム175が固定されている。該ピットマンアーム175の前部左右側と左右の前輪ファイナルケース13,13(図1)とは左右ロッド176、176(図4)にて連結されている。
従って、ハンドル34を回動操作すると、ステアリング軸、ステアリング変速歯車、出力軸174、ピットマンアーム175、左右ロッド176,176、左右の前輪ファイナルケース13,13へと伝達されて、左右の前輪10,10が左右操向操作される。
また、図示しないペダルの踏み込みで作動する右アーム171Rはカウンター軸170の右端部に溶接して固定されている。そして、カウンター軸170の左端部には、左アーム171Lが溶接固定されている。更に、右アーム171R及び左アーム171Lの各下部から後方に向けて左連結ロッド172L及び右連結ロッド172Rが設けられ、左連結ロッド172L及び右連結ロッド172Rの各々の後端は左右のサイドブレーキ212,212を操作する左右シフタ85J,85Jを操作する左右ブレーキ操作アーム86J,86Jに連結されている。
一方、ピットマンアーム175の後部上面には、作動ローラ177が回転自在に設けられており、その作動ローラ177の左右両側を囲むように平面視でコ字状に切り欠かれた切欠き部178を有する従動体179がミッションケース12の底面に回動自在に支持されている。そして、従動体179の左右両側部には、左右のクラッチ操作アーム86I、86Iに連結された左右の第二ロッド180、180の前部が連結されている。従って、ハンドル34を所定量(機体を右旋回させる意思を持って作業者が右に回す量)以上右に回すと、ピットマンアーム175も右回動し、作動ローラ177が(ハ)方向に回動し、従動体179の切欠き部178の左側面178aを押すために、従動体179を(ニ)方向に回動させ右の第二ロッド180を引き、右のクラッチ操作アーム86Iが操作されて右のサイドクラッチ211が切れ、旋回中心側の右後輪7が遊転状態となるので、右後輪7が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒してしまうようなこともなく、右旋回がスムーズできれいにできる。
逆に、ハンドル34を所定量以上左に回すと、ピットマンアーム175も左回動し、作動ローラ177が反(ハ)方向に回動し、従動体179の切欠き部178の右側面178bを押すために、従動体179を反(ニ)方向に回動させ、左の第二ロッド180を引き、左のクラッチ操作アーム86Iが操作されて左のサイドクラッチ211が切れ、旋回中心側の左の後輪11が遊転状態となるので、左の後輪11が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒してしまうようなこともなく、左旋回がスムーズできれいにできる。
更に、ピットマンアーム175の前部上面には、左右センサ押板182、182が設けられており、ハンドル34を左右何れかに200度回転させると、ミッションケース12の底面に固定されたオートリフトスイッチ183がONになる(ハンドル34は左右に最大360度〜400度回転する)。
これらの図3、図4に示すピットマンアーム175、左右ロッド176、176、作動ローラ177、切欠き部178、従動体179、第二ロッド180、左右センサ押板182、182及びオートリフトスイッチ183を旋回連繋機構Aと言うことにする。
上記した実施例では、ハンドル34の所定角以上の操作により、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ211を切る例を示したが、サイドクラッチスイッチを作業モニタ装置に備えた操作盤33に設けておき、手動でサイドクラッチ211の「切」が可能な構成にしても良い。または、サイドクラッチペダルにより、手動でサイドクラッチ211の「切」が可能な構成にしても良い。
従って、機体旋回時にサイドクラッチ211が切り操作されて、機体の旋回に伴って圃場に接地しているが為に回転する旋回内側となる後輪11の回転数(旋回内側となる後輪11のドライブシャフト209の回転数)の検出に基づいて走行距離を算出すると、駆動されている車輪よりもスリップなどの影響を受け難く、その走行距離の算出が正確に行えて、最適な自動旋回制御が行える。そこで、左右の後輪11,11の各々のドライブシャフト209,209に回転検出用歯車210,210を固定して設けて、該回転検出用歯車210,210の回転数を各々の伝動軸回転数センサとなる走行距離検出センサ205,205で検出する構成としている。
該走行距離検出センサ205は、ミッションケース12の上面部に設けてあり、ミッションケース12から左右に突出しないようにしている。これは、ミッションケース12の左右には、左右の前輪10,10が配置されているためであり、このように、走行距離検出センサ205をミッションケース12の上面部に設けてミッションケース12から左右に突出しないようにすると、左右の前輪10,10が操向操作される時に邪魔にならず、操向角度が大きくできて、小型の機体構成で旋回半径の小さい機体を得ることができ、最適な機体の旋回が行える。更に、走行距離検出センサ205がミッションケース12の上面部に設けられているので、走行距離検出センサ205に泥が付着することが少なくなって、耐久性もよくなり、後述する機体の旋回制御を長期に亘って良好に行える。
次に、後進時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、図6に示すように、チェンジレバー90(前後進レバー)を後進速に操作すると、チェンジレバー90の基部に設けた接当板190が接当してONになるバックリフトスイッチ191が設けられており、制御装置163(図7)の苗植付装置上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して昇降油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
このように、チェンジレバー90を後進速に操作すると、自動的に苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇しているので、苗植付部4が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
また、前記ハンドル34を左右何れかに200度回転させた時に図6に示すオートリフトスイッチ183がONになると、制御装置163の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して昇降油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
このように、畦際で機体を旋回させるためにハンドル34を左右何れかに最大限まで回転させると、オートリフトスイッチ183がONになり、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付部4を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
一方、操作盤33には、苗植付部4の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替スイッチ192(図6)が設けられており、即ち、自動リフト切替スイッチ192を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ191がONになるかオートリフトスイッチ183がONになると自動的に苗植付部4は制御装置163の苗植付装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4は自動上昇されない。
このように、一つの自動リフト切替スイッチ192で、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4は自動上昇されない状態にすることができるので、バックリフトとオートリフトの各々を入り切りするスイッチを別々に設けた構成よりも簡潔な構成となり、一つのスイッチで両者の状態切替えが行えるので、操作ミスが少なくなり作業性が良い。
なお、自動リフト切替スイッチ192をOFFにして、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー90を後進速に操作しても苗植付部4が自動上昇しないので、苗植付部4を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に苗植付部4をぶつけてしまうような事態が回避できる。また、扇型やひょうたん型等の変形圃場で畦際に沿って周り植えをする場合に、曲がった畦に沿ってハンドル34を回しながら植付け作業を行うが、この時に、自動リフト切替スイッチ192を自動位置にしていると、ハンドル34を左右何れかに200度以上回転すると自動的に苗植付部4が上昇してしまい植付け作業が行えないが、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、ハンドル34を左右何れかに200度以上回転しても苗植付部4は上昇しないので植付け作業が行え、変形圃場でも適切に苗植付け作業が行える。
また、上記構成からなる乗用型苗植機1では、本実施例の制御装置163は旋回内側の後輪11の回転数の検出に基づいて、旋回時の苗植え付けなどの諸作動を自動的に行わせる旋回連動制御ができる。特に、旋回内側の後輪11が所定角度以上操舵されているときに、前記旋回連動制御ができる。
この制御の考え方を図8と図9に示す。
すなわち、ハンドル34を切り、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ211が切れた状態である所定値以上の操作角度にハンドル34が操作されたことをハンドル切れ角センサ193が検出すると、伝動軸回転数センサとなる走行距離検出センサ205により、旋回内側のドライブシャフト209の回転数の検出を開始し、旋回時の内側の後輪11の伝動軸回転数が設定値N1を超えると苗植付部4を下降させる。その後、後輪11の伝動軸回転数が設定値と苗植付け具126の作動が「切り」状態に入って(苗植付装置52が上げ状態に移って)からハンドル34の切り操作開始までの後輪11の伝動軸の回転数nの合計値以上になると植付「入り」にする機構である。
上記旋回連動制御のフローを図10に示す。
まず、左右の後輪11,11の伝動軸の回転数を走行距離検出センサ205で検出し、また第一の設定回転数N1(旋回開始から機体90°旋回までの内側のドライブシャフト209回転信号設定値)、第二の設定回転数N2(図9の旋回開始から180度旋回し植付「入り」にするまでの距離(ロ)を走行する間の内側のドライブシャフト209回転信号設定値)、θ1((直進操作時のハンドル切り設定角度の)下限値)、θ2((直進操作時のハンドル切り設定角度の)上限値)をセットする。
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ等の圃場条件の相違に対応するために、前記第1の設定回転数N1、第2の設定回転数N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節するθ1の設定ダイヤル206a、θ2の設定ダイヤル206b、N1の設定ダイヤル208a及びN2の設定ダイヤル208b(図7)により、補正値n0を設定する。
苗植付部4の苗植付け具126が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー166の操作に伴う制御装置163の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付け具126の作動が「入り」状態に入ってから苗植付け具126の作動が「切り」状態になるまでの後輪11の伝動軸の回転数nを走行距離検出センサ205で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ハンドル34の切り角度(操舵角度)θをハンドル34のシャフトに設けたハンドル切れ角センサ(ポテンショメータ)193(図7)で検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
圃場端部などで、次の植付条に苗を植え付けるために乗用型苗植機1を旋回させる場合に、ハンドル34を旋回操作して旋回内側の後輪11のサイドクラッチ211を切り、後輪11のドライブシャフト209の回転数が、所定値以上の操作角度にハンドル34が操作された旋回開始時から第1の設定回転数N1になると(第1の設定回転数N1で図9に示す走行軌跡に従って旋回開始から90度旋回する間での距離(イ)を走行する。)、ブザーで構成される報知装置186を長く鳴らしてハンドル34を強く回転させて機体を90度旋回させる。
左旋回中であると左の後輪11の伝動軸の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付部4を下げる。この苗植付部4の下降で枕地が均平化される。また、機体を90度旋回させた後には報知装置186を鳴らすのを止めて、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進させ、左の後輪11のドライブシャフト209の回転数n2がn2≧N2+n+n0になると(第2の設定回転数N2で図9の旋回開始から180度旋回する間での距離(ロ)を走行する。)、長く報知装置186を鳴らしてハンドル34を再度強く回転させて機体を90度旋回させる。機体を90度旋回させた後には報知装置186を鳴らすのを止めて、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進して距離(ロ)+(ハ)走行し、かつ180度の旋回が完了する。このとき図10に示す旋回が完了して第2の設定回転数N2で植付クラッチ「入り」が行われ、苗植付け具126を作動させて苗の植え付けを開始させる。これにより、前工程の植え終わり位置に揃う位置で苗の植え付けが開始される。
また、後輪11のドライブシャフト209の回転数が旋回開始時から第1の設定回転数N1に達して長く報知装置186を鳴らしてハンドル34を90度旋回させた後に、ハンドル34の旋回を緩めても中央近傍に戻らなかった場合には、次の長く報知装置186が鳴る間での間隔を短くして、走行距離(ロ)が短くなっても、後輪11のドライブシャフト209の回転数が旋回開始時から第2の設定回転数N2に達したときには長く報知装置186を鳴らして、再びハンドル34を90度旋回させる。
また、前記報知装置186に替えてセンターマスコット29の点滅又は音声で、例えば「ハンドルを戻してください」、「ハンドルを切って条合わせしてください」などと操縦者に知らせて、旋回操作をさせることにしても良い。
こうして8条植えなどの多条植え用の乗用型苗植機であっても、前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれなく圃場での旋回が可能となる。
右旋回の場合にも左旋回時と全く同様の制御が行われる。
なお、前記旋回制御時には苗植付部4の「下げ」から苗植付部4の「入り」までの間に苗植付部4の昇降油圧シリンダー46の油圧感度を鈍感(上昇側に切り替わらない)状態にすることでセンターフロート55などを前上がり状態にすることが望ましい。これはセンターフロートセンサー169の制御目標をセンターフロート55が前上がり状態になるように設定することで行え、センターフロート55を前上がり状態にすることで旋回跡を均平にすることができ、枕地処理が容易に精度よく行える。
このようにサイドクラッチ211が切れている後輪11のドライブシャフト209の回転数を検出するため、動力の伝わっている後輪11の回転数検出に比べてよりスリップなどの影響を受け難い特徴がある。また、後輪11より回転の速いドライブシャフト209の回転数を検出するため、容易にその測定精度を上げることができる。その結果、各植え付け条毎の苗の植え付け始めがほぼ一定(枕地幅(D)が一定)となる効果がある。
また、上記図10に示す一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン(スイッチ)184を上記苗植付のスタート位置の設定を行うボタンとして兼用してもよい。
このように、畦際から発進して苗植付のスタート位置の設定を行うボタンと前記一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン184を兼用することによりボタン操作の忘れを防止できる。
一般に、苗植付装置52の苗植付け具126の作動速度を一定にして苗の植付間隔(株間)が等間隔になるように設定しているが、例えば比較的広目に株間を設定すると、苗植付け具126の作動速度は苗植付時に比べて、苗植付時以外の作動時には遅くなる不等速で苗を植付けることになり、苗植付け具126による苗の植付が脈動(振動が発生するような不安定な動き)する。このとき、車速が早いと、苗植付け具126の脈動に圃場面の荒れにより生じる走行車体2の振動が加わり、前記脈動が増幅される。
そこで、本実施例では、副変速装置(図示せず)の適切な速度段の選択で疎植を行うことができる構成にしておき、図11の車速を変速する変速レバー16と植付クラッチケース25を作動させる疎植標準植切替レバー118の連結関係を説明する図に示すように、疎植標準植切替レバー118を実線の疎植付側から図11の矢印A方向に操作して点線位置の標準植付側に移動させると、疎植標準植切替レバー118の回動基部が設けられた植付クラッチケース25から突出する株間変速シフタ(図示せず)を作動させ、該株間変速シフタにより植付クラッチケース25内の図示しないギア機構が苗植付け具126の苗植付間隔を疎植付側から標準植付側に変更させる。
また、同時に疎植標準植切替レバー118の回動基部に一端が連結した第二ケーブル119を介して、該第二ケーブル119の他端部に連結した車速規制プレート47が回動支点47aを中心に図11の矢印B方向に移動して変速レバー16をより高速側に移動可能とする。
これは変速レバー16の回動基部に突設されたピン16aが機体に支持された変速レバーガイドプレート16bのレバーガイド孔16cに沿って変速レバー16をより高速側に移動させることができるからである。
しかし、車速規制プレート47の回動支点47aに対して第二ケーブル119との連結部とは反対側の車速規制プレート47の端部は機体に支持されたスプリング48で常に図11の矢印B方向の反対方向に付勢されているので、疎植標準植切替レバー118が実線の疎植付側に移動するとき、及び第二ケーブル119が切断したときには車速規制プレート47の先端のフック部に変速レバー16の回動基部に突設されたピン16aが係止され、車速が減速側になるように変速レバー16の回動が規制され、走行安全性を維持できる。
図12(a)の苗載台51の下端部の側面図と図12(b)の苗載台51の下端部の平面図に示すように苗載台51の下端部の左右方向には苗載台51の両側の側壁に設けられるジョイント51cに支持させた面苗床の苗を上向きに誘導するシャフト51dが設けられている。該シャフト51dの一方の先端部に円形プレートを取り付ける。施肥装置5の残肥料回収管(横長)内の肥料詰まりにて、シャフト51dはジョイント51cから取り出して、掻き出し棒として使用することができる。
図13(a)、図13(b)の苗載台51部分の背面図に示すように苗載台51には施肥装置5からの肥料や薬剤(たとえば殺虫材)の散布装置63を配置する。このとき横移動しない植付部フレーム51eに条数分の肥料(又は薬剤)の排出口を設けると、苗載台51の横移動を利用し、苗の両端まで肥料(又は薬剤)を播くことができる。
図14(a)のフロントカバー32部分の側面図と図14(b)のフロントカバー32部分の背面図に示すようにフロントカバー32の座席31側の下方に設けた窪み32aに足で踏むことができる株間レバー22を配置することで、足等が株間レバー22に当たりにくくなるため株間レバー22の誤操作が防止できる。
また、前記フロントカバー32の窪み32aに、副変速レバー17をフロントカバー32の壁面を構成する仕切板32bと平行に配置することにより足等が当たりにくい位置に副変速レバー17を配置できる効果がある。
図15及び図16に示す構成は、ハンドル34にて前輪10,10が操向操作される部分において、ピットマンアーム175、従動体179、第二ロッド180、180等を異なる形態にしたものである。前記ピットマンアーム175は、出力軸174から前側に延び、先端部に作動ローラ177を回転自在に取り付けている。前記従動体179は、作動ローラ177の後側に配置され、左右中央部が前側へ偏位するよう屈曲した形状となっている。そして、ピットマンアーム175の回動で作動ローラ177が左右に移動すると、該作動ローラ177が従動体179の前側面に接触して該従動体179を回動させる構成となっている。具体的には、ハンドル34を左に回動すると、ピットマンアーム175が右側に回動して左右の前輪10,10が左側に操舵されると共に、作動ローラ177が右側に移動して従動体179の左右中央部の右寄りの部分を後側へ押し、左側の第二ロッド180が引かれる方向へ従動体179を回動させる。逆に、ハンドル34を右に回動すると、ピットマンアーム175が左側に回動して左右の前輪10,10が右側に操舵されると共に、作動ローラ177が左側に移動して従動体179の左右中央部の左寄りの部分を後側へ押し、右側の第二ロッド180が引かれる方向へ従動体179を回動させる。前記第二ロッド180は、中途部に油圧式の間欠作動用シリンダ217を備えている。この間欠作動用シリンダ217の伸縮により、第二ロッド180の有効長を変更してサイドクラッチ211の作動を間欠的に入切させる構成となっている。
間欠作動用シリンダ217は、ハンドル34を所定角度以上操作したとき、走行距離検出センサ205による旋回外側の後輪11の回転数に基づいて、旋回外側の後輪11が所定の回転数に達する度に旋回内側の後輪11のサイドクラッチ211が所定時間(0.5秒程度)伝動状態となるよう伸長する構成となっている。尚、間欠作動用シリンダ217は、制御装置163からの出力信号で間欠作動用油圧電磁バルブ218を作動させ油圧回路の油路を切り替えることにより、作動する。これにより、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ211を間欠的に作動させ、旋回内側の後輪11が圃場を荒らすのを抑えると共に、機体を所望の旋回半径で旋回させることで、旋回後の次工程の植付条への条合わせ(次工程位置への機体の誘導)を適正に且つ容易に行える。
図16に示すように、前記間欠作動用シリンダ217は、ミッションケース12の左右で且つ該ミッションケース12の下面から上側で、側面視においてミッションケース12と重複する位置で、ミッションケース12の左右に固着される前輪ファイナルケース13の左右に延びる前輪アクスル部分13aの下方に配置されている。これにより、間欠作動用シリンダ217により機体の最低地上高を低くすることなく、また機体の上方及び下方から間欠作動用シリンダ217に直接干渉物が干渉するのを防止して該間欠作動用シリンダ217が破損するのを防止し、しかも間欠作動用シリンダ217を左右の前輪10,10の間に配置して前輪10が操舵されても干渉しない位置に配置でき、機体のコンパクト化が図れる。
また、間欠作動用油圧電磁バルブ218を、左右の前輪10,10の間で、ミッションケース12の左側の側方で前輪アクスル部分13aの前側且つ上側に配置し、間欠作動用油圧電磁バルブ218に干渉物が干渉するのを防止して該間欠作動用シリンダ217が破損するのを防止し、また間欠作動用油圧電磁バルブ218をミッションケース12の側方の空間を利用して配置でき、機体のコンパクト化が図れる。
尚、前述のように、オペレータがハンドル23を適宜操作して旋回度合いを調節しながら旋回する場合、報知装置186によりハンドル23の操作を促しても、オペレータの個人差により機体の旋回経路が多少異なり、ひいては苗植付部4の下降時期や苗の植え始め位置が不適正になるおそれがある。そこで、走行距離検出センサ205により旋回内側の後輪11の回転数を検出しているとき、ハンドル23の操作角度が所定角度(例えば180度)以下であるときには走行距離検出センサ205による回転数のカウントをしないようにすることができる。これにより、オペレータの個人差はもとより、耕盤が深い圃場で走行スリップしないようにハンドル23を直進側に戻したりして、ハンドル23の操作により所望の旋回走行経路で走行できなかった場合に、実際の旋回走行距離で苗植付部4の下降時期や苗の植え始め位置が不適正に制御されるようなことを防止できる。
また、検出子が圃場の土壌内に突入して機体の進行で左右に回動することにより機体の進行方向を検出する方向センサを設け、該方向センサにより機体の進行方向が直進側に近いときには走行距離検出センサ205による回転数のカウントをしないようにすることもできる。
左右の後輪11の外側に該後輪11と一体回転する補助車輪を設けたとき、この補助車輪に回転が伝わることにより、走行距離検出センサ205による機体の走行距離(旋回過程)の検出精度が低下するおそれがある。そこで、左右の後輪11,11をローリングさせるローリングフレームの機体に対するローリング角度を検出するローリング角センサを設け、機体旋回時に、機体に対して旋回内側の後輪11が低くなる側に左右の後輪11,11がローリングするときは、制御装置163により第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2を減少させる側に補正することもできる。これにより、旋回内側の後輪11が低くなる側に左右の後輪11,11がローリングするときは、旋回内側の補助車輪が耕盤に触れて旋回していることになるから、該補助車輪の回転数に対して旋回外側の後輪11で推進される機体の走行距離は実質的には大きいため、これを考慮して第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2が自動的に補正されることにより、機体の旋回過程において、適正なときに苗植付部4を下降させ、適正なときに苗の植え付けを開始させることができる。
尚、左右の後輪11,11のローリングを油圧シリンダ等のアクチュエータにより作動させる構成とし、左右の後輪11,11をローリングさせるローリングフレーム等に設けた左右傾斜角センサにより左右の後輪11,11のローリング角度を検出し、該ローリング角度が水平となるよう制御装置163により前記アクチュエータの作動を制御する構成としてもよい。このとき、通常の直進植付時に、前述の方向センサにより機体の進行方向が左右に偏っていることを検出したときは、該方向センサの検出に基づいて機体が直進状態となるよう左右の後輪11,11をローリング制御すればよい。具体的には、機体の進行方向が左寄りである場合、左側の後輪11が右側の後輪11に対して高位となるように左右の後輪11,11のローリング角度の制御目標を補正し、逆に、機体の進行方向が右寄りである場合、右側の後輪11が左側の後輪11に対して高位となるように左右の後輪11,11のローリング角度の制御目標を補正する。また、通常の直進植付時に、ハンドル23を所定角度以上操作していないことをハンドル切れ角センサ193で検出しているにも拘らず、方向センサにより機体の進行方向が変化するときは、圃場の凹凸等により直進性が維持しにくい状態であるから、左右の後輪11,11のローリング制御の制御感度が敏感となるようにして、直進性を維持することができる。尚、ローリング制御の制御感度を敏感にする方法としては、ローリング角度の制御不感帯幅を小さくしたり、方向センサの検出値の制御不感帯幅を小さくしたりする方法がある。
上記に加えて、前輪ファイナルケース13を上下に伸縮する構成とし、前輪10をサスペンションスプリングにより下方へ押圧する構成として、前輪10が耕盤の凹凸に追従して上下動する構成としたとき、前輪10の上下動が多いことを前輪上下動センサで検出すると、制御装置163により第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2を減少する側に補正することもできる。これにより、耕盤の凹凸が激しいと旋回内側の補助車輪が耕盤に触れる頻度が多くなり、該補助車輪が機体の走行に伴って地面と追従して回転することになるが、これを考慮して第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2が自動的に補正されることにより、機体の旋回過程において、適正なときに苗植付部4を下降させ、適正なときに苗の植え付けを開始させることができる。同様に、ローリング角センサにより左右の後輪11,11が頻繁にローリングすることから耕盤の凹凸が激しいことを判断し、制御装置163により第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2を減少する側に補正する構成としてもよい。尚、苗植付部4を左右にローリング制御する構成とした場合、このローリング制御の作動が頻繁なことから耕盤の凹凸が激しいことを判断し、制御装置163により第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2を減少する側に補正する構成としてもよい。
更に、補助車輪の直前位置に耕盤に触れることで該耕盤を検出する耕盤センサを設け、該耕盤センサの検出により直後の補助車輪も耕盤に触れていると判断し、制御装置163により第1の設定回転数N1及び第2の設定回転数N2を減少する側に補正する構成としてもよい。
また、旋回外側の後輪11の走行距離検出センサ205により、該後輪11の回転速度(走行速度)が速いことを検出すると、第1の設定回転数N1を減少する側に補正する構成とし、苗植付部4の下降開始を早めることで旋回過程における適正なときに苗植付部4を接地させることができる。これにより、旋回内側の後輪11が第2の設定回転数N2に到達したにも拘らず、苗植付部4が未だ接地していないことにより空中植えとなって圃場に苗が植え付けられないようなことを防止する。
座席31の背もたれ部31aの左右両側方から後方にかけて手すり219を設けている。この手すり219は、両端部を背もたれ部31aの左右両側面に固着した棒材で左右対称に構成され、この棒材が背もたれ部31aの側面から後側に延び、屈曲して上側へ延び、更に屈曲して左右方向内側へ延びて背もたれ部31aの後方を経由した構成となっている。この手すり219を把持して作業者が機体に乗降することにより、容易に乗降できる。また、苗載台51への苗補給時に苗箱からマット苗を取り出すための苗取り板を、背もたれ部31aの後側で該背もたれ部31aと手すり219との間に収納することができ、通常の植付作業時には苗載台51の近くに収納できる。
図17は、座席31の座面部31bと背もたれ部31aとを繋ぐ左右一対の連結部材を手すり219とした構成を示す。この手すり219は、背もたれ部31aの近傍となる上部で背もたれ部31aよりも左右方向外側に位置するよう屈曲した構成となっており、この左右方向外側に位置する部分を把持して作業者が機体に乗降することにより、容易に乗降できる。尚、この手すり219は、弾性のある金属で構成され、苗補給時等に座席31に座る作業者が撓ませて背もたれ部31aの姿勢を容易に変更することができる構成となっている。
尚、機体の旋回途中で例えば畦から機体へ苗補給をするとき、変速レバー16に作業者が不意に触れて機体が走行し始めると危険である。そこで、座席31の座面部31bにオペレータが着座していることを検出する着座センサを設け、スタートボタン(スイッチ)184がオンで旋回連動制御中のとき、着座センサで着座を検出しないときは、制御装置163により変速レバー16が操作されても走行しないように規制することができる。これにより、苗補給作業の安全性が図れる。尚、通常は、変速レバー16の操作位置を検出する変速レバーセンサの検出に基づいて油圧式変速装置(HST)23を変速操作する変速アクチュエータに出力する構成とし、スタートボタン(スイッチ)184がオンで且つ着座センサで着座を検出しないとき、制御装置163により変速レバーセンサの検出に拘らず変速アクチュエータへ前後進中立位置へ変速操作されるよう出力する構成とすればよい。
上記のように機体の旋回途中で苗補給する場合は、作業者が不意に操作具に触れることによる危険があるばかりでなく、機体を停止しているにも拘らずエンジン20をアイドリング状態で駆動し続けることによる無駄な燃料消費や排気による環境汚染を生じてしまう。そこで、変速レバー16やフィンガレバー166等の操作具が所定時間以上(例えば2分以上)操作されないことを変速レバーセンサやフィンガレバースイッチ等の検出センサにより検出すると、制御装置163によりエンジン20を自動的に停止させる構成とすればよい。
1:乗用型苗植機、2:走行車体、4:苗植付部、11:後輪、12:エンジン、21:伝動装置、34:ハンドル、163:制御装置、186:報知装置、205:走行距離検出センサ、211:サイドクラッチ