マルチアンテナ送信装置から同時送信され、伝搬路上で多重化された複数の変調信号をマルチアンテナ受信装置で受信し、各変調信号の信号点判定を行って誤り率特性の良いデータを得るには、膨大な演算量が必要となる。特にチャネル数(アンテナ数)が多いほど、変調多値数が多いほど、演算回数が多くなる。
本発明の特徴の一つは、変調信号の受信点を判定して受信データを得る際に用いる候補信号点を、自変調信号以外の他の変調信号の判定値を使って削減し、削減した候補信号点を用いて自変調信号についての判定(主判定)を行うことである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態で説明するマルチアンテナ通信システムの全体構成を示す。本実施の形態では、説明を簡単化するために、送信アンテナが2本で、受信アンテナが2本の場合について記述するが、M(M≧2)本の送信アンテナと、N(N≧2)本の受信アンテナを有するマルチアンテナシステムに適用可能である。
マルチアンテナ通信システム100のマルチアンテナ送信装置110は、送信部111において各送信ディジタル信号TA、TBに対して所定の変調処理や無線周波数への変換処理を施すことにより変調信号Ta、Tbを得、これを各アンテナAN1、AN2から送信する。マルチアンテナ受信装置120は、各アンテナAN3、AN4で受信した受信信号R1、R2を受信部121に入力する。受信部121は受信信号R1、R2に対して復調処理を施すことにより、送信ディジタル信号TA、TBに対応する受信データRA、RBを得る。
ここでアンテナAN1から送信された変調信号Taは、チャネル変動h11(t)、h12(t)を受けた後にアンテナAN3、AN4で受信される。またアンテナAN2から送信された変調信号Tbは、チャネル変動h21(t)、h22(t)を受けた後にアンテナAN3、AN4で受信される。
よって、時間のパラメータtを用いて、アンテナAN1から送信される信号をTa(t)、アンテナAN2から送信される信号をTb(t)、受信アンテナAN3で受信した信号をR1(t)、受信アンテナAN4で受信した信号をR2(t)とすると、以下の関係式が成立する。
図2に、マルチアンテナ送信装置110の構成を示す。マルチアンテナ送信装置110は符号化部201A、201Bに送信ディジタル信号TA、TBを入力する。符号化部201A、201Bは、フレーム構成信号生成部210からのフレーム構成信号S10に従って、送信ディジタル信号TA、TBに畳み込み符号化処理を施すことにより符号化データS1A、S1Bを形成し、これを変調部202A、202Bに送出する。
変調部202A、202Bは、符号化データS1A、S1Bに対してQPSKや16QAM等の変調処理を施すと共に、フレーム構成信号S10に従ったタイミングでチャネル推定用のシンボルを挿入することにより、ベースバンド信号S2A、S2Bを形成し、これを拡散部203A、203Bに送出する。図3に、各ベースバンド信号のフレーム構成例を示す。
拡散部203A、203Bは、ベースバンド信号に拡散符号を乗算することにより拡散されたベースバンド信号S3A、S3Bを得、これを無線部204A、204Bに送出する。なお拡散部203Aと拡散部203Bとでは異なる拡散符号を用いるようになっている。無線部204A、204Bは、拡散されたベースバンド信号S3A、S3Bに対してアップコンバートや増幅等の無線処理を施すことにより変調信号Ta、Tbを形成し、これをアンテナAN1、AN2に供給する。
かくして各アンテナAN1、AN2からは、時間軸方向に畳み込み符号化された異なる変調信号Ta、Tbが同時に送信される。
図4に、マルチアンテナ受信装置120の全体構成を示す。マルチアンテナ受信装置120はアンテナAN3、AN4で受信した受信信号R1、R2をそれぞれ無線部401−1、401−2に供給する。無線部401−1、401−2は、受信信号に対してダウンコンバートや直交復調などの無線処理を施すことによりベースバンド信号R1−1、R2−1を得、これを逆拡散部402−1、402−2に送出する。
逆拡散部402−1は、ベースバンド信号R1−1に対して図2の拡散部203A及び拡散部203Bで用いた拡散符号と同じ拡散符号を用いた逆拡散処理を施すことにより逆拡散後のベースバンド信号R1−2を得、これを変調信号Aのチャネル変動推定部403−1A、変調信号Bのチャネル変動推定部403−1B及び信号処理部404に送出する。
同様に、逆拡散部402−2は、ベースバンド信号R2−1に対して図2の拡散部203A及び拡散部203Bで用いた拡散符号と同じ拡散符号を用いた逆拡散処理を施すことにより逆拡散後のベースバンド信号R2−2を得、これを変調信号Aのチャネル変動推定部403−2A、変調信号Bのチャネル変動推定部403−2B及び信号処理部404に送出する。
変調信号Aのチャネル変動推定部403−1Aは、チャネル推定シンボルに基づき変調信号A(アンテナAN1から送信された変調信号Ta)のチャネル変動を推定することによりチャネル変動推定値h11を得る。これにより、アンテナAN1とアンテナAN3間のチャネル変動が推定される。変調信号Bのチャネル変動推定部403−1Bはチャネル推定シンボルに基づき変調信号B(アンテナAN2から送信された変調信号Tb)のチャネル変動を推定することによりチャネル変動推定値h21を得る。これによりアンテナAN2とアンテナAN3間のチャネル変動が推定される。
同様に、変調信号Aのチャネル変動推定部403−2Aは、チャネル推定シンボルに基づき変調信号A(アンテナAN1から送信された変調信号Ta)のチャネル変動を推定することによりチャネル変動推定値h12を得る。これにより、アンテナAN1とアンテナAN4間のチャネル変動が推定される。変調信号Bのチャネル変動推定部403−2Bはチャネル推定シンボルに基づき変調信号B(アンテナAN2から送信された変調信号Tb)のチャネル変動を推定することによりチャネル変動推定値h22を得る。これによりアンテナAN2とアンテナAN4間のチャネル変動が推定される。
信号処理部404は、逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2に加えて、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22を入力し、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22を用いてベースバンド信号R1−2、R2−2の復号や検波等を行うことにより、送信ディジタル信号TA、TBに対応する受信データRA、RBを得るようになっている。
図5に、本実施の形態の信号処理部404の構成を示す。信号処理部404は分離部501にベースバンド信号R1−2、R2−2、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22を入力する。
分離部501は、ベースバンド信号R1−2、R2−2と、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22とを、(1)式に当てはめて(1)式の逆行列演算を行うことにより、送信ディジタル信号TAの推定ベースバンド信号502と送信ディジタル信号TBの推定ベースバンド信号505を得る。このように分離部501は、最尤判定(MLD)を行うのではなく、逆行列演算によって信号分離を行うため、最尤判定を行う場合に比して小さな回路規模で信号分離を行うことができる。分離部501は、送信ディジタル信号TAの推定ベースバンド信号502を軟判定部503に送出すると共に、送信ディジタル信号TBの推定ベースバンド信号505を軟判定部506に送出する。
軟判定部503、506は、それぞれ、推定ベースバンド信号502、505の軟判定値を求めた後、軟判定値に対して誤り訂正処理を施すことにより、ディジタルデータでなる判定値504、507を得る。軟判定部503により得られた判定値504は、信号点削減部514、516に送出される。また軟判定部506により得られた判定値507は、信号点削減部508、510に送出される。
図6に、軟判定部503、506の構成を示す。軟判定部503と軟判定部506の構成は同様なので、ここでは軟判定部503の構成のみ説明する。軟判定部503は推定ベースバンド信号502を軟判定値計算部601に入力する。軟判定値計算部601は、推定ベースバンド信号502のブランチメトリック及びパスメトリックを求めることにより、推定ベースバンド信号502のデータ系列602を計算し、このデータ系列602を判定部603に送出する。判定部603はデータ系列602に対して誤り訂正処理を施し、誤り訂正後のデータを判定値504として出力する。
図7を用いて軟判定部503、506での処理を具体的に説明する。図7は、送信ディジタル信号TA、TBがQPSK変調されたときの信号点配置例を示す。図中、701は受信信号点であり、推定ベースバンド信号502、505に相当する。軟判定部503、506は、図7における受信信号点701とQPSKの信号点との、例えばユークリッド距離の2乗を求め、この値をブランチメトリックとし、このブランチメトリックを利用しパスメトリックを求める。そして畳み込み符号を用いている場合は、例えばビタビアルゴリズムに従って復号し、送信ディジタル信号TAについての判定値504及び送信ディジタル信号TBについての判定値507を得る。
かかる構成に加えて、信号処理部404は、変調信号Aについての信号点削減部508、510と、変調信号Bについての信号点削減部514、516を有する。
変調信号Aについての信号点削減部508、510は、軟判定部506により得られた変調信号Bについての判定値を入力する。また信号点削減部508には一方の受信アンテナAN4の受信信号に基づいて得られた変調信号Aのチャネル変動値h12及び変調信号Bのチャネル変動値h22が入力されると共に、信号点削減部510には他方の受信アンテナAN3の受信信号に基づいて得られた変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21が入力される。
信号点削減部508は、先ず変調信号Aのチャネル変動値h12及び変調信号Bのチャネル変動値h22に基づき、図8に示すように、16点の候補信号点801〜816を推定する。次に信号点削減部508は、軟判定部506により得られた変調信号Bの判定値507を使って、図9に示すように、候補信号点の数を4点に絞り込む。なお図9は、変調信号Bの判定値507が(0,0)、つまり変調信号Bで送信された2ビットが(0,0)と判定された場合の候補信号点削減の例を示すものである。そして信号点削減部508は、信号点801、806、811、816の情報を信号点情報509として軟判定部512に送出する。
同様に、信号点削減部510は、変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21に基づき16点の候補信号点801〜816を推定し、次に軟判定部506により得られた変調信号Bの判定値507を使って候補信号点の数を4点に削減し、その4点の信号点の情報を信号点情報511として軟判定部512に送出する。
変調信号Bについての信号点削減部514、516は、軟判定部503により得られた変調信号Aについての判定値504を入力する。また信号点削減部514には一方の受信アンテナAN4の受信信号に基づいて得られた変調信号Aのチャネル変動値h12及び変調信号Bのチャネル変動値h22が入力されると共に、信号点削減部516には他方の受信アンテナAN3の受信信号に基づいて得られた変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21が入力される。
信号点削減部514は、先ず変調信号Aのチャネル変動値h12及び変調信号Bのチャネル変動値h22に基づき、図8に示すように、16点の候補信号点801〜816を推定する。次に信号点削減部514は、軟判定部503により得られた変調信号Aの判定値504を使って、図10に示すように、候補信号点の数を4点に絞り込む。なお図10は、変調信号Aの判定値504が(1,0)、つまり変調信号Aで送信された2ビットが(1,0)と判定された場合の候補信号点削減の例を示すものである。そして信号点削減部514は、信号点805、806、807、808の情報を信号点情報515として軟判定部518に送出する。
同様に、信号点削減部516は、変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21に基づき16点の候補信号点801〜816を推定し、次に軟判定部503により得られた変調信号Aの判定値504を使って候補信号点の数を4点に削減し、その4点の信号点の情報を信号点情報517として軟判定部518に送出する。
このように本実施の形態のマルチアンテナ受信装置120においては、チャネル変動行列の逆行列演算により各変調信号A、Bを分離する分離部501と、分離された変調信号502、505を軟判定する軟判定部503、506とに加えて、各変調信号A、Bに対応した信号点削減部508、510、514、516を設け、信号点削減部508、510、514、516において自変調信号を除く他の変調信号の軟判定値507、504を使って自変調信号についての候補信号点数を削減するようになっている。
すなわち分離部501、軟判定部503、506において各変調信号A、Bを仮判定し、信号点削減部508、510、514、516においてその仮判定結果507、504に基づいて候補信号点を削減する。
各軟判定部512、518は、ベースバンド信号R1−2、R2−2を、削減された自変調信号についての候補信号点を用いて軟判定することにより、送信ディジタル信号TA、TBに対応する受信データRA、RBを得るようになっている。
これを具体的に説明する。軟判定部512は、信号点情報509、511として図9の候補信号点801、806、811、816の情報を入力すると共に、受信ベースバンド信号R1−2、R2−2を入力する。軟判定部512は、受信ベースバンド信号R1−2、R2−2の両方について候補信号点801、806、811、816を用いて軟判定を行う。例えば、受信ベースバンド信号R1−2で示される受信点が、図9の信号点800とすると、受信信号点800と候補信号点801、806、811、816とのユークリッド距離の2乗を計算することで、ブランチメトリック(これをBxと呼ぶ)を求める。同様に、受信ベースバンド信号R2−2で示される受信点が、図9の信号点800(但し、実際には受信ベースバンド信号R2−1の受信点と受信ベースバンド信号R2−2の受信点は異なるものとなる)とすると、受信信号点800と候補信号点801、806、811、816とのユークリッド距離の2乗を計算することで、ブランチメトリック(これをByと呼ぶ)を求める。
そして軟判定部512は、ブランチメトリックBx及びブランチメトリックByを加算したブランチメトリックからパスメトリックを求め、例えば畳み込み符号を用いている場合は、ビタビアルゴリズムに従って復号を行うことで、変調信号Aの受信データRAを得る。
同様に、軟判定部518は、信号点情報515、517として図10の候補信号点805、806、807、808の情報を入力すると共に、受信ベースバンド信号R1−2、R2−2を入力する。軟判定部518は、受信ベースバンド信号R1−2、R2−2の両方について候補信号点805、806、807、808を用いて軟判定を行う。例えば、受信ベースバンド信号R1−2で示される受信点が、図10の信号点800とすると、受信信号点800と候補信号点805、806、807、808とのユークリッド距離の2乗を計算することで、ブランチメトリック(これをBvと呼ぶ)を求める。同様に、受信ベースバンド信号R2−2で示される受信点が、図10の信号点800(但し、実際には受信ベースバンド信号R2−1の受信点と受信ベースバンド信号R2−2の受信点は異なるものとなる)とすると、受信信号点800と候補信号点805、806、807、808とのユークリッド距離の2乗を計算することで、ブランチメトリック(これをBwと呼ぶ)を求める。
そして軟判定部518は、ブランチメトリックBv及びブランチメトリックBwを加算したブランチメトリックからパスメトリックを求め、例えば畳み込み符号を用いている場合は、ビタビアルゴリズムに従って復号を行うことで、変調信号Bの受信データRBを得る。
次に本実施の形態のマルチアンテナ受信装置120の動作について説明する。マルチアンテナ受信装置120は、2つのアンテナAN1、AN2から同時に送信された2つの変調信号A、Bを2つのアンテナAN3、AN4で受信する。マルチアンテナ受信装置120は、チャネル変動推定部403−1A、403−1B、403−2A、403−2Bによって、各変調信号A、Bに挿入された既知信号に基づいて、各送信アンテナAN1、AN2と受信アンテナAN3、AN4間でのチャネル変動を推定する。
ここで変調信号A、変調信号BがQPSK変調されているとき、多重されて受信された受信信号には、4×4=16点の信号点が存在する。つまり、チャネル変動推定値に基づいて形成される候補信号点の数も16個となる。
ここで従来のマルチアンテナ受信装置では、16個の候補信号点と受信点との信号点距離を求め、最も距離の小さい値をとる候補信号点を検出し、この候補信号点で示されるデータを受信データとするようになっている。
これに対して本実施の形態のマルチアンテナ受信装置120においては、チャネル変動行列の逆行列演算により各変調信号A、Bを分離する分離部501と、分離された変調信号を軟判定する軟判定部503、506とを設けて、一旦、各変調信号A、Bのディジタル信号(判定値)を得、このディジタル信号を用いて各変調信号A、Bの候補信号点を絞り込む。そして絞り込んだ候補信号点のみを用いて軟判定部により正確な判定を行う。これは、換言すれば、分離部501、軟判定部503、504により変調信号A、Bの仮判定を行い、その仮判定値を用いて候補信号点を絞り込み、絞り込んだ候補信号点のみについて正確なディジタル判定(主判定)を行っていると言うことができる。
これにより、軟判定部512、518により全ての候補信号点を用いて受信点を判定する場合と比較して、格段に演算量を削減することができる。例えばこの実施の形態では、変調方式としてQPSKを用いているが、多値数が増加するにつれその効果はさらに大きくなる。例えば、変調信号A、Bともに64QAMで変調されているとすると、信号点数を削減しない場合、64×64=4096の候補信号点が存在し、4096個の候補信号点に対しブランチメトリックを求めようとすると非常に大規模な回路が必要となる。
また逆行列演算のみを用いて受信データを得る場合と比較して、つまり軟判定部503、506の判定結果をそのまま受信データとする場合と比較して、誤り率特性を向上させることができる。特に信号点数削減を行う際、正しい削減を行うと、フルダイバーシチゲインを得ることができ、一段と誤り率特性を向上させることができるようになる。信号点削減のより好適な構成は、以下の実施の形態で説明する。
かくして本実施の形態によれば、チャネル変動行列の逆行列演算を用いて分離した各変調信号502、505に基づいて各変調信号502、505を仮判定し、多重化された変調信号の候補信号点数を仮判定結果504、507を用いて削減した後に、削減した候補信号点を用いて正確な判定を行って各変調信号の受信データRA、RBを得るようにしたことにより、少ない演算量で誤り率特性の良い受信データRA、RBを得ることができる。この結果、誤り率特性を維持しつつ、装置構成を簡単化できるマルチアンテナ受信装置及びマルチアンテナ受信方法を実現することができる。
なお上述した実施の形態では、候補信号点を削減するための各変調信号を分離するにあたって、分離部501によってチャネル変動行列の逆行列演算を行うようにした場合について述べたが、分離方法は逆行列演算に限らず、例えばMMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムを用いて各変調信号を推定して分離してもよい。
また上述した実施の形態では、候補信号点を削減するための各変調信号の仮判定を分離部501及び軟判定部503、506により行うようにした場合について述べたが、仮判定の仕方はこれに限らない。回路規模を問題にしない場合には、例えば図11に示すように、変調信号の分離のための逆行列演算を行わずに、仮判定を軟判定部1101により行うようにしてもよい。
図5との対応部分に同一符号を付して示す図11において、信号処理部1100の軟判定部1101には、ベースバンド信号R1−2、R2−2と、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22とが入力される。軟判定部1101は、変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21に基づき、図8に示すように、16点の候補信号点801〜816を推定する。そして逆拡散後のベースバンド信号R1−2から、図8の受信信号点800を推定し、例えば受信信号点800と16個の候補信号点801〜816との各ユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。同様に、軟判定部1101は、変調信号Aのチャネル変動信号h12、h22、逆拡散後のベースバンド信号R2−2からブランチメトリックを求める。そして軟判定部1100は、畳み込み符号を用いている場合、2つのブランチメトリックからパスメトリックを求め、変調信号Aの判定値1102、変調信号Bの判定値1103を出力する。
(実施の形態2)
この実施の形態では、実施の形態1と比較して、候補信号点を削減するための仮判定を行う部分の構成をより簡易なものとすることにより、一段と簡易な構成で誤り率特性の良い受信データを得ることができるマルチアンテナ受信装置を提案する。
図5との対応部分に同一符号を付して示す図12に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の信号処理部1200の構成を示す。図12の信号処理部1200は、図5の信号処理部404と比較して、分離部501により分離された変調信号Bの推定ベースバンド信号505を判定するための軟判定部506(図5)を省略した構成となっている。そして信号点削減部1201、1202には、軟判定部518により得られた変調信号Bの受信データRBを入力させるようになっている。信号点削減部1201、1202は、軟判定部506(図5)からの判定値507の代わりに、軟判定部518により得られた受信データRBを用いて、実施の形態1で説明したのと同様の方法で候補信号点数を削減する。これにより、軟判定部506を省略した分だけ、全体的な回路構成を簡単化できる。
次に本実施の形態の信号処理部1200の動作について説明する。信号処理部1200は、先ず軟判定部503によって変調信号Aのみ復号し、その結果を用いて、信号点削減部514、516よって候補信号点を削減し、軟判定部518によって変調信号Bを復号することで、変調信号Bの受信データRBを得る。
信号処理部1200は、続いて、信号点削減部1201、1202によって変調信号BのデータRBを用いて変調信号Aについての候補信号点を削減し、軟判定部512によって変調信号Aを復号することで、変調信号Aの受信データRAを得る。このように、本実施の形態の信号処理部1200は、変調信号Aと変調信号Bを同時に復号するのではなく、変調信号Aの復号、変調信号Bの復号、変調信号Aの復号のように、交互に復号する。
かくして本実施の形態によれば、全ての変調信号について仮判定を行い、全ての信号点削減部で仮判定結果を用いて候補信号点を削減するのではなく、ある変調信号についてのみ仮判定を行い、他の変調信号については最終的な判定結果(主判定結果)を用いて候補信号点を削減するようにしたことにより、実施の形態1での効果に加えて、一段と簡易な構成のマルチアンテナ受信装置を実現できるようになる。
(実施の形態3)
この実施の形態では、候補信号点を削減した後に主判定を行うことにより少ない演算回数で誤り率特性の良い受信データを得ることに加えて、イタレーション(反復)技術を適用することにより、一段と誤り率特性を向上させることができるマルチアンテナ受信装置を提案する。
図5との対応部分に同一符号を付して示す図13に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の信号処理部1300の構成を示す。すなわち、信号処理部1300は、図4の信号処理部404に置き換えられてマルチアンテナ受信装置120に用いられる。
実施の形態1で説明した図5の信号処理部404と、本実施の形態の信号処理部1300の異なる点は、信号点削減部1301、1302が軟判定部506からの判定値507に加えて軟判定部518からの受信データRBを入力している点、および、信号点削減部1303、1304が軟判定部503からの判定値504に加えて軟判定部512からの受信データRAを入力している点である。
これにより、信号点削減部1301〜1304では、実施の形態1の信号点削減部508、510、514、516と比較して、正しい信号点削減を行う確率を高めることができるようになる。この結果、最終的に得られる受信データRA、RBの誤り率特性を一段と向上させることができる。
次に図14を用いて本実施の形態の信号処理部1300の動作について説明する。図14に示すように、信号処理部1300では、変調信号A、Bの軟判定及び復号を並列に行う。そして変調信号Aの信号点削減は、変調信号Bの軟判定により得られる変調信号Bの受信データRBを用いて行う。逆に、変調信号Bの信号点削減は、変調信号Aの軟判定により得られる変調信号Aの受信データRAを用いて行う。そして変調信号A、Bそれぞれの軟判定(主判定)を行うことで変調信号A、Bの受信データRA、RBを得るようになっている。さらに、得られた変調信号A、Bの受信データRA、RBを用いて反復して信号点削減、軟判定(主判定)を行っていく。
具体的に説明する。一度目の軟判定及び復号の動作については、実施の形態1で説明した図5の信号処理部404の動作と同様である。すなわち軟判定部503、504により得た仮判定値(判定値504、507)に基づいて信号点削減を行う。これに対して、二度目以降の軟判定及び復号は、軟判定部512、518により得られた受信データRA、RBを用いて行う。
信号処理部1300は、変調信号Aに関して、ステップST1Aで示す一度目の軟判定処理において、信号点削減部1301、1302が、それぞれ、変調信号Bの軟判定値507を用いて変調信号Bで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図9の4個の信号点に削減し、その信号点情報(4個の信号点)509、511を軟判定部512に送出し、軟判定部512が信号点情報509、511を使って受信データRAを得る。
同様に、信号処理部1300は、変調信号Bに関して、ステップST1Bで示す一度目の軟判定処理において、信号点削減部1303、1304が、それぞれ、変調信号Aの軟判定値504を用いて変調信号Aで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図10の4個の信号点に削減し、その信号点情報(4個の信号点)515、517を軟判定部518に送出し、軟判定部518が信号点情報515、517を使って受信データRBを得る。
信号処理部1300は、変調信号Aに関して、ステップST2A、ST3Aで示す二度目の軟判定処理において、信号点削減部1301、1302が、それぞれ、ステップST1Bで得られた受信データRBを用いて変調信号Bで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図9の4個の信号点に削減し(ステップST2A)、その信号点情報(4個の信号点)509、511を軟判定部512に送出し、軟判定部512が信号点情報509、511を使って受信データRAを得る(ステップST3A)。
同様に、信号処理部1300は、変調信号Bに関して、ステップST2B、ST3Bで示す二度目の軟判定処理において、信号点削減部1303、1304が、それぞれ、ステップST1Aで得られた受信データRAを用いて変調信号Aで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図10の4個の信号点に削減し(ステップST2B)、その信号点情報(4個の信号点)515、517を軟判定部518に送出し、軟判定部518が信号点情報515、517を使って受信データRBを得る(ステップST3B)。
信号処理部1300は、変調信号Aに関して、ステップST4A、ST5Aで示す三度目の軟判定処理において、信号点削減部1301、1302が、それぞれ、ステップST3Bで得られた受信データRBを用いて変調信号Bで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図9の4個の信号点に削減し(ステップST4A)、その信号点情報(4個の信号点)509、511を軟判定部512に送出し、軟判定部512が信号点情報509、511を使って受信データRAを得る(ステップST5A)。
同様に、信号処理部1300は、変調信号Bに関して、ステップST4B、ST5Bで示す三度目の軟判定処理において、信号点削減部1303、1304が、それぞれ、ステップST3Aで得られた受信データRAを用いて変調信号Aで送信された2ビットを推定し、図8の16個の候補信号点を図10の4個の信号点に削減し(ステップST4B)、その信号点情報(4個の信号点)515、517を軟判定部518に送出し、軟判定部518が信号点情報515、517を使って受信データRBを得る(ステップST5B)。
このように信号処理部1300においては、二度以降の信号点削減を、前回の動作が完了した後の他方の変調信号の受信データRA、RBを使って行うようになっている。
そして軟判定部512、518は、それぞれ、一度目の軟判定、復号を行ったら、一度目の受信データRA、RBを出力する。次に、二度目の軟判定、復号を行ったら、一度目の受信データRA、RBに代えて、二度目の受信データRA、RBを出力する。すなわちn度目の軟判定、復号を行ったら、n−1度目の受信データRA、RBに代えて、n度目の軟判定復号結果である受信データRA、RBを出力する。
このように、候補信号点を削減するにあたって、他の変調信号の誤り訂正復号後のデータ(軟判定部512、518で誤り訂正復号処理を行っているものとする)を用いてイタレーション(反復)処理を行うようにしたので、正しい候補信号点を残すことができる確率を高めることができるようになり、受信データRA、RBの誤り率特性を一段と向上させることができる。
図15に、本実施の形態での復号の処理手順のイメージを示す。変調信号A、変調信号Bの1フレームは複数のシンボルで構成されている。はじめに1フレーム分の一度目の誤り訂正を行う。そして、一度目の誤り訂正結果を反映して状態数削減を行い、二度目の1フレーム分の誤り訂正を行う。このように、(n−1)度の誤り訂正結果を反映して状態数削減を行った後、n度目の1フレーム分の誤り訂正を行う。
図16に、本実施の形態の信号処理部1300を用いた場合の受信特性(キャリアパワー対雑音電力比(C/N)とビットエラーレートの関係)のシミュレーション結果を示す。この図からも明らかなように、変調信号A、Bともに、反復復号の回数が増えるにつれ、受信品質が向上する。但し、回数を多くすればよいというわけではなく、ある程度の回数で受信品質の改善効果は飽和する。また変調信号A、Bの受信品質は、変調方式が同じ場合、同じである。
かくして本実施の形態によれば、候補信号点を削減するにあたって、誤り訂正復号後(主判定後の)の他の変調信号のデータRA、RBを用い、かつイタレーション処理を行って最終的な受信データRA、RBを得るようにしたことにより、実施の形態1と比較して、一段と誤り率特性の向上した受信データRA、RBを得ることができるようになる。
なおこの実施の形態では、候補信号点を削減するための各変調信号の仮判定を分離部501及び軟判定部503、506により行うようにした場合について述べたが、仮判定の仕方はこれに限らず、回路規模を問題にしない場合には、例えば図17に示すように、変調信号の分離のための逆行列演算を行わずに、仮判定を軟判定部1705により行うようにしてもよい。
図13との対応部分に同一符号を付して示す図17において、信号処理部1700の軟判定部1705には、ベースバンド信号R1−2、R2−2と、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22とが入力される。軟判定部1705は、変調信号Aのチャネル変動値h11及び変調信号Bのチャネル変動値h21に基づき、図8に示すように、16点の候補信号点801〜816を推定する。そして逆拡散後のベースバンド信号R1−2から、図8の受信信号点800を推定し、例えば受信信号点800と16個の候補信号点801〜816との各ユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。同様に、軟判定部1705は、変調信号Aのチャネル変動信号h12、h22、逆拡散後のベースバンド信号R2−2からブランチメトリックを求める。そして軟判定部1705は、畳み込み符号を用いている場合、2つのブランチメトリックからパスメトリックを求め、変調信号Aの判定値1706を信号点削減部1703、1704に送出すると共に、変調信号Bの判定値1707を信号点削減部1701、1702に送出する。
ここで図13の信号処理部1300と図17の信号処理部1700とを比較した場合、信号処理部1700は、軟判定部1705で16個の候補信号点について判定を行うことになるため、ブランチメトリック、パスメトリックの回路規模が増大し、信号処理部1300よりも全体的な回路規模が大きくなる欠点がある。特に、QPSKの場合、16点であるが、64QAMとなると4096個の信号点が存在するので、変調多値数が増大するにしたがって現実性がなくなる。
しかし、軟判定部1705では、分離部501と軟判定部503、506を用いた場合よりも精度の良い判定値を得ることができるので、イタレーションを行う場合の反復回数が少なくても、誤り率特性の良い受信データRA、RBを得ることができるという利点がある。
(実施の形態4)
この実施の形態の特徴は、実施の形態3では各変調信号を並行して軟判定復号し、他の変調信号の軟判定復号結果を用いて自変調信号の候補信号点を削減したのに対して、各変調信号を交互に軟判定復号し、他の変調信号の軟判定復号結果を用いて自変調信号の候補信号点を削減する点である。これにより、信号点削除にイタレーション技術を採用するにあたっての演算回数を低減できるので、回路構成を一段と簡単化できるようになる。
図13との対応部分に同一符号を付して示す図18に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の信号処理部の構成を示す。信号処理部1800は、実施の形態3で説明した図13の信号処理部1300と比較して、軟判定部506を省略した構成となっている。
また実施の形態2で説明した図12の信号処理部1200と比較すると、信号処理部1200にイタレーション処理を追加した構成となっている。
信号処理部1800において、変調信号Bについての信号点削減部1803、1804は、実施の形態3と同様に軟判定部503により得られた判定値504と軟判定部512により得られた誤り訂正復号後の受信データRAの両方を用いて候補信号点を削減するが、変調信号Aについての信号点削減部1801、1802は、軟判定部518により得られた誤り訂正復号後の受信データRBのみを用いて候補信号点を削減するようになっている。このように本実施の形態の信号処理部1800は、軟判定部506を省略した分だけ、実施の形態3の信号処理部1300よりも全体的な回路構成を簡単化できるようになっている。
次に図19を用いながら本実施の形態の信号処理部1800の動作について説明する。信号処理部1800は、実施の形態3の信号処理部1300が変調信号A、Bの軟判定及び復号を並列に行ったのに対して、一度目の軟判定復号は変調信号Aのみ行い、二度目の軟判定復号は変調信号Bのみ行い、三度目の軟判定復号は変調信号Aのみ行うといったように、変調信号Aと変調信号Bの軟判定復号を交互に行う。
具体的に説明する。信号処理部1800は、最初に、軟判定部503によって変調信号Aのみ軟判定復号し(ステップST10A)、その結果を用いて信号点削減部1803、1804によって候補信号点を削減し(ステップST10B)、軟判定部518によって変調信号Bを軟判定復号する(ステップST11B)ことにより、変調信号Bの受信データRBを得る。次に信号処理部1800は、信号点削減部1801、1802によって変調信号Bの受信データRBを用いて候補信号点を削減し(ステップST11A)、軟判定部512によって変調信号Aの軟判定復号を再度行う(ステップST12A)ことにより、変調信号Aの受信データRAを得る。以下同様に、他方の軟判定復号結果を用いて候補信号点を削減しながら、変調信号Aの軟判定復号と変調信号Bの軟判定復号を交互に繰り返す。
図20に、本実施の形態の信号処理部1800を用いた場合の受信特性(キャリアパワー対雑音電力比(C/N)とビットエラーレートの関係)のシミュレーション結果を示す。この図からも分かるように、軟判定復号を各変調信号で交互に行った場合でも、軟判定復号を各変調信号で並行に行った場合(図16)と同様の誤り率特性の良い受信データを得ることができる。また変調信号A、Bともに、反復復号の回数が増えるにつれ、受信品質が向上するが、単純に回数を多くすればよいというわけではなく、ある程度の回数で受信品質の改善効果は飽和する。
かくして本実施の形態によれば、他の変調信号の軟判定復号結果を用いて自変調信号の候補信号点を削減といった処理を、各変調信号について交互に行うようにしたことにより、実施の形態3の効果に加えて、復号の回数が半分となるため、一段と回路規模を削減することができるようになる。
(実施の形態5)
この実施の形態では、上述した実施の形態1〜4に加えて、さらに各アンテナから受信品質の異なる変調信号を送信することを提案する。
図21にその一例を示す。図21は、図12及び図18の構成を考慮し、変調信号Aの変調方式をQPSK、変調信号Bの変調方式を16QAMとしたときのI−Q平面における信号点配置の一例を示している。図22に、QPSK、16QAMのそれぞれのキャリアパワー対雑音電力比とビットエラーレートの関係を示す。
ここで、図12や図18の構成を採ったとき、変調信号Aの変調方式をQPSK、変調信号Bの変調方式を16QAMとした場合、図22に示すように、一度目の軟判定において、変調信号Aの変調方式がQPSKであるため良好な受信品質となり(16QAMと比較し)、軟判定部503によって良好な受信品質の変調信号Aの判定値504(ディジタル信号)が得られる。
そして、得られた変調信号Aのディジタル信号の判定値が正確であるため、信号点削減時に間違った信号点削減を行う可能性が低くなり、軟判定部518によって変調信号Bの軟判定復号を行った際に得られる変調信号Bの受信データRBの誤り率特性が向上する。ここで、伝送速度のことを考慮すると、変調信号Bの変調方式はQPSKより変調多値数の多い、例えば16QAM(64QAMでもよい)とするとよい。これにより、受信品質と伝送速度の向上の両立を図ることができる。
このように、変調信号Aの変調多値数を変調信号Bの変調多値数よりも少なくし、変調信号Aの受信品質を確保することで、良好な信号点削減を行うことができるようになり、この結果、変調信号Bの受信品質も確保することができるようになる。これにより、受信品質の向上と伝送速度の向上の両立を図ることができる。
つまり、最初の仮判定に用いられる変調信号の受信品質を良くすれば、信号点削減の引き込みが的確なものとなるので、その後の主判定で良い判定結果をもたらすことができる。
また反復復号(イタレーション)を行う場合には、イタレーションの回数を減らすことにもつながり、回路規模を削減することができる。
さらに変調信号Aと変調信号Bの符号化率を異なるように設定することでも同様の効果を得ることができる。例えば、変調信号Aの符号化率を1/4、変調信号Bの符号化率を3/4とする。すると、変調信号Aの受信品質が良いため、信号点削減が正しく行われる可能性が高くなり、変調信号Bの受信品質も向上する。
さらに変調信号Aと変調信号Bの拡散符号長を異なるようにすることでも同様の効果を得ることができる。例えば変調信号Aの拡散符号長を、変調信号Bの拡散符号長よりも長くすればよい。
かくして本実施の形態によれば、実施の形態1〜4の構成に加えて、各変調信号の受信品質が異なるように、変調方式、符号化率、拡散率等を各変調信号間で変えるようにしたことにより、実施の形態1〜4の効果に加えて、誤り率特性の向上と伝送速度の向上を両立させることができるようになる。
(実施の形態6)
この実施の形態では、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを各変調信号間で異なるようにするマルチアンテナ送信装置を提案する。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図23に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。マルチアンテナ送信装置2300は、符号化部201Aと変調部202Aとの間にインターリーバ2301Aを設けたことと、符号化部201Bと変調部202Bとの間にインターリーバ2301Bを設けたことを除いて、実施の形態1で説明した図2のマルチアンテナ送信装置110と同様の構成でなる。
インターリーバ2301Aは、符号化されたディジタル信号S1Aを入力とし、順番の入れ替えを行い、インターリーブ後のディジタル信号S10Aを変調部202Aに送出する。同様に、インターリーバ2301Bは、符号化されたディジタル信号S1Bを入力とし、順番の入れ替えを行い、インターリーブ後のディジタル信号S10Bを変調部202Bに送出する。
なおこのように送信装置側でインターリーブ処理を行うと、受信側でデインターリーブ処理を行う必要がある。この場合の受信装置の構成例を、図24に示す。図24の構成例は、実施の形態3で説明した信号処理部1300に対応するものである。図13との対応部分に同一符号を付して示す図24において、信号処理部2400は、送信側のインターリーバ2301Aで並べ替えられた信号を元に戻すデインターリーバ2401A、2403A、2404Aを有すると共に、送信側のインターリーバ2301Bで並べ替えられた信号を元に戻すデインターリーバ2401B、2403B、2404Bを有する。また信号処理部2400は、インターリーバ2301Aと同様の並べ替えを行うインターリーバ2402A、2405Aを有すると共に、インターリーバ2301Bと同様の並べ替えを行うインターリーバ2402B、2405Bを有する。
この構成により、信号処理部2400は、分離部501によって分離された送信ディジタル信号TAについての推定ベースバンド信号をデインターリーバ2401Aによって元の配列に戻した後に軟判定部503に送出すると共に、送信ディジタル信号TBについての推定ベースバンド信号をデインターリーバ2401Bによって元の配列に戻した後に軟判定部506に送出する。また軟判定部503によって得られた判定値はインターリーバ2402Aによってインターリーブされた後に信号点削減部1303、1304に送出されると共に、軟判定部506によって得られた判定値はインターリーバ2402Bによってインターリーブされた後に信号点削減部1301、1302に送出される。さらに信号点削減部1303、1304には、軟判定部512によって得られた判定値がインターリーバ2405Aによってインターリーブされた後に入力されると共に、信号点削減部1301、1302には、軟判定部518によって得られた判定値がインターリーバ2405Bによってインターリーブされた後に入力される。
これにより、信号点削減部1301、1302では、インターリーブされた受信信号からインターリーブされた変調信号Bの信号点を削減することで、変調信号Aについての削減された候補信号点を得ることができる。但し、この削減された候補信号点はインターリーブされた信号点なので、デインターリーバ2403A、2404Aによってデインターリーブした後に軟判定部512に入力させる。同様に、信号点削減部1303、1304では、インターリーブされた受信信号からインターリーブされた変調信号Aの信号点を削減することで、変調信号Bについての削減された候補信号点を得ることができる。但し、この削減された候補信号点はインターリーブされた信号点なので、デインターリーバ2403B、2404Bによってデインターリーブした後に軟判定部518に入力させる。
なお、ここでは実施の形態3で説明した信号処理部1300を基本として、送信側でインターリーブされた信号を復号する構成例について説明したが、実施の形態1や実施の形態2、実施の形態4及び実施の形態5で説明した受信装置においても、適宜送信側のインターリーバに対応したデインターリーバ及びインターリーバを設けるようにすれば、上述したのと同様に、各アンテナから異なるインターリーブパターンの信号を送信した場合に、各変調信号を復号できるようになる。
次に、インターリーブパターン(送信信号の入れ替えの順番)について詳しく説明する。本実施の形態で最も重要な点は、変調信号Aのためのインターリーブパターンと、変調信号Bのためのインターリーブパターンを異なるようにしたことである。これにより、受信側での誤り率特性を向上させることができる。特に、変調信号Aのインターリーブパターンと変調信号Bのためのインターリーブパターンが無相関に近くなるようにインターリーブパターンを選定することにより、受信品質を非常に良くすることができる。この点について詳しく説明する。
図25は、変調信号Aと変調信号Bのインターリーブパターンが同一の場合のシンボルの状態の一例を示している。図5の軟判定部503において、変調信号Aの復号を行い、その結果、図25(A)のように誤った判定を行ったシンボルが5シンボル連続に発生したものとする。因みに、畳み込み符号などを用いたとき、連続して誤りが発生するのが一般的である。すると、信号点数削減部514、516において、信号点数の削減を行った際、図25(B)のように、5シンボル連続して、信号点削減による信号点選択に誤りが生じることになる。この結果、軟判定部518によって変調信号Bの復号を行うと効果的に受信品質が向上しない。これは、誤り訂正符号は、連続的な誤りを訂正する能力が低いためである。
次に、本実施の形態のように、送信側で、変調信号Aのためのインターリーブパターンと、変調信号Bのためのインターリーブパターンを異なるようにした場合について説明する。この場合、信号点削減を行った際、図26のようなシンボルの状態となる。図24の軟判定部503において、変調信号Aの復号を行い、その結果、図26(A)のように誤った判定を行ったシンボルが5シンボル連続に発生したものとする。すると、信号点数削減部1303、1304において、信号点数の削減を行った際、図25(B)と異なり、変調信号Aのインターリーブパターンと変調信号Bのインターリーブパターンが異なるため、デインターリーブにより、図26(B)のように、信号点削減による信号点選択の誤りは、離散的に生じることになる。すなわち、図25(B)のように、連続して信号点削減による信号点選択の誤りが発生しない。これにより、軟判定部518によって変調信号Bの復号を行うと効果的に受信品質が向上する。これは、誤り訂正符号は、離散的な誤りを訂正する能力が高いためである。
この作用及び効果は、イタレーション技術を用いた構成の場合も同様である。
以上の動作を、変調信号Aを変調信号Bに、変調信号Bを変調信号Aに置き換えて、動作させても同様の作用効果が得られ、これにより、変調信号Aの復号の受信品質も効果的に向上する。
かくして本実施の形態によれば、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを変調信号間で異なるものとしたことにより、受信側での復号の際、バーストエラーの影響を軽減して、誤り率特性の良い受信データを得ることができるマルチアンテナ送信装置を実現できる。
特に、実施の形態1〜4のように信号点削減部を有するマルチアンテナ受信装置に変調信号を送信するマルチアンテナ送信装置に適用して好適である。
図27に、本実施の形態のように変調信号間で異なるインターリーブパターンを用いた場合の受信特性と、変調信号間で同一のインターリーブパターンを用いた場合の受信特性のシミュレーション結果を示す。図27では、横軸をEb/No(energy per bit-to-noise spectral density ratio)とし、縦軸をBER(Bit Error Rate)としている。
図中の丸印は、本実施の形態の構成を用いた場合、すなわち図23に示すような構成でなるマルチアンテナ送信装置2300から送信した信号を、図24に示すような構成でなる信号処理部2400を有するマルチアンテナ受信装置で受信復調した場合の特性を示す。これに対して、図中の三角印は、変調信号間で同一のインターリーブパターンを用いた場合の受信特性を示す。なお、シミュレーションでは、反復復号を行わない場合、反復を1回だけ行った場合、反復を5回行った場合の特性を調べた。またこのシミュレーションは、伝搬環境をライスファクタ10dBのライスフェージング環境とし、変調方式をQPSKとし、符号化率1/2の畳み込み符号を行った場合の結果である。
このシミュレーション結果からも分かるように、変調信号間でインターリーブパターンが同一の場合には、図中丸印で示すように、反復復号の回数を増やしても、受信品質の改善は僅かである。一方、変調信号間で異なるインターリーブパターンを選定した場合には、図中三角印で示すように、反復回数を増やすにことで受信品質を効果的に改善することができる。
なおこの実施の形態では、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを異なるものとするにあたって、インターリーバ2301A、2301Bを設けて、各変調信号のシンボルの順番を変調信号間で異なるようにする場合について述べたが、変調信号間でインターリーブパターンを異なるようにする方法はこれに限らない。
各変調信号間でインターリーブを異なるようにする方法としては、例えば以下のような方法が考えられる。
(i)本実施の形態のように各変調信号のシンボルを構成するデータの並び自身を異なるようにする方法
この方法の具体例を、図28に示す。変調信号Aについては、インターリーブ前にデータ1、データ2、・・・、データ200と並んでいたデータを、インターリーブすることで、例えば、5つおきに並び替え、データ1、データ6、・・・データ196、データ2、データ7、・・・データ197、データ3、データ8、・・・データ198、データ4、データ9、・・・データ199、データ5、データ10、・・・データ200と並び替える。これに対して、変調信号Bについては、インターリーブ前にデータ1、データ2、・・・、データ200と並んでいたデータを、インターリーブすることで、例えば、8つおきに並び替え、データ1、データ9、・・・データ193、データ2、データ10、・・・データ194、データ3、データ11、・・・データ195、データ4、データ12、・・・データ196、データ5、データ13、・・・データ197、データ6、データ14、・・・データ198、データ7、データ15、・・・データ199、データ8、データ16、・・・データ200と並び替える。すなわち、変調信号Aと変調信号Bでデータの並び自身を異なるようにする。
(ii)変調信号間でのシンボルやデータの並びは同一とするが、例えば図31を用いて後述するように、シンボルやデータをサブキャリアの周波数方向や時間方向に配置する際に、その配置自身を異なるものとする方法
この方法の具体例を、図29に示す。図29(A)に示すように、インターリーブする前にデータ1、データ2、・・・、データ200と並んでいたデータを、インターリーブすることで、例えば、5つおきに並べ替え、データ1、データ6、・・・データ196、データ2、データ7、・・・データ197、データ3、データ8、・・・データ198、データ4、データ9、・・・データ199、データ5、データ10、・・・データ200と並び替える。これが変調信号A、Bの各々について行われる。すなわち、この時点での変調信号間でのインターリーブパターンは同一である。そして図29(B)、(C)に示すように、各変調信号A、Bのサブキャリアへの配置パターンを異なるようにする。図29(B)、(C)は、OFDM信号のサブキャリア数が200の場合を示しており、周波数軸又は時間軸に対し、変調信号Aについては、データ1、データ6、・・・データ196、データ2、データ7、・・・データ197、データ3、データ8、・・・データ198、データ4、データ9、・・・データ199、データ5、データ10、・・・データ200と並べる。これに対して、変調信号Bについては、変調信号Aの配置に対して5キャリア分オフセットし、データ185、データ190、データ195、データ200、データ1、データ6、・・・データ175、データ180と並べる。このように、一方の変調信号を他方の変調信号に対して、いくつかのキャリア分、又は、ある時間分オフセットすることでも、各変調信号間でインターリーブを異なるようにすることができる。
(iii)上記(i)と(ii)の方法を併用する方法
つまり、本発明で述べる異なるインターリーブパターンとは、シンボルやデータの並び自身を異なるものとする場合のみを示すのではなく、シンボルやデータの周波数方向の配置及び又は時間方向の配置自身を異なるようにすることも含むものとする。これは、インターリーブパターンについて説明する、以下のいずれの実施の形態についても同様である。
(実施の形態7)
この実施の形態では、上述した実施の形態の特徴をマルチキャリア通信に適用した場合について説明する。特に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた場合について説明する。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図30に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。マルチアンテナ送信装置2700は、図2のマルチアンテナ送信装置110と比較して、拡散部203A、203Bに換えて、変調部202A、202Bから出力されたベースバンド信号S2A、S2Bをシリアルパラレル変換するシリアルパラレル変換部(S/P)2701A、2701Bと、パラレル信号S20A、S20Bを逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部(idft)2702A、2702Bとを有することを除いて図2のマルチアンテナ送信装置110と同様の構成でなる。
図31に、マルチアンテナ送信装置2700から送信されるOFDM信号の時間−周波数軸におけるフレーム構成を示す。この図では、一例としてOFDM信号がキャリア1からキャリア5で構成され、同一時刻のシンボルを同時に送信する場合を示している。なお図中の斜線で示した部分はパイロットシンボル(既知信号)であり、受信装置で伝搬環境(チャネル変動)を推定するためのシンボルである。因みに、ここではパイロットシンボルとよんでいるが、プリアンブルなど異なる呼び方をしてもよい。また空白で示した部分はデータシンボルである。
データシンボルの符号化の方法として、周波数軸方向に符号化する方法、時間軸方向に符号化する方法の2種類がある。時間軸方向に符号化した場合、図3のフレーム構成のキャリアが複数(図31では5キャリア)存在するのと同様である。OFDM方式を用いたときの一つの特徴は、周波数軸方向に符号化ができるということである。また周波数軸と時間軸の両方向に符号化することも可能である。
図32に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の別の構成を示す。この構成は、実施の形態6での異なるインターリーブパターンを用いたマルチアンテナ送信方法を、マルチキャリア送信に適用したものである。実施の形態6で説明した図23との対応部分に同一符号を付して示す図32において、マルチアンテナ送信装置2900は、拡散部203A、203Bに換えて、変調部202A、202Bから出力されたベースバンド信号S2A、S2Bをシリアルパラレル変換するシリアルパラレル変換部(S/P)2701A、2701Bと、パラレル信号S20A、S20Bを逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部(idft)2702A、2702Bとを有することを除いて図23のマルチアンテナ送信装置2300と同様の構成でなる。
なおこのように、実施の形態6の特徴をOFDM送信に適用した場合のインターリーブパターンの選定の仕方として、例えばインターリーバ2301Aのインターリーブパターンを、周波数の低いサブキャリアから周波数の高いサブキャリアへとデータを並べ替えて配置するものとし、インターリーバ2301Bのインターリーブパターンを、周波数の高いサブキャリアから周波数の低いサブキャリアへとデータを並べ替えて配置するものとすることを提案する。
例えば1フレームが図31のように構成されていた場合、インターリーバ2301Aが変調信号Aについてのデータを、サブキャリア5、サブキャリア3、サブキャリア1、サブキャリア4、サブキャリア2の順序で配列し、インターリーバ2301Bが変調信号Bについてのデータをサブキャリア1、サブキャリア3、サブキャリア5、サブキャリア2、サブキャリア4の順序で配列する。このようにすれば、周波数方向でのインターリーブパターンを無相関に近づけることができるので、2つのOFDM変調信号の両方がバースト的に誤る確率を低くすることができる。
同様に、実施の形態6の特徴をOFDM送信に適用した場合のインターリーブパターンの選定の仕方として、例えばインターリーバ2301Aのインターリーブパターンを、時間の早い方から時間の遅い方へとデータを並べ替えて配置するものとし、インターリーバ2301Bのインターリーブパターンを、時間の遅い方から時間の早いほうへとデータを並べ替えて配置するものとすることを提案する。
例えば1フレームが図31のように構成されていた場合、例えばサブキャリア1において、インターリーバ2301Aが変調信号Aについてのデータを、時間2、時間4、時間6、時間8、時間3、時間5、時間7、時間9の順序で配列し、インターリーバ2301Bが変調信号Bについてのデータを、時間9、時間7、時間5、時間3、時間8、時間6、時間4、時間2の順序で配列する。このようにすれば、時間方向でのインターリーブパターンを無相関に近づけることができるので、2つのOFDM変調信号の両方がバースト的に誤る確率を低くすることができる。
さらに各変調信号を、周波数方向と時間方向の両方向にランダムにインターリーブするようにしてもよい。このようにすれば、各変調信号をより無相関に近づけることができるので、2つのOFDM変調信号の両方がバースト的に誤る確率をより低くすることができる。
図4との対応部分に同一符号を付して示す図33に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の構成を示す。マルチアンテナ受信装置3000は、実施の形態1で説明した図4のマルチアンテナ受信装置120と比較して、逆拡散部402−1、402−2に換えて、フーリエ変換部(dft)3001−1、3001−2を有することを除いて図4と同様の構成でなる。また信号処理部3002は、実施の形態1から実施の形態6で提案したいずれの構成を適用してもよい。
フーリエ変換部3001−1は、ベースバンド信号R1−1に対してフーリエ変換処理を施し、フーリエ変換後の信号R1−2を変調信号Aのチャネル変動推定部403−1A、変調信号Bのチャネル変動推定部403−1B及び信号処理部3002に送出する。
同様に、フーリエ変換部3001−2は、ベースバンド信号R2−1に対してフーリエ変換処理を施し、フーリエ変換後の信号R2−2を変調信号Aのチャネル変動推定部403−2A、変調信号Bのチャネル変動推定部403−2B及び信号処理部3002に送出する。
各チャネル変動推定部403−1A、403−1B、403−2A、403−2Bでは、図31に示すように各サブキャリアに配置されたパイロットシンボルを用いて、各サブキャリアについてのチャネル変動を推定する。このようにチャネル変動推定部403−1A、403−1B、403−2A、403−2Bによって、チャネル毎、サブキャリア毎のチャネル変動推定値が得られる。すなわちチャネル変動推定値h11、h21、h12、h22は、サブキャリア1〜サブキャリア5それぞれのチャネル変動推定値を含む。
ここで信号処理部3002は、フーリエ変換後の信号R1−2、R2−2、変調信号Aのチャネル変動信号群h11、h12、変調信号Bのチャネル変動信号群h21、h22を入力とし、チャネル変動信号群h11、h12、h21、h22を用いてフーリエ変換後の信号R1−2、R2−2を判定することにより、変調信号Aの受信データRA、変調信号Bの受信データRBを得る。
信号処理部3002の信号処理の流れは、上述した実施の形態1〜6と同様である。例えば、信号処理部3002として、実施の形態6で説明した信号処理部2400を適用した場合を例にとって説明する。分離部501は、変調信号Aのチャネル変動推定群h11、h12、変調信号Bのチャネル変動推定群h21、h22、フーリエ変換後の信号R1−2、R2−2を入力とし、逆行列演算を施すことにより、変調信号Aと変調信号Bを分離する。そして各デインターリーバ2401A、2401B、2403A、2404A、2403B、2404Bによって、周波数−時間軸におけるインターリーブパターンに対応したデインターリーブ処理を施すと共に、各インターリーバ2402A、2402B、2405A、2405Bによって、周波数−時間軸におけるインターリーブパターンに対応したインターリーブ処理を施す。
(実施の形態8)
この実施の形態では、信号点削減のために行った仮判定での信頼度を、信号点削減後の主判定処理に反映することを提案する。これにより、主判定処理により得られるデータの誤り率特性を一段と向上させることができるようになる。この実施の形態の場合には、好適な例として、仮判定として軟判定を行った場合の各シンボルのパスメトリックの値を使って、主判定処理での各シンボルのブランチメトリックを重み付ける方法を提案する。
この実施の形態では、実施の形態6で説明した図24の構成の信号処理部2400を例にとって説明する。すなわち、異なるインターリーブパターンでインターリーブされた変調信号Aと変調信号Bを受信し、これらを分離して復号する場合を例に挙げる。
ここで図26でも説明したように、軟判定部503から出力される各シンボルの判定値が図34(A)のような状態であったと仮定すると、信号点削減部1303、1304による信号点削減後の状態は図34(C)のようになる。ここで図34(C)に示すように変調信号Bについて誤った候補信号点が選択されるシンボルを離散することができるのは、実施の形態6でも説明したように、変調信号Aのインターリーブパターンと変調信号Bのインターリーブパターンを異なるようにしているからである。
本実施の形態においては、軟判定部503で求めたパスメトリックを、軟判定部518での軟判定処理に反映させる。また軟判定部506で求めたパスメトリックを、軟判定部512での軟判定処理に反映させる。実際には、図24の軟判定部503から軟判定部518にパスメトリックを通知し、軟判定部506から軟判定部512にパスメトリックを通知すればよい。
具体的には、軟判定部503で、変調信号Aについての各シンボルに対して、パスメモリ長nにおけるパスメトリックの最小値として、図34(B)のような値が得られたとする。軟判定部518は、削減された変調信号Bについての候補信号点を使って変調信号Bの各シンボルを判定するにあたって、信号点削減の際に用いられた変調信号Aのシンボルのパスメトリックの最小値を用いて判定を行う。
ここで変調信号Aについての各シンボルのパスメトリックの最小値と、そのシンボルの誤りには相関がある。具体的には、パスメトリックの最小値が大きいほど、そのシシンボルは誤り易くなる。
本実施の形態では、信号点削減のために用いた他の変調信号(例えば変調信号A)の軟判定時のパスメトリックの最小値が大きいほど、削減された信号点の信頼度も低くなり、その信号点を用いて自変調信号(例えば変調信号B)の主判定を行うと、その判定の信頼度も低くなるといった考察に基づき、主判定を行うにあたって信号点削減の際に用いられた他の変調信号のシンボルのパスメトリックの最小値を用いる。
実際上、軟判定部518は、変調信号Bのブランチメトリックを求めた後にパスメトリックを求めるにあたって、各シンボルのブランチメトリックに対して、図34(D)に示すように、対応するシンボル(すなわち、そのシンボルの候補信号点削減に用いられた変調信号Aのシンボル)のパスメトリックの最小値の逆数を乗算するようになっている。例えば、変調信号Bのシンボル3201についてはブランチメトリックに対して1/20を乗算し、シンボル3202についてはブランチメトリックに対して1/52を乗算する。
このように、削減された信号点を用いて主判定を行うにあたって、信号点削減の信頼性に相当する値をブランチメトリックに乗算するようにしたことにより、パスメトリックの信頼性を高めることができるようになる。この結果、主判定で得られるデータの誤り率特性を向上させることができる。
かくして本実施の形態によれば、信号点削減のために行った仮判定(他の変調信号についての軟判定)での信頼度を、信号点削減後の主判定(自変調信号についての軟判定)に反映するようにしたことにより、主判定処理により得られるデータの誤り率特性を一段と向上させることができるようになる。
なおこの実施の形態では、仮判定時のパスメトリックの最小値の逆数を、主判定時のブランチメトリックに乗算することで、仮判定時の信頼度を主判定に反映させる場合について述べたが、仮判定時の信頼度を主判定に反映させる方法はこれに限らず、要はパスメトリックの最小値に関わる係数を用いて主判定を行うようにすればよい。
また仮判定時の信頼度を主判定に反映させる方法として、パスメトリックの最小値とパスメトリックの2番目に小さい値との差を、主判定に反映させるようにしてもよい。ここでパスメトリックの最小値とパスメトリックの2番目に小さい値の差が大きいほど、その判定は信頼性が高いといえる。これを考慮して、上述したパスメトリックの最小値の逆数に換えて、この差を用いて乗算係数を求めるようにしてもよい。
またこの実施の形態では、図24を用いて本実施の形態の特徴を説明したが、本実施の形態の適用範囲はこれに限らない。本実施の形態の特徴は、他の変調信号の判定結果を用いて自変調信号の候補信号点を削減し、削減した候補信号点を用いて自変調信号を判定する場合に広く適用することができる。例えば上述した実施の形態1から実施の形態7の全てに適用可能である。
(実施の形態9)
この実施の形態の特徴は、実施の形態1〜実施の形態8の特徴に加えて、所定のタイミングで特定のシンボルを送信することである。この実施の形態では、第1に、特定のシンボルとして、時空間符号(この実施の形態では、時空間ブロック符号(STBC:Space-Time Block Code)を用いる)を送信することを提案する。また本実施の形態では、第2に、特定のシンボルとして、特殊シンボルを送信することを提案する。
このように所定のタイミングで特定のシンボルを送信することにより、実施の形態1〜実施の形態8での効果に加えて、受信データの誤り率特性を一段と向上させることができるようになる。
(i)時空間ブロック符号を送信する場合
先ず、時空間ブロック符号を送受信する原理について説明する。図35に、送信装置の各アンテナから送信する変調信号Aと変調信号Bのフレーム構成例を示す。図に示すように、送信装置は、第1のアンテナAN1(図1)から、変調信号Aとして、チャネル推定シンボル3301、データシンボル3302、3304、3306に加えて、規則的にSTBCシンボル3303を送信するようになっている。また送信装置は、第2のアンテナAN2(図1)から、変調信号Bとして、チャネル推定シンボル3307、データシンボル3308、3310、3312に加えて、規則的にSTBCシンボル3309を送信するようになっている。
なお図35(A)と図35(B)の時間軸は同一である。つまり、チャネル推定シンボル3301と3307、データシンボル3302と3308、STBCシンボル3303と3309、データシンボル3304と3310、STBCシンボル3305と3311、データシンボル3306と3312は、それぞれ同時刻に送信される。また図35の例では、4シンボルのデータシンボルの間に2シンボルのSTBCシンボルを挿入して送信する。
マルチアンテナ通信にSTBCを用いることは既知の技術であるが、図36を用いて簡単に説明する。STBCでは、時間tにアンテナ3401からS1の信号の変調信号を送信すると共にアンテナ3402からS2の信号の変調信号を送信する。そして時間t+1にアンテナ3401から−S2*の信号の変調信号を送信すると共にアンテナ3402からS1*の信号の変調信号を送信する。但し、*は共役複素を示す。
このとき、アンテナ3403の時間tの受信信号をR1(t)、時間t+1の受信信号をR1(t+1)とすると、以下の関係式が成立する。
受信部では、(2)式を解くことで送信信号S1、S2を復調することになるが、(2)式を見れば分かるように、大きなダイバーシチゲインを得ることができるので、信号S1、S2を品質良く求めることができる。
ここで、図35のように、STBCを挿入する場合、変調信号Aを形成する際に、データシンボル3302、3304、3306と、STBCシンボル3303、3305の中の信号S1とで畳み込み符号化、ターボ符号化、LDPC(Low Density Parity Check)符号化などの符号化を行うようにするとよい。また変調信号Bを形成する際に、データシンボル3308、3310、3312と、STBCシンボル3309、3311の中の信号S2とで畳み込み符号化、ターボ符号化、LDPC符号化などの符号化を行うようにするとよい。
次に、図35のような信号を送信するためのマルチアンテナ送信装置の構成例と、その信号を受信復調するためのマルチアンテナ受信装置の構成例を説明する。
マルチアンテナ送信装置については、図2や図30の変調部202A、202Bを、例えば図37のように構成すればよい。変調部202Aと変調部202Bはほぼ同様の構成でよいので、ここでは変調部202Aについて説明する。
変調部202Aは、データシンボル信号生成部3501及びSTBCシンボル信号生成部3502に符号化データS1Aを入力する。またデータシンボル信号生成部3501、STBCシンボル信号生成部3502、チャネル推定シンボル信号生成部3503及び信号選択部3508にフレーム構成信号S10を入力する。
データシンボル信号生成部3501は、フレーム構成信号S10がデータシンボルを示していたとき、符号化データS1Aを変調し、データシンボルのベースバンド信号3504を出力する。STBCシンボル信号生成部3502は、フレーム構成信号S10がSTBCシンボルを示していたとき、符号化データS1Aを変調し、STBCシンボルのベースバンド信号3506を出力する。チャネル推定シンボル信号生成部3503は、フレーム構成信号S10がチャネル推定シンボルを示していたとき、チャネル推定シンボルのベースバンド信号3507を出力する。
信号選択部3508は、入力されたベースバンド信号3504、3506、3507の中からフレーム構成信号S10が示しているベースバンド信号を選択し、ベースバンド信号S2Aとして出力する。これにより、図35に示すようなフレーム構成の変調信号を送信することができる。
図38及び図39に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の信号処理部の構成例を示す。図38は、反復復号を用いないときの信号処理部の構成を示し、図5との対応部分に同一符号を付した。図39は、反復復号を用いるときの信号処理部の構成を示す。
先ず、図38の信号処理部3600の構成を説明する。信号処理部3600のSTBCシンボルブランチメトリック計算部4101は、チャネル変動推定値h11、h21、h12、h22及びベースバンド信号R1−2、R2−2を入力とし、STBCシンボルのブランチメトリックを求め、STBCシンボルのブランチメトリック信号4102、4103を出力する。
このとき、STBCシンボルのブランチメトリック信号は2系統出力されることになる。これは、(2)式におけるS1、S2に対し、ブランチメトリックが存在するからである。4102は変調信号Aとして送信されたSTBCシンボルのブランチメトリック信号であり、4103は変調信号Bとして送信されたSTBCのブランチメトリック信号である。
分離部501は、図35におけるデータシンボルについてのみ(1)式による信号分離を行い、推定ベースバンド信号502、505を出力する。
データシンボルブランチメトリック計算部4104は、変調信号Aの推定ベースバンド信号502を入力とし、変調信号Aのデータシンボルのブランチメトリック計算し、データシンボルのブランチメトリック信号4105を出力する。同様に、データシンボルブランチメトリック計算部4106は、変調信号Bの推定ベースバンド信号505を入力とし、変調信号Bのデータシンボルのブランチメトリック計算し、データシンボルのブランチメトリック信号4107を出力する。
復号部4108は、STBCシンボルのブランチメトリック信号4102、データシンボルのブランチメトリック信号4105を入力とし、パスメトリックを求め、復号することで、送信ディジタル信号TAについての判定値504を出力する。同様に、復号部4109は、STBCシンボルのブランチメトリック信号4103、データシンボルのブランチメトリック信号4107を入力とし、パスメトリックを求め、復号することで、送信ディジタル信号TBについての判定値507を出力する。
信号点削減部508、510、514、516は、データシンボルについて実施の形態1で説明したのと同様に信号点削減を行い、信号点削減後の信号点情報を出力する。データシンボルブランチメトリック計算部4110、4112は、信号点削減後の信号点情報とベースバンド信号R1−2、R2−2を入力とし、データシンボルのブランチメトリック信号4111、4113を出力する。復号部4114、4115は、データシンボルのブランチメトリック信号とSTBCシンボルのブランチメトリック信号を入力とし、パスメトリックを求め、復号する。
次に、図39の構成について説明する。上述したように図39は、反復復号を用いるときの信号処理部の構成であり、図38の構成と図13の構成を組み合わせたものである。つまり、図38と図39の関係は、既に説明した図5と図13の関係と同じである。従って、図39の図38と対応する部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
次に、本実施の形態のように規則的に時空間符号を送信した場合の受信時の動作及び効果について説明する。
図40に、図35のようなフレーム構成の信号を受信したときの受信状態例を示す。図40(A)は変調信号Aのフレーム構成を示す。図40(B)は一度目の判定後の変調信号Aの状態例を示す。図40(C)は信号点削減後の変調信号Bの状態を示す。なお図40(A)、図40(B)を変調信号Bとし、図40(C)を変調信号Aとして考えても同様である。
STBCシンボルは、符号化によるダイバーシチゲインと受信アンテナにおけるダイバーシチゲインが得られるため、ブランチメトリックを求めた際、非常に信頼性が高い。またSTBCシンボルは、実施の形態1〜8のような信号点削減を必要としない。一方、データシンボルでは、ダイバーシチゲインが小さいため、ブランチメトリックを求めた際、信頼性が低い。
このような特性のなか、変調信号Aの一度目の軟判定後の状態について考える。STBCシンボルにおけるブランチメトリックの信頼性が非常に高いため、STBCシンボルのパスメトリックを求めて軟判定を行うと、正しいシンボルが得られる可能性が非常に高くなる。
従って、変調信号Aのシンボル判定を正しく行うことができるため、この判定結果を用いてデータシンボルについての信号点削減を行うと、誤った信号点を選択する可能性が低くなる。この結果、削減された信号点を用いて変調信号Bのブランチメトリックを求めた際の、ブランチメトリックの信頼性が高くなる。
加えて、変調信号BにもSTBCシンボルが挿入されており、STBCシンボルにおける符号化によるダイバーシチゲインと受信アンテナにおけるダイバーシチゲインによりSTBCシンボルで求めたブランチメトリックの信頼性が非常に高い。
これら2つの効果により、パスメトリックを求め、軟判定復号を行った際の、変調信号Bの誤り率特性を著しく向上させることができる。
また実施の形態3、4のイタレーション処理を行う場合を考えると、本実施の形態のようにSTBCシンボルを挿入したフレーム構成とすることで、良好な誤り率特性を得るためのイタレーションの回数が少なくなると共に、さらなる誤り率特性の改善につながる。また実施の形態6のように、変調信号Aと変調信号Bのインターリーブパターンを異なるようにすると、誤り率特性はさらに改善される。その構成については、実施の形態6で詳述したのでここでは説明を省略するが、要は、送信側に、それぞれ異なるインターリーブパターンをもつ複数のインターリーバを設けて各アンテナから異なるインターリーブパターンでインターリーブされた変調信号を送信すると共に、受信側に、各インターリーバに対応するデインターリーバ及びインターリーバを設けるようにすればよい。
(ii)特殊シンボルを送信する場合
次に、特殊シンボルを送受信する原理について説明する。図41及び図42に特殊シンボルのフレーム構成例を示す。
図41のフレーム構成について詳しく説明する。このフレーム構成では、変調信号Aとしてデータシンボル3701を送信している時間と同一時間に、変調信号Bとして同相I−直交Q平面で(0,0)の信号で構成されたシンボル3703を送信する。すなわち変調信号Bを送信しない。また変調信号Bとしてデータシンボル3704を送信している時間と同一時間に、変調信号Aとして同相I−直交Q平面で(0,0)の信号で構成されたシンボル3702を送信する。すなわち変調信号Aを送信しない。
図41の例では、一つのアンテナのみからデータシンボルを送信し、他のアンテナは無送信とすることを、特殊シンボルと呼ぶ。つまり、ここではこのような特殊シンボルをSTBCシンボルに換えて、規則的に送信することを提案する。
これにより、変調信号Aのデータシンボル3701を受信機が受信するとき、変調信号Bには信号が存在していないため、複数アンテナで変調シンボルAのみが受信されるので、ダイバーシチゲインが得られ、データシンボル3701について信頼性の高いブランチメトリックを得ることができる。加えて、信号点削減を行う必要がない。同様に、変調信号Bのデータシンボル3704を受信機が受信するとき、変調信号Aには信号が存在していないため、複数アンテナで変調信号Bのみが受信されるので、ダイバーシチゲインが得られ、データシンボル3704について信頼性の高いブランチメトリックを得ることができる。加えて、信号点削減を行う必要がない。
因みに、特殊シンボル中のデータシンボル3701、3704は、このシンボルと時間的に前後する他のデータシンボルと共に符号化するようにする。このようにして、特殊シンボルとこれと前後する他のデータシンボルとを関与付ける。
図42のフレーム構成について詳しく説明する。このフレーム構成では、変調信号Aを既知データシンボル3801とすると共に変調信号Bを既知データシンボル3802とし、この既知データシンボル3801、3802を同一時間に送信する。ここで既知データシンボルとは、既知のデータを送信することである。つまり、図42の例では、複数のアンテナからそれぞれ既知データシンボルを送信することを、特殊シンボルと呼ぶ。つまり、ここではこのような特殊シンボルをSTBCシンボルに換えて、規則的に送信することを提案する。
これにより、変調信号Aと変調信号Bの既知データシンボル3801、3802を受信機が受信するとき、これらのシンボルが既知であるため各シンボルを確実に識別できる。よって、複数アンテナでの受信により、各変調シンボルで十分なダイバーシチゲインが得られ、各シンボルについて信頼性の高いブランチメトリックを得ることができる。加えて、信号点削減を行う必要がない。
因みに、特殊シンボル中の既知データシンボル3801、3802は、このシンボルと時間的に前後する他のデータシンボルと共に符号化するようにする。このようにして、特殊シンボルとこれと前後する他のデータシンボルとを関与付ける。
なお図42では、既知データシンボルが1シンボルで構成されている例を説明したが、STBC方式を用い、2シンボルで構成してもよい。いずれにおいても、既知データシンボルが符号化に関与していることが重要となる。
次に、図41や図42のような信号を送信するためのマルチアンテナ送信装置の構成例と、その信号を受信復調するためのマルチアンテナ受信装置の構成例を説明する。
マルチアンテナ送信装置については、図2や図30の変調部202A、202Bを、例えば図43のように構成すればよい。変調部202Aと変調部202Bはほぼ同様の構成でよいので、ここでは変調部202Aについて説明する。
ここで図43の構成は、既に説明した図37の構成と比較して、STBCシンボル信号生成部3502を特殊シンボル信号生成部4001に換えただけなので、図37と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。特殊シンボル信号生成部4001は、符号化データS1A及びフレーム構成信号S10を入力とし、フレーム構成信号S10が特殊シンボルを示していたとき、図41や図42に示した特殊シンボルのベースバンド信号4002を出力する。
またこのような特殊シンボルが挿入された変調信号を受信復調するマルチアンテナ受信装置の構成は、図38や図39のSTBCシンボルブランチメトリック計算部4101を、特殊シンボルブランチメトリック計算部に置き換えればよい。
図44に、特殊シンボルを受信したときの受信状態例を示す。図44(A)は変調信号Aのフレーム構成を示す。図44(B)は一度目の判定後の変調信号Aの状態例を示す。図44(C)は信号点削減後の変調信号Bの状態を示す。なお図44(A)、図44(B)を変調信号Bとし、図44(C)を変調信号Aとして考えても同様である。
STBCシンボルを挿入した場合と同様に特殊シンボルを挿入すると、特殊シンボルにおけるブランチメトリックの信頼性が非常に高いため、特殊シンボルのパスメトリックを求めて軟判定を行うと、正しいシンボルが得られる可能性が非常に高くなる。
従って、変調信号Aのシンボル判定を正しく行うことができるため、この判定結果を用いてデータシンボルについての信号点削減を行うと、誤った信号点を選択する可能性が低くなる。この結果、削減された信号点を用いて変調信号Bのブランチメトリックを求めた際の、ブランチメトリックの信頼性が高くなる。
加えて、変調信号Bにも特殊シンボルが挿入されており、特殊シンボルにおける符号化によるダイバーシチゲインと受信アンテナにおけるダイバーシチゲインにより特殊シンボルで求めたブランチメトリックの信頼性が非常に高い。
これら2つの効果により、パスメトリックを求め、軟判定復号を行った際の、変調信号Bの誤り率特性を著しく向上させることができる。
また実施の形態3、4のイタレーション処理を行う場合を考えると、本実施の形態のように特殊シンボルを挿入したフレーム構成とすることで、良好な誤り率特性を得るためのイタレーションの回数が少なくなると共に、さらなる誤り率特性の改善につながる。また実施の形態6のように、変調信号Aと変調信号Bのインターリーブパターンを異なるようにすると、誤り率特性はさらに改善される。
(iii)他の構成例
上述した実施の形態では、図40に示す位置にSTBCシンボルを挿入し、図44に示す位置に特殊シンボル3601、3602を挿入する場合を例に挙げたが、STBCシンボル及び特殊シンボルの挿入位置及び間隔はこれに限らない。またデータシンボルの間に挿入するシンボルは、STBCシンボルや図41、図42に示した特殊シンボルに限らず、要は、ブランチメトリックの信頼性が高く、信号点削減が不要なシンボルであれば適用でき、このようなシンボルであれば上述したのと同様の効果を得ることができる。
また挿入するブランチメトリックの信頼性の高いシンボル(図40のSTBCシンボル及び図44の特殊シンボル)は、信頼性の高いブランチメトリックを得るためのパイロットシンボルと呼ぶこともできる。
また上述した実施の形態では、スペクトル拡散通信方式に適用した例を説明したがこれに限ったものではなく、例えばOFDM方式に適用することもできる。この場合、符号化する方法は、図40、図44のように時間軸に方向に符号化する方法も可能であるし、また図40、図44の横軸を周波数軸と考え、周波数軸に符号化することも可能である。加えて、時間軸と周波数軸の両方向に符号化することも可能である。またスペクトル拡散通信方式でないシングルキャリア方式にも当然適用することができる。
さらに受信装置の構成は、図38、図39の構成に限ったものではなく、例えば、図12、図18のように変調信号Aと変調信号Bを交互に復調する構成をとることもできる。この場合、図38、図39の構成よりも回路規模を削減することができる。
(実施の形態10)
この実施の形態では、符号化ブロック内で、必ず1度は、変調信号を送信するアンテナを切り替えることを提案する。これにより、直接波の影響による定常状態を変えることができるため、誤り率特性が符号化ブロック内全てに亘って悪くなる事態を回避して、誤り率特性が良い状態に引き込むことができるようになる。
先ず、本実施の形態の原理について説明する。見通しの伝搬環境について考える。このとき、(1)式におけるチャネル行列は、直接波成分のチャネル要素h
11,d,h
12,d,h
21,d,h
22,dと散乱波成分のチャネル要素h
11,s,h
12,s,h
21,s,h
22,sに分けて考えることができ、次式のように表すことができる。
直接波のチャネル要素は、定常の状態に陥ると、その状態に応じて受信電界強度が同一であっても全く異なる受信品質を示すことが知られている(例えば、文献“ライスフェージングにおけるMIMOシステムの解析”電子情報通信学会、信学技報RCS2003−90、pp.1−6、2003年7月を参照)。特に、直接波が支配的な見通し環境では、実施の形態6のように変調信号間でインターリーブパターンを異なるようにしたことの効果が十分に現れないような定常状態になる可能性がある。このような状態に陥ると、受信電界強度が十分とれていても、良好な誤り率特性を得られないと考えられる。この実施の形態は、このような考察に基づいてなされたものである。
先ず、符号化シンボルブロックの説明から始める。図45に、本実施の形態における符号化シンボルブロックの構成と送信する順番の例を示す。図45(A)は、符号化シンボルブロックの構成の一例を示している。符号化されているシンボルは、有限長で構成される。符号化シンボルブロックとは、その有限長で構成されているブロックのことを意味する(ここでは300シンボルで構成されている)。1,2,………,299,300の数字は、データの符号化の順番を示している。そして、インターリーブを行う際には、例えば、100シンボル単位に分割し、図45(A)の縦から読み出すことで、図45(B)のような順番でデータが送信されることになる。
ところで、直接波が支配的な環境のときには、MIMO通信でない従来の変調信号を1系統送信する場合についても、伝搬環境の変動が小さいため、インターリーブの効果が小さいが、受信電界強度が十分であるため、良好な受信品質(誤り率特性)が得られる。
一方、MIMO通信の場合、直接波が支配的な環境のとき、伝搬環境の変動が小さいため、インターリーブの効果が小さいことは、従来と同様であるが、異なる点は、受信電界強度が十分ではあっても、(3)式の直接波の行列の状態によっては、受信品質が悪くなる場合が発生することである。
そこで本実施の形態では、符号化ブロック内で、必ず1度は、変調信号を送信するアンテナを切り替えるようにする。その具体的なフレーム構成例を、図46に示す。変調信号Aについて、図45(B)に示すようなインターリーブを施し、図45(B)を3分割し(以下、分割した各ブロックを、XAブロック、YAブロック、ZAブロックと呼ぶ)、分割したブロックのうち必ず1つは別のアンテナから送信するようにする。
例えば図46に示すように、変調信号Aにおいて、XAブロックはデータシンボル4402、YAブロックはデータシンボル4404、ZAブロックはデータシンボル4406に相当するものとしたとき、データシンボル4402、4404(すなわちXAブロックとYAブロック)は同一のアンテナAN1から送信するが、データシンボル4406(すなわちZAブロック)は送信するアンテナを別のアンテナAN2に切り替えるようにする。
同様に、変調信号Bにおいても図45(B)に示すようなインターリーブを施し(但し、実施の形態6で説明したように、変調信号Bについては、図45(B)とは異なるインターリーブパターンを用いた方が誤り率特性が良くなる)、図45(B)を3分割し(以下、分割したブロックを、XBブロック、YBブロック、ZBブロックと呼ぶ)、分割したブロックのうち必ず1つは別のアンテナから送信するようにする。
例えば図46に示すように、変調信号Bにおいて、XBブロックはデータシンボル4408、YBブロックはデータシンボル4410、ZBブロックはデータシンボル4412に相当するものとしたとき、データシンボル4408(すなわちXBブロック)はアンテナAN2から送信するが、データシンボル4410、4412(すなわちYBブロックとZBブロック)は別のアンテナAN3から送信するようにする。
ここで変調信号A、BをアンテナAN1、アンテナAN2で送信した場合に、直接波の影響により定常的になった行列の状態が悪く、このため受信電界強度が十分でもブランチメトリックの信頼性が低いとする。同様に、変調信号A、BをアンテナAN1とアンテナAN3で送信した場合にも、直接波の影響により定常的になった行列の状態が悪く、このため受信電界強度が十分でもブランチメトリックの信頼性が低いとする。
一方、変調信号A、BをアンテナAN2とアンテナAN3で送信された場合に、直接波の影響により定常的になった行列の状態が良く、このためブランチメトリックの信頼性が高いとする。
このように、直接波による定常状態に陥ったときの行列の状態は、変調信号を送信するアンテナを切り替えることで変えることができる。この結果、ブランチメトリックの信頼性を、変調信号を送信するアンテナを切り替えることで変化させることができる。具体的には、図46の期間t1、t2では、信頼性の低いブランチメトリックしか得られないが、期間t3では、信頼性の高いブランチメトリックを得ることができるようになる。因みに、変調信号を送信するアンテナを切り替えると、受信電界強度が変わるのではなく、行列の状態が変わるのである。但し、送信アンテナの選択パターンが同一である場合は、ほぼ同一の状態である。
また符号化ブロック内で変調信号を送信するアンテナを切り替えるようにしたので、符号化ブロック内で、デインターリーブにより、信頼性の高いブランチメトリックと低いブランチメトリックがランダムに並び換えられるようになる。この結果、パスメトリックを求め、復号すると、ある程度の信頼性のあるデータを得ることができる。そして、信号点削減を用いた反復復号により、ある程度の信頼性のあるデータを基に反復してデータを復号すると、十分信頼性のあるデータを得ることが可能となる。
図47に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成例を示す。なお図47では、図2との対応部分には同一符号を付した。マルチアンテナ送信装置4500のアンテナ選択部4501は、変調信号Ta、Tb、フレーム構成信号S10を入力とし、フレーム構成信号S10に従って変調信号Ta、Tbを送信するアンテナAN1〜AN3を選択する。これにより、図46のフレーム構成の変調信号を送信することができる。
かくして本実施の形態によれば、符号化ブロック内で、必ず1度は、変調信号を送信するアンテナを切り替えるようにしたことにより、直接波の影響による定常状態を変えることができるため、誤り率特性の良くなる状態に引き込むことができるようになる。この結果、上述した実施の形態1〜9の特徴と組み合わせると、一段と誤り率特性の良い受信データを得ることができる。因みに、誤り率特性の良い状態に引き込むためには、変調信号間で異なるインターリーブパターンを選定したり、信号点削減による反復復号を適用すると効果的である。
(実施の形態11)
この実施の形態では、各アンテナから異なるインターリーブパターンの変調信号を送信するにあたって、特にビットインターリーブを用いて異なるインターリーブパターンの変調信号を形成することを提案する。さらに、受信側での信号点削減を考えた場合に、誤り率特性の良い受信データが得られるようなビットインターリーブの仕方を提案する。
図48に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置によって送信する変調信号Aと変調信号BのI−Q平面における信号点配置例を示す。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図49に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。ここでマルチアンテナ送信装置4700の変調部202Aにて16QAMを行う場合、変調信号A(ベースバンド信号2A)の信号点配置は図48(A)のようになる。具体的には、送信ディジタル信号TAを符号化して得た4つの符号化ビットSa0、Sa1、Sa2、Sa3に応じて図48(A)の16点のうちのいずれかを割り当てる。
同様に、変調部202Bにて16QAMを行う場合、変調信号B(ベースバンド信号2B)の信号点配置は図48(B)のようになる。具体的には、送信ディジタル信号TBを符号化して得た4つの符号化ビットSb0、Sb1、Sb2、Sb3に応じて図48(B)の16点のうちのいずれかを割り当てる。
マルチアンテナ送信装置4700は、信号分離部4701に送信ディジタル信号TAを入力する。信号分離部4701は、送信ディジタル信号TAをディジタル信号4702とディジタル信号4703に分離し、ディジタル信号4702を(Sa0,Sa2)用符号化部4704に送出すると共にディジタル信号4703を(Sa1,Sa3)用符号化部4706に送出する。(Sa0,Sa2)用符号化部4704は、ディジタル信号4702を符号化することにより符号化ビットSa0,Sa2からなる符号化ビット列4705を得、これをインターリーバ4708に送出する。(Sa1,Sa3)用符号化部4706は、ディジタル信号4703を符号化することにより符号化ビットSa1,Sa3からなる符号化ビット列4707を得、これをインターリーバ4710に送出する。
同様に、マルチアンテナ送信装置4700は、信号分離部4712に送信ディジタル信号TBを入力する。信号分離部4712は、送信ディジタル信号TBをディジタル信号4713とディジタル信号4714に分離し、ディジタル信号4713を(Sb0,Sb2)用符号化部4715に送出すると共にディジタル信号4714を(Sb1,Sb3)用符号化部4717に送出する。(Sb0,Sb2)用符号化部4715は、ディジタル信号4713を符号化することにより符号化ビットSb0,Sb2からなる符号化ビット列4716を得、これをインターリーバ4719に送出する。(Sb1,Sb3)用符号化部4717は、ディジタル信号4714を符号化することにより符号化ビットSb1,Sb3からなる符号化ビット列4718を得、これをインターリーバ4721に送出する。
インターリーバ4708、4710はそれぞれ、符号化ビット列4705、4707をビットインターリーブすることにより符号化ビット列4709、4711を得、これを変調部202Aに送出する。同様に、インターリーバ4719、4721はそれぞれ、符号化ビット列4716、4718をビットインターリーブすることにより符号化ビット列4720、4722を得、これを変調部202Bに送出する。
この実施の形態の場合、インターリーバ4708及びインターリーバ4719のインターリーブパターンは同一のインターリーブパターンXとされており、インターリーバ4710及びインターリーバ4721のインターリーブパターンは同一のインターリーブパターンYとされている。
このように、各アンテナから送信する各変調信号についてのビットインターリーブパターンを全て異なるものとするのではなく、変調信号間でビットインターリーブパターンの同じ組を作ることにより、受信側で信号点削減を行ったときに誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。その理由については後述する。
インターリーバ4708、4710、4719、4721によるビットインターリーブの一例を図50に示す。図50は、インターリーブ前と、インターリーブ後のデータの順番を示している。
変調信号Aについての符号化ビットSa0、Sa2のインターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。ここでインターリーバ4708が5つのデータおきに順番を並び替えるビットインターリーブを行ったとすると、先ずデータ1、データ6、・・・、データ196と並べる。次に、データ2、データ7、・・・、データ197と並べる。以下、データ3、データ8、・・・、データ198、次に、データ4、データ9、・・・、データ199、次に、データ5、データ10、・・・、データ200と並べる。変調信号Bについての符号化ビットSb0、Sb2のデータについても、インターリーバ4719によって同様の並び替えが行われる。
また変調信号Aについての符号化ビットSa1、Sa3のインターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。ここでインターリーバ4710が8つおきに順番を並び替えるビットインターリーブを行ったとすると、先ずデータ1、データ9、・・・、データ193と並べる。次に、データ2、データ10、・・・、データ194と並べる。以下、データ3、データ11、・・・、データ195、次に、データ4、データ12、・・・、データ196、次に、データ5、データ13、・・・、データ197、次に、データ6、データ14、・・・、データ198、次に、データ7、データ15、・・・データ199、次に、データ8、データ16、・・・、データ200と並べる。変調信号Bについての符号化ビットSb1、Sb3のデータについても、インターリーバ4721によって同様の並び替えが行われる。
次に本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の構成及び動作について説明する。マルチアンテナ受信装置の全体構成は、図4と同様である。但し、図4の信号処理部404として、図51のような構成の信号処理部4900を設ける。
図24との対応部分に同一符号を付して示す図51において、信号処理部4900は、符号化ビットSa0,Sa2用のデインターリーバ2401Aによって送信ディジタル信号Aの順番を並び替えることで推定ベースバンド信号502を得、次に符号化ビットSa0,Sa2用の軟判定復号部503によって軟判定復号することで、符号化ビットSa0、Sa2の情報を得る。次に、符号化ビットSa0、Sa2用のインターリーバ2402Aによって順番を並び替え、インターリーブ後の符号化ビットSa0、Sa2の符号化ビット列504を出力する。
変調信号Bについても同様であり、符号化ビットSb0,Sb2用のデインターリーバ2401Bによって送信ディジタル信号Bの順番を並び替えることで推定ベースバンド信号505を得、次に符号化ビットSb0,Sb2用の軟判定復号部506によって軟判定復号することで、符号化ビットSb0、Sb2の情報を得る。次に、符号化ビットSb0、Sb2用のインターリーバ2402Bによって順番を並び替え、インターリーブ後の符号化ビットSb0、Sb2の符号化ビット列507を出力する。
次に動作する信号点削減部1301、1302の処理について、図52を用いて説明する。
図52(A)は、信号点削減前の候補信号点を示しており(○:候補信号点)、候補信号点は本実施の形態では、8ビットを伝送しているため、256個の候補信号点が存在することになる。そして、インターリーブ後の符号化ビットSa0、Sa2の情報504、及び、インターリーブ後の符号化ビットSb0,Sb2の情報507から、4ビットが決定しているため、信号点削減部1301、1302は、図52(B)のように、256個の候補信号点を16個の候補信号点に削減する。
そして、尤度判定部4901は、図52(B)のように、16個の候補信号点と受信ベースバンド信号(■)とのユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。ブランチメトリックは、各アンテナについて求められるため、2系統求められることになるが、尤度判定部4901は、各アンテナで求められたブランチメトリックの和を求め、そのブランチメトリックを基に符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3を決定し、符号化ビットSa1,Sa3をデインターリーバ4902に、符号化ビットSb1、Sb3をデインターリーバ4905に出力する。
デインターリーバ4902は、符号化ビットSa1、Sa3の順番を並び替え、デインターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3を復号部4903に送出する。復号部4903は、デインターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3を、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSa1,Sa3の情報4904を出力する。
同様に、デインターリーバ4905は、符号化ビットSb1、Sb3の順番を並び替え、デインターリーブ後の符号化ビットSb1,Sb3を復号部4906に送出する。復号部4906は、デインターリーブ後の符号化ビットを、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSb1,Sb3の情報4907を出力する。
以上により、符号化ビットSa0から符号化ビットSa3が得られ、また符号化ビットSb0から符号化ビットSb3が得られることになる。このとき、信号点削減を行っているために、従来であればアンテナごとに256回のユークリッド距離を求める演算が必要であったところを、16回の演算で済ませることができるので、演算規模の削減を図ることができることになる。
以降では、さらなる受信品質改善のために、反復復号を適用する方法、及び、インターリーブパターンを上述のように異なるようにした理由について詳しく説明する。
先ず、反復復号の適用方法について詳しく説明する。インターリーバ4908は、上記のように得られた誤り訂正後の符号化ビットSa1、Sa3を入力とし、符号化ビットSa1、Sa3用のインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3を信号点削減部1303、1304に送出する。同様に、インターリーバ4909は、上記のように得られた誤り訂正後の符号化ビットSb1、Sb3を入力とし、符号化ビットSb1、Sb3用のインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビットSb1,Sb3を信号点削減部1303、1304に送出する。
信号点削減部1303、1304は、インターリーブ後の符号化ビットSa1、Sa3情報、及び、インターリーブ後の符号化ビットSb1,Sb3の情報を入力とし、図52のように256個の候補信号点を、インターリーブ後の符号化ビットSa1、Sa3及びインターリーブ後の符号化ビットSb1,Sb3によって決定されている4ビットを用いて、16個の候補信号点に削減する。
そして、尤度判定部4910は、図52(B)のように16個の候補信号点と受信ベースバンド信号(■)とのユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。ブランチメトリックは、各アンテナについて求められるため、2系統求められることになるが、尤度判定部4910は、各アンテナで求められたブランチメトリックの和を求め、そのブランチメトリックを基に符号化ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2を決定し、符号化ビットSa0,Sa2をデインターリーバ4911に、符号化ビットSb0、Sb2をデインターリーバ4914に出力する。
デインターリーバ4911は、符号化ビットSa0、Sa2の順番を並び替え、デインターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2を復号部4912に送出する。復号部4912は、デインターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2を、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSa0,Sa2の情報4913を出力する。
同様に、デインターリーバ4914は、符号化ビットSb0、Sb2の順番を並び替え、デインターリーブ後の符号化ビットSb0,Sb2を復号部4915に送出する。復号部4915は、デインターリーブ後の符号化ビットSb0,Sb2を、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSb0,Sb2の情報4916を出力する。
以上により、受信品質(誤り率特性)が向上した符号化ビットSa0、Sa2、Sb0、Sb2の情報4913、4916が得られることになる。
さらに、インターリーバ4917は、誤り訂正後の符号化ビットSa0,Sa2の情報4913を入力とし、インターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2の情報を信号点削減部1301、1302に送出する。同様に、インターリーバ4918は、誤り訂正後の符号化ビットSb0,Sb2の情報4916を入力とし、インターリーブ後の符号化ビットSb0,Sb2の情報を信号点削減部1301、1302に送出する。
そして、上述した動作を、信号点削減部1301、1302、尤度判定部4901、デインターリーバ4902、4905、復号部4903、4906において行うことで、受信品質の向上した符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3の情報4904、4907が得られる。
以上の操作を複数回行うことで、受信品質を向上させることができる。これらの処理のフローチャートを図53に示す。
はじめに、変調信号Aの符号化ビットSa0,Sa2及び変調信号Bの符号化ビットSb0,Sb2を復号する(ST21A)。次に、得られた符号化ビットSa0,Sa2、Sb0,Sb2の情報を基に信号点削減を行い(ST21B)、符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1、Sb3を復号する(ST22B)。次に、得られた符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3の情報を基に信号点削減を行い(ST22A)、符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2を復号する(ST23A)。以下同様の処理を繰り返す。
本実施の形態においては、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSb0,Sb2用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とし、符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバと符号化ビットSb1,Sb3用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とした。これによる効果は、全てのインターリーブパターンを異なるようにするよりも、信号点削減を行った際の誤り率を小さくできることである。
しかし、本質的には、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバのインターリーブパターンを異なるようにしたことが、受信品質向上のためには重要となる。以下では、その理由について詳しく説明する。
図54は、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSb0,Sb2用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とし、符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバと符号化ビットSb1,Sb3用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とし、かつ、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバのインターリーブパターンが同一のときの受信状態の一例を示している。すなわち、全てのインターリーバのインターリーブパターンが同一の場合の例である。
このようなインターリーブパターンのもと、図51の軟判定部503において、符号化ビットSa0,Sa2の復号を行った結果、誤って判定されたシンボルが図54(A)のように連続的に発生したと仮定する。因みに、畳み込み符号などを用いたときには、連続して誤りが発生するのが一般的である。すると、信号点数削減部1301、1302において、信号点数の削減を行った際、図54(B)のように、信号点削減による信号点選択に連続して誤りが生じることになる。この結果、復号部4903、4906によって符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の復号を行っても、受信品質(誤り率特性)が効果的に向上しない。これは、誤り訂正符号は、連続的な誤りを訂正する能力が低いためである。
図55に、本実施の形態のように、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSb0,Sb2用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とし、符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバと符号化ビットSb1,Sb3用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とし、かつ、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSa1,Sa3用のインターリーバのインターリーブパターンを異なるものとしたときの受信状態の一例を示す。
このようなインターリーブパターンのもと、図51の軟判定部503において、符号化ビットSa0,Sa2の復号を行った結果、誤った判定を行ったシンボルが図55(A)のように連続的に発生したと仮定するものとする。すると、信号点数削減部1301、1302において、信号点数の削減を行った際、図55(B)と異なり、符号化ビットSa0、Sa2のインターリーブパターンと符号化ビットSa1、Sa3のインターリーブパターンが異なるため、デインターリーブにより、図55(B)のように、信号点削減による信号点選択の誤りは、離散的に生じることになる。すなわち、信号点削減による信号点選択の誤りは、図54(B)のように連続して発生しない。これにより、復号部4903、4906によって符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3を復号すると、効果的に誤り率特性が向上する。これは、誤り訂正符号は、離散的な誤りを訂正する能力が高いためである。
さらに符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSb0,Sb2用のインターリーバのインターリーブパターンを同一としているので、符号化ビットSa0,Sa2と符号化ビットSb0,Sb2の誤りの発生を同一にすることができる。
例えば、符号化ビットSa0,Sa2の誤る確率が1/100、符号化ビットSb0,Sb2の誤る確率が、1/100とする。このとき、符号化ビットSa0,Sa2と符号化ビットSb0,Sb2の誤りの発生が同一の場合には、信号点削減の誤る確率は、1/100である。しかし、誤りの発生パターンが異なると、信号点削減の誤る確率は1/100+1/100=1/50となってしまう。そして、インターリーブパターンが異なる場合、誤りの発生パターンが異なる可能性が高くなる。
このように、信号点削減を行うことを考えると、符号化ビットSa0,Sa2用のインターリーバと符号化ビットSb0,Sb2用のインターリーバのインターリーブパターンを同一とするほうが好適である。
ただし、全てのインターリーブパターンを異なるようにしても、上述したように信号点削減による信号点選択の誤りを離散的に生じさせることができるので、同様に誤り率特性の向上効果が得られる。すなわち、全てのインターリーブパターンを異なるようにすることは必須要件ではなく、全てが同一パターンでなければ、信号点削減による信号点選択の誤りを離散的に生じさせることができるといった点では、同様の効果を発揮することができる。
かくして本実施の形態によれば、各アンテナから送信する変調信号のビットインターリーブパターンを異なるものとしたことにより、受信側での復号の際、バーストエラーの影響を軽減して、誤り率特性の良い受信データを得ることができるマルチアンテナ送信装置を実現できる。
また各変調信号用に設けられた複数のインターリーバのうち、変調信号間のインターリーバで同一のインターリーブパターンのペア(インターリーバ4708とインターリーバ4719、インターリーバ4710とインターリーバ4721)を作るようにしたことにより、信号点削減時に誤りが発生する確率を小さくできるので、一段と誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。
なお上述した実施の形態では、スペクトル拡散通信方式に適用した例を説明したがこれに限ったものではなく、例えばスペクトル拡散通信方式でないシングルキャリア方式やOFDM方式にも適用することもできる。OFDM方式に適用した場合、符号化する方法は、図54のように時間軸に方向に符号化する方法も可能であるし、また図54の横軸を周波数軸と考え、周波数軸に符号化することも可能である。加えて、時間軸と周波数軸の両方向に符号化することも可能である。
このとき、実施の形態7で説明したように、インターリーブパターンXは周波数の高いサブキャリアから低いサブキャリアへとデータを並び替えて配置するパターンにし、インターリーブパターンYは周波数の低いサブキャリアから高いサブキャリアへとデータを並び替えて配置するパターンにすると、有効に誤り率特性を向上させることができ、さらに回路構成も簡単化することができる。
さらに、インターリーブの方法は、本実施の形態で説明した図は一例でありこれに限ったものではない。理想的には、ランダムインターリーブが適している。
また上述した実施の形態では、インターリーバによってインターリーブを行う場合について述べたが、例えばOFDM方式に適用する場合には、各サブキャリアへのマッピング処理によってインターリーブを行うようにしてもよい。このようにすれば、インターリーバを省略することができる。
(実施の形態12)
この実施の形態では、実施の形態11とは別のビットインターリーブの仕方を提案する。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図56に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。この実施の形態のマルチアンテナ送信装置5400が実施の形態11のマルチアンテナ送信装置4700と異なる点は、変調信号Aの符号化ビットSa0,Sa2が変調信号Bの符号化ビットSb0,Sb2と共に符号化されたものであり、また、変調信号Aの符号化ビットSa1,Sa3が変調信号Bの符号化ビットSb1,Sb3と共に符号化されている点である。
マルチアンテナ送信装置5400は、信号分離部5402に送信ディジタル信号5401を入力する。信号分離部5402は、送信ディジタル信号5401をディジタル信号5403とディジタル信号5404の2系統に分離し、ディジタル信号5403を符号化部5405に送出すると共にディジタル信号5404を符号化部5412に送出する。符号化部5405は、ディジタル信号5403を符号化(例えば畳み込み符号化)することにより符号化ビット列5406を得、これをインターリーバ5407に送出する。符号化部5412は、ディジタル信号5404を符号化(例えば畳み込み符号化)することにより符号化ビット列5413を得、これをインターリーバ5415に送出する。
インターリーバ5407は、符号化ビット列5406に対してインターリーブパターンXのインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビット列5408を分離部5409に送出する。分離部5409は、インターリーブ後の符号化ビット列5408を、符号化ビットSa0,Sa2を含む符号化ビット列5410と符号化ビットSb0,Sb2を含む符号化ビット列5411に分離し、符号化ビット列5410を変調部202Aに、符号化ビット列5411を変調部202Bにそれぞれ送出する。
インターリーバ5415は、符号化ビット列5413に対してインターリーブパターンYのインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビット列5416を分離部5417に送出する。分離部5417は、インターリーブ後の符号化ビット列5416を、符号化ビットSa1,Sa3を含む符号化ビット列5418と符号化ビットSb1,Sb3を含む符号化ビット列5419に分離し、符号化ビット列5418を変調部202Aに、符号化ビット列5419を変調部202Bにそれぞれ送出する。
変調部202Aは、符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSa1,Sa3に応じて、図48(A)の16点のうちのいずれかを割り当て、その信号点を示すベースバンド信号S2Aを出力する。同様に、変調部202Bは、符号化ビットSb0,Sb2及び符号化ビットSb1,Sb3に応じて、図48(B)の16点のうちいずれかを割り当て、その信号点を示すベースバンド信号S2Bを出力する。
ここでインターリーバ5407のインターリーブパターンXとインターリーバ5415のインターリーブパターンYが異なるものとされている。これにより、受信側で信号点削減を行ったときに誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。
インターリーバ5407、5415によるビットインターリーブの一例を図57に示す。図57は、インターリーブ前と、インターリーブ後のデータの順番を示している。
図57(A)は、インターリーブパターンXのインターリーブ方法を示している。インターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。ここでインターリーバ5407が5つのデータおきに順番を並び替える(この処理は、実施の形態11で説明した、図50の符号化ビットSa0,Sa2のインターリーブ処理と同様であるので詳細の説明は省略する)。
そして、インターリーブ後に並んだデータを符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2に交互に振り分ける。したがって、符号化ビットSa0,Sa2のデータは、データ1、データ11、・・・、データ185、データ195という順番になり、符号化ビットSb0,Sb2のデータは、データ6、データ16、・・・、データ190、データ200という順番になる。
図57(B)は、インターリーブパターンYのインターリーブ方法を示している。インターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。ここでインターリーバ5415は、8つのデータおきに順番を並べ替える(この処理は、実施の形態11で説明した、図50の符号化ビットSa1,Sa3のインターリーブ処理と同様であるので詳細の説明は省略する)。
そして、インターリーブ後に並んだデータを符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3に交互に振り分ける。したがって、符号化ビットSa1,Sa3のデータは、データ1、データ17、・・・、データ176、データ192という順番になり、符号化ビットSb0,Sb2のデータは、データ9、データ25、・・・、データ184、データ200という順番になる。
次に本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の構成及び動作について説明する。マルチアンテナ受信装置の全体構成は図4と同様である。但し、図4の信号処理部404として、図58のような構成の信号処理部5600を設ける。
図13との対応部分に同一符号を付して示す図58において、信号処理部5600は、パターンX用のデインターリーバ5601によって、変調信号Aの推定ベースバンド信号504及び変調信号Bの推定ベースバンド信号505の並び替えを行う。デインターリーブ後の推定ベースバンド信号は、軟判定復号部5602に送出される。
軟判定復号部5602は、デインターリーブ後の推定ベースバンド信号に対して軟判定復号処理を施すことにより、符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5603を得、これをパターンX用のインターリーバ5604に送出する。パターンX用のインターリーバ5604は、符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5603に対してパターンXのインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5605を信号点削減部1301、1302に送出する。
次に動作する信号点削減部1301、1302の処理について、図52を用いて説明する。
図52(A)は、信号点削減前の候補信号点を示しており(○:候補信号点)、候補信号点は本実施の形態では、8ビットを伝送しているため、256個の候補信号点が存在することになる。そして、インターリーブ後の符号化ビットSa0、Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5605から、4ビットが決定しているため、信号点削減部1301、1302は、図52(B)のように、256個の候補信号点を16個の候補信号点に削減する。
そして、尤度判定部5606は、図52(B)のように16個の候補信号点と受信ベースバンド信号(■)とのユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。ブランチメトリックは、各アンテナについて求められるため、2系統求められることになるが、尤度判定部5606は、各アンテナで求められたブランチメトリックの和を求め、そのブランチメトリックを基に符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3を決定し、これをパターンY用のデインターリーバ5607に出力する。
パターンY用のデインターリーバ5607は、符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報の順番を並び替え、デインターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報を復号部5608に送出する。復号部5608は、デインターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報を、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報5609を出力する。
以上により、符号化ビットSa0から符号化ビットSa3が得られ、符号化ビットSb0から符号化ビットSb3が得られることになる。このとき、信号点削減を行っているために、従来であればアンテナごとに256回のユークリッド距離を求める演算が必要であったところを、16回の演算で済ませることができるので、演算規模の削減を図ることができることになる。
以降では、さらなる受信品質改善のために、反復復号を適用する方法、及び、インターリーブパターンを上述のように異なるようにした理由について詳しく説明する。
先ず、反復復号の適用方法について詳しく説明する。パターンYのインターリーバ5610は、上記のように得られた誤り訂正後の符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報5609に対してパターンXのインターリーブを施し、インターリーブ後の符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の情報5611を信号点削減部1303、1304に送出する。
信号点削減部1303、1304は、インターリーブ後の符号化ビットSa1、Sa3及びインターリーブ後の符号化ビットSb1,Sb3情報5611を入力とし、図52のように256個の候補信号点を、インターリーブ後の符号化ビットSa1、Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3によって決定されている4ビットを用いて、16個の候補信号点に削減する。
そして、尤度判定部5612は、図52(B)のように16個の候補信号点と受信ベースバンド信号(■)とのユークリッド距離の2乗を求め、ブランチメトリックを求める。ブランチメトリックは、各アンテナについて求められるため、2系統求められることになるが、尤度判定部5612は、各アンテナで求められたブランチメトリックの和を求め、そのブランチメトリックを基に符号化ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2を決定し、符号化ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2の情報をパターンX用のデインターリーバ5613に送出する。
パターンX用のデインターリーバ5613は、符号化ビットSa0、Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報の順番を並び替えることにより、デインターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報を得、これを復号部5614に送出する。復号部5614は、デインターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5615を、例えば硬判定復号することにより、誤り訂正後の符号化ビットSa0,Sa2及びSb0,Sb2の情報5615を出力する。
以上により、受信品質(誤り率特性)が向上した符号化ビットSa0、Sa2、Sb0、Sb2の情報5609、5615が得られることになる。
さらに、インターリーバ5616は、誤り訂正後の符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報5615を入力とし、インターリーブ後の符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2の情報を信号点削減部1301、1302に送出する。
そして、上述した動作を、信号点削減部1301、1302、尤度判定部5606、デインターリーバ5607、復号部5608において行うことで、受信品質の向上した符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3の情報5609、5615が得られる。
以上の操作を複数回行うことで、受信品質を向上させることができる。これらの処理のフローチャートを図53に示す。
はじめに、変調信号Aの符号化ビットSa0,Sa2及び変調信号Bの符号化ビットSb0,Sb2を復号する(ST21A)。次に、得られた符号化ビットSa0,Sa2、Sb0,Sb2の情報を基に信号点削減を行い(ST21B)、符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1、Sb3を復号する(ST22B)。次に、得られた符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3の情報を基に信号点削減を行い(ST22A)、符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSb0,Sb2を復号する(ST23A)。以下同様の処理を繰り返す。
本実施の形態においては、インターリーバのインターリーブパターンを異なるようにした(パターンXとパターンYは異なる)ことが、受信品質向上のためには重要となる。以下では、その理由について詳しく説明する。
図59は、パターンX(符号化ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2用のインターリーブパターン)とパターンY(符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3用のインターリーブパターン)が同一パターンのときの受信状態の一例を示している。
このようなインターリーブパターンのもと、図58の軟判定部5602において、符号化ビットSa0,Sa2、Sb0,Sb2の復号を行った結果、誤って判定されたシンボルが図59(A)のように連続して発生したと仮定する。因みに、畳み込み符号などを用いたときには、連続して誤りが発生するのが一般的である。すると、信号点数削減部1301、1302において、信号点数の削減を行った際、図59(B)のように、信号点削減による信号点選択に連続して誤りが生じることになる。この結果、復号部5608によって符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3の復号を行っても、受信品質(誤り率特性)が効果的に向上しない。これは、誤り訂正符号は、連続的な誤りを訂正する能力が低いためである。
図60に、本実施の形態のように、パターンX(符号化ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2用のインターリーブパターン)とパターンY(符号化ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3用のインターリーブパターン)を異なるようにしたときの受信状態の一例を示す。
このようなインターリーブパターンのもと、図58の軟判定部5602において、符号化ビットSa0,Sa2、Sb0,Sb2の復号を行った結果、誤った判定を行ったシンボルが図60(A)のように連続的に発生したと仮定する。すると、信号点数削減部1301、1302において、信号点数の削減を行った際、図59(B)と異なり、インターリーブパターンXとインターリーブパターンYが異なるため、デインターリーブにより、図60(B)のように、信号点削減による信号点選択の誤りは、離散的に生じることになる。すなわち、信号点削減による信号点選択の誤りは、図60(B)のように連続して発生しない。これにより、復号部5608によって符号化ビットSa1,Sa3及び符号化ビットSb1,Sb3を復号すると、効果的に誤り率特性が向上する。これは、誤り訂正符号は、離散的な誤りを訂正する能力が高いためである。
かくして本実施の形態によれば、各アンテナから送信する変調信号のビットインターリーブパターンを異なるものとしたことにより、受信側での復号の際、バーストエラーの影響を軽減して、誤り率特性の良い受信データを得ることができるマルチアンテナ送信装置を実現できる。また本実施の形態によれば、実施の形態11と比較して、符号化部の数を少なくすることができるので、演算量削減につながり、回路規模を小さくすることができる。
なお上述した実施の形態では、スペクトル拡散通信方式に適用した例を説明したがこれに限ったものではなく、例えばスペクトル拡散通信方式でないシングルキャリア方式やOFDM方式に適用することもできる。OFDM方式に適用した場合、符号化する方法は、図60のように時間軸に方向に符号化する方法も可能であるし、また図60の横軸を周波数軸と考え、周波数軸に符号化することも可能である。加えて、時間軸と周波数軸の両方向に符号化することも可能である。加えて、時間軸と周波数軸の両方向に符号化することも可能である。
このとき、実施の形態7で説明したように、インターリーブパターンXは周波数の高いサブキャリアから低いサブキャリアへとデータを並び替えて配置するパターンにし、インターリーブパターンYは周波数の低いサブキャリアから高いサブキャリアへとデータを並び替えて配置するパターンにすると、有効に誤り率特性を向上させることができ、さらに回路構成も簡単化することができる。
さらに、インターリーブの方法は、本実施の形態で説明した図は一例でありこれに限ったものではない。理想的には、ランダムインターリーブが適している。
また上述した実施の形態では、インターリーバによってインターリーブを行う場合について述べたが、例えばOFDM方式に適用する場合には、各サブキャリアへのマッピング処理によってインターリーブを行うようにしてもよい。このようにすれば、インターリーバを省略することができる。
(実施の形態13)
実施の形態6では、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを各変調信号間で異なるようにしたマルチアンテナ送信装置を提案したが、本実施の形態では、インターリーブとしてビットインターリーブを適用したとき具体的な装置例について述べる。つまり、本実施の形態は、基本的には、ビットインターリーブ処理を行う点で、実施の形態11や実施の形態12と同様であるが、実施の形態6の基本構成にそのままビットインターリーブを適用する例を説明するものである。
図48に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置によって送信する変調信号Aと変調信号BのI−Q平面における信号点配置例を示す。
本実施の形態におけるマルチアンテナ送信装置の基本構成は、実施の形態6で説明した、図23と同様であり、その動作は実施の形態6と同様である。
図23のような構成を採った場合の、インターリーバ2301A、2301Bによるビットインターリーブの方法について図61を用いて詳しく説明する。因みに、インターリーバ2301Aは、図61(A)のインターリーブパターンXを用いてインターリーブ処理を行い、インターリーバ2301Bは、図61(B)のインターリーブパターンYを用いてインターリーブ処理を行う。
図61は、インターリーブ前、インターリーブ後、分離後のデータの順番の一例を示している。図61(A)は、インターリーブパターンXのインターリーブ方法を示している。インターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。インターリーブにより、5つデータおきに順番を並び替える(この処理は、実施の形態11で説明した、図50の符号化ビットSa0,Sa2のインターリーブ処理と同様であるので詳細の説明は省略する。)。
そして、インターリーブ後に並んだデータを符号化ビットSa0,Sa2及び符号化ビットSa1,Sa3に交互に振り分ける。したがって、符号化ビットSa0,Sa2のデータは、データ1、データ11、・・・、データ185、データ195という順番になり、符号化ビットSa1,Sa3のデータは、データ6、データ16、・・・、データ190、データ200という順番になる。
図61(B)は、インターリーブパターンYのインターリーブ方法を示している。インターリーブ前の順番に対し、データ1、データ2、・・・、データ200と順番を付ける。インターリーブにより、8つのデータおきに順番を並べ替える(この処理は、実施の形態11で説明した、図50の符号化ビットSa1,Sa3のインターリーブ処理と同様であるので詳細の説明は省略する)。
そして、インターリーブ後に並んだデータを符号化ビットSb0,Sb2及び符号化ビットSb1,Sb3に交互に振り分ける。したがって、符号化ビットSb0,Sb2のデータは、データ1、データ17、・・・、データ176、データ192という順番になり、符号化ビットSb0,Sb2のデータは、データ9、データ25、・・・、データ184、データ200という順番になる。
図23の各変調部202A、202Bは、以上のようにビットインターリーブされた符号化ビットに応じて、図48(A)、(B)の16点のうちのいずれかを割り当てることで変調を行う。
次に、このようにビットインターリーブ処理された複数の変調信号A、Bを受信するマルチアンテナ受信装置の構成について説明する。マルチアンテナ受信装置の構成(信号処理部の構成)の一つとして、実施の形態6で説明した図24の構成が考えられ、その動作は、各デインターリーバ及びインターリーバでビットデインターリーブ処理及びインターリーブ処理を行う以外は、実施の形態6と同様である。
この実施の形態では、図24とは異なる構成として、図62のような構成例について説明する。図24との対応部分に同一符号を付して示す図62において、信号処理部6000の最尤判定部6001は、チャネル推定値h11、h21、h12、h22、ベースバンド信号R1−2、R2−2を入力とし、最尤判定を行うことで、符号化ビットSa0,Sa1,Sa2,Sa3の情報6004を得てこれをデインターリーバ2401Aに送出すると共に符号化ビットSb0,Sb1,Sb2,Sb3の情報6005を得てこれをデインターリーバ2401Bに送出する。
デインターリーバ2401A、2401Bによってデインターリーブされた符号化ビットSa0,Sa1,Sa2,Sa3の情報6004、符号化ビットSb0,Sb1,Sb2,Sb3の情報6005は、それぞれ、硬判定復号部6002、6003によって硬判定復号されて出力される。他の部分については、実施の形態6と同様に動作する。
そして信号処理部6000においては、変調信号AのビットインターリーブパターンXと変調信号BのビットインターリーブパターンYが異なるものとされているので、実施の形態11や実施の形態12で説明したのと同様の理由により、誤り率特性の良い受信データRA、RBを得ることができる。
かくして本実施の形態によれば、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを各変調信号で異なるようにするにあたって、各変調信号のビットインターリーブパターンを異なるようにしたことにより、受信側での復号の際、バーストエラーの影響を軽減して、誤り率特性の良い受信データを得ることができるマルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ受信装置を実現できる。
なお本実施の形態で説明した信号処理部6000の構成は、例えば実施の形態6などの実施の形態においても適用することができる。つまり、最尤判定を仮判定に用いることができる。
また本実施の形態では、各変調信号のビットインターリーブパターンを異なるものとするマルチアンテナ送信装置の構成として、図23のマルチアンテナ送信装置2300及び図61のビットインターリーブパターンを用いて説明したが、マルチアンテナ装置の全体構成やビットインターリーブパターンは図23や図61に示したものに限らない。特に、ビットインターリーブパターンは種々のものを適用でき、要は、各変調信号のビットインターリーブパターンを異なるものとすればよい。
図23のマルチアンテナ送信装置2300の構成と異なる構成例として、例えば図63のような構成が考えられる。図23との対応部分に同一符号を付して示す図63において、マルチアンテナ送信装置6100の最も特徴的な点は、“符号化ビットSa0,Sa2のためのインターリーブパターン(インターリーバ4708)と符号化ビットSa1,Sa3のためのインターリーブパターン(インターリーバ6101)が同一であり、かつ、符号化ビットSb0,Sb2のためのインターリーブパターン(インターリーバ4719)と符号化ビットSb1,Sb3のためのインターリーブパターン(インターリーバ6102)が同一である”という点である。これにより、受信装置において、誤り訂正能力が向上し、受信品質が向上することになる。また、ビットインターリーブのパターンを全て異なるようにしてもよいが、受信品質の劣化を招くのは、実施の形態11で説明したとおりである。
さらに、インターリーブの方法は、本実施の形態で説明した図は一例でありこれに限ったものではない。理想的には、ランダムインターリーブが適している。
(実施の形態14)
この実施の形態では、LDPC(Low Density Parity Check)を適用したときに、上述したインターリーブパターンを簡易な構成で設定することができるマルチアンテナ送信装置を提案する。換言すれば、上述したインターリーブパターンの変調信号を形成するにあたって、LDPCを有効活用する方法を提案する。
上述した実施の形態6、7、11、12、13では、基本的には、図23のように、インターリーバ2301Aとインターリーバ2301Bのインターリーブパターンを異なるようにすることで、変調信号間でのインターリーブパターンを異なるようにした。この実施の形態では、LDPCを適用したとき、インターリーバ2301A、2301Bを、異なる生成行列G_i(検査行列 H_i)を持つLDPC符号器に置き換えることを提案する。これにより、異なるインターリーバを設けてインターリーブパターンを異なるようにしたときと同様の効果を得ることができるようになる。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図64に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。マルチアンテナ送信装置6200は、図2のマルチアンテナ送信装置110と比較して、符号化部201A、201Bに換えてLDPC符号器6201A、6201Bが設けられている。
変調信号A用のLDPC符号器6201Aは、生成行列Ga、検査行列Haで表され、送信データTAを入力とし、符号化されたデータS1Aを出力する。変調信号B用のLDPC符号器6201Bは、生成行列Gb、検査行列Hbで表され、送信データTBを入力とし、符号化されたデータS1Bを出力する。
この実施の形態の特徴は、変調信号A用のLDPC符号器6201Aの生成行列Gaと変調信号B用のLDPC符号器6201Bの生成行列Gを異なるようにしたことである。その理由について以下で説明する。
LDPCは、非常に疎な検査行列により定義される線形符号であり、その特徴の一つは、様々な符号長、符号化率の符号を容易に構成できる柔軟性を持つことである。同様に、同一の符号長、符号化率の符号を複数種類構成することも容易である。その他多くの誤り訂正符号では、符号の種類によって構成可能なパラメータが限られる。
ターボ符号や畳み込み符号の復号では、全てのビットは尤度情報を更新するために隣接するビットの情報を利用する。したがって、フェージング環境などの記憶のある通信路(channel with memory)を扱う際には、隣接するビット間の相関のあるノイズを擬似的に白色化するためにインターリーバが利用される。このため、本発明では、ストリーム毎に異なるインターリーブパターンを適用する送信機構成を採るようにした。
しかし、LDPCの復号では、あるビットnがそのビットに関係するパリティチェック、つまり検査m、により更新する場合、検査mに関わるいくつかのビットからの情報のみを利用する。LDPC符号の検査行列Hは一般にランダムに構成されるため、更新に利用する情報ビットが隣接する確率はきわめて小さい。よってビットnが深いフェード中にあったとしても、ビットnに関係する他のビットが、同様に深いフェード中にある確率は低く、それらのビットはビットnに対して、より信頼性の高い情報を提供する。
つまり、LDPCの検査行列Hにインターリーブ機能が本質的に備わっていることを意味しており、原理的に検査行列Hの設計において、行列Hの全ての非零要素をインターリーブ利得が最大になるように配置することが可能である。
この結果は、J. Hou, P. Siegel, and L. Milstein, “Performance Analysis and Code Optimization for Low Density Parity-Check Codes on Rayleigh Fading Channels” IEEE JSAC, Vol. 19, No. 5, May, 2001 でも示されている。
次に、LDPCの符号化について説明する。LDPCは、線形符号の一種であるので、生成行列Ga,Gbを情報ベクトル(m1,m2,…、mk)、(n1,n2,…、nk)に乗ずることにより得ることができる。すなわち、あらかじめ設計された検査行列HaおよびHbに対応する生成行列Ga,Gbを求めておき(生成行列Ga,GbはGaHa T=0およびGbHb T=0を満たす)、c=mGaあるいはd=nGbとして符号語cおよびdを得ることができる。
次に、LDPCの復号化について説明する。本実施の形態におけるマルチアンテナ受信装置の全体構成は、例えば図4に示すようにすればよい。そして図4の信号処理部404を、例えば図65のように構成すればよい。
図13との対応部分に同一符号を付して示す図65において、信号処理部6300は、図13の信号処理部1300の軟判定部503、506、512、518を、LDPC用の復号方法である確率領域sum−product復号部6301、6302、6303、6304に置き換えた構成でなる。
LDPCを利用した場合、デインターリーバとビタビ復号回路(畳み込み符号適用時)の組み合わせの代わりに、例えば、LDPCを利用した場合の代表的な復号方法である、確率領域sum−product復号法(probability domain sum-product decoding algorithm)やハードウェア、ソフトウェアへの実装に向いている対数領域sum−product復号法(log domain sum-product decoding algorithm)などを利用することができる。
変調信号Aのsum−product復号部6301、6303は、送信側で用いた検査行列Haに対応した復号を行う。また変調信号Bのsum−product復号部6302、6304は、送信側で用いた検査行列Hbに対応した復号を行う。誤り訂正処理された変調信号A,Bの受信ディジタル信号は、再び送信時と同じ生成行列GaおよびGbのLDPCを用いて、再符号化および変調され、信号点削減が行われる。
詳細の動作は、LDPC以外で説明した動作と同様であり、LDPCに関わる部分の動作のみが異なるだけで、他は上述した実施の形態と同様の動作をする。
かくして本実施の形態によれば、各ストリームに異なる生成行列G_i(検査行列H_i)を持つLDPCを適用する構成を採り、その生成行列によってインターリーブ処理と同等の処理を行うようにしたことにより、図23に示すように、各ストリームに異なるインターリーブパターンを備えたインターリーバと、ターボ符号や畳み込み符号などLDPCとは異なる誤り訂正符号器とを用いた構成を採る場合と同様の効果を得ることができる。さらに、LDPC符号はインターリーバ機能そのものを含むため、回路規模を削減することができる。
なお、この実施の形態では、LDPC符号器のみでインターリーブパターンの異なる変調信号A、Bを形成する場合について説明したが、LDPC符号器に加えて、実施の形態6、7と同様にインターリーバを設けてインターリーブパターンの異なる変調信号を形成するようにしてもよく、このようにした場合でも受信品質を向上させることができる。
さらには、図66に示すように、LDPC符号器6201AとLDPC符号器6201Bとして同一のLDPC符号器を用いると共に、一方にのみインターリーバ6601を設けるようにしてもよい。このようにしても、変調信号Aと変調信号Bのインターリーブパターンを異なるようにすることができるので、受信品質を向上させることができる。
(実施の形態15)
この実施の形態では、上述した受信装置及び方法(すなわち候補信号点を削減し、復号する装置及び方法)に好適な再送方法を提案する。
先ず、図67に送信側(例えば基地局)で送信する送信信号Aと送信信号Bのフレーム構成例を示す。変調信号A、Bのチャネル推定シンボル6801A、6802Bは同時刻に送信され、受信機はこのチャネル推定シンボル6801A、6802Bを用いてフェージング等によるそれぞれのチャネル変動を推定する。変調信号A、Bのデータシンボル6802A、6802Bは、各送信ディジタル信号TA、TBに基づいて形成されたものであり、このデータシンボル6802A、6802Bによりデータが伝送される。また各変調信号A、Bには、CRC(Cyclic Redundancy Check)シンボル6803A、6803Bが付加され、受信機はCRCシンボル6803A、6803Bを検査することで変調信号A、Bで送信されたデータそれぞれに誤りがあったかどうかを確認する。制御情報シンボル6804は、受信機で周波数オフセットの検出、AGC(Automatic Gain Control)を行うためや、再送信号か否かを識別させるために設けられている。
図68に、受信機(例えば通信端末)の送信系の構成例を示す。誤り判定部6902Aは、基地局が送信した信号を復調して得られた変調信号Aのディジタル信号6901Aを入力とし、図67のCRCシンボル6803Aを利用することで、変調信号Aに誤りがあったか否かを示す誤り有無情報6903Aを出力する。同様に、誤り判定部6902Bは、基地局が送信した信号を復調して得られた変調信号Bのディジタル信号6901Bを入力とし、図67のCRCシンボル6803Bを利用することで、変調信号Bに誤りがあったか否かを示す誤り有無情報6903Bを出力する。
再送要求部6904は、変調信号A,Bの誤り有無情報6903A、6903Bに基づいて、再送を要求するか否かを決定し、再送要求情報6905(例えばACK/NACKの情報)を出力する。この再送要求情報6905は、変調信号Aを再送するか又は変調信号Bを再送するかの情報でなる。
データ生成部6907は、再送要求情報6905及び送信データ6906を入力し、送信ディジタル信号6908を生成し出力する。送信部6909は、送信ディジタル信号6908に対して所定の変調処理を施すことで変調信号6910を形成する。変調信号6910は、アンテナ6911から電波として出力される。
図69に、通信端末が送信する変調信号6910のフレーム構成例を示す。変調信号6910は、受信側でチャネル推定を行うためのチャネル推定シンボル7001、データシンボル7002、再送要求情報シンボル7003により構成されている。
図70に、本実施の形態のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。マルチアンテナ送信装置7000は、例えば基地局に設けられている。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図70において、マルチアンテナ送信装置7000は、図68の通信端末から送信された信号をアンテナ7101で受信する。受信信号7102(図69の変調信号に相当)は受信部7103に入力される。受信部7103は、受信信号7102を復調することにより受信ディジタル信号7104を得、これを出力する。再送要求検出部7105は、受信ディジタル信号7104から再送要求情報7106を抽出し、これを出力する。この再送要求情報7106は、上述したように、変調信号Aを再送するか又は変調信号Bを再送するかの情報を含む。
マルチアンテナ送信装置7000の送信系には、データ蓄積部7107A、7107B及びデータ選択部7109A、7109Bが設けられ、データ選択部7109A、7109Bには再送要求情報7106が入力される。データ選択部7109Aは、再送要求情報7106が変調信号Aの再送を要求することを示すものであった場合には、データ蓄積部7107Aに蓄積された再送データ7108Aを選択して出力する。同様に、データ選択部7109Bは、再送要求情報7106が変調信号Bの再送を要求することを示すものであった場合には、データ蓄積部7107Bに蓄積された再送データ7108Bを選択して出力する。
さらに具体的には、データ選択部7109Aは、再送要求情報7106が再送を要求しており、かつ、変調信号Aの再送を要求している場合、蓄積された変調信号Aの送信ディジタル信号7108Aを選択出力する。これに対して、再送要求情報7106が再送を要求しており、かつ、変調信号Bの再送を要求している場合、データ選択部7109Aは何も出力しない。再送要求情報7106が再送を要求していない場合、データ選択部7109Aは送信ディジタル信号TAを選択出力する。
同様に、データ選択部7109Bは、再送要求情報7106が再送を要求しており、かつ、変調信号Bの再送を要求している場合、蓄積された変調信号Bの送信ディジタル信号7108Bを選択出力する。これに対して、再送要求情報7106が再送を要求しており、かつ、変調信号Aの再送を要求している場合、データ選択部7109Bは何も出力しない。再送要求情報7106が再送を要求していない場合、データ選択部7109Bは送信ディジタル信号TBを選択出力する。
このように、マルチアンテナ送信装置7000においては、一方の変調信号を再送する場合には、他方の変調信号の送信を行わないようになっている。
フレーム構成信号生成部210は、再送要求情報7106に基づいてフレーム構成を決定し、フレーム構成信号S10を出力する。フレーム構成の決定方法の一例は、図71を用いて以降で説明する。
図71は、本実施の形態における基地局と通信端末の送信信号の流れを示している。なお、図71では図を簡略化しているが、基地局が送信する信号は、実際にはデータシンボルに加えて制御情報、CRCシンボルなどから構成されたフレーム単位の信号となっている。
基地局は、先ず、
〈1〉のように、データ1A、データ1Bを送信する。
すると、端末はデータ1A、データ1Bを受信し、誤りが発生していないことを確認し、
〈2〉のように、再送を要求しない。
次に、基地局は、
〈3〉のように、データ2A、データ2Bを送信する。
すると、端末はデータ2A、データ2Bを受信し、誤りが発生していることを確認する。このとき、端末は、変調信号Aの受信電界強度と変調信号Bの受信電界強度を比較し、受信電界強度の低い変調信号の再送を要求する。図の場合には、変調信号Aの受信電界強度が低いことを検出したので、
〈4〉のように、変調信号Aの再送要求を行う。このように、受信電界強度の低い方の変調信号の再送を行うようにしたことにより、再送による誤り率特性の向上効果を高めることができる。これは、受信電界強度の低い変調信号のほうが、受信品質が悪いため、再送によって受信電界強度の低い変調信号の受信品質を確保することができるためである。また受信電界強度の低い方の変調信号を再送するようにしたことにより、その変調信号を使ってもう一方の変調信号についての候補信号点の削減するにあたっての精度が向上するので、もう一方の変調信号の誤り率特性も向上させることができるようになる。
なおここでは受信電界強度の低い方の変調信号を再送するようにしたが、別の方法として、例えば、データ2A、データ2Bのうち、データ2Bに誤りが発生したとした場合、データ2Bの再送を要求するというシンプルな方法を用いてもよい。
基地局は、データ2Aの再送要求信号を受信すると、
〈5〉のように、データ2Aの再送を行う。
すると、端末はデータ2A、データ2Bに誤りが発生しなかったため、
〈6〉のように、再送要求を行わない。
次に、基地局は、
〈7〉のように、データ3A、データ3Bを送信する。
すると、端末はデータ3A、データ3Bを受信し、誤りが発生していることを確認する。このとき、端末は、変調信号Aの受信電界強度と変調信号Bの受信電界強度を比較し、変調信号Bの受信電界強度が低いことを検出すると、
〈8〉のように、変調信号Bの再送要求を行う。
すると、基地局は、
〈9〉のように、データ3Bの再送を行う。
それでも、端末はデータ3A、データ3Bに誤りが発生していると、
〈10〉のように、再度再送を要求する。このとき、端末は1度目に要求した変調信号とは異なる変調信号の再送を要求する。つまり、変調信号Aの再送を要求する。このようにすることで、再送による誤り率特性の向上効果を高めることができる。つまり、1度目に再送されたデータ3Bは、〈9〉での再送により優れた受信品質とされているのに対して、データ3Aの受信品質はこの時点では再送による受信品質の向上作用はないのでデータ3Bよりも低いと考えられる。したがって、2度目の再送を行うときはデータ3Aというように、一度目とは異なる変調信号のデータを再送することが好ましい。
基地局は、データ3Bの再送要求信号を受信すると、
〈11〉のように、データ3Aの再送を行う。
このように、本実施の形態においては、変調信号A、変調信号B両方のデータを再送するのではなく、一方の変調信号のデータのみ再送するようになっている。この理由については、以降で説明する。
図72に、本実施の形態のマルチアンテナ受信装置の構成を示す。マルチアンテナ受信装置7200は、例えば通信端末に設けられている。
図4との対応部分に同一符号を付して示す図72において、マルチアンテナ受信装置7200は、マルチアンテナ送信装置7000(図70)から送信された信号を受信して復調する。
制御情報検出部7301は、逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2を入力し、マルチアンテナ送信装置7000(基地局)が送信した図67のフレームにおける、制御情報シンボル6804によって示される制御情報を検出する。すなわち、制御情報シンボル6804に基づいて、受信信号が再送信号ではなく変調信号Aと変調信号Bが同時に送信されたものであるか、又は受信信号が再送信号の場合には再送信号が変調信号Aか変調信号Bかを示す制御情報を検出する。制御情報検出部7301は、検出した制御情報を送信方法情報7302として出力する。
信号処理部404は、チャネル変動推定値h11、h12、h21、h22、逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2及び送信方法情報7302を入力し、送信方法情報7302が、変調信号A、Bを同時に送信する送信方法であることを示している場合、復調動作を行い、変調信号Aの受信ディジタル信号RA及び変調信号Bの受信ディジタル信号RBを得る。この信号処理部404の詳細構成は、例えば、図5、図11、図12,図13、図17、図18等で示した通りであり、動作については上述した通りである。信号処理部404は、例えば、図71の〈1〉、〈3〉、〈7〉のときに動作する。
チャネル情報・受信信号蓄積部7303は、チャネル推定値h11、h12、h21、h22及び逆拡散後のベースバンド信号R2−1、R2−2を入力し、これらの情報を蓄積する。またチャネル情報・受信信号蓄積部7303は、送信方法情報7302を入力し、送信方法情報7302が再送されたときの送信方法であることを示しているとき、蓄積していたチャネル推定値及び逆拡散後のベースバンド信号を出力する。
再送情報検波部7304は、チャネル変動推定値h11、h12、h21、h22、逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2及び送信方法情報7302を入力し、送信方法情報7302が、再送を示し、かつ再送された変調信号が変調信号Aであることを示している場合、変調信号Aの復調を行い、変調信号Aの受信ディジタル信号RAを出力する。また再送情報検波部7304は、送信方法情報7302が、再送を示し、かつ再送された変調信号が変調信号Bであることを示している場合、変調信号Bの復調を行い、変調信号Bの受信ディジタル信号RBを出力する。この動作は、例えば、図71の〈5〉、〈9〉、〈11〉のときに行われるものである。
信号処理部7305は、蓄積されたチャネル推定値h11、h12、h21、h22(図示せず)、蓄積された逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2(図示せず)、送信方法情報7302及び再送された変調信号の受信ディジタル信号RA又はRB(再送情報検波部7304の出力)を入力する。
送信方法情報7302が、再送でかつ再送された変調信号が変調信号Aであることを示している場合(図71の〈5〉の状況に相当する)、再送情報検出部7304からは、RAが出力されており(図71の〈5〉の状況では、データ2Aが出力されていることになる)、信号処理部7305は、蓄積されたチャネル推定値h11、h12、h21、h22、蓄積された逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2及び再送された変調信号Aの受信ディジタル信号RA(図71の〈5〉の状況では、データ2A)を用いて、信号点削減を用いた復調動作を行い、変調信号Bのディジタル信号RBを出力する(図71のデータ2Bに相当する)。
一方、送信方法情報7302が、再送でかつ再送された変調信号が変調信号Bであることを示している場合(図71の〈9〉の状況に相当する)、再送情報検出部7304からは、RBが出力されており(図71の〈9〉の状況では、データ3Bが出力されていることになる)、信号処理部7305は、蓄積されたチャネル推定値h11,h12、h21、h22、蓄積された逆拡散後のベースバンド信号R1−2、R2−2及び再送された変調信号の受信ディジタル信号RB(図71の〈9〉の状況では、データ3B)を用いて、信号削減を用いた復調動作を行い、変調信号Aのディジタル信号RAを出力する(図71のデータ3Aに相当する)。
図5との対応部分に同一符号を付して示す図73に、信号処理部7305の構成例を示す。信号処理部7305は、送信方法情報7302を信号点削減部508、510、514、516に入力する。また再送情報検波部7304から出力される受信ディジタル信号RA又はRBを、信号点削減部508、510、514、516、軟判定部512、518及びデータ選択部7401に入力する。
ここで送信方法情報7302が、再送でかつ再送された変調信号が変調信号Aであることを示している場合(図71の〈5〉の状況に相当する)、信号点削減部508、510、514、516には、変調信号Aの受信ディジタル信号RAが入力される。このとき信号点削減部514、516が、決定されている変調信号Aの受信ディジタル信号RAを用いて、上述した実施の形態で述べたように、変調信号Bのみの信号点を候補に残し、削減した信号点情報515、517をそれぞれ出力する。軟判定部518は、変調信号Bを軟判定復号し、変調信号Bの受信ディジタル信号RBを出力する。データ選択部7401は、この変調信号Bの受信ディジタル信号RBを選択して受信ディジタル信号7402として出力する。このとき、信号点削減部508、510、軟判定部512は動作しない。
一方、送信方法情報7302が、再送でかつ再送された変調信号が変調信号Bであることを示している場合(図71の〈9〉の状況に相当する)、信号点削減部508、510、514、516には、変調信号Bの受信ディジタル信号RBが入力される。このとき信号点削減部508、510は、決定されている変調信号Bの受信ディジタル信号RBを用いて、上述した実施の形態で述べたように、変調信号Aのみの信号点を候補に残し、削減した信号点情報509、511をそれぞれ出力する。軟判定部512は、変調信号Aを軟判定復号し、変調信号Aの受信ディジタル信号RAを出力する。データ選択部7401は、この変調信号Aの受信ディジタル信号RAを選択して受信ディジタル信号と7402として出力する。このとき、信号点削減部514、516、軟判定部518は動作しない。
次に、マルチアンテナ受信装置7200のチャネル情報・受信信号蓄積部7303で蓄積するデータについて、図74を用いて詳しく説明する。例えば、図71の〈3〉のようにデータ2Aとデータ2Bが送信された場合を考える。データ2A、データ2Bは、100シンボルで構成されており、図74のように時間T2,0、T2,1、・・・、T2,99の時間にそれぞれのシンボルが送信されるものとする。このとき、時間t=T2,0、T2,1、・・・、T2,99とすると、チャネル変動はそれぞれh11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)、各アンテナAN3、AN4で受信される受信ベースバンド信号はR1−2(t)、R2−2(t)で表すことができる。また受信ベースバンド信号R1−2(t)、R2−2(t)は、チャネル変動h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)、変調信号Aの送信信号Txa(t)、変調信号Bの送信信号Txb(t)を用いて次式で表すことができる。
チャネル情報・受信信号蓄積部7303には、このチャネル変動h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)及び受信ベースバンド信号R1−2(t)、R2−2(t)が蓄積される。
ところで、本実施の形態では、再送時には、一方の変調信号のみを再送するようにしたので、受信ディジタル信号RA、RBの誤り率特性を向上させることができる。このことについて説明する。
図71の〈5〉のようにデータ2Aが再送されると、データ2Aの変調信号が2本の受信アンテナAN3、AN4で受信され、再送情報検波部7304によって最大比合成されて復調される。したがって、再送情報検波部7304によって受信ディジタル信号RAとして非常に受信品質の良い(誤り率特性の良い)データ2Aを得ることができる。因みに、図71の〈3〉のようにデータ2Aとデータ2Bが混ざり合った信号から(4)式を用いてデータ2Aを復調する場合、データ2Bの変調信号が干渉となるので、データ2Bを単独で受信する場合と比較して品質の良い(誤り率特性の良い)データ2Aを得ることは困難である。つまり、本実施の形態では、一方の変調信号のみを再送するようにしたことにより、時間t=T2,0、T2,1、・・・、T2,99において品質の良いTxa(t)の推定値(変調信号Aの推定値)を得ることができる。
そして、時間t=T2,0、T2,1、・・・、T2,99において、(4)式のTxb(t)以外の推定値が全て得られていることになるため、信号処理部7305では、チャネル情報・受信信号蓄積部7303に蓄積されているチャネル変動h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)、受信ベースバンド信号R1−2(t)、R2−2(t)と、最大比合成され復調された品質の優れたTxa(t)の推定値(変調信号Aの推定値)とから、受信アンテナ2本で最大比合成したのに相当するTxb(t)を復調することができるようになる。この結果、データ2Aと同様に、受信品質の優れたデータ2Bを得ることができる。以上が、チャネル情報・受信信号蓄積部7303、再送情報検波部7304及び信号処理部7305の一連の動作になる。
かくして本実施の形態によれば、再送を行うにあたって、変調信号A、変調信号B両方のデータを再送するのではなく、一方の変調信号のデータのみを再送するようにしたことにより、フレームエラーが発生したデータを、再生できる可能性が高くなるというメリットを得ることができる。
特に、変調信号A、変調信号B両方のデータを再送する構成としたときと比較し、直接波が支配的に存在する伝搬環境のとき、受信品質が顕著に向上する。例えば直接波が存在する場合には、実施の形態10で説明したように、受信電界強度が得られていても、良好な受信品質が得られないことがある。このようなとき、再度、変調信号A、変調信号B両方のデータを再送しても、受信品質に対し大きな改善効果が得られない。
しかし、本実施の形態のように一方の変調信号のデータのみ再送する構成を採ると、上述の説明の通り、再送された変調信号は、最大比合成、つまり、受信電界強度が強い状態で復調できるので優れた品質を得ることができる。加えて、再送されなかった方の信号についても、両方の変調信号が混ざり合った信号(すなわち蓄積されている信号)から再送された方の変調信号をキャンセルした後に復調することで、最大比合成の状態で復調できる。この結果、直接波が支配的な環境でも、両方の変調信号を最大比合成の状況で復調することができるため、受信品質に対し大きな改善効果が得られる。
なおこの実施の形態では、再送時以外には2つの変調信号A、Bを送信し、再送時にはそのうちの一方の変調信号のみを送信する場合について説明したが、要は、再送時に送信する変調信号の数を、再送時以外に送信する変調信号の数よりも少なくするようにすれば、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
またこの実施の形態では、スペクトル拡散通信方式に用いた例を説明したがこれに限ったものではなく、例えばスペクトル拡散通信方式でないシングルキャリア方式やOFDM方式に適用することもできる。OFDM方式に適用した場合、時間軸方向だけでなく周波数軸方向でも情報を伝送できるので、例えば図71におけるデータ1Aを考えた場合、時間軸方向と周波数軸方向にデータ1Aを配置してもよい。これは、次に説明する実施の形態16についても同様である。
またこの実施の形態では、図71に示すように、再送時には変調信号A又は変調信号Bのいずれか一方を送信する場合について説明したが、再送に応じて、送信する変調信号の数を変えるようにしてもよい。
図75に、この場合の基地局と通信端末の信号の流れの一例を示す。基地局は、図75の<1>のように変調信号Aにおいてデータ1Aを、変調信号Bにおいてデータ1Bを送信する。そして、端末は、<2>のように、誤りが発生しないと、再送要求を行わない。
次に、基地局は、<3>のように変調信号Aにおいてデータ2Aを、変調信号Bにおいてデータ2Bを送信する。そして、端末は、<4>のように、誤りが発生すると、再送要求を行う。
基地局は、端末からの再送要求に従ってデータの再送を行う。はじめは、<5>のように、基地局は変調信号Aにおいてデータ2Aを、変調信号Bにおいてデータ2Bを再送する。そして、端末は、<6>のように、再び誤りが発生すると、再び再送要求を行う。
すると、基地局は、端末からの再送要求に従ってデータの再送を行う。このとき、<5>の再送方式とは異なる方式で再送を行う。ここでは、<7>のように、データ2Aのみの再送を行う。そして、端末は、<8>のように、誤りが発生しないと、再送要求を行わない。そして、基地局は、<9>のように、次のデータ(データ3Aおよびデータ3B)の送信を行う。
このように、1度目の再送と2度目の再送とで再送方法を変えるようにする。図75の例では、1度目の再送時には、同一のデータを複数のアンテナから複数の変調信号により再送する再送方法を行い、2度目の再送時には、一方のチャネルのみの変調信号を再送する再送方法を行っている。このように再送に応じて、送信する変調信号の数を変えるようにすると、一段と再送回数を抑えることができ、伝送効率の向上につながる。
これは、一方のチャネルのみの変調信号を再送する方法と、同一データを複数のアンテナから複数の変調信号により再送する方法とでは、受信品質の改善に適する伝搬環境が異なるからである。一方のチャネルのみの変調信号を再送する方法は、直接波が支配的な環境での再送に適している。一方、同一データを複数のアンテナから複数の変調信号により再送する方法は、散乱波が支配的な環境に適している。したがって、伝搬環境の推定を行わない場合、異なる再送方法により再送することで、どちらかの再送により、データの誤りが発生しない確率が高くなるからであり、これにより再送回数を減少させることができ、データの伝送効率が向上する。
またここでは、伝搬環境を推定せずに、1度目の再送と2度目の再送で再送方法を異なるようにする場合について説明したが、伝搬環境を推定し、基地局と端末で伝搬環境推定情報を共有した場合、この伝搬環境推定情報に基づいてどちらかの再送方式に固定的に設定することも有効である。
このように、MIMO伝送を用いた場合、伝搬環境によって適する再送方法が異なることを考慮して、複数の再送方法(ここでは、一方のチャネルのみの変調信号を再送する方法と、複数のアンテナから複数の変調信号を再送する方法)を併用することにより、再送回数を減少させ、データの伝送効率を向上させることができる。
なお、この実施の形態では、送信アンテナ数が2の場合を例にとって説明したが、送信アンテナ数が3以上で変調信号数が3以上の場合にも同様に実施することができる。
(実施の形態16)
この実施の形態では、候補信号点を削減し、復号する装置及び方法に好適な再送方法として、実施の形態15で説明した図71のフレーム構成とは異なるフレーム構成を用いて再送する方法を提案する。
なお基地局の構成、通信端末の構成、1フレームの構成、端末が基地局に送信する変調信号のフレーム構成等は、実施の形態15と同様である。ここでは、図71とは異なる基地局と端末の信号の流れを、図76を用いて説明する。
基地局は、先ず、
〈1〉のように、データ1A、データ1B、データ2A、データ2B、データ3A、データ3B、データ4A、データ4Bを送信する。
すると、端末はデータ1A、データ1B、データ2A、データ2B、データ3A、データ3B、データ4A、データ4Bを受信する。そして、端末は、データ2A、データ2B、データ4A、データ4Bに誤りが発生したことを検出すると、
〈2〉のように、これらのシンボルの再送を要求する。
次に、基地局は、
〈3〉のように、データ2A、データ4Aを再送する。
すると、端末は、〈1〉のときに得られ、蓄積されているチャネル推定値、ベースバンド信号と、再送されたデータ2Aとを用い、蓄積されているベースバンド信号からデータ2Aの変調信号をキャンセルし、キャンセル後の信号からデータ2Bを復調する。同様に、蓄積されているチャネル推定値、ベースバンド信号と、再送されたデータ4Aとを用い、蓄積されているベースバンド信号からデータ4Aの変調信号をキャンセルし、キャンセル後の信号からデータ4Bを復調する。
それでもまだデータ2Bに誤りが発生したことを検出すると、端末は、
〈4〉のように、データ2Bの再送を要求する。
すると、基地局は、
〈5〉のように、データ2Bを送信する。
端末は、データ2Bを受信し、誤りが発生していないことを確認すると、
〈6〉のように再送の要求がないことを基地局に通知する。
そして、基地局は、再送動作から開放され、
〈7〉のように新しいデータ、データ5A、データ5B、データ6A、データ6B、データ7A、データ7B、データ8A、データ8Bを送信する。
このような動作が繰り返される。
本実施の形態のように、複数のフレームごとに再送を要求すると、実施の形態15のように1フレームごとに再送要求する場合と比較し、端末が再送要求を送信する回数が減るため、データの伝送効率が向上する。
(実施の形態17)
この実施の形態では、実施の形態15、実施の形態16のような再送方法をとるにあたって、さらにその再送データの送り方を工夫することにより、一段と再送による受信品質を向上させる方法を提案する。具体的には、実施の形態15や実施の形態16に、時空間ブロック符号やCycled Delay Diversityを適用する。
先ず、本実施の形態に至った過程について説明する。再送していない場合、基地局のマルチアンテナ送信装置は、2つのアンテナから異なる変調信号である変調信号Aと変調信号Bを送信していることになる。したがって、再送するデータについても、2つのアンテナを有効に活用する方が、1つのアンテナのみを用いる場合よりも、システムとして安定することになる。本実施の形態では、この点に着目して、再送データを図84に示した時空間符号やCyclic Delay Diversityなどのダイバーシチゲインが得られる送信方法で送信する。これにより、受信側で品質の良い再送データを得ることができるので、変調信号A、Bを復調したときの誤り率特性を一段と向上させることができる。
時空間符号の構成については既に説明したので、ここでは、Cycled Delay Diversityについて図92、図77を用いて説明する。
図77は、12シンボルを用いてCycled Delay Diversityを行ったときのフレーム構成例を示している。図92のアンテナAN1で送信する信号が図77の送信信号Aであり、図92のアンテナAN2で送信する信号が図77の送信信号Bである。そして、送信信号Aについては、時間i+1,i+2,・・・,i+11,i+12において、それぞれ、S1,S2,・・・S11,S12が送信される。送信信号Bは、送信信号Aに対してある時間分シフトしたフレーム構成とされる。ここでは、時間i+1,i+2,・・・,i+11,i+12において、それぞれ、S7、S8,・・・,S5,S6が送信される。このようなフレーム構成をとると、受信装置では、受信信号を等化することでダイバーシチゲインを得ることができるので、信号S1〜S12の受信品質が向上し、データの誤り率特性が向上する。
図78に、これを実現するためのマルチアンテナ送信装置の構成例を示す。図70との対応部分に同一符号を付して示す図78において、マルチアンテナ送信装置7700は、符号化データS1Aが変調部202Aに加えて変調部202Bにも入力されていると共に符号化データS1Bが変調部202Bに加えて変調部202Aにも入力されている点を除いて、図70のマルチアンテナ送信装置7000と同様の構成でなる。
図71及び図76を用いて、本実施の形態による再送動作について説明する。
変調部202A、202Bは、例えば図71のデータ1A、データ1Bのように再送データでないデータを送信するときは、実施の形態15のときと同様に動作する。これに対して、例えば図71の〈5〉のようにデータ2Aを再送するときは、変調部202A、変調部202Bによって、符号化データS1A(すなわちデータ2A)を、時空間符号やCyclic Delay Diversityの規則に従って変調する。同様に、図71の〈9〉のようにデータ3Bを再送するときは、変調部202A、変調部202Bによって、符号化データS1B(すなわちデータ3B)を、時空間符号やCyclic Delay Diversityの規則に従って変調する。
因みに、このような送信するマルチアンテナ受信装置の構成としては、例えば図72のようなものを用いればよい。但し、再送情報検波部7304では、時空間符号やCycled Delay Diversityの規則に従って復調するようにする。その他の動作については、実施の形態15や実施の形態16で説明したのと同様である。
かくして本実施の形態によれば、再送を行うにあたって、変調信号A、変調信号B両方のデータを再送するのではなく一方の変調信号のデータのみを再送するのに加えて、再送を時空間符号やCyclic Delay Diversity等のダイバーシチゲインを得ることができる送信方法によって行うようにしたことにより、フレームエラーが発生したデータを、再生できる可能性を一段と高めることができる。
なおこの実施の形態では、スペクトル拡散通信方式に用いた例を説明したがこれに限ったものではなく、例えばスペクトル拡散通信方式でないシングルキャリア方式やOFDM方式に適用することもできる。OFDM方式に適用した場合には、時空間符号やCycled Delay Diversityを、時間軸方向以外に周波数軸方向に展開して実現することもできる。
(実施の形態18)
この実施の形態では、例えば図11、図17に示す信号処理部の軟判定部1101、1705において行うMLD(Maximum Likelihood Detection)の仕方を工夫することにより、仮判定の精度を向上させ、一段と誤り率特性の向上した受信ディジタルデータを得ることができるマルチアンテナ受信装置及び方法を提案する。
MLDによる検波では、推定したチャネル変動h11,h12、h21、h22を用いて作成した全ての候補信号点と、受信信号R1−2、R2−2との2乗ユークリッド距離が最小となるものを送信信号として判定する。
MLDによる検波は、逆行列演算を用いるICD(Inverse Channel Detection)やMMSE(Minimum Mean Square Error)等の検波方法の中で最も良好な受信品質(誤り率特性)を得ることができるが、信号点距離が一様でなくなるため、ICDを用いた場合と同様の軟判定復号は行えない。
そこで、硬判定後のハミング距離に対し、最小2乗ユークリッド距離Umin 2とその次に小さな2乗ユークリッド距離Umin2 2の差を重み付けすることによって、擬似的な軟判定復号を行うことによりBER特性を改善できる(この実施の形態ではこの検波・復号方法をMLD−H(MLD-Hard Decision Decoding)と呼ぶ)。
チャネルA、BともにQPSK変調を用いる場合の4つのハミング距離をそれぞれd
H[0,0],d
H[0,1],d
H[1,0],d
H[1,1]と定義すると、MLD−H復号法のチャネルA、Bのそれぞれのブランチメトリックmet Tx
a[i,j],met Tx
b[i,j]は、次式のように定義される。
MIMOシステムにおけるMLD−H復号法は(5)式、(6)式に基づいて行われ、ブランチメトリックの和が最小となるパスが選択される。選択されたパスに基づき受信ディジタルデータが得られる。
MLD−H復号法はハミング距離を用いて硬判定復号するため、ユークリッド距離を用いて軟判定復号する場合に比べて符号化利得が小さくなってしまうという欠点がある。一般に、軟判定復号は硬判定復号よりも符号化利得が大きいことが知られている。
これを考慮して、本実施の形態においては、MLDによる検波を用いる場合における軟判定復号方法として、候補信号点を送信ビット毎に2つの集合に分類し、各集合の点と受信信号点との最小2乗ユークリッド距離を用いて軟判定復号するMLD−S(MLD-Soft Decision Decoding)復号法を提案する。
具体的に説明する。図79は、QPSK変調した送信信号をMLD−S復号法を用いて復号する場合を示す。チャネルAで送信した2ビットa0,a1のうちa0=0とa0=1に対応する最小2乗ユークリッド距離を求める。
図79に示すように、42=16点の候補信号点はa0=0、a0=1に対応する8点ずつの集合に分類できる。各集合において8つの候補信号点と受信信号点との最小2乗ユークリッド距離Umin(a0=0) 2、Umin(a0=1) 2を計算する。このような分類及び計算をチャネルAで送信したもう1つのビットa1、チャネルBで送信した2ビットb0、b1に対しても同様に行い、これらの最小2乗ユークリッド距離を用いて軟判定復号を行う。
チャネルA、Bのそれぞれのブランチメトリックmet Tx
a[i,j],met Tx
b[i,j]は、次式のように定義される。
ここで(7)式におけるd
S[i,j]は次式のように定義されるものである。
また(8)式におけるd
S[i,j]は次式のように定義されるものである。
本実施の形態では、MIMOシステムにおけるMLD−S復号を、(7)式〜(10)式に基づいて行い、ブランチメトリックの和が最小となるパスを選択する。そして選択したパスに基づき受信ディジタルデータを得る。
かくして本実施の形態によれば、仮判定時にMLDによる検波を用いるにあたって、候補信号点を送信ビット毎に2つ(複数)の集合に分類し、各集合の点と受信信号点との最小2乗ユークリッド距離を用いて軟判定復号するようにしたことにより、符号化利得の減少を抑制してMLDを行うことができるようになるため、仮判定時の誤り率特性を向上させることができるようになる。この結果、一段と誤り率特性の良い受信ディジタルデータを得ることができる。
なおこの実施の形態では、2つに分類した集合の中の最小2乗ユークリッド距離のみを用いてMLD−S復号を行う場合について説明したが、2番目に小さな2乗ユークリッド距離を用いるなど、複数の2乗ユークリッド距離を用いてMLD−S復号を行うようにしてもよい。
また、この実施の形態ではQPSK変調を用いて説明を行ったが、変調方式はBPSK、16QAM、64QAM等、他の変調方式でも同様に実施できる。
また本実施の形態で提案した復号方法は、反復復号を行う装置に限らず、単独で実施した場合も上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態19)
本実施の形態では、実施の形態9で説明した特定のシンボル(STBCシンボルあるいは図41、図42のような特殊シンボル)を規則的なタイミングで挿入するにあたって、再送要求に応じて、特定のシンボルを挿入する間隔を変更することを提案する。
本実施の形態の端末(再送要求装置)の概略構成は図68のようになっており、端末が送信する変調信号のフレーム構成は図69のようになっており、基地局(データを再送する装置)の概略構成は図70のようになっている。なお、図68、図69及び図70については、実施の形態15で既に説明したので、重複する説明は省略し、ここでは本実施の形態に特有の構成のみ説明する。
本実施の形態においては、図70の符号化部201A、201B、変調部202A、202Bが、フレーム構成信号S10を入力とし、図80のフレームの切り替え規則に基づいてフレーム構成を変更し、再送を行う。
図80のフレーム構成について詳しく説明する。制御情報シンボル8901はフレーム構成の情報などを伝送するためのシンボルである。チャネル推定シンボル8902は受信側でフェージング等によるそれぞれのチャネル変動を推定するためのシンボルである。データシンボル8903は各送信ディジタル信号TA、TBに基づいて形成されるものであり、データを送信するシンボルである。同時刻の変調信号Aのデータシンボルと変調信号Bのデータシンボルは、異なるアンテナから送信される。
CRCシンボル8904は受信側で変調信号A、Bのデータシンボルに誤りがあったか否かを検査するためのシンボルである。特定のシンボル8905は、実施の形態9で説明したような特定のシンボル(STBCシンボルあるいは図41、図42のような特殊シンボル)である。
本実施の形態では、図80の(A)、(B)、(C)に示すように、特定のシンボルの挿入間隔が異なる送信フレームを用いる。図80(A)は特定のシンボルを挿入していないフレーム構成を示し、図80(B)は特定のシンボルを22シンボル間隔で挿入するフレーム構成を示し、図80(C)は特定のシンボルを16シンボル間隔で挿入するフレーム構成を示す。本実施の形態では、図80(A)、(B)、(C)のうちのいずれかのフレーム構成を選択的に用いて送信を行う。例えば、端末からの要求(受信電界強度や誤り率などの情報)に応じて、図80(A)(B)(C)の中のいずれか一つを選択することで、特定のシンボルの挿入間隔を変更する方法が考えられる。以下では、特に、再送時のフレーム構成の変更方法について詳しく説明する。
図81は、本実施の形態における基地局と端末の送信信号の流れを示している。なお、図81では、図は簡略化しているが、基地局が送信する信号は、実際にはデータシンボルに加えて制御情報、CRCシンボル、特定のシンボル(STBCシンボルまたは図41、図42のような特殊シンボル)などから構成されたフレーム単位の信号となっている。
図81において、<1>のように、基地局は、変調信号Aでデータ1Aを、変調信号Bでデータ1Bを、図80(A)のように特定のシンボルを挿入しないフレーム構成で送信する。端末は、これを誤りなく受信すると、<2>のように再送要求を行わない。
次に、<3>のように、基地局は、変調信号Aでデータ2Aを、変調信号Bでデータ2Bを、図80(A)のように特定のシンボルを挿入しないフレーム構成で送信する。端末は、これを受信したときに誤りが発生すると、<4>のように再送要求を行う。
すると、基地局は、<5>のように変調信号Aでデータ2Aを、変調信号Bでデータ2Bを、図80(A)のフレーム構成よりも受信品質が向上する図80(B)のように特定のシンボルを挿入したフレーム構成を用いて送信する。端末は、これを誤りなく受信すると、<6>のように再送要求を行わない。
次に、<7>のように、基地局は、変調信号Aでデータ3Aを、変調信号Bでデータ3Bを、図80(A)のように特定のシンボルを挿入しないフレーム構成で送信する。端末は、これを受信したときに誤りが発生すると、<8>のように再送要求を行う。
すると、基地局は、<9>のように変調信号Aでデータ3Aを、変調信号Bでデータ3Bを、図80(A)のフレーム構成よりも受信品質が向上する図80(B)のように特定シンボルを挿入したフレーム構成を用いて送信する。端末は、これを受信したときにもまだ誤りが発生していると、<10>のように再送要求を行う。
すると、基地局は、基地局は、<11>のように変調信号Aでデータ3Aを、変調信号Bでデータ3Bを、図80(A)(B)のフレーム構成よりもさらに受信品質が向上する図80(C)のように特定シンボルの挿入間隔を図80(B)のフレーム構成よりも短くしたフレーム構成を用いて送信する。
図82に、本実施の形態における端末の受信装置の構成例を示す。図82では、図72と同様に動作するものについては図72と同一符号を付した。図82において、図72の受信装置と異なる部分は、図72のように再送の際、記憶された信号を用い信号点削減を行う部分が存在しない点である。制御情報検出部7301は、図80のフレームに含まれる制御情報シンボル8901から送信方法(フレーム構成)に関する情報を抽出し、フレーム構成信号7302を出力する。そして、信号処理部404は、フレーム構成信号7302に基づいて復調処理を施し、ディジタル信号RA、RBを出力する。
かくして本実施の形態によれば、再送回数が増えるほど、受信品質の向上に貢献する特定のシンボルの挿入間隔を短くする(換言すれば挿入回数を増加させる)ことにより、再送回数を減少させることができる。これにより、データの伝送効率を一段と向上させることができる。これは、特定のシンボルの挿入回数を増加させるほど、受信品質が向上するからである(ただし伝送速度は低下する)。すなわち、再送要求があり、変調信号を送信する際、前回に送信した送信方法と同様の送信方法(同様の特定のシンボルの挿入回数)をとると再度誤る可能性があり、誤る可能性を軽減するためには、特定のシンボルの挿入回数を増加させた方が適しているからである。また再送回数が増えるに従って特定のシンボルの挿入回数を増加させる方法は、特定のシンボルの挿入回数を増加させるほどデータの伝送速度は低下するが、例えば変調方式を切り替えた場合(再送回数が増加するほど1シンボルで伝送するデータを少なくする変調方式を用いる場合)と比較し、データの伝送速度の低下は著しく小さい。
なおこの実施の形態では、特定のシンボルの挿入回数を再送回数に応じて変更する方法及び装置について説明したが、特定のシンボルの挿入回数を変更させることは再送時に適用する場合に限らない。例えば端末からの要求などに応じて、特定のシンボルの挿入回数を変更するようにしても、実施の形態と同様に、受信品質の向上とデータ伝送速度の向上を図ることができる。
(実施例1)
この実施例では、これまでの実施の形態、例えば実施の形態6、実施の形態7で説明した、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを各変調信号間で異なるようにするマルチアンテナ送信装置に関する一つの実施例を説明する。
図83は、実施の形態6で説明した図23において、符号化部、インターリーバを1つとする場合のマルチアンテナ送信装置の構成を示す。
マルチアンテナ送信装置7900は、図23から符号化部201B、インターリーバ2301Bを除去したことを除いて、実施の形態6で説明した図23のマルチアンテナ送信装置2300と同様の構成である。よって、実施の形態6で説明した動作と同様に動作する部分については説明を省略する。
本実施例では、符号化部、インターリーバが1つずつである場合において、実施の形態6で説明した、異なるインターリーブパターンを用いる受信品質向上を行う方法を説明する。
インターリーバ2301Aは、符号化されたディジタル信号S1Aを入力とし、順番の入れ替えを行い、インターリーブ後のディジタル信号S10A、S10Bを変調部202A、202Bに送出する。
このように送信装置側でインターリーブ処理を行うと、図23の場合と同様に、受信側でデインターリーブ処理を行う必要がある。この場合の受信装置の構成例を、図84に示す。図84の構成例は、実施の形態6で説明した図24の信号処理部2400に対応するものである。図24と異なる点は、デインターリーバが2401A、2403Aのみ、インターリーバが2402A、2405Aのみ、軟判定部が503、512のみとなっている点である。ここで、インターリーバ2401A、2403A、インターリーバ2402A、2405A、軟判定部503、512はそれぞれ、図84中では別に示したものの同様に動作する部分であるため、実際の装置では1つずつ装備すればよい。
以下に本実施例の動作を詳しく述べる。また変調方式としてBPSK変調を用いて説明を行う。
マルチアンテナ送信装置7900のインタ−リーバ2301Aは、例えば12ビットが入力されたとすると、これをインターリーブした後にチャネルA、Bに各6ビットずつに配置する。そのときの様子を図85−1、図85−2に示す。これらの図において、#1、#2、・・・、#12はインターリーブ前のデータの順番を示している。そして、#1から#6は、チャネルAのシンボルであり、#7から#12はチャネルBのシンボルである。
マルチアンテナ送信装置7900は、図85−1(A)に示すような入力データに対して、前半の6シンボルの#1から#6でインターリーブを施し、後半の6シンボル#7から#12でインターリーブを施す。そして、前半6シンボルをチャネルAのシンボルとし、後半6シンボルをチャネルBのシンボルとする。
このとき、マルチアンテナ送信装置7900は、チャネルAのデータの順番の入れ替えと、チャネルBのデータの順番の入れ替えを異なるようにする。このことは、図85−1(B)に示すインターリーブ後のデータに示す、チャネルAのシンボルであるA1からA6の並び方と、チャネルBのシンボルであるB1からB6の並び方が異なることからも明白である。但し、図85−1(B)で示したインターリーブパターンは一例であって、ここで重要なのは各チャネルでインターリーブパターンを異なるようにしたことである。
このように、図85−1(B)のように、時間軸方向に互いに並び順の異なるチャネルA、チャネルBの送信フレーム構成が形成される。そして図85−1(C)に示すように、例えば、A5とB1のシンボルが同時刻に異なるアンテナから送信され、同様にA3とB5のシンボルが同時刻に異なるアンテナから送信される。
インタ−リーバ2301Aは、こうようにして形成した各チャネルA、Bについてのインターリーブ後のディジタル信号S10A、S10Bを変調部202A、202Bに送出する。変調部202Aでは、S10Aに基づき変調信号を生成し、送信アンテナAN1から送信する。同様に、変調部202Bでは、S10Bに基づき変調信号を生成し、送信アンテナAN2から送信する。
受信側の信号処理部8000では、分離部501によって分離された送信ディジタル信号の推定ベースバンド信号(チャネルA、B両方)を、デインターリーバ2401Aによって元の配列に戻した後に軟判定部503へ出力する。
図85−1(D)は軟判定部503によって復号された後のシンボル毎の正誤を示したものである。実施の形態6で説明したように、畳み込み符号などを用いたときは、連続して誤りが発生するのが一般的である。
信号処理部8000は、図85−1(D)に示す結果を用いて反復復号する。
図85−1(E)は、信号処理部8000において、図85−1(D)の復号結果をもとに、再度インターリーブを施したレプリカ信号(信号点削減を行うために推定した信号)の様子を示したものであり、信号処理部8000のインターリーバ2402Aの出力に相当する。図85−1(E)においては、前から6シンボルがチャネルAで送信したデータのレプリカ、前から7シンボル目から12シンボル目までがチャネルBで送信したデータのレプリカとなる。
図85−2(F)は、他方のチャネル信号のレプリカを用いて自変調信号の候補信号点を削減した状態、つまり信号処理部8000のデインターリーバ2403Aに入力されるときの状態を示す。図85−2(G)は、デインターリーバ2403Aの出力、つまり軟判定部512に入力されるときの状態を示す。
図85−2(G)からも分かるように、誤った信号点選択が離散的に生じるようになる。これにより、軟判定部512によって変調信号A、Bの復号(例えばビタビ復号)を行うと、図85−2(H)に示すように、実施の形態6で説明した、変調信号A、Bのインターリーブパターンを異なるようにした場合と同様に、効果的に受信品質が向上する。
なお、本実施例で説明した例は、実施の形態7で説明したOFDMを例とするマルチキャリア通信に適用することもできる。この場合、図32で説明したマルチアンテナ送信装置2900から、符号化部201Bとインターリーバ2301Bを除いた構成とすればよい。例えば図86に示すように構成すればよい。なお図86では、図32との対応部分には同一符号を付して示した。図86のマルチアンテナ送信装置8200が図32のマルチアンテナ送信装置2900と異なる点は、符号化部が1つであることとインターリーバが1つであることである。
因みに、図86の構成を採った場合、時間軸方向に符号化してもよく、周波数軸方向に符号化してもよい。すなわち、図85−1のようなデータの順番の並び替えを行って、あるサブキャリアの時間軸方向にチャネルA、チャネルBのデータを並べるようにしてもよいし(時間軸方向の符号化)、図85−1と同様のデータの並べ替えを周波数軸方向に(つまりサブキャリア方向に亘って)行うようにしてもよい(周波数軸方向の符号化)。
ところで、1つの符号化部、1つのインターリーブを有する構成においては、原理的に考えた場合、インターリーブ部においてランダムインターリーブを行っても、良好な受信品質を与える可能性がある。しかし、例えば変調信号Aにのみ誤りが多く発生するといったように、誤りが一方の変調信号に偏る可能性がある。したがって、誤りが一方の変調信号に偏らないようなインターリーブパターンを用いることが技術的に重要となる。その一例を示したものが、図85−1である。
図85−1の適用例として、図87のように、図85−1のフレームを複数回繰り返すことで1フレームを構成する方法が考えられる。図87において、A1、A2、A3は図85−1のチャネルAのシンボル群(6シンボルで構成されたシンボル)に相当し、B1、B2、B3は図85−1のチャネルBのシンボル群(6シンボルで構成されたシンボル)に相当し、A1、A2、A3は図83のアンテナAN1から送信され、B1、B2、B3は図83のアンテナAN2から送信される。また、A1、A2、A3が異なるインターリーブパターン、B1、B2、B3が異なるインターリーブパターンでもよい。
重要な点は、複数シンボルで構成されたシンボル群単位でインターリーブされ、シンボル群を構成しているシンボルにおいてもインターリーブされている構成であればよい。
したがって、図88のような順番でもよい。このとき、A1、B2、A3は図83のアンテナAN1から送信され、B3、A2、B1は図83のアンテナAN2から送信される。
また、A1、A2、A3にまたがってインターリーブを施し、B1、B2、B3にまたがってインターリーブを施すようにしてもよい。例えば、A1、A2、A3がそれぞれ6シンボルで構成されていたとすると、A1、A2、A3で計18シンボルとなる。そして、この18シンボル内でインターリーブを施し、A1、A2、A3の3つのシンボル群に分割するようにしてもよい。さらに、必ずしもA1、A2、A3が同一のシンボル数でなくてもよい。
好適なインターリーブの仕方についてまとめると、以下のようになる。ここでは、これまでシンボル群と呼んでいたものを1シンボルとした場合について述べる。先ず、1系統のデータがチャネルA、チャネルBに交互に振り分けられる。その様子を、図89に示す。図89(A)は、元のデータの順番を示しており、データの順番に従って#1から#24の名前を付した。そして、これを、チャネルA、チャネルBに対し交互に割り当て送信するものとする。したがって、“データ#1”は、チャネルAの1番目に割り当てられることから、図89(B)に示すように“データ#A1”と名付け、“データ#2”は、チャネルBの1番目に割り当てられることから、図89(B)に示すように“データ#B1”と名付けた。同様に、“データ#3”は、チャネルAの2番目に割り当てられることから、“データ#A2”と名付け、“データ#4”は、チャネルBの2番目に割り当てられることから、“データ#B2”と名付けた。以降同様に、チャネルAに順次割り当てられるデータをデータ#A3からデータ#A12と名付け、チャネルBに順次割り当てられるデータをデータ#B3からデータ#B12と名付けた。
図89(B)のようにチャネルA、Bに割り当てたデータのインターリーブの例を、図90(A)〜(D)に示す。図90では、横軸を周波数(OFDMにおけるサブキャリア)としており、チャネルA、Bの信号がキャリア1〜12の12個のサブキャリアから同時刻に異なるアンテナ(例えば図86のアンテナAN1、AN2)から送信されるものとする。
結果から述べると、図90(A)は受信品質の改善効果が小さいインターリーブの例であり、図90(B)、(C)、(D)は受信品質の改善効果が大きいインターリーブの例である。
先ず、図90(A)のインターリーブについて説明する。チャネルA、チャネルBともデータを3キャリアおきに規則的に配列するものとする(ただし、3キャリアおきに規則的に配置するとは、以下の処理を意味する。すなわち、先ずキャリア1、キャリア4、キャリア7、キャリア10と配置した場合、次は、キャリア2に戻り、続いてキャリア5、キャリア8、キャリア11と配置する。次に、キャリア3に戻り、続いてキャリア6、キャリア9、キャリア12に配置する。次に、キャリア1に戻り、続いてキャリア4、キャリア7、キャリア10と配置する。)。この規則に従いチャネルA、チャネルBにシンボルを割り当て、受信側で、チャネルAをデインターリーブし、それを復号した結果を用いて、チャネルBの信号点削減を行った場合について考える。チャネルAの復号結果にデータ#A6、データ#A7、データ#A8とバースト的に誤りが発生したとすると、チャネルBにおいては、データ#B9、データ#B10、データ#B11で信号点の削減誤りがバースト的に発生してしまう。この結果、インターリーブによる受信品質の改善効果が小さくなってしまう。
次に、図90(B)のインターリーブについて説明する。図90(B)のインターリーブの仕方は、要するに、チャネルAとチャネルBとで、シンボルのインターリーブパターン自身を異なるようにする方法である。これにより、チャネルAの復号によるバースト誤りに起因する、チャネルBのバースト的な信号点削減の誤りを防ぐことができようになる。この結果、チャネルA、チャネルB共に受信品質を大きく改善することができるようになる。
次に、図90(C)のインターリーブについて説明する。図90(C)では、チャネルAはデータを3キャリアおきに規則的に配列し、チャネルBはデータを2キャリアおきに規則的に配列する(ただし、2キャリアおきに規則的に配置するとは、以下の処理を意味する。すなわち、先ずキャリア1、キャリア3、キャリア5、キャリア7、キャリア9、キャリア11と配置した場合、次は、キャリア2に戻り、続いてキャリア4、キャリア6、キャリア8、キャリア10、キャリア12と配置する。次に、キャリア1に戻り、続いてキャリア3、キャリア5、キャリア7、キャリア9、キャリア11と配置するというような規則に従うものとする)。
このように、チャネルAはデータをxキャリアおきに規則的に配列し、チャネルBはy(x≠y)キャリアおきに規則的に配列することにより、チャネルAの復号によるバースト誤りに起因する、チャネルBのバースト的な信号点削減の誤りを防ぐことができる。この結果、チャネルA、チャネルB共に受信品質を大きく改善することができるようになる。
なお、図90(C)のようなインターリーブは、換言すると、チャネルAについてx(図ではx=2)シンボル毎のブロックインターリーブを施すと共にチャネルBについてはy(図ではy=3:x≠y)シンボル毎のブロックインターリーブを施すことに相当する。これにより、バースト的な信号点削減の誤りを有効に低減することができる。因みに、既に説明した図28おいては、チャネルA(変調信号A)については5シンボル毎のブロックインターリーブを施すと共にチャネルB(変調信号B)については8シンボル毎のブロックインターリーブを施していると言うことができる。また図45においては、100シンボル毎のインターリーブを施しているということができる。
ここで、上記xと上記y(x≠y)のさらに好適な選び方として、xとyの少なくともいずれか一方を素数とすることを提案する。これにより、チャネルAの信号とチャネルBの信号との間で一段とランダムインターリーブに近いインターリーブを実現できるようになり、バースト誤りを一段と低減できるようになる。
例えばx=31(素数)、y=30、又はx=30、y=31(素数)とする。このときブロックサイズは31×30=930となる。そして、チャネルAでは31シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ930のインターリーブパターンを用いてインターリーブを行う。チャネルBでは30シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ930のインターリーブパターンを用いてインターリーブを行う。すると、チャネルAとチャネルBとの間のインターリーブパターンの周期は31×30となる。これに対して、930より大きい、1000のブロックサイズとなるインターリーブを考える。例えばx=25、y=40、又はx=40、y=25とする。そして、チャネルAでは25シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ1000(=25×40)のインターリーブパターンでインターリーブを行うとする。そして、チャネルBでは40シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ1000(=40×25)のインターリーブパターンでインターリーブを行うとする。すると、チャネルAとチャネルBのインターリーブパターンの周期はxとyの最小公倍数である200となり、25×40よりも小さくなってしまう。この結果、x、yのいずれかを素数とする場合と比較して、チャネルAの信号とチャネルBの信号との間のランダム性が低下してしまう。
この考え方は、チャネル数が3以上の場合にも適用できる。一例として、送信アンテナ数3、3チャネル送信の場合について説明する。ここでは、チャネルAについてxシンボル毎、チャネルBについてyシンボル毎、チャネルCについてzシンボル毎のブロックインターリーブを施す場合を考える。この場合、x≠y≠zで、少なくとも2つの値を素数にするとよい。つまり、x、yが素数である場合、ブロックサイズはそれらの最小公倍数であるxyzとなる。そして、チャネルAではxシンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズxyzのインターリーブパターンでインターリーブを行う。チャネルBでは、yシンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズxyzのインターリーブパターンでインターリーブを行う。チャネルCではzシンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズxyzのインターリーブパターンでインターリーブを行う。すると、チャネルAとチャネルBとチャネルCのインターリーブパターンの周期はxyzとなる。このようにすることで、インターリーブパターンの周期を最大とすることができるため、ランダム性を確保することができる。さらに、アンテナ数を増加させ、送信チャネル数を増加させたきも同様に考えることができる。
なおランダム性を向上させるにあたっては、x、yのうち少なくてもいずれか一方を素数にする場合に限らず、x、yの最小公倍数=ブロックサイズとなるようにすることが重要である。例えばx=16、y=27としてもよい。このときブロックサイズは16×27=432となる。そして、チャネルAでは16シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ432のインターリーブパターンを用いてインターリーブを行う。チャネルBでは27シンボル毎のブロックインターリーバによってブロックサイズ432のインターリーブパターンを用いてインターリーブを行う。すると、チャネルAとチャネルBとの間のインターリーブパターンの周期は16×27となる。
但し、x、yのうち少なくともいずれか一つを素数にすると、必ずx×yがxとyの最小公倍数となるので、インターリーバの設計を簡単化でき好適である。
なおここで提案した素数を用いたインターリーブ処理は、この実施例での適用例に限ったものではなく、例えば実施の形態6の「(i)本実施の形態のように各変調信号のシンボルを構成するデータの並び自身を異なるようにする方法」の項で説明したような実施の形態に適用した場合においても、ブロックインターリーブを用いてチャネル間で簡単にランダム性の高いインターリーブ処理を行う方法として有効である。つまり、本明細書に記載した全ての方法に適用することができる。
さらに図90(C)のインターリーブでは、チャネルBのブロックインターリーブはチャネルAのブロックインターリーブに対して周波数方向にオフセットさせるようになっている。これにより、一段とバースト誤りを低減できるようになる。
因みに、上記x、yとしては、大きな値を選定するほど、バースト誤りが発生する確率を低減することができる。
次に、図90(D)のインターリーブについて説明する。図90(D)では、チャネルA、チャネルB共にデータを3キャリアおきに規則的に配列するが、チャネルAは、周波数の高い方から低い方に、チャネルBは周波数の低い方から高い方に配列する。これにより、チャネルAの復号によるバースト誤りに起因する、チャネルBのバースト的な信号点削減の誤りを防ぐことができる。この結果、チャネルA、チャネルB共に受信品質を大きく改善することができるようになる。
図90(B)、図90(C)、図90(D)のような処理は、例えば図83のような構成のマルチアンテナ送信装置7900で実現してもよく、図91のような構成のマルチアンテナ送信装置8400で実現してもよい。図91では、図83との対応部分に同一符号を付して示した。図83のマルチアンテナ送信装置7900と、図91のマルチアンテナ送信装置8400との違いは、図90(B)、図90(C)、図90(D)のインターリーブ処理を1つのインターリーバ2301Aで行うか、各チャネルに対応して設けたインターリーバ8401A、8401Bかの違いである。具体的にマルチアンテナ送信装置8400においては、符号化したデータをシリアルパラレル変換してチャネルAのインターリーバ8401A、チャネルBのインターリーバ8401Bに振り分ける。そして、チャネルAのインターリーバ8401A、チャネルBのインターリーバ8401Bでは、上述のようなインターリーブを施す。
なお送信装置の構成は、図86や図91の構成に限ったものではなく、図90(B)、図90(C)、図90(D)に示すインターリーブ処理を実現できるものであればどのような構成を用いてもよい。また受信側の構成としては、インターリーブに対応するデインターリーブ処理を行う部分と、上述した信号点削減を行う部分を有する構成を備えればどのような構成を用いてもよい。
また、図90(B)、図90(C)、図90(D)や、その他の上記実施の形態で例にとって説明した好適なインターリーブの仕方は、説明を簡単化するために、周波数軸又は時間軸のいずれかの方向にインターリーブを施す場合について説明したが、周波数軸方向のインターリーブを例にして説明したものを時間軸方向に適用しても同様に実施することができ、同様に時間軸方向のインターリーブを例に説明したものを周波数軸方向に適用しても同様に実施することができる。また、上記説明は、本発明の特徴を説明するための一例であって、インターリーブ、デインターリーブの方法はこれに限ったものではなく、上記説明の特徴部分を用いれば同様の効果を得ることができる。
(実施例2)
実施例1では、インターリーバによって、各アンテナから送信する信号のインターリーブパターンを異なるようにした例を挙げたが、本実施例では、インターリーバでは各アンテナから送信する信号に対して同一のインターリーブパターンでインターリーブ処理し、サブキャリアへの割り当て時に各アンテナ間で異なるシンボル割り当てを行うことにより、実施例1と同様の効果を得る例について説明する。
図92に、本実施例におけるマルチアンテナ送信装置8300の構成を示す。図92において、図86と同様に動作するものについては同一符号を付した。マルチアンテナ送信装置8300がマルチアンテナ送信装置8200と異なる点は、サブキャリアへの信号割り当て部8301A、8301Bが設けられていることである。
ここで信号割り当て部8301Aと8301Bとでは、入力したベースバンド信号S2A、S2Bの出力順序が互いに異なるようになっており、これによりアンテナAN1から送信されるOFDM信号とアンテナAN2から送信されるOFDM信号とでサブキャリアへのシンボル配置の順序を異ならせることができるようになされている。この結果、マルチアンテナ送信装置8300においては、実施例1のインターリーバ2301Aにより各チャネル(アンテナ)間で異なるインターリーブパターンの信号を形成したのと同様の機能を、サブキャリアへの信号割り当て部8301A、8301Bによって実現できるようになっている。
次に図93を用いて、マルチアンテナ送信装置8300の動作を説明する。図93(A)のように、インターリーブ前のデータは、チャネルA、チャネルBで一つのデータ系列を構成している。ここでは、データ60個で一つのデータ系列を構成しているものとする。そして、前半の30個をチャネルAのシンボル(#1〜#30)、後半の30個をチャネルBのシンボル(#31〜#60)とする。#1のデータはチャネルAの1番目のシンボルなので、図中ではA1という番号を付けて示した。同様にしてチャネルAのシンボルに対して順番にA30までの番号を付けて示した。また#31のデータはチャネルBの1番目のシンボルなので、図中ではB1という番号を付けて示した。同様にしてチャネルBのシンボルに対してB30までの番号を付けて示した。
インターリーバ2301Aは、図93(A)のようなデータを入力すると、図93(B)に示すようにデータA1からデータA30までのデータについて10個単位でブロックを形成し、これを縦から順に読み出すことで、データの順番を並び替える。これにより、インターリーバ2301Aは、インターリーブ後のディジタル信号S10Aとして、図93(D)に示すようにA1、A11、A21、A2、A12、A22、・・・、A10、A20、A30の順番のデータを出力する。同様に、インターリーバ2301Aは、図93(C)に示すようにデータB1からデータB30までのデータについて10個単位でブロックを形成し、これを縦から順に読み出すことで、データの順番を並び替える。これにより、インターリーバ2301Aは、インターリーブ後のディジタル信号S10Bとして、図93(E)に示すようにB1、B11、B21、B2、B12、B22、・・・、B10、B20、B30の順番のデータを出力する。
ここで上述した実施例1との違いは、実施例1ではインターリーバ2301Aによって、チャネルAのデータの順番の入れ替えと、チャネルBのデータの順番の入れ替えを異なるようにしたが、本実施例ではチャネルAとチャネルBで同一のインターリーブパターンを用いている点である。
サブキャリアへの信号割り当て部8301Aは、図93(D)に示すインターリーブ後のチャネルAのデータを入力すると、各データA1〜A30が図93(F)に示すようなサブキャリアに配置されるような出力データ8202Aを形成する。一方、サブキャリアへの信号割り当て部8301Bは、図93(E)に示すインターリーブ後のチャネルBのデータを入力すると、各データB1〜B30が図93(G)に示すようなサブキャリアに配置されるような出力データ8202Bを形成する。図93(F)、(G)に示す例では、チャネルBのデータのサブキャリアへの配置が、サブキャリアAのデータのサブキャリアへの配置に対して、3シンボルだけオフセットされている。これは、換言すれば、チャネルAのデータ(変調信号A)とチャネルBのデータ(変調信号B)とを、周波数方向に異なるインターリーブパターンでインターリーブしていることに相当する。
受信側では、このようにインターリーブされて送信された信号に対して、図94に示すように、デインターリーブ処理を施し、軟判定復号処理を行う。すると、実施の形態6で説明したように、畳み込み符号などを用いたときは、連続して誤りが発生する。
しかし、図84の信号処理部8000により、反復復号を行うと、実施の形態6及び実施例1で説明したように、チャネル間でインターリーブパターンが異なるため、実施例1で説明した図85−2(G)のように、誤った信号点選択が離散的に生じる。これにより、軟判定部512によって各チャネルのデータ(変調信号A、B)を復号すると、図85−2(H)に示したように効果的に受信品質が向上する。
なお本実施例では、チャネルA(変調信号A)とチャネルB(変調信号B)を異なるインターリーブパターンとするにあたって、図93のようにする場合を例にとって説明したが、インターリーブパターンはこれに限らない。要は、サブキャリアへのシンボル配置のパターンをチャネル(アンテナ)間で異なるようにすればよい。
因みに、本実施例と同様の処理を、図86の構成のマルチアンテナ送信装置8200でも実施することができる。この場合には、図86のインターリーバ2301Aを、図92でのサブキャリアへの割り当て部8301A、8301Bの機能を含んだ構成とすればよい。
また実施例1、実施例2では、符号化部、インターリーバが1つずつである場合において、チャネル間で異なるインターリーブパターンの信号を形成して受信品質を向上させる方法を説明したが、インターリーブパターン及びデータの配列の方法は、実施例1、実施例2の方法に限ったものではない。また誤り訂正符号としてLDPCを適用した場合、実施の形態14で説明したように、チャネルAのデータに関してはインターリーブを施さず、チャネルBのデータに関してはインターリーブを施すようにするインターリーブ方法を、一つのインターリーバにより実施する方法についても実施例1、実施例2と同様に実施することができる。
さらに実施例1、実施例2では、チャネル(アンテナ)数が2つの場合について説明したが、これに限らず、チャネル(アンテナ)数が3つ以上の場合でも、各チャネル(アンテナ)間でのインターリーブパターンを異なるようにすれば、上述した場合と同様の効果を得ることができる。これは、チャネル(アンテナ)間でインターリーブパターンを異なるようにした上述した他の実施の形態についても同様である。
(実施例3)
この実施例では、これまでの実施の形態、例えば、実施の形態6、実施の形態7で説明した、各アンテナから送信する変調信号のインターリーブパターンを各変調信号間で異なるようにするマルチアンテナ送信装置、および、その変調信号を受信し復調する受信装置において、受信品質を向上させるために、各変調信号において、同一のデータを送信する例を説明する。
図95に、本実施例におけるマルチアンテナ送信装置の構成例を示す。図95では、図23と同様に動作するものについては図23と同一符号を付した。図95のマルチアンテナ送信装置9000が図23のマルチアンテナ送信装置2300と異なる点は、マルチアンテナ送信装置9000がチャネルAの変調信号(アンテナAN1から送信する変調信号)、チャネルBの変調信号(アンテナAN2から送信する変調信号)を、同一のデータTAを異なるインターリーブパターンを施すことにより形成する点である。
図96に、本実施例のマルチアンテナ送信装置9000が送信する変調信号のフレーム構成を示す。図96(A)は、インターリーブ前のデータ#1、#2、・・・、#11、#12の順番を示している。図96(B)は、マルチアンテナ送信装置9000のインターリーバ2301A、2301Bによってそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブされた後のデータ#1〜#12の順番を示す。インターリーバ2301Aは、図96(B)のチャネルAのようなフレーム構成となるようにインターリーブを施す。一方、インターリーバ2301Bは、図96(B)のチャネルBのようなフレーム構成となるようにインターリーブを施す。
本実施例における受信装置は、例えば図4に示したように構成すればよい。そして、図4の信号処理部404を、図97に示すように構成すればよい。図97では、図24と同様に動作するものについては図24と同一符号を付した。図97の信号処理部9200と図24の信号処理部2400の構成の違いは、図97の信号処理部9200は、図24の信号処理部2400が仮判定のための軟判定部503、506を2つ、主判定のための軟判定部512、518を2つ備えているのに対して、仮判定のための軟判定部503を1つ、主判定のための軟判定部512を1つ備えている点である。
図97のデインターリーバ2401A、2403A、2404Aは、図95のインターリーバ2301Aに対するデインターリーバであり、デインターリーバ2401B、2403B、2404Bは、図95のインターリーバ2301Bに対するデインターリーバである。
信号処理部9200の軟判定部503に入力される信号は、送信ディジタル信号TAの情報を含むチャネルA、チャネルBの2系統による推定ベースバンド信号502、505である。このとき、軟判定部503でブランチメトリック、パスメトリックをもとめ、復号を行うことになるが、推定ベースバンド信号502、505は、全く異なるインターリーブパターンによりインターリーブが施されているので、推定ベースバンド信号502から得られるパスメトリックの品質と推定ベースバンド信号505から得られるパスメトリックの品質は全く異なる。したがって、両者により求まるパスメトリックを利用することで、軟判定の精度が向上し、データの受信品質が向上する。軟判定部512においても同様の効果が得られる。
この結果、データの受信品質が大幅に向上するという効果を得ることができる。
なお本実施例で説明した例は、実施の形態7で説明したOFDMを例とするマルチキャリア通信に適用することもできる。因みに、符号化は、時間軸方向に符号化してもよく、周波数軸方向に符号化してもよい。
また異なるインターリーブパターンの生成方法は、実施の形態6で説明した方法を適用すればよい。また送信アンテナ数2、受信アンテナ数2を例に説明したがこれに限ったものではなく、例えば送信アンテナ数3の場合、送信するデータは3つのアンテナでは同一であるが、異なるインターリーブパターンとすることで、同様に実施することができる。
(実施例4)
ところで、上述した実施例1でも説明したように、チャネルAにおいてxシンボル毎のブロックインターリーブを施し、チャネルBにおいてyシンボルシンボル毎のブロックインターリーブを行うにあたっては、周波数軸方向にシンボルを配置したときの周波数軸における伝搬の相関や、時間軸方向シンボルを配置したときの時間軸における伝搬の相関を考慮すると、できる限りx、yを大きくした方がよいことになる。本実施例では、これを実現するブロックインターリーブ設計方法について説明する。
例えば、チャネルA、チャネルBにおいて、データシンボルとして48のブロックサイズのインターリーブを行うことを考える。48シンボルのブロックサイズにおいて、ブロックサイズ=最小公倍数となるようなチャネルAとチャネルBのインターリーブの一例として、チャネルAでは3シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ48のインターリーブを施し、チャネルBでは16シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ48のインターリーブを施すことが考えられる。しかし、チャネルAについて施す3シンボル毎のブロックインターリーブは、3シンボル毎といった小さい値であるため、伝搬の相関の影響が高くなり、この結果受信品質が劣化し易くなってしまう。
そこで、ブロックサイズ48に、例えば8を加算し、仮想的に48+8=56のブロックサイズとし、このブロックサイズでチャネルA、チャネルBの信号をインターリーブする方法を提案する。ここで、ブロックサイズ48に8を加算し56としたのは、7シンボル毎のブロックインターリーブ、8シンボル毎のブロックインターリーブを、チャネルA、チャネルBに割り当てることで、ブロックサイズ=最小公倍数の条件と、x、yをできるだけ大きい値にするという条件の両方の条件を満たすようにするためである。
以下では、この本実施例での提案方法について詳しく説明する。
図98では、説明上、仮想的にブロックを構成する56のデータに順番を表す番号を付けている。図98(A)は、チャネルA、チャネルBのインターリーブ前の順番を示している。しかし、実際には、データが存在していないものが8個存在する。図98(A)に示したように、チャネルAでは、データ#A2、#A5、#A9、#A13、#A44、#A48、#A52、#A55には、データは存在しないものとする。チャネルBでは、データ#B2、#B5、データ#B9、#B13、#B44、#B48、#B52、#B55には、データは存在しないものとする。
チャネルAでは、データの有無に関わらず、7シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ56のインターリーブを施す。チャネルBでは、データの有無に関わらず、8シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ56のインターリーブを施す。その様子を、図98(B)に示す。
次に、チャネルAにおけるデータの存在しないデータ#A2、#A5、#A9、#A13、#A44、#A48、#A52、#A55を間引く。同様にチャネルBにおけるデータの存在しないデータ#B2、#B5、#B9、#B13、#B44、#B48、#B52、#B55を間引く。間引き後のチャネルA、チャネルBのデータの並びの様子を、図98(C)に示す。
この図98(C)をインターリーブの最終結果とする。これにより、チャネルAとチャネルBのインターリーブのパターンの相関が低くなり、かつ、パターンの周期を長くすることができるため、受信品質が大きく改善することになる。このように、仮想的にブロックサイズ=x、yの最小公倍数とし、かつ、x、yを大きな値とする方法を用いれば、設計の柔軟性を高めることができる。
図99、図100に、このような方法を実施するにあたって実際のインターリーブ処理の一例を示す。図99に、インターリーバのメモリへの送信データ#A1〜#A56の書き込み状態を示す。書き込み時には横方向優先で順次送信データ#A1〜#A56を書き込み、読み出し時には縦方向優先で順次送信データ#A1〜#A56を読み出すことにより、インターリーブが実現される。ただし、この書き込み及び読み出しの順序については、適用するインターリーブパターンによって適宜設定すればよい。
図100に、図99のように送信データ#A1〜#A56が書き込まれたときの送信データ#A1〜#A56とメモリアドレスとの関係を示す。本実施例では、図100に示すように、実際にデータが存在するか否かを示すデータ有無情報を、アドレスに関連付けて設けておく。これにより、メモリからのデータ読み出し時に、データが無いことを示すデータ有無情報(0)に対応するアドレスはスキップすることにより、仮想的にブロックサイズを大きくしたインターリーブ処理を実現できるようになる。
さらに本実施例で説明した間引きを利用したインターリーブ方法の効果について言及する。本実施例のインターリーブ方法は、ブロックインターリーブでありながら、ランダムインターリーブのように、時間軸又は周波数軸における伝搬の相関を排除できるという格別の効果を有するものである。
例えば、ブロックサイズが22のときを考える。このとき、2シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ22のインターリーブ、または11シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ22のインターリーブを用いることができるが、どちらのインターリーブを使用しても、2シンボル毎に相関の高いシンボルが配置されてしまうため、伝搬相関を排除するのは難しい。しかし、上述のインターリーブ方法を利用し、3を加算し、仮想的に25のブロックサイズとし、チャネルA、B共に5シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ25のインターリーブを施し、図98(B)、図98(C)の手順と同様に間引きを行うことで、2シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ22のインターリーブ、または11シンボル毎のインターリーバによってブロックサイズ22のインターリーブよりも伝搬相関を排除したインターリーブを施せるという格別な効果が得られる。このように、本実施例のインターリーブ方法は、インターリーブ単体でも、格別な効果を得ることができる。また本実施例で説明した方法は、本明細書に記載した全ての方法と組み合わせて適用することができる。
(他の実施の形態)
なお上述した実施の形態では、主に、軟判定を行うことによりディジタル信号を得る場合について述べたが、本発明はこれに限らず、硬判定を得ることによりディジタル信号を得る場合についても適用でき、この場合でも少ない演算回数で誤り率特性の良い受信データを得ることができる。
また上述した実施の形態では、分離部501や、軟判定部503、506、1101で仮判定した判定値全てを信号点削減処理に用いるようにした場合について述べたが、一部の仮判定値はそのまま最終的な受信データとして用いるようにしてもよい。例えばそれほど高い受信品質が求められないデータなどは、軟判定部512、518による主判定を行わずにそのまま出力することが考えられる。
さらに上述した実施の形態では、主にスペクトル拡散通信方式を例に説明したが、これに限ったものではなく、例えば、拡散部を有しないシングルキャリア方式、OFDM方式においても同様に実施することができる。シングルキャリア方式の場合、拡散部、逆拡散部を有しない構成となる。マルチキャリア方式とスペクトル拡散通信方式を併用した場合(例えばOFDM−CDMA方式)についても同様に実施することができる。
さらに上述したチャネル(アンテナ)間でのインターリーブパターンを異なるようにして変調信号を送信する方法は、例えば、文献“MIMOチャネルにおける固有ビーム空間分割多重(E−SDM)方式”電子情報通信学会、信学技報RCS2002−53、2002年5月にも記載されているような、送信信号をマルチビーム化して送信するMIMOシステムに適用した場合にも、上述したのと同様の効果を得ることができる。
図101に、このようなMIMOシステムの概略構成を示す。送信側では、変調部8601が送信データ系列を入力し、これを変調することにより複数の送信フレームを形成する。ここで変調部8601は、チャネル(アンテナ)間でのインターリーブパターンを異なるようにして変調信号を形成する。チャネル解析部8602は、伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化チャネルを構成するための複数の送信のチャネルシグネチャベクトルを算出する。ベクトル多重化部8603は、各々の送信フレームに別々のチャネルシグネチャベクトルを掛け合わせて合成し、合成後の信号を送信アレーアンテナ8604に送出する。これにより送信アレーアンテナ8604からマルチビーム化された信号が送信される。
受信側では、チャネル解析部8611が、伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化された送信信号を分離するための複数の受信チャネルシグネチャベクトルを算出する。多重信号分離部8613は、受信アレーアンテナ8612の受信信号を入力し、各々の受信信号に別々のチャネルシグネチャベクトルを掛け合わせることにより、複数の送信フレームが多重された信号を複数の受信信号フレームに分離する。信号処理部8614は、分離された受信信号フレームを復調及び復号することにより受信データを得る。ここで信号処理部8614は、上述したようなデインターリーブ処理や信号点削減処理機能を有する。これにより、上述した実施の形態6や実施例1等と同様に、誤り率特性の良い受信データを得ることができる。
さらに、実施の形態15で説明した再送方法を、図101で示したようなビームフォーミングを行うMIMOシステムに適用すると、ビームフォーミングを行うMIMOシステムにおける再送時の信号品質を高めることができるようになる。すなわち、再送を行うにあたって、前回送信した変調信号よりも送信する変調信号の数を減らしてビームを形成する。例えば1回目に変調信号A、Bのビームを形成して送信した場合、再送時には、変調信号A、B両方からビームを形成して再送するのではなく、一方の変調信号のデータのみからビームを形成して再送するようにする。このようにすると、再送時にはビームの数が減るので、ビーム間干渉を減らすことができ、この結果再送信号の品質を高めることができるようになる。
この場合、再送時のビームの位置を、前回送信時とは変更するようにしてもよい。例えば前回送信時に変調信号Aをビーム1で送信し、変調信号Bをビーム2で送信したときに、変調信号Bに再送要求があったとすると、再送時には、変調信号Bをビーム1で送信する。このようにすると、変調信号Bの再送時の品質を一段と高めることができ好適である。すなわち、変調信号Aに再送要求がなかったということは、ビーム2よりもビーム1の方が品質の良い伝送が可能なビームである可能性が高い。このように、再送時により品質の良い伝送が可能なビームで再送信号を送ることにより、再送信号の品質を一段と高めることができるようになる。
さらに上述した実施の形態では、送信アンテナ数が2で、受信アンテナ数が2の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、送信アンテナ数が3以上の場合や受信アンテナ数が3以上の場合にも同様に実施することができる。
さらにLDPC符号を用いたときの特殊シンボルの挿入方法としては種々の方法を適用できる。例えば畳み込み符号や、ターボ符号を使用したときとは異なり、LDPC符号を使用した場合には、符号化部がインターリーブの機能も有しているため、特殊シンボルを規則的に挿入必要がない。したがって、部分的にかつ連続的に特殊シンボルを挿入してもよいことになる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されずに、種々変更して実施することができる。
本明細書は、2003年11月21日出願の特願2003−391860、2004年1月9日出願の特願2004−3885、2004年3月12日出願の特願2004−71780、2004年5月7日出願の特願2004−139241、2004年5月17日出願の特願2004−146887、2004年6月17日出願の特願2004−180277、2004年11月1日出願の特願2004−318521に基づく。その内容は、全てここに含めておく。