JP2010025129A - ボールねじ - Google Patents

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Abstract

【課題】循環部材の無負荷戻し路からナットの負荷ボール転走溝へ移行するボールを正しく整列させることができるボールねじを提供する。
【解決手段】ナット2の負荷ボール転走溝2aの断面形状を、ボール3の半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状に形成する。循環部材8の無負荷戻し路14の長さ方向の端部の、ナット2の負荷ボール転走溝2aに接続される部分の断面形状を、ナット2の負荷ボール転走溝2aの断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成する。
【選択図】図9

Description

本発明は、ねじ軸の外周面の螺旋状のボール転走溝とナットの内周面の螺旋状の負荷ボール転走溝との間に、転がり運動可能に複数のボールを介在させたボールねじに関する。
ボールねじは、ねじ軸の回転運動をナットの直線運動に変換する機械要素である。ナットに対してねじ軸を相対的に回転させるときの摩擦を低減するために、ねじ軸の外周面のボール転走溝とこれに対向するナットの内周面の負荷ボール転走溝との間には、転がり運動可能に複数のボールが介在される。
ねじ軸とナットとの間を転がるボールを循環させるために、ナットにはリターンパイプ(循環部材)が取り付けられる。リターンパイプには、ナットの螺旋状の負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続する無負荷戻し路が形成される。ねじ軸とナットとの間を転がるボールは、ナットの負荷ボール転走溝の一端まで転がった後、リターンパイプの無負荷戻し路内に掬い上げられる。ボールは無負荷戻し路を経由した後、ナットの負荷ボール転走溝の他端に戻される。
リターンパイプは例えば金属製のパイプを曲げ加工することで製造される。リターンパイプの無負荷戻し路の断面形状は、円形状に成形される(特許文献1参照)。円形状の無負荷戻し路の半径は、ボールの半径よりもわずかに大きく、ボールの周囲には遊びがある。上述のように、リターンパイプはその長さ方向の両端部が曲げ機械によって折り曲げられる。曲げたときの無負荷戻し路の変形を考慮して、ボールの周囲の遊びの大きさ、すなわち無負荷戻し路の内径が決定される。
折り曲げられたリターンパイプの長さ方向の両端部は、ナットの負荷ボール転走溝の一端と他端に接続される。ナットの負荷ボール転走溝は、ボールの半径よりも大きい半径の二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状に形成される。ナットの負荷ボール転走溝とボールとを二点で接触させるためである。
特開2008−111466号公報
ボールを円滑に循環させるためには、リターンパイプの無負荷戻し路からナットの負荷ボール転走溝へ移行するボールの蛇行を抑えて正しく整列させなければならない。リターンパイプの無負荷戻し路からナットの負荷ボール転走溝へボールが移行する際、ボールが蛇行すると、ボールがナットの負荷ボール転走溝のエッジに衝突する。このため、騒音が発生したり、ボールの早期破損を招いたりするおそれがある。
しかし、リターンパイプの無負荷戻し路の断面形状は、ボールの半径よりもわずかに大きい半径を持つ円形状に形成される。一方、ナットの負荷ボール転走溝の断面形状はボールに二点で接触するゴシックアーチ溝形状に形成される。このため、リターンパイプの無負荷戻し路とナットの負荷ボール転走溝との繋ぎ目に段差が生じ易く、リターンパイプ内で蛇行したボールがナットの負荷ボール転走溝の端に衝突し易くなる。たとえ、リターンパイプの端部とナットの負荷ボール転走溝との繋ぎ目に段差が生じないように、ナットの負荷ボール転走溝に面取りを施しても、リターンパイプの無負荷戻し路内でのボールの蛇行は治まらないし、ナットの負荷ボール転走溝の面取り部でのボールの遊びが問題になる。
そこで本発明は、循環部材の無負荷戻し路からナットの負荷ボール転走路へ移行するボールを正しく整列させることができるボールねじを提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備え、前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の、前記ナットの前記負荷ボール転走溝に接続される部分の断面形状が、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成されるボールねじである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボールねじにおいて、前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の、前記ねじ軸側の部分の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状に形成され、前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の合計四つの円弧状曲線を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のボールねじにおいて、前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の断面において、前記ナット側の二つの円弧状曲線を含む第一のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ねじ軸側の二つの円弧状曲線を含む第二のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだX軸方向における前記ボールの移動量と、前記ナット側の一方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の一方の円弧状曲線を含む第三のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ナット側の他方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の他方の円弧状曲線を含む第四のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだ、前記X軸方向に直交するY軸方向における前記ボールの移動量とが、等しいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のボールねじにおいて、前記循環部材の前記無負荷戻し路の断面形状は、その長さ方向の全長に渡って、ボールの半径よりも大きい曲率半径の合計四つの円弧状曲線を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備え、前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の全長に渡って、前記無負荷戻し路の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の四つの円弧状曲線を含み、前記ナット側の二つの円弧状曲線を含む第一のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ねじ軸側の二つの円弧状曲線を含む第二のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだX軸方向における前記ボールの移動量と、前記ナット側の一方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の一方の円弧状曲線を含む第三のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ナット側の他方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の他方の円弧状曲線を含む第四のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだ、前記X軸方向に直交するY軸方向における前記ボールの移動量とが、等しいボールねじである。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のボールねじにおいて、前記循環部材は、ダイスの穴にパイプを通し、パイプの内側に工具を入れた状態でパイプをダイスから引き抜くことで製造されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備えるボールねじの製造方法において、ダイスの穴にパイプを通し、パイプの内側に工具を入れた状態でパイプを引き抜くことによって、パイプの内周面に無負荷戻し路を形成すると共に、前記無負荷戻し路の断面を前記ナットの前記負荷ボール転走溝の断面を合わせたゴシックアーチ溝形状に形成する工程と、前記循環部材の長さ方向の両端部を折り曲げる工程と、前記循環部材を前記ナットに装着する工程と、を備えるボールねじの製造方法である。
循環部材の無負荷戻し路の断面形状が単一の円弧で形成されると、ボールが無負荷戻し路の壁面に寄ったときのボールの中心位置が決まらない。しかし、無負荷戻し路の断面形状が二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状に形成されると、ボールが無負荷戻し路の壁面に寄ったときのボールの中心位置が決まる。循環部材の無負荷戻し路の断面形状をナットの負荷ボール転走溝の断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成することで、無負荷戻し路におけるボールの蛇行を防止することができる。無負荷戻し路で正しく整列されたボールが負荷ボール転走溝へ移行するので、ボールを円滑に循環させることができ、またボールの走行音を低減できる。
図1は、本発明の第一の実施形態のボールねじの斜視図を示す。ボールねじは、外周面に螺旋状のボール転走溝1aが形成されたねじ軸1と、内周面にボール転走溝1aに対向する螺旋状の負荷ボール転走溝2aが形成されるナット2と、ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2a(図2参照)との間に転がり運動可能に介在される複数のボール3(図2参照)と、を備える。
ねじ軸1の外周面には、所定のリードのボール転走溝1aが研削加工や転造加工によって形成される。図3に示されるように、ボール転走溝1aの断面形状は、ボール3の半径よりも僅かに大きい半径の二つの円弧4を含むゴシックアーチ溝形状に形成される。二つの円弧の中心C1は、ボール3の中心C2よりも離れた位置にある。ボール3はゴシックアーチ溝形状のボール転走溝1aに二点で接触する。ボール3の中心C2とゴシックアーチ溝の底5とを結んだ線L1と、円弧4とボール3との接触点6とボール3の中心C2とを結んだ線のなす接触角θは、例えば40〜50度に設定される。ボール転走溝1aは、熱処理された後、研削加工される。ボール転走溝1aの両側の縁に円弧状の面取り7を施してもよいし、ゴシックアーチ溝の底5に研削時の逃げになる逃げ溝を形成してもよい。
図2は、ねじ軸1を取り外した状態のナット2の斜視図を示す。ナット2には、ねじ軸1が貫通する貫通孔2eが開けられる。ナット2の軸線方向の一端部には、ナット2を相手方の機械部品に取り付けるためのフランジ2bが形成される。フランジ2bには、周方向に均等間隔を開けて取付け孔9が形成される。ナット2の外周面には、平坦な平取り部2cが形成される。平取り部2cには、循環部材である二つのリターンパイプ8が取り付けられる。平取り部2cには、ナット2の内周面まで貫通する貫通孔2dが開けられる。貫通孔2dには、門形状に折り曲げられたリターンパイプ8の両端部が挿入される。平取り部2cに装着されたリターンパイプ8は、リターンパイプ押え11によってナット2に固定される。ナット2の内周面には、所定のリードの螺旋状の負荷ボール転走溝2aが研削加工によって形成される。図3に示されるように、負荷ボール転走溝2aの断面形状は、ボール3の半径よりも僅かに大きい半径の二つの円弧を含むゴシックアーチ溝形状に形成される。ゴシックアーチ溝形状はねじ軸1のボール転走溝1aと同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。負荷ボール転走溝2aは、熱処理された後、研削加工される。
図2に示されるように、リターンパイプ8の内周には、ナット2の負荷ボール転走溝2aの一端と他端とを接続する無負荷戻し路14が形成される。無負荷戻し路14の構成については後述する。リターンパイプ8の長さ方向の両端部には、ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間を転がるボール3を無負荷戻し路14内に掬い上げる掬上げ部12が形成される。ナット2の負荷ボール転走溝2aの一端まで転がるボール3は、リターンパイプ8の掬上げ部12によって無負荷戻し路14内に導かれる。ボール3はリターンパイプ8の無負荷戻し路14を経由した後、リターンパイプ8の反対側の掬上げ部12から再びナット2の負荷ボール転走溝2aに戻される。
図3に示されるように、ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間の負荷ボール転走路においては、ボール3はねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間に挟まれて圧縮荷重を受ける。一方、リターンパイプ8の無負荷戻し路14では、ボール3の周囲に僅かな遊びがあり、ボール3と無負荷戻し路14との間には僅かなすきまが開く。ナット2に対してねじ軸1を相対的に回転させると、負荷ボール転走路においては、ボール3が圧縮荷重を受けながら転がり運動する。一方、リターンパイプ8の無負荷戻し路14においては、ボール3は後続のボール3に押されながら移動する。
図4に示されるように、ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間の螺旋状の負荷ボール転走路、並びにリターンパイプ8の無負荷戻し路14には、複数のボール3が配列される。この実施形態では、負荷ボール転走路の巻き数を多くするために、二個のリターンパイプ8が設けられる。
図5及び図6は、ナット2に取り付けられたリターンパイプ8を示す。上述のように、リターンパイプ8の長手方向の両端部には、ねじ軸1とナット2との間を転がるボール3を掬い上げる掬上げ部12が形成される。ナット2の負荷ボール転走溝2aの断面形状は、二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状に形成される。このため、負荷ボール転走溝2aには、二つの円弧の交差部分からなる谷の底の線15(図6参照)が形成される。
図7及び図8は、リターンパイプ8の詳細図を示す。リターンパイプ8の両端部はナット2の負荷ボール転走溝2aに連続する。リターンパイプ8の無負荷戻し路14の断面形状は、ボール3の周囲を囲む閉曲線に形成される。
図9は、ナット2に装着されたリターンパイプ8及びその断面図を示す。リターンパイプ8の両端部8aの無負荷戻し路14の断面形状は、ナット2の負荷ボール転走溝2aに接続されるナット2側の部分16(図中Y軸を挟んだナット側の領域)と、ねじ軸1側の部分17(図中Y軸を挟んだねじ軸側の領域)とに分けられる。無負荷戻し路14のナット2側の部分16は、ナット2の負荷ボール転走溝2aに形状を合わせたゴシックアーチ溝形状に形成される。このため、無負荷戻し路14のナット2側の部分16には、二つの円弧18の交差部分からなる谷の底の線15(図7及び図8参照)が形成される。また、ねじ軸1側の部分17もナット2側の部分と同様に、ボール3の半径よりも大きい半径の二つの円弧19を含むゴシックアーチ溝形状に形成される。なお、図9にはリターンパイプ8の掬い部12にボール3やボール3間のスペーサに当接するリップ12aを設けた例が示されているが、図7及び図8に示されるように掬い部12にリップ12aを設けなくてもよい。
図10は、リターンパイプ8の断面の詳細図を示す。リターンパイプ8の両端部8aの無負荷戻し路14のY軸を挟んだナット2側の部分16及びねじ軸1側の部分17は、いずれもゴシックアーチ溝形状に形成される。このため、無負荷戻し路14の断面形状は、ボール3の半径よりもわずかに大きい半径Rの合計四つの円弧18,19を含む。円弧18,19はXY軸によって仕切られた四つの領域(象限)それぞれに一つずつ同じ半径Rで形成される。ナット2側の二つの円弧18を含む第一のゴシックアーチ溝形状の底21(上記谷の底の線15)と、ねじ軸1側の二つの円弧を含む第二のゴシックアーチ溝形状の底22と、を結んだ線をX軸とし、ナット2側の一方の円弧18及びねじ軸1側の一方の円弧19を含む第三のゴシックアーチ溝形状の底23と、ナット2側の他方の円弧18及びねじ軸1側の他方の円弧19を含む第四のゴシックアーチ溝形状の底24と、を結んだ線をY軸とする。X軸方向におけるボール3の移動量(ボール3が第一のゴシックアーチ溝形状に当接してから第二のゴシックアーチ溝形状に当接するまでのX軸方向の移動量)と、Y軸方向におけるボール3の移動量(ボール3が第三のゴシックアーチ溝形状に当接してから第四のゴシックアーチ溝形状に当接するまでのY軸方向の移動量)とは、等しく設定される。リターンパイプ8の無負荷戻し路14の断面形状は、両端部8aだけでなく、その長さ方向の全長に渡って、ボール3の半径よりも大きい半径の四つの円弧18,19を含む。
図10に示されるように、リターンパイプ8の無負荷戻し路14の断面形状が単一の円弧26(図中一点鎖線で示される)から構成されると、ボール3が無負荷戻し路14の壁面に寄ったときのボール3の中心位置が決まらない。ボール3の中心位置は円弧の軌跡P2を描く。しかし、無負荷戻し路14の断面形状が二つの円弧18を含むゴシックアーチ溝形状に形成されると、ボール3が無負荷戻し路14の壁面に寄ったときのボール3の中心位置が一点P1に決まる。リターンパイプ8の無負荷戻し路14の断面形状をナット2の負荷ボール転走溝2aの断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成することで、無負荷戻し路14におけるボール3の蛇行を防止することができることがわかる。図9に示されるように、リターンパイプ8の無負荷戻し路14において正しく整列されたボール3が負荷ボール転走溝2aへ移行するので、ボール3を円滑に循環させることができる。ボール3を整列させることで、ボール3の走行音を低減することもできる。
図10に示されるように、無負荷戻し路14を四つの円弧18,19から構成することで、無負荷戻し路14をねじ軸1のボール転走溝1a及びナット2の負荷ボール転走溝2aに形状、寸法を近似させることができる。したがって、無負荷戻し路14から負荷ボール転走路へ移行するボール3をより整列させることができる。また、無負荷戻し路14の断面内におけるボール3のX軸方向及びY軸方向の移動量を等しくすることで、無負荷戻し路14においてボール3をより整列させることができる。さらに、リターンパイプ8の無負荷戻し路14の断面形状をその長さ方向の全長に渡って四つの円弧18,19から構成することで、無負荷戻し路14から負荷ボール転走路へ移行するボール3だけでなく、無負荷戻し路14の途中を移動するボール3を整列させることができ、ボール3をより円滑に循環させることができる。
図11は、リターンパイプ8の製造工程図を示す。素材として円形の金属製のパイプ31が用意される(図11(a))。図12に示されるように、金属製のパイプ31はダイス32に通され、引抜き加工される。パイプ31の引抜き加工においては、外径、内径及び肉厚を所要寸法に仕上げるための工具33がパイプ31の内側に挿入される。しん金と呼ばれる工具を入れてパイプと共に引抜くしん金引き、プラグを支持棒で固定して引抜きを行う玉引き、プラグを固定しないで自律的に平衡をとり所定位置を保つようにした浮きプラグ引きなどの方法が用いられる。本実施例では、工具としてプラグを用いた浮きプラグ引きを示している。引抜き加工されたパイプ34の内径には、四つの円弧18,19が形成される(図11(b))。次に、パイプ34の両端部を曲げ機械によって折り曲げる(図11(c))。パイプ34の両端部は、ねじ軸1のリードに合わせて折り曲げられる。以上により、リターンパイプ8が製造される。
なお、リターンパイプ8の製造方法は他に種々考えられる。例えば、リターンパイプを2つ割りタイプとして半体ずつを成形した後に組み合わせる方法や、いわゆる射出成形によって成形することが可能である。また、リターンパイプの材質についても、金属に限らず、樹脂を使用することもできる。
上述のように、リターンパイプ8の無負荷戻し路14において、ボール3の周囲には僅かなすきまが開く(図10参照)。一方、ナット2の負荷ボール転走溝2aにおいて、ボール3は負荷ボール転走溝2aに当接する(図3参照)。このため、リターンパイプ8の無負荷戻し路14のゴシックアーチ溝は、ナット2の負荷ボール転走溝2aのゴシックアーチ溝よりも僅かに径が大きく形成される。このため、たとえリターンパイプ8の無負荷戻し路14のナット2側の部分の断面形状を、ナット2の負荷ボール転走溝2aのゴシックアーチ溝形状に合わせたとしても、これらの間には僅かな段差が生ずる。この段差をなくすために、図13に示されるように、ナット2の負荷ボール転走溝2aに面取り35を施してもよい。また、リターンパイプ8の両端部8aを図中矢印で示すようにねじ軸1側に僅かに移動させてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限られず、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態にも適用できる。例えば、本発明はリターンパイプ方式のボールねじに適用するのに限られない。無負荷戻し路が閉じた断面を有すれば、ナットに軸線方向に伸びる貫通孔を開け、ナットの軸線方向の両端部に方向転換路を有する蓋部材を取り付けたエンドキャップ方式のボールねじに適用することができる。
リターンパイプの無負荷戻し路の長さ方向の両端部の、ねじ軸側の部分の断面形状は、ゴシックアーチ溝形状に形成されなくても、単一の円弧形状に形成されてもよい。この場合、ボールは三つの円弧で囲まれる。
リターンパイプの外径の断面形状を内径と相似形状の四つの円弧から構成してもよい。リターンパイプの外径とナットとの接触箇所が少なくなるので、静音化をより進めることができる。
ゴシックアーチ溝形状は、二つの円弧から構成されなくても、ボールと二点で接触できる曲線であれば、二つのスプライン曲線、二つのクロソイド曲線等から構成されてもよい。
本発明の第一の実施形態のボールねじの斜視図 ナットの斜視図 ねじ軸とナットとの間に挟まれるボールを示す断面図 ねじ軸及びリターンパイプを示す側面図 リターンパイプが取り付けられたナットの斜視図 リターンパイプが取り付けられたナットの断面図 図6のVI部詳細図 図6のVI部詳細図 ナットに装着されたリターンパイプを示す正面図、及びリターンパイプの断面図 リターンパイプの断面の詳細図 リターンパイプの製造工程図 パイプの引抜き加工を示す図 ナットに装着されたリターンパイプをナットの軸線方向から見た断面図
符号の説明
1…ねじ軸,1a…ボール転走溝,2…ナット,2a…負荷ボール転走溝,3…ボール,8…リターンパイプ(循環部材),14…無負荷戻し路,16…リターンパイプのナット側の部分,17…リターンパイプのねじ軸側の部分,18,19…円弧(円弧状曲線),21…第一のゴシックアーチ溝形状の底,22…第二のゴシックアーチ溝形状の底,23…第三のゴシックアーチ溝形状の底,24…第四のゴシックアーチ溝形状の底,31…パイプ,32…ダイス,33…工具


Claims (7)

  1. 外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、
    前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、
    前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、
    前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備え、
    前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の、前記ナットの前記負荷ボール転走溝に接続される部分の断面形状が、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成されるボールねじ。
  2. 前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の、前記ねじ軸側の部分の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状に形成され、
    前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の合計四つの円弧状曲線を含むことを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の端部の断面において、
    前記ナット側の二つの円弧状曲線を含む第一のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ねじ軸側の二つの円弧状曲線を含む第二のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだX軸方向における前記ボールの移動量と、
    前記ナット側の一方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の一方の円弧状曲線を含む第三のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ナット側の他方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の他方の円弧状曲線を含む第四のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだ、前記X軸方向に直交するY軸方向における前記ボールの移動量とが、等しいことを特徴とする請求項2に記載のボールねじ。
  4. 前記循環部材の前記無負荷戻し路の断面形状は、その長さ方向の全長に渡って、ボールの半径よりも大きい曲率半径の合計四つの円弧状曲線を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のボールねじ。
  5. 外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、
    前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、
    前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、
    前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備え、
    前記循環部材の前記無負荷戻し路の長さ方向の全長に渡って、前記無負荷戻し路の断面形状が、ボールの半径よりも大きい曲率半径の四つの円弧状曲線を含み、
    前記ナット側の二つの円弧状曲線を含む第一のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ねじ軸側の二つの円弧状曲線を含む第二のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだX軸方向における前記ボールの移動量と、前記ナット側の一方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の一方の円弧状曲線を含む第三のゴシックアーチ溝形状の底と、前記ナット側の他方の円弧状曲線及び前記ねじ軸側の他方の円弧状曲線を含む第四のゴシックアーチ溝形状の底とを結んだ、前記X軸方向に直交するY軸方向における前記ボールの移動量とが、等しいボールねじ。
  6. 前記循環部材は、ダイスの穴にパイプを通し、パイプの内側に工具を入れた状態でパイプをダイスから引き抜くことで製造されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のボールねじ。
  7. 外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のボール転走溝に対向し、ボールの半径よりも大きい曲率半径の二つの円弧状曲線を含むゴシックアーチ溝形状の断面形状の螺旋状の負荷ボール転走溝を内周面に有するナットと、前記ナットの前記負荷ボール転走溝の一端と他端とを接続し、ボールの周囲を囲む閉曲線の断面形状の無負荷戻し路を有する循環部材と、前記ナットの前記負荷ボール転走溝及び前記無負荷戻し路に配列される複数のボールと、を備えるボールねじの製造方法において、
    ダイスの穴にパイプを通し、パイプの内側に工具を入れた状態でパイプを引き抜くことによって、パイプの内周面に無負荷戻し路を形成すると共に、前記無負荷戻し路の断面を前記ナットの前記負荷ボール転走溝の断面形状に合わせたゴシックアーチ溝形状に形成する工程と、
    前記循環部材の長さ方向の両端部を折り曲げる工程と、
    前記循環部材を前記ナットに装着する工程と、を備えるボールねじの製造方法。
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