JP2010024924A - 車載内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車載内燃機関の制御装置として、複数のバンクに対する燃料供給態様の制御を通じて、燃料性状の変化に起因するドライバビリティの悪化を抑制する。
【解決手段】例えばV型の気筒配列を有する車載内燃機関には、各バンクの別に排気ガスからその燃焼に供された混合気の空燃比を検出する空燃比センサ47R、47Lが設けられている。直列に配管接続された各バンクのデリバリパイプ14R、14Lを含む燃料供給機構は、開閉弁からなる燃圧切替弁23の切替制御を通じて、下流側のデリバリパイプ14Lから燃料タンク11への燃料の還流を許可する状態と同燃料の還流を禁止する状態とに切り替えられる。空燃比センサ47R、47Lを通じて検出されるバンク別の空燃比に対応して各々燃料性状を示す値の乖離を監視し、この乖離がある基準値未満にある期間だけ、燃料の還流を禁止する状態に燃圧切替弁23を切替制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のバンクからなるとともに、燃料としてアルコール含有燃料を使用することの可能な車載内燃機関にあって、各バンクに対する燃料の供給制御を行う車載内燃機関の制御装置に関する。
車載内燃機関のひとつとして、任意の割合でアルコールをガソリンに混合したアルコール含有燃料を使用することのできる内燃機関が知られている(例えば特許文献1参照)。アルコールはガソリン等、通常の燃料とは炭素原子の含有量が異なるため、こうした内燃機関にあっては、燃料に含まれるアルコールの種類とその濃度に応じて燃料噴射量を制御する必要がある。例えば、エタノールはガソリンと比較して理論空燃比が小さいため、これを含む混合燃料を使用する場合には、ガソリンをその理論空燃比のもとで燃焼させた場合に排出される排気の酸素濃度と同等となるように燃料噴射量を増量する必要がある。そして、こうしたアルコール濃度に基づく燃料噴射量の補正が実行されることにより、排気通路に設けられた触媒装置の浄化性能を十分に発揮させることができ、排気性状の悪化を抑制することができるようになる。このため、こうした内燃機関においては、排気通路に設けられた空燃比センサの検出値に基づいて燃料のアルコール濃度を学習するとともに、その学習値に基づいて燃料噴射量を補正することが有効である。
特開平4‐116234号公報
ところで、上記アルコール含有燃料とはいえ、そのアルコール濃度は常に一定に保たれているわけではない。例えば、給油操作が行われた場合には、燃料タンクに貯留されている燃料のアルコール濃度が変化し、ひいては、その後の機関運転においても燃料のアルコール濃度に変化をきたすようになる。もっとも、このように燃料タンクに貯留された燃料のアルコール濃度が変化した場合でも、アルコール濃度の学習処理が完了すれば、その時々のアルコール濃度に応じた燃料噴射量の補正を行うことはできる。ただし、燃料噴射等を制御する制御装置が認識しているアルコール濃度と給油後等の実際のアルコール濃度とが大きく乖離している場合には、アルコール濃度の学習処理が追いつかず、こうしたアルコール濃度に即した燃料噴射量の補正を行うことができない。このため、当該内燃機関の冷間始動時等、燃焼自体のロバスト性の低い状況下では、燃焼限界を超えて燃料性状が変化するなど、燃料性状の急変に伴うドライバビリティ等の悪化が懸念されるようになる。
一方、上記特許文献1にも見られるように、近年は水平対向型内燃機関、あるいはV型内燃機関等、複数のバンクからなる車載内燃機関にも上述したアルコール含有燃料を使用することのできる内燃機関が採用される傾向にある。ただし、このような複数バンクからなる内燃機関とはいえ、同文献1に見られる内燃機関のように、それら複数のバンクに対する燃料の供給態様の共通化が図られている以上、バンクの数によることなく、燃料性状の変化に起因する上述した懸念も避けられないものとなっている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のバンクに対する燃料供給態様の制御を通じて、燃料性状の変化に起因するドライバビリティの悪化を好適に抑制することのできる車載内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車載内燃機関の第1及び第2のバンクにそれぞれ設けられた燃料供給装置を直列に配管接続して、燃料タンクから供給される燃料を第1のバンクの燃料供給装置を介して第2のバンクの燃料供給装置に供給する燃料供給機構と、前記第2のバンクの燃料供給装置から前記燃料タンクへの燃料の還流を許可する許可状態と同燃料の還流を禁止する禁止状態とに切替可能な燃料還流切替機構と、前記第1のバンクと前記第2のバンクとでそれらバンク別の排気ガスから各々その燃焼に供された混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、これら検出されるバンク別の空燃比の乖離が基準値未満にある期間は前記燃料還流切替機構を前記禁止状態に切替制御し、同空燃比の乖離が前記基準値以上に大きくなることに基づいて前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御する燃料還流制御手段とを備えることを要旨とする。
前述のアルコール含有燃料が使用される場合、燃料に含まれるアルコールの濃度(燃料性状)は通常、そのまま上記検出される空燃比に反映されるようになる。このため、例えば給油に伴って、燃料タンクに貯留されている燃料のアルコール濃度が現状の濃度と大きく異なるような場合に燃料タンク内の燃料と各バンクの燃料供給装置内の燃料とを積極的に循環させるようなことがあると、空燃比フィードバック補正量が過大となることに起因する燃焼状態の急変を招き、ドライバビリティ悪化の原因となる。一方、給油に伴って、燃料タンクに貯留されている燃料のアルコール濃度が現状の濃度と大きく異なる場合であれ、燃料の上述した循環を禁止するようにすれば、各バンクの燃料供給装置に接続されているインジェクタによって噴射された分の燃料だけがそれら燃料供給装置に補填されるようになることから、機関始動初期には上記検出されるバンク別の空燃比の乖離も小さい。またこの場合には、各バンクの燃料供給装置に対する上記燃料の補填に伴い、それら燃料のアルコール濃度も徐々に高まるようになるものの、上記直列に配管接続された燃料供給装置ではその割合も両者で一定ではなく、上流側に位置する第1のバンクの燃料供給装置の方が下流側に位置する第2のバンクの燃料供給装置よりもアルコール濃度の上昇割合は高い。したがって、上記検出されるバンク別の空燃比の乖離もいずれはある値を超えて大きくなる。このため、上記構成によるように、同検出されるバンク別の空燃比の乖離が基準値、例えば上流側の第1のバンクの燃料供給装置内の燃料のアルコール濃度が燃料タンク内の燃料のアルコール濃度近くになったときのそれらバンク別の空燃比の乖離相当値未満にある期間は上記燃料還流切替機構を禁止状態に切替制御し、空燃比の乖離が同基準値以上に大きくなることに基づいて同燃料還流切替機構を許可状態に切替制御することとすれば、例えば上記検出されるバンク別の空燃比の平均値等、それら空燃比をなまし処理(平均化)した値に基づいて各バンクに設けられたインジェクタからの燃料噴射量を決定するような燃料噴射制御が行われる場合であれ、空燃比フィードバック補正量の急激な変化を抑えることができ、ひいてはドライバビリティの悪化も抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記燃料還流制御手段は前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較に先立って前記第2のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化を監視し、該燃料の性状に所定以上の変化が生じていることを条件に前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較を開始することを要旨とする。
上記構成によれば、バンク別の空燃比の乖離と許容値との比較に先立ち、下流側に位置する第2のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化が監視される。そしてこのとき、給油操作が行われるなどして第2のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状、例えばアルコール濃度に所定以上の変化が生じていれば、このことを条件としてバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較が開始される。また逆に、第2のバンクの燃料供給装置内の燃料にこうした所定以上の性状変化が生じていなければ上記比較が開始されることはない。そして、第2のバンクの燃料供給装置は燃料供給経路の下流側に位置することから、この第2
のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化は、その上流に位置する第1のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化よりも遅れて生じる。このため、第2のバンクの燃料供給装置で燃料性状の変化が生じた場合には、かなり高い確率で燃料供給経路内に燃料性状の変化が生じているものと推定することができる。したがって、第2バンクの燃料供給装置での燃料性状の変化を基準とすることにより、こうした燃料の性状変化をより確実に捉えることが可能となり、ひいては、上記バンク別の空燃比の乖離と基準値との不要な比較の実行を回避しつつも、必要時にはそれら比較に基づく燃料還流切替機構の切替制御を精度よく行うことができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記燃料還流制御手段は前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較に先立って前記第1のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化を監視し、該燃料の性状に所定以上の変化が生じていることを条件に前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較を開始することを要旨とする。
ここでは、上記第2バンクの燃料供給装置での燃料性状の変化に代えて、その上流に位置する第1のバンクの燃料供給装置での燃料性状の変化を基準としてバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較が開始される。この第1のバンクの燃料供給装置とは、給油操作が行われるなどして燃料タンク内の燃料性状、例えばアルコール濃度が変化したような場合、より早期にその燃料性状に変化をきたす部分であり、いわば燃料性状の変化により敏感な部分であるともいえる。したがって、この第1バンクの燃料供給装置での燃料性状の変化を基準とすることにより、こうした燃料性状の変化をより早期に捉えることが可能となり、ひいては、上記バンク別の空燃比の乖離と基準値との比較の実行が促進されるかたちで、燃料還流切替機構の切替制御が効率よく実現されるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記燃料還流制御手段は、前記燃料の性状に所定以上の変化が生じていないとき、前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御することを要旨とする。
たとえ給油操作がなされた場合であっても、例えば給油前と同等のアルコール濃度の燃料が給油されるなど、燃料性状に変化が生じない場合もある。このような場合には、内燃機関にとっても給油操作前の運転状態との変化が生じ難いことから、給油操作に伴う機関運転への影響は懸念されない。この点、上記構成によれば、第2のバンクの燃料供給装置あるいは第1のバンクの燃料供給装置での燃料性状の変化が少ないことをもって燃料還流切替機構が許可状態に切替制御されて燃料の還流が許可される。この場合には、そもそも各バンクの燃料供給装置での燃料性状の変化が少ないことから、あえて上記請求項1に記載の制御を実行せずとも、ドライバビリティ等の悪化を招く懸念もない。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記燃料還流制御手段は、前記車載内燃機関の始動時の温度が使用される燃料の性状において自律運転の可能な適正温度以上にあるとき、前記燃料還流切替機構を無条件に前記許可状態に切替制御することを要旨とする。
一般に、アルコールを含む燃料は、機関低温時ほど空燃比の悪化に伴うドライバビリティの悪化が顕著となる傾向にあり、逆に、燃料及び機関温度が適正温度以上にあれば空燃比への影響は軽減される傾向にある。このため上記構成によるように、内燃機関の始動時の温度が自律運転の可能な適正温度以上であることを条件として燃料の還流を許可することとしても、空燃比の悪化、ひいてはドライバビリティの悪化を招くことなく車載内燃機関としての円滑な始動を図ることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載の車載内燃機関の制御装置において、前記燃料還流切替機構は、前記第2のバンクの燃料供給装置の終端部に設けられたプレッシャレギュレータを介して当該燃料供給装置内の燃料を前記燃料タンクに還流せしめる高圧リターン配管と、開閉弁である燃圧切替弁を介して前記第1のバンクの燃料供給装置に供給される燃料を前記燃料タンクに分岐還流せしめる低圧リターン配管とを備えて構成され、前記燃料還流制御手段は、前記燃圧切替弁を開弁状態として前記燃料還流切替機構を前記禁止状態に切替制御し、前記燃圧切替弁を閉弁状態として前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御することを要旨とする。
同構成によれば、燃料還流制御手段を通じての上述した燃料還流切替機構の切替制御に際し、第2のバンクの燃料供給装置の終端部に設けられたプレッシャレギュレータを利用しての、すなわち各バンクの燃料供給装置に供給する燃料の圧力を利用しての円滑な燃料還流切替が実現可能になる。
以下、本発明を具現化した一実施の形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1は主に、V型の気筒配列を有した8気筒の車載内燃機関、及びその燃料供給系の概略構成を示している。同図1に示されるように、この内燃機関にはその第1のバンク及び第2のバンクとなる右及び左のバンクに対応する燃料供給装置として右デリバリパイプ14R及び左デリバリパイプ14Lがそれぞれ設けられている。これらデリバリパイプ14R、14Lには各気筒に対応して4つのインジェクタ16がそれぞれ接続されている。なお、この内燃機関は、ガソリンにエタノール(エチルアルコール)が混合された混合燃料を燃料として使用することのできるフレキシブル燃料内燃機関である。ちなみに、混合燃料のエタノール濃度(アルコール濃度)は通常、燃料タンク11に残存する燃料のエタノールの濃度と給油操作により燃料タンク11に新たに注入される燃料のエタノール濃度とでその都度異なるものとなる。具体的には、0%(ガソリンのみ)〜85%の範囲内でその濃度が変化する。
ここで、こうした内燃機関の燃料供給系の構成について説明する。
燃料タンク11の内部に設けられた燃料ポンプ12は、メイン配管13によって一方のデリバリパイプ14Rと接続されている。また、この一方のデリバリパイプ14Rと連通管15によって直列に配管接続される他方のデリバリパイプ14Lには、各デリバリパイプ14R,14L内の燃料圧力、すなわち燃料噴射圧Pを高圧に調節するための高圧調圧弁(高圧プレッシャレギュレータ)21が設けられるとともに、同高圧調圧弁21を介して高圧リターン配管17が接続されている。
また、メイン配管13には、燃料タンク11の近傍に位置する部分に低圧リターン配管18が接続されている。この低圧リターン配管18には、各デリバリパイプ14R,14L内の燃料圧力を低圧に調節するための低圧調圧弁(低圧プレッシャレギュレータ)22が設けられている。この低圧調圧弁22の開弁圧PLは高圧調圧弁21の開弁圧PHよりも低く設定されている(PL<PH)。
一方、上記低圧リターン配管18には、開閉弁からなる燃圧切替弁23が設けられおり、この燃圧切替弁23の弁位置に応じて、メイン配管13の燃料が低圧リターン配管18に流入可能な状態と流入不能な状態とが切り替えられる。
すなわち、この燃圧切替弁23が閉弁状態になると、メイン配管13から低圧リターン配管18に燃料が流入することができなくなるため、燃料ポンプ12からメイン配管13に吐出された燃料は全て各デリバリパイプ14R,14Lに圧送されるようになる。そして、デリバリパイプ14R,14L内の燃料圧力が高圧調圧弁21の開弁圧PHより高く
なると、同高圧調圧弁21が開弁して燃料が高圧リターン配管17を通じて燃料タンク11に還流されるようになる。その結果、燃料噴射圧Pは高圧調圧弁21の開弁圧PHと略同じ圧力に維持されることとなる。
他方、燃圧切替弁23が開弁状態になると、メイン配管13から低圧リターン配管18に燃料が流入するようになる。そして、デリバリパイプ14R,14L内の燃料圧力が上昇して高圧調圧弁21が開弁する前に低圧調圧弁22が開弁し、燃料の一部はデリバリパイプ14R,14Lに圧送されることなく、低圧リターン配管18を通じて燃料タンク11に戻されるようになる。その結果、燃料噴射圧Pは低圧調圧弁22の開弁圧PLと略同じ圧力に維持されることとなる。
このように、本実施の形態にかかる燃料供給系では、燃圧切替弁23の弁位置を切り替えることにより燃料噴射圧Pを異なる圧力に変更することができる。そして基本的に、機関始動時から所定の条件を満たすまでの期間においては燃圧切替弁23は開弁状態となるように駆動され、所定の条件を満す場合には燃圧切替弁23は閉弁状態となるように駆動される。
また、この内燃機関には、その機関運転状態を含め種々の情報を検出するための各種センサが設けられている。たとえば、クランクシャフト(図示略)の近傍には、その回転速度、すなわち機関回転速度NEを検出するための機関回転速度センサ42が設けられている。吸気管(図示略)には吸入空気量GAを検出する吸入空気量センサ43が設けられている。さらに、シリンダブロックのウォータジャケット(図示略)には機関冷却水温THWを検出するための冷却水温センサ44が設けられている。なお、この機関冷却水温THWは機関温度や燃料温度と相関があるため、それらの代替値として用いられる。また、デリバリパイプ14R及び14Lの一方には燃料圧力(燃料噴射圧P)を検出する燃圧センサ45が設けられている。その他、燃料タンク11には、その内部の燃料量FLを検出する燃料量センサ46が設けられている。
また、この実施の形態においては、排気管も前記各バンクの別に設けられている。そして、前記右バンクに対応する右バンク用排気管31Rには右バンク用三元触媒32Rが設けられるとともに、その上流側には右バンク用空燃比センサ47Rが設けられている。同じく左バンク用排気管31Lには、左バンク用三元触媒32Lが設けられるとともに、その上流側には左バンク用空燃比センサ47Lが設けられている。このうち、右バンク用空燃比センサ47Rは、右バンクでのその都度の燃焼に供された混合気の空燃比DORに応じて連続的に変化する信号を出力する。また、左バンク用空燃比センサ47Lは、左バンクでのその都度の燃焼に供された混合気の空燃比DOLに応じて連続的に変化する信号を出力する。ちなみに、右デリバリパイプ14R及び左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度は常に一定ではなく、給油操作等によってその燃料性状が変化する。このため本実施の形態では、これら空燃比センサ47R及び47Lの検出信号から、デリバリパイプ14R及びデリバリパイプ14L内の燃料性状、すなわち各バンク毎のエタノール濃度(アルコール濃度)を算出するようにしている。なお、これら空燃比センサ47R及び47Lは、その素子温度が所定の活性化温度未満であるときには高い精度をもって空燃比DOR及びDOLを検出することができない。このため、空燃比センサ47R及び47Lには、排気温度や外気温が低いときに素子を加熱して素子温度を活性化温度にまで上昇させるためのヒータが内蔵されている。
以上の各種センサ42〜47の検出信号はいずれも内燃機関の電子制御装置41に取り込まれる。この電子制御装置41は、各種制御プログラムや演算用マップ、各種制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持する記憶部41aを備えている。なお、この記憶部41aは、ROM及びRAMの他、機関運転が停止された場合、換言すれば電子制御
装置41に対する給電が停止された場合においても、バッテリ(図示略)からの給電によりその記憶内容を保持するバックアップRAMを含んでいる。電子制御装置41は、これらセンサ42〜47を含め各種センサの検出信号に基づいてインジェクタ16や、燃圧切替弁23等を駆動することにより、燃料噴射量や燃料噴射圧、燃料の循環態様等々、燃料噴射にかかる制御を実行する。
次に、上述した車載内燃機関の始動に伴う各部での燃料のエタノール濃度の推移例とともに、本実施の形態で実行される燃料供給制御の概要を図2及び図3を参照して説明する。
まず、図2において、図2(a)は右デリバリパイプ14R内のエタノール濃度の変化を、また図2(b)は左デリバリパイプ14L内のエタノール濃度の変化を、そして図2(c)は左右デリバリパイプ内のエタノール濃度変化に応じてインジェクタ16から噴射される燃料のエタノール濃度推移をそれぞれ示している。なおここでは、燃料タンク11及び燃料供給経路内に残存する燃料はエタノール濃度が0%の燃料であり(燃料E0)、新しく給油された燃料はエタノール濃度が85%の燃料(燃料E85)であるとする。
このような前提のもとに、まず、イグニッションスイッチがONされることによって内燃機関が始動されると、インジェクタ16から左右デリバリパイプ内に貯留されている燃料が噴射される。こうしてインジェクタ16から燃料が噴射されると、左右デリバリパイプ内から噴射された量だけ燃料が減少するため、この減少分を補うように燃料タンク11から燃料E85が供給される。このとき本実施の形態においては、先の図1からも明らかなように、この燃料E85は、燃料ポンプ12により燃料タンク11から右デリバリパイプ14Rを介して左デリバリパイプLへと供給される。この結果、燃料E85がデリバリパイプ14R、14L内に残存していた燃料E0と混合され、同デリバリパイプ14R、14L内の燃料のエタノール濃度がE0からE85へと次第に変化する。なおこのとき、下流側に位置する左デリバリパイプ内14Lに供給される燃料は、その上流側に位置する右デリバリパイプ14R内に貯留されている燃料E0と新たに供給される燃料E85とが混合された燃料となっている。また上述のように、機関始動時から所定の条件を満たすまでの期間においては、燃圧切替弁23が開弁状態に維持され、デリバリパイプ14R、14Lから上記高圧リターン配管17を介しての燃料の循環が制限されている。
ここで、本実施の形態において燃圧切替弁23が機関始動後から開弁状態とされる期間は、左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度偏差(条件1)、及び左右デリバリパイプ14L、14R間の燃料のエタノール濃度の差(条件2)に基づいて決定される。
詳述すると、上記条件1では、図2(b)に示すように、機関低温始動時の左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度が給油操作に起因して低温時の濃度変化基準値α1以上となったか否か、すなわち給油前の燃料E0から給油に伴って左デリバリパイプ14L内の燃料の濃度がこの基準値α1以上となるまで実際に変化した否かが監視される。なお、機関始動時の温度は適温値Tとして予め定められた温度(例えば34℃)を超えているか否かによって判断され、この適温値T以下であれば、機関が低温始動時であるとして上記基準値α1のもとにエタノール濃度の変化が監視される。
他方、上記条件2では、図2(a)に示す右デリバリパイプ14R内の燃料のエタノール濃度β1と図2(b)に示す左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度β2との乖離(差分値)がその基準値β以上となったか否かが監視される。すなわち、燃圧切替弁23の開弁時には、高圧リターン配管17を介しての燃料の循環が制限されることにより、右デリバリパイプ14R内の燃料が左デリバリパイプ14L内の燃料に優先して給油
後の燃料が混合される。このため、燃料の混合がある程度進むと、図2(a)、(b)を対比して明らかなように、上流側にある右デリバリパイプ14R内の燃料のエタノール濃度の方がその上昇割合が高く、下流側にある左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度との差が徐々に大きくなる。そして、この差が上記基準値β以上となったことをもって、右デリバリパイプ14R内のエタノール濃度が燃料タンク11内の燃料のエタノール濃度に近づいたことが判断される。
そして、これらの条件1及び条件2が満たされることによって、燃圧切替弁23が閉弁状態とされ、上記高圧リターン配管17を介しての燃料の循環が許容される。こうして燃料の循環が許容されると、燃料圧力の上昇に伴って右及び左デリバリパイプ14R、14L内の燃料は燃料タンク11内の給油後の燃料に入れ替わるため、それら右及び左デリバリパイプ14R、14L間での燃料のエタノール濃度の乖離が解消される。そしてその後は、両デリバリパイプ14R、14L内の燃料のエタノール濃度は給油後のエタノール濃度E85へと急速に推移する。
このように、給油操作後の機関始動時は、右及び左デリバリパイプ14R、14L内の燃料のエタノール濃度は各別の推移を示すこととなるが、上記条件1及び条件2を経て燃圧切替弁23が開弁状態から閉弁状態に切替制御されることで、上記インジェクタ16から噴射される燃料のエタノール濃度も、平均的には図2(c)に示される態様で推移するようになる。
図3は、比較例として、上述した条件1及び条件2による制限を設けることなく機関始動と同時に燃圧切替弁23を閉弁状態とした場合の各デリバリパイプ14R、14L内のエタノール濃度、あるいはインジェクタ16を通じて噴射される燃料のエタノール濃度の推移を図2との対応のもとに示したものである。
いま、機関始動に伴って燃圧切替弁23が閉弁状態とされると、燃料タンク11から供給される燃料の圧力の上昇に伴って高圧リターン配管17を介した燃料の循環が行われ、給油前の燃料と給油後との燃料の混合が急激になされる。こうした急激な燃料の混合により、図3(a)、(b)に示されるように両デリバリパイプ14R、14L内の燃料のエタノール濃度もE0(0%)からE85(85%)まで急変し、このエタノール濃度の急変に伴って、冒頭に述べたエタノール濃度(アルコール濃度)の学習、すなわちインジェクタ16から噴射される燃料のエタノール濃度の認識に図3(c)に示されるような時間遅れtdが生じるようになる。このため、実際の燃料性状に即した燃料噴射制御を実行することができず、空燃比フィードバック補正量の急激な変化に起因してドライバビリティが悪化するようになる。この点、本実施の形態では、図2に例示したように、上記条件1及び条件2を満たすまでの間、燃圧切替弁23を開弁状態に維持するようにしたことにより、こうした空燃比フィードバック補正量の急激な変化が抑制され、ひいてはドライバビリティの悪化も抑制されるようになる。
次に、こうした背景のもとに上記電子制御装置41により実行される本実施の形態の燃料供給並びに燃料噴射制御の詳細について図4〜図8を参照して説明する。
まず、インジェクタ16から噴射される燃料噴射量の算出処理についてその処理手順を図4のフローチャートを参照して説明する。なお、このフローチャートに示す一連の処理は、電子制御装置41によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
同図4に示されるように、この一連の処理ではまず、機関回転速度NEと同機関回転速度NE及び吸入空気量GAから算出される機関負荷とに基づいて基本燃料噴射量QBASEが算出される(ステップS200)。
次に、空燃比センサ47L及び47Rにより各バンクでのその都度の燃焼に供された混合気の空燃比DOL及びDORが検出可能か否かが判断される(ステップS201)。上述したように、空燃比センサ47L及び47Rはその素子温度が所定の活性化温度未満であるときには高い精度をもって空燃比DOL及びDORを検出することができないため、ここでは空燃比センサ47L及び47Rの素子温度が所定の活性化温度以上である場合に、空燃比センサ47L及び47Rによる空燃比DOL及びDORの検出が可能である旨判断される。
そして、両バンクの空燃比DOL及びDORが検出可能である旨判断された場合には(ステップS201:YES)、空燃比センサ47L及び47Rによって検出された値に基づいて、左バンク空燃比フィードバック補正係数FAFL及び右バンク空燃比フィードバック補正係数FAFRが算出される。これらの左右バンクに対応する空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRは、ガソリンをその理論空燃比のもとで燃焼させた場合に排出される排気の酸素濃度と実際の排気の酸素濃度との一時的な乖離を補償するためのものである。
こうして左右バンク毎の空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRが算出されると(ステップS203)、次に空燃比学習の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS204)。この実行条件としては、例えば車両の加速や減速が行われておらず内燃機関が定常運転状態であること、並びに左右バンク毎のフィードバック補正係数FAFL及びFAFRから「1.0」を減じた値の絶対値が基準値より大きい状態が所定の期間継続していること、などが挙げられる。
ここで、空燃比学習の実行条件が成立していると判断された場合(ステップS204:YES)、予め設定された所定期間における左バンク空燃比フィードバック補正係数FAFLの平均値FAFAVEL、及び右バンク空燃比フィードバック補正係数FAFRの平均値FAFAVERがそれぞれ算出される(ステップS205)。
そして、これら左右バンク毎のフィードバック補正係数の平均値FAFAVEL及びFAFAVERから、それぞれ「1.0」を減算した値を現在の空燃比学習値KGに加算した値が左右バンク毎の新たな空燃比学習値KGL及びKGRとして算出される(ステップS206)。このようにして算出された左右バンク毎の空燃比学習値KGL及びKGRが、左右のバンクに対応する空燃比学習値として記憶部41aのバックアップRAMに記憶される。なお、こうした空燃比学習値の更新に伴い、左右バンク毎のフィードバック補正係数FAFL及びFAFRは、その初期値である「1.0」に設定される。
次に、左右バンク毎の空燃比学習値KGL及びKGR、そして図5に示すエタノール濃度学習処理ルーチンを通じて求められる左右バンク毎のエタノール濃度学習値KALCL及びKALCRが記憶部41aのバックアップRAMから読み込まれる(ステップS207)。
一方、空燃比センサ47L及び47Rにより空燃比DOL及びDORが検出することができない旨判断された場合は(ステップS201:NO)、左右バンク毎の空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRが「1.0」に設定され(ステップS202)、左右バンク毎の空燃比学習値KGL、KGR、及び左右バンク毎のエタノール濃度学習値KALCL、KALCRがそれぞれ読み込まれる(ステップS207)。また、空燃比学習の実行条件が成立していない旨判断された場合にも(ステップS204:NO)、左右バンク毎の空燃比学習値KGR、KGL、及び左右バンク毎のエタノール濃度学習値KALCL、KALCRがそれぞれ読み込まれる(ステップS207)。
次に、左右バンク毎に算出した各学習値の平均化処理を行うべく、左右バンク毎に算出した空燃比学習値KGL、KGR、及びエタノール濃度学習値KALCL、KALCR、空燃比フィードバック補正係数FAFL、FAFRの平均値を算出する。この平均化処理によって、空燃比学習平均値KGa、エタノール濃度学習平均値KALCa、空燃比フィードバック補正係数平均値FAFaが算出される(ステップS208)。
そして最後に、これら平均化処理によって算出された空燃比学習平均値KGa、エタノール濃度学習平均値KALCa、及び空燃比フィードバック補正係数平均値FAFaが加算され、その加算値と基本燃料噴射量QBASEとの積算値が最終燃料噴射量QFINとして算出される(ステップS209)。
このようにして最終燃料噴射量QFINが算出されると、この一連の処理は一旦終了される。
なお実際には、この燃料噴射量算出処理を通じて算出される最終燃料噴射量QFINと燃圧センサ45により検出される燃料噴射圧Pとに基づいて燃料噴射時間TAU、すなわちインジェクタ16の開弁時間が算出される。そして、電子制御装置41はこの燃料噴射時間TAUに基づいてインジェクタ16を開弁駆動する。その結果、最終燃料噴射量QFINに相当する量の燃料がインジェクタ16から噴射される。
ところで上述のように、本実施の形態にかかるフレキシブル燃料内燃機関にあっては、ガソリンよりも理論空燃比が小さいエタノールを含む混合燃料を使用しているため、ガソリンを理論空燃比のもとで燃焼させた場合に排出される排気の酸素濃度と等しくなるように、燃料噴射量を増量補正する必要がある。そして、こうした燃料噴射量の補正が実行されることにより、排気通路に設けられた触媒装置の浄化性能を十分に発揮させることができ、排気性状の悪化を抑制することができるようになる。
そこで、本実施の形態においては、排気通路に設けられた空燃比センサ47R及び47Lの検出値に基づいて燃料のエタノール濃度を推定してその補正すべき値を学習するとともに、上記ステップS208、S209の処理によるように、その学習値に基づいて燃料噴射量を補正するようにしている。また、最終燃料噴射量QFINは、左右バンクの各学習値の平均値を用いて求めることによって、左右のデリバリパイプ内のエタノール燃料の乖離から生じる左右バンクの空燃比のばらつきを抑制するようにしている。一方のデリバリパイプ内の燃料のエタノール濃度が急変したような場合であっても、こうした平均化処理によって最終燃料噴射量QFINの急変を抑制することができるようになる。
以下、このエタノール濃度学習処理について図5及び図6を参照して説明する。
図5はエタノール濃度学習処理の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す一連の処理も、電子制御装置41によって所定の周期をもって繰り返し実行される。なお、このエタノール濃度学習処理の実行中は、燃料噴射量算出処理における空燃比の学習処理(ステップS203〜ステップS207)の実行が禁止される。また、このエタノール濃度学習処理は、左右バンクの別に実行される。
同図5に示されるように、この一連の処理ではまず、給油操作が行われた後、左右バンク毎のエタノール濃度ALCL及びALCRの学習が未だ完了していないか否かが判断される(ステップS300)。具体的には、給油操作フラグXFが「ON(オン)」に設定されている場合に、給油操作後、未だ左右バンク毎のエタノール濃度ALCL及びALCRの学習が完了していない旨判断される。この給油操作フラグXFは、燃料タンク11内の燃料量FLが所定量以上増加した場合に「ON」に設定され、その後、左右バンク毎のエタノール濃度ALCL及びALCRの学習が完了したとき、すなわちそれら学習される濃度が安定濃度に達したときに「OFF(オフ)」に設定される。
そして、給油操作フラグXFが「OFF」である旨判断されると(ステップS300:NO)、この一連の処理は一旦終了される。
これに対して、給油操作が行われた旨判断されると(ステップS300:YES)、次にエタノール濃度学習の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS301)。ここで、左右の両バンクにおいて、以下の条件(イ)及び条件(ロ)が成立したときに、エタノール濃度学習の実行条件が成立した旨判断される。
(条件イ)左バンク用空燃比センサ47L、右バンク用空燃比センサ47Rが活性化している
(条件ロ)左バンク空燃比フィードバック補正係数FAFLの絶対値≠1.0
右バンク空燃比フィードバック補正係数FAFRの絶対値≠1.0
ここで、エタノール濃度学習の実行条件が成立していないと判断された場合(ステップS301:NO)、この一連の処理は一旦終了される。
一方、エタノール濃度学習の実行条件が成立していると判断された場合(ステップS301:YES)、例えば左右のバンクで一定量の燃料を噴射したときの空燃比センサ47L及び47Rの検出結果に基づき左右バンクに対応する空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRが算出される。そして、これらの値と空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRの初期値(=1.0)との偏差ΔFAFL及びΔFAFRが算出される。そして、これらの偏差ΔFAFL及びΔFAFRに基づいて左右デリバリパイプ内のエタノール濃度ALCL及びALCRが推定される(ステップS302)。
すなわち、図6(a)に示すように、給油直後における機関始動の場合、給油後に算出される左右バンクのフィードバック補正係数FAFL及びFAFRとその初期値(=1.0)との偏差ΔFAFL及びΔFAFRはエタノールの濃度に応じて異なるものとなる。したがって、この左右バンクの空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFRの偏差ΔFAFL及びΔFAFRに基づいて燃料のエタノール濃度ALCL、ALCRを推定することができる。
その後、図6(b)に示される演算用マップを通じて上記推定されたエタノール濃度ALCL及びALCRに応じた補正値である左右バンク毎のエタノール濃度学習値KALCL及びKALCRが算出される(ステップS303)。なお、これら演算用マップは実験等を通じて得られた結果に基づいて予め作成されたものであり、記憶部41aのROMに記憶されている。また、このようにして算出された左バンクエタノール濃度学習値KALCL及び右バンクエタノール濃度学習値KALCRは、記憶部41aのバックアップRAMに記憶される。
なお、右デリバリパイプ14Rと、右デリバリパイプの下流に位置する左デリバリパイプ14Lとでは、給油直後における機関始動の燃料の混合条件が異なることから、空燃比センサ47Rの検出結果に基づいて算出される右バンク空燃比フィードバック補正係数FAFRは、左バンク空燃比フィードバック補正係数FAFLとは異なる値となる。この結果、上述のエタノール濃度学習処理では、上記算出される左右のバンク間の学習値の差が実際の左右のデリバリパイプ間の燃料のエタノール濃度差に相関するようになる。
図7は、こうした燃料噴射量の算出、並びにエタノール濃度の学習を行いつつ、先の図2を参照して説明した条件1及び条件2のもとに前記燃圧切替弁23の開閉制御を行う燃圧切替弁開閉制御についてその制御手順を示すフローチャートであり、以下、この図7を参照して、本実施の形態の制御装置による燃料供給制御の詳細について説明する。なお、このフローチャートに示す一連の処理は、電子制御装置41により機関始動毎に実行され
る。
同図7に示されるように、この制御に際してはまず、給油後初回の機関始動か否かの判断として、上述した給油操作フラグXFが「ON」に設定されているか否かが判断される(ステップS500)。この判断処理では、このフラグXFが「ON」の状態で機関始動操作が行われた場合に、機関停止中に給油操作が行われた旨判断される。
この処理を通じて給油操作フラグXFが「OFF」に設定されている旨判断された場合には(ステップS500:NO)、次に燃圧切替弁23を閉じる処理が実行される(ステップS510)。そしてその後、燃料噴射量の算出に用いられる補正値である燃料の左右バンク毎の学習値KALCL及びKALCRの値が、以前の機関運転時に左右バンク毎に学習された値KALCL0及びKALCR0に設定され(ステップS511)、この処理が終了される。
一方、給油操作フラグXFが「ON」に設定されている旨判断された場合には(ステップS500:YES)、さらに機関温度が前述した機関始動時の適温値Tよりも高い状態での再始動であるか否かが判断される(ステップS501)。具体的には、デリバリパイプに残留する燃料の温度の代替値として機関冷却水温THWを冷却水温センサ44によって検出し、その温度がこの適温値Tを超えていることに基づいて機関温度及び燃料温度が適温状態にある旨判断される。
この処理を通じて機関始動時の適温値Tよりも高い状態での機関再始動である旨が判断された場合には(ステップS501:YES)、そのまま燃圧切替弁23を閉じる処理が実行されて(ステップS506)、この処理が終了される。
一方、機関温度がこの適温値T以下である旨判断された場合には(ステップS501:NO)、まずは燃圧切替弁23を開く処理が実行される(ステップS502)。そして、燃料給油後の左バンクエタノール濃度学習値KALCLと以前の機関運転中に学習された左バンク始動時学習値KALCL0との差が前述した低温時の濃度変化の基準値α1(図2)以上であるか否かが判断される(ステップS503a)。この判断処理によって、給油操作によって給油前とは異なるエタノール濃度の燃料が供給されたか否か、及び実際に左デリバリパイプ14L内のエタノール濃度が変化した否かの判断がなされる。
ここで、燃料給油後の左バンクエタノール濃度学習値KALCLと左バンク始動時学習値KALCL0との差が前述した低温時の濃度変化基準値α1(図2)未満である旨判断された場合には(ステップS503a:NO)、時間Ts1が経過するまでこの判断処理が繰り返される(ステップS503a、S503b)。なお、この時間Ts1は、機関始動後、燃圧切替弁23が開弁状態にあるときに、インジェクタ16による燃料噴射のみを通じて左デリバリパイプ14L内のエタノール濃度変化を検出する際の必要計測時間であり、燃料の給油によってその性状(濃度)に変化をきたす場合にその変化の計測に最低限必要な時間が設定されている。
すなわち、この必要計測時間Ts1が経過しても燃料給油後の左バンクエタノール濃度学習値KALCLと以前の機関運転中に学習された左バンク始動時学習値KALCL0との差が上記基準値α1未満である旨判断された場合には(ステップS503b:YES)、給油された燃料のエタノール濃度に大きな変化がなかった旨判断される。そしてこの場合、給油操作後の初回の機関始動ではなかった場合と同様の処理がなされて、この処理が終了される。すなわち、燃圧切替弁23が閉弁され(ステップS510)、その後、燃料噴射量の算出に用いられる補正値である燃料の左右バンクのエタノール濃度学習値KALCL及びKALCRの値が以前の機関運転時に学習された左右バンクの始動時学習値KA
LCL0及びKALCR0に設定される(ステップS511)。
一方、上記ステップS503a、S503bの処理を通じて燃料給油後の左バンクエタノール濃度学習値KALCLと以前の機関運転中に学習された学習値KALCL0との差が低温時の濃度変化基準値α1以上である旨判断された場合には(ステップS503a:YES)、燃料のエタノール濃度が燃焼に影響を及ぼす程度に変化している旨判断される。
こうした判断がなされると、まずは左右バンクのエタノール濃度学習値KALCL及びKALCRが一旦以前の機関運転中に左右バンク毎に学習された始動時学習値KALCL0及びKALCR0に設定される(ステップS504)。そして、左バンクエタノール濃度学習値KALCLと右バンクエタノール濃度学習値KALCRとの差が先の基準値β(図2)以上となった旨判断されるまで、先の図5に例示したエタノール濃度学習処理が繰り返される(ステップS505a、S505b)。こうした処理を経て、その後、左バンクエタノール濃度学習値KALCLと右バンクエタノール濃度学習値KALCRとの差が先の基準値β(図2)以上となった旨判断された場合に(ステップS505a:YES)、右デリバリパイプ14R内の燃料のエタノール濃度が実際のエタノール濃度、すなわち上記給油された燃料タンク11内の燃料のエタノール濃度に近づいた旨推定される。そして、この時点で燃圧切替弁23が閉弁駆動され(ステップS506)、この一連の処理が終了する。
図8は、こうした燃圧切替弁開閉制御に伴う動作例についてその一例を示したものである。なお、この図8では、燃料タンク11内に残存する燃料のエタノール濃度ALCよりも新しく給油される燃料のエタノール濃度のほうが高く、また機関が低温にて再始動された場合についてその各部の動作とともにエタノール濃度推移を示している。
同図8に示されるように、内燃機関の停止中にタイミングt1にて給油操作が行われ(図8(a))、その後、タイミングt2にてイグニッションスイッチがON(オン)操作されて内燃機関が再始動されたとする(図8(b))。このとき、機関温度(冷却水温)は先の適温値T以下であるために前記燃圧切替弁23が開弁状態とされ、前記高圧リターン配管17を通じての燃料の還流は制限されている(図8(c))。
こうした状態で内燃機関が再始動されると、前記インジェクタ16による燃料噴射に伴って左右デリバリパイプ14L、14R内に新しく給油された燃料がメイン配管13を介して徐々に供給されるとともに、給油前の燃料と新しく供給された燃料とが混合されることによって、上流に位置する右デリバリパイプ14Rからその下流に位置する左デリバリパイプ14Lにかけてその内部の燃料のエタノール濃度が徐々に上昇する。
その後、タイミングt3にて左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度が前記時間Ts1の経過以前に先の基準値α1相当以上の濃度に達したとすると(図8(d))、左右バンク間でのエタノール濃度学習値の乖離についての監視が開始され、この乖離が前記基準値βに達するタイミングt4をもって前記燃圧切替弁23が閉弁状態に駆動される(図8(e)、(c))。なお前述のように、エタノール濃度学習値の乖離が基準値βに達するタイミングとは、インジェクタ16によるそれまでの燃料噴射を通じて燃料タンク11内の燃料のエタノール濃度に上流側の右デリバリパイプ14R内の燃料のエタノール濃度が近づいたと判断される時期であり、この時点で以下の燃料還流の制限を解除することで空燃比等に及ぼす大きなばらつきも緩和されるようになる。
こうして燃圧切替弁23が閉弁状態となることによって、新しく供給された燃料がその燃料圧力の増大に伴い高圧リターン配管17を介して燃料タンク11内へと還流される。
そして、この還流によって、燃料供給経路内の燃料のエタノール濃度が均一となり、その後はこの均一となったエタノール濃度に応じて空燃比ばらつき等の生じない安定した燃料噴射が継続されるようになる(図8(f))。
上記説明したように、本実施の形態にかかる車載内燃機関の制御装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施の形態では、電子制御装置41が給油操作を検出してから、左右のバンクに対応した空燃比センサ47L及び47Rの検出値から推定される左右バンク毎のエタノール濃度学習値KALCL及びKALCRの乖離が基準値β以上となるまでの間、左右デリバリパイプ内の燃料が高圧リターン配管17を通じて燃料タンク11に還流されることを制限した。このため、左右デリバリパイプ14L、14R内やメイン配管13内に残留している給油操作前の燃料、すなわち、エタノール濃度の学習値が既に設定されている燃料と給油された燃料とが徐々に混合され、インジェクタ16から噴射される燃料についても、給油操作前のエタノール濃度から給油操作によって変化したエタノール濃度にまで徐々に変化させることができるようになる。したがって、エタノー濃度学習を通じて認識されているエタノール濃度と実際のエタノール濃度との間に大きな乖離が生じることを回避しつつ燃料噴射を実行することができ、ひいてはこの乖離に起因する空燃比の悪化を抑制することができる。すなわち、当該期間におけるドライバビリティの悪化等についてもこれを好適に抑制することが可能となる。
(2)上記還流の制限を解除する条件として、左右バンク毎のエタノール学習値KALCLR及びKALCRの乖離が基準値β以上、すなわち上流側に位置する右デリバリパイプ14R内の燃料のエタノール濃度が燃料タンク11内の燃料のエタノール濃度に近づいたと判断する上で指標となる値以上になることとした。このため、上記還流制限の解除前の状態からの空燃比変化の連続性を円滑に維持することができ、当該時点以降のドライバビリティについてもこれを良好に維持することが可能となる。
(3)上記(1)、(2)に関連して、従来はドライバビリティが確保できなかったとされる領域においても、左右デリバリパイプ14L、14R内の燃料の性状変化を監視しながらエタノール濃度学習の実施が可能となった。すなわち、エタノール濃度学習の実施領域が拡大可能となった。
(4)また、給油後の機関始動に際して、燃料供給経路内の燃料の全体的な濃度偏差が縮小してから燃圧切替弁23を閉弁状態とし燃料の還流を許可するようにしている。これにより、従来はドライバビリティを確保できる条件として機関温度が適温値T(34℃)を超えていることを要件としていたが、この条件が例えば0℃以上の低温領域にも拡大されるなど、エタノール濃度学習にかかる学習速度の迅速化が図られるようにもなった。
(5)最終燃料噴射量QFINを、左右バンク毎に算出される各学習値の平均値に基づいて算出することとした。これにより、左右バンク毎のエタノール濃度の変化が平均化され、燃料性状の急変に伴う最終燃料噴射量QFINの変動、ひいては空燃比の悪化を抑制することができる。
(6)左右デリバリパイプ14L、14R別のエタノール濃度学習値の乖離と基準値βとの比較に先立ち、下流側に位置する左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度学習値の変化をまずは監視することとした。そしてこのとき、給油操作が行われるなどして左デリバリパイプ14L内のエタノール濃度学習値に基準値α1以上の変化が生じていれば、このことを条件として、左右デリバリパイプ14L、14R別のエタノール濃度学習値の乖離と基準値βとの比較を開始することとした。このため、燃料の性状変化をより確実に捉えることが可能となり、上記左右デリバリパイプ14R、14L別のエタノール
濃度学習値の乖離と基準値βとの不要な比較の実行を回避しつつも、必要時にはそれら比較に基づく燃圧切替弁23の切替制御を精度よく行うことができるようになる。
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、機関低温始動時における左デリバリパイプ14L内の燃料のエタノール濃度が給油操作に起因して変化したか否かを判断する基準値として、低温時の濃度変化基準値α1を用いた。これに限らず、機関温度が適温値T以上にある場合の高温時の濃度変化を監視する値として先の図2(b)に破線にて示すような基準値α2を用い、機関温度が適温値Tを超えた場合であっても左デリバリパイプ14L内の燃料性状の変化を監視し、左デリバリパイプ内の燃料性状の変化に応じた還流制限処理を実行することとしてもよい。
すなわち、図9に示すように、機関始動適温値Tよりも高い状態での機関再始動である旨判断された場合には(ステップS501:YES)、高温時の必要計測時間Ts2が経過するまで、燃料給油後の左バンクのエタノール濃度学習値KALCLと以前の機関運転中に学習された左バンクの始動時学習値KALCL0との差が高温時の濃度変化基準値α2以上であるか否かが判断される(ステップS520a、S520b)。この判断処理によって、燃料温度及び機関温度が適温状態であっても給油操作によって給油前とは異なるエタノール濃度の燃料が供給されたか否か、及び実際に左デリバリパイプ14L内のエタノール濃度が変化した否かの判断がなされる。一方、必要計測時間Ts2を経過しても、燃料給油後の左バンク学習値KALCと以前の機関運転中に学習された左バンク始動時学習値KALCL0との差がこの基準値α2より低い旨判断された場合には(ステップS520a:NO)、燃料温度及び機関温度が適温状態にあり、かつ給油操作が行われた燃料のエタノール濃度と給油操作前の燃料のエタノール濃度とが略同じ燃料である旨推定され、給油操作後の初回の機関始動でない場合(ステップS500:NO)と同様の処理がなされる。すなわち、燃圧切替弁23が閉とされた後、燃料噴射量の算出に用いられる補正値である燃料の左右バンクの学習値KALCL及びKALCRの値が、以前の機関運転時に学習された値である始動時学習値KALCL0及びKALCR0に設定され(ステップS511)一連の処理が終了される。また一方、燃料給油後の左バンクエタノール濃度学習値KALCLと、以前の機関運転中に学習された左バンクエタノール濃度学習値KALCL0との差が上記基準値α2以上となった旨判断された場合には(ステップS520a:YES)、燃料温度及び機関温度が適温状態にあり、かつ給油操作が行われた燃料が燃料給油前とエタノール濃度と異なる燃料である旨推定される。このため、燃圧切替弁23を閉じる処理が実行され(ステップS521)、左右バンクの学習値KALCL及びKALCRがその初期値である濃度学習初期値KALCIに設定される(ステップS522)。ここで、濃度学習初期値KALCIは、エタノール濃度学習処理を通じて学習される濃度学習値のうち、エタノール濃度ALCが最も低い場合(すなわち0%)に設定される低濃度学習値とエタノール濃度ALCの最も高い場合(85%)に設定される高濃度学習値との平均値である。こうして濃度学習値の初期化処理が実行されると、この一連の処理は終了される。
この変形例によれば、機関温度が適温値Tを超えている場合であっても、高温時の濃度変化基準値α2によって左デリバリパイプ14L内の燃料の性状変化を監視し、燃料性状の変化が空燃比への影響が懸念されるほど顕著であった場合には、機関低温時の場合と同様に燃流還流の制限処理がなされる。これにより、燃料性状の変化に起因するドライビリティの悪化をより好適に抑制することができる。
・上記実施の形態、あるいは上記変更例では、給油操作後の初回の機関始動であって、且つ機関水温が機関始動時の適温値Tより高い状態での再始動である場合には、燃圧切替弁23を閉じる処理が実行され、高圧リターン配管17を通じて左右デリバリパイプ1
4L,14Rの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限することを禁止するようにしているが、機関水温が機関始動適温値Tより高い場合であっても、左右デリバリパイプ14L,14Rの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、給油操作後、初回の機関始動時でない場合には、制限処理を実行しないこととしたが、給油操作が検出された場合には、機関始動時であるか否かに関わらず、燃圧切替弁23を開くことによって高圧リターン配管17を通じて左右デリバリパイプ14L,14Rの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限するようにしてもよい。すなわち、給油操作は機関停止中に限らず、機関運転中に実行される可能性もあるため、制限処理の開始を機関始動時ではなく給油操作の検出時としてもよい。
・上記実施の形態では、機関再始動に際して給油操作が行われた旨検出された場合には、低圧リターン配管18に備えられた燃圧切替弁23を開くことによって高圧リターン配管17を通じてデリバリパイプ14R,14Lの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限し、デリバリパイプ14R,14Lやメイン配管13に給油操作前の燃料をある程度の量残留させるようにしている。これに限らず、燃料ポンプ12の吐出圧を給油操作が検出されなかった場合と比較して小さくすることによってデリバリパイプ14R,14Lの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、給油操作フラグXFが「ON」に設定されている場合に、機関停止中に給油操作が行われた旨判断するようにしている。これに限らず、左バンクエタノール濃度学習値KALCLと左バンク始動時学習値KALCL0との乖離が低温時の濃度変化基準値α1よりも高くなった場合に給油操作が行われた旨判断するようにしてもよい。また、給油口の蓋の開閉操作を検出する検出手段を設け、同蓋の開閉に基づいて給油操作の有無を判断してもよい。またさらには、給油ガンを給油口に差込む操作を検出する手段を設け、その差込の有無に基づいて給油操作の有無を判断してもよい。
・上記実施の形態では、左バンクエタノール濃度学習値KALCLと左バンク始動時学習値KALCL0との乖離に基づいて燃料性状が変化することを検出することとした(条件1)。これに限らず、燃料性状の変化を早期に効率よく検出する上では、右バンクエタノール濃度学習値KALCRと右バンク始動時学習値KALCR0との乖離をその代替値としてもよい。
・上記実施の形態では、左右バンクの各学習値の平均値に基づいて最終燃料噴射量QFINを算出したが、これに限らず、左右のバンク毎に算出した各学習値に基づいて、左右のバンク別に最終燃料噴射量QFINを算出してもよい。そしてこの場合には、これら算出される最終燃料噴射量QFINに応じて前記左右デリバリパイプ14L、14R内のエタノール濃度学習値の乖離の判断に用いる基準値βの値を変更するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、前記条件1及び条件2において、エタノール濃度推定値に基づく学習値KALCL及びKALCLR、KALCL0を燃圧切替弁23の開閉状態を制御する燃料還流制御の判断値として用いた。これに限らず、左右デリバリパイプ14L、14R内の燃料性状に基づいて燃料還流制御を行う上では、左右バンク毎の空燃比学習値KGL及びKGR、空燃比フィードバック補正係数FAFL及びFAFR、あるいは、これらに基づく燃料噴射補正量を燃料還流制御の判断値として用いてもよい。すなわち要は、複数のバンクの別に検出される空燃比の乖離が基準値(β相当値)未満にある期間は、高圧リターン配管17を介して燃料が還流することを禁止状態とし、空燃比の乖離が基準値を超えた場合に高圧リターン配管17を介しての燃料の還流を許可状態とするものであればよい。
・上記実施の形態では、燃流還流制御手段として条件1と条件2を満たすことを要件としたが、これに限らず、条件2のみを満たすことを燃流の還流の禁止状態、許可状態の要件としてもよい。すなわち、左右バンク別の燃料性状を示す値の乖離のみ変化に基づいて燃料の還流を制御する構成であってもよい。
・上記実施の形態では、燃料還流切替機構を開閉可能な燃圧切替弁23に具現化した。これに限らず、燃料還流切替機構は燃料供給経路の流路抵抗を制御することによって燃料の還流を禁止、許可とすることのできるものであればよい。
・上記実施の形態では、空燃比検出手段を空燃比センサ47L、47Rにより具現化したが、左右バンク別の燃料性状の変化に基づいて燃料還流制御を実行する上ではこれに限らず、例えば酸素濃度センサ等を用いて左右バンク別の燃料性状の変化を推定する構成であってもよい。
・上記実施の形態では、混合燃料のエタノール濃度は、燃料タンク11に残存する燃料のエタノールの濃度と給油操作により燃料タンク11に注入される燃料のエタノール濃度とに応じてその都度異なるものとなり、0%(ガソリンのみ)〜85%の範囲内で変化するものとしたが、例えばエタノールの濃度が0%〜100%(エタノールのみ)にまで変化する混合燃料を使用する場合であっても、上記実施の形態に準じたかたちで本発明を具現化することができる。
・上記実施の形態では、ガソリンに混合させるアルコールはエタノールとしたが、これに限らず、メタノールやイソプロピルエタノール等であってもよい。
本発明にかかる車載内燃機関の制御装置の一実施形態について主にその燃料供給系の構成を示す略図及びブロック図。 (a)〜(c)は、左右デリバリパイプ内のエタノール濃度の変化とインジェクタ16から噴射される燃料のエタノール濃度推移を示すグラフ。 (a)〜(c)は、図2の比較例として左右デリバリパイプ内のエタノール濃度の変化とインジェクタ16から噴射される燃料のエタノール濃度推移を示すグラフ。 同実施形態による燃料噴射量算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。 同実施形態によるエタノール濃度学習処理についてその処理手順を示すフローチャート。 (a)は空燃比フィードバック補正係数の変化量と燃料のエタノール濃度との関係を示すグラフ。(b)は燃料のエタノール濃度とエタノール濃度学習値との関係を示すグラフ。 同実施の形態による燃圧切替弁開閉制御についてその制御手順を示すフローチャート。 同実施の形態の燃圧切替弁開閉制御に伴う動作例を示すタイミングチャート。 同実施の形態による燃圧切替弁開閉制御の変形例についてその制御手順を示すフローチャート。
符号の説明
11…燃料タンク、12…燃料ポンプ、13…メイン配管、14R…右デリバリパイプ、14L…左デリバリパイプ、15…連通管、16…インジェクタ、17…高圧リターン配管、18…低圧リターン配管、21…高圧プレッシャレギュレータ、22…低圧プレッシャレギュレータ、23…燃圧切替弁(開閉弁)、31L…左バンク用排気管、31R…
右バンク用排気管、32L…左バンク用三元触媒、32R…右バンク用三元触媒、41…電子制御装置、41a…記憶部、42…機関回転速度センサ、43…吸入空気量センサ、44…冷却水温センサ、45…燃圧センサ、46…燃料量センサ、47R…右バンク用空燃比センサ、47L…左バンク用空燃比センサ。

Claims (6)

  1. 車載内燃機関の第1及び第2のバンクにそれぞれ設けられた燃料供給装置を直列に配管接続して、燃料タンクから供給される燃料を第1のバンクの燃料供給装置を介して第2のバンクの燃料供給装置に供給する燃料供給機構と、
    前記第2のバンクの燃料供給装置から前記燃料タンクへの燃料の還流を許可する許可状態と同燃料の還流を禁止する禁止状態とに切替可能な燃料還流切替機構と、
    前記第1のバンクと前記第2のバンクとでそれらバンク別の排気ガスから各々その燃焼に供された混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    これら検出されるバンク別の空燃比の乖離が基準値未満にある期間は前記燃料還流切替機構を前記禁止状態に切替制御し、同空燃比の乖離が前記基準値以上に大きくなることに基づいて前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御する燃料還流制御手段と、
    を備える車載内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃料還流制御手段は前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較に先立って前記第2のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化を監視し、該燃料の性状に所定以上の変化が生じていることを条件に前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較を開始する
    請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料還流制御手段は前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較に先立って前記第1のバンクの燃料供給装置内の燃料の性状変化を監視し、該燃料の性状に所定以上の変化が生じていることを条件に前記検出されるバンク別の空燃比の乖離と前記基準値との比較を開始する
    請求項1に記載の車載内燃機関の制御装置。
  4. 前記燃料還流制御手段は、前記燃料の性状に所定以上の変化が生じていないとき、前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御する
    請求項2または3に記載の車載内燃機関の制御装置。
  5. 前記燃料還流制御手段は、前記車載内燃機関の始動時の温度が使用される燃料の性状において自律運転の可能な適正温度以上にあるとき、前記燃料還流切替機構を無条件に前記許可状態に切替制御する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。
  6. 前記燃料還流切替機構は、前記第2のバンクの燃料供給装置の終端部に設けられたプレッシャレギュレータを介して当該燃料供給装置内の燃料を前記燃料タンクに還流せしめる高圧リターン配管と、開閉弁である燃圧切替弁を介して前記第1のバンクの燃料供給装置に供給される燃料を前記燃料タンクに分岐還流せしめる低圧リターン配管とを備えて構成され、前記燃料還流制御手段は、前記燃圧切替弁を開弁状態として前記燃料還流切替機構を前記禁止状態に切替制御し、前記燃圧切替弁を閉弁状態として前記燃料還流切替機構を前記許可状態に切替制御する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。
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