JP2010024324A - 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2010024324A
JP2010024324A JP2008186236A JP2008186236A JP2010024324A JP 2010024324 A JP2010024324 A JP 2010024324A JP 2008186236 A JP2008186236 A JP 2008186236A JP 2008186236 A JP2008186236 A JP 2008186236A JP 2010024324 A JP2010024324 A JP 2010024324A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
weight
group
parts
flame retardant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008186236A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5265979B2 (ja
Inventor
Morio Tsunoda
守男 角田
Osamu Takise
修 滝瀬
Yasushi Yamanaka
康史 山中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Engineering Plastics Corp filed Critical Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority to JP2008186236A priority Critical patent/JP5265979B2/ja
Publication of JP2010024324A publication Critical patent/JP2010024324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5265979B2 publication Critical patent/JP5265979B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】難燃剤のブリードアウトが抑制され、機械的強度、耐湿熱性、収縮率異方性などのバランスの良好な、充填剤強化の高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記構成比の樹脂成分100重量部に対して、
(A−1)熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂 100〜40重量%
(A−2)ポリスチレン系樹脂 0〜50重量%
(A−3)相溶化剤 0〜10重量%
(B)難燃剤コンビネーション 下記成分の合計量25〜125重量部、
(B−1)ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物およびホスフィン酸塩の群から少なくとも1種類選定されたリン系難燃剤 10〜60重量部
(B−2)アミノ基含有トリアジン類の塩からなる窒素系難燃剤 10〜80重量部
(B−3)硼酸金属塩 0〜45重量部
(C)繊維長さに直角な断面の長径と短径の比(扁平率)が1.5〜10である扁平断面形状を有する繊維状強化材 5〜200重量部、
を少なくとも配合してなり、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびフェノール系樹脂のいずれの含有量も1重量%以下であることを特徴とする高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物に関する。特に、難燃性、耐電圧性、トラッキング性、グローワイヤ性に優れ、難燃剤のブリードアウトが抑制され、同時に機械的特性、寸法安定性に優れた繊維強化高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物に関する。さらに、該樹脂組成物より成形された高電圧絶縁材料部品に関する。
熱可塑性樹脂は、特に、熱可塑性ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂は、熱硬化性樹脂に代わって成形性、リサイクル性ならびに絶縁性などを活かして、自動車電装部品や電気電子部品に使用されている。
近年、電気電子部品における電気安全性に対する要求が、以前にも増して高くなりつつある。これらの部品は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter's Laboratories Inc.)のUL−94規格の難燃性やトラッキング指数(Comparative Tracking Index、略称CTI)の要求事項を同時に満たさねばならない。さらに、最近の国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission、略称IEC)規格においては、赤熱棒燃焼指数(Glow-wire Flammability Index、略称:GWFI)や赤熱棒着火温度(Glow-wire Ignition Temperature、略称:GWIT)も要求特性に加えられた。
100V以上の高電圧が印加されるような高電圧部品の中には、高い耐電圧性、高い難燃性や耐トラッキング性に加えて、着火および炎の伝播に対しての耐性についても厳しい規定が設けられ、全てをバランスよく満たす部品が求められている。しかし、高電圧部品においても、最近は小型化、軽量化の観点より樹脂成形品の薄肉化が進んでいる。そして、薄肉化された成形品について、難燃性、耐電圧性、トラッキング性、グローワイヤ性について、高いレベルでの要求特性を満足させることに加えて、機械的強度、耐湿熱性、収縮率安定性などのバランスの良好な材料が求められようになった。
熱可塑性樹脂に、ハロゲン系難燃剤を配合するとUL−94規格で最高評価であるV−0に到達可能であることはよく知られている。しかし、着火および炎の伝播に対してのグローワイヤ性は、難燃性の評価として知られているUL−94規格の難燃性とは、全く異なる方法で評価される指標である。UL−94の難燃性が、バーナーの炎を接触させた場合の「燃えにくさ」を示すのに対し、GWFI値やGWIT値は、グローワイヤによる高温での着火性を評する指標であって、全く別異な性質を示す。しかも、UL−94規格で最高評価であるV−0であっても、グローワイヤ性は不十分な場合があり、逆に、V−0より難燃性が低いV−2であっても、高いグローワイヤ性を示す場合がある。すなわち、UL−94の難燃性の評価だけが示されている既存の技術内容からは、グローワイヤ性やトラッキング性を予測することはできない。
特許文献1および特許文献2には、ハロゲン系難燃剤を使用した電気安全性に優れたポリエステル樹脂組成物が開示されている。これらの文献では、3mmの厚みにおいてGWFI値やGWIT値が高いレベルを有していることが示されている。また、近年のこのようなハロゲン系難燃剤を使用した成形品の使用後の廃棄のための、例えば、焼却処分における環境への悪影響に対する懸念から、ハロゲン系難燃剤を使用しない絶縁材料部品が求められている。
樹脂用非ハロゲン系難燃剤として、ホスファゼン化合物(ホスホニトリル化合物という表記もある)およびリン酸エステルは既に知られており、特にホスファゼン化合物は古くから知られている(例えば、特許文献3参照)。当該特許文献3は繊維への適用であるが、射出成形分野への適用例が特許文献4および特許文献5に開示されている。特許文献4には、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)ホスホニトリル線状ポリマーおよび/または環状ポリマー0.5〜100重量部、ならびに(C)トリアジン環化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸からなる塩0.5〜100重量部を配合してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。当該特許文献4および特許文献5の実施例において、V−0という優れた難燃性に到達可能であり、かつ、高い耐加水分解性を有するポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)組成物が示されている。しかしながら、これらの文献には、トラッキング性やグローワイヤ性などの電気安全性については、全く開示がない。また、ホスファゼン化合物とシアヌル酸メラミンは、それぞれ11.0〜17.4重量%、8〜12重量%の範囲で配合され、その配合比率はホスファゼン/シアヌル酸メラミン=1.17〜1.96の範囲である。すなわち、ホスファゼン化合物が過剰である。
さらに、特許文献5の請求項1には、難燃剤とポリアルキレンアリレート系樹脂とで構成された組成物であって、難燃剤が、ホスファゼン化合物とポリフェニレンオキシド系樹脂とで構成され、ホスファゼン化合物として、少なくとも架橋フェノキシホスファゼン化合物を含む難燃性樹脂組成物が記載されている。また、同文献の請求項5には、 請求項1に記載の組成物であって、難燃剤が、さらに、スチレン系樹脂および窒素含有化合物から選択された少なくとも一種の成分で構成されている組成物が開示されている。当該特許文献5は、ホスファゼン化合物とポリフェニレンオキシド系樹脂とを組み合わせて難燃剤を構成すると、ポリアルキレンアリレート系樹脂を高度に難燃化できると共に、成形品からの難燃剤の染み出し(ブリードアウト)、金属腐食性、および射出成形時の成形性(モールドデポジット)が大幅に改善できることに着目している。一方、電気安全性向上について示唆するものは見出せない。また、特許文献5は、必ずしもホスファゼン化合物と窒素含有化合物を併用する必要はないが、実施例において併用系が示されている。特許文献5における、ホスファゼン化合物と窒素含有化合物(シアヌル酸メラミン等)の配合量比率は1.47〜10:1であり、やはり、ホスファゼン化合物が過剰である。
特許文献6には、樹脂成分と難燃剤とで構成された組成物であって、樹脂成分が、ポリアルキレンアリレート系樹脂とスチレン系樹脂とで構成され、難燃剤が、ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とで構成される難燃性樹脂組成物が開示されている。特許文献6は、難燃性、難燃剤の染み出し(ブリードアウト)、機械的強度の評価結果が示されているのみで、電気安全性についての記述は認められない。また、本特許文献6は、必ずしもホスファゼン化合物と窒素含有化合物との併用である必要はないが、実施例においては併用系も示されている。特許文献6における、ホスファゼン化合物と窒素含有化合物(シアヌル酸メラミン等)の配合量比率は約2:1であり、ホスファゼン化合物が過剰である。また、窒素含有化合物の配合量が多い例も見られるが、該例では、リン系難燃剤と窒素含有化合物の合計量が100重量部と極めて多い。
リン酸エステルを配合した例として特許文献7および特許文献8がある。特許文献7は、特許文献8の応用技術であり、(A)末端カルボキシル基量が30eq/t以下で、かつ、降温結晶化温度が175℃以上であるか、または降温結晶化温度が175℃以上で、かつ、残存テトラヒドロフラン量が300ppm以下であるポリブチレンテレフタレート95〜50重量部および(B)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜50重量部からなる混合樹脂100重量部に対して、(C)相溶化剤0.05〜10重量部、(D)リン酸エステルまたはホスホニトリルから選ばれる少なくとも1種の化合物2〜45重量部、(E)強化充填材0〜150重量部、(F)滴下防止剤0.001〜15重量部、(G)シアヌル酸メラミン0〜45重量部および(H)硼酸金属塩0〜50重量部を含有してなる難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が開示されている。当該特許文献7および特許文献8は、難燃性、耐加水分解性、発生ガス量の評価結果が示されているのみで、電気安全性についての記述は認められない。また、本特許文献7および特許文献8は必ずしもホスファゼン化合物と窒素含有化合物との併用である必要はないが、実施例においては併用系も示されている。該例では、リン酸エステルとシアヌル酸メラミンが等量配合され、これらは合計で、PBT樹脂100重量部に対し21〜29重量部配合されている。明細書内には、リン酸エステル化合物とシアヌル酸メラミンの比率は、特に限定されるものではないが、通常1対9〜9対1、中でも2対8〜8対2、特に好ましくは2.5対7.5〜7.5対2.5である、と記述があるが、広範囲であり、電気安全性の向上に対して示唆的なものはない。
このように、リン系難燃剤の難燃性の向上を図るため、ポリフェニレンエーテル樹脂やフェノール樹脂が配合された例が多数見られる。
耐電圧性の改良は、ガラス繊維などの全てまたは一部を板状充填剤であるマイカで代替することにより行われてきた。しかし、マイカで代用した樹脂組成物の機械的強度は、ガラス繊維を配合した樹脂組成物に比べて低く、特に、薄肉成形品においては、その差が顕著である。また、熱可塑性ポリエステル樹脂にマイカを配合すると、耐湿熱性が著しく低下するため、特に自動車電装部品においては使用が困難であった。
ところで、ガラス繊維の断面形状を丸型から扁平形状に変えることにより、機械的強度ならびに反りが改良されることが知られている(例えば、特許文献9および10)。
特許文献10は、(A)熱可塑性樹脂、(B)長径と短径の比が1.3〜10の間にある扁平な断面形状を有する繊維状強化材、全組成物に対して1〜65重量%からなる繊維状強化熱可塑性樹脂組成物が開示されている。当該文献においては成形品の変形量(反り)および機械的強度が改善されることが示されているのみで、電気特性についての記述はない。また、電気部品用途においては、その素材の難燃性について何らかの配慮が必要であるが、その請求項6において、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂からなり、また請求項7においては、結晶性樹脂と非晶性樹脂との混合物、さらに請求項8において、結晶性樹脂がポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドと規定されており、易燃性のポリアセタールが対象樹脂として選定されていることからも、特に直接電圧が印加されるような電気電子部品を想定したものとは考えられない。しかし、発明の効果において電気機器に用いられ、コネクター、スイッチ、リレーなどの部品が挙げられているが、自動車用の外装部品、AV用構造部品、ギヤなどの機構部品と広い用途の一例として列挙されているのみであり、高度なレベルの電気特性が得られるかについて推し量ることは困難である。
さらに、扁平ガラス繊維とエラストマーを配合したポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が特許文献11および特許文献12に開示されている。当該技術は、特許文献13および特許文献14などに開示されている、自動車電装部品であるイグニッションシステムやディストリビューターなどのインサート成形品の耐ヒートショック性の改良を図ったものであり、特許文献13および特許文献14と、特許文献10の低反り化技術との組み合わせ技術に相当する。また、特許文献11および特許文献12の用途例にイグニッションシステムやディストリビューターなどの電装部品が挙げられているが、電気特性についての記述はなく、自動車電装部品における既知の問題点(耐ヒートショック性と低そり性)の改良の観点からの用途例を示しただけであり、近年の高電圧部品に求められている高いレベルでの耐電圧性に対して、充分な特性を得られるかについては不明であった。
特開2005−232410号公報 特開2006−45544号公報 特開昭51−36266号公報 特開平7−216235号公報 特開2003−82211号公報 特開2003−82210号公報 特開2004−91584号公報 特開平10−77396号公報 特開昭62−268612号公報 特開平02−173047号公報 特開2000−265001号公報 特開2000−265046号公報 特開昭63−3055号公報 特開平6−304963号公報
特許文献1および2について本発明者が検討したところ、該文献における樹脂組成物は、3mmの厚みにおいてGWFI値やGWIT値が高いレベルを有しているが、1.5mm厚み以下においてGWIT値が著しく低下することが判明した。
また、上述したように、リン系難燃剤の難燃性の向上を図るため、ポリフェニレンエーテル樹脂やフェノール樹脂を配合するとCTI特性が急激に低下することを見出した。このようなCTI特性の急激な低下は、絶縁材料部品として不適格である。すなわち、実質的にポリフェニレンエーテル樹脂やフェノール樹脂を配合しない絶縁材料部品の開発が求められている。
本発明は、かかる観点から検討されたものであって、薄肉においても難燃性、耐電圧性、トラッキング性、グローワイヤ性の高いレベルでの要求特性を満足させることに加えて、さらには難燃剤のブリードアウトが抑制され、機械的強度、耐湿熱性、収縮率異方性などのバランスの良好な、充填剤強化の高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物を提供するものである。また、該樹脂組成物より製造される成形品を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、特定の樹脂成分ならびに難燃剤コンビネーションを組み合わせ、さらに、従来の丸型断面形状のガラス繊維に代えて、扁平断面形状を有するガラス繊維を代表例とした扁平繊維状強化材を使用することにより、難燃性、耐電圧性、トラッキング性、グローワイヤ性がバランスよく向上することを見出し、本発明に到達した。
具体的には、以下の手段により達成された。
(1)(A)下記構成比の樹脂成分100重量部に対して、
(A−1)熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂 100〜40重量%
(A−2)ポリスチレン系樹脂 0〜50重量%
(A−3)相溶化剤 0〜10重量%
(B)難燃剤コンビネーション 下記成分の合計量25〜125重量部、
(B−1)ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物およびホスフィン酸塩の群から少なくとも1種類選定されたリン系難燃剤 10〜60重量部
(B−2)アミノ基含有トリアジン類の塩からなる窒素系難燃剤 10〜80重量部
(B−3)硼酸金属塩 0〜45重量部
(C)繊維長さに直角な断面の長径と短径の比(扁平率)が1.5〜10である扁平断面形状を有する繊維状強化材 5〜200重量部、
を少なくとも配合してなり、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびフェノール系樹脂のいずれの含有量も1重量%以下であることを特徴とする高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物。
(2)(B)難燃剤コンビネーションにおいて、(B−1)リン系難燃剤と(B−2)窒素系難燃剤の構成比率(重量比)が(B−1)/(B−2)=0.14〜1.1の範囲であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記樹脂組成物が、さらに(D)滴下防止剤を、(A)樹脂成分 100重量部に対して0.01〜15重量部含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)(A−2)ポリスチレン系樹脂が、エポキシ変性ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれが1項に記載の樹脂組成物。
(5)(A−1)成分の熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(6)前記(C)繊維状強化材の繊維の長さ方向に直角に切断した際の断面形状が長方形または長円形であり、扁平率が2.5〜10であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる、高電圧絶縁材料部品。
本発明は、次のような効果を有している。
1)本発明の樹脂組成物は、難燃性、耐電圧性、トラッキング性およびグローワイヤ性が総合的に優れる。結果として、その成形品は、難燃剤のブリードアウトが抑制された品質の安定したものとなる。
2)ハロゲン系難燃剤を含めない構成とすることもでき、環境汚染に対し配慮することができる。
3)機械的強度、収縮異方性および外観にも優れた成形品を得ることができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本明細書において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。さらに、炭素数が限定されている基の場合、該炭素数は、置換基が有する炭素数を含めた数を意味している。
本発明における高電圧絶縁材料部品とは、常時、または少なくとも瞬間的または一時的に高電圧を印加するよう意図的に設計された電気電子部品ならびに偶発的に高電圧が印加されることが想定される電気電子部品で、その高電圧に対して絶縁の役割を果たす絶縁材料部品である。偶発的な事象の例としては、落雷や高電圧線のショートなどがある。
高電圧とは、一般的に使用される電圧(100V)を超える交流および/または直流電圧を指す。より厳しくは1kV以上の電圧を言う。
高電圧部品中の樹脂成形品の形状については特に限定されるものではないが、少なくともその一部において肉厚が3mm以下である場合に、本発明の効果が顕著に現れる。肉厚2.5mm以下の場合がより好ましい効果を得ることができ、2mm以下の場合がさらに好ましい。
高電圧部品としては、自動車等の原動機における放電部品や、照明関連などに用いられる変圧部品等があり、具体的には自動車のイグニッション、ディストリビューター部品などのエンジン点火系部品や、ディスチャージランプなどの照明部品がある。また偶発的な高電圧印加が想定される部品としては、電気ブレーカーや漏電遮断器等の漏電保護部品、コンセントやプラグ、ターミナルなどの配線部品、100Vの電圧を高電圧、または低電圧に変換する変圧器部品、さらに磁場を発生させるためのコイルボビンなどがある。
(A)樹脂成分
本発明の樹脂成分としては、(A−1)熱可塑性樹脂、(A−2)ポリスチレン系樹脂および(A−3)相溶化剤からなる。ここで、(A−2)ポリスチレン系樹脂は、必須成分ではないが、CTI特性、難燃性を低下することなく、難燃剤、特にリン系難燃剤のブリードアウトの著しい抑制効果を発揮するので、リン系難燃剤の種類や配合量によっては配合することが好ましい。一方、(A−3)相溶化剤は、熱可塑性樹脂成分との相溶性がないポリスチレン系樹脂との相溶性を高めるために必要に応じて配合される。
(A−1)熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。本発明における熱可塑性樹脂とは、加熱すると流動性を示し、これを利用して成形加工できる合成樹脂をいう。本発明では熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を主成分とする。ここで主成分とは、熱可塑性樹脂が本発明の樹脂組成物の樹脂成分のうち、最も含量が多い成分をいい、通常は、80重量%を占める成分であることをいう。熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂は、酸素指数が高く、耐熱性があるので好ましい。本発明では、熱可塑性ポリエステル樹脂がより好ましい。本発明において使用される熱可塑性樹脂は、安定剤などの含量が1重量%以内の樹脂組成物を用いて成形された厚み0.8mmのUL燃焼試験片を用い、ISO 4589(JIS K7201)に準拠して、東洋精機製、OXIGEN INDEXERISOを用い測定した酸素指数が19以上となるものが好ましく、具体的には、ポリアミド6(23)、ポリアミド66(28)などのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(21)、ポリエチレンテレフタレート(24)などの熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げられる[( )内は酸素指数]。また、耐熱性の指針としては、ISO75規格における0.45MPa荷重下での荷重たわみ温度が、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である樹脂を採用できる。また、耐熱性は、(C)繊維状強化材の含量によって向上するが、例えば、(C)繊維状強化材を15重量%添加した場合の荷重たわみ温度が200℃以上となる樹脂を採用することが好ましい。このような要件を満たす樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド6が挙げられる。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂がより好ましい。
(A)樹脂成分において、(A−1)熱可塑性樹脂の割合は、(A)樹脂成分中に、100〜40重量%であり、好ましくは100〜50重量%、より好ましくは100〜55重量%、さらに好ましくは100〜60重量%である。
(A−1−1)熱可塑性ポリエステル樹脂
本発明で使用される(A−1)成分としての(A−1−1)ポリエステル樹脂としては、公知のポリエステル樹脂を広く用いることができる。ポリエステル樹脂は、1種のみでも、2種以上を併用してもよい。ポリエステル樹脂として、好ましくは、ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールとからなるポリエステル樹脂である。
ジカルボン酸またはその誘導体としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、および、脂肪族ジカルボン酸、ならびに、これらの低級アルキルまたはグリコールのエステルが好ましく、芳香族ジカルボン酸またはこの低級アルキル(例えば、炭素数1〜4)あるいはグリコールのエステルがより好ましく、テレフタル酸またはこの低級アルキルエステルがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい例として挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい例として挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸等が好ましい例として挙げられる。これらのジカルボン酸またはその誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、好ましくは、炭素数2〜20の脂肪族ジオールであり、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオールを好ましい例として挙げることができる。脂環式ジオールとしては、好ましくは、炭素数2〜20の脂環式ジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロールおよび1,4−シクロヘキサンジメチロールを好ましい例として挙げることができる。芳香族ジオールとしては、好ましくは、炭素数6〜14の芳香族ジオールであり、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンを好ましい例として挙げることができる。これらのジオールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、ヒドロキシカルボン酸、単官能成分、および/または三官能以上の多官能成分を有していてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸が好ましい例として挙げられる。単官能成分としては、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、tert−ブチル安息香酸およびベンゾイル安息香酸が好ましい例として挙げられる。三官能以上の多官能成分としては、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびペンタエリスリトールが好ましい例として挙げられる。
(A−1−1)ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)またはポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)が好ましく、より好ましくはPBT樹脂である。PBT樹脂は、テレフタル酸を唯一のジカルボン酸単位とし、1,4−ブタンジオールを唯一のジオール単位とするポリブチレンテレフタレート単独重合体が成形性や耐熱性の観点では好ましいが、低反り性の観点からは、他のモノマー成分、例えばイソフタル酸を共重合した共重合体が好ましい。本発明においては、PBT樹脂とは、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオールの50モル%以上を占めることをいう。PBT樹脂は、さらに、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が70モル%以上のものが好ましく、90モル%以上のものがより好ましい。また、ジオール単位中の1,4−ブタンジオールの割合は、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。このようなPBT樹脂を用いることにより、機械的性質および耐熱性がより向上する傾向にあり好ましい。
なお、(A−1−1)熱可塑性樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂を使用したときは、後述の(A−2)ポリスチレン系樹脂などのビニル芳香族系樹脂を少量配合することにより、耐電圧性をさらに向上でき、同時に低比重化、低反り性を図ることができるが、耐熱性の低下を招くので、配合量については、耐電圧、耐熱性、機械的強度のバランスを考える必要がある。
本発明におけるPBT樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールが1:1(重量比)の混合溶媒中、30℃の測定で0.5〜3.0dl/gが好ましく、0.5〜1.5dl/gがより好ましく、0.6〜1.3dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度を0.5以上とすることにより、機械的特性がより効果的に発揮され、3.0以下とすることにより、成形加工がより容易になる。さらに、2種以上の固有粘度のPBT樹脂を併用してもよい。
本発明におけるPBT樹脂の融点は、225〜190℃であることが好ましい。
(A−1−2)ポリアミド樹脂
次に、本発明で使用される(A−1)成分としての(A−1−2)ポリアミド樹脂とは、公知のポリアミド樹脂であれば特に制限はなく、すなわち、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を含み加熱溶融できる重合体である。具体的には、ラクタムの重縮合物、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物と塩の重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種タイプのポリアミド樹脂、またはそれ等の共重合ポリアミド樹脂やブレンド物等である。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。また、ジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、(2,2,4−または2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミンが挙げられる。
また、ジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。また、ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸等が挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーもしくはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。ポリアミド樹脂重合モノマーであるジカルボン酸、ジアミンやラクタムの炭素数は4〜15である化合物が好ましい。炭素数を15以下とすることにより、剛性が高くなる傾向にあり、4以上とすることにより、吸湿性が小さくなる傾向にあり、耐電圧性が向上する。これらの中で、ポリアミド6、ポリアミド66ならびにポリアミドMXD6が、入手のしやすさなどから好ましい。
また、本発明に好適なポリアミド樹脂は、ある範囲内の溶融粘度を有するものが好ましい。好ましい溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機製キャピログラフ1C)を使用し、280℃で、せん断速度100sec-1にて測定で、750〜10000ポイズであり、さらに好ましくは800〜8000ポイズである。特に好ましくは850〜7000ポイズである。溶融粘度を、750ポイズ以上とすることにより、樹脂組成物の機械的強度がより向上し、10000ポイズ以下とすることにより、流動性が向上し、生産性が向上し、好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂の融点は、280〜160℃であることが好ましい。
(A−2)ポリスチレン系樹脂
本発明の(A−2)ポリスチレン系樹脂としては、芳香族ビニル単量体の単独または共重合体、芳香族ビニル単量体と、シアン化ビニル単量体およびゴム成分から選択された少なくとも1種とで構成された共重合体(例えば、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との共重合体、ゴム成分に芳香族ビニル単量体がグラフト共重合した重合体、ゴム成分に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフト共重合した非結晶性ゴム状重合体等)が使用される。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、アルキルスチレン(例えば、o−、m−、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、2,4−ジメチルスチレンなどのビニルキシレン類、エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン類)、α−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等)が例示できる。これらのスチレン系単量体は、単独でまたは2種以上組合せて使用できる。これらのスチレン系単量体のうち、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどで例示できる。シアン化ビニル単量体も単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。好ましいシアン化ビニル単量体はアクリロニトリルである。
ゴム成分としては、共役ジエン系ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等)、オレフィン系ゴム(エチレン−プロピレンゴム(EPDMゴム)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン(塩素化ポリエチレンなど))、アクリルゴム等が例示でき、これらのゴム成分は水素添加物であってもよい。これらのゴム成分は、単独でまたは2種以上組合わせて使用できる。これらのゴム成分のうち、共役ジエン系ゴムが好ましい。なお、共役ジエン系ゴムなどのゴム成分において、ゲル含有量は何ら制限されない。また、ゴム成分は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、溶液−塊状重合、塊状−懸濁重合等の方法で製造できる。
芳香族ビニル単量体は、さらに、他の共重合性単量体を併用してもよい。共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル等のマレイン酸モノ炭素数1〜10のアルキルエステル)やこれらに対応するフマル酸モノエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルなど)、マレイミド系単量体(例えば、マレイミド、N−メチルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど)が挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独でまたは2種以上を組合わせて使用できる。好ましい共重合性単量体には、(メタ)アクリル酸エステル(特にメチルメタクリレート)、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイミド系単量体等が含まれる。
他の共重合性単量体を用いる場合、芳香族ビニル単量体と他の重合性単量体との割合(重量比)は、芳香族ビニル単量体/他の共重合性単量体で、通常100/0〜10/90、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80である。芳香族ビニル単量体が多いほうが、難燃剤のブリードアウト抑制効果がより大きい傾向にあり好ましい。一方、ポリスチレン系樹脂の分散の度合いとも関係するが、芳香族ビニル単量体が多いと、炭化し易く、トラッキング性やグローワイヤ特性が低下する傾向にあるので、共重合性単体量に対する芳香族ビニル単量体の含量が、好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下である。
より具体的には、シアン化ビニル単量体を共重合成分として用いる場合、前記芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体との場合(重量比)は、例えば、芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量体で、通常、10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20である。
ゴム成分を用いる場合、ゴム成分と芳香族ビニル単量体との割合(重量比)は、例えば、ゴム成分/芳香族ビニル単量体=5/95〜80/20、好ましくはゴム成分/芳香族ビニル単量体=10/90〜70/30である。ゴム成分の割合を上記下限値以上とすることにより、樹脂組成物の耐衝撃性が向上し、上記上限値以下とすることにより、分散が良好となり、外観が向上する傾向にある。
好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、グラフト重合体[アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(ABSM樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)等]、ブロック共重合体[例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体など)、スチレン−アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体(AES)等]、またはこれらの水添物などが挙げられる。特に好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体等が含まれ、さらに好ましくはポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)である。これらのスチレン系樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
(A)樹脂成分において、スチレン系樹脂の割合は、(A)樹脂成分中に、0〜50重量%であり、配合する際は、好ましくは2.5〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明における(A−2)ポリスチレン系樹脂のなかでも、分散性が良好で、耐加水分解性も同時に向上するポリスチレン系樹脂として、エポキシ変性ポリスチレン系樹脂が好ましく使用される。エポキシ変性ポリスチレン系樹脂は、スチレン系樹脂にエポキシ基を導入したものである。エポキシ基の導入方法は、従来公知の任意の方法を用いることができる。具体的には、エポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合もしくは共重合したスチレン系樹脂が好ましく用いられる。エポキシ基含有ビニル系単量体は、一分子中にラジカル重合可能なビニル基とエポキシ基の両者を共有する化合物であり、具体例としてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどの不飽和有機酸のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類および2−メチルグリシジルメタクリレートなどの上記の誘導体類が挙げられ、中でもアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが好ましく使用できる。またこれらは単独ないし2種以上を組み合わせて使用することができる。
そしてエポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合もしくは共重合したスチレン系樹脂を製造する方法としては、通常公知の方法が採用できるが、特にスチレン、または、スチレンおよびこれと共重合可能なその他の単量体とエポキシ基含有ビニル系単量体とを共重合する方法、スチレン、または、スチレンおよびこれと共重合可能なその他の単量体を共重合して得られる(共)重合体にエポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合する方法が挙げられる。さらには、エポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体をポリスチレンとブロック共重合またはグラフト共重合した構造を有する高分子化合物、エポキシ基を付加した櫛型ポリスチレン、エポキシ基を付加したポリスチレン等を挙げることができる。かかる共重合、グラフト重合も公知の方法により行うことができる。
上記スチレンと共重合可能なその他の単量体としては、スチレン以外の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド系単量体等が挙げられる。上記スチレン以外の芳香族ビニル化合物としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、および、ジビニルベンゼンなどが挙げられ、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、およびその誘導体などのN−置換マレイミドなどが挙げられる。その他、ジエン化合物、マレイン酸ジアルキルエステル、アリルアルキルエーテル、不飽和アミノ化合物、およびビニルアルキルエーテルなども挙げられる。これらは1種または2種以上で用いることができる。
ポリスチレン系樹脂にラジカル発生剤などにより、エポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合または共重合する際の、ベースとなるスチレン系樹脂の好ましい具体例としては、ポリスチレン樹脂、ハイインパクト−ポリスチレン樹脂などの主としてポリスチレンからなる樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン樹脂等のスチレン系共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレン樹脂、スチレン/イソプレン/スチレン樹脂、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン樹脂などのスチレンを含有するブロック共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂等のABS系樹脂等が挙げられる。これらの中で、主としてポリスチレンからなる樹脂、スチレン系共重合体が好ましく、特にアクリロニトリル/スチレン共重合体が最も好ましい。
また、エポキシ基を有するポリマーとポリスチレン系ポリマーとの共重合構造は特に限定されるものではないが、例としては、主鎖にエポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体であって側鎖がポリスチレンである櫛型構造の高分子化合物、エポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体とポリスチレンをブロック共重合した直鎖状構造の高分子化合物、主鎖がポリスチレンであって側鎖がエポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体である櫛型構造の高分子化合物、主鎖にエポキシ基を含有するポリスチレンであって側鎖がポリスチレンである櫛型構造の高分子化合物、少量のエポキシ基を付加したポリスチレン等を挙げることができる。中でも、主鎖にエポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体であって側鎖がポリスチレンである櫛型構造の高分子化合物、主鎖にエポキシ基を含有するポリスチレンであって側鎖がポリスチレンである櫛型構造の高分子化合物、少量のエポキシ基を付加した変性ポリスチレンが好ましく、特に、主鎖にエポキシ基を含有する共重合性不飽和モノマーからなる重合体であって側鎖がポリスチレンである櫛型構造の高分子化合物が好ましい。これらのエポキシ基を含有するポリスチレン系樹脂は複数種のブレンドであっても良い。
エポキシ変性ポリスチレン系樹脂中のエポキシ基含有量は、(A−1)熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とエポキシ変性スチレン系樹脂の相溶性を向上させるのに有効であれば特に限定されるものではないが、エポキシ変性ポリスチレン系樹脂に対して、エポキシ基含有単量体が0.05重量%以上であることが好ましい。多量に共重合すると流動性低下やゲル化の傾向があり、エポキシ基含有単量体の含有量によるが、(A)樹脂成分中、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。
これらのエポキシ変性ポリスチレン系樹脂は1種以上用いることができる。また、エポキシ変性ポリスチレン系樹脂とエポキシ基を含有してないポリスチレン系樹脂との混合もエポキシ基の含有量、分子量などの調整のために有効な手段である。
なお、本発明において、エポキシ変性スチレン系樹脂の、スチレン成分(スチレン残基)含有量は上述のスチレンを主とするポリスチレン系樹脂の場合は、50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上であり、スチレン系共重合体の場合は、30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上であり、ABS系樹脂の場合は、30重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、ブロック共重合体の場合は、10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。
上記エポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合もしくは共重合したエポキシ変性ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、もしくはスチレンおよびこれと共重合可能なその他の単量体とエポキシ基含有ビニル系単量体を共重合した重合体が好ましく用いられる。
中でも、特に、スチレン、アクリロニトリルおよびグリシジルメタクリレートを共重合したエポキシ変性AS樹脂が好ましく用いられる。かかるエポキシ変性AS樹脂におけるグリシジルメタクリレートの共重合量は、(A)成分との相溶性を向上させるのに有効であれば特に限定されるものではないが、エポキシ変性AS樹脂中、0.05重量%以上であることが好ましい。上限値としては、流動性向上およびゲル化抑制の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。また、スチレンおよびアクリロニトリルの共重合量は特に制限はないが、スチレン50〜99.9重量%、アクリロニトリル0.05〜49.95重量%であることが好ましく、スチレン70〜99.9重量%、アクリロニトリル0.05〜29.95重量%であることがより好ましい。
また、上記のエポキシ変性ポリスチレン系樹脂の添加量は、得られる難燃性樹脂組成物の成形品外観の向上および難燃性の向上の観点から(A)樹脂成分中、2.5〜50重量部が好ましく、5〜45重量部がより好ましい。
(A−3)相溶化剤
本発明では、相溶化剤を添加してもよい。本発明の樹脂成分において、ポリスチレン系樹脂のポリアルキレンテレフタレート樹脂等は、難燃性やトラッキング特性に微妙な影響を与えるため、微粒子に分散する方が好ましいが、エポキシ基などのポリアルキレンテレフタレート樹脂との反応基を有しないポリエステル系樹脂の場合においては良好な分散を行うのが困難になる場合がある。樹脂組成物を製造する際に、機械的に強せん断により分散すると発熱などで、難燃剤の分解などのトラブルが発生する場合があるので、相溶化剤を10重量%以下の割合で配合するのが好ましく、5〜0.01重量%で配合するのがより好ましい。
好ましい相溶化剤として、エポキシ化合物が挙げられる。本発明で用いられるエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、脂環化合物型ジエポキシ化合物、グリシジルエーテル類、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ変性熱可塑性樹脂、エポキシ系難燃剤などが挙げられる。さらに具体的には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシドなどの脂環化合物型エポキシ化合物、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、テトラブロモビスフェノールAのエポキシオリゴマーがいずれも好ましく用いられる。本発明で用いられるエポキシ化合物としては、耐加水分解性と樹脂への分散の観点からエポキシ当量150〜280g/eqのノボラック型エポキシ樹脂、またはエポキシ当量600〜3000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。より好ましくはエポキシ当量180〜250g/eqで分子量1000〜6000のノボラック型エポキシ樹脂、またはエポキシ当量600〜3000g/eqで分子量1200〜6000のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
エポキシ化合物の配合量は、(A)樹脂成分中、好ましくは0〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜8重量%である。エポキシ化合物を添加することにより、分散性が改善される傾向にあり好ましい。10重量%以下とすることにより、流動性が向上し、難燃性が向上する。
(B)難燃剤コンビネーション
本発明の樹脂組成物における難燃剤コンビネーションは、後述の(B−1)リン系難燃剤、(B−2)窒素系難燃剤、(B−3)硼酸金属塩の組み合わせからなる。ここで、(A)樹脂成分100重量部に対して、リン系難燃剤は10〜60重量部、窒素系難燃剤は10〜80重量部、硼酸金属塩は0〜45重量部であり、同時にその合計量が25〜125重量部であることが必要である。難燃剤コンビネーションは、その合計量が25〜90重量部であることが好ましい。125重量部を超えるとCTIやグローワイヤ特性が低下し、さらにはガスの発生が多くなる。25重量部未満であると難燃性、トラッキング特性、グローワイヤ性を満足できない。
(B−1)リン系難燃剤
本発明においては、リン系難燃剤としてはホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物またはホスフィン酸塩を用いることが必要であり、ホスファゼン化合物が好ましい。これらは単独または2種以上の混合物として使用することができる。
(B−1a)ホスファゼン化合物
本発明で用いることができるホスファゼン化合物としては、従来公知のものを広く用いることができる。例えば、特開2002−114981号公報には、ホスファゼン系難燃剤を、次のように3種類に分類している。即ち、架橋フェノキシホスファゼンを難燃剤A、環状ホスファゼンおよび/または直鎖状ホスファゼンを難燃剤B、シアノ置換フェノキシ基含有環状ホスファゼンおよび/または直鎖状ホスファゼンを難燃剤Cと名づけ分類しており、このいずれも使用可能である。熱安定性の点から難燃剤Aまたは難燃剤Cが好ましく、さらに難燃剤のブリードアウトの点からは難燃剤Cのシアノ置換フェノキシ基含有ホスファゼンが好ましい。
先ず、環状ホスファゼンおよび/または直鎖状ホスファゼン(上記難燃剤B)を説明する。環状ホスファゼン化合物は下記式(1)で示され、鎖状ホスファゼン化合物は下記式(2)で示される。
Figure 2010024324
Figure 2010024324
(式中のnは3〜25の整数、mは3〜10000の整数であり、置換基Xは、それぞれ、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、下記式(3)で示される置換基を有するアリールオキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシ基およびアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基から選ばれる置換基であり、それぞれ異なっていても、同じでもよい。置換基上の水素は一部または全部がフッ素原子、水酸基、有機基に置換されていても構わない。また、式中のYは−N=P(O)(X)または−N=P(X)3を表し、Zは−P(X)4または−P(O)(X)2を表す。)
式(2)中の繰り返し単位の部分は、すべてが同じ繰り返し単位であってもよいし、異なっていてもよい。
Figure 2010024324
(式中のY1、Y2、Y3、Y4およびY5は、それぞれ、水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ばれる置換基を表す。)
これらの化合物は、単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなり、同量を添加する場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられることから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファゼン化合物中の置換基Xは特に制限はなく、一例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−ターシャリーブチルフェニル基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジエチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、3,5−ジエチルフェノキシ基、3,4−ジエチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、これらの基の一部または全部の水素がフッ素原子および/またはヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。ここで、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基であり、一例を挙げると、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
ついで、シアノ置換フェノキシ基含有環状ホスファゼンおよび/または直鎖状ホスファゼン(難燃剤C)を説明する。本発明においては、上記式(3)のY1、Y2、Y3、Y4およびY5の一部がシアノ基で置換されたホスファゼン化合物(以下において、シアノ基含有ホスファゼン化合物と略記することがある。)であることが好ましく、即ち、式(4)、式(5)の構造を有することが好ましい。
Figure 2010024324
Figure 2010024324
上記式(4)および(5)において、m、n、Y、Zは式(1)と(2)と同じであり、R1とR2は、それぞれ、シアノ基、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリル基またはフェニル基を示す。ただし、上記化合物におけるR1またはR2がシアノ基である割合は、R1とR2の総数の2〜98%である。
さらに詳しくは、式(4)または式(5)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、シアノフェノキシ基とフェノキシ基を混合置換した、シクロトリホスファゼン、シクロテトラホスファゼン、シクロペンタホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物、または直鎖状ホスファゼン化合物が挙げられる。
上記シアノフェノキシ基とフェノキシ基を混合置換した環状ホスファゼン化合物の具体例として、例えば、モノシアノフェノキシペンタフェノキシシクロトリホスファゼン、ジシアノフェノキシテトラフェノキシシクロトリホスファゼン、トリシアノフェノキシトリフェノキシシクロトリホスファゼン、テトラシアノフェノキシジフェノキシシクロトリホスファゼン、およびペンタシアノフェノキシモノフェノキシシクロトリホスファゼン等のシクロトリホスファゼン化合物、モノシアノフェノキシペプタフェノキシシクロテトラホスファゼン、ジシアノフェノキシヘキサフェノキシシクロテトラホスファゼン、トリシアノフェノキシペンタフェノキシシクロテトラホスファゼン、テトラシアノフェノキシテトラフェノキシシクロテトラホスファゼン、ペンタシアノフェノキシトリフェノキシシクロテトラホスファゼン、ヘキサシアノフェノキシジフェノキシシクロテトラホスファゼン、およびへプタシアノフェノキシモノフェノキシシクロテトラホスファゼン等のシクロテトラホスファゼン、およびシアノフェノキシ基とフェノキシ基が混合置換したシクロペンタホスファゼン化合物等の環状ホスファゼン化合物が挙げられる。
さらに、上記分類の架橋フェノキシホスファゼン(難燃剤A)を説明する。これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号パンフレットに開示されている技術により、上記環状ホスファゼンおよび/または直鎖状ホスファゼンをフェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(式(6))からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていてもよい。
Figure 2010024324
(式中、Xは、−C(CH32−、−SO2−、−S−、または−O−を、yは0または1を表す。)
これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロロホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロロホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。これらのホスファゼン化合物は単独で用いても、二種以上の混合物として用いてもよい。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼン、架橋体といった構造の異なる混合物であるが、樹脂に添加した場合の加工性は環状三量体、四量体含有率または架橋体が高いほど好ましい傾向にあり、好ましくは三量体または架橋体を70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上含有するホスファゼン化合物を用いる場合、(B−2)成分と効果的に相乗効果を発現し、優れた難燃性付与効果が得られる上、優れた機械特性の向上効果が得られる。
また、該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ好ましくは200ppm以下、より好ましくは50ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
また、式(3)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが好ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましい。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、下記式(7)で表されるオキソ体構造をとることもあるが、このようなオキソ体化合物も水酸基含有ホスファゼン化合物と同様に1重量%未満であることが好ましい。上記式(2)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2010024324
(式中のa+b=nであり、nは3以上の整数である。また、式中のXは、それぞれ、アリールオキシ基および/またはアルコキシ基を示す。)
本発明において好適に使用されるホスファゼン化合物に含有する水分量は、電気特性、耐加水分解性等を考慮した場合、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、特に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは300ppm以下であり、且つJIS K6751に基づき測定された酸価が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下である。
また、本発明で好適に使用されるホスファゼン化合物においては、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌後に水中に溶け込んだサンプルの量を指す)が好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm、さらに好ましくは、25ppm以下である。
本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物においては、含有する置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。取り扱い性、作業性等を考慮する必要がある場合、固体状態であるものが好ましい。固体状態の場合、嵩密度が好ましくは0.45g/cm3以上、より好ましくは0.45g/cm3以上であり、上限は好ましくは0.75g/cm3以下である。
(B−1b)リン酸エステル化合物
本発明に使用される成分(B−1b)リン酸エステル化合物としては、広範囲のリン酸エステルが包含され、具体例に、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等が挙げられるが、中でも下記式(8)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010024324
(式中、R1〜R8は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0または1〜4の整数である。R9は、p−フェニレン基、m−フェニレン基、4,4'−ビフェニレン基または以下から選ばれる2価の基である。)。
Figure 2010024324
式(8)において、R1〜R8は、本発明組成物の耐加水分解性を向上させるためには、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、中でも炭素数2以下のアルキル基、特にメチル基が好ましい。mは好ましくは1〜3の整数であり、1がより好ましい。R9は、中でもp−フェニレン基、m−フェニレン基が好ましく、特にm−フェニレン基が好適である。
このようなリン酸エステル化合物のなかでも下記式(10)または式(11)で表される化合物が好ましく、式(10)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2010024324
Figure 2010024324
このようなリン酸エステル化合物の市販品としては、大八化学社製PX−200、PX−201、PX−130、CR−733S、TPP、CR−741、CR747、TCP、TXP、CDPから選ばれる1種または2種以上が使用することができ、好ましくはPX−200、TPP、CR−733S、CR−741、CR747から選ばれる1種または2種以上であり、より好ましくはPX−200、CR−733S、CR−741から選ばれる1種または2種以上であり、さらに好ましくはPX−200である。
また、下記式(12)で表される芳香族ホスフェート化合物も好ましく使用できる。
Figure 2010024324
(式中、R1、R2、R4、R5は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基を表し、R3は、2官能基を有するナフタレン環を表し、nは、1〜5の整数を表す。)
nが2以上のとき、それぞれの繰り返し単位は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(12)で表される芳香族ホスフェート化合物の中でも1, 5−ナフタレンビスジフェニルリン酸エステルが好ましい。
(B−1c)ホスフィン酸塩
本発明に用いられる、ホスフィン酸塩(B−1c)とは、下記式(13)で表されるホスフィン酸塩および/または式(14)で表されるジホスフィン酸塩であり、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物を用いて水溶液中で製造され、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存して、環境によっては縮合度が1〜3のポリマー性ホスフィン酸塩も含まれる。
Figure 2010024324
Figure 2010024324
式中、R1およびR2は、それぞれ、線状もしくは分枝状の炭素数1〜6のアルキル基および/またはアリール基であり、R3は線状もしくは分枝状の1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアルキルアリーレン基または炭素数6〜10のアリールアルキレン基であり、MはCa、Mg、AlおよびZnのいずれかであり、mは2または3、nは1または3、xは1または2である。
ホスフィン酸塩としての具体例は、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウムが挙げられる。
また、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。特に難燃性、電気特性の観点からジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
本発明の組成物を成形して得られる成形品の機械的強度、成形品外観の点でホスフィン酸塩の粒子サイズは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下に粉砕した粉末を用いるのが良い。0.5〜20μmの粉末を用いると高い難燃性を発現するばかりでなく成形品の強度が著しく高くなるので特に好ましい。ホスフィン酸塩は難燃剤として作用するが、窒素系難燃剤と併用することで少ない難燃剤量で優れた難燃性と優れた電気特性を発現する。しかし、これらの配合量が多いと離型不良やモールドデポジットの発生が起こりやすく、成形性が低下する。
リン系難燃剤の量は、(A)樹脂成分100重量部に対して10〜60重量部であり、好ましくは15〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。リン系難燃剤の配合量が60重量部を越えるとトラッキング特性、機械的物性が低下しやすく、またブルーミングしやすくなり、さらに発生ガス量が多くなる。
(B−2)アミノ基含有トリアジン類の塩
窒素系難燃剤であるアミノ基含有トリアジン類の塩において、アミノ基含有トリアジン類(アミノ基を有するトリアジン類)としては、通常、アミノ基含有1,3,5−トリアジン類が使用され、例えば、メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂樹脂など)、シアヌル酸アミド類(アンメリン、アンメリドなど)、グアナミンまたはその誘導体(グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、フタログアナミン、CTU−グアナミンなど)などが挙げられる。
塩としては、前記トリアジン類と、無機酸や有機酸との塩が例示できる。無機酸には、硝酸、塩素酸(塩素酸、次亜塩素酸など)、リン酸(前記リン酸金属水素塩の項で例示のリン酸など)、硫酸(硫酸や亜硫酸などの非縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸などの縮合硫酸など)、ホウ酸、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タングステン酸などが含まれる。これらのうち、リン酸や硫酸が好ましい。有機酸には、有機スルホン酸(メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸など)、環状尿素類(尿酸、バルビツル酸、シアヌル酸、アセチレン尿素など)などが挙げられる。これらのうち、メタンスルホン酸などの炭素数1〜4のアルカンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの炭素数1〜3のアルキル基を有する炭素数6〜12のアレーンスルホン酸、シアヌル酸が好ましい。
アミノ基含有トリアジン類の塩としては、例えば、リン酸メラミン類(ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)、硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、ピロ硫酸ジメラムなど)、スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩、トルエンスルホン酸メラミン、トルエンスルホン酸メラム、トルエンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)などが挙げられる。これらのアミノ基含有トリアジン類の塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
このような窒素系難燃剤のなかで本発明において好ましく使用されるのは、シアヌル酸またはイソシアヌル酸とトリアジン系化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物である。より具体的にはシアヌル酸メラミン、シアヌル酸ベンゾグアミン、シアヌル酸アセトグアナミンであり、さらにはシアヌル酸メラミンである。これらの塩は、公知の方法で製造されるが、例えば、トリアジン系化合物とシアヌル酸またはイソシアヌル酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のトリアジン系化合物ないしシアヌル酸、イソシアヌル酸が残存していても良い。また、樹脂に配合される前の塩の平均粒子サイズは、成形品の難燃性、機械的強度や耐湿熱特性、滞留安定性、表面性の点から100〜0.01μmが好ましく、さらに好ましくは80〜1μmである。また、上記の塩の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や公知の表面処理剤などを併用してもかまわない。
窒素系難燃剤の量は、(A)樹脂成分100重量部に対して10〜80重量部であり、好ましくは20〜70重量部である。
なお(B)難燃剤コンビネーションにおいて、前記(B−1)リン系難燃剤と(B−2)窒素系難燃剤の構成比率(重量比)は、好ましくは(B−1)/(B−2)=0.14〜1.1の範囲であり、より好ましくは0.2〜1.0の範囲であり、さらには好ましくは0.3〜0.95の範囲である。構成比率を0.14以上とすることにより難燃性がより向上する傾向にあり、1.1以下とすることにより、GWIT値をより向上させることができる。
(B−3)硼酸金属塩
本発明のポリエステル樹脂組成物は(B−3)硼酸金属塩を含有することが好ましい。本発明に用いられる成分(B−3)硼酸金属塩とは、通常用いる処理条件下で安定であり、揮発成分のないものが好ましい。硼酸金属塩としては硼酸のアルカリ金属塩(例えば、四硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム等)あるいはアルカリ土類金属塩(例えば、硼酸カルシウム、オルト硼酸マグネシウム、オルト硼酸バリウム、硼酸亜鉛等)等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、硼酸亜鉛である。硼酸亜鉛は、一般に、2ZnO・3B23・xH2O(x=3.3〜3.7)で示される。水和硼酸亜鉛としては好ましくは、2ZnO・3B23・3.5H2Oの式をもつものであり、かつ260℃またはそれより高い温度まで安定なものである。
硼酸金属塩の量は、(A)樹脂成分100重量部に対して0〜45重量部であり、好ましくは1〜20重量部であり、さらに好ましくは2〜15重量部である。硼酸金属塩の配合量が45重量部を越えると機械的物性が低下しやすい。
(C)扁平断面形状を有する繊維状強化材
本発明における(C)繊維状強化材は、強化樹脂組成物の機械的特性(引張強度、曲げ強度、耐衝撃強度など)を向上させ、同時に、成形品の耐ヒートショック性を向上させる。本発明における(C)繊維状強化材は、異形断面を有する繊維状強化材をいう。繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維などが挙げられる。
本発明における異形断面形状を有する繊維状強化材は、繊維の長さ方向に直角な断面の長径をD2、短径をD1とするとき、D2/D1比(扁平率)が1.5〜10であり、2.5〜10であるものが好ましく、2.5〜8のものがより好ましい。2.5以上とすることにより、難燃性、耐ヒートショック性、耐電圧の向上という効果がある。さらに、繊維状強化材の平均繊維長Lとするとき、(L×2)/(D2+D1)比(アスペクト比)が10以上のものが好ましく、50〜10のものがより好ましい。
繊維状強化材の扁平率(長径と短径との比)は、繊維状強化材の断面の顕微鏡により長径と短径の測定値から容易に算出することができる。市販されている繊維状強化材は、扁平率がカタログに記載されていれば、この値を活用することができる。強化繊維長を測定するには、繊維状強化材を配合した強化樹脂組成物から約5gのサンプルを切り出し、温度600℃の電気炉中で2時間置いて灰化させた後、残った繊維状強化材について測定する。繊維状強化材を折損しないように中性表面活性剤水溶液中に分散させ、その分散水溶液をピペットによってスライドグラス上に移し、顕微鏡で写真撮影を行う。この写真画像について、画像解析ソフトを用い、1000〜2000本の強化繊維について測定を行い、平均繊維長が算出できる。
繊維状強化材の断面形状は、繊維の長さ方向に直角に切断した際の断面形状が、例えば、長方形、長円形、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭型であるものが挙げられる。これら繊維状強化材の断面形状の例は、特開2000−265046号公報に記載されている。断面形状が繭型の繊維状強化材は、中央部がくびれていて、その部分の強度が低く中央部で割れることがあり、またこのくびれた部分が基体樹脂との密着性が劣る場合もあるので、機械的特性向上を目的する場合は、断面形状が長方形、長円形、または楕円形のものを使用するのが好ましく、断面形状が長方形または長円形であることがより好ましい。
尚、長円形とは、縦横の長さが異なり、かつ全体に丸みを有する滑らかな曲線からなる形状や、2つの円弧とこれらの円弧を連結する2つの直線からなる形状も含む趣旨である。
本発明の樹脂組成物のガラス繊維として好適に使用可能な異形断面のガラス繊維が、例えば特公平3−59019号公報、特公平4−13300号公報、特公平4−32775号公報等に記載の方法を用いて製造することができる。特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、該オリフィスプレート底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、または単数または複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップを用いて製造された断面が扁平なガラス繊維が好ましい。
また、本発明においては、一般的な円形(または丸型)断面ガラス繊維(扁平率1)を、上記の異形断面ガラス繊維と併用してもよいが、その際の扁平率やアスペクト比は、重量平均にて算出された数値が前記扁平率やアスペクト比の範囲内に入ればよい。
本発明で使用される上記ガラス繊維は、例えば、γーメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等で表面処理されていることが望ましく、付着量は、ガラス繊維重量の0.01重量%以上とすることが好ましい。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウンム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等を併用したもの等によって表面処理されたものを用いることもできる。
本発明において、ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス等の組成からなるものが好ましく、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が熱可塑性樹脂の熱安定性に悪影響を及ぼさない点で好ましい。また、ガラス繊維を用いる際は、一般的には取り扱いの容易さなどから、短繊維タイプ(チョップドストランド)のものを使用することが好ましいが、特に耐衝撃特性が要求される成形品の場合には、成形品中のガラス繊維の繊維長をより長く保つ点から、長繊維タイプのものを使用することがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(C)繊維状強化材を、(A)樹脂成分100重量部に対し、5〜200重量部含み、5〜150重量部含むことが好ましい。
(D)滴下防止剤
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、(D)滴下防止剤を含んでいてもよい。(D)滴下防止剤とは、燃焼時の樹脂の滴下を防止する性質を有する化合物を指し、具体的な例としては、シリコンオイル、シリカ、アスベスト、フッ素樹脂やタルク、マイカなどの層状珪酸塩等が挙げられる。中でも組成物の難燃性の観点から好ましい滴下防止剤として、フッ素樹脂、層状珪酸塩等が挙げられる。さらに好ましくは、少量の配合量で効果を有するフッ素樹脂が好ましい。
(D)滴下防止剤滴下防止剤の量は、(A)樹脂成分100重量部に対して0.01〜15重量部の範囲から選ばれる。滴下防止剤の量が少ないと、燃焼中の滴下防止効果が不十分であり、多すぎると、流動性や機械的物性の低下を招く畏れがある。
(D)滴下防止剤として使用されるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、フッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィンが好ましく、中でもポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体がより好ましく、特にはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好適に用いられる。
(D)滴下防止剤として使用されるフッ素樹脂は、350℃における溶融粘度が、1.0×102〜1.0×1015(Pa・s)のものが好ましく、中でも1.0×103〜1.0×1014(Pa・s)、特には1.0×1010〜1.0×1012(Pa・s)のものが好適に用いられる。溶融粘度を1.0×102(Pa・s)以上とすることにより、燃焼時の滴下防止能が向上する傾向にあり、1.0×1015(Pa・s)以下とすることにより、組成物の流動性が向上する傾向にあり好ましい。
フッ素樹脂の量は、(A)樹脂成分100重量部に対し、通常、0.01〜15重量部であり、好ましくは、0.5〜15重量部であり、より好ましくは0.7〜12重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。フッ素樹脂の添加量を0.01重量部以上とすることにより、燃焼中の滴下防止効果がより良好になり、15重量部以下とすることにより、流動性や機械的物性がより向上する。
(D)滴下防止剤として層状珪酸塩を使用することは、本発明の樹脂組成物の溶融時の流動性の観点からは好ましい。層状珪酸塩としては、層状珪酸塩、変性層状珪酸塩(層間に4級有機オニウムカチオンを挿入した層状珪酸塩)、反応性官能基を付与した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩が挙げられるが、層状珪酸塩の本発明の樹脂組成物への分散性および滴下防止能の観点から、変性層状珪酸塩、反応性官能基を付加した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩が好ましく、特にはエポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基、カルボキシル基、酸無水物等の反応性官能基を付加した層状珪酸塩または変性層状珪酸塩がより好ましい。官能基付与方法としては特に制限はないが、官能化試薬(シランカップリング剤)で処理する方法が簡単で好ましい。
官能化試薬として具体的には、例えは、エポキシ基を有するクロロシラン類、カルボキシル基を有するクロロシラン類、メルカプト基を有するクロロシラン類、アミノ基を有するアルコキシシラン類、エポキシ基を有するアルコキシシラン類等が挙げられるが、中でも3−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルクロロシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリクロロシラン等のエポキシ基を有するクロロシラン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するアルコキシシラン類、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン類が好ましい。これら官能化試薬の層状珪酸塩への接触方法は特に制限はないが、通常無溶媒または極性溶媒中での混合により行なうことが好ましい。
本発明に用いられる層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スブチンサイト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであってもよい。中でも、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母が好ましい。
本発明に用いられる変性層状珪酸塩の層間に挿入される4級オニウムカチオンに特に制限はないが、好適に使用される具体例としては、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウムなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物における(D)滴下防止剤として層状珪酸塩を用いる場合、その添加量は(A)樹脂成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.3〜12重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。(D)滴下防止剤としての層状珪酸塩を0.1重量部以上含めることにより燃焼中の滴下防止効果が向上する傾向にあり、15重量部以下とすることにより流動性や機械的物性が顕著に向上する。尚、層状珪酸塩は1種類を用いてもよく、或いは2種以上を併用してもよい。
(D)滴下防止剤としては、シリコンオイルを用いることも好ましく、シリコンオイルとしては下記式(15)で表されるジメチルポリシロキサン骨格を有する化合物(tは、通常、10〜20000の整数である)であり、末端または側鎖の一部あるいは全部がアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性を受け官能基化されていてもよい。
Figure 2010024324
(D)滴下防止剤として使用するシリコンオイルの粘度は、25℃において、1000〜30000(cs.)が好ましく、中でも2000〜25000(cs.)、特には3000〜20000(cs.)が好ましい。1000(cs.)以上にすることにより、燃焼中の滴下防止作用が良好に働き、難燃性が向上する傾向にあり、30000(cs.)以下とすることにより、増粘が抑制され、流動性が向上する傾向にある。(D)滴下防止剤として、シリコンオイルを使用する場合の量は、(A)樹脂成分100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部であり、好ましくは0.02〜8重量部、より好ましくは0.03〜5.0重量部である。(D)滴下防止剤としてのシリコンオイルを0.01重量部以上とすることにより、滴下防止効果が向上する傾向にあり、10重量部以下とすることにより、流動性、機械的性質が向上する傾向にある。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、厚み0.8mmのUL燃焼試験片を用いて、ISO 4589(JIS K7201)に準拠して、東洋精機製、OXIGEN INDEXERISOを用い測定した酸素指数が19以上であることが好ましく、25以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、ISO75規格における0.45MPa荷重下での荷重たわみ温度が好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、上記(A)〜(D)の成分の他に、慣用の添加剤などを配合することができる。配合する添加剤に特に制限はなく、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤、滑剤、離型剤、触媒失活剤、結晶核剤、結晶化促進剤などの添加剤は、樹脂の重合途中あるいは重合後に添加することができる。さらに、樹脂組成物に、所望の性能を付与するために、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの安定剤、染顔料などの着色剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤などを配合することができる。またポリエステル樹脂の耐加水分解性をさらに向上させるべくエポキシ化合物、カルボジイミド、オキサゾリン等を添加できる。また、耐ヒートショック性の改善のため弾性樹脂(例えばポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコン系エラストマー、コアシェル型エラストマーなど公知の弾性樹脂)も使用可能であるが、特に難燃性に阻害を与えることが考えられるのでその配合量については充分な吟味が必要である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、上記(B)難燃剤コンビネーション以外の難燃剤を添加してもよい。また、ハロゲン系難燃剤は、樹脂組成物中、5重量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要に応じて、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂を配合することができる。しかし、前述のようにポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂の配合は、トラッキング特性を低下するので好ましくなく、全樹脂組成物中で1重量%以下の含有量に抑制する必要があり、0.5重量%以下であることがより好ましい。ここで、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂については特許文献8に、フェノール樹脂については特許文献6に開示されているものを本発明においては適用することが好ましい。
なお、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂はトラッキング特性を向上する効果があるが、難燃性を低下する傾向にある。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造法は特に限定されるものではなく、公知の方法により各成分を混合することにより容易に達成することができる。例えば、ブレンダーやミキサーなどを使用してドライブレンドする方法、押出機を使用して溶融混合する方法などが挙げられるが、通常スクリュー押出機を使用して溶融混合してストランドの押し出し、ペレット化する方法が適している。具体的には、各成分を一括して溶融混練する方法、特定成分を先に溶融混合する方法等が挙げられるが、中でも機械的物性の観点から、(A)樹脂成分と(B)難燃剤コンビネーションを先に溶融混合した後に、残りの成分を混合する製造方法が好ましい。
各成分の混合方法は、特に制限されることはなく、二軸スクリュー押出機を用いて成分を一括して溶融混練する一括ブレンド方法、および強化充填材等を他の供給口から添加する分割ブレンド方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物から成形品を得るための成形加工方法に特に制限はなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押し出し成形、プレス成形などの成形法を適用することができ、特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を240〜280℃にコントロールするのが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性、耐電性などの電気安全性、機械的物性等に優れ、さらに低比重、流動性に優れることから薄肉あるいは複雑な形状の成形品用途に好適に使用することができる。さらに得られた成形品からの難燃剤のブリードアウトは抑制されているため、製品の品質安全性が向上する。従って、上述した難燃性樹脂組成物を使用して形成された樹脂成形部は、高GWFI値、高GWIT値を実現し、かつ従来から必要とされている、UL規格の難燃性(V−0)や、トラッキング性、耐電圧等の要求事項をも満たすことができるため電気機器、電子機器あるいはそれ等の一般的な部品を製造する材料として好適である。
本発明の樹脂組成物の特性を特に有効に活用できる成形品は高電圧絶縁材料部品である。高電圧絶縁材料部品としては、電気ブレーカーや漏電遮断器等の漏電保護部品、コンセントやプラグ、ターミナルなどの配線部品、100Vの電圧を高電圧、または低電圧に変換する変圧器部品、磁場を発生させるためのコイルボビンなどの電気電子機器が挙げられる。また、車両分野においても自動車等の原動機における放電部品や、照明関連などに用いられる変圧部品等があり、自動車のイグニッション、ディストリビューター部品などのエンジン点火系部品や、ディスチャージランプなどの照明部品が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下に記載した例に限定されるものではない。
[実施例で使用した成分]
(A−1−1−a)PBT樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5008、融点224℃
(A−1−1−b)PET樹脂:三菱化学社製、ノバペックスGS385、融点255℃
(A−1−2)ポリアミド−6樹脂(PA−6樹脂):三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバミッド1010J、融点224℃
(A−2a)エポキシ変性AS樹脂:AS樹脂(テクノポリマー(株)製、サンレックスSAN−C、メルトマスフローレート25g/10min、PS/AN=75/25)100重量部に対して、メタクリル酸グリシジル3重量部および2.5−ジメチル−2.5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシンの0.015重量部をブレンドし、30mmの二軸押出機を使用して210℃にて混練した後ペレット化した。尚、未反応のメタクリル酸グリシジルをアセトン抽出した後、紫外線吸収スペクトル測定からメタクリル酸グリシジルの定量を行ったところ、1.7重量%反応していた。
(A−2b)EGMA−g−PS:エポキシ変性ポリスチレン樹脂、日本油脂(株)製、商品名モディパーA4100。エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)にポリスチレン(PS)をグラフトした櫛型構造ポリマーであり、EGMA/PS=70/30(重量比)である。
(A−2c)AS樹脂:スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、テクノポリマー(株)製、サンレックスSAN−C、メルトマスフローレート25g/10min、PS/AN=75/25(重量比)
(A−2d)PS樹脂:GPPS樹脂、PSジャパン(株)製、商品名HF77、メルトフローレイト7.5g/10min
(A−3)エポキシ化合物:相溶化剤としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーEP17
(A−4)ポリオレフィン系エラストマー:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学(株)製 商品名ボンドファースト2C)
(B−1a)4−シアノ基フェノキシ含有ホスファゼン化合物
前記特許文献8(特開平10−77396号公報)の合成例15を参考にし、次のように合成した。
撹拌装置、加熱装置、温度計および脱水装置を備えた容量2リットルの四ツ口フラスコに、4−シアノフェノール1.76モル、フェノール0.88モル、水酸化ナトリウム2.64モルおよびトルエン1000mlを添加した。次に、この混合物を加熱還流し、系から水を除き、シアノフェノールおよびフェノールのナトリウム塩のトルエン溶液を調製した。そして、このシアノフェノールおよびフェノールのナトリウム塩のトルエン溶液に、1モルのジクロロホスファゼンオリゴマー(環状3〜8量体が85%以上、直鎖状が15%未満であるもの)を含む20%クロロベンゼン溶液580gを撹拌しながら内温30℃以下で滴下した。この混合溶液を12時間還流した後、反応混合物に5%水酸化ナトリウム水溶液を添加し2回洗浄した。次に有機層を希硫酸で中和した後、水洗を2回行い有機層を濾過し、濃縮、真空乾燥(真空乾燥条件:80℃、5mmHg、12時間)することによって、シアノフェノキシ基を含有するホスファゼンを得た。このものは元素分析によりほぼN=P(OC64CN)1.34(OC650.66であり、シアノフェノール基の割合は67%である。このものの融点は不明確であった。
(B−1b)2,2−ビス(p−オキシフェニル)プロパン基による架橋構造を有するフェノキシホスファゼン化合物
前記特許文献8(特開平10−77396号公報)の合成例2を追試して合成した。得られた架橋ホスファゼンは、リン含有率並びにCHN元素分析値より最終物の組成は、N=P(−O−Ph−C(CH32−Ph−O−)0.25(−O−Ph)1.50であった。このものの融点は不明確であった。
(B−1c)ホスファゼン化合物:環状物を主体とするホスファゼン化合物(伏見製薬所(株)製、商品名FP−100)
(B−1d)リン酸エステル化合物:下式(16)で示されるリン酸エステル。
Figure 2010024324
(B−1e)ホスフィン酸塩:ジエチルホスフィン酸アルミ、クラリアントジャパン(株)製、商品名OP1240。
(B−2)トリアジン環含有化合物:シアヌル酸メラミン、三菱化学(株)製、商品名MX44。
(B−3)硼酸亜鉛:ボラックス・ジャパン(株)製、商品名ファイヤーブレイク500。
(C−1)ガラス繊維(長円形断面 扁平率4):日東紡社製、CSH3PA830、ポリエステル用
(C−2)ガラス繊維(長円形断面 扁平率4):日東紡社製、CSH3PA820、ポリアミド用
(C−3)ガラス繊維(まゆ形断面 扁平率2):日東紡社製、CSH3PA860、ポリエステル用
(C−4)ガラス繊維(円形断面):日本電気硝子社製、ECS03T187、ポリエステル用
(C−5)ガラス繊維(円形断面):日本電気硝子社製、ECS03T289、ポリアミド用
(D)PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン工業(株)製、四フッ化エチレン樹脂、ポリフロンF201。
(E)臭素系難燃剤:臭素化ポリスチレン、アルベマール日本(株)製、商品名Saytex HP−7010。
(F)アンチモン化合物:三酸化アンチモン、森六(株)製、商品名MIC−3。
(G)安定剤:ヒンダードフェノール系化合物、チバ・スペシャリティー・ジャパン(株)製、商品名イルガノックス1010
(H)離型剤:モンタン酸カルシウム、クラリアントジャパン(株)製、商品名CaV102
(I−1)PPE樹脂:ポリフェニレンエーテル樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、商品名ユピエース、固有粘度0.36。
(I−2)フェノール樹脂:ノボラックフェノール樹脂、住友デュレズ(株)製、商品名スミライトレジンPR−53195
[性能評価法]
(1)難燃性試験
UL試験片(厚み1/32インチ)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter's Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。難燃性レベルは該規格に従い、V−0>V−1>V−2>HBの順で評価し、V−2以上の難燃性が要求され、好ましくはV−0である。
(2)耐電圧性(絶縁破壊強さ 単位KV)
乾燥状態の100mm×100mmの1mmおよび2mm厚みのシート成形品について、ヤマヨ試験器社製絶縁破壊試験装置YST−243−100RHOにて、23℃油中、短時間法(2kV/sec)、電極は直径6mmの円柱と直径25mmの円柱の組合せで絶縁破壊電圧を測定した。
(3)比較トラッキング指数試験(略称:CTI試験)
試験片(厚み3mmの平板)について、国際規格 IEC60112に定める試験法によりPTIを決定した。このPTIは、25V刻みの保証電圧の数値である。CTIは固体電気絶縁材料の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたとき、600Vから100Vの間の電圧におけるトラッキングに対する対抗性を示すものであり、550V以上が要求され、好ましくは600V以上である。
(4)赤熱棒燃焼指数(Glow-wire Flammability Index)試験(略称:GWFI試験)
試験片(厚み3mmの平板)について、IEC60695−2−12に定める試験法に従った。即ち、所定形状の赤熱棒(外形4mmのニッケル/クロム(80/20)線をループ形状にしたもの)を30秒間接触させ、その後引き離す。この間に着火しないか、着火しても引き離し後30秒以内に火が消える先端の最高温度として定義され、最高で、960℃まで試験する。難燃用途には850℃以上が求められる。本発明においては、960℃で合格するかを判定した。
(5)赤熱棒着火温度(Glow-wire Ignition Temperature)試験(略称:GWIT試験)
厚み0.75mm、1.5mm、3mmの3種類の平板試験片について、IEC60695−2−13に定める試験法に従った。即ち、所定形状の赤熱棒(外形4mmのニッケル/クロム(80/20)線をループ形状にしたもの)を30秒間接触させ、着火しない先端の最高温度より25℃高い温度として定義される。難燃用途には、0.8〜3mm厚みのGWIT値として775℃以上が求められる。さらに好ましくは800℃以上が求められる。
(6)表面外観評価試験
上記の縦100mm、横100mm、厚み3mmの平板試験片の表面を目視観察し、ガラス繊維の浮きあがり状態で外観を評価した。一般的な成形品の許容外観範囲内であるものを◎または○とした。ガラス繊維の浮き上がりが認められず良好なものを◎、ガラス繊維の浮き上がりが極僅かに認められるものを○、ガラス繊維の浮き上がりが一部に認められるものを△、かなり広い範囲にわたってガラス繊維の浮きが認められ、まったく許容範囲外であるものを×として表記した。
(7)難燃剤ブリードアウト試験
10cm角、厚み3mmの平板を試料とし、150℃に温調された熱風乾燥機内で、48時間の熱処理を行った後、試験片の表面を目視観察により、難燃剤の染み出しを次の4段階に分類し、◎および○は実用上使用可能と判断した。
◎:染み出しなし
○:染み出し極僅かに認められる
△:染み出しあり
× :染み出し多い
(8)引張試験
ISO引張試験片(ISO3167)を用い、ISO527に準拠して測定した。
(9)湿熱処理試験
上記ISO試験片を、(株)平山製作所社製プレッシャークッカー(PC−422R5F)にて、温度85℃、湿度95%の環境下2000時間処理した。処理後試験片を真空乾燥することにより試験片の乾燥を行った。処理前後のISO試験片について、ISO527に準拠し引張試験を行い、引張強度保持率を測定した。
(10)反り量測定試験
上記成形条件で成形した直径100mm、厚さ1.6mmの円板(ゲートは円周上の1点ゲートである。)を用いて、収縮率の異方性の評価として、反りの測定を実施した。円板の片端を平板に固定し、反対側が平板から浮き上がった距離を測定し反り量とした。この数値が小さいほど、異方性が少なく成形品にひずみがなく好ましい。
[実施例1〜13および比較例1〜14]
表1に記載のガラス繊維以外の成分を一括してスーパーミキサー(新栄機械社製SK−350型)で混合し、L/D=42の2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST)のホッパーに投入し、(C)ガラス繊維をサイドフィードして、吐出量20kg/時間、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下押出してポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
その樹脂組成物ペレットについて、射出成型機(住友重機械社製、型式SH−100)を使用して、シリンダ温度270℃、金型温度100℃の条件で上記(1)〜(7)の試験片(縦横それぞれ10cm、厚さ0.75mm、1mm、1.5mm、2mmおよび3mmの5種類の平板試験片、および厚さ1/32インチのUL−94規格の試験片)を製造した。また、(8)および(9)の試験片としては、射出成形機(住友重機械(株)製、型式S−75 MIII)を用い、265℃にて、ISO引張試験片(ISO3167)を成形した。(10)の試験片についても、射出成形機(住友重機械(株)製、型式S−75 MIII)を用い、265℃にて、金型温度90℃にて成形した。以上の試験片を用いて、上記の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 2010024324
Figure 2010024324
上記表より次のことが判明した。
(1)異形断面GFを配合した実施例1〜13は、丸断面GFを配合した比較例1、3〜6に対して耐電圧特性が高かった。
(2)実施例1等の組成に、さらにPPE樹脂またはフェノール樹脂を配合した比較例7〜10は、難燃性、ブリードアウト性は良好であるが、トラッキング性が著しく低下し、本発明の目的には不適合であることが分かった。
(3)各種ポリスチレン系樹脂を配合した実施例9〜12とポリスチレン系樹脂を配合してない実施例1との比較において、難燃性、トラッキング性、グローワイヤ性はほぼ保持したまま、反り性がより改善され、かつ耐電圧特性が向上した。一方、ポリオレフィン系エラストマーを配合した比較例12は、難燃性が悪化した。
本発明では、熱可塑性樹脂に異形断面を有する繊維状充填剤、および必要に応じてエラストマー、エポキシ化合物、ビニル芳香族系樹脂を配合することにより、機械的強度や成形流動性等を損なうことなく、耐電圧性等の電気特性が大幅に向上し、高電圧部品の製造に適した樹脂組成物を提供できる。本樹脂組成物を用いて作製した高電圧部品は、高温高湿、冷熱衝撃等の厳しい環境下で使用した場合も耐電圧特性の低下が小さく、自動車等における高電圧部品に好適に使用できる。

Claims (7)

  1. (A)下記構成比の樹脂成分100重量部に対して、
    (A−1)熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂 100〜40重量%
    (A−2)ポリスチレン系樹脂 0〜50重量%
    (A−3)相溶化剤 0〜10重量%
    (B)難燃剤コンビネーション 下記成分の合計量25〜125重量部、
    (B−1)ホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物およびホスフィン酸塩の群から少なくとも1種類選定されたリン系難燃剤 10〜60重量部
    (B−2)アミノ基含有トリアジン類の塩からなる窒素系難燃剤 10〜80重量部
    (B−3)硼酸金属塩 0〜45重量部
    (C)繊維長さに直角な断面の長径と短径の比(扁平率)が1.5〜10である扁平断面形状を有する繊維状強化材 5〜200重量部、
    を少なくとも配合してなり、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびフェノール系樹脂のいずれの含有量も1重量%以下であることを特徴とする高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物。
  2. (B)難燃剤コンビネーションにおいて、(B−1)リン系難燃剤と(B−2)窒素系難燃剤の構成比率(重量比)が(B−1)/(B−2)=0.14〜1.1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物が、さらに(D)滴下防止剤を、(A)樹脂成分 100重量部に対して0.01〜15重量部含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (A−2)ポリスチレン系樹脂が、エポキシ変性ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれが1項に記載の樹脂組成物。
  5. (A−1)成分の熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(C)繊維状強化材の繊維の長さ方向に直角に切断した際の断面形状が長方形または長円形であり、扁平率が2.5〜10であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる、高電圧絶縁材料部品。
JP2008186236A 2008-07-17 2008-07-17 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品 Active JP5265979B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008186236A JP5265979B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008186236A JP5265979B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010024324A true JP2010024324A (ja) 2010-02-04
JP5265979B2 JP5265979B2 (ja) 2013-08-14

Family

ID=41730443

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008186236A Active JP5265979B2 (ja) 2008-07-17 2008-07-17 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5265979B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011224895A (ja) * 2010-04-21 2011-11-10 Daicel Polymer Ltd 複合成形体
JP2011231191A (ja) * 2010-04-27 2011-11-17 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
WO2011148796A1 (ja) * 2010-05-27 2011-12-01 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2013166840A (ja) * 2012-02-15 2013-08-29 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物
WO2014084157A1 (ja) 2012-11-28 2014-06-05 ウィンテックポリマー株式会社 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びその成形品
WO2016165964A1 (de) * 2015-04-13 2016-10-20 Clariant International Ltd Flammhemmende polyamidzusammensetzung
WO2023145596A1 (ja) * 2022-01-25 2023-08-03 東レ株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法および成形品

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006117722A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Wintech Polymer Ltd 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP2007091865A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Wintech Polymer Ltd 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
WO2007077794A1 (ja) * 2005-12-26 2007-07-12 Wintech Polymer Ltd. レーザー溶着における透過側部材用難燃性樹脂組成物
JP2008088377A (ja) * 2006-10-05 2008-04-17 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ブレーカー筐体用ポリアミド樹脂組成物及びブレーカー筐体
JP2008512525A (ja) * 2004-09-13 2008-04-24 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー グローワイヤ耐性を向上させたポリアミドをベースとするハロゲンフリーの難燃性熱可塑性成形用組成物
WO2008068898A1 (ja) * 2006-12-04 2008-06-12 Mitsubishi Engineering-Plastics Corporation 難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008512525A (ja) * 2004-09-13 2008-04-24 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー グローワイヤ耐性を向上させたポリアミドをベースとするハロゲンフリーの難燃性熱可塑性成形用組成物
JP2006117722A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Wintech Polymer Ltd 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP2007091865A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Wintech Polymer Ltd 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
WO2007077794A1 (ja) * 2005-12-26 2007-07-12 Wintech Polymer Ltd. レーザー溶着における透過側部材用難燃性樹脂組成物
JP2008088377A (ja) * 2006-10-05 2008-04-17 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ブレーカー筐体用ポリアミド樹脂組成物及びブレーカー筐体
WO2008068898A1 (ja) * 2006-12-04 2008-06-12 Mitsubishi Engineering-Plastics Corporation 難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011224895A (ja) * 2010-04-21 2011-11-10 Daicel Polymer Ltd 複合成形体
JP2011231191A (ja) * 2010-04-27 2011-11-17 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
US8921465B2 (en) 2010-05-27 2014-12-30 Wintech Polymer Ltd. Polybutylene terephthalate resin composition
WO2011148796A1 (ja) * 2010-05-27 2011-12-01 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP5805080B2 (ja) * 2010-05-27 2015-11-04 ウィンテックポリマー株式会社 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2013166840A (ja) * 2012-02-15 2013-08-29 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物
WO2014084157A1 (ja) 2012-11-28 2014-06-05 ウィンテックポリマー株式会社 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及びその成形品
WO2016165964A1 (de) * 2015-04-13 2016-10-20 Clariant International Ltd Flammhemmende polyamidzusammensetzung
KR20170137173A (ko) * 2015-04-13 2017-12-12 클라리언트 플라스틱스 앤드 코팅즈 리미티드 난연성 폴리아미드 조성물
JP2018511685A (ja) * 2015-04-13 2018-04-26 クラリアント・プラスティクス・アンド・コーティングス・リミテッド 難燃性ポリアミド組成物
US10941281B2 (en) 2015-04-13 2021-03-09 Clariant Plastics & Coatings Ltd Flame-retardant polyamide composition
KR102514554B1 (ko) * 2015-04-13 2023-03-24 클라리언트 인터내셔널 리미티드 난연성 폴리아미드 조성물
WO2023145596A1 (ja) * 2022-01-25 2023-08-03 東レ株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法および成形品
JP7327703B1 (ja) 2022-01-25 2023-08-16 東レ株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法および成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5265979B2 (ja) 2013-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5412057B2 (ja) 樹脂組成物及びこれを用いた電気絶縁部品
JP4210219B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5265979B2 (ja) 高電圧絶縁材料部品用樹脂組成物およびその成形品
US7169836B2 (en) Flame-retardant resin composition
JP4267945B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5282364B2 (ja) 難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品
JPWO2003046083A1 (ja) 難燃性樹脂組成物
WO2004085537A1 (ja) 難燃性合成樹脂組成物
JP4478293B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP4878895B2 (ja) 導電性樹脂組成物
JP2010189517A (ja) ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形体
JP5720778B2 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
KR101632571B1 (ko) 기계적 특성이 우수한 비할로겐 난연화 폴리에스테르 수지 조성물 및 이의 성형품
JP4478294B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP3742522B2 (ja) 強化難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP4307882B2 (ja) 難燃性ポリアミド樹脂組成物
JP3943806B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP4700852B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP5264790B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP5688201B2 (ja) 電気安全性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物
JP6904173B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品
JP7296006B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品
JP2010027346A (ja) 絶縁材料部品
JP5248724B2 (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および成形品
JP2010024362A (ja) 樹脂組成物及びこれを用いた電気絶縁部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130430

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5265979

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250