JP2010002027A - 円筒ころ軸受および円筒ころ軸受装置 - Google Patents

円筒ころ軸受および円筒ころ軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、軸受の長寿命化が可能な円筒ころ軸受および円筒ころ軸受装置を提供する。
【解決手段】 この円筒ころ軸受1は、内輪2と外輪3の軌道面2a,3a間に円筒ころ4が介在し、グリースで潤滑が行なわれる。円筒ころ4の外径面に、全周に続く環状の凹部4aを設ける。前記凹部の幅寸法は、前記円筒ころの外径面のストレート部長さの15〜25%とする。この凹部4aにより、従来では潤滑が行き届き難かった円筒ころ4の転動面近傍でグリースを保持できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、工作機械主軸等の支持に用いられる円筒ころ軸受および円筒ころ軸受装置に関する。
工作機械主軸軸受の主な潤滑方法として、搬送エアに潤滑オイルを混合してノズルから吐出するエアオイル潤滑や、メンテナンスフリーで使用可能なグリース潤滑等の方法がある。しかし、エアオイル潤滑法は、付帯設備としてエアオイル供給装置が必要であることと、多量のエアを必要とすることから、コスト、省エネ、省資源の観点から問題がある。また、オイルの飛散や騒音によって周辺環境を悪化させる問題もある。これらの問題点を回避するため、近年ではグリース潤滑による高速・長寿命化の要望が多くなってきており、種々の改良が行なわれてきた。
グリース潤滑法の改良例の一つとして、転がり軸受の固定側軌道輪に、軌道面に続く段差面を設け、その段差面に先端が隙間を介して対面し周壁で固定側軌道輪との間に流路を形成する隙間形成片を設けると共に、前記流路に連通するグリース溜り部を設け、グリース溜り部内の温度上昇による圧力変動によってグリースの基油を前記隙間から軸受内に押し出すようにしたものが提案されている(特許文献1)。
また、グリース潤滑法の他の改良例として、円筒ころ軸受において、円筒ころを保持する保持器の先端側内周部に、円筒ころとの接触を避ける逃げ部を潤滑剤溜まり部と兼用して設けたものも提案されている(特許文献2)。
特開2007−182917号公報 特開2005−163997号公報 特開2005−127493号公報
しかし、円筒ころ軸受では、内外輪の軌道面と円筒ころの転動面とが線接触するため、点接触する玉軸受の場合に比べて消費する潤滑油量が多い。また、ころ転動面の軸方向中央ほど潤滑油が行き届きにくい傾向にある。例えば、図9に示すグリース潤滑の複列円筒ころ軸受31において、グリースは外輪33の軌道面33aから外れた符号イ,ロ,ハで示す部分に偏在する傾向にあった。それゆえ、特許文献1,2に開示されたものでは、円筒ころの全体へ潤滑油を行き渡らせるには不十分である。
円筒ころの転動面に潤滑油を行き渡らせる技術としては、特許文献3に開示のもの等があり円筒ころ軸受の長寿命化が図られているが、さらなる長寿命化が望まれる。
この発明の目的は、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、軸受の長寿命化が可能な円筒ころ軸受および円筒ころ軸受装置を提供することである。
この発明の円筒ころ軸受は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受において、前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設けたものである。
この構成によると、外輪の内周の軌道面から外れた各部にグリースが保持されるほかに、円筒ころの凹部でもグリースが保持される。これにより、グリースを保持するスペースが増えるだけでなく、従来例では潤滑が行き届き難かった円筒ころの転動面近傍でグリースを保持できる。その結果、円筒ころの転動面にグリースを十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受の長寿命化が可能となる。
前記凹部の幅寸法は、前記円筒ころの外径面のストレート部長さの15〜25%とする。ストレート部長さは、円筒ころの外径面におけるころ軸心と平行な円筒面の部分であるストレート部の軸方向長さである。
円筒ころの凹部はグリースを保持する空間となるものであって、十分なグリース保持のためにはその幅寸法(軸方向長さ)は長い方が良いが、転動面を確保する上から制限がある。上記凹部が上記ストレート部長さの15%よりも狭いと、グリースの保持能力が不足する。一方、上記凹部が上記ストレート部長さの15%よりも広いと、軸受の負荷容量が不足する。そこで、凹部の幅寸法は円筒ころのストレート部長さの15〜25%とする。これにより、軸受の負荷容量を確保しながら、前記環状の凹部によるグリースの保持を十分に行うことができる。
この発明の円筒ころ軸受装置は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置であって、前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設け、前記外輪にその径方向に貫通して前記凹部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したことを特徴とする。
この構成によると、円筒ころ軸受内に初期封入グリースを封入し、ハウジングの円周溝から外輪のスリットにわたってグリースを充填しておくことにより、円周溝からスリットを経て毛細管現象により円筒ころの外径面の凹部へグリースの基油を供給できる。そのため、この発明にかかる円筒ころ軸受の場合よりも、さらに潤滑性能が向上する。これにより、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受の長寿命化が可能となる。
この発明の他の円筒ころ軸受装置は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置であって、前記外輪にその径方向に貫通して前記円筒ころの面取り部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したことを特徴とする。
この構成の場合も、ハウジングの円周溝から外輪のスリットを経て毛細管現象により円筒ころの面取り部へグリースの基油を供給できるので、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受の長寿命化が可能となる。
この発明の上記各構成の円筒ころ軸受装置において、前記スリットは、前記外輪をその軸心に対して垂直な平面で分割して得られる互いに対向する2つの幅面のうち、片方の幅面に形成した凹凸部と、もう片方の幅面とで挟まれて構成される隙間からなるものとしても良い。
この構成の場合、外輪に直接切込みを入れてスリットを加工する場合に比べて、スリットの加工を容易に行うことができる。
この発明の円筒ころ軸受装置において、前記スリットを、前記外輪に設ける代わりに、外輪とは別の部品に設け、前記外輪をその軸心に対して垂直な平面で分割して得られる互いに対向する2つの幅面で前記別部品を挟み付けても良い。
このように、外輪とは別部品にスリットを設けて、この別部品を外輪の分割されて得られる2つの幅面間に挟み付けるものとすると、外輪に直接切込みを入れてスリットを加工する場合に比べて、スリットの加工を容易に行うことができる。
この発明における上記各構成の場合に、前記スリットの幅寸法を0.05〜0.1mmとするのが望ましい。
ハウジングの円周溝から外輪のスリットを経て毛細管現象により円筒ころへグリースの基油を供給するために、外輪のスリットの幅寸法は0.05〜0.1mm程度に設定するのが望ましい。前記スリットの幅寸法が0.1mmよりも大きいと、グリース溜り内部の圧力が上昇し難く、油を押し出す力が弱くなる。逆に、前記スリットの幅寸法が小さいと、加工が難しく、ワイヤーカット加工でスリットを形成する場合では、0.05mmが限界となる。
この発明の上記各構成の円筒ころ軸受装置において、前記スリットを、前記外輪の円周方向に分離して複数設け、前記ハウジングにはその円周方向における前記各スリットと同位相の位置に前記円周溝を前記各スリットに連通させる複数のハウジング側スリットを設けても良い。この構成の場合、全部の円筒ころに均等に潤滑油を行き渡らせることができる。
この発明において、前記複数のスリットが前記外輪の円周方向に占める総角度を180〜340°としても良い。
この構成の場合、全部の円筒ころに均等に潤滑油を行き渡らせると共に、外輪の強度も十分確保できる。
この発明の円筒ころ軸受は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受において、前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設けたため、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、軸受の長寿命化が可能となる。また、前記凹部の幅寸法を、前記円筒ころの外径面のストレート部長さの15〜25%としたため、軸受の負荷容量を確保しながら、前記環状の凹部によるグリースの保持が行える。
この発明の円筒ころ軸受装置は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置において、前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設け、前記外輪にその径方向に貫通して前記凹部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したため、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、軸受の長寿命化が可能となる。
この発明にかかる他の円筒ころ軸受装置は、内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置において、前記外輪にその径方向に貫通して前記円筒ころの面取り部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したため、円筒ころの転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、軸受の長寿命化が可能となる。
この発明の第1の実施形態を図1と共に説明する。図1は、この実施形態の複列円筒ころ軸受の半部断面図を示す。この円筒ころ軸受1は、内輪2の外周に形成された軌道面2aと、外輪3の内周に形成された軌道面3aとの間に2列の円筒ころ4を回転自在に介在させたものであって、グリースで潤滑が行なわれる。各列の円筒ころ4は、それぞれ保持器5で保持されている。なお、ここでは、内輪2が回転側軌道輪、外輪3が固定側軌道輪の場合を示している。
円筒ころ4は軸受鋼製またはセラミック製であり、その転動面となる外径面における軸方向中央位置には、全周に続く環状の凹部4aが設けられている。この凹部4aはグリースを保持する空間となるものであって、十分なグリース保持のためにはその幅寸法(軸方向長さ)は長い方が良いが、転動面を確保する上から制限がある。上記凹部4aが円筒ころ4のストレート部長さの15%よりも狭いと、グリースの保持能力が不足する。一方、上記凹部4aが上記ストレート部長さの15%よりも広いと、軸受の負荷容量が不足する。なお、負荷容量の低下が20%以下になる場合を、負荷容量が不足とした。そこで、凹部4aの幅寸法は、円筒ころ4のストレート部長さの15〜25%とするのが望ましい。ストレート部長さとは、円筒ころの外径面におけるころ軸心と平行な円筒面の部分であるストレート部の軸方向長さである。例えば、円筒ころ4の軸方向長さが11mmで、ストレート部長さがころ軸方向長さの50%である場合、ストレート部長さは5.5mmとなるため、前記凹部4aの幅寸法は、0.825mm(15%)〜1.375mm(25%)とするのが望ましい。
この構成の円筒ころ軸受1によると、円筒ころ4の外径面に全周に続く環状の凹部4aを設けているため、図9で示した従来例の場合と同様に、外輪3の内周の軌道面3aから外れた各部(図9の場合と同様に符号イ,ロ,ハで示す)にグリースが保持されるほかに、円筒ころ4の凹部4aでもグリースが保持される。これにより、グリースを保持するスペースが増えるだけでなく、従来例では潤滑が行き届き難かった円筒ころ4の転動面近傍でグリースを保持できる。
すなわち、初期封入グリースは慣らし運転により静止空間へ移動するが、前記凹部4aは静止空間となるため、円筒ころ4が自転および公転運動を行なっても、グリースを踏み付け排出することはない。凹部4aに溜まったグリースは、実際には固定側軌道輪である外輪3の軌道面3aに付着している。そのため、円筒ころ4の転動面の近傍でグリースが保持されて、潤滑に寄与することができる。その結果、円筒ころ4の転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受1の長寿命化が可能となる。
なお、円筒ころ4の凹部4aと同様の凹部を内輪2や外輪3に設けることも考えられるが、回転側軌道輪である内輪2の場合は遠心力が作用するのでグリースを保持することが難しい。また、固定側軌道輪である外輪3に凹部を設けた場合、グリースを保持することは可能だが、グリースの基油が凹部を乗り越えて移動しなければならないので、横軸姿勢で使用する場合には効果が期待できない。
図2および図3は、この発明の他の実施形態を示す。図2は、この実施形態の円筒ころ軸受装置を用いた工作機械用スピンドル装置の一例のフロント側の断面図を示す。この工作機械用スピンドル装置24では、主軸25のフロント側端部(同図の左側)に工具またはワークのチャックが取付けられる。主軸25のフロント側は複列円筒ころ軸受1Aで支持されている。なお、この複列円筒ころ軸受1Aにおいて、図1の実施形態の円筒ころ軸受1の場合と同一機能の構成部材については同一符号を付して説明する。
この場合の円筒ころ軸受1Aは、外輪3を除けば図1の実施形態の場合と同様の構成であり、2列の円筒ころ4が、内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間に回転自在に介在しており、各列の円筒ころ4はそれぞれ保持器5で保持されている。円筒ころ4の転動面となる外径面における軸方向中央位置には、全周に続く環状の凹部4aが設けられている。とくに、この円筒ころ軸受1Aでは、外輪3に、その径方向に貫通して前記各列の円筒ころ4の凹部4aの通過位置に開口する2列のスリット6が設けられている。この場合、前記スリット6は、外輪3に径方向の切り込みを入れて形成される。各列のスリット6は、外輪3の円周方向に分離して複数設けられる。外輪3のスリット6の幅寸法(軸方向長さ)は、0.05〜01mm(50〜100μm)程度に設定されている。
前記円筒ころ軸受1Aの内輪2は主軸25の外径面に圧入嵌合し、外輪3はハウジング26の内径面に圧入嵌合している。内輪2は、主軸25に螺着された軸受固定ナット27と内輪間座28とに挟まれて軸方向に位置決めされている。また、外輪3は、ハウジング26の端部に設けられた外輪押さえ29とハウジング26の内径面の段差部26aとに挟まれて軸方向に位置決めされている。ハウジング26は、内周ハウジング26A、および外周ハウジング26Bからなる二重構造とされている。
内周ハウジング26Aの外周には、前記円筒ころ軸受1Aにおける外輪3の2列のスリット6に対応する軸方向位置に、円周方向に延びる円周溝7がそれぞれ設けられている。この円筒溝7はグリース溜り部の役割を担う空間である。さらに、内周ハウジング26Aには、前記各円周溝7を前記外輪3の対応する各列のスリット6に連通させる複数のハウジング側スリット8が、ハウジング26の円周方向における外輪3の各スリット6と同位相の位置に設けられている。図3は、図2におけるA−A矢視断面図として、前記外輪3のスリット6、ハウジング側スリット8、および円周溝7の円周方向における位置関係を示す。円周溝7は、全周に続く環状とされている。ここでは、各列の外輪3のスリット6およびハウジング側スリット8を6本としているが、その本数はとくに規定しない。
円筒ころ軸受1A内には初期封入グリースが通常の仕方で封入され、また前記外輪3のスリット6、ハウジング側スリット8、および円周溝7にもグリースが充填される。図3におけるハッチング部分はグリースの充填部分を示す。
上記構成とした円筒ころ軸受装置では、グリース溜り部となる円周溝7において温度の上昇と下降のヒートサイクルが作用すると、円周溝7内の温度上昇による圧力変動によってグリースの基油が外輪3のスリット6から押し出される。これにより、円周溝7、ハウジング側スリット8、および外輪3のスリット6に充填されたグリースの基油と、円筒ころ軸受1A内の初期封入グリースとが繋がり、増ちょう剤の毛細管現象により基油が円筒ころ4の凹部4aへ流れ込む。外輪3のスリット6の幅寸法は50〜100μm程度に設定されているので、上記毛細管現象を作用させることができる。スリット6の幅寸法が0.1mm(100μm)よりも大きいと、グリース溜り内部の圧力が上昇し難く、油を押し出す力が弱くなる。逆に、スリット6の幅寸法が小さいと、加工が難しく、ワイヤーカット加工でスリット6を形成する場合では、0.05mm(50μm)が限界となる。
このように、この円筒ころ軸受装置によると、ハウジング26の円周溝7からハウジング側スリット8および外輪3のスリット6を経て毛細管現象により円筒ころ4の外径面の凹部4aへグリースの基油を供給できるので、図1に示した実施形態の円筒ころ軸受1の場合よりも、さらに潤滑性能が向上する。これにより、円筒ころ4の転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受1Aの長寿命化が可能となる。
この実施形態では、各列の外輪3のスリット6を6本としているが、グリースの基油が円筒ころ4の凹部4aに十分供給できるように、外輪3の円周方向に占める前記スリット6の総角度は180〜340°とするのが望ましい。外輪3の円周方向のスリット6が位置しない残りの角度20〜180°の部分は等配位置に配置して、グリースの基油が全周にわたって均等に円筒ころ4の凹部4aに行き渡るようにするのが望ましい。
外輪3のスリット6は、上記したように外輪3に径方向の切り込みを入れて形成する場合のほか、外輪6の展開図を示す図4のように外輪2をその軸心に対して垂直な平面で分割することで形成しても良い。すなわち、外輪3をその軸心に対して垂直な平面で分割して得られる互いに対向する2つの幅面3b,3bのうち、片方の幅面に形成した凹凸部3ba,3bbと、もう片方の幅面3bとで挟まれて構成される隙間をスリット6としても良い。この場合、2列分のスリット6を形成するために、外輪3を3分割することになる。凹凸部3ba,3bbは径方向に延び、かつ凹部3baと凸部3bbが略等間隔で円周方向に並ぶように形成される。凹凸部3ba,3bbの隙間寸法はスリット6の幅寸法となるので、この隙間寸法は50〜100μmに管理するのが望ましい。このように、外輪3を分割してスリット6を構成する場合、外輪3に直接切込みを入れてスリット6を加工する場合に比べて、スリット6の加工を容易に行うことができる。
このほか、図5および図6に示すように、前記スリット6を外輪3とは別の部品9に設け、上記したように分割して得られる外輪3の2つの幅面3b,3bで前記別部品9を挟み付けるようにしても良い。すなわち、この場合、外輪3の互いに対向する2つの幅面3b,3bの間に、例えば外径側端が拡幅部となる断面T字状の隙間ができるように、各幅面3bに凹凸加工を施す。また、図6のように、別部品9を外径側端にフランジ部9aを有する断面T字状で、その中央部に径方向に貫通するスリット6を有する形状に加工し、この別部品9を、外輪3の2つの幅面3,3b間の断面T字状の隙間に挿入する。別部品9の材質としては、砲金のように比較的加工の容易な材料を用いるのが、スリット6の加工の観点から好ましい。この場合も、スリット6の幅寸法は、50〜100μmとするのが望ましい。
このように、外輪3とは別部品9にスリット6を設けて、この別部品9を外輪3の分割されて得られる2つの幅面3b,3b間に挟み付けるものとすると、外輪3に直接切込みを入れてスリット6を加工する場合に比べて、スリット6の加工を容易に行うことができる。
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図2および図3に示す円筒ころ軸受装置において、円筒ころ軸受1Aの外輪3のスリット6を、円筒ころ4の面取り部4bの通過位置に開口するように配置したものである。この実施形態では、円筒ころ4の外径面の凹部4aは省略している。その他の構成は図2および図3に示す円筒ころ軸受装置の場合と同様であり、円筒ころ軸受1A内には初期グリースを通常と同じ仕方で封入し、円周溝7、ハウジング側スリット8、および外輪3のスリット6にもグリースを充填しておくものとする。外輪3のスリット6の幅寸法として、50〜100μm程度が望ましいことも、図2および図3の実施形態の場合と同様である。なお、図7におけるB−B矢視断面図は、図2の場合と略同様となる。
この実施形態の場合も、ハウジング26の円周溝7からハウジング側スリット8および外輪3のスリット6を経て毛細管現象により円筒ころ4の面取り部4bへグリースの基油を供給できるので、円筒ころ4の転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受1Aの長寿命化が可能となる。
なお、この実施形態では、各円筒ころ4の片方の面取り部4bの通過位置にスリット6が開口するように、スリット6を2列設けたが、各円筒ころ4の両方の面取り部4bの通過位置にスリット6が開口するように、スリット6を4列設けても良い。外輪3のスリット6は、図4に示したように外輪3を分割して得られる2つの幅面3bの片方に凹凸部3ba,3bbを形成することで構成しても良い。この場合、スリット6を4列設けるものとすると、外輪3は5分割することになる。
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図7に示す円筒ころ軸受装置において、円筒ころ軸受1Aの円筒ころ4の外径面に、図1の実施形態の場合と同様の凹部4aを設けたものである。その他の構成は図7の実施形態の場合と同様である。なお、図8におけるC−C矢視断面図は、図3の場合と略同様となる。
この実施形態の場合、ハウジング26の円周溝7からハウジング側スリット8および外輪3のスリット6を経て毛細管現象により円筒ころ4の面取り部4bへグリースの基油を供給できると共に、円筒ころ4の凹部4aでもグリースが保持されるので、円筒ころ4の転動面に潤滑油を十分に行き渡らせることができて、円筒ころ軸受1Aの長寿命化が可能となる。
この発明の第1の実施形態にかかる円筒ころ軸受の半部断面図である。 この発明の他の実施形態にかかる円筒ころ軸受装置を備えた工作機械用スピンドル装置の部分断面図である。 図2におけるA−A矢視断面図である。 同円筒ころ軸受装置における外輪スリットの他の構成例示す展開図である。 同円筒ころ軸受装置における外輪スリットのさらにさらに他の構成例を示す断面図である。 (A)は同外輪スリットを有する別部品の斜視図、(B)は(A)におけるZ−Z矢視断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる円筒ころ軸受装置を備えた工作機械用スピンドル装置の部分断面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる円筒ころ軸受装置を備えた工作機械用スピンドル装置の部分断面図である。 従来例の半部断面図である。
符号の説明
1,1A…円筒ころ軸受
2…内輪
2a…軌道面
3…外輪
3a…軌道面
3b…幅面
3ba,3bb…凹凸部
4…円筒ころ
4a…凹部
4b…面取り部
6…外輪のスリット
7…円周溝
8…ハウジング側スリット
9…別部品
26…ハウジング

Claims (8)

  1. 内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受において、前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設け、前記凹部の幅寸法を、前記円筒ころの外径面のストレート部長さの15〜25%としたことを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置において、
    前記円筒ころの外径面に全周に続く環状の凹部を設け、前記外輪にその径方向に貫通して前記凹部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したことを特徴とする円筒ころ軸受装置。
  3. 内輪と外輪の軌道面間に円筒ころが介在し、グリースで潤滑が行なわれる円筒ころ軸受を、ハウジングの内径面に圧入嵌合した円筒ころ軸受装置において、
    前記外輪にその径方向に貫通して前記円筒ころの面取り部の通過位置に開口するスリットを設け、前記ハウジングにその円周方向に延び前記スリットに連通する円周溝を設け、前記スリットおよび円周溝にグリースを充填したことを特徴とする円筒ころ軸受装置。
  4. 請求項2または請求項3において、前記スリットは、前記外輪をその軸心に対して垂直な平面で分割して得られる互いに対向する2つの幅面のうち、片方の幅面に形成した凹凸部と、もう片方の幅面とで挟まれて構成される隙間からなる円筒ころ軸受装置。
  5. 請求項2または請求項3において、前記スリットを、前記外輪に設ける代わりに、外輪とは別の部品に設け、前記外輪をその軸心に対して垂直な平面で分割して得られる互いに対向する2つの幅面で前記別部品を挟み付けた円筒ころ軸受装置。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、前記スリットの幅寸法を0.05〜0.1mmとした円筒ころ軸受装置。
  7. 請求項2ないし請求項6のいずれか1項において、前記スリットを、前記外輪の円周方向に分離して複数設け、前記ハウジングにはその円周方向における前記各スリットと同位相の位置に前記円周溝を前記各スリットに連通させる複数のハウジング側スリットを設けた円筒ころ軸受装置。
  8. 請求項7において、前記複数のスリットが前記外輪の円周方向に占める総角度を180〜340°とした円筒ころ軸受装置。
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