JP2009281395A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、転がり軸受に関し、特に、工作機械の主軸を回転自在に支持するのに使用されれば好適な転がり軸受に関する。
従来、転がり軸受としては、特開2002−61657号公報(特許文献1)に記載された転がり軸受がある。
この転がり軸受は、工作機械の主軸の外周面に設置されている。この転がり軸受は、内輪の外周面に軸方向の内方に行くにしたがって外径がしだいに大きくなるテーパ外周面部を設け、このテーパ外周面部に、オイルエアを供給して、転がり軸受の昇温の抑制や、上記主軸の低動力損失等を実現するようにしている。
上記従来の転がり軸受では、転がり軸受の低昇温や、上記主軸の低動力損失を実現できる一方、オイルエアが転がり軸受内を通過する際に、エアカーテン(内輪の高速回転に伴って発生する径方向の外方への気流の流れ)によって、適量の潤滑オイルが転がり軸受に送り込まれにくい。そして、このことに起因して、転動体とその軌道面とに、潤滑剤不足に起因する焼付きが発生することがある。
特開2002−61657号公報(第1図)
そこで、この発明の課題は、外部から適量の潤滑オイルが送り込まれることができる転がり軸受を提供することにある。
この課題を解決するために、この発明の転がり軸受は、
軌道面を有する外輪と、
軌道面を有する内輪と、
上記外輪の軌道面と、上記内輪の軌道面との間に配置された転動体と
を備え、
上記内輪の外周面は、上記内輪の軌道面の軸方向の少なくとも一方の側に、上記軸方向の外方から内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面を有し、
上記テーパ外周面は、撥油性部と、この撥油性部よりも撥油性が小さい非撥油性部とを有し、
上記テーパ外周面の軸方向の断面において、上記撥油性部は、上記軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなることを特徴としている。
軌道面を有する外輪と、
軌道面を有する内輪と、
上記外輪の軌道面と、上記内輪の軌道面との間に配置された転動体と
を備え、
上記内輪の外周面は、上記内輪の軌道面の軸方向の少なくとも一方の側に、上記軸方向の外方から内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面を有し、
上記テーパ外周面は、撥油性部と、この撥油性部よりも撥油性が小さい非撥油性部とを有し、
上記テーパ外周面の軸方向の断面において、上記撥油性部は、上記軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなることを特徴としている。
本発明によれば、上記内輪の外周面が、内輪の軌道面の軸方向の少なくとも一方の側に、軸方向の外方から内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面を有しているから、内輪を回転軸に固定した場合に、外部からの潤滑オイルを、内輪の回転に伴う遠心力によって、軸方向の外方から内方に流動させることができて、潤滑オイルを、転動体および転動面に効率的に供給することができる。
また、本発明によれば、撥油性部と、この撥油性部よりも撥油性が小さい非撥油性部とを有しているから、外部からの潤滑オイルは、上記撥油性部では撥油されて軸方向内方への流れが加速される一方、上記非撥油性部では表面に付着して軸方向内方への流れが減速される。したがって、上記非撥油性部の減速効果によって、必要以上の潤滑オイルが軸方向内方へ流れ込むことを防止できるから、オイルの攪拌抵抗が過大になることがなく、このことから、この転がり軸受を工作機械に設置したとして、その工作機械のトルクを低減できると共に、その工作機械の加工精度が、転がり軸受の温度の過度の上昇によって低下することを防止することができる。
また、本発明によれば、上記テーパ外周面の軸方向の断面において、上記撥油性部は、上記軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなっているから、例えば、上記断面において、軸方向に隣接する上記撥油性部の間隔を調整することにより、転動体付近へ供給する潤滑オイルの量を容易に調整することができる。
本発明の転がり軸受によれば、外部から適量の潤滑オイルを送り込むことができて、転動体および軌道面の焼付きを抑制できると共に、転がり軸受の攪拌抵抗の増大に起因するトルクの増大や過度の温度上昇を防止することができる。
以下、この発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の転がり軸受の一実施形態であるアンギュラ玉軸受の軸方向の半断面図である。
このアンギュラ玉軸受(以下、単に玉軸受という)は、内輪1と、外輪2と、転動体としての複数の玉3とを有する。
上記内輪1は、工作機械の主軸(図示せず)の外周面に締まり嵌めにより外嵌されて固定されている。上記内輪1は、上記主軸の回転に伴って回転するようになっている。上記内輪1の外周面は、その外周面の軸方向の略中央に、軌道面としての軌道溝11を有する。また、上記内輪1の外周面は、上記軌道溝11の軸方向の一方の側に、軸方向の内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面の一例としての円錐外周面12を有する。
上記外輪2は、工作機械のハウジング(図示せず)の内周面に隙間嵌めにより内嵌されて固定されている。上記外輪2は、その内周面の軸方向の中央部に、軌道面である軌道溝21を有する。
上記複数の玉3は、内輪1の軌道溝11と、外輪2の軌道溝21との間に、保持器7によって保持された状態で、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。
この玉軸受の内輪1と外輪2との間および内輪1の円錐外周面12には、圧縮エア供給装置40からオイルミストを含む圧縮エアが噴射されるようになっている。詳しくは、圧縮エア供給装置40は、気体圧縮部(図示せず)と、気体圧縮部の吐出口に接続されているガス通路41とを有し、ガス通路41は、玉軸受の径方向に延在する径方向延在部を有している。上記径方向延在部からは、第1噴射ノズル43および第2噴射ノズル44が延びている。
上記第1噴射ノズル43および第2噴射ノズル44の夫々は、軸方向に延在し、第1噴射ノズル43は、第2噴射ノズル44よりも玉軸受の径方向の上方(外径側)に位置している。
上記第1噴射ノズル43の噴射口は、外輪2と保持器7との間に向けられている一方、第2噴射ノズル44の噴射口は、保持器7と内輪1との間に向けられている。上記圧縮エア供給装置40は、第1噴射ノズル43の噴射口および第2噴射ノズル44の噴射口からオイルミストを含む圧縮エアを噴射するようになっている。
図2は、上記円錐外周面12の一部を、径方向の上方から見たときの模式図である。
図2に示すように、上記円錐外周面12は、複数のフッ素コーティングがされた領域である撥油性部60を有する。上記各撥油性部60は、帯状かつ環状で、内輪1の周方向に延在している。上記複数の撥油性部60は、軸方向に互いに間隔をおいて位置している。換言すると、上記円錐外周面12の軸方向の断面において、撥油性部60は、軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなっている。
上記円錐外周面12において、撥油性部60以外の部分は、内輪1の材質、例えば、SUJ2(高炭素クロム軸受鋼)やSAE5210鋼がそのまま露出している。上記円錐外周面12において、内輪1の材質がそのまま露出している部分、すなわち、撥油性部60以外の部分は、撥油性部60よりも撥油性が低い非撥油性部61を構成している。
上記非撥油性部61は、周方向に延在する帯状かつ環状の複数の部分からなる。上記複数の非撥油性部61は、軸方向に互いに間隔をおいて配置されている。上記撥油性部60と、非撥油性部61とは、軸方向に交互に存在している。
上記構成において、工作機械の主軸の回転に伴って軸受の内輪1が回転すると、圧縮エア供給装置40から所定時間毎にオイルミストを含む圧縮エアが、内輪1と外輪2との軸方向の一方の開口から玉軸受内に噴射されるようになっている。すなわち、工作機械が運転状態になると、微量なオイルが圧縮エアで玉軸受の軌道溝11,21周辺に搬送・噴射されるようになっており、軌道溝11,21をオイルエア潤滑するようになっている。
上記実施形態の玉軸受によれば、上記内輪1の外周面が、内輪1の軌道溝11の軸方向の少なくとも一方の側に、軸方向の外方から内方に行くにしたがって外径が大きくなる円錐外周面12を有しているから、外部からの潤滑オイルを、内輪1の回転に伴う遠心力によって、軸方向の外方から内方に流動させることができて、潤滑オイルを、玉3および軌道溝11,21に効率的に供給することができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、上記円錐外周面12が、撥油性部60と、この撥油性部60よりも撥油性が小さい非撥油性部61とを有しているから、外部からの潤滑オイルは、撥油性部60では撥油されて軸方向内方への流れが加速される一方、非撥油性部61では表面に付着して軸方向内方への流れが減速される。したがって、上記非撥油性部61での減速効果によって、必要以上の潤滑オイルが軸方向内方へ流れ込むことを防止できるから、オイルの攪拌抵抗が過大になることがなく、このことから、この転がり軸受が設置された工作機械のトルクを低減できると共に、その工作機械の加工精度が、玉軸受の温度の過度の上昇によって低下することを防止することができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、上記円錐外周面12の軸方向の断面において、撥油性部60は、軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなっているから、上記断面において、軸方向に隣接する撥油性部60の間隔を調整することにより、玉付近へ供給する潤滑オイルの量を容易に調整することができる。
尚、上記実施形態の玉軸受では、上記円錐外周面12は、内輪1の軌道溝11の軸方向の一方の側のみに形成されていたが、この発明では、軸方向の内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面を、内輪の軌道面の軸方向の両側に形成しても良い。そして、二つのテーパ外周面のうちの少なくとも一方に、撥油性部と、非撥油性部とを形成しても良い。
また、上記実施形態の玉軸受では、上記円錐外周面12が形成された転がり軸受が、アンギュラ玉軸受であったが、この発明では、テーパ外周面が形成された転がり軸受は、深溝玉軸受等のアンギュラ玉軸受以外の玉軸受であっても良い。また、内輪の軌道面の軸方向の一方側または両側に、軸方向の内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面が形成された転がり軸受は、円筒ころ軸受や円錐ころ軸受等の玉軸受以外の転がり軸受であっても良い。
また、上記実施形態の玉軸受では、テーパ外周面は、円錐外周面12であったが、テーパ外周面は、軸方向の内方に行くにしたがって外径が大きくなる形状であれば如何なる形状であっても良い。
また、本発明では、複数の環状かつ帯状の撥油性部60において、帯の幅は、全て同一であっても、帯の幅が異なる撥油性部が二つ以上存在しても、どちらでも良い。また、複数の環状かつ帯状の撥油性部60において、軸方向に隣接する撥油性部の軸方向の間隔は、全て同一であっても、複数の環状かつ帯状の撥油性部60において、軸方向に隣接する撥油性部の軸方向の間隔が、二つ以上の異なる間隔を有していてもどちらでも良い。例えば、軸方向の外方から軸方向の内方に行くにしたがって、撥油性部の帯の長さおよび軸方向の間隔の両方を徐々に小さくすると、潤滑オイルが軸方向の軌道面側に行くにしたがって、潤滑オイルをより適切に制動することができて、適量かつ適切な速度の潤滑オイルを軌道面に供給することができる。
また、上記実施形態の玉軸受では、複数の環状かつ帯状の撥油性部60を、円錐外周面12に、軸方向に互いに間隔をおいて配置したが、この発明では、内輪のテーパ外周面に位置する撥油性部は、周方向に延在する帯状形状でなくても良く、例えば、次の図3や図4に示す形状であっても良い。
図3は、変形例の玉軸受における図2に対応する模式図である。
尚、図3において、70は、撥油性部を示し、71は、非撥油性部を示す。
図3に示すように、この発明では、内輪の円錐外周面112に位置する撥油性部70は、軸方向に間隔をおいて配置された複数の部分からなり、各部分は、周方向の複数箇所に角部を軌道溝11側に向けた略く字状の形状を有しても良い。
また、図4は、更なる変形例の玉軸受における図2に対応する模式図である。
尚、図4において、80は、撥油性部を示し、81は、非撥油性部を示す。
図4に示すように、この発明では、内輪の円錐外周面212に位置する撥油性部80は、周方向に複列に配置されると共に軸方向にも複列に配置された複数の部分からなり、各部分は、環状でない帯状形状を有していても良い。
また、この発明では、内輪の円錐外周面に位置する撥油性部は、一以上の螺旋(図示せず)からなっていても良い。要は、この発明では、内輪の円錐外周面は、撥油性部と、この撥油性部よりも撥油性が小さい非撥油性部とを有していれば、撥油性部の形状は、如何なる形状であっても良い。
1 内輪
2 外輪
3 玉
11 内輪の軌道溝
12,112,212 円錐外周面
22 外輪の軌道溝
60,70,80 撥油性部
61,71,81 非撥油性部
2 外輪
3 玉
11 内輪の軌道溝
12,112,212 円錐外周面
22 外輪の軌道溝
60,70,80 撥油性部
61,71,81 非撥油性部
Claims (1)
- 軌道面を有する外輪と、
軌道面を有する内輪と、
上記外輪の軌道面と、上記内輪の軌道面との間に配置された転動体と
を備え、
上記内輪の外周面は、上記内輪の軌道面の軸方向の少なくとも一方の側に、上記軸方向の外方から内方に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面を有し、
上記テーパ外周面は、撥油性部と、この撥油性部よりも撥油性が小さい非撥油性部とを有し、
上記テーパ外周面の軸方向の断面において、上記撥油性部は、上記軸方向に互いに間隔をおいて位置する複数の部分からなることを特徴とする転がり軸受。
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---|---|---|---|
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008130773A Pending JP2009281395A (ja) | 2008-05-19 | 2008-05-19 | 転がり軸受 |
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