JP2010001192A - 半導体デバイス、窒化物半導体基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 、全面に渡って転位密度を低減し、クラック発生を抑制することが可能な窒化物半導体基板及びその製造方法、及び半導体デバイスを提供する。
【解決手段】 この窒化物半導体基板は、基板(A、B,D1)と、基板(A、B,D1)上に形成され離間した結晶成長制限部Cと、基板(A、B,D1)及び結晶成長制限部Cを被覆し、その露出表面の、Z軸に平行な断面(XZ断面)が、波の形状を構成し、この波の形状が多角形状になまっている窒化物半導体からなる波状層(D2,E,F2)と、波状層(D2,E,F2)上に形成され窒化物半導体からなる平坦化層Gとを備えている。形状変更層F2の露出表面が熱処理によって多角形状になまっているため、埋め込む山谷差が小さくなり、埋め込み体積が減るため、埋め込み成長がし易く、平坦化層Gが形状変形層F2内に緻密に埋まっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体デバイス、窒化物半導体基板及びその製造方法に関する。
窒化物半導体(GaN、AlGaN、AlInGaN系)を用いた発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)をはじめとする半導体デバイスにおいて、その特性及び信頼性向上のためには結晶欠陥密度(転位密度)を低減することが必須となる。結晶欠陥(結晶転位)密度の低減の手法として、基板結晶表面に周期的にストライプの三角ファセット溝を形成した後に、横方向成長による埋め込み成長を用いることで、欠陥密度を低減することが知られている。
下記特許文献1によれば、サファイア基板上に、GaN、あるいはAlNからなる低温バッファ層を介してGaN層が成長されている。GaN層表面に、例えば、SiOから成るストライプマスクが周期的に形成され、その上に再びGaNオーバーグロース層が成長されている。GaNオーバーグロース層は、ストライプマスクのない部分、即ちGaN層が露出した領域でのみ成長を開始し、しばらくすると、ストライプマスク上を横方向に成長した結晶が、その上を覆いつくす。そして、最終的に、表面が平坦な膜となる。
このようなGaNオーバーグロース層の成長の過程において、本来、成長方向に真上に貫通する転位は、結晶合体部を除いてストライプマスク上には殆ど存在しない。その結果、中央部を除いたストライプマスク上のGaNオーバーグロース層には転位の少ない領域が形成されるとされている。
同文献によれば、この製造方法を用いることにより、ほぼ全面に低転位なAlNを含むIII族窒化物半導体基板が作製可能となり、高性能短波長発光素子や受光素子が実現できる可能性が示されている。
国際公開WO2003/025263パンフレット
しかしながら、短波長用の結晶成長では、AlGaNにおけるAlの組成比を増加させる必要がある。これは、Gaに対して原子半径が相対的に小さいAlの組成比を増加させると、全体の格子定数が小さくなり、格子定数が小さくなるとエネルギーバンドギャップEgが大きくなり、エネルギーバンドギャップEgが大きくなると、このエネルギーバンドギャップEgに対応する波長(λ(nm)=1240/Eg(eV))が短くなるからである。断面が三角波形状の化合物半導体層をAlGaN層で埋めていく場合、AlGaN層を緻密に埋め込むことは困難である。
すなわち、Al元素は、結晶表面におけるマイグレーション力が弱い為、埋め込み成長が難しいからである。例えば、Al組成比を高くして埋め込み成長を行なう場合、三角波断面の谷部において埋め込み残り穴ができやすく、埋め込みに厚い膜厚を必要とし、クラックを誘発する。また、ウエハの反りも大きくなる為、その後のプロセス(例えばホトリソグラフィなど)がうまくいかなくなるため、デバイスの歩留まりが悪化する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、全面に渡って転位密度を低減し、クラック発生を抑制することが可能な窒化物半導体基板及びその製造方法、及び半導体デバイスを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係る窒化物半導体基板は、基板と、基板上に部分的に形成された結晶成長制限部と、基板及び結晶成長制限部を被覆し、その露出表面の、層の厚み方向に平行な断面が、波形状を構成し、この波形状はなまっている窒化物半導体からなる波状層と、波状層上に形成され窒化物半導体からなる平坦化層とを備えることを特徴とする。
この発明に係る窒化物半導体基板によれば、波状層の形状がなまっているため、平坦化層の成長時において、埋め込み領域の山谷差(埋め込み体積)が相対的に小さくなるため、平坦化し易くなり、平坦化層が波状層内に緻密に埋め込まれる。基板から成長方向に伸びている転位は、波状層内で曲げられるため、その上に形成される平坦化層は、転位密度の低減化が図られる。その結晶性は、上記緻密性を伴って顕著に改善し、更に、結晶性、緻密性が高く、また、波状層及びこれに埋め込まれた平坦化層が厚み方向には平均的な組成が徐々に変化する歪緩和層としても機能しているので、平坦化層におけるクラックの発生も抑制されている。このように、平坦化層においては、全面に渡って転位密度を低減され、クラック発生が抑制されている。
なお、上述の窒化物半導体基板において、波状層は、単一の窒化物半導体層からなることができる。この場合には、窒化物半導体層が単純な構造であるという利点がある。
また、上述の窒化物半導体基板において、波状層は、基板上に成長した窒化物半導体からなる凹凸層と、凹凸層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第1被覆層と、第1被覆層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第2被覆層とからなり、第2被覆層の融点は、第1被覆層の融点よりも低いこととすることができる。
第2被覆層は融点が低いため、製造時の熱処理によって容易になまることができる。第1被覆層によって被覆されているため凹凸層の形状は熱処理によっても変化せず、再現性の高い波状層が形成されている。また、凹凸層と第2被覆層の組成を相違させることもでき、結晶成長時の組成を独立して最適化することもできる。
また、上述の窒化物半導体基板において、上記の基板は、サファイア基板と、サファイア基板上に成長した緩衝層と、緩衝層上に成長した窒化物半導体からなり緩衝層よりも厚い下地層とを有することが好ましい。
すなわち、上層の化合物半導体は窒化物半導体からなるが、基板はサファイア基板を用い、これに緩衝層と下地層を積層することで、窒化物半導体からなる下地層の結晶性を改善し、この上に別の窒化物半導体層が高い結晶性で成長されている。
本発明に係る半導体デバイスは、上述の窒化物半導体基板と、窒化物半導体基板上に形成された半導体機能素子とを備えることを特徴とする。
結晶性が良好な窒化物半半導体基板上に半導体機能素子を形成すると、その半導体機能素子の結晶性が向上し、光学的特性が向上するなどの良好な特性を有することとなる。
本発明に係る窒化物半導体基板の製造方法は、基板上に結晶成長制限部を部分的に形成する第1工程と、上記基板の結晶成長制限部間の領域を埋めるように窒化物半導体層を成長させ、窒化物半導体層を横方向にも成長させて結晶成長制限部上の領域にも窒化物半導体層を成長させ、窒化物半導体層の露出表面の、層の厚み方向に平行な断面が、波形状を構成する波状層を形成する第2工程と、波状層を熱処理し、波状層の露出表面をなまらせる第3工程と、第3工程の後に波状層の露出表面上に窒化物半導体からなる平坦化層を成長させる第4工程とを備えることを特徴とする。
この製造方法によれば、波状層の形状が熱処理工程によってなまるため、平坦化層の成長時において、埋め込み領域の山谷差(埋め込み体積)が相対的に小さくなるため、平坦化し易くなり、平坦化層が波状層内に緻密に埋め込まれる。なお、なお基板から成長方向に伸びている転位は、波状層内で曲げられるため、その上に形成される平坦化層は、転位密度の低減化が図られる。その結晶性は、上記緻密性を伴って顕著に改善し、更に、結晶性、緻密性が高く、また、波状層及びこれに埋め込まれた平坦化層が厚み方向には平均的な組成が徐々に変化する歪緩和層としても機能しているので、平坦化層におけるクラックの発生も抑制されている。このように、平坦化層においては、全面に渡って転位密度を低減され、クラック発生が抑制されている。
また、上述の製造方法において、波状層は、単一の窒化物半導体層からなることとしてもよい。この場合には、窒化物半導体層が単純な構造であるため、製造が容易であるという利点がある。
また、上述の製造方法において、波状層は、基板上に成長した窒化物半導体からなる凹凸層と、凹凸層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第1被覆層と、第1被覆層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第2被覆層とからなり、第2被覆層の融点は、第1被覆層の融点よりも低いことを特徴とする。
また、この製造方法においては、第2被覆層は融点が低いため、製造時の熱処理によって容易になまることができる。第1被覆層によって被覆されているため凹凸層の形状は熱処理によっても変化せず、再現性の高い波状層が形成されている。また、凹凸層と第2被覆層の組成を相違させることもでき、結晶成長時の組成を独立して最適化することもできる。
また、この製造方法においては、上述の基板は、サファイア基板と、サファイア基板上に成長した緩衝層と、緩衝層上に成長した窒化物半導体からなり緩衝層よりも厚い下地層とを有することができる。
この製造方法において、基板としてサファイア基板を用いた場合においても、サファイア基板上に緩衝層と下地層を積層することで、窒化物半導体からなる下地層の結晶性を改善し、この上に別の窒化物半導体層が高い結晶性で成長することができる。
本発明の窒化物半導体基板の製造方法によれば、全面に渡って転位密度を低減することができ、クラック発生を防止することができ、この窒化物半導体基板は転位密度とクラックが低減されており、半導体デバイスにおいては、窒化物半導体基板上に形成された機能素子の転位密度とクラックが低減されているため、高品質となる。
以下、実施の形態に係る窒化物半導体基板の構造及び製造方法について説明する。なお、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
なお、以下の実施形態では、結晶を成長させる方法として有機金属気相成長(MOCVD)法が用いられるが、本発明はこれに限定されず、分子線成長(MBE)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法等、他の成長方法を用いてもよい。
また、以下の実施形態では、窒素原料ガスとしてアンモニア(NH)を含むガスが、III族原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)やトリメチルアルミニウム(TMA)を含むガスが、N型ドーピング原料ガスとしてシラン(SiH)を含むガスが、P型ドーピング原料ガスとしてジシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を含むガスが用いられるが、本発明はこれに限定されない。以下、詳説する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。三次元直交座標系X,Y,Zを設定すると、基板の厚み方向がZ軸に一致し、基板の幅方向がX軸に一致し、X軸及びZ軸の双方に垂直な紙面の奥行き方向がY軸に一致している。
各層は、下層から順番にZ軸の正方向に沿って積層して形成されるが、これらの層A,B,D1,C,D2,E,F1の材料は以下の通りである。
・形状変形層(第2被覆層)F1:GaN
・形状制御層(第1被覆層)E:AlGa1−XN、(X=0.1)
・凹凸層D2:GaN
・結晶成長制限部C:SiO
・下地層D1:GaN
・緩衝層B:GaN
・基板A:サファイア
結晶成長制限部Cは、絶縁性のストライプマスクからなり、各ストライプはY軸方向に延びており、X軸方向に沿って離間して並んでいる。また、凹凸層D2は、形状制御層E、形状変形層F1と共に、XZ断面内において、その露出表面が三角波形状をしており、三角波の谷の直下に結晶成長制限部Cのストライプが位置する。なお、露出表面のXZ断面が周期的な波形を示す凹凸層D2、形状制御層E及び形状変形層F1は、波状層(D2,E,F1)を構成している。
また、本例の凹凸層D2は、Y軸を中心軸とする複数の三角柱形状の部分を有している。すなわち、凹凸層D2の山部の頂面はY軸方向に沿って延びており、谷部の底面はY軸に沿って延びている。
図2は、図1に示した中間体に熱処理を行った後、平坦化層を表面上に形成してなる窒化物半導体基板の縦断面図である。
図1に示した形状変形層F1は、三角波の谷側に質量が移動して形状変形層F2となり、形状変形層F2上には平坦化層(埋め込み層)Gが埋め込み成長している。ここで、露出表面のXZ断面が周期的な波形を示す凹凸層D2、形状制御層E及び形状変形層F2は、波状層(D2,E,F2)を構成している。平坦化層Gは、AlGa1−XN、(X=0.15)からなる。この構造によれば、Alの組成比Xは15%あるが、Alのマイグレーション力が低くても、凹凸層D2の露出表面が熱処理によってなまっているため、すなわち、三角波の山部及び谷部における角部が多角形状になまっているため、埋め込み領域の山谷差が相対的に小さくなり、平坦化層Gが形状変形層F2内に緻密に埋まっている。結晶成長制限部Cを構成するストライプマスクの直上には、そのX軸方向の中心線(Z軸に沿っている)上を除き、結晶欠陥(転位)が低減されている。
平坦化層Gは、緻密に波状の断面内を埋めて成長するため、下地の好適な結晶性を継承して低欠陥密度状態で成長している。更に、埋め込み領域をなますことで、埋め込み厚さが薄くできる。よって、平坦化層Gの厚みの増大に起因するクラックを抑制することができる。このようなクラック防止の観点から平坦化層Gの厚みは、0.1μm〜500μmであることが好ましく、本例では8.4μmである。なお、結晶成長制限部Cを構成する各マスクは、周期性を持って離間しているが、これらは基板A上に部分的に形成されていれば、平坦化層Gの結晶性改善効果を有する。
次に、上述の窒化物半導体基板の製造方法について説明する。
工程(1):緩衝層B及び下地層D1の成長工程
図1に示すように基板Aを用意する。基板Aはサファイアからなり、その露出表面はC面である。基板AをMOCVDによる結晶成長を行うことが可能な空間(MOCVD室)内に導入して固定し、MOCVD室内を水素雰囲気にする。
次に、基板Aに対して1050℃で5分間の熱処理を行い、基板Aの表面を清浄化する。このように適切な条件で熱処理を行うことで、基板Aの表面の汚染物質が取り除かれると共に、表面の平面度が向上する。
次に、基板Aの温度を500℃まで降温し、トリメチルガリウム(TMG)を含むIII族原料ガス、及び窒素原料ガス等を供給して、基板A上に膜厚が25nmの緩衝層Bを成長させる。低温成長した緩衝層BはGaNからなる。そして、1050℃まで昇温し、TMGを含むIII族原料ガス、及び窒素原料ガス(NH)を供給して、緩衝層B上に膜厚が緩衝層Bより厚い2.5μmのGaNからなる下地層(第1GaN系半導体層)D1を成長させる。なお、上記の如く、緩衝層Bの成長温度は下地層D1の成長温度よりも低い。
工程(2):SiOストライプ形成
工程(1)で得られた基板をMOCVD室から取り出し、プラズマCVDによる成膜が可能な空間(プラズマCVD室)内に導入して固定する。次に、上記の基板上に、プラズマCVD法により、膜厚が60nmのSiO膜を堆積させる。次に、通常のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術によりSiO膜を加工して、X軸方向の幅2μmで周期4μmのSiOストライプからなる周期ストライプパターン(結晶成長制限部C)を形成する。すなわち、結晶成長制限部Cは、基板上に周期的に離間している。結晶成長制限部C上には、GaN系の化合物半導体が成長し難く、下地層D1を含む基板におけるストライプの間の領域上に、後段の工程の化合物半導体層が選択成長する。また、ストライプの長手方向は、GaN[1−100]方向に一致する。
次に、SiOストライプを形成した基板を、再度、MOCVD成長室に導入して固定し、MOCVD室をアンモニア雰囲気にして、1075℃で5分間の熱処理を行う。
工程(3):初期の波状層の成長工程
以下のように、凹凸層D2、形状制御層E及び形状変形層F1からなる波状層を、基板上に形成する。
工程(3−1):凹凸層D2の成長工程
TMGと窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法を用いて、基板温度900℃で、結晶成長制限部Cが形成された基板上にGaN層を成長させ、三角状の波形状の断面を有する凹凸層D2(第2GaN系半導体層)を形成する。すなわち、下地層D1を含む基板の結晶成長制限部C間の領域を埋めるように窒化物半導体層を成長させ、窒化物半導体層を横方向(X軸方向)にも成長させて結晶成長制限部C上の領域にも窒化物半導体層を成長させ、窒化物半導体層の露出表面の、層の厚み方向(Z軸方向)に平行な断面(XZ平面)が、波形状を構成する波状層の一部である凹凸層D2を形成する。なお、凹凸層D2は、AlGa1−XN(X=0)からなり、その厚さは、平坦な表面に形成した場合に換算して、1.7μmである。
工程(3−2):形状制御層Eの成長工程
その後、TMA、TMG、シラン(SiH)ガス、窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法を用いて、成長温度900℃、成長圧力6.7×10Pa(500torr)で、Siを添加したAlGa1−XN、(X=0.1)からなる厚さ0.1μmの形状制御層Eを、凹凸層D2上に成長する。形状制御層Eも波状層の一部である。
形状制御層Eの厚みは1nm〜10μmが好ましい。形状制御層Eの厚みが1nmより薄い場合は、形状制御層Eが、成長中断中に分解してしまう。形状制御層Eの厚みが10μmより厚い場合、形状制御層Eとその下の層の格子定数差により、クラックが入るからである。かかる観点から、更に好適な形状制御層Eの厚みは10nm〜1μmである。
工程(3−3):形状変形層F1の成長工程
続いて、TMG及び窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法を用いて、成長温度900℃、成長圧力6.7×10Pa(500torr)で、アンドープのGaNからなる厚さ0.8μmの形状変形層F1を、形状制御層E上に成長する。
工程(4):波状層における形状変形層F1の変形工程
工程(3−3)で得られた基板を1125℃まで昇温させる。昇温中は有機金属材料のみ供給を停止し、窒素原料ガス(NH)雰囲気下での化合物半導体層の成長を中断する。
この際、融点の低い形状変形層F1は、融点の高い形状制御層Eの山部を頂とする多角形になまり、形状変形層F2となる。元々あった形状変形層F1の山部に堆積された部分の質量の一部分は、谷部へ移動する。このような形で、本来であった三角波形状が、多角形状になまった波形状に変形する(図2参照)。こうして山谷差が小さくなるため、埋め込みが容易となる。
XZ断面において、波状層における形状変形層F2の露出表面は、周期的に基板側に凹んでおり、これらの凹部間の領域は凸部を構成している。上述のように、波状層の山谷差が小さくなっているため、形状変形層F2の露出表面の凹部の最深部のXZ断面内における角度θF2(<180度)は、この最深部の直下における形状制御層Eの凹部の最深部のXZ断面内における角度θEよりも大きい(θF2>θE)。また、角度θF2は、この最深部の直下における凹凸層D2の凹部の最深部のXZ断面内における角度θD2よりも大きい(θF2>θD2)。これにより平坦化層Gが波状層の最外表面の最深部に埋め込まれやすくなっている。
工程(5):平坦化層の成長工程
次に、TMA、TMG、窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法を用いて、膜厚が8.4μmのAlGa1−XN(X=0.15)からなる平坦化層Gを、波状層上に埋め込み成長させる。これにより、波状層からなる多角形構造が平坦化層G内に埋め込まれ、逆に言えば、波状層内に平坦化層Gの下部領域が埋め込まれる。そして、平坦化層Gの露出表面で規定される基板表面が平坦化され、窒化物半導体基板が得られる。なお、上記の膜厚は、平坦な基板上に成長させた場合の膜厚に換算した値である。また、成長温度1125℃、成長圧力は1.0×10Pa(76torr)とした。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。
この製造方法では、工程(1)、(2)、(3−1)、(4)、(5)を順次実行する。すなわち、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に波状層上に平坦化層Gを形成するが、波状層の形成工程が、第1実施形態とは変更されている。
1つ目の変更点は、工程(3−1)において、本形態における凹凸層D2の体積を、第1実施形態における凹凸層D2、形状制御層E及び形状変形層F1の合計体積と同一とし、基板上に凹凸層D2のみを波状層として成長させることである。ここで、形状制御層E及び形状変形層F1(F2)は成長させない。
図4は、図3に示した中間体に熱処理を行った後、平坦化層を表面上に形成してなる窒化物半導体基板の縦断面図である。
2つ目の変更点は、工程(3−1)に続いて工程(4)を行う場合、工程(4)における熱処理条件(温度と時間)を制御することで、凹凸層D2の三角状波部をなまらせ、この上に平坦化層Gを形成することである。すなわち、凹凸層D2の形状は、第1実施形態の形状変形層F2と同様に変形し、その露出表面は形状変形層F2と同一の条件を満たしている。工程(4)の後に、工程(5)が行われる。これにより、形状制御層E及び形状変形層F1(F2)が無くても、良好な窒化物半導体基板が得られる。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。
第3実施形態では、窒化物半導体基板は、サファイアからなる基板A上に直接、上述の工程(2)を用いてSiOストライプ(結晶成長制限部)Cを形成し、続いて、以下の工程(2−1)、及び上述の工程(3−1)、工程(3−2)、工程(3−3)、工程(4)及び工程(5)を経ることによって形成する。
工程(2−1):緩衝層Bの形成工程
工程(2)で得られた基板を、基板温度475℃まで昇温し、TMG及び窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法によって、膜厚が25nmのGaNからなる緩衝層Bを、基板Aの露出表面上に成長させる。
工程(3−1):凹凸層D2の成長工程
その後、TMG及び窒素原料ガス(NH)を用いたMOCVD法によって、成長圧力6.7×10Pa(500torr)で、基板温度925℃まで昇温し、GaNからなる凹凸層D2を緩衝層B上及び結晶成長制限部C上に形成する。結晶成長の仕方は上述の凹凸層D2の成長の場合と同一である。
しかる後、凹凸層D2上に、第1実施形態において説明したように、形状制御層E(工程(3−2))、形状変形層F1(工程(3−3))を形成し、これを熱処理してなまして形状変形層F2を形成し(工程(4))、最後に、平坦化層Gを形状変形層F2上に形成して、窒化物半導体基板を得る。もちろん、第2実施形態のように、工程(3−1)の後、工程(3−2)、(3−3)を経ることなく、工程(4)、工程(5)を順次実行してもよい。
(第4実施形態)
図6は、縦断面が三角状波形状を有する凹凸層D2の平面図、図7は凹凸層D2の1つの山部の拡大図、図8は図7に示した山部の斜視図である。
この凹凸層D2の表面形状は、上述のものとは異なる。上述のように、第1〜第3実施形態の凹凸層D2(波状層)の露出表面形状は、XZ断面においては波状であるが、頂面及び溝の底面がY軸に沿って延びたストライプ状であった。本例では、凹凸層D2の形状は、ストライプ状ではなく、その露出表面は、複数の六角錐を下地基板上に敷き詰めた形状をしている。
すなわち、図6に示すように、凹凸層D2を構成するGaNは六方晶をしており、紙面に垂直な方向(Z軸)に結晶のc軸が延びている。1つの結晶格子のc軸の延長線上に頂点Xを有する六角錐が形成されている(図7、図8参照)。このような構造(周期六角錐ファセット構造)の場合も、凹凸層D2のXZ断面は、三角状波形状となる。もちろん、これらの各角部は熱処理によって上述のように多角錐状になまっている。また、このような六角錐を形成するには、初期の結晶成長制限部の形状をストライプではなく、個々のマスク形状を円形、又は正多角形とし、これらをXY平面内においてマトリックス状に配置すればよい。
なお、図7及び図8に示すように、頂点Xは、6つの二等辺三角形の側面d21、d22、d23、d24、d25、d26の頂点を共有し、六角錐を構成しているが、頂点及び底辺の近傍は上述のように多角状になまっている。
(LED構造)
図9は、LED(発光ダイオード)の縦断面図である。
第1〜第4実施形態のいずれかの工程で得られた窒化物半導体基板を下地基板Xとする。LEDは、下地基板X上に、以下の半導体層L1、L2、L3、L4、L5、L6を順次堆積することによって得ることができる。
下地基板X上に、SiをドープしたAl0.15Ga0.85N層(Siドープコンタクト層L1)を3μm、Al0.15Ga0.85N層(第1クラッド層L2)を250nm、AlGaN量子井戸構造(活性層)L3、Al0.35Ga0.65N層(キャリアブロック層)L4を20nm、MgをドープしたAl0.15Ga0.85N層(Mgドープクラッド層)L5を250nm、MgをドープしたGaN層(コンタクト層)L6を50nm、順に成長させて、半導体構造物を得ることができる。各コンタクト層L1,L7には、電極層L7,L8を接触させる。下地基板X上に積層された半導体層L1〜L6は半導体機能素子としてのLEDを構成している。
(LD構造)
図10は、LD(レーザダイオード)の縦断面図である。
平坦化層GをAl0.3Ga0.7Nで形成する以外は、第1〜第4実施形態のいずれかと同一の工程で、窒化物半導体基板を作製し、これを下地基板Xとする。
下地基板X上に、SiをドープしたAl0.3Ga0.7N層(n側コンタクト層:H)を2.8μm、SiをドープしたAl0.3GaN層(n側クラッド層:I)を600nm、Al0.14GaN層(n側ガイド層:J)を90nm,Al0.04GaN量子井戸層とAl0.14GaN量子バリア層からなる多重量子井戸層(MQW発光層:K)、Al0.14GaN層(p側ガイド層:L)を120nm,MgをドープしたAlGaN層(電子ブロック層:M)を20nm,MgをドープしたAl0.3GaN層(P側クラッド層:N)を500nm、MgをドープしたGaN層(p側コンタクト層:O)を25nmの順で積層する。各成長は、上述のMOCVD法を用いる。
一般的なフォトリソグラフ工程、エッチング工程、電極付け工程を行なうことで、図10に示すように、5μm幅のリッジ型LD構造を作製した。P型電極層PはNiとAuの合金であり、N型電極層QはTiとAlの合金とした。紙面に垂直な共振器長は900μmとした。各電極層P,Q間に電流415mAを流したところ、短波長からなる342nmのパルスレーザ発振が確認された。
図11は、上記条件の場合のLDの発振スペクトルを示すグラフである。
波長342nmから343nmの間に、発振スペクトルのピークが位置しており、その半値幅も非常に小さくなっている。すなわち、優れた紫外線レーザが製造されていることが分かる。このように、実施の形態に係る半導体デバイスは、上述の窒化物半導体基板と、窒化物半導体基板上に形成された半導体機能素子とを備えている。結晶性が良好な窒化物半導体基板上に半導体機能素子を形成すると、その半導体機能素子の結晶性が向上し、光学的特性なども向上し、レーザ発振するという良好な特性を有することとなる。
なお、上述のサファイア基板は通常C面が用いられるが、これのオフ方向はA軸でもM軸でもよく、ジャスト基板でも良い。C面以外でも、ファセット面が出る場合の成長形態であれば、その途中に形状制御層と形状変更層を導入することで、同様の効果が得られる。
なお、上述のGaN、AlGaNなどの窒化物化合物半導体は、XをAlの組成比とすると、一般式としてAlGa1−XN(0≦X≦1)で表すことができる。この化合物半導体は、X=0の場合にはGaNを示し、X=1の場合にはAlNを示す。また、これにInを更に含有する化合物半導体の一般式は、YをGaInにおけるInの組成比とすると、Al(Ga1−YIn1−XN(0≦X≦1、0≦Y≦1)で表される。この化合物半導体は、Y=0の場合にはAlGa1−XNを示し、Y=1の場合には、AlIn1−XNを示す。なお、Al(Ga1−YIn1−XNは、簡略的にAlGaInNで示すこととする。」
上述のように、波状層の谷部位置から、埋め込み成長が完了し平坦化するまでの位置までの膜厚部分は、全体的に見ると組成が徐々に変化する組成勾配層としても機能している。すなわち、波状層と埋め込まれた平坦化層は、成長方向に沿って全体としては格子定数が変化しており、歪み緩衝層としても機能するため、上層におけるクラックの発生が抑制される。なお、このようなクラックは、基板Aと、その上に位置する複数の窒化物半導体層、及び複数の窒化物半導体層の各層間での熱膨張の差、格子定数の差などに起因して発生するものと思われる。これらの物理的応力を、波状層と平坦化層で構成される歪み緩衝層でバランスさせることで、クラックの発生が抑制されるものと考えられる。
よって、サファイアからなる基板A上に、GaN系半導体からなる波状層を形成し、波の間を平坦化層で埋め込み、これらに歪み緩衝的な役割を持たせることが、高品質で厚膜のAlGaN層もしくはAlGaInN層を形成する上で重要であると考えられる。
なお、上述の窒化物半導体基板は、上述の実施形態とは別の構造を採用することも可能である。
図12は、各層の材料を示す図表である。
基板Aの材料としては、上述のサファイアの他、SiC、Si、AlGaInN、Ga、ZnO、及びZrBからなる群のいずれか1種を用いることができる。すなわち、基板Aは、サファイア基板、酸化ガリウム基板、SiC基板、Si基板などの窒化物半導体とは異なる異種基板から構成することができるが、これは窒化物半導体から構成してもよい。この初期基板A上に、AlGaInN層が形成される。なお、上述のように、AlGaInNは、Al(Ga1−YIn1−XNを示している。緩衝層Bの材料としては、AlGaInNを用いることができるが、挿入しない方法も可能である。下地層D1の材料としては、AlGaInNを用いることができるが、挿入しない方法も可能である。
結晶成長制限層Cは、選択成長用のマスクであるが、これは高融点元素α、高融点元素の合金β、α又はβの酸化物、α又はβの窒化物、又は、空隙から構成される。すなわち、上記実施形態では、結晶製法制限部Cは、SiOから構成されていたが、この結晶成長制限部Cは、その他の材料から構成することもできる。結晶成長制限部Cは、高融点元素、それらの合金、それらの酸化物、それらの窒化物から構成することができ、その融点が1000℃以上のものからなるマスクによって構成されている。なお、空隙の一事例としては、適当なマスクを用いてマスクが埋まるまで凹凸層の初期層を形成した後、このマスクを除去することによって形成されたものがある。
このマスクを構成する高融点元素αとしては、Nd(1021℃)、Au(1064℃)、Mn(1244℃)Si(1410℃)、Ni(1453℃)、Co(1495℃)、Fe(1535℃)、Pd(1554℃)、Ti(1660℃)、Pt(1769℃)、Zr(1852℃)、Cr(1857℃)、V(1890℃)、Rh(2310℃)、Hf(2227℃)、Nb(2468℃)、Mo(2620℃)、Ta(2996℃)、Re(3180℃)、又はW(3410℃)などが挙げられる。なお、括弧内は融点を示している。
より好適なマスク材料として、SiOx、SiNx、Ti、W、TiNx、WNxなどがあげられる。なお、下付のXは各材料の組成比を示す。
凹凸層D2は、AlGaInNから構成することができ、形状制御層E、形状変形層F1(F2)は、それぞれAlGaInNから構成することができるが、これを挿入しないことも可能である。また、平坦化層(埋込層)GもAlGaInNから構成することができる。
なお、窒化物半導体基板に適用可能な材料の組み合わせは、この表に記載の材料に限定されず、発明の主旨を変えない限り、様々な組み合わせが存在する。なお、形状制御層Eの融点が、形状変形層F1(F2)の融点よりも高いことが条件となる。
なまった後の波形層において、その側面は平坦であっても平坦でなくても良い。より好適な形状として、波形層の側面も、凹凸面である変形後の形状変形層をもつことが望ましい。側面の凹凸部でも、格子定数の不整合による歪みを緩和することができ、クラックがより抑制される。上述の側面の凹凸面は、波状層の周期よりも短いディンプルのような細かい凹凸を更に有していてもよい。
以上、説明したように、上述の実施形態に係る窒化物半導体基板は、全面に渡って転位密度を低減し、クラック発生を防止することができ、これを用いた半導体デバイスは光学特性などに優れることとなる。
以上、説明したように、上述の窒化物半導体基板は、基板((A,B,D1)、又はA)と、基板上に形成されX軸方向に沿って周期的に離間した結晶成長制限部Cと、基板及び結晶成長制限部Cを被覆し、その露出表面の、層の厚み方向に平行な断面(XZ断面)が、周期的な波の形状を構成し、この波の形状は多角形状になまっている窒化物半導体からなる波状層(D2,E,F2)と、波状層上に形成され窒化物半導体からなる平坦化層Gとを備えている。
この発明に係る窒化物半導体基板によれば、波状層の形状が多角形状になまっているため、埋め込み体積が相対的に小さくなり、平坦化層Gの成長時において埋め込み成長しやすくなる。したがって、平坦化層Gが波状層内に緻密に埋め込まれる。なお、平坦化層内で低転位で成長しており、その上に形成される平坦化層Gの結晶性は、上記緻密性を伴って顕著に改善し、更に、結晶性、緻密性が高く、また、波状層及びこれに埋め込まれた平坦化層Gが厚み方向には平均的な組成が徐々に変化する歪緩和層としても機能しているので、平坦化層Gにおけるクラックの発生も抑制されている。このように、平坦化層Gにおいては、全面に渡って転位密度を低減され、クラック発生が抑制されている。
上述の実施形態においては、波状層の角部が多角形状になまっているが、特に第1実施形態においては、熱処理によって形状変形層F2が垂れているので、形状変形層F2の重心位置は、形状制御層Eの重心位置よりも、基板側に位置している。
また、上述の窒化物半導体基板において、第1実施形態において示したように、波状層は、基板上に成長した窒化物半導体からなる凹凸層D2と、凹凸層D2の表面を被覆する窒化物半導体からなる形状制御層(第1被覆層)Eと、形状制御層Eの表面を被覆する窒化物半導体からなる形状変形層(第2被覆層)F2とからなり、形状変形層F2の融点は、形状制御層層Eの融点よりも低いこととすることができる。
形状変形層F2は融点が低いため、製造時の熱処理によって容易になまることができる。形状制御層Eによって被覆されているため凹凸層D2の形状は熱処理によっても変化せず、再現性の高い波状層が形成されている。また、凹凸層D2と形状変形層F2の組成を相違させることもでき、結晶成長時の組成を独立して最適化することもできる。なお、熱処理時の温度は、形状変形層F2の融点と形状制御層層Eの融点との間の温度に設定する。
なお、第1実施形態において、AlGaNからなる凹凸層D2、形状制御層E、及び形状変形層F2に含まれるAlの組成比を、それぞれX1,X2,X3とすると、これらはX1<X2、X3<X2の関係を満たすことが好ましいが、第1実施形態ではX1=X3=0に設定されている。すなわち、熱処理時において、形状制御層Eを用いることで、形状変形層F2の変形は促進しつつも、凹凸層D2の変形は抑制し、製造の再現性を高めている。
なお、上述の窒化物半導体基板において、第2実施形態において示したように、波状層は、単一の窒化物半導体層(第2実施形態)からなることができ、この場合には、窒化物半導体層が単純な構造であり、製造が容易であるという利点がある。
また、上述の窒化物半導体基板において、上記の基板は、サファイア基板Aと、サファイア基板A上に成長した緩衝層Bと、緩衝層B上に成長した窒化物半導体からなり緩衝層Bよりも厚い下地層D1とを有することが好ましい。基板Aはサファイア基板を用い、これに緩衝層Bと下地層D1を積層することで、窒化物半導体からなる下地層D1の結晶性を改善し、この上に別の窒化物半導体層が高い結晶性で成長される。
また、上述の窒化物半導体基板の製造方法は、基板((A,B,D1)、又はA)上にX軸に沿って周期的に離間した結晶成長制限部Cを形成する第1工程と、基板の結晶成長制限部C間の領域上から窒化物半導体層を基板厚み方向に成長させ、続いて、窒化物半導体層を横方向にも成長させて結晶成長制限部C上の領域にも窒化物半導体層を成長させ、窒化物半導体層の露出表面の、層の厚み方向に平行な断面が、周期的な波の形状を構成する波状層(凹凸層D2、形状制御層E、形状変形層F1)を形成する第2工程と、波状層を熱処理し、波状層の露出表面をなまらせる第3工程と、第3工程の後に波状層の露出表面上に窒化物半導体からなる平坦化層Gを成長させる第4工程とを備えている。
この製造方法によれば、波状層の形状が熱処理工程によって多角形状になまるため、埋め込み体積が減少するため、平坦化層Gの成長時において、埋め込みが容易となり、平坦化層Gが波状層内に緻密に埋め込まれる。平坦化層は低転位で成長しており、その結晶性は、上記緻密性を伴って顕著に改善し、更に、結晶性、緻密性が高く、また、波状層及びこれに埋め込まれた平坦化層が厚み方向には平均的な組成が徐々に変化する歪緩和層としても機能しているので、平坦化層におけるクラックの発生も抑制されている。このように、平坦化層Gにおいては、全面に渡って転位密度を低減され、クラック発生が抑制されている。
以下、上述の窒化物半導体基板を作製した場合の評価結果について説明する。
図13は、以下の実施例I、従来例Iに関する評価結果を示す図表である。
(実施例I)
実施例Iに係る窒化物半導体基板は、第1実施形態と同じ製造方法を用いて製造し、平坦化層Gは、AlGa1−XN(X=0.3)から構成し、その厚みは7.6μmとした。平坦化層G上に、AlGaNからなるMQW(多重量子井戸)層を成長した。AlGaNからなるMQW層は、厚さ3nmのGaNからなる井戸層、厚さ8nmのAlGa1−XN(X=0.15)からなるバリア層の積層ペアを10周期成長したものである。このサンプルの表面モフォロジにおいて、クラックは観察されなかった。
(従来例I)
従来例Iに係る窒化物半導体基板は、実施例Iにおいて、平坦化層Gの下地になる層として、形状制御層E及び形状変形層F2の形成を省略し、三角状波形状の凹凸層D2を平坦化層Gの下地層として製造した。なお、この鋭利な凹凸層D2は、融点を超える熱処理によってなまされていない。この凹凸層D2上に、実施例Iと同一の平坦化層を形成し、その上に実施例Iと同一のMQW層を形成した。平坦化層G及びMQW層の両者の組成、構造は、実施例Iと同一である。比較例Iのサンプルの表面モフォロジにおいては、埋め込み残り穴、及びクラックが観察された。
第1実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。 図1に示した中間体に熱処理を行った後、平坦化層を表面上に形成してなる窒化物半導体基板の縦断面図である。 第2実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。 図3に示した中間体に熱処理を行った後、平坦化層を表面上に形成してなる窒化物半導体基板の縦断面図である。 第3実施形態に係る窒化物半導体基板の中間体の縦断面図である。 縦断面が三角状波形状を有する凹凸層D2の平面図である。 凹凸層D2の1つの山部の拡大図である。 図7に示した山部の斜視図である。 LED(発光ダイオード)の縦断面図である。 LD(レーザダイオード)の縦断面図である。 LDの発振スペクトルを示すグラフである。 各層の材料を示す図表である。 実験結果を示す図表である。
符号の説明
A・・・基板、B・・・緩衝層、D1・・・下地層、C・・・結晶成長制限部、D2・・・凹凸層、E・・・第1被覆層、F1,F2・・・第2被覆層、G・・・平坦化層。

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に部分的に形成された結晶成長制限部と、
    前記基板及び前記結晶成長制限部を被覆し、その露出表面の、層の厚み方向に平行な断面が、波形状を構成し、前記波形状はなまっている窒化物半導体からなる波状層と、
    前記波状層上に形成され窒化物半導体からなる平坦化層と、
    を備えることを特徴とする窒化物半導体基板。
  2. 前記波状層は、単一の窒化物半導体層からなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板。
  3. 前記波状層は、
    前記基板上に成長した窒化物半導体からなる凹凸層と、
    前記凹凸層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第1被覆層と、
    前記第1被覆層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第2被覆層と、
    からなり、
    前記第2被覆層の融点は、前記第1被覆層の融点よりも低い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板。
  4. 前記基板は、
    サファイア基板と、
    前記サファイア基板上に成長した緩衝層と、
    前記緩衝層上に成長した窒化物半導体からなり前記緩衝層よりも厚い下地層と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板と、
    前記窒化物半導体基板上に形成された半導体機能素子と、
    を備えることを特徴とする半導体デバイス。
  6. 基板上に結晶成長制限部を部分的に形成する第1工程と、
    前記基板の前記結晶成長制限部間の領域を埋めるように窒化物半導体層を成長させ、前記窒化物半導体層を横方向にも成長させて前記結晶成長制限部上の領域にも前記窒化物半導体層を成長させ、前記窒化物半導体層の露出表面の、層の厚み方向に平行な断面が、波形状を構成する波状層を形成する第2工程と、
    前記波状層を熱処理し、前記波状層の露出表面をなまらせる第3工程と、
    前記第3工程の後に前記波状層の露出表面上に窒化物半導体からなる平坦化層を成長させる第4工程と、
    を備えることを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 前記波状層は、単一の窒化物半導体層からなることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  8. 前記波状層は、
    前記基板上に成長した窒化物半導体からなる凹凸層と、
    前記凹凸層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第1被覆層と、
    前記第1被覆層の表面を被覆する窒化物半導体からなる第2被覆層と、
    からなり、
    前記第2被覆層の融点は、前記第1被覆層の融点よりも低い、
    ことを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  9. 前記基板は、
    サファイア基板と、
    前記サファイア基板上に成長した緩衝層と、
    前記緩衝層上に成長した窒化物半導体からなり前記緩衝層よりも厚い下地層と、
    を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
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