JP2009536186A - 癌処置のためのジアゾール誘導体の医薬組合せ - Google Patents

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Abstract

本発明は補助化合物と式(I)の化合物:
【化1】
Figure 2009536186

[式中、
は2,6−ジクロロフェニルであり、
2aおよびR2bは双方とも水素であり、かつ
は基:式(A)
【化2】
Figure 2009536186

(式中、RはC1−4アルキルである)
である]
またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せを提供する。これらの組合せはCDKキナーゼの阻害剤としての活性を有し、癌細胞の増殖を阻害する。

Description

技術分野
本発明は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば、GSK−3)の活性を阻害または調節するピラゾール化合物と1以上の補助化合物の組合せ、キナーゼが介在する病態または症状の処置または予防におけるこれらの組合せの使用、およびCDKおよび/またはGSK阻害または調節活性を有する化合物を含む組合せに関する。また、これらの組合せを含む医薬組成物も提供される。
背景技術
タンパク質キナーゼ
タンパク質キナーゼは、細胞内の多様なシグナル伝達プロセスの制御に関与する、構造的に関連した大きな酵素ファミリーを構成する(Hardie, G. and Hanks, S. (1995) The Protein Kinase Facts Book. I and II, Academic Press, San Diego, CA)。これらのキナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質チロシン、タンパク質セリン/トレオニン、脂質など)によりファミリーに分類される。これらのキナーゼファミリーの各々に一般的に対応する配列モチーフが同定されている(例えば、Hanks, S. K., Hunter, T., FASEBJ., 9:576-596 (1995); Knighton, et al., Science, 253:407-414 (1991); Hiles, et al., Cell, 70:419-429 (1992); Kunz, et al., Cell, 73:585-596 (1993); Garcia-Bustos, et al., EMBO J., 13:2352-2361 (1994))。
タンパク質キナーゼは、それらの調節機構により特徴付けることができる。これらの機構には、例えば、自己リン酸化、他のキナーゼによるトランスリン酸化、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用、およびタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用がある。個々のタンパク質キナーゼは、1を超える機構により調節され得る。
キナーゼは、リン酸基を標的タンパク質に付加することにより、増殖、分化、アポトーシス、運動性、転写、翻訳および他のシグナル伝達プロセスを含み、これに限定されない多くの異なる細胞プロセスを調節する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質の生物機能を調節または調節することができる分子のオン/オフスイッチとしての働きをする。標的タンパク質のリン酸化は、種々の細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖および分化因子など)、細胞周期事象、環境ストレスまたは栄養ストレスなどに応答して起こる。適切なタンパク質キナーゼは、シグナル伝達経路において、例えば、代謝性酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネルもしくはポンプ、または転写因子を(直接または間接的に)活性化または不活性化する働きをする。タンパク質リン酸化の制御欠陥による細胞内シグナル伝達の不全が、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾病および症状、中枢神経系の疾病および症状、ならびに脈管形成を含む多くの疾病に関連づけられている。
本発明の組合せは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば、GSK−3)の活性を阻害または調節するピラゾール化合物と1以上の補助化合物を含む。補助化合物はそれ自体、タンパク質キナーゼ調節または阻害活性を示し、このような活性は当該組合せのピラゾール成分(前記の通り)の活性とは全く異なってもよい。よって、存在する補助化合物の属性によって、全体としての組合せは、以下に示すものを含む一定範囲の種々のタンパク質キナーゼの1以上の活性を阻害または調節することができる。
サイクリン依存性キナーゼ
真核細胞***のプロセスは、G1、S、G2およびMと呼ばれる一連の連続する期に大別することができる。細胞周期の種々の段階の適正な進行は、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)として知られているタンパク質ファミリーおよびサイクリンと呼ばれるそれらの同族タンパク質パートナーの多様なセットの空間的・時間的調節に決定的に依存していることが示されている。cdkは、配列依存的に種々のポリペプチドのリン酸化において基質としてATPを利用することができるcdc2(cdk1としても知られている)相同セリン−トレオニンキナーゼタンパク質である。サイクリンは、特定のcdkパートナータンパク質への結合およびそれに対する選択性の規定に使用される「サイクリンボックス」と呼ばれる約100アミノ酸を含む相同領域によって特徴付けられるタンパク質ファミリーである。
細胞周期を通じて種々のcdkおよびサイクリンの発現レベル、分解速度および活性化レベルが調節されることで、cdkが酵素的に活性である一連のcdk/サイクリン複合体の循環形成がもたらされる。これらの複合体の形成により、個々の細胞周期チェックポイントを介する経路が制御され、それにより細胞***のプロセスが継続し得る。ある細胞周期チェックポイントで必須の生化学的基準を満足しない、すなわち、必要とするcdk/サイクリン複合体を形成することができないと、細胞周期の停止および/または細胞アポトーシスがもたらされることがある。癌において見られる異常な細胞増殖は、多くの場合、適正な細胞周期制御の欠如に起因し得る。従って、cdk酵素活性の阻害により、異常に***する細胞が、それらの***の停止および/または死滅を生じ得る手段が提供される。cdk、およびcdk複合体、ならびに細胞周期に介在するそれらの重要な役割の多様性により、定義された生化学的根拠に基づいて選択される広範囲の可能性ある治療標的が提供される。
細胞周期のG1期からS期への進行は、D型およびE型サイクリンのメンバーとの会合を介して、主としてcdk2、cdk3、cdk4およびcdk6により調節される。G1限界点においてG1期からS期への移行にはcdk2/サイクリンE複合体が重要であることから、D型サイクリンは、G1限界点を超えるのに役立つと思われる。続いて、S期を経てG2期へ入るには、cdk2/サイクリンA複合体が必要であると思われる。有糸***と、それを引き起こすG2期からM期への移行はどちらも、cdk1とA型およびB型サイクリンの複合体により調製される。
G1期間では、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)およびp130のような関連のポケットタンパク質がcdk(2、4、および6)/サイクリン複合体の基質となる。G1からの進行は、一部は、cdk(4/6)/サイクリン−D複合体によるRbおよびp130の高リン酸化、および従って不活性化により助長される。Rbおよびp130の高リン酸化により、E2Fなどの転写因子の放出、および従って、G1からの進行、さらにはS期に入るために必要なサイクリンE遺伝子などの遺伝子の発現が起こる。サイクリンEの発現により、Rbのさらなるリン酸化を介してE2Fレベルを増幅または維持するcdk2/サイクリンE複合体の形成が促進される。また、このcdk2/サイクリンE複合体は、ヒストン生合成に関連づけられているNPATなどの、DNA複製に必要な他のタンパク質もリン酸化する。また、G1の進行およびG1/S移行は、cdk2/サイクリンE経路に送り込まれるマイトジェン刺激Myc経路を介しても調節される。また、cdk2は、p21レベルのp53調節を介して、p53が介在するDNA損傷応答経路にも接続される。p21は、cdk2/サイクリンEのタンパク質阻害剤であり、従って、G1/S移行を遮断または遅延することができる。従って、cdk2/サイクリンE複合体は、Rb、Mycおよびp53経路からの生化学的刺激がある程度統合される点を表す可能性がある。従って、cdk2および/またはcdk2/サイクリンE複合体は、異常に***する細胞において細胞周期を停止させる、または細胞周期の制御を回復させるべく設計される治療剤の良い標的となる。
細胞周期におけるcdk3の厳密な役割は明らかになっていない。同族サイクリンパートナーはまだ同定されていないが、優勢なネガティブ型のcdk3がG1における細胞を遅延させ、このことは、cdk3がG1/S移行を調節する役割を有することを示唆している。
ほとんどのcdkが細胞周期の調節に関連づけられているが、cdkファミリーの特定のメンバーが、他の生化学的プロセスに関与している証拠がある。これは、適正な神経発達に必要であり、かつ、Tau、NUDE−1、シナプシン1、DARPP32およびMunc18/シンタキシン1A複合体などのいくつかの神経タンパク質のリン酸化にも関連づけられているcdk5によって例示される。神経cdk5は、通常、p35/p39タンパク質への結合により活性化される。しかしながら、cdk5活性は、p35の末端切断型であるp25の結合により脱調節され得る。p35からp25への変換および続いてのcdk5活性の脱調節は、虚血、興奮毒性およびβ−アミロイドペプチドにより誘導することができる。その結果、p25は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の病因に関連づけられており、従って、これらの疾病に対する治療標的として注目される。
cdk7は、cdc2CAK活性を有し、かつ、サイクリンHに結合する核タンパク質である。cdk7は、RNAポリメラーゼIIC末端ドメイン(CTD)活性を有するTFIIH転写複合体の成分として同定されている。これは、Tatが介在する生化学経路を介したHIV−1転写の調節と関連づけられている。cdk8はサイクリンCと結合し、RNAポリメラーゼIIのCTDのリン酸化に関連付けられている。同様に、cdk9/サイクリン−T1複合体(P−TEFb複合体)は、RNAポリメラーゼIIの伸張制御に関連付けられている。また、PTEF−bは、サイクリンT1との相互作用を介したウイルス性トランス活性化因子TatによるHIV−1ゲノムの転写の活性化に必要とされる。従って、cdk7、cdk8、cdk9およびP−TEFb複合体は、抗ウイルス治療の可能性のある標的となる。
分子レベルで、cdk/サイクリン複合体活性の介在には、一連の促進および阻害的リン酸化または脱リン酸化の事象が必要である。cdkのリン酸化は、cdk活性化キナーゼ群(CAK)および/またはwee1、Myt1およびMik1などのキナーゼによって行われる。脱リン酸化は、cdc25(aおよびc)、pp2aまたはKAPなどのホスファターゼによって行われる。
cdk/サイクリン複合体活性は、さらに、Kip/CipファミリーまたはINKファミリーという、内因性の細胞タンパク性阻害剤の2つのファミリーにより調節され得る。INKタンパク質は、cdk4およびcdk6と特異的に結合する。p16ink4(MTS1としても知られている)は、多数の原発性癌において突然変異または欠失されている、可能性のある腫瘍抑制遺伝子である。Kip/Cipファミリーは、p21Cip1,Waf1、p27Kip1およびp57kip2などのタンパク質を含む。上記したように、p21はp53により誘導され、cdk2/サイクリン(E/A)およびcdk4/サイクリン(D1/D2/D3)複合体を不活性化することができる。乳癌、結腸癌および前立腺癌においては、典型的に低いレベルのp27発現が見られている。逆に、固形癌におけるサイクリンEの過剰発現は、患者の予後の不良と相関があることが示されている。サイクリンD1の過剰発現は、食道癌、乳癌、扁平上皮癌および非小細胞性肺癌と関連付けられている。
増殖細胞において細胞周期を統括および駆動する上でのcdkおよびそれらの関連タンパク質の中枢的役割については上記で概要を述べた。cdkが重要な役割を果たす生化学的経路のいくつかについても記載してきた。従って、全般的にcdkまたは特定のcdkを標的とした治療薬を用いた、癌などの増殖性疾患の処置に向けた単剤療法の開発は、極めて望ましい可能性がある。cdk阻害剤は、とりわけウイルス感染、自己免疫疾患および神経変性疾患などの他の症状を処置するのにも使用できると考えられる。また、cdk標的治療も、既存または新しい治療薬との併用療法に用いた場合に、上記の疾病の処置において臨床的利益をもたらし得る。cdk標的抗癌療法は、DNAと直接相互作用せず、従って、二次腫瘍の発達の危険性を軽減するはずであることから、現行の多くの抗腫瘍剤に優る利点を持つ可能性がある。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
細胞周期の進行はサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、および負の細胞周期レギュレーターであるCDK阻害剤(CDKi)の作用の組合せによって調節される。p27KIP1は細胞周期調節の鍵となるCDKiであり、G1/S移行にはその分解が必要とされる。増殖中のリンパ球ではp27KIP1の発現が見られないにもかかわらず、いくつかの急速進行性B細胞リンパ腫は、変則的なp27KIP1染色を示すことが報告されている。この種のリンパ腫では異常に高いp27KIP1発現が見られた。これらの知見が臨床上適当であるかどうかの分析では、単変量解析と多変量解析の双方で、この種の腫瘍における高レベルのp27KIP1発現が予後の不良のマーカーとなることが示された。これらの結果は、有害な臨床的意義を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)において異常なp27KIP1発現が見られることを示し、このことはこの異常なp27KIP1タンパク質が他の細胞周期レギュレータータンパク質との相互作用を介して非機能性となり得ることを示唆している(Br. J. Cancer. 1999 Jul;80(9): 1427-34)。p27KIP1はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫で異常な発現を示し、臨床結果の不良と関連している。Saez A, Sanchez E, Sanchez-Beato M, Cruz MA, Chacon I, Munoz E, Camacho FI, Martinez-Montero JC, Mollejo M, Garcia JF, Piris MA. Department of Pathology, Virgen de Ia Salud Hospital, Toledo, Span。
慢性リンパ性白血病
B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)は西半球で最も多い白血病であり、毎年およそ10,000件の新たな症例が診断されている(Parker SL, Tong T, Bolden S, Wingo PA: Cancer statistics, 1997. Ca. Cancer. J. Clin. 47:5, (1997))。他の形態の白血病に比べ、CLLの予後は全体的に良好であり、最も進行した病期の患者でも3年の生存期間中央値を有する。
従来用いられているアルキル化剤に基づく療法に比べ、症候性CLL患者に対する初期療法としてフルダラビンを付加するとより高い完全応答率(3%に対して27%)と無進行生存期間をもたらした。治療後に完全臨床応答率を得ることはCLLにおける生存率を向上させる第一段階であるが、大多数の患者は完全緩解が得られないか、またはフルダラビンに応答することができない。さらに、フルダラビンで処置した全てのCLL患者がやがて再発に至り、その単剤としての役割は全く対症的なものとなる(Rai KR, Peterson B, Elias L, Shepherd L, Hines J, Nelson D, Cheson B, Kolitz J, Schiffer CA: A randomized comparison of fludarabine and chlorambucil for patients with previously untreated chronic lymphocytuc leukemia, A CALGB SWOG, CTG/NCI-C and ECOG Inter-Group Study. Blood 88:141a, 1996 (abstr 552, suppl 1))。従って、この疾病の治療法にさらなる進展が実現されるとすれば、フルダラビンの細胞傷害性を補足し、内在性のCLL薬剤耐性因子によって誘導される耐性を排除する新規な作用機序を有する新規薬剤を同定することが必要である。
最も包括的に研究されている、CLL患者の不十分な治療応答と生存率の悪さの一様な推定因子は、点突然変異または染色体17p13の欠失を特徴とするような異常なp53機能である。実際、異常なp53機能を有するCLL患者に関する複数の単一施設症例系統においてアルキル化剤またはプリン類似体のいずれかによる療法に対する応答は実証されたことがない。CLLにおけるp53突然変異に関連する薬剤耐性を克服する能力を有する治療薬を導入することは、この疾病の処置に大きな進展をもたらす可能性がある。
サイクリン依存性キナーゼの阻害剤であるフラボピリドールおよびCYC 202は、in vitroにおいてB細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)由来の悪性細胞のアポトーシスを誘導する。
フラボピリドール暴露はカスパーゼ3活性の刺激、ならびにB−CLLにおいて過剰発現される、細胞周期の負のレギュレーターp27(kip1)のカスパーゼ依存性切断をもたらす(Blood. 1998 Nov 15; 92(10):3804-16 Flavopiridol induces apoptosis in chronic lymphocytic leukemia cells via activation of caspase-3 without evidence of bcl-2 modulation or dependence on functional p53. Byrd JC, Shinn C, Waselenko JK, Fuchs EJ, Lehman TA, Nguyen PL, Flinn IW, Diehl LF, Sausville E, Grever MR)。
グリコーゲンシンターゼキナーゼ
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は、ヒトにおいて偏在性に発現する2つのイソ型(GSK3αとGSK3β)として生じるセリン−トレオニンキナーゼである。GSK3は胚発達、タンパク質合成、細胞増殖、細胞分化、微小管動力学、細胞運動および細胞アポトーシスに役割を有するとされている。このようなGSK3は糖尿病、癌、アルツハイマー病、卒中、癲癇、運動神経性疾患および/または頭部外傷などの病態の進行に関連づけられている。系統発生的にGSK3はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に最も近い。
GSK3により認識されるコンセンサスペプチド基質配列は(Ser/Thr)−X−X−X−(pSer/pThr)であり、ここで、Xは任意のアミノ酸であり((n+1)、(n+2)、(n+3)番)、pSerおよびpThrはそれぞれホスホ−セリンおよびホスホ−トレオニンである(n+4)。GSK3は最初のセリン、または(n)番のトレオニンをリン酸化する。(n+4)番のホスホセリン、またはホスホトレオニンは、最大基質ターンオーバーを得るためにGSK3をプライミングするのに必要であると思われる。GSK3αのSer21におけるリン酸化、またはGSK3βのSer9におけるリン酸化は、GSK3の阻害をもたらす。突然変異誘発およびペプチド競合研究は、GSK3のリン酸化されたN末端が、自己阻害機構を介してホスホ−ペプチド基質(S/TXXXpS/pT)と競合し得るというモデルを導いた。また、GSK3αおよびGSKβがそれぞれチロシン279および216のリン酸化により敏感に認識され得るということを示唆するデータもある。これらの残基のPheへの突然変異により、in vivoキナーゼ活性の低下が起こった。GSK3βのX線結晶構造はGSK3の活性化および調節のあらゆる局面に光を当てる助けとなった。
GSK3は哺乳類インスリン応答経路の一部をなし、グリコーゲンシンターゼをリン酸化することで、これを不活性化することができる。GSK3の阻害によるグリコーゲンシンターゼ活性のアップレギュレーションおよびそれによるグリコーゲン合成はII型、すなわち、身体の組織がインスリン刺激に耐性となる状態である非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)に対処する、可能性ある手段であると考えられてきた。肝組織、脂肪組織または筋肉組織における細胞のインスリン応答は、細胞外インスリン受容体に結合するインスリンにより誘発される。これがリン酸化をもたらし、次に、インスリン受容体基質(IRS)タンパク質の原形質膜への動員が起こる。これらのIRSタンパク質がさらにリン酸化されれば、原形質膜へのホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)の動員が始まり、そこでは、第二のメッセンジャーであるホスファチジルイノシチル3,4,5−3リン酸(PIP3)の放出が可能である。これは3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1(PDK1)とタンパク質キナーゼB(PKBまたはAkt)の膜への同時局在を助け、そこで、PDK1はPKBを活性化する。PKBはリン酸化され、それによってそれぞれSer9またはser21のリン酸化によりGSK3αおよび/またはGSKβを阻害することができる。このGSK3の阻害は、次に、グリコーゲンシンターゼ活性のアップレギュレーションを誘発する。従って、GSK3を阻害することができる治療薬は、インスリン刺激に対して見られるものと同様の細胞応答を誘導し得る可能性がある。GSK3のさらなるin vivo基質として、真核生物タンパク質合成開始因子2B(eIF2B)がある。eIF2Bはリン酸化によって不活性化され、従って、タンパク質の生合成を抑制することができる。従って、例えば、「ラパマイシンの哺乳類標的」タンパク質(mTOR)の不活性化によるGSK3の阻害はタンパク質生合成をアップレギュレートすることができる。最後に、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ1(MAPKAP−K1またはRSK)などのキナーゼによるGSK3のリン酸化によるマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路を介したGSK3活性の調節の証拠がいくつかある。これらのデータは、GSK3活性が有糸***促進刺激、インスリン刺激および/またはアミノ酸刺激によって調節され得ることを示唆する。
また、GSK3βが脊椎動物Wntシグナル伝達経路の重要な成分であることも示されている。この生化学経路は、正常な胚発達に重要であり、正常組織における細胞増殖を調節することが示されている。GSK3はWnt刺激に応答して阻害されるようになる。これにより、アキシン、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)遺伝子産物およびβ−カテニンなどのGSK3基質の脱リン酸化をもたらし得る。Wnt経路の調節の異常は多くの癌に関連している。APCおよび/またはβ−カテニンの突然変異は結腸直腸癌および他の腫瘍に共通している。また、β−カテニンは細胞接着に重要であることも示されている。従って、GSK3もまたある程度まで細胞接着プロセスを調節し得る。すでに記載した生化学経路とは別に、サイクリン−D1のリン酸化を介した細胞***の調節、c−Jun、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α(C/EBPα)、c−Mycなどの転写因子および/または活性化T細胞の核因子(NFATc)、熱ショック因子−1(HSF−1)およびc−AMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)などの他の基質のリン酸化にGSK3を関連づけるデータもある。また、GSK3は、組織特異的ではあるが、細胞アポトーシスの調節にも役割を果たしていると思われる。プロアポトーシス機構を介した細胞アポトーシスの調節におけるGSK3の役割は、神経アポトーシスが起こり得る医学的状態に特に関連がある可能性がある。これらの例としては、頭部外傷、卒中、癲癇、アルツハイマー病、および運動神経性疾患、進行性の核上麻痺、皮質基底核変性症、およびピック病がある。in vitroにおいては、GSK3は微小管関連タンパク質Tauを高リン酸化することができることが示されている。Tauの高リン酸化はその微小管との正常な結合を妨害し、細胞内Tau微細線維の形成ももたらし得る。これらの微細線維の進行的な蓄積は、ついには神経の機能不全および変性をもたらすと考えられている。従って、GSK3の阻害によるTauリン酸化の阻害は、神経変性作用を制限し、かつ/または防ぐ手段となり得る。
オーロラキナーゼ
比較的最近、細胞周期のG2期とM期に関与し、有糸***の重要なレギュレーターである、オーロラキナーゼとして知られるセリン/トレオニンキナーゼの新規なファミリーが発見された。
オーロラキナーゼの厳密な役割はまだ解明されていないが、それらは有糸***のチェックポイントの制御、染色体の動力学および細胞質***に役割を果たしている(Adams et al., Trends Cell Biol., 11:49-54 (2001))。オーロラキナーゼは***間期の細胞の中心体、二極紡錘体の***極、および***装置の中央体に存在する。
これまでに哺乳類で3つのメンバーのオーロラキナーゼファミリーが発見されている(E. A. Nigg, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2:21-32, (2001))。それらは、
・オーロラA(文献ではオーロラ2とも呼ばれている);
・オーロラB(文献ではオーロラ1とも呼ばれている);および
・オーロラC(文献ではオーロラ3とも呼ばれている)
である。
オーロラキナーゼは相同性が高いが、そのN末端部分が著しく異なる触媒ドメインを持っている(Katayama H, Brinkley WR, Sen S.; The Aurora kinases: role in cell transformation and tumorigenesis; Cancer Metastasis Rev. 2003 Dec; 22(4):451-64)。
オーロラキナーゼAおよびBの基質は、キネシン様モータータンパク質、紡錘体タンパク質、ヒストンH3タンパク質、動原体タンパク質および腫瘍抑制タンパク質p53を含むものと確認されている。
オーロラAキナーゼは紡錘体の形成に関与し、それらが紡錘体関連タンパク質をリン酸化するG2期初期に中心体に局在するようになると考えられている(Prigent et al., Cell, 114:531-535 (2003))。Hirota et al, Cell, 114:585-598, (2003)は、オーロラAタンパク質キナーゼを消耗した細胞は有糸***に入ることができなかったことを見出した。さらに、種々の種においてオーロラA遺伝子の突然変異または破壊は、中心体の分離および成熟欠陥、紡錘体異常ならびに染色体分離の欠陥を含む有糸***異常をもたらすことが見出されている(Adams, 2001)。
オーロラキナーゼは、一般に、胸腺および精巣のような***細胞の割合の高い組織を除く、大部分の正常組織において低レベルで発現される。しかしながら、多くのヒト癌において高レベルのオーロラキナーゼが見出されている(Giet et al., J. Cell. Sci. 112:3591-361, (1999)およびKatayama (2003))。さらに、オーロラAキナーゼは、多くのヒト癌で増幅されることがしばしば見出されている染色体20q13領域にマッピングされている。
このように、例えば、ヒト乳癌、卵巣癌および膵臓癌において著しいオーロラAの過剰発現が検出されている(Zhou et al., Nat. Genet. 20:189-193, (1998), Tanaka et al., Cancer Res., 59:2041-2044, (1999)およびHan et al., cancer Res., 62:2890-2896, (2002)参照)。
さらに、Isola, American Journal of Pathology 147, 905-911 (1995)は、オーロラA遺伝子座(20q13)の増幅がリンパ節転移陰性乳癌を有する患者の予後の不良と相関していることを報告している。
ヒト膀胱癌ではオーロラ−Aの増幅および/または過剰発現が見られ、異数性および急速進行性の臨床特性にはオーロラ−Aの増幅が関連している(Sen et al., J. Natl. Cancer Inst, 94:1320-1329 (2002)参照)。
オーロラ−Aの高い発現は結腸直腸癌(Bischoff et al., EMBO J., 17:3052-3065, (1998) およびTakahashi et al., Jpn. J. Cancer Res., 91:1007-1014 (2000)参照)、卵巣癌(Gritsko et al. Clin. Csncer Res., 9:1420-1426 (2003)参照)、および胃癌(Sakakura et al., British Journal of Cancer, 84:824-831 (2001))の50%以上で検出されている。
Tanaka et al. Cancer Research, 59:2041-2044 (1999)は、浸潤性乳管癌の94%でオーロラAの過剰発現の証拠を見出した。
また、腎臓癌、子宮頸癌、神経芽腫、黒色腫、リンパ腫、膵臓癌および前立腺癌細胞系統でも、高レベルのオーロラAキナーゼが見出されている[Bischoff et al. (1998), EMBO J., 17:3052-3065 (1998); Kimura et al. J. Biol. Chem., 274:7334-7340 (1999); Zhou et al., Nature Genetics, 20:189-193 (1998); Li et al., Clin Cancer Res. 9(3):991-7 (2003)]。
オーロラ−Bは白血病細胞をはじめとする複数のヒト腫瘍細胞系統で発現が高い[Katayama et al., Gene 244:1-7]。原発性結腸直腸癌では、この酵素のレベルはデュークのステージの関数として増加する[Katayama et al., J. Natl Cancer Inst., 91:1160-1162 (1999)]。
オーロラ−3(オーロラ−C)は正常組織の生殖細胞に制限されている傾向があるとしても、いくつかの腫瘍細胞系統において高レベルのこのキナーゼが検出された(Kimura et al. Journal of Biological Chemistry, 274:7334-7340 (1999)参照)。また、結腸直腸癌の約50%でオーロラ−3が過剰発現することが、Takahashi et al., Jpn J. Cancer Res. 91:1007-1014 (2001)により文献で報告されている。
増殖性疾患におけるオーロラキナーゼの役割に関する他の報告は、Bischoff et al., Trends in Cell Biology 9:454-459 (1999); Giet et al. Journal of Cell Science, 112:3591-3601 (1999)およびDutertre, et al. Oncogene, 21:6175-6183 (2002)に見出すことができる。
Royce et alは、原発性乳癌の約4分の1でオーロラ2遺伝子(STK15またはBTAKとして知られている)の発現が示されていることを報告している(Royce ME, Xia W, Sahin AA, Katayama H, Johnston DA, Hortobagyi G, Sen S, Hung MC; STK15/Aurora-A expression in primary breast tumours is correlated with nuclear grade but not with prognosis; Cancer. 2004 Jan 1;100(1):12-9)。
子宮内膜癌(EC)は少なくとも2つのタイプの癌を含んでいる。類内膜癌(EEC)はエストロゲン関連の腫瘍であり、多くの場合正倍数性であり、予後も良好である。非類内膜癌(NEEC;漿液性型および明細胞型)はエストロゲンに無関係で、多くの場合異数性であり、臨床的には急速進行性である。また、オーロラはNEECの55.5%では増幅されているが、EECでは増幅されていないことも判明した(P≦0.001)(Moreno-Bueno G, Sanchez-Estevez C, Cassia R, Rodriguez-Perales S, Diaz-Uriarte R, Dominguez O, Hardisson D, Andujar M, Prat J, Matias-Guiu X, Cigudosa JC, Palacios J. Cancer Res. 2003 Sep 15;63(18):5697-702)。
Reichardt et al (Oncol Rep. 2003 Sep-Oct;10(5):1275-9)は、神経膠腫におけるオーロラ増幅を調べるためのPCRによる定量的DNA分析により、WHO病期の異なる16の腫瘍のうち5つ(31%)(グレードIIが1つ、グレードIIIが1つ、グレードIVが3つ)が、オーロラ2遺伝子のDNA増幅を示したことを明らかにした。オーロラ2遺伝子の増幅は、腫瘍形成の遺伝的経路に役割を果たす、ヒト神経膠腫におけるランダムでない遺伝子変化である可能性があるとの仮説が立てられた。
また、Hamada et al (Br.J. Haematol. 2003 May;121(3):439-47)による結果は、オーロラ2が非ホジキンリンパ腫の疾病活性だけでなく、非ホジキンリンパ腫の腫瘍形成を示すために有効な候補であることも示唆している。この遺伝子の機能の制限から起こる腫瘍細胞増殖の遅延は非ホジキンリンパ腫の治療アプローチとなり得る。
Gritsko et al (Clin Cancer Res. 2003 Apr;9(4):1420-6))による研究では、原発性卵巣癌を有する92名の患者においてオーロラAのキナーゼ活性およびタンパク質レベルが調べられた。in vitroキナーゼ分析では、44症例(48%)で高いオーロラAキナーゼ活性が明らかになった。52検体(57%)で高いオーロラAタンパク質レベルが検出された。オーロラAの高いタンパク質レベルは高いキナーゼ活性とよく相関していた。
Li et al (Clin. Cancer Res. 2003 Mar;9(3):991-7)によって得られた結果は、膵臓腫瘍および膵臓癌細胞系統でオーロラA遺伝子が過剰発現されることを示し、オーロラAの過剰発現が膵臓癌形成に役割を果たし得ることを示唆している。
同様に、オーロラA遺伝子の増幅およびそれがコードする有糸***キナーゼの、関連する発現の増加が、ヒト膀胱癌の異数性および攻撃的な臨床行動と関連していることが示された(J. Natl. Cancer Inst. 2002 Sep 4;94(17):1320-9)。
いくつかのグループによる研究(Dutertre S, Prigent C., Aurora-A overexpression leads to override of the microtubule-kinetochore attachment checkpoint; Mol. Interv. 2003 May;3(3):127-30およびAnand S, Penrhyn-Lowe S, Venkitaraman AR., Aurora-A amplification overrides the mitotic spindle assembly checkpoint, inducing resistance to Taxol, Cancer Cell. 2003 Jan;3(1):51-62)は、オーロラキナーゼ活性の過剰発現がいくつかの現行癌治療に対する耐性に関連していることを示唆している。例えば、マウス胚繊維芽細胞におけるオーロラAの過剰発現はタキサン誘導体の細胞傷害性作用に対するこれらの細胞の感受性を低下させ得る。従って、オーロラキナーゼ阻害剤は、既存の治療に耐性を発達させた患者において特に使用が見出せる。
これまでに行われた研究に基づけば、オーロラキナーゼ、特にオーロラキナーゼAおよびオーロラキナーゼBの阻害が腫瘍発達を停止させる有効な手段となると考えられる。
Harrington et al (Nat Med. 2004 Mar;10(3):262-7)は、オーロラキナーゼの阻害剤が腫瘍増殖を抑制し、in vivoで腫瘍退縮を誘発することを実証した。この研究では、オーロラキナーゼ阻害剤は癌細胞の増殖を遮断し、また、白血病細胞系統、結腸直腸細胞系統および***細胞系統をはじめとするある範囲の癌細胞系統において細胞死を誘発した。さらに、白血病細胞においてアポトーシスを誘発することによる白血病の処置の可能性が示された。VX−680は患者由来の不応性原発急性骨髄性白血病(AML)細胞を著しく死滅させた(Andrews, Oncogene, 2005, 24, 5005-5015)。
最近の報告では、オーロラキナーゼAおよびBはヒト白血病細胞で過剰発現し、小分子オーロラキナーゼ阻害剤はin vitroにおいて原発急性骨髄細胞の増殖に対して活性であることが示されている(Harrington et al, 2004)。さらに、最近、a t(15:17)転座(PML3)による急性前骨髄球性白血病において分断されているPML遺伝子の産物がオーロラAと相互作用し、そのキナーゼ活性を抑制することが報告されている。PMLが腫瘍抑制因子であり、その分断は白血病に限られているが、リンパ腫および数種の固形腫瘍にも多いというさらなる証拠が得られている(Xu et al, Molecular Cell 17: 721732, 2005)。
オーロラ阻害剤に特に感受性である癌としては、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、神経膠腫および非類内膜性子宮内膜癌が挙げられる。オーロラ阻害剤に特に感受性である白血病としては、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫(マントル細胞)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)が挙げられる。さらなる白血病としては、急性前骨髄球性白血病が挙げられる。
C−Abl
末端切断型c−abl遺伝子にBCRコード配列を融合する染色体転座事象は、c−ablのチロシンキナーゼ活性を著しく高め、慢性骨髄性白血病(CML)患者の95%において形質転換因子(agent)となる。この転座は染色体9と22の間で起こり、細胞遺伝学的方法により識別することができる染色体22の変異、すなわちフィラデルフィア(Ph+)染色体をもたらす。BCRとAbl遺伝子配列の融合はBcr−Abl遺伝子産物のオリゴマー形成、トランス−自己リン酸化および活性化の増強をもたらす。c−ablタンパク質の自己阻害ドメインもまた、この遺伝子融合の結果として欠失する。また、この遺伝子融合の結果として、c−ablの細胞化局在も影響を受ける。Bcr−Ablの発癌作用は複雑であるが、Ras、ErkおよびJun経路の活性化を介したG1期からS期への誘導を含むと考えられている。Bcr−Ablはまた、PI3K/Akt経路を介して細胞の生存にも影響を及ぼす。Bcr−Ablタンパク質がマウスにおいてCML症状を確立することができることを示す動物モデルにおいて、Bcr−Ablの発癌作用が実証されている。
CMLは、慢性期、加速期および急性転化期の3つの段階で進行する致死的な疾病である。CMLは初期段階では、最終分化好中球の増殖を特徴とする。疾病が進行するにつれ、過剰な骨髄性前駆細胞またはリンパ性前駆細胞が生じる。この疾病の慢性期が数年続いた後、複数の付加的遺伝子突然変異を特徴とする急性転化期に伸展する。CMLは主に成人を侵し、その平均生存期間は疾病の発現後5年である。CMLは初期段階ではc−ablのATP競合阻害剤イマチニブ(Gleevec)により首尾よく処置されている。第1相臨床試験では、この薬剤に関して95%の緩解率が示された。慢性期でもCML患者にイマチニブに対する持続的応答が見られたが、急性転化期の緩解は2〜6か月持続するに過ぎない。残念なことに、CML患者におけるイマチニブに対する獲得耐性の発達は年間15%といった高いものであると見積もられる。
BCR−ABLにおけるキナーゼドメイン突然変異は、イマチニブに対する獲得耐性の最も多い機構に相当し、50%〜90%の症例に見られる。イマチニブ耐性の最も多い原因は、イマチニブの結合に直接的または間接的に影響を及ぼすc−ablキナーゼドメインにおける点突然変異の発生によるものである。イマチニブで処置されたCML患者において、25を超える異なるAblキナーゼドメイン突然変異が確認されており、イマチニブに対する臨床耐性と関連している(Hematology Shah 2005 (1): 183)。これらの突然変異はイマチニブに対して様々な程度の感受性を有する。イマチニブはABLキナーゼドメインと不活性または閉じられたコンフォメーションで結合すること、および結合した際にタンパク質に種々のコンフォメーション変化を誘導することが示されている。いくつかの耐性関連突然変異がイマチニブの直接触に関与するアミノ酸位置で起こるが、その大多数は、キナーゼドメインが、イマチニブが結合する特異的コンフォメーションと適合しないようにするものと思われる。研究は、いくつかの突然変異は軽度の耐性を付与するに過ぎないことが示され、結果として、場合によっては用量漸増が応答を回復すると予測される。第二世代のBCR−ABL阻害剤(例えば、BMS354825、AMN−107)の同時投与は、多くのイマチニブ耐性突然変異体を効果的に阻害することが示されている。しかしながら、臨床において、最も高いイマチニブ耐性c−abl突然変異T315Iに対して効率的であることが示された薬剤はない。
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)
FLT3(short for fms-like tyrosine-kinase 3)は、血小板由来増殖因子(PDGF)、コロニー刺激因子1(CSF1)およびKITリガンド(KL)の受容体と構造的に関連するクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。FLT3は、キナーゼインサートと呼ばれる特異的な親水性挿入により二分された細胞内チロシンキナーゼドメインを含む。
FLT3およびその特異的リガンドFLT3−リガンド(FL)は、造血系前駆細胞の調節に役割を果たし、多能性骨髄およびBリンパ球前駆細胞に相当するCD34陽性骨髄細胞ならび単球細胞を含む造血系細胞で発現される。
FLT3の活性化突然変異は急性骨髄性白血病に見られる最も多い突然変異の1つである。これらの最も多い突然変異は長さの突然変異(LM)または内部タンデム重複(ITD)と呼ばれ、エキソン11に属し、ある場合にはイントロン11とエキソン12を含む、重複配列またはインサートからなる。
FLT3遺伝子における内部タンデム重複および/または挿入およびまれではあるが欠失は、急性骨髄性白血病(AML)の20〜25%および骨髄異形成症候群(MDS)の5〜10%および急性リンパ芽球性白血病(ALL)のいくつかの症例に関連している。
FLT3タンパク質の突然変異は負の調節ドメインの分断により、チロシンキナーゼ活性の構成的活性化をもたらす。この活性化の結果、raf−MEK−ERK経路を含むいくつかの増殖因子依存的経路が刺激され、白血病細胞の増殖および生存に寄与する。よって、FLT3のキナーゼ活性の阻害は、FLT3活性に依存する上記のものなどの疾病の有効な処置となり得る。
3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ−1(PDK1)
3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ−1(PDK1)は、タンパク質キナーゼのAGCサブファミリーに属すいくつかのキナーゼの活性の調節に重要な役割を果たす(Alessi, D. et al., Biochem. Soc. Trans, 29, p1-14, 2001)。これらにはタンパク質キナーゼB(PKB/AKT)、p70リボゾームS6キナーゼ(S6K)(Avruch, J. et al., Prog. Mol. Subcell. Biol., 2001, p115-154, 2001)およびp90リボゾームS6キナーゼ(Frodin, M. et al., EMBO J., 19, p2924-2934, 2000)を含む。血清およびグルココルチコイド(glucocordicoid)により調節されるキナーゼ(SGK)のキナーゼ活性はまた、PDK−1によりリン酸化および活性化することができる。他の可能性のある基質としては、タンパク質キナーゼC、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)、PRK1およびタンパク質キナーゼGが挙げられる。
PDK1が介在するシグナル伝達はインスリンおよび増殖因子に応答して、また、細胞の細胞外マトリックスへの接着の結果(インテグリンシグナル伝達)として活性化される。一度活性化されると、これらの酵素は細胞の生存、成長、増殖およびグルコース調節などのプロセスを制御する重要な役割を果たす重要な調節タンパク質をリン酸化することにより多様な細胞事象を媒介する(Lawlor, M.A. et al., J. Cell Sci., 114, p2903-2910, 2001)、Lawlor, M.A. et al., EMBO J., 21, p3728- 3738, 2002)。よって、PDK−1阻害剤は糖尿病および癌などの疾病の新規な治療的処置を提供し得る。
PDK1は556のアミノ酸のタンパク質であり、N末端触媒ドメインとC末端pleckstrin相同性(PH)ドメインを有し、これらのキナーゼをその活性化ループでリン酸化することによりその基質を活性化する(Belham, C. et al., Curr. Biol., 9, pR93-96, 1999)。前立腺およびNSCLを含む多くのヒト癌は、PTEN突然変異などのいくつかの異なる遺伝的事象から生じる高いPDK1シグナル伝達経路機能、またはある種の重要な調節タンパク質の過剰発現を示す[(Graff, J.R., Expert Opin. Ther. Targets, 6, p103-13, 2002), (Brognard, J., et al., Cancer Res., 61 p3986-97, 2001)]。癌を処置するための、可能性のある機構としてのPDK1の阻害が、PTEN陰性ヒト癌細胞系統(IJ87MG)をPDK1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトすることにより実証された。結果として起こるPDK1タンパク質レベルの低下は、細胞の増殖および生存の低下を招く(Flynn, P., et al., Curr. Biol., 10, p1439-42, 2000)。よって、PDK−1の阻害は、癌治療の有望な標的を提供し得る。
PDK−1が介在するPKB/AKT(非刺激細胞では多くが不活性型で存在する)のリン酸化は、この酵素を触媒的に活性な形態に変換する。これはAKTの活性化ループドメインの、AKT2ではトレオニン−309、また、AKT1ではトレオニン(theonine)−308におけるリン酸化によって起こる。AKTは通常の無刺激細胞では低い、基底レベルの活性を示すが、腫瘍細胞では、AKTは構成的に活性化される場合が多い。これは、Pl−3キナーゼなどのAKTの活性化、増殖因子受容体(例えば、EGFRファミリーメンバー)、Ras、SrcおよびBCR−ABLの活性化を促進し得る癌細胞によく見られる種々の異なるシグナル伝達分子のアップレギュレーションまたは発癌突然変異の存在によって起こる。腫瘍抑制因子PTENの欠損は、癌細胞においてAKT活性を著しく高めるもう1つの手段である(Besson, A. et al., Eur. J. Biochem. (1999), Vol. 263, No. 3, pp. 605-611)。PTENの突然変異またはPTENタンパク質のダウンレギュレーションは、多数の腫瘍および癌細胞系統で見られる。PTENは、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリスホスフェートおよびホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェート(phosphatidylinosito13,4-bisphosphate)などのPl−3キナーゼの産物からD−3リン酸基を除去するホスファターゼである(Myers, M. P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1998), Vol.95, No. 23, pp.13513-13518; Stambolic, V. et al., Cell (1998), Vol. 95 p29-39)。よって、PTENの欠損は、Pl−3キナーゼの産物を増やし、AKTの構成的活性化を促進する作用を有する。AKTレベルが著しくアップレギュレーションされた癌はPDK−1/AKT経路阻害剤の作用に特に感受性を持つ可能性がある。
よって、PDK1はPI3Kシグナル伝達経路の重要なメディエーターであり、成長、増殖および生存を含む多くの細胞機能を調節する。その結果、この経路の阻害は、癌の進行の多くの決定的必要条件に影響を及ぼすことができ、PDK1阻害剤は、それ自体、極めて広範囲のヒト癌の成長に作用を有すると考えられる。
血管内皮細胞増殖因子(VEGFR)
慢性増殖性疾患は著しい脈管形成を伴うことが多く、この脈管形成は炎症および/または増殖状態に寄与する、またはそれを維持することができ、あるいは血管の侵入増殖により組織の破壊をもたらす(Folkman, EXS, 79, 1-81 (1997); Folkman, Nature Medicine, 1, 27-31 (1995); Folkman and Shing, J. Biol. Chem., 267, 10931 (1992))。
脈管形成は、一般に、新しい、または代替血管の発生、すなわち血管新生をいうために用いられる。これは、胚において血管系が確立される、必要かつ生理学的な正常プロセスである。脈管形成は一般に、***、月経および創傷治癒の部位を除き、ほとんどの正常な成体組織では起こらない。しかしながら、多くの疾病が持続的かつ調節されない脈管形成を特徴としている。例えば、関節炎では、新たな毛細血管が関節に侵入し、軟骨を破壊する(Colville-Nash and Scott, Ann. Rhum. Dis., 51, 919 (1992))。糖尿病(および多くの異なる眼の疾患)では、新しい血管が黄斑または網膜または他の眼の構造に侵入し、失明を引き起こすことがある(Brooks, et al., Cell, 79, 1157 (1994))。アテローム性動脈硬化症のプロセも脈管形成に関連付けられている(Kahlon, et al., Can. J. Cardiol., 8, 60 (1992))。腫瘍成長および転移も脈管形成に依存していることが判明している(Folkman, Cancer Biol, 3, 65 (1992); Denekamp, Br. J. Rad., 66,181 (1993); Fidler and Ellis, Cell, 79,185 (1994))。
主要な疾病に脈管形成が関わっているという認識は、脈管形成阻害剤を同定および開発するための研究に付随したものである。これらの阻害剤は一般に、脈管形成シグナルによる内皮細胞の活性化、分解酵素の合成と放出、内皮細胞の移動、内皮細胞の増殖、および毛細管の形成などの脈管形成カスケードにおける個別の標識に応じて分類される。よって、脈管形成は多段階で起こり、これらの種々の段階において脈管形成を遮断する働きをする化合物の発見および開発が進行中である。
種々の機構で働く脈管形成阻害剤が癌および転移(O'Reilly, et al., Cell, 79, 315 (1994); Ingber, et al., Nature, 348, 555 (1990))、眼の疾患(Friedlander, et al., Science, 270,1500 (1995))、関節炎(Peacock, et al., J. Exp. Med., 175, 1135 (1992); Peacock et al., Cell. Immun., 160,178 (1995))および血管腫(Taraboletti, et al., J. Natl. Cancer Inst., 87, 293 (1995))などの疾病において有益であることを教示する刊行物がある。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の原形質膜を経る生化学シグナルの伝達に重要である。これらの膜貫通分子は特徴的には、原形質膜のセグメントを介して細胞内チロシンキナーゼドメインに接続された細胞外リガンド結合ドメインからなる。この受容体とリガンドの結合の結果、この受容体に付随するチロシンキナーゼ活性が刺激され、この受容体および他の細胞内タンパク質の双方のチロシン残基がリン酸化され、種々の細胞応答がもたらされる。これまでに、アミノ酸配列の相同性によって定義された少なくとも19の異なるRTKサブファミリーが確認されている。
ポリペプチドである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、in vitroにおいては内皮細胞の有糸***を促進し、in vivoにおいては脈管形成応答を刺激する。VEGFはまた、不適切な脈管形成にも関連づけられている(Pinedo, H.M., et al., The Oncologist, 5(90001), 1-2 (2000))。VEGFRはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)である。PTKは、細胞の成長、生存および分化の調節を含む細胞機能に関わるタンパク質において特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する(Wilks, A.F., Progress in Growth Factor Research, 2, 97-111 (1990); Courtneidge, S.A., Dev. Supp.l,57-64 (1993); Cooper, J.A., Semin. Cell Biol., 5(6), 377-387 (1994); Paulson, R.F., Semin. Immunol., 7(4), 267-277 (1995); Chan, A.C., Curr. Opin.Immunol., 8(3), 394-401 (1996))。
VEGFの3つのPTK受容体:VEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(Flk−1またはKDR)およびVEGFR−3(Flt−4)が確認されている。これらの受容体は脈管形成に関与し、シグナル伝達に寄与する(Mustonen, T., et al., J. Cell Biol., 129, 895-898 (1995))。
特に注目されるのは、主として内皮細胞で発現される膜貫通受容体であるVEGFR−2である。VEGFによるVEGFR−2の活性化は、腫瘍の脈管形成を誘発するシグナル伝達経路の重要な段階である。VEGFの発現は腫瘍細胞に構成的であり得、また、ある種の刺激に応答してアップレギュレーションされ得る。このような刺激の1つが低酸素であり、この場合、VEGF発現は腫瘍および関連の宿主組織の双方でアップレギュレーションされる。VEGFリガンドは、その細胞外VEGF結合部位と結合することによってVEGFR−2を活性化する。これはVEGFRの受容体の二量体形成およびVEGFR−2の細胞内キナーゼドメインにおけるチロシン残基の自己リン酸化をもたらす。このキナーゼドメインはATPからチロシン残基へリン酸基を転位させる働きをし、従って、VEGFR−2の下流にシグナル伝達タンパク質の結合部位を設け、やがて脈管形成の誘発をもたらす(McMahon, G. ,The Oncologist, 5(90001), 3-10 (2000))。
VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位における阻害はチロシン残基のリン酸化を遮断し、脈管形成の誘発を妨げる働きをする。
FGFR
チロシンキナーゼ受容体の繊維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、有糸***誘発、創傷治癒、細胞分化および脈管形成、ならびに発生を含む種々の生理機能系を調節する。正常および悪性の細胞成長ならびに増殖は双方とも、自己分泌因子ならびにパラ分泌因子として働くこれらの細胞外シグナル伝達分子の局部濃度の変化によって影響を受ける。自己分泌FGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性癌からホルモン非依存状態への進行に特に重要である可能性がある(Powers, et al., Endocr. Relat. Cancer, 7, 165-197 (2000))。
FGFおよびそれらの受容体は、いくつかの組織および細胞系統で高いレベルで発現され、過剰発現は悪性表現型に関与すると考えられている。さらに、いくつかの癌遺伝子は増殖因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌において、FGF依存性シグナル伝達が異常に活性化されている可能性がある(Ozawa, et al., Teratog. Carcinog. Mutagen., 21, 27-44 (2001))。
2つの原型メンバーとして酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF1)および塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)があり、これまでに少なくとも20の異なるFGFファミリーメンバーが確認されている。FGFに対する細胞応答は、1〜4の番号が付けられている4つのタイプの高親和性膜貫通チロシン−キナーゼ繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1〜FGFR4)を介して伝達される。リガンドが結合すると、これらの受容体は二量体を形成し、特定の細胞質チロシン残基を自己リン酸化またはトランスリン酸化して細胞内シグナルを伝達し、やがて、核転写因子エフェクターに届く。
このキナーゼは内皮細胞の増殖の他、多くの腫瘍種で活性化されるので、FGFR1経路が断たれると、腫瘍細胞の増殖が影響を受けるはずである。腫瘍関連の血管系におけるFGFR1の過剰発現および活性化は、腫瘍脈管形成におけるこれらの分子の役割を示唆した。
繊維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性および/または塩基性繊維芽細胞増殖因子ならびにケラチノサイト増殖因子リガンドに対して高い親和性を有する。繊維芽細胞増殖因子受容体2はまた、骨芽細胞の成長および分化中にFGFの強い骨形成作用を増強する。複合体の機能的変化をもたらす繊維芽細胞増殖因子受容体2の突然変異は、頭蓋縫合(頭蓋骨癒合)の異常な骨化を誘発し、結合組織性骨形成においてFGFRシグナル伝達の主要な役割を暗示する。例えば、頭蓋縫合早期骨化を特徴とするアペール(AP)症候群では、ほとんどの症例が繊維芽細胞増殖因子受容体2における機能獲得を生じる点突然変異を伴っている(Lemonnier, et al., J. Bone Miner. Res., 16, 832-845 (2001))。
アペール、クルーゾン、ジャクソン−ワイス、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達におけるいくつかの重度の異常には繊維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異が関連している。また、プファイファー症候群(PS)の、全てはないにしてもほとんどの症例が繊維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子のde novo突然変異により起こり(Meyers, et al., Am. J. Hum. Genet., 58, 491-498 (1996); Plomp, et al., Am. J. Med. Genet., 75, 245-251 (1998))、最近、繊維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異が、リガンドの特異性を司る基本則の1つを損なうことが示されている。すなわち、繊維芽細胞増殖因子受容体の2つの突然変異スプライス形態FGFR2cとFGFR2bが、非定型FGFリガンドと結合して、それにより活性化される能力を獲得した。このリガンド特異性の消失はシグナル伝達の異常をもたらし、これらの疾病症候群の重篤な表現型は、繊維芽細胞増殖因子受容体2の異所性リガンドに依存した活性化から生じることを示唆する(Yu, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97, 14536-14541 (2000))。
染色体転座または点突然変異などのFGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝異常は、異所発現する、または脱調節された、構成的に活性なFGFR3受容体をもたらす。このような異常は多発性骨髄腫なあびに膀胱癌および子宮頸癌の一部に関連している(Powers, C.J., et al., Endocr. Rel. Cancer, 7, 165 (2000))。よって、FGFR3阻害剤は多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頸癌の処置に有用である。
これらの化合物はそれ自体、特に脈管形成を阻害することによる、新生物の増殖の防止またはアポトーシスの誘発の手段を提供するのに有用であると思われる。従って、これらの化合物は癌などの増殖性障害を処置または予防するのに有用となると考えられる。特に、受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異体または受容体チロシンキナーゼのアップレギュレーションを伴う腫瘍は、これらの阻害剤に特に感受性であり得る。ここで述べられている特定のRTKのいずれかのイソ型の活性化突然変異体を伴う患者も、RTK阻害剤による処置が特に有益であると認めることができる。
FGFR4の過剰発現は、前立腺癌および甲状腺癌の双方における予後の不良に関連づけられている(Ezzat, S., et al. The Journal of Clinical Investigation, 109, 1 (2002), Wang et al. Clinical Cancer Research, 10 (2004))。さらに、生殖細胞系多型(Gly388Arg)が、肺癌、乳癌、結腸癌および前立腺癌の罹患率の上昇に関連づけられている(Wang et al. Clinical Cancer Research, 10 (2004))。
RET
Ret原癌遺伝子は、末梢神経系および中枢神経系ならびに腎臓を含む種々の組織の発達中に発現される受容体チロシンキナーゼをコードする。retヌルマウスに存在する異常は、Retが腸内ニューロンの後腸への移動および神経支配に、また、腎臓発達中の尿管芽上皮の増殖および分岐に重要であることを示唆する(Nature 367, 380-383, 1994)。
RET受容体チロシンキナーゼにおける突然変異は、種々の疾病における表現型の不均一性の古典的な例を提供する。RETの機能獲得型突然変異はヒト癌に関連しており、特に遺伝性および非遺伝性甲状腺癌を引き起こす。RETのチロシンキナーゼドメインを異種遺伝子相手に近接させる遺伝子再構成が、甲状腺の散剤性乳頭癌(PTC)で見出されている。これらの再配列は、キメラRET/PTC癌遺伝子を生成する。生殖細胞系癌では、RETの点突然変異が2型多発性内分泌腺腫症(MEN2Aおよび2B)および家族性甲状腺髄様癌(FMTC)の原因となっている。MEN2突然変異およびPTC遺伝子再構成の双方がRETの内因性チロシンキナーゼ活性を増強し、RETの下流の標的を活性化する。
このように、乳頭甲状腺癌(PTC)でRETの体細胞遺伝子再構成が見出され、2Aおよび2B型多発性内分泌腺腫症(MEN)ならびに家族性甲状腺髄様癌(FMTC)では生殖細胞系の点突然変異が見出された。これに対し、腸内神経系の先天的異常であるヒルシスプルング病の発症の原因となっている(Naoya Asai et al, Pathology International, Volume 56 Page 164, April 2006)。
SRC
Srcファミリーキナーゼ(SFK)は9メンバーを含み、そのうち3つ(Src、Fyn Yes)が偏在発現する。Srcはそれ自体、ヒト悪性疾患の病因に関連づけられている。活性化されたc−Srcの突然変異体で培養ヒト細胞を形質転換することができ、Srcタンパク質発現および/または活性は上皮癌で高まる。結腸癌では、隣接する正常粘膜に比べ、Src活性が高まっていることが多い。さらに、Srcの活性化は原発腫瘍に比べて転移で高まっている場合が多く、浸潤および転移におけるタンパク質の可能性のある役割が暗示される。さらに、Srcの発現は、疾病の進行と強く相関している。同様に、Srcの発現と活性化は、正常組織に比べて乳癌、膵臓癌、食道癌、子宮癌、肺癌、頭頸部癌および胃癌でも高まっている。
EGFRおよびPDGFR
悪性腫瘍は制御されない細胞増殖の産物である。細胞成長は成長促進因子と成長阻害因子の間の微妙なバランスによって制御される。正常組織では、これらの因子の産生および活性は、器官の正常な健全性および機能性を維持する制御および調節された様式で分化した細胞の増殖をもたらす。悪性細胞はこの制御を逃れ、自然のバランスが乱され(種々の機構による)、調節されない異常な細胞増殖が起こる。増殖の1つの駆動因子が上皮細胞増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)は、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌を含むいくつかのヒト固形腫瘍の発生および進行に関連づけられている。EGFRは4つの受容体、すなわち、EGFR(HER1またはErbB1)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)のファミリーのメンバーである。これらの受容体は細胞膜にある大きなタンパク質であり、各々、特異的な外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼ酵素活性を有する内部ドメインを持っている。EGFがEGFRに付着すると、それはチロシンキナーゼを活性化し、細胞を増殖および複製させる反応を誘発する。EGFRは多くの種類の癌細胞の表面に異常に高レベルで見られ、EGFの存在下で過度に***し得る。従って、EGFR活性の阻害は、癌の処置における化学療法研究の標的となってきた。このような阻害は、例えば抗体の使用による、細胞表面の標的EGFRとの直接的相互作用により、またはそれに続くチロシンキナーゼ活性の阻害により、達成することができる。
EGFRチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブ(gefitinib)およびエルロチニブ(erlotinib)がある。ゲフィチニブは、化学名4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンであり、非小細胞肺癌の処置のために用いられており、また、乳癌および結腸直腸癌などのEGF受容体を過剰発現する他の固形腫瘍用としても開発中である。エルロチニブは、化学名N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンであり、これもまた非小細胞肺癌の処置のために用いられており、膵臓癌などの他の種々の固形癌の処置用としても開発中である。
腫瘍発生に重要な別の増殖因子として血小板由来増殖因子(PDGF)があり、これは細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を介してシグナルを伝達するペプチド増殖因子ファミリーを含み、成長、増殖および分化を含む種々の細胞機能を刺激する。PDGFの発現は、膠芽腫および前立腺癌を含むいくつかの異なる固形腫瘍で実証されている。チロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)は、化学名4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミドメタンスルホネートであり、Bcr−Abl癌タンパク質および細胞表面チロシンキナーゼ受容体c−キットの活性を遮断し、それ自体、慢性骨髄性白血病および消化管間質腫瘍に対する処置として認可されている。メシル酸イマチニブはまたPDGFRキナーゼの強力な阻害剤であり、PDGFRにおける活性化突然変異のこれらの疾病における証拠に基づき、慢性骨髄単球性白血病および多形性膠芽腫の処置に関して現在評価されている。さらに、ソラフェニブ(sorafenib)(BAY 43−9006)は、化学名4−(4−(3−(4−クロロ−3(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミドであり、細胞増殖を阻害するためにRafシグナル伝達経路、そして腫瘍の脈管形成を阻害するためにVEGFR/PDGFRシグナル伝達カスケードの双方を標的とする。ソラフェニブは肝臓癌および腎臓癌を含むいくつかの癌の処置に関して検討されている。
補助化合物
以下に詳細に記載する通り、広範な補助化合物が本発明の組合せに適用が見出せる。これらの補助化合物は抗癌薬であり得る。
本発明の目的は、1以上の補助化合物とサイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(例えば、GSK−3)の活性を阻害または調節するピラゾール化合物を含む(またはそれらから本質的になる)治療組合せを提供することである。このような組合せは、その組合せの個々の成分によって示される個々の作用に比べて、腫瘍の細胞増殖に対して有利な効能を持ち得る。
Du PontのWO02/34721は、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤としてのある種のインデノ[1,2−c]ピラゾール−4−オンを開示している。
Bristol Myers SquibbのWO01/81348は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤としての5−チオ−、スルフィニル−およびスルホニルピラゾロ[3,4−b]−ピリジンの使用を記載している。
これもまたBristol Myers SquibbのWO00/62778は、ある種のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を開示している。
CyclacelのWO01/72745A1は、2−置換4−ヘテロアリール−ピリミジンおよびそれらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、ならびにサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤としてのそれらの使用、およびゆえに癌、白血病、乾癬などの増殖性疾患の処置におけるそれらの使用を記載している。
AgouronのWO99/21845は、CDK1、CDK2、CDK4、およびCDK6などのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を阻害するための4−アミノチアゾール誘導体を記載している。この発明はまた、そのような化合物を含有する医薬組成物の治療的使用または予防的使用、ならびにそのような化合物の有効量を投与することによる悪性腫瘍および他の疾患の処置方法にも向けられる。
AgouronのWO01/53274は、CDKキナーゼ阻害剤としての、N含有複素環式基と結合したアミド置換ベンゼン環を含み得るある種の化合物を開示している。
WO01/98290(Pharmacia & Upjohn)は、タンパク質キナーゼ阻害剤としての、ある種の3−アミノカルボニル−2−カルボキサミドチオフェン誘導体を開示している。
AgouronのWO01/53268およびWO01/02369は、サイクリン依存性キナーゼまたはチロシンキナーゼなどのタンパク質キナーゼの阻害により細胞増殖を媒介する、または阻害する化合物を開示している。これらAgouronの化合物は直接的またはCH=CHもしくはCH=N基を介してインダゾール環の3位と結合したアリールまたはヘテロアリール環を有する。
WO00/39108およびWO02/00651(双方ともDu Pont Pharmaceuticals)は、トリプシン様セリンプロテアーゼ酵素、特に第Xa因子およびトロンビンの阻害剤である複素環式化合物を記載している。これらの化合物は抗凝固薬として、または血栓塞栓性疾患の予防に有用であると述べられている。
US2002/0091116(Zhuら)、WO01/19798およびWO01/64642は各々、第Xa因子の阻害剤としての複素環式化合物の多様な群を開示している。
米国特許第6,127,382号、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/19052およびWO97/19062(全てAllerganに対するもの)は各々、癌を含む種々の過増殖性疾患の処置に用いるための、レチノイド様活性を有する化合物を記載している。
WO02/070510(Bayer)は、心血管疾患の処置に用いるための、ある種のアミノ−ジカルボン酸化合物を記載している。この文書では、全般的にピラゾールが記載されているが、ピラゾールの具体例は示されていない。
WO97/03071(Knoll AG)は、中枢神経系疾患の処置に用いるための、ある種のヘテロシクリル−カルボキサミド誘導体を開示している。複素環式基の例として全般的にピラゾールが記載されているが、具体的なピラゾール化合物は開示も例示もされていない。
WO97/40017(Novo Nordisk)は、タンパク質チロシンホスファターゼのモジュレーターである化合物を記載している。
WO03/020217(Univ. Connecticut)は、神経症状を処置するためのカンナビノイド受容体モジュレーターとしての、ある種のピラゾール3−カルボキサミドを記載している。この明細書(第15頁)には、これらの化合物が癌の化学療法に使用可能であると述べられているが、これらの化合物が抗癌剤として活性があるかどうか、またはこれらの化合物が他の目的で投与されるかどうかは明示されていない。
WO01/58869(Bristol Myers Squibb)は、とりわけ、様々な疾病を処置するために使用可能であるカンナビノイド受容体モジュレーターを開示している。主要な使用は呼吸器系疾患の処置であるが、癌の処置も挙げられている。
WO01/02385(Aventis Crop Science)は、殺真菌薬としての1−(キノリン−4−イル)−1H−ピラゾール誘導体を開示している。合成中間体として、1−非置換ピラゾールが開示されている。
WO2004/039795(Fujisawa)は、アポリポタンパク質B分泌の阻害剤としての、1−置換ピラゾール基を含むアミドを開示している。これらの化合物は高脂血症のような症状を処置するのに有用であると述べられている。
WO2004/000318(Cellular Genomics)は、キナーゼモジュレーターとしての種々のアミノ置換単環を開示している。例示されている化合物にはピラゾールはない。
本願の優先日の後に公開された本発明者らの同時係属出願WO2005/012256は、CDKおよびGSK−3キナーゼの阻害剤としての3,4−二置換ピラゾール化合物を開示している。
発明の概要
本発明は、1以上の補助化合物と、サイクリン依存性キナーゼ阻害または調節活性および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK3)阻害または調節活性を有し、これらのキナーゼが介在する病態または症状を予防または処置するのに有用であると考えられる化合物との組合せを提供する。
よって、例えば、本発明の組合せは癌を緩和する、または癌の罹患率を軽減するのに有用であると考えられる。
第1の態様において、本発明は、補助化合物と式(I):
Figure 2009536186
[式中、
は2,6−ジクロロフェニルであり;
2aおよびR2bは双方とも水素であり;
かつ、Rは基:
Figure 2009536186
(式中、RはC1−4アルキルである)
である、式(I)の化合物またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せを提供する。
「アルキル」とは、直鎖および分枝鎖双方のアルキル基を包含する。
1−4アルキル基はC、C、CまたはCアルキル基であり得る。
1−4アルキル基群の中には、
・C1−3アルキル基;
・C1−2アルキル基;
・C2−3アルキル基;および
・C2−4アルキル基
のサブグループがある。
1つの特定のサブグループはC1−3アルキルである。
特定のC1−4アルキル基はメチル、エチル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびtert−ブチル基である。
1−4アルキル基の別のサブグループはメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピル基からなる。
1つの好ましい基はメチル基である。
他の特定の基Rはエチルおよびイソプロピルである。
よって、好ましい組合せは補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む(またはそれらから本質的になる)。
さらなる組合せは補助化合物と実質的に結晶性の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドまたはその結晶形を含む(またはそれらから本質的になる)。
さらなる組合せは補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む製剤を含む(またはそれらから本質的になる)。
本発明はまた、とりわけ下記を提供する。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状の予防または処置に用いるための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを投与することを含む方法。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、それを必要とする対象に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを投与することを含む方法。
・哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、その哺乳類に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性(好ましくは、cdkキナーゼ)を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、その哺乳類に、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性(好ましくは、cdkキナーゼ)を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・サイクリン依存性キナーゼおよび/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)を阻害する方法であって、そのキナーゼを、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)、キナーゼを阻害する組合せと接触させることを含む方法。
・補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを用い、サイクリン依存性キナーゼおよび/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)の活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞***)を調節する方法。
本明細書に記載の病態の予防または処置に用いるための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・本明細書で定義される1以上の使用を目的とした薬剤の製造のための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せの使用。
・補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せおよび薬学上許容される担体を含む医薬組成物。
・補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せおよび薬学上許容される担体を含む、経口投与に好適な形態の医薬組成物。
・医療に用いるための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・サイクリン依存性キナーゼが介在する病態または症状を診断および処置する方法であって、(i)患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があるものであるかどうかを判定するために患者をスクリーニングすること、および(ii)患者の疾病または症状にそのような感受性があることが示された場合、その後、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを患者に投与することを含む方法。
・スクリーニングされ、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があると考えられる疾病または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者における病態または症状の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せの使用。
・哺乳類において腫瘍増殖を阻害するのに用いるための、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・腫瘍細胞の増殖を阻害するのに用いるための(例えば、哺乳類において)、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・哺乳類(例えば、ヒト)において腫瘍増殖を阻害する方法であって、その哺乳類(例えば、ヒト)に、有効に腫瘍増殖を阻害する量の、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを投与することを含む方法。
・腫瘍細胞(例えば、ヒトなどの哺乳類に存在する腫瘍細胞)の増殖を阻害する方法であって、その腫瘍細胞を、有効に腫瘍細胞の増殖を阻害する量の、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物またはそのサブグループもしくは例を含む(またはそれらから本質的になる)組合せと接触させることを含む方法。
・上記に示される、また、本明細書の他所に記載されるいずれかの使用および方法のための、補助化合物と本明細書で定義される化合物を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物を含み(またはそれらから本質的になり)、その補助化合物および式(I)の化合物が物理的に会合されている、組合せ。
・補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物を含み(またはそれらから本質的になり)、その補助化合物および式(I)の化合物が非物理的に会合されている、組合せ。
・医薬パック、キットまたは患者パックの形態の.補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物を含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
・補助化合物で処置を受けている対象において、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状を予防または処置するために用いる、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・補助化合物で処置を受けている対象において、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状を予防または処置することを目的とした薬剤の製造のための本明細書で定義される式(I)の化合物の使用。
・サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象(この対象は補助化合物で処置を受けている)に、本明細書で定義される式(I)の化合物を投与することを含む方法。
・哺乳類対象(この対象は補助化合物で処置を受けている)において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、本明細書で定義される式(I)の化合物を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・哺乳類対象(この対象は補助化合物で処置を受けている)において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、本明細書で定義される化合物を、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)の活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・補助化合物で処置を受けている対象において異常な細胞増殖から起こる病態または症状の予防または処置を目的とした薬剤の製造のための本明細書で定義される式(I)の化合物の使用。
・補助化合物で処置を受けている対象においてサイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、サイクリン依存性キナーゼ)が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、その対象に、本明細書で定義される式(I)の化合物を投与することを含む方法。
・補助化合物で処置を受けている哺乳類対象において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その対象に、本明細書で定義される式(I)の化合物を、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、cdkキナーゼ)の活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法。
・補助化合物で処置を受けている対象においてcdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、cdkキナーゼ)の活性を阻害する方法であって、そのキナーゼを、本明細書で定義されるキナーゼを阻害する式(I)の化合物と接触させることを含む方法。
・補助化合物で処置を受けている対象において、本明細書で定義される式(I)の化合物を用い、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(好ましくは、cdkキナーゼ)の活性を阻害することにより、細胞プロセスを調節する方法。
・本明細書に開示されている病態または症状のいずれか1つを処置または予防する方法であって、患者(例えば、それを必要とする患者)に、本明細書で定義される組合せを(例えば、治療上有効な量で)投与することを含む方法。
・サイクリン依存性キナーゼが介在する病態または症状を診断および処置する方法であって、(i)患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があるものであるかどうかを判定するために患者をスクリーニングすること、および(ii)患者の疾病または症状にそのような感受性があることが示された場合、その後、本発明の組合せを患者に投与することを含む方法。
・スクリーニングされ、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があると考えられる疾病または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者における病態または症状の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、本発明の組合せの使用。
・哺乳類において腫瘍増殖を阻害するのに用いるための、本発明の組合せ。
腫瘍細胞の増殖を阻害するのに用いるための(例えば、哺乳類において)、本発明の組合せ。
・哺乳類(例えば、ヒト)において腫瘍増殖を阻害する方法であって、その哺乳類(例えば、ヒト)に、有効に腫瘍増殖を阻害する量の本発明の組合せを投与することを含む方法。
・腫瘍細胞(例えば、ヒトなどの哺乳類に存在する腫瘍細胞)の増殖を阻害する方法であって、その腫瘍細胞を、有効に腫瘍増殖の増殖を阻害する量の本発明の組合せを投与することを含む方法。
・本明細書で定義される式(I)の化合物との併用療法に用いるための、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)。
・補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・本明細書で定義される式(I)の化合物で処置を受けている患者の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)。
・補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置を受けている患者の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)の化合物の使用。
・ヒトなどの温血動物において癌を処置する方法であって、該動物に、有効量の補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)を、有効量の本明細書で定義される式(I)の化合物と逐次、例えば前後、または同時に投与することを含む方法。
・哺乳類における併用癌療法の方法であって、治療上有効な量の補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)と治療上有効な量の本明細書で定義される式(I)の化合物を投与することを含む方法。
・哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・哺乳類において腫瘍増殖を阻害するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・それを必要とする患者において癌を予防、処置または管理するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置される、癌に罹患している患者における応答率の増強または増進に用いるための、本明細書で定義される式(I)の化合物。
・補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置される、癌に罹患している患者において応答率を増強または増進する方法であって、その患者に、本明細書で定義される式(I)の化合物を補助化合物と組み合わせて投与することを含む方法。
一般選択肢および定義
本願では、特に断りのない限り、式(I)の化合物という場合には、本明細書で定義される式(I)の全てのサブグループを含み、「サブグループ」とは、本明細書で定義される全ての選択肢、実施形態、例および特定の化合物を含む。また、本明細書で式(I)の化合物という場合には、特に断りのない限り、式(I)の範囲内の化合物およびそのサブグループならびにその選択肢および例のいずれをも指すと考えるべきである。
本明細書において、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、オーロラキナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば、GSK−3)の活性に適用される「調節」とは、それらのキナーゼの生物活性レベルの変化を定義することを意図する。よって、調節とは、関連のキナーゼ活性の増強または低下をもたらす生理学的変化を包含する。後者の場合、調節は「阻害」と呼ぶことができる。この調節は直接的に生じても間接的に生じてもよく、例えば、遺伝子発現レベル(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後調節を含む)、オーロラキナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)活性レベルに直接的または間接的に作用する調節エレメントをコードする遺伝子の発現レベル、または酵素(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3))活性のレベル(例えば、アロステリック機構、競合阻害、活性部位の不活性化、フィードバック阻害経路の摂動による)を含む、いずれの機構により、またいずれの生理学的レベルが介在するものでもよい。従って、調節は、遺伝子増幅(すなわち、多重遺伝子コピー)および/または転写作用による発現の増強または低下、ならびに突然変異によるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)の過剰(または過少)活性および(脱)活性化((脱)活性化を含む)をはじめとする、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)の発現の上昇/抑制または過剰発現もしくは過少発現を付与し得る。「調節された」、「調節されている」および「調節する」も相応に解釈される。
本明細書において「オーロラキナーゼのアップレギュレーション」とは、遺伝子増幅(すなわち、多重遺伝子コピー)をはじめとするオーロラキナーゼの発現の上昇または過剰発現、ならびに転写作用による発現の増強、ならびに突然変異による活性化をはじめとするオーロラキナーゼの過剰活性および活性化を含むものと定義される。
本明細書において「介在する」とは、例えば、本明細書に記載の(および、例えば、様々な生理学的プロセス、疾病、病態、症状、治療、処置または介入に適用される)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に関して使用される場合、この用語が適用されている種々のプロセス、疾病、病態、症状、処置および介入が、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK−3)が生理学的役割を果たしているものであるように、限定的に働くことを意図している。この用語が疾病、状態または症状に適用される場合、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)によって果たされる生物学的役割は直接的であっても間接的であってもよく、疾病、病態または症状(またはその病因または進行)の徴候の発現に必要かつ/または十分であり得る。従って、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)活性(特に、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)活性の異常なレベル、例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)の過剰発現)は、疾病、病態または症状の必ずしも主因である必要はなく、むしろ、CDK−および/またはGSK−(例えば、GSK−3)介在性の疾病、病態または症状が、CDKおよび/またはGSK−3が部分的に関与しているにすぎない多元的な病因および複合的進行を有するものを含むと考えられる。この用語が処置、予防または介入(例えば、本発明の「CDKが介在する処置」および「GSK−3が介在する予防」に適用される場合は、CDKおよび/またはGSK−3が果たす役割は直接的であっても間接的であってもよく、本発明の処置、予防または転帰の操作に必要かつ/または十分であり得る。よって、本明細書に記載のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)が介在する病態または症状としては、特定の癌薬または処置に対する耐性(特に、本明細書に記載の1以上の補助化合物に対する耐性を含む)の発達の結果として生じた病態または症状が含まれる。
「介入」とは、本明細書において任意のレベルでの生理学的変化をもたらす任意の仲介を定義するために用いられる。従って、介入は、任意の生理学的プロセス、事象、生化学的経路または細胞/生化学的事象の誘発または抑制を含み得る。本発明のこの介入は一般に、疾病または症状の治療、処置または予防をもたらす(またはそれらに寄与する)。
本発明の組合せは、別個に投与された場合の個々の化合物の治療効果よりも治療上有効な効果をもたらし得る。
「有効な」とは、相加性、相乗効果、副作用の低減、毒性の低減、疾病の進行時間の延長、生存時間の延長、ある薬剤から他の薬剤への増感または再増感、または応答率の改善などの有利な効果を含む。有利なことには、有効な効果は、患者に投与されるそれぞれの、またはいずれか一方の成分の用量を少なくすることを可能にし、それによって、同一の治療効果をもたらし、かつ/または維持しながら、化学療法の毒性を低減する。
これに関して、「相乗」効果とは、個々に提供された場合の組合せの成分の治療効果の総和よりも大きい、組合せによってもたらされる治療効果を指す。
これに関して、「相加」効果とは、個々に提供された場合の組合せの成分の治療効果よりも大きい、組合せによってもたらされる治療効果を指す。
本明細書において「応答率」とは、固形腫瘍の場合、所与の時点、例えば、12週間での腫瘍サイズの減少の程度を指す。従って、例えば、50%の応答率とは、腫瘍サイズが50%減少したことを意味する。本明細書で「臨床応答」とは、50%以上の応答率を指す。「部分的応答」とは、本明細書では、50%に満たない応答率であると定義される。
本明細書において「組合せ」とは2種類以上の化合物および/または薬剤(本明細書では成分とも呼ぶ)に適用される場合、2種類以上の化合物/薬剤が会合されている材料を定義できることを意図する。これに関して、「組み合わされた」および「組み合わされている」も、相応に解釈すべきである。
組合せにおいて、この2種類以上の化合物/薬剤の会合は、物理的なものであっても非物理的なものであってもよい。物理的に会合されている組合で化合物/薬剤の例としては、次のものが含まれる。
・2種類以上の化合物/薬剤を混合して(例えば、同一の単位用量内に)含む組成物(例えば、一体製剤);
・2種類以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的に結合されている(例えば、架橋、分子凝集または共通のビヒクル部分との結合による)材料を含む組成物;
・2種類以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的に同時にパッケージングされている(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子もしくはナノ粒子)またはエマルション小滴)上または内部に配置されている)材料を含む組成物;
・2種類以上の化合物/薬剤が同時にパッケージングされているか、同時に提供されている(例えば、一連の単位用量の一部として)医薬キット、医薬パックまたは患者パック。
非物理的に会合されている化合物/薬剤の例としては次のものが含まれる。
・2種類以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも1つを、2種類以上の化合物/薬剤の物理的会合を形成させるための即時調合会合に関する説明書とともに含む物質(例えば、非一体製剤);
・2種類以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも1つを、その2種類以上の化合物/薬剤による併用療法の説明書とともに含む物質(例えば、非一体製剤);
・2種類以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも1つを、その2種類以上の化合物/薬剤が投与された(もしくは投与される)患者集団への投与に関する説明書とともに含む物質;
・2種類以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも1つを、その2種類以上の化合物/薬剤のうちの他のものとの組合せ使用に特に適した量もしくは形態で含む物質。
本明細書において「併用療法」とは、2種類以上の化合物/薬剤(上記で定義された通り)の組合せの使用を含む療法を定義することを意図したものである。従って、本願において「組合せ療法」、「組合せ」および化合物/薬剤を「組み合わせて」使用するとは、同一の治療計画の一部として投与される化合物/薬剤を指し得る。2種類以上の化合物/薬剤の各々の薬量学は、それ自体異なっていてもよく、各々は同時に投与されても異なる時点で投与されてもよい。従って、組合せの化合物/薬剤は逐次(すなわち、前または後)に、または同一の医薬製剤として(すなわち、一緒に)、もしくは異なる医薬製剤(すなわち、別に)同時に投与してもよいと考えられる。同一の製剤として同時にという場合には一体製剤であるのに対し、異なる医薬製剤として同時の場合は非一体製剤である。併用療法において2種類以上の化合物/薬剤の各々の薬量学はまた、投与経路によっても異なり得る。
本明細書において「医薬キット」とは、投与手段(例えば、測定装置)および/または送達手段(例えば、吸入器またはシリンジ)と一緒に医薬組成物の1以上の一連の単位用量を定義しており、所望により、共通の外装内に全てが含まれている。2種類以上の化合物/薬剤の組合せを含む医薬キットでは、個々の化合物/薬剤は一体製剤であっても非一体製剤であってもよい。単位用量は、ブリスターパック内に含まれていてもよい。この医薬キットは、所望により、使用説明書をさらに含んでいてもよい。
本明細書において「医薬パック」とは、所望により共通の外装内に含まれている、医薬組成物の1以上の一連の単位用量の医薬組成物を定義する。2種類以上の化合物/薬剤の組合せを含む医薬パックでは、個々の化合物/薬剤は一体製剤であっても非一体製剤であってもよい。単位用量は、ブリスターパック内に含まれていてもよい。この医薬パックは、所望により、使用説明書をさらに含んでいてもよい。
本明細書において「患者パック」とは、患者向けに処方された、全処置過程のための医薬組成物を含むパケージを定義している。患者パックは、通常、1以上のブリスターパックを含む。患者パックは、患者がその患者パック中に入っている添付文書をいつでも見ることができるという点で(通常、患者は処方箋を見ることはできない)、薬剤師がバルク供給から患者分の薬剤を分配する従来の処方箋調剤に優る利点を有している。添付文書が入っていることで、医師の指示に対する患者のコンプライアンスが改善されることが示されている。
本発明の組合せは、個別に投与される場合の個々の化合物/薬剤の治療効果と比較して、治療的に有効な効果をもたらし得る。
本明細書において「補助化合物」は、本明細書で定義される式(I)の化合物と組み合わせた場合に有効な組合せ(本明細書で定義される通り)をもたらす化合物を定義し得る。従って、補助化合物は、本明細書で定義される式(I)の化合物に対する付加物として機能するか、またはそうでなければ、その組合せの有効性に寄与する(例えば、本明細書で定義されるように、相乗効果または相加効果をもたらすことによるか、または応答率を向上させることによる)。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグおよび同位体
特定の化合物(とりわけ、式(I)の化合物および本明細書に記載の補助化合物を含む)をいう場合、例えば、後述するようなそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態;好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物;より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物も含む。
多くの化合物(式(I)の化合物と本明細書に記載の多くの補助化合物を含む)は、塩、例えば、酸付加塩またはある場合には、有機塩基および無機塩基の塩、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩の形態で存在し得る。このような塩は全て本発明の範囲内にあり、化合物(式(I)の化合物または補助化合物)という場合には、それら化合物の塩形態も含む。
これらの塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (Editor), Camille G. Wermuth (Editor), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388 pages, August 2002に記載されている方法などの慣例の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中で、適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。
酸付加塩は、無機および有機双方の多様な酸で形成できる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−二スルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−二スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレ酸および吉草酸からなる群から選択される酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成された塩が挙げられる。
塩の1つの特定の群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸から形成された塩からなる。
塩の1つのサブグループは、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、アジピン酸、L−アスパラギン酸およびDL−乳酸から形成された塩からなる。
塩の別のサブグループは、酢酸塩、メシル酸塩、エタンスルホン酸塩、DL−乳酸塩、アジピン酸塩、D−グルクロン酸塩、D−グルコン酸塩および塩酸塩からなる。
本明細書に記載される式(I)の化合物ならびにそのサブグループおよび例の液体(例えば、水性)組成物の製造に用いるために好ましい塩は、所与の液体担体(例えば、水)中の溶解度が10μg/液体担体(例えば、水)mlを超える、より典型的には0.5mg/mlを超える、好ましくは1mg/mlを超える塩である。
本発明の一実施形態では、塩形態の本明細書に記載される式(I)の化合物ならびにそのサブグループおよび例を、10μg/mlを超える、典型的には0.5mg/mlを超える、好ましくは1mg/mlを超える液体担体(例えば水)濃度で含有する水溶液を含む医薬組成物が提供される。
化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COOとなり得る)を有する場合には、塩は、好適な陽イオンを伴って形成できる。好適な無機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、NaおよびKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類陽イオン、ならびにAl3+などの他の陽イオンが挙げられる。好適な有機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH )および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )が挙げられる。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸類に由来するものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CH) が挙げられる。
これらの化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物も本明細書で定義される式(I)の範囲内にある。
これらの化合物の塩形態は一般に薬学上許容される塩であり、薬学上許容される塩の例は、Berge et al., 1977, “Pharmaceutically acceptable salts”, J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に述べられている。しかしながら、薬学上許容されない塩も中間形態として製造されてよく、これらはその後薬学上許容される塩へと変換することができる。このような薬学上許容されない塩形態も、例えばこれらの化合物の精製または分離に有用である場合があり、本発明の一部をなす。
また、アミン官能基を含む化合物(例えば、式(I)のもの)はN−オキシドを形成し得る。本明細書においてアミン官能基を含む式(I)の化合物という場合には、N−オキシドも含む。
化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1以上の窒素原子を酸化して、N−オキシドを形成できる。N−オキシドの特定の例として、窒素含有複素環の第三級アミンまたは窒素原子のN−オキシドがある。
N−オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で対応のアミンを処理することにより形成できる(例えば、Advanced Organic Chemistry, by Jerry March, 4th Edition, Wiley Interscience, pages.参照)。より具体的には、N−オキシドは、L.W.Deady (Syn. Comm. 1977, 7, 509-514)の方法により製造することができ、この方法では、アミン化合物を、例えば、ジクロロメタンのような不活性溶媒中、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
本発明の組合せに含まれる化合物(例えば、式(I)の化合物)は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在することができ、式(I)の化合物には、このような形態の全てが含まれる。不明確とならないように、化合物は、いくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在でき、1つのみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり意図される(例えば、式(I)に含まれる)。
例えば、式(I)の化合物において、ピラゾール環は以下の2つの互変異性型AおよびBで存在することができる。便宜上、一般式(I)はA型を示すが、この式には双方の互変異性体型を含むものとみなされる。
Figure 2009536186
互変異性型の他の例としては、例えば、ケト型、エノール型、およびエノラート型があり、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エタミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ−ニトロなどの場合がある。
Figure 2009536186
本発明の組合せの構成化合物(例えば、式(I)の化合物)が1以上のキラル中心を含み(例えば、Rが2−ブチルである化合物の場合)、かつ、2以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物には、特に断りのない限り、その全ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、混合物(例えば、ラセミ混合物)または2以上の光学異性体として含む。
これらの光学異性体はそれらの光学活性(すなわち、+および−異性体、またはdおよびl異性体として)特徴付けおよび同定することができるか、あるいは、それらの絶対的立体化学から、Cahn, Ingold and Prelog(Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 4th Edition, John Wiley & Sons, New York, 1992, pages 109-114参照、また、Cahn, Ingold & Prelog, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1966, 5, 385-415も参照)によって開発された「RおよびS」命名法を用いて特徴付けることができる。
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)をはじめとするいくつかの技術によって分離することができ、このような技術は当業者に周知のものである。
キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−カンファースルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離することができる。
化合物(例えば、式(I)のもの)が2以上の光学異性型で存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。従って、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体の1つのみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有し、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。一般的な一実施形態では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在することができる。
本発明の化合物は、1以上の同位元素置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の全ての同位元素を含む。例えば、水素の場合、その範囲内にH、H(D)、およびH(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cと、16OおよびOを含む。
これらの同位元素は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一実施形態では、これらの化合物は非放射性同位元素を含む。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、もう1つの実施形態では、これらの化合物は1以上の放射性同位元素を含んでもよい。このような放射性同位元素を含む化合物は診断の場合に有用であり得る。
カルボン酸エステルまたはアシルオキシエステルなど、本発明の組合せに含まれる化合物(例えば、式(I)のもの)のエステルも意図される。従って、カルボン酸基またはヒドロキシル基を有するカルボン酸エステルまたはアシルオキシエステルなどのエステル(例えば、式(I)のもの)もまた意図され、式(I)に包含される。エステルの例としては、基−C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)を含む化合物を含む。エステル基の特定の例は、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH)および−C(=O)OPhを含み、これに限定されない。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、−OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の特定の例は、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH)、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CHPhを含み、これに限定されない。
本発明の組合せに含まれる化合物の多型、溶媒和物(例えば、水和物)、複合体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との封入複合体もしくは包接体、または金属との錯体)およびプロドラッグも意図される。従って、式(I)にはまた、これらの化合物の任意の多型、これらの化合物の溶媒和物(例えば、水和物)、複合体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との封入複合体もしくは包接体、または金属との錯体)およびこれらの化合物(例えば、式(I)の化合物)のプロドラッグも包含される。「プロドラッグ」とは、例えば、in vivoで生物学的に活性な化合物へ(例えば、補助化合物へ、または式(I)の化合物へ)変換される任意の化合物を意味する。
例えば、いくつかのプロドラッグは、有効化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝上不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)は開裂して活性薬物となる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成でき、適当であれば、親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護し、その後、必要に応じて脱保護する。
このような代謝上不安定なエステルの例としては、式−C(=O)ORのものが挙げられ、ここで、Rは、
1−7アルキル
(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);
1−7アミノアルキル
(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ−C1−7アルキル
(例えば、アシルオキシメチル;
アシルオキシエチル;
ピバロイルオキシメチル;
アセトキシメチル;
1−アセトキシエチル;
1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボキシルオキシエチル;
1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;
1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;
シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;
1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および
1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)
である。
また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて有効化合物を生じるか、またはさらなる化学反応により有効化合物(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTの場合)を生じる化合物である。例えば、プロドラッグは、糖誘導体または他の配糖体であってもよいし、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
式(I)の化合物の結晶形
本組合せに用いるための4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは実質的に結晶形であり得る。
従って、さらなる組合せは、補助化合物と実質的に結晶性の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドまたはその結晶形を含む(またはそれらから本質的になる)。
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドはピラゾール環の塩基性窒素原子と塩を形成し得るが、実質的に結晶形の化合物に対する言及は、遊離塩基に対する言及である。
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドという場合、文脈が許す限り、それらの範囲内にその全ての溶媒和物、互変異性体および同位体を含む。
本発明の第一の態様によれば、組合せは補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、ここで、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは実質的に結晶性であり、すなわち、それは50%〜100%結晶を形成する。
より具体的に、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは少なくとも55%結晶性、または少なくとも60%結晶性、または少なくとも65%結晶性、または少なくとも70%結晶性、または少なくとも75%結晶性、または少なくとも80%結晶性、または少なくとも85%結晶性、または少なくとも90%結晶性、または少なくとも95%結晶性、または少なくとも98%結晶性、または少なくとも99%結晶性、または少なくとも99.5%結晶性、または少なくとも99.9%結晶性、例えば、100%結晶性であり得る。
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶形は溶媒和型(例えば、水和型)であっても、または溶媒和型(例えば、無水物)であってもよい。
本明細書において「無水物」とは、その化合物(例えば、その化合物の結晶)上または内部にいくらかの水が存在する可能性を排除するものではない。例えば、化合物(例えば、化合物の結晶)の表面にいくらかの水が存在するか、または化合物(例えば、結晶)の本体内に少量存在する場合があり得る。一般に、無水形は、化合物1分子あたり0.4分子より少ない水を含んでおり、より好ましくは、化合物1分子あたり0.1分子より少ない水、例えば、0分子の水を含んでいる。
一実施形態では、本発明は、補助化合物と無水4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になる)組合せを提供し、ここで、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド。
もう1つの実施形態では、本発明は、補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが溶媒和型、例えば、水和型である組合せを提供する。塩が溶媒和型である場合、それらは、例えば、3分子までの結晶水、より通常には、2分子までの水、例えば、1分子の水または2分子の水を含むことができる。存在する水分子の数が1未満、またはそうでなければ非整数である、非化学量論的水和物もまた形成し得る。例えば、存在する水分子が1分子未満である場合には、例えば、化合物1分子あたり0.4、または0.5、または0.6、または0.7、または0.8、または0.9分子の水が存在し得る。
他の溶媒和物としては、エタノラートおよびイソプロパノラートなどのアルコラートが挙げられる。
本明細書に記載の、補助化合物と結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せは本発明のさらなる態様をなす。
これらの結晶およびそれらの結晶構造は、単結晶X線結晶学、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定法(DSC)および赤外線分光法、例えば、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)を含むいくつかの技術を用いて特性決定することができる。種々の湿度条件下の結晶行動を、重量測定的蒸気収着試験およびまたXRPDにより分析できる。
化合物の結晶構造の決定は、本明細書およびFundamentals of Crystallography, C. Giacovazzo, H. L. Monaco, D. Viterbo, F. Scordari, G. Gilli, G. Zanotti and M. Catti, (International Union of Crystallography/Oxford University Press, 1992 ISBN 0-19-855578-4 (p/b), 0-19-85579-2 (h/b))に記載されているものなどの常法に従って実施できるX線結晶学により行うことができる。この技術は単結晶のX線回折の分析および解釈を含む。
実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドにおいて、1つの単結晶形が優勢であり得るが、他の結晶形が少量、好ましくは無視できる量で存在してもよい。
好ましい実施形態では、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(単結晶形の該化合物の脱水物と5重量%該化合物の他のいずれかの結晶形を含む)を含む(またはそれらから本質的になる)組合せを提供する。
好ましくは、この単結晶形は4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満の他の結晶形を伴い、特に、約1重量%以下の他の結晶形を含む。より好ましくは、この単結晶形は0.9重量%未満、または0.8重量%未満、または0.7重量%未満、または0.6重量%未満、または0.5重量%未満、または0.4重量%未満、または0.3重量%未満、または0.2重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05重量%未満、または0.01重量%の他の結晶形、例えば、0重量%の他の結晶形を伴う。
これらの結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、PCT/GB2006/000193に記載されている方法または本明細書に記載されている方法を用いて化合物を合成し、その化合物に対して1以上の再結晶工程を行うことにより、製造することができる。
本明細書において「結晶」という用語を使用する場合には、その化合物が再結晶工程の前に結晶形である必要はない。これに対し、再結晶工程の出発物質は結晶性または部分的結晶性であり得るが、それは択一的に再結晶の前に非晶質形であってもよい。
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの再結晶は、当業者に周知の方法によって行うことができる。周知のように、良好な再結晶溶媒は、高温下では、ある程度の量の被精製物質を溶解させなければならないが、少量の物質でよい。良好な結晶化溶媒は、低温で不純物を容易に溶かすか、または全く溶かさなくともよい。最後に、この溶媒は精製された生成物から容易に除去されなければならない。これは通常、それが比較的低沸点を有することを意味し、当業者ならば、特定の物質に対する再結晶化溶媒を知っているか、またはその情報が得られない場合には、適当な溶媒または溶媒混合物が見つかるまで数種類の溶媒を試験することができる。良好な収量の精製物質を得るには、全ての不純物を溶かす最少量の温溶媒を用いる。実際には、一般に必要量の3〜5%増の溶媒が用いられ、従って、この溶液は飽和していない。不純化合物が、その溶媒に不溶な不純物を含む場合には、次にこれを、濾過の後、その溶液を結晶化させることにより除去することができる。さらに、不純化合物がその化合物には本来含まれない微量の有色物質を含む場合には、この温溶液に少量の脱色活性炭を加え、それを濾過した後、結晶化させることにより除去することができる。結晶化は、溶液を冷却すると自然に起こり得る。しかしながら、結晶化が自然に起こらない場合には、溶液を室温以下に冷却するか、または純粋な物質の単結晶(種結晶)を加えることにより結晶化を誘導することができる。再結晶化はまた、貧溶媒を用いることで実施し、かつ/またはその収率を至適化することができる。この場合、化合物を高温の適当な溶媒に溶解し、濾過した後、必要な化合物が低い溶解度しか持たない付加的溶媒を加えて結晶化を補助する。その後、これらの結晶は、一般に真空濾過を用いて単離し、洗浄した後、例えば、炉内で、または脱水により乾燥させる。
結晶化のための他の方法例としては、例えば密閉試験管または気流内での蒸発工程および融解物からの結晶化を含む蒸気からの結晶化(Crystallization Technology Handbook 2nd Edition, edited by A. Mersmann, 2001)が挙げられる。
本発明の一実施形態では、組合せは補助化合物と結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトンおよび水の混合物を用い、この化合物を再結晶させることにより製造される。
例えば、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、
(a)化合物をN,N−ジメチルアセトアミドおよびアセトンの混合物(例えば、容量比1.5:2)に加熱しながら(例えば、約50℃まで、例えば40〜50℃の温度まで)溶解し、
(b)所望により、必要であれば濾過により溶液を澄明化し、
(c)加熱を維持または昇温しつつ(例えば、60〜80℃の温度まで)水を加え、
(d)溶液を冷却するか、または溶液を放冷して、結晶化を可能とし、
(e)例えば濾過により結晶形の化合物を単離する
工程を含む方法により再結晶させることができる。
N,N−ジメチルアセトアミド/アセトン/水溶媒系を用いて製造した4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶に対して、X線結晶学による特性決定を行った。
表1は、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶の座標データを、Crystallographic Information File(CIF)形式で示したものである(Hall, Allen and Brown, Acta Cryst. (1991). A47, 655-685; http://www.iucr.ac.uk/iucr-top/cif/home.html参照)。PDBファイル形式などの別のファイル形式(例えば、EBI Macromolecular Structure Database(Hinxton, UK)と一致する形式)も使用可能であり、他の当業者によれば好ましい。しかし、これらの表の座標を提供または操作するための違うファイル形式の使用も本発明の範囲内にあることは明らかである。本化合物の結晶構造は図1および2に示されており、X線回折研究により作成されたこの構造の熱振動楕円体表示が図1に示され、結晶構造図(packing diagram)が図2に示されている。
X線結晶学研究から、本発明の化合物はC2/c(#15)などの単斜晶系空間群に属す結晶構造を有し、結晶格子パラメーターa=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有する。
従って、別の実施形態では、本発明は、補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶形を含み(またはそれらから本質的になり)、この4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶形が、
(a)図1および2で示される結晶構造を有し;かつ/または
(b)本明細書の表1の座標で定義される結晶構造を有し;かつ/または
(c)結晶格子パラメーターa=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有し;かつ/または
(d)C2/c(#15)などの単斜晶系空間群に属す結晶構造を有する、
組合せを提供する。
その代わりに、またはそれに加えて、本発明の結晶化合物の結晶構造は、X線粉末回折(XRPD)の固体技術により分析することもできる。XRPDは、本明細書(実施例参照)、およびIntroduction to X-ray Powder Diffraction, Ron Jenkins and Robert L. Snyder (John Wiley & Sons, New York, 1996)に記載のものなどの常法に従って行うことができる。XRPD回折図に所定のピーク(ランダムバックグラウンドノイズに対して)の存在が、その化合物がある結晶度を有することを示す。
化合物のX線粉末図は、X線回折スペクトルの回折角(2θ)と面間距離(d)パラメーターにより特徴付けられる。これらには、ブラッグの方程式nλ=2d Sin θ(式中、n=1;λ=用いる陰極の波長;d=面間距離;およびθ=回折角)の関係がある。ここで、面間距離、回折角および全体図は、データの特徴付けによるX線粉末回折における結晶の同定に重要である。相対強度は、結晶成長の方向、粒径および測定条件によって異なることがあるため、厳密な解釈ができない。さらに、回折角は通常、2θ±0.2°の範囲で一致するものを意味する。ピークは主要ピークを意味し、上述のもの以外の回折角で、媒体よりも大きくないピークを含む。
N,N−ジメチルアセトアミド/アセトン/水溶媒系を用いて製造された化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶形がXRPDにより特性決定されており、実質的に図3に示されるようなX線粉末回折像を有する。
これらの粉末回折像は回折角(2θ)、面間距離(d)および相対強度に関して表される。
よって、別の実施形態では、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、この実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、表Aで示される回折角(2θ)における主要ピークの存在および面間距離(d)により特徴付けられるX線粉末回折像を有する組合せを提供する。
Figure 2009536186
特に、表Aは以下に詳細に示されるようなピークを含む
Figure 2009536186
X線粉末回折像は好ましくは、表Bで示される回折角(2θ)におけるさらなるピークの存在および面間距離(d)によりさらに特徴付けられる。
Figure 2009536186
本発明はさらに、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、この実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが図3に示されるX線粉末回折像と同じ回折角においてピークを示す。好ましくは、これらのピークは図3のピークと同じ相対強度を有する。
好ましい実施形態では、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、この実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが実質的に図3に示されるX線粉末回折像を有する組合せを提供する。
本発明の結晶形の化合物はまた、示差走査熱分析(DSC)により特性決定することもできる。
N,N−ジメチルアセトアミド/アセトン/水溶媒系を用いて製造された結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドをDSCにより分析したところ、293〜296℃、例えば294.5〜295℃に吸熱ピークを示し、結晶格子の融解が熱により誘発されたことを示唆する。主要な融解吸熱の前に有意な遷移は見られないことから、本発明の化合物の結晶形は無水物であることが示唆される。DSCスキャンを図4に示す。
よって、別の態様において、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、その結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが無水であり、DSCを行った際に、293〜296℃、例えば294.5〜295℃に吸熱ピークを示す組合せを提供する。
結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドはさらに赤外線分光法、例えば、FTIRによっても特性決定することができる。
N,N−ジメチルアセトアミド/アセトン/水溶媒系を用いて製造された化合物の結晶形の赤外線スペクトルは、Universal Attenuated Total Reflectance (UATR)法を用いて分析した際に、3362、3019、2843、1677、1577、1547、1533、1326、1150、926、781、667cm−1において特徴的なピークを含む。
いずれの理論にも縛られるものではないが、赤外線ピークは次に示す塩の構造成分に当てはめることができると考えられる。
Figure 2009536186
よって、さらなる実施形態では、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、その実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが、Universal Attenuated Total Reflectance (UATR)法を用いて分析した際に、3362、3019、2843、1677、1577、1547、1533、1326、1150、926、781、667cm−1において特徴的なピークを含む赤外線スペクトルを示す組合せを提供する。
以上の段落から明らかなように、本発明の化合物の新規な結晶形はいくつかの異なる物理化学的パラメーターにより特徴付けることができる。よって、好ましい実施形態では、本発明は、補助化合物と実質的に結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、この結晶形の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが次のパラメーター、すなわち、結晶形が
(a)図1および2で示される結晶構造を有すること;および/または
(b)本明細書の表1の座標で定義される結晶構造を有すること;および/または
(c)結晶格子パラメーターa=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有すること;および/または
(d)C2/c(#15)などの単斜晶系空間群に属す結晶構造を有する;および/または
(e)表A、場合により表Bに示される回折角(2θ)における主要ピークの存在と面間距離(d)により特徴付けられるX線粉末回折像を有すること;および/または
(f)図3で示されるX線粉末回折像と同じ回折角においてピークを示す(所望により、これらのピークは図3のピークと同じ相対強度を有する)こと;および/または
(g)実質的に図3で示されるX線粉末回折像を有すること;および/または
(h)無水であり、かつ、DSCを行った際に293〜296℃、例えば294.5〜295℃おいて吸熱ピークを示すこと;および/または
(i)Universal Attenuated Total Reflectance (UATR)法を用いて分析した際に、3362、3019、2843、1677、1577、1547、1533、1326、1150、926、781、667cm−1において特徴的なピークを含む赤外線スペクトルを示すこと
のうちいずれか1以上(組合せは問わない)または全てにより特徴付けられる組合せを提供する。
式(I)の化合物の生物活性
式(I)の化合物およびそのサブグループはサイクリン依存性キナーゼの阻害剤である。例えば、本発明の組合せに用いられる化合物は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK9から選択される、より詳しくは、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5およびCDK9から選択されるサイクリン依存性キナーゼの阻害剤である。
好ましい化合物は、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK9、例えば、CDK1および/またはCDK2から選択される1以上のCDKキナーゼを阻害する化合物である。
本発明の組合せに用いられる化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に対して活性を有する。
CDKおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼを調節または阻害するそれらの活性の結果として、それらは異常に***する細胞の細胞周期を停止させる、またはその制御を回復させる手段を提供する組合せの成分として有用である。よって、これらの化合物は癌などの増殖性疾患の処置または予防のための組合せの成分として有用であるものと考えられる。また、本発明の組合せの成分として、それらは、例えば、ウイルス感染、II型またはインスリン依存性真性糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、癲癇、アルツハイマー病などの神経変性疾患、運動神経疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症およびピック病、例えば、自己免疫疾患および神経変性疾患などの症状の処置に有用であるとも考えられる。
本発明の組合せが有用であると考えられる病態および症状の1つのサブグループは、ウイルス感染、自己免疫疾患および神経変性疾患からなる。
CDKは、細胞周期、アポトーシス、転写、分化およびCNS機能を調節する役割を果たす。従って、CDK阻害剤を含む組合せは、増殖、アポトーシスまたは分化に障害がある、癌などの疾病の処置に有用であり得る。特に、RB+ve腫瘍は、特にCDK阻害剤に感受性であり得る。RB−ve腫瘍もまた、CDK阻害剤に感受性があり得る。
阻害できる癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫のような結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、例えば、腺癌、小細胞性肺癌および非小細胞性肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、例えば、外分泌膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌または皮膚癌、例えば、扁平上皮癌;リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫またはバーケットリンパ腫;骨髄系の造血系腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群または骨髄球性白血病;甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫または神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞種;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。
これらの癌は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5およびCDK6から選択される1以上のサイクリン依存性キナーゼ、例えば、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK5から選択される1以上のCDKキナーゼ、例えば、CDK1および/またはCDK2の阻害に感受性のある癌であり得る。
ある特定の癌がサイクリン依存性キナーゼによる阻害に感受性があるものであるかどうかは、下記の実施例で示される細胞増殖アッセイの手段によるか、または「診断の方法」の標題で示される方法により判定することができる。
CDKはまた、アポトーシス、増殖、分化および転写においても役割を果たすことが知られており、従って、CDK阻害剤を含む本発明の組合せは、癌以外の以下の疾病の処置にも有用である:ウイルス感染、例えば、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、エプスタイン−バーウィルス、シンドビスウィルス、アデノウィルス、HIV、HPV、HCVおよびHCMV;HIV感染個体におけるAIDS発現の予防;慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫介在糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患および自己免疫性糖尿病;心血管系疾患、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮および小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、卒中および再灌流障害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発またはアルコール関連肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症および関節炎、アスピリン感受性(aspirin-senstive)鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患および癌性疼痛。
また、いくつかのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、他の抗癌剤と組み合わせて使用できることが分かった。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤フラボピリドールが、併用療法において他の抗癌剤とともに使用されてきた。
従って、異常細胞増殖を含む疾病または症状を処置するための本発明の医薬組成物、使用または方法において、一実施形態では、異常細胞増殖を含む疾病または状態は癌である。
癌の一群には、ヒト乳癌(例えば、原発性***腫瘍、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜性乳癌)、およびマントル細胞リンパ腫が含まれる。さらに、他の癌として、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
癌の別のサブセットには、リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫)が含まれる。
1つの特定の癌は、慢性リンパ性白血病である。
別の特定の癌は、マントル細胞リンパ腫である。
もう1つの特定の癌は、びまん性大B細胞リンパ腫である。
癌の別のサブセットには、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌、および非小細胞肺癌が含まれる。
本発明の組合せに用いられる化合物の、サイクリン依存性キナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害剤としての活性は、下記の実施例で示されるアッセイを用いて測定することができ、ある化合物により示される活性のレベルはIC50値として定義することができる。本発明の組合せに用いられる好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモルのIC50値を有する化合物である。
補助薬剤の生物活性
本発明の組合せに用いるための補助薬剤のいくつかはVEGFR活性の阻害剤である。さらに、いくつかはFGFR活性の阻害剤である。それらはそれ自体、特に脈管形成を阻害することによる、新生物の増殖を防ぐ、またはアポトーシスを誘発する手段を提供するのに有用であると予測される。従って、本発明の組合せは癌などの増殖性障害の処置または予防に有用であると考えられる。特に、VEGFRの活性化突然変異またはVEGFRのアップレギュレーションを伴う腫瘍はこれらの阻害剤に特に感受性があると考えられる。本明細書に述べられている特定のVEGFRのイソ型のいずれかの活性化突然変異を伴う患者も、VEGFR阻害剤による処置に特に有用性が見出せる。また、FGFR2またはFGFR3などのFGFRのイソ型のいずれかの活性化突然変異またはアップレギュレーションまたは過剰発現を伴う特定の腫瘍は、本発明の組合せに特に感受性があり得、従って、このような特定の腫瘍を有する本明細書に述べられている患者もまた、本発明の組合せによる処置に特に有用性が見出せる。この処置は上述のものなどの受容体チロシンキナーゼの突然変異形態に関連するか、またはそれに向けられることが好ましい。
Flt3、C−ablおよびPDK1阻害活性を有する本発明の組合せに用いるための補助薬剤は、次の疾病および白血病:慢性骨髄性白血病(CML);イマチニブ耐性CML;急性骨髄性白血病(AML);および急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置または予防において組合せの成分として特に有用である。
従って、さらなる実施形態では、本発明の組合せは、慢性骨髄性白血病(CML);イマチニブ耐性CML;急性骨髄性白血病(AML);および急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置に用いられる。
本明細書で述べられているものなど、この処置は突然変異型のキナーゼに関連するか、または向けられることが好ましい。このような突然変異を伴う腫瘍の診断は、当業者に公知であり、本明細書に記載される、RTPCRおよびFISHなどの技術を用いて行うことができる。
FGFR3、RetまたはcSrc阻害活性などのFGFRを有する本発明の組合せに用いるための補助薬剤は次の疾病:乳頭状甲状腺癌;2A型および2B型多発性内分泌腺腫症(MEN);家族性甲状腺髄様癌(FMTC);ヒルシスプルング病;アペール(AP)症候群;クルーゾン症候群;ジャクソン−ワイス症候群;ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群;プファイファー症候群(PS);および多発性骨髄腫の処置または予防に特に有用である。
従って、さらなる実施形態において、本発明の組合せは、多発性骨髄腫;アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群(Beare-Stevenson cutis gyrata syndrome)およびプファイファー症候群(PS)などのヒト骨格発達における異常;乳頭状甲状腺癌などの甲状腺癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、2A型および2B型多発性内分泌腺腫症(MEN)ならびにヒルシスプルング病の処置に用いられる。
本発明の組合せの成分としての式(I)の化合物の利点
本明細書で定義される式(I)の化合物そのおよびサブグループ、例えば、化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、本発明の組合せにおいて先行技術の化合物に優る利点を有する。
本発明の組合せに用いるための化合物は、経口暴露に好適な生理化学的特性を有する。
本発明の組合せに用いるための化合物はHCT−116細胞における増殖に関するIC50よりも転写に関するIC50が高く、従って、例えば、転写に関するIC50は増殖に関するIC50よりも〜100倍高い。このことは、化合物の許容性が高くなり、従って、より高いレベルおよびより長い投与が可能となるので有利である。
特に、式(I)の化合物は、先行技術の化合物よりも経口バイオアベイラビリティの向上を示す。経口バイオアベイラビリティは、静脈内(i.v.)経路により投与した際の化合物の血漿暴露に対する、経口経路により投与した際の化合物の血漿暴露の割合(F)(%で表される)として定義することができる。
30%を超える、より好ましくは40%を超える経口バイオアベイラビリティ(F値)を有する化合物が、非経口投与よりもむしろ経口投与され得る、あるいはまた非経口投与により投与され得るという点で、特に有利である。
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、例えば、経口経路によってマウスに投与した場合、30〜100%のバイオアベイラビリティ、特に40〜50%バイオアベイラビリティを有する。
本発明の組合せに用いるための化合物、例えば、化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、癌細胞系統に対してより高いin vitroキナーゼ(CDK2)阻害活性およびより強い抗増殖効果を有する。さらに、これらの化合物はGSK3βに対してはより低い活性を有し、GSK3βよりもCDK2に選択性が高い。従って、これらの化合物の作用はCDK阻害を介した細胞周期効果により支配され、例えばインスリン感受性、増殖因子作用に対するGSK3β阻害の付加的な結果が関与しない。これらの化合物はより鮮明な細胞周期阻害特性を有し、GSK3βを介した付加的な効果からの副作用が少ない。化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの生物学的特性とその2,6−ジフルオロベンゾイルアミノ類似体の特性との比較が下記表11に示されている。
式(I)の化合物の製造方法
この節では、特に断りのない限り、本願の他の全ての節と同様に、式(I)という場合には、本明細書で定義されるその全てのサブグループおよび例も含む。基RおよびRまたは他のいずれかの「R」基と表示される場合には、対象となる基の定義は、特に断りのない限り、本願の上記および下記の節に示されている通りである。
式(I)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って、また、下記で示され、本発明者らのPCT/GB2004/003179(WO2005/012256)(その内容は出典明示より本明細書の一部とされる)に記載されている方法により、製造することができる。
例えば、式(I)の化合物は、スキーム1で示される一連の反応により製造することができる。
スキーム1で示される合成経路の出発物質は、4−ニトロ−ピラゾール−3−カルボン酸(X)であり、これは市販されているか、または対応する4−非置換ピラゾールカルボキシ化合物の硝化により製造することができる。
Figure 2009536186
ニトロ−ピラゾールカルボン酸(X)は、酸触媒または塩化チオニルの存在下、エタノールなどの適当なアルコールと反応させることにより、対応するエステル(XI)、例えば、メチルまたはエチルエステル(このうちエチルエステルが示されている)へと変換される。この反応は、溶媒としてエステル化アルコールを用い、周囲温度で行うことができる。
このニトロ−エステル(XI)は、ニトロ基をアミノ基に変換するための標準的な方法により、対応するアミン(XII)へと還元することができる。よって、例えば、このニトロ基は、パラジウム/炭素触媒上での水素化によりアミンへと還元することができる。この水素化反応は、エタノールなどの溶媒中、周囲温度で実施できる。
得られたアミン(XII)は、トリエチルアミンなどの非干渉性塩基の存在下で式RCOClの酸塩化物と反応させることにより、アミド(XIII)に変換させることができる。この反応は、ジオキサンなどの極性溶媒中、室温前後で行うことができる。この酸塩化物は、カルボン酸RCOHを塩化チオニルで処理することによるか、または触媒量のジメチルホルムアミドの存在下で塩化オキサリルと反応させることによるか、この酸のカリウム塩を塩化オキサリルと反応させることにより製造することができる。
上記の酸塩化物法を用いる代わりに、アミン(XII)を、ペプチド結合の形成に一般に用いられるタイプのアミドカップリング試薬の存在下で、カルボン酸RCOHと反応させることにより、アミド(XIII)に変換することができる。このような試薬の例としては、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sheehan et al, J. Amer. Chem Soc. 1955, 77, 1067)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(本明細書ではEDCまたはEDACと呼ばれるが、当技術分野ではEDCIおよびWSCDIとしても知られる)(Sheehan et al, J. Org. Chem., 1961, 26, 2525)、ウロニウム系カップリング剤、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、およびホスホニウム系カップリング剤、例えば、1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(Castro et al, Tetrahedron Letters, 1990, 31, 205)が挙げられる。カルボジイミド系カップリング剤は、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(L. A. Carpino, J. Amer. Chem. Soc., 1993, 115, 4397)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(Konig et al, Chem. Ber., 103, 708, 2024-2034) と組み合わせて使用するのが有利である。好ましいカップリング試薬としては、EDC(EDAC)およびDCCとHOAtまたはHOBtとの組合せが挙げられる。
カップリング反応は、一般にアセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジンなどの非水性非プロトン性溶媒中、または場合によって1以上の混和性補助溶媒を伴う水性溶媒中で実施される。反応は、室温、または反応物の反応性が小さい場合(例えば、スルホンアミド基などの電子吸引性基を有する電子不足アニリンの場合)、適当な高温で実施できる。反応は、非干渉塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下で実施できる。
次に、アミド(XIII)を、水酸化ナトリウムなどの水性アルカリ金属水酸化物で処理することにより、カルボン酸(XIV)へと加水分解する。この鹸化反応は、アルコール(例えば、メタノール)などの有機補助溶媒を用いて実施でき、この反応混合物を一般に極端でない温度、例えば、約50〜60℃まで加熱する。
次に、このカルボン酸(XIV)は、上記のアミド形成条件を用い、アミンR−NHと反応させることにより、式(I)の化合物に変換することができる。よって、例えば、このアミドカップリング反応は、DMFなどの極性溶媒中、EDCおよびHOBtの存在下で実施できる。
2bが水素である式(I)の化合物への別の一般経路をスキーム2に示す。
Figure 2009536186
スキーム2では、ニトロ−ピラゾール−カルボン酸(X)、または酸塩化物などのその活性化誘導体は、上記のアミド形成条件を用い、アミンR−NHと反応させて、ニトロ−ピラゾール−アミド(XV)を得、次にこれを、ニトロ基を還元する標準的な方法、例えば、上記のようなPd/C触媒上での水素化を含む方法を用い、対応するアミノ化合物(XVI)へと還元する。
次に、このアミン(XVI)を、スキーム1に関して上記したアミド形成条件下で、式R−COHのカルボン酸、または酸塩化物もしくは無水物などのその活性化誘導体とカップリングさせる。よって、例えば、酸塩化物を用いる代わりに、DMFなどの溶媒中、EDAC(EDC)およびHOBtの存在下でカップリング反応を行い、R2bが水素である式(I)の化合物に相当する式(I’)の化合物を得ることもできる。
式(I)の化合物はまた式(XVII):
Figure 2009536186
の化合物から、適当なスルホニル化剤、例えば、塩かメタンスルホニルなどの塩かスルホニルと反応させることにより、製造することができる。
式(XVII)の化合物の、式(I)のスルホニル誘導体への変換を示す例示的反応スキームをスキーム3に示す。
Figure 2009536186
スキーム3に示されるように、Rが、スルホニル基−SOを有するピペリジン環である式(I)の化合物(すなわち、式(XIX)の化合物)は、式(XVII)の化合物を、ジイソプロピルエチルアミンなどの非干渉塩基の存在下、塩化スルホニルRSOCl(塩化メタンスルホニルなど)と反応させることにより製造することができる。この反応は一般に、室温にて、ジオキサンおよびジクロロメタンなどの非水性非プロトン性溶媒中で行う。
式RSOClの塩化スルホニルは商業的供給源から得ることができるか、またはいくつかの手順により製造することができる。例えば、塩化アルキルスルホニルは、ハロゲン化アルキルを、水/ジオキサンなどの水性有機溶媒中で加熱しながら、亜硫酸ナトリウムと反応させて、対応するスルホン酸を得た後、DMFの存在下、塩化チオニルで処理することにより塩化スルホニルを得ることにより製造することができる。
別法では、チオールRSH/R4aSHを硝酸カリウムおよび塩化スルフリルと反応させ、必要な塩化スルホニルを得ることができる。
上記の反応の多くのものでは、分子の望まない位置で反応が起こらないように1以上の基を保護する必要のある場合がある。保護基の例ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、Protective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts; 3rd Edition; John Wiley and Sons, 1999)に見出すことができる。
例えば、アミン基は、アミド(−NRCO−R)またはウレタン(−NRCO−OR)として、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz)として;t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH)、−NH−Boc)として;2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH)、−NH−Bpoc)として、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)として、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)として、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)として、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)として、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)として、または2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として保護することができる。アミン、例えば、環状アミンおよび複素環式N−H基のための他の保護基としては、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基ならびにベンジル基、例えば、パラ−メトキシベンジル(PMB)基が挙げられる。カルボン酸基は、エステル、例えば、C1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例えば、C1−7トリハロアルキルエステル);トリ−C1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミドとして保護することができる。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)として保護することができる。
式(I)の化合物の精製方法
本化合物は当業者に周知のいくつかの方法で単離および精製することができ、このような方法の例としては、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)およびHPLCなどのクロマトグラフィー技術が挙げられる。分取LC−MSは、本明細書に記載の化合物などの小有機分子の精製に用いる標準的かつ有効な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)の方法は、粗物質のよりよい分離とMSによるサンプルの検出の向上を得るために可変である。分取勾配LC法の至適化には、カラム、揮発性溶離剤および改質剤、ならびに勾配の変更を含む。分取LC−MS法を至適化し、その後それらを化合物の精製に用いるための方法は当技術分野で周知のものである。このような方法は、Rosentreter U, Huber U.; Optimal fracion collecting in preparative LC/MS; J Comb Chem.; 2004 ; 6(2), 159- 64およびLeister W, Strauss K, Wisnoski D, Zhao Z, Lindsley C., Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries; J Comb Chem.; 2003; 5(3); 322-9に記載されている。
分取LC−MSにより化合物を精製するためのこのような系の1つを下記実験の節に記載するが、当業者ならば、記載のものに代わる系および方法が使用できることが分かるであろう。特に、本明細書に記載の逆相法の代わりに、順相分取LCに基づく方法を用いてもよい。ほとんどの分取LC−MS系では逆相LCと揮発性酸性改質剤を用いるが、これはこのアプローチが小分子の精製に極めて有効であり、これらの溶離剤が陽イオンエレクトロスプレー質量分析に適合しているからである。他のクロマトグラフィー溶液、上記の分析法で概略を示したような、例えば順相LC、あるいは緩衝移動相、塩基性改質剤などを代わりに用いて化合物を精製することもできる。
本発明に従って用いられる補助化合物
本発明の組合せには多様な補助化合物のいずれを用いてもよい。補助化合物は抗癌剤であり得る。
この節では、特に断りのない限り、他の全ての節と同様に、式(I)の化合物という場合には、本明細書で定義される式(I)の全てのサブグループも含み、「サブグループ」とは、本明細書で定義される全ての選択肢、実施形態、例および特定の化合物を含む。本明細書で式(I)という場合には、特に断りのない限り、式(I)の範囲内のいずれのサブグループも、およびそのいずれの選択肢および例も指すものと理解すべきである。
好ましくは、本発明の組合せに用いるための補助化合物は以下のクラスのリストから選択される。
リストA
1. ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(コルチコステロイド、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAを含む);
2. サイトカインおよびサイトカイン活性化剤;
3. レチノイドおよびレキシノイド;
4. モノクローナル抗体(細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を含む);
5. カンプトテシン化合物および他のトポイソメラーゼI阻害剤;
6. 代謝拮抗物質;
7. ビンカアルカロイドおよび他のチューブリン標的化薬剤;
8. タキサン;
9. エポチロン;
10. 白金化合物;
11. DNA結合剤およびTopo II阻害剤(アントラサイクリン誘導体を含む);
12. アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
13. シグナル伝達阻害剤(PKA/B阻害剤およびPKB経路阻害剤を含む);
14. CDK阻害剤、補助CDK阻害剤を含む;
15. COX−2阻害剤;
16. HDAC阻害剤;
17. 選択的免疫応答調節剤;
18. DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;
19. プロテアソーム阻害剤;
20. オーロラ阻害剤;
21. Hsp90阻害剤;
22. チェックポイント標的剤;
23. DNA修復阻害剤;
24. Gタンパク質共役受容体阻害剤の阻害剤。
本発明の組合せが1以上の補助化合物を含む実施形態では、その補助化合物は好ましくは、リストA(上記)のクラス(1)(特に、コルチコステロイド)、(4)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(17)、(18)、(19)、(23)および(24)から独立に選択される。最も好ましくは、1以上の補助化合物は、リストA(上記)のクラス(1)、特にコルチコステロイド、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(18)、(19)および(24)から独立に選択される。
本発明の組合せが2種類以上の補助化合物を含む実施形態では、その2種類以上の補助化合物は好ましくは、上記に示すリストAのクラス(1)〜(24)から独立に選択される。
本発明の組合せが2種類以上の補助化合物を含む実施形態では、その2種類以上の補助化合物は好ましくは、上記に示すリストAのクラス(1)(特に、コルチコステロイド)、(2)、(3)、(17)、(22)、(23)および(24)から独立に選択される。
リストB
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物との組合せに用いるための補助化合物は以下のクラスから選択することができる。
1. ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAを含む);
2. モノクローナル抗体(例えば、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体;
3. カンプトテシン化合物および他のトポイソメラーゼI阻害剤;
4. 代謝拮抗物質;
5. ビンカアルカロイドおよび他のチューブリン標的化薬剤;
6. タキサン;
7. エポチロン;
8. 白金化合物;
9. DNA結合剤およびTopo II阻害剤(アントラサイクリン誘導体を含む);
10. アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
11. シグナル伝達阻害剤(PKA/B阻害剤およびPKB経路阻害剤を含む);
12. CDK阻害剤(補助CDK阻害剤を含む);
13. COX−2阻害剤;
14. HDAC阻害剤;
15. DNAメチルラーゼ阻害剤;
16. プロテアソーム阻害剤;
17. オーロラ阻害剤;
18. Hsp90阻害剤;
19. リストBの前記クラス(4)、(6)および/または(11)の2つ以上の組合せ;
20. リストBの前記クラス(3)〜(6)、(8)、(9)および/または(11)の2つ以上の組合せ;
21. リストBの前記クラス(10)および/または(12)〜(16)の2つ以上の組合せ;
22. リストBの前記クラス(1〜6)〜(8〜16)の2つ以上の組合せ;
23. リストBの前記クラス(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(10)、(11)および(16)の2つ以上の組合せ;
24. リストBの前記クラス(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)および(10)の2つ以上の組合せ;
25. リストBの前記クラス(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(10)の2つ以上の組合せ;
26. リストBの前記クラス(4)、(6)および(8)の2つ以上の組合せ;
27. リストBの前記クラス(7)および(1)〜(6)および/または(8)〜(18)の2つ以上の組合せ;
28. リストBの前記クラス(7)、(17)および(18)の2つ以上の組合せ。
このような実施形態では、2種類以上の補助化合物は上記に示すリストBのクラス1から18から独立に選択することができる。
本明細書で特定の補助化合物を指す場合、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)も含むものとする。
以下、上記の種々の化合物/化合物クラスを詳細に記載するが、ここでは、化合物クラスの番号はリストA(上記)で用いられているものに相当する。
1. ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤
定義:本明細書において「コルチコステロイド」、「抗アンドロゲン」、「抗エストロゲン」、「抗アンドロゲン剤」および「抗エストロゲン剤」とは、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、本明細書中の上記のもの、およびその類似体を指す。
生物学的活性:本明細書に記載の1以上の薬理作用を介して作用する、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤を含む)が、好適な抗癌剤として同定されている。「ホルモン療法」とは、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤をひとまとめに指すために用いられる。
技術的背景:ホルモン療法は、腫瘍が、***および前立腺などのホルモンの増殖制御に感受性がある組織で形成されている、ある種類の癌の処置に重要な役割を果たしている。すなわち、例えば、エストロゲンは、ある種の乳癌の増殖を促進し、テストステロンは前立腺癌の増殖を促進する。このような腫瘍の増殖は、特定のホルモンに依存しているので、体内のある種のホルモンのレベルを増加または減少させることによって、腫瘍増殖に影響を与えることが可能であるかどうかを検討するために、相当な研究がなされてきている。ホルモン療法は、ホルモンの活性を操作することによって、これらのホルモン感受性組織における腫瘍増殖を制御しようという試みである。
ある種の白血病、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫など、リンパ球前駆体か成熟リンパ球のいずれかに由来する癌は多くの場合、成熟リンパ球(lymphophocytes)が示す、コルチコステロイド(プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニソン(predisone)およびデキサメタゾン(dexamethasone)を含む)による処置に対する感受性を保持している。結果として、1以上のコルチコステロイドによる処置はこれらの疾病の処置に組み込まれることが多い。よって、コルチコステロイドは本発明との併用が意図される。
乳癌については、腫瘍増殖がエストロゲンによって刺激され、従って、抗エストロゲン剤が、この種の癌の処置のために提案され、広く用いられている。このような薬剤のうちで最も広く使用されているものの1つが、エストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオ−ルの競合的阻害剤であるタモキシフェンである。ERに結合すると、タモキシフェンは、受容体の三次元形状に変化を誘発し、DNA上のエストロゲン応答エレメントに結合することを阻害する。通常の生理学的条件下では、エストロゲン刺激は、腫瘍細胞増殖の自己分泌阻害剤であるトランスフォーミング増殖細胞b(transforming growth cell b)(TGF−b)の腫瘍細胞形成を増大させる。これらの経路を遮断することにより、タモキシフェン処置の正味の効果は、乳癌増殖の自己分泌刺激を減少させることである。加えて、タモキシフェンは、組織を取り囲むことによって、インスリン様成長因子(IGF−1)の局所的産生を減少させる:IGF−1は、乳癌細胞のためのパラ分泌成長因子である(Jordan and Murphy, Endocr.Rev., 1990, 11;578-610)。疾病を管理するための別のアプローチは、その産生に重要な酵素であるアロマターゼの阻害により、エストラジオールの循環レベルを減少させることである。タモキシフェンおよびアロマターゼ阻害剤(アナストラゾール(anastrazole)、レトロゾール(letrozole)およびエクサメスタン(examestane)を含む)は双方とも、アジュバント状態および転移状態(例えば、転移性乳癌)の双方の、乳癌を有する閉経後の女性の処置に広く用いられている。タモキシフェンはまた、ER陽性腫瘍を有する閉経前の女性にも使用される。長期間のタモキシフェン処置には、例えば、子宮内膜癌の可能性および血栓塞栓事象の出現など、様々な潜在的副作用がある。アロマターゼ阻害剤は一般にタモキシフェンよりも許容性がよいが、患者がしばしば筋骨格痛および骨粗鬆症につながる著しい骨の欠損を受ける。
タモキシフェンと幅広い類似作用を有する他のエストロゲン受容体アンタゴニスト(または選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)としては、トレミフェン(toremifene)およびラロキシフェン(raloxifene)が含まれる。トレミフェンは非ステロイド系SERMであり、その化学名は2−(4−[(Z)−4−クロロ−1,2−ジフェニル−1−ブテニル]−フェノキシ)−N,N−ジメチルエチルアミンであり、転移性乳癌の処置に用いられ、副作用としては顔面紅潮、悪心およびめまいがある。ラロキシフェンはベンゾチオフェンSERMであり、その化学名は[6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル]−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−フェニル]−メタノン塩酸塩であり、乳癌の処置に関して検討されており、副作用としては顔面紅潮および足の痙攣がある。
フルベストラント(fulvestrant)は、腫瘍組織においてERの発現を減少させることにより作用し、その化学名は7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)−ノニル]エストラ−1,3,5−(10)−トリエン−3,17−ベータ−ジオールであり、タモキシフェンおよびアロマターゼ阻害剤による処置の後に用いられる場合が多い(例えば、進行性乳癌の二次治療として)。処置には顔面紅潮および子宮内膜刺激が伴う。
前立腺癌細胞はほとんどの場合、アンドロゲン受容体を絶えず過剰発現することから、抗アンドロゲン剤がこの疾病の処置に広く使用されている。抗アンドロゲン剤は、アンドロゲン受容体に結合し、ジヒドロテストステロンが結合するのを妨げるアンドロゲン受容体アンタゴニストである。ジヒドロテストステロンは、癌性前立腺細胞を含む前立腺細胞の新たな増殖を刺激する。抗アンドロゲン剤の例としてはビカルタミド(bicalutamide)があり、その化学名は(R,S)−N−(4−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)プロパンアミドであり、進行性前立腺癌の処置のために、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体と併用することが認可されており、その副作用としては、顔面紅潮、骨性疼痛、血尿および胃腸症状がある。ジヒドロテストステロンの循環レベルを低下させる別の手段は、フルタミドを用いてテストステロンからのその産生を直接阻害することである。
一実施形態では、ホルモン療法はフルベストラント、トレミフェンおよびラロキシフェンを含む。
さらなる種類のホルモン性癌処置は、プロゲスチン類似体の使用を含む。プロゲスチンは、卵巣、および子宮の子宮内膜の裏面によって分泌されるホルモンであるプロゲステロンの合成形態である。プロゲステロンは、エストロゲンとともに作用して、月経周期の間に***の発達および子宮内膜細胞の増殖を促進する。プロゲスチンは、副腎腺からのエストロゲン産生を抑制し(もう1つの供給源としては、特に閉経後の女性)、エストロゲン受容体レベルを低下させるか、または腫瘍ホルモン代謝を変更することによって作用すると考えられている。
プロゲスチン類似体は、子宮癌(例えば、進行性子宮癌)または腎臓の癌の管理に使用されている。こうした使用はあまり多くはないが、これらはまた、非常に多くの抗エストロゲン処置の選択肢が利用可能であるので、進行性乳癌の処置にも使用することができる。プロゲスチン類似体は、前立腺癌のホルモン療法として使用されることもある。プロゲスチン類似体の例としては、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)(酢酸メゲステレルとも呼ばれる)があり、その化学名は17α−アセチルオキシ−6−メチルプレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンであり、下垂体ゴナドトロピン産生の推定上の阻害剤である(その結果、エストロゲン分泌が減少する)。この薬剤は、進行性乳癌または子宮内膜癌(すなわち、再発、手術不能または転移性疾患)の緩和処置に使用され、副作用としては、浮腫および血栓の出現がある。
選択肢および特定の実施形態:本発明に従って用いるための特に好ましい抗エストロゲン剤はタモキシフェンである。タモキシフェンは市販されており(例えば、AstraZeneca社から商品名ノルバデックス(Nolvadex)として)、または例えば、英国特許明細書1064629および1354939に記載されているように、あるいは、これに類似する方法によって製造することができる。
他の好ましい抗エストロゲン剤として、ドロロキシフェン(droloxifene)がある。フルベストラントは市販されており(例えば、AstraZeneca社から商品名ファスロデックス(Faslodex)として)、または例えば、欧州特許明細書番号138504に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ラロキシフェンは市販されており(例えば、Eli Lily and Companyから商品名エビスタ(Evista)として)、または例えば、米国特許明細書第4418068に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。トレミフェンは市販されており(例えば、Schering Corporationから商品名フェアストン(Fareston)として)、または例えば、米国特許明細書第4696949に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。抗エストロゲン剤ドロロキシフェンは、例えば、米国特許明細書第5047431に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができ、また本発明に従って使用することができる。
本発明に従って用いるための好適な抗アンドロゲン剤としてビカルタミド(bicalutamide)があり、市販されており(例えば、AstraZenecaから商品名カソデックス(Casodex)として)、または欧州特許明細書番号100172に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。本発明に従って用いるための他の好ましい抗アンドロゲン剤としては、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール(letrazol)、アナストラゾール(anastrazole)、エキセメスタン(exemestane)、ビカルタミド(bicalutamide)、ルプロリド(luprolide)、酢酸メゲストロール/メゲストレル、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)(あるいはアミノグルテタミドとも呼ぶ)およびフルタミドが含まれる。
本発明に従って用いるための他の好ましいホルモン療法としては、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、ルプロリド、酢酸メゲストロール/メゲストレル、アミノグルテチミドおよびベキサロテンが含まれる。
好ましいプロゲスチン類似体は、酢酸メゲストロール/メゲストレルであり、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名メゲース(Megace)として市販されており、または例えば米国特許明細書第2891079に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
よって、本発明の組合せに用いるためのこれらの抗癌剤の特定の実施形態としては、タモキシフェン;トレミフェン;ラロキシフェン;メドロキシプロゲステロン;メゲストロール/メゲストレル;アミノグルテチミド;レトロゾール;アナストロゾール;エキセメスタン;ゴセレリン(goserelin);ロイプロリド(leuprolide);アバレリクス(abarelix);フルオキシメストロン(fluoxymestrone);ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol);ケトコナゾール(ketoconazole);フルベストラント;フルタミド;ビカルチミド(bicalutimide);ニルタミド(nilutamide);シプロテロン(cyproterone)およびブセレリン(buserelin)が含まれる。
よって、本発明の組合せに用いるために抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤が意図される。
他の実施形態では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストまたはホルモン調節剤はフルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲステレルおよびフルタミドである。
他の実施形態では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストまたはホルモン調節剤はフルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲステレルおよびベキサロテンである。
一実施形態では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤としては、コルチコステロイド、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAが含まれる。別の実施形態では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤といては、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAが含まれる。
薬量学:この抗アンドロゲン剤または抗エストロゲン剤は、特定の薬剤および処置される症状によって、1日約1〜100mgの用量で投与するのが有利である。タモキシフェンは、1日2回、5〜50mg、好ましくは10〜20mg(または1日1回20mg)の用量で経口投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な時間、治療を継続するのが有利である。
他の好ましい抗アンドロゲン剤に関しては、フルベストラントは、毎月250mg注射の形態で投与するのが有利であり;トレミフェンは、1日1回、約60mgの用量で傾向投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な時間、治療を継続するのが有利であり;ドロロキシフェンは、1日1回、約20〜100mgの用量で経口投与するのが有利であり;ラロキシフェンは、1日1回、約60mgの用量で経口投与するのが有利である。
好ましい抗アンドロゲン剤、ビカルタミドに関しては、一般に1日に50mgの経口用量で投与される。
好ましいプロゲスチン類似体、酢酸メゲストロール/メゲストレルに関しては、一般に1日4回、40mgの経口用量で投与される。
上記に示した用量は、一般に、例えば、処置過程あたり1回、2回またはそれ以上投与されるが、それは、例えば、毎日または7、14、21もしくは28日毎に、特に、7、14、21もしくは28日毎に繰り返すことができる。
アロマターゼ阻害剤
本発明の組合せに用いるためのホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤の中で、アロマターゼ阻害剤が好ましい。
閉経後の女性では、循環エストロゲンの主要な供給源は、末梢組織中のアロマターゼ酵素によって、副腎アンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)からのエストロゲン(エストロンまたはエストラジオール)への変換である。アロマターゼの阻害または不活性化によるエストロゲンの枯渇は、ホルモン依存性乳癌に罹患している閉経後の何人かの患者に効果的かつ選択的な処置である。このようなホルモン調節剤の例には、エキセメスタン、アナストロゾール、レトロゾールおよびアミノグルテチミドなどのアロマターゼ阻害剤または不活性化剤が含まれる。
エキセメスタンは、化学名6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンであり、疾病がタモキシフェン治療の後に進行した閉経後の女性の進行性乳癌の処置に使用され、副作用としては顔面紅潮および嘔吐がある。アナストロゾールは、化学名α,α,α’,α’−テトラメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ベンゼンジアセトニトリルであり、ホルモン受容体陽性の初期乳癌を有する閉経後の女性の補助的処置に使用され、また、ホルモン受容体陽性であるか、またはホルモン受容体不明である局所進行性乳癌もしくは転移性乳癌を有する閉経後の女性の一次治療にも使用され、さらに、タモキシフェン治療の後に疾患が進行した閉経後の女性の進行性乳癌の処置にも使用される。アナストロゾールの投与は、通常、胃腸障害、筋骨格痛、発疹および頭痛を含む副作用をもたらす。レトロゾールは、化学名4,4’−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチレン)−ジベンゾニトリルであり、ER陽性乳癌の補助的処置に用いられ、また、ホルモン受容体陽性であるか、またはホルモン受容体不明の局所進行性乳癌または転移性乳癌を有する閉経後の女性の一次治療に使用され、また、抗エストロゲン治療の後に疾病が進行した閉経後の女性の進行性乳癌の処置に使用され、起こり得る副作用は、時おりの一時的な血小板減少症および肝臓トランスアミナーゼの増加がある。
アミノグルテチミドは、化学名3−(4−アミノフェニル)−3−エチル−2,6−ピペリジンジオンであり、乳癌の処置にも使用されるが、皮膚発疹および多くはないが血小板減少症および白血球減少症の副作用を受ける。
好ましいアロマターゼ阻害剤としては、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンおよびアミノグルテチミドが含まれる。レトロゾールは、例えば、Norvartis A.G.から商品名フェマラ(Femara)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4978672号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アナスロゾールは、例えば、AstraZeneca p1cから商品名アリミデックス(Arimidex)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4935437号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。エキセメスタンは、例えば、Pharmacia Corporationから商品名アロマシン(Aromasin)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4978672号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アミノグルテチミドは、例えば、Novartis A.G.から商品名サイタドレン(Cytadren)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第2848455号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アロマターゼ阻害剤ボロゾール(vorozole)は、例えば、欧州特許明細書第293978号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができ、本発明に従って使用することができる。
好ましいアロマターゼ阻害剤に関して、こうした薬剤は、一般に、1〜1000mgの範囲の1日用量で経口投与し、例えば、レトロゾールは、1日1回、約2.5mgの用量であり;アナストロゾールは、1日1回、約1mgの用量であり;エキセメスタンは、1日1回、約25mgの用量であり;アミノグルテチミドは、1日2〜4回、250mgの用量である。
特に好ましいものは、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンおよびアミノグルテチミドなど、本明細書に記載されている薬剤から選択されるアロマターゼ阻害剤である。
GNRA
本発明の組合せに用いるためのホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤の中で、GNRAクラスの薬剤が好ましい。
定義:本明細書においてGNRAとは、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびアンタゴニスト(下記に述べられているものを含む)を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)とともに定義することを意図する。
技術的背景:ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストは、脳の視床下部から放出されと、脳下垂体を刺激してゴナドトロピンを産生する。ゴナドトロピンは、精巣中でアンドロゲン合成を、また、卵巣中でエストロゲン合成を刺激するホルモンである。GnRHアゴニストが最初に投与されると、これらはゴナドトロピンの放出の増大をもたらすが、投与を継続すると、GnRHはゴナドトロピンの放出を遮断し、従って、アンドロゲンおよびエストロゲンの合成を低下させる。GnRH類似体は、転移性前立腺癌の処置に用いられる。これらはまた、閉経前の女性の転移性乳癌の処置のために認可されている。GnRH類似体の例としては、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate)が挙げられる。対照的に、アベレリックス(aberelix)などのGnRHアンタゴニストは、アゴニスト作用を有しないので、初期のGnRHの急激な増加を引き起こさない。しかしながら、それらの狭い治療係数のために、それらの使用は、現在のところ、GnRHアゴニストおよび抗アンドロゲンなどの他のホルモン療法に無反応である進行性前立腺癌に限られている。
酢酸ゴセレリンは、LH−RHまたはGnRHの合成デカペプチド類似体であり、化学構造はpyro−Glu−His−Ser−Trp−D−Ser(Bu)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NH酢酸塩であり、乳癌および前立腺癌、また、子宮内膜症の処置に使用されており、副作用としては、顔面紅潮、気管支炎、不整脈、高血圧、不安および頭痛がある。酢酸ロイプロイドは、GnRHまたはLHRHの合成ノナペプチド類似体であり、その化学名は5−オキソ−L−プロリル−L−ヒスチジル−L−トリプトフィル−L−セリル−L−チロシル−D−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニル−N−エチル−L−プロリンアミド酢酸塩である。酢酸ロイプロリドは、前立腺癌、子宮内膜症、また乳癌の処置に用いられ、副作用としては、酢酸ゴセレリンと同様である。
アバレリックス(Abarelix)は、合成デカペプチド、Ala−Phe−Ala−Ser−Tyr−Asn−Leu−Lys−Pro−Alaであり、その化学名はN−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−アラニル−L−セリル−N−メチル−L−チロシル−D−アスパラギニル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リシル−L−プロリル−D−アラニンアミドである。アバレリックスは、R.W. Roeske, WO9640757(1996, to Indiana University, Found.)に従って製造することができる。
選択肢および特定の実施形態:本発明に従って用いるための好ましいGnRHアゴニストおよびアンタゴニストとしては、特に、ゴセレリン、ロイプロリド/ロイポレリン(leuporelin)、トリプトレリン(trptorelin)、ブセレリン(buserelin)、アバレリックス、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリドをはじめとする、本明細書に記載の任意のGNRAが含まれる。ゴセレリンおよびロイプロリドが特に好ましい。酢酸ゴセレリンは、例えば、AstraZeneca plcから商品名ゾラデックス(Zoladex)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第5510460号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。酢酸ロイプロリドは、例えば、TAP Pharmaceuticals Incから商品名ルプロン(Lupron)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第3914412号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ゴセレリンは、AstraZenecaから商品名ゾラデックス(Zoladex)として市販されており、また、例えば、ICI特許公開第US4100274号またはHoechst特許公開第EP475184号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ロイプロリドは、米国では、TAP Pharmaceuticals Inc.から商品名ルプロン(Lupron)として市販されており、また、欧州では、Wyethから商品名プロスタップ(Prostap)として市販されており、また、例えば、Abbottの特許公開第US4005063号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。トリプトレリンは、Watson Pharmaから商品名トレルスター(Trelstar)として市販されており、また、例えば、Tulaneの公開特許第US5003011号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ブセレリン(Buserelin)は、商品名スプレファクト(Suprefact)として市販されており、また、例えば、Hoechst特許公開第US4024248号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アバレリックスは、Praecis Pharmaceuticalsから商品名プレナキシス(Plenaxis)として市販されており、また、例えば、Jiang et al., J Med Chem(2001), 44(3), 453-467もしくはPolypeptide Laboratoriesの特許公開第WO2003055900号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
本発明に従って用いるための他のGnRHアゴニストおよびアンタゴニストとしては、Ortho Pharmaceutical Corpからのヒストレリン(Histrelin)、Rocheからの酢酸ナファレリン(Nafarelin acetate)、およびShire Pharmaceuticalsからのデスロレリン(Deslorelin)が含まれるが、これらに限定されない。
薬量学:GnRHアゴニストおよびアンタゴニストは、1.8mg〜100mgの用量で投与するのが有利であり、例えば、ゴセレリンでは、1ヶ月に3.6mgまたは3ヶ月毎に10.8mgであり、またはロイプロリドでは、1ヶ月に7.5mg、3ヶ月毎に22.5mgまたは4ヶ月毎に30mgである。
好ましいGnRH類似体に関しては、一般に、次の用量で投与される;すなわち、酢酸ゴセレリンは、4週毎に3.6mgの皮下インプラントとして、また、ロイプロリドは、毎月7.5mgの筋肉内デポーとして。
2. サイトカインおよびサイトカイン活性化剤
定義:「サイトカイン」は技術用語であり、本明細書でサイトカインという場合には、サイトカインそれ自体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)とともに包含することを意図する。「サイトカイン活性化剤」とは、in vivoにおいて内因性のサイトカイン産生またはその活性(直接的または間接的に)誘導、増強、刺激、活性化または促進する任意の薬剤を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)とともに包含することを意図する。
技術的背景:サイトカインは、主として、二次細胞の機能を制御する能力を有する免疫系の細胞によって産生されるタンパク質またはポリペプチド種である。抗癌療法に関して、サイトカインは増殖を制御し、癌細胞を間接的に死滅させるため、および腫瘍細胞の増殖により効果的に免疫系を調節するために用いられる。
インターフェロン(IFN)αおよびインターロイキン−2などのサイトカインは増殖停止または腫瘍細胞死を誘発する。IFN−αは悪性黒色腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病およびカポジ肉腫の処置に用いられる。インターロイキン−2は、悪性黒色腫および腎細胞癌に単独で、またはIFN−αと組み合わせて用いられる。
サイトカインは腫瘍と闘う免疫細胞の刺激を含む種々の異なる機構によって抗腫瘍活性を示す。例えば、T細胞増殖因子IL−2は、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の活性化を促進する。インターフェロンおよび顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などの他のサイトカインは抗原提示細胞に作用して、重要な免疫エフェクターB細胞およびT細胞の活性化を助ける。
選択肢および特定の実施形態:本明細書に記載されるサイトカインおよびサイトカイン調節剤はいずれも本発明において適用が見出され、特に、インターフェロン(インターフェロン−γおよびインターフェロンαなど)およびインターロイキン(例えば、インターロイキン2)が含まれる。インターフェロンα−2b(組換え型)はSchering Ploughから商品名イントロン(INTRON)(登録商標)として市販されている。
他の好ましいインターフェロンとしては、インターフェロンα−2aがあり、Rocheから商品名ロフェロン(ROFEROJN)として市販されている。
特に好ましいインターロイキンとしてはプロロイキン(PROLEUKIN)(登録商標)IL−2(アルデスロイキン(aldesleukin))があり、Chiron Corpから市販されている。
薬量学:インターフェロンは、特定の適応症に応じた計画で注射により投与される。悪性黒色腫のイントロンA処置では、1週間に連続5日、4週間、用量20,000,000IU/m2での静脈内(IV)注入としての誘導処置、その後、1週間に3回、48週間、用量10,000,000IU/m2での皮下(SC)注射の維持処置を含む計画が好ましい。非ホジキンリンパ腫のイントロンA処置では、1週間に3回、最大18か月、5,000,000IUの皮下と、アントラサイクリンを含む化学療法計画との併用の計画が好ましい。
CMLに対して奨励されるロフェロン−Aの初期用量は、1日9MIUの皮下または筋肉内注射としての投与である。臨床経験に基づき、1日3MIUの3日間から1日6MIUの3日間へ、処置期間中、1日9MIUの目標用量へと、第1週目の投与よりもロフェロン−Aの用量を段階的に高めることにより、短期の許容性を向上させることができる。ヘアリー細胞白血病のためのロフェロン−Aの誘導用量は1日3MIU、16〜24週間であり、皮下または筋肉内注射として投与される。皮下投与は、限定されるものではないが、特に、血小板減少患者(血小板総数<50,000)または出血のリスクのある患者に提案される。奨励される維持用量は1週間に3回、3MIU(tiw)である。
プロロイキンでは、次の計画が転移性腎細胞癌(転移性RCC)または転移性黒色腫を有する成人患者を処置するために用いられている(各処置コースは休止期をおいた2サイクルの5日処置からなる):600,000IU/kg(0.037mg/kg)用量の、8時間毎、15分のIV注入、最大14回の投与。9日の休止の後、この計画をさらに14回、許容性があれば各コースあたり最大28回繰り返す。
サイトカイン活性化剤:好ましいサイトカイン活性化剤としては、(a)癌腫の処置のためのIFN−γ−誘導分子である、Chugai Pharmaceuticalsからのピシバニール(picibanil);(b)コロニー刺激因子の放出の刺激によりサイトカインネットワークを活性化するDaiichiからのロムルチド(romurtide);(c)マイトジェンにより刺激される末梢血単核細胞によるIFN−γおよびIL−2の産生を刺激し、子宮頸部腫瘍および肺腫瘍処置に有用である、スエヒロタケから単離されたβ1−3、β1−6 D−グルカンである、Kaken Pharmaceuticalからのシゾフィラン(sizofiran);(d)肉腫、黒色腫、膵臓腫瘍、***腫瘍、肺腫瘍およびカポジ肉腫の処置のために、IL−17合成およびIL−12放出を刺激するNKアゴニストおよびサイトカイン放出調節因子である、Lorus Therapeuticsからのビルリジン(virulizin);(e)非小細胞肺癌、肝細胞癌、黒色腫、癌腫および肺、脳および腎臓腫瘍の処置に有用である、Th1サイトカインの産生の増強のために、主として免疫応答の増強に向けられた複数の生物活性を有する、28アミノ酸の合成ペプチドであるチモシン(thymosin)α1が含まれる。
3. レチノイドおよびレキシノイド
定義:「レチノイド」とは、本明細書に開示されている特定のレチノイドだけでなく、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)も含めるために広義において本明細書で用いる技術用語である。「レキシノイド」とは、レチノイドX受容体に特異的に結合する合成薬剤である。
技術的背景:トレチノイン(tretinoin)は、レチノールの内因性代謝産物である。それは、ヒト骨髄性細胞系統を含む、数種の造血系前駆細胞系統で最終分化を誘導する。急性前骨髄球性白血病(APL)は第15染色体と第17染色体の間の特異的転座に関連しており、レチノイン酸受容体−αは、第17染色体上に位置する。この転座は分化を阻害し、発癌に至らせることが明らかであり、トレチノインは高用量で用いる場合、これに打ち勝ち得る。トレチノインはAPL患者の64〜100%に緩解をもたらし、緩解までの時間は通常、治療8日〜119日の間である。治療中の獲得耐性は特に長期間投与(4〜6か月)の場合に多い。アリトレチノイン(alitretinoin)は9−シス−レチノイン酸誘導体であり、レチノイド受容体のRXRサブファミリーに対して選択性があることが明らである。この選択性は治療的抗新生物効果を保持するとともに、胎児曝露時の先天異常、皮膚および粘膜表面の刺激、または骨格異常を含む、レチノイド療法の著しい副作用を軽減し得る。局所的アリトレチノインは米国においてカポジ肉腫の処置に関して認可されている。レチノイドX受容体(RXR)感受性抗腫瘍性レチノイドであるベキサロテン(bexarotene)の経口およびゲル(局所)製剤(Targretin;LGD-1069)は皮膚のT細胞リンパ腫(CTCL)の処置に利用可能である。
米国特許第6,127,382号、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/19052およびWO97/19062(全てAllerganに対するもの)は各々、癌を含む種々の過剰増殖性疾患の処置に用いるための、レチノイド様活性を有する化合物を記載している。
選択肢および特定の実施形態:本発明に従って用いるための好ましいレチノイドとしては、本明細書に開示されているいずれのレチノイドも含み、特に、トレチノイン(全てトランスレチノイン酸)、アリトレチノインおよびベキサロテンを含む。トレチノイン(レタクニル(Retacnyl)、アクノテン(Aknoten)、トレンチンM(Tretin M))はRocheから商品名ベサノイド(Vesanoid)として市販されており、また、例えばD. A. van Dorp, J. R. Arens, Rec. Trav. Chim. 65, 338 (1946); C. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111 (1955); R. Marbet, DE 2061507; US 3746730 (1971, 1973 both to Hoffmann-La Roche)に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アリトレチノイン(9−シス−トレチノイン、パンレキシン(Panrexin))は、Ligand Pharmaceuticalsから商品名パンレキシンとして市販されており、また、例えばC. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111 (1955); M. Matsui et al., J. Vitaminol. 4, 178 (1958); M. F. Boehm et al., J. Med. Chem. 37, 408 (1994)に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ベキサロテン(タルグレキシン(Targrexin)、タルグレット(Targret))は、Eisai Incから商品名タルグレチン(Targretin)として市販されており、例えばM. F. Boehm et al., WO 9321146 (1993 to Ligand Pharm.); M. L. Dawson et al., US 5466861 (1995 to SRI Int.; La Jolla Cancer Res. Found.)に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
薬量学:トレチノインは、25mg/m/日〜45mg/m/日の用量で、完全緩解後30日間または最大90日まで、二分割用量で経口投与するのが有利である。アリトレチノインゲル0.1%は、皮膚KS病変部に1日2回塗布することによって初期投与するのが有利である。
ベキサロテンは、単回1日経口用量300mg/m/日として初期投与するのが有利である。用量は200mg/m/日に、さらには100mg/m/日に調節してもよく、または毒性により必要であれば一時的に中止してもよい。処置8週間後に腫瘍応答が見られない場合、または300mg/m2/日の初期用量に十分許容性があれば、注意深く監視しながら、用量を400mg/m/日に引き上げることができる。ベキサロテンゲルは、第1週目は、隔日に1回初期塗布するのが有利である。塗布頻度は、個々の病変部の許容性に応じて、1週間間隔で、1日1回、その後1日2回、その後1日3回、最後に1日4回に増やすことができる。
4. モノクローナル抗体
任意のモノクローナル抗体(例えば、限定されるものではないが、1以上の細胞表面抗原に対するものを含む)は、本発明の組合せに使用可能である。抗体特異性は、当業者に周知の多様な技術のいずれかを用いてアッセイまたは測定することができる。
定義:本明細書で使用される「モノクローナル抗体」とは、任意の供給源からの抗体を指し、従って、そして完全にヒトであるもの、また、他種に由来する、構造または特異性決定エレメントを含むもの(例えば、それらは、キメラまたはヒト化抗体と呼ぶことができる)を含む。
技術的背景:モノクローナル抗体の使用は、それらは極めて特異性が高く、従って、疾病特異的な標的に結合し、影響を与えることができ、それにより、正常細胞に害を与えず、また、従来の化学療法よりも副作用が少ないので、現在、抗癌化学療法において広く認められている。
様々な癌の処置のための抗体化学療法の標的として検討されてきた細胞の1つの群は、腫瘍細胞中で過剰発現または異常発現されるクラスタ指定(CD)分子、例えば、腫瘍細胞表面で過剰発現されるCD20、CD22、CD33およびCD52を含む細胞表面抗原を持っているものであり、造血系起源の腫瘍で最も顕著である。これらのCD標的(抗CD抗体)に対する抗体は、モノクローナル抗体リツキシマブ(rituximab)(別名、リツキサマブ(rituxamab))、トシツモマブ(tositumomab)およびゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)を含む。
リツキシマブ/リツキサマブは、再発性、不応性、低悪性度または濾胞性リンパ腫を含むB細胞非ホジキンリンパ腫の処置に広範囲に使用されているマウス/ヒトキメラ抗CD20モノクローナル抗体である。この産物はまた、慢性リンパ球性白血病および関節リウマチを含む種々の他の適応症のためにも開発されている。リツキシマブ/リツキサマブの副作用には、低酸素症、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、心室細動または心原性ショックが含まれる。トシツモマブは、非ホジキンリンパ腫およびリンパ球性白血病の処置のための、ヨウ素131で標識された細胞特異性抗CD20抗体である。トシツモマブの潜在的副作用としては、血小板減少症および好中球減少症がある。ゲムツズマブ・オゾガマイシンは、CD33に特異的なヒトモノクローナル抗体に結合された細胞傷害性薬剤(カリケアマイシン(calicheamicin))である。カリケアマイシンは極めて強力な抗癌剤であり、アドリアマイシンよりも1000倍以上効力が高い。一度、細胞内に放出されると、カリケアマイシンは、DNAの小溝に配列特異的な様式で結合し、再配列を受け、フリーラジカルを露出し、二本鎖DNAの破壊に至り、細胞アポトーシス(プログラムされた細胞死)をもたらす。ゲムツズマブ・オゾガマイシンは、急性骨髄性白血病の処置の二次治療として使用され、潜在的副作用としては、アナフィラキシーなどの重大な過敏感反応および肝毒性がある。
アレムツズマブ(Alemtuzumab)(Millennium Pharmaceuticals、キャンパス(Campath)としても知られる)は、慢性リンパ性白血病および非ホジキンリンパ腫の処置に有効であり、TNF−α、IFN−γおよびIL−6の分泌を誘発するCD52に対するヒト化モノクローナル抗体である。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいモノクローナル抗体としては、アレムツズマブ、CD20、CD22、およびCD33を含む抗CD抗体である。上記のように、抗CD抗体(例えば、CD20、CD22、CD33)を含む細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が特に望ましい。
特定の実施形態:一実施形態では、モノクローナル抗体は、クラスタ指定CD分子、例えば、CD20、CD22、CD33およびCD52に対する抗体である。別の実施形態では、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガマイシンから選択される。本発明に従って使用することができる他のモノクローナル抗体としてはベバシズマブがある。
例示的製剤:本発明に従って用いるための細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体としては、本明細書に記載されているように、CD52抗体(例えば、アレムツズマブ)および他の抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33)が含まれる。細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体、例えば、抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33)を含む治療的組合せが好ましく、これらはその組合せの個々の成分によって示される個々の効果と比較して、例えば、腫瘍細胞増殖に対して有利な有効作用を示す。
CD52選択性はまた、特定のリガンドと細胞内に放出されるジフテリア毒の組合せ(denileukin difitox; Ontak)によっても達成されている。このアプローチは皮膚T細胞リンパ腫の処置における使用が認可されており、他種の非ホジキンリンパ腫の処置に関しては治験下にある。
さらに、腫瘍細胞それ自体以外の標的構造も、癌療法に有効であることが示されている。このアプローチは、循環血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体であるベバクジマブ(bevacuzimab)を用いて新たな血管形成を阻害する上で最も有効であった。
細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD抗体)の好ましい例は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガマイシンを含む。リツキシマブ/リツキサマブは、F Hoffmann-La Roche Ltdから商品名マブテラ(Mabthera)として市販されており、またはPCT特許明細書WO94/11026に記載されているようにして得ることができる。トシツモマブは、GlaxoSmithKline plcから商品名ベキサール(Bexxar)として市販されており、または米国特許明細書5595721に記載されているようにして得ることができる。ゲムツズマブ・オゾガマイシンは、Wyeth Researchから商品名マイロターグ(Mylotarg)として市販されており、または米国特許明細書第5,877,296号に記載されているようにして得ることができる。
生物学的活性:モノクローナル抗体(例えば、1以上の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体)は好適な抗癌剤として同定されている。抗体は、様々なメカニズムによって有効である。これらは必須の細胞増殖因子または受容体をブロックし、直接的にアポトーシスを誘発し、標的細胞に結合するか、または放射性同位体および毒素などの細胞傷害性弾頭を送達することができる。
薬量学:この抗CD抗体は、例えば、体表面積平方メートルあたり(mg/m)5〜400mgの用量で投与することができるが、特にゲムツズマブ・オゾガマイシンは、例えば、約9mg/m体表面積の用量で投与することができ;リツキシマブ/リツキサマブは、例えば、4回投与に関して、1週間に1回、IV点滴として、約375mg/mの用量で投与することができ;トシツモマブの用量は、放射性同位元素の適当な送達を確保するため、患者の年齢、体重、性別および症状などの通常の臨床パラメーターに従って、各患者のために個々に計量化しなければならない。
これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、それは、例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
5. カンプトテシン化合物
定義:本明細書において「カンプトテシン化合物」とは、カンプトテシンそれ自体または本明細書に記載されているようなカンプトテシン類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:カンプトテシン化合物は、中国の木であるヌマミズキ科カンレンボク(Camptothecin acuminata)およびインドの木であるクロタキカズラ科クサミズキ(Nothapodytes foetida)に由来する水不溶性アルカロイドである親化合物カンプトテシンに関連または由来する化合物である。カンプトテシンは、DNA生合成に対して強力な阻害活性を有しており、様々な実験系で腫瘍細胞増殖に対して高い活性を示してきた。しかしながら、抗癌療法における臨床使用は、その高い毒性によって著しく制限され、様々な類似体がその抗腫瘍作用の効力を維持しながら、カンプトテシンの毒性を低減することを試みて開発されてきている。このような類似体の例としては、イリノテカン(irinotecan)およびトポテカン(topotecan)が含まれる。
これらの化合物は、DNAトポイソメラーゼIの特異的な阻害剤であることが見出されている。トポイソメラーゼは、真核細胞のDNAトポロジーを変更することができる酵素である。これらは、重要な細胞機能および細胞増殖に欠くことができない。真核細胞中には2種類のトポイソメラーゼがあり、すなわち、タイプIおよびタイプIIである。トポイソメラーゼIは、分子量約100,000の単量体酵素である。この酵素はDNAに結合し、一時的な一本鎖切断をもたらし、二重らせんをほどき(またはほどかせ)、次に、この切断が再び封じられた後、DNA鎖から切り出される。
イリノテカン、すなわち、7−エチル−10−(4−(1−ピペリジノ)−1−(ピペリジノ)−カルボニルオキシ−(20S)−カンプトテシンおよびその塩酸塩は、CPT11としても知られ、有効性が改善され、かつ毒性が減少され、優れた水溶解性を有していることが見出されている。イリノテカンは、種々の癌、特に結腸直腸癌の処置において臨床的有効性を有することが見出されている。もう1つの重要なカンプトテシン化合物として、トポテカン、すなわち、(S)−9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシンがあり、臨床試験において、いくつかの固形腫瘍、特に、卵巣癌および子宮頸癌および非小細胞肺癌、あるいはまた卵巣癌および非小細胞肺癌に対して有効性を示す。
例示的製剤:注射による投与用であり、カンプトテシン化合物を含有する非経口医薬製剤は、10mlの滅菌0.9%生理食塩水中、100mgのカンプトテシン化合物(例えば、EP0321122および特にその中の実施例に記載されている化合物)の水溶性塩を溶解した後、その溶液を滅菌し、この溶液を好適な容器に充填することによって製造することができる。
生物学的活性:本発明の組合せのカンプトテシン化合物は、DNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であることは上記に述べられており、様々な癌に対して活性を有する。
先行技術引用:WO01/64194(Janssen)は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤とカンプテシン化合物の組合せを開示している。EP137145(Rhone Poulenc Rorer)は、イリノテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。EP321122(SmithKline Beecham)は、トポテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。
問題点:カンプテシン化合物はヒトの化学療法薬として広く使用されているが、これらは、全ての患者に、または全ての腫瘍種に対して治療的に有効というわけではない。従って、腫瘍増殖に対してカンプトテシン化合物の阻害有効性を上昇させ、また、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量のカンプトテシン化合物を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいカンプトテシン化合物としては、上記に言及されたイリノテカンとトポテカンが含まれる。イリノテカンは、例えば、Rhone-Poulenc Rorerから商品名「カンプト(Campto)」として市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第137145号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。トポテカンは、SmithKline Beechamから商品名「ハイカムチン(Hycamtin)」として市販されており、あるいは例えば、欧州特許第321122号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。他のカンプトテシン化合物は、例えば、イリノカンおよびトポテカンに関して上記したものと類似の方法によるなどの常法で製造することができる。
特定の実施形態:一実施形態では、カンプトテシン化合物はイリノテカンである。別の実施形態では、カンプトテシン化合物はイリノテカン以外のカンプトテシン化合物、例えば、トポテカンなどのカンプトテシン化合物である。
薬量学:カンプトテシン化合物は、体表面積平方メートルあたり(mg/m)0.1〜400mg、例えば、1〜300mg/mの用量、特にイリノテカンの場合には、約100〜350mg/mの用量、トポテカンの場合には、処置コースあたり約1〜2mg/mの用量で投与するのが有利である。これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを毎日または7、14、21もしくは28日毎に、特に7、14、21もしくは28日毎に繰り返すことができる。
6. 代謝拮抗物質
定義:「代謝拮抗化合物」および「代謝拮抗物質」とは、同意語として使用され、本明細書に記載の代謝拮抗化合物または代謝拮抗化合物の類似体を、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて定義する。従って、本明細書で言及する、別名代謝拮抗物質としても知られる代謝拮抗化合物は、癌細胞の生理および増殖に必須の代謝過程を妨げる大きな群の抗癌剤から構成される。このような化合物には、DNA合成を阻害するヌクレオシド誘導体、ピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体、およびチミジル酸シンターゼおよび/またはジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害剤が含まれる。
技術的背景:代謝拮抗物質(または代謝拮抗化合物)は、癌細胞の生理および増殖に必須の代謝過程を妨げる大きな群の抗癌剤から構成される。このような化合物には、DNA合成を阻害するヌクレオシド誘導体、ピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体、およびチミジル酸シンターゼおよび/またはジヒドロ葉レダクターゼの阻害剤が含まれる。抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体は、様々な癌を処置するために長年使用されている。これらの誘導体のうちで最も古くから、そして最も広く使用されているものとしては、直腸結腸癌、乳癌、肝臓癌および頭頚部癌などのいくつかの癌を処置するために使用されている5−フルオロウラシル(5−FU)がある。
5−FUの細胞障害作用を高めるために、結果として生じるチミジル酸シンターゼ/5−FU複合体を安定化する(従ってさらにその阻害を高める)ためにロイコボリン(leucovorin)が使用されてきた。しかしながら、例えば、腫瘍耐性、胃腸作用および血液作用を含む毒性、ならびに静脈投与の必要性など、種々の因子が5−FUの使用を制限している。5−FUのバイオアベイラビリティの低さを解消し、また、5−FUの治療係数を増大させる提案を含めて、全身毒性を軽減するか、あるいは腫瘍に到達する活性薬の量を増加させることによって、これらの不利な点を解消する様々なアプローチが採られてきた。
5−FUを超える治療的利点の改善をもたらすこのような化合物の1つがカペシタビン(capecitabine)であり、その化学名は[1−(5−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−4−ピリミジニル]−カルバミン酸ペンチルエステルである。カペシタビンは5−FUのプロドラッグであり、経口投与後の吸収がよく、薬理学的に活性な薬剤を腫瘍へ送達する。潜在的に優れた活性を5−FUに付与するとともに、それは長期間治療の経口療法に使用可能である。
ゲムシタビン(Gemcitabine)はヌクレオシド類似体であり、その化学名は2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−シチジンであり、非小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌および膵臓癌、特に、非小細胞肺癌および膵臓癌を含む種々の癌の処置に使用されている。さらなる抗腫瘍ヌクレオシドとしては、シタラビン(cytarabine)およびフルダラビン(fludarabine)が含まれる。シタラビンは、ara−Cとしても知られ、その化学名は1−β−D−アラビノフラノシルシトシンであり、急性白血病、慢性骨髄性白血病および赤白血病の処置に有用であることが見出されている。シタラビンは、ara−Cとしても知られ、その化学名は1−β−D−アラビノフラノシルシトシンであり、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(芽球期)、急性リンパ性白血病および赤白血病の処置に有用であることが見出されている。フルダラビンは、DNA合成阻害剤であり、その化学名は9−β−D−アラビノフラノシル−2−フルオロアデニンであり、不応性B細胞慢性リンパ球性白血病の処置に使用されている。抗癌化学療法に使用される他の抗葉酸代謝拮抗物質は、酵素阻害剤であるラルチトレキセド(ralitrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)およびメトトレキセート(methotrexate)が含まれる。ラルチトレキセドは、葉酸を基本としたチミジル酸シンターゼ阻害剤であり、その化学名はN−[5−[N−[(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)−メチル−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸であり、進行性結腸直腸癌の処置に使用される。ペメトレキセドは、チミジル酸シンターゼおよびトランスフェラーゼ阻害剤であり、その化学名はN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸二ナトリウム塩であり、以前に処置された患者の中皮腫および局所進行型または転移性の非小細胞肺癌(SCLC)の処置のために使用される。メトトレキセートは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害を介してDNA複製を阻害し、細胞死を招くことによって細胞***を妨げる代謝拮抗物質であり、その化学名はN−[4−[[2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル)−エチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸であり、急性リンパ球性白血病の処置、ならびに乳癌、頭頸部の類表皮癌および肺癌、特に、扁平上皮細胞および小細胞腫、および進行段階の非ホジキンリンパ腫の処置、特に、乳癌、頭頸部の類表皮癌および進行段階の非ホジキンリンパ腫の処置に使用される。
生物学的活性:本発明の組合せの代謝拮抗化合物は、上記のように癌細胞の生理および増殖に必須の代謝過程を妨げ、種々の癌に対して活性を有する。
問題点:これらの抗癌剤は、いくつかの副作用、特に骨髄抑制、および場合によっては悪心および下痢を有する。従って、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましい代謝拮抗化合物としては、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビンなどの抗腫瘍ヌクレオシド、ならびに本明細書に言及されているラルチトレキセド、ペメトレキセドおよびメトトレキセートなどの酵素阻害剤が含まれる。従って、本発明に従って用いるための好ましい代謝拮抗化合物としては、本明細書に言及されている5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビンを含む抗腫瘍ヌクレオシド誘導体が含まれる。本発明に従って用いるための他の好ましい代謝拮抗薬としては、ラルチトレキセド、ペメトレキセドおよびメトトレキセートを含む酵素阻害剤が含まれる。
5−フルオロウラシルは広く市販されており、または例えば、米国特許明細書第2802005号に記載されているように製造することができる。ゲムシタビンは、例えば、Eli Lilly and Companyから商品名ジェムザール(Gemzar)として市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第122707号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。カペシタビンは、例えば、Hoffman-La Roche Incから商品名ゼローダ(Xeloda)として市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第698611号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。シタラビンは、例えば、Pharmacia-Upjohn Coから商品名サイトサール(Cytosar)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第3116282号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。フルダラビンは、例えば、Schering AGから商品名フルダラ(Fludara)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4357324号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ラルチトレキセドは、例えば、AstraZeneca plcから商品名トムデックス(Tomudex)として市販されており)、あるいは例えば、欧州特許明細書第239632号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ペメトレキセドは、例えば、Eli Lilly and Companyから商品名アリムタ(Alimta)として市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第432677号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。メトトレキセートは、例えば、Lederie Laboratoriesから商品名メトトレキシセート−レダルレ(Methotrexate-Lederle)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第2512572号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。本発明の組合せに使用される他の代謝拮抗物質としては、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン(cladribine)、2’−デオキシコホルマイシンおよびヒドロキシ尿素が含まれる。
特定の実施形態:一実施形態では、代謝拮抗化合物は、ゲムシタビンである。他の実施形態では、代謝拮抗化合物は、5−フルオロウラシルまたはフルダラビン以外の代謝拮抗化合物、例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラルチトレキセド、ペメトレキセドまたはメトトレキセートなどの代謝拮抗化合物である。
薬量学:この代謝拮抗化合物は、上記に示されている因子に応じた用量で投与する。特定の好ましい代謝拮抗物質の用量の例を下記に例として示す。抗腫瘍ヌクレオシドに関しては、これらは体表面積平方メートルあたり(mg/m)1日に10〜2500mg、例えば、700〜1500mg/mの用量、特に5−FUの場合は、200〜500mg/mの用量、ゲムシタビンの場合は、800〜1200mg/mの用量、カペシタビンの場合は、1000〜1200mg/mの用量、シタラビンの場合は、100〜200mg/mの用量、フルダラビンの場合は10〜50mg/mの用量で投与するのが有利である。
次の酵素阻害剤の場合に、可能性のある用量の例を示す。例えば、ラルチトレキセドは約3mg/mの用量、ペメトレキセドは500mg/mの用量、メトトレキセートは約30〜40mg/mの用量で投与することができる。
上記に示されている用量は一般に、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
7. ビンカアルカロイド
定義:本明細書において「ビンカアルカロイド」とは、本明細書に記載されているビンカアルカロイド化合物またはビンカアルカロイド化合物の類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:本発明の組合せで用いるためのビンカアルカロイドは、ニチニチソウ(Vinca rosae)の抽出物に関連または由来する抗腫瘍ビンカアルカロイドである。これらの化合物の中で、ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、白血病、リンパ腫および精巣癌の処置に重要な臨床薬剤であり、ビノレルビンは、肺癌および乳癌に対して活性を有する。
生物学的活性:本発明の組合せのビンカアルカロイド化合物はチューブリン標的薬剤であり、種々の癌に対して活性を有する。
問題点:ビンカアルカロイドによる処置には著しい毒性が伴う。例えば、ビンブラスチンは、薬物投与後7〜10日中に最下点(nadir)に達し、その後、7日以内に回復する白血球減少症を引き起こし、一方、ビンクリスチンは、ある程度の神経組織毒性、例えば、手足のしびれおよび震え、深部腱反射の喪失および末梢の手足の筋組織の脱力を示す。ビノレルビンは、顆粒球減少症の形でいくらかの毒性を有するが、他のビンカアルカロイドとよりも血小板減少症が軽く、神経毒性も少ない。従って、腫瘍増殖に対して、抗腫瘍ビンカアルカロイドの阻害活性を増大させ、かつ、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量の抗腫瘍ビンカアルカロイドを使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましい抗腫瘍ビンカアルカロイドとしては、ビンデシン(vindesine)、ビンンベシル(vinvesir)、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが含まれる。本発明に従って用いるための特に好ましい抗腫瘍ビンカアルカロイドとしては、上記に言及したビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが含まれる。ビンブラスチンは、例えば、Eli Lilly and Coから商品名ベルバン(Velban)として注射用の硫酸塩が市販されており、あるいは例えば、ドイツ特許明細書第212403号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ビンクリスチンは、例えば、Eli Lilly and Coから商品名オンコビン(Oncovin)として注射用の硫酸塩が市販されており、あるいは例えば、上記のドイツ特許明細書第2124023号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ビンクリスチンはまた、商品名Onco−TCS(商標)のリポソーム製剤として市販されている。ビノレルビンは、例えば、Glaxo Wellcomeから商品名ナベルビン(Navelbine)として注射用酒石酸塩が市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4307100号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。他の抗腫瘍ビンカアルカロイドは、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンに関して上記したものと類似の方法によるなどの常法で製造することができる。
他の好ましいビンカアルカロイドとしてビンデシン(vindesine)がある。ビンデシンは、二量体ニチニチソウアルカロイドビンブラスチンの合成誘導体であり、Lillyから商品名エルジシン(Eldisine)およびShionogiから商品名フィルデシン(Fildesin)として市販されている。ビンデシンの合成の詳細は、Lilly特許DE2415980(1974)およびC.J. Burnett., J. Med. Chem. 21, 88(1978)に記載されている。
特定の実施形態:一実施形態では、ビンカアルカロイド化合物は、ビンブラスチン(vinoblastine)、ビンクリスチンおよびビノレルビンから選択される。別の実施形態では、ビンカアルカロイド化合物は、ビンブラスチンである。
薬量学:抗腫瘍ビンカアルカロイドは、処置のコースあたり体表面積平方メートルあたり(mg/m)2〜30mgの用量、特にビンブラスチンの場合は、約3〜12mg/mの用量、ビンクリスチンの場合は、約1〜2mg/mの用量、ビノレルビンの場合は、約10〜30mg/mの用量で投与するのが有利である。これらの用量は一般に、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、1、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
8. タキサン(タキソイド)
定義:本明細書において「タキサン化合物」とは、本明細書に記載されているタキサン化合物またはタキサン化合物の類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:タキサンは、タキサン環系を有する化合物種であり、ある種のイチイ(Taxus)の木からの抽出物に関連または由来している。これらの化合物は、腫瘍細胞増殖に対して活性を有していることが見出され、この種の特定の化合物は、種々の癌の処置のための臨床に使用されている。よって、例えば、パクリタキセルは、イチイの着(Taxus breifolia)の樹皮から単離されたジテルペンであり、イチイの針葉および小枝から得られる前駆体である10−アセチルバクチン(10-acetylbacctin)からの部分的合成、あるいは、全合成によって製造することができる(Holton et al, J. Am. Chem. Soc. 116;1597-1601(1994)およびNichou et al, Nature 367:630(1994)参照)。パクリタキセルは、抗新生物活性が示されており、最近になって、その抗腫瘍活性は、微小管の重合促進によるということが確定された(Kumar N. J., Biol. Chem. 256: 1035-1041(1981); Rowinsky et al, J. Natl, Cancer Inst. 82: 1247-1259(1990); およびSchiff et al, Nature 277:655-667(1979))。パクリタキセルは、現在、臨床試験においていくつかのヒト腫瘍で有効性を示してきている(McGuire et al, Ann. Int. Med., 111:273-279(1989); Homes et al, J. Natl. Cancer Inst. 83:1797-1805(1991); Kohn et al, J. Natl. Cancer Inst. 86:18-24(1994)およびKorn et al, American Society for Clinical Oncology, 12(1983))。パクリタキセルは、卵巣癌、乳癌および肺癌の処置に用いられ、特に、例えば、卵巣癌および乳癌の処置に使用されてきた。
最近になって、アルブミンと複合体を形成させたパクリタキセルのナノモル製剤がパクリタキセルに比べて、少なくとも同等に有効であり、かつ、骨髄抑制が少ないことが示された(APP;アブラキサン(Abraxane))。パクリタキセルのグルタミン酸とのコンジュゲートも開発中である。
臨床で使用されている他のタキサン化合物としてドセタキセルがあり、ドセタキセルは、進行性乳癌の処置に特に有効性を有することが示されている。ドセタキセルは、パクリタキセルよりも、賦形剤系においてより良好な溶解性が示されており、従って、医薬組成物としての取扱いおよび使用の簡便性が増している。
生物学的活性:本発明の組合せのタキサン化合物はチューブリン標的薬剤であり、種々の癌に対して活性を有する。
問題点:タキサンの臨床使用は狭い治療係数を示しており、使用に伴う副作用に耐えることができない患者が多い。従って、腫瘍増殖に対するタキサン化合物の阻害有効性を高め、かつ、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量のタキサン化合物を使用するための手段を提供する必要がある。水溶液中で高い溶解度を示すタキサンの開発も望ましい。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいタキサン化合物としては、本明細書で言及されるパクリタキセル、アブラキサンまたはドセタキセルが含まれる。パクリタキセルは、例えば、Bristol Myers Squibbから商品名タキソール(Taxol)として市販されており、ドセタキセルは、Sanofi-Aventis(以前のRhone-Poulenc Rorer)からタキソテール(Taxotere)として市販されている。両化合物および他のタキサン化合物は、例えば、EP253738、EP253739およびWO92/09589に記載されている常法またはこれに類似する方法によって製造することができる。
特定の実施形態:一実施形態では、タキサン化合物はパクリタキセルである。他の実施形態では、タキサン化合物はドセタキセルである。
薬量学:タキサン化合物は、処置のコースあたり、体表面積平方メートルあたり(mg/m)50〜400mg、例えば、75〜250mg/mの用量、特にパクリタキセルの場合は、約175〜250mg/mの用量、ドセタキセルの場合は、約75〜150mg/mの用量で投与するのが有利である。これらの用量は、例えば。処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
9. エポチロン
定義:本明細書において「エポチロン」とは、パクリタキセルと類似の作用機序を有するが、前臨床モデルでタキサン耐性状態において潜在的に有利な活性を有する細胞傷害性マクロライド類を定義するために用いられる。エポチロンであるイキサベピロン(ixabepilone)、パツピロン(patupilone)、BMS−310705、KOS−862およびZK−EPOは、癌処置のための初期の臨床試験中である。第1相試験では、エポチロンの用量制限毒性は一般に神経毒性および好中球減少症であることが示されているが、パツピロンを用いた初期の研究では、下痢が用量を制限したことが示された。イキサベピロン(ixabepilone)により誘発される神経障害は投与計画依存的であり得る。タキサン不応性転移性乳癌における応答率は比較的低いが、イキサベピロンおよびパツピロンはホルモン不応性転移性前立腺癌およびタキサン不応性卵巣癌において有望な有効性を示した。
技術的背景;エポチロンAおよびBは最初に粘液細菌Sorangium Cellulosumの抗真菌性発酵産物として単離された。その後すぐに、これらの薬剤は、微小管を安定させ、有糸***の休止を誘導することが示された。それらの細胞傷害活性はタキサンと同じ機構によるものであるが、エポチロンは1組の重要な利点を有する。第一に、それらは多剤耐性ポンプP−糖タンパク質(P-gylycoprotein)の基質ではない。第二に、それらは生産(それらが細菌起源であるため)および操作の双方が容易である。これらの分子およびそれらの類似体の、全体的または部分的いずれかの化学合成により、それらの有効性を増強する改変が可能となる(Mani et al. Anticancer Drugs 2004;15(6):5538)。数種のエポチロンまたはエポチロン誘導体は、細胞系統および腫瘍移植片に対して有効であることが示されており、現在、臨床試験中である(Goodin et al. J Clin Oncol 2004;22(10): 2015-25)。微小管安定剤の同定のための予期されない供給源が海洋生物であった。ラウリマリド(Laulimalide)およびイソラウリマリド(isolaulimalide)は海綿(Cacospongia mycofijiensis)の天然産物であり、P−gp発現細胞に対してさえ、強力なパクリタキセル様活性を有する。両方の点で類似のエルエテロビン(Eluetherobin)は、Eleutherobi種の軟質サンゴの産物である。
生物活性;微小管の形成は、ヒト細胞に存在するα−チューブリンおよびβ−チューブリンの双方の複数のイソ型との、ヘテロ二量体α/β−チューブリンサブユニットの重合を含む。有糸***紡錘体の形成および機能には完全な微小管機能が必要であり、チューブリンサブユニットまたは重合微小管のいずれかと結合する薬剤で処理した細胞は、紡錘体形成の変化ならびに細胞周期のG2/M期での休止を示し、これがアポトーシスの誘導と関連している。微小管を標的とする化合物は、種々の植物および海洋生物種による微小管標的化合物の収斂進化により例示される強力な細胞傷害性薬剤である。現在、臨床開発中の3つのエポチロン、エポチロンB、アザエポチロンBおよびデスオキシエポチロンBに関して公表されている研究では、これらの化合物が、細胞培養モデル、また、異種移植片において広域の抗腫瘍活性を示すことが示されている。さらに、エポチロンは一般に細胞培養試験においてパクリタキセルよりも細胞傷害性が高く、種々の腫瘍細胞系統でナノモル下または低ナノモル範囲のIC50値を有する(Bollag et al. Cancer Res 55:2325-2333, 1995; Lee et al. Clin Cancer Res 7:1429-1437, 2001; Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A 95:9642-9647, 1998; Newman et al. Cancer Chemother Pharmacol 48:319-326, 2001)。また、前臨床研究でも、エポチロンとタキサンの間の薬剤耐性機構に関する重要な違いが示されている。特に、細胞培養モデルにおいて、P−糖タンパク質の過剰発現は、エポチロンB、アザエポチロンBおよびデスオキシエポチロンの細胞傷害性に最小の影響しか及ぼさない。P−糖タンパク質を過剰発現する細胞系統での、エポチロンB、アザエポチロンBおよびデスオキシエポチロンの細胞傷害作用の比較によれば、デスオキシエポチロンBが最小の作用で、アザエポチロンBがP−糖タンパク質発現に最も影響が大きいことが示された。しかしながら、P−糖タンパク質過剰発現細胞系統におけるこれらの化合物のIC50の差は、これらの値と、これらの細胞系統におけるパクリタキセルのIC50の間の差に比べて小さいことに着目すべきである。タキサンに対する臨床耐性におけるP−糖タンパク質発現の有意性はなお明らかではないが、これらの結果は、高レベルのP−糖タンパク質発現を特徴とする悪性腫瘍を有する患者において、タキサンよりもエポチロンが有効であり得ることを示唆する。in vivo研究では、エポチロンが、種々の投与計画を用いたパクリタキセル感受性および耐性腫瘍モデルにおいて有効であることを示す。中断を伴う毎日または毎週の計画を用いてマウスに静脈投与した場合、アザエポチロンBは卵巣、結腸および***異種移植片で活性が高く、パクリタキセル耐性の卵巣異種移植モデル(Pat−7)で治癒を誘発する。注目すべきは、パクリタキセルとは異なり、前臨床モデルでアザエポチロンBは経口投与した場合に有効である。この現象はおそらく腸管粘膜でP−糖タンパク質が発現し、その結果、パクリタキセルの吸収は低いが、エポチロンの吸収はそうではないことに関連している。
問題点;感覚神経障害および骨髄抑制がエポチロンとともに記載されている。
選択肢;既存の構造活性データから、エポチロンと微小管の間の相互作用におけるいくつかの洞察が得られる。数グループからの結果が、C12−13エポキシドにおける、またはその近傍の改変が微小管安定活性に影響を及ぼし得ることを示している(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti-Canc Agents 2:123-148, 2002)。例えば、エポチロンAのC12位にメチル基を付加するとエポチロンBが得られ、このエポチロンBはin vitroでのチューブリン重合の誘発において、エポチロンAまたはパクリタキセルのおよそ2倍の効力である(Kowalski et al. J Biol Chem 272: 2534-2541, 1997; Nicolaou et al. Nature 387:268-272, 1997, abstr 428)。さらに、デスオキシエポチロンB(エポチロンDまたはKOS−862としても知られる)はC12−13エポキシドを欠いており、かつ、in vitroにおいてエポチロンAまたはBよりも強力な微小管安定剤であることから、C12−13のエポキシドは微小管結合に必要ではないことが明らかである。エポチロンの他の領域を改変する効果に関して得られるデータはほとんどない。C9−C12領域を改変することにより(分子モデリングに基づく)微小管結合を改良する試みにもかかわらず、この領域における改変は細胞傷害活性の低下をもたらす。これに対して、エポチロンBのラクトン酸素をラクタムで置換した場合(アザエポチロンB、BMS−247550としても知られる)には、微小管重合活性または細胞傷害性は損なわれない。種々の他のエポチロン類似体が合成されたが、微小管安定活性の増大が常に細胞傷害性の増大をもたらすわけではないことに着目すべきであり、これはおそらく細胞の蓄積および代謝の安定性などの他の変動要因が重要であるためであると思われる(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti-Canc Agents 2:123-148, 2002)。実際、デスオキシエポチロンBのC12位におけるメチル基をプロパノール基で置換すると、白血病細胞系統CCRF−CEMに対してデスオキシエポチロンBと同様の有効性を示すが、P−糖タンパク質過剰発現サブ系統に対する活性が有意に低い化合物が生じる(デスオキシエポチロンBに対するIC50 17nmol/Lに対して、プロパノール誘導体に対する167nmol/L)(Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A 95:9642-9647, 1998)。
エポチロンBのC−21−置換誘導体であるBMS−310705など、溶解度を高める試みにおいて、天然エポチロンのさらなる改変がなされている(Lee et al. Proc Am Assoc Cancer Res 43:a3928, 2002)。
特定の実施形態:一実施形態では、エポチロン化合物はBMS−247550である。別の実施形態では、エポチロン化合物はデスオキシエポチロン(Desoxyeopthilone)であり、さらに別の実施形態では、エポチロン化合物はBMS−310705である。
薬量学:BMS−247550は、21日毎に3時間かけて40mg/mの用量か、または3週間毎に5日毎日、1時間かけて6mg/mが投与される。3週間毎、1回量の計画の最初の18人の患者で口腔粘膜炎および好中球減少症が頻繁に見られたので、用量を32mg/mに引き下げた。EPO906は3週間、1つの試験では、その後1週間の休止、毎週2.5mg/m、および3週間毎に6mg/m、1回投与する。KOS−862は、3週間毎に1回用量、3週間毎に毎日3回、3週間毎に一定比率の用量、および3週間毎週、1週間の休止で投与する。
10. 白金化合物
定義:本明細書において「白金化合物」とは、本明細書に記載されているイオンの形態の白金および白金化合物の類似体を提供する、任意の腫瘍細胞増殖阻害白金化合物(白金配位化合物を含む)を、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:癌の化学療法処置では、シスプラチン(シス−ジアミノジクロロ白金(II))は、様々なヒト固形悪性腫瘍、例えば、精巣癌、卵巣癌および頭頸部癌、膀胱癌、食道癌および肺癌の処置に長年、首尾よく使用されている。
最近になって、他のジアミノ−白金錯体(例えば、カルボプラチン(ジアミノ(1,1−シクロブタン−ジカルボキシラート)白金(II)もまた、様々なヒト固形悪性腫瘍の処置における化学療法薬としての有効性を示しており、カルボプラチンは、卵巣癌および小細胞肺癌の処置、特に、卵巣癌の処置のために認可されている。さらなる抗腫瘍白金化合物としては、第三世代のジアミノ−シクロヘキサン白金に基づく細胞傷害性薬剤オキサリプラチン(oxaliplatin)(L−OHP)があり、その化学名は(1,2−ジアミノ−シクロヘキサン)オキサラート−白金(II)である。オキサリプラチンは、癌の前臨床モデルでは、シスプラチンと比較して腎毒性がなく、より高い有効性に基づいて、例えば、転移性結腸直腸癌の処置のために使用されている。
オキサリプラチンは、転移性結腸直腸癌の処置のため5−FUと併用され、上部消化管癌の処置において検討下にある。前立腺癌の処置のために経口白金誘導体も治験下にある。
生物学的活性:本発明の組合せの白金化合物は様々な癌に対して活性を有する。
問題点:シスプラチンおよび他の白金化合物は、ヒトの化学療法薬として広く使用されているが、これらは、全ての患者で治療的に有効というわけではなく、あるいは全ての腫瘍種に治療的に有効というわけではない。さらに、このような化合物は、腎臓障害などの毒性問題をもたらし得る、比較的高い用量レベルで投与する必要がある。また、特にシスプラチンでは、化合物は、患者では悪心および嘔吐を多様な程度で引き起こすとともに、白血球減少症、貧血および血小板減少症も引き起こす。従って、有効性を高め、また、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量で使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましい白金化合物としては、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンが含まれる。他の白金化合物としては、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシラント)白金(II)、(1.2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オナプラチン(onnaplatin);およびテトラプラチンが含まれる。シスプラチンは、水、滅菌食塩水または他の好適なビヒクルからなる粉末として、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名プラチノール(Platinol)として市販されている。シスプラチンはまた、例えば、G.B.KauffmanおよびD.O.Cowan, Inorg. Synth.7,239(1963)に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。カルボプラチンは、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名パラプラチン(Paraplatin)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4140707号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。オキサリプラチンは、例えば、Sanofi-Synthelabo Incから商品名エロキサチン(Eloxatin)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4169846号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。他の白金化合物およびその医薬組成物も市販されており、かつ/または常法によって製造することができる。
特定の実施形態:一実施形態では、白金化合物は、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オナプラチン(onnaplatin);テトラプラチン;シスプラチン;カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される。他の実施形態では、白金化合物は、シスプラチン以外の白金化合物、例えば、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシトラト)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オナプラチン(onnaplatin);テトラプラチン;カルボプラチンまたはオキサリプラチンから選択され、好ましくは、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される。
薬量学:白金配位化合物は、体表面積平方メートルあたり(mg/m)1〜500mg、例えば、50〜400mg/mまたは500mg/m(例えば、50〜400mg/m)の用量であり、特にシスプラチンの場合は、約75mg/mの用量、カルボプラスチンの場合は、約300〜500mg/m、例えば、300mg/mの用量、オキサリプラチンの場合は、約50〜100mg/mの用量で投与するのが有利である。これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
11. トポイソメラーゼ2阻害剤
定義:本明細書において「トポイソメラーゼ2阻害剤」とは、上記のようなトポイソメラーゼ2阻害剤またはトポイソメラーゼ2阻害剤の類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:重要な種類の抗癌剤は、DNA転写および翻訳の間に、ストレスビルドアップ(stress build-up)を放出する二本鎖の切断を引き起こす酵素であるトポイソメラーゼ2の阻害剤である。従って、この酵素の機能を阻害する化合物は細胞傷害性であり、抗癌剤として有用である。
癌の化学療法において、開発され、使用されてきたトポイソメラーゼ2阻害剤として、ポドフィロトキシンがある。これらの薬物は、DNAトポイソメラーゼ2との相互作用またはフリーラジカルの形成によって、DNA鎖の切断を誘発することを含む作用機序によって作用する。ポドフィロトキシンは、マンドレーク植物から抽出され、小児性白血病、小細胞肺癌、精巣癌、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫を含む数種のヒト新生物において有意な治療活性を示す、2つのグリコシドが開発されている親化合物である。ポドフィロキシンは小児性白血病、小細胞肺癌、精巣癌、ホジキン病および大細胞リンパ腫において活性を有する。これらの誘導体はエトポシド(VP−16)であり、その化学名は4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノデシド]、およびテニポシド(VM−26)であり、その化学名は4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−「4,6−O−(R)−2−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]である。
しかしながら、エトポシドおよびテニポシドは双方とも、ある種の毒性副作用、特に骨髄抑制を受ける。もう1つの重要なトポイソメラーゼ2阻害剤種は、重要な抗腫瘍剤であり、真菌ストレプトミセス・ピューティカスvar.セシウス(Streptomyces peuticus var. caesius)およびその派生物から得られた抗生物質を含むアントラサイクリン誘導体があり、これは、グリコシド結合によって結合している特殊な糖ダウノサミンを持つテトラサイクリン環構造を有することを特徴とする。これらの化合物の中で、最も広く使用されているものとしては、ダウノルビシン、化学名7−(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソヘキソシロキシ)−9−アセチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−4−メトキシ−5,12−ナフタセンキノン、ドキソルビシン、化学名10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシルアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン、およびイダルビシン(ザベドックス(Zavedos)(商標)、化学名9−アセチル−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオンが含まれる。
ドキソルビシンは、固形腫瘍、特に乳癌に対して広く試験されてきたのに対して、ダウノルビシンおよびイダルビシンは、主として急性白血病の処置に用いられてきた。癌化学療法に有用な別のアントラサイクリン誘導体は、エピルビシンである。エピルビシンは、化学名(8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−アラビノ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンであり、肝臓中のウリジン二リン酸−グルクロシルトランスフェラーゼによって(ドキソルビシンのそれとは異なって)グルクロン酸抱合を含む異化経路を有するドキソルビシンの類似体であり、これは、半減期が短く、心毒性が少ないことを説明していると考えられる。この化合物は、子宮頸癌、子宮内膜癌、進行性乳癌および膀胱癌を含む様々な癌の処置に使用されてきているが、骨髄抑制および心毒性の副作用を受ける。後者の副作用は、アントラサイクリン誘導体に典型的であり、一般により高い累積用量で深刻な心筋症を示す。さらなるトポイソメラーゼ2阻害剤としてミトキサントロンがあり、その化学名は1,4−ジヒドロキシ−5,8−ビス[[2−「(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル]アミノ]−9,10−アントラセンジオンであり、多発性硬化症、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、ならびに乳癌、前立腺癌および肝臓腫瘍の処置に使用される。他には、ロソキサントロン(losoxantrone)およびアクチノマイシンD(actinomycin D)が含まれる(後者の薬剤は、ダクチノマイシンおよびCosmegen Lyovac(登録商標))としても知られる)。
ミトキサントロン投与の副作用には、骨髄抑制、悪心、嘔吐、口内炎および脱毛症がある。
生物学的活性:本発明の組合せのトポイソメラーゼ2阻害剤は、上記のように種々の癌に対して活性を有する。
問題点:この種の細胞傷害性化合物は、上術のような副作用を伴う。従って、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量で使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいトポイソメラーゼ2阻害化合物としては、本明細書に定義されているようなアントラサイクリン誘導体、ミトキサントロンおよびポドフィロトキシン誘導体が含まれる。
本発明に従って用いるための好ましい抗腫瘍アントラサイクリン誘導体としては、上記に言及したダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンが含まれる。ダウノルビシンは、例えば、Bedford Laboratoriesから商品名セルビジン(Cerubidine)として塩酸塩が市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4020270号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。急性骨髄性白血病におけるダウノルビシンの治療係数は、この分子をリポソームに封入することにより改良することができる(ダウノキソム(Daunoxome);Gilead/Diatos)。ドキソルビシンは、例えば、Pharmacia and Upjohn Coから商品名アドリアマイシン(Adriamycin)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第3803124号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ドキソルビシン誘導体としては、ペグ化塩酸ドキソルビシンおよびリポソーム封入クエン酸ドキソルビシンが含まれる。ペグ化塩酸ドキソルビシンは、例えば、Schering-Plough Pharmaceuticalsから商品名ケイルクス(Caeylx)として市販されており;非ペグ化リポソーム封入クエン酸ドキソルビシンは、例えば、Elan Corporationから商品名ミオセット(Myocet)として市販されている。イダルビシンは、例えば、Pharmacia & Upjohnから商品名イダマイシン(Idamycin)として塩酸塩が市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4046878号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。エピルビシンは、例えば、Pharmacia Upjohn Coから商品名ファルモルビシン(Pharmorubicin)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4058519号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ミトキサトロンは、例えば、OSI Pharmaceuticalから商品名ノバントロン(Novantrone)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4197249号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
他の抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、常法、例えば、特定のアントラサイクリン誘導体に関して上記したものと類似の方法によって製造することができる。
本発明に従って用いるための好ましい抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体としては、上記に言及したエトポシドおよびテニポシドが含まれる。エトポシドは、例えば、Bristol-Myers Squibb Coから商品名ペペシド(VePesid)として市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第111058号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。テニポシドは、例えば、Bristol-Myers Squibb Coから商品名ブモン(Vumon)として市販されており、あるいは例えば、PCT特許明細書WO93/02094に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。他の抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、常法、例えば、エトポシドおよびテニポシドに関して上記したものと類似の方法によって製造することができる。
特定の実施形態:一実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、アントラサイクリン誘導体、ミトキサントロンまたはポドフィロトキシン誘導体である。他の実施形態では、トポイソメラーゼ阻害剤は、タウノビルシン、ドキリルビシン、イダルビシンおよびエビルビシンから選択される。別の実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、エトポシドおよびテニポシドから選択される。よって、好ましい実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、エトポシドである。他の実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、ドキソルビシン以外のアントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンなどのトポイソメラーゼ2阻害剤である。
薬量学:抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、体表面積平方メートルあたり(mg/m)、10〜150mgの用量、例えば、15〜60mg/m、特にドキソルビシンの場合は、約40〜75mg/mの用量、ダウノルビシンの場合は、約25〜45mg/mの用量、イダルビシンの場合は、約10〜15mg/mの用量、エピルビシンの場合は、約100〜120mg/mの用量で投与するのが有利である。
ミトキサントロンは、約12〜14mg/mの用量で、約21日毎に短時間の静脈注入として投与するのが有利である。
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、体表面積あたり30〜300mg/mの用量、例えば、50〜250mg/m、特にエトポシドの場合は、約35〜100mg/m、テニポシドの場合は、約50〜250mg/mの用量で投与するのが有利である。
上記の用量は一般に、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
12. アルキル化剤
定義:本明細書において「アルキル化剤」とは、本明細書に記載されているようなアルキル化剤またはアルキル化剤の類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体およびその保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:癌化学療法に使用されるアルキル化剤類は、生理学的条件下で、DNAなどの生物学的に必須の高分子にアルキル基を付与する能力を有するという共通の特徴を有する様々な化学物質群を包含する。ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアなど、部分のより重要な薬剤では、活性なアルキル化部分は、複雑な分解反応(それらのいくつかは酵素的である)の後にin vivoで生じる。アルキル化剤の最も重要な薬理作用は、細胞増殖、特にDNA合成および細胞***に関する基本的機構を妨げるものである。急速に増殖する組織中でDNAの機能および完全性を妨げるアルキル化剤の能力は、治療的適用およびそれらの多くの毒性特性の基礎となる。従って、一クラスとしてのアルキル化剤が、それらの抗腫瘍活性に関して検討されており、これらの化合物のあるものは、骨髄成分に対して、また、程度は低いが腸粘膜に対しても、用量制限的な毒性を生じる性質を共通に持つ傾向があるにもかかわらず、抗癌剤療法において広く用いられている。
アルキル化剤の中で、ナイトロジェンマスタードは、ビス−(2−クロロエチル)基の存在を特徴とする抗腫瘍化合物の重要な群に相当し、シクロホスファミド(化学名は、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリンオキシド)およびクロラムブシル(化学名は、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−ベンゼンブトイックアシド(4-[bis(2-chloroethyl)amino]-bennzenebutoic acid)を含む。シクロホスファミドは、広域の臨床活性を有し、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、バーキットリンパ腫および乳癌のための多くの有効な薬剤組合せの成分として用いられている。
イフォスファミド(Ifosfamide、Ifosphamideとも)は、シクロホスファミドの構造的類似体であり、その作用機序は同一であると推定される。その化学名は、3−(2−クロロエチル)−2−[(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−オキシドであり、子宮頸癌、肉腫および精巣癌の処置に使用されているが、重大な尿毒性作用がある。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病および非ホジキンリンパ腫の処置に使用されている。クロラムブシルはまた、CLL、およびリンパ肉腫を含む悪性リンパ腫の処置にも使用されている。
他の重要なアルキル化剤としては、2−クロロエチルカルボニウムイオンを形成することで自発的な非酵素的分解を受ける能力を特徴とするニトロソウレアがある。このようなニトロソウレア化合物の例としては、カルムスチン(carmustine)(BiCNU(登録商標)またはBCNU)(化学名は、1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア)およびロムスチン(lomustine)(CCNU)(化学名は、1−(2−クロロエチル)シクロヘキシル−1−ニトロソウレア)が含まれる。カムスチンおよびロムスチンは、これらの化合物が、その治療的価値を制限している著しい累積的骨髄抑制を生じるにもかかわらず、それぞれ、脳腫瘍および胃腸新生物の処置において重要な治療的役割を有している。
他のアルキル化剤は、ビス−アルカンスルホネート基を有する二官能性アルキル化剤によって表され、化合物ブスルファン(busulfan)(化学名は、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネート)によって表され、慢性骨髄性(脊髄性、骨髄球性または顆粒球性)白血病の処置に使用されている。しかしながら、これは、重大な骨髄性不全を誘発し、その結果、重篤な汎血球減少症に至る。この特性は、造血幹細胞移植前に調整剤(conditioning agent)としての、その広範囲の使用に至らせている。
他のアルキル化剤種は、3員の含窒素環を含むアジリジン(aziridine)化合物であり、これはDNAと結合することによって抗腫瘍剤として作用し、架橋して、DNAの合成および機能の阻害をもたらす。このような薬剤の例として、ストレプトミセス・セスピトサス(Streptomyces caespitosus)から単離される抗生物質マイトマイシンがあり、化学名は7−アミノ−9α−メトキシミトサンである。
マイトマイシンは、胃癌、膵臓、結腸および***の腺癌、小細胞および非小細胞肺癌を、また、放射線と併用して頭頸部癌を処置するのに使用されるが、副作用として、骨髄抑制、腎毒性、間質性肺炎、悪心および嘔吐が含まれる。
生物活性:本発明と組み合わせるアルキル化剤の最も重要な薬理作用の1つは、本明細書の前記で定義されているように細胞増殖に関連する基本的機構を妨げる能力である。急速に増殖する組織中でDNAの機能および完全性を妨げるこうした能力は、様々な癌に対するそれらの治療的適用の基礎となっている。
問題点:この種の細胞傷害性化合物は、上術のように副作用を伴う。従って、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいアルキル化剤としては、上記に言及されている、ナイトロジェンマスタード化合物のシクロホスファミド、イフォスファミド(ifosfamide/ifosphamide)およびクロラムブシルおよびニトロソウレア化合物のカルムスチンおよびロムスチンが含まれる。本発明に従って用いるための好ましいナイトロジェンマスタード化合物としては、上記に言及されている、シクロホスファミド、イフォスファミド(ifosfamide/ifosphamide)およびクロラムブシルが含まれる。シクロホスファミドは、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名シトキサン(Cytoxan)として市販されており、あるいは例えば、英国特許明細書第1235022号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。クロラムブシルは、例えば、GlaxoSmithKline plcから商品名ロイケラン(Leukeran)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第3046301号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。イフォスファミド(Ifosfamide/Ifosphamide)は、例えば、Baxter Oncologyから商品名ミトキサナ(Mitoxana)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第3732340号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。本発明に従って用いるための好ましいニトロソウレア化合物としては、上記に言及されているカルムスチン、ロおよびムスチンが含まれる。カルムスチンは、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名BiCNUとして市販されており、あるいは例えば、欧州特許明細書第902015号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ロムスチンは、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名CeeNUとして市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第4377687号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ブスルファンは、例えば、GlaxoSmithKline plcから商品名ミレラン(Myleran)として市販されており、あるいは例えば、米国特許明細書第2917432号に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。マイトマイシンは、例えば、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名ムタマイシン(Mutamycin)として市販されている。他には、エストラムスチン(estramustine)、メクロレサミン(mechlorethamine)、メルファラン(melphalan)、ビスクロロエチルニトロソウレア(bischloroethylnitrosurea)、シクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア(cyclohexylchloroethylnitrosurea)、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア(methylcyclohexylchloronitrosurea)、ニムスチン(nimustine)、プロカルバジン(procarbazine)、ダカルバジン(dacarbazine)、テモゾリミド(temozolimide)およびチオテパ(thiotepa)が含まれる。
特定の実施形態:一実施形態では、アルキル化剤は、シクロホスファミド、イフォスファミド(ifosfamide/ifosphamide)およびクロラムブシルから選択されるナイトロジェンマスタード化合物である。別の実施形態では、アルキル化剤は、カルムスチンおよびロムスチンから選択されるニトロソウレアである。アルキル化剤はさらに、ブスルファンを含む。一実施形態では、アルキル化剤は、マイトマイシンCまたはシクロホスファミド以外に本明細書の上記で定義された通りである。
薬量学:ナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレアアルキル化剤は、体表面積平方メートルあたり(mg/m)、100〜9000、例えば100〜2500mg、例えば、100〜5000、100〜2500または120〜500mg/mの用量、特にシクロホスファミドの場合は、約100〜5000、例えば100〜500mg/mの用量、イフォスファミド(ifosfamide/ifosphamide)の場合は、500〜9000mg/m、例えば500〜2500mg/mの用量、クロラムブシルの場合は、約0.1〜0.2mg/kgの用量、カルムスチンの場合は、約150〜200mg/mの用量、ロムスチンの場合は、約100〜150mg/mの用量で投与するのが有利である。ブスルファンなどのビス−アルカンスルホネート化合物の場合、標準的用量は1〜2mg/m、例えば、約1.8mg/mであり得る。
マイトマイシンなどのアジリジンアルキル化剤は、例えば、15〜25mg/m、好ましくは約20mg/mの用量で投与することができる。
上記に示した用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
13. 本発明に従って用いるためのシグナル伝達阻害剤
定義:本明細書において「シグナル伝達阻害剤(signalling inhibitor or signal transduction inhibitor)」とは、本明細書に記載されているシグナル伝達阻害剤またはシグナル伝達阻害剤の類似体を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:悪性腫瘍は制御されない細胞増殖の産物である。細胞成長は成長促進因子と成長阻害因子の間の微妙なバランスによって制御される。正常組織では、これらの因子の産生および活性は、器官の正常な健全性および機能性を維持する制御および調節された様式で分化した細胞の増殖をもたらす。悪性細胞はこの制御を逃れ、自然のバランスが乱され(種々の機構による)、調節されない異常な細胞増殖が起こる。
増殖の1つの駆動因子が上皮細胞増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)は、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌を含むいくつかのヒト固形腫瘍の発生および進行に関連づけられている。EGFRは4つの受容体、すなわち、EGFR(HER1またはErbB1)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)のファミリーのメンバーである。これらの受容体は細胞膜にある大きなタンパク質であり、各々、特異的な外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼ酵素活性を有する内部ドメインを持っている。EGFがEGFRに付着すると、それはチロシンキナーゼを活性化し、細胞を増殖および複製させる反応を誘発する。EGFRは多くの種類の癌細胞の表面に異常に高レベルで見られ、EGFの存在下で過度に***し得る。従って、EGFR活性の阻害は、癌の処置における化学療法研究の標的となってきた。このような阻害は、例えば抗体の使用による、細胞表面の標的EGFRとの直接的相互作用により、またはそれに続くチロシンキナーゼ活性の阻害により、達成することができる。
EGFRを標的とする抗体の例としては、モノクローナル抗体トラスツズマブおよびセツキシマブがある。原発性乳癌におけるヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は、ある種の患者の臨床予後の不良と相関していることが示されている。トラスツズマブは、高度に精製された組換えDNA由来のヒト化モノクローナルIgG1κ抗体であり、高い親和性で特異的にHER2受容体の細胞外ドメインに結合する。in vitroおよびin vivoの前臨床研究によって、トラスツズマブを単独またはパクリタキセル、もしくカルボプラチンと組み合わせて投与した場合、HER2遺伝子産物を過剰発現する乳癌由来細胞系統の増殖を有意に阻害することが示されている。臨床試験では、トラスツズマブは、乳癌の処置において臨床活性を有することが示されている。トラスツズマブの最も一般的な有害作用は発熱および悪寒、疼痛、無気力症、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、呼吸困難、鼻炎および不眠症である。特に厄介なものとしては心筋症の発症であるが、これは大多数の患者では回復し得る。トラスツズマブは、初期乳癌および転移性乳癌、特に、HER2タンパク質の過剰発現を示す転移性乳癌の処置に認可されている。
セツキシマブは、イロテカン不応性結腸直腸癌(CRC)の処置、および放射線療法と組み合わせて頭頸部癌の処置に使用されている。これは転移性膵臓癌および非小細胞肺癌を含む種々の他の癌の処置に用いるために、単剤として、また、他剤と組み合わせて評価されていた。セツキシマブの投与は、呼吸困難および低血圧を含む重大な副作用を引き起こし得る。
本発明の組合せに用いるための別の好適なモノクローナル抗体としてパニツムマブ(panitumumab)がある。Amgen Inc(以前のImmunex and Abgenix Inc)は、腎臓癌、非小細胞肺癌およびCRCの単剤療法、一次治療としての標準的な化学療法と組み合わせて、進行性CRCの三次単剤療法として、特に、転移性結腸直腸癌(MCC)を処置するために、また、標準的な化学療法が上手くいかなかった患者においてなど、癌の可能性ある処置のために、EGF受容体に対する完全ヒトモノクローナル抗体であるパニツムマブ(ABX−EGF)を開発中である。このように、ABX−EGFは、アプローチに依存せずに、癌の処置を補足するために、単剤療法として、または化学療法および放射線療法と組み合わせて投与することができる。
ABX−EGFは、ヒトEGFRに対する完全ヒト化IgG2モノクローナル抗体である。ABX−EGFなどの完全ヒト化モノクローナル抗体は、相当量のマウスタンパク質を含むキメラ抗体を超えるいくつかの利点を有する。それらはヒト抗マウス抗体(HAMA)を生成しないことから、患者において過敏感反応を起こすリスクが低くなり、これらの抗体はin vivoにおける寿命が延びるはずである。このような観点は長期投与にとって重要であり得る。
これはWO98/50433に記載されているようにして、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
パニツムマブは1週間に1回、0.01〜5.0mg/kgの範囲、または2週間に1回、6.0mg/kg、または3週間に1回9.0mg/kgの用量を静脈注入することができる。
結腸直腸癌患者における3次単剤療法としてのパニツムマブを検討する第3相多施設治験では、患者に2週間毎にパニツムマブを与えた。
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤のチピファーニブ(tipifarnib)はras介在経路のシグナル伝達を妨げ、骨髄性白血病の処置のために検討中である。
EGFRチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(gefitinib)およびエルロチニブ(erlotinib)が含まれる。ゲフィチニブは、化学名4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンであり、非小細胞肺癌の処置に使用されている。また、乳癌および結腸直腸癌など、EGF受容体を過剰発現する他の固形腫瘍に対しても研究が進んでいる。ゲフィチニブを与えられている患者が、間質性肺疾患および眼の炎症を起こし得ることが見出されている。エルロチニブは、化学名N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンであり、非小細胞肺癌の処置に使用もされており、膵臓癌などの様々な他の固形腫瘍の処置のために開発中であり、最も一般的な副作用は、発疹、食欲減退および疲労であり、報告されている、より重大な副作用は間質性肺疾患である。
抗癌研究の標的として注目を受けているもう1つの増殖因子が血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは、創傷治癒、網膜症、乾癬、炎症性疾患、腫瘍増殖および転移を含む脈管形成過程の、脈管形成のキー・レギュレーターである。研究によれば、VEGFの過剰発現は、ヒト悪性疾患の浸潤および転移に強く関連していることが示されている。
細胞表面のVEGF抗原を標的とする抗体の例としては、VEGFに結合してこれを阻害する組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である、モノクローナル抗体ベバシズマブ(bevacizumab)がある。ベバシズマブは、例えば、5−フルオロウラシルなどの化学療法と組み合わせて、結腸直腸癌の処置に使用されている。ベバシズマブはまた、転移性乳癌、転移性非小細胞肺癌および腎細胞癌などの他の固形腫瘍の、可能性のある処置として開発中である。ベバシズマブに伴う最も重大な有害事象としては、胃腸穿孔、高血圧性緊急症、ネフローゼ症候群およびうっ血性心不全が含まれる。この増殖因子によって誘発されるシグナル伝達カスケードの択一点におけるVEGFの作用を標的とする、開発中の他の治療薬剤としては、Sugen/Pfizerにより商品名ステント(Sutent)として市販され、VEGF受容体のキナーゼ活性を阻害するスニチニブ(sunitinib)が含まれる。ステントは消化管間質腫瘍における第III相治験において有効性が実証されている。
腫瘍発生に重要な別の増殖因子として血小板由来増殖因子(PDGF)があり、これは細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を介してシグナルを伝達するペプチド増殖因子ファミリーを含み、成長、増殖および分化を含む種々の細胞機能を刺激する。PDGFの発現は、膠芽腫および前立腺癌を含むいくつかの異なる固形腫瘍で実証されている。チロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)は、化学名メタンスルホン酸4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミドであり、Bcr−Abl癌タンパク質および細胞表面チロシンキナーゼ受容体c−キットの活性を遮断し、それ自体、慢性骨髄性白血病および消化管間質腫瘍に対する処置として認可されている。メシル酸イマチニブはまたPDGFRキナーゼの強力な阻害剤であり、PDGFRにおける活性化突然変異のこれらの疾病における証拠に基づき、慢性骨髄単球性白血病および多形性膠芽腫の処置に関して現在評価されている。最も報告の多い、薬剤関連の有害事象は浮腫、悪心、嘔吐、痙攣および筋骨格痛であった。
癌化学療法に対するさらなる増殖因子の標的は、細胞増殖を誘発する生体の化学物質の連鎖反応における重要な酵素であるRafの阻害である。この経路の異常な活性化は、黒色腫の3分の2を含む大部分の癌の発達における共通因子である。Rafキナーゼの作用を遮断することにより、これらの腫瘍の進行を後退させることが可能であり得る。このような阻害剤の1つには、ソラフェニブ(sorafenib)(別名、BAY43−9006およびNexavar)があり、その化学名は4−(4−(3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミドである。ソラフェニブは、細胞増殖を阻害するためのRafシグナル経路と、腫瘍の脈管形成を阻害するためのVEGFR/PDGFRシグナルカスケードの双方を標的とする。Rafキナーゼは、Ras経路の特異的酵素である。Ras遺伝子の突然変異は、膵臓癌の90%、結腸癌の50%、そして非小細胞肺癌の30%を含め、全ヒト癌の約20%に見られる。ソラフェニブは、肝臓癌および腎臓癌を含むいくつかの癌の処置のために検討中である。ソラフェニブの最も一般的な副作用は、疼痛、腫脹、手および/または足の赤み、また、発疹、疲労および下痢がある。
生物学的活性:本発明の組合せのシグナル伝達阻害剤は、上記のように細胞シグナル伝達タンパク質の特異的阻害剤であり、種々の癌に対して活性を有する。式Iの化合物とシグナル伝達阻害剤との組合せは、多くの癌の処置および診断に有益であり得る。シグナル伝達阻害剤(例えば、イレッサ(Iressa)、アバスチン(Avastin)、ヘルセプチン(herceptin)またはグリベック(gleevec)(商標))などの分子標的薬剤との組合せは、EGF受容体、VEGF受容体、ErbB2、BCRabl、c−kit、PDGFなどの関連分子標的を発現または活性化する癌に関して特定の適用を見出せる。このような腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなど、当業者に公知であり、本明細書に記載されている技術を用いて行うことができる。
問題点:腫瘍増殖に対してシグナル伝達阻害剤の阻害有効性を増大させ、また、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量のシグナル伝達阻害剤を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢:本発明に従って用いるための好ましいシグナル伝達阻害剤としては、本明細書で言及される、モノクローナル抗体トラスツズマブおよびセツキシマブなどのEGFRを標的とする抗体、ゲフィチニブおよびエルロチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、VEGF標的抗体ベバシズマブ、メシル酸イマチニブなどのPDGFR阻害剤、およびソラフェニブなどのRaf阻害剤が含まれる。
EGFRを標的とする好ましい抗体としては、モノクローナル抗体トラスツズマブおよびセツキシマブが含まれる。トラスツズマブは、Genentech Incから商品名ヘルセプチン(Herceptin)として市販されており、あるいは米国特許明細書第5821337号に記載されているようにして得ることができる。セツキシマブは、Bristol-Myers Squibb Corporationから商品名エルビツクス(Erbitux)として市販されており、あるいはPCT特許明細書WO96/40210に記載されているようにして得ることができる。
好ましいEGFRチロシンキナーゼ阻害剤としては、ゲフィチニブおよびエルロチニブが含まれる。ゲフィチニブは、AstraZeneca plcから商品名イレッサとして市販されており、あるいはPCT特許明細書WO96/33980に記載されているようにして得ることができる。エルロチニブは、Pfizer Incから商品名タルセバ(tarceva)として市販されており、あるいは、PCT特許明細書WO96/30347に記載されているようにして得ることができる。
VEGFを標的とする好ましい抗体としてベバシズマブがあり、これは例えば、Genentec Incから商品名アバスチンとして市販されており、あるいは例えば、PCT特許明細書WO94/10202に記載されているようにして得ることができる。
好ましいPDGFR阻害剤としてメシル酸イマチニブがあり、これはNovartis AGから商品名グリベック(商標)(別名Glivec(登録商標))として市販されており、あるいは欧州特許明細書第564409号に記載されているようにして得ることができる。
好ましいRaf阻害剤としてソラフェニブがあり、これは例えば、Bayer AGから市販されており、あるいは例えば、PCT特許明細書WO00/42012に記載されているようにして得ることができる。
特定の実施形態:一実施形態では、シグナル伝達阻害剤はゲフィチニブ(イレッサ)である。別の実施形態では、シグナル伝達阻害剤はトラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブおよびソラフェニブから選択される。
本発明のさらなる組合せとしては、次のシグナル伝達阻害剤:ダサチニブ(dasatinib)、ラパチニブ(lapatinib)、ニロチニブ(ニロチニブ)、バンデタニブ(vandetanib)、バンタリニブ(vatalinib)およびCHIR−258、特に、ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブおよびバンタリニブが含まれる。
BMSは、可能性のある、慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ芽球性白血病(ALL)および固形腫瘍の1日2回処置のための、経口多標的キナーゼ阻害剤ダサチニブ(SprycelまたはBMS−354825)を開発中である。この薬剤はまた、多発性骨髄腫(MM)および他の血液性悪性疾患のためにも治験中である。ダサチニブは、1日2回、50〜90mgで与えた臨床試験においてPh+CMLおよびAMLで、またイマチニブ耐性患者において、有効であることが分かっている。ダサチニブの臨床評価中に見られた副作用としては、血小板減少症および好中球減少症であった。
Src/Ablキナーゼ阻害剤ダサチニブの構造は次の通りである。
Figure 2009536186
ダサチニブはWO00/062778、WO2005/076990およびWO2005/077945に記載されている方法またはその類似法によって製造することができる。
Novartisは、可能性のある白血病の処置のための、BCR−ABL、c−キットおよびPDGFを標的とする経口使用可能なシグナル伝達阻害剤ニロチニブ(AMN−107)を開発中である。この化合物は慢性骨髄性白血病(CML)および再発性または不応性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、全身性肥満細胞症または慢性好酸球性白血病(好酸球増加症候群)、不応性消化管間質腫瘍(GIST)のために検討中である。有害事象としては、血液有害事象、頭痛、疲労、筋肉痙攣、悪心および嘔吐が含まれる。初期臨床試験では、400mg程度の用量を1日2回与えて、CML、AMLおよびALLの処置に有効であることが分かっている。
ニロチニブの構造を以下に示す。これはWO2004/005281およびWO2005/049032に記載されているように、またはその類似の方法で製造することができる。
Figure 2009536186
バタラニブ(PTK787/ZK222584)は、可能性のある結腸直腸癌の処置のため、Novartis AG(以前のCiba-Geigy)およびSchering AGによって開発中のVEGF受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤である。この化合物は、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌(非処置および前処置転移性結腸直腸癌患者)の一次および二次治療に関する試験に入っている。ScheringおよびNovartisはまた、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)(再発した、または一次治療に不応であった病期IIIb/IVの患者における二次単剤療法として)、腎細胞癌および膠芽腫、ならびに可能性としての前立腺癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌および小細胞肺癌などの他の固形腫瘍におけるバタラニブを検討中である。さらに、バタラニブはまた、滲出性加齢性黄斑変性(AMD)のためにも検討中である。バタラニブは、臨床試験で1日1,250mgまでの用量で評価されている、有害事象としては、悪心/嘔吐、疲労、運動失調、傾眠、高血圧症、頭痛、めまい、下痢、高血圧症ならびに失神および神経毒性が含まれる。
バタリニブ(Vatalinib)(構造を下記に示す)は、WO98/35958に記載されているように、またはその類似の方法で製造することができる。
Figure 2009536186
ErbB2およびEGFR二重チロシンキナーゼ阻害剤である二トシル酸ラパチニブ(TykerbまたはGW2016/572016)は、可能性のある固形腫瘍の処置のためにGlaxoSmithKline plc (GSK)により開発中である。
二トシル酸ラパチニブは、乳癌、肺癌、胃癌、膀胱癌および頭頸部癌を含む種々の腫瘍のために、特に、腫瘍がHER−2を発現する不応性の進行性または転移性乳癌を有する患者ならびにそれまでに単剤として、また、カペシタビンおよびパクリタキセルを含む他の療法との組合せの双方が上手く行かなかった患者の処置のために治験中である。また、この化合物は、腎細胞癌、進行性および転移性非小細胞肺癌(NSCLC)のための、また、乳癌に伴う脳転移の処置における治験に入っている。初期の臨床評価では、ラパチニブは1日2回と1日1回の計画にて500〜1500mgの範囲の用量(1日2回の場合は750〜1250mgの用量)で評価された。副作用としては、消化管ガス症状、発疹、頭痛および異常な肝機能検査値が含まれる。
以下に示す構造のもの(ラパチニブ)など、キナゾリン化合物および二トシル酸塩、無水物または水和物形態は、WO00/202552およびWO99/35146に記載されている方法またはその類似の方法を用いて合成することができる。
Figure 2009536186
バンデタニブ(ZD−6474;Zactima;以前のAZD−6474)は、AstraZenecaにより、甲状腺癌、肺癌、乳癌、頭頸部癌、脳腫瘍(すなわち、神経膠腫)および多発性骨髄腫を含む、固形および血液性の腫瘍の、可能性のある1日1回経口処置のために開発中である。それはEGFおよびRET受容体チロシンキナーゼに対しても活性を有する、一連の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤の1つである。臨床試験では、単剤療法および組合せとして100〜300mgの範囲でバンデタニブの用量が検討されている。一般的に有害作用は、発疹、疲労、悪心、下痢、無症候性のQTc延長であった。
Figure 2009536186
ZD−6474は、WO01/32651に記載されているように、またはその類似の方法で製造することができる。
CHIR−258(GFKI−258;構造を示す)は、種々の種類の癌の、可能性のある経口処置のための、強力なVEGF、FGFおよびPDGF受容体キナーゼ阻害剤である。Novartis(以前のChiron)は、急性骨髄性白血病(AML)患者および多発性骨髄腫(MM)における研究を開始している。
Figure 2009536186
CHIR−258は、WO02/22598およびWO2005/046590に記載されているように、またはその類似の方法で製造することができる。
本発明の組合せに用いるための別の好適なシグナル伝達阻害剤として、アキシチニブ(axitinib)(AG−013736)がある。Pfizerは、可能性のある癌処置のための抗脈管形成剤として、Pfizerが全面的に所有する子会社Agouron Pharmaceuticalsにより発見されたVEGF、PDGFおよびCSF−1受容体チロシンキナーゼの経口阻害剤アキシチニブ(AG−13736、AG−013736)を開発中である。アキシチニブは乳癌、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫および癌腫向けに研究されている。この化合物はまた、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(MDS)の処置のためにも治験されている。
Figure 2009536186
アキシチニブは、WO2004/087152、WO2006/048746およびWO2006/048745に記載されているように、またはその類似の方法で製造することができる。アキシチニブは5mg PO BIDで投与することができる。
薬量学:EGFR抗体に関しては、一般に体表面積平方メートルあたり(mg/m)、1〜500mgの用量で投与され、トラスツズマブは、1〜5mg/m体表面積、特に2〜4mg/mの用量で投与するのが有利であり、セツキシマブは、約200〜400mg/m、好ましくは、約250mg/mの用量で投与するのが有利である。
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に関しては、一般に、1日経口用量100〜500mg、例えば、ゲフィチニブは約250mg、エルロチニブは約150mgの用量で投与される。
VEGFモノクローナル抗体ベバシズマブに関しては、一般に、約1〜10mg/kg、例えば、約5mg/kgの用量で投与される。
PDGF阻害剤イマチニブに関しては、一般に、1日あたり約400〜800mg、好ましくは、1日あたり約400mgの用量で投与される。
Raf阻害剤ソルフェニブに関しては、1日800mgで投与される。
これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
PKA/B阻害剤およびPKB経路阻害剤
本発明の組合せに用いるための好ましい別種のシグナル伝達阻害剤としては、PKA/B阻害剤およびPKB経路阻害剤がある。
PKB経路阻害剤は、PKBの活性化、キナーゼ自体の活性を阻害し、あるいは下流の標的を調節し、経路の増殖および細胞生存作用を遮断するものである。経路の標的酵素としては、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(PI3K)、PKB自体、ラパマイシンの哺乳類標的(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼおよびフォークヘッド転座因子(forkhead translocation factor)が含まれる。PI 3−キナーゼ/PKB/PTEN経路のいくつかの構成要素は、腫瘍形成に関連している。増殖因子受容体チロシンキナーゼに加えて、インテグリン依存性細胞接着およびGタンパク質共役受容体は、直接的またはアダプター分子を介して間接的にPI 3−キナーゼを活性化する。PTENの機能的欠失(p53の後の、癌において最も多い突然変異型腫瘍抑制遺伝子)、PI 3−キナーゼの発癌性突然変異、PI 3−キナーゼの増幅およびPKBの過剰発現が、多くの悪性腫瘍で確立されている。また、インスリン様増殖因子受容体の刺激によるPI 3−キナーゼ/PKB/PTEN経路を介した持続的シグナル伝達は、上皮細胞増殖因子受容体阻害剤に対する耐性機構である。
ある範囲のヒト腫瘍における、p110αをコードしている遺伝子のランダムでない、体細胞の突然変異の発見は、突然変異したpI 3−キナーゼ酵素の発癌の役割を示唆している(Samuels, et al., Science, 304 554、April 2004)。p110αでの突然変異は、次のヒト腫瘍:結腸癌(32%)、肝細胞癌(36%)および類内膜癌および明細胞癌(20%)で検出されて以来である。p110αは、現時点で、乳癌において最も多い突然変異遺伝子である(25〜40%)。急性白血病では、フォークヘッドファミリー転座がしばしば起こる。
従って、PI 3−キナーゼ/PKB/PTEN経路は、このような薬剤は、癌細胞において増殖を阻害し、細胞障害性薬剤に対する耐性を克服することが予測されるので、癌の薬剤開発にとって魅力的な標的である。
PKB経路阻害剤の例としては、セマフォア(Semaphore)、SF1126などのPI3K阻害剤およびラパマイシン類似体などのMTOR阻害剤が含まれる。NovartisからのRAD001(エベロリムス(everolimus))は、化合物ラパマイシンの経口利用可能な誘導体である。この化合物は、免疫抑制剤および抗癌剤として適用される抗増殖剤として開発中の新規なマクロライドである。RAD001は、その活性を、細胞内受容体タンパク質FKBP−12に対する高い親和性によって細胞の増殖因子依存的増殖に影響を及ぼす。次いで、その結果生じるFKBP−12/RAD001複合体がmTORと結合して、下流のシグナリング伝達事象を阻害する。この化合物は、現在、広範囲の腫瘍適用症向けに臨床開発中である。また、Wyeth PharmaceuticalsからのCCI779(テムシロレムス(temsirolemus))およびAriad PharmaceuticalsからのAP23573もラパマイシン類似体である。Ariad PharmaceuticalsからのAP23841およびAP23573もまた、mTORを標的としている。Harvardからのカルモデュリン阻害剤は、フォークヘッド転座阻害剤である(Nature Reviews drug discovcery, Exploiting the P13K/AKT Pathway for Cancer Drug Discovery; Bryan T. Hennesy, Debra L. Smith, Prahlad T. Ram, Yiling Lu and Gordon B. Mills; December 2005, Volume 4; pages 988-1004)。
定義:本明細書において「PKB阻害剤」とは、活性を阻害または調節するタンパク質キナーゼB(PKB)および/またはタンパク質キナーゼA(PKA)を含む化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて定義する。
本明細書において「PKB経路阻害剤」とは、PKBの活性化、キナーゼ自体の活性を阻害する、または下流標的を調製する、その経路の増殖および細胞生存作用を遮断する化合物(ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKB自体、ラパマイシンの哺乳類標的(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼおよびフォークヘッド転座を含む本明細書に記載の経路における1以上の標的酵素を含む)を定義するために用いられる。
技術的背景:KRX−0401(ペリフォシン(Perifosine)/NSC639966)は、PKBリン酸化の阻害を含む、シグナル伝達経路を標的とする細胞膜で主として作用する合成置換複素環式アルキルホスホコリンである。KRX−0401は、可能性のある経口抗癌剤として第1相治験で評価された。用量制限毒性としては、悪心、嘔吐および疲労感が含まれた。用量を増せば、胃腸毒性が高まった。不応性肉腫の第II相治験が計画されている。
API−2/TCNは、腫瘍細胞におけるPKBシグナル経路の小分子阻害剤である。API−2/TCNの第I相および第II相治験が進行性腫瘍で行われた。API−2/TCNは、いくつかの副作用を示し、肝毒性、高トリグリセリド血症、血小板減少症および高血糖症が含まれた。
RX−0201は、固形腫瘍の処置のためのAKTタンパク質キナーゼ阻害剤として開発中である。2004年7月に、第I相治験が、進行性悪性疾患患者で開始された。このデータによれば、RX−0201はAktの過剰発現を阻害し、脳、***、子宮頸、肝臓、肺、卵巣、前立腺および胃の腫瘍の癌増殖を抑制し、良好な許容性を示した。2005年3月までに、米国オーファンドラッグ資格がいくつかの固形腫瘍に対してRX−0201に付与された。
エンザスタウリン(Enzastaurin)HCl(LY317615)は脈管形成を抑制し、抗脈管形成活性に基づく臨床開発が進められた。これは選択的PKCβ阻害剤として機器債されている。これはまた、直接的な抗腫瘍作用を有し、GSK3βリン酸化を抑制する。これは現在、神経膠腫および非ホジキンリンパ腫の処置に関して検討されている。
SR−13668は、in vitroおよびin vivoの双方で乳癌細胞においてリン−AKTを著しく阻害する経口的に活性な特異的AKT阻害剤であると主張されている。マウスにおけるin vivo評価では、抗腫瘍活性に必要であったな量の10倍以上の用量でも有害な作用はないことが示された。
PX−316は、D−3−デオキシ−ホスファチジル−ミオ−イノシトールであり、これは、PKBのPHドメインと結合し、それを細胞質中に捕捉し、このようにしてPKB活性を妨げる。抗腫瘍活性は初期の異種移植片で見られ、十分許容された。
2,3−ジフェニルキノキサリン核または5,6−ジフェニルピラジン−2−(1H)−オン核に基づくPKBのアロステリック選択的阻害剤が開発された(Merck)。
KRX−0401:欧州で行われた第I相1週間投与治験では、推奨される第II相用量は600/mg/週であった。引き続いて米国で行われた治験では、用量を分割し、4〜6時間間隔で投与された場合、かなり高用量が十分許容されたことが示されている。また、KRX−0401は、100時間の範囲内の極めて長い半減期を有することも示された。これは、相対的に非毒性の間欠的投与計画の可能性を極めて確かなものとしている。
API−2の第I相治験は、5日間の連続注入計画を用いて行われた。用量レベルは、10mg/m/日×5日〜40mg/m/日×5日の範囲であった。初期には、コースは、3〜4週間毎に繰り返された。蓄積毒性が出現してきた場合は、コース間の間隔を6週間毎に変更した。第II相治験の推奨計画は、6週間毎に5日間、20mg/m/日である。TCN−Pの第II相治験は、5日間の連続注入計画を用い、子宮頸の転移性または再発性扁平上皮細胞癌で行われた。開始時の用量は35mg/m×5日であり、6週間毎にコースが繰り返された。
さらなるPKB阻害剤としては、Keryx Biopharmaceuticalsからのペリフォシン(Perifosine)が含まれる。ペリフォシンは経口Akt阻害剤であり、ヒト腫瘍細胞系に顕著な細胞傷害作用を示し、現在、主要なヒトの癌の処置に関していくつかの第II相治験で試験されている。KRX−0401(ペリフォシン/NSC639966)は、構造:
Figure 2009536186
を有する。
これは、Aste Medicaの特許公報DE4222910またはXenoportの特許公報US2003171303に従って製造することができる。
API−2/TCN(トリシリビン(Triciribine))は構造:
Figure 2009536186
を有する。
これは、Bodorの特許公報WO9200988またはRibapharmの特許公報WO2003061385に従って製造することができる。
塩酸エンザスタウリン(Enzastaurin hydrochloride)は構造:
Figure 2009536186
を有する。
これは、Eli Lillyの特許公報WO2004006928に従って製造することができる。
SR13668は構造:
Figure 2009536186
を有する。
これは、SRI Internationalの特許公報US2004043965に従って製造することができる。
NL−71−101は構造:
Figure 2009536186
を有する。
これは、Biochemistry (2002), 41(32), 10304-10314またはPeptorの特許公報WO2001091754に従って製造することができる。
DeveloGen(以前のPeptor)は、タンパク質キナーゼB(PKB)阻害剤であるNL−71−101を癌の可能性のある処置のために検討中である[466579]、[539004]。2003年の初めに、この化合物は、リード最適化[495463]を受けた。2004年2月までに、この会社は、特定の開発権をそのタンパク質キナーゼBプログラム[523638]にアウトライセンスすることを求めた。
2002年に、NL−71−101は、PKA、PKGおよびPKC以上にPKBの活性を阻害する(IC50値はそれぞれ3.7、9、36および104μMである)ことを示すデータが公開された。NL−71−101は、OVCAR−3腫瘍細胞中でアポトーシスを誘発し、ここで、PKBは、50および100μMの濃度で増幅される[466579]。この化合物は構造:
Figure 2009536186
を有する。
特定の実施形態:意図される実施形態は、抗癌剤が上記の1以上の特定の化合物から選択されるPKB阻害剤である組合せを含む。
14. CDK阻害剤
本発明の組合せにおいて補助薬剤として用いるために好ましいCDK阻害剤は、本明細書で定義される式(I)の化合物である。しかしながら、本発明の組合せに用いるためのCDK阻害剤としてはまた、サイクリン依存性キナーゼ阻害または調節活性および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)阻害または調節活性を有する、以下により詳細に記載される補助的CDK阻害剤も含まれる。よって、本発明の組合せは、本明細書で定義される式(I)の2種類以上の化合物を含み得る(またはそれらから本質的になる)。
本明細書の式IのCDK化合物の他、本発明の組合せは、1以上の補助的CDK阻害剤または調節剤も含み得る。このような補助的CDK阻害剤または調節剤は、本明細書に記載の種々のCDK阻害剤から選択することができ、好ましい補助的CDK阻害剤は以下により詳細に論じられる。
定義:本明細書において「CDK阻害剤」とは、上記のようなサイクリン依存キナーゼ(CDK)の活性を阻害または調節する化合物を、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
本明細書において「補助的CDK阻害剤」とは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害または調節し、本明細書で定義される式(I)の構造に従わない化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:CDKは細胞周期、アポトーシス、転写、分化およびCNS機能の調節の役割を果たす。従って、CDK阻害剤は、癌などの、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾病の処置に適用が見出せる。特に、RB+ve腫瘍は特にCDK阻害剤に感受性であり得る。RB−ve腫瘍もまた、CDK阻害剤に感受性であり得る。
本発明の組合せで使用可能なCDK阻害剤の例としては、セリシクリブ(seliciclib)、アルボシジブ(alvocidib)、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032(別名SNS−032)、PHA533533、PD332991およびZK−304709が含まれる。
セリシクリブは、ロスコビチン(roscovitine)のR異性体であり、CYC202としても知られ、化学名は(2R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)−アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノールである。セリシクリブは、リンパ性白血病、非小細胞肺癌、糸球体腎炎、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫および乳癌を含む種々の癌の、可能性のある処置のため、臨床試験で評価されている。臨床試験で見られている毒性としては、悪心/嘔吐および無力症、皮膚発疹ならびに低カリウム血症が含まれる。他の毒性としては、可逆性腎臓機能障害およびトランスアミニチス(transaminitis)、ならびに嘔吐が含まれる。
アルボシジブは、フラボピリドール(flavopiridol)、HMR1275またはL86−8275としても知られ、化学名は5,7−ジヒドロキシ−8−(4−N−メチル−2−ヒドロキシピリジル)−6’−クロロフラボンであり、胃癌、前立腺癌、肺癌および結腸癌、また、慢性リンパ性白血病および多発性骨髄腫、リンパ腫を含む種々の癌の、可能性のある処置のために、臨床試験で検討中であり、見られる最も多い毒性は、下痢、腫瘍痛、貧血、呼吸困難および疲労であった。
7−ヒドロキシスタウロスポリンは、UCN−01としても知られ、慢性リンパ性白血病、膵臓腫瘍および腎臓腫瘍を含む種々の癌の、可能性のある処置のために、臨床試験で評価中であり、見られる有害事象としては、悪心、頭痛および高血糖が含まれた。
JNJ−7706621は、化学名N3−[4−(アミノスルホニル)−フェニル]−1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンであり、黒色腫および前立腺癌の、可能性のある処置のため、前臨床試験下にある。BMS−387032は、化学名N−[5−[[[5−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキサゾリル]−メチル]チオ]−2−チアゾリル]−4−ピペリジンカルボキサミドであり、転移固形腫瘍、例えば、腎臓細胞癌腫、非小細胞肺癌、頭頸部癌および平滑筋肉腫を有する患者に対する可能性のある抗癌剤として第I相治験で評価された。該薬剤は主要毒性として着目されている一時的な好中球減少に対して十分許容された。他の副作用としては、一時的な肝臓アミナーゼ上昇、胃腸毒性、悪心、嘔吐、下痢および食欲不振が含まれた。PHA533533は、化学名(αS)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−α−メチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)−ベンゼン−アセトアミドであり、前立腺、直腸および卵巣の腫瘍などの種々の癌の、可能性のある処置のために、前臨床試験下にある。PD332991は、化学名8−シクロヘキシル−2−[[4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル]アミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンであり、種々の癌の可能性ある処置のために、前臨床試験下にある。前臨床データは、それが選択性の高い、強力なCDK4阻害剤であることを示唆し、in vivoモデルにおいて顕著な腫瘍退縮を示す。
ZK−304709は、PCT特許明細書WO02/096888に記載されている経口二重特異性CDKおよびVEGFRキナーゼ阻害剤であり、可能性のある種々の癌の処置のために、前臨床試験下にある。AZD−5438は、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤であり、固形癌の処置のために、前臨床開発下にある。セリシクリブは、例えば、PCT特許明細書WO97/20842に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。アルボシジブは、例えば、米国特許明細書第4900727に記載されているように、またはこれに類似する方法で製造することができる。7−ヒドロキシスタウロスポリンは、例えば、米国特許明細書第4935415に記載されているように、またはこれに類似する方法で製造することができる。JNJ−7706621は、例えば、PCT特許明細書WO02/057240に記載されているように、またはこれに類似する方法で製造することができる。BMS−387032は、例えば、PCT特許明細書WO01/44242に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。PHA533533は、例えば、米国特許明細書第6455559に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。PD332991は、例えば、PCT特許明細書WO98/33798に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。ZK−304709は、例えば、PCT特許明細書WO02/096888に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
選択肢および特定の実施形態:意図される実施形態としては、抗癌剤が上記の特定の1以上の化合物から選択されるCDK阻害剤である、組合せが含まれる。よって、本発明の組合せに用いるための好ましいCDK阻害剤としては、セリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991およびZK−304709が含まれる。
薬量学:CDK阻害剤は例えば、0.5〜2500mg、より好ましくは10〜1000mg、あるいはまた0.001〜300mg/kg、より好ましくは0.01〜100mg/kgの1日用量、特にセリシクリブでは、10〜ら50mgの用量;アルボシジブでは、上記の米国特許明細書第4900727に従う用量;7−ヒドロキシスタウロスポリンでは、0.01〜20mg/kgの用量;JNJ−7706621では、0.001〜300mg/kgの用量;BMS−387032では、0.001〜100mg/kg、より好ましくは0.01〜50mg/kg、最も好ましくは0.01〜20mg/kgの用量;PHA533533では、10〜2500mgの用量;PD332991では、1〜100mg/kgの用量;またZK−304709では、0.5〜1000mg、好ましくは50〜200mgの用量で投与することができる。
これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
15. COX−2阻害剤
定義:本明細書において「COX−2阻害剤」とは、シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)酵素の活性を阻害または調節する化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて定義するために用いる。
生物活性:本明細書に記載されている1以上の薬理作用を介して作用するCOX−2阻害剤は、好適な抗癌剤として同定されている。
技術的背景:最近、癌化学療法の研究は、癌の病因におけるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の役割に集中している。疫学的研究では、例えば、関節炎などの症状を処置するためにアスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を定期的に服用している人々は、結腸直腸ポリープ、結腸直腸癌、および結腸直腸癌による死の割合が低いことが示された。NSAIDは、炎症過程で身体により産生され、また、前癌組織によっても産生されるシクロオキシゲナーゼ酵素を遮断する。例えば、結腸癌では、COX−2レベルの劇的な上昇が見られる。腫瘍増殖に対する重要な因子の1つが、その大きさの増大を維持するための血液供給である。多くの腫瘍は、身体に癌の周囲に新しい血管網を作らせる化学経路を利用することができる(脈管形成と呼ばれる過程)。COX−2はこの過程の役割を有すると考えられている。従って、COX−2の阻害が癌の処置のために有用であり得ると結論づけられ、COX−2阻害剤がこの目的のために開発された。例えば、セレコキシブは、化学名4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドであり、膀胱癌および食道癌、腎臓細胞癌、子宮頸癌、乳癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫および非小細胞肺癌を含む種々の癌の処置のために検討されている選択的COX−2阻害剤である。
薬量学:COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)は、例えば、日100〜200mgなどの用量で投与することができる。
これらの用量はまた、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
問題点:最も一般的な有害事象は頭痛、腹痛、消化不良、下痢、悪心、鼓腸および不眠症である。患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量のCOX−2阻害剤を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢および特定の実施形態:一実施形態では、COX−2阻害剤はセレコキシブである。セレコキシブは、例えば、Pfizer Incからセレブレックス(Celebrex)として市販されており、あるいは例えば、PCT特許明細書WO95/15316に記載されているように、またはこれと類似する方法によって製造することができる。
他の2つの市販のCOX−2阻害剤として、アルコキシア(Arcoxia)(Merckからのエトリコキシブ(etoricoxib))およびNovartisのCox−2阻害剤ルミラコキシブ(lumiracoxib)(Prexige)がある。
16. HDAC阻害剤
定義:本明細書において「HDAC阻害剤」とは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性を阻害または調節する化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて定義するために用いる。
生物活性:本明細書に記載されている1以上の薬理作用を介して作用するHDAC阻害剤は、好適な抗癌剤として同定されている。
技術的背景:ヒストンの可逆性アセチル化は、転写因子のDNAへの接近性を変化させることによって作用する遺伝子発現の主要なレギュレーターである。正常細胞において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)およびヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HDA)は一緒に、バランスを維持するためにヒストンのアセチル化のレベルを制御する。HADの阻害は、様々な細胞応答をもたらす高アセチル化ヒストンの蓄積をもたらす。HDAの阻害剤(HDAI)は、癌細胞に対するそれらの治療作用に関して研究されている。HDAIの研究分野における最近の進展により、腫瘍の処置に好適な有効化合物が提供されている。
HDAIは他の化学療法薬と組み合わせて用いる場合により有効であることを示す証拠が得られている。有効性および安全性の双方で相乗的および相加的双方の利点がある。化学療法薬とHDAIの組合せの治療効果は、組合せにおいてより低い安全用量範囲の各成分で得られる。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤の研究は、これらの酵素が細胞増殖および分化において重要な役割を果たすことを示す。阻害剤トリコスタチンA(TSA)はG1期およびG2期の双方での細胞周期の休止を引き起こし、種々の細胞系統の転換表現型を戻し、フレンド白血病細胞および他の細胞の分化を誘導する。TSA(およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸SAHA)は、マウスにおいて、細胞増殖を阻害し、最終分化を誘導し、腫瘍の形成を阻害することが報告されている(Finnin et al., Nature, 401:188-193, 1999)。
トリコスタチンAはまた、線維症、例えば、肝臓線維症および肝硬変の処置において有用であることも報告されている(1998年3月11日出願のGeerts et al., 欧州特許出願EP0827742)。
選択肢および特定の実施形態:本発明に従って使用するための好ましいHDAC阻害剤は、TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103およびPXD−101(前記参照)から選択される。
従って、本発明で使用するのに好適なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の合成阻害剤としては、Johnson and Johnson IncからのJNJ−16241199およびNovartisからのLAQ−824、MethylGeneからのMGCD−0103およびProlifixからのPXD−101が含まれる。
JNJ−16241199は下記構造:
Figure 2009536186
を有する。
MGCD−0103は構造:
Figure 2009536186
を有する。
LAQ−824は構造:
Figure 2009536186
を有する。
本発明で使用するのに好適なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の他の阻害剤としては、限定されるものではないが、ペプチドケラマイドシン(chlamydocin)およびまたAbbott LaboratoriesからのA−173が含まれる。
A−173は下記構造:
Figure 2009536186
を有するスクシンイミド大環状化合物である。
薬量学:一般的に、HDAC阻害剤に関して、治療上有効な量は0.005mg/kg〜100mg/kg体重、特に0.005mg/kg〜10mg/kg体重であることが意図される。1日に適当な間隔で2、3、4またはそれ以上の部分用量として必要な用量を投与するのが適切であり得る。該部分用量は単位投与形として、例えば、単位投与形あたり0.5〜500mg、特に10mg〜500mgの有効成分を含有するように処方することができる。
17. 選択的免疫応答調節剤
選択的免疫応答調節剤としては、レナリドミド(レナリドミド)およびサリドマイド(Thalidomide)が含まれる。
レナリドミド(レビリミド(Revlimid))は、Celgeneによって開発された、TNF−αの強力な阻害剤である経口サリドマイド誘導体、ならびに5q−骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、神経膠腫、皮膚T細胞リンパ腫および上皮卵巣癌の処置のために開発中であるインターロイキン−1βである。
レナリドミド(3−(4−アミノ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン)は下記構造:
Figure 2009536186
を有する。
サリドマイドは、その催奇形性作用、最も注目すべきは、1960年代に欧州およびカナダでサリドマイドを受容した女性から産まれた最大12,000人の子供における四肢の奇形欠損の報告の結果として広く認知されるようになった鎮静および抗催吐薬である。Celgeneは、経口TNF−α阻害剤としてサリドマイドを開発し、販売を開始した(Pharmionに販売)。数種の新生物におけるサリドマイドの可能性のある抗腫瘍活性に関して包括的な臨床証拠が蓄積されてきた(再発性/不応性の多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)および骨髄異形成症候群(MDS)において顕著な活性を有する)。また、急性骨髄性白血病、骨髄様化成を伴う骨髄繊維症、腎細胞癌、悪性神経膠腫、前立腺癌、カポジ肉腫および結腸直腸癌においても生物活性の証拠がある。
サリドマイド(1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン)は下記構造:
Figure 2009536186
を有する。
薬量学:サリドマイドは、許容性に応じて、100〜800mg/日の用量で連続的に投与することが有利であり得る。レナリドミドは、許容性に応じて、5〜40mgの用量を連続的に投与することが有利であり得る。
18. DNAメチラーゼ阻害剤
定義:本明細書において「DNAメチラーゼ阻害剤」または「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」とは、DNAのメチル化を直接的または間接的に摂動、中断、妨害、調節または阻害する化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
生物学的活性:本明細書に記載されている1以上の薬理作用を介して作用するDNAメチラーゼ阻害剤は、好適な抗癌剤として同定されている。
技術的背景:癌化学療法に対する1つの標的はDNA合成であり、それは腫瘍DNAの適当なメチル化に依存し得る。従って、直接的または間接的にDNAのメチル化を摂動、中断、妨害、調節または阻害する化合物が有用な抗癌剤であり得る。
DNAメチラーゼ阻害剤テモゾロマイド(temozolomide)は、多形性膠芽腫の処置、および進行性転移悪性黒色腫を有する患者の一次治療(進行性転移悪性黒色腫を有する患者の一次治療など)のために用いられ、また、初回再発の悪性神経膠腫の処置のための検討および使用が行われてきた。この化合物は、生理学的pHにおいて、グアニン残基のO位でDNAのメチル化に関与する有効化合物モノメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド(MTIC)へと急速化学変換を受ける(DNAメチルトランスフェラーゼの発現の抑制をもたらし、低メチル化を生じるように見える)。
問題点:テモゾロマイド療法に伴う最も一般的な副作用としては、悪心、嘔吐、頭痛、疲労、血小板減少症および便秘がある。DNAメチラーゼ阻害剤の阻害作用を増強すること、および患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、低用量のシグナル伝達阻害剤を使用するための手段を提供することが必要である。
選択肢および特定の実施形態:一実施形態では、DNAメチラーゼ阻害剤はテモゾロマイド(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソイミダゾ[5,1−d]−as−テトラジン−8−カルボキサミド)である。テモゾロマイドは、例えば、Schering Corporationから商品名Temodarとして市販されており、あるいは例えば、独国特許明細書第3231255に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
本発明の組合せに用いるためのさらなるDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤としては、下記に示される構造:
Figure 2009536186
を有するデシタビン(Decitabine)(別名、ダコゲン(Dacogen))がある。
SuperGen IncおよびMGI Pharma Incは、DNAのシトシン残基のメチル化を妨げて遺伝子プロモーターの低メチル化をもたらし、それにより、サイレンス化された遺伝子を再活性化するDNAメチルトランスフェラーゼの阻害剤デシタビン(ダコゲン)を開発した。デシタビン/ダコゲンはin vitroにおいて広範囲の悪性細胞に対して細胞傷害性がある。それは急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)および骨髄異形成症候群(MDS)に対して著しい活性を示す。デシタビン/ダコゲンは、骨髄異形成症候群(MDS)および二次的MDS(慢性骨髄単球性白血病、不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血および移行期芽球増加を伴う不応性貧血)の処置にために指示される。
デシタビン/ダコゲンは、デオキシシチジンの類似体(2’−デオキシ−5−アザシチジンのβ−D−アノマー)である。それは、ピリミジン環の5位が窒素で置換されていることで、デオキシシチジンと異なる。デシタビンは、リボース糖を含む関連の類似体Pharmion Corpの5−アザシチジン(Vidaza)とは対照的に、デオキシリボースを含む。従って、デシタビンデオキシヌクレオシドであり、RNAに組み込まれている5−アザシチジンとは対照的に、RNAではなくDNAに組み込まれている。デシタビンおよび5−アザシチジンは、ピリミジン環の5位が修飾されていることで、シトシンアラビノシドおよびゲムシタビンなどの他のピリミジン類似体と異なる。この明らかな特徴は、これら後者の薬剤には存在せず、DNAメチルトランスフェラーゼの阻害を担っている。また、ピリミジン環の5位に修飾を有するさらなる類似体シュードイソシチジンおよび5−フルオロ−2’−デオキシシチジンも、脱メチル化を阻害する。
デシタビン/ダコゲンは、治療の1サイクルとして、6週間毎に3日間、8時間毎に3時間にわたる15mg/m、または1サイクルとして、6週間毎に1週間もしくは2週間のいずれかで、1日あたり通常20mg/mを送達する1時間の注入を伴う日間投与計画で投与される。
デシタビン/ダコゲンは、毒性用量で、白血球減少症、血小板減少症および体重減少をもたらす。デシタビンの主要な毒性は骨髄抑制であり、用量および治療期間に比例する。これらの作用は高用量(>200mg/m/日)で顕著であり、骨髄抑制は他の細胞傷害性薬剤の並行投与により増大する。好中球減少性感染および骨髄抑制の他の合併症は致死的であることが分かっている。非血液性の副作用としは、悪心、嘔吐、口腔粘膜炎および脱毛症が含まれる。
デシタビン/ダコゲンおよび他のその類似体は、SuperGen Incの、US−03432549に概略が示されているように、さらにWO006/017278およびWO2006/037024に述べられているように製造することができる。
本発明の組合せに用いるためのさらなるDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤としては、皮下投与される低メチル化剤およびDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であるアザシチジン(別名、5−アザシチジン、5−アザシチジンまたはビンダザ(Vidaza))がある。これは不応性貧血(RA)または環状鉄芽球を伴うRA、芽球増加を伴うRA、移行期芽球増加を伴うRAおよび慢性骨髄単球性白血病を含む全ての骨髄異形成症候群(MDS)亜群、の処置のために指示される。
5−アザシチジン(ビンダザ)は、1日2回皮下投与、またはMDS処置のためにiv経路で投与することができる。
Figure 2009536186
それは、Ceskoslovenska Akademie VedのDE1922702、GB1227691およびFR2008048、ならびにPharmionのWO2004082618、WO2004082619およびWO2004082822に記載されているように、また、これらに類似する方法によって製造することができる。
薬量学:DNAメチル化剤(例えば、テモゾロマイド)は、0.5〜2.5mg/体表面積平方メートル(mg/m)、特に約1.3mg/mなどの用量で投与することができる。これらの用量は例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
19. プロテアソーム阻害剤
定義:本明細書において「プロテアソーム阻害剤」とは、細胞周期に関わるものなど、多くの短命の生物学的プロセスの半減期を直接的または間接的に摂動、中断、遮断、調節または阻害する化合物を指す。従って、この用語は、プロテアソームの作用を遮断する化合物(他の細胞タンパク質のターンオーバーに関連する大きなタンパク質複合体)を包含する。この用語はまた、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を包含する。
生物活性:本明細書に記載されている1以上の薬理作用を介して作用するプロテアソーム阻害剤は、好適な抗癌剤として同定されている。
技術的背景:もう1つの抗癌剤はプロテアソーム阻害剤である。プロテアソームは、細胞周期に関わるものなど、多くの短命の生物学的プロセスの半減期を制御する。従って、プロテアソーム異常は、細胞周期の調節異常および非制御の細胞増殖をもたらし得る。
細胞周期は正および負双方のシグナルにより制御される。正常細胞において、プロテアソームは、サイクリン依存キナーゼ阻害剤などの細胞周期を阻害するタンパク質を破壊する。プロテアソーム機能の阻害は、細胞周期の停止および細胞死を引き起こす。腫瘍細胞は、1つにはより迅速に***するために、また1つにはそれらの正常調節経路の多くが乱されるために、正常細胞よりもこれらの作用を受けやすい。プロテアソーム阻害に対する正常細胞と癌細胞の反応の差に関する機構は完全には理解されていない。概して、癌細胞はプロテアソーム阻害剤に感受性であり、その結果、これらの阻害剤はある種の癌のための有効な処置となり得る。
このようなプロテアソーム阻害剤の1つがボルテジミブ(bortezimib)であり、化学名は[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]−ボロン酸である。ボルテジミブは、プロテアソームの触媒部位内の重要なアミノ酸、すなわちトレオニンと特異的に相互作用する。ボルテジミブは多発性骨髄腫の処置、また、白血病およびリンパ腫、ならびに前立腺癌、膵臓癌および結腸直腸癌を含む多くの他の癌に使用される。
問題点:ボルテジミブで最も一般的な副作用としては、悪心、疲労、下痢、便秘、血小板総数の減少、発熱、嘔吐および食欲減退がある。ボルテジミブはまた、末梢神経障害を引き起こすことがある。従って、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、より低用量を使用するための手段を提供する必要がある。
選択肢および特定の実施形態:本発明に用いるための好ましいプロテアソーム阻害剤としてはボルテジミブが含まれる。ボルテジミブは、例えば、Millennium Pharmaceuticals Incから商品名ベルケード(Velcade)として市販されており、あるいは例えば、PCT特許明細書WO96/13266に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
薬量学:プロテアソーム阻害剤(ボルテジミブなど)は、100〜200mg/mの用量で投与することができる。これらの用量は、例えば、処置コースあたり1回、2回またはそれ以上で投与することができ、これを例えば、7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
また、抗生物質ブレオマイシンも、本発明の抗癌剤のような細胞毒性薬剤として使用することができる。
20. オーロラ阻害剤
本発明の一実施形態では、補助化合物はオーロラキナーゼ阻害剤または調節剤、特に、阻害剤である。
定義:本明細書において「オーロラキナーゼ阻害剤」(または単に「オーロラ阻害剤」)とは、本明細書に記載のオーロラキナーゼイソ型A、Bおよび/またはCのいずれかの活性を阻害または調節する化合物を、上記のような、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて指す。
技術的背景:オーロラキナーゼは細胞周期の調節、特に、細胞有糸***の過程に役割を果たす(これらは、細胞周期の有糸***期に重要な役割を持っている)。従って、オーロラキナーゼ阻害剤は、癌など、増殖、細胞***、分化の障害がある疾病の処置に適用が見出せる。特に、有糸***および/または紡錘体に欠陥がある腫瘍はCDK阻害剤に特に感受性であり得る。
オーロラキナーゼの阻害は、有糸***過程を実質的に乱し、まず、オーロラAの阻害からの有糸***作用を、後に、オーロラBの阻害による細胞質***の異常をきたすことが示されている。オーロラキナーゼ阻害剤を、有糸***または細胞周期チェックポイントを活性化するか、またはそれと干渉するか、または調節する薬剤と組み合わせると、細胞を細胞傷害作用に感受させることができ、有益な組合せ効果が見られると考えられている(Anand S, Penrhyn-Lowe S, Venkitaraman AR. Cancer Cell. 2003 Jan;3(1):51-62)。この点で、オーロラキナーゼ阻害剤とタキサン、エポチロンまたはビンカアルカロイドの組合せは有益であると予測される。特定のタキサン、エポチロンおよびビンカアルカロイドが本明細書に記載される。
オーロラキナーゼ阻害剤の例としては、AZD1152、MK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235が含まれ、特にMK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235.AZD1152が臨床評価下にある。AZD1152は、血漿中で急速に活性部分AZD1152−HQPAへ変換されるプロドラッグ(AZD−1152ヒドロキシ−QPA、構造は以下に示す)である。進行性固形悪性腫瘍を有する患者における初期の研究では、毎週2時間の注入により与えられたAZD1152は、p53に依存しない細胞の多核化および倍数化を誘発し、アポトーシスをもたらす。これらの初期の研究は、好中球減少症が用量制限毒性であることを示す(ASCO 2006)。
Figure 2009536186
AZD1152およびAZD1152−HQPAは、WO02/00649に記載されているように、またはこれに類似数方法によって合成することができる。
MK0457(VX−680)は、臨床評価中である。MK0457は、28日毎に連続5日の注入で、不応性悪性腫瘍を有する患者に与えられた。これらの初期の研究は、好中球減少症が用量制限毒性であることを示す(ASCO 2006)。
Figure 2009536186
MK0457は、Harrington et al, Nat Med. 2004 Mar; 10(3):262-7ならびにWO02/057259、WO02/059111、WO02/059112、WO02/062789、WO02/068415、WO02/066461、WO02/050065、WO02/050066、および特にWO2004/000833に記載されているように、また、これと類似の方法によって合成することができる。
PHA−739358(構造は以下に示す)は、現在、Nerviano Medical Sciences Srlによって、多施設第1相用量漸増臨床試験で評価中である。
Figure 2009536186
PHA−739358は、Fancelli et al, Journal of Medicinal Chemistry (2005), 48(8), 3080-3084およびWO02/12242に記載されているように、また、これに類似する方法によって合成することができる。
MLN−8054は、化学名4−[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−5H−ベンゾ[c]ピリミド[4,5−e]アゼピン−2−イルアミノ]−安息香酸(構造は以下に示す)であり、現在、リンパ腫を含む不応性固形腫瘍を有する患者において、多施設第1相用量漸増臨床試験で評価中である。
Figure 2009536186
MLN−8054は、WO2005/111039に記載されているように、また、これに類似する方法によって合成することができる。
SuperGenは、2006年4月にMontigenを獲得した後、膵臓癌を含む種々の癌の可能性のある処置のために、MP−235(HPK−62)(4−(6,7−ジメトキシ−9H−1,3,9−トリアザ−フルオレン−4−イル)−ピペラジン−1−カルボチオ酸[4−(ピリミジン−2−イルスルファモイル)−フェニル]−アミド、構造を示す)を含む、アポトーシスを誘発し、細胞***を阻害する一連の小分子オーロラ−2キナーゼ阻害剤を検討している。MP−235はWO2005/037825に記載されているように、また、これに類似する方法によって合成することができる。
Figure 2009536186
21. Hsp90阻害剤
定義:本明細書において「Hsp90阻害剤」とは、本明細書に記載されているように、熱ショックタンパク質90の活性を阻害または調節する化合物を指す。
技術的背景:全ての細胞は、熱、毒素、放射線、感染、炎症および酸化を含む細胞ストレスに応答して共通セットの熱ショックタンパク質(Hsp)を産生する(Macario & de Macario 2000)。ほとんどの熱ショックタンパク質は分子シャペロンとして働く。シャペロンは折りたたみの中間段階でタンパク質に結合し、これを安定化させ、タンパク質を機能的状態にまで折りたたませる。Hsp90は、通常の条件下で、最も豊富なサイトゾルHspである。Hsp90には、主要型Hsp90αと少数型Hsp90βの2つのヒトイソ型が存在する。Hsp90は折りたたみの後期段階でタンパク質に結合し、そのタンパク質基質のほとんどがシグナル伝達に関与している他のHspから区別される。Hsp90のN末端ポケットに結合したATPは加水分解されることが示されている。このATPアーゼ活性は、クライエントタンパク質におけるコンフォメーション変化を可能とするのに必要とされるHsp90のコンフォメーション変化をもたらす。
Hsp90の活性化は、さらに、他の種々のシャペロンタンパク質との相互作用を介して調節され、Hsp70、Hip、Hop、p23およびp50cdc37を含む他のシャペロンとの複合体として単離することができる。他の多くのコシャペロンタンパク質もまた、Hsp90と結合することが実証されている。Hsp90は、腫瘍細胞では主として「活性化された」多重シャペロン複合体内に見られるのに対し、正常細胞では「潜在」複合体内に見られる。
癌表現型に関連する遺伝的不安定性の増大は、非天然または突然変異タンパク質の産生の増大をもたらす。また、ユビキチン経路も、非天然またはミスフォールドタンパク質をプロテアソーム分解に向けることにより、これらのタンパク質から細胞を保護する働きをする。突然変異タンパク質はそれらの性質により非天然であり、従って、構造的不安定性とシャペロン系の高い必要性を示す可能性を持つ(Giannini et al., Mol Cell Biol. 2004; 24(13):5667-76)。
報告されているHsp90クライエントタンパク質の数は、現在、100を超える。そのクライエントタンパク質の多くが細胞シグナル伝達増殖および生存に関与していることから、Hsp90は腫瘍学の対象として大きな注目を受けてきた。細胞増殖および生存に関連づけられているHsp90タンパク質キナーゼクライエントタンパク質としては、次のもの:細胞Src(c−Src)、ErbB2(Her2/neu)、Polo様キナーゼ(Plk)、Akt(PKB)、c−Raf、B−RAF、Mek、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、c−met、Cdk1、Cdk2、Cdk4およびCdk6、Wee−1、突然変異p53、低酸素症誘発性1a因子(HIF−1a)が含まれる。
Hsp90阻害剤の例としては、ハービマイシン(herbimycin)、ゲルダナマイシン(geldanamycin)(GA)、17−AAG(例えば、Kos−953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024(経口プリン)ならびにIPI−504、特に、17−AAG(例えば、Kos−953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024ならびにIPI−504が含まれる。好ましい化合物は、17−AAG(例えば、Kos−953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)ならびにIPI−504などのゲルダナマイシン類似体である。
アンサマイシン抗生物質ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)および17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)は、ATPの結合を遮断し、成熟複合体への変換を妨げるATP結合部位阻害剤である(Grenert et. al., 1997. J Biol Chem., 272:23834-23850)。Hsp90が偏在発現するにもかかわらず、GAおよびその類似体は、正常細胞系統よりも腫瘍に由来するHsp90に高い親和性を有する(Kamal et. al., Nature 2003; 425: 407-410)。GAはまた、腫瘍細胞においてより強い細胞傷害活性を示し、異種移植マウスモデルの腫瘍内に高濃度で隔離されている(Brazidec J. Med. Chem. 2004, 47, 3865-3873)。さらに、Hsp90のATPアーゼ活性は癌細胞で上昇し、これらの細胞におけるストレスレベルの上昇の指標となる。また、Hsp90遺伝子増幅が癌の後期に見られることも報告されている(Jolly and Morimoto JNCI Vol. 92, No. 19, 1564-1572, 2000)。
17−AAG(NSC−330507、17−アリルアミノゲルダナマイシン)は、ゲルダナマイシンの注射可能な半合成誘導体であり、メリーランド大学で同定され、癌の可能性ある処置のために、米国国立癌研究所(the National Cancer Institute)(NCI)および英国癌研究所(the UK Institute of Cancer Research)との共同研究においてKosan Biosciencesにより開発中のHsp90のポリケチド阻害剤である。17−AAGの研究は黒色腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫(HL)において、また、慢性骨髄性白血病(CML)向けにイマチニブとの併用療法として開始されている。
17−AAGの構造を以下に示す。これはWO02/36574に記載されているように、また、これに類似する方法によって製造することができる。
Figure 2009536186
KOS−953は、患者の許容性を向上させ、より高い安定性を得る目的で、原処方に用いられているDMSO−卵レシチンビヒクルを置き換えた、Kosanにより開発された17−AAG製剤である。これはWO2005/110398に記載されているように、また、その中に記載されているものと類似の方法によって製造することができる。
Conformaは、癌の官能性のある静脈(iv)処置のための、17−AAG(qv)の有機溶媒不含の脂質に基づく製剤であるCNF−1010を開発中である。これはWO03/026571、WO02/069900およびWO2006/050333に記載されているように、また、その中に記載されているものと類似の方法によって製造することができる。17−AAGの経口製剤は、ConformaのUS2006/0067953に記載されている。
17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン塩酸塩、NSC−707545;構造を示す)は、17−AAG(qv)の類似体である。これは水溶性ゲルダナマイシン誘導体であり、進行性固形腫瘍に関して検討中である。Kosanは、米国国立癌研究所(the National Cancer Institute)(NCI)のライセンスのもと、固形腫瘍の可能性のある処置のために、KOS−1022(17−DMAG)の静脈(iv)製剤を開発している。Kosanはまた、同じ適応症に向けたKOS−1022(qv)の経口製剤も開発している。
Figure 2009536186
これは、WO03/013430に記載されているように、また、その中に記載されているものと類似の方法によって製造することができる。
Infinityは、可能性のある癌処置のための、静脈(iv)投与用の水性製剤に可溶な17−AAG(qv)のさらなる類似体である、Hsp90阻害剤IPI−504を開発している。Infinityは、多発性骨髄腫(MM)および消化管間質腫瘍(GIST)におけるIPI−504の研究を始めたが、この化合物は他の血液癌および固形腫瘍に対しても可能性を持っている。
18,21−ジデヒドロ−17−デメトキシ−18,21−ジデオキソ−18,21−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニルアミノ)−ゲルダナマイシン一塩酸塩と呼ばれる17−AAGの還元型IPI−504の構造を以下に示す。これはWO2005/063714に記載されているように、また、その中に記載されているものと類似の方法によって製造することができる。
Figure 2009536186
Conforma Therapeuticsは、可能性のある癌処置のための合成経口Hsp90阻害剤であるCNF−2024を開発中である。CNF−2024は経口プリン類似体である。
Figure 2009536186
これはJ Med Chem (2006) 49: 817-828に記載されているように製造することができる。
22. チェックポイント標的剤
細胞増殖周期は、細胞がまずその染色体を複製し、次に、細胞***または細胞質***を受ける複雑な過程である。その周期の様々な段階において、適切な事象が全て起こるまで、その周期のさらなる進行を防ぐ機構が存在している。これにより、必要とされる一連の様式で細胞周期を進行するので、DNAの完全性が保証される。このようなチェックポイントの1つは、有糸***中にあることが知られている。これは有糸***チェックポイントまたは紡錘体チェックポイントのように様々な呼び方がされる。細胞は、全ての染色体がそれらの中心体によって有糸***紡錘体に適切に付着するまで、このチェックポイントで保持される。このチェックポイントの欠陥は、癌細胞に典型的な異数性表現型または娘細胞における染色体の不均衡のいずれかをもたらす。数種の癌療法は、染色体の誤整列を生じるこのチェックポイントの攪乱または腫瘍細胞の優先的細胞死を招くチェックポイントの活性化をもたらす早期細胞質***によって作用することが知られている。例えば、タキサンおよびエポチロンは、正常な紡錘体収縮過程を妨げる紡錘体微小管の安定化を起こす薬剤種である。ビンカアルカロイドは、微小管における種タンパク質であるチューブリンに対する作用を介して紡錘体の形成を妨げる働きをする別種の薬剤である。白金化合物および5−FUなどのヌクレオシド類似体を含む、DNA損傷を引き起こす、またはDNA複製を乱す薬剤は、チェックポイントでの細胞の休止およびその後の細胞死をもたらす。よって、それらはそれらの治療作用に機能的チェックポイントを必要とする。
さらなるチェックポイント標的剤は、シスプラチンなどの白金化合物および5−FUなどのヌクレオシド類似体を含む、DNA損傷を引き起こす、またはDNA複製を乱すものである。この点で、オーロラキナーゼ阻害剤と白金化合物およびヌクレオシド類似体との組合せは、細胞を細胞傷害作用に感受させ得るので、有益であると予測される。特定の白金化合物およびヌクレオシド類似体が本明細書に記載されている。
細胞周期チェックポイントを活性化する、またはそれと干渉する、または調節するさらなるチェックポイント標的剤としては、polo様キナーゼ阻害剤(Plk)、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリーの阻害剤およびキネシン阻害剤が含まれる。Polo様キナーゼはM期における細胞周期進行の重要なレギュレーターである。Plkは有糸***紡錘体の組み立ておよびCDK/サイクリン複合体の活性化に関与している。Plk1は、Cdc25Cのリン酸化および活性化によってCDKのチロシン脱リン酸化を調節する。CDK1の活性化は次に紡錘体の形成とM期への流入をもたらす。Chk1およびChk2などのチェックポイントキナーゼが本明細書に記載されている。
よって、有糸***チェックポイントを乱す働きをする、従って、本発明の化合物と有益に組み合わせることができる他の薬剤としては、polo様キナーゼ阻害剤(例えば、BI−2536)、CHKキナーゼ阻害剤(例えば、イロフルベン(Irofulven)(CHK2阻害剤)、7−ヒドロキシスタウロスポリン(CHK1およびPKCの双方の阻害剤であるUCN−01)およびPD−321852)、BUBキナーゼファミリーの阻害剤およびキネシン阻害剤(有糸***キネシン紡錘体タンパク質(KSP)阻害剤としても知られる)、例えば、CK0106023、CK−0060339およびSB−743921(構造は以下に示す)が含まれる。
Figure 2009536186
CK0106023、CK−0060339およびSB−743921は、WO01/30768およびWO01/98278に記載されているように、また、これに類似する方法によって製造することができる。
CHKキナーゼ阻害剤としては、イロフルベン、UCN−01およびPD−321852が含まれる。イロフルベン(構造を示す)は、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、乳癌、肺癌および結腸癌、ならびに神経膠腫を含む、不応性および再発性の腫瘍の可能性のある処置のための、キノコOmphalotus illudensからの毒素イルジンSに由来する半合成化合物である。これはWO98/05669に記載されているように、またはこれに類似する方法によって合成することができる。
Figure 2009536186
チェックポイントキナーゼChk I阻害剤PD−321852(構造を示す)は、Pfizerにより、癌の可能性のある処置のために治験されている。
Figure 2009536186
これは、WO01/53274、WO01/53268、および特にWO03/091255に記載されているように、またはこれと類似する方法によって製造および使用することができる。
固形腫瘍の可能性のある処置のための、セリン−トレオニンキナーゼpolo様キナーゼ−1(PLK−1)の阻害剤であるBI−2536(構造は以下に示す)。これは、WO2004/076454、WO2006/018220、WO2006/018221およびWO2006/018222に記載されているように、またはこれに類似する方法によって製造することができる。
Figure 2009536186
さらに、細胞をG2/M期で休止させるチェックポイント標的剤も組み合わせることができる。よって、白金化合物およびCDK阻害剤は、本発明の組合せと組み合わせると有益であると予測され、よってさらなるチェックポイント標的剤である。特定の白金化合物およびCDK阻害剤が本明細書に記載されている。
よって、本発明に従って用いるためのチェックポイント標的剤の例としては、白金化合物、ヌクレオシド類似体、CDK阻害剤、タキサン、ビンカアルカロイド、polo様キナーゼ阻害剤、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリーの阻害剤、およびキネシン阻害剤、特に、白金化合物、ヌクレオシド類似体、タキサンおよびビンカアルカロイド、より詳しくは、タキサンおよびビンカアルカロイドなどの細胞***チェックポイントを標的とするチェックポイント標的剤が含まれる。本発明の特定の組合せとしては、シスプラチンまたはビンブラスチンまたはタキソールまたは5FU、特にタキソールが含まれる。
23. DNA修復阻害剤
DNA修復阻害剤としては、PARP阻害剤が含まれる。
定義:本発明において「PARP阻害剤」とは、ポリアデノシン二リン酸リボース(rbose)(ポリ(ADP−リボース))核酵素のファミリーの活性を阻害または調節する化合物を、上記のような、その塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態(好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含めて定義するために用いる。それらはまた、「DNA修復阻害剤」とも呼ばれる。
生物活性:PARP阻害剤は、化学増感剤としての役割を有し(例えば、抗癌療法後のDNA修復を妨げることによる)、抗癌治療に対する患者全体の応答を高める上で役割を持ち得る。また、PARP阻害剤は、腫瘍がDNA修復に内在的欠陥を有している患者において、抗癌剤として単独で作用することができる。
技術的背景:PARP酵素は、200を超えるADP−リボース単位からなり得る分枝型ポリマーであるポリ(ADP−リボース)を合成する。ポリ(ADP−リボース)のタンパク質アクセプターは、DNAの完全性の維持に直接的または間接的に関与する。それらにはヒストン、トポイソメラーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼおよびCa 2’−およびMg2−依存性エンドヌクレアーゼが含まれる。PARPタンパク質は多くの組織、最も明確には免疫系、心臓、脳および生殖系細胞において高レベルで発現される。正常な生理条件下では、最小限のPARP活性が存在する。しかしながら、DNA損傷により、PARPは500倍まで即座に活性化される。
PARPは損傷を受けたDNA断片により活性化され、ひと度活性化されると、ヒストンおよびPARP自体を含む種々の核タンパク質に対して最大100のADP−リボース単位の付着を触媒する。また、3−アミノベンズアミドなどのPARP阻害剤が、例えば過酸化水素または電磁放射線に応答してDNA修復全体に影響を及ぼすことも知られている。このDNA鎖破断の修復におけるPARPの中枢的役割は、特に、電磁放射線によって直接生じたか、またはメチル化剤、特に、テモゾラミド(temozolamide)、トポイソメラーゼI阻害剤、ならびにシスプラチンおよびブレオマイシンなどの化学療法薬によって誘発されたDNA傷害の酵素的修復後に間接的に生じた場合に、よく確立されている。ノックアウトマウス、トランスドミナント阻害モデル(DNA結合ドメインの過剰発現)、アンチセンスおよび低分子量阻害剤を用いた様々な研究で、DNA損傷の誘発後の修復および細胞生存におけるPARPの役割が実証されている。PARP酵素活性の阻害はDNA損傷処置に対する腫瘍細胞の高い感受性をもたらすはずである。
PARP阻害剤は、おそらくDNA鎖破断の再連結を防ぐそれらの能力によって、また、いくつかのDNA損傷シグナル伝達経路に影響を及ぼすことによって、放射線増感(低酸素性)腫瘍細胞に効果的であり、また、放射線療法後のDNAの潜在的に致死的および亜致死的な損傷から腫瘍細胞が回復することを防ぐのに有効であることが報告されている。PARP阻害剤は癌の処置に使用されている。当技術分野の現状に最近の包括的総説が、Li and Zhang in IDrugs 2001, 4(7): 804により発表されている。
選択肢および特定の実施形態:本発明に従って用いるための好ましいPARP阻害剤は、Bayerから市販されているベンダムスチン(Bendamustine)(5−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−1−メチル−2−ベンズイミダゾール酪酸またはα−[1−メチル−5−[ビス(β−クロロエチル)アミノ]−2−ベンズイミダゾリル]酪酸)、Inotek PharmaceuticalsからのINO−1001(パルデックス(Pardex))、BiPar SciencesからのBSI−201、PfizerからのAG−014699およびOno PharmaceuticalsからのONO−2231(N−[3−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−フタラジニル)フェニル]−4−モルホリンブタンアミドメタンスルホネート)から選択される。
薬量学:PARP阻害剤は、ベンダムスチンでは、21日サイクルで1日量20〜100mg、例えば、80〜120mg/m2、30〜60分間にわたるiv投与が有利である。鍵となるPARP阻害剤は、転移性黒色腫の第III相組合せ治験下にあるPfizer製品である。これは21日サイクルにて1〜5日静脈投与される?
24. G−タンパク質共役受容体(GPCR)の阻害剤
好ましいGPCRはアトラセンタン(atrasentan)(3−ピロリジンカルボン酸,4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−[2−(ジブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−(4−メトキシフェニル)−,[2R−(2α,3β,4α)]−)である。Abbott Laboratoriesからのアトラセンタンは、前立腺腫瘍の処置のための強力かつ選択的なエンドセリンA受容体アンタゴニストである。神経膠腫、***腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍、卵巣腫瘍、結腸直腸腫瘍および腎臓腫瘍などの他種の癌でも生物活性の証拠がある。
薬量学:アトラセンタンは、例えば毎日10mgの用量で経口投与するのが有利であり得る。
抗癌剤の組合せ
本発明の組合せは2種類以上の補助化合物を含み得る。このような実施形態では、補助化合物は抗癌剤であり得る。このような実施形態では、この2種類以上の抗癌剤は、カルボプラチン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ゲムシタビンおよびビノレルビンから独立に選択される。好ましくは、この2種類以上のさらなる抗癌剤はカルボプラチン、タキソールおよびビノレルビンまたはカルボプラチンおよびタキソールである。
式(I)の化合物とカルボプラチン、タキソールおよびビノレルビンの組合せ、または式(I)の化合物とカルボプラチンおよびタキソールの組合せは、非小細胞肺癌の処置に特に好適である。
あるいは、式(I)の化合物と白金薬剤、タキソール、タキソテール、ゲムシタビン、ペメトレキセド、マイトマイシン、イフォスファミド、ビノレルビン、エルロチニブおよびベバシズマブの組合せ、または式(I)の化合物とカルボプラチンおよびタキソールまたはシスプラチンおよびゲムシタビンの組合せは、非小細胞肺癌の処置に特に好適である。
一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、5−FU、ロイコボリン、オキサリプラチン(oxaliplatin)、CPT 11およびベバシズマブから独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤は5−FU、ロイコボリンおよびCPT 11または5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンである。
別の実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、5−FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、CPT 11、ベバシズマブ、セツキシマブおよびパンツムザマブ(pantumuzamab)から独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤は5−FU、ロイコボリンおよびCPT 11または5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチン、CPT 11およびセツキシマブである。
式(I)の化合物と5−FU、ロイコボリンおよびCPT 11の組合せ、または式(I)の化合物と5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンの組合せは、結腸癌の処置に特に好適である。さらに、式(I)の化合物と5−FU、ロイコボリンおよびCPT 11の組合せ、または式(I)の化合物と5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンの組合せ(それぞれベバシズマブを含む)は、結腸癌の処置に特に好適である。
一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、メトトレキサート、タキサン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ヘルセプチン、ラパチニブ、ベバシズマブ、ミトザントロン(mitozantrone)、エポチロン、5−FUおよびシクロホスファミドから独立に選択される。別の実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、メトトレキサート、タキサン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−FUおよびシクロホスファミドから独立に選択される。別の実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、タキサン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−FUおよびシクロホスファミドから独立に選択される。一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、5−FU、メトトレキサート、シクロホスファミドおよびドキソルビシンから独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤は5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミドまたは5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドまたはドキソルビシンおよびシクロホスファミドである。
式(I)の化合物と5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミドの組合せ、または式(I)の化合物と5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドの組合せ、または式(I)の化合物とドキソルビシンおよびシクロホスファミドの組合せは、乳癌の処置に特に好適である。
一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾンから独立に選択される。別の実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、リツキシマブおよびプレドニゾンから独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、またはシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(リツキシマブを含む場合と含まない場合)である。好ましくは、2種類以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、またはシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾンである。
式(I)の化合物とシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾンの組合せは、非ホジキンリンパ腫(特に高悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に特に好適である。式(I)の化合物とシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、リツキシマブおよびプレドニゾンの組合せもまた、非ホジキンリンパ腫(特に高悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に特に好適である。
式(I)の化合物とシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾンの組合せは、非ホジキンリンパ腫(特に低悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に特に好適である。式(I)の化合物とシクロホスファミド、ビンクリスチン、リツキシマブおよびプレドニゾンの組合せもまた、非ホジキンリンパ腫(特に低悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に特に好適である。
一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンから独立に選択される。別の実施形態では、2種類以上の抗癌剤は、ビンクリスチン、サリドマイド、ドキソルビシン、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンから独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤はビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンである。
式(I)の化合物とビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイドおよびデキサメタゾンの組合せは、多発性骨髄腫の処置に特に好適である。さらに、式(I)の化合物とビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンの組合せも、多発性骨髄腫の処置に特に好適である。
一実施形態では、2種類以上の抗癌剤は(a)フルダラビンおよびリツキサマブ(rituxamab);または(b)フルダラビン、アルメンツザマブ(almentuzamab)およびリツキサマブから独立に選択される。好ましくは、2種類以上の抗癌剤はフルダラビンおよびリツキサマブである。
式(I)の化合物とフルダラビンおよびリツキサマブの組合せは慢性リンパ性白血病の処置に特に好適である。
一実施形態では、本発明の組合せは、所望により、トポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、DNA結合剤、モノクローナル抗体、シグナル伝達阻害剤および微小管阻害剤(チューブリン標的化薬剤)、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサンおよびマイトマイシンCから選択される2種類以上の抗癌剤の組合せを除く。
一実施形態では、本発明の組合せは、抗アンドロゲン剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤およびCDK阻害剤から選択される少なくとも1つの抗癌剤を含む。
疾病特異的な抗癌剤の組合せ
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫の処置に特に好適なのは、式(I)の化合物と(a)モノクローナル抗体(例えば、インターロイキンを標的とするもの);(b)プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ);(c)プロテアソーム阻害剤およびコルチコステロイド(例えば、ベルケードおよびデキサメタゾン);ならびに(d)コルチコステロイド、アルキル化剤およびレノリダミド(lenolidamide)/サリドマイド(例えば、プレドニゾロン、メルファランおよびサリドマイド)の組合せである。
黒色腫
黒色腫の処置に特に好適なのは、式(I)の化合物と(a)DNAメチラーゼ阻害剤/低メチル化剤(例えば、テモゾラミド(temozolamide));(b)アルキル化剤(例えば、ダカルバジンまたはフォテムスチン);ならびに(c)DNAメチラーゼ阻害剤/低メチル化剤(例えば、テモゾラミド(temozolamide))およびDNA修復阻害剤/PARP阻害剤の組合せである。
乳癌
乳癌の処置に特に好適なのは、式(I)の化合物と(a)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブおよびベビシザマブ(bevicizamab));(b)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブおよびベビシザマブ)およびタキサン;ならびに(c)代謝拮抗物質(例えば、カペシタビン)およびシグナル伝達阻害剤(例えば、ラパチニブ(lapatinib))の組合せである。
前立腺癌
前立腺癌の処置に特に好適なのは、式(I)の化合物とホルモンおよびGタンパク質共役受容体阻害剤の組合せである。
非小細胞肺癌(NSCLC)
NSCLCの処置に特に好適なのは、式(I)の化合物と(a)白金化合物およびタキサン;ならびに(b)白金化合物および代謝拮抗物質の組合せである。
本発明の特定の組合せ
本発明の特定の組合せとしては、本明細書で定義される式(I)の化合物およびそのサブグループを次の2種類以上の抗癌剤とともに含む。
癌(および特に、急性骨髄性白血病)の処置には、アントラサイクリン、Ara C(別名、シタラビン)、6−メルカプトプリン、チオプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガマイシンおよび顆粒球コロニー刺激因子の2種類以上から独立に選択される2種類以上の抗癌剤。さらに、癌(特に、急性骨髄性白血病)の処置には、アントラサイクリン、Ara C(別名、シタラビン)、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガマイシンおよび顆粒球コロニー刺激因子の2種類以上から独立に選択される2種類以上の抗癌剤。あるいは、この2種類以上の抗癌剤は、アントラサイクリン、Ara C(別名、シタラビン)、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガマイシンおよび顆粒球コロニー刺激因子の2種類以上から独立に選択することができる。
癌(および特に、乳癌)の処置には、ベバシズマブ、タキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビン、特に、5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。好ましくは、癌(特に、乳癌)の処置には、この2種類以上の抗癌剤は、タキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビン、特に、5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドから独立に選択することができる。
典型的な投与計画としては、以下を含む:
・シクロホスファミド100mg/mを14日間毎日PO投与、ドキソルビシン30mg/mを1日目と8日目にIV投与、そして、フルオロウラシル500mg/mを1日目と8日目に投与、これを28日毎に、例えば、最大6サイクル繰り返す。
・シクロホスファミド600mg/mを1日目にIV投与、およびドキソルビシン60mg/mを1日目にIV投与、これを21日ごとに、例えば、最大4サイクル繰り返す。
癌(および特に、慢性リンパ性白血病(CLL))の処置には、アレムツズマブ(alemtuzumab)、クロラムブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレジニゾロン(predinisolone)、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブ、特に、フルダラビンおよびリツキサマブから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。好ましくは、癌(特に、慢性リンパ性白血病(CLL))の処置には、クロラムブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレジニゾロン、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブ、特に、フルダラビンおよびリツキサマブから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
癌(および特に、慢性骨髄性白血病(CML))の処置には、ヒドロキシ尿素、シタラビンおよびイマチニブから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。さらに、癌(特に、慢性骨髄性白血病(CML))の処置には、ヒドロキシ尿素、シタラビン、インターフェロン−αおよびイマチニブから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。あるいは、癌(特に、慢性骨髄性白血病(CML))の処置には、ヒドロキシ尿素、シタラビン、ダサチニブ、ニロチニブおよびイマチニブから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
癌(および特に、結腸癌)の処置には、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、パンツズマブ、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド(raltirexed)、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT 11から独立に選択される2種類以上の抗癌剤。あるいは、癌(特に、結腸癌)の処置には、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT 11、特に、5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT 11またはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
あるいは、癌(特に、結腸癌)の処置には、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT 11およびアバスチン、特に、5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT 11またはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
典型的な投与計画としては、以下を含む:
・フルオロウラシル400〜425mg/mを1〜5日目にIV投与、およびロイコボリン20mg/mを1〜5日目にIV投与、これを28日毎に、例えば、6サイクル繰り返す。
・イリノテカン100〜125mg/mを1、8、15および22日目に90分にわたってIV投与、フォリン酸20mg/mを1、8、15および22日目にIV投与、およびフルオロウラシル400〜500mg/mを1、8、15および22日目にIV投与、これを42日毎に疾病が進行するまで繰り返す。
・オキサリプラチン85mg/mを1日目に500mLのD5W中、120分にわたってIV投与、フォリン酸200mg/mを1日目と2日目に120分にわたってIV投与、フルオロウラシル400mg/mを1日目と2日目にフォリン酸の後にIVボーラス投与、その後、フルオロウラシル600mg/mを1日目と2日目に22時間にわたってCIV投与、これを12日毎に、最大12サイクル繰り返す。
癌(および特に、多発性骨髄腫)の処置には、ビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイド、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニゾン、シクロホスファミド(cyclophosphaimde)、エトポシド、パミドロン酸塩、ゾレドロン酸塩およびボルテゾミブ、特に、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。あるいは、癌(特に、多発性骨髄腫処置)、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニゾン、シクロホスファミド(cyclophosphaimde)、エトポシド、パミドロン酸塩、ゾレドロン酸塩およびボルテゾミブ、特に、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
癌(特に、非ホジキンリンパ腫)の処置には、シクロホスファミド、ドキソルビシン/ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン/Onco−TCS(V/O)、プレドニゾロン、メトトレキサート、シタラビン、ブレオマイシン、エトポシド、リツキシマブ/リツキサマブ、フルダラビン、シスプラチンおよびイフォスファミド、特に、高悪性度NHLには、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、または低悪性度NHLには、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
癌(および特に、非小細胞肺癌(NSCLC))の処置には、2種類以上の抗癌剤は、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビン、特に、タキソール、ビノレルビンおよびカルボプラチンまたはタキソールおよびカルボプラチンから独立に選択することができる。あるいは、癌(特に、非小細胞肺癌(NSCLC))の処置には、2種類以上の抗癌剤は、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビンから独立に選択することができる。
癌(および特に、非小細胞肺癌(NSCLC))の処置に特に好ましくは、2種類以上の抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビン、特に、タキソール、ビノレルビンおよびカルボプラチンまたはタキソールおよびカルボプラチンから独立に選択される。特に、この2種類以上の抗癌剤は、ゲムシタビンおよびシスプラチンから独立に選択される。
典型的な投与計画としては、以下を含む:
・ゲムシタビン1000mg/mを1、8および15日目にIV投与、およびシスプラチン75〜100mg/mを1日目にIV投与、これを28日毎に4〜6サイクル繰り返す。
・パクリタキセル135〜225mg/mを1日目に3時間にわかってIV投与、およびカルボプラチンAUC6.0を1日目にIV投与、これを21日毎に4〜6サイクル繰り返す。
・ドセタキセル75mg/mを1日目にIV投与、およびカルボプラチンAUC5または6を1日目にIV投与、これを21日毎に4〜6サイクル繰り返す。
・ドセタキセル75mg/mを1日目にIV投与、およびシスプラチン75mg/mを1日目にIV投与、これを21日毎に4〜6サイクル繰り返す。
癌(および特に、卵巣癌)の処置には、白金化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、タキソール、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、メルファランおよびミトキサントロンから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
癌(および特に、前立腺癌)の処置には、ミトキサントロン、プレドニゾン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロン、メゲストロール/メゲステレル、ジエチルスチルボエストロール(diethylstilboestrol)、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸塩およびタキソテールから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
あるいは、癌(および特に、前立腺癌)の処置には、ミトキサントロン、プレドニゾン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロン、メゲストロール/メゲステレル、ジエチルスチルボエストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸、プレドニゾロンおよびタキソテールから独立に選択される2種類以上の抗癌剤。
医薬製剤
本発明の組合せの有効化合物は単独で投与することもできるが、少なくとも1種類の有効化合物を1以上の薬学上許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤または当業者に周知の他の物質、および場合により他の治療薬または予防薬、例えば、化学療法に付随する副作用のいくつかを軽減または緩和する薬剤とともに含む医薬組成物(例えば、製剤)として提供するのが好ましい。このような薬剤の特定の例としては、制吐薬、ならびに化学療法関連の好中球減少症を防止する、またはその期間を短縮し、かつ、赤血球または白血球のレベルの低下から起こる合併症を防止する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、および顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)を含む。
よって、本発明はさらに、上記で定義された医薬組成物、および上記で定義される少なくとも1種類の有効化合物を、補助化合物および1以上の薬学上許容される担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤または本明細書に記載される他の物質と混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
本明細書において「薬学上許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは懸念点なく、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に用いるのに好適であり、妥当な利益/リスク比で釣り合いがとれた組合せ、化合物、物質、組成物および/または投与形を意味する。担体、賦形剤などの各々はまた、その製剤の他の成分と適合するという点で「許容される」ものでなければならない。
よって、さらなる態様において、本発明は、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物およびそのサブグループを含む(またはそれらから本質的になる)組合せを医薬組成物の形態で提供する。
医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与または経皮投与に好適ないずれの形態であってもよい。組成物が非経口投与を意図したものである場合、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に処方してもよいし、あるいは注射、注入または他の送達手段により標的臓器または組織に直接送達できるように処方してもよい。この送達は、ボーラス注射、短時間注入または長時間注入によるものであってもよく、受動送達によるものでも好適な注入ポンプの利用を介したものであってもよい。
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、バッファー、制菌剤、補助溶媒、界面活性剤、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(エマルション製剤を形成および安定化させるため)、リポソームを形成させるためのリポソーム成分、高分子ゲルを形成させるためのゲル化ポリマー、凍結乾燥保護剤、およびとりわけ有効成分を可溶型で安定化させ、製剤を意図したレシピエントの血液と等張にするためのそれらの組合せを含み得る水性および非水性の無菌注射溶液が挙げられる。非経口投与用の医薬製剤はまた、沈殿防止剤および増粘剤(R. G. Strickly, Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, Vol 21(2) 2004, p 201-230)を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液の形態をとってもよい。
イオン化可能な薬剤分子は、薬物のpKが製剤のpH値と十分かけ離れている場合、pH調整により所望の濃度まで可溶化することができる。静脈内投与および筋肉内投与のための許容範囲はpH2〜12であるが、皮下投与では許容範囲はpH2.7〜9.0である。溶液のpHは、薬剤の塩形態が塩酸か水酸化ナトリウムなどの強酸/強塩基により、あるいは限定されるものではないがグリシン、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、または炭酸塩から形成された緩衝溶液を含む緩衝剤の溶液により制御される。
注射製剤においては、水溶液と水溶性有機溶媒/界面活性剤(すなわち、補助溶媒)の組合せが使用される場合が多い。注射製剤に用いられる水溶性有機溶媒および界面活性剤としては、限定されるものではないが、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、グリセリン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP;ファルマソルブ(Pharmasolve))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ソルトール(Solutol) HS15、クレモホール(Cremophor)EL、クレモホールRH 60、およびポリソルベート80が挙げられる。このような製剤は、常にというわけではないが、通常は、注射前に希釈することができる。
プロピレングリコール、PEG 300、エタノール、クレモホールEL、クレモホールRH 60、およびポリソルベート80は、市販の注射製剤に用いられる完全に有機性の水混和性の溶媒および界面活性剤であり、互いに組み合わせて使用することができる。結果として得られる有機製剤は、通常、静脈内ボーラスまたは静脈内注入の前に少なくとも2倍希釈される。
あるいは、シクロデキストリンとの分子複合体の形成により高い水溶性を達成することもできる。
リポソームは、外側の脂質二重膜と内側の水性核からなり、全体の径が100μm未満の、閉じられた球形小胞である。疎水性のレベルに応じ、ある程度の疎水性薬剤をリポソーム内に封入または取り込ませた場合、このような薬剤はリポソームにより可溶化され得る。また、疎水性薬剤も、その薬剤を脂質二重膜の一体部分なるようにすると、リポソームにより可溶化することができ、この場合、疎水性薬剤を脂質二重層の脂質部分に溶解させる。典型的なリポソーム製剤は、約5〜20mg/mlのリン脂質、等張剤、pH5〜8バッファー、および場合によりコレステロールを含む水を含有する。
これらの製剤は単回用量または多回用量容器、例えば、密閉アンプル、バイアルおよび充填済みシリンジで提供することができ、使用直前に無菌液体担体、例えば注射水を添加するだけの凍結乾燥(リオフィライズ)状態で保存することもできる。
該医薬製剤は、式(I)の化合物またはその酸付加塩をリオフィライジングさせることにより製造することができる。リオフィライゼーションとは、組成物を凍結乾燥させる手法を指す。よって、凍結乾燥とリオフィライゼーションは本明細書では同義語として用いられる。典型的な方法としては、化合物を可溶化し、得られた製剤を澄明化し、濾過除菌し、リオフィライゼーションに適当な容器(例えば、バイアル)へ無菌的に移す。バイアルの場合、リオストッパー(lyo-stopper)で部分的に蓋をする。この製剤を冷却して凍結させ、標準的な条件下でリオフィライゼーションを行った後、湿気を遮断して安定な乾燥した凍結乾燥製剤とすることができる。この組成物は典型的には残留含水率が低く、例えば、凍結乾燥品の重量に対して5重量%未満、例えば1重量%未満である。
リオフィライゼーション製剤は、他の賦形剤、例えば、増粘剤、分散剤、バッファー、抗酸化剤、保存剤、および張力調整剤を含んでもよい。典型的なバッファーとしては、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびグリシンが挙げられる。抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、チオ尿素、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソール、およびエチレンジアミン四酢酸塩が挙げられる。保存剤としては、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。従前に挙げたバッファーならびにデキストロースおよび塩化ナトリウムは、必要であれば張力調整のためにも使用可能である。
増量剤は一般に、リオフィライゼーション技術において、プロセスを補助し、かつ/または凍結乾燥塊に嵩および/または機械的強度を持たせるために用いられる。増量剤は、当該化合物またはその塩とともに凍結乾燥させた際に物理的に安定な凍結乾燥塊、より適した凍結乾燥過程、および迅速かつ完全な再構成を提供する遊離型の水溶性の固体粒状希釈剤を意味する。増量剤は溶液を等張とするためにも使用可能である。
水溶性増量剤は、リオフィライゼーションに典型的に用いられるいずれの薬学上許容される不活性の固体物質であってもよい。このような増量剤としては、グルコース、マルトース、スクロース、トレハロースおよびラクトースなどの糖類;ソルビトールまたはマンニトールなどの多価アルコール;グリシンなどのアミノ酸;ポリビニルピロリジンなどのポリマー;およびデキストランなどの多糖類が挙げられる。
有効化合物の重量に対する増量剤の重量比は、典型的には約1〜約5の範囲内、例えば約1〜約3、例えば約1〜2の範囲内である。
あるいは、増量剤は、好適なバイアル内で濃縮および密閉され得る溶液の形態で提供することもできる。投与形の無菌化は、濾過によってもよいし、あるいは調剤工程の適当な段階でバイアルおよびそれらの内容物をオートクレーブにかけることによってもよい。供給される製剤は、例えば、好適な無菌点滴パックでの希釈など、さらなる希釈および調製が必要な場合もある。
即時調合注射溶液および懸濁液は無菌粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
本発明の1つの好ましい実施形態では、医薬組成物は、例えば注射または注入によるなどの静脈内投与に好適な形態である。
非経口注射用の本発明の医薬組成物はまた、薬学上許容される無菌の水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、ならびに使用直前に無菌注射溶液または分散液に再構成するための無菌粉末を含み得る。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用におより、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物作用の回避は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびフェノールソルビン酸などを含めることで確保することができる。また、糖類および塩化ナトリウムなどの等張剤を含めるのが望ましい場合もある。注射医薬形の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによりもたらすことができる。
化合物が水性媒体中で安定でないか、または水性媒体中での溶解度が低いならば、有機溶媒中の濃縮物として調剤することができる。この濃縮物は、後に、水性系でより低濃度に希釈することができ、投与中の短時間の間は十分安定であり得る。よって、別の態様において、そのまま投与することもできるし、あるいはより一般には投与前に好適な静脈賦形剤(生理食塩水、デキストロース;緩衝または非緩衝)で希釈することができる、もっぱら1種類以上の有機溶媒からなる非水性溶液を含む医薬組成物が提供される(Solubilizing excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, 21(2), 2004, p201-230)。溶媒および界面活性剤の例としては、プロピレングリコール、PEG300、PEG400、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、ファルマソルブ)、グリセリン、クレモホールEL、クレモホールRH 60およびポリソルベートが挙げられる。特定の非水性溶液は、70〜80%のプロピレングリコールと20〜30%のエタノールからなる。ある特定の非水性溶液は、70%のプロピレングリコールと30%のエタノールからなる。別のものとしては、80%のプロピレングリコールと20%のエタノールからなる。通常、これらの溶媒は組み合わせて使用され、通常、静脈内ボーラスまたは静脈内注入前に少なくとも2倍希釈される。ボーラス静脈製剤に関する典型量は、グリセリン、プロピレングリコール、PEG300、PEG400が約50%、エタノールが約20%である。静脈内注入製剤に関する典型量は、グリセリンが約15%、DMAが3%、プロピレングリコール、PEG300、PEG400およびエタノールが約10%である。
本発明の1つの好ましい実施形態では、医薬組成物は、例えば注射または注入による静脈内投与に好適な形態である。静脈内投与では、この溶液はそのまま投与することもできるし、あるいは投与前に点滴バッグ(0.9%生理食塩水または5%デキストロースなどの薬学上許容される賦形剤を含有する)へ注入することもできる。
もう1つの好ましい実施形態では、医薬組成物は、皮下投与に好適な形態である。
経口投与に好適な医薬投与形としては、錠剤(コーティングまたは非コーティング)、カプセル剤(硬質剤皮または軟質剤皮)、カプレット、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠、カシェ剤、または頬側パッチ剤などのパッチ剤が挙げられる。
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の方法に従って処方することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, USA参照)。
従って、錠剤組成物は、単位用量の有効化合物を、不活性希釈剤または担体、例えば、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール;および/または非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはセルロースもしくはその誘導体、例えば、微晶質セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン、例えば、コーンスターチとともに含有できる。また、錠剤は、標準的な成分、例えば、結合剤および造粒剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、膨潤性架橋ポリマー、例えば、架橋カルボキシメチルセルロース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、および発泡剤、例えば、クエン酸塩/炭酸水素塩混合物を含有してもよい。このような賦形剤は周知のものであり、ここでは詳細に説明する必要はない。
カプセル剤は、硬質ゼラチン種であっても軟質ゼラチン種であってもよく、固体、半固体または液体状の有効成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来の等価物から形成できる。
固形投与形(例えば、錠剤、カプセル剤など)はコーティングを施しても施さなくともよいが、典型的には例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ポルマー(polmer)、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを施す。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で有効成分が放出されるように設計することができる。従って、コーティングは、胃腸管内の特定のpH条件下で分解して、選択的に胃または回腸もしくは十二指腸において化合物を放出するように選択することができる。
薬剤は、コーティングの代わりまたはコーティングに加えて、例えば、胃腸管において制御された様式で化合物を放出するようにすることができる放出遅延剤などの放出制御剤を含む固相マトリックス中で提供することもできるし、あるいは薬剤は、酸度またはアルカリ度が変化する条件下で化合物を選択的に放出するようにすることができる放出制御剤、例えば、放出遅延剤を含む、例えば、ポリメタクリル酸ポリマーコーティングなどのポリマーコーティングで提供することもできる。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、その投与形が胃腸管を通過するにつれて実質的に連続的に浸食される浸食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。さらなる別法としては、有効化合物を、化合物の放出の浸透圧制御を与える送達系に処方することもできる。浸透圧放出および他の遅延放出もしくは徐放性製剤は当業者に周知の方法に従って製造することができる。
当該医薬組成物は、約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%の有効成分を含む。本発明の医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤またはカプセル剤の形態などの単位投与形であってもよい。
経口投与用医薬組成物は、有効成分と固体担体を合わせ、所望により得られた混合物を造粒し、適当な賦形剤を加えた後に、所望により、または必要であれば、その混合物を加工して錠剤、糖衣錠核またはカプセル剤とすることにより得ることができる。また、医薬組成物をプラスチック担体に配合し、有効成分を計量で分散または放出させることもできる。
本発明の組合せに用いるための化合物はまた、固体分散体として調剤することもできる。固体分散体は2種類以上の固体の均質な微細分散相である。固体分散の一種である固溶体(分子分散系)は、製薬技術用として周知であり((Chiou and Riegelman, J. Pharm. Sci., 60, 1281-1300 (1971)参照)、溶解速度を上昇させ、水溶性の低い薬剤のバイオアベイラビリティを高めるのに有用である。
薬剤の固体分散体は一般に、融解法または溶媒蒸発法により作製される。融解処理では、通常半固形であり、本来蝋状である物質(賦形剤)を加熱して薬剤物質を融解および溶解させた後、極低温まで冷却することで固化させる。この固体分散体を次に粉砕し、篩にかけ、賦形剤と混合し、ゼラチン硬カプセルに封入するか、打錠する。あるいは、界面活性・自己乳化担体を用いて、固体分散体を融解物としてのゼラチン硬カプセルに直接封入する。あるいは、ワックス界面活性または低融点ポリマーを用いて、固体分散体を融解物としてのゼラチン硬カプセルまたは軟カプセルに直接封入する。この融解物が室温まで冷却されると、カプセル内部に固体プラグが形成される。
固溶体はまた、薬剤および必要な賦形剤を水溶液か、または薬学上許容される有機溶媒に溶解させた後、噴霧乾燥などの薬学上許容される方法を用い、溶媒を除去することにより製造することもできる。得られた固体は必要な大きさの粒子とすることもできるし、所望により賦形剤と混合し、錠剤とするか、またはカプセルへ充填することもできる。
このような固体分散体または固溶体を作製するために特に好適なポリマー補助剤として、ポリビニルピロリドン(PVP)がある。
本発明は、実質的に非晶質固溶体を含む医薬組成物を提供し、この固溶体は、
(a)式(I)の化合物、例えば、実施例1の化合物と、
(b)ポリビニルピロリドン(ポビドン)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、架橋ポリアクリル酸(カルボマー)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロース(クロスカーメロース)、メチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メタクリレートコポリマー、およびメタクリル酸コポリマーおよびメタクリレートコポリマーのナトリウムおよびアンモニウム塩、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルギン酸プロピレングリコールからなる群から選択されるポリマーとを含み、
該化合物と該ポリマーとの比率は約1:1〜約1:6、例えば、1種類のクロロホルムまたはジクロロメタンと1種類のメタノールまたはエタノールの混合物からの噴霧乾燥物では1:3、好ましくは、ジクロロメタン/エタノール1:1である。
別の実施形態では、本医薬組成物は実質的に非晶質の固溶体を含み、この固溶体は、
(a)式(I)の化合物、例えば、実施例1の化合物と、
(b)ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、架橋ポリアクリル酸(カルボマー)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メタクリレートコポリマー、およびメタクリル酸コポリマーおよびメタクリレートコポリマーのナトリウムおよびアンモニウム塩、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルギン酸プロピレングリコールからなる群から選択されるポリマーとを含み、
該化合物と該ポリマーとの比率は約1:1〜約1:6、例えば、1種類のクロロホルムまたはジクロロメタンと1種類のメタノールまたはエタノールの混合物からの噴霧乾燥物では1:3、好ましくは、ジクロロメタン/エタノール1:1である。
本発明はまた、上記の固溶体を含む固体投与形も提供する。固体投与形としては、錠剤、カプセル剤およびチュアブル錠が挙げられる。既知の賦形剤この固溶体とブレンドし、所望の投与形とすることができる。例えば、カプセル剤は、(a)崩壊剤および滑沢剤と、または(b)崩壊剤、滑沢剤および界面活性剤とブレンドした固溶体を含むことができる。さらに、カプセル剤は、例えばラクトースまたは微晶質セルロースなどの増量剤も含み得る。錠剤は、少なくとも1種類の崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、および磨砕剤とブレンドした固溶体を含むことができる。チュアブル錠は、増量剤、滑沢剤、および所望により付加的な甘味剤(人工甘味剤など)および好適な香味剤とブレンドした固溶体を含むことができる。
これらの医薬製剤は単一のパッケージ、通常はブリスターパック中に全コースの処置薬を含んだ「患者パック」として患者に提供することができる。患者パックは、調剤師がバルク供給から患者分の薬剤を分配する従来の処方箋調剤に優る利点があり、患者は患者パックに入っている、患者の処方箋調剤では見ることができない添付文書をいつでも見ることができる。添付文書が入っていることで、医師の指示に対する患者のコンプライアンスが改善されることが示されている。
局所使用および鼻腔送達のための組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ剤、ゲル剤、液滴および挿入物(例えば、眼内挿入物)が挙げられる。このような組成物は、公知の方法に従って処方することができる。
非経口投与用の組成物は、一般には無菌水性もしくは油性溶液または微細懸濁液として提供されるか、あるいは、注射用無菌水で即座に構成できる微細無菌粉末の形態で提供してもよい。
直腸投与または膣内投与用の製剤の例としては、ペッサリーおよび坐薬が挙げられ、これらは、例えば、有効化合物を含有する付形成形材またはワックス材から形成することができる。
吸入投与用組成物は、吸入可能な粉末組成物または液状もしくは粉末スプレーの形態をとってもよく、粉末吸入装置またはエアゾールディスペンシング装置を用いた標準的な形態で投与することができる。このような装置は、周知である。吸入投与用の粉末製剤は、一般には有効化合物を、ラクトースなどの不活性固体粉末希釈剤とともに含む。
これらの組合せまたはそれらの構成成分(例えば、式(I)の化合物)は、一般的に単位投与形で提供され、それ自体、一般には所望のレベルの生物活性を得るのに十分な化合物を含有する。例えば、製剤は、1ng〜2gの有効成分、例えば、1ng〜2mgの有効成分を含有し得る。この範囲内での化合物の特定の部分範囲は、0.1mg〜2gの有効成分(より一般には10mg〜1g、例えば、50mg〜500mg)、または1mg〜20mg(例えば、1mg〜10mg、例えば、0.1mg〜2mgの有効成分)である。
経口組成物では、単位投与形は、1mg〜2g、より一般には10mg〜1g、例えば、50mg〜1g、例えば、100mg〜1gの有効化合物を含み得る。
これらの組合せは、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに十分な量で投与する。
具体的医薬製剤
さらなる組合せは、補助化合物と、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む製剤を含む(またはそれらから本質的になる)。
本発明の化合物は、良好な経口バイオアベイラビリティを有するが、この経口バイオアベイラビリティはそれが処方される様式によって高めることができる。
本発明は、補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せであって、この4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの医薬製剤が、迅速に崩壊して、それが容易に吸収される微粉形態で放出する、特に微粉固溶体形態で放出する、組合せを提供する。
よって、さらなる態様において、本発明は補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せであって、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが、
(a)ポリビニルピロリドン中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの分散物;
(b)固体希釈剤:および
(c)崩壊剤;および任意選択の、
(d)1以上のさらなる薬学上許容される賦形剤
の圧縮混合物を含む固体医薬組成物である、組合せを提供する。
この固体医薬組成物は一般に、錠剤またはカプセル剤の形態で提供される。
この固体医薬組成物は、錠剤の形態であり得る。
別の実施形態では、この医薬組成物は、コーティングまたは非コーティングのいずれかの錠剤である。あるいは、この固体医薬組成物はカプセル剤の形態である。
別の実施形態では、この固体医薬組成物は、ゼラチン硬カプセルまたはHPMCカプセルまたはゼラチン軟カプセル、特に、ゼラチン硬カプセルであり得るカプセル剤の形態である。
この固体分散体(a)は、ポリビニルピロリドン(PVP)中に分散した4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含む。この分散物は固溶体の形態をとってもよいし、あるいはPVPマトリックスに取り囲まれた微粉固体として分散している本発明の化合物からなってなってもよい。
PVPは、本発明の製剤で用いるための一定範囲の分子量および特定等級のPVPとして入手可能であり、44,000〜54,000の範囲の分子量を有する。
固相分散物は一般に、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドとPVPを約1:1〜約1:6、より一般には1:2〜1:4の重量比、例えば、1:3比で含む。
固体分散体は、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドとPVPを共通の溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノールおよびエタノールならびにその混合物(例えば、1:1比のジクロロメタン/エタノール)から選択される溶媒)中に溶解させた後、例えば、ロータリーエバポレーターで、または噴霧乾燥、特に、得られた溶液の噴霧乾燥によって溶媒を除去することで製造することができる。
噴霧乾燥した固体分散体はそれ自体、一般に極めて低密度であり、固体希釈剤は、容易に稠密となるので、組成物の密度を高める助けをする。固体希釈剤は一般に、例えばラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールなどの糖および糖アルコール;ならびに炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびセルロースまたはその誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、およびコーンスターチなどのデンプンといった非糖由来希釈剤から選択される薬理学的に不活性な固体物質である。その他のセルロースまたはセルロース誘導体としては、下記に述べられる微晶質セルロースがある。
特定の希釈剤はラクトースおよびリン酸カルシウムである。特に、希釈剤は二塩基性リン酸カルシウムである。
崩壊剤は、水と接触した際に急速に膨潤して、医薬組成物を急速に崩壊させ、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを放出する物質である。
特定の崩壊剤は、当技術分野で「超崩壊剤」として知られているものであり、架橋カルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウムとしても知られる)、架橋ポリビニルピロリドン(架橋PVPまたはクロスポビドン)およびグリコール酸ナトリウムデンプンが含まれる。好ましい超崩壊剤の例としては、クロスカルメロースおよびグリコール酸ナトリウムデンプンがある。
本発明の医薬組成物に含めることができる他の薬学上許容される賦形剤(d)の例としては、希釈剤および補助崩壊剤の双方として働き得る微晶質セルロースが含まれる。また、組成物の流動性を増し、それにより組成物を圧縮する容易性を高めるために、ケイ化微晶質セルロース(約1〜3%の二酸化ケイ素、一般には約2%の二酸化ケイ素を含有する)を使用することもできる。
圧縮混合物に含めることができる別の薬学上許容される賦形剤(d)としては、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩がある。この炭酸水素塩は胃内の酸と反応して二酸化炭素を放出し、それにより医薬組成物のより急速な崩壊を助ける。
本発明の医薬組成物に含めることができる他の薬学上許容される賦形剤(d)としては、圧縮または封入工程を補助するために加えることができる、ステアリン酸マグネシウム(例えば、0.1〜2%)またはステアリルフマル酸ナトリウム(例えば、0.1〜5%)などの滑沢剤が含まれる。
成分(a)〜(d)のある特定の混合物は、
成分(a)が4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド/PVPの1:3比の噴霧乾燥固体分散体であり、
成分(b)がリン酸カルシウムであり、
成分(c)がクロスカルメロースであり、かつ、
成分(d)がケイ化微晶質セルロースである.
混合物である。
特に、成分(a)〜(d)の混合物は、
成分(a)が4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド/PVPの1:3比の噴霧乾燥固体分散体であり、
成分(b)が二塩基性リン酸カルシウムであり、
成分(c)がクロスカルメロースナトリウムであり、かつ、
成分(d)がケイ化微晶質セルロースである、
混合物である。
成分(a)〜(c)と所望により(d)の混合物は、最終的な投与形を得るための処理の前に圧縮される。よって、例えば、それを圧縮して圧縮固体塊(例えば、リボンまたはペレットの形態)を得た後、所望の粒径の顆粒を形成するように粉砕することができる。次に、これらの下流をカプセルに封入するか、成形および圧縮を行って錠剤とすることができる。
成分(a)〜(c)と所望により(d)の混合物は、当業者に周知の種々の方法によって圧縮することができる。例えば、それらはローラーコンパクターを用いて圧縮してリボンを形成し、次にこれを砕いて、粉砕し、顆粒とすることができる。あるいは、打錠機を用いて圧縮してスラグを得、これを砕いて、粉砕し、顆粒とすることもできる。
一実施形態では、本発明は、補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが本明細書で定義される成分(a)〜(c)と所望により(d)の粉砕圧縮混合物を含むカプセル剤形態の医薬組成物である、組合せを提供する。
別の実施形態では、本発明は、補助化合物と4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを含み(またはそれらから本質的になり)、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが成分(a)〜(c)と所望により(d)の圧縮混合物を含む錠剤形態の医薬組成物である、組合せを提供する。
本発明の一態様は、
(a)ポリビニルピロリドン中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの固体分散体、
(b)固体希釈剤、および
(c)崩壊剤、および所望により
(d)1以上のさらなる薬学上許容される賦形剤
の圧縮混合物を含む固体医薬組成物である。
医薬組成物中の固体分散体(a)は、一般に、組成物の総重量の10〜70重量%を占める。例えば、固体分散体は組成物の20〜60重量%または25〜55%または30〜50%または25〜40重量%を占め得る。
組成物中に含まれる賦形剤(b)の量は、5〜95%、特に10〜70重量%、特に20〜60%または30〜40%、例えば33〜36%の範囲であり得る。化合物/PVPと賦形剤(b)の比率は一般に5:1〜1:5の範囲、特に、2:1または1:1の重量比であり得る。
組成物中に含まれる賦形剤(c)の量は、1〜30重量%、特に5〜25%、例えば10〜25%、例えば12〜20%の範囲であり得る。化合物/PVPと賦形剤(c)の比率は一般に5:1〜1:5の範囲、特に、3:1または2:1の重量比であり得る。
存在する場合、組成物中に含まれる賦形剤(d)の量は、0.1〜20%、特に1〜20重量%、特に5〜15%の範囲、例えば11または12%であり得る。化合物/PVPと(d)の比率は一般に5:1〜1:5の範囲、特に、3:1または2:1の重量比であり得る。
よって、さらなる態様において、本発明は、
(a)10〜70重量%の4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド/ポリビニルピロリドンの固体分散体、
(b)10〜70重量%の固体希釈剤、および
(c)1〜20重量%の崩壊剤、および所望により
(d)1〜30重量%の1以上のさらなる薬学上許容される賦形剤
の圧縮混合物を含む固体医薬組成物を提供する。
各組成物に関して、個々の成分(a)、(b)、(c)および(d)の重量%の和は100%となると考えられる。
一実施形態では、希釈剤(b)(例えば、リン酸二カルシウム)は医薬組成物の総重量の30〜40重量%を占める。
一実施形態では、医薬組成物は、特に崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである場合には、10〜30%の崩壊剤(c)を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、組成物に配合されている10〜20%、例えば12%のクロスカルメロースナトリウムおよびさらに配合組成物に混合されている5〜20重量%、例えば10重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
一実施形態では、医薬組成物は10〜20%の1以上のさらなる薬学上許容される賦形剤を含む。一実施形態では、このさらなる薬学上許容される賦形剤は、10〜20%のケイ化微晶質セルロースである。
一実施形態では、(a)と賦形剤(b)の比率はおよそ1:1である。別の実施形態では、賦形剤(c)と(d)(存在する場合)の比率はおよそ1:1である。1つの特定の実施形態では、組成物中の全ての成分の比率((a):(b):(c):(d))はおよそ3〜4:3〜4:1〜2:1〜2、例えば、3.9:3.6:1.2:1.2である。
処置方法
本発明の組合せは、サイクリン依存性キナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する一連の病態または症状の予防または処置に有用であると考えられる。このような病態および症状の例は上記で示されている。
この組合せは、一般に、このような投与を必要とする対象、例えば、ヒトまたは動物患者、好ましくはヒトに投与する。
この組合せは、一般に、治療的または予防的に有用であって、かつ、一般的に無毒な量で投与される。しかしながら、一定の状況(例えば、生命をおびやかす疾病の場合)では、本発明の組合せを投与するメリットは、有毒作用または副作用の不利益に優るかもしれず、このような場合では、ある程度の毒性が伴う量で組合せを投与することが望ましいと考えられる。
本発明の組合せの構成化合物は、有益な治療効果を維持するために長期にわたって投与してもよいし、あるいは短期間だけ投与してもよい。あるいは、それらは連続的に投与してもよいし、または持続的間欠的投与を提供する様式(例えば、パルス様式)で投与してもよい。
式(I)の化合物の一般的な一日量は、体重1kg当たり100pg〜100mg、より一般的には体重1kg当たり10ng〜15mg(例えば、10ng〜10mg、より一般的には体重1kg当たり1mg〜体重1kg当たり20mg、例えば、体重1kg当たり1mg〜10mg)であり得るが、必要に応じてより高い用量またはより低い用量を投与してもよい。式(I)の化合物は毎日投与することもできるし、あるいは例えば2日、または3日、または4日、または5日、または6日、または7日、または10日、または14日、または21日、または28日毎に反復投与することもできる。
本発明の組合せに含まれる化合物(または組合せそれ自体)は、一定範囲の用量、例えば、1〜1500mg、2〜800mg、または5〜500mg、例えば、2〜200mgまたは10〜1000mgで経口投与することができ、特定の用量例としては、10、20、50および80mgである。当該化合物は1日1回、またはそれを超える回数で投与することができる。当該化合物は連続投与(すなわち、治療計画中、絶え間なく毎日投与)可能である。あるいは、この化合物は間欠投与する(すなわち、治療計画中、1週間といったある期間連続投与し、その後、1週間といった期間中断し、その後また、1週間といったさらなる期間連続投与する)こともできる。間欠投与を含む治療計画の例としては、投与が、1週間投与して1週間休む、または2週間投与して1週間休む、または3週間投与して1週間休む、または2週間投与して2週間休む、または4週間投与して2週間休む、または1週間投与して3週間休むサイクルを、1回以上、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回またはそれを超える回数という計画が挙げられる。
60kgの人に対する静脈投与用の用量の一例としては、本明細書で定義される式(I)の化合物を開始用量4.5〜10.8mg/60kg/日(75〜180μg/kg/日に相当)、その後、有効用量44〜97mg/60kg/日(0.7〜1.6mg/kg/日に相当)または有効用量72〜274mg/60kg/日(1.2〜4.6mg/kg/日に相当)で投与することを含むが、必要に応じてより高い用量またはより低い用量を投与してもよい。このmg/kg用量は所与の体重に比例した尺度となる。
ある特定の投与計画では、患者に毎日1時間、最大10日間、特に、1週間に最大5日間、式(I)の化合物の注入を施し、この処置を2〜4週間といった所望の期間、特に3週間毎に繰り返す。
より詳しくは、患者に、5日間毎日1時間、式(I)の化合物の注入を施し、この処置を3週間毎に繰り返す。
別の特定の投与計画では、患者に30〜1時間かけて注入を施した後、可変の時間、例えば、1〜5時間、例えば、3時間注入を維持する。
さらなる特定の投与計画では、患者に12時間〜5日間の期間持続的注入を施し、特に、24時間〜72時間持続的注入を施す。
しかしながら、結局のところ、投与される化合物の量および用いる組成物のタイプは、処置する疾病の性質または生理学的条件と見合うものであり、医師の裁量による。
従って、当業者ならば、共通の一般知識で使用のための投与計画および併用療法が分かるであろう。好ましい投与方法および投与順序、ならびに組合せの各成分の個々の投与量および計画が式(I)の特定の化合物および投与される2種類以上のさらなる抗癌剤、それらの投与経路、処置される特定の腫瘍および処置される特定の宿主によって異なる。当業者ならば、従来の方法を用い、本明細書に示されている情報に照らし、投与の最適な方法および順序、ならびに投与量および計画を容易に決定することができる。
本明細書で定義される組合せは、単一の治療薬として投与してもよいし、または特定の病態、例えば、上記で定義した癌などの新生物性疾患を処置するための1種以上の他の化合物との併用療法で(すなわち、さらに組み合わせて)投与してもよい。
本発明の組合せとともに(同時にまたは異なる時点で)投与することができる他の治療薬または処置の例としては、限定されるものではないが、次のものが含まれる。
・トポイソメラーゼI阻害剤
・代謝拮抗物質
・チューブリン標的化薬剤
・DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・アルキル化剤
・モノクローナル抗体
・抗ホルモン剤
・シグナル伝達阻害剤
・プロテアソーム阻害剤
・DNAメチルトランスフェラーゼ
・サイトカインおよびレチノイド
・クロマチン標的療法
・放射線療法
・他の治療薬または予防薬;例えば、化学療法に伴ういくつかの副作用を軽減または緩和する薬剤。このような薬剤の特定の例としては、催吐薬および化学療法関連の好中球減少症を防止する、またはその期間を短縮し、また、赤血球または白血球のレベルの低下から起こる合併症を防止する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が含まれる。また、例えばゾレドロン酸、パミドロン酸およびイバンドロン酸などのビスホスホネート剤など、骨吸収を阻害する薬剤、炎症性応答を抑制する薬剤(デキサメタゾン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンなど)および天然ホルモン、ソマトスタチンを模倣した薬理特性を有する持続作用型のオクタペプチドである酢酸オクトレオチドを含む、脳ホルモンのソマトスタチンの合成形態など、先端巨大症患者における成長ホルモンおよびIGF−Iの血中レベルを低下させるために用いる薬剤が含まれる。さらに、葉酸のレベルを低下させる薬剤に対する解毒薬として用いられるロイコボリンなどの薬剤、またはフォリン酸それ自体、ならびに浮腫および血栓塞栓(thromoembolic)エピソードを含む副作用の処置に使用することができる酢酸メゲストロールなどの薬剤が含まれる。
本発明の組合せに存在する各化合物は、個々に異なる投与計画および異なる経路で与えることができる。
本組合せを1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の他の治療薬(好ましくは、1つまたは2つ、より好ましくは、1つ)との併用療法で投与する場合、これらの化合物は同時投与しても逐次投与してもよい。逐次投与する場合、それらは短時間間隔で(例えば、5〜10分)投与してもよいし、長時間間隔で(例えば、1、2、3、4またはそれ以上おいて、または必要であればいっそう長時間おいて)投与してもよく、厳密な投与計画はその治療薬の特性に見合ったものである。
本発明の組合せはまた、放射線療法、光線力学療法、遺伝子療法のような非化学療法薬処置、外科術および食事制限と組み合わせて投与してもよい。
補助化合物との併用療法で用いるため、式(I)の化合物と1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の補助化合物を例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の補助化合物を含有する投与形に一緒に処方することができる。別法として、本発明の組合せの構成成分を個別に処方し、場合によってそれらの使用説明書を添えて、キットの形態で一緒に提供してもよい。
診断方法
本明細書で定義される式(I)の化合物を含む組合せの投与前に、患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、オーロラおよび/またはサイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する組合せでの処置に感受性があるものかどうかを判定するために患者をスクリーニングすることができる。
例えば、患者から採取した生体サンプルを分析し、その患者が罹患している、または罹患する可能性のある癌などの症状または疾病が、CDKの過剰な活性化または正常なCDK活性への経路の増感をもたらす遺伝的異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうかを判定することができる。CDK2シグナルの活性化または増感をもたらすこのような異常の例としては、サイクリンEのアップレギュレーション(Harwell RM, Mull BB, Porter DC, Keyomarsi K.; J Biol Chem. 2004 Mar 26;279(13):12695-705)、またはp21もしくはp27の欠損、またはCDC4変異体の存在(Rajagopalan H, Jallepalli PV, Rago C, Velculescu VE, Kinzler KW, Vogelstein B, Lengauer C.; Nature. 2004 Mar 4;428(6978):77-81)が挙げられる。CDC4の突然変異体、またはサイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現、またはp21もしくはp27の欠損を伴う腫瘍は特にCDK阻害剤に感受性であり得る。その代わりに、またはそれに加えて、患者から
採取した生体サンプル分析し、その患者が罹患している、または罹患する可能性のある癌などの症状または疾病が、オーロラキナーゼのアップレギュレーションを特徴とするものかどうかを判定することができ、この場合には、特にオーロラ阻害剤に対して感受性であり得る。アップレギュレーションとは、遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)を含む発現の上昇または過剰発現、ならびに転写作用による発現の増強、ならびに突然変異による活性化を含む機能亢進および活性化が含まれる。
従って、この患者に、オーロラキナーゼの過剰発現、アップレギュレーションまたは活性化に特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行えばよく、あるいはこの患者に、サイクリンEのアップレギュレーション、またはp21もしくはp27の欠損、またはCDC4変異体の存在に特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行えばよい。アップレギュレーション、またはp21もしくはp27の欠損、またはCDC4変異体の存在診断にはスクリーニングも含まれる。マーカーとしては、例えば、オーロラまたはCDC4の突然変異を同定するためのDNA組成の尺度をはじめとする遺伝マーカーを含む。また、マーカーとしては、酵素活性、酵素レベル、酵素の状態(例えば、リン酸化されているかいないか)および上述のタンパク質のmRNAレベルをはじめ、オーロラまたはサイクリンEのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを含む。サイクリンEのアップレギュレーション、またはp21もしくはp27の欠損を伴う腫瘍は特にCDK阻害剤に感受性であり得る。腫瘍は、処置前に、サイクリンEのアップレギュレーション、またはp21もしくはp27の欠損に関して優先的にスクリーニングすることができる。
診断試験は一般に、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(脱落腫瘍細胞の単離および濃縮)、検便、痰、染色体解析、胸膜液、腹水または尿から選択される生体サンプルに対して行う。
STK遺伝子(オーロラキナーゼAの遺伝子)のIle31変異体を有する部分集団の一部をなしている個体は、ある形態の癌に高い感受性を持つ可能性のあることが見出されている(Ewart-Toland et al., Nat Genet. 2003 Aug;34(4):403-12参照)。このような癌患者は、オーロラキナーゼ阻害活性を有する組合せの投与から利益を受ける。従って、癌に罹患している、または罹患が疑われる患者に対して、その患者がIle31変異体部分集団の一部をなしているかどうかを判定するスクリーニングを行うことができる。さらに、ヒト結腸直腸癌および子宮内膜癌(Spruck et al, Cancer Res. 2002 Aug 15;62(16):4535-9)におけるCDC4に存在する突然変異(Fbw7またはArchipelagoとしても知られる)が存在していることも見出されている(Rajagopalan et al, Nature. 2004 Mar 4;428(6978):77-81)。CDC4に突然変異を有する個体の同定は、その患者をCDK阻害剤による処置に特に好適とする手段となる。腫瘍は、処置前に、CDC4変異体の存在に関して優先的にスクリーニングすることができる。スクリーニング方法は一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析または突然変異体特異的抗体を含む。
オーロラ(そのイソ型のいずれもを含む)の活性化突然変異またはオーロラのアップレギュレーションを有する腫瘍は、オーロラ阻害剤に対して特に感受性があり得る。腫瘍は、処置前に、オーロラのアップレギュレーションまたはIle31変異体を有するオーロラに関して優先的にスクリーニングすることができる(Ewart-Toland et al., Nat Genet. 2003 Aug;34(4):403-12)。Ewart-Tolandらは、ヒト結腸腫瘍において優先的に増幅され、異数性の程度と関連のあるSTK15における共通の遺伝子変異体(アミノ酸置換F31Iをもたらす)を同定した。これらの結果は、ヒトの癌の感受性におけるSTK15のIle31変異体に関する重要な役割と一致している。特に、オーロラAにおけるこの多型は、乳癌を発達させる遺伝子修飾因子firであることが示唆された(Sun et al, Carcinogenesis, 2004, 25(11), 2225-2230)。
オーロラA遺伝子は、例えば乳癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、膵臓癌などの多くの癌で頻繁に増幅されている染色体20q13にマッピングされている。この遺伝子増幅を有する腫瘍を有する患者は、オーロラキナーゼ阻害を標的とする処置に特に感受性がある可能性がある。
例えば、突然変異およびオーロライソ型などのタンパク質のアップレギュレーションならびに染色体20q13の増幅の同定および分析の方法は当業者に周知である。スクリーニング方法としては、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはin situハイブリダイゼーションなどの標準的な方法が含まれる。
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、そのmRNAのcDNAコピーを作出した後、そのcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、Ausubel, F. M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 2004, John Wiley & Sons Inc.、またはInnis, M. A. et-al., eds. PCR Protocols: a guide to methods and applications, 1990, Academic Press, San Diegoに記載のような標準的な方法により行う。核酸技術を含む反応および操作はまた、Sambrook et al., 2001, 3rd Ed, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。あるいは、RT−PCR用の市販のキット(例えば、Roche Molecular biochemicals)、または米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号;同第5,272,057号;同第5,882,864号および同第6,218,529号に示されている方法が使用でき、出典明示により本明細書の一部とされる。
mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の例として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)がある(Angerer, 1987 Meth. Enzymol., 152:649参照)。
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、また、非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような適用で用いるプローブは一般に、例えば放射性同位元素または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするに十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド〜約1000以上のヌクレオチドである。FISHを行うための標準的な方法は、Ausubel, F. M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 2004, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 2nd ed.; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series :Methods in Molecular Medicineに記載されている。
あるいは、これらのmRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット法、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法により評価してもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、CDC4変異体、オーロラアップレギュレーションおよびオーロラの突然変異体の検出のためのこのような周知の技術は全て本発明の場合にも適用可能であることが分かるであろう。
よって、これらの技術は全て、本発明の組合せによる処置に特に好適な腫瘍を同定するためにも使用可能である。
CDC4の突然変異、またはサイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現、またはp21もしくはp27の欠失を伴う腫瘍は、CDK阻害剤に特に感受性がある可能性がある。腫瘍は処置前に、サイクリンEのアップレギュレーション、特に過剰発現に関して(Harwell RM, Mull BB, Porter DC, Keyomarsi K.; J Biol Chem. 2004 Mar 26;279(13):12695-705)、またはp21もしくはp27の欠失、またはCDC4変異体に関して(Rajagopalan H, Jallepalli PV, Rago C, Velculescu VE, Kinzler KW, Vogelstein B, Lengauer C.; Nature. 2004 Mar 4;428(6978):77-81)優先的にスクリーニングすることができる。
マントル細胞リンパ腫(MCL)を有する患者は、本明細書で概略を示した診断試験を用い、本発明の組合せによる処置に対して選択することができる。MCLは、CD5およびCD20の同時発現、急速進行性および難治性の臨床経過、および頻繁なt(11;14)(q13;q32)の転座を伴う小型〜中型のリンパ球の増殖を特徴とする非ホジキンリンパ腫の明瞭な臨床病理態である。マントル細胞リンパ腫(MCL)に見られるサイクリンD1 mRNAの過剰発現が重要な診断マーカーとなる。Yatabe et al (Blood. 2000 Apr 1;95(7):2253-61)は、MCLの標準的な判定基準の1つとしてサイクリンD1陽性を含めるべきこと、およびこの新たな判定基準に基づいてこの難病の革新的治療を探索すべきであることを提案している。Jones et al (J MoI Diagn. 2004 May;6(2):84-9)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の診断の助けとなるよう、サイクリンD1(CCND1)発現のリアルタイム定量的逆転写PCRアッセイを開発した。Howe et al (Clin Chem. 2004 Jan;50(1):80-7)は、リアルタイム定量的RT−PCRを用いてサイクリンD1 mRNAの発現を評価し、CD19 mRNAに対してノーマライズしたサイクリンD1 mRNAの定量的RT−PCRが血液、骨髄および組織におけるMCLの診断に使用可能であることを見出した。あるいは、乳癌患者は上記で概略を示した診断試験を用い、CDK阻害剤による処置に対して選択することができる。腫瘍細胞は共通してサイクリンEを過剰発現し、乳癌でもサイクリンEが過剰発現することが示されている(Harwell et al, Cancer Res, 2000, 60, 481-489)。従って、乳癌は特に本明細書で提供されるCDK阻害剤で処置可能である。
本発明の組合せの投与前に、患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、Flt3、C−abl、PDK1に対して活性を有する組合せでの処置に感受性があるものかどうかを判定するために患者をスクリーニングすることができる。これらの技術はまた、Flt3、C−abl、PDK1、キナーゼのアップレギュレーションまたは突然変異体によって引き起こされる疾病または症状のスクリーニングのためにも使用可能である。
これらの技術はまた、VEGFRキナーゼのアップレギュレーションまたは突然変異体に寄って引き起こされる疾病または症状をスクリーニングするためにも使用可能であり、限定されるものではないが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはin-situハイブリダイゼーションなどの標準的な方法が含まれる。
さらに、例えば、VEGFR2の突然変異型は、PCRおよび以上に記載されているようにPCR産物を直接配列決定する方法を用い、例えば腫瘍生検の直接配列決定によって同定することができる。当業者ならば、上述のタンパク質の過剰発現、活性化または突然変異の検出のためのこのような周知の技術は全て、本場合に適用可能性ことが分かるであろう。
VEGFRなどのタンパク質の異常なレベルは、例えば本明細書に記載されているアッセイなど、標準的な酵素アッセイを用いて測定することができる。活性化または過剰発現はまた、例えば腫瘍組織などの組織サンプルで検出することもできる。Chemicon Internationalからのものなどのアッセイを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによる。目的のチロシンキナーゼはサンプル溶解液から免疫沈降させ、その活性を測定する。
そのイゾ型を含め、VEGFRの過剰発現または活性化を測定するための別法としては、微細血管密度の測定が含まれる。これは例えば、Orre and Rogers (Int J Cancer 1999 84(2) 101-8)によって記載されている方法を用いて測定することができる。アッセイ方法はまたマーカーの使用を含み、例えば、VEGFRの場合には、これらはCD31、CD34およびCD105を含む(Mineo et al. J Clin Pathol. 2004 57(6) 591-7)。
FLT3の活性化突然変異は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)を伴ういくつかの症例で頻繁に見られる。FLT3の活性化突然変異を伴う癌患者は、FLT3の阻害剤に最も感受性の高いものの適応として、長さの突然変異または内部タンデム重複突然変異の存在に関してスクリーニングすることができる。
BCR−ablの耐性突然変異体、例えばT315Iを発現する細胞を担持する腫瘍を有する患者は、本発明に記載の方法を用いて同定することができる。
従って、加えて、本明細書に記載の方法は、FLT3の活性化突然変異、C−Ablの突然変異体、例えば、T315Iを診断するために使用することもできる。
抗真菌性用途
さらなる態様において、本発明は、補助化合物と本明細書で定義される式(I)の化合物およびそのサブグループを含む(またはそれらから本質的になる)組合せの抗真菌剤としての使用を提供する。
本発明の組合せは、動物医薬(例えば、ヒトなどの哺乳類の処置)、または植物の処置(例えば、農業および園芸)、または抗真菌剤全般、例えば、保存剤および殺菌剤として使用可能である。
一実施形態では、本発明は、ヒトなどの哺乳類における真菌感染の予防または処置に使用される、本明細書で定義される組合せを提供する。
また、本明細書で定義される組合せの、ヒトなどの哺乳類における真菌感染の予防または処置に使用される薬剤の製造のための使用も提供される。
例えば、本発明の組合せは、生物のなかでもとりわけ、カンジダ属(Candida)種、白癬菌属(Trichophyton)種、小胞子菌属(Microsporum)種または表皮糸状菌属(Epidermophyton)種により生じる局所的真菌感染、またはカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)により生じる粘膜感染(例えば、鵞口瘡および膣カンジダ症)に罹患しているか、またはその感染のリスクのあるヒト患者に投与することができる。また、本発明の組合せは、例えば、カンジダ・アルビカンス、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオデス(Coccidiodies)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)またはブラストミセス(Blastomyces)により生じる全身性真菌感染の処置または予防のために投与することもできる。
別の態様において、本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物およびそのサブグループを補助薬剤および農学的に許容される希釈剤または担体とともに含む、農業(園芸を含む)用途の抗真菌組成物を提供する。
本発明はさらに、真菌感染を有する動物(ヒトなどの哺乳類を含む)、植物または種子の処置方法であって、前記動物、植物もしくは種子、または前記植物もしくは種子の存在場所を、有効量の本明細書で定義される組合せで処置することを含む方法を提供する。
また、本発明は、植物または種子における真菌感染の処置方法であって、前記植物または種子を、抗真菌的に有効な量の、本明細書で定義される組合せを含有する抗真菌組成物で処置することを含む方法を提供する。
差次的スクリーニングアッセイを使用して、非ヒトCDK酵素に対して特異性を有する化合物を選択することができる。真核生物病原体のCDK酵素に対して特異的に作用する化合物を、抗真菌剤または抗寄生虫剤として使用することができる。カンジダCDKキナーゼの阻害剤であるCKSIは、カンジダ症の処置に使用することができる。抗真菌剤は、上記で定義した種類の感染、または衰弱した患者や免疫抑制患者、例えば、白血病およびリンパ腫を有する患者、免疫抑制療法を受けている者、ならびに糖尿病またはAIDSなど、疾病素因条件を有する患者において一般的に発生する日和見感染症に対して、またさらには非免疫抑制患者に対しても使用することができる。
当技術分野で記載されているアッセイを使用して、真菌症、例えば、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、ブラストミセス症、ゲオトリクム症、クリプトコックス症、クロモブラストミセス症、コクシジオイデス症(coccidiodomycosis)、分生胞子症(conidiosporosis)、ヒストプラスマ症、マズラ菌症、リノスポリジウム症、ノカイジオシス(nocaidiosis)、パラアクチノミセス症、ペニシリウム症、モニリア症(monoliasis)またはスポロトリクス症に関与する少なくとも1種類の真菌を抑制するのに有用であり得る薬剤をスクリーニングすることができる。差次的スクリーニングアッセイを使用して、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)などの酵母からクローニングしたCDK遺伝子を利用することにより、アスペルギルス症の処置において治療的価値を有し得る抗真菌剤を同定することができ、あるいは、真菌感染症がムコンニコシスである場合には、CDKアッセイは、リゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモサ(Absidia ramosa)またはムコルプシルス(Mucorpusillus)などの酵母に由来するものであり得る。他のCDK酵素の供給源としては、病原体ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)が挙げられる。
例として、当該化合物の抗真菌活性のin vitro評価は、最小発育阻止濃度(MIC)を測定することにより行うことができ、この最小発育阻止濃度は、好適な培地において特定の微生物の増殖が起こらない試験化合物の濃度である。実際には、各々試験化合物を特定の濃度で配合した一連の寒天プレートに、例えば、カンジダ・アルビカンスの標準培養物を接種した後、各プレートを37℃で適当な期間インキュベートする。次に、これらのプレートを、真菌の増殖の有無について試験し、適切なMIC値を記録する。あるいは、液体培養物において濁度アッセイを行うこともでき、このアッセイの一例を示すプロトコールは下記の実施例に示されている。
当該化合物のin vivo評価は、真菌、例えば、カンジダ・アルビカンスまたはアスペルギルス・フラーブス菌株を接種したマウスに、一連の用量レベルで、腹腔内または静脈内注射によるか、または経口投与により行うことができる。当該化合物の活性は、処置マウス群と非処置マウス群において真菌感染の増殖をモニタリングすることにより(組織学によるか、または感染からの真菌の回復により)評価することができる。この活性は、化合物が、感染の致死作用に対して50%防御を示す用量レベル(PD50)として測定することができる。
ヒト抗菌用途のためには、本明細書で定義される組合せは単独で投与してもよいし、または意図する投与経路および標準的な薬務に従って選択される医薬担体と混合して投与してもよい。従って、例えば、これらの化合物は、上記の「医薬製剤」と題する節で記載した処方により、経口投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与することができる。
ヒト患者に対する経口および非経口投与の場合には、一日用量レベルは、とりわけ、経口または非経口経路のいずれかで投与した際の該組合せの有効性に応じて0.01〜10mg/kg(分割投与)であってよい。該組合せまたはその構成成分の錠剤またはカプセル剤は、例えば、有効化合物5mg〜5gを含有すればよく、これは必要に応じて一回で、または2回以上に分けて投与できる。いずれの場合でも、医師が個々の患者に最適な実際の用量(有効量)を決定し、それは個々の患者の年齢、体重および応答によって異なる。
あるいは、当該抗真菌組合せを、坐剤またはペッサリーの形態で投与してもよいし、またはローション剤、液剤、クリーム、軟膏または粉剤の形態で局所適用してもよい。例えば、これらを、ポリエチレングリコールまたは流動パラフィンの水性エマルションからなるクリームに配合することができ、または1〜10%の濃度で、白蝋または白色軟質パラフィン基剤からなる軟膏に、必要に応じて安定剤および保存剤とともに配合することができる。
上記の治療用途の他、このような差次的スクリーニングアッセイにより開発された抗真菌剤は、例えば、食品の保存剤、家畜の体重増加を促進するための飼料サプリメント、または非生物の処理、例えば、診療器具および診療室を消毒するための殺菌製剤に使用することができる。同様に、哺乳類CDKおよび昆虫CDK、例えば、ショウジョウバエCDK5遺伝子(Hellmich et al. (1994) FEBS Lett 356:317-21)の阻害を並列比較することにより、本明細書の化合物から、ヒト/哺乳類と昆虫酵素を識別する阻害剤を選択することができる。従って、本発明は、ショウジョウバエのような昆虫の防除に使用するなど、殺虫剤における本発明の組合せの使用および配合を明確に意図するものである。
さらに別の実施形態では、哺乳類酵素よりも植物CDKに対しての阻害特異性に基づき、本発明の組合せに用いるためのある種の対象CDK阻害剤を選択することができる。例えば、植物CDKは、1以上のヒト酵素を用いた差次的スクリーンに配置して、植物酵素の阻害に対して最大の選択性を示す化合物を選択することができる。従って、本発明は、枯れ葉剤などの形態におけるような農業用途の対象CDK阻害剤の製剤を特に意図するものである。
農業および園芸目的では、本発明の組合せは、特定の使用および意図する目的に応じて処方した組成物の形態で使用することができる。従って、当該化合物は、粉剤または顆粒剤、種子粉衣、水溶液、分散液または乳剤、浸漬剤、噴霧剤、エアゾール剤またはスモークの形態で適用することができる。また、組成物は、分散性粉剤、顆粒剤または粒剤の形態で供給してもよいし、または使用前に希釈する濃縮物の形態で供給してもよい。このような組成物は、農業および園芸において知られ、かつ、許容される通常の担体、希釈剤または補助剤などを含有してもよく、これらは、常法に従って製造することができる。また、これらの組成物は、他の有効成分、例えば、除草活性もしくは殺虫活性を有する化合物またはさらなる殺真菌剤を配合してもよい。当該化合物および組成物は多数の方法で適用でき、例えば、植物の葉、茎、枝、種子もしくは根または土壌や他の育成媒体に直接適用することができ、これらは病害を根絶するためのみならず、植物または種子を攻撃から予防的に保護するためにも使用できる。例えば、これらの組成物は、有効成分を、0.01〜1重量%含有することができる。圃場使用では、有効成分の適用率はおそらく50〜5000g/ヘクタールである。
また、本発明は、本発明の組合せを、木材腐朽菌の防除および植物が生育する土壌、苗床、または潅漑用水の処理に使用することも意図する。また、本発明は、貯蔵穀物および植物体ではない他の場所に真菌が蔓延するのを防ぐことを目的とした本明細書で定義される組合せの使用も意図する。
以下、本発明を、限定されるものではないが、下記の実施例に記載される特定の実施形態により説明する。
これらの実施例では、次の省略形を用いる。
Figure 2009536186
分析的LC−MS系および方法の記載
本実施例では、製造された化合物を、以下に示す系および作動条件を用いる液体クロマトグラフィーおよび質量分析により同定した。種々の同位体を有する原子が存在する場合には、1つの質量を表示し、その化合物に関して表示されている質量はモノアイソトピック質量である(すなわち、35Cl;79Brなど)。以下に記載するように数種のシステムを用い、これらのシステムは厳密に同じ作動条件下で実施されるように装備および設定を行った。用いた作動条件は下記でも示す。
WatersプラットフォームLC−MSシステム:
HPLCシステム:Waters 2795
質量検出器:MicromassプラットフォームLC
PDA検出器:Waters 2996 PDA
分析的酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:3.5分間で5〜95%溶離剤B
流速:0.8ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μMAX−RP 80A,2.0×50mm
分析的長時間酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:15分間で05〜95%溶離剤B
流速:0.4ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A,2.0×150mm
プラットフォームMS条件:
キャピラリー電圧:3.6kV(ESネガティブでは3.40kV)
コーン電圧:25V
イオン源温度:120℃
スキャン範囲:100〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはエレクトロスプレーネガティブまたはエレクトロスプレーポジティブ・ネガティブ
Waters Fractionlynx LC−MSシステム:
HPLCシステム:2767オートサンプラー−2525バイナリーグラジェントポンプ
質量検出器:Waters ZQ
PDA検出器:Waters 2996 PDA
分析的酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:4分間で5〜95%溶離剤B
流速:2.0ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A, 4.6×50mm
Fractionlynx MS条件:
キャピラリー電圧:3.5kV(ESネガティブでは3.2kV)
コーン電圧:25V(ESネガティブでは30V)
イオン源温度<※分析:120℃
スキャン範囲:100〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはエレクトロスプレーネガティブまたはエレクトロスプレーポジティブ・ネガティブ
質量指示LC−MSシステム
分取LC−MSは、本明細書に記載の化合物のような有機小分子の精製に使用される標準的かつ有効な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)の方法は粗材料のより良い分離とMSによるサンプル検出の向上を提供するために可変である。分取勾配LC法の至適化は、カラム、揮発性溶離剤および改質剤、ならびに勾配の変更を含む。分取LC−MS法を至適化した後、それらを化合物の精製に用いる方法は当技術分野で周知である。このような方法は、Rosentreter U, Huber U.; Optimal fraction collecting in preparative LC/MS; J Comb Chem.; 2004; 6(2), 159-64 and Leister W, Strauss K, Wisnoski D, Zhao Z, Lindsley C., Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries; J Comb Chem.; 2003; 5(3); 322-9に記載されている。
分取LC−MSにより化合物を精製するためのこのような1つのシステムを以下に記載するが、当業者ならば、記載のものに代わるシステムおよび方法も使用可能であることが分かるであろう。特に、本明細書に記載の逆相法の代わりに順相分取LCに基づく方法を用いてもよい。ほとんどの分取LC−MSシステムでは逆相LCと揮発性酸性改質剤を用いるが、これは、これらの溶離剤が陽イオンエレクトロスプレー質量分析に適合するため、このアプローチが小分子の精製に極めて有効であるからである。あるいは、他のクロマトグラフィー分離を採用すれば、例えば、上記の分析法で概略を示したような順相LC、あるいは緩衝移動相、塩基性改質剤など選択的に用いて当該化合物を精製することができる。
分取LC−MSシステム:
Waters Fractionlynxシステム:
・ハードウエア:
2767デュアルループオートサンプラー/フラクションコレクター
2525分取ポンプ
カラム選択用のCFO(column fluidic organiser)
補給水ポンプとしてのRMA(Waters reagent manager)
Waters ZQ質量分析計
Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器
Waters ZQ質量分析計
・ソフトウエア:
Masslynx 4.0
・Waters MS実施条件:
キャピラリー電圧:3.5kV(ESネガティブでは3.2kV)
コーン電圧:25V
イオン源温度:120℃
増倍管:500V
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはエレクトロスプレーネガティブ
Agilent 1100 LC−MS分取システム:
・ハードウエア:
オートサンプラー:1100シリーズ「prepALS」
ポンプ:1100シリーズ「PrepPump」(分取流速勾配用)および1100シリーズ「QuatPump」(分取流速のポンピング調節用)
UV検出器:1100シリーズ「MWD(Multi Wavelength Detector)
MS検出器:1100シリーズ「LC−MSD VL」
フラクションコレクター:2×「Prep−FC」
補給水ポンプ:「Waters RMA」
Agilent Active Splitter
・ソフトウエア:
Chemstation:Chem32
・Agilent MS実施条件:
キャピラリー電圧:4000V(ESネガティブでは3500V)
フラグメンター/増加率:150/1
乾燥ガス流速:13.0L/分
ガス温度:350℃
ネブライザー圧:50psig
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはエレクトロスプレーネガティブ
クロマトグラフィー条件:
・カラム:
1. 低pHクロマトグラフィー:
Phenomenex Synergy MAX−RP,10μ,100×21.2mm
(極性の高い化合物には代用としてThermo Hypersil−Keystone HyPurity Aquastar,5μ,100×21.2mm)
2. 高pHクロマトグラフィー:
Phenomenex Luna C18 (2),10μ,100×21.2mm
(代用としてPhenomenex Gemini,5μ,100×21.2mm)
・溶離剤:
1. 低pHクロマトグラフィー:
溶媒A:HO+0.1%ギ酸,pH〜1.5
溶媒B:CHCN+0.1%ギ酸
2. 高pHクロマトグラフィー:
溶媒A:HO+10mm NHHCO+NH4OH,pH=9.2
溶媒B:CHCN
3. メークアップ溶媒:
MeOH+0.2%ギ酸(両クロマトグラフィー種とも)
・方法:
分析図形に従い、最も適当な分取クロマトグラフィー種を選択した。典型的な常法としては、化合物構造に最も適したクロマトグラフィー種(低pHまたは高pH)を用いて分析的LC−MSを実施した。分析図形が良好なクロマトグラフィーを示したところで、同種の好適な分取法を選択した。低pHクロマトグラフィー法および高pHクロマトグラフィー法の双方に典型的な実施条件は次の通りであった。
流速:24ml/分
勾配:一般に全ての勾配で、最初0.4分の段階は95%A+5%Bとした。次に、分析図形に従い、良好な分離を得るために3.6分の勾配を選択した(例えば、初期に保持される化合物では5%〜50%B、中間に保持される化合物では35%〜80%Bなど)
洗浄:勾配の終了時には1.2分の洗浄工程を行った。
再平衡化:次の実施に向けてシステムを準備するために2.1分の再平衡化工程を行った。
メークアップ流速:1ml/分
・溶媒:
通常、化合物は全て、100%MeOHまたは100%DMSOに溶解させた。
当業者ならば、得られた情報から、本明細書に記載の化合物を分取LC−MSにより精製することができる。
各実施例の出発物質は特に断りのない限り市販されている。
実施例1
1A. 4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
Figure 2009536186
周囲温度にて、MeOH(100ml)中、4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸(5.68g、36.2mmol)の混合物に、塩化チオニル(2.90ml、39.8mmol)をゆっくり加え、この混合物を48時間攪拌した。この混合物を真空下で減量し、トルエンとともに共沸させて乾燥させ、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルを白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 14.4 (s, 1H), 8.9 (s, 1H), 3.9 (s, 3H)
1B. 4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
Figure 2009536186
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルとEtOH中10%のPd/Cの混合物を水素雰囲気下で20時間攪拌した。この混合物をセライトプラグで濾過し、真空下で減量し、トルエンとともに共沸させて乾燥し、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルを得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.2 (s, 1H), 3.9 (s, 3H)
1C. 4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
Figure 2009536186
ジオキサン(50ml)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(5g;35.5mmol)およびトリエチルアミン(5.95ml;42.6mmol)の溶液に、塩化2,6−ジクロロベンゾイル(8.2g;39.05mmol)を注意深く加えた後、室温で5時間攪拌した。この反応混合物を濾過し、濾液をメタノール(50ml)および2M水酸化ナトリウム溶液(100ml)で処理し、4時間50℃に加熱した後、蒸発させた。残渣に100mlの水を加えた後、濃塩酸で酸性化した。固体を濾取し、水(100ml)で洗浄し、吸引乾燥し、10.05gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸を淡紫色の固体として得た(LC/MS: Rt 2.26, [M+H]+ 300 / 302)。
1D. 4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF(75ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6.5g、21.6mmol)、4−アミノ−1−BOC−ピペリジン(4.76g、23.8mmol)、EDC(5.0g、25.9mmol)およびHOBt(3.5g、25.9mmol)の混合物を室温で20時間攪拌した。この反応混合物を真空下で減量し、残渣を酢酸エチル(100ml)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)とで分液した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で減量した。残渣を5%MeOH−DCM(〜30ml)に取った。不溶性物質を濾取し、DCMで洗浄し、真空乾燥させ、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.38g)を白色固体として得た。濾液を真空下で減量し、残渣を、1:2EtOAc/ヘキサン〜EtOAcの勾配溶出を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、さらなる4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.54g)を白色固体として得た。
1E. 4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド塩酸塩
Figure 2009536186
MeOH(50mL)およびEtOAc(50ml)中、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.9g)の溶液を飽和HCl−EtOAc(40mL)で処理した後、室温で一晩攪拌した。この生成物はメタノールの存在のために結晶化しなかったので、この反応混合物を蒸発させ、残渣をEtOAcでトリチュレートした。得られた灰白色固体を濾取し、EtOAcで洗浄し、シンター上で吸引乾燥し、6.3gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを塩酸塩として得た(LC/MS: Rt 5.89, [M+H]+ 382 / 384)。
1F. 4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
Figure 2009536186
アセトニトリル(10ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド塩酸塩(1mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(2.2mmol)、次いで塩化メタンスルホニル(1mmol)を加えた。この混合物を周囲温度で16時間攪拌した後、真空下で減量した。残渣を酢酸エチルと水とで分液し、層に分け、有機部分をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で減量し、標題化合物を得た。
[M+H]+ 460 Rt 2.67. LC/MS. r.t. 2.67分; m/z 460.11
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.51 (s, 1H), 10.20 (s, 1H), 8.50 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.66 - 7.56 (m, 3H), 3.95 - 3.89 (m, 1H), 3.61 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 2.92 (s, 3H), 2.84 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 1.89 - 1.86 (m, 2H), 1.79 - 1.70 (m, 2H)
実施例2
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−イソプロピル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
Figure 2009536186
標題化合物は、塩化メタンスルホニルの代わりに塩化イソプロピルスルホニルを用いたこと以外は実施例1に記載した方法により製造し、分取LC/MSにより精製した。
r.t. 2.83分; m/z 488.22
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.42 (s, 1H), 10.16 (s, 1H), 8.46 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.60 - 7.51 (m, 3H), 3.92 - 3.87 (m, 1H), 3.65 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 3.35 - 3.27 (m, 1H), 2.95 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 1.80 - 1.76 (m, 2H), 1.66 - 1.59 (m, 2H), 1.22 (d, J = 8.0 Hz, 6H)
実施例3
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−エチル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
Figure 2009536186
標題化合物は、塩化メタンスルホニルの代わりに塩化エチルスルホニルを用いたこと以外は実施例1に記載した方法により製造し、P.E.−EtOAc(1:1〜0:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。
LC/MS. r.t. 2.74分; m/z 474.17
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.45 (s, 1H), 10.17 (s, 1H), 8.51 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.60 - 7.51 (m, 3H), 3.91 - 3.85 (m, 1H), 3.61 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 3.04 (q, J = 8.0 Hz, 2H), 2.86 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 1.80 - 1.78 (m, 2H), 1.69 - 1.60 (m, 2H), 1.21 (t, J = 8.0 Hz, 3H)
実施例4
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−プロピル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
Figure 2009536186
標題化合物は、塩化メタンスルホニルの代わりに塩化プロパンスルホニルを用いたこと以外は実施例1に記載した方法により製造し、分取LC/MSにより精製した。
r.t. 3.11分; m/z 488.18
1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.42 (s, 1H), 10.15 (s, 1H), 8.46 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.60 - 7.51 (m, 3H), 3.91 - 3.84 (m, 1H), 3.60 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.85 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 1.82 - 1.78 (m, 2H), 1.72 - 1.62 (m, 4H), 0.99 (t, J = 8.0 Hz, 3H)
実施例5
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドおよびその結晶の合成
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、上記のスキーム1に示され、以下に詳細に記載する一連の合成によって製造することができる。
第1段階:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009536186
メカニカルスターラー、冷却器および温度計を備えたフリンジフラスコに、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1.350Kg、8.59モル、1.0wt)およびメタノール(10.80L、8.0vol)を入れた。この懸濁液を窒素下、0〜5℃に冷却し、この温度で塩化チオニル(0.702L、9.62モル、0.52vol)を加えた。この混合物を16〜24時間かけて15〜25℃まで温めた。反応の完了はH NMR分析(d−DMSO)により判定した。この混合物を35〜45℃で真空濃縮し、この残渣にトルエン(2.70L、2.0vol)を加え、真空下、35〜45℃で除去した。このトルエン共沸を、トルエン(2.70L、2.0vol)を用いて2回繰り返し、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル[1.467Kg、99.8%th、108.7重量%、H NMR (d−DMSO)は構造と一致、同伴溶媒は無し]を灰白色固体として得た。
第2段階:4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009536186
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.467Kg、8.57モル、1.0wt)およびエタノール(14.70L、10.0vol)の懸濁液を30〜35℃に加熱し、完全に溶解するまでこの温度で維持した。10%パラジウム/炭素(10%Pd/C含水ペースト、0.205Kg、0.14wt)を、窒素下、分液フラスコに入れ、真空/窒素パージサイクルを行った(3回)。この触媒にエタノール中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの溶液を加え、真空/窒素パージサイクルを繰り返した(3回)。真空/水素パージサイクルを行い(3回)、この反応物を水素雰囲気下に置いた。この反応混合物を、H NMR分析(d−DMSO)により完了したと思われるまで、28〜30℃で攪拌した。この混合物を窒素下で濾過し、35〜45℃で真空濃縮し、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル[1.184Kg、97.9%th、80.7%w/w、H NMR(d−DMSO)は構造と一致、0.27%w/wの同伴エタノールに関して補正]を灰白色固体として得た。
第3段階:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009536186
窒素下、15〜25℃で、1,4−ジオキサン(10.66L、9.0vol)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.184Kg、8.39モル、1.0wt)の溶液に、トリエチルアミン(1.42L、10.20モル、1.2vol)を加えた。塩化2,6−ジクロロベンゾイル(1.33L、9.28モル、1.12vol)を15〜25℃で加えた後、1,4−ジオキサン(1.18L、1.0vol)でライン洗浄を行い、反応混合物を15〜25℃で14〜24時間攪拌した。反応の完了は、H NMR分析1により判定した。この反応混合物を濾過し、フィルターケーキを1,4−ジオキサン(2×1.18L、2×1.0vol)で洗浄し、合わせた濾液をそれ以上単離せずに、第4段階に進んだ。
反応混合物のサンプルを濾過し、濾液をd−DMSOに溶かし、H NMRスペクトルを得た。
第4段階:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸の製造
Figure 2009536186
35〜45℃にて、1,4−ジオキサン(6.47L、5.0vol)中、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.308Kg、4.16モル、1.0wt)の溶液を2M水酸化ナトリウム水溶液(7.19L、14.38モル、5.5vol)に一度に加えた。この反応混合物を14〜24時間かけて15〜25℃に冷却した。反応の完了は、TLC分析により判定した。この反応混合物を45〜50℃で真空濃縮した。得られた油性残渣を水(11.77L、9.0vol)で希釈し、15〜30℃にて濃塩酸水溶液でpH1に酸性化した。沈殿を濾取し、水(5.88L、4.5vol)で洗浄し、フィルター上で吸引乾燥し、ヘプタン(5.88L、4.5vol)を加えて置換洗浄した。このフィルターケーキを20Lロータリーエバポレーターフラスコに入れ、トルエン(2×5.23L、2×4.0vol)と共沸乾燥させ、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[1.207Kg、96.6%th、92.3%w/w、H NMR(d−DMSO)は構造と一致、HPLC面積によれば98.31%]を黄色固体として得た。
溶出剤:酢酸エチル。UV可視化。R ester0.5、R Stage 0.0
第5段階:4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
Figure 2009536186
窒素下、16〜25℃で、トルエン(8.00L、10.0vol)中、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.806Kg、2.69モル、1.0wt)の攪拌懸濁液に、塩化チオニル(0.25L、3.43モル、0.3vol)を加えた。次に、これらの内容物を80〜100℃に加熱し、この温度で16〜24時間攪拌した。反応の完了はH NMR分析により判定した。この反応混合物を40〜50℃に冷却し、真空下、45〜50℃で濃縮乾固させ、残渣を真空下、45〜50℃で、トルエン(3×1.60L、3×2.0vol)と共沸乾燥させ、白色固体を得た。この固体を適当な容器に移し、テトラヒドロフラン(4.00L、5.0vol)を加え、これらの内容物を窒素下で攪拌し、16〜25℃でトリエチルアミン(0.42L、3.01モル、0.512vol)を加えた。次に、テトラヒドロフラン(4.00L、5.0vol)中、4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.569Kg、2.84モル、0.704wt)の溶液を16〜30℃でこの反応フラスコに加え、この反応混合物を45〜50℃に加熱し、この温度で2〜16時間攪拌した。反応の完了はH NMR分析により判定した。この反応混合物を16〜25℃に冷却し、水(4.00L、5.0vol)および混合ヘプタン(0.40L、0.5vol)でクエンチした。これらの内容物を最大10分攪拌し、層に分け、水相をテトラヒドロフラン:混合ヘプタン[(9:1)、3×4.00L、3×5.0vol]で抽出した。合わせた有機相を水(1.81L、2.5vol)で洗浄し、40〜45℃で真空濃縮した。残渣をトルエン(3×4.00L、3×5.0vol)で共沸乾燥させ、粗4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.257Kg、97.1%th、156.0%w/w、0.90%w/wの同伴溶媒に関して補正)を得た。このようにして数バッチの化合物を製造し、精製のためにこれらのバッチを合わせた。
粗4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.22モル、1.0wt)、トルエン(12.00L、4.87vol)およびメタノール(0.30L、0.13vol)を窒素下、16〜25℃で3〜18時間攪拌した。固体を濾過により単離し、フィルターケーキをトルエン(2×1.60L、2×0.7vol)で洗浄し、真空下、40〜50℃で乾燥し、4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[2.242Kg、86.6%th、139.2%w/w、H NMR(d−DMSO)は一致、HPLC面積よれば99.41%]を灰白色固体として得た。
第6段階:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドメタンスルホネートの製造
Figure 2009536186
4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.561Kg、1.16モル、1.0wt)および1,4−ジオキサン(14.00L、26.0vol)を窒素下で攪拌し、80〜90℃に加熱した。メタンスルホン酸(0.30L、4.62モル、0.54vol)を80〜90℃で30〜60分かけて加え、これらの内容物を95〜105℃に加熱し、この温度で1〜24時間維持した。反応の完了はH NMR分析により判定した。この反応混合物を20〜30℃に冷却し、得られた沈殿を濾取した。このフィルターケーキをプロパン−2−オール(2×1.10L、2×2.0vol)で洗浄し、フィルター上で3〜24時間、吸引濾過し、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドメタンスルホネート[0.558Kg、100.2%th、99.4%w/w、H NMR(d−DMSO)は構造と一致、HPLC面積によれば98.13%]を灰白色固体として得た。
第7段階:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの製造
Figure 2009536186
15〜40℃にて、水(5.60L、10.0vol)中、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドメタンスルホネート(0.562Kg、1.17モル、1.0wt)の攪拌懸濁液に、メタンスルホン酸(0.055L、0.85モル、0.1vol)を加えた。この反応混合物を95〜105℃に加熱し、この温度で80〜100分間攪拌した。反応の完了はHPLC分析により判定した。この混合物を15〜20℃に冷却し、15〜25℃で炭酸水素ナトリウム(1.224Kg、14.57モル、2.18wt)を、次いで酢酸エチル(4.20L、7.5vol)を加え、必要であれば温度を15〜25℃に調整した。15〜25℃にて、塩化メタンスルホニル(0.455L、5.88モル、0.81vol)を5回に分け、120〜180分かけて加え、この反応混合物をさらに30〜45℃攪拌した。反応の完了はHPLC分析により判定した。酢酸エチルを真空下、35〜45℃で除去し、得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキを水(0.56L、1.0vol)で洗浄し、適当な大きさのフラスコに移した。水(2.81L、5.0vol)を加え、この混合物を15〜25℃で30〜40分攪拌した後、濾過し、フィルターケーキを水(056L、1.0vol)で洗浄し、パッド上で1〜24時間、吸引乾燥した。採取した固体を40〜50℃で真空乾燥させ、粗4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド[0.490Kg、90.7%th、87.2%w/w、H NMR(d−DMSO)は構造と一致、HPLC面積によれば98.05%]を灰白色固体として得た。
第8段階:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの再結晶化
Figure 2009536186
粗4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(5.506Kg、11.96モル、1.0wt)、N,N−ジメチルアセトアミド(8.00L、1.5vol)およびアセトン(11.00L、2.0vol)を窒素下で攪拌し、40〜50℃に加熱した。得られた液をガラスマイクロファイバーペーパーで濾過することにより澄明化し、濾液を60〜80℃に加熱した。還流がずっと維持されるように、60〜80℃で水(10.50L、2.0vol)を加えた。この混合物を15〜25℃に冷却し、この温度で14〜24時間熟成させ、結晶化した固体を濾過により単離し、フィルターケーキを水(6.00L、1.0vol)で洗浄し、適当な容器に移した。水(11.00L、2.0vol)を加え、この混合物を15〜25℃で30〜40分間攪拌した後、濾過した。このフィルターケーキを水(6.00L、1.0vol)で洗浄し、フィルター上でする少なくとも30分間吸引濾過した。この固体を40〜50℃で真空乾燥させ、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド[4.530Kg、82.3%th、82.3%w/w、H NMR(d−DMSO)は構造と一致、HPLC面積によれば99.29%]を白色固体として得た。
実施例6
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成の別法
第1段階:4−[(4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
Figure 2009536186
4−ニトロピラゾール−3−カルボン酸(20.0g、127.4mmol)をCHCl/DMF(99:1、400mL)中に懸濁させ、塩化オキサリル(11.6mL、134mmol)で注意深く処理した後、室温で16時間攪拌した。この反応混合物を蒸発させた後、トルエンとともに再蒸発させ(3回)、黄色固体を得た。得られた酸塩化物をジオキサン(400mL)に懸濁させ、トリエチルアミン(26.4mL、190mmol)、次いで4−アミノ−1−BOC−ピペリジン(25.0g、125mmol)で処理し、室温で6時間攪拌した。この反応混合物を濾過し、採取した固体を水(500mL)中で攪拌した後、再び濾過した。採取した固体を真空乾燥させ、トルエンと共沸させ、標題化合物(37.6g)を得た。
第2段階:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの合成
Figure 2009536186
4−[(4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(20.0g、59.0mmol)をジオキサン−CHCl(1:1、400ml)に懸濁させ、ジオキサン中4MのHCl(100mL)で処理した。この混合物を室温で16時間攪拌し、生じた固体を濾取し、真空乾燥させ、標題化合物を白色固体として得た(13.8g)。
第3段階:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009536186
ジオキサン−アセトニトリル(1:1、250mL)中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(13.7g、50.0mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(17.4mL、125mmol)、次いで塩化メタンスルホニル(4.26mL、55.0mmol)を加えた。この混合物を45℃で5時間攪拌した後、真空下で減量した。この残渣に水(500mL)を加え、この混合物を20分間攪拌し、固体を濾取し、真空乾燥させ、トルエンと共沸させ(3回)、標題化合物を灰白色固体として得た(12.8g)。
第4段階:4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009536186
4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(5.0g)をDMF(30mL)に溶解させ、10%パラジウム/炭素(0.5g)で処理した後、室温、45psiで、反応が完了するまで水素化した。この反応混合物をセライトで濾過し、真空下で減量した。残渣を水(200mL)でトリチュレートし、得られた固体を濾取し、真空乾燥させ、トルエンと共沸させ(3回)、標題化合物を主生成物として得た(3.5g)。
第5段階:4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009536186
45℃にて、ジオキサン(50mL)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(3.4g、〜10mmol)およびトリエチルアミン(1.53mL、11mmol)の混合物に、塩化2,6−ジクロロベンゾイル(1.4mL、10mmol)をゆっくり加えた。この混合物を45℃で2時間加熱し、水(250mL)に注いだ後、EtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空下で減量し、P.E−EtOAc(1:0〜0:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を真空下で減量し、残渣を2MNaOH−MeOH水溶液(1:1、50mL)に取り、周囲温度で2時間攪拌した。MeOHを真空下で除去し、この混合物をEtOAcで抽出した。有機部分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で減量した。残渣を、EtOHを用いたホットスラリーにより精製し、標題化合物を灰白色固体として得た(2.52g)。
実施例7
X線回折による4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶構造の決定
実施例6に記載のように製造した化合物4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドのCHCl溶液の蒸発より結晶を得た。
回折実験に用いた結晶は無色であり、寸法0.15×015×0.04mmの不規則な形状であった。結晶学的データは、104Kにて、Rigaku回転陽極RU3HRからのCuKα線(λ=1.5418Å)、オスミックブルー(Osmic blue)共焦光学系、AFC9 1/4χ角度形およびRigaku Jupiter CCD検出器を用いて採取した。結晶距離67mmに対して検出器を用い、2θ=15°で3回のωスキャンおよび2θ=90°で4回のスキャンで画像を収集した。データ収集はCrystalClearソフトウエアにより制御し、画像はDtrekにより処理および尺度化した。高い吸収係数(μ=4.04mm−1)のために、データは4次のフーリエ吸収係数補正を用いて補正しなければならなかった。これらの結晶は結晶格子パラメーターa=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有する単斜晶系空間群C2/c(#15)に属すことが分かった。結晶格子パラメーターと対称性を確認するため、短い室温スキャンを1回行った。対称性は104Kの場合と同じであり、結晶格子パラメーターも同様である(室温a=9.19、b=31.31、c=8.09Å、β=115.2°)であることが分かった。単位格子定数a、bおよびcは5%の偏差を持っている(下記参照、標準的な不確実性)。
結晶構造は、SHELXS−97で実行される直接的方法を用いて解明した。計2682の独特な反射に対する15.67〜0.84Å(2.82<θ<66.54)の範囲の強度データを、SHELXL−97による、263の結晶学的パラメーターの精密化に用いた。最終的な統計学的パラメーターは、wR2=0.1749(全データ)、R=0.0663(I>2σ(I)のデータ)および適合度S=1.035であった。
この非対称単位には遊離塩基が1分子だけ見られた。この非対称単位の元素組成はC1719ClSであり、この結晶の計算密度は1.47Mg/mである。水素原子は幾何学的見地で作成されたが、水素原子に結合しているヘテロ原子の位置はFo−Fcディファレンスマップを調べることで確認した。水素原子の位置的および熱的パラメーターは対応する非水素原子に乗るように制限した。非水素原子の熱運動は異方性熱因子(図1参照)によってモデル化した。
この結晶構造は、1個の分子内水素結合(N6−H...O14 2.812Å)と1個の分子間水素結合を含む(図2参照)。これらの分子は分子間水素結合N1−H...O22 2.845Åにより、ともに鎖に連結されている。種々の鎖に由来するジクロロフェニル部分がともに積層し、稠密な3次元パッキングを形成している。
X線回折試験により作成された構造の熱振動楕円体表示を図1に示し、結晶構造図を図2に示す。
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの遊離塩基の構造を構成する原子の座標を下表1にcif形式で示す。
Figure 2009536186
Figure 2009536186
実施例8
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶のX線粉末回折(XRPD)試験
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶は、実施例5ステップ8に記載されている再結晶法を用いて製造した。
X線粉末回折(XRPD)データ収集用の結晶サンプルは、大理石乳鉢によって軽く摩砕し、結晶学用キャピラリー(Hampton Research製、石英またはガラス型10、0.4または0.7mm径)に入れた。室温にて、Rigaku回転陽極RU3HRからのCuKα線(λ=1.5418Å)、オスミックブルー(Osmic blue)共焦光学系、1/4χ角度形およびRigaku HTCイメージ・プレート・デテクターを用いて回折図形を収集した。結晶距離250mmに対して検出器を用い、φ軸回転中に2次元画像を収集した。データ収集はCrystalClearソフトウエアによって制御し、2次元画像を、Datasqueezeにより1次元プロット(強度に対する2θ)に変換した(強度は、0.01°または0.02°段階で、2θ範囲3〜30°に対して方位角0<χ<360°にわたって平均を採った)。1次元XRPD図形の操作および可視化には、自前のプログラムAstexXRPDを使用した(図3)。
Figure 2009536186
実施例9
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの物理化学的試験
実施例5ステップ8の再結晶法によって製造された4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶に対して示差走査熱量測定法および熱重量分析を行った。
示差走査熱量測定法
およそ1〜3mgのサンプル(正確に秤量)をアルミ製DSCパンに置き、しっかりした封止ができるアルミ製の蓋でしめた。次にこのサンプルを、液体窒素冷却装置を取り付けたPyris Diamond DSC (Perkin-Elmer)に入れ、安定した熱流応答が見られるまで25℃で平衡化した。乾燥ヘリウムパージガスを流速20ml/分で用いて不活性雰囲気を作り出し、加熱中のサンプルの酸化を防いだ。次に、このサンプルを25〜400℃にて、スキャン速度200℃/分で走査し、得られた熱流応答(mW)を温度に対して評価した。試験分析の前に、インジウム参照標品を用い、装置を温度および熱流に関して較正した。
化合物のDSCスキャンを図4に示す。
熱重量分析
およそ5mgのサンプル(正確に秤量)を白金製TGAパンに置き、TGA7重量分析機に入れた。次に、試験下のサンプルを10℃/分の速度で加熱し(周囲温度から300℃まで)、生じた重量変化をモニタリングした。乾燥窒素パージガスを流速20ml/分で用いて不活性雰囲気を作り出し、加熱中のサンプルの酸化を防いだ。分析前に、100mgの参照標品を用いて重量較正を、そして参照標品を用いて温度較正(キュリー点遷移温度を使用)を行った。
化合物の重量低下特性を図5に示す。
結果および結論
結果として得られたDSCサーモグラムから、単一の定義された協働作用的吸熱遷移がおよそ294.5〜295℃で始まることが分かり、これは熱により誘導される結晶格子の融解を示している。主要な融解吸熱の前に有意な遷移は見られず、このことは、サンプルからの化学吸着している(結合している)揮発性物質の損失(脱水/溶解の結果としての)はほとんど/全くないとともに、検出可能な非晶質内容物は存在しないことを示している。このような脱水または溶解状態がないことを、TGAを用いて確認したところ(図5)、最大150℃でおよそ20%の質量損失が示された。このことは、このことは、この薬剤の存在が、検出可能な多型不純物または多型変換を生じることなく、単に非晶質状態にあることを示唆する。
TGAプロット(図5)は、主要融解遷移の前に開始とともに見られる約288℃での有意な事象を示し、これは融解前および融解中のサンプルの熱により誘導される、程度の小さい部分的分解を示唆する。この分解過程は300℃よりも高い温度で加速化された。
実施例10
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの蒸気吸着/脱着分析
実施例5ステップ8の再結晶法により製造された4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶に対して、このサンプルの水和状態形成特性を調べるために、蒸気吸着/脱着分析を行った。
およそ20mgのサンプルをワイヤメッシュ蒸気吸着測定パンに置き、25+/−0.1℃に保持した「IgaSorp」蒸気吸着測定装置に入れた。次に、このサンプルを、さらなる重量変化が記録されなくなるまで、0%湿度環境を維持することにより(質量流量制御装置を使用)乾燥させた。続いて、このサンプルを、各段階において平衡状態が得られるまでサンプルを維持しつつ、相対湿度0〜90%(%RH)、増分10%RHの勾配プロフィール下に置いた(段階の完了は99.5%)。
平衡に達したら、装置内の%RHを次の段階まで引き上げ、平衡化手順を繰り返した。吸着サイクルが完了した後、次は、同じ手順を用いてサンプルを乾燥させた。吸着/脱着サイクル中の重量変化をモニタリングしたところ、サンプルの吸湿性を判定することが可能であった。
化合物の蒸気吸着/脱着特性を図6に示す。
サンプル乾燥に初期では(0%RH)、およそ0.01%の重量低下が見られ、これは、分析前に粒子状に存在していた結合の弱い物理的吸着水または結合していない表面吸着水の除去に相当する。次に、90%RHまで段階的に相対湿度を高めると、対応する増分の小さな重量増加が見られ、90%RHでの平衡時に計0.24%となる。様々な湿度で保存した際に見られるこれらの程度の小さな質量取り込みは、真の結晶水和物形成の証拠のない、単に、粒子の表面上の一層の水の表面吸着の結果であった。このことは、この化合物が吸湿性に関して物理的に安定であり、高湿度条件下で保存した際に、水和状態にならないことを示唆する。
生物活性
実施例11
活性化CDK2/サイクリンAキナーゼ阻害活性(IC 50 )の測定
本発明の組合せに用いるための化合物を、次のプロトコールを用いてキナーゼ阻害活性に関して試験した。
活性化CDK2/サイクリンA(Brown et al, Nat. Cell Biol., 1, pp438-443, 1999; Lowe, E.D., et al Biochemistry, 41, pp15625-15634, 2002)を、2.5倍濃度のアッセイバッファー(50mM MOPS pH7.2、62.5mM β−グリセロホスフェート、12.5mM EDTA、37.5mM MgCl、112.5mM ATP、2.5mM DTT、2.5mMオルトバナジン酸ナトリウム、0.25mg/mlウシ血清アルブミン)で125pMに希釈し、10μlを、10μlのヒストン基質混合物(60μlのウシヒストンH1(Upstate Biotechnology、5mg/ml)、940μlのHO、35μCiγ33P−ATP)と混合し、96ウェルプレートに、DMSO中種々の希釈率(2.5%まで)の試験化合物5μlとともに96ウェルプレートに添加する。反応を2〜4時間行った後、過剰量のオルトリン酸(2%、5μl)により停止させる。ヒストンH1に組み込まれていないγ33P−ATPを、Millipore MAPHフィルタープレートでリン酸化ヒストンH1から分離する。MAPHプレートのウェルを、0.5%オルトリン酸で湿らせた後、反応物をMillipore真空濾過装置でウェルから濾過する。濾過後、残留物を、200μlの0.5%オルトリン酸で2回洗浄する。フィルターが乾燥したところで、Microscint20シンチラント20μlを添加した後、Packard Topcountで30秒間カウントする。
CDK2活性の阻害率(%)を算出し、プロットして、CDK2活性の50%を阻害するのに必要な試験化合物の濃度(IC50)を求める。
実施例12
活性化CDK1/サイクリンBキナーゼ阻害活性(IC 50 )の測定
CDK1/サイクリンBアッセイは、CDK1/サイクリンB(Upstate Discovery)を用い、この酵素を6.25nMに希釈すること以外は上記CDK2/サイクリンAと同じである。
本発明の化合物は20μM未満のIC50値を有するか、または10μM濃度でCDK2活性の少なくとも50%阻害を示す。本発明の好ましい化合物のIC50値は、このCDK2またはCDK1アッセイでは1μM未満である。
実施例13
GSK3−Bキナーゼ阻害活性アッセイ
GSK3−β(Upstate Discovery)を、25mM MOPS、pH7.00、25mg/ml BSA、0.0025%Brij−35、1.25%グリセロール、0.5mM EDTA、25mM MgCl、0.025%β−メルカプトエタノール、37.5mM ATPで7.5nMに希釈し、10μlを基質混合物10μlと混合する。GSK3−βの基質混合物は、35μCiγ33P−ATPを含む水1ml中、12.5μMのホスホ−グリコーゲンシンターゼペプチド−2(Upstate Discovery)である。酵素と基質を、DMSO中種々の希釈率(2.5%まで)の試験化合物5μlとともに96ウェルプレートに添加する。反応を3時間(GSK3−β)行った後、過剰量のオルトリン酸(2%、5μl)により停止させる。濾過手順は上記の活性化CDK2/サイクリンAアッセイの場合と同様である。
実施例14
抗増殖活性
本発明の組合せに用いるための化合物の抗増殖活性は、いくつかの細胞系統において細胞増殖を阻害する化合物の能力を測定することにより判定することができる。細胞増殖の阻害は、Alamar Blueアッセイ(Nociari, M. M, Shalev, A., Benias, P., Russo, C. Journal of Immunological Methods 1998, 213, 157-167)を用いて測定した。この方法は、生存細胞がレサズリンをその蛍光産物レソルフィンへと還元する能力に基づくものである。各増殖アッセイでは、細胞を96ウェルプレートで平板培養し、16時間回復させた後、さらに72時間、阻害化合物を添加する。インキュベーション期間が終了したところで、10%(v/v)のAlamar Blueを添加し、さらに6時間インキュベートした後、535nM ex/590nM emで蛍光産物を測定する。非増殖細胞のアッセイの場合には、細胞を96時間密集状態で維持した後、さらに72時間、阻害化合物を添加する。上記のようにAlamar Blueアッセイにより生存細胞の数を判定する。細胞系統は全てECACC(European Collection of cell Cultures)から入手することができる。
特に、化合物は、ヒト結腸癌由来のHCT−116細胞系統(ECACC 参照番号:91091005)に対して試験した。
多くの化合物がこのアッセイで20μM未満のIC50値を有することが分かった。なお、好ましい化合物のIC50値は1μM未満である。
実施例15
経口バイオアベイラビリティの測定
本発明の組合せに用いるための化合物の経口バイオアベイラビリティは、次のようにして測定することができる。
試験化合物をbalb/cマウスに溶液として静脈内および経口の双方にて、次の用量レベルおよび投与製剤で投与する。
・1mg/kg IV、10%DMSO/90%(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(25%w/v)中に調剤
・5mg/kg PO、10%DMSO/20%水/70%PEG200中に調剤
投与後種々の時点で、血液サンプルをヘパリン処理した試験管に採取し、分析用に血漿画分を回収した。タンパク質沈殿の後、LC−MS/MSにより分析を行い、試験化合物に対して作製した標準検量線と比較することにより、サンプルを定量する。標準的な方法により、時間に対する血漿レベルのプロフィールから曲線下面積(AUC)を算出する。パーセンテージとしての経口バイオアベイラビリティは次の方程式から算出される。
Figure 2009536186
このプロトコールに従えば、化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、経口経路によってマウスに投与した場合、40〜50%のバイオアベイラビリティを有することが分かった。
実施例16
異種移植試験
実施例1の化合物はヒト腫瘍由来細胞系統を移植したヌードマウスで抗腫瘍作用を有する。実施例1の化合物の処置は、腫瘍バイオマーカーの阻害を生じる用量で経口投与した場合、異種移植片が皮下移植された腫瘍増殖の阻害を引き起こす。これらのバイオマーカーは、サイクリン依存性キナーゼの基質、例えば、網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化の抑制を含む。実施例1の化合物は、数週間の長期投与を含む一定範囲の異なる計画で与えた場合に有効である。
実施例17
比較例
2,6−ジクロロフェニル基を含む実施例1の化合物の生物活性を、その2,6−ジフルオロフェニル類似体の生物活性と比較した。本発明者らの初期の出願PCT/GB2004/003179(公開番号WO2005/012256)の実施例131に記載されている2,6−ジフルオロフェニル類似体は次の構造を有する。
Figure 2009536186
より詳しくは、これらの化合物を、CDK2キナーゼおよびGSK3βキナーゼに対するそれらの活性、ならびにHCT−116ヒト結腸癌細胞の増殖を阻害するそれらの能力に関して比較した。このキナーゼ阻害活性とHCT−116阻害活性を上記に示されているアッセイ方法を用いて判定した。結果を下表に示す。
Figure 2009536186
本願の実施例1の化合物は、以下の理由で、そのジフルオロ類似体の化合物に優る利点を有する。
・実施例1の化合物は、そのジフルオロ類似体に比べて、ヒト結腸癌HCT−116細胞系統に対して6〜7倍強い抗増殖作用を有する。
・実施例1の化合物は、そのジフルオロ類似体に比べて、より高いin vitroキナーゼ(CDK2)阻害活性を有する。
・実施例1の化合物は、そのジフルオロ類似体(0.014μM)よりも、GSK3βに対して低い活性(0.22μM)を有する。
・実施例1の化合物は、そのジフルオロ類似体(〜6倍)に比べて、GSK3βよりもCDK阻害により高い選択性を有する(>200倍)。
医薬製剤
実施例18
(i)錠剤製剤
式(I)の化合物を含有する錠剤組成物は、化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mg、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、公知の方法で打錠することにより製造される。
(ii)カプセル剤製剤

カプセル剤は、式(I)の化合物100mgとラクトース100mgを混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬カプセルに充填することにより製造される。
(iii)注射製剤I
注射による投与のための非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)を、10%プロピレングリコールを含有する水に、有効化合物の濃度が1.5重量%となるように溶解させることにより作製することができる。その後、この溶液を濾過除菌し、アンプルに充填し、密閉する。
(iv)注射製剤II
注射用非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)(2mg/ml)およびマンニトール(50mg/ml)を水に溶解させ、この溶液を濾過除菌し、密閉可能な1ml容のバイアルまたはアンプルに充填することにより作製される。
(v)注射製剤III
注射または注入による静脈送達用製剤は、式(I)の化合物(例えば、塩の形態)を水に20mg/mlで溶解させることにより作製することができる。次に、このバイアルを密閉し、オートクレーブにより滅菌する。
(vi)注射製剤IV
注射または注入による静脈送達用製剤は、式の化合物(例えば、塩の形態)を、バッファーを含む水(例えば、0.2M酢酸塩 pH4.6)に20mg/mlで溶解させることにより作製することができる。次に、このバイアルを密閉し、オートクレーブにより滅菌する。
(vii)皮下注射製剤
皮下投与用組成物は、式(I)の化合物を、濃度が5mg/mlとなるように、医薬級トウモロコシ油と混合することにより作製される。この組成物を滅菌し、好適な容器に充填する。
(viii)凍結乾燥製剤I
式(I)の調剤したアリコートを50ml容のバイアルに入れ、凍結乾燥した。凍結乾燥では、これらの組成物を一段階凍結プロトコール(−45℃)を用いて凍結させる。アニーリングのために−10℃まで昇温した後、−45℃まで引き下げて凍結させ、その後、+25℃で約3400分間一次乾燥し、次いで、温度が50℃になれば、追加工程で二次乾燥を行う。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は、80ミリトルに設定する。
(ix)固溶体製剤
式(I)の化合物とPVPを、ジクロロメタン/エタノール(1:1)に5〜50%(例えば、16または20%)の濃度で溶解させ、その溶液を下表で示されるものに対応する条件を用いて噴霧乾燥させる。表に示されているデータは実施例1の化合物の濃度、噴霧乾燥機の入口温度と出口温度、噴霧乾燥固体の全収率、噴霧乾燥固体における実施例1の化合物の濃度(アッセイ)、および噴霧乾燥固体を構成する粒子の粒径分布(P.S.D.)を含む。
Figure 2009536186
実施例1の化合物とPVPの固溶体は、ゼラチン硬カプセルまたはHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセルにそのまま充填することもできるし、あるいは増量剤、磨砕剤または分散剤などの薬学上許容される賦形剤と混合することもできる。これらのカプセル剤は実施例1の化合物を2mg〜200mgの間、例えば、10、20および80mgの量で含む。あるいは、カプセル剤は実施例1の化合物40mgを含み得る。
実施例19
ポリビニルピロリドン(PVP)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの固体分散体を含む医薬製剤
この実施例では、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドとBurgbernheim, GermanyのBASF ChemTrade GmbHから入手可能なK30級のポリビニルピロリドン(Kollidon K30)の噴霧乾燥固体分散体を含む顆粒組成物の製造について記載する。PVPの分子量は44,000〜54,000の範囲である。
固体分散体は、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを、エタノールおよびジクロロメタンの1:1(v/v)混合物に溶解させて化合物濃度を50mg/mLとした後、PVP K30を化合物:PVP 1:3の比率で加えることで製造した。
次に、この溶質をNiro Mobile Minor 2000スプレードライヤーで噴霧乾燥した。スプレードライヤーから回収した粉末を真空乾燥させた。
噴霧乾燥条件は次の通りである。
ノズル内径(ID): 1mm
チューブ内径: 3mm
入口温度: 180℃
出口温度: 85℃
霧化圧力: 1.0バール
プロセスガス流: 3.2ミリバール(窒素83kg/h)
プロセスガス: 窒素
溶液乾重(化合物+PVP): 1980g
流速: 123g/分
収率: 84.85%
乾燥後の噴霧乾燥固体分散体の粒径分布を、レーザー回折装置を用いて測定したところ、次のようなD10、D50およびD90数値が得られた。
D10/μm 17.53
D50/μm 49.08
D90/μm 93.26
以下の実施例では、PVP中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの固体分散体は「式(I)の化合物/PVP」と呼ぶ。
以下の材料を高剪断ミキサーで30秒間ブレンドした。
リン酸二カルシウム(Emcompress(商標)) 32.8g
ケイ化微晶質セルロース(ProSolv HD90(商標)) 10.9g
式(I)の化合物/PVP 35.2g
クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(商標)) 11.1g
次に、この粉末ブレンドを、Freundローラーコンパクターを用いて圧縮した。リボンを作製するには次の条件が必要である。
フィード速度: 60rpm
ローラー速度: 2rpm
ローラー圧力: 180kgf/cm
この圧縮粉末のリボンを710μmの篩を通して砕き、得られた顆粒を好適な容器に回収した。顆粒塊のアリコート(9.0g)をAc−Di−Solのさらなるアリコート(1.0g)と混合した。サイズ0のカプセルに充填可能な顆粒塊の量を決定した(軽く充填(flush-filled)および稠密充填(tightly packed))。結果を以下にまとめる。
Figure 2009536186
崩壊試験
即時放出経口製剤に関しては、投与形の崩壊および有効成分の放出が15分以内に起こらなければならない。従って、記載されているカプセル製剤に対して、標準的な錠剤/カプセル剤崩壊装置を用いた崩壊試験を行った(欧州薬局方第4版)。蒸留水を崩壊媒体として用いた。崩壊媒体の容量は800mLとし、温度は37℃(+/−1℃)に維持した。この製剤の分散/溶解挙動の評価は観察のみにより行った。崩壊時間を下表に示す。
Figure 2009536186
溶解試験
このカプセル製剤の溶解速度を、(1)賦形剤を含まないPVPおよび式(I)の化合物の非封入固体分散体、(2)サイズ0カプセルに稠密充填された固体分散体(1)、および(3)調剤サンプルの溶解速度と比較した。
溶解試験は、欧州薬局方第4版に記載されているパドル装置を用いて行った。
溶解試験の結果を図7に示す。
これらの結果は、非封入固体分散体の溶解はカプセルサンプルの溶解よりも速かったことを示す。稠密充填サンプルでは、PVPがおそらく粒子を一緒に結合することで、式(I)の化合物の放出を遅延させる。興味深いことに、調剤サンプルは非調剤封入サンプルよりも、はるかに急速な化合物放出を示したが、これは製剤中の高い割合の崩壊剤がPVPの結合能に対抗するのに有効であることを示唆する。
実施例20
抗真菌活性の測定
式(I)の化合物の抗真菌活性は、次のプロトコールを用いて測定することができる。
当該化合物を、カンジダ・パラプシローシス(Candida parpsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)−ATCC36082およびクリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)を含む真菌パネルに対して試験する。試験生物は、4℃、Sabourahd Dextrose Agarの傾斜培地で維持する。0.05Mモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)を含むアミノ酸(Difco, Detroit, Mich.)pH7.0を含有する酵母−窒素基本ブロス(YNB)中、回転ドラムにて、27℃で一晩、酵母を増殖させることにより、各生物の単一体懸濁液を調製する。次に、この懸濁液を遠心分離し、0.85%NaClで2回洗浄した後、洗浄した細胞懸濁液を4秒間超音波処理する(Branson Sonifier, model 350, Danbury, Conn.)。単一体出芽胞子を血球計算器でカウントし、0.85%NaClで所望の濃度に調整する。
試験化合物の活性は、ブロス微量希釈法の改良法を用いて測定する。試験化合物をDMSOに希釈して1.0mg/ml比とした後、MOPSを含むYNBブロス(pH7.0)で64μg/mlに希釈し(対照としてフルコナゾールを使用)、各化合物の使用液を調製する。96ウェルプレートを用い、ウェル1およびウェル3〜12はYNBブロスを用いて調製し、化合物溶液の10倍希釈液をウェル2〜11(濃度範囲は64〜0.125μg/ml)に調製する。ウェル1は、無菌対照および分光光度アッセイのブランクとして用いる。ウェル12は増殖対照として用いる。このマイクロタイタープレートのウェル2〜11に各々10μlを接種する(最終接種量は、生物10/mlである)。接種したプレートを、35℃で48時間インキュベートする。IC50値は、プレートをボルテックスミキサー(Vorte-Genie 2 Mixer, Scientific Industries, Inc., Bolemia, N.Y.)で2分間攪拌した後、420nmで吸光度を測定することにより(Automatic Microplate Reader, DuPont Instruments, Wilmington, Del.)、分光光度法で測定する。IC50終点は、対照ウェルと比較して増殖の約50%(またはそれ以上)の減少を示す最低薬剤濃度として定義される。濁度アッセイによれば、これは、ウェルにおける濁度が対照の50%未満となる最低薬剤濃度(IC50)として定義される。最小細胞溶解濃度(MCC)は、96ウェルプレートの全てのウェルをSabourahd Dextrose Agar(SDA)プレートで継代培養し、35℃で1〜2日間インキュベートした後、生存率を確認することにより測定する。
実施例21
in vivo完全植物体真菌感染防除の生物学的評価のプロトコール
式(I)の化合物をアセトンに溶解させ、順次連続アセトン希釈して一連の所望の濃度を得た。病原体に応じて、9倍量の0.05%Tween−20(商標)水溶液または0.01%Triton X−100(商標)を添加することにより最終処理量を得る。
次に、これらの組成物を使用して、以下のプロトコールを用い、トマト胴枯れ病(ファイトフィソラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans))に対するこれらの化合物の活性を試験する。トマト(品種Rutgers)を、種子から、ソイルレスピート系の用土混合物で、苗が10〜20cmの高さになるまで生育させる。次に、これらの植物に、試験化合物を100ppmの割合で噴霧する。24時間後、試験植物にファイトフィソラ・インフェスタンスの水性胞子嚢懸濁液を噴霧して接種し、デューチャンバー内で一晩保持する。次に、これらの植物を温室に移し、未処理対照植物に病害が発生するまで維持する。
また、同様のプロトコールを使用して、コムギ赤さび病(Puccinia)、コムギうどんこ病(Ervsiphe vraminis)、コムギ(品種Monon)、コムギ葉枯病(Septoria tritici)およびコムギふ枯病(Leptosphaeria nodorum)の防除における本発明の組合せに用いるための化合物の活性を試験する。
実施例22
治療効力のアッセイ
補助化合物(化合物II)と組み合わせた式Iの化合物(化合物I)の作用は、以下の技術を用いて評価することができる。
IC 50 シフトアッセイ
ヒト細胞系統(例えば、HCT116、U87MG、A549)由来の細胞を96ウェル組織培養プレートにそれぞれ2.5×10、6.0×10または4.0×10細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、以下にように化合物またはビヒクル対照(0.35%DMSO)を添加する前に48時間回復させた。
化合物を96時間同時に加えた。
計96時間、化合物とのインキュベーションを行った後、細胞を氷上で氷冷10%(w/v)トリクロロ酢酸を用いて96時間固定し、その後、プレート洗浄機(Labsystems Wellwash Ascent)を用いてdHOで4回洗浄し、風乾した。次に、細胞を室温で20分間、1%酢酸中0.4%(w/v)のスルホローダミンB(Sigma)で染色した後、1%(v/v)酢酸で4回洗浄し、風乾し、その後、色素を可溶化するために10mM Trisバッファーを加えた。比色生成物を、Wallac Victorプレートリーダー(1420 multilabel counter, Perkin Elmer Life Sciences)を用いてAbs490nmにて読み取りを行うことで定量した。種々の用量の化合物Iの存在下における化合物IIのIC50を求めた。有効用量に満たない化合物Iの存在下でIC50が下方へシフトする場合には相乗作用と判定された。化合物IIおよび化合物Iを一緒にしたものに対する応答がこの2つの化合物それぞれの和と同等の作用を生じる場合には相加作用と判定された。拮抗作用は、IC50を上方へシフトさせもの、すなわち、2つの化合物に対する応答が2つの化合物それぞれの作用の和よりも小さいものと定義される。
Figure 2009536186
実施例23
実施例19の調剤生成物は、PVP中、化合物1の固体分散体(化合物1:PVPの比は1:3)を薬学上許容される賦形剤とともに環式造粒することにより製造された。この調剤生成物材料をサイズ0のカプセル剤皮に充填し、化合物1 10mgおよび40mgに相当する用量とした。これらのカプセルを、25℃/60%相対湿度(RH)と40℃/75%RHの2種類の異なる保存条件下で安定状態に置いた。以下のデータは、これらの調剤カプセルが良好な物理的および化学的安定性を有し、これらの保存条件下で崩壊特性と一致することを示す。
Figure 2009536186
Figure 2009536186
均等物
上記の実施例は、本発明を説明する目的で記載したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。上記に記載し、また、実施例で示す本発明の特定の実施形態に対して、本発明の原理から逸脱することなく、数多くの改変および変更をなし得ることが容易に分かるであろう。このような改変および変更は全て本願に含まれるものとする。
(原文に記載なし)

Claims (119)

  1. 補助化合物と式(I):
    Figure 2009536186
    [式中、
    は2,6−ジクロロフェニルであり;
    2aおよびR2bは双方とも水素であり;
    かつ、Rは基:
    Figure 2009536186
    (式中、RはC1−4アルキルである)
    である]
    の化合物またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドを含む(またはそれらから本質的になる)組合せ。
  2. がC1−3アルキルである、請求項1に記載の組合せ。
  3. がメチルである、請求項2に記載の組合せ。
  4. がエチルである、請求項2に記載の組合せ。
  5. がn−プロピルである、請求項2に記載の組合せ。
  6. がイソプロピルである、請求項2に記載の組合せ。
  7. 塩またはN−オキシドの形態でない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ。
  8. 塩、溶媒和物またはN−オキシドの形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ。
  9. 補助化合物および式(I)の化合物が物理的に会合されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組合せ。
  10. 補助化合物および式(I)の化合物が、(a)混合剤(例えば、同じ単位用量内の)であるか;(b)化学的/物理化学的に結合されている(例えば、架橋、分子凝集または共通のビヒクル部分との結合による)か;(c)化学的/物理化学的に同時にパッケージングされている(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子もしくはナノ粒子)またはエマルション小滴)上または内部に配置されている)か;または(d)混合されていないが、同時にパッケージングされているか、もしくは同時に提供されている(例えば、一連の単位用量の一部として)、請求項9に記載の組合せ。
  11. 補助化合物および式(I)の化合物が非物理的に会合されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組合せ。
  12. 前記組合せが、(a)少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの化合物と他の化合物との物理的会合を形成させるための即時調合会合に関する説明書とともに含むか;または(b)少なくとも1つの化合物を、他の化合物との併用療法に関する説明書とともに含むか;または、(c)少なくとも1つの化合物を、他の化合物が投与された(もしくは投与される)患者集団に投与することに関する説明書とともに含むか;または(d)少なくとも1つの化合物を、他の化合物との組合せ使用に特に適した量もしくは形態で含む、請求項11に記載の組合せ。
  13. 医薬パック、キットまたは患者パックの形態の、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組合せ。
  14. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状の予防または処置に使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  15. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象に請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを投与することを含む、方法。
  16. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、それを必要とする対象に請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを投与することを含む、方法。
  17. 哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  18. 哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、その哺乳類に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  19. 哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  20. 哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減する方法であって、その哺乳類に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  21. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を阻害する方法であって、そのキナーゼを、キナーゼを阻害する請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せと接触させることを含む、方法。
  22. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを用い、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞***)を調節する方法。
  23. 本明細書に記載の病態の予防または処置に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  24. 本明細書で定義されるいずれか1以上の使用を目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せの使用。
  25. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せと薬学上許容される担体とを含む、医薬組成物。
  26. 経口投与に適した形態の、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せと薬学上許容される担体とを含む、医薬組成物。
  27. 医療に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  28. 前記で示した、また、本明細書の他所に記載される、いずれかの使用および方法のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  29. 補助化合物で処置を受けている対象において、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状の予防または処置に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  30. 補助化合物で処置を受けている対象において、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状予防または処置を目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
  31. サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象(この対象は補助化合物で処置を受けている)に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を投与することを含む、方法。
  32. 補助化合物で処置を受けている哺乳類対象において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  33. 補助化合物で処置を受けている哺乳類対象において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その哺乳類に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  34. 補助化合物で処置を受けている対象において、異常な細胞増殖から起こる病態または症状の予防または処置を目的として薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
  35. 補助化合物で処置を受けている対象において、サイクリン依存性キナーゼまたはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3が介在する病態または症状を予防または処置する方法であって、その対象に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を投与することを含む、方法。
  36. 補助化合物で処置を受けている哺乳類対象において、異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を処置する方法であって、その対象に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害するのに有効な量で投与することを含む、方法。
  37. 補助化合物で処置を受けている対象において、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害する方法であって、そのキナーゼを、キナーゼを阻害する請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と接触させることを含む、方法。
  38. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を用い、cdkキナーゼ(cdk1またはcdk2など)またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害することにより、補助化合物で処置を受けている対象において細胞プロセスを調節する方法。
  39. 補助化合物が本明細書に記載の補助化合物のいずれかから選択される、請求項29〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 本明細書に開示されている病態または症状のいずれか1つを処置または予防する方法であって、患者(例えば、それを必要とする患者)に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ(例えば、治療上有効な量の)を投与することを含む、方法。
  41. サイクリン依存性キナーゼが介在する病態または症状を診断および処置する方法であって、(i)患者が罹患している、または罹患する可能性のある疾病または症状が、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があるものであるかどうかを判定するために患者をスクリーニングすること、および(ii)患者の疾病または症状にそのような感受性があることが示された場合、その後、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを患者に投与することを含む、方法。
  42. スクリーニングされ、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物による処置に感受性があると考えられる疾病または症状に罹患している、または罹患するリスクがあると判定された患者における病態または症状の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せの使用。
  43. 哺乳類において腫瘍増殖を阻害するのに用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  44. 腫瘍細胞(例えば、哺乳類において)の増殖を阻害するのに用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
  45. 哺乳類(例えば、ヒト)において腫瘍増殖を阻害する方法であって、その哺乳類(例えば、ヒト)に、有効に腫瘍増殖を阻害する量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを投与することを含む、方法。
  46. 腫瘍細胞(例えば、ヒトなどの哺乳類に存在する腫瘍細胞)の増殖を阻害する方法であって、その腫瘍細胞を、有効に腫瘍細胞の増殖を阻害する量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せと接触させることを含む、方法。
  47. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物との併用療法に用いるための補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)。
  48. 補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  49. 併用療法が請求項1〜48のいずれか一項に記載の予防、処置または方法を含む、請求項47または請求項48に記載の化合物。
  50. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物で処置を受けている患者の処置または予防を目的とした薬剤の製造のための、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)の使用。
  51. 補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置を受けている患者の処置または予防における使用を目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
  52. ヒトなどの温血動物において癌を処置する方法であって、該動物に、有効量の補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)を、有効量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と逐次、例えば前後、または同時に投与することを含む、方法。
  53. 哺乳類における併用癌療法の方法であって、治療上有効な量の補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)と治療上有効な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を投与することを含む、方法。
  54. 哺乳類において異常な細胞増殖を含む、または異常な細胞増殖から起こる疾病または症状を緩和する、または罹患率を軽減するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  55. 哺乳類において腫瘍増殖を阻害するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  56. それを必要とする患者において癌を予防、処置または管理するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  57. 補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置される、癌に罹患している患者における応答率の増強または増進に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
  58. 補助化合物(例えば、本明細書に開示されている補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)で処置される、癌に罹患している患者において応答率を増強または増進する方法であって、その患者に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を補助化合物と組み合わせて投与することを含む、方法。
  59. 本明細書で定義される治療的使用または予防的使用のいずれかを目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の組合せの使用。
  60. 前記組合せが2種類以上の補助化合物を含む、請求項1〜59のいずれか一項に記載の発明。
  61. 2種類以上の補助化合物が各々、本明細書に記載の補助化合物のいずれかから独立に選択される、請求項60に記載の発明。
  62. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の組合せの製造方法であって、式Iの化合物と補助化合物とを組み合わせることを含む、方法。
  63. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せの製造方法であって、式(XVII):
    Figure 2009536186
    の化合物を、基SOの導入に好適なスルホニル化剤(例えば、塩化メタンスルホニルなどの塩化スルホニル)と反応させることを含む、方法。
  64. 補助化合物が、例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレキセド、ペメトレキセド、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブおよびソラフェニブから選択される代謝拮抗化合物、タキサン化合物またはシグナル伝達阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  65. 代謝拮抗化合物がゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレキセド、ペメトレキセドおよびメトトレキサートから選択される、請求項64に記載の発明。
  66. シグナル伝達阻害剤がトラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブおよびソラフェニブから選択される、請求項64に記載の発明。
  67. 代謝拮抗化合物、タキサン化合物またはシグナル伝達阻害剤がパクリタキセル、ゲムシタビンまたはゲフィチニブ(イレッサ)である、請求項64に記載の発明。
  68. 補助化合物がカンプトテシン化合物を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  69. カンプトテシン化合物がカンプトテシン、イリノテカンおよびトポテカンから選択される、請求項68に記載の発明。
  70. カンプトテシン化合物がトポテカンである.請求項69に記載の発明。
  71. カンプトテシン化合物がイリノテカンである、請求項69に記載の発明。
  72. 補助化合物が、例えば、ビノレルビン、ビンブラスチンおよびビンクリスチンから選択されるビンカアルカロイド化合物を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  73. ビンカアルカロイド化合物がビノレルビンである、請求項72に記載の発明。
  74. ビンカアルカロイド化合物がビンブラスチンである、請求項72に記載の発明。
  75. ビンカアルカロイド化合物がビンクリスチンである、請求項72に記載の発明。
  76. 補助化合物が、例えば、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II)、オンナプラチン、テトラプラチン、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される白金化合物を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  77. 白金化合物がクロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II)、オンナプラチン、テトラプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンから選択される、請求項76に記載の発明。
  78. 白金化合物がカルボプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項77に記載の発明。
  79. 白金化合物がカルボプラチンである、請求項78に記載の発明。
  80. 補助化合物が、例えば、アントラサイクリン誘導体、ミトキサントロンおよびポドフィロトキシン誘導体から選択されるトポイソメラーゼ2阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  81. トポイソメラーゼ2阻害剤がダウノルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンから選択される、請求項80に記載の発明。
  82. トポイソメラーゼ2阻害剤がエトポシドおよびテニポシドから選択される、請求項80に記載の発明。
  83. トポイソメラーゼ2阻害剤がエトポシドである、請求項82に記載の発明。
  84. 補助薬剤が抗アンドロゲン剤または抗エストロゲン剤である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  85. 抗アンドロゲン剤がアロマターゼ阻害剤(例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンまたはアミノグルテチミド)である、請求項84に記載の発明。
  86. 抗アンドロゲン剤がタモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、ルプロリド、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミドおよびベキサロテンから選択される、請求項84に記載の発明。
  87. 補助薬剤がGnRH類似体(例えば、ゴセレリンまたはロイプロリド)である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  88. 補助薬剤が細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(または抗CD抗体)である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  89. 細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体がCD20、CD22、CD33およびCD52から選択される、請求項88に記載の発明。
  90. 細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体がリツキシマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブから選択される、請求項88または89に記載の発明。
  91. 細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が完全ヒト抗体およびキメラを含む、請求項88〜90のいずれか一項に記載の発明。
  92. 補助化合物が、例えば、ナイトロジェンマスタード化合物、ニトロソウレア化合物およびブスルファンから選択されるアルキル化剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  93. アルキル化剤がイフォスファミドおよびクロラムブシルから選択される、請求項92に記載の発明。
  94. アルキル化剤がカルムスチンおよびロムスチンから選択される、請求項92に記載の発明。
  95. アルキル化剤がブスルファンである、請求項92に記載の発明。
  96. 補助化合物が、例えば、TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103およびPXD−101から選択されるHDAC阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  97. 補助化合物が、例えばセレコキシブであるCOX−2阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  98. 補助化合物が、例えばテモゾロマイドであるDNAメチル化阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  99. 補助化合物が、例えばボルテジミブであるプロテアソーム阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  100. 補助化合物が、例えば、セリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスパリン(hydroxystaurosparine)、JNJ−7706621、BMS−387032、Pha533533、PD332991、ZK−304709およびAZD−5438から選択されるCDK阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  101. CDK阻害剤がJNJ−7706621、BMS−387032、Pha533533、PD332991、ZK−304709およびAZD−5438から選択される、請求項100に記載の発明。
  102. CDK阻害剤がJNJ−7706621である、請求項101に記載の発明。
  103. 補助化合物がオーロラ阻害剤を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  104. オーロラ阻害剤がAZD1152、MK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054およびMP−235から選択される、請求項103に記載の発明。
  105. オーロラ阻害剤がVX−680である、請求項103に記載の発明。
  106. 補助化合物がHsp90阻害剤である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  107. HSP90阻害剤がハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)、17−AAG、例えば、Kos−953およびCNF−1010、17−DMAG(Kos−1022)、およびIPI−504から選択される、請求項106に記載の発明。
  108. 補助化合物がエポチロンを含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  109. エポチリン(epothiline)がイキサベピロン、パツピロン、BMS−310705、KOS−862およびZK−EPOから選択される、請求項108に記載の発明。
  110. 代謝拮抗化合物、タキサン化合物、シグナル伝達阻害剤、カンプトテシン化合物、ビンカアルカロイド化合物、白金化合物、トポイソメラーゼ2阻害剤、抗アンドロゲン剤、モノクローナル抗体(例えば、1以上の細胞表面抗原に対するもの)、アルキル化剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤およびさらなるCDK阻害剤から独立に選択される2種類以上の補助化合物を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  111. 2種類以上の補助化合物の1つが抗アンドロゲン剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤およびさらなるCDK阻害剤から選択される、請求項110に記載の発明。
  112. 2種類以上の補助化合物が5−FU、メトトレキサート、シクロホスファミドおよびドキソルビシンから選択される、請求項111に記載の発明。
  113. 2種類以上の補助化合物がフルダラビンおよびリツキサマブを含む、請求項112に記載の発明。
  114. サイトカインおよびサイトカイン活性化剤、レチノイドまたはレキシノイド、選択的免疫応答調節剤、チェックポイント標的剤、DNA修復阻害剤、ならびにGタンパク質共役受容体阻害剤の阻害剤から独立に選択される2種類以上の補助化合物を含む、請求項1〜63のいずれか一項に記載の発明。
  115. 補助化合物が本明細書に記載のいずれかから選択される、請求項1〜114のいずれか一項に記載の発明。
  116. 組合せが2種類以上の補助化合物を含む、請求項1〜115のいずれか一項に記載の発明。
  117. 2種類以上の補助化合物の各々が本明細書に記載の補助化合物のいずれかから独立に選択される、請求項116に記載の発明。
  118. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物が4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドである、請求項1〜117のいずれか一項に記載の発明。
  119. 4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドが結晶形である、請求項114に記載の発明。
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