JP2009526199A - 凍結乾燥装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

凍結乾燥、即ち、凍結し、乾燥するための装置及び方法が与えられている。凍結工程中、凍結すべき材料又は溶液を最初にその凍結温度に近いか又はそれより低い温度に持って行き、然る後、凍結乾燥室内の圧力を低下して材料の核生成を誘発させる。

Description

(参考関連出願)
本願は、2006年2月10日に出願された米国特許仮出願Serial No.60/771,868の優先権を主張するものである。
(発明の分野)
本発明は、凍結乾燥法、特に、材料を、最初に相転移温度より低い温度へ冷却し、次に減圧してその材料の凍結の核生成を引き起こすようにする、材料凍結の核生成を含む方法に関する。
(発明の背景)
凍結乾燥(lyophilization、freeze-drying)法の凍結段階で一般に無作為的な核生成過程を、凍結乾燥を完了するのに必要な処理時間を減少し、且つ最終生成物の容器毎の生成物の同一性(uniformity)を向上するように制御することが当分野では極めて望ましいであろう。典型的な薬剤凍結乾燥法では、共通の水溶液の入った複数のガラス瓶を棚の上に置き、それら棚を一般に制御された速度で低い温度へ冷却する。夫々のガラス瓶中の水溶液は、溶液の熱力学的凍結温度よりも低く冷却され、核生成が起きるまで、過冷却された準安定な液体状態のままになっている。
ガラス瓶を横切る核生成温度の範囲は、熱力学的凍結温度近くの温度から、その熱力学的凍結温度よりかなり(例えば、約30℃まで)低い或る値の温度までの間で無作為的に分布している。この核生成温度の分布は、氷の結晶構造、最終的には凍結乾燥した生成物の物理的性質にガラス瓶毎の変動を起こす。更に、凍結乾燥過程の乾燥段階は、確率論的自然核生成現象により生成した氷の結晶粒径及び構造の範囲全体に行き亙るため甚だしく長くならざるを得ない。
過冷却された溶液の核生成温度を高くするため添加剤が用いられてきた。これらの添加剤は多くの形態を取ることができる。或るバクテリア(例えば、Pseudomonas syringae)が、過冷却された水溶液中での氷形成の核生成に役立つ蛋白質を合成することはよく知られている。そのバクテリア又はそれらの分離された蛋白質を溶液に添加すると、核生成温度を上昇することができる。幾つかの無機添加剤も核生成効果を示し、最も一般的なそのような添加剤は沃化銀、AgIである。一般に、どのような添加剤又は汚染物質でも、核生成剤として働く可能性を有する。粒状物含有量の大きな周囲状況中で調製された凍結乾燥ガラス瓶は、粒状物含有量の低い周囲状況中で調製されたガラス瓶よりも低い過冷却度で一般的に核生成し、凍結するであろう。
上に記載した核生成剤は、相転移の核生成を起こす点で媒体の組成を変化させるため、「添加剤」に分類されている。これらの添加剤は、典型的には、FDAにより規制され、承認された凍結乾燥薬剤用製品としては認可されていない。これらの添加剤は、ガラス瓶が核生成及び凍結を起こす場合の時間及び温度についての制御を与えるものでもない。むしろそれら添加剤は、ガラス瓶の平均的核生成温度を上昇させる働きをするだけである。
氷の結晶自体は、過冷却された水溶液中で氷を形成させるための核生成剤として働くことができる。「アイスフォッグ(ice fog)」法では、湿潤凍結乾燥器に冷たいガスを満たし、小さな氷粒子の気相懸濁物を生成させる。それら氷粒子をガラス瓶中に移し、それらが流体界面に接触した時に核生成を開始する。
「アイスフォッグ(ice fog)」法は、複数のガラス瓶の核生成を、制御した時間と温度で同時に制御するものではない。換言すれば、核生成現象は、凍結乾燥器中に冷たい蒸気を導入した時に、全てのガラス瓶内で同時に又は即時に起きるものではない。氷の結晶は、各々のガラス瓶中に入り込んで核生成を開始させるのに或る時間がかかり、移動時間は凍結乾燥器中の異なった場所にあるガラス瓶については異なる傾向がある。大規模な工業的凍結乾燥器の場合、「アイスフォッグ」法の実施には、凍結乾燥器全体に亙り「アイスフォッグ」を一層均一に分布させるのを補助するため、内部対流機構(device)が必要になるような装置(system)設計の変更を必要とするであろう。凍結乾燥器棚が連続的に冷却される場合、第一ガラス瓶が凍結した時と、最後のガラス瓶が凍結した時の間の時間差は、ガラス瓶間の温度差を生じ、それが凍結乾燥した生成物のガラス瓶毎の不同一性を増大するであろう。
核生成に必要な過冷却度を低くするため、切り傷、擦り傷、又は粗面化を行うことによるガラス瓶の前処理も用いられてきている。別の従来法の場合のように、ガラス瓶の前処理も個々のガラス瓶が核生成し、凍結する時の時間と温度についてのどのような程度の制御でも与えるものではなく、その代わり単に全てのガラス瓶の平均的核生成温度を上昇させるだけである。
準安定物質中の相転移を核生成させるため振動も用いられてきている。核生成を誘発するのに充分な振動は、10kHzより大きな周波数で起き、種々の設備を用いて行うことができる。この周波数範囲以内の振動は、屡々「超音波」と呼ばれているが、10kHz〜20kHzの範囲の周波数は、人間が聞ける範囲内にあるのが典型的である。超音波振動は、屡々、過冷却溶液中に空洞形成を起こし、或は、小さな気泡の形成を起こす。一時的又は慣性的空洞化構造領域(regime)では、気泡は直ぐに成長し、崩壊し、非常に大きな局部的圧力及び温度の変動を起こす。超音波振動の準安定物質中での核生成を誘発する能力は、屡々一時的空洞化により起こされる撹乱に起因する。安定又は非慣性的と呼ばれている別の空洞化領域は、崩壊せずに安定した体積又は形の振動を示す気泡を特徴とする。米国特許出願No.20020031577A1には、超音波振動が安定な空洞構造領域でも核生成を誘発することができることが記載されているが、その現象の説明は与えられていない。英国特許出願第2400901Aにも、10kHzより大きな周波数の振動を用いて溶液中に空洞化、従って、核生成を起こす傾向は、その溶液を取り巻く周囲圧力を減少するか、又は溶液中に揮発性流体を溶解することにより増大することができることが記載されている。
従来、過冷却液体中で核生成を誘発させるため、電気凍結法も用いられてきた。電気凍結は、一般に過冷却液体又は溶液中に浸漬した狭い間隔の電極間に、連続的又はパルス状の仕方で比較的大きな電場(〜1V/nm)を送ることにより達成されている。典型的な凍結乾燥の用途で電気凍結法に伴われる欠点には、特に、複数のガラス瓶又は容器を用いて凍結乾燥を適用するために、実施及び維持するのに比較的複雑でコストがかかることが含まれる。また、電気凍結は、イオン性物質(例えば、NaCl)を含む溶液には直接適用することができない。
最近、「真空誘導表面凍結」の概念を検討する研究が行われている(例えば、米国特許第6,684,524号明細書参照)。そのような「真空誘導表面凍結」では、水溶液の入ったガラス瓶を凍結乾燥器中の温度制御された棚の上に乗せ、最初約10℃に維持する。次に凍結乾燥室を真空圧近く(例えば、1ミリバール)まで減圧にし、それにより数mmの深さまで水溶液の表面凍結を起こす。次に、真空を解放し、溶液凝固点よりも低く棚温度を低下することにより、既に凍結していた表面相から氷の結晶を残余の溶液中に成長させる。この「真空誘導表面凍結」法を典型的な凍結乾燥用として実施する場合の主な欠点は、記載の条件下にある溶液が激しく沸騰又は脱ガスする危険が高いことである。
核生成過程の制御を改良することにより、凍結乾燥器中の未だ凍結していない薬剤溶液ガラス瓶の全ての凍結を一層狭い温度及び時間範囲内で起こすことができ、それによりガラス瓶毎に一層大きな同一性を有する凍結乾燥製品を生成させることができる。最低核生成温度を制御することにより、ガラス瓶内で形成される氷の結晶構造に影響を与え、凍結乾燥過程を著しく加速することができる。
従って、凍結乾燥(freeze-drying、lyophilization)法の凍結段階を含む種々の凍結法で、無作為的核生成過程を、凍結乾燥を完了するのに必要な処理時間を短縮すると共に、最終生成物のガラス瓶毎の生成物の同一性を向上するように制御する必要性が存在する。従って、上記特性の幾つか、好ましくは全てを有する方法を与えることが望ましいであろう。
(発明の概要)
本発明は:(i)室中で材料を予め定められた冷却速度で冷却する工程;(ii)前記室乾燥器中の圧力を減少して前記材料中に凍結の核生成を誘発する工程;(iii)更に、前記核生成した材料を、前記材料を凍結する最終的温度以下まで更に冷却する工程;及び(iv)前記材料を乾燥し、湿分又は溶媒が減少した乾燥生成物を生成させる工程;を含む材料を凍結乾燥する方法として特徴付けることができる。
本発明は、制御されたガス気圧及び材料の一つ以上の容器又はガラス瓶を保持するのに適合する一つ以上の棚を有する室;前記室内の前記棚の温度を制御して前記材料の温度を制御する手段;前記室に結合され、前記室から溶媒又は湿分を全て除去するのに適合する凝縮器;及び前記室を迅速に減圧し、凍結中の前記材料に相変化の核生成を起こし、乾燥中低圧を維持するように、前記室の圧力を制御する手段;を含む凍結乾燥装置として特徴付けることもできる。
本発明の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、図面に関連して与える次の一層詳細な記述から一層明らかになるであろう。
本発明の詳細な記述
核生成は、材料の小さな領域内での相転移の開始である。例えば、相転移は液体から結晶の形成であるとすることができる。屡々溶液の凍結に伴われる結晶化過程(即ち、溶液からの固体結晶の形成)は、核生成現象と共に開始し、次に結晶の成長が行われる。
結晶化過程では、核生成は、溶液又は他の材料中に分散した選択された分子が一緒になって、当面の操作条件で安定になるようなnm規模のクラスターを形成し始める段階である。これらの安定なクラスターが核を構成する。それらのクラスターが安定な核になるためには臨界的大きさに到達する必要がある。そのような臨界的大きさは、通常温度、汚染物質、過飽和度、等のような操作条件により決定され、溶液の試料毎に変化することがある。核生成現象中、溶液中の原子は、結晶構造を定める周期的に規定された仕方で配列する。
結晶成長は、クラスターの臨界的大きさに到達するのに成功した核が引き続き成長することである。条件により、核生成又は結晶成長のどちらかが他方よりも優勢になり、その結果、異なった粒径及び形の結晶が得られる。結晶粒径及び形態の制御は、薬剤の場合のように工業的に製造する場合の主要な問題の一つを構成する。
本発明の方法は、材料中に核生成相転移が起きる時間及び/又は温度を制御する方法に関する。凍結を適用する場合、材料が自然に核生成し、相を変化し始める確率は、材料の過冷却度、及び核生成のための部位又は表面を与える汚染物質、添加剤、構造体、又は撹乱の有無に関係する。
凍結又は固化工程は、凍結乾燥法では特に重要であり、現存する技術では、多数のガラス瓶又は容器を横切る核生成温度に差を与える結果になっている。核生成温度差は、不同一の生成物を生じ、過度に長い乾燥時間を生ずる傾向がある。一方本発明の方法は、バッチ式固化法(例えば、凍結乾燥)で高度の工程制御を与え、一層同一な構造及び性質を有する生成物を生ずる。或る従来法による核生成誘発技術とは異なり、本発明の方法は、実施するために必要な設備及び操作上の変更は最小限に過ぎない。
原理的には、本発明は、核生成相転移を含むどのような材料の処理工程にでも適用することができる。そのような処理の例には、液体の凍結、水溶液から氷の結晶化、溶融物からの重合体及び金属の結晶化、過飽和溶液からの無機材料の結晶化、蛋白質の結晶化、人工雪の製造、蒸気からの氷の堆積、食物冷凍、凍結濃縮、分別結晶化、低温保存、又は蒸気から液体への凝縮が含まれる。概念的観点から本発明の方法は、溶融及び沸騰のような相転移にも適用することができる。
本発明で開示する方法は、現在の薬剤凍結乾燥法に対する改良を提示している。例えば、大規模な工業的凍結乾燥器内には、凍結し、乾燥する必要がある薬剤生成物の入ったガラス瓶100,000本以上を存在させることができる。現在の工業的実施法では、凍結乾燥器中の全てのガラス瓶又は容器中の溶液が確実に凍結するように、非常に高度に溶液を冷却する。しかし、夫々のガラス瓶又は容器の内容物は、核生成過程が制御されていないため、凝固点より低い或る温度範囲に亙って無作為的に凍結する。
次に図面、特に図1に関し、そこには、従来の確率論的核生成過程を受ける水溶液の6本のガラス瓶の温度対時間のプロットが描かれており、ガラス瓶(11、12、13、14、15、及び16)内の溶液の典型的な核生成温度範囲を示している。そこから分かるように、ガラス瓶内容物は約0℃の熱力学的凍結温度を有するが、夫々のガラス瓶内の溶液は、目立つように領域18で示した、約−7℃から−20℃以下の広い温度範囲に亙って自然に核生成する。プロット19は、凍結乾燥室内の棚温度を表している。
それに対し、図2及び図3は、本発明の方法による減圧核生成を用いた凍結過程を受ける溶液の温度対時間のプロットを描いたものである。特に、図2は、室の減圧下により誘発された核生成を用いた平衡化冷却法(例2参照)を受ける水溶液の6個のガラス瓶(21、22、23、24、25、及び26)の温度対時間のプロットを示している。ガラス瓶の内容物は約0℃の熱力学的凍結温度を有するが、各瓶内の溶液は領域28で見られるように、減圧と同時に、非常に狭い温度範囲(即ち、−4℃〜−5℃)内で核生成している。プロット29は、凍結乾燥室内の棚温度を表し、平衡化凍結過程を描いており、棚の温度は多かれ少なかれ減圧前までは定常状態に維持されている。
同様に、図3は、室(31、32、及び33)の減圧により引き起こされた核生成を伴う動的冷却過程(例7参照)を受ける水溶液の3個のガラス瓶の温度対時間のプロットを示している。この場合もガラス瓶の内容物が、約0℃の熱力学的凍結温度を有するが、領域38で分かるように、各瓶中の溶液が約−7℃〜−10℃の温度範囲で減圧により同時に核生成している。プロット39は、凍結乾燥室内部の棚温度を表し、一般に棚の温度が減圧中又は減圧前に能動的に低下する場合の動的冷却過程を描いている。
図に例示したように、本発明の方法は、凍結乾燥器で薬剤溶液の凍結が一層狭い温度範囲内(例えば、約0℃〜−10℃)で起きるようにし、且つ/又は同時に、それにより、瓶ごとに一層良い同一性をもって凍結乾燥した生成物を生成させることにより、核生成過程の改良された制御を与えている。示してはないが、誘導核生成温度範囲を、相転移温度より僅かに高い所まで拡張することさえでき、過冷却の約40℃まで拡張することも出来ることが予測できる。
本発明の方法に伴われる別の利点は、最低核生成温度及び/又は正確な核生成時間を制御することにより、凍結したガラス瓶又は容器内部に形成された氷の結晶構造に影響を与えることができることである。氷の結晶構造は、氷が昇華するのにかかる時間に影響を与える変数である。このように、氷の結晶構造を制御することにより、凍結乾燥過程全体を著しく加速することができる。
次に図4に関し、例示した凍結乾燥器ユニット(200)は、凍結乾燥サイクルを行うための種々の主要部品及び付加的補助装置を有する。特に、凍結乾燥器ユニット(200)は、凍結乾燥される溶液のガラス瓶又は容器(図示されていない)を保持するのに適合する棚(204)の入った凍結乾燥室(202)を含んでいる。凍結乾燥される溶液は特別に配合され、典型的には活性成分、溶媒系、及び幾つかの安定化剤、又は他の薬剤として許容可能なキャリヤー又は添加剤を含んでいる。この配合物の凍結乾燥は、中空の棚上に配置された特別の容器から行われる。これらの容器には、ストッパーを具えたガラス瓶、アンプル、注射器、或は多量凍結乾燥の場合には、平なべが含まれることがある。
例示した凍結乾燥器ユニット(200)は凝縮器(206)も含み、それは、昇華し脱着した溶媒を気相から氷として凝縮又は凍結除去し、凍結乾燥器中に適切な真空を維持するのに適合する。凝縮器(206)は、凍結乾燥室(202)の内部に配置するか、その凍結乾燥室(202)と、所謂絶縁バルブを通して流通する別の外部ユニットとして配置することができる。凍結乾燥器ユニット(200)は、凝縮器(206)に操作上結合された真空ポンプ(208)で、凍結乾燥室(202)及び凝縮器(206)に真空を引くのに適合する真空ポンプを含むことも好ましい。
低温冷凍装置(210)は、凍結乾燥室(202)内部の棚(204)及び凝縮器(206)へ循環される予め定められた熱移動流体を冷却することにより凍結乾燥器ユニット(200)のための温度制御手段を与える。例示したように、低温冷凍装置(210)は、液体窒素のような冷凍剤源(218)、低温熱交換器(220)及び熱移動流体回路(222)、通気孔(224)、加熱器(226)、ポンプ(227、228)を含む。
低温熱交換器(220)は、プラクセアー社(Praxair, Inc.)から入手できるヌクール(NCOOL)(商標名)非凍結低温熱交換装置であるのが好ましい。低温熱交換器(220)の重要な特徴は、熱交換器の中、又は内側で液体窒素を、熱移動流体に晒された冷却用表面にその液体窒素が直接接触しないようにしたやり方で気化することである。そのような熱交換器の構造及び操作の詳細は、米国特許第5,937,656号明細書〔チェング(Cheng)その他〕(それらの記載は参考のためここに入れてある)に見出すことができる。
予め定められた熱移動流体回路(222)は、熱移動流体を循環させるのに適合し、操作上凍結乾燥室(202)と、凝縮器(206)との両方に結合している。一層特別には、熱移動流体は、凍結乾燥室(202)内の中空棚(204)の内部を循環し、必要に応じ、溶液へ棚(204)を通して冷却又は加熱を正確に伝達する。更に、予め定められた熱移動流体は、凝縮器(206)を通って流れ、氷を昇華させ、更に溶媒を脱着するのに必要な冷却手段も与える。
ポンプ(227)及び加熱器(226)は、熱移動流体回路(222)に沿って、凍結乾燥室(202)の上流で、低温熱交換器(220)の下流に配置されている。ポンプ(227)は、熱移動回路(222)を通って熱移動流体を必要な流量で移動させる規模になっている。加熱器(226)は、乾燥過程中に必要になることがあるように、熱移動流体及び凍結乾燥室(202)へ補充熱を与えるのに適合する電気加熱器であるのが好ましい。
図4の態様で分かるように、低温熱移動流体の循環により凝縮器(206)も冷却される。凝縮器(206)を通って流れる熱移動流体の冷却も、低温熱交換器(220)により与えられる。低温熱交換器(220)は、熱移動流体を凍結することなく、連続的に冷却することができる。乾燥段階中、低温熱交換器(220)を、凝縮器(206)に必要な最低温度を達成するように設定するか又は適合させ。上に記載したように、低温熱交換器(220)は、熱移動流体へ熱移動させるため、液体窒素を予め気化して低温寒冷ガスにする。液体窒素を予め気化することにより、熱移動流体が他の側に配置されている場合、熱交換器表面で液体窒素が直接沸騰するのを回避する。そのような構成により低温熱交換器(220)が凍結しないようになる。なぜなら、液体窒素は大気圧で約−195℃で沸騰するからである。
図4の例示した態様も、凍結乾燥室(250)のガス雰囲気、特に室(202)内のガス組成及び圧力を制御するための手段を含む。室(202)の圧力を制御することにより、溶液の核生成を誘発する室の加圧及び迅速な減圧を行うことができる。開示した態様では、一つ以上の流動制御バルブ(252)を用いるのが好ましく、それらバルブは、ガス源(図示されていない)から室(202)へ加圧ガス雰囲気を導入し易くし、その加圧ガス雰囲気を制御された、好ましくは迅速な仕方で室(202)から通気して出すことにより室を減圧し、それにより種々の容器又はガラス瓶中の溶液の核生成を誘導するのに調節可能に適合する。
示されてはいないが、凍結乾燥器ユニット(200)は、凍結乾燥設備の種々の部分に指令を与え、統合し、予めプログラムされた凍結乾燥サイクルを遂行するのに適合する種々の制御ハードウエアー及びソフトウエアーも含んでいる。種々の制御及びハードウエアー及びソフトウエアー装置は、記録書類作成、データー記録、警報、及び装置安全管理能力も同様に与えることができる。更に、凍結乾燥器ユニット(200)に対する補助装置は、凍結乾燥室(202)、凍結乾燥室(202)への生成物の自動出し入れ、及び凍結滑り止め、液体窒素タンク、配管、バルブ、センサー、等のような付随する低温装置付属品を含んでいてもよい。
広い意味で、材料内の相転移の核生成を誘導するための開示した本発明の方法は:(i)材料の相転移温度に近いか又はそれより低い温度へ材料を冷却する工程;及び(ii)圧力を急速に低下して前記材料内に相転移の核生成を誘発する工程;を含む。これらの重要な工程の各々を、下に一層詳細に論ずる。
工程1−材料の冷却
本発明の方法で有用な材料の例には、純粋な物質、ガス、懸濁物、ゲル、液体、溶液、混合物、又は溶液又は混合物内の成分が含まれる。本発明の方法で用いるのに適した材料には、例えば、薬剤材料、生物薬剤材料、食品、化学物質が含まれ、傷手当用品、化粧品、家畜病薬品、及び生体内/生体外診断関連品、等のような製品が含まれることがある。材料が液体である場合、その液体の中にガスを溶解するのが望ましいことがある。制御されたガス環境中の液体は、一般にその中にガスが溶解しているであろう。
本発明で用いられる材料の別の例には、組織、器官、多細胞構造体のような生物学的又は生物薬剤材料が含まれる。或る生物学的及び薬剤用途では、材料は溶液又は混合物でもよく、それは:生きた又は弱毒化ウイルス;核酸;モノクローナル抗体;ポリクローナル抗体;生体分子;非ペプチド類似体;ポリペプチド、疑似ペプチド、及び修飾ペプチドを含めたペプチド;融合及び修飾蛋白質を含めた蛋白質;RNA、DNA、及びそれらの亜綱;オリゴヌクレオチド;ウイルス粒子;同様なそのような材料又はその成分;が含まれる。
凍結乾燥のためのガラス瓶又は容器中に入れられた薬剤又は生物薬剤溶液は、本発明の方法により恩恵を受ける材料の良い例であろう。それら溶液は殆ど水であり、実質的に圧縮不可能である。そのような薬剤又は生物薬剤溶液は、高度に純粋で、一般に核生成のための部位を形成することができる粒状物を含まない。ガラス瓶毎、又は容器毎に一貫した同一性の氷結晶構造体を生成させる同一の核生成温度が重要である。発生した氷結晶構造体は、乾燥するのに必要な時間にも大きな影響を与える。
凍結乾燥法を適用する場合、材料を凍結乾燥室のような室中に入れるのが好ましい。その室は、室内の温度、圧力、及びガス雰囲気を制御できるように構成されているのが好ましい。ガス雰囲気には、アルゴン、窒素、ヘリウム、空気、水蒸気、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化窒素、酸化窒素、ネオン、キセノン、クリプトン、メタン、水素、プロパン、ブタン、等、及びそれらの許容可能な混合物が含まれるであろうが、それらに限定されるものではない。好ましいガス雰囲気は、アルゴンのような不活性ガスを約7〜約50psig以上の圧力で含む。凍結乾燥室内の温度は、屡々凍結乾燥法によって予測され、室内の棚を冷却又は温め、ガラス瓶又は容器の温度及び夫々のガラス瓶又は容器内の材料の温度を変動する熱移動流体を使用することにより容易に制御される。
本発明の方法により、材料を、その相転移温度に近いか又はそれより低い温度へ冷却する。凍結乾燥処理を受ける水性系溶液の場合、相転移温度はその溶液の熱力学的凝固点である。溶液が、その溶液の熱力学的凝固点より低い温度に到達すると、過冷却されていると言われる。水性系溶液に凍結処理を施した場合、本発明の方法は、過冷却度が相転移温度に近いか又はそれより低い温度から約40℃の過冷却、好ましくは約3℃の過冷却〜10℃の過冷却の範囲にある場合が効果的である。下に記載する例の幾つかでは、核生成を含む本発明の方法は、溶液が、その熱力学的凝固点よりも僅かに約1℃低く過冷却されている場合でも望ましく作用する。
材料が、その相転移温度より低い温度になっている場合、それは屡々準安定状態になっていると言われる。準安定状態は、化学的又は生物学的系の不安定で一時的なものであるが、比較的長く存続することができる状態である。準安定材料は、その平衡相又は状態ではない相又は状態で一時的に存在する。その材料又はその環境になんら変化がない場合には、準安定材料は最終的にはその非平衡状態からその平衡状態へ転移するであろう。準安定材料の例には、過飽和溶液及び過冷却液体が含まれる。
準安定材料の典型的な例は、大気圧で−10℃の温度の液体の水であろう。通常0℃の凝固点を有する液体の水は、熱力学的にはこの温度及び圧力では存在しないはずであるが、氷の結晶化過程を開始する核生成現象又は構造体がないと存在することができる。極端に純粋な水は、大気圧で非常に低い温度(−30℃〜−40℃)まで冷却することができ、依然として液体状態のままになっている。そのような過冷却水は、熱力学的に準安定な非平衡状態になっている。それは、相転移を開始して、それにより平衡状態へ戻るためには、核生成現象を起こさせることが欠如しているだけである。
上で論じたように、材料内部に相転移の核生成を誘導するか又は材料を凍結する本発明の方法は、例えば、平衡冷却する周囲状況又は動的に冷却する周囲状況を含めた種々の冷却プロファイルに従って用いることができる(図2及び3参照)。
工程2−圧力急速低下
材料が、相転移温度に近いか又はそれより低い希望の温度に到達したならば、室を迅速又は急速に減圧する。この減圧により、ガラス瓶又は容器内の溶液の核生成及び相転移が誘発される。好ましい態様として、室の減圧は、高圧室を周囲の環境又は低圧の室又は環境から分離している大きな制御バルブを開くか又は部分的に開くことにより達成する。その室からガス雰囲気が大量に流出することにより上昇した圧力は急速に低下する。減圧は核生成の誘発をかなり早めるために必要である。減圧は数秒以内、好ましくは40秒以内、一層好ましくは20秒以内、最も好ましくは10秒以内で完了すべきである。
典型的な凍結乾燥を適用する場合、最初の室圧力と減圧後の最終的室圧力との圧力差は、約7psiより大きいのがよいが、それより小さな圧力低下でも或る場合には核生成を誘発するであろう。殆どの商業的冷凍乾燥器は、核生成を制御するのに必要な圧力低下範囲に容易に順応することができる。多くの冷凍乾燥器は、121℃の飽和水蒸気を用いた慣用的殺菌方法に耐えられるように25psigを越える圧力規格を持つように設計されている。そのような設備の規格は、外囲圧力又は直ぐ取り巻く周囲状況中の圧力より高い出発圧力から減圧するプロトコルに従って核生成を誘発する充分な余力を与える。上昇させた圧力及び続く減圧は、どのような既知の手段(例えば、空気圧、水圧、又は機械的手段)によっても達成することができる。好ましい態様として、本発明の方法のための操作圧力は、適用したどのガスの超臨界圧力よりも低く留まっているべきであり、材料を極端に低い圧力(即ち、約10ミリトール以下)にかけることは、材料の核生成中、回避すべきである。
どのような特別な機構にも束縛されたくはないが、本発明の方法の実施で観察される制御された核生成を説明する一つの可能な機構は、材料中に溶解しているガスが減圧により溶液から出て気泡を形成し、それが材料の核生成を起こすと言うことである。最初の上昇させた圧力は溶液中に溶解したガスの濃度を増大する。冷却後に圧力を急速に減少することによりガスの溶解度を低下し、次に、その過冷却された溶液からのガスの遊離が相転移の核生成を誘発する。
別の可能な機構は、減圧中の材料の直ぐ近くのガスの温度低下が材料の表面にコールドスポットを生じ、それが核生成を開始することである。別の可能な機構は、減圧が材料中の幾らかの液体の蒸発を起し、吸熱蒸発過程により得られた冷却が核生成を開始するであろうと言うことである。別の可能な機構は、材料の直ぐ近くの減圧寒冷ガスが、減圧前の材料と平衡になっているか、又は減圧中の蒸発により材料から遊離した幾らかの蒸気を凍結し、得られた固体粒子が材料中に再び入り、核生成を開始する種子又は表面として働くことである。これらの機構の一つ以上が、材料の性質、その周囲状況、及び核生成される相転移により異なった程度に冷凍又は固化の核生成の開始に寄与するであろう。
本方法は、周囲圧力より高いか、又は周囲圧力にまたがる圧力範囲より高い圧力で完全に行うことができる。例えば、初期室圧力は、周囲圧力よりも高くすることができ、減圧後の最終的室圧力も周囲圧力よりも高いが、初期室圧力よりは低くすることができる。初期室圧力は周囲圧力よりも高くすることができ、減圧後の最終的室圧力はほぼ周囲圧力になっているか、周囲圧力よりも僅かに低くすることができる。
圧力低下の速度及び大きさも、本発明の方法の重要な特徴になると考えられる。実験は、圧力低下(△P)が約7psiより大きい場合に核生成が誘発されるであろうことを示している。別法として、圧力低下の大きさは、絶対圧力比、R=Pi/Pf(ここで、Piは初期絶対圧力でありPfは、最終的絶対圧力である)として表すことができる。絶対圧力比Rが、本方法の多くの実際的適用で、約1.2より大きい場合に、減圧により核生成が誘発されると考えられる。圧力低下速度も、本発明の方法で重要な役割を果たす。圧力低下速度を特徴付ける一つの方法は、パラメーターA(ここで、A=△P/△tである)を使用することによる。この場合も、約0.2psi/秒のような予め定められた値よりも大きなAの値の場合に核生成が誘発されるであろうと推測される。実験による経験的データーは、好ましい圧力低下及び圧力低下速度を確かめるのに役立つはずである。
次の実施例は、材料に核生成を誘発する開示した本発明の方法の種々の態様及び特徴を明らかにするものであり、限定する意味に取るべきではない。むしろこれらの実施例は単なる例示のためであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に関してのみ決定されるべきである。
(実施例)
ここに記載する全ての例は、約1.0mの全棚面積を持つ四つの棚を有し、内部凝縮器を具えたパイロット規模のバーチス(VirTis)51−SRC凍結乾燥器で行った。このユニットは、約15psigまでの加圧を保持できるように改造されていた。凍結乾燥室の後壁に1.5″の直径の丸い開口も加え、1.5″の直径のステンレス鋼管をその穴から後壁絶縁体を通って伸ばし、凍結乾燥器の背後から出るようにしてあった。二つの1.5″全口空気作動ボールバルブをこの配管に衛生付属品により取付けた。一つのボールバルブはガスを凍結乾燥室中へ流し、それにより15psigまでの圧力を加えることができた。第二のボールバルブは、凍結乾燥室からガスを流出し、それにより室の圧力を大気圧状態(0psig)へ減少させることができた。凍結乾燥器の棚及び凝縮器の冷却は、全てプラクセアー・ヌクール−HX装置を用いて液体窒素により冷却したダイナレン(Dynalene)MV熱移動流体の循環により達成した。
溶液は全てクラス(class)100クリーンルームで調製した。ドアー、棚、及び制御器を、全てクリーンルームから操作できるようにした凍結乾燥器を配置したが、他の部品(ポンプ、加熱器、等)は、クリーンルームではない環境中に配置した。全ての溶液はHPLC等級水〔フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)、0.10μmの膜を通して濾過したもの〕を用いて調製した。最終的溶液は0.22μmの膜を通して濾過した後、ガラス瓶又は凍結乾燥容器に充填した。全てのガスはシリンダーにより供給し、粒子を除去するため0.22μmのフィルターを通して濾過した。ガラス容器(5mlのガラス瓶及び60mlのボトル)を、ウィートン・サイエンス・プロダクツ(Wheaton Science Products)から粒子について予め清浄にして得られた。適当な場合には、薬剤で許容できるキャリヤーを用いた。上記工程は、核生成剤として働く粒子について、材料及び方法が慣用的薬剤製造基準に確実に合うように行った。
ここで用いる「薬剤として許容可能なキャリヤー」には、次のようなどのようなものでも全て含まれる:溶媒、分散媒体、酸化防止剤、塩、被覆、表面活性剤、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル、ソルビン酸、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、溶体化遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収剤(例えば、カオリン粘土、ベントナイト粘土)、薬剤安定化剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、ゲル、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン、カルボキシ−メチル−セルロース、アルギネート)、賦形剤(例えば、ラクトース、ミルクシュガー、ポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば、寒天、澱粉、ラクトース、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸、ソルビトール、グリシン)、湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール)、潤滑剤、吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム塩)、食用油(例えば、アーモンドオイル、ココナッツオイル、油状エステル、又はプロピレングリコール)、甘味剤、芳香剤、着色剤、充填剤(例えば、澱粉、ラクトース、サクロース、グルコース、マニトール)、錠剤化潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、グルコース、ラクトース、米粉、チョーク)、吸入のためのキャリヤー(例えば、炭化水素推進剤)、緩衝剤、又は当業者に知られているであろうそのような材料及びそれらの組合せ。
ここに記載する実験条件及び研究した全ての凍結乾燥配合物については、約−8℃〜−20℃、場合により−5℃位の暖かい容器温度で確率論的な核生成が起きることが典型的に観察されている。容器は一般に核生成を起こさずに長い時間−8℃より暖かい温度に維持することができた。核生成の開始及び続く結晶成長(即ち、凍結)は、発熱融解潜熱に対応して容器の温度が急速に上昇する点として温度測定により決定した。冷凍の開始は、冷凍乾燥室のドアーに付けた覗き窓を通して目で見て決定することもできた。
例1−核生成温度の制御
4個の別々のガラス瓶に、5重量%のマンニトール溶液2.5mlを満たした。5重量%マニトール溶液の予測された熱力学的凝固点はほぼ−0.5℃である。4個のガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。4個のガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いて監視した。凍結乾燥器は14psigにアルゴンで加圧した。
凍結乾燥器の棚を冷却して約−1.3℃〜約−2.3℃のガラス瓶温度にした(熱電対の測定精度は±1℃であった)。次に凍結乾燥器を約14psigからほぼ大気圧へ5秒より短い時間で減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させた。四個のガラス瓶全てが減圧直後に核生成し、凍結を始めた。結果を下の表1に要約する。
表1から分かるように、この例の制御された核生成温度(即ち、初期ガラス瓶温度)は、溶液の予測された熱力学的凝固点に極めて近い。このように、本発明の方法は、非常に僅かな過冷却度を有する溶液中で、或はそれらの凝固点に近いか又はそれより僅かに低い核生成温度で核生成が起きるように制御することができる。
表1.核生成温度の制御
ガラス 溶液 原子 初期ガラス 圧力低下 減圧
瓶番号 瓶温度(℃) (psi) 結果
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -2.3 14 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -1.3 14 核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -2.1 14 核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -1.7 14 核生成
例2−核生成温度の制御
この例では、95個のガラス瓶に、5重量%のマンニトール溶液2.5mlを満たした。5重量%マンニトール溶液の熱力学的凝固点はほぼ−0.5℃である。95個のガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器の棚の別の場所に置いた6個のガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いて連続的に監視した。凍結乾燥器は約14psigにアルゴンで加圧した。次に、凍結乾燥器の棚を冷却し、−5℃に近いガラス瓶温度にした。次に凍結乾燥器を約14psigからほぼ大気圧へ5秒より短い時間で減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させた。95個のガラス瓶全てが減圧直後に核生成し、凍結を始めたことが目で見て観察された。6個の監視したガラス瓶についての熱電対データーは、肉眼観察を確認させるものであった。結果を表2に要約する。
表から分かるように、この例の制御された核生成温度(即ち、初期ガラス瓶温度)は、溶液の予測された熱力学的凝固点より幾らか低い。このように、本発明の方法は、中位の過冷却度を有する溶液中で核生成が起きるように制御することができる。この例は、本発明の方法を多数のガラス瓶に適用できるように規模拡大することができることも実証している。
表2.核生成温度の制御
ガラス 溶液 原子 初期ガラス 圧力低下 減圧
瓶番号 瓶温度(℃) (psi) 結果
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.2 14 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.4 14 核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.6 14 核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.4 14 核生成
5 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.6 14 核生成
6 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 核生成
例3−減圧度の制御
この例では、多数のガラス瓶に、5重量%のマンニトール溶液2.5mlを満たした。この場合も、5重量%マンニトール溶液の予測された熱力学的凝固点はほぼ−0.5℃である。夫々の試験実験について、ガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。前に記載した例の場合と同様に、ガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いて監視した。凍結乾燥器中のアルゴン雰囲気を種々の圧力へ加圧し、凍結乾燥器の棚を冷却し、ガラス瓶温度を約−5℃にした。夫々の試験実験で、凍結乾燥器を次に、選択した圧力から大気圧へ急速に(即ち、5秒より短い時間で)減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させるようにした。結果を表3に要約する。
表3から分かるように、圧力低下が約7psi以上であり、核生成温度(即ち、初期ガラス瓶温度)が約−4.7℃〜−5.8℃の場合に制御された核生成が起きた。
表3.減圧度の影響
ガラ 溶液 原子 初期ガラ 圧力 減圧
ス瓶 ス瓶温度 低下 結果
番号 (℃) (psi)
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.7 7 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 7 核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.3 7 核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.6 7 非核生成
5 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.6 7 核生成
6 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.8 7 核生成
7 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 6 非核生成
8 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.7 6 非核生成
9 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.8 6 非核生成
10 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 5 非核生成
11 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 5 非核生成
12 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.5 5 非核生成
13 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.7 4 非核生成
14 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 4 非核生成
15 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.3 4 非核生成
例4−減圧速度の制御
この例では、多数のガラス瓶に、約−0.5℃の予測された熱力学的凝固点を有する5重量%のマンニトール溶液約2.5mlを満たした。種々の減圧時間の夫々の試験実験について、ガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。前に記載した例の場合と同様に、ガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いて監視した。上に記載した例と同様に、凍結乾燥器中のアルゴン雰囲気を約14psigへ加圧し、棚を冷却し、ガラス瓶温度を約−5℃にした。夫々の試験実験で、凍結乾燥器を次に、14psiから大気圧へ種々の減圧速度で減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させるようにした。
減圧速度又は減圧時間の影響を研究するため、凍結乾燥器の後ろ側にある減圧制御バルブの出口に制限ボールバルブを配置した。その制限バルブを完全に開くと、約2.5秒で約14psigから約0psigへの減圧が達成される。制限バルブを部分的にだけ占めることにより、室減圧時間の増大を変化させることができる。制限ボールバルブを用いることにより、減圧速度の核生成に対する影響を確認又は決定するため、種々の速度で凍結乾燥室を減圧することにより幾つかの試験実験を行った。結果を表4に要約する。
表4.減圧時間の影響
ガラ 溶液 原子 初期ガラ 圧力 時間 減圧
ス瓶 ス瓶温度 低下 結果
番号 (℃) (psi) (秒)
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.6 14 300 非核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 14 300 非核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.8 14 300 非核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.6 14 200 非核生成
5 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 14 200 非核生成
6 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 14 200 非核生成
7 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.6 14 100 非核生成
8 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.2 14 100 非核生成
9 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.2 14 100 非核生成
10 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.7 14 60 非核生成
11 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 60 非核生成
12 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 60 非核生成
13 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 50 非核生成
14 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.3 14 50 非核生成
15 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.9 14 50 非核生成
16 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.4 14 42 非核生成
17 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.5 14 42 非核生成
18 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.0 14 42 非核生成
19 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 32 核生成
20 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.7 14 32 核生成
21 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.6 14 32 核生成
22 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.7 14 13 核生成
23 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.3 14 13 核生成
24 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.5 14 13 核生成
表4から分かるように、減圧時間が42秒より短く、圧力低下が約14psi以上であり、核生成温度(即ち、初期ガラス瓶温度)が約−4.6℃〜約−5.8℃である場合にのみ核生成が起きた。これらの結果は、本方法が有効であるためには減圧を比較的迅速に達成する必要があることを示している。
例5−ガス雰囲気の制御
この場合も、多数のガラス瓶に、5重量%のマンニトール溶液約2.5mlを満たし、互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。前に記載した例の場合と同様に、試験ガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いて監視した。異なった試験実験について、凍結乾燥器中のガス雰囲気を約14psigの加圧を常に維持するように変化させた。この例では、凍結乾燥器の棚を冷却し、ガラス瓶温度を約−5℃〜−7℃にした。夫々の試験実験で、凍結乾燥器を次に、約14psigから大気圧へ急速に減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させるようにした。結果を表5に要約する。
ここで分かるように、圧力低下が約14psiで、核生成温度(即ち、初期ガラス瓶温度)が約−4.7℃〜約−7.4℃である場合に、ヘリムガス雰囲気を除き、全てのガス雰囲気で制御された核生成が起きた。これらの例では示されていないが、別の条件ではヘリム雰囲気中で制御された核生成が恐らく可能になるであろうと考えられる。
表5.ガス雰囲気組成の影響
ガラ 溶液 原子 初期ガラ 圧力 減圧
ス瓶 ス瓶温度 低下 結果
番号 (℃) (psi)
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -4.9 14 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.2 14 核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール 窒素 -4.7 14 核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール 窒素 -5.1 14 核生成
5 2.5 mlの5重量%マンニトール キセノン -4.8 14 核生成
6 2.5 mlの5重量%マンニトール キセノン -5.0 14 核生成
7 2.5 mlの5重量%マンニトール 空気 -7.4 14 核生成
8 2.5 mlの5重量%マンニトール 空気 -7.2 14 核生成
9 2.5 mlの5重量%マンニトール ヘリウム -5.8 14 非核生成
10 2.5 mlの5重量%マンニトール ヘリウム -5.5 14 非核生成
例6−多量の溶液
この例では、6個の凍結乾燥ボトル(容量60ml)に、約−0.5℃の予測された熱力学的凝固点を有する5重量%のマンニトール溶液約30mlを満たした。6個の凍結乾燥ボトルを互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器の棚の別の場所に置いた6個のボトルの温度を表面に取付けた熱電対を用いて監視した。凍結乾燥器は14psigにアルゴン雰囲気で加圧した。次に、凍結乾燥器の棚を冷却してボトルの温度を−5℃近くにした。次に凍結乾燥器を約14psigからほぼ大気圧へ5秒より短い時間で減圧し、ボトル内の溶液の核生成を誘発させた。結果を表6に要約する。
別の実験で、大きなプラスチック凍結乾燥皿〔ゴアー・リオガード(Gore LYOGUARD)、容量1800ml〕を5重量%のマンニトール溶液約1000mlで満たした。皿は、USP低粒状物要件(USP low particulate requriements)を満たすように予め清浄にしたものを得た。その皿を凍結乾燥器の棚の上に置き、皿の温度を、皿の外側表面上の一方の側の中心近くに取付けた熱電対により監視した。次に、凍結乾燥器の棚を冷却し、皿の温度を−7℃近くにした。次に、凍結乾燥器を14psigからほぼ大気圧へ5秒より短い時間で減圧し、皿中の溶液の核生成を誘発した。それらの結果も表6に要約する。
上に記載した例と同様に、全ての容器が減圧直後に核生成し、凍結を開始した。やはり上に記載した例と同様に、この例の核生成温度(即ち、容器温度)は、溶液の熱力学的凝固温度に幾らか近くなるように非常によく制御することができた。更に重要なことは、この例は、本発明の方法が大きな体積の溶液及び種々の容器形態でも核生成が起きるように制御することができることを例示している。配合物体積が増大するに従って、減圧法の効率が増大することを期待できるであろうことにも注意すべきである。なぜなら、核生成現象は、凝集して臨界的核を形成する分子が一層多く存在する場合に一層起き易いからである。
表6.溶液体積及び容器の型の影響
容器 溶液 原子 初期ガラス 圧力低下 減圧
瓶温度(℃) (psi) 結果
ボトル#1 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.3 14 核生成
ボトル#2 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.1 14 核生成
ボトル#3 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.9 14 核生成
ボトル#4 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.2 14 核生成
ボトル#5 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -5.9 14 核生成
ボトル#6 30 mlの5重量%マンニトール アルゴン -6.1 14 核生成
皿 1000mlの5重量%マンニトール アルゴン -6.9 14 核生成
例7−動的冷却対平衡冷却
核生成を制御する本発明の方法は、種々の方式で用いることができる。上に記載した例1〜6は、夫々熱力学的凝固点より低い温度で本質的に平衡になっている凍結乾燥溶液の核生成温度を制御する特徴(即ち、非常にゆっくり変化する温度)を夫々実証している。この例は、核生成が、動的冷却(即ち、溶液が迅速な温度変化を受ける)周囲状況中でも熱力学的凝固点よりも低い温度で起きることができることを実証している。
この例では、ガラス瓶1〜6は、例2に関連して上に記載した試料を表している。更に、3個の別のガラス瓶(ガラス瓶7〜9)にも5重量%のマンニトール溶液2.5mlを満たした。別の試験実験で3個の更に別のガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器の棚を、−45℃の最終的棚温度の方へ迅速に冷却した。ガラス瓶の一つが、表面に取付けた熱電対により測定して、約−5℃の温度に到達した時、その凍結乾燥器を約14psigから0psigへ迅速に減圧し、核生成を誘発するようにした。3個のガラス瓶は、全て減圧直後に核生成し、凍結を始めた。ガラス瓶の温度は、動的冷却の周囲状況の結果として、核生成前に−6.8℃〜−9.9℃へ著しく低下した。比較結果を下の表7に要約する。
表7.試験結果−動的冷却の核生成に与える影響
ガラス 溶液 方式 核生成 圧力低下 減圧
瓶番号 温度(℃) (psi) 結果
1 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -4.2 14 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -4.4 14 核生成
3 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -4.6 14 核生成
4 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -4.4 14 核生成
5 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -4.6 14 核生成
6 2.5 mlの5重量%マンニトール 平衡化 -5.1 14 核生成
7 2.5 mlの5重量%マンニトール 動的 -6.8 14 核生成
8 2.5 mlの5重量%マンニトール 動的 -7.2 14 核生成
9 2.5 mlの5重量%マンニトール 動的 -9.9 14 核生成
与えられた温度範囲で平衡になった凍結乾燥溶液、又は動的冷却された凍結乾燥溶液中の核生成を制御するための本発明の方法の効率は、異なった利点及び交換を有する二つの可能な適用方式を最終ユーザーに与える。凍結乾燥溶液を平衡させることにより、核生成温度範囲が、凍結乾燥器自体の性能限界まで狭くなるか、又は最小限になるであろう。平衡化工程は、室及びガラス瓶温度が1工程で約−40℃より低く低下する場合、慣用的又は動的凍結プロトコルと比較して達成するのに余計な時間を必要とするであろう。しかし、平衡化工程を用いることは、ガラス瓶又は容器の全てに亙って遥かに向上した核生成の同一性を与えるのみならず、材料の核生成温度を正確に制御することに伴われる他の利点を実現するはずである。
別法として、材料又は凍結乾燥溶液温度の平衡化が望ましくないならば、通常の凍結又は動的冷却プロトコル中、適当な時間で減圧工程を単に実施してもよい。動的冷却中の減圧は、凍結乾燥容器内の材料に一層広い核生成温度の広がりを生ずるであろうが、凍結プロトコルに最小限の時間を追加することになるであろう。それでも、依然として極端な過冷却の問題を軽減することができる。
例8−種々の賦形剤の影響
材料中に核生成を誘発するか又はそれを制御する本発明の方法を用いて、種々の凍結乾燥賦形剤を含む過冷却溶液の核生成温度を制御することができる。この例は、次の賦形剤:マンニトール;ヒドロキシエチル澱粉(HES);ポリエチレングリコール(PEG);ポリビニルピロリドン(PVP);デキストラン;グリシン;ソルビトール;サクロース;及びトレハロース;を用いた本発明の方法の使用を実証する。凍結乾燥の棚の上にそれらガラス瓶を互いに近接させて置いた。凍結乾燥器をアルゴン雰囲気で約14psigへ加圧した。凍結乾燥器の棚を冷却してガラス瓶温度をほぼ−3℃にし、次に迅速に減圧して核生成を誘発させた。結果を表8に要約する。
表8.種々の凍結乾燥賦形剤の影響
ガラス 溶液/賦形剤 原子 初期ガラス 圧力低下 減圧
瓶番号 瓶温度(℃) (psi) 結果
1 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -3.3 14 核生成
2 2.5 mlの5重量%マンニトール アルゴン -3.0 14 核生成
3 2.5 mlの5重量%HES アルゴン -3.1 14 核生成
4 2.5 mlの5重量%HES アルゴン -3.7 14 核生成
5 2.5 mlの5重量%PEG アルゴン -3.8 14 核生成
6 2.5 mlの5重量%PEG アルゴン -3.4 14 核生成
7 2.5 mlの5重量%PVP アルゴン -3.5 14 核生成
8 2.5 mlの5重量%PVP アルゴン -3.3 14 核生成
9 2.5 mlの5重量%デキストラン アルゴン -4.0 14 核生成
10 2.5 mlの5重量%デキストラン アルゴン -3.1 14 核生成
11 2.5 mlの5重量%グリシン アルゴン -3.8 14 核生成
12 2.5 mlの5重量%グリシン アルゴン -3.9 14 核生成
13 2.5 mlの5重量%ソルビトール アルゴン -3.6 14 核生成
14 2.5 mlの5重量%ソルビトール アルゴン -3.4 14 核生成
15 2.5 mlの5重量%スクロース アルゴン -3.3 14 核生成
16 2.5 mlの5重量%スクロース アルゴン -3.4 14 核生成
17 2.5 mlの5重量%トレハロース アルゴン -3.7 14 核生成
18 2.5 mlの5重量%トレハロース アルゴン -3.1 14 核生成
例9−蛋白質溶液の核生成の制御
ここに開示した本発明の方法及び装置を用いて、蛋白質の溶解度又は酵素の活性度に負の影響、即ち悪影響を与えることなく、過冷却した蛋白質溶液の核生成温度を制御することができる。この例では、二種類の蛋白質、牛血清アルブミン(BSA)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を用いた。
BSAを5重量%のマンニトール中に10mg/mlの濃度で溶解した。3個の凍結乾燥ガラス瓶に、BSA−マンニトール溶液2.5mlを満たし、互いに接近させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器を約14psigにアルゴン雰囲気で加圧した。凍結乾燥器の棚を冷却してガラス瓶の温度をほぼ−5℃にした。凍結乾燥器を迅速に減圧し核生成を誘発させた。BSA溶液のガラス瓶は全て減圧直後に核生成し、凍結を開始した。氷解で蛋白質の沈澱は観察されなかった。
二つの異なった供給業者からLDH蛋白質を得、明確にする目的から、それら二つの異なるバッチを区別するためLDH−1又はLDH−2の記号を付けた。LDH−1を5重量%のマンニトールに1mg/mlの濃度で溶解した。6個の凍結乾燥ガラス瓶にLDH−1/マンニトール溶液2.5mlを満たし、互いに接近させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器を約14psigにアルゴン雰囲気で加圧した。凍結乾燥器の棚を室温から出発して冷却し、ガラス瓶の温度をほぼ−4℃にした。次に、凍結乾燥器を迅速に減圧し核生成を誘発させた。ガラス瓶は全て減圧直後に核生成し、凍結を開始した。ガラス瓶をこの状態で約15分間維持した。次に凍結乾燥器の棚を約1℃/分の速度で冷却し、ガラス瓶の温度をほぼ−45℃にし、更に15分間維持し、凍結過程の完結を確実にした。凍結工程の後、凍結乾燥器の棚を約1℃/分の速度で暖めガラス瓶の温度をほぼ5℃まで上昇させた。氷解で蛋白質の沈澱は観察されなかった。ガラス瓶の内容物を酵素活性度について分析し、それらの結果を凍結していないLDH−1/マンニトール溶液の対照試料と比較した。
例9の一部分として、LDH−1/マンニトール溶液の減圧核生成試料を、確率論的に核生成した試料と比較した。LDH−1の確率論的に核生成した試料では、加圧及び減圧を行うことなく、アルゴン雰囲気を用いずに凍結手順を繰り返した。特にLDH−1を5重量%のマンニトールに1mg/mlの濃度で溶解した。6個の凍結乾燥ガラス瓶にLDH−1/マンニトール溶液2.5mlを満たし、互いに接近させて凍結乾燥器の棚の上に置いた。凍結乾燥器の棚を室温から出発し、約1℃/分の速度で冷却し、ガラス瓶の温度をほぼ−45℃にし、15分間維持し、凍結過程の完結を確実にした。凍結工程の後、凍結乾燥器の棚を約1℃/分の速度で暖め、ガラス瓶の温度をほぼ5℃まで上昇させた。氷解で蛋白質の沈澱は観察されなかった。ガラス瓶の内容物を酵素活性度について分析し、それらの結果を凍結していないLDH−1/マンニトール溶液の同じ対照試料と比較した。
例9の一部分として、LDH−2を用いて、LDH−1について上に記載した実験を繰り返した。唯一の相違点は、制御された核生成温度が、LDH−1の場合の−4℃ではなく、LDH−2の場合ほぼ−3℃であったことである。
表9.過冷却した蛋白質溶液の核生成温度の制御
ガラ 溶液 原子 初期ガラ 圧力 酵素活性 減圧
ス瓶 ス瓶温度 低下 度損失 結果
番号 (℃) (psi) (%)
1 2.5 mlのBSA溶液 アルゴン -4.9 14 - 核生成
2 2.5 mlのBSA溶液 アルゴン -4.3 14 - 核生成
3 2.5 mlのBSA溶液 アルゴン -5.3 14 - 核生成
4 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -3.8 14 9.2 核生成
5 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -4.0 14 16.2 核生成
6 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -3.7 14 18.4 核生成
7 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -4.0 14 23.4 核生成
8 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -3.9 14 18.5 核生成
9 2.5 mlのLDH−1溶液 アルゴン -4.0 14 21.2 核生成
10 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -10.4 0 35.7 核生成
11 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -16.5 0 35.4 核生成
12 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -15.5 0 36.1 核生成
13 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -10.5 0 43.9 核生成
14 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -9.8 0 24.9 核生成
15 2.5 mlのLDH−1溶液 空気 -11.0 0 39.2 核生成
16 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -3.1 14 29.9 核生成
17 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -2.9 14 18.9 核生成
18 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -3.1 14 23.3 核生成
19 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -2.7 14 19.6 核生成
20 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -3.1 14 32.1 核生成
21 2.5 mlのLDH−2溶液 アルゴン -2.6 14 35.2 核生成
22 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -5.0 0 38.3 核生成
23 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -5.5 0 40.0 核生成
24 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -2.3 0 36.5 核生成
25 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -3.8 0 42.0 核生成
26 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -5.1 0 50.2 核生成
27 2.5 mlのLDH−2溶液 空気 -5.9 0 40.6 核生成
表9から分かるように、減圧により達成された制御された核生成及び凍結過程は、匹敵する確率論的核生成及び凍結プロトコルに比較して明らかに酵素活性度を低下することはない。実際、減圧により達成された制御された核生成過程は、確率論的核生成後では、平均活性度損失がLDH−1については35.9%、LDH−2については41.3%であるのに比較して、平均活性度損失がLDH−1の場合には僅か17.8%及びLDH−2の場合には26.5%であり、酵素活性度を一層よく持続しているように見える。
LDH−2の場合に観察された確率論的核生成温度は、LDH−1の場合の確率論的核生成温度よりも実質的に高いことに注意すべきである。この差は、LDH−2中の核生成剤として働く或る汚染物質によるものであろう。確率論的核生成温度は、LDH−1と比較してLDH−2の場合の方が制御された核生成温度に遥かに近いが、LDH−1及びLDH−2について制御された核生成により得られた酵素活性度の維持の改善は、夫々18.1%及び14.8%で同様である。この結果は、酵素活性度の維持の改善が、一つには制御された核生成法の特性に起因し、減圧により得られる指定された一層高い核生成温度によるものではないことを示唆している。
例10−主要乾燥時間の減少
約10.01gのマンニトールと、約190.07gの水とを混合することにより5重量%のマンニトール溶液を調製した。ガラス瓶に2.5mlの5重量%マンニトール溶液を満たした。ガラス瓶は空の重量及び溶液を入れた時の重量を測定し、ガラス瓶に入れた水の量を決定した。20個のガラス瓶を互いに近接させて凍結乾燥器の棚の上のラック中に入れた。6個のガラス瓶の温度を、表面に取付けた熱電対を用いて監視した。ガラス瓶の挙動の同一性を向上するため全ての監視したガラス瓶を他のガラス瓶により取り囲んだ。凍結乾燥器をアルゴンガスの制御されたガス雰囲気で約14psigに加圧した。凍結乾燥器の棚を室温から約−6℃へ冷却し、ガラス瓶温度を約−1℃〜−2℃にした。次に凍結乾燥器を約14psigからほぼ大気圧へ5秒未満で減圧し、ガラス瓶内の溶液の核生成を誘発させた。熱電対により監視するか、又は目で見て観察した全てのガラス瓶が核生成し、減圧直後に凍結を開始した。
次に棚の温度を約−45℃へ急速に低下し、凍結過程を完了させた。全てのガラス瓶温度が約−40℃以下になったならば、凍結乾燥室を真空にし、主要乾燥過程(即ち、昇華)を開始させた。この乾燥過程中、凍結乾燥器の棚を1時間の上昇により約−14℃へ暖め、その温度に16時間維持した。乾燥過程中、凝縮器を約−60℃に維持した。主要乾燥を、真空ポンプを止め、室にアルゴンを大気圧まで再び満たすことにより停止した。ガラス瓶を凍結乾燥器から迅速に取り出し、秤量してどの位の水が主要乾燥過程中に失われたかを決定した。
例10の一部分として別の実験で他のガラス瓶に同じ5重量%マンニトール溶液を2.5ml充填した。それらガラス瓶を空の時と溶液を入れた時の重量を測定し、ガラス瓶に入れた水の量を決定した。上に記載したのと同じやり方でそれらガラス瓶を凍結乾燥器の中に入れ、6個のガラス瓶の温度を表面に取付けた熱電対を用いてもう一度監視した。凍結乾燥器の棚を室温から約−45℃へ迅速に冷却し、ガラス瓶を凍結した。冷却工程中、約−15℃〜約−18℃で確率論的に核生成が起きた。全てのガラス瓶の温度が約−40℃以下になった時、上に記載した方法と同様なやり方でガラス瓶を乾燥した。主要乾燥が終わった時、試料を凍結乾燥器から迅速に取り出し、主要乾燥過程中にどの位の水が失われたかを決定した。
表10.核生成温度の上昇は主要乾燥を改良する
ガラ 溶液 原子 初期ガラ 圧力 水損 減圧
ス瓶 ス瓶温度 低下 失 結果
番号 (℃) (psi) (%)
1 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -1.3 14 89.9 核生成
2 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -1.9 14 85.2 核生成
3 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -1.3 14 87.1 核生成
4 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -2.3 14 88.8 核生成
5 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -2.1 14 85.0 核生成
6 2.5 mlの5重量%のマンニトール アルゴン -1.1 14 80.7 核生成
7 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -15.7 0 65.7 -
8 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -16.7 0 66.9 -
9 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -14.5 0 64.6 -
10 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -15.6 0 64.7 -
11 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -16.5 0 64.1 -
12 2.5 mlの5重量%のマンニトール 空気 -17.9 0 65.7 -
制御された核生成及び確率論的核生成を用いた凍結乾燥法の結果を上の表10に要約してある。これら二つの実験は、一つの実験に減圧工程により制御された核生成を追加した点が異なるだけであることに注意すべきである。表10から分かるように、減圧により達成された制御された核生成過程により、この例では約−1.1℃〜−2.3℃で非常に僅かな過冷却度で核生成を行わせることができる。確率論的核生成の場合と比較して、制御された核生成の場合の遥かに高い核生成温度は、劇的に改良された乾燥性を持つ氷構造及び得られた凍結乾燥固形物を生ずる。同じ長さの乾燥時間で、開示した減圧法を用いて約−1.1℃〜−2.3℃で核生成したガラス瓶は、それらの水の平均86.1%を失ったのに対し、約−14.5℃〜−17.9℃で確率論的に核生成したガラス瓶は、平均65.3%を失っただけである。従って、確率論的に核生成したガラス瓶は、開示した本発明の方法により制御した仕方で核生成したガラス瓶と同じ程度の水損失を達成するためには遥かに長い主要乾燥時間を必要とするであろう。乾燥時間の改良は、一層高い核生成温度で一層大きな氷結晶が形成されることによるものと思われる。これらの一層大きな氷結晶は、昇華により一層大きな気孔を残し、それらの一層大きな気孔は、更に昇華中の水蒸気の流れに対し与える抵抗性を低くする。
工業的用途
本発明の方法は、過冷却された物質、即ち、液体又は溶液が核生成し、次に凍結する温度及び/又は時間を制御する改良された方法を与える。この用途は一つには凍結乾燥に焦点を当てているが、同様な問題は、核生成相転移を含むどのような物質処理工程でも起きる。そのような過程の例には、重合体及び金属の溶融物からの結晶化、過飽和溶液からの物質の結晶化、蛋白質の結晶化、人工の雪の製造、食品冷凍、冷凍濃縮、分別結晶化、低温保存、又は蒸気から液体への凝縮が含まれる。
液体又は溶液の核生成温度を制御する最も直接的な利点は、相転移により生成する固体ドメインの数及び大きさを制御することができることである。例えば、水を凍結させる場合、核生成温度は形成される氷の結晶の大きさ及び数を直接制御する。一般的に言って核生成温度が高くなると、数が少なくなり、大きさが大きくなる。
相転移により生成する固体ドメインの数及び大きさを制御することができることは、更に別の利点を与えるであろう。例えば、凍結乾燥法では、氷の結晶の数及び大きさは凍結乾燥される固形物質の乾燥性に大きな影響を与える。一層高い核生成温度により生成した一層大きな氷結晶は、昇華により一層大きな気孔を残し、それら一層大きな気孔は、続く昇華中、水蒸気の流れに与える抵抗性を低くする。従って、開示した装置及び方法は、凍結乾燥法で核生成温度を上昇させることにより主要乾燥(即ち、昇華)速度を増大する手段を与える。
冷凍法(即ち、低温保存)により敏感な物質を保存する用途では、更に別の可能な利点を実現することができるであろう。例えば、水溶液として凍結された哺乳動物の組織試料(例えば、臍帯血、組織バイオプシー、卵及び***細胞、等)、細胞系(例えば、哺乳動物、イースト、原核細胞、真菌細胞、等)、及び生物学的分子(例えば、蛋白質、DMA、RNA、及びそれらの亜綱)(それらに限定されるものではない)を含めた生物学的物質は、凍結過程中に種々の応力を受け、それら物質の機能的又は活性度を損なうことがある。氷の形成は、その物質を物理的に崩壊するか、或はその物質が受ける界面結合、浸透力、溶質濃縮、等の激しい変化を生ずることがある。核生成は、氷の構造及びその形成反応速度を制御するので、これらの応力に大きな影響を与えることができる。従って、本発明の装置及び方法は、低温保存法に伴われる応力を軽減し、低温保存された物質の機能又は活性度の回復を促進する独特の手段を与える。これは、生きた細胞について設計された二段階低温保存アルゴリズムで細胞外氷形成を開始させるのに用いられている慣用的核生成制御法(例えば、種子添加又は寒冷表面との接触)に対する改良を表している。
本発明の方法は、低温保存及び凍結乾燥の両方の用途で、幾つかの成分を含む複雑な溶液又は混合物にも適用することができる。これらの配合物は、屡々:乾燥中の活性成分の物理的損失を防ぐのに役立つバルキング剤(bulking agent)(例えば、デキストロース、グルコース、グリシン、ラクトース、マルトース、マンニトール、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウム、及びソルビトール);活性成分のための適当な環境pH又は毒性を維持するのに役立つ緩衝剤又は毒性変性剤(例えば、酢酸、安息香酸、クエン酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、燐酸、酒石酸、及び前記酸のナトリウム塩);処理中又は最終的液体又は乾燥状態で活性成分の構造及び機能を保持するのに役立つ安定化剤(例えば、アラニン、ジメチルスルホキシド、グリセロール、グリシン、人間の血清アルブミン、ポリエチレングリコール、リシン、ポリソルベート、ソルビトール、スクロース、及びトレハロース);配合物のガラス転移挙動を修正する薬品(例えば、ポリエチレングリコール及び砂糖);及び活性成分を劣化から保護する酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、スルホキシレート、及びトリグリセロール);を含めた薬剤活性成分(例えば、合成化学物質、蛋白質、ペプチド、又はワクチン)及び場合により一種類以上の軽減用成分を含む水性、有機、又は水性・有機混合溶媒を用いた溶液である。
核生成は、典型的には、無作為的過程なので、同様な処理条件を受ける複数の同じ材料が、異なった温度で核生成することがあるかも知れない。その結果、核生成挙動に依存するそれら物質の性質は、同じ処理条件にも拘わらず異なることが起こり得るであろう。開示した装置及び方法は、複数の材料の核生成温度を同時に制御する手段を与え、それにより核生成挙動に依存するそれら生成物の性質の同一性を向上する方法を与える。例えば、典型的な凍結乾燥法として、別々のガラス瓶中に入れた同じ溶液は、確率論的には広い範囲の温度に亙って核生成し、その結果最終的凍結乾燥した生成物は、残留水分、活性度、及び再構成時間のような臨界的性質にかなりの変動を有するであろう。開示した本発明の方法により核生成温度を制御することにより、凍結乾燥による生成物の性質のガラス瓶毎の同一性は、劇的に改良することができる。
材料の核生成挙動を制御することができることは、通常は制御できない核生成現象によって決まる工業的方法の開発に必要な時間を減少する実質的な利点も与えるであろう。例えば、それは、合理的な時間の長さで達成し、特定の同一性内で希望の生成物の性質を生じ、活性薬剤成分(API)の充分な活性度を保持することができる成功した凍結乾燥サイクルを開発するのに屡々何ヵ月もかかる。核生成を制御し、それにより主要乾燥時間、製品の同一性、及びAPI活性度を潜在的に改良する手段を与えることにより、成功した凍結乾燥プロトコルを開発するのに必要な時間は劇的に減少するはずである。
特に、制御された核生成方法の潜在的利点は、凍結乾燥すべき配合物の組成を特定化するのに増大した融通性を与えるであろう。制御された核生成は、凍結工程中APIを一層よく保存することができるので、ユーザーは配合物への軽減用成分(例えば、安定化剤)の添加を最小限にし、或は安定性と処理性を併合した目的を達成するために一層簡単な組合せの配合成分を選択することができるようになるはずである。制御された核生成が、(例えば、水溶液のガラス転移温度を低下することにより)主要乾燥時間を本来長くするような安定化剤又は他の軽減用成分の使用を最小限にする場合に、相乗的利点が生ずるであろう。
開示した方法は、特に大規模生産又は製造操作によく適している。なぜなら、広い範囲の生成物を製造するのに適合するか、又は容易に規模の調節をすることができる同じ設備及び処理パラメーターを用いて行うことができるからである。本方法は、全ての操作を一つの室(例えば、凍結乾燥器)中で遂行することができ、核生成を誘発するために添加剤、振動、電気冷凍、等の使用、真空の使用を必要としない方法を用いて、材料を核生成することを与えている。
従来法とは対照的に、本発明の方法は凍結乾燥される生成物に何も添加しない。それは、材料(例えば、ガラス瓶中の液体)を、最初はガス雰囲気中の特定の圧力で維持し、その圧力を一層低い圧力へ迅速に低下することを必要とするだけである。適用したガスは凍結乾燥サイクル中、ガラス瓶から除去されるであろう。ガラス瓶又はそれらの内容物は、ガス以外の何物にも接触又は触れ合うことはない。周囲圧力及びガス雰囲気の簡単な操作自身だけで、その目的を達成するのに充分である。核生成を誘発するために周囲圧力の変化だけを利用することにより、ここに開示した本発明の方法は、凍結乾燥器中の全てのガラス瓶に同じように同時に影響を与える。
本発明の態様は、凍結乾燥の適用で材料の核生成に影響を与える従来法よりも実施及び維持するのに一層安価であり容易である。本発明の方法は、凍結乾燥過程でかなり一層早く主要乾燥を行うことができる、それにより凍結乾燥薬剤の処理コストを減少することができる。本発明の方法は、従来法よりも遥かに一層同一性の凍結乾燥生成物を生じ、それにより生成物の損失を減少し、一層厳しい同一性の仕様に適合することができない加工業者が入れるような障壁を創り出している。この方法は、凍結乾燥生成物を汚染することなくこれらの利点を達成する。一層大きな処理制御により、改良された生成物及び短縮された処理時間をもたらすはずである。
上で述べたことから、本発明は、このように凍結乾燥の装置及び方法を与えることが認識されるはずである。本発明の方法の種々の修正、変化、及び変更が当業者には明らかになるであろう。例えば、温度を制御する手段は低温系冷却装置又は慣用的又は最新の機械的冷凍装置に代えることができる。同様に、室中の圧力及びガス雰囲気を制御する手段は、既知の加圧及び減圧技術を含むように特に考慮されている。そのような別の構成、修正、変化、及び変更は、全て本願の範囲及び特許請求の範囲の本質及び範囲内に含まれるものであることは理解すべきである。
図1は、確率論的凍結過程を受ける溶液の温度対時間をプロットしたグラフであり、更に溶液の核生成温度範囲を示すグラフである。 図2は、本発明による減圧核生成を用いた平衡化凍結過程を受ける溶液の温度対時間をプロットしたグラフである。 図3は、本発明による減圧核生成を用いた動的凍結過程を受ける溶液の温度対時間をプロットしたグラフである。 図4は、本発明による凍結乾燥装置の模式的図である。

Claims (20)

  1. 材料を凍結乾燥する方法において:
    予め定められた冷却速度で室中の材料を冷却する工程;
    前記室中の圧力を低下して前記材料の凍結の核生成を誘発させる工程;
    前記材料を凍結させる最終的温度以下まで前記核生成した材料を更に冷却する工程;
    前記凍結した材料を乾燥して、水分又は溶媒が減少した乾燥生成物を生成させる工程;
    を含む凍結乾燥法。
  2. 材料を冷却する工程が、更に、前記材料を準安定な状態へ冷却することを含む、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  3. 核生成した材料を更に冷却する工程が、前記核生成した材料を、その材料の完全な凍結を確実に与える最終的温度以下へ冷却することを含む、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  4. 圧力を低下する工程を、材料が希望の核生成温度へ達した時に開始する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  5. 圧力を低下する工程を、材料が相転移温度以下にある場合に、冷却工程の開始後の希望の時間で開始する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  6. 材料が、更に、生物薬剤材料、薬剤材料、化学的材料、生物学的材料、食品、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  7. 圧力を低下する工程を、室中で加圧ガス雰囲気中で行う、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  8. 室中のガス雰囲気が、アルゴン、窒素、ヘリウム、空気、水蒸気、酸素、二酸化炭素、ネオン、キセノン、クリプトン、水素、又はそれらの混合物を含む、請求項7に記載の凍結乾燥法。
  9. ガス雰囲気を、周囲圧力と、周囲圧力より25psi高い圧力の間に加圧する、請求項7に記載の凍結乾燥法。
  10. 材料を、最初相転移温度から、相転移温度より20℃低い範囲の温度へ冷却し、然る後、減圧する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  11. 圧力を約7psi以上低下する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  12. 絶対圧力比、Pi/Pfが、約1.2以上であるように圧力を低下する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  13. 圧力低下速度、△P/△tが約0.2psi/秒より大きい速度で圧力を低下する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  14. 圧力を40秒以内で低下する、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  15. 材料が、更に、生きた又は弱毒化ウイルス;核酸;モノクロナール抗体;ポリクロナール抗体;蛋白質;ペプチド;又はポリペプチドを含む一種類以上の成分を含む、請求項6に記載の方法。
  16. 再構成された材料の成分が、確率論的核生成材料からの再構成材料の成分に伴われる機能又は活性度よりも改良された機能又は活性度を示す、請求項15に記載の方法。
  17. 材料を複数の容器又はガラス瓶中に保持し、前記複数の容器又はガラス瓶から得られた乾燥生成物が、比較的同一の再構成時間を示す、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  18. 材料を複数の容器又はガラス瓶中に保持し、前記複数の容器又はガラス瓶から得られた乾燥生成物が、比較的同一の残留水分又は溶媒レベルを示す、請求項1に記載の凍結乾燥法。
  19. 凍結材料を乾燥するのに必要な時間が、確率論的に核生成した凍結材料を乾燥するのに必要な時間よりも短い、請求項1に記載の方法。
  20. 制御されたガス雰囲気及び材料の一つ以上の容器又はガラス瓶を保持するために適合する一つ以上の棚を有する室;
    前記室内の棚の温度を制御し、材料の温度を制御する手段;
    前記室から全ての溶媒又は水分を除去するのに適合する、前記室に結合された凝縮器;及び
    前記室の圧力を制御して前記室を迅速に減圧し、凍結中の材料を核生成し、乾燥中、低い圧力を維持する手段;
    を含む、凍結乾燥装置。
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