本発明は、(A)少なくとも1種の熱可塑性ポリマー10〜99質量%、(B)(B1)OH価1〜600mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部による)を有する少なくとも1種の高分枝又は超高分枝ポリカーボネート又は(B2)xが少なくとも1.1及びyが少なくとも2.1であるAxBy型の少なくとも1種の高分枝又は超高分枝ポリエステル又はその混合物0〜50質量%、(C)(C)100質量%に対して(C1)ハロゲン含有エポキシ樹脂20〜99質量%、(C2)酸化アンチモン1〜80質量%から成る難燃剤組合せ物1〜30質量%、(D)その他の添加物0〜60質量%を含有する熱可塑性成形材料に関するが、その際、成分(A)から(D)の合計は100%である。
更に、本発明は本発明による成形材料の繊維、フィルム及び成形体の製造用の使用並びにその際得られる全ての種類の成形体に関する。
EP−A410301及びEP−A736571から例えばハロゲン含有難燃性ポリアミド及びポリエステルが公知であるが、その中には大抵協力剤として酸化アンチモンが使用されている。
流動性を改善するために通常サーモプラストに低分子添加物を添加する。しかしこのような添加物の作用は非常に制限される。それは例えば添加物の添加量を増やすと機械的特性の減少がもはや許容範囲を超え、難燃性の効果も減少する場合が多いからである。
WO−97/45474から樹状ポリエステルをAB2−分子としてポリエステル中に含有するサーモプラスト組成物が公知である。その際、多官能性アルコールはコア分子としてAB2−分子としてのジメチルプロピオン酸と反応してデンドリマーのポリエステルになる。これはOH官能価のみを鎖の末端に有する。この混合物の欠点は、デンドリマーのポリエステルのガラス温度が高く、製造が比較的コスト高であり、特にポリマーマトリックス中のデンドリマーの溶解性が悪いことである。
DE−A10132928の説によれば、このような分枝を調製及び後縮合を用いて固体相で加工することによって力学改善(分子量構築)がもたらされる。この記載方法の欠点は長い製造時間並びに既に前記した不利な特性である。
DE102004 005652.8及びDE102004 005657.9に既にポリエステルの流動性改善用の新規添加物が提案されている。
従って本発明の根底をなす課題は、良好な流動性及び同時に良好な機械特性並びに難燃性を有する、熱可塑性難燃性ポリマー成形材料を提供することであった。特に添加物は風解してはならず或いは付着傾向があってはならない。
原則的には本発明による成形材料の有利な効果は、あらゆる種類のサーモプラストで発揮される。好適なサーモプラストの例は、例えばKunststoff−Taschenbuch(発行者Saechtling)1989版に列記されており、仕入れ先もそこに記載されている。このような熱可塑性プラスチックの製法は当業者に自体公知である。
有利なサーモプラストは、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ASA−、ABS−、SAN−ポリマー、POM、PPE、ポリアリレンエーテルスルホンの群から選択されるが、その際ポリエステル及びポリカーボネートが有利である。
成分(A)として本発明による成形材料は、10〜99質量%、有利には30〜98.99質量%及び特に30〜95質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、有利にはポリエステル/ポリカーボネートを含有する。
通常芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物をベースとするポリエステル(A)を使用する。
第1に有利なポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレート、特にアルコール部にC原子2〜10個を有するようなものである。
このようなポリアルキレンテレフタレートは自体公知であり、文献に記載されている。これは主鎖に芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族環を含有する。芳香族環は、例えばハロゲン、例えば塩素及び臭素又はC1−〜C4−アルキル基、例えばメチル−、エチル−、i−又はn−プロピル−及びn−、i−又はt−ブチル基により置換されていてもよい。
このポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸、そのエステル又はその他のエステル形成性誘導体を脂肪族ジヒドロキシ化合物と自体公知の方法で反応させることによって製造することができる。
有利なジカルボン酸としては、2,6−ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はその混合物が挙げられる。30モル%まで、有利には10モル%より多くはない芳香族ジカルボン酸を、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸及びシクロヘキサンジカルボン酸に換えることができる。
脂肪族ジヒドロキシ化合物中で炭素原子2〜6個を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール又はその混合物が有利である。
特に有利なポリエステル(A)としては、C原子2〜6個を有するアルカンジオールから誘導されるポリアルキレンテレフタレートが挙げられる。この中で特にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート又はその混合物が有利である。更に、1質量%まで、有利には0.75質量%まで1,6−ヘキサンジオール及び/又は2−メチル−1,5−ペンタンジオールをその他のモノマー単位として含有するPET及び/又はPBTが有利である。
ポリエステル(A)の粘度数は、ISO1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(質量比1:1、25℃で)中の0.5質量%溶液中で測定して、通常50〜220、有利には80〜160の範囲である。
そのカルボキシル末端基含量が100mval/kgまで、有利には50mval/kgまで及び特には40mval/kgポリエステルまでである、ポリエステルが特に有利である。このようなポリエステルは例えばDE−A4401055の方法により製造することができる。カルボキシル末端基含量は通常滴定法(例えば電位差滴定)により測定する。
特に有利な成形材料は、成分(A)としてPBTとは異なるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)から成る混合物を含有する。例えばポリエチレンテレフタレートの割合は、有利には混合物中で(A)100質量%に対して50質量%まで、特に10〜35質量%である。
更に有利にはPETリサイクレート(スクラップ−PETとも称する)を場合によりポリアルキレンテレフタレート、例えばPBTとの混合物で使用する。
リサイクレートとは通常下記である:
(1)いわゆるポストインダストリアルリサイクレート:これには、重縮合又は加工の際の製造廃棄物、例えば射出成形加工時の押し湯、射出成形又は押出成形時の廃棄物又は押出したプレート又はフィルムの端断片が該当する。
(2)ポストコンシューマーリサイクレート:これには、使用後に末端消費者によって集められ、選別されるプラスチック品が該当する。量的に圧倒的な品物は、ミネラルウォーター、ソフトドリンク及びジュース用の袋形PETボトルである。
両種のリサイクレートは、粉砕物又は顆粒の形であっってよい。後者の場合には、粗リサイクレートを分離及び洗浄後に押出機中で溶融し、顆粒にする。これによって多くの場合に次の加工工程用の取り扱い、流動性及び配量添加が容易になる。
顆粒状又は粉砕物として存在するリサイクレートを使用することができるが、その際最大エッジ長さは10mm、有利には8mmより小さくなければならない。
加工する際の(痕跡の湿気による)ポリエステルの加水分解に基づき、リサイクレートを前乾燥させることが推奨される。乾燥後の残留湿気含量は有利には<0.2%、特に<0.05%である。
その他のグループとしては、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される完全芳香族ポリエステルが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、既にポリアルキレンテレフタレートで前記した化合物が好適である。有利には、イソフタル酸5〜100モル%及びテレフタル酸0〜95モル%から成る混合物、特にテレフタル酸約80%とイソフタル酸20%の混合物からこの両方の酸のほぼ当量の混合物を使用する。
芳香族ジヒドロキシ化合物は有利には一般式
[式中、ZはC原子8個までを有するアルキレン−又はシクロアルキレン基、C原子12個までを有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素−又は硫黄原子又は化学結合を表し、mは0〜2の値を有する]を有する。化合物はフェニレン基でC
1−〜C
6−アルキル−又はアルコキシ基及び弗素、塩素又は臭素を置換基として有してもよい。
この化合物の母体としては例えば、ジヒドロキシジフェニル、ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシン及びヒドロキノン並びにその核アルキル化又は核ハロゲン化誘導体が挙げられる。
これらの中で、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α’−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ジ−(3’−クロル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン並びに特に2,2−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ−(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,2−ジ(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン又はその混合物が有利である。
もちろんポリアルキレンテレフタレート及び完全芳香族ポリエステルの混合物を使用することもできる。これらは通常ポリアルキレンテレフタレート20〜98質量%及び完全芳香族ポリエステル2〜80質量%を含有する。
もちろんポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することもできる。このような生成物は自体公知であり、文献、例えばUS A 3651014に記載されている。相応する製品、例えばHytrel(R)(DuPont)も市販されている。
ポリエステルとは本発明によればハロゲン不含ポリカーボネートである。好適なハロゲン不含ポリカーボネートは例えば一般式
[式中、Qは単結合、C
1−〜C
8−アルキレン−、C
2−〜C
3−アルキリデン−、C
3−〜C
6−シクロアルキリデン基、C
6−〜C
12−アリーレン基を表し並びに−O−、−S−又は−SO
2−を表し、mは0〜2の整数である]のジフェノールをベースとするようなものである。
ジフェノールは、フェニレン基に置換基、例えばC1−〜C6−アルキル又はC1−〜C6−アルコキシを有してもよい。
式の有利なジフェノールは、例えばヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンである。特に、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン及び1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン並びに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
ホモポリカーボネート並びにコポリカーボネートも成分Aとして好適であり、ビスフェノールA−ホモポリマーの他に、ビスフェノールAのコポリカーボネートが有利である。
好適なポリカーボネートは公知のように枝分れしていてよく、しかも有利には使用されるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0モル%の少なくとも三官能性化合物、例えばフェノール性OH基3個以上を有するようなものの組込によって枝分れしていてよい。
相対粘度ηrel1.10〜1.50、特に1.25〜1.40を有するポリカーボネートが特に好適であると実証された。これは平均分子量Mw(質量平均値)10000〜200000、有利には20000〜80000g/モルに相応する。
一般式のジフェノールは自体公知であるか又は公知方法により製造可能である。
ポリカーボネートの製造は、例えばジフェノールをホスゲンと相界面法によるか又はホスゲンと均質相中での方法(いわゆるピリジン法)により行うことができるが、その際各々調整すべきである分子量は公知方法で公知連続停止剤の相応する量により達成される(ポリジオルガノシロキサン含有ポリカーボネートに関しては、例えばDE−OS3334782を参照にされたい)。
好適な連鎖停止剤は、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノールであるが、またDE−OS2842005による長鎖アルキルフェノール、例えば4−(1,3−テトラメチル−ブチル)−フェノール又はDE−A3506472によるアルキル置換基にC原子合計8〜20個を有するモノアルキルフェノール又はジアルキルフェノール、例えばp−ノニルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチル−ヘプチル)−フェノール及び4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールでもある。
本発明でハロゲン不含のポリカーボネートは、ポリカーボネートがハロゲン不含のジフェノール、ハロゲン不含の連鎖停止剤及び場合によりハロゲン不含の分枝剤から成ることを意味するが、その際、例えばポリカーボネートとホスゲンの相界面法による製造から生じる僅かなppm量の鹸化性塩素含量は本発明ではハロゲン含有とは見なさない。このようなppm含量の鹸化性塩素を有するポリカーボネートは、本発明ではハロゲン不含のポリカーボネートである。
その他に好適な成分(A)としては、非晶質ポリエステルカーボネートが挙げられるが、その際ホスゲンは製造で芳香族ジカルボン酸単位、例えばイソフタル酸及び/又はテレフタル酸に換えた。詳細はEP−A711810の箇所を参照にされたい。
モノマー単位としてシクロアルキル基を有するその他の好適なコポリカーボネートは、EP−A365916に記載されている。
更にビスフェノールAをビスフェノールTMCに換えることができる。このようなポリカーボネートはBayer社の商標APEC HT(R)として市販されている。
成分(B)として本発明による成形材料は、(B1)OH価1〜600、有利には10〜550及び特には50〜550mgKOH/gポリカーボネート(DIN53240、2部による)を有する少なくとも1種の高分枝又は超高分枝ポリカーボネート又は下記に詳説する(B2)としての少なくとも1種の超高分枝ポリエステル又はその混合物0〜50質量%、有利には0.01〜40質量%及び特に0.7〜10質量%を含有することができる。
超高分枝ポリカーボネート(B1)とは本発明では、構造も分子も不均質であるヒドロキシル−及びカーボネート基を有する枝なしマクロ分子のことである。これは一方では、デンドリマーと同じく中心分子から出発するが、しかし不均質な鎖長の枝で構成されていてよい。他方では、線状であってもよいし、官能性側基を有して構成されていてもよいがしかしこの両極端の組合せとして線状及び枝分れ分子部分を有してもよい。デンドリマー及び超高分枝のポリマーの定義に関してはP.J.Flory、J.Am.Chem.Soc.1952、74、2718及びH.Freyその他、Chem.Eur.J.2000、6、No.14、2499も参照にされたい。
"超高分枝の"とは、本発明に関しては分岐度(Degree of Branching、DB)、即ち分子当たりの樹枝状結合の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利には20〜99%、特に有利には20〜95%であるということである。
"デンドリマーの"とは、本発明に関しては分岐度が99.9〜100%であるということである。"Degree of Branching"の定義に関してはH.Freyその他、Acta Polym.1997、48、30を参照にされたい。
成分(B1)は有利には数平均分子量Mn100〜15000、有利には200〜12000及び特に500〜10000g/モル(GPC、Standard PMMA)を有する。
ガラス転移温度Tgは特に−80℃〜+140℃、有利には−60〜120℃(DSC、DIN53765による)である。
特に23℃で粘度(mPas)(DIN53019による)は、50〜200000、特に100〜150000及び極めて特に有利には200〜100000である。
成分(B1)は有利には少なくとも下記の工程を含む方法により得られる:
(a)一般式RO[(CO)]nORの少なくとも1種の有機カーボネートを、OH基少なくとも3個を有する少なくとも1種の脂肪族、脂肪族/芳香族又は芳香族アルコール(B)とアルコールROHの脱離下で反応させて1種以上の縮合生成物(K)にするが、その際Rは各々相互に無関係にC原子1〜20個を有する直鎖又は枝分れの脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、その際基Rは環形成下で相互に結合していてよく、nは1〜5の整数であるか又は(ab)ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンを前記アルコール(B)と塩化水素脱離下で反応させる工程並びに(b)縮合生成物(K)の分子間反応により高官能性、高分枝又は超高分枝ポリカーボネートにするが、その際反応混合物中のOH基対カーボネートの量比を縮合生成物(K)が平均して1個のカーボネート基及び1個より多いOH基を有するか又は1個のOH基及び1個より多いカーボネート基を有するように選択する工程。
出発物質としてホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンを使用することができるが、その際有機カーボネートが有利である。
出発物質として使用される一般式RO(CO)nORの有機カーボネート(A)の基Rには、各々相互に無関係にC原子1〜20個を有する直鎖又は枝分れの脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族炭化水素基が該当する。両方の基Rは相互に結合して環形成していてもできる。脂肪族炭化水素基が有利であり、特にC原子1〜5個を有する直鎖又は枝分れアルキル基が有利であり、又は置換又は非置換フェニル基が有利である。
特にnが有利には1〜3、特に1である式RO(CO)nORの簡単なカーボネートを使用する。
ジアルキル−又はジアリールカーボネートは例えば脂肪族、芳香脂肪族又は芳香族アルコール、有利にはモノアルコールとホスゲンの反応から製造することができる。更にアルコール又はフェノールをCOを用いて貴金属、酸素又はNOxの存在で酸化カルボニル化を経て製造することもできる。ジアリール−又はジアルキルカルボキシレートの製造法に関しては"Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry"、第6版、2000 Electronic Release、Verlag Wiley−VCHも参照にされたい。
好適なカーボネートの例には、脂肪族、芳香/脂肪族又は芳香族カーボネート、例えばエチレンカーボネート、1,2−又は1,3−プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネート又はジドデシルカーボネートが含まれる。
nが1より大きいカーボネートの例には、ジアルキルジカーボネート、例えばジ(−t−ブチル)ジカーボネート又はジアルキルトリカーボネート、例えばジ(t−ブチルトリカーボネート)が含まれる。
有利には脂肪族カーボネート、特に基がC原子1〜5個を有するようなもの、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート又はジイソブチルカーボネートを使用する。
有機カーボネートをOH基少なくとも3個を有する少なくとも1種の脂肪族アルコール(B)又は2種以上の異なるアルコールの混合物と反応させる。
OH基少なくとも3個を有する化合物の例には、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリスリット、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ビス(トリ−メチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、フロログルシド、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン又は糖、例えばグルコース、三官能性以上のアルコール及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドをベースとする三官能性以上のポリエ−テロール又はポリエステロールが含まれる。その際、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリット並びにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドをベースとするそのポリエーテロールが有利である。
この多官能性アルコールは二官能性アルコール(B’)との混合物で使用することもできるが、その際使用される全てのアルコールの平均OH官能価が2より大きいという条件である。OH基2個を有する好適な化合物の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−及び1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシン、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はその混合物をベースとする二官能性ポリエーテルポリオール、ジオール及びジカルボン酸をベースとするポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトン又はポリエステロールが含まれる。
ジオールはポリカーボネートの特性を微調整するために役立つ。二官能性アルコールを使用する場合には、二官能性アルコール(B’)対少なくとも三官能性アルコール(B)の比を当業者によりポリカーボネートの所望の特性に応じて定める。通常1種又は数種のアルコール(B’)の量は全アルコール(B)及び(B’)の全量に対して0〜39.9モル%である。この量は有利には0〜35モル%、特に有利には0〜25モル%及び極めて特に有利には0〜10モル%である。
ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンとアルコール又はアルコール混合物の反応は、通常塩化水素の脱離下で行われ、カーボネートとアルコール又はアルコール混合物の本発明による高官能性高分枝ポリカーボネートへの反応は、カーボネート分子からの一官能性アルコール又はフェノールの脱離下で行われる。
本発明の方法により生成される高官能性高分枝ポリカーボネートは、反応後に、従って更に変性せずに、ヒドロキシ基及び/又はカーボネート基が末端基となっている。これは種々の溶剤、例えば水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、酢酸エステル、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートに非常に良好に溶解する。
高官能性ポリカーボネートとは本発明では、ポリマー骨格を形成するカーボネート基の他に末端又は側鎖位に更に官能基少なくとも3個、有利には少なくとも6個、更に有利には少なくとも10個を有する生成物である。官能基には、カーボネート基及び/又はOH−基が該当する。末端又は側鎖位の官能基の数は、原則として上限はないか、しかし非常に高度の数の官能基を有する生成物は望ましくない特性、例えば高い粘度又は劣悪な溶解性を有する恐れがある。本発明の高官能性ポリカーボネートは大抵は500個より多くはない末端又は側鎖位の官能基、有利には100個より多くはない末端又は側鎖位の官能基を有する。
高官能性ポリカーボネート(B1)の製造で、OH基を含有する化合物対ホスゲン又はカーボネートの比を、生じる最も簡単な縮合生成物(以下で縮合生成物(K)と称する)が平均してカーボネート基又はカルバモイル基1個及び1個より多いOH基を有するか又はOH基1個及び1個より多いカーボネート基又はカルバモイル基を含有するように調整する必要がある。その際、カーボネート(A)及びジ−又はポリアルコール(B)から成る縮合生成物(K)の最も簡単な構造は、配列XYn又はYnXを生じるが、その際Xはカーボネート基であり、Yはヒドロキシル基であり、nは通常1〜6の数、有利には1〜4の数、特に有利には1〜3の数である。その際単一基として生じる反応性基を以下で通常"フォーカル基(fokale Gruppe)"と称する。
例えばカーボネート及び二価アルコール(B)から成る最も簡単な縮合生成物(K)の製造で反応比が1:1である場合には、一般式1により説明するように、平均して1個のXY型の分子が生成する。
反応比1:1でのカーボネート及び三価のアルコールから成る縮合生成物の製造では、一般式2によって説明するように、平均して1個XY2型の分子が生成する。ここでフォーカル基はカーボネート基である。
同じく反応比1:1でのカーボネート及び四価のアルコールから成る縮合生成物の製造では、一般式3によって説明するが、平均して1個のXY3型の分子が生成する。ここでフォーカル基はカーボネート基である。
式1から3中で、Rは最初に定義したものを表し、R1は脂肪族又は芳香族基を表す。
更に縮合生成物(K)の製造を、一般式4により説明するが、例えばカーボネート及び三価のアルコールからも行うことができ、その際反応比はモルで2:1である。この場合には平均して1個のX2Y型の分子が生成し、ここではフォーカル基はOH基である。式4中でR及ぶR’は式1から3におけるものと同じものを表す。
成分に付加的に二官能性化合物、例えばジカーボネート又はジオールを添加すると、例えば一般式5が説明するように、これは鎖延長作用を行う。ここでも平均して1個XY2型の分子が生成し、フォーカル基はカーボネート基である。
式5中で、R2は有機、有利には脂肪族基を表し、R及びR’は前記で定義したものを表す。
数種の縮合生成物(K)を合成に使用することもできる。その際、一方では数種のアルコール又は数種のカーボネートを使用することができる。更に使用するアルコール及びカーボネート又はホスゲンの比の選択によって、異なる構造の種々の縮合生成物の混合物が得られる。これは、カーボネートと三価のアルコールの反応の例で詳説する。(II)に表すように出発生成物を比1:1で使用すると、分子XY2が得られる。(IV)に表すように出発生成物を比2:1で使用すると、分子X2Yが得られる。1:1から2:1の間の比では分子XY2及びX2Yの混合物が得られる。
例として式1〜5に記載した簡単な縮合生成物(K)は本発明により有利には分子内反応し、高官能性の重縮合生成物を生成するが、これは以下で重縮合生成物(P)と称する。縮合生成物(K)及び重縮合生成物(P)の反応は通常温度0〜250℃で、有利には60〜160℃で塊状又は溶液中で行われる。その際、通常各々の出発物質に対して不活性である全ての溶剤を使用することができる。有利には有機溶剤、例えばデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又は溶剤ナフタを使用する。
有利な実施例では縮合反応を塊状で実施する。反応で遊離する一官能性アルコールROH又はフェノールを反応促進のために場合により減圧で反応平衡から蒸留により除去することができる。
蒸留を予定する場合には、通常反応で140℃より低い沸点を有するアルコールROHを遊離するようなカーボネートを使用することが推奨される。
反応を促進するために触媒又は触媒混合物を添加してもよい。好適な触媒は、エステル化−又はエステル交換反応用に触媒作用をする化合物、例えば、有利にはナトリウム、カリウム又はセシウムの、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ、第三アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、アルミニウム−、錫−、亜鉛−、チタン−、ジルコニウム−又はビスマス−有機化合物、更に例えばDE10138216又はDE10147712に記載されているようないわゆる複合金属シアン化物(DMC)触媒である。
有利には水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール又は1,2−ジメチルイミダゾール、チタン−テトラブチレート、チタンテトライソプロピレート、酸化ジブチル錫、ジブチル錫−ジラウレート、錫ジオクトエート、ジルコンアセチルアセトネート又はその混合物を使用する。
触媒の添加は通常、使用されるアルコール又はアルコール混合物の量に対して、50〜10000、有利には100〜5000質量ppmの量で行う。
更に、好適な触媒の添加によってもまた好適な温度の選択によっても、分子間重縮合を制御することもできる。更に出発成分の組成及び滞留時間によってポリマー(P)の平均分子量を調整することができる。
高めた温度で製造した縮合生成物(K)又は重縮合生成物(P)は通常室温でより長い時間安定である。
縮合生成物(K)の性質に基づき、縮合反応から分枝は有するが架橋は有さない異なる構造を有する重縮合生成物(P)を生じさせることが可能である。更に重縮合生成物(P)は理想的な場合は、1個のカーボネート基をフォーカル基として及び2個より多いOH基を有するか又は1個のOH基をフォーカル基として及び2個より多いカーボネート基を有する。その際、反応性基の数は使用される縮合生成物(K)の性質及び重縮合度からきまる。
例えば一般式2による縮合生成物(K)は三重分子間縮合によって反応して、一般式6及び7に記載してある2種類の異なる重縮合生成物(P)になる。
式6及び7中、R及びR1は前記したものを表す。
分子間重合の中断用には種々の方法がある。例えば温度を反応が停止し、生成物(K)又は重縮合生成物(P)が貯蔵安定性である範囲に下げることができる。
更に触媒を、塩基性の場合には例えばルイス酸又はプロトン酸の添加によって、不活性化することができる。
もう一つの態様では、縮合生成物(K)の分子間反応に基づき所望の重縮合度を有する重縮合生成物(P)が存在したら直ちに、反応を中断するために生成物(P)に(P)のフォーカル基に対して反応性の基を有する生成物を添加することができる。従ってフォーカル基としてカ−ボネート基の場合には、例えばモノ−、ジ−又はポリアミンを添加することができる。フォーカル基としてヒドロキシル基の場合には、生成物(P)に例えばモノ−、ジ−又はポリイソシアネート、エポキシド基含有化合物又はOH基と反応性の酸誘導体を添加することができる。
本発明による高官能性ポリカーボネートの製造は、大抵は0.1ミリバールから20ミリバール、有利には1ミリバールから5バールの圧力範囲で、バッチ操業でか、半連続的にか又は連続的に操業される反応器又は反応器カスケード中で行う。
反応条件の前記調整及び場合により好適な溶剤の選択によって、本発明による生成物を製造後に更に精製しないで引き続き加工することができる。
もう一つの有利な態様では、生成物をストリップする、即ち低分子の揮発性化合物を除去する。このために所望の反応度に到達後触媒を場合により不活性化し、低分子揮発性成分、例えばモノアルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素又は易揮発性オリゴマー又は環状化合物を蒸留により、場合により気体、有利には窒素、二酸化炭素又は空気の導入下で、場合により減圧で除去することができる。
もう一つの有利な態様では、本発明によるポリカーボネートが既に反応によって得られた官能基の他にその他の官能基を含有することができる。その際官能性化は分子量構築の間に行ってもよいし、後で、即ち本来の重縮合の終了後に行ってもよい。
分子量構築の前又はその間にヒドロキシル−又はカーボネート基の他にその他の官能基又は官能性要素を有する成分を添加する場合には、カーボネート−又はヒドロキシル基とは異なる統計的に分配された官能価を有するポリカーボネート−ポリマーが得られる。
このような効果は例えば重縮合の間に、ヒドロキシル基、カーボネート基又はカルバモイル基の他にその他の官能基又は官能性要素、例えばメルカプト基、第一、第二又は第三アミノ基、エーテル基、カルボン酸の誘導体、スルホン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基又は長鎖アルキル基を有する化合物を添加することによって得られる。カルバメート基による変性用に、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2’−アミノ−エトキシ)エタノール又はアンモニアの高アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシ−ピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノール−アミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレン−ジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又はイソホロンジアミンを使用することができる。
メルカプト基を用いる変性用には例えばメルカプトエタノールを使用することができる。第三アミノ基は例えばN−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン又はN,N−ジメチルエタノールアミンの組込によって生成することができる。エーテル基は例えば二官能性以上のポリエテロールの結合によって生成することができる。長鎖のアルカンジオールとの反応によって長鎖アルキル基が得られ、アルキル−又はアリールジイソシアネートとの反応によってアルキル−、アリール−及びウレタン基又は尿素基を有するポリカーボネートが生じる。
ジカルボン酸、トリカルボン酸、例えばテレフタル酸ジメチルエステル又はトリカルボン酸エステルの添加によってエステル基を生成することができる。
後発官能性化は、得られた高官能性、高分枝又は超高分枝ポリカーボネートを付加的な工程(工程c)で、ポリカーボネートのOH−及び/又はカーボネート基又はカルバモイル基と反応することができる好適な官能性化試薬と反応させることによって行うことができる。
ヒドロキシル基を含有する高官能性、高分枝又は超高分枝ポリカーボネートは、例えば酸基−又はイソシアネート基を含有する分子の添加によって変性することができる。例えば酸基を含有するポリカーボネートを無水物基を含有する化合物との反応によって得ることができる。
更にヒドロキシル基含有の高官能性ポリカーボネートはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドと反応させることによって高官能性ポリカーボネート−ポリエーテルポリオールに変えることもできる。
この方法の大いなる利点はその経済性にある。縮合生成物(K)又は重縮合生成物(P)への反応も(K)又は(P)のその他の官能性の基又は要素を有するポリカーボネートへの反応も一つの反応装置中で行うことができ、これは技術的及び経済的に有利である。
成分(B2)として本発明による成形材料は、AxBy型の少なくとも1種の超高分枝ポリエステルを含有するが、その際xは少なくとも1.1、有利には少なくとも1.3、特には少なくとも2であり、yは少なくとも2.1、有利には少なくとも2.5、特には少なくとも3である。
もちろん単位A又はBとして混合物を使用することもできる。
AxBy型のポリエステルとは、x官能性分子A及びy官能性分子Bから成る縮合生成物である。例えば分子A(x=2)としてアジピン酸及び分子B(y=3)としてグリセリンから成るポリエステルが挙げられる。
超高分枝ポリマー(B2)とは、本発明では構造的にも分子的にも不均質であるヒドロキシル−及びカルボキシル基を有する架橋してないマクロ分子である。これは一方ではデンドリマーと同じく中心分子から出発するが、不均質な鎖長の分枝で構成されている。これは他方では線状であってもよいし、官能性側基を有して構成されていてもよいが、この両極端な組合せとして線状及び枝分れ分子部分を有することができる。デンドリマー及び超高分枝ポリマーの定義に関しては、P.J.Flory、J.Am.Chem.Soc.1952、74、2718及びH.Freyその他著Chem.Eur.J.2000、6、No14、2499も参照されたい。
"超高分枝の"とは、本発明では、分岐度(Degree of Branching、DB)、即ち分子当たりの樹状結合の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利には20〜99%、特に有利には20〜95%であるということである。"デンドリマーの"とは、本発明では分岐度が99.9〜100%であるということである。"Degree of Branching"の定義に関しては、H.Freyその他著、Acta Polym.1997、48、30を参照にされたい。
成分(B2)は、GPC、標準PMMA、溶離剤ジメチルアセトアミドを用いて測定して、有利には300〜30000、特に400〜25000及び極めて特には500〜20000g/モルのMnを有する。
有利には(B2)は、DIN53240によりOH価0〜600、有利には1〜500、特に20〜500mgKOH/gポリエステルを有し、有利にはCOOH価0〜600、有利には1〜500、特には2〜500mgKOH/gポリエステルを有する。
Tgは有利には−50℃〜140℃、特に−50〜100℃である(DSCを用いて、DIN53765による)。
少なくともOH−又はCOOH−価の一方が0より大きい、有利には0.1より大きい、特に0.5より大きいような成分(B2)が特に有利である。
本発明による成分(B2)は特に下記方法によって、(a)1種以上のジカルボン酸又は1種以上のその誘導体を1種以上の少なくとも三官能性アルコールと又は(b)1種以上のトリカルボン酸又はより高級なポリカルボン酸又は1種以上のその誘導体と1種以上のジオールと、溶剤の存在で、場合により無機、有機金属又は低分子有機触媒又は酵素の存在で反応させることによって、得られる。
本発明の高官能性超高分枝ポリエステル(B2)は分子的及び構造的に不均質である。これはデンドリマーのその分子不均質によって相違しており、従って遙かに僅かな費用で製造することができる。
方法(a)により反応可能なジカルボン酸には、例えば蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸並びにシス−及びトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸が含まれ、その際前記ジカルボン酸は、C1−〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、s−ペンチル、ネオ−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソ−アミル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル、C3−〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル;有利にはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル;アルキレン基、例えばメチレン又はエチリデン又はC6−〜C14−アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アンスリル、2−アンスリル、9−アンスリル、1−フェナンスリル、2−フェナンスリル、3−フェナンスリル、4−フェナンスリル及び9−フェナンスリル、有利にはフェニル、1−ナフチル及び2−ナフチル、特に有利にはフェニルから選択した1個以上の基で置換されていてよい。
置換されたジカルボン酸の代表例としては、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチル琥珀酸、2−エチル琥珀酸、2−フェニル琥珀酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸が挙げられる。
更に方法(a)により反応可能なジカルボン酸には、エチレン性不飽和酸、例えばマレイン酸及びフマル酸並びに芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸が含まれる。
更に2種以上の前記代表例の混合物を使用することができる。
ジカルボン酸はそれ自体又は誘導体の形で使用することができる。
誘導体とは有利には、−モノマー又はポリマーの形の当該無水物、−モノ−又はジアルキルエステル、有利にはモノ−又はジメチルエステル又は相応するモノ−又はジエチルエステル、しかしより高級のアルコール、例えばn−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールから誘導されるモノ−及びジアルキルエステル、−更にモノ−及びジビニルエステル並びに−混合したエステル、有利にはメチルエチルエステルである。
有利な製造では、ジカルボン酸及び1種以上のその誘導体から成る混合物を使用することもできる。同じく1種以上のジカルボン酸の多数の異なる誘導体の混合物を使用することもできる。
特に琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又はそのモノ−又はジメチルエステルを使用するのが有利である。アジピン酸を使用するのが特に極めて有利である。
少なくとも三官能性のアルコールとして、例えばグリセリン、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロ−ルプロパン又はジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリット又はジペンタエリスリット、糖アルコール、例えばメソエリスリット、スレイトール、ソルビット、マンニット又は前記の少なくとも三官能性のアルコールの混合物を反応させることができる。グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びぺンタエリスリットを使用するのが有利である。
方法(b)により反応可能なトリカルボン酸又はポリカルボン酸は、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸並びにメリット酸である。
トリカルボン酸又はポリカルボン酸は、本発明による反応でそれ自体又は誘導体の形で使用することができる。
誘導体とは有利には、−モノマー又はポリマーの形の当該無水物、−モノ−、ジ−又はトリアルキルエステル、有利にはモノ−、ジ−又はトリメチルエステル又は相応するモノ−、ジ−又はトリエチルエステル又はより高級なアルコール、例えばn−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール,n−ヘキサノールから誘導されるモノ−、ジ−及びトリエステル、更にモノ−、ジ−又はトリビニルエステル−並びに混合メチルエチルエステルである。
本発明で、トリ−又はポリカルボン酸及び1種以上のその誘導体から成る混合物を使用することも可能である。同じく本発明で、成分(B2)を得るために、1種以上のトリ−又はポリカルボン酸の多数の異なる誘導体の混合物を使用することができる。
本発明の方法(b)用のジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサンジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、イノシトール及び誘導体、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CH2CH2O)n−H又はポリプロピレングリコールHO(CH[CH3]CH2O)n−H又は前記2種以上の代表的化合物の混合物を使用するが、その際、nは整数であり、n=4〜25である。その際前記ジオール中で1個又は両方のヒドロキシル基はSH基により置換されていてもよい。エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール並びにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールが有利である。
方法(a)及び(b)でAxBy−ポリエステル中の分子A対分子Bのモル比は、4:1〜1:4、特に2:1〜1:2である。
方法(a)により反応させる少なくとも三官能性のアルコールは、各々同じ反応性のヒドロキシル基を有することができる。ここでそのOH基は先ず同じく反応性であるが、少なくとも1個の酸基との反応によって、立体的又は電子工学的作用に起因して、反応性減少が残りのOH基で誘発される、少なくとも三官能性のアルコールも有利である。これは例えばトリメチロールプロパン又はペンタエリスリットの使用の場合がそうである。
しかし方法(a)により反応させる少なくとも三官能性のアルコールは少なくとも2種の化学的に異なる反応性を有するヒドロキシル基を有してもよい。
その際官能性基の異なる反応性は、化学的(例えば第一/第二/第三OH基)又は立体的原因によるものである。
例えばトリオールでは第一及び第二ヒドロキシル基を有するトリオールであり、有利な例はグリセリンである。
方法(a)による本発明の反応の実施で、ジオール及び一官能性アルコールの不在下で操作するのが有利である。
方法(b)による本発明の反応の実施で、モノ−又はジカルボン酸の不在下で操作するのが有利である。
本発明による方法は溶剤の存在で実施する。例えば炭化水素、例えばパラフィン又は芳香族物質が好適である。特に好適なパラフィンはn−ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に好適な芳香族物質は、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、異性体混合物としてキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン及びオルト−及びメタ−ジクロロベンゼンである。更に溶剤として、酸性触媒の不在下で、エーテル、例えばジオキサン又はテレヒドロフラン及びケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが極めて特に好適である。
添加する溶剤の量は、本発明によれば使用される反応させるべき出発物質の質量に対して、少なくとも0.1質量%、有利には少なくとも1質量%及び特に有利には少なくとも10質量%である。反応させるべき使用出発物質の質量に対して、例えば1.01〜10倍の、過剰の溶剤を使用することもできる。反応させるべき使用出発物質に対して100倍より多い溶剤量は、反応成分の著しく低い濃度で反応速度が著しく減少し、それによって反応時間が長くなり不経済になるので、有利ではない。
本発明により有利な方法の実施用に、添加物として水を抽出する薬剤の存在で操作することができるが、これは反応の初めに添加する。例えば分子篩、特に分子篩4Å、MgSO4及びNa2SO4が好適である。反応の間に更に水を抽出する薬剤を添加することもできるし、水を抽出する薬剤を新たな水を抽出する薬剤に換えることもできる。反応中に生成した水又はアルコールを溜去し、例えば水分離器を使用することもできる。
方法を酸性触媒の不在下で実施することができる。酸性の無機、有機金属又は有機触媒又は数種の酸性の無機、有機金属又は有機触媒から成る混合物の存在で操作するのが有利である。
酸性の無機触媒としては本発明で、例えば硫酸、燐酸、ホスホン酸、次燐酸、硫酸アルミニウム水和物、明礬、酸性シリカゲル(pH=6、特に=5)及び酸性酸化アルミニウムが挙げられる。更に例えば一般式Al(OR)3のアルミニウム化合物及び一般式Ti(OR)4のチタネートを酸性無機触媒として使用可能であるが、その際基Rは各々同じであっても、異なるものであってもよく、相互に無関係に、C1〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、s−ペンチル、ネオ−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソ−アミル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル、C3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルから選択するが、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが有利である。
有利にはAi(OR)3又はTi(OR)4中の基Rは各々同じであり、イソプロピル又は2−エチルヘキシルから選択する。
有利な酸性有機金属触媒は、例えば酸化ジアルキル錫R2SnOから選択するが、その際Rは前記で定義したものを表す。酸性有機金属触媒の特に有利な例は、いわゆるOxo−Zinnとして市販されている酸化ジ−n−ブチル錫又はジラウリン酸ジ−n−ブチル錫である。
有利な酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基又はホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。スルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸が特に有利である。酸性有機触媒として酸性イオン交換体、例えばジビニルベンゼン約2モル%と架橋しているスルホン酸基含有ポリスチレン樹脂を使用することもできる。
2種以上の前記触媒の組合せを使用してもよい。非連続分子の形で存在するこのような有機又は有機金属又は無機触媒を不動化した形で使用することもできる。
酸性の無機、有機金属又は有機触媒を使用することが望まれる場合には、本発明によれば0.1〜10質量%、有利には0.2〜2質量%の触媒を使用する。
本発明による方法は不活性ガス雰囲気下で、即ち例えば二酸化炭素、窒素又は希ガス下で実施するが、この中では特にアルゴンが挙げられる。
本発明による方法は60〜200℃の温度で実施する。130〜180℃、特には150℃までか又はそれより下の温度で行うのが有利である。145℃までの最高温度が特に有利であり、135℃までが極めて特に有利である。
本発明による方法の圧力条件はそれ自体重要ではない。著しい減圧で、例えば10〜500ミリバールで行うことができる。本発明による方法は500ミリバールより上の圧力で行ってもよい。簡単であるという理由から大気圧での反応が有利であるが、高めた圧力、例えば1200ミリバールでの実施も可能である。著しく高めた圧力、例えば10バールまでの圧力で行うこともできる。大気圧での反応が有利である。
本発明による方法の反応時間は通常10分から25時間、有利には30分から10時間、特に有利には1〜8時間である。
反応終了後、高官能性超高分枝ポリエステルは、例えば触媒の濾別及び濃縮によって、簡単に単離することができるが、その際濃縮は通常減圧下で行う。その他の好適な後処理方法は水の添加による沈殿及び引き続いての洗浄及び乾燥である。
更に成分(B2)を酵素又は酵素の分解生成物の存在で製造することができる(DE−A10163163による)。本発明により反応させるジカルボン酸は本発明では酸性有機触媒には属さない。
リパーゼ又はエステラーゼの使用が有利である。好適なリパーゼ及びエステラーゼは、Candida cylindracea、Candida lipolytica、Candida rugosa、Candida antarctica、Candida utilis、Chromobacterium viscosum、Geotrichum viscosum、Geotrichum candidum、Mucor javanicus、Mucor mihei、ブタ膵臓、pseudomonas spp.、pseudomonas fluorescens、Pseudomonas cepacia、Rhizopus arrhizus、Rhizopus delemar、Rhizopus niveus、Rhizopus oryzae、Aspergillus niger、Penicillium roquefortii、Penicillium camembertii又はBacillus spp.及びBacillus themoglucosidasiusのエステラーゼである。Candida antarctica LipaseBが特に有利である。記載の酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc.、デンマークから市販されている。
有利には酵素を固定化形で、例えばシリカゲル又はLewatit(R)上で、使用する。酵素の固定化法は、例えばKurt Faber、"Biotransformations in organic chemistry"、第3版、1997、Springer Verlag、3.2章"Immobilization"345〜356頁から自体公知である。固定化酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc、デンマークから、市販されている。
使用される固定化酵素の量は、反応させるべき全使用出発物質の質量に対して、0.1〜20質量%、特には10〜15質量%である。
本発明による方法は、60℃より上の温度で実施する。100℃以下の温度で操作するのが有利である。80℃までの温度が有利であり、極めて特に有利には62〜75℃、更に有利には65〜75℃である。
本発明による方法は溶剤の存在で実施する。例えば炭化水素、例えばパラフィン又は芳香族物質が好適である。特に好適なパラフィンは、n−ヘキサン及びシクロヘキサンである。特に好適な芳香族物質は、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、異性体混合物としてのキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン及びオルト−及びメタ−ジクロロベンゼンである。更に下記が極めて特に好適である:エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン及びケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン。
添加される溶剤の量は、反応させるべき使用出発物質の質量に対して、少なくとも5質量部、有利には少なくとも50質量部及び特に有利には少なくとも100質量部である。10000質量部を超える量の溶剤は望ましくない。それは、著しく低下した濃度で反応速度が著しく下がり、それによって反応時間が長くなり、不経済であるからである。
本発明による方法は500ミリバールより上の圧力で実施する。大気圧又は僅かに高めた圧力、例えば1200ミリバールまでの圧力における反応が有利である。著しく高めた圧力下で、例えば10バールまでの圧力で行うこともできる。大気圧における反応が有利である。
本発明による方法の反応時間は通常4時間から6日間、有利には5時間から5日間、特に有利には8時間から4日間である。
反応終了後、高官能性超高分枝ポリエステルを、例えば酵素の濾別及び濃縮によって単離することができるが、その際濃縮は通常減圧で行う。更に好適な後処理方法は、水の添加による沈殿及び引き続いての洗浄及び乾燥である。
本発明により得られる高官能性超高分枝ポリエステルは、変色及び樹枝化の割合が特に少ないことによって優れている。超高分枝ポリエステルの定義に関しては、P.J.Flory、J.Am.Chem.Soc.1952、74、2718及びA.Sunderその他、Chem.Eur.J.2000、6、No.1、1−8も参照にされたい。しかし"高官能性超高分枝"とは本発明に関しては、分岐度(Degree of Branching、DB)、即ち分子当たりの樹状結合の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利には20〜99%、特に有利には30〜90%であるということである(H.Freyその他著、Acta Polym.1997、48、30を参照にされたい)。
本発明によるポリエステルは分子量Mw500〜50000g/モル、有利には1000〜20000、特に有利には1000〜19000を有する。多分散性は1.2〜50、有利には1.4〜40、特に有利には1.5〜30、極めて特に有利には1.5〜10である。これは通常易溶性である、即ちテトラヒドロフラン(THF)、n−ブチルアセテート、エタノール及び多数のその他の溶剤中の本発明によるポリエステルを50質量%まで、若干の場合には80質量%まで有する、肉眼でゲル粒子が検出されない透明な溶液を製造することができる。
本発明による高官能性超高分枝ポリエステルは、カルボキシル基、カルボキシ−及びヒドロキシル基を末端基とし、有利にはヒドロキシル基を末端基とする。
成分(B1)対(B2)の比は、混合物で使用する場合には、有利には1:20〜20:1、特に1:15〜15:1、極めて特には1:5〜5:1である。
使用される超高分枝ポリカーボネート(B1)/ポリエステル(B2)は、20〜500nmの大きさの粒子である。このナノ粒子はポリマーブレンド中に微細に分散して存在し、化合物中の粒子の大きさは20〜500nm、有利には50〜300nmである。このような化合物は例えばUltradur(R) high speedとして市販されている。
成分(C)として本発明による成形材料は、(C1)ハロゲン含有難燃剤20〜99質量%、有利には50〜85質量%、(C2)酸化アンチモン1〜80質量%、有利には15〜50質量%から成る難燃剤組合せ物1〜30質量%、有利には2〜25質量%、特には5〜20質量%を含有する。
有利な酸化物(C2)は三酸化アンチモン及び五酸化アンチモンである。より良好に分散させるためには酸化物(C2)をいわゆるバッチ(濃縮物)でポリマー(A)に入れるが、その際濃縮物で、成分(A)が各々の成分(A)と同じか又は異なるポリマーを使用することができる。ポリオレフィン、有利にはポリエチレン中の(C2)の濃縮物が有利である。
好適な難燃剤(C1)は有利には臭素化エポキシ樹脂、例えばASTM D−1652による臭素含量46〜51%及びエポキシ含量(ミリモル/kg)2820〜3280を有する、Dow Chemical Comp.社のD.E.R.511又はD.E.R.542又はMw400〜4000を有するSumitomo Chemical Comp.社のSumiepoxy ESB340、400、500及び700又はDainippon Ink&Chem.Inc.社のPURASAMU EP 100及び下記のような一般式(但しn=0.6〜1.7)を有するShell Chemicals社の臭素化Epoxy Oligomere E5119、E5114及び5112である。
特に有利なエポキシ樹脂は、
[式中n=4〜50、有利には20〜35、特には26〜33である]である。
このような樹脂は名称CXB−2000HでWoojin Copolymers社、KRから市販されている。臭素含量は通常少なくとも45%、有利には少なくとも50%、成形材料中で通常2〜20質量%、有利には4〜12質量%である。
成分(D)として本発明による成形材料はその他の添加物及び加工助剤0〜60質量%、特には50質量%までを含有することができる。
成分(D)として本発明による成形材料は、C原子10〜40個、有利には16〜22個を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸とC原子2〜40個、有利には2〜6個を有する脂肪族飽和アルコール又はアミンの少なくとも1種のエステル又はアミド0〜5質量%、有利には0.05〜3質量%、特には0.1〜2質量%を含有することができる。
カルボン酸は1価又は2価であってよい。例としてペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン酸、ベヘン酸及び特に有利にはステアリン酸、カプリン酸並びにモンタン酸(C原子30〜40個を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
脂肪族アルコールは、1〜4価であってよい。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリットであり、その際グリセリン及びペンタエリスリットが有利である。
脂肪族アミンは1〜3価であってよい。このための例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、その際エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンが特に有利である。有利なエステル又はアミドは、相応するグリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセリンモノパルミトレート、グリセリントリラウレート、グリセリンモノベヘネート及びペンタエリスリットテトラステアレートである。
異なるエステル又はアミド又はエステルとアミドの混合物を組み合わせて使用することもできるが、その際混合比は任意である。
その他の通常の添加物(D)は例えば40質量%まで、有利には30質量%までの量のゴム弾性ポリマー(屡々耐衝撃強さ改良剤、エラストマー又は天然ゴムとも称する)である。
これは極めて一般的には、少なくとも2種の下記モノマーから成るコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリロニトリル及びアルコール成分にC原子1〜18個を有するアクリル−又はメタクリル酸エステル。
このようなポリマーは例えばHouben−Weyl、Methoden der organischen Chemie、第14/1巻(George−Thime−Verlag、Stuttgart、1961)392〜406頁及びC.B.Bucknallの専攻論文"Toughened Plastics"(Applied Science Publishers、London、1977)に記載されている。
下記にこのようなエラストマーの有利な種類を紹介する。
有利な種類のこのようなエラストマーは、いわゆるエチレン−プロピレン(EPM)又はエチレン−プロピレン−ジエン−(EPDM)−ゴムである。
EPMゴムは通常もはや実質的には二重結合を全く有さないが、EPDMゴムはC原子100個当たり二重結合1〜20個を有してよい。
EPDMゴム用のジエンモノマーとしては、例えば共役ジエン、例えばイソプレン及びブタジエン、C原子5〜25個を有する非共役ジエン、例えばペンタ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエン及びオクタ−1,4−ジエン、環状ジエン、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン及びジシクロペンタジエン並びにアルケニルノルボルネン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン及びトリシクロジエン、例えば3−メチル−トリシクロ(5.2.1.0.2.6)−3,8−デカジエン又はその混合物が挙げられる。ヘキサ−1,5−ジエン、5−エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエンが有利である。EPDMゴムのジエン含量は、ゴムの全質量に対して有利には0.5〜50質量%、特に1〜8質量%である。
EPM−又はEPDMゴムは有利には反応性カルボン酸又はその誘導体とグラフトされていてよい。ここで例えばアクリル酸、メタクリル酸及びその誘導体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート並びに無水マレイン酸が挙げられる。
その他の有利なゴムのグループは、エチレンとアクリル酸及び/又はメタクリル酸及び/又はこれらの酸のエステルとのコポリマーである。付加的にゴムは、なおジカルボン酸、例えばマレイン酸及びフマル酸又はこれらの酸の誘導体、例えばエステル及び無水物、及び/又はエポキシ基含有モノマーを含有することができる。これらのジカルボン酸誘導体又はエポキシ基含有モノマーは、一般式I又はII又はIII又はIVのジカルボン酸−又はエポキシ基含有モノマーをモノマー混合物に添加することによってゴム中に組み込まれる。
[式中、R
1からR
9は、水素又はC原子1〜6個を有するアルキル基を表し、mは0〜20の整数であり、gは0〜10の整数であり、pは0〜5の整数である]
有利には、基R
1からR
9は水素を表し、その際mは0又は1を表し、gは1を表す。相応する化合物は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル及びビニルグリシジルエーテルである。
式I、II及びIVの有利な化合物は、マレイン酸、無水マレイン酸及びアクリル酸及び/又はメタクリル酸のエポキシ基含有エステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート及び第三アルコールとのエステル、例えばt−ブチルアクリレートである。後者は確かに遊離カルボキシル基を有さないが、その挙動は遊離酸に近似しており、従って潜在性カルボキシル基を有するモノマーと称される。
有利にはコポリマーは、エチレン50〜98質量%、エポキシ基含有モノマー及び/又はメタクリル酸及び/又は酸無水物基含有モノマー0.1〜20質量%並びに残りの量の(メタ)アクリル酸エステルから成る。
エチレン50〜98質量%、特に55〜95質量%、グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸及び/又は無水マレイン酸0.1〜40質量%、特に0.3〜20質量%及びn−ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレート1〜45質量%、特に10〜40質量%から成るコポリマーが特に有利である。
その他の有利なアクリル−及び/又はメタクリル酸のエステルは、メチル−、エチル−、プロピル−及びi−又はt−ブチルエステルである。
その他にビニルエステルやビニルエーテルをコモノマーとして使用することもできる。
前記エチレンコポリマーは、自体公知の方法により、有利には高圧及び高めた温度下でグラフト共重合により製造することができる。相応する方法は一般に公知である。
有利なエラストマーは、Blackley著の専攻論文"Emulsion Polymerization"に記載されているエマルジョンポリマーでもある。使用可能な乳化剤及び触媒は自体公知である。
原則として均質構造のエラストマーを使用することもできるし、シェル構造を有するようなものを使用することもできる。シェル状構造は個々のモノマーの添加順序によって決まり、ポリマーの形態もこの添加順序により影響される。
ここで単なる例として、エラストマーのゴム部の製造用のモノマーとして、アクリレート、例えばn−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート、相応するメタクリレート、ブタジエン及びイソプレン並びにその混合物が挙げられる。これらのモノマーはその他のモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル及びその他のアクリレート又はメタクリレート、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びプロピルアクリレートと共重合させることができる。
エラストマーの軟質−又はゴム相(0℃より下のガラス転移温度を有する)が、コア、外側シェル又は中間シェル(2層より多いシェル構造を有するエラストマーの場合)であってよく、多層シェルエラストマーでは多数のシェルが1層のゴム相から成っていてもよい。
ゴム相の他に1種以上の硬質成分(20℃より高いガラス転移温度を有する)がエラストマー構造に含まれている場合には、これは通常スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートを主要モノマーとして重合させことによって製造する。更にここで少量のその他のコモノマーを使用することもできる。
若干の場合には、表面に反応性基有するエマルションポリマーを使用して製造するのが有利であると実証された。このような基は、例えばエポキシ−、カルボキシル−、潜在性カルボキシル−、アミノ−又はアミド基並びに一般式
のモノマーを一緒に使用することによって導入することができる官能基であり、その際置換基は下記のものを表してよい:R
10は、水素又はC
1−〜C
4−アルキル基、R
11は、水素、C
1−〜C
8−アルキル基又はアリール基、特にフェニル、R
12は、水素、C
1−〜C
10−アルキル−、C
6−〜C
12−アリール基又は−OR
13、R
13は、場合によりO−又はN−含有基で置換されていてよいC
1−〜C
8−アルキル−又はC
6−〜C
12アリール基を表し、Xは、化学結合、C
1−〜C
10−アルキレン−又はC
6−〜C
12−アリーレン基又は
、Yは、O−Z又はNH−Z及びZは、C
1−〜C
10−アルキレン−又はC
6−〜C
12−アリーレン基。
EP−A208187に記載のグラフトモノマーは、表面に反応性基を導入するためにも好適である。
もう一つの例としてなおアクリルアミド、メタクリルアミド及びアクリル酸又はメタクリル酸の置換されたエステル、例えば(N−t−ブチルアミノ)−エチルメタクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)−メチルアクリレート及び(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレートが挙げられる。
更に、ゴム相の粒子は架橋していてもよい。架橋剤として作用するモノマーは例えばブタ−1,3−ジエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート及びジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート並びにEP−A50265に記載の化合物である。
更に、いわゆるグラフト架橋性モノマー(graft−linking monomers)、即ち重合で異なる速度で反応する2個以上の重合性二重結合を有するモノマーを使用することもできる。有利には、少なくとも1個の反応性基は残りのモノマーとほぼ同じ速度で重合するが、もう一つの(単数又は複数の)反応性基は例えば著しく緩慢に重合するような化合物を使用する。この異なる重合速度によって、ゴム中に特定割合の不飽和二重結合がもたらされる。次いでこのようなゴム上にもう一つの相をグラフトさせると、ゴム中に存在する二重結合が少なくとも部分的にグラフトモノマーと反応して、化学結合を形成する、即ちグラフト化された相が少なくとも部分的に化学結合を介してグラフト基盤と結合する。
このようなグラフト架橋性モノマーの例は、アリル基含有モノマー、特にエチレン性不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート又はこれらジカルボン酸の相応するモノアリル化合物である。更にその他の好適なグラフト架橋性モノマーが多数あり、詳細に関しては例えばUS−PS4148846を参照にされたい。
一般に、耐衝撃性改良ポリマーのこれらの架橋性モノマーの割合は、耐衝撃性改良ポリマーに対して5質量%までであり、有利には3質量%より多くない。
次に有利なエマルジョンポリマーを二三記載する。先ず、下記構造を有するコア及び少なくとも1層の外側シェルを有するグラフトポリマーが挙げられる:
有利にはこれらのグラフトポリマー、特にABS−及び/又はASA−ポリマーを40質量%までの量で、場合により40質量%までのポリエチレンテレフタレートとの混合物で、PBTの耐衝撃性改良用に使用する。相応するブレンド生成物は、商標Ultradur(R)S(元のBASF AGのUltrablend(R)S)として入手できる。
多層シェル構造のグラフトポリマーの代わりに、均質な、即ちブタ−1,3−ジエン、イソプレン及びn−ブチルアクリレート又はそのコポリマーの単一シェルエラストマーを使用することもできる。これらの生成物も、架橋性モノマー又は反応性基を有するモノマーを一緒に使用することによって製造することができる。
有利なエマルションポリマーの例は、n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレート−又はn−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートコポリマー、n−ブチルアクリレートから成るか又はブタジエンベースの内側コア及び前記コポリマー及びエチレンと反応性基を提供するコモノマーとのコポリマーから成る外側シェルを有するグラフトポリマーである。
前記エラストマーは、他の常用の方法、例えば、懸濁重合によって製造することもできる。
DE−A3725576、EP−A235690、DE−A3800603及びEP−A319290に記載されているようにシリコーンゴムも有利である。
もちろん、前記した種類のゴムの混合物を使用してもよい。
繊維又は粒子状充填剤(D)としては、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、非晶質珪酸、アスベスト、珪酸カルシウム、カルシウムメタシリケート、炭酸マグネシウム、カオリン、白亜、粉末状石英、雲母、硫酸バリウム及び長石が挙げられるが、これらは50質量%まで、特には40質量%までの量で使用する。
有利な繊維状充填剤としては、炭素繊維、アラミド繊維及びカリウムチタネート繊維が挙げられるが、その際ガラス繊維はE−ガラスとして特に有利である。これらは市販形でロビング又はカットガラスとして使用することができる。
1:100〜1:2、有利には1:10〜1:3の比のガラス繊維(D)と成分(B)の混合物が特に有利である。
繊維状充填剤はシラン化合物を有するサーモプラストとの相溶性を改善するために表面に前処理しておくことができる。
好適なシラン化合物は、一般式(X−(CH
2)
n)
k−Si−(O−C
mH
2m+1)
4−kのようなものであるが、式中置換基は下記のものを表す:XはNH
2−、
、HO−、nは2〜10、有利には3〜4の整数、mは1〜5,有利には1〜2の整数、kは1〜3の整数、有利には1。
有利なシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン並びに置換基Xとしてグリシジル基を含有する相応するシランである。
シラン化合物は通常、表面塗布用に(Dに対して)0.05〜5質量%、有利には0.5〜1.5質量%、特に0.8〜1質量%の量で使用する。
針状鉱物性充填剤も好適である。
針状鉱物性充填剤とは本発明では著しく特徴的な針状特性を有する鉱物性充填剤である。例えば針状珪灰石が挙げられる。有利には鉱物は8:1〜35:1、有利には8:1〜11:1のL/D(長さ直径)比を有する。鉱物性充填剤は場合により前記シラン化合物で前処理しておいてよいが、この前処理は必ず必要であるというわけではない。
その他の充填剤としては、カオリン、焼成カオリン、珪灰石、タルク及び白亜が挙げられる。
成分(D)として、本発明の熱可塑性成形材料は、通常の加工助剤、例えば安定剤、酸化防止剤、熱分解及び紫外線による分解に対する薬剤、潤滑−及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料、核形成剤、可塑剤などを含有することができる。
酸化防止剤及び熱安定剤の例としては、熱可塑性成形材料の質量に対して1質量%までの濃度の、立体障害フェノール及び/又はホスフィット、ヒドロキノン、芳香族第二アミン、例えばジフェニルアミン、これらの種々に置換されたもの及びその混合物が挙げられる。
通常成形材料に対して2質量%までの量で使用されるUV安定剤としては、種々の置換レゾルシン、サリシレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンが挙げられる。
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄及びカーボンブラック、更に有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン並びに染料、例えばニグロシン及びアントラキノンを着色料として添加することができる。
核形成剤として、ナトリウムフェニルホスフィネート、酸化アルミニウム、二酸化珪素並びに有利にはタルクを使用することができる。
その他の潤滑−及び離型剤は、通常1質量%までの量で使用する。これは有利には、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸又はベヘン酸)、その塩(例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛)又はモンタンワックス(炭素原子28〜32個の鎖長を有する直鎖の飽和カルボン酸から成る混合物)並びにCa−又はNa−モンタネート並びに低分子ポリエチレン−又はポリプロピレンワックスである。
可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドが挙げられる。
本発明による成形材料はなお0〜2質量%の弗素含有エチレンポリマーを含有することができる。その際、弗素含量55〜76質量%、有利には70〜76質量%を有するエチレンのポリマーが該当する。
このための例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン−コポリマー又は比較的小さな割合(大抵50質量%まで)の共重合性エチレン性不飽和モノマーを有するテトラフルオロエチレン−コポリマーである。これらは、例えばSchildknecht著、"Vinyl and Related Polymer"、Wiley−Verlag、1952、484〜494頁及びWall著"Fluorpolymers"(Wiley Interscience、1972)に記載されている。
これらの弗素含有エチレンポリマーは成形材料中に均質に分配されており、有利には0.05〜10μm、特に0.1〜5μmの範囲の粒度d50(数平均)を有する。この僅かな粒度は、弗素含有エチレンポリマーの水性分散液の使用及びそのポリエステル溶融物中への加工によって特に有利に得られる。
本発明による熱可塑性成形材料は、自体公知の方法により、出発成分を通常の混合装置、例えばスクリュー押出機、ブラベンダーミル又はバンバリーミルで混合し、引き続き押出することによって製造することができる。押出後、押出物を冷却し、粉砕することができる。個々の成分を前もって混合し、次いで残りの出発物質を単独及び/又は同じく混合して添加してもよい。混合温度は通常230〜290℃である。
もう一つの有利な態様によれば、成分(B)及び(C)並びに場合により(D)をプレポリマーと混合し、調製し、顆粒にすることができる。得られる顆粒を次いで固体相で不活性ガス下で連続的にか又は不連続的に成分(A)の溶融点より下の温度で所望の粘度にまで濃縮する。
本発明による熱可塑性成形材料は、同時に良好な機械及び難燃特性と共に良好な流動性によって優れている。
特に個々の成分の加工は(凝塊又はベーキングなしに)問題なくかつ短いサイクル時間で可能であるので、用途として特に壁の薄い部品が挙げられ、その際型付着物は非常に僅かである。
これは、あらゆる種類の、特にプラグ、スイッチ、ケーシング部品、ケーシング蓋、投光器背景(Bezel)、シャワーヘッド、備品、アイロン、ひねりスイッチ、レンジボタン、電気フライ器蓋、ドアノブ、(バック)ミラーケース、(リア)ウィンドーワイパー、光波コンダクタ−ジャケットとして使用するための繊維、シート及び成形体の製造用に好適である。
実施例
成分A/1:
ペンタエリスリットテトラステアレート(成分D1)( A100質量%に対して)0.65質量%を含有する、25℃で粘度数VZ130ml/g及びカルボキシル末端基含量34mva/kgを有するポリブチレンテレフタレート(PBT)(BASF AG社のUltradur(R)B4520)(VZは1:1−混合のフェノール/o−ジクロロベンゼンから成る0.5質量%溶液中で測定)
成分A/2:
A/1に記載したものと同じであるが、D1は含まないPBT(BASF AG社のUltradur(R)B4500)。
成分A/3:
A/1に記載したものと同じであるが、VZ107ml/gを有するPBT(BASF AG社のUltradur(R)B2550)。
成分B:
一般的な操作工程:
攪拌機、還流冷却器及び内部温度計を具備した三首フラスコ中で第1表により多官能性アルコールを当モルでジエチルカーボネートと混合し、触媒250ppm(アルコール量に対して)を添加した。混合物を次いで攪拌下で100℃に、*印を付けた試験では140℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。その際反応時間が進むにつれて反応混合物の温度は遊離したモノアルコールの蒸気冷却開始によって下がった。ここで還流冷却器を下降冷却器に換え、エタノールを溜去し、反応混合物の温度を徐々に160℃まで高めた。
溜去したエタノールを冷却した丸底フラスコ中に集め、秤量し、変換率を理論的に可能な完全変換率に対して百分率で求めた(第1表参照)。
次に反応生成物をゲル透過性クロマトグラフィーにより分析した。溶剤はジメチルアセトアミドであり、標準物質としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用した。
成分C/2:三酸化アンチモン(ポリエチレン中90%濃縮物として)。
成分D/2:平均厚さ13μmを有するガラス繊維(エポキシシラン化されたサイズ剤)。
成分D/3:ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)。
成分D/4:Cognis GmbH社のLoxiol(R)EP861:ペンタエリスリットールの長鎖エステル。
成形材料の製造
成分(A)から(D)を二軸押出機で250〜260℃で混合し、水浴中で押出成形した。造粒し、乾燥後、射出成形機で試験片を射出成形し、試験した。
顆粒をISO527−2によりショルダーロッドに射出成形し、引張試験を行った。更に衝撃強さをISO179−2により測定し、粘度(DIN53728によるPBT用の溶剤フェノール/1,2−ジクロロベンゼン(1:1)ISO1628)、MVR(ISO1133)並びに流動法を試験し、難燃性をUL94により測定した。
本発明による組成物及び測定結果は表から読み取れる。