JP2009302516A - 有機発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続駆動寿命の長い有機発光素子を得ることを目的とする。
【解決手段】 陽極と陰極と発光層とを少なくとも有する有機発光素子において、発光層は発光材料を有し、前記発光層中のイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、前記発光材料の発光波長領域に、吸収ピークを持たない有機発光素子を提供する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、有機化合物を用いた有機発光素子に関するものであり、さらに詳しくは、有機化合物からなる薄膜に電圧を印加することにより光を放出する有機発光素子に関する。
有機発光素子は、陽極と陰極間に発光性有機化合物を含む薄膜を配置させて、電極間に電圧を印加し、ホール(正孔)およびエレクトロン(電子)を注入することにより駆動する。このホールと電子が素子内で再結合し、発光性有機化合物の励起子(励起状態)を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する。
有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性が示唆されている。
しかしながら、ディスプレイ等への応用を考えた場合、現状の素子の安定性では実用上十分ではなく、特に、連続駆動を行うと経時的に発光効率が低下する問題に対して、性能改善の必要があった。
この発光効率劣化の原因として、各電極から注入された電荷により、素子を構成する有機化合物が、繰り返し、酸化や還元されることにより劣化することが考えられている。非特許文献1には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)の劣化の一因が、ホール通電によって生成したラジカルカチオン(陽イオン)の不安定性であることが示唆されている。また、特許文献1には、劣化改善を目的として、酸化反応に対して耐性を有する特定のアリールアミン化合物を用いることが開示されている。
また他の原因として、発光層中の化合物の励起状態を経由した、材料の劣化が考えられている。非特許文献2には、励起状態を介した反応が、材料劣化を引き起こす一因であることが示唆されている。
特開2007−70352号公報
Science、283、1900(1999) Journal of Applied Physics 101、024512(2007) Bull.Chem.Soc.Jpn.,59,97−103(1986)
しかしながら、化合物の酸化・還元に対する耐性や、励起状態での安定性を改善しても、これまでの技術では連続駆動耐久性を実用上十分とすることはできなかった。
本発明は、
陽極と、
陰極と、
該陽極と該陰極との間に配置される有機化合物からなる発光層と、
を少なくとも有する有機発光素子において、
前記発光層は発光材料を有し、
前記発光層中のイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、前記発光材料の発光波長領域に、吸収ピークを持たないことを特徴とする有機発光素子を提供する。
本発明によれば、連続駆動寿命の長い有機発光素子を得ることができる。
化合物2の中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 化合物4と化合物5の混合膜のホール移動度を測定した結果を示す図である。 電子親和力の異なるドーパントを混合した膜の電子移動度を測定した結果を示す図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。 化合物7のH−NMR(CDCl)スペクトルを示す図である。 実施例1における発光材料のPLスペクトルである。 化合物6の中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 化合物10の中性状態、および、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルである。 本発明の画像表示装置の一例を示す断面の模式図である。
本発明者等はこれまでの技術とは異なるアプローチで連続駆動耐久性を向上させる素子の開発を試みた。より具体的には劣化を引き起こす経路を改善することを試みた。
本発明者等はまずはじめに、次の現象に気付いた。即ち、ラジカルカチオン状態の化合物が、発光層が発光する光の波長領域に吸収ピークを有していると劣化するという現象である。
以下、ラジカルカチオンが励起されることで、材料劣化が引き起こされることの検証実験を説明する。
(1)検証実験用のサンプル作成
基板としてのガラス基板上に、陽極としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて130nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。
次にこの基板上に、ホスト材料として下記の化合物1と、発光性ドーパントとして下記の化合物2を、それぞれ別のボートから同時に真空蒸着して成膜した。化合物2の濃度は10wt%で、膜厚は100nmであった。この層を第1の有機物層と呼ぶ。
次に下記の化合物3を15nm、真空蒸着した。この層を第2の有機物層と呼ぶ。
更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極)とするサンプルを作成した。
得られたサンプルは、水分の吸着が起こらないように、露点−70度以下の窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、エポキシ系接着材で封止した。なお、保護ガラスの接着面側には掘り込みを入れ、水分吸着用のシート(有機EL用水分ゲッターシート、ダイニック株式会社製)を封入した。
(2)検証実験の詳細
この様にして得られたサンプルに、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして電圧印加する。化合物3の電子親和力が小さいため、Alから有機物層への電子の注入は起こらないが、ITO電極からホール注入は起こるため、このサンプルにはホール電流のみが通電することになる。従って、このサンプルは通電してもEL発光しない。
このサンプル(サンプル1)に、電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加した。電圧は、通電開始時は約21Vで、通電130時間後には約22Vとほとんど電圧上昇がなかった。また、第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、通電前の強度に対して130時間の通電後の強度は約99%を維持していた。ホール通電によって、化合物1および化合物2は、酸化(ラジカルカチオン化)と中性化を繰り返すことになるが、ほとんど劣化が起きていないことを示している。
次に、全く同様に作成したサンプル(サンプル2)に、ガラス基板側から460nmの光を130時間、照射した。照射強度は約0.4W/cmである。
両電極間は0Vが維持されている状態である、そして通電されていない状態である。
このサンプルの第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、照射前に対して、130時間照射後の強度は約99%を維持していた。化合物1および化合物2のエネルギーギャップが、460nmよりも短波(高エネルギー)であるため、この波長では励起できず、ほとんど劣化が起きなかったことを示している。
次に、全く同様に作成したサンプル(サンプル3)に、電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加している間、460nmの光を照射しつづけた。電圧は、通電および光照射開始時は約21Vであったが、これら通電と光照射を130時間行った後には35Vと非常に大きな電圧上昇を示した。また、第1の有機物層のフォトルミネッセンスを測定したところ、初期の強度に対して130時間の通電および光照射後の強度は約92%と、明らかな劣化を示した。
これらの実験結果から、ホール通電によって生じた、化合物2のラジカルカチオンが、460nmの照射光で励起されることによって、劣化したと考えられる。前述したとおり、化合物2は、中性状態ではエネルギーギャップが広いために460nmでは励起できないが、ラジカルカチオン状態ではこの波長領域に吸収を持つために励起するからである。ここで、化合物2に注目するのは、化合物1よりも化合物2の方がイオン化ポテンシャルが小さく、ホール通電により化合物2が優先的にラジカルカチオン状態になるためである。
化合物2の中性状態および、ラジカルカチオン状態の光学吸収スペクトルを図1に示す。図1に示すように、ラジカルカチオン状態になると、中性状態にはなかった新たな吸収ピークを460nm付近にもつことが分かる。
以上、一連の検証実験から、ホール通電によって生成したラジカルカチオンが励起状態を経ることによって、材料劣化が起こることが分かった。
発明者等は更にその本質に気付いた。即ち、上記の検証実験の場合には、ラジカルカチオンは素子外部からの照射光によって励起され劣化したが、実際の有機発光素子においては、発光層中に生じる発光材料の発光によって励起され劣化することが考えられる。しかしながらそれが劣化の主たる原因ではなく、むしろ励起状態の発光材料からラジカルカチオンへエネルギーが移動することによってラジカルカチオンが励起され劣化すると考えた。
というのも発光材料からの発光をラジカルカチオンが吸収すること(発光―再吸収)よりも、励起状態の発光材料からラジカルカチオンへエネルギーが移動することのほうが、効率が高く支配的であると考えられるからである。発光―再吸収と同様に、エネルギー移動も、ラジカルカチオンの吸収を通じて行われる。
そして、特に、エネルギーの高い一重項励起状態からの、フェルスター型のエネルギー移動が重要であると考えられる。ラジカルカチオンの励起状態のエネルギーが高い方が不安定であり、より材料劣化に起こしやすいと考えられるためである。
以上説明したように、本発明者等は励起子(励起状態)からホール(ラジカルカチオン状態)へ、エネルギー移動することで生成するラジカルカチオンの励起状態が、劣化経路となっていることを発見した。本発明は、この劣化経路を、発光層を構成する材料を制御することで効果的に抑制し、駆動寿命の向上を可能にするものである。特に、ラジカルカチオンの励起状態のエネルギーが高いと、劣化がより顕著になると考えられるため、青色発光素子の場合に特にこの劣化が問題になる。そのため、本発明は特に青色発光素子の場合に効果がある。
本発明における青色発光とは、JIS規格(JIS Z8110)の色度区分において、青の範囲のxy色度座標を示す発光を言う。
なお、本発明において発光スペクトルは、後述するように、発光層と同様の構成の薄膜をガラス基板上に直接成膜し、このサンプルのフォトルミネッセンスを測定することによって得る。
本発明においては、発光層においてイオン化ポテンシャルが最も小さい材料のラジカルカチオン状態に着目する。というのも発光層に注入されたホールは、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料を通電する確率が高いからである。
本発明の有機発光素子は、発光層においてイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、ラジカルカチオン状態の吸収スペクトルが、発光材料の発光波長領域に、吸収ピークを持たないようにする。
その結果、本発明においては、発光材料の励起状態から、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料のラジカルカチオンへの、エネルギー移動を抑制することで、劣化を防止することができる。
吸収ピークを持つということは、その対応するエネルギーにラジカルカチオンの励起状態が存在する(基底状態をゼロエネルギーとして)ことを意味する。吸収ピークを持つ場合、発光材料からラジカルカチオンへのエネルギーの移動が円滑に起こってしまう。
なお、本発明における発光波長領域とは、発光層において発せられる光の発光スペクトルが、発光ピークの1/2以上の値を持つ波長範囲のことである。
本発明における吸収ピークとは、そのエネルギーを中心にラジカルカチオンの励起状態が存在する(基底状態をゼロエネルギーとして)ことを吸収スペクトルの波形の中で明らかに示すものであれば良い。吸収ピークの具体的形状については限定しないが、測定ノイズレベル以上の凸状のものを言う。測定ノイズレベルは測定条件および装置の性能限界で決定されるものであり、測定ノイズか否かは、例えば、複数回測定し再現するかどうかで判断できる。
また、発光波長領域における、ラジカルカチオン吸収量は小さいことが好ましい。
より具体的にはラジカルカチオンの吸収量はモル吸光係数で1.0E+04(一万オーダー)以下、測定ノイズレベル以上であることが好ましいことが本発明者の実験によってわかった(一例を後述する図10および図11に挙げた)。なお、モル吸光係数の単位は[L/(mol・cm)]である。したがって好ましいラジカルカチオンの吸収量を単位をつけて表現すると10,000[L/(mol・cm)]以下と表現することが出来る。
本発明における発光材料とは、有機発光素子として取り出したい発光を発する材料のことである。したがって上述の構成、即ち発光層がホストと発光ドーパントで形成される場合には、発光ドーパントのことである。
前述の検証実験の説明では、発光材料は蛍光発光材料であったが、本発明は燐光発光材料であっても同様に効果がある。
燐光発光材料は最低三重項励起状態(T1)からの発光を利用する材料である。本来、T1はスピン禁制のため光学的に不活性であるが、分子内に重原子を含有することでスピン禁制を解き、T1からの常温発光を可能にするものである。この場合、着目するのは、この燐光発光材料のT1状態から、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料のラジカルカチオンへのエネルギー移動である。そして燐光発光波長領域において、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料のラジカルカチオン状態での吸収ピークがないことが求められる。
本発明において、好適な燐光発光材料は、イリジウム錯体、白金錯体、ルテニウム錯体、オスミウム錯体等の金属錯体である。さらに好ましくは、強い燐光発光性が知られているイリジウム錯体である。
本発明において有機発光素子が有する発光層は、これらイオン化ポテンシャルの最も小さい材料と発光材料のみから構成されるだけでなく他の材料を有していても良い。
あるいは本発明において有機発光素子が有する発光層は単一材料で構成されてもよい。この場合には、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料と発光材料は同一化合物である。
以上説明したように、本発明の有機発光素子は、励起状態の発光材料からラジカルカチオンへのエネルギー移動を抑制できるので連続駆動寿命の長い有機発光素子を提供することができる。
また、上記の劣化経路をさらに抑制するには、発光層中のラジカルカチオン状態の材料の密度(ホール密度)が低いことが好ましい。
特にイオン化ポテンシャルの最も小さい材料はホールがトラップしやすいため、この材料の発光層中の濃度が20wt%以上であることが好ましい。20wt%以上であると、この材料間でのホールのホッピング伝導が顕著になり、ホールのトラップ性能が落ちる。
また、この材料に集中的にホール通電させ、なるべく他の材料にホール通電しない(即ち、ラジカルカチオン状態にしない)ためにも、20wt%以上であることが好ましい。
なおイオン化ポテンシャルの最も小さい材料が発光層中に占める濃度の最大値は100%である。この場合、上述した発光層が単一材料から構成される場合と同じである。
本発明において、発光層中のイオン化ポテンシャルの最も小さい材料が20wt%以上であるとホールトラップ性能が落ちることは、以下の事象からも説明できる。
図2は、下記化合物4と下記化合物5の混合膜のホール移動度をTOF(タイムオブフライト)法によって測定した結果である。
なお、測定には、TOF測定装置((株)オプテル社製、TOF−301)を用いた。測定用のサンプルは、ITO付きガラス基板上に、化合物4と化合物5の混合薄膜を、真空蒸着法により膜厚2μm乃至4μmで形成し、この薄膜上に対向電極としてアルミニウムを蒸着したものを用いた。
横軸は、混合膜中での化合物5の濃度であり、縦軸は電界強度36kV/cmでのホール移動度である。化合物4および化合物5のイオン化ポテンシャルは各々5.70eVと5.49eVである。10wt%の濃度で最もホール移動度が遅く、化合物5がホールトラップとして強く機能していることが分かる。濃度が20%以上になると、ホール移動度が濃度が10%の場合に比べて約2倍以上に向上し、ホールトラップ性能が落ちていることが分かる。
また濃度が10%より低い場合のホール移動度が図2において3点測定されている。これらは濃度が10%の場合のみならず20%の場合よりもホール移動度が高いが、上述した様に、イオン化ポテンシャルの最も小さい材料にホール通電を集中するという点で好ましくない。
このように一般的な発光層においてもドーパント濃度が20%以上であることが好ましく、したがって本発明においてもホール密度を低下させる上でイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の濃度は20%以上であることが好ましい。
また、発光層中でのホール密度を低下させるには、イオン化ポテンシャルが最も小さい材料の濃度は20%以上にする以外に、発光層における電子密度を高くしてもよい。電子密度を高めることで、再結合確率を増やし、結果的にホール密度を低下させることができる。このためには、発光層に電子トラップするドーパント材料を混合すればよい。その結果電子を蓄積することができる。ここでいうドーパント材料とは発光材料と同一の材料でも良いし、あるいは発光材料や上記イオン化ポテンシャルが最も小さい材料とは異なる材料でも良い。
本発明者らの検討によれば、このドーパント材料の電子親和力EADは、ホスト材料(例えば上記イオン化ポテンシャルが最も小さい材料)の電子親和力EAHと、
EAD−EAH≧0.15eV
の関係があると、電子トラップ性能が顕著となる。
図3は上記化合物4をホストとし、電子親和力の異なる種々の材料を10wt%の濃度でドーパントとして混合したサンプルを、それぞれTOF法にて測定しそれらの電子移動度を測定した結果である。横軸はドーパントの電子親和力と化合物4の電子親和力の差(EAD−EAH)であり、縦軸は電界強度36kV/cmでの電子移動度である。なお、図中、EAD−EAH=0のプロットは、ホスト単体の電子移動度である。電子親和力の差が0.15eV以上の場合に、電子移動度が顕著(1/5以下)に低下することがわかり、即ち電子トラップが機能していることがわかる。
以上のような電子トラップが機能する、電子親和力の大きなドーパントとしては、五員環を含有する芳香族炭化水素を骨格として含む材料が好ましい。また、青色発光を実現するためには、フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[ghi]フルオランテン、ベンゾ[b]フルオランテンのいずれかの骨格を含む材料が好ましい。
本発明において、十分な劣化抑制の効果を得るには、発光層中の水分濃度が十分に低いことが好ましい。含有水分濃度が高いと発光層内の材料が水酸化され、イオン化ポテンシャルの小さい劣化物が生成される可能性があるからである。
発光層中の水分濃度を十分に低くするためには例えば、有機発光素子を封止剤あるいは封止部材により封止する際の露点が−110度以上−70度以下であることが好ましい。
また発光層中の水分濃度を十分に低くするためには例えば、有機層を蒸着により成膜する際の真空度が10−7Pa以上10−4Pa以下であることが好ましい。
このような劣化物が発生すると、この劣化物にホール蓄積される可能性が高く、本発明の劣化抑制の効果が低下することになる。
発光層を真空蒸着法にて成膜する場合には、含有水分濃度を低下させるために、真空度を上記の範囲とすることが好ましいが、他にも有機化合物の蒸着速度を速くすることが好ましい。より好ましくは0.5nm/sec以上10nm/sec以下である。また、発光層の陽極側および陰極側の界面への水分吸着量を減らすため、発光層の蒸着前後の、非蒸着待機時間が短い(より好ましくは10分以内)ことが望ましい。また発光層の蒸着前の工程と発光層の蒸着工程との間の非蒸着待機時間において真空状態が破られていないことが好ましい。あるいは発光層の蒸着工程と発光層の蒸着後の工程との間の非蒸着待機時間において真空状態が破られていないことが好ましい。さらにいずれの非蒸着待機時間においても真空状態が破られていないことが更に好ましい。
また、本発明において、十分な劣化抑制の効果を得るには、使用する材料の純度が特に高いことが好ましい。特にイオン化ポテンシャルが小さい不純物が含まれる場合には、この不純物にホールトラップされる可能性が高く、本発明の劣化抑制の効果が低下することになる。
図4から図7に本発明の有機発光素子の構成例を示す。
図中の符号を説明する。1は基板、2は陽極、3は発光層、4は陰極、5はホール輸送層、6は電子輸送層、7はホール注入層、8はホールブロック層、9は電子注入層を示す。
また10はTFT駆動回路、11は平坦化膜、12は画素分離膜、13は反射膜、14は透明電極、15は補助電極、16は保護ガラス、17はゲッターシート、18は円偏光板を示す。そして31は青色発光層、32は緑色発光層、33は赤色発光層、51は第二の正孔輸送層を示す。
図4は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール輸送層か電子輸送層の少なくともいずれかが、発光層を兼ねている。
図5は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホールと電子の再結合領域は発光層内にある。ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリアまたは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
図6は、図5に対して、ホール輸送層の一種であるホール注入層7を、陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
図7は、図5に対して、電子輸送層の一種であるホールブロック層8を、発光層3−電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの大きな(すなわちHOMOエネルギーの低い)化合物をホールブロック層8として用いる事により、発光層から陰極側へのホール漏れを改善し、発光効率の向上に効果的な構成である。
素子構成が、ホール輸送層と発光層と電子輸送層を含む場合、再結合領域が発光層中で電子輸送層側に偏っていることが望ましい。通常、ホール輸送層にはイオン化ポテンシャルが比較的小さい材料を用いるため、発光層との間にホール注入に関してエネルギーギャップが生じることが多い。このため、ホール輸送層の発光層側界面にはホールが蓄積し、ホール輸送材料のラジカルカチオンが生成する。発光層中でホール輸送層側の再結合量が多い場合、ホール輸送材料のラジカルカチオンが発光層からのエネルギー移動により励起され、劣化する可能性があるからである。
発光層を複数層設けても良い。特に、発光色の異なる発光層を複数設け、白色光を得ることも可能である。この場合、青色発光層と黄色発光層の2層、もしくは、青色発光層と緑色発光層と赤色発光層の3層の組合せで白色光を得る構成が好ましい。このような素子構成の場合は、すくなくともいずれか一つの発光層において、本発明の動作原理に基づく劣化抑制が行わればよい。
エネルギーギャップの測定は、可視光−紫外吸収スペクトルから求めることができる。本発明においては、ガラス基板上に成膜した薄膜の吸収端から求めた。装置は日立製分光光度計U−3010を用いた。
イオン化ポテンシャルおよび最高被占軌道(HOMO)エネルギーは、大気下光電子分光法(測定器名AC−1 理研機器製)を用いて測定した。
電子親和力および最低空軌道(LUMO)エネルギーはエネルギーギャップ測定値と上記イオン化ポテンシャルから算出することができる。すなわち、電子親和力=イオン化ポテンシャル−エネルギーギャップ、である。
発光材料の発光スペクトルは、日立製蛍光光度計F4500にてフォトルミネッセンスを測定することで得た。本発明においてサンプルは、ガラス基板上に発光層と同様の構成の薄膜を成膜したものを用いた。
ラジカルカチオンの吸収スペクトルは、電解質溶液に、ポテンシオスタットにより電位を印加して酸化状態(ラジカルカチオン)を生成し、その吸収スペクトルを計測することにより得る。本発明においては、対象となる材料濃度が、1×10−2〜10−5mol/lの電解質溶液に対し、酸化電位程度の電位を印加して、吸収スペクトルの時間変化を計測する。
この吸収スペクトルは、中性状態の分子とラジカルカチオン状態の分子の吸収スペクトルの和であるが、通電電荷量(アンペロメトリー)からラジカルカチオンの生成量を見積もることが出来る。中性分子とラジカルカチオンの存在比と、その時の吸収スペクトルから、ラジカルカチオン自体の吸収スペクトルを得ることが出来る。ここで使用した電荷化学アナライザー(ポテンシオスタット)はALS社製660Cである。吸収スペクトルの測定には、光源としては、オーシャンオプティクス社製重水素タングステンハロゲン光源DH−2000を用いた。また分光器としては、オーシャンオプティクス社製USB−2000を用いた。
ホール(正孔)輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送する優れたモビリティを有することが好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。また、イオン化ポテンシャルの大きい材料は、ホールブロック材料としても使用できる。
本発明の有機発光素子の有機化合物からなる層は、発光層やその他有機層において種々の方法により得られる。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマCVDにより薄膜を形成する。あるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
また陽極および陰極は、少なくともいずれか一方が透明または半透明であることが望ましい。
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)および、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
本発明の有機発光素子は種々の製品に搭載できる。
例えば当該有機発光素子を有した光源(露光装置)を搭載した電子写真方式の画像形成装置を提供することができる。
また本発明の有機発光素子を2次元上に複数配置することで、表示部を構成することができる。したがってその表示部を有する画像表示装置を提供することができる。
画像表示装置はこの表示部とそれを駆動する駆動部とを少なくとも有する。
画像表示装置とは例えばパーソナルコンピュータのディスプレイやテレビジョンのディスプレイである。
駆動部は例えば表示画像の明るさを調整するために、1フレーム期間における該有機発光素子の発光期間を調整するスイッチを有することが好ましい。
ほかにも表示部は電子写真方式の画像形成装置のタッチパネル部等の操作部として利用することができる。
あるいは画像表示装置を画像表示部としたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラ(撮像装置)も提供できる。
表示部はそれぞれの有機発光素子に毎にスイッチング素子を有していても良い。スイッチング素子は例えばTFTである。
表示部を構成するそれぞれの有機発光素子は互いに異なる色を発してもよい。より具体的にはそれぞれの有機発光素子が赤緑青の3色のいずれの色を発光してもよい。その場合フルカラー表示が可能である。
特に、上述したモバイル機器に搭載するフルカラー画像表示装置においては、限られた電源容量を有効に使用するために、有機発光素子から放出される光を効率良く利用することが望まれる。従って、発光色毎に有機発光素子の光学的干渉距離を調整して、取り出し効率を高めることが好ましい。特に、有機発光素子の発光領域と反射電極の反射面との光学距離が、発光波長の1/4又は3/4倍であることが好ましい。
また、複数色からなるフルカラー画像表示装置においては、いづれかの色の有機発光素子の発光材料として燐光材料を用いることも出来る。燐光材料を発光材料として使用することにより、電気エネルギーをより効率良く発光エネルギーに変換できるからである。特に赤緑青の三色からなるフルカラー表示装置においては、赤色のみ、緑色のみ、又は、赤色と緑色の発光材料として、燐光材料を用いることが好ましい。
さらに、無駄なエネルギー消費を抑える上で、配線部分の電気的な抵抗は、小さい方良く、具体的にはシート抵抗値で0.1Ω/□から50Ω/□が好ましい。トップエミッション型の有機発光素子を用いた構成においては、有機膜の上に成膜する透明もしくは半透明電極(基板側電極の対極)の電気伝導率が低い傾向にある。この電気伝導率を高めるために、複数配置した有機発光素子の間の部分に電気伝導率の高い材料を設置することも可能である。その結果、電極部分の抵抗値を下げることが出来る。
また、画像表示装置の表示領域において、有機発光素子の発光面積比率(開口率)は、0.4以上0.8以下が好ましい。開口率が小さいと、同一輝度を得る際の有機発光素子に通電される電流密度が増加し、負荷が大きくなる為である。また、開口率が大きすぎると発光素子間の間隔が狭く、成膜の際の位置合わせが困難になる為である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
本合成例に使用する新規な下記化合物6を、以下に説明するような方法で合成した。
窒素雰囲気下、以下に示す試薬、溶媒を100mLナスフラスコに投入した。
7,7−ジメチル−5,8−ジブロモジベンゾ[c,g]フルオレン:0.60g(1.33mmol)
2−ビフェニルボロン酸:0.55g(2.78mmol)
トルエン:20mL
エタノール:10mL
さらに、10重量%炭酸ナトリウム水溶液を10mL加えた後、反応溶液を室温で30分攪拌した。続いて、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド55mg(0.078mmol)を加えて、反応溶液を加熱還流させながら4時間撹拌した。反応終了後、有機相をトルエンで抽出、水で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥後に濃縮して粗体を得た。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/トルエン=4/1混合展開溶媒)で行った。さらにヘプタン/トルエン混合溶媒での加熱スラリー洗浄、およびエタノール/クロロホルム混合溶媒での加熱スラリー洗浄を行った。加熱スラリー洗浄とは固体に液体を加えてスラリー(懸濁液)を加熱することで、不純物だけを液体へ抽出し、冷却後にろ過して純度の高い固体を得ることである。そして加熱スラリー洗浄の後、130℃で真空加熱乾燥することにより、化合物6を610mg得た(収率77%)。さらに10−4Pa、275℃の条件下で昇華精製を行い、高純度の昇華精製品を448mg(昇華精製収率73%)得た。なお、本合成例ではこの昇華精製した化合物を使用した。
得られた化合物の同定を行った結果を以下に示す。
[MALDI−TOF−MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)]
実測値:m/z=598.15 計算値:C4734=598.27[H−NMR(400Hz、CDCl)]
δ 8.69(t,2H),7.90(t,2H),7.65−7.45(m,10H),7.42−7.38(m,2H),7.22(s,1H),7.16(s,1H),7.11−6.95(m,10H),1.35(s,1.5H),1.06(s,3H),0.87(s,1.5H)
このようにして得られた化合物6の純度を、日本分光株式会社製高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い測定したところ、昇華精製前99.52%、昇華精製後100%であることを確認した。測定条件は下記のとおりである。
・HPLC分析条件
[測定装置] 日本分光 UV−2075 波長=254 nm
[サンプル] 1mg/THF 10 ml
[分析カラム] YMC ODS・M80 S−4μm 4.6mm×250mm 型番:JT08S04−2546WT
[カラム温度設定] 40℃
[注入量] 1.0 μl
[展開溶媒] MeOH
[流速] 1.0 ml/min
[測定時間] 20 min
[検出条件] UV吸収波長 254 nm
(合成例2)
本合成例に使用する新規下記化合物7を、以下に説明するような方法で合成した。
(1)4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテンの合成
5−ブロモアセナフチレン(14.5g、62.8mmol)、ジフェニルイソベンゾフラン(17.1g、63.3mmol)にキシレン200mlを加え、キシレン還流下5時間攪拌した。室温まで冷却後、溶媒を留去し、そこに無水トリフルオロ酢酸26mlとクロロホルム260mlを加え、還流下1時間攪拌した。室温まで冷却後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相;トルエン:ヘプタン=1:3)で精製し、黄色固体として4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテンを16g得た。
(2)化合物7の合成
窒素雰囲気下、以下の化合物をトルエン(100ml)、エタノール(50ml)の混合溶媒に溶解させ、さらに炭酸セシウム0.95g(2.90mmol)を蒸留水15mlに溶解させた水溶液を加え、50℃で30分攪拌した。
4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン(0.7g、1.45mmol)
2−(フルオランテン−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン0.48g(1.45mmol)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.17g,0.145mmol)を加え、90℃に加熱したシリコーンオイルバス上で5時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、水、トルエン、酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層をさらにトルエン、酢酸エチルの混合溶媒で抽出(2回)し、はじめに分離した有機層溶液に加えた。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相;トルエン:ヘプタン=1:3)で精製した。120℃で真空乾燥し、さらに昇華精製を行い、淡黄色固体として化合物7を0.6g得た。
MALDI−TOF MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりこの化合物のMである604.2を確認した。
さらに、H−NMR測定によりこの化合物の構造を確認した(図8)。同定結果は以下のとおりである。
H−NMR(400Hz、CDCl)]
δ 8.01(d,1H),7.91−7.95(m,3H),7.58−7.71(m,13H),7.39−7.54(m,8H),7.22(q,1H),6.74(d,1H),6.63(d,1H)
このようにして得られた化合物7の純度を、日本分光株式会社製高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記に示したサンプル濃度、分析カラム、各種測定条件により測定した。その結果、UV及び蛍光検出器において、純度は共に99.9%以上であることを確認した。
[サンプル] (化合物7)1 mg/THF 10 g
[分析カラム] YMC M80
[カラム温度設定] 40℃
[注入量] 5.0 μl
[展開溶媒] MeOH:CHCl=90:10
[流速] 1.0 ml/min
[測定時間]20 min
[HPLC検出条件]
UV吸収波長 254 nm
蛍光励起波長 350 nm 蛍光検出波長 450 nm
(その他合成例等)
実施例1および比較例1で使用する化合物3、8、9の合成例を以下に示す。
<化合物3の合成例>
100mlナスフラスコにN,N’−ジフェニルベンジジン4.88g(14.5mmol)、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン6.40g(20mmol)、炭酸カリウム4.00g、銅粉3.0g、オルトジクロロベンゼン30mlを仕込み、冷却管をつけて、20時間還流撹拌を続けた。反応液を冷却後、濾過し、減圧化でオルトジクロロベンゼンを濃縮除去した後、メタノールを加えて粗製結晶を析出させて濾取した。
得られた粗製結晶をシリカゲルカラムを用いてトルエン/ヘキサン混合溶液で精製することにより、化合物3の白色結晶7.32g(収率70%)が得られた。
<化合物8の合成例>
a)中間体化合物1−1の合成
中間体は2,7−ジターシャリブチルフルオレン(シグマアルドリッチ社)を原料にして製造できる。[非特許文献3]さらに、ジメチル化することで中間体1−1が得られる。
b)化合物8の合成
200ml三ツ口フラスコを用意した。そこに化合物1−1、4.56g(12.0mmol)を入れた。また化合物1−2、0.828g(4.00mmol)、ナトリウムターシャリブトキシド0.96g(10.0mmolを入れた。さらにキシレン100mlを入れ、窒素雰囲気中、室温で攪拌下、トリターシャリブチルフォスフィン34.4mg(0.17mmol)を添加した。次いでパラジウムジベンジリデンアセトン48.9mg(0.085mmol)を添加した。125度に昇温し3時間攪拌した。反応後有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラム(ヘプタン+トルエン混合展開溶媒)で精製し、化合物8(白色結晶)2.53g(収率78.0%)を得た。
質量分析法により、この化合物のM+である817.5を確認した。また、DSC示差走査熱量分析法により、融点267℃及びガラス転移点143℃を確認した。
<化合物9の合成例>
300ml三ツ口フラスコに、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン[1]5.8g(18.1mmol)およびジエチルエーテル80mlを入れ、窒素雰囲気中、−78度で撹拌下、n−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)11.7ml(18.1mmol)を滴下した。室温まで昇温し1時間撹拌した後、−20度に冷却しフェナントロリン[2]0.81g(4.51mmol)のトルエン100ml分散液を滴下した。室温で12時間撹拌後、水を加え有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、アルミナカラム(ヘキサン+クロロホルム混合展開溶媒)で精製し、化合物9(白色結晶)2.04g(収率80%)を得た。
(実施例1)
基板としてのガラス基板上に、陽極としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて130nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。
ホール注入層材料として前記化合物3を用いて、濃度が0.1wt%となるようにクロロホルム溶液を調整した。
この溶液を上記のITO電極上に滴下し、最初に500RPMの回転で10秒、次に1000RPMの回転で1分間スピンコートを行い膜形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥し、薄膜中の溶剤を完全に除去した。形成されたホール注入層の厚みは11nmであった。
次にホール輸送層として前記化合物8を、真空蒸着法を用いて15nmの膜厚で成膜した。
次に発光層として、ホスト材料として前述した新規化合物6と、発光性ドーパントとして前記化合物7を、それぞれ別のボートから同時蒸着して形成した。発光性ドーパントの濃度は5wt%で、膜厚は30nmであった。
更に電子輸送層として、前記化合物9を真空蒸着した。電子輸送層の膜厚は30nmであった。
上記有機物層の蒸着時の真空度は7.0×10−5Pa以下、成膜速度は0.8nm/sec以上1.0nm/sec以下の条件であった。ただし、発光層はホストおよびドーパントの両者を合わせた蒸着速度である。また、ホール輸送層の蒸着完了後から発光層の蒸着開始までは真空状態を維持しておりその間の時間は10分以内であり、また、発光層の蒸着完了後から電子輸送層の蒸着開始までも真空状態を維持しておりその間の時間は10分以内であった。
次に、フッ化リチウム(LiF)を先ほどの有機層の上に、真空蒸着法により厚さ0.5nm形成し、更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極)とする有機発光素子を作成した。蒸着時の真空度は1.0×10−4Pa、成膜速度は、フッ化リチウムは0.05nm/sec、アルミニウムは1.0nm/sec以上1.2nm/sec以下の条件で成膜した。
得られた有機発光素子は、水分の吸着が起こらないように、露点−70度以下の窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、エポキシ系接着材で封止した。なお、保護ガラスの接着面側には掘り込みを入れ、水分吸着用のシート(有機EL用水分ゲッターシート、ダイニック株式会社製)を封入した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして、4.4Vの電圧を印加した。その結果発光輝度414cd/m、発光効率6.6cd/A、最大発光波長457nmの、化合物7に由来する青色の発光が観測された。
さらに、この素子に電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加したところ、初期の50%の発光輝度になるのは161時間であり、耐久性能は良好であった。
次に、発光性ドーパント(発光材料)の発光波長領域を測定した。本実施例の発光層と同様の構成の薄膜を、ガラス基板上に直接成膜した。このサンプルの蛍光光度計(装置名F4500)にてフォトルミネッセンスを測定した(図9)。この結果、発光材料の発光波長領域は442nm〜506nmであることが分かった。なお、xy色度座標は(0.15、0.18)の青色発光である。
次に発光層のホスト材料の薄膜と発光性ドーパントの薄膜を各々真空蒸着により作成し、それぞれを大気下光電子分光装置(装置名AC−1)でイオン化ポテンシャルを測定した。またさらに、紫外−可視光吸収スペクトルの測定(装置名U−3010)から、エネルギーギャップおよび電子親和力を算出した。この結果、ホスト材料のイオン化ポテンシャルは5.79eVであり、発光性ドーパントのイオン化ポテンシャルは5.89eVであった。従って、本実施例において、発光層中でイオン化ポテンシャルの最も小さい材料は、ホスト材料である。また、ホスト材料の電子親和力と発光性ドーパントの電子親和力は、各々、2.84eVと3.08eVであった。従って、発光性ドーパントは顕著な電子トラップ性能を持ち、発光層は十分高い電子密度を持つと推察される。
次に、ホスト材料のラジカルカチオン吸収スペクトルを測定した。結果を図10に載せる。発光材料の発光波長領域B内に、測定ノイズレベルを上回る凸状の形状は見られず、吸収ピークが存在しないことが分かった。
また、発光材料の発光波長領域B内で、モル吸光係数が10,000以下である。
また、この素子は、発光層中の電子輸送層側で多くの再結合が起こっていると推察される。
(比較例1)
発光層のホスト材料を、下記化合物10に変更した以外は、実施例1と同様の素子を作成した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして、4.8Vの電圧を印加した。その結果発光輝度313cd/m、発光効率5.2cd/A、最大発光波長458nmの、化合物7に由来する青色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下で電流密度を100mA/cmに保ち電圧を印加したところ、初期の50%の発光輝度になるのは約109時間後であり、実施例1に比較して耐久性能に劣る結果が得られた。
次に、実施例1と同様に、発光性ドーパント(発光材料)の発光波長領域を測定したところ、443nm〜509nmであることが分かった。
次に発光層のホスト材料のイオン化ポテンシャルと電子親和力を測定・算出したところ、各々、5.80eVと2.64eVであった。
従って、本実施例において、発光層中でイオン化ポテンシャルの最も小さい材料は、ホスト材料である。
次に、ホスト材料のラジカルカチオン吸収スペクトルを測定した。ラジカルカチオンの吸収スペクトルを図11に載せる。約473nmに吸収ピークAが存在し、発光材料の発光波長領域B内に吸収ピークが存在することが分かった。発光材料(発光性ドーパント)の励起状態から、ホスト材料のラジカルカチオンへエネルギー移動が起き、ラジカルカチオンの励起状態が生じることが、耐久性能が劣る原因と推察される。
(実施例2)
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のモバイル機器に搭載するRGBフルカラー表示装置について、以下に示す。この表示装置は、本発明の有機発光素子を表示部の青(B)画素に有する。モバイル機器における表示装置には、電源の制限から、特に低消費電力であることが望まれる。従って、本実施例においては、この点に留意して表示装置を作成する。この表示装置の断面の模式図を、図12に示す。
使用した基板1には、10の有機発光素子を駆動する低温ポリシリコンのTFT駆動回路、11の平坦化膜、2の陽極、12の画素分離膜が形成してある。TFT駆動回路は、(640×3色)×480の画素が対角3.5インチのサイズで2次元的に配列されたものである。また、2の陽極は、13のAg合金からなる厚さ50nmの反射膜と、14の厚さ60nmのITOからなる透明電極の積層膜である。各陽極2は、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通じ、TFT駆動回路10に接続されている。また、各画素間には、ポリイミド樹脂からなる画素分離膜12が形成されてある。
この基板を、アセトン、IPAで順次超音波洗浄し、さらにIPAで煮沸乾燥した後、UV/オゾン洗浄した。この基板を真空装置に導入し、RGB三色の有機発光素子を形成する。
はじめに正孔輸送層5として前記化合物3を、抵抗加熱により60nmの厚さで全画素に形成する。その後、シャドーマスクを用いて、青色画素にのみ、第二の正孔輸送層51として前記化合物8を10nm形成し、さらに、青色発光層31として前記化合物6と前記化合物7を35nmの厚さに同時蒸着して形成する。この青色発光層における発光性ドーパント(化合物7)の混合比率は、5wt%である。
次に、緑色画素に対しては、シャドーマスクを用いて前記化合物3を80nm形成し、正孔輸送層の厚さを調整した。さらに、緑色発光層32として、前記化合物1と前記化合物5を40nmの厚さに同時蒸着して形成する。この緑色発光層における発光性ドーパント(化合物5)の混合比率は、15wt%である。
また、赤色画素に対しては、シャドーマスクを用いて前記化合物3を120nm形成し、正孔輸送層の厚さを調整した。さらに、赤色発光層33として、下記化合物11と前記化合物12を30nmの厚さに同時蒸着して形成する。この赤色発光層における発光性ドーパント(化合物12)の混合比率は、10wt%である。
このようにRGB各色発光層を、シャドーマスクを用いて形成した後、全画素に対して電子輸送層6として前記化合物9を10nm形成する。さらに、前記化合物9と炭酸セシウムを同時蒸着して、厚さ60nmの電子注入層9を形成する。この電子注入層における炭酸セシウムの混合比率は、3wt%である。
なお、上述した有機化合物の蒸着は、蒸着時の真空度が7.0×10−5Pa以下、成膜速度は0.8ns/sec以上1.0ns/sec以下であり、同時蒸着の場合は、両者をあわせた蒸着速度である。
次に、陰極4としてIZOを30nmの厚さに成膜した。成膜方法は、アルゴンと酸素を導入し、対向式ターゲットスパッタ装置(FTS)を使用する。
また、IZO陰極4の素子分離膜上には、幅8ミクロンのアルミニウムからなる補助電極15を抵抗加熱により40nm成膜する。
このように作成した有機発光素子を有する基板を窒素雰囲気中(露点―80℃)に取り出し、0.3mmの掘り込みを有する保護ガラス板16で覆うように接着する。また、この保護ガラス16は、その内側壁面に沿って水分吸着用のゲッターシート17(ダイニック製)を0.5mm幅で粘着してある。
さらに、保護ガラス板上には、外光反射防止の目的で、円偏向板18を設けた。
このようにして得た表示装置は、発光色に対して正孔輸送層や発光層の厚さを変え、適性な有機発光素子の厚さになるように光学的干渉距離を合わせたことにより、より高効率の有機発光素子を得ることが出来た。また、赤色発光層として、燐光材料を発光性ドーパントとして用いることにより、より高効率の有機発光素子を得ることが出来た。さらに、補助電極15は、30nmという比較的薄い陰極の電気伝導率を補う為のものであり、その結果、陰極部分による電圧降下を防ぎ、表示装置を駆動する際に必要な電力を低減するのに効果がある。その結果、電源容量に限るのあるモバイル機器等の表示装置として、寿命の問題を解決するだけでなく、消費電力の観点からも有効である。
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層

Claims (8)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    該陽極と該陰極との間に配置される有機化合物からなる発光層と、
    を少なくとも有する有機発光素子において、
    前記発光層は発光材料を有し、
    前記発光層中のイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、ラジカルカチオン状態における吸収スペクトルが、前記発光材料の発光波長領域に、吸収ピークを持たないことを特徴とする有機発光素子。
  2. 前記発光材料が青色発光であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記発光材料の発光波長領域において、前記発光層中のイオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、ラジカルカチオン状態におけるモル吸光係数が、10,000[L/(mol・cm)]以下であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  4. 前記イオン化ポテンシャルが最も小さい材料の、発光層中の濃度が20wt%以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  5. 前記発光層において前記イオン化ポテンシャルが最も小さい材料はホスト材料であり、前記発光材料がドーパント材料であり、前記ホスト材料の電子親和力EAHと、前記ドーパント材料の電子親和力EADが、
    EAD−EAH≧0.15eV
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の前記有機発光素子を表示部に有し、前記表示部を駆動する駆動部を有する画像表示装置。
  7. 前記駆動部は、表示画像の明るさを調整するために、1フレーム期間における前記有機発光素子の発光期間を調整するスイッチを有することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 前記請求項1乃至7の何れか1項に記載の前記有機発光素子を表示部に有するカメラ。
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