JP2009295893A - 近接効果補正方法及びその方法を用いた電子線描画装置 - Google Patents

近接効果補正方法及びその方法を用いた電子線描画装置 Download PDF

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尚子 中田
Terusato Narukawa
照悟 鳴河
Eiji Tsujimoto
英二 辻本
Katsuya Hayano
勝也 早野
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Abstract

【課題】高加速電圧の電子線描画装置を用いた微細パターン描画における近接効果補正方法において、描画パターンの高い描画精度を維持しながら、近接効果補正のための処理時間を低減させることができる近接効果補正方法を提供する。
【解決手段】描画パターン全体を所定の大きさの単位区画に分割し、各単位区画におけるパターン面積密度を求め、求めたパターン面積密度を隣接する単位区画間で平滑化して平滑化パターン面積密度とし、隣接する単位区画間において平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域から、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域までの複数の領域に、描画パターン全体を分割し、前記複数の領域のそれぞれに異なる近接効果補正を適用することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微細パターンの描画に関するものであり、特に、電子線を用いて、半導体や半導体用フォトマスク、ナノインプリントに用いるテンプレート、光学関連素子、バイオチップなどを製造するための電子線描画装置における近接効果補正方法及びその方法を用いた電子線描画装置に関する。
電子線描画装置によるパターン形成方法は、高い微細パターン形成能力を有する反面、露光のため入射した電子線がレジスト及び基板内にて散乱し、設計通りのパターンを得ることができないという、いわゆる近接効果の問題を伴う。すなわち、パターン形成用のレジスト膜が表面に形成された基板に照射された電子線は、レジスト及び基板内で進行方向に対して微小な角度で散乱(前方散乱)する。また、基板内にて入射方向と逆方向に広い角度で散乱(後方散乱)し、レジスト膜に戻って広い範囲に渡って露光する現象が知られている。この電子線の散乱により本来は露光を意図しない領域にも電子線によるエネルギーが蓄積されてレジスト材が感光してしまい、パターン線幅が所望の大きさと異なってしまう近接効果という現象が生ずる。近年ますます微細かつ複雑になったパターンに対する解像力向上を目的とした電子線描画装置の高加速電圧化に伴う近接効果の広範囲化が、電子線描画における重大な障害となっており、その補正が必要となっている。
近接効果の現象は、入射した電子が散乱し蓄積するエネルギー分布を計算することにより解析することができる。この近接効果を補正するために、描画パターンの粗密やパターンサイズから電子の散乱を予測し、この予測値から補正量を計算し、蓄積したエネルギー分布が均一になるように描画パターン形状や露光量を変化させ、所望のパターン寸法を得る手法を近接効果補正といい、実用的には描画パターンの描画時に露光時間を制御することで露光量を変化させて補正する手法が主流である。
従来、近接効果を補正する方法としては種々のものが提案されている。例えば、(1)描画パターンのコーナや各辺の中点に代表点を設け、各代表点における露光強度をEID(Energy Intensity Distribution)関数を用いて計算し、レジストのパターン形成に必要な露光エネルギーの閾値に一致するように各露光ショットにおける露光量を最適化する方法(代表点評価による逐次計算法)、(2)描画パターンを一定サイズの単位区画(メッシュと呼ぶ)に分割し、単位区画内の1つまたは複数の図形を単位区画内の図形総面積に等しく、かつ、面積重心点に位置する1つの矩形図形に置き換え、近似して例えば代表点評価による逐次計算を行う方法(代表図形法)、(3)描画パターン全体をある所定の大きさの単位区画(メッシュ)に分割し、各々のメッシュ内の描画パターンの面積密度を算出し、その面積密度マップを用いて蓄積エネルギーを算出し、各メッシュ内における蓄積エネルギーが一定となるように露光量を最適化する方法(面積密度法)などがある。
代表図形法や面積密度法でメッシュ分割するサイズ(以下、メッシュサイズと記す)は、一般に数μm程度である。面積密度が高いほど、後方散乱の影響が大きく近接効果による蓄積エネルギーが大きくなるため、各露光ショットの露光量を小さくし、面積密度が小さいほど各露光ショットの露光量を大きくする。面積密度法では、隣り合うメッシュ間で、パターン面積密度を平滑化(平均化)処理した面積密度マップを用いて計算する方法が一般的である。
また、近接効果を補正する方法として、例えば、特許文献1(特開平9−186058号公報)には、基板上の電子線感光レジスト材料に電子線を照射し該レジスト材料にパタ
ーンを描画する電子線リソグラフィ技術において、該描画すべきパターンを所定の単位区画に分割し、電子の後方散乱に起因した蓄積エネルギーを考慮して、各単位区画に照射すべき電子線露光量を補正する近接効果補正法であって、(A)各単位区画をビットマップ展開し、各単位区画におけるパターン面積密度を算出する工程と、(B)各単位区画におけるパターン面積密度に平均化処理を施し、平均化処理後のパターン面積密度を算出する工程と、(C)平均化処理後のパターン面積密度の勾配ベクトルを算出する工程と、(D)算出された勾配ベクトルの大きさが所定の値以上である単位区画を抽出し、以て、近接効果補正の補正誤差が大きな単位区画を確定し、単位区画のサイズを調整する工程、を含むことを特徴とする近接効果補正法が開示されている。
また、特許文献2(特開2004−48018号公報)には、面積密度法においてパターン面積密度から近接効果補正の補正量を計算する計算式を追加して修正面積密度を求めることで高精度化し、近接効果補正の精度を向上する方法が開示されている。
近接効果補正のための計算において、逐次計算法、代表図形法及び面積密度法の中では、実用的には代表図形法や面積密度法が用いられることが一般的である。その理由は、逐次計算法は、描画パターン形状を加味した計算法であるので設計ルールの微細化に伴うパターン数の増大に比例して計算時間が増大し、現実的な利用性が低いことにある。これに対して、代表図形法や面積密度法では、描画パターンは面積密度の算出を行うためだけに利用されるため図形の重心と面積のみで扱い、近接効果補正の計算時間はパターン数には依存せず、かつ短時間で処理を行なうことができる。代表図形法や面積密度法は、さらに精度良く計算するために、微細な描画パターン形状に合わせて、そのパターン密度変化をより詳細に捉えるために単位区画(メッシュ)を小さく設定したり、逐次計算法と併用する方法などが提案されている。
特開平9−186058号公報 特開2004−48018号公報
現在、より微細なパターンの加工に対応するために、次世代型の電子線描画装置では、50kVから100kVへの高加速電圧化が進んでいる。しかしながら、高解像力を求めて電子線描画装置の加速電圧を上げると、前方散乱径は小さくなるが、一方、後方散乱径は大きくなり、加速電圧100kVの電子線描画においては、後方散乱径が50kVの3〜4倍程度の30〜40μmに広がる。この後方散乱の影響の及ぶ範囲の広範囲化に伴い、近接効果補正実施時の蓄積エネルギー計算の取り込み領域、および平滑化範囲を広げる必要がある。そのため、代表図形法などの近接効果補正方法の蓄積エネルギー計算時に、取り込むメッシュ数が増大するために、近接効果補正のための計算時間が増大するという問題が生じ、また電子線描画装置の稼働率の低下を招くという問題があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、高加速電圧の電子線描画装置を用いた微細パターン描画における近接効果補正方法において、描画パターンの高い描画精度を維持しながら、近接効果補正のための処理時間を低減させることができる近接効果補正方法を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、電子線描画装置を用いた微細パターン描画において、近接効果補正の処理時間を低減することにより、装置稼働率の向上を図り得る電子線描画装置を提供することである。
半導体や半導体用フォトマスクの一部の製品、ナノインプリント用テンンプレート、光
学関連素子、バイオチップなどのパターンには周期性がある。本発明は、このような周期性がある描画パターンの近接効果補正を簡略化するものである。
そのために、本発明の請求項1に係る発明は、同じ形状の図形が周期的に配置された描画パターンを電子線で描画する際の近接効果補正方法であって、描画パターン全体を所定の大きさの単位区画に分割し、各単位区画におけるパターン面積密度を求め、求めたパターン面積密度を隣接する単位区画間で平滑化して平滑化パターン面積密度とし、隣接する単位区画間において平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域から、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域までの複数の領域に、描画パターン全体を分割し、前記複数の領域のそれぞれに異なる近接効果補正を適用することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域には、近接効果補正計算の収束条件を厳しくした近接効果補正を適用し、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域には、近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域が、少なくとも平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化が小さい領域とを含む複数の領域よりなり、それぞれに異なる近接効果補正を適用することを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域が、描画パターンの外縁部から所定幅までの領域であり、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域が、前記描画パターンから描画パターンの外縁部から所定幅までの領域を除いた領域であることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記描画パターンを、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域とに分割する境界は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記描画パターンを、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域とに分割する境界は、近接効果補正計算による判定によって決定することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項2に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域に割り当てる一定の補正値が、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域の近接効果補正計算結果のうちで変化がほとんどない領域に隣接する変化が大きい領域の補正値、もしくは、変化がほとんどない領域との境界においてサチレーションした変化が大きい領域の補正値であることを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域の補正値は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする。
また、請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記近接効果補正にて、近接効果補正に面積密度マップを用いる場合
、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、面積密度マップのメッシュサイズをそれぞれ別々に設定することを特徴とする。
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記近接効果補正にて、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、近接効果補正の補正演算回数をそれぞれ別々に設定することを特徴とする。
また、請求項11に係る発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記近接効果補正にて、近接効果補正に逐次計算法を用いる場合、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、補正計算に用いる代表点をそれぞれ別々に設定することを特徴とする。
また、請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の近接効果補正計算方法において、描画パターンが線対称または回転対称を用いて表現できる場合は、対称軸または対称点で分割された1つの領域について近接効果補正値の計算を行い、前記計算の結果を対称軸または対称点を介して対応する他の領域の近接効果補正値として使用することを特徴とする。
また、請求項13に係る発明は、請求項12に記載の近接効果補正方法において、前記対称軸または対称点の設定は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする。
また、請求項14に係る発明は、請求項12に記載の近接効果補正方法において、前記対称軸または対称点の設定は、近接効果補正計算による判定によって決定することを特徴とする。
また、請求項15に係る発明は、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の近接効果補正方法において、前記同じ形状の図形が、複数の図形群よりなる一つの形状の図形であること特徴とする。
また、請求項16に係る発明は、請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の近接効果補正方法を用いたことを特徴とする電子線描画装置である。
本発明の近接効果補正方法によれば、描画パターンの隣接する単位区画間での平滑化パターン面積密度の変化が大きい描画パターン外縁部付近の領域では収束条件の厳しい近接効果補正計算を実施し、隣接する単位区画間での平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近の領域では近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用している。この収束条件は、近接効果補正の計算時間と親密な関係にある。本発明によれば、高加速電圧の電子線描画装置を用いた微細パターン描画における近接効果補正方法において、描画パターンを複数の領域に分割し、各領域にそれぞれ異なった適切な近接効果補正パラメータを適用することにより、描画パターンの高い描画精度を維持しながら、近接効果補正のための計算時間を短縮することが可能となる。
本発明の電子線描画装置によれば、微細パターン描画において、近接効果補正の処理時間を低減することにより、装置稼働率の向上を図ることができる。
本発明の近接効果補正方法は、同じ形状(以下、パターンとも記す)の図形が周期的に配置された描画パターンを所定の大きさの単位区画(メッシュとも称する)に分割し、描画パターン(全体)での各単位区画におけるパターン面積密度を求め、求めたパターン面積密度を隣接する単位区画間で平滑化して平滑化パターン面積密度とし、平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域から、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域までの複数の領域に、描画パターン(全体)を分割し、複数の領域のそれぞれに異なる近接効果補正を適用する方法である。本発明において、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域には、変化がないか、たとえ変化があっても無視できる程度である変化も含めるものである。
上記のように、本発明の近接効果補正方法は、平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域には、近接効果補正計算の収束条件を厳しくした近接効果補正を適用し、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域には、近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用するものである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態の一例に係る近接効果補正方法の概要を説明する図である。図1(A)は描画対象とするパターンを示しており、図1(A)の一部拡大図に示すように、この描画パターンは、所定のパターンサイズの矩形状パターンが所定のパターンピッチで配置されており、同じ形状の図形が周期的に配置された描画パターンである。図1に示すように、本発明においては、個々の図形を「パターン」とし、それらが集合した描画すべき全体の図形を「描画パターン」として表す。
ここで電子線描画における加速電圧と近接効果補正について説明する。図2(A)および図2(B)は、図1(A)に示した描画パターンを、それぞれ電子線加速電圧50kV(後方散乱径:10μm)、100kV(後方散乱径:40μm)で描画する目的で近接効果補正を施し、その近接効果補正値をマップ化した図である。電子線加速電圧に関わらず、描画対象とする描画パターンの大きさが、後方散乱径と同程度になると近接効果補正値が必要となり、描画対象とするパターンの大きさが後方散乱径の3倍程度となると、その中心部の近接効果補正値が一定(図2(A),図2(B)の領域B)となり始める。描画対象とする描画パターンの大きさが後方散乱径の3倍程度より大きくなると、近接効果補正値の変化のある図2の領域Aは、描画対象とする描画パターンの大きさに関わらず一定となる。近接効果補正値の変化がある図2の領域Aの大きさは描画パターンの面積密度と基板を構成する材料に依存する。パターン面積密度が低密度であれば領域Aは小さくなり、一方、高密度であれば領域Aは大きくなる。また、基板を構成する材料によって後方散乱が大きくなれば領域Aも大きくなる。
本発明は、上記のように電子線の後方散乱が影響する領域を超える領域にまで周期性を有する描画パターンを描画する際の近接効果補正方法であり、さらに、このような近接効果補正方法を採用した電子線描画装置も含まれるものである。電子線描画装置の電子線による主な描画対象は基板上に塗布されたレジストである。
本発明の近接効果補正計算方法を採用すると有効である周期性パターンを有する製品としては、例えば、半導体や半導体用フォトマスクの一部の製品、マイクロレンズアレイ、LED、CMOSセンサなどの光学素子、免疫分析チップなどのバイオチップ全般、パターンドメディアやメモリなどの記憶用製品、フォトニッククリスタル、グレィティング(光回折素子)、ディスプレイ反射防止板のためのインプリント用テンプレートなどが挙げられる。
近接効果現象は、レジスト中に入射した電子によって蓄積されるエネルギー分布を計算することによって解析することができる。例えば、逐次計算法による近接効果補正計算では、所定の領域の近接効果補正計算を行うにあたって、その領域の周囲の領域(エネルギー蓄積計算の取り込み領域)の影響を計算する。エネルギー蓄積とは、入射した電子がレジスト中に蓄積するエネルギー(蓄積エネルギー)のことであり、ある1点に入射した電子によってレジスト中に蓄積されるエネルギーの、レジスト表面からのある深さにおける平均分布は、下記の数式(1)に示されるように、EID(Energy Intensity Distribution)関数と呼ばれる2つのガウス分布の和で表わされる。
Figure 2009295893
ここで、α、β、ηはレジスト表面からの深さによって決定される定数であり、αは前方散乱径(前方散乱の広がり)、βは後方散乱径(後方散乱の広がり)、ηは後方散乱係数(後方散乱エネルギー強度/前方散乱エネルギー強度:前方散乱に対する比)を示している。EID関数の第1項はレジストに入射した電子が前方散乱しつつ侵入していく際に蓄積されるエネルギー分布であり、第2項は入射電子がレジスト中及び基板中の原子核によって後方散乱を受け、入射方向と逆方向に散乱していく際に蓄積されるエネルギー分布である。
図3は、拡大図に示されるように、同一図形の繰り返しによる周期性を有する描画パターンの一例であり、この描画パターンを、近接効果補正を施していない状態で電子線描画したときの蓄積エネルギー分布(平面図)と、描画パターン中央部x方向のエネルギー蓄積量を示すシミュレーション図である。エネルギー蓄積量は、描画パターンの外縁部から中心部に向かって単純増加し、所定の箇所で一定値となる。本発明は、周期性を有する描画パターンの上記のような特性を利用して近接効果補正を行うものである。
上記のように、本発明の近接効果補正方法においては、平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域には、近接効果補正計算の収束条件を厳しくした近接効果補正を適用し、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域には、近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正を行うものであり、これらに適用される近接効果補正の方法としては特に限定されるわけではなく、従来公知の近接効果補正方法が用いられ、例えば、逐次計算法、面積密度法、代表図形法などが挙げられる。なお、特許請求の範囲及び明細書において、「平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域」、「平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域」などと表現するが、前者については「平滑化パターン面積密度の変化が第1の所定値より大きい領域」のことであると、また後者については「平滑化パターン面積密度の変化が第2の所定値より小さい領域」のことであると定義することができる。
以下、それぞれの方法について概略を説明する。
(逐次計算法)
逐次計算法の概略について説明する。逐次計算法とは、描画パターン部分に着目し、描画パターン部分の蓄積エネルギー密度(蓄積エネルギー量/パターン面積)が全てのパターンに対して一定となるように、描画パターン毎の露光量を決定するものである。図4は、近接効果補正計算における逐次計算法の概念を説明する図である。図4(A)は、一般的な電子デバイス用の描画パターンを示す図であり、周期性がなく、本発明の対象とする描画パターンではない。図4(B)は、本発明が対象とする周期性を描画パターン領域全面に有する描画パターンを示す図である。尚、ここでは蓄積エネルギー計算の取り込み領
域を矩形領域にて指定しているが、円形領域を指定する場合もある。
図5は、近接効果補正における逐次計算法の概念を説明する図である。ここでは蓄積エネルギー計算の取り込み領域を矩形領域にて指定しているが、円形領域を指定する場合もある。図5に示されるように、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域内にm個の図形が存在する時、k番目の図面内にある領域εiに蓄積されるエネルギーは、m個の図形の各々に対する露光量をとすると数式(2)で表される。
Figure 2009295893
また、k番目の図形内での蓄積エネルギー平均値は、数式(3)で表される。
Figure 2009295893
このエネルギー平均値を全ての図形k=1、2、・・・、mに対して一定値となるように、露光量(j=1、2、・・・、m)を決定すれば近接効果補正ができる。この近接効果補正法では、描画パターンの高精度の描画精度が得られるが、一方、各図形の蓄積エネルギー量を計算する際に数式(3)において、2回の面積積分計算が必要なことと、ある領域に存在するm個の図形に対してm×mの行列式を解かなければならないため、非常に多くの計算時間を必要とし、描画パターン領域が大きい場合には、実用的な時間内で近接効果補正をすることができない。
(面積密度法)
次に、面積密度法について図6を参照しつつ説明する。図6は、近接効果補正における面積密度法の概念を説明する図である。図6(A)は、一般的な電子デバイス用の描画パターンを示す図であり、本発明の対象とする描画パターンではない。図6(B)は、本発明が対象とする周期性をパターン全面に有する描画パターンを示す図である。面積密度法においては、描画パターンを図6(A)あるいは図6(B)に示したような後方散乱径より十分小さい単位区画(メッシュ)に分割する。各メッシュ内におけるパターンの占める割合を面積密度(パターン面積/メッシュ面積)として算出し、そのマップ(面積密度マップと言う)を用いて各メッシュ内における蓄積エネルギーを算出し、補正露光量を決定していく。
近接効果補正における面積密度法では、単位区画(メッシュ)を定義し、この単位区画によって描画パターンを分割する。次に、この単位区画内の描画パターンの面積密度を算出する。そして、描画パターンが単位区画内で分割される位置により補正計算結果が変化するのを改善するために、隣接する単位区画同士のパターン面積密度を平滑化する平滑化処理(スムージング)を施す。以上のような処理に基づいて、単位区画ごとの照射量を調整する。すなわち、面積密度法を用いた近接効果補正では、描画パターンのパターンエッジに関係なく、単位区画内の面積密度、及び近傍に存在する他の単位区画内の面積密度が補正値の計算に影響することとなる。ここで近傍とは、後方散乱の影響が及ぶ範囲を指し、通常、補正対象パターンを中心とした半径が後方散乱径の3倍程度の領域をいう。
面積密度法では以上のような計算を行うことから、周期性を全面に有する描画パターン
においては、中心部付近の単位区画では、近接する単位区画の影響が一様であるので、後方散乱の影響がサチレーションし近接効果補正計算による補正が一様である。これに対して、描画パターン外縁部付近の単位区画は、描画パターン外領域が近傍に存在するために、このようにはならない。ただし、全面に周期性を有する描画パターンの場合、描画パターンの外縁部から中心部に向かうに従って、隣接する単位区画間の近接効果補正による補正の変化が小さくなりサチレーションし、いずれは補正値が一定、または、図形周期性のみが残る。本発明における近接効果補正計算方法では、このような点に着目している。
すなわち、本発明では、隣接する単位区画間での近接効果補正値の変化が大きい箇所(描画パターン外縁部付近)では、近接効果補正計算に精密な演算による厳しい収束条件を用い、隣接する単位区画間での近接効果補正値の変化がほとんどない箇所(描画パターン中心部付近)では、近接効果補正計算を先の厳しい収束条件より緩和した収束条件による近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用するものである。
なお、本明細書において言う近接効果補正の収束条件を厳しくするとは、面積密度法において、その面積密度マップのメッシュサイズを充分小さく(後方散乱径βの1/10以下程度)する、または、近接効果補正の補正演算回数を直接指定できる場合にはその回数を多くすることを指すものである。後者は逐次計算法の場合にも当てはまる。また、近接効果補正の収束条件を緩和するとは、面積密度法において、その面積密度マップのメッシュサイズ大きくする、または近接効果補正の補正演算回数を直接指定できる場合にはその回数を少なくする、または誤差の許容値を広げるなどの補正の収束条件を緩くすることを指し、後者は逐次計算法の場合にも当てはまる。
また、上記のような「面積密度マップのメッシュ」、「収束までの演算回数、または誤差の許容値」の設定は、近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウエア)においては、周知の事項であり、本発明においてもこのような周知事項を基礎として、隣接する単位区画間の平滑化パターン面積密度の変化が大きい描画パターン外縁部付近では収束条件の厳しい近接効果補正計算を実施し、隣接する単位区画間の平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用する。
このように本発明では、補正値が大きく変化する部分には、収束条件の厳しい計算法を、補正値が一定となることが予測される部分では収束条件を緩和することにより、描画精度を保ったまま、近接効果補正のための計算時間を大幅に短縮することが可能となる。
(代表図形法)
次に、代表図形法について説明する。上記のように、逐次計算法は蓄積エネルギー量を計算する際に、2回面積積分が必要なことや行列式を解くことが必要なことから、膨大な計算を要することが知られている。そこで、逐次計算法を簡略化したものが提案されており、このような簡略化された逐次計算法の一つとして代表図形法がある。図7は、代表図形法の計算手法の概念を示す図である。図7に示すように、代表図形法は、所定の単位区画(メッシュ)毎の図形パターンを、同じ面積と重心とをもつ代表図形に近似して計算する手法である。
代表図形法においては、上記の面積密度法を示す図6と同様に、描画パターンを後方散乱径より十分小さい単位区画(メッシュ)に分割する。各メッシュ内における描画パターンの面積密度を算出し、そのマップを用いて各メッシュ内における蓄積エネルギーを算出し、近接効果補正の露光量を決定していく。すなわち、代表図形法を用いた近接効果補正では、描画パターンのパターンエッジに関係なく、メッシュ内のパターンの面積と重心位置、及び近傍に存在する他のメッシュ内のパターンの面積と重心位置 が補正値の計算に
影響することになる。代表図形法を用いた近接効果補正の計算時間は描画領域内に含まれるパターン数には依存しないことから、描画パターンのより微細化が進んだとしても、近接効果補正時間が大幅に増大することはない。
代表図形法を用いた近接効果補正では以上のような補正計算を行うことから、周期性を有する描画パターンにおいて、蓄積エネルギーを算出するために取り込む領域(補正対象メッシュからの距離=後方散乱径×3〜4倍程度)の大きさよりも、描画パターンエッジからさらに内側に入った領域では、取り込まれる領域の平滑化されたパターン面積密度の変化がほとんどないことから、後方散乱の影響も一定となり近接効果補正による補正値を一定とすることができる。
これに対して、面積密度が変化するパターンエッジ付近から蓄積エネルギーを算出するために取り込む領域と同程度までの領域では、各メッシュにおける蓄積エネルギー算出における取り込み領域内に含まれる面積密度マップの値が変化するためこのようにはならない。周期性を有する描画パターンの場合、平滑化パターン面積密度が変化する描画パターンの外縁部から中心部に向かうに従って、蓄積エネルギー計算時の取り込み領域内を占めるパターン面積密度の変化の存在するメッシュ数が減り、いずれは全てがパターン面積密度一定のメッシュのみとなる。本発明における近接効果補正計算方法では、このような点に着目している。なお、ここで近接効果補正による補正値が変化する領域の大きさは一例である。例えば、図1のような所定サイズの矩形状パターンがパターンサイズの2倍のパターンピッチで配置された周期性を有する描画パターンにおいては、描画パターンエッジ付近から後方散乱径の1.5〜2倍程度パターンの内側に入った領域で補正値を一定とすることができる。これは、平滑化パターン面積密度が変化する領域と後方散乱による影響範囲が描画パターンの面積密度によって異なるためであり、描画パターンの面積密度が小さいほど平滑化パターン面積密度の変化領域と後方散乱の影響範囲が小さくなるためである。したがって同様に矩形で構成される周期性を有した描画パターンであっても、パターンピッチの大小や基板を構成する材料で平滑化パターン面積密度と近接効果補正の補正値が変化する領域の大きさが決まることに留意されたい。
すなわち、本発明では、隣り合うメッシュ間における平滑化パターン面積密度の変化の大きいメッシュを蓄積エネルギー計算領域として取り込む領域(描画パターン外縁部付近)では、近接効果補正においてメッシュサイズを小さくしたり近接効果補正演算回数を多くし、蓄積エネルギー計算領域として取り込まれるメッシュにおいて、隣り合うメッシュ間の平滑化パターン面積密度の変化が小さくなるに従って、メッシュサイズを大きくしたり近接効果補正演算回数を少なくする。
なお、上記のような「面積密度マップのメッシュ」「近接効果補正計算回数」の設定は、近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウェア)においては、周知の事項であり、本発明においてもこのような周知事項を基礎として、蓄積エネルギーの取り込み領域に存在する、隣接するメッシュ間の平滑化パターン面積密度変化が大きい描画パターン外縁部付近では、近接効果補正である面積密度マップのメッシュサイズを小さくしたり、近接効果補正演算回数を増やして近接効果補正を実施し、隣接するメッシュ間の平滑化パターン面積密度変化が小さくなるに従って、面積密度マップのメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正演算回数を減らすなどして近接効果補正を実施するように構成することができる。
上記のように、本発明では、蓄積エネルギーの取り込み領域に隣接するメッシュ間の平滑化パターン面積密度変化の大きいメッシュが存在する部分では、面積密度マップのメッシュを小さくしたり、近接効果補正演算回数を多くして近接効果補正計算を実施し、蓄積エネルギーの取り込み領域に存在するメッシュの隣接するメッシュ間の平滑化パターン面
積密度の変化が小さくなるに従って、面積密度マップのメッシュを大きくしたり、近接効果補正演算回数を少なくして近接効果補正を実施することにより、描画精度を保ったまま、近接効果補正計算を大幅に短縮することが可能となる。
(領域)
次に、本発明の近接効果補正方法における領域について説明する。図1(B)は、図1(A)の描画パターンの近接効果補正の計算をする領域のイメージを示している。図1(B)に示す例では、描画パターンの外縁から中心に向かうに従って、第1領域、第2領域と2つの領域に規定している。
第1領域内では、近接効果補正により各図形に異なる補正値が割り振られ、第2領域内では補正値がサチレーションし、全て同じ補正値を取るものとする。
本発明では、第1領域内の近接効果補正計算のために、ある所定の収束条件のもと計算を行うとすると、第2領域内の近接効果補正計算では、第1領域内の近接効果補正計算より緩和した収束条件を用いて計算を行うようにする。なお、収束条件の定義については、前記のものを用いる。以下、2つの領域の場合を例にして説明する。
図8は領域の分割についての一例を示したものである。図8(B−1)は、図8(A)の描画パターン外縁部である第1領域にメッシュを定義したものであり、図8(B−2)は、平滑化処理前の面積密度グラフ、図8(B−3)は平滑化処理を施した面積密度グラフであり、面積密度の変化が認められる(本発明では、平滑化パターン面積密度の変化が大きい、と表す)。図8(C−1)は、図8(A)の描画パターンの内部である第2領域にメッシュを定義したものであり、図8(C−2)は、平滑化処理前の面積密度グラフ、図8(C−3)は平滑化処理を施した面積密度グラフであり、面積密度の変化はほとんどなく無視できるほど小さい(本発明では、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない、と表す)。図8(D)は、図8(B−3)のように隣り合うメッシュ間で平滑化パターン面積密度の変化が大きいメッシュを、近接効果補正計算における蓄積エネルギー計算取り込み領域に含む領域である第1領域とし、図8(C−3)のように隣り合うメッシュ間の平滑化パターン面積密度の変化がほとんどないメッシュを、近接効果補正計算における蓄積エネルギー計算取り込み領域に含む領域である第2領域と定義したものである。
第1領域内では、近接効果補正によりメッシュごとに異なる近接効果補正値が割り振られ、第2領域内では補正値がサチレーションし全てのメッシュで同じ補正値をとることになる。
本発明では、第1領域内の近接効果補正のためにある所定の近接効果補正パラメータを用いて計算を行うものとすると、第2領域内の近接効果補正では、第1領域内の近接効果よりも近接効果補正に適用するメッシュサイズをより大きくして計算する、あるいは近接効果補正演算回数を減らした近接効果補正パラメータを用いて計算を行うようにする。
ここで、第1領域、および第2領域における近接効果補正を実施する際の蓄積エネルギー計算領域との関係を図9に示す。図9(A)では、隣り合うメッシュ間で平滑化パターン面積密度に変化が大きいメッシュを近接効果補正計算における蓄積エネルギー計算取り込み領域に含む第1領域と、隣り合うメッシュ間の平滑化パターン面積密度の変化がほとんどないメッシュのみを近接効果補正計算における蓄積エネルギー計算取り込み領域に含む領域である第2領域の近接効果補正を実施する場合において、第2領域に隣接する第1領域のメッシュの蓄積エネルギー取り込み領域を表している。
蓄積エネルギー計算においては、求めるメッシュを中心として、後方散乱による蓄積エ
ネルギーの影響する領域(半径:後方散乱径×3〜4程度)までを計算領域とする。従って、近接効果補正計算においては、第1領域の蓄積エネルギー計算領域としては、後方散乱による蓄積エネルギーの影響する領域を加えた図9(B)に示した斜線部の領域が必要となり、第2領域の蓄積エネルギー計算領域としては、後方散乱による蓄積エネルギーの影響する領域を加えた図9(C)に示した斜線部の領域が必要となる(以下、それぞれの領域に加えた領域を計算しろという)。
ここで、計算しろのメッシュサイズは計算領域のメッシュサイズと同じとする。
なお、本実施形態では、描画パターンを2つの領域に分ける例について示したが、領域をいくつに分けるかは任意に決定することができるものである。例えば、先の第1領域を近接効果補正値の変化の大きい外縁部領域(第1A領域)と、変化率が小さくなだらかになる領域(第1B領域)との2つの領域にさらに分け、それぞれに異なる近接効果補正を適用することも考えられる。
ここで、領域と領域との境界は、近接効果補正を行うユーザーが指定してもよいし、近接効果補正計算による判定によって決定してもよい。
また、上記の実施形態において、最も収束条件を緩く設定することが可能な平滑化した面積密度マップの変化がほとんどない第2領域内の近接効果補正計算では、第1領域にて近接効果補正を実施し、その結果、第2領域との境界においてその補正値が一定となった場合には、その一定となった値(サチレーション値)を第2領域の補正値として近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウェア)にて自動的に割り当てることができる、あるいは近接効果補正のユーザーが第1領域の結果を判断し第2領域へ補正値を決定し、割り当てることもできる。あるいは、第2の領域に隣接する境界にある第1の領域の補正値を割り当てることもできる。
(描画パターン対称性)
次に、描画パターンに線対称性、または回転対称性が存在する場合の近接効果補正の計算方法について説明する。図10(A)は、描画パターンに対称軸が1本存在する場合の近接効果補正計算方法の概要を説明する図であり、図10(B)、は対称の様子を模式的に表したものである。図11(A)は、描画パターンに対称軸が2本存在する場合の近接効果補正計算方法の概要を説明する図であり、図11(B)は、対称の様子を模式的に表したものである。図12(A)は、描画パターンに回転対称性が存在し2回対称をもつ場合の近接効果補正計算方法の概要を説明する図であり、図12(B)は、対称の様子を模式的に表したものである。図13(A)は、描画パターンに回転対称性が存在し4回対称をもつ場合の近接効果補正計算方法の概要を説明する図であり、図13(B)は、対称の様子を模式的に表したものである。
図10は、軸A−A’を対称軸とした線対称が存在するときの計算方法を説明する図である。このようなとき、軸A−A’によって、描画パターンを領域(I)と領域(II)に
分割する。なお、ここでいう「領域」と、これまで近接効果補正における面積密度を基として説明してきた「領域」とは異なる概念であることを留意されたい。図10、図11、図12、図13の説明における「領域」とはあくまで描画パターンの対称性に関連する領域である。図10において、軸A−A’に対して線対称が存在するときには、まず領域(I)で先のような計算を行い、この計算結果を領域(II)に適用することで計算時間をより短縮するものである。
図11は、軸A−A’、軸B−B’に対して線対称性が存在するときの計算方法を説明する図であり、このようなとき、軸A−A’、軸B−B’によって、描画パターンを領域(I)、領域(II)、領域(III)、領域(IV)に4分割し、まず領域(I)で先のような
計算をおこない、この計算結果を領域(II)、領域(III)、領域(IV)に適用し計算結
果を利用することで計算時間を短縮するものである。
図12は、描画パターン中心である点Xに対して回転対称性が存在し、2回転対称であるときの計算方法を説明する図であり、このような時、軸A−A’によって、描画パターンを領域(I)、領域(II)に分割し、まず領域(I)で先のような計算を行い、この計
算結果を領域(II)に適用することで計算時間をより短縮するものである。
図13は、描画パターン中心である点Xに対して回転対称性が存在し、4回転対称であるときの計算方法を説明する図であり、このようなとき、軸A−A’、軸B−B’によって、描画パターンを領域(I)、領域(II)、領域(III)、領域(IV)に4分割し、まず領域(I)で先のような計算をおこない、この計算結果を領域(II)、領域(III)、領域(IV)に適用し計算結果を利用することで計算時間を短縮するものである。
ここで、このような描画パターンの対称性について、対称軸または対称点の設定を、近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウェア)による判定によって決定することができる。あるいは、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことも可能である。
さらに、近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウェア)に入力されるパターンフォーマットには、そのデータ量を削減するために「階層」という概念が存在するものもある。「階層」の基本的概念は、描画パターンの中にある決まった法則をもつ矩形群を基本(例:セル)とし、その基本図形群を参照するものである。対称性をもつ図形は、このような「階層」構造を利用して表現することもできるため、上記の対称性を「階層」よって判定する方法もある。
(処理フロー)
次に、本発明における近接効果補正計算の処理フローの概略について説明する。図14は本発明の実施の形態に係る近接効果補正計算における処理の流れの一例を示す図である。
ステップS100では、近接効果補正計算用の計算機プログラム(ソフトウェア)に電子線描装置で描画させるパターンデータの入力を行う。ここで入力するパターンデータは、後の近接効果補正ソフトウェアが認識できるフォーマットであれば、その形式は問わない。
ステップS101では、例えばユーザーに、当該計算機プログラム(ソフトウェア)に対して、描画パターン外縁部(蓄積エネルギー計算取り込み領域に隣り合うメッシュの面積密度の変化が大きいメッシュを含む)領域と、描画パターン中心部(蓄積エネルギー計算取り込み領域に隣り合うメッシュの面積密度の変化が大きいメッシュを含まない)領域の指定を実行させる。
ステップS102では、ステップS101にて指定した各領域に、蓄積エネルギー計算のための計算しろを付加する。ここでこの計算しろの大きさは近接効果補正プログラムにて蓄積エネルギー計算時に取り込む領域と同じ大きさとする。
ステップS103では、描画パターン外縁部(蓄積エネルギー計算取り込み領域に隣り合うメッシュの面積密度の変化が大きいメッシュを含む)領域の近接効果補正計算を実行する。
ステップS104では、描画パターン中心部(蓄積エネルギー計算取り込み領域に隣り合うメッシュの面積密度の変化が大きいメッシュを含まない)領域の近接効果補正計算を
実行する。ここで、描画パターン中心部領域の蓄積エネルギー計算取り込み領域に隣り合うメッシュの面積密度の変化が無視できる程度のものであれば、近接効果補正を実施せずに、ステップS103にて求めた近接効果補正値のサチレーション値(描画パターンの外縁部領域のうち、中心部領域に隣接するメッシュの補正値)を割り当てる。
ステップS105ではステップS103とステップS104で求めた各々の計算しろを除いた補正値のデータを合成する。
ステップS106では、このようにして得た近接効果補正値のついた描画パターンを電子線描画装置で解釈できるフォーマットで出力する。
ここで、並列処理可能なシステムを用いて近接効果補正計算を実施する場合には、ステップS103とステップS104を同時に実施することも可能である。
また、ステップS101にて指定した領域が、近接効果補正精度を充分保つものであったかどうかは、描画パターン外縁部付近と描画パターン中央部付近の計算しろと重複した領域の各々の補正値、描画パターン外縁部付近の計算しろと描画パターン中央部付近と重複した領域の各々の補正値を比較することによって判定することが可能である。
(実施形態2)
なお、本発明の近接効果補正方法は、1つの図形の所定位置毎に近接効果補正値が異なる場合にも適用可能であり、図15は、1つの図形の所定位置毎に近接効果補正値が異なる場合を示す図である。図15の1つの図形の拡大図においては、「A」で示された領域は近接効果補正値Aとなり、「B」で示された領域は近接効果補正値「B」となり、「C」で示された領域は近接効果補正値Cとなる、ことを示している。本発明は、1つの図形で1つの近接効果補正値をとるものに限らず、図形内の位置によって異なる近接効果補正値をとる場合でも適用可能なものである。
すなわち、本発明では、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化が大きい描画パターン外縁部領域付近では、近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを小さくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を多くして収束条件が厳しい近接効果補正を実施し、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を少なくして近接効果補正の収束条件を緩和するように設定することもできる。
(実施形態3)
また、以上の実施形態においては、同じ形状の図形からなる周期的パターンを有する描画パターンの近接効果補正において、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化について説明したが、本発明の近接効果補正方法は、このような形態に限らず異なる複数のある図形群が、それを基本単位として周期的に配列している場合にも適用可能なものである。但し、この基本単位となる基本単位パターン群の領域は、後方散乱径より十分小さくなくてはならない。基本単位パターン群の領域は、面積密度や基本単位に含まれる形状の異なるパターン数等に依存するが、例えば、後方散乱径の1/10〜1/4程度とすることができる。図16の描画パターンは、2つの異なる図形が、描画パターン拡大図に示すように、基本パターン群を形成し、その基本パターン群が周期性を保って配列された場合である。図16の近接効果補正拡大図に示すように、基本パターン群を形成する異なる図形のうち、大きい方のパターンは近接効果補正値Aをとり、小さい方のパターンは近接効果補正値Bをとる、ことを示している。本発明は、1つの図形が周期的に配列した描画パターンに限らず、複数の図形群が基本
単位となった、基本パターン群が周期性を保って配列した描画パターンにも適用可能なものである。
すなわち、本発明では、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化の大きい描画パターン外縁部領域付近では、近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを小さくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を多くして近接効果補正を実施し、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を少なくする、ように設定することもできる。
以上、本発明によれば、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化の大きい描画パターン外縁部付近では、近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを小さくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を多くして近接効果補正を実施し、蓄積エネルギー計算取り込み領域内に含まれる、隣接するメッシュの平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では近接効果補正における面積密度マップのメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正計算における補正計算回数を少なくして求めるようにしているため、高い精度を保ちつつ、計算時間を短縮することが可能となる。
(近接効果補正計算方法の検証結果)
次に本発明の実施の形態に係る近接効果補正方法の検証結果について示す。図17は、本発明の近接効果補正方法を検証するために用いた描画パターンを示す図である。電子線を照射しない非描画矩形サイズの2倍のピッチで非描画矩形が周期的に配置されている。
図17に示すような描画パターンを用いて、図18に示すような3通りの方法で計算を行った。ここで、本検証に用いた近接効果補正の計算方式は、代表図形法と逐次計算法とを併用したものを用いた。また、近接効果補正計算におけるパラメータとしては、前方散乱径α=0.002μm、後方散乱径β=40.0μm、後方散乱係数η=0.4を用いた。
図18は検証した近接効果補正の描画パターンを説明する図である。図18(A)は、図17に示す描画パターン全領域を全面にわたって従来の通常の近接効果補正方法による計算をおこなった場合を示している。
図18(B)は、図17に示す描画パターンを第1領域、第2領域に分けて、本発明の近接効果補正方法を行った場合を示している。なお、本検証では、近接効果補正における蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の平滑化パターン面積密度の変化が大きい第1領域と、蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない第2領域とに分割することとした。また、近接効果補正計算は、近接効果補正における蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の面積密度の変化が大きい第1領域のみに近接効果補正計算を実施し、蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の面積密度に変化のほとんどない第2領域には、第1領域の近接効果補正計算にて、求められた第2領域境界部の値を割り当てることとする。ここで、第1領域と第2領域の境界は、図示するような幅Wを有する口字状である。近接効果補正の検証においては、この幅Wとして、250μm、200μm、150μm、100μmの4通りについて計算を試みた。また、第1領域の近接効果補正における蓄積エネルギー計算時には、図18(B’)に示したように、幅2Wを有する破線で囲んだ領域(蓄積エネルギー計算領域)を用いることとする。
図18(C)は、図17に示す描画パターンを第1領域、第2領域に分けて、さらに、軸A−A’、軸B−B’によって分けた描画パターン領域のうち、図18(C)の第1象限(斜線網がけ:計算領域)を本発明の近接効果補正方法による計算を行った場合を示している。ここで、第1象限における蓄積エネルギー計算時には、図18(C’)に示したように、幅2W、隣接象限方向への計算しろ幅Wを有する破線で囲んだ領域(蓄積エネルギー計算領域)を用いることとする。近接効果補正方法の検証においては、この幅Wとして200μm、150μmの2通りについて計算を試みた。
図19は検証結果を示す図である。図19(A)は、図18(B)に示すように、描画パターンを第1領域、第2領域に分けて近接効果補正計算を行った時の結果を示す図である。ここで、近接効果補正計算は、近接効果補正における蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の面積密度の変化が大きい第1領域のみに近接効果補正計算を実施し、蓄積エネルギー計算領域に隣接するメッシュ間の面積密度の変化がほとんどない第2領域には、第1領域の近接効果補正計算にて、求められた第2領域境界部の値を割り当てた。図中「演算時間比」と「効率」は、図18(A)による従来の近接効果補正に要した時間を1として算出したもので、数字が大きいほど効率が良いことを示す。また、図中の○×の判定結果は、図18(A)の近接効果補正計算による補正値と同一箇所の補正値が一致するか否かを示すものである。
図19(A)に示すように、Wを減少させるにつれて、演算時間は短縮し、計算効率も向上するが、有効な近接効果補正結果を得るためには、Wを150μm、つまり後方散乱径の4倍より小さい程度に設定することが必要である。ここで、このWの大きさは、電子線を照射する描画領域と電子線を照射しない非描画領域との割合(面積比)と、基板を構成する材料に依存をする。図17のような形状において、非描画領域のサイズはそのままで矩形ピッチが小さくなればWは小さくなり、矩形ピッチが大きくなればWは大きくなる。
図19(B)は、図18(C)に示すように描画パターンを第1領域、第2領域に分割し、さらに軸A−A’、軸B−B’によって分割した描画パターン領域のうち、図18(C)の第1象限を計算する近接効果補正計算を行ったときの結果を示す図である。図中「演算時間比」と「効率」は、図18(A)による近接効果補正に要した時間を1として算出したものである。また、図中の○×の判定結果は、図18(A)の近接効果補正計算による補正値と同一箇所の補正値が一致するか否かを示すものである。図19(B)の場合には、幅Wとして、200μm、150μmのいずれでも、有効な補正計算結果を得ることができると判定されている。また、線対称を用いた図19(B)の場合には、図19(A)の計算結果と比較すると、演算時間を大幅(ワンオーダー)に短縮することができ、かつ、計算の効率も約ワンオーダーレベルで向上させることが可能となることが分かる。
以上、本発明によれば、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域に、面積密度法で設定する隣接するメッシュでの平滑化パターン面積密度の変化が大きい描画パターン外縁部付近では、近接効果補正パラメータであるメッシュサイズを小さくしたり、近接効果補正計算回数を多くして高い精度の近接効果補正計算を実施し、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域に、面積密度法で設定する隣接するメッシュでの平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では、近接効果補正パラメータであるメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正計算回数を少なくして求めるようにしている。あるいは、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域に、面積密度法で設定する隣接するメッシュでの面積密度の変化がほとんどない描画パターン中心部付近では、近接効果補正パラメータであるメッシュサイズを大きくしたり、近接効果補正計算回数を少なくしても描画パターン外縁部付近と同等精度の近接効果補正
結果を得ることができる。
上記のように、本発明の近接効果補正方法によれば、近接効果補正における蓄積エネルギー計算取り込み領域に、面積密度法で設定する隣接するメッシュでの面積密度の変化によって、適切な近接効果補正パラメータを用いることにより、高い精度を保ちつつ、計算時間を短縮することが可能となる。
(電子線描画装置)
本発明の電子線描画装置によれば、電子線によるパターン描画時に、上記の本発明の近接効果補正方法を用いて微細パターン描画することにより、近接効果補正の処理時間を低減し、パターン描画の高精度を維持しながら、装置稼働率の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る近接効果補正方法の概要を説明する図である。 描画パターン領域と近接効果補正の補正結果の関係を説明する図である。 周期性を有する描画パターンを、近接効果補正を施していない状態で電子線描画したときの蓄積エネルギー分布と、エネルギー蓄積量を示すシミュレーション図である。 近接効果補正における逐次計算法の概念を説明する図である。 近接効果補正における逐次計算法の概念を説明する図である。 近接効果補正における面積密度法の概念を説明する図である。 近接効果補正における代表図形法の概念を説明する図である。 代表図形法における面積密度マップの平滑化の様子を示す図である。 本発明における分割領域と蓄積エネルギー計算領域との関係を示す図である。 描画パターンが対称軸1本の線対称である場合の近接効果補正方法の概要を説明する図である。 描画パターンが対称軸2本の線対称である場合の近接効果補正方法の概要を説明する図である。 描画パターンが2回対称の回転対称性をもつ場合の近接効果補正方法の概要を説明する図である。 描画パターンが4回対称の回転対称性をもつ場合の近接効果補正方法の概要を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る近接効果補正における処理の流れの一例を示す図である。 1つの図形の所定位置毎に近接効果補正値が異なる場合を示す図である。 複数の図形によって基本パターンが構成される場合を示す図である。 本発明の近接効果補正方法を検証するために用いた描画パターンを示す図である。 検証した近接効果補正の描画パターンを説明する図である。 検証結果を示す図である。
符号の説明
1・・・描画パターン

Claims (16)

  1. 同じ形状の図形が周期的に配置された描画パターンを電子線で描画する際の近接効果補正方法であって、
    描画パターン全体を所定の大きさの単位区画に分割し、各単位区画におけるパターン面積密度を求め、求めたパターン面積密度を隣接する単位区画間で平滑化して平滑化パターン面積密度とし、
    隣接する単位区画間において平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域から、平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域までの複数の領域に、描画パターン全体を分割し、
    前記複数の領域のそれぞれに異なる近接効果補正を適用することを特徴とする近接効果補正方法。
  2. 前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域には、近接効果補正計算の収束条件を厳しくした近接効果補正を適用し、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域には、近接効果補正計算の収束条件を緩和した近接効果補正、もしくは一定の補正値を割り当てる近接効果補正を適用することを特徴とする請求項1に記載の近接効果補正方法。
  3. 前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域が、少なくとも平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化が小さい領域とを含む複数の領域よりなり、それぞれに異なる近接効果補正を適用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の近接効果補正方法。
  4. 前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域が、描画パターンの外縁部から所定幅までの領域であり、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域が、前記描画パターンから描画パターンの外縁部から所定幅までの領域を除いた領域であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  5. 描画パターンを、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域とに分割する境界は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  6. 描画パターンを、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域とに分割する境界は、近接効果補正計算による判定によって決定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  7. 請求項2に記載の近接効果補正方法において、前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域に割り当てる一定の補正値が、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域の近接効果補正計算結果のうちで変化がほとんどない領域に隣接する変化が大きい領域の補正値、もしくは、変化がほとんどない領域との境界においてサチレーションした変化が大きい領域の補正値であることを特徴とする近接効果補正方法。
  8. 前記平滑化パターン面積密度の変化がほとんどない領域の補正値は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  9. 前記近接効果補正にて、近接効果補正に面積密度マップを用いる場合、前記平滑化パタ
    ーン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、面積密度マップのメッシュサイズをそれぞれ別々に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  10. 前記近接効果補正にて、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、近接効果補正の補正演算回数をそれぞれ別々に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  11. 前記近接効果補正にて、近接効果補正に逐次計算法を用いる場合、前記平滑化パターン面積密度の変化が大きい領域と変化がほとんどない領域とに対して、補正計算に用いる代表点をそれぞれ別々に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  12. 描画パターンが線対称または回転対称を用いて表現できる場合は、対称軸または対称点で分割された1つの領域について近接効果補正値の計算を行い、前記計算の結果を対称軸または対称点を介して対応する他の領域の近接効果補正値として使用することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の近接効果補正計算方法。
  13. 前記対称軸または対称点の設定は、近接効果補正を行うユーザーの指定により行うことを特徴とする請求項12に記載の近接効果補正方法。
  14. 前記対称軸または対称点の設定は、近接効果補正計算による判定によって決定することを特徴とする請求項12に記載の近接効果補正方法。
  15. 前記同じ形状の図形が、複数の図形群よりなる一つの形状の図形であること特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の近接効果補正方法。
  16. 請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の近接効果補正方法を用いたことを特徴とする電子線描画装置。
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