JP2009275771A - 流体圧アクチュエータ制御回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプとアキュムレータとから流体圧アクチュエータに作動流体を供給する場合に、ポンプ所要エネルギを最小に分担制御できる流体圧アクチュエータ制御回路を提供する。
【解決手段】シリンダCyのヘッド側は、アキュムレータ制御弁1を介してアキュムレータAccに接続し、再生制御弁2を介してロッド側に接続する。容量可変型のポンプPpの吐出側通路はポンプ流量制御弁3に接続し、閉止制御弁4を介してシリンダCyに接続する。制御装置5は、アキュムレータAccに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁1を開いてアキュムレータAccからシリンダCyに作動流体を供給し、アキュムレータAccの蓄圧力がなくなった状態で、ポンプ動力を制御してポンプPpからシリンダCyに作動流体を供給する機能を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダCyのヘッド側は、アキュムレータ制御弁1を介してアキュムレータAccに接続し、再生制御弁2を介してロッド側に接続する。容量可変型のポンプPpの吐出側通路はポンプ流量制御弁3に接続し、閉止制御弁4を介してシリンダCyに接続する。制御装置5は、アキュムレータAccに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁1を開いてアキュムレータAccからシリンダCyに作動流体を供給し、アキュムレータAccの蓄圧力がなくなった状態で、ポンプ動力を制御してポンプPpからシリンダCyに作動流体を供給する機能を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、位置エネルギ回収用のアキュムレータを備えた流体圧アクチュエータ制御回路に関する。
ブームシリンダにより作業機を上下動する油圧式掘削機において、ブームシリンダのヘッド側を蓄圧器操作弁を介して蓄圧器(アキュムレータ)に接続するとともに、可変リリーフ弁を介してタンクに接続し、作業機の位置に応じて、蓄圧器操作弁および可変リリーフ弁を制御して、作業機の重量とバランスする油圧を蓄圧器内に発生させ、ブームを上げるときは、複数のブームシリンダにポンプとアキュムレータとから作動油を供給するようにした油圧式掘削機の位置エネルギ回収活用装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平01−199001号公報(第2−3頁、第1図)
この従来の位置エネルギ回収活用装置は、複数のシリンダに対してポンプとアキュムレータとから作動油を供給するようにしているが、ポンプとアキュムレータとを共用運転する際に、ポンプで消費されるポンプ所要エネルギを最小にできる制御システムは確立されていない。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ポンプとアキュムレータとから流体圧アクチュエータに作動流体を供給する場合に、ポンプ所要エネルギを最小に分担制御できる流体圧アクチュエータ制御回路を提供することを目的とする。
請求項1に記載された発明は、容量可変型のポンプから流体圧アクチュエータに供給される作動流体を方向制御および流量制御するポンプ流量制御弁と、流体圧アクチュエータによって上昇された荷重体が有する位置エネルギを下降時に蓄圧力として蓄積可能なアキュムレータと、流体圧アクチュエータとアキュムレータとの間の通路中に設けられてアキュムレータから流体圧アクチュエータへの作動流体の流れを制御するアキュムレータ制御弁と、アキュムレータに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁を開いてアキュムレータから流体圧アクチュエータに作動流体を供給し、アキュムレータの蓄圧力がなくなった状態で、ポンプ動力を制御してポンプからアクチュエータに作動流体を供給する機能を備えた制御装置とを具備した流体圧アクチュエータ制御回路である。
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の流体圧アクチュエータ制御回路におけるアキュムレータ制御弁の接続先を、ポンプ流量制御弁より下流側としたものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の流体圧アクチュエータ制御回路におけるアキュムレータ制御弁が、流体圧アクチュエータとアキュムレータとの間の通路中に設けられたエネルギ蓄積制御用の蓄積制御弁と、アキュムレータとポンプ流量制御弁の下流側との間に設けられたエネルギ放出制御用の放出制御弁とを具備したものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の流体圧アクチュエータ制御回路における荷重体を、油圧ショベルの作業装置とし、流体圧アクチュエータを、作業装置を上下方向に回動する油圧シリンダとしたものである。
請求項1に記載された発明によれば、制御装置により容量可変型のポンプとアキュムレータ制御弁とを制御して、アキュムレータに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁を開いてアキュムレータから流体圧アクチュエータに作動流体を供給し、アキュムレータの蓄圧力がなくなると、ポンプからアクチュエータに作動流体を供給することで、ポンプとアキュムレータとを共用運転する際に、ポンプで消費されるポンプ所要エネルギを最小にすることができる。
請求項2に記載された発明によれば、アキュムレータ制御弁の接続先を、ポンプ流量制御弁より下流側としたので、アキュムレータ利用時のポンプ吐出圧の不要な上昇によるエネルギ消費を防止できるとともに、複数のポンプが用いられている場合は、アキュムレータに接続されたポンプと接続されていないポンプとの間のアンバランスを防止できる。
請求項3に記載された発明によれば、アキュムレータ制御弁は、蓄積制御弁と放出制御弁とを別個に設けることで、アキュムレータに蓄積されたエネルギの再利用時の注入先を位置エネルギ回収元の流体圧アクチュエータ以外の他の流体圧アクチュエータとすることが可能となる。
請求項4に記載された発明によれば、油圧ショベルの作業装置を上下動する油圧シリンダに作動流体を供給する流体圧供給源のハイブリッド化において、ポンプとアキュムレータとを共用運転する際のポンプ所要エネルギを最小にすることができる。
以下、本発明を、図1乃至図8に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
図8に示されるように、作業機械としての油圧ショベル10は、機体11に対し荷重体としての作業装置12が可動的に設けられ、この作業装置12は、機体11と、この機体11に対し上下方向回動自在に軸支されたブーム13とに、油圧シリンダとしてのブームシリンダ14の基端部およびロッド先端部が回動自在に連結され、さらに、ブーム13と、このブーム13の先端部に回動自在に軸支されたアーム15とに、アームシリンダ16の基端部およびロッド先端部が回動自在に連結され、さらに、アーム15と、このアーム15の先端部に回動自在に軸支されたバケット17とに、バケットシリンダ18の基端部およびロッド先端部のリンケージ19が回動自在に連結されている。
ブームシリンダ14は、作業装置12の全体の荷重Wを受けて縮小動作が可能な流体圧アクチュエータであり、以下、この種の流体圧アクチュエータを、シリンダCyという。
図1に示されるように、シリンダCyのヘッド側は、アキュムレータ制御弁1の一部であるエネルギ蓄積制御用の蓄積制御弁1aを経た通路によりアキュムレータAccに連通可能に設けられ、アキュムレータAccを介し反対側にはアキュムレータ制御弁1の一部であるエネルギ放出制御用の放出制御弁1bが設けられている。
また、シリンダCyのヘッド側とロッド側とを連通可能な通路中には再生制御弁2が設けられている。
さらに、原動機としてのエンジンEにより駆動される容量可変型のポンプPpの吐出側通路はポンプ流量制御弁3の供給ポートに接続され、このポンプ流量制御弁3の一方の出力ポートは、通路Mを経てシリンダCyのヘッド側に連通され、他方のポートは、閉止制御弁4を介してシリンダCyのロッド側に接続されている。
蓄積制御弁1aは、シリンダCyのヘッド側からアキュムレータAccまたはタンクTへの流れを方向制御および流量制御するエネルギ蓄積用制御弁であるが、アキュムレータAccとタンクTとの切替は、別の弁を用いても良い。
放出制御弁1bは、アキュムレータAccからシリンダCyのヘッド側への流れを制御する蓄積工ネルギ放出用の弁であり、制御弁1に1つにまとめて共用することもできる。
この放出制御弁1bがあれば、アキュムレータAccに蓄積されたエネルギを再利用するときの注入先を、位置エネルギ回収先のシリンダCy(ブームシリンダ14)以外の他の回路とすることも可能となる。
また、この放出制御弁1bにより、接続先をポンプ流量制御弁3の下流側としているが、接続先をポンプ流量制御弁3の上流側に変更することもできる。この場合、アキュムレータAccを利用するときのポンプ動力が大きくなり、省エネルギ上は望ましくないが、接続先のフレキシビリティ上は有利である。
再生制御弁2は、シリンダCyのヘッド側からロッド側への再生流量を制御する弁であり、全開時の開口面積が大きな弁を選定する。
ポンプ流量制御弁3は、各荷重体駆動装置(ブームシリンダ14、アームシリンダ16、バケットシリンダ18等)に注入されるポンプ流量および各荷重体駆動装置からタンクTへ戻される戻り流量を方向制御および流量制御するコントロール弁であり、注入流量と戻り流量との関係が固定されるスプール弁でもよいが、注入流量と戻り流量との関係を複数のロジック弁で別々に制御できるようにすることが望ましい。
閉止制御弁4は、シリンダCyのヘッド側からロッド側への再生時にポンプ流量制御弁3でタンクT側への流路を閉にできないときにタンクT側への流路を閉じる補助弁である。
なお、図1では、流体ポンプおよび1つの荷重体駆動装置を構成するシリンダCy(ブームシリンダ14等)を1セットのみ示したが、複数セット設ける場合もある。
シリンダCyなどを操作する操作レバー(電気ジョイスティック)L、シリンダCyのヘッド圧Phおよびロッド圧Prを検出する圧力センサSph,Spr、アキュムレータAccに蓄えられた圧力すなわちアキュムレータ圧Paを検出する圧力センサSac、ポンプ吐出圧Pppを検出する圧力センサSpp、ブーム13などの荷重体の角度を検出する角度センサSan、およびエンジンEの回転速度(=ポンプ回転数)を検出する回転数センサRが、制御装置5の入力部に接続されている。
この制御装置5は、内部に演算処理装置および記憶装置などを内蔵し、この制御装置5の出力部は、各制御弁1,1a,2,3,4の可動制御部(ソレノイドなど)、エンジンEの回転速度(=ポンプ回転数)を制御するエンジン制御部(電子ガバナGなど)、およびポンプPpの容量を制御するポンプ容量制御部(斜板レギュレータなど)に接続され、これらを電気信号により制御する。図1中の実線は油圧ラインを表わし、一点鎖線は制御信号ラインを表わす。
そして、制御装置5は、荷重体の荷重を受けて片ロッド型のシリンダCyが縮小するときに容量可変型のポンプPpおよびポンプ流量制御弁3を制御して、ポンプPpからシリンダCyのロッド側に供給されるポンプ流量をほぼ0に制御し、再生制御弁2を開くことにより、荷重を受けたシリンダCyを縮小方向に加速し、アキュムレータ制御弁1を開くことによりアキュムレータAccにヘッド側からの流量を供給して蓄圧する。
その際、最初は再生制御弁2を開いてシリンダCyのヘッド側から流出した流体をロッド側に再生する加速優先モードで制御し、シリンダ速度が目標速度に到達したら再生制御弁2を絞ってシリンダCyのヘッド側の圧力すなわちシリンダヘッド圧を増加させる昇圧優先モードに切換える。
次に、上記のようにしてアキュムレータAccに蓄積されたエネルギを放出する際は、ポンプ流量との併用で、アキュムレータAccに蓄積された位置エネルギを再利用して、ブームアップ等の操作を行なうが、単にポンプ流量にアキュムレータ流量が追加されるだけでは、流体圧アクチュエータの速度向上による作業性の向上は期待できるが、ポンプ所要エネルギを低減することはできず、ポンプ駆動エンジンの燃費低減にはつながらないので、以下に、作業性を維持しつつ、最も燃費低減に寄与できる制御方式を説明する。
(a) アキュムレータAccに蓄積されたエネルギを燃費向上に最も寄与できる方法で利用する。
i.アキュムレータAccに圧の蓄積がある間は、対象駆動系(例えばブーム等、但し、エネルギ回収駆動系と別の駆動系(例えばアーム等)でもよい)には、アキュムレータAccからのみ作動流体を供給する。
アキュムレータ制御弁1(蓄積制御弁1aまたは放出制御弁1b)を速度指令値に応じて0〜全開まで制御して、シリンダCyのヘッド側に供給されるヘッド流量を確保し、シリンダCyを駆動する。
このとき、再生制御弁2は閉じ、閉止制御弁4は開とし、シリンダCyのロッド側の作動流体はポンプ流量制御弁3からタンクに排出する。これにより、ポンプ流量をアキュムレータ流量分だけ節約できる。
ii.アキュムレータ制御弁1(蓄積制御弁1aまたは放出制御弁1b)の接続先は、ポンプ流量制御弁3の下流側とし、アキュムレータAcc利用時のポンプ吐出圧Pppの不要な上昇を防止する。
このとき、省エネのため、該当駆動系のポンプ動力が最小になるよう(最小流量をタンクへバイパスする程度)制御する。
ここで、ポンプ動力は、圧力センサSppで検出されたポンプ吐出圧Pppと、回転数センサRで検出されたポンプ回転数およびポンプ容量(制御装置5により制御可能な斜板傾転角)で決まるポンプ流量との積により演算できるので、制御装置5は、ポンプ回転数またはポンプ容量を可変制御することで、このポンプ動力を制御できる。
該当ポンプPpが複数台あれば、全てのポンプPpを最小流量に運転する。ポンプ流量制御弁3からタンクTへの流路のみとし(圧を最小とし)、また、ポンプPpの容量(斜板傾転角など)も最小に制御する。
さらに、ポンプ吐出圧Pppもアキュムレータ再利用時は、ほぼ0とすることで、ポンプPpで消費されるパワーを節約する。
iii.上記の制御により、ポンプ入力(動力/機器効率)の運転サイクル中の最小化を図っている。
iv.仮にアキュムレータAccの接続先をポンプ流量制御弁3の上流側にすると、複数台のポンプを用いる場合、片側のポンプのみアキュムレータAccでアシストすることになり、ポンプバランス上、特にトルク制約を全ポンプ制御している場合に、片側高圧の影響を受け、好ましくないが、アキュムレータAccの接続先をポンプ流量制御弁3の下流側にすると、この問題を解消できる。
(b) アキュムレータAccが空になると、ポンプPpからポンプ流量制御弁3を経て注入先シリンダCyのヘッド側などに供給する。
(c) この方法は、アキュムレータAccへのエネルギ蓄積方法に関係なく、一般的に適用可能な方法である。
次に、図2は、アキュムレータ蓄積エネルギ再利用時の燃費向上運転を説明するための構成を示した模式図であり、この図2に基づき、ポンプPpとアキュムレータAccとの両方から流体を供給する場合に、ポンプエネルギを最小にできる分担方式を検証する。
(システム構成)
この図2は、ポンプPpとアキュムレータAccの両方から分担して複数の回路に流体を供給するエネルギ放出システムを示し、アキュムレータAccの容量に制約がある場合を対象としている構成例である。
この図2は、ポンプPpとアキュムレータAccの両方から分担して複数の回路に流体を供給するエネルギ放出システムを示し、アキュムレータAccの容量に制約がある場合を対象としている構成例である。
Qpはポンプ流量、Qaはアキュムレータ流量、Qmは第1回路での必要流量、Qoは第2回路での必要流量、Qbはタンクに戻されるバイパス流量を表わす。第1回路および第2回路の各開度が大きくなると、バイパス回路の開度は小さくなる。図2において、実線は流体圧(油圧)回路を示し、1点鎖線は制御信号(制御指令など)回路を表わす。
この図2において、ポンプ流量制御弁3の構成と回路数は、他の変形例も考えられるが、ここではポンプ流量制御弁3の回路数が2つで、オープンセンタ方式の構成で例示している。
また、従来は、ポンプPpが回路必要流量に対し余裕を持った流量を供給し、ポンプ流量制御弁3で所定流量に調整しているが、ここでの検証は、ポンプPpとアキュムレータAccの両方から流量が供給でき、各々流量制御機能を有する場合を対象とする。
さらに、アキュムレータAccの圧力は十分高く(必要なら専用ポンプPpを持ってもよい)、各回路に供給できるものとする。また、アキュムレータAccの容量(蓄積流体容積)には制約があり、1サイクルの操作(ブームアップ等)に必要な流量を全て供給できない場合(ポンプPpからの供給も必要な場合)を検討対処とする。
(検討、考察)
(1) 流量バランス式
Qp+Qa=Qm+Qo+Qb
(1) 流量バランス式
Qp+Qa=Qm+Qo+Qb
(2) 前提
要求流量Q1、Q2を満たすQpとQaの組み合わせは多数あるが、1サイクル操作のポンプエネルギを最小とできる分担方式を考える。
要求流量Q1、Q2を満たすQpとQaの組み合わせは多数あるが、1サイクル操作のポンプエネルギを最小とできる分担方式を考える。
アキュムレータAccは、1サイクルの間を通して一定流量(Qa0)で供給できるものとする。すなわち、アキュムレータAccの容量はQa0・tcとする。tcは、1サイクルの時間である。
(3) 運転方式とポンプ所要エネルギ
(a) ベース運転(図3)
アキュムレータ流量Qa=Qa0(一定)で制御する。
(a) ベース運転(図3)
アキュムレータ流量Qa=Qa0(一定)で制御する。
ここで、操作レバーLからの操作指令が小で、Qa0<Qm+Qoのときは、Qa=Qm+Qa0とする。このときは、1サイクル中にアキュムレータAccに蓄積された流体を使い切れない。逆に、操作サイクルが想定より長いと、サイクル途中でアキュムレータAccが空になるが、このときは、Qa=0とする。
ポンプ流量Qp=Qm+Qo+Qb−Qaで制御する。
ただし、ポンプ流量Qpは、時間的に変動するが、図3は模式的に平均流量Qpaで例示している。よって、トータル流量も平均流量で一定に図示する。以後も、簡単化のため、使用時間内の平均流量で図示して検討を進める(実際には操作指令に応じて変動している)。
さらに、以下の検討において、操作指令は十分大きく、1サイクル中にアキュムレータAccに蓄積された流体が使い切れる場合について検討する。
図3は、アキュムレータAccとポンプPpとの流量分担模式図を示す。
この図3にて、ポンプ所要エネルギを計算すると、1サイクルでのポンプ所要エネルギEOは、以下の式で近似できる。厳密には、時間関数として取扱い、エネルギも積分で計算するが、傾向をつかむことが目的であるので、以下、平均値で一定とする。
EO=∫(Qp・P・CO)dt≒Qpa・P・CO・tc
ここで、Qp(時間関数)を一定値Qpaとして近似して検討を進める。また、COは、ポンプ効率の逆数であり、この効率も、同じく1サイクル中の平均値をとり、一定値として検討を進める。さらに、Pはポンプ圧力であり、実際は多少変動するが、荷重体に応じてほぼ一定値で近似でき、簡単化のため、一定値Pとする。
(b) 短時間にアキュムレータ流量Qaを増やす運転(図4)
t1(<tc)内にQaを増やし、アキュムレータAccに蓄積された流体を使い切る方式を検討する。
t1(<tc)内にQaを増やし、アキュムレータAccに蓄積された流体を使い切る方式を検討する。
0<t<t1では、Qa=Qa0+Qa1>Qa0、t1<t<tcでは、Qa=0
ベース運転時と同様に、ポンプ流量Qpは、Qp=Qm+Qo+Qb−Qaで制御する。
このときの流量配分摸式図は、図4に示されるようになる。なお、実際は、時間とともにポンプ流量Qp、トータル流量は変動するが、平均値で一定として表示される。
ここで、次の式Aが成り立つ。
Qa1・t1=Qa0・t2 …(A)
Qa1・t1=Qa0・t2 …(A)
このときの、ポンプ所要エネルギE1は、以下の式で近似される。
E1≒(Qpa−Qa1)・P・C1・t1+(Qpa+Qa0)P・C2・t2
=(Qpa−Qa1)・P・C1・t1+Qpa・P・C2・t2+Qa0・P・C2・t2
=(Qpa−Qa1)・P・C1・t1+Qpa・P・C2・t2+Qa0・P・C2・t2
ただし、トータル流量はベース運転と同じなので、ポンプ圧力Pは同じとなる。また、C1,C2は、時間t1,t2におけるポンプ効率の逆数であり、ポンプ効率は、その一般的特性として、圧力の増加、流量の減少につれて悪化するので、C1>CO>C2となる。
前記ベース運転での1サイクルのポンプ所要エネルギEOを変形すると、
tc=t1+t2であるから、
EO=(Qpa−Qa1)・P・CO・t1+Qa1・P・CO・t1+Qpa・P・CO・t2
式Aより、
EO=(Qpa−Qa1)・P・CO・t1+Qa0・P・CO・t2+Qpa・P・CO・t2
ポンプ所要エネルギEO、E1を比較すると、
EO−E1
=(Qpa−Qa1)・P・t1・(CO−C1)+Qpa・P・t2・(CO−C2)+Qa0・P・t2・(CO−C2)
=(Qpa−Qa1)・P・t1・(CO−C1)+(Qpa+Qa0)・P・t2・(CO−C2) …(B)
tc=t1+t2であるから、
EO=(Qpa−Qa1)・P・CO・t1+Qa1・P・CO・t1+Qpa・P・CO・t2
式Aより、
EO=(Qpa−Qa1)・P・CO・t1+Qa0・P・CO・t2+Qpa・P・CO・t2
ポンプ所要エネルギEO、E1を比較すると、
EO−E1
=(Qpa−Qa1)・P・t1・(CO−C1)+Qpa・P・t2・(CO−C2)+Qa0・P・t2・(CO−C2)
=(Qpa−Qa1)・P・t1・(CO−C1)+(Qpa+Qa0)・P・t2・(CO−C2) …(B)
ポンプ効率の一般的特性(C1>CO>C2)より、式(B)の第1項は負、第2項は正となる。
式(B)の正負は、Qa1が小では判断できないが、Qa1を大きくしてQpaに近づけていくと、すなわち全量をアキュムレータAccから注入すると、第1項の影響は少なくなり、第2項が主要素となり、プラスになるとともに、プラス幅が増大する。
そして、EO−E1>0であるから、EO>E1となり、ベース運転時のポンプ所要エネルギEOよりも、短時間にアキュムレータ流量Qaを増やす運転時のポンプ所要エネルギE1は減少する。
要するに、ポンプ所要エネルギを最小にするには、最初にアキュムレータAccを使い切るのが良い。
(c) 効率上有利な分担方式(結論)
以上より、下記の分担方式がポンプ使用エネルギ上、良いことが判明した。
以上より、下記の分担方式がポンプ使用エネルギ上、良いことが判明した。
(i) アキュムレータAccが空になる前は、アキュムレータAccだけで注入する。
(アキュムレータAccをポンプ流量制御弁3の上流側(ポンプ側)に接続した場合)
ポンプ最小流量Qminは確保する。ポンプ流量制御弁3は、第1回路用の第1制御弁3aと第2回路用の第2制御弁3bとを備え、第1回路必要流量Qmと第2回路必要流量Qoとの流量比が確保できるように、第1制御弁3aと第2制御弁3bとの開度バランスを制御する。
ポンプ最小流量Qminは確保する。ポンプ流量制御弁3は、第1回路用の第1制御弁3aと第2回路用の第2制御弁3bとを備え、第1回路必要流量Qmと第2回路必要流量Qoとの流量比が確保できるように、第1制御弁3aと第2制御弁3bとの開度バランスを制御する。
(アキュムレータAccをポンプ流量制御弁3の下流側に接続した場合)
ポンプPpは、第2回路必要流量Qoを分担する。Qo≒0のときは、バイパスラインを大きく開いてポンプ圧Pを下げることで、さらに使用エネルギを下げることができる。
ポンプPpは、第2回路必要流量Qoを分担する。Qo≒0のときは、バイパスラインを大きく開いてポンプ圧Pを下げることで、さらに使用エネルギを下げることができる。
Qp=Qo+Qb≧Qmin
第1制御弁3aは全閉じ(すなわちバイパスラインは全開き)、第2制御弁3bは少し開く状態にある。
Qo>Qminのときは、Qp=Qoとなる。
ポンプ流量制御弁3は、第2回路必要流量Qoのみを対象とすればよいので、制御が簡単にできる。
第1制御弁3aは全閉時(バイパスラインは全開き)、第2制御弁3bは、図5に示されるように全開きの状態にある。ただし、Qb<Qmの微小流量要求時のみ、第2制御弁3bはバイパスラインを大きく開ける。
ポンプ流量制御弁3の通過流量は、第2回路必要流量Qoのみとなるので、このポンプ流量制御弁3での圧損が小さくなる。すなわち、ポンプ圧Pが少し下がる。よって、効率アップ上は有利である。
(ii) アキュムレータAccが空になった後は、ポンプPpのみから作動流体を供給する。
このときは、アキュムレータAccの接続先による違いはなく、以下とする。
Qp=Qm+Qo+Qb
Qb=0を目指すが、最小流量Qminを確保する上で、Qm+Qo<Qminの場合は、バイパスラインを開く。
ポンプ流量制御弁3は、第1回路必要流量Qmと第2回路必要流量Qoとの流量比が確保できるように、第1制御弁3aと第2制御弁3bとの開度バランスをとる。
すなわち、第1回路必要流量Qm>第2回路必要流量Qoのときは、第1制御弁3aは全開に制御し、第2制御弁3bは要求流量比に応じて絞る。
また、第1回路必要流量Qm<第2回路必要流量Qoのときは、第1制御弁3aは要求流量比に応じて絞り、第2制御弁3bは全開に制御する。
次に、図6に示されるフローチャートにより、エネルギ放出制御の概略を説明する。
(ステップ1)
アキュムレータAccにエネルギの蓄積、すなわち蓄圧状態があるか否かを判定する。
アキュムレータAccにエネルギの蓄積、すなわち蓄圧状態があるか否かを判定する。
(ステップ2)
ステップ1でエネルギの蓄積がある場合(YES)は、要するに、ポンプPpを可能な限り最小流量Qminに制御して、アキュムレータAccのみから必要な流量Qaを供給する。
ステップ1でエネルギの蓄積がある場合(YES)は、要するに、ポンプPpを可能な限り最小流量Qminに制御して、アキュムレータAccのみから必要な流量Qaを供給する。
すなわち、制御装置5は、既存系のポンプPpは最小動力運転に制御する。例えば、ポンプPpの容量をほぼ0に制御して、ポンプPpの吐出量をほぼ0に制御するとともに、ポンプ吐出圧Pppをほぼ0に制御する。ポンプPpが複数台ある場合も、全ポンプ共に同様の制御を行なう。このことが可能となるように、蓄積制御弁1aまたは放出制御弁1bの接続先はポンプ流量制御弁3の下流にする。
同時に、制御装置5は、速度指令に応じて専用の蓄積制御弁1aまたは放出制御弁1bの開度を0〜全開で制御して、指令に応じた荷重体上昇速度を確保する。
(ステップ3)
図7に示されるようにアキュムレータ圧Paとアキュムレータ蓄積量との間には一定の関係があるので、アキュムレータ圧Paが最小設定値Pmin以下となったときにアキュムレータAccからの放出が完了したと判断でき、アキュムレータAccの放出完了時間t1がわかるので、この放出完了時間t1を常にチェックして、経過したか否かを判定する。放出完了時間t1の前であれば(NO)、ステップ1〜3を繰返す。
図7に示されるようにアキュムレータ圧Paとアキュムレータ蓄積量との間には一定の関係があるので、アキュムレータ圧Paが最小設定値Pmin以下となったときにアキュムレータAccからの放出が完了したと判断でき、アキュムレータAccの放出完了時間t1がわかるので、この放出完了時間t1を常にチェックして、経過したか否かを判定する。放出完了時間t1の前であれば(NO)、ステップ1〜3を繰返す。
(ステップ4)
アキュムレータAccの放出完了時間t1が経過したか、またはステップ1でエネルギの蓄積がない場合(NO)は、必要な全量をポンプPpから供給する。
アキュムレータAccの放出完了時間t1が経過したか、またはステップ1でエネルギの蓄積がない場合(NO)は、必要な全量をポンプPpから供給する。
要するに、制御装置5は、圧力センサSacから検出したアキュムレータ圧PaからアキュムレータAccが空になったことを感知すると、既存系のポンプPpから作動流体をアクチュエータに供給する。
次に、図示された実施の形態の効果を説明する。
制御装置5により容量可変型のポンプPpとアキュムレータ制御弁1とを制御して、アキュムレータAccに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁1を開いてアキュムレータAccからシリンダCyに作動流体を供給し、アキュムレータAccの蓄圧力がなくなると、ポンプPpからシリンダCyに作動流体を供給することで、ポンプPpとアキュムレータAccとを共用運転する際に、ポンプPpで消費されるポンプ所要エネルギを最小にすることができる。
アキュムレータ制御弁1の接続先を、ポンプ流量制御弁3より下流側としたので、アキュムレータ利用時のポンプ吐出圧Pppの不要な上昇によるエネルギ消費を防止できるとともに、複数のポンプが用いられている場合は、アキュムレータAccに接続されたポンプと、接続されていないポンプとの間のアンバランスを防止できる。
アキュムレータ制御弁1は、蓄積制御弁1aと放出制御弁1bとを別個に設けることで、アキュムレータAccに蓄積されたエネルギの再利用時の注入先を位置エネルギ回収元のシリンダCy(ブームシリンダ14)以外の他の流体圧アクチュエータ(例えばアームシリンダ16など)とすることが可能となる。
油圧ショベル10の作業装置12を上下動するブームシリンダ14に作動油を供給する油圧供給源のハイブリッド化において、ポンプPpとアキュムレータAccとを共用運転する際のポンプ所要エネルギを最小にすることができる。
以上のように、アキュムレータAccは、既存の制御弁(ポンプ流量制御弁3)の下流側に接続し、制御装置5は、アキュムレータ制御弁1すなわち蓄積制御弁1aまたは放出制御弁1bを直接制御する方式により、アキュムレータAccが利用できる時は、アキュムレータAccのみから作動流体をアクチュエータに供給することが、アキュムレータAccに蓄えたエネルギを放出して再利用する際の効率の良い制御方法である。
なお、本発明のアキュムレータ制御弁1は、蓄積制御弁1aおよび放出制御弁1bを一体的に構成してもよいし分離して構成してもよい。分離して構成した場合は、他の回路へ蓄積エネルギを放出することができる。また、本発明は、油圧ショベルの旋回用油圧モータなどのシリンダ以外の流体圧アクチュエータにも適用できる。
本発明は、油圧ショベルだけでなく、クレーン車などの作業機械にも利用可能である。
Pp ポンプ
Cy 流体圧アクチュエータ(これをシリンダという)
Acc アキュムレータ
1 アキュムレータ制御弁
1a 蓄積制御弁
1b 放出制御弁
3 ポンプ流量制御弁
5 制御装置
10 油圧ショベル
12 荷重体としての作業装置
14 油圧シリンダとしてのブームシリンダ
Cy 流体圧アクチュエータ(これをシリンダという)
Acc アキュムレータ
1 アキュムレータ制御弁
1a 蓄積制御弁
1b 放出制御弁
3 ポンプ流量制御弁
5 制御装置
10 油圧ショベル
12 荷重体としての作業装置
14 油圧シリンダとしてのブームシリンダ
Claims (4)
- 容量可変型のポンプから流体圧アクチュエータに供給される作動流体を方向制御および流量制御するポンプ流量制御弁と、
流体圧アクチュエータによって上昇された荷重体が有する位置エネルギを下降時に蓄圧力として蓄積可能なアキュムレータと、
流体圧アクチュエータとアキュムレータとの間の通路中に設けられてアキュムレータから流体圧アクチュエータへの作動流体の流れを制御するアキュムレータ制御弁と、
アキュムレータに蓄圧力がある間は、ポンプ動力を減少させるとともにアキュムレータ制御弁を開いてアキュムレータから流体圧アクチュエータに作動流体を供給し、アキュムレータの蓄圧力がなくなった状態で、ポンプ動力を制御してポンプからアクチュエータに作動流体を供給する機能を備えた制御装置と
を具備したことを特徴とする流体圧アクチュエータ制御回路。 - アキュムレータ制御弁の接続先は、ポンプ流量制御弁より下流側とした
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧アクチュエータ制御回路。 - アキュムレータ制御弁は、
流体圧アクチュエータとアキュムレータとの間の通路中に設けられたエネルギ蓄積制御用の蓄積制御弁と、
アキュムレータとポンプ流量制御弁の下流側との間に設けられたエネルギ放出制御用の放出制御弁と
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の流体圧アクチュエータ制御回路。 - 荷重体は、油圧ショベルの作業装置であり、
流体圧アクチュエータは、作業装置を上下方向に回動する油圧シリンダである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の流体圧アクチュエータ制御回路。
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-
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- 2008-05-13 JP JP2008126175A patent/JP2009275771A/ja not_active Withdrawn
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