JP2009275550A - 可変容量型圧縮機における容量制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソレノイドのコイルに電圧が印加されることによって電磁駆動力が制御される電磁式容量制御弁におけるコイルの温度変化の影響を、簡単な構成で抑制する。
【解決手段】電磁式容量制御弁35は、吐出室132と制御圧室121とを繋ぐ供給通路33の通路断面積を調整する。電磁式容量制御弁35のソレノイド36のコイル38には電圧が印加される。ソレノイド36を構成する固定鉄心37と可動鉄心39との間には温度感応部材54が設けられている。温度感応部材54は、形状記憶合金製である。温度感応部材54は、印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う弁体401の進行方向における最前限界位置を規制する。温度感応部材54は、温度が低くなる途中で最前限界位置を後退させ、温度が高くなる途中で最前限界位置を前進させる。
【選択図】図2
【解決手段】電磁式容量制御弁35は、吐出室132と制御圧室121とを繋ぐ供給通路33の通路断面積を調整する。電磁式容量制御弁35のソレノイド36のコイル38には電圧が印加される。ソレノイド36を構成する固定鉄心37と可動鉄心39との間には温度感応部材54が設けられている。温度感応部材54は、形状記憶合金製である。温度感応部材54は、印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う弁体401の進行方向における最前限界位置を規制する。温度感応部材54は、温度が低くなる途中で最前限界位置を後退させ、温度が高くなる途中で最前限界位置を前進させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、吐出圧領域の冷媒を制御圧室に供給すると共に、前記制御圧室の冷媒を吸入圧領域に排出して前記制御圧室内の調圧を行い、前記制御圧室内の調圧によって吐出容量を制御する可変容量型圧縮機における容量制御弁に関するものである。
傾角可変に斜板を収容する制御圧室を備えた可変容量型圧縮機においては、制御圧室の圧力が高くなると斜板の傾角が小さくなり、制御圧室の圧力が低くなると斜板の傾角が大きくなる。斜板の傾角が小さくなると、ピストンのストロークが小さくなって吐出容量が小さくなり、斜板の傾角が大きくなると、ピストンのストロークが大きくなって吐出容量が大きくなる。
制御圧室の圧力は、電磁式容量制御弁における弁開度を制御することによって、調整される。供給通路上に電磁式容量制御弁が介在されている構成では、弁開度が大きくなるほど、吐出圧領域から制御圧室へ流入する冷媒が増え、制御圧室内の圧力が増大する。排出通路上に電磁式容量制御弁が介在されている構成では、弁開度が小さくなるほど、制御圧室から吸入圧領域へ流出する冷媒が減り、制御圧室内の圧力が増大する。
電磁式容量制御弁における弁開度は、ソレノイドのコイルを流れる電流値に左右される。ソレノイドのコイルの抵抗は、コイルの温度が低くなるにつれて、小さくなり、コイルの温度が高くなるにつれて、大きくなる。そのため、ソレノイドに電圧を印加することによって電磁駆動力を発生させる回路構成では、コイルの抵抗が温度の影響を受けて本来の値よりも小さ過ぎる場合には、所望の弁開度に対応した電圧をコイルに印加したとしても、コイルを流れる電流の値が本来の値よりも大きくなってしまう。逆に、コイルの抵抗が温度の影響を受けて本来の値よりも大き過ぎる場合には、所望の弁開度に対応した電圧をコイルに印加したとしても、コイルを流れる電流の値が本来の値よりも小さくなってしまう。
このような状況では、弁開度が本来よりも大きく外れるおそれがあり、吐出容量が狙いの吐出容量よりも大きく異なってしまうおそれがある。
特許文献1では、コイルの温度変化の影響を受けない制御弁駆動回路が開示されている。
特開2004−152938号公報
特許文献1では、コイルの温度変化の影響を受けない制御弁駆動回路が開示されている。
しかし、回路構成によってコイルの温度変化の影響を排除する対策では、回路が複雑になり、コストに関して不利である。
本発明は、ソレノイドのコイルに電圧が印加されることによって電磁駆動力が制御される電磁式容量制御弁におけるコイルの温度変化の影響を、簡単な構成で抑制することができるようにすることを目的とする。
本発明は、ソレノイドのコイルに電圧が印加されることによって電磁駆動力が制御される電磁式容量制御弁におけるコイルの温度変化の影響を、簡単な構成で抑制することができるようにすることを目的とする。
本発明は、供給通路を介して吐出圧領域の冷媒が制御圧室に供給されると共に、排出通路を介して前記制御圧室の冷媒が吸入圧領域に排出されて前記制御圧室内の調圧が行われ、前記制御圧室内の調圧によって吐出容量が制御され、前記供給通路又は前記排出通路の通路断面積を調整する電磁式容量制御弁が備えられており、前記電磁式容量制御弁の弁体に加えられる電磁駆動力は、前記電磁式容量制御弁のソレノイドのコイルに電圧を印加する電圧変更手段の電圧印加制御によって制御される可変容量型圧縮機における容量制御弁を対象とし、請求項1の発明では、前記弁体の可動範囲を規制する温度感応部材が設けられており、前記温度感応部材は、前記電磁駆動力の増大に伴う前記弁体の進行方向における最前限界位置を規制して前記可動範囲を規制し、前記温度感応部材は、温度が低くなる途中で前記最前限界位置を後退させ、温度が高くなる途中で前記最前限界位置を前進させる。
コイルの抵抗が温度の影響を受けて印加電圧に対応する本来の値よりも小さ過ぎる場合には、温度感応部材が最前限界位置を後退させる。従って、コイルを流れる電流の値が本来の値より大きくなり過ぎても、弁体の位置が狙いの位置よりも大きくずれることはない。逆に、コイルの抵抗が温度の影響を受けて印加電圧に対応する本来の値よりも大き過ぎる場合には、温度感応部材が最前限界位置を前進させる。従って、コイルを流れる電流の値が本来の値より小さくなり過ぎても、弁体の位置が狙いの位置よりも大きくずれることはない。温度感応部材によって最前限界位置を変更させる構成は、コイルの温度変化の影響を抑制する上で簡単な構成である。
好適な例では、前記温度感応部材は、前記電圧の増大に伴う前記弁体の進行側、又は前記弁体と一体的に移動する付属部材の進行側に設けられており、前記弁体の可動方向における前記温度感応部材の長さは、温度が高くなる途中で短くなって前記最前限界位置を前進させ、前記温度感応部材の前記長さは、温度が低くなる途中で長くなって前記最前限界位置を後退させる。
弁体の可動方向に温度感応部材を伸縮させる構成は、最前限界位置を変更させる上で、簡便な構成である。
好適な例では、前記温度感応部材は、前記ソレノイドの固定鉄心と可動鉄心との間に設けられている。
好適な例では、前記温度感応部材は、前記ソレノイドの固定鉄心と可動鉄心との間に設けられている。
固定鉄心と可動鉄心との間隔は、弁開度に直接反映する。このような固定鉄心と可動鉄心との間は、温度感応部材の配置場所として好適である。
好適な例では、前記弁体は、前記可動鉄心に止着された伝達ロッドに設けられており、前記温度感応部材は、前記伝達ロッドを挿通されたリングである。
好適な例では、前記弁体は、前記可動鉄心に止着された伝達ロッドに設けられており、前記温度感応部材は、前記伝達ロッドを挿通されたリングである。
リングは、変形する温度感応部材の形状として好適である。
好適な例では、前記温度感応部材は、形状記憶部材である。
形状記憶部材は、温度変化に伴う形状変化による温度感応部材の長さ変化を精度良く特定する上で、好適である。
好適な例では、前記温度感応部材は、形状記憶部材である。
形状記憶部材は、温度変化に伴う形状変化による温度感応部材の長さ変化を精度良く特定する上で、好適である。
本発明は、ソレノイドのコイルに電圧が印加されることによって電磁駆動力が制御される電磁式容量制御弁におけるコイルの温度変化の影響を、簡単な構成で抑制することができるという優れた効果を奏する。
以下、クラッチレスの可変容量型圧縮機に本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、クラッチレスの可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
図1(a)に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、クラッチレスの可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸18がラジアルベアリング19,20を介して回転可能に支持されている。制御圧室121から外部へ突出する回転軸18は、プーリ(図示略)及びベルト(図示略)を介して外部駆動源E(例えば車両エンジン)から駆動力を得る。
回転軸18には回転支持体21が止着されている。又、回転軸18には斜板22が回転支持体21に対向するように支持されている。斜板22は、回転軸18の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。
回転支持体21に形成されたガイド孔211には斜板22に設けられたガイドピン23がスライド可能に嵌入されている。斜板22は、ガイド孔211とガイドピン23との連係により回転軸18の軸方向へ傾動可能かつ回転軸18と一体的に回転可能である。斜板22の傾動は、ガイド孔211とガイドピン23とのスライドガイド関係、及び回転軸18のスライド支持作用により案内される。
斜板22の径中心部が回転支持体21側へ移動すると、斜板22の傾角が増大する。斜板22の最大傾角は、回転支持体21と斜板22との当接によって規制される。図1に実線で示す斜板22は、最小傾角状態にあり、鎖線で示す斜板22は、最大傾角状態にある。斜板22の最小傾角は、0°よりも僅かに大きくしてある。
シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン24が収容されている。斜板22の回転運動は、シュー25を介してピストン24の前後往復運動に変換され、ピストン24がシリンダボア111内を往復動する。
リヤハウジング13内には吸入圧領域である吸入室131及び吐出圧領域である吐出室132が区画形成されている。バルブプレート14、弁形成プレート16及びリテーナ形成プレート17には吸入ポート26が形成されており、バルブプレート14及び弁形成プレート15には吐出ポート27が形成されている。弁形成プレート15には吸入弁151が形成されており、弁形成プレート16には吐出弁161が形成されている。
吸入室131内の冷媒は、ピストン24の復動動作〔図1において右側から左側への移動〕により吸入ポート26から吸入弁151を押し退けて圧縮室112内へ流入する。圧縮室112内へ流入した冷媒は、ピストン24の往動動作〔図1において左側から右側への移動〕により吐出ポート27から吐出弁161を押し退けて吐出室132へ吐出される。吐出弁161は、リテーナ形成プレート17上のリテーナ171に当接して開度規制される。
制御圧室121内の圧力が下がると、斜板22の傾角が増大して吐出容量が増え、制御圧室121内の圧力が上がると、斜板22の傾角が減少して吐出容量が減る。
制御圧室121と吸入室131とは、排出通路34を介して連通されている。制御圧室121内の冷媒は、排出通路34を介して吸入室131に流出する。
制御圧室121と吸入室131とは、排出通路34を介して連通されている。制御圧室121内の冷媒は、排出通路34を介して吸入室131に流出する。
吸入室131と吐出室132とは、外部冷媒回路28で接続されている。外部冷媒回路28上には、冷媒から熱を奪うための熱交換器29、膨張弁30、及び周囲の熱を冷媒に移すための熱交換器31が介在されている。膨張弁30は、熱交換器31の出口側のガス温度の変動に応じて冷媒流量を制御する温度式自動膨張弁である。吐出室132から外部冷媒回路28に至る途中には逆止弁32が設けられている。逆止弁32が開いているときには、吐出室132内の冷媒は、外部冷媒回路28へ流出して吸入室131へ還流する。
逆止弁32より下流、かつ熱交換器29よりも上流の外部冷媒回路(以下、外部冷媒回路28Aと記す)の途中には絞り281が設けられている。
リヤハウジング13には電磁式容量制御弁35が組み付けられている。
リヤハウジング13には電磁式容量制御弁35が組み付けられている。
図1(b)に示すように、電磁式容量制御弁35のソレノイド36を構成するコイル38には電圧印加回路50が電気接続されている。電圧印加回路50は、コイル38に電圧を印加する。
電磁式容量制御弁35のソレノイド36を構成する固定鉄心37は、コイル38に対する電圧印加による励磁に基づいて可動鉄心39を引き付ける。可動鉄心39には伝達ロッド40が止着されている。伝達ロッド40は、固定鉄心37を貫通してバルブハウジング41内の弁収容室411に突出しており、弁収容室411内の伝達ロッド40には弁体401が一体形成されている。弁体401は、弁座42に接離して弁孔351を開閉する。弁体401が弁座42から離間した開位置にあるときには、吐出室132と制御圧室121とは、通路331、弁収容室411、弁孔351及び通路332を介して連通している。弁体401が弁座42に接した閉位置にあるときには、吐出室132と制御圧室121との連通が遮断される。
通路331、弁収容室411、弁孔351及び通路332は、吐出室132の冷媒を制御圧室121へ供給する供給通路33を構成する。電磁式容量制御弁35は、供給通路33の通路断面積を調整する。
弁収容室411内の伝達ロッド40にはリング形状のバネ受け43が止着されており、バネ受け43と弁座42との間にはコイル形状の付勢バネ44が介在されている。付勢バネ44は、弁座42に接する閉位置から弁体401を遠ざける方向に伝達ロッド40を付勢する。ソレノイド36の電磁力は、付勢バネ44のバネ力に抗して、前記閉位置に向けて弁体401を付勢する。
電磁式容量制御弁35内に感圧室45,46を区画する感圧体47は、感圧バネ48によって感圧室45側から感圧室46側へ付勢されている。感圧室45は、吐出室132に連通されており、感圧室46は、絞り281よりも下流の外部冷媒回路28Aに連通されている。つまり、感圧室45内は、吐出室132内の圧力になっており、感圧室46内は、絞り281よりも下流、かつ熱交換器29よりも上流の外部冷媒回路28Aの圧力になっている。感圧室45内の圧力と、感圧室46内の圧力とは、感圧体47を介して対抗している。
感圧室45,46、感圧体47及び感圧バネ48は、吐出室132内の圧力と、絞り281より下流、かつ熱交換器31よりも上流の外部冷媒回路28の圧力との差圧に感応する感圧手段49を構成する。外部冷媒回路28A(吐出圧領域)における冷媒流量が増大すると、絞り281の前後の圧力の差が増大し、外部冷媒回路28(吐出圧領域)における冷媒流量が減少すると、絞り281の前後の圧力の差が減少する。感圧手段49は、絞り281の前後の圧力差の増大によって、弁座42から離間する方向へ弁体401を遠ざけ、絞り281の前後の圧力差の減少によって、弁体401を弁座42に近づける。つまり、感圧手段49は、吐出圧領域(外部冷媒回路28A)における冷媒流量の増大に応じて弁開度を増大し、吐出圧領域(外部冷媒回路28A)における冷媒流量の減少に応じて弁開度を減少する。
感圧体47には伝達ロッド40が連結されている。感圧室45内の圧力及び感圧バネ48のバネ力は、弁体401が弁座42に接する閉位置から離間する方向へ弁体401を付勢する。
弁孔351における開閉具合、即ち電磁式容量制御弁35における弁開度は、ソレノイド36で生じる電磁力、付勢バネ44のばね力、感圧手段49の付勢力のバランスによって決まる。電磁式容量制御弁35は、電磁力を変える(デューティ比を変える)ことによって弁体401と弁座42との間隔(弁開度)を連続的に調整できる。つまり、電磁式容量制御弁35は、電磁力を変えることによって供給通路33の通路断面積を連続的に調整可能、かつ吐出圧領域における冷媒流量が増大すると弁開度を増大し、吐出圧領域における冷媒流量が減少すると弁開度を減少する電磁式容量制御弁である。
図1(a),(b)に示すように、電圧印加回路50には制御コンピュータCが信号接続されており、制御コンピュータCには空調装置作動スイッチ51、室温設定器52及び室温検出器53が信号接続されている。制御コンピュータCは、空調装置作動スイッチ51のONによって電圧印加回路50に電圧印加を指令し、電圧印加回路50は、この指令に応じてコイル38に電圧を印加する。制御コンピュータCは、空調装置作動スイッチ51のOFFによって電圧印加回路50に対する電圧印加の停止を指令し、電圧印加回路50は、この指令に応じて、電圧印加を停止する。空調装置作動スイッチ51がON状態にある場合、制御コンピュータCは、室温設定器52によって設定された目標室温と、室温検出器53によって検出された検出室温との温度差に基づいて、コイル38に対する電圧印加を制御する。
電圧印加回路50、空調装置作動スイッチ51、室温設定器52、室温検出器53及び制御コンピュータCは、電磁式容量制御弁35におけるソレノイド36のコイル38に電圧を印加する電圧変更手段を構成する。
図3は、空調装置作動スイッチ51のOFFによってソレノイド36のコイル38に対する電圧印加が停止されている状態(デューティ比が0)を示し、電磁式容量制御弁35における弁開度は、最大になっている。斜板22の最小傾角は0°よりも僅かに大きく、斜板22の傾角が最小傾角の場合にもシリンダボア111から吐出室132への吐出は行われている。斜板22の傾角が最小である状態では、逆止弁32が閉じて外部冷媒回路28における冷媒循環が停止する構成となっている。シリンダボア111から吐出室132へ吐出された冷媒は、供給通路33を経由して制御圧室121へ流入する。
図3の状態では、斜板22の傾角は最小傾角になり、可変容量型圧縮機10は、吐出容量が最小となる最小容量運転を行なうが、冷媒が外部冷媒回路28を循環することはない。
図4は、空調装置作動スイッチ51がONであってソレノイド36のコイル38に対する印加電圧が最大(デューティ比が1)になっている状態を示し、電磁式容量制御弁35における弁開度は、零になっている。可変容量型圧縮機10が最小容量ではない運転を行なっている状態(つまり、斜板22の傾角が最小ではない状態)では、逆止弁32が開いて外部冷媒回路28における冷媒循環が行われる。
電磁式容量制御弁35における弁開度が零の状態(弁孔351が閉じられている状態)では、供給通路33が閉じられ、吐出室132内の冷媒が供給通路33を経由して制御圧室121へ送られることはない。又、制御圧室121内の冷媒は、排出通路34を経由して吸入室131へ流出する。この状態では、斜板22の傾角は最大傾角になり、可変容量型圧縮機10は、吐出容量が最大となる最大容量運転を行なう。
空調装置作動スイッチ51がONであってソレノイド36のコイル38に対する印加電圧が零でなく、且つ最大でない状態(デューティ比が0より大きく、1より小さい)では、斜板22の傾角は、絞り281の前後の差圧がデューティ比に応じた設定差圧となるように、最小傾角以上となり、可変容量型圧縮機10は、斜板22の傾角が最小傾角以上となる中間容量運転を行なう。
図2に示すように、可動鉄心39の先端部には環状の凹部391が伝達ロッド40を取り巻くように形成されており、凹部391には形状記憶合金製の温度感応部材54が配置されている。温度感応部材54は、同形同大の一対のリング541,542からなる。温度感応部材54は、電圧の増大に伴う可動鉄心39の進行側(弁体401の進行側)に設けられている。可動鉄心39は、弁体401と一体的に移動する付属部材である。
図2に示す温度感応部材54は、マルテンサイト相の状態にある。マルテンサイト相の状態にあるリング541,542は、皿バネ形状をしており、皿バネ形状のリング541,542は、面対称に対向している。温度感応部材54がマルテンサイト相の状態にある状況は、電磁式容量制御弁35がマルテンサイト変態温度以下にある状況である。
図3に示す温度感応部材54は、オーステナイト相の状態にある。オーステナイト相の状態にあるリング541,542は、平板形状である。温度感応部材54がオーステナイト相の状態にある状況は、可変容量型圧縮機10の運転に伴う電磁式容量制御弁35の温度上昇に対応する。
温度感応部材54は、コイル38に対する印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う可動鉄心39の進行側に設けられている。弁体401の可動方向〔図2に矢印Rで示す方向〕における温度感応部材54の長さL1,L2〔図2,3に図示〕は、温度が高くなる途中(マルテンサイト変態温度を通過するとき)で短くなり、温度が低くなる途中(マルテンサイト変態温度を通過するとき)で長くなる。
常温と同じ温度の可変容量型圧縮機10の運転開始直後では、可変容量型圧縮機10の温度は低く、可変容量型圧縮機10の運転開始から或る程度経過すると、可変容量型圧縮機10の温度が高くなる。温度感応部材54におけるマルテンサイト変態温度は、可変容量型圧縮機10の常温状態から高温化に至る温度変化の途中にある。
温度感応部材54の長さが短く〔長さL2〕なったときには、印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う可動鉄心39の進行方向における可動鉄心39の最前限界位置S1〔図4に図示〕は、可動鉄心39が固定鉄心37に接する位置となる。
温度感応部材54の長さが長く〔長さL1〕なったときには、印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う可動鉄心39の進行方向における可動鉄心39の最前限界位置S2〔図5に図示〕は、可動鉄心39が固定鉄心37から離間した位置となる。
電圧の増大に伴う可動鉄心39の進行側(弁体401の進行側)に設けられた温度感応部材54は、温度が高くなる途中で短くなって最前限界位置を最前限界位置S2よりも前進させる。又、温度感応部材54は、温度が高くなる途中で長くなって最前限界位置を最前限界位置S1よりも後退させる。温度感応部材54は、印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う弁体401の進行方向における最前限界位置を規制して、弁体401の可動範囲を規制する。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)ソレノイド36のコイル38の抵抗が温度変化の影響を受けて変化し、温度が上昇するとコイル38の抵抗が大きくなり、温度が下降するとコイル38の抵抗が小さくなる。温度上昇がマルテンサイト変態温度を通過するように変化すると、温度感応部材54は、最前限界位置を前進させ、温度下降がマルテンサイト変態温度を通過するように変化すると、温度感応部材54は、最前限界位置を後退させる。従って、コイル38を流れる電流の値が変化しても、弁体401の位置が狙いの位置よりも大きくずれることはない。温度感応部材54によって最前限界位置を変更させる構成は、コイル38の温度変化の影響を抑制する上で簡単な構成である。
(1)ソレノイド36のコイル38の抵抗が温度変化の影響を受けて変化し、温度が上昇するとコイル38の抵抗が大きくなり、温度が下降するとコイル38の抵抗が小さくなる。温度上昇がマルテンサイト変態温度を通過するように変化すると、温度感応部材54は、最前限界位置を前進させ、温度下降がマルテンサイト変態温度を通過するように変化すると、温度感応部材54は、最前限界位置を後退させる。従って、コイル38を流れる電流の値が変化しても、弁体401の位置が狙いの位置よりも大きくずれることはない。温度感応部材54によって最前限界位置を変更させる構成は、コイル38の温度変化の影響を抑制する上で簡単な構成である。
(2)温度変化がマルテンサイト変態温度を通過するように変化すると、温度感応部材54は、弁体401の可動方向Rに伸縮する。弁体401の可動方向Rに温度感応部材54を伸縮させる構成は、最前限界位置を変更させる上で、簡便な構成である。
(3)固定鉄心37と可動鉄心39との間隔は、弁開度に直接反映する。このような固定鉄心37と可動鉄心39との間に配置された温度感応部材54は、可動鉄心39の可動方向Rに伸縮して可動鉄心39の可動範囲を規制する。固定鉄心37と可動鉄心39との間で可動鉄心39の可動方向Rに伸縮する温度感応部材54の長さL1,L2を適正に設定すれば、可動鉄心39の可動範囲(つまり最前限界位置)は、マルテンサイト変態温度を通過するように変化する温度変化に対応して、適正に規制される。つまり、固定鉄心37と可動鉄心39との間は、温度感応部材54の配置場所として好適である。
(4)温度感応部材54を構成する一対のリング541,542の形状は、マルテンサイト変態温度以下では皿バネ形状となるように、平板形状のリングに荷重を掛けて強制的に変形させた形状である。平板形状のリングを皿バネ形状に変形するのは容易であり、しかも寸法精度も高い。平板形状のリングを皿バネ形状に変形させたリング541,542は、温度変化によって変形する温度感応部材の形状として好適である。
(5)温度感応部材54の素材である形状記憶合金は、プレス加工によって変形でき、プレス加工による変形は、高い加工精度をもたらす。つまり、温度感応部材54の素材である形状記憶合金は、温度変化に伴う形状変化による長さL1,L2の変化を精度良く特定する上で、好適な素材である。
次に、図6(a),(b)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
付勢バネ44は、固定鉄心37と可動鉄心39との間に設けられており、バルブハウジング41と固定鉄心37との間にはリング形状の温度感応部材55が挟み込み支持されている。弁収容室411内で伝達ロッド40を取り巻いているリング形状の温度感応部材55は、形状記憶合金製である。弁収容室411内において伝達ロッド40には位置規制リング56が止着されている。位置規制リング56は、温度感応部材55に接離可能であり、温度感応部材55は、コイル38に対する印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う位置規制リング56の進行側に設けられている。位置規制リング56は、弁体401と一体的に移動する付属部材である。
付勢バネ44は、固定鉄心37と可動鉄心39との間に設けられており、バルブハウジング41と固定鉄心37との間にはリング形状の温度感応部材55が挟み込み支持されている。弁収容室411内で伝達ロッド40を取り巻いているリング形状の温度感応部材55は、形状記憶合金製である。弁収容室411内において伝達ロッド40には位置規制リング56が止着されている。位置規制リング56は、温度感応部材55に接離可能であり、温度感応部材55は、コイル38に対する印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う位置規制リング56の進行側に設けられている。位置規制リング56は、弁体401と一体的に移動する付属部材である。
図6(a)に示す温度感応部材55は、マルテンサイト相の状態にある。温度感応部材55がマルテンサイト相の状態にある状況は、電磁式容量制御弁35がマルテンサイト変態温度以下にある状況である。
図6(b)に示す温度感応部材55は、オーステナイト相の状態にある。オーステナイト相の状態にある温度感応部材55は、平板形状である。温度感応部材55がオーステナイト相の状態にある状況は、可変容量型圧縮機10の運転に伴う電磁式容量制御弁35の温度上昇に対応する。
温度感応部材55は、コイル38に対する印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う位置規制リング56の進行側に設けられている。弁体401の可動方向Rにおける温度感応部材55の長さL1〔図6(a)に図示〕は、マルテンサイト相の状態にあるときの長さであり、可動方向Rにおける温度感応部材55の長さL2〔図6(b)に図示〕は、平板形状の温度感応部材55の厚みであって、オーステナイト相の状態にあるときの長さである。
第2の実施形態では、第1の実施形態における(1),(2),(4),(5)項と同様の効果が得られる。
次に、図7(a),(b)の第3の実施形態を説明する。第2の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
次に、図7(a),(b)の第3の実施形態を説明する。第2の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
第3の実施形態では、第2の実施形態における温度感応部材55の代わりに、バイメタル製の複数の温度感応部材57が用いられている。位置規制リング56は、温度感応部材57に接離可能であり、温度感応部材57は、コイル38に対する印加電圧の増大(電磁駆動力の増大)に伴う位置規制リング56の進行側に設けられている。
図7(b)に示す温度感応部材57は、電磁式容量制御弁35の温度が常温の状況である。図7(a)に示す温度感応部材57は、可変容量型圧縮機10の運転に伴う電磁式容量制御弁35の温度上昇に対応する。
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様の効果が得られる。又、バイメタル製の温度感応部材57は、温度上昇に連続的に追随変化して最前限界位置を連続的に変化させる。つまり、バイメタル製の温度感応部材57の採用は、最前限界位置のきめ細かな調整を可能にする。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第1の実施形態において、温度感応部材54の代わりに、付勢バネ44を温度感応部材としてもよい。この場合、バネ受け43が弁体401と一体的に移動する付属部材となる。
○第1の実施形態において、温度感応部材54の代わりに、付勢バネ44を温度感応部材としてもよい。この場合、バネ受け43が弁体401と一体的に移動する付属部材となる。
○第1の実施形態において、リング541,542のいずれか一方のみを温度感応部材として用いてもよい。
○温度感応部材である形状記憶部材として、形状記憶樹脂を用いてもよい。
○温度感応部材である形状記憶部材として、形状記憶樹脂を用いてもよい。
○排出通路34の通路断面積を調整する電磁式容量制御弁に本発明を適用してもよい。
○電磁式容量制御弁35における感圧手段49の代わりに吸入圧に感応する感圧手段を備えた制御弁を電磁式容量制御弁として用いてもよい。吸入圧に感応する感圧手段は、弁体を弁孔から遠ざける方向へ付勢する。つまり、吸入圧に感応する感圧手段は、電磁式容量制御弁の弁開度を増大する方向へ付勢する。
○電磁式容量制御弁35における感圧手段49の代わりに吸入圧に感応する感圧手段を備えた制御弁を電磁式容量制御弁として用いてもよい。吸入圧に感応する感圧手段は、弁体を弁孔から遠ざける方向へ付勢する。つまり、吸入圧に感応する感圧手段は、電磁式容量制御弁の弁開度を増大する方向へ付勢する。
吸入圧に感応する感圧手段を備えた電磁式容量制御弁における弁開度は、ソレノイドで生じる電磁力、付勢バネ44(図2参照)のばね力、感圧手段の付勢力のバランスによって決まる。このような制御弁を電磁式制御弁として用いた場合には、吸入圧が電圧印加制御(デューティ比制御)に応じた吸入設定圧に規定される。
○クラッチを介して外部駆動源から駆動力を得る可変容量型圧縮機に本発明を適用してもよい。このような可変容量型圧縮機では、クラッチが接続状態にあるときには、斜板の傾角が最小のときにも外部冷媒回路を冷媒が循環する構成となっており、クラッチを遮断することによって冷媒が外部冷媒回路を循環しないようにすることができる。
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下にその効果とともに記載する。
〔1〕前記温度感応部材は、バイメタルである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
〔1〕前記温度感応部材は、バイメタルである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
最前限界位置のきめ細かな調整が可能である。
10…可変容量型圧縮機。121…制御圧室。131…吸入圧領域としての吸入室。132…吐出圧領域としての吐出室。33…供給通路。34…排出通路。35…電磁式容量制御弁。36…ソレノイド。37…固定鉄心。38…コイル。39…付属部材である可動鉄心。40…伝達ロッド。401…弁体。50…電圧変更手段を構成する電圧印加回路。54,55…形状記憶部材である温度感応部材。541,542…リング。56…付属部材である位置規制リング。57…温度感応部材。C…電圧変更手段を構成する制御コンピュータ。S1,S2…最前限界位置。L1,L2…長さ。R…可動方向。
Claims (5)
- 供給通路を介して吐出圧領域の冷媒が制御圧室に供給されると共に、排出通路を介して前記制御圧室の冷媒が吸入圧領域に排出されて前記制御圧室内の調圧が行われ、前記制御圧室内の調圧によって吐出容量が制御され、前記供給通路又は前記排出通路の通路断面積を調整する電磁式容量制御弁が備えられており、前記電磁式容量制御弁の弁体に加えられる電磁駆動力は、前記電磁式容量制御弁のソレノイドのコイルに電圧を印加する電圧変更手段の電圧印加制御によって制御される可変容量型圧縮機における容量制御弁において、
前記弁体の可動範囲を規制する温度感応部材が設けられており、前記温度感応部材は、前記電磁駆動力の増大に伴う前記弁体の進行方向における最前限界位置を規制して前記可動範囲を規制し、前記温度感応部材は、温度が低くなる途中で前記最前限界位置を後退させ、温度が高くなる途中で前記最前限界位置を前進させる可変容量型圧縮機における容量制御弁。 - 前記温度感応部材は、前記電圧の増大に伴う前記弁体の進行側、又は前記弁体と一体的に移動する付属部材の進行側に設けられており、前記弁体の可動方向における前記温度感応部材の長さは、温度が高くなる途中で短くなって前記最前限界位置を前進させ、前記温度感応部材の前記長さは、温度が低くなる途中で長くなって前記最前限界位置を後退させる請求項1に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
- 前記温度感応部材は、前記ソレノイドの固定鉄心と可動鉄心との間に設けられている請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
- 前記弁体は、前記可動鉄心に止着された伝達ロッドに設けられており、前記温度感応部材は、前記伝達ロッドを挿通されたリングである請求項3に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
- 前記温度感応部材は、形状記憶部材である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
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