JP2009274326A - 車両シートに備える発泡成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発泡原料を立体形状に縫製された表皮部13の内部に注入し、表皮部13と一体に発泡させて成形する車両シートに備えるヘッドレスト(発泡成形品)11であって、表皮部13は、表皮材15と、表皮材15の内側に貼着された低通気性の軟質スラブ材16とで積層形成されてなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
でき、引き裂き強度などの機械強度も、約12%程度向上する。
(実施例1)
実施例1は、図1(b)に示すシースルータイプのヘッドレスト11bに、低通気性の軟質スラブ材16として以下に示す軟質スラブフォーム(市販品)を使用した。
軟質スラブフォーム(市販品):製品記号BLG
密度: 40kg/m3
硬さ: 368N/314cm2
伸び率: 140%
引っ張り強度: 181kPa
圧縮残留歪率: 3.7%
通気度: 3.47cc/cm2/sec(フラジール式測定)
発泡タイプの型:シースルータイプ
上記軟質スラブフォーム(製品記号BLG)をウレタン仕上げ厚4.0mmにして、表皮材としてのニット表皮の裏にラミネート処理をして表皮部を形成した。そしてこの表皮部を裁断、縫製(内部目止め処理なし)してシースルータイプのヘッドレストの形状に形成し、その後、型にセットして発泡原料を内部に注入した(図1(b))。
型とは材質が金属と樹脂、木材、それらを混成して作られた型(モールド)をいう
効果(克服された問題点)
1.水平注入(図4(c)の矢印方向)では表面への滲み出し、液漏れがなくなり、その結果液漏れ防止の為の不織布や液漏れ防止材は不要となった。
2.フィルム仕様の表皮部でないため、低通気性の軟質スラブ材使用でも、発泡体であるウレタンフォームのクッション性が保持できる。
3.発泡体の硬さの調整は、従来品のような配合変更を不要とし、注入量の増減で可能となった。
4.表皮部が2層のため、フィルム材仕様の3層に較べてラミネート処理工程が少なくなり、コストが廉価となる。
5.軟質スラブフォームへの含浸層が、従来品の通気性軟質スラブフォームに較べて薄くなるのでヘッドレストの触感が向上する。
6.フィルム仕様でないため、軟硬自由な硬さのヘッドレストが提供できる。
7.低通気性の軟質スラブフォーム仕様のため、発泡原料の注入位置(表皮部と発泡原料の注入口との距離)に関わらず、ハードスポットの発生がない。
8.含浸量を抑えることができる低通気性の軟質スラブフォーム仕様のため、注入量の増減により内部圧力を任意に調整できるので、複雑な形状の製品でも仕上がりの良いものができる。
(実施例2)
実施例1は、図1(a)に示す標準タイプのヘッドレスト11aに、低通気性の軟質スラブ材16として以下に示す軟質スラブフォーム(市販品)を使用した。
軟質スラブフォーム(市販品):製品記号BLG改
密度: 49.1kg/m3
硬さ: 271N/314cm2
伸び率: 184%
引っ張り強度: 210kPa
圧縮残留歪率: 5.7%
通気度: 2.2cc/cm2/sec(フラジール式測定)
発泡タイプの型:標準タイプ
上記軟質スラブフォーム(製品記号BLG改)をウレタン仕上げ厚4.0mmにして、表皮材としてのPVC表皮の裏にラミネート処理をして表皮部を形成した。そしてこの表皮部を裁断、縫製(内部目止め処理なし)して標準タイプのヘッドレストの形状に形成し、その後金型にセットして発泡原料を内部に注入した(図1(a))。以下に示す表1は従来品(現行)のヘッドレストとの比較表である。
1.水平注入(図4(a)の矢印方向)のほか垂直注入でも表面への滲み出し、液漏れがなくなり、その結果液漏れ防止の為の不織布や液漏れ防止材は不要となった。
2.フィルム仕様の表皮部でないため、低通気性の軟質スラブ材使用でも、発泡体であるウレタンフォームのクッション性が保持できる。
3.発泡体の硬さの調整は、従来品のような配合変更を不要とし、注入量の増減で可能となった。
4.表皮部が2層のため、フィルム材仕様の3層に較べてラミネート処理工程が少なくなり、コストが廉価となる。
5.軟質スラブフォームへの含浸層が、従来品の通気性軟質スラブフォームに較べて薄くなるのでヘッドレストの触感が向上する。
6.実施例1の軟質スラブ材よりも密度が大きく、通気度が低いことから含浸量はより低下し、利益性の高いものが可能である。注入する発泡体のウレタンフォーム原料は13%低減された。表1を参照すると、従来品(番号27現行)に対して実施例品(番号17)は、原料の注入量が29g減少できた。
7.含浸量を抑えることができる低通気性の軟質スラブフォーム仕様のため、標準タイプのヘッドレストでも仕上がりの良い高品質のものができる。
(実施例3)
実施例3は、図1(a)に示す標準タイプのヘッドレスト11aに、低通気性の軟質スラブ材16として以下に示す軟質スラブフォーム(市販品)を使用した。
軟質スラブフォーム(市販品):製品記号BLG50
密度: 50kg/m3
硬さ: 437N/314cm2
反発弾性 30%
伸び率: 140%
引っ張り強度: 266kPa
圧縮残留歪率: 1.7%
通気度: 測定値0(ダウ式測定)
通気度: 1.99cc/cm2/sec(フラジール式測定)
発泡タイプの型:標準タイプ
上記軟質スラブフォーム(製品記号BLG)をウレタン仕上げ厚4.0mmにして、表皮材としてのPVC(塩化ビニル)、及びニット表皮の裏にラミネート処理をして表皮部を形成した。そしてこの表皮部を裁断、縫製(内部目止め処理なし)してシースルータイプのヘッドレストの形状に形成し、その後型にセットして発泡原料を内部に注入した(図4(a))。以下に示す表2は量産型へ実施した例と結果であって、PVCとニット系を表皮材として使用したもので、これらに軟質スラブ材としての軟質スラブフォームをラミネートした。
1.従来品(現行)にくらべて注入原料の低減が図れた。19〜29gの原料低減効果があり、特に29gも大き減じられるものもある。効果としては総て大小を問わず減量される。
2.従来品に較べ、含浸層が薄いため製品の触感が良い。
3.表皮部の縫製上で縫い目の張り出し感が向上、シャープなラインが出来上がった。
4.発泡体原料の水平注入および垂直注入におけるハードスポット発生が解消された。
新規ラミ材BLG50仕様ではシール材削減してハードスポットが解消され、シ−ル材不要となり工程削減の利益が生まれた。
(実施例4)
次に、シースルータイプのヘッドレストの表皮部材のラミネートに使用する軟質スラブ材として、図2に示すように、従来品である現行の通気性軟質スラブ材と、本発明に使用する低通気性軟質スラブ材を共に使用した場合を実施例4として説明する。図2中の矢印14に示す範囲における表皮部材13には表皮材15の裏側に低通気性の軟質スラブ材16が使用されている。矢印14示す範囲外のその他の部分においては従来品(現行)に使用される通気性の高い軟質スラブ19が表皮材15の裏側にラミネートされている。
以下の表4はスラブ材の併用使用の結果を示すものである。
(比較試験)
次に、通気性のある従来品(現行)のヘッドレストと、本発明に使用する低通気性の軟質スラブウレタンを使用したヘッドレストとの製品比較を以下の表5〜表15に示す。
(硬さの比較テスト)
1.低通気性のスラブ材を使用すると含浸層が薄く軟らかい状態であり、また注入量も減らすことができる。その反面コア密度は高い。PVC表皮の場合少しコアが軟らかく、ニット表皮ではコアが少し硬くなるが、いずれも表面からのたわみ量は現行と大きな差がない。
2.本発明に係る成形品では低通気性のスラブ材を使用するので、コアのセルが細かく整い機械物性が向上する。
3.本発明に係る成形品では、表面を押さえたときの感触抵抗が少なく、従来品にある押さえ続けた時の急激な抵抗が少ない。
4.本発明に係る成形品のラミネート材として使用する無通気性スラブ材であるBLG改を拡大鏡で見ると、セルが厚く破泡性の部分が少なく、セル面に薄い膜張り状のものが多くウレタンのボイドはない。
5.引き抜き試験では高い強度で、持続が長くなる特徴を有する。
(スラブ変更テスト)
次に軟質スラブ材をラミネート材として使用するときの、ラミネート材としての厚みを所定数値にして、従来品(現行)と比較した。以下の表7、表8は上記比較のテスト結果であり、表9はラミネート材として使用した軟質スラブ材とその通気量及び密度の数値一覧である。
表7:低通気性のラミネート材として軟質スラブ材t3.0mmを使用
ラミネート材として使用する軟質スラブ材一覧
1.投入ウレタン量(発泡体原料)が低減される。型容量によるが9〜24gの低減となる。
2.ウレタン量の低減になっても成形品の形状は十分保持される。
3.成形品の触感が軟らかくなる(たわみ値大きくなる)。
4.ラミネート材が薄くなるため、ラミネート加工費用の低減を図ることができる(約15円/m2)
なお現行BZG4.2mm厚をt3.0mm厚の低通気性軟質スラブに変えた場合の問題点として、ラミネート材が薄くなるため、センター型では発泡型へ表皮セットするのに時間を要するという問題点が発生する。
1.投入ウレタン量(発泡体原料)が低減される。型容量によるが9〜24gの低減となる。
2.ウレタン量の低減になっても成形品の形状は十分保持される。
3.成形品の触感が軟らかくなる(たわみ値大きくなる)。
表10はダンベル試験片によるものの結果である。
1.コア密度が上昇する。
2.発泡体原料の注入量が低減されても、含浸層が薄くなりコア密度が上がる傾向にある。
3.引き裂き、引っ張りの強度は従来品に較べて向上する傾向にある。
4.伸びは従来品と同様の結果である。
普通スラブ 4.1dm3/秒
低通気スラブ 0.0dm3/秒
JIS L1096 Aフラジール方式(繊維を対象とした試験方法)(単位ccm2/秒)(試料サイズ 150×150mm)
試験に供した配合は反応の遅い(ライズタイム50秒キュアタイム3分30秒)縫いぐるみ配合で試験した。
表皮一体配合(ライズタイム12〜13秒キュアタイム38〜40秒)
理由 反応の遅い配合ほどラミ上にウレタンを滴下した時、通気度が高いものほどウレタン漏れの状態か顕著に反映される為、試験配合に供した。表14は図3(a)の結果である。
12 孔
13 表皮部
15 表皮材
16 低通気性の軟質スラブ材(ラミネート材)
19 通気性の軟質スラブ材
Claims (6)
- 発泡原料を立体形状に縫製された表皮部の内部に注入し、該表皮部と一体に発泡させて成形する車両シートに備える発泡成形品であって、
前記表皮部は、表皮材と、該表皮材の内側に貼着された低通気性の軟質スラブ材とで積層形成されてなることを特徴とする車両シートに備える発泡成形品。 - 発泡原料を立体形状に縫製された表皮部の内部に注入し、該表部と一体に発泡させて成形する車両シートに備える発泡成形品であって、
前記表皮部は、表皮材と、該表皮材の内側に貼着された軟質スラブ材とで積層形成されてなり、前記軟質スラブ材のうち前記発泡原料の注入口に対向する部分が低通気性の軟質スラブ材からなることを特徴とする車両シートに備える発泡成形品。 - 前記低通気性の軟質スラブ材は、通気量が20cc/cm2/sec以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両シートに備える発泡成形品。
- 前記軟質スラブ材は、通気量が2cc/cm2/sec未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両シートに備える発泡成形品。
- 前記軟質スラブ材は、軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両シートに備える発泡成形品。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両シートに備える発泡成形品の製造方法であって、
前記立体形状に縫製された表皮部を成形用の型内に載置し、前記発泡原料を前記立体形状の内部に注入し、前記表皮部と一体に発泡させてなることを特徴とする車両シートに備える発泡成形品の製造方法。
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