JP2009273221A - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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正人 伊藤
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Abstract

【課題】位置推定のために回転電機に注入する信号に起因して発生する騒音を低減する。
【解決手段】回転電機1に流れる回転電機電流を検出する電流検出手段2と、回転電機電流に基づいて推定位置を出力する位置推定手段3と、推定位置に基づいて電圧指令を出力する制御手段4と、電圧指令に基づいて回転電機1に電圧を印加する電圧印加手段5を備え、制御手段4は、回転電機1を駆動するための駆動電圧指令を演算する駆動電圧演算部6と、駆動電圧指令とは別の周波数でかつ、周波数が異なる信号を複数加算した位置推定用電圧指令を発生する位置推定用電圧指令発生部13とを有し、位置推定用電圧指令と駆動電圧指令とを加算した電圧指令を電圧印加手段5に出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導機や同期機などの回転電機において、回転位置センサを用いることなく回転子位置情報を得て回転制御を行えるようにした回転電機の制御装置に関する。
回転電機の回転動作を精度良く制御するには、回転電機の回転子位置情報と、回転電機に流れる電流情報とが必要である。ここで、従来は、回転位置センサを回転電機に別途取付けることにより回転子位置情報を得ている。しかし、回転位置センサを別途設けるのは、コスト削減、省スペース、信頼性の向上という観点からデメリットが大きいため、回転位置センサのセンサレス化が要求されている。
回転電機における回転位置センサのセンサレス化の制御方法として、主に回転電機の誘起電圧より回転電機の回転子位置を推定する方法と、突極性を利用して回転電機の回転子位置を推定する方法とがある。
前者の方法で用いる誘起電圧の大きさは回転電機の速度に比例するという特徴があるため、零速や低速域では誘起電圧が小さくなりS/N比が悪化し、回転電機の回転子位置を推定することは困難になる。
一方、後者の突極性を利用した位置センサレス制御法は、回転電機駆動用の電圧指令に対して回転電機の回転子位置を推定するための位置推定用電圧指令を重畳して回転電機に注入し、注入した位置推定用電圧指令と同じ周波数成分の電流または電圧の振幅が回転子位置によって変化することを利用して回転子位置を推定する。したがって、回転電機の速度に関係せずに回転電機の回転子位置を推定できるメリットがあり、このため、零速や低速域において位置検出を行う上では、突極性を利用したセンサレス制御法が採用される。
ところが、突極性を利用した方法は、回転電機駆動用の電圧指令に位置推定用電圧指令を重畳して回転電機に注入するので、このことに起因して回転電機より騒音が発生する。そこで、従来技術では、突極性を利用した位置センサレス制御法において、回転子位置推定するために回転電機に注入する位置推定用電圧指令の周波数を可変とすることで、回転電機から発生する騒音のスペクトルを分散して、特定周波数成分の騒音を目立たなくすることにより耳障り感を低減するようにしたものが提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
特開2004−343833号公報
特許文献1の従来技術では、回転電機から発生する高周波スペクトルを分散して、特定周波数成分の騒音を目立たなくすることが可能であるものの、周波数を可変としているので、回転電機から発生する騒音も変化し、そのため、その騒音の周波数変化が耳障りになる場合がある。
また、回転電機に流れる電流または電圧の振幅は、回転子位置以外に回転電機に注入する位置推定用電圧指令の周波数にも依存する。このため、位置推定用電圧指令の周波数を可変とした場合、回転電機に流れる電流または電圧の振幅の変化は、回転子位置によって変化したものなのか、位置推定用電圧指令の周波数を変化させたことに起因するのかを区別することが難しくなり、回転子を正確に推定できなくなったり、その精度が悪化する。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、突極性を利用した位置センサレス制御のために、回転電機の回転子位置を推定するための位置推定用電圧指令を回転電機に注入する際の、位置推定用電圧指令に起因した騒音発生を有効に低減しつつ、回転子の位置推定を精度良く行うことができる回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる回転電機の制御装置は、回転電機の回転制御を行うものであって、上記回転電機に流れる回転電機電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段より検出した回転電機電流に基づいて回転子位置を推定する位置推定手段と、この位置推定手段で推定された回転子位置に基づいて上記回転電機を駆動するための駆動電圧指令を出力する制御手段と、前記駆動電圧指令に基づいて上記回転電機に交流電圧を印加する電圧印加手段とを備え、上記制御手段は、上記回転電機を駆動するための上記駆動電圧指令を演算する駆動電圧演算部と、この駆動電圧演算部で演算される上記駆動電圧指令とは別の周波数で、かつ互いに異なる周波数をもつ信号を複数加算してなる位置推定用電圧指令を発生する位置推定用電圧指令発生部と、この位置推定用電圧指令発生部で発生された上記位置推定用電圧指令を上記駆動電圧指令に重畳して上記電圧印加手段に出力する加算手段と、を含むことを特徴としている。
本発明に係る回転電機の制御装置は、回転電機の位置推定を行うための位置推定用電圧指令を互いに異なる周波数をもつ複数の信号を加算することにより得て、この位置推定用電圧指令を回転電機に注入することによって発生する騒音スペクトルを分散させることができる。このため、特定周波数の騒音が目立たなくなり、騒音の耳障り感を低減することができる。また、位置推定用電圧指令は、周波数を固定とした周波数の異なる複数の信号からなるため、周波数を可変とした場合に生じる騒音の変化による耳障り感を低減することができる。
実施の形態1.
図1〜図3は、本発明の実施の形態1を示すものであり、図1は回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図2は同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図、図3は同制御装置の位置推定手段の構成を示すブロック図である。
この実施の形態1において、回転電機1は例えば埋込磁石型の同期機であって、この回転電機1には所定の制御電圧を印加する電圧印加手段5が接続されている。また、電圧印加手段5と回転電機1との間を流れる二相分の回転電機電流iu、ivを検出する電流検出手段2と、回転電機1の回転子位置を求める位置推定手段3と、回転電機1を駆動する駆動電圧指令Vup*,Vvp*,Vwp*を出力する制御手段4とが設けられている。
回転電機の制御装置は、回転電機1の回転制御を行うものであって、電流検出手段2、位置推定手段3、制御手段4、および電圧印加手段5によって構成されている。
上記の電流検出手段2は、例えば変流器等からなり、回転電機1と電圧印加手段5とを結ぶ電力線からU相電流iuとV相電流ivとの二相分の電流を検出する。しかし、それ以外に、U相電流、V相電流、W相電流のうち任意の二相分の電流を検出してもよい。また、電流検出手段2は、U相電流、V相電流、W相電流の三相電流を検出する方法でもよい。あるいは、電流検出手段2として、電圧印加手段5の入力である直流母線電流を検出し、その直流母線電流より三相回転電機電流を演算で検出することも可能である。
上記の制御手段4は、位置推定手段3の出力である回転子位置の推定値θpに基づいて回転電機1を駆動するための駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を演算して出力する駆動電圧演算部6と、回転電機1の回転子位置を推定するために用いる位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを発生する位置推定用電圧指令発生部13と、駆動電圧演算部6の出力と位置推定用電圧指令発生部13の出力とを加算する加算器41とを備えている。
そして、駆動電圧演算部6は、減算器42、d軸電流制御器7、q軸電流制御器8、座標変換器9、二相・三相変換器10、三相・二相変換器11、座標変換器12を有する。
d軸電流制御器7は、比例積分制御などを用いて減算器42で得られるd軸電流指令値id*と座標変換器12の出力であるidとの偏差Δidがなくなるようなd軸基本波電圧Vd*を出力する。q軸電流制御器8は、比例積分制御などを用いて減算器42で得られるq軸電流指令値iq*と座標変換器12の出力であるiqとの偏差Δiqがなくなるようなq軸基本波電圧Vq*を出力する。座標変換器9は、位置推定手段3が出力する回転子位置の推定値θpを用いて、d軸基本波電圧Vd*とq軸基本波電圧Vq*を固定二軸(α−β軸)上の基本波の駆動電圧指令Vα*とVβ*に変換する。また、二相・三相変換器10は基本波の駆動電圧Vα*とVβ*を、三相分の正弦波形などの駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に変換して出力する。
一方、三相・二相変換器11は、電流検出手段2で検出されたU相電流iuとV相電流ivを、固定二軸(α−β軸)上の電流iαとiβに変換する。また、座標変換器12は、位置推定手段3が出力する回転子位置の推定値θpを用いて、iα、iβを回転二軸(d−q軸)電流id、iqに変換する。
次に、図2に示す位置推定用電圧指令発生部13について説明する。
位置推定用電圧指令発生部13は、複数の周波数指令を生成する周波数指令生成器19と、この周波数指令生成器19の出力である周波数指令f1〜fn(nは正の整数)に基づいてU相位置推定用電圧指令Vuhを出力するU相位置推定用電圧指令生成器20と、V相位置推定用電圧指令Vvhを出力するV相位置推定用電圧指令生成器21と、W相位置推定用電圧指令Vwhを出力するW相位置推定用電圧指令生成器22とを有する。
ここに、周波数指令生成器19は、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもつn個(nは正の整数)の信号が生成されるような周波数指令f1〜fnを出力するものである。なお、この各周波数指令f1〜fnは、常に一定の値になるように予め設定されている。
U相位置推定用電圧指令生成器20は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを加算してU相位置推定用電圧指令Vuhとして出力する。
この場合のn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhとしては、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は、次の(1)式に従って位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを演算する。
Figure 2009273221
なお、(1)式中のtは時間、Vhは位置推定用電圧指令の振幅であり、Vhの値は任意である。
V相位置推定用電圧指令生成器21は、上記U相位置推定用電圧指令生成器20で生成する位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhとの位相差が2/3π[rad]で、かつ周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを加算してV相位置推定用電圧指令Vvhとして出力する。
この場合のn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhとしては、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれであってもよい。一例として、正弦波とする場合は(2)式に従って位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを演算する。
Figure 2009273221
なお、(2)式中のtは時間、Vhは位置推定用電圧指令の振幅であり、Vhの値は任意である。
W相位置推定用電圧指令生成器22は、上記U相位置推定用電圧指令生成器20で生成する位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhとの位相差が4/3π[rad]で、かつ周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを加算してW相位置推定用電圧指令Vwhとして出力する。
この場合の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhとしては、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は(3)式に従って位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを演算する。
Figure 2009273221
なお、(3)式中のtは時間、Vhは位置推定用電圧指令の振幅であり、Vhの値は任意である。
制御手段4の加算器41は、このように位置推定用電圧指令発生部13からの位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを、駆動電圧演算部6で発生される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に重畳し、その重畳した信号を電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*として次段の電圧印加手段5へ出力する。
このように、この実施の形態1では、位置推定用電圧指令発生部13が出力する各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを、互いに異なる周波数をもつ複数の信号を加算して形成することで、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを回転電機1へ印加することにより発生する騒音の特定周波数が目立つのを防ぐことができる。すなわち、騒音スペクトルを分散することができるため、人間に与える不快感を軽減することができる。また、各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを形成する複数の信号の各々の周波数は常に一定で、時間経過に伴って変化することはないので、音の変動感により人間が不快に感じることも無い。
次に、図3に示す位置推定手段3について説明する。
前述のように、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に対して位置推定用電圧指令発生部13が出力する三相の位置推定用電圧指令Vuh,Vvh,Vwhを重畳して回転電機1に出力するので、電流検出手段2により検出される回転電機1のU相電流iuとV相電流ivとの二相分の回転電機電流には、位置推定用電圧指令Vuh,Vvh,Vwhに対応した周波数をもつ高周波の位置推定用交流電流成分が含まれている。
したがって、位置推定手段3は、回転電機電流に含まれる高周波の位置推定用交流電流を抽出し、その位置推定用電流に基づいて回転子位置の推定値θpを求めて出力するものであって、図3に示すように、三相・二相変換器14、2つの電流振幅抽出器15a、15b、2つの乗算器16a、16b、減算器17、および位置演算器18が順次接続されて構成されている。
ここに、三相・二相変換器14を設けているのは、二相電流に変換すれば以降の位置推定に必要な情報量を少なくすることができて演算が簡単になるためである。また、各電流振幅抽出器15a、15bは、回転電機電流に含まれる位置推定用交流電流の振幅Iαs,Iβsを抽出するものである。
続いて、演算処理を容易にするために、乗算器16は電流振幅抽出器15の出力であるIαs,Iβsをそれぞれ二乗して、(Iαs・Iαs)と(Iβs・Iβs)とを出力する。引き続いて、減算器17は(Iβs・Iβs)から(Iαs・Iαs)を減じて両者の差分ΔIαβを出力する。そして、位置演算器18は減算器17の出力である差分ΔIαβより回転子位置の推定値θpを演算する。
こうして求めた回転子位置の推定値θpは、センサ等を用いて直接その位置を検出したものではなく、演算により求めた値であるが、その場合でもセンサレスによって正しい回転子位置を推定することができる。以下、位置推定手段3により回転子位置θpを求める処理内容について、さらに具体的に説明する。
回転電機1が埋込磁石型同期機の場合、固定直交座標(α−β軸)での電圧方程式は次の(4)式のように表すことができる。
Figure 2009273221
回転電機が停止時または低速運転と仮定してω=0とし、また、微分演算子Pをラプラス演算子sに置き換えると固定直交座標での電流iαs,iβsは次の(5)式となる。
Figure 2009273221
いま、位置推定用電圧指令発生部13から、回転電機1を駆動するための駆動電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の角周波数よりも十分に高い角周波数ωhの位置推定用電圧指令Vuh,Vvh,Vwhを印加すると、R<<Lα・ωh及びR<<Lβ・ωhが成り立ち(s=jωh(jは虚数単位)とした場合)、固定子抵抗Rの影響を無視すると、上記(5)式は次の(6)式となる。
Figure 2009273221
また、位置推定用電圧指令発生器13より印加する位置推定用電圧指令Vuh,Vvh,Vwhは、固定直交座標では次の(7)式のように表すことができる。
Figure 2009273221
(7)式の固定直交座標での位置推定用電圧指令は、次の(8)式で表されるので、
Figure 2009273221
(8)式を(6)式に代入し、s=jωh(jは虚数単位)とすると、次の(9)式となる。
Figure 2009273221
(9)式に示すように固定直交座標での電流iαs,iβsの振幅に回転子位置情報θが含まれていることが分かる。よって、電流振幅抽出器15a、15bにおいて、位置推定用電圧指令Vuh,Vvh,Vwhを印加したことにより回転電機1に発生する高周波電流の振幅をiαs,iβsから抽出してIαs,Iβsを求める。
そして、抽出した振幅Iαs,Iβsに基づいて、次の(10)式に示すような演算を施すことにより、回転子位置情報θのみを含んだ項を抽出する。この演算を実現するために、減算器17で振幅Iβsを二乗する乗算器16bの出力である(Iβs・Iβs)から,振幅Iαsを二乗する乗算器16aの出力である(Iαs・Iαs)を減じて回転子位置情報θのみを含むΔIαβを出力する。
Figure 2009273221
位置演算器18では、上記(10)式のΔIαβを次の(11)式で除すことにより、cos2θのみを抽出する。そして、cos2θの逆余弦を演算することにより回転子位置の推定値θpを計算する。
Figure 2009273221
なお、推定値θpの演算は逆余弦演算ではなく、cos2θの値を記憶したテーブルを用意し、その記憶装置に記憶されたcos2θの値に基づいてθpを求める方法や、テーラー展開やテーラー展開に基づいた(12)式のような近似計算をしてθpを求めてもよい。
Figure 2009273221
なお、この実施の形態1の場合、位置推定用交流電流の振幅を抽出することで回転子位置の推定値θpを求めているが、これに限らず、位置推定手段3は上記の方法以外に、電流検出手段2より検出した回転電機電流に基づいて推定値θpを求めるものであれば特に限定されるものではない。
図1に示した回転電機の制御装置では、制御手段4で発生される電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*を次段の電圧印加手段5へ直接出力するようにしているが、図4に示すように、制御手段4と電圧印加手段5の間にパルス幅変調手段24を配置し、このパルス幅変調手段24でパルス幅変調されたロジック信号Vul、Vvl、Vwlを電圧印加手段5に出力する構成とすることも可能である。
すなわち、パルス幅変調手段24は、制御手段4が出力する電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*に基づいて電圧印加手段5にパルス幅変調信号としてのロジック信号Vul、Vvl、Vwlを出力する。この場合のパルス幅変調制御法としては、(ア)キャリア信号としての三角波Csによるパルス幅変調制御法、(イ)キャリア信号としてののこぎり波Wstによるパルス幅変調制御法、(ウ)瞬時空間電圧ベクトルVsによるパルス幅変調制御法などのいずれの方法を採用してもよい。
図4に示すようなパルス幅変調手段24を用いた回転電機の制御装置においても、位置推定用電圧指令発生部13が出力する位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを、互いに異なる周波数をもつ複数の信号を加算したものとすることで、当該位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを回転電機1へ印加することにより発生する騒音の特定周波数が目立つのを防ぐことができる。
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2における回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図6は同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の具体的な構成を示すブロック図であり、図1〜図3に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態2では、制御手段4と電圧印加手段5の間にパルス幅変調手段24が配置されており、このパルス幅変調手段24でパルス幅変調されたロジック信号Vul、Vvl、Vwlを電圧印加手段5に出力する構成となっている。
この場合、パルス幅変調手段24は、パルス幅変調制御に用いるスイッチング周期Tcを出力するスイッチング周期発生器25と、このスイッチング周期発生器25から与えられるスイッチング周期Tcでもって制御手段4から出力される電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*をパルス幅変調してロジック信号Vul、Vvl、Vwlとして出力するパルス幅変調制御器26とを有する。
また、この実施の形態2の場合、制御手段4が備える位置推定用電圧指令発生部13は、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもち、しかも、それぞれスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつ複数(本例ではn個)の信号を加算してなる各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを発生する。なお、kを6以上の整数とするのは、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに120°ずつ位相差を持たせるためである。
そして、加算器41は、駆動電圧演算部6の出力である駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に、位置推定用電圧指令発生部13の出力である位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを加算して電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*として出力するようになっている。
なお、駆動電圧演算部6および位置推定手段3の構成は、実施の形態1の場合と同様である。
次に、上記の位置推定用電圧指令発生部13の具体的な構成について、図6を参照して説明する。
位置推定用電圧指令発生部13は、複数の周波数指令を生成する周波数指令生成器19と、この周波数指令生成器19の出力である周波数指令f1〜fn(nは正の整数)に基づいてU相位置推定用電圧指令Vuhを出力するU相位置推定用電圧指令生成器20と、V相位置推定用電圧指令Vvhを出力するV相位置推定用電圧指令生成器21と、W相位置推定用電圧指令Vwhを出力するW相位置推定用電圧指令生成器22とを有する。
ここに、周波数指令生成器19は、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもち、しかも、それぞれスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつn個(nは正の整数)の信号が生成されるような周波数指令f1〜fnを出力するのもである。例えば、f1=1/(6・Tc)、f2=1/(7・Tc)、……、fn=1/(m・Tc)の周波数指令を出力する。
なお、周波数指令f1〜fnは、スイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつ常に一定の値であり、上記のようにf1=1/(6・Tc)、f2=1/(7・Tc)、……、fn=1/(m・Tc)というように、kの値を1つずつ規則的に変化させる必要はなく、例えば、f1=1/(8・Tc)、f2=1/(21・Tc)、……、fn=1/(m・Tc)というように、kの値を不規則に変化させてもよい。
これにより、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令生成器20、21、22は、それぞれ周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、上記のような周波数の条件を満たしたn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを生成する。この場合の各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhは、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれであってもよい。一例として、正弦波とする場合は、前述の(1)、(2)、(3)式に従って位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhが生成される。そして、次段の各加算器23でn個の各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhがそれぞれを加算されてU相、V相、W相の各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとして出力される。
位置推定用電圧指令発生部13を含む制御手段4は、通常はソフトウエアによって構成される。その場合、制御手段4の演算周期はスイッチング周期Tcと同じか、Tcの2倍に設定されることが多い。このとき、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの周期がスイッチング周期Tcの倍数に設定されていないときには、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが不連続となり、その時間平均値はゼロではなくなるためにうねりが発生することがある。
しかし、この実施の形態2では、位置推定用電圧指令発生部13からは、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもち、しかも、それぞれスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつ複数(本例ではn個)の信号を加算してなる各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが出力されるようにしているので、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの周波数の変化が連続的になり、そのためにうねりの発生を抑制することができる。
次に、パルス幅変調手段24を構成するパルス幅変調制御器26によるパルス幅変調制御について説明する。
パルス幅変調制御法としては、(ア)キャリア信号としての三角波Csによるパルス幅変調制御法、(イ)キャリア信号としてののこぎり波Wstによるパルス幅変調制御法、(ウ)瞬時空間電圧ベクトルVsによるパルス幅変調制御法などのいずれを用いてもよく、パルス幅変調制御器26は、それらのパルス幅制御法を用いて電圧印加手段5にパルス幅変調されたロジック信号Vul、Vvl、Vwlを出力する。
まず、(ア)三角波Csによるパルス幅変調制御法について説明する。
図7は、三角波Csによるパルス幅変調制御法を用いた場合のパルス幅変調動作波形である。この三角波Csによるパルス幅変調制御法では、例えば三角波Csの周期Tcsをスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcの2倍(すなわちTcs=2Tc)に設定する。
三角波Csによる具体的なパルス幅変調動作について図7を用いて説明する。なお、図7において、電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*は正弦波信号であるが、三角波Csのキャリア信号に比べて周波数が低いため、ここで直線状に表している。また、電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*には実際には位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが重畳されているが、ここではパルス幅変調動作について説明するために便宜上、図示省略している。
図7に示すように、三角波Csと電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*との大小関係をそれぞれ比較し、三角波Csの大きさよりも電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大きさが大きいときはHi、小さいときはLowのロジック信号を出力する。なお、三角波Csと電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大小関係をそれぞれ比較し、三角波Csの大きさよりも電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大きさが大きいときはLow、小さいときはHiのロジック信号を出力してもよい。
次に、(イ)のこぎり波Wstによるパルス幅変調制御法について説明する。
図8は、のこぎり波Wstによるパルス幅変調制御法を用いた場合のパルス幅変調動作波形である。のこぎり波Wstによるパルス幅変調制御法では、のこぎり波Wstの周期Twstをスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcと同一とする。
具体的なパルス幅変調動作について図8を用いて説明する。
図8に示すように、のこぎり波Wstと電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大小関係をそれぞれ比較し、のこぎり波Wstの大きさよりも電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大きさが大きいときはHi、小さいときはLowのロジック信号を出力する。なお、のこぎり波Wstと電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*大小関係をそれぞれ比較し、のこぎり波Wstの大きさよりも電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*の大きさが大きいときはLow、小さいときはHiのロジック信号を出力するようにしてもよい。
次に、(ウ)瞬時空間電圧ベクトルVsによるパルス幅変調制御法について説明する。
制御手段4が出力する電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*のベクトル和を瞬時空間電圧ベクトルVsとし、この瞬時空間電圧ベクトルVsと大きさ・方向が一致するようにロジック信号Vul、Vvl、Vwlを任意時間Tf内で時分割して組み合わせることにより、ロジック信号のベクトル和の任意時間Tfでの平均が瞬時空間電圧ベクトルVsと一致するように制御する方法である。なお、本実施の形態では、任意時間Tfをスイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcと同一とする。
具体的なパルス幅変調動作について図9を用いて説明する。
図9は瞬時空間電圧ベクトル制御法の動作を説明するための説明図であり、図9(a)はパルス幅変調制御器26が出力するロジック信号の組み合わせを示した図であり、図9(b)は図9(a)のロジック信号の組み合わせによる8つの電圧ベクトルの図である。図9(a)および(b)中のベクトルV0とベクトルV7はすべてのスイッチがLowまたはHiとなり、大きさ・方向を持たないため、ゼロ電圧ベクトルと呼ぶ。
例えば、図9(c)に示すように、制御手段4が出力する電圧指令Vup*、Vvp*、Vwp*のベクトル和である瞬時空間電圧ベクトルVsが与えられ、この瞬時空間電圧ベクトルVsを任意時間Tfの間で出力する場合を考える。瞬時空間電圧ベクトルVsはベクトルV1方向とベクトルV2方向に分割することができ、瞬時空間電圧ベクトルVsをベクトルV1方向に分割したときの大きさをV1s、ベクトルV2方向に分割したときの大きさをV2sとする。
そして、V1s、V2sに基づいて、任意時間Tf間でのベクトルV1の出力時間T1とベクトルV2の出力時間T2を次の(13)式、(14)式より計算する。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
また、任意時間Tf間でのゼロ電圧ベクトルによる出力時間T3は、次の(15)式により計算する。
Figure 2009273221
以上のように、出力時間T1、T2、T3を計算し、各出力時間T1〜T3に基づいて、図9(d)のようにパルス幅変調制御器26からベクトルV1、ベクトルV2、ベクトルV0、またはベクトルV7のロジック信号の組み合わせを出力することで、任意時間Tfの間における出力の時間平均が瞬時空間電圧ベクトルVsと一致するようにする。
なお、ゼロ電圧ベクトルを出力する場合、ベクトルV0とベクトルV7の2つのロジック信号の組み合わせの両方を用いてもよいが、回転電機1の中性点から回転電機1の各相電圧を見た場合、ベクトルV0とベクトルV7どちらの場合でも回転電機1の各相電圧は同電位となり差異はないため、ベクトルV0とベクトルV7の両方を用いる必要はなく、どちらか一方の組み合わせだけを用いてもよい。
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3における回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図11は同制御装置の位置演算部の構成を示すブロック図、図12は同制御装置の電流振幅検出信号発生部の構成を示すブロック図であり、図1〜図3に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符合を付す。
位置推定用電圧指令発生部13が、互いに異なる周波数をもつ複数(例えば、ここではn個とする)の信号を加算してなる位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを回転電機1へ印加する場合、回転電機1に流れる回転電機電流は、n個の周波数成分を含むものになる。これは、騒音発生を抑制する上では有効であっても、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求めるためにフーリエ変換を行う場合、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれるn個の周波数成分の内、1つの周波数成分の回転電機電流の大きさしか求めることができない。したがって、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる一つの周波数成分以外の周波数成分は無駄なものとなる。なお、フーリエ変換器をn個用意することで、回転電機1へ流れるn個の周波数成分を含んだ回転電機電流の大きさを全て求めることは可能であるが、n個のフーリエ変換を行う必要があるために演算量が多くなり、現実的ではない。
また、従来技術のように、位置推定用電圧指令の周波数を可変とした場合は、位置推定用電圧指令を印加することにより回転電機1へ流れる回転電機電流の周波数も可変となるが、そうすると、回転電機電流の周波数は一定でないため、フーリエ変換により位置推定用電圧指令と同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求めることができなくなってしまう。
そこで、この実施の形態3では、上記に鑑み、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhにn個の周波数成分が含まれる場合でも、簡単に回転電機電流の大きさを求めることができるようにしたものである。以下、この実施の形態3について説明する。
この実施の形態3の回転電機の制御装置の特徴は、位置推定手段3として、位置推定用電圧指令発生部13が出力する位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhより回転電機電流の振幅を求めるための電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを発生する電流振幅検出信号発生部27と、この電流振幅検出信号発生部27から出力される電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvおよび電流検出手段2で検出される回転電機電流iu、iv、iwに基づいて回転子位置の推定値θpを演算して出力する位置演算部28とを備えていることである。
なお、その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
次に、この実施の形態3の特徴である位置推定手段3について詳細に説明する。
位置推定手段3は、フーリエ変換を行わないが、基本的にはフーリエ変換と同じ概念により位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求める。そこで、まず、フーリエ変換を用いた場合の大きさの求め方について説明する。
例えば、U相回転電機電流iuから周波数f1成分の大きさIu(f1)を求めたい場合、(16)式のフーリエ変換式に示すように、U相回転電機電流iuに対して、周波数f1のcos関数(cos(2π・f1・t))およびsin関数(sin(2π・f1・t))からなる電流振幅検出信号を乗算し、乗算したもの電流振幅検出信号の周期T(=1/f1)で期間積分し、積分した値を周期Tで除することで、周波数f1成分の大きさIu(f1)を求めることができる。つまり、U相回転電機電流iuに対して電流振幅検出信号を乗算し、U相回転電機電流iuと電流振幅検出信号との相互相関を求めることにより、U相回転電機電流iuから周波数f1成分の大きさIu(f1)を求めることができる。
Figure 2009273221
周波数の異なる複数の信号を加算してなる位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを用いる場合でも、回転電機電流と電流振幅検出信号の相互相関を利用するフーリエ変換の基本概念に基づいて、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求めるが、上記の(16)式より分かるように、フーリエ変換は単一の周波数((16)式の場合は周波数f1について)の電流振幅検出信号を利用するため、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分の信号を用いて回転電機電流の大きさを求めることができない。
そこで、この実施の形態3では、電流振幅検出信号発生部27において位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの全ての周波数成分を含む電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを演算する。なお、この電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvの算出方法については後述する。次いで、位置演算部28で、これらの電流振幅検出信号Suv、Svv、SwvとU相、V相、W相の各回転電機電流iu、iv、iwに含まれる各周波数成分の全ての信号とを用いて回転電機電流の大きさを求める。
すなわち、位置演算部28は、図11に示すように、回転電機電流iu、iv、iwを三相・二相変換器14aにより二相の回転電機電流iαs、iβsに変換する。また、電流振幅検出信号発生部27から発生される電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvも、三相・二相変換手段14bにより二相の電流振幅検出信号Sαv、Sβvに変換する。
次いで、(17)式、(18)式に示すように、二相の回転電機電流iαs、iβsおよび二相の電流振幅検出信号Sαv、Sβvから二相の回転電機電流の大きさIαs、Iβsをそれぞれ求める。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
なお、(17)式、(18)式において、周期Thは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる周波数のうち、最も高い周波数の逆数以上であればどのような値でもよいが、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる周波数のうち、最も低い周波数の逆数とするのがより好ましい。
まず、乗算器16aで二相の回転電機電流iαsと二相の電流振幅検出信号Sαvとを乗算し、乗算器16bで二相の回転電機電流iβsと二相の電流振幅検出信号Sβvとを乗算する。次に、各乗算器16a、16bの出力を周期Thだけ積分器29a、29bで積分し、積分した値をゲイン演算器30a、30bにおいてThで除してThの時間平均をとる。これにより、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに対応する二相の回転電機電流の大きさ(振幅)Iαs、Iβsを求める。
こうして、求めた二相回転電機電流の大きさIαs,Iβsについて、前述の(10)式の演算を施すことにより、回転子位置情報θのみを含んだ項を抽出する。すなわち、まず、二相回転電機電流の大きさIαs,Iβsをそれぞれ乗算器32a、32bで二乗し、次に減算器17で(Iβs・Iβs)から(Iαs・Iαs)を減じることにより、回転子位置情報θのみを含むΔIαβを出力する。
そして、位置演算器18は、(10)式のΔIαβを(11)式で除すことにより、cos2θのみを抽出し、次いで、cos2θの逆余弦を演算することにより回転子位置の推定値θpを計算する。
なお、回転子位置の推定値θpの演算は逆余弦演算ではなく、cos2θの値を記憶したテーブルを用意し、その記憶装置に記憶されたcos2θの値に基づいてθpを求める方法や、テーラー展開やテーラー展開に基づいた(12)式のような近似計算をしてθpを求めてもよい。また、位置推定手段3は、以上のようにして推定値θpを求める方法以外に、電流検出手段2より検出した回転電機電流iu、iv、iwと位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhより演算した電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvとに基づいて推定値θpを求めるものであれば、上記以外の方法でもよい。
なお、図11に示した構成の位置演算部28において、二相回転電機電流iαs、iβsと二相の電流振幅検出信号Sαv、Sβvを各乗算器16a、16bでそれぞれ乗算し、相互相関により電流振幅検出信号と同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求める場合、回転電機電流iu、iv、iwに電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvよりも低い周波数成分が含まれていると、相互相関により求めた値に電流振幅検出信号よりも低い周波数成分の大きさがオフセットとして現れてしまう。回転電機電流iu、iv、iwには位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhや駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と同じ周波数成分が含まれているが、ほとんどの場合、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数は、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの周波数よりも低い。このため、回転電機電流iu、iv、iwやiαs、iβsの周波数は、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに基づいて演算する電流振幅検出信号Suv、Svv、SwvやSαv、Sβvの周波数よりも低い成分を含んでいる。
よって、二相回転電機電流iαs、iβsと二相の電流振幅検出信号Sαv、Sβvを乗算して相互相関を求めることにより電流振幅検出信号と同じ周波数成分、すなわち、位置推定用電圧指令と同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求める場合、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvより低い周波数を含まないように、回転電機電流iu、iv、iwを三相・二相変換器14aにより二相の回転電機電流iαs、iβsに変換する前もしくは後に、ローパスフィルタやバンドパスフィルタ、あるいはノッチフィルタなどを設けてフィルタ処理をすることが好ましい。
次に、この実施の形態3の電流振幅検出信号発生部27について詳しく説明する。
前述の(17)式、(18)式に示したように、二相回転電機電流iαs、iβsと二相の電流振幅検出信号Sαv、Sβvとをそれぞれ乗算する場合、iαsとSαv、iβsとSβvの位相がほぼ一致していないと、正しくIαs、Iβsを求めることができない。例えば、iαsとSαvの位相が90°ずれている場合は、iαsとSαvの乗算した値はゼロになる。よって、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相はそれぞれ回転電機電流iu、iv、iwの位相とほぼ一致している必要がある。
このような条件を満たす電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを得るために、電流振幅検出信号発生部27は、図12(a)および次の(19)〜(21)式に示すように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに対して一次遅れを施し、その位相を遅らせた信号を電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvとする。その理由については後述する。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
なお、(19)〜(21)式中のRh、Lhはどのような値でもよいが、Rhを回転電機1の抵抗値、Lhを回転電機1のインダクタンス値にするのがより好ましい。また、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの位相を遅らせて電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを演算するものであれば、(19)〜(21)式の一次遅れ以外のものを用いてもよいが、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvの位相をそれぞれ回転電機電流iu、iv、iwの位相とほぼ一致するようにするためには、(19)〜(21)式を適用するのがより好ましい。
このように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに対して図12(a)および(19)〜(21)式に示したような一次遅れを施すことで得られる電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相が各回転電機電流iu、iv、iwの位相とほぼ一致したものとなる理由について、次に説明する。
まず、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを用いているので、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれるすべての周波数成分を有するという条件を満足する。
次に、回転電機1は入力を電圧v、出力を電流iとした場合、電圧−電流の相互関係より、その伝達特性は(22)式のように一次遅れである。
Figure 2009273221
そのため、上記(19)〜(22)式のように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに一次遅れを施すことによって得られる電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、それぞれ回転電機電流iu、iv、iwと相似波形となり、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvの位相はそれぞれ回転電機電流iu、iv、iwの位相とほぼ一致したものとなる。
以上のように、電流振幅検出信号発生部27は、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに対して一次遅れを施すことにより、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相が回転電機電流iu、iv、iwの位相とほぼ一致するという条件を満足した電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを発生する。
なお、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる複数の各信号の周波数が高い場合、Rh<<(ω・Lh)という関係が成り立ち、ラプラス演算子sはs=jω(jは虚数単位)であるので、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、図12(b)および次の(23)〜(25)式のようにして求めてもよい。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
特に、Lh=1とした場合、電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvは、次の(26)〜(28)式となり、1/sは積分であるので、図12(c)に示すように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを各積分器U、積分器V、積分器Wで積分するだけで電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを求めることができるので、電流振幅検出信号発生部27の構成をより簡単にすることができる。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
以上のように、この実施の形態3では、電流振幅検出信号発生部27で、位置推定用電圧指令の位相を遅らせることにより回転電機電流と同位相の電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを演算し、位置演算部28で電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvと回転電機電流iu、iv、iwとに基づいて回転子位置の推定値θpを求めるようにしているので、騒音低減のために、周波数が異なる信号を複数加算した位置推定用電圧指令を印加する場合に、印加した全ての周波数成分の各相回転電機電流の大小関係を簡単に求めて、位置推定を容易に行うことができる。なお、以上に示した位置推定手段3は、位置推定用電圧指令に含まれる周波数が1つのみの場合でも、また、周波数が可変の位置推定用電圧指令を印加する場合でも有効である。
なお、この実施の形態3では電流検出手段2によって三相分の回転電機電流を検出しているが、U相、V相、W相の各電流の内の任意の二相分の電流を検出し、残りの一相分の電流については、三相分の電流の総和がゼロになる関係から演算してもよい。
実施の形態4.
図13は本発明の実施の形態4における回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図14は同制御装置の位置演算部の構成を示すブロック図、図15は同制御装置の電流振幅検出信号発生部の構成を示すブロック図であり、図1〜図3に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符合を付す。
上記の実施の形態3では、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに基づいて電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvを演算し、この電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvと回転電機電流iu、iv、iwとの相互相関を求めて回転電機電流の大きさ(大小関係)から回転子位置の推定値θpを演算している。
これに対して、この実施の形態4では、電流検出手段2の出力である回転電機電流iu、iv、iwに基づいて、その全ての周波数成分を含む電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを演算し、この電流振幅検出信号Suv、Svv、Swvと位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとの相互相関を求めて回転電機電流の大きさ(大小関係)から回転子位置の推定値θpを演算するものである。
したがって、この実施の形態4において、位置推定手段3は、電流検出手段2の出力である回転電機電流iu、iv、iwに基づいて電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを発生する電流振幅検出信号発生部27と、この電流振幅検出信号発生部27から出力される電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiおよび位置推定用電圧指令発生部13から出力される位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに基づいて回転子位置の推定値θpを演算して出力する位置演算部28とを備えている。その他の構成は、実施の形態3の場合と同様である。
次に、位置演算部28の詳細について説明する。
位置演算部28は、図14に示すように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを三相・二相変換器14aにより二相の位置推定用電圧指令vαh、vβhに変換する。また、電流振幅検出信号発生部27から出力される電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、三相‐二相変換手段14bにより二相の電流振幅検出信号Sαi、Sβiに変換する。
次いで、(29)式、(30)式に示すように、二相の位置推定用電圧指令vαh、vβhおよび二相の電流振幅検出信号Sαi、Sβiから二相の回転電機電流の大きさIαs、Iβsをそれぞれ求める。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
なお、(29)式、(30)式において、周期Thは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる周波数のうち、最も高い周波数の逆数以上であればどのような値でもよいが、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる周波数のうち、最も低い周波数の逆数とするのがより好ましい。
まず、乗算器16aで二相の位置推定用電圧指令vαhと二相の電流振幅検出信号Sαiとを乗算し、乗算器16bで二相の位置推定用電圧指令vβhと二相の電流振幅検出信号Sβiとを乗算する。次に、各乗算器16a、16bの出力を周期Thだけ積分器29a、29bで積分し、積分した値をゲイン演算器30a、30bにおいてThで除してThの時間平均をとる。ことにより、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに対応する二相の回転電機電流の大きさ(振幅)Iαs、Iβsを求める。
こうして求めた二相回転電機電流の大きさIαs,Iβsについて、前述の(10)式の演算を施すことにより、回転子位置情報θのみを含んだ項を抽出する。すなわち、まず、二相回転電機電流の大きさIαs,Iβsをそれぞれ乗算器32a、32bで二乗し、次に、減算器17で(Iβs・Iβs)から(Iαs・Iαs)を減じることにより、回転子位置情報θのみを含むΔIαβを出力する。
そして、位置演算器18は、既述の(10)式のΔIαβを(11)式で除すことにより、cos2θのみを抽出し、次いで、cos2θの逆余弦を演算することにより回転子位置の推定値θpを計算する。
なお、この実施の形態4の場合も、回転子位置の推定値θpの演算は逆余弦演算ではなく、cos2θの値を記憶したテーブルを用意し、その記憶装置に記憶されたcos2θの値に基づいてθpを求める方法や、テーラー展開やテーラー展開に基づいた既述の(12)式のような近似計算をしてθpを求めてもよい。また、位置推定手段3は以上のようにして推定値θpを求める方法以外に、位置推定用電圧指令発生部13の出力である位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと、回転電機電流iu、iv、iwより演算した電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiとに基づいて推定値θpを求めるものであれば、上記以外の方法でもよい。
また、この実施の形態4の場合も、図13に示した構成の位置演算部28において、二相位置推定用電圧指令vαh、vβhと二相の電流振幅検出信号Sαi、Sβiを各乗算器16a、16bで乗算し、相互相関により位置推定用電圧指令と同じ周波数成分の回転電機電流の大きさを求める場合、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiに位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhよりも低い周波数成分が含まれていると、相互相関により求めた値に位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhよりも低い周波数成分の大きさがオフセットとして現れる。
したがって、この実施の形態4においても、実施の形態3で説明した場合と同様に、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhよりも低い周波数を含まないように、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを三相・二相変換器14bにより二相の回転電機電流Sαi、Sβiに変換する前または後、あるいは、電流振幅検出信号発生器27の前または後に、ローバスフィルタやバンドバスフィルタ、ノッチフィルタなどを設けてフィルタ処理をすることが好ましい。
次に、この実施の形態4の電流振幅検出信号発生器27について詳しく説明する。
電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiと位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとの相互相関より回転電機電流の大きさ(大小関係)を求めるためには、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相はそれぞれ位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの位相とほぼ一致している必要がある。
このような条件を満たす電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを得るために、電流振幅検出信号発生部27は、図15(a)および次の(31)〜(33)式に示すように、回転電機電流iu、iv、iwに一次進みを施し、その位相を進めた信号を電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiとする。その理由については後述する。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
なお、(31)〜(33)中のRh、Lhはどのような値でもよいが、Rhを回転電機1の抵抗値、Lhを回転電機1のインダクタンス値にするのがより好ましい。
このように、各回転電機電流iu、iv、iwに対して、図15(a)および(31)〜(33)式に示した一次進みを施すことにより得られる各電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相がそれぞれ位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとほぼ一致したものとなる理由について、次に説明する。
まず、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと同じ周波数成分を持つ回転電機電流iu、iv、iwに基づいて演算するので、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiが位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有するという条件を満足する。
次に、回転電機1は入力を電流i、出力を電圧vとした場合、電流−電圧の位相関係より、その伝達特性は(34)式のように一次進みである。
Figure 2009273221
そのため、上記(31)〜(33)式のように、回転電機電流iu、iv、iwに一次進みを施すことによって得られる電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、それぞれ位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと相似波形となり、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiの位相はそれぞれ位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの位相とほぼ一致したものとなる。
以上のように、電流振幅検出信号発生部27は、回転電機電流iu、iv、iwに一次進みを施すことにより、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる全ての周波数成分を有し、かつ、それらの各位相が位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの位相とほぼ一致するという条件を満足した電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを発生する。
なお、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる周波数が高い(したがって、回転電機電流iu、iv、iwの周波数も高い)場合、Rh<<(ω・Lh)という関係が成り立ち、ラプラス演算子sはs=jω(jは虚数単位)であるので、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、図15(b)および次の(35)〜(37)式のようにして求めてもよい。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
特に、Lh=1とした場合、電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiは、次の(38)〜(40)式となり、sは微分であるので、図15(c)のように、回転電機電流iu、iv、iwを微分器U、微分器V、微分器Wで微分するだけで電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを演算することができるので、電流振幅検出信号発生部27の構成をより簡単にすることができる。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
以上のように、この実施の形態4では、電流振幅検出信号発生部27で、回転電機電流iu、iv、iwの位相を進めることにより位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhと同位相の電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiを演算し、位置演算部28で電流振幅検出信号Sui、Svi、Swiと位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとに基づいて回転子位置の推定値θpを求めるようにしているので、騒音低減のために、互いに周波数が異なる信号を複数加算してなる位置推定用電圧指令を印加する場合でも、印加した全ての周波数成分の各相回転電機電流の大小関係を簡単に求めて、位置推定を容易に行うことができる。なお、以上に示した位置推定手段3は、位置推定用電圧指令に含まれる周波数が1つのみの場合でも、また、周波数が可変の位置推定用電圧指令を印加する場合でも有効である。
なお、この実施の形態4では電流検出手段2によって三相分の回転電機電流を検出しているが、U相、V相、W相の各電流の内の任意の二相分の電流を検出し、残りの一相分の電流については、三相分の電流の総和がゼロになる関係から演算してもよい。
実施の形態5.
図16は本発明の実施の形態5における回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図17は同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図であり、図1〜図3に示した実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同一の符合を付す。
この実施の形態5においても、実施の形態1〜4と同様、位置推定用電圧指令発生部13で発生される位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhは、回転電機1を駆動するために駆動電圧演算部6が出力する駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもつ複数の信号を加算したものであるが、このような位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを回転電機1へ印加する場合、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる複数の信号の周波数が低い場合には、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して回転電機1が不用意に回転、振動する恐れがある。
そこで、この実施の形態5では、このような不具合が生じないようにするため、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの大きさについて、当該電圧中に含まれる各周波数に応じて重み付けをするようにしたものである。よって、この実施の形態5の回転電機の制御装置は、位置推定用電圧指令発生部13以外の部分は、実施の形態1と同様の構成であるため、他の部分の説明は省略し、以下に、位置推定用電圧指令発生部13の構成について説明する。
この実施の形態5における位置推定用電圧指令発生部13は、図17に示すように、複数の周波数指令を生成する周波数指令生成器19と、この周波数指令生成器19の出力である周波数指令f1〜fn(nは正の整数)に基づいてU相位置推定用電圧指令Vuhを出力するU相位置推定用電圧指令生成器20と、V相位置推定用電圧指令Vvhを出力するV相位置推定用電圧指令生成器21と、W相位置推定用電圧指令Vwhを出力するW相位置推定用電圧指令生成器22とを有する。
この場合、周波数指令生成器19の構成は、実施の形態1の場合と同じであるが、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令生成器20、21、22において、各加算器23の出力側に電圧振幅変更器31が個別に設けられている点が実施の形態1(図2)の場合と異なっている。
すなわち、各々の電圧振幅変更器31は、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが回転電機1を駆動するための駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して回転電機1が不用意に回転、振動したりしないように、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる各周波数に応じて振幅に重み付けして振幅を変更するものである。
具体的には、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる信号の周波数が低いと、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して、回転電機1が不用意に回転、振動したりするので、例えば、各々の電圧振幅変更器31をハイパスフィルタで構成することにより、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる低い周波数成分の信号の振幅を小さくするようにする。なお、ハイパスフィルタは2次以上のものを適用することが望ましい。その理由を以下に示す。
回転電機1は、入力を電圧、出力を電流としたとき、電圧−電流の関係から、その伝達特性は(22)式に示したように一次遅れであり、特に回転電機1に入力する電圧の周波数が高い場合はRh<<ωLhとなる。このため、周波数の高い位置推定用電圧指令を回転電機1に印加する場合、回転電機1は一次の積分要素として働き、位置推定用電圧指令を回転電機1に印加することにより流れる回転電機電流は位置推定用電圧指令を一回積分したものとなる。
一次のハイパスフィルタの遮断領域、すなわち、ハイパスフィルタで位置推定用電圧指令の振幅を小さくする領域は、一次の微分要素であるため、一次のハイパスフィルタで位置推定用電圧指令の低い周波数成分の振幅を小さくしたものを回転電機1に印加しても、回転電機1が積分要素として働き、結局、回転電機1に流れる回転電機電流の位置検出用電圧と同じ周波数成分のうちの低い周波数成分の振幅は小さくならず効果が無い。つまり、回転電機1が一次の積分要素と働くので、ハイパスフィルタを2次以上とすることにより、回転電機に流れる回転電機電流の位置検出用電圧と同じ周波数成分のうちの低い周波数成分の振幅を小さくすることができる。
次に、上記構成を有する位置推定用電圧指令発生部13の動作について説明する。
周波数指令生成器19は、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもつn個(nは正の整数)の信号が生成されるような周波数指令f1〜fnを出力する。
U相位置推定用電圧指令生成器20は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを生成する。この場合、n個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhは、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は、既述の(1)式に従って各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを演算する。
そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを加算した信号Vuh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vuh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)U相位置推定用電圧指令Vuhを出力する。
V相位置推定用電圧指令生成器21は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vv〜Vvhを生成する。この場合、n個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhは、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は、既述の(2)式に従って各位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを演算する。
そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを加算した信号Vvh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vvh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)V相位置推定用電圧指令Vvhを出力する。
W相位置推定用電圧指令生成器22は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを生成する。この場合、n個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhは、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は、既述の(3)式に従って各位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを演算する。
そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを加算した信号Vwh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vwh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)W相位置推定用電圧指令Vwhを出力する。
また、位置推定用電圧指令発生部13は、図17に示した構成に代えて、図18に示すような構成とすることも可能である。
すなわち、図18の位置推定用電圧指令発生部13では、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令生成器20〜22において、周波数指令生成器19からの周波数指令f1〜fnそれぞれに基づいて、位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを演算し、これらの信号をそれぞれ加算器23で加算する前に、各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを、各電圧振幅変更器32によってその周波数成分f1〜fnの値に応じて個別に振幅に重み付けをし、その重み付けした各信号Vuh’〜Vuh’、Vvh’〜Vvh’、Vwh’〜Vwh’をそれぞれ次段の加算器23で加算してU相、V相、W相の各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとして出力する。
なお、図18に示した構成の位置推定用電圧指令発生部13における各電圧振幅変更器32は、図17に示した電圧振幅変更器31と同じく、2次以上のハイパスフィルタにより各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhの各周波数成分f1〜fnの値に応じて重み付けをして振幅を変更するものの他、次の(41)〜(43)式のように、任意の基準周波数fbを設定し、この基準周波数fbに対する位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhの各周波数の比(fn/fb)により重み付けをして振幅を変更するようにしてもよい。
Figure 2009273221
Figure 2009273221
Figure 2009273221
また、上記の各電圧振幅変更器31、32は、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉しないように、位置推定用電圧指令中に含まれる各周波数に応じて振幅に重み付けするものであれば、ハイパスフィルタに限定されるものではない。
以上のように、この実施の形態5では、位置推定用電圧指令発生部13が出力する位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの大きさを、当該位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの中に含まれる各周波数に応じて重み付けするようにしているので、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して回転電機1が不用意に回転、振動したりするなどの不具合発生を防止することができる。
なお、前述の実施の形態3(図10)、あるいは実施の形態4(図13)に示した回転電機の制御装置においても、同様に、図17あるいは図18に示した構成の位置推定用電圧指令発生部13を設ければ、位置推定用電圧指令が駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して回転電機1が不用意に回転、振動したりするなどの不具合発生を防ぐことができるので都合が良い。
実施の形態6.
図19は本発明の実施の形態6における回転電機の制御装置の全体を示す構成図、図20は同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図であり、図5および図6に示した実施の形態2と対応もしくは相当する構成部分には同一の符合を付す。
位置推定用電圧指令発生部13を含む制御手段4は、通常はソフトウエアにより構成される。その場合の制御手段4の演算周期はスイッチング周期Tcと同じか、Tcの2倍に設定することが多い。このとき、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの周期がスイッチング周期Tcの倍数に設定されていないときには、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが不連続となり、その時間平均値はゼロではなくなるためにうねりが発生する。
また、位置推定用電圧指令発生部13が出力する位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに低い周波数成分が含まれる場合には、回転電機を駆動するための駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に位置推定用電圧指令が干渉して、回転電機1が不用意に回転、振動したりする恐れがある。
そこで、この実施の形態6では、上記の実施の形態5と同様の考えに立ち、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの大きさについて、当該電圧中に含まれる各周波数に応じて重み付けをするようにしたものである。よって、この実施の形態6の回転電機の制御装置は、位置推定用電圧指令発生部13以外の部分は、実施の形態2と同様の構成であるため、ここでは他の部分の説明は省略し、以下に、位置推定用電圧指令発生部13の構成について説明する。
この実施の形態6における位置推定用電圧指令発生部13は、図20に示すように、複数の周波数指令を生成する周波数指令生成器19と、この周波数指令生成器19の出力である周波数指令f1〜fn(nは正の整数)に基づいてU相位置推定用電圧指令Vuhを出力するU相位置推定用電圧指令生成器20と、V相位置推定用電圧指令Vvhを出力するV相位置推定用電圧指令生成器21と、W相位置推定用電圧指令Vwhを出力するW相位置推定用電圧指令生成器22とを有する。
この場合、周波数指令生成器19は、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*よりも高い周波数で、しかも、互いに異なる周波数をもち、かつ、スイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつn個(nは正の整数)の信号が生成されるような周波数指令f1〜fnを出力する点は実施の形態2の場合と同じであるが、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令生成器20、21、22において、各加算器23の出力側に電圧振幅変更器31が個別に設けられている点が実施の形態2(図6)の場合と異なっている。
すなわち、実施の形態6における位置推定用電圧指令発生部13は、スイッチング周期発生器25が出力するスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期を持つ複数(本例ではn個)の信号を加算してなる各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが出力されるようにしているので、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの周波数の変化が連続的になり、そのためにうねりの発生を抑制することができ、また、各々の電圧振幅変更器31は、回転電機1を駆動するための駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhが干渉して回転電機1が不用意に回転、振動したりしないようにするため、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhに含まれる各信号の周波数に応じて重み付けして振幅を変更するものである。
この場合の各電圧振幅変更器31は、実施の形態5と同様にハイパスフィルタを適用することができるが、これに限らず、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*と干渉して回転電機1が不用意に回転、振動するなどの不具合が生じないように、位置推定用電圧指令中に含まれる各周波数に応じて振幅に重み付けできるものであれば適宜適用することが可能である。
次に、上記構成を有する位置推定用電圧指令発生部13の動作について説明する。
周波数指令生成器19は、駆動電圧演算部6から出力される駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*の周波数よりも高く、かつ、互いに異なる周波数をもち、しかもスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつn個(nは正の整数)の信号が生成されるような周波数指令f1〜fnを出力する。
U相位置推定用電圧指令生成器20は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vuh〜Vuhを加算した信号Vuh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vuh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)U相位置推定用電圧指令Vuhを出力する。
V相位置推定用電圧指令生成器21は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vvh〜Vvhを加算した信号Vvh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vvh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)V相位置推定用電圧指令Vvhを出力する。
W相位置推定用電圧指令生成器22は、周波数指令生成器19からのn個の周波数指令f1〜fnに基づいて、互いに異なる周波数をもつn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを生成する。そして、次段の加算器23でn個の位置推定用電圧指令Vwh〜Vwhを加算した信号Vwh(m)を出力する。次いで、電圧振幅変更器31は、この信号Vwh(m)に含まれる各周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けした(つまり、低い周波数成分の振幅を小さくした)W相位置推定用電圧指令Vwhを出力する。
なお、この実施の形態6の場合も、上記n個の各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhは、正弦波、矩形波、方形波、のこぎり波などのいずれでもよい。一例として、正弦波とする場合は、既述の(1)、(2)、(3)式に従って各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを演算することができる。
また、位置推定用電圧指令発生部13は、図20に示した構成に代えて、図21に示すような構成とすることも可能である。
すなわち、図21の構成の位置推定用電圧指令発生部13では、U相、V相、W相の各位置推定用電圧指令生成器20〜22において、周波数指令生成器19からの周波数指令f1〜fnそれぞれに基づいて、位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを演算し、これらの信号をそれぞれ加算器23で加算する前に、各位置推定用電圧指令Vuh〜Vuh、Vvh〜Vvh、Vwh〜Vwhを、各電圧振幅変更器32によってその周波数成分f1〜fnの値に応じて振幅に重み付けし、その重み付けした各信号Vuh’〜Vuh’、Vvh’〜Vvh’、Vwh’〜Vwh’をそれぞれ次段の加算器23で加算してU相、V相、W相の各位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとして出力する。
以上のように、この実施の形態6では、互いに異なる周波数をもち、かつスイッチング周期Tcのk倍(kは6以上の整数)以上の周期をもつ複数の信号を加算してなる位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhとすることで、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhを連続的に変化させることができるため、うねりの発生を抑制することができるとともに、位置推定用電圧指令Vuh、Vvh、Vwhの中に含まれる各周波数に応じて重み付けすることにより、回転電機1が不用意に回転、振動したり、また、回転電機を駆動するための駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を出力する駆動電圧演算部6と位置推定用電圧指令が干渉するのを防ぐことができる。
なお、前述の実施の形態3(図10)、あるいは実施の形態4(図13)に示した回転電機の制御装置においても、同様に、図20あるいは図21に示した構成の位置推定用電圧指令発生部13を設ければ、位置推定用電圧指令のうねりの発生を抑制することができるとともに、駆動電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に位置推定用電圧指令が干渉して回転電機1が不用意に回転、振動したりするのを防ぐことができる。
本発明の実施の形態1における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図である。 同制御装置の位置推定手段の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の回転電機の制御装置の変形例を示す全体構成図である。 本発明の実施の形態2における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図である。 実施の形態2において三角波に基づくパルス幅変調制御動作を説明するための説明図である。 実施の形態2ののこぎり波に基づくパルス幅変調制御動作を説明するための説明図である。 実施の形態2の瞬時空間電圧ベクトルに基づくパルス幅変調制御動作を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態3における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置演算部の構成を示すブロック図である。 同制御装置の電流振幅検出信号発生部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置演算部の構成を示すブロック図である。 同制御装置の電流振幅検出信号発生部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態5における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成の変形例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態6における回転電機の制御装置の全体を示す構成図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成を示すブロック図である。 同制御装置の位置推定用電圧指令発生部の構成の変形例を示すブロック図である。
符号の説明
1 回転電機、2 電流検出手段、3 位置演算手段、4 制御手段、
5 電圧印加手段、6 駆動電圧演算部、13 位置推定用電圧指令発生部、
19 周波数指令生成器、20 U相位置推定用電圧指令生成器、
21 V相位置推定用電圧指令生成器、22 W相位置推定用電圧指令生成器、
23 加算器、24 パルス幅変調手段、25 スイッチング周期発生器、
26 パルス幅変調制御器、27 電流振幅検出信号発生部、28 位置演算部、
31,32 電圧振幅変更器。

Claims (5)

  1. 回転電機の回転制御を行う回転電機の制御装置であって、
    上記回転電機に流れる回転電機電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段より検出した回転電機電流に基づいて回転子位置を推定する位置推定手段と、この位置推定手段で推定された回転子位置に基づいて上記回転電機を駆動するための駆動電圧指令を出力する制御手段と、前記駆動電圧指令に基づいて上記回転電機に交流電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
    上記制御手段は、上記回転電機を駆動するための上記駆動電圧指令を演算する駆動電圧演算部と、この駆動電圧演算部で演算される上記駆動電圧指令とは別の周波数で、かつ互いに異なる周波数をもつ信号を複数加算してなる位置推定用電圧指令を発生する位置推定用電圧指令発生部と、この位置推定用電圧指令発生部で発生された上記位置推定用電圧指令を上記駆動電圧指令に重畳して上記電圧印加手段に出力する加算手段と、を含むことを特徴とする回転電機の制御装置。
  2. 上記位置推定手段は、少なくとも上記位置推定用電圧指令発生部が出力する位置推定用電圧指令または上記電流検出手段より検出した回転電機電流に基づいて上記回転電機電流の振幅を求めるための電流振幅検出信号を発生する電流振幅検出信号発生部と、この電流振幅検出信号発生部の出力である電流振幅検出信号と上記位置推定用電圧指令または上記回転電機電流に基づいて上記回転子位置の推定値を出力する位置演算部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の回転電機の制御装置。
  3. 上記電流振幅検出信号発生部は、上記位置推定用電圧指令発生部が出力する位置推定用電圧指令の位相を遅らせた電流振幅検出信号を出力するものである一方、上記位置演算部は、上記電流振幅検出信号発生部の出力である電流振幅検出信号と上記電流検出手段の出力である上記回転電機電流とに基づいて上記回転子位置の推定値を出力するものであることを特徴とする請求項2記載の回転電機の制御装置。
  4. 上記電流振幅検出信号発生部は、上記電流検出手段の出力である回転電機電流の位相を進ませた電流振幅検出信号を出力するものである一方、上記位置演算部は、上記電流振幅検出信号発生部の出力である電流振幅検出信号と上記位置推定用電圧指令発生部が出力する位置推定用電圧指令に基づいて上記回転子位置の推定値を出力するものであることを特徴とする請求項2記載の回転電機の制御装置。
  5. 上記位置推定用電圧指令発生部には、上記位置推定用電圧指令の大きさを当該位置推定用電圧指令に含まれる各信号の周波数に応じて重み付けする手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
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