JP2009266737A - リチウムイオン二次電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合金系負極活物質を含有する高容量および高出力型のリチウム二次電池において、充放電サイクルの繰返しに伴う電池の膨れ、負極活物質層の変形や破損などの発生が防止され、充放電サイクル特性や耐用寿命の低下を防止する。
【解決手段】
正極5と合金系負極活物質を含有する負極6とがセパレータを介して平板状に捲回した電極群1、正極リード7および負極リード8を含むリチウム二次電池において、正極リード7および負極リード8を、正極5および負極6の電極群1の軸線側端部とは反対側の端部において、電極群1を臨むように正極集電体および負極集電体に接続することにより、正極リード7および負極リード8が捲回型電極群1の厚み方向の表面よりも外方に突出しないように構成するとともに、初回の充放電を加圧下に行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、合金系負極活物質を含有する平板状捲回型電極群を含むリチウムイオン二次電池の内部構造の改良に関する。
リチウムイオン二次電池は、高容量および高エネルギー密度を有し、小型化および軽量化が容易なことから、たとえば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機などの携帯用小型電子機器の電源として汎用されている。現在の代表的なリチウムイオン二次電池としては、正極活物質としてリチウムコバルト化合物を含有する正極と、ポリオレフィン製多孔質膜であるセパレータと、負極活物質として炭素材料を含有する負極とを含むものが挙げられる。
このように、リチウムイオン二次電池は容量および出力が高く、寿命も長いが、携帯用小型電子機器のさらなる多機能化が進み、小型電子機器の消費電力が増大するとともに、リチウムイオン二次電池にも種々の性能改良が要求されている。その1つとして、さらなる高容量化および高出力化が挙げられ、そのためには、たとえば、高容量の負極活物質の開発が進められている。
高容量の負極活物質としては、珪素、錫、これらの酸化物、これらを含有する化合物、合金などの、リチウムと合金化する合金系負極活物質が注目を集めている。合金系負極活物質は高い放電容量を有しているので、リチウムイオン二次電池の高容量化には効果的である。たとえば、珪素の理論放電容量は約4199mAh/gであり、従来から負極活物質として用いられる黒鉛の理論放電容量の約11倍である。
合金系負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出に伴い、比較的大きな膨張および収縮を繰り返すという特性を有している。このため、合金系負極活物質を用いるリチウムイオン二次電池では、充放電の回数が増加すると、充放電に伴う合金系負極活物質の体積膨張が大きくなり、電池の厚みが増加するという解決すべき課題がある。さらに、合金系負極活物資の膨張により、電極群の内部に空隙が生じ、合金系負極活物質を含有する負極活物質層が集電体から部分的に剥離し、電池の充放電サイクル特性が低下し、電池の耐用寿命を縮めるという問題もある。
このような課題を解決するため、たとえば、平板状の捲回型電極群を含むリチウムイオン二次電池において、該電極群の平面部を該電極群の厚み方向に加圧しながら、最初の充放電を行う技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1で用いられる平板状の捲回型電極は、正極および合金系負極活物質を含有する負極を、セパレータを介して捲回して作製したものである。また、捲回型電極群の平面部に加える圧力は、1.0×104N/cm2以上と規定されている。特許文献1によれば、充放電の繰返しに伴う電池の膨れが防止され、充放電特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られると記載されている。
特許文献1のリチウムイオン二次電池では、充放電サイクルの繰返しに伴う電池の膨れはやや軽減されるが、その効果は十分ではない。また、特許文献1のリチウムイオン二次電池では、通常に比べて、内部短絡が発生する頻度が増加している。さらに、特許文献1には、平板状の捲回型電極群の平面部のみを、該電極群の厚み方向にプレス加圧することが記載されるのみで、リードの接続位置についての考慮は一切なされていない。
また、特許文献1において実施例で具体的に示されている負極活物質層は、合金系負極活物質と熱可塑性ポリイミドなどの結着剤とからなる。このような負極活物質層は、合金系負極活物質を含有しているものの、結着剤を含有することから、要望されているような十分な高容量化および高出力化には寄与できない。しかしながら、性能向上のために、負極活物質層を合金系負極活物質の蒸着膜またはスパッタリング膜として形成する場合には、電池の膨れ、内部短絡などの発生が一層顕著になるおそれがある。
特開2007−258084号公報
本発明の目的は、充放電サイクルの繰返しに伴う電池の膨れ、負極活物質層の変形や破損などの発生が防止され、充放電サイクル特性に優れ、耐用寿命が長く、かつ高容量および高出力を有するリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究過程で、特許文献1において、電池の膨れが十分に防止されず、内部短絡が発生する危険性が増加する原因について考察した。特許文献1では、平板状の捲回型電極群の平面部のみを、該電極群の厚み方向に加圧する。また、特許文献1には具体的に記載されていないが、正極リードおよび負極リードは、平板状の捲回型電極群の平面部において、集電体に接続されているのが一般的である。このため、リードの接続部分およびその近傍において、活物質層の部分的な変形、剥離などが発生し易いことを見出した。
すなわち、該電極群を厚み方向にプレス加圧すると、リードの接続部分では、リードの存在によって必要以上の応力が付加される。この応力が、活物質層の部分的な変形、剥離などを発生させるものと推測される。このような変形および剥離は、電池の充放電サイクル特性を低下させるだけでなく、充放電の回数が増加すると、リードの接続部分を中心にして電池の膨れを発生させるおそれがある。さらに、変形および剥離に伴って活物質層の破片が生成し、この破片が内部短絡の原因になるおそれがある。
本発明者らは、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた。その結果、合金系負極活物質を含有する偏平状の捲回型電極群を含むリチウムイオン二次電池において、リードを、該捲回型電極群の厚み方向における表面よりも突出しない位置で集電体に接続する構成を想到するに至った。そして、この構成によれば、初回の充放電時に捲回型電極群をプレス加圧しても、リード接続部分における活物質層の変形および剥離が防止され、充放電を繰り返しても電池の膨れが発生し難く、さらに内部短絡が発生する危険性が増加しないことを見出した。さらに本発明者らは、この構成により、負極活物質層が合金系負極活物質の蒸着膜、スパッタリング膜または化学的気相成長膜である場合でも、電池の膨れ、内部短絡などの発生が顕著に防止されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、電極群、正極リードおよび負極リードを含み、
電極群は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、合金系負極活物質を含有する負極活物質層と負極集電体とを含む負極とをセパレータを介して平板状に捲回した平板状捲回型電極群であり、
正極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように正極集電体に接続され、
負極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように負極集電体に接続され、初回の充放電を加圧下に行うリチウムイオン二次電池に係る。
本発明の好ましい形態では、正極リードおよび負極リードは、電極群の軸線側端部とは反対側の端部において、電極群の軸線を臨むように、正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている。
本発明の別の好ましい形態では、電極群の軸線側端部とは反対側の端部において、正極および負極が軸線側に折り曲げられた折り曲げ部を含み、電極群の厚み方向の表面に続く折り曲げ部の表面において、正極リードおよび負極リードは正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている。
本発明のさらに別の好ましい形態では、正極集電体および負極集電体は、方形の集電体本体と、集電体本体の軸線側端部とは反対側の端部において集電体本体から外方に延びるように形成されるリード取付け部とをそれぞれ含み、リード取付け部において、正極リードおよび負極リードが正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている。
このとき、リード取付け部は、集電体本体から電極群の軸線が延びる方向に突出するように設けられていることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池において、負極活物質層は、蒸着、スパッタリングまたは化学的気相成長法により形成されることが好ましい。
合金系負極活物質は、珪素または錫を含有する合金系負極活物質であることが好ましい。
珪素を含有する合金系負極活物質は、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素含有合金および珪素化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることがさらに好ましい。
錫を含有する合金系負極活物質が、錫、錫酸化物、錫含有合金および錫化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることがさらに好ましい。
また、本発明は、電極群、正極リードおよび負極リードを含み、
電極群は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、合金系負極活物質を含有する負極活物質層と負極集電体とを含む負極とをセパレータを介して平板状に捲回した平板状捲回型電極群であり、
正極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように正極集電体に接続され、
負極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように負極集電体に接続されるリチウムイオン二次電池に対して、加圧下に初回の充放電を行うリチウムイオン二次電池の製造方法に係る。
本発明によれば、リチウムイオンの吸蔵および放出により膨張および収縮を繰り返す合金系負極活物質を用いるにもかかわらず、長期的に充放電を繰り返しても、電池の膨れ、内部短絡などが発生し難く、安全性の高いリチウムイオン二次電池が得られる。しかも、本発明のリチウムイオン二次電池は、合金系負極活物質を用いているので、従来のリチウムイオン二次電池に比べて高容量および高出力で、耐用寿命も長い。
本発明のリチウムイオン二次電池は、下記(1)〜(3)の特徴を有している。
(1)負極活物質として合金系負極活物質を用いる。
(2)正極および負極を、セパレータを介して平板状に捲回した平板状捲回型電極群(以下単に「電極群」とする)を使用する。
(3)正極リードおよび負極リードを、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しない位置で、正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続する。
このような特徴を有する本発明のリチウムイオン二次電池に対し、その厚み方向に加圧した状態で初回の充放電を行うことにより、合金系負極活物質の不規則な膨張および収縮が抑制され、電池の充放電サイクル特性が顕著に向上する。また、電池の膨れ、内部短絡の発生なども抑制されるので、電池の安全性も向上する。
本明細書において、平板状捲回型電極群とは、セパレータを介して正極および負極を平板状に捲回した電極群の他に、セパレータを介して正極および負極を捲回した後に、平板状に形成した電極群をも含む。平板状捲回型電極群は、その中心部分において、該電極群の長手方向に延びる仮想線である軸線を有している。軸線は捲回軸とも呼ばれている。平板状捲回型電極群は、軸線に垂直な方向の断面が、長手方向と短手方向とを有する平板状の形状を有している。なお、平板状捲回型電極群は、扁平状捲回型電極群とも呼ばれる。
本発明では、正極リードおよび負極リードを上記した特定の位置で集電体に接続するとともに、初回の充放電時に電極群を加圧する。これにより、正極リードおよび負極リードの接続部分において、過剰の応力が付加されるのを防止できる。その結果、該電極群に含まれる正極および負極の活物質層を部分的に変形および剥離させることなく、該電極群を加圧できる。このとき、負極活物質層にほぼ一定の形状が付与されるものと推測される。これにより、充放電の回数が増加しても、負極活物質層の不規則な膨張および収縮が抑制され、該電極群の全域にわたる変形や空隙の発生が顕著に低減化し、電池の膨れが起こり難くなるものと推測される。また、加圧時に、活物質層の破片が生じることがないので、内部短絡が発生する危険性も増加しないものと推測される。
図1は、本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部(電極群1)の構成を模式的に示す図面である。図1(a)は電極群1の縦断面図である。なお、図1(a)においては、セパレータの図示を省略する。セパレータは正極5と負極6との間に介在している。図1(b)は上面図である。図1(c)は、別の実施形態の電極群1aの構成を模式的に示す上面図である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、たとえば、電極群1、正極リード7、負極リード8、図示しないガスケットおよび図示しない外装ケースを含む。電極群1は正極5、負極6および図示しないセパレータを含み、セパレータを介して正極5と負極6とを重ね合わせて平板状に捲回した平板状捲回型電極群である。電極群1は、その長手方向に延びる仮想線である軸線1zをその中心部に有している。また、電極群1の厚み方向に垂直な方向において、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bと、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bとが反対側に位置するように、正極5と負極6とが捲回されている。
本明細書において、正極5の軸線側端部5aとは、電極群1の中心に位置する正極5の端部である。正極集電体の軸線側端部とは、電極群1の中心に位置する正極集電体の端部である。同様に、負極6の軸線側端部6aも、電極群1の中心に位置する負極6の端部である。負極集電体の軸線側端部も、電極群1の中心に位置する負極集電体の端部である。
正極5は、図示しない正極集電体と正極活物質層とを含む。正極集電体には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料または導電性樹脂からなる多孔性または無孔の導電性基板が挙げられる。多孔性導電性基板としては、たとえば、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体(不織布など)などが挙げられる。無孔の導電性基板としては、たとえば、箔、シート、フィルムなどが挙げられる。導電性基板の厚みは特に制限されないが、通常は1〜500μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは10〜40μm、特に好ましくは10〜30μmである。
正極活物質層は、正極集電体の厚み方向の片方または両方の表面に設けられ、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する。さらに正極活物質層は正極活物質とともに、導電剤、結着剤などを含んでもよい。
正極活物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リチウム塩、カルコゲン化合物、二酸化マンガンなどが挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物または該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。ここで、異種元素としては、たとえば、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bなどが挙げられ、Mn、Al、Co、Ni、Mgなどが好ましい。異種元素は1種でもよくまたは2種以上でもよい。
これらの正極活物質の中でも、リチウム含有複合金属酸化物を好ましく使用できる。リチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、たとえば、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-yz、LixNi1-yyz、LixMn24、LixMn2-yy4、LiMPO4、Li2MPO4F(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、VおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)、などが挙げられる。ここで、リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。また、オリビン型リチウム塩としては、たとえば、LiFePO4などが挙げられる。カルコゲン化合物としては、たとえば、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどが挙げられる。正極活物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
導電剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが挙げられる。導電剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としても、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、変性アクリルゴム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンなどから選ばれる2種以上のモノマー化合物の共重合体を用いてもよい。結着剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
正極活物質層は、たとえば、正極合剤スラリーを正極集電体表面に塗布し、乾燥させ、必要に応じて圧延することにより形成できる。正極合剤スラリーは正極活物質を含有し、必要に応じて導電剤、結着剤などを含有する。正極合剤スラリーは、たとえば、正極活物質および必要に応じて導電剤、結着剤などを有機溶媒に溶解または分散させることにより調製できる。有機溶媒としては、たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノンなどを使用できる。
正極合剤スラリーが正極活物質、導電剤および結着剤を含有する場合、これらの3成分の使用割合は特に制限されないが、好ましくは、これら3成分の使用合計量に対して、正極活物質80〜98重量%、導電剤1〜10重量%および結着剤1〜10重量%の範囲から適宜選択し、合計量が100重量%になるように使用すればよい。正極活物質層の厚みは各種条件に応じて適宜選択されるが、たとえば、正極活物質層を正極集電体の両面に設ける場合は、正極活物質層の合計厚みは50〜100μm程度が好ましい。
負極6は、図示しない負極集電体と負極活物質層とを含む。負極集電体には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金などの金属材料または導電性樹脂からなる多孔性または無孔の導電性基板が挙げられる。多孔性導電性基板としては、たとえば、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体(不織布など)などが挙げられる。無孔の導電性基板としては、たとえば、箔、シート、フィルムなどが挙げられる。多孔性または無孔の導電性基板の厚みは特に制限されないが、通常は1〜500μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは10〜40μm、特に好ましくは10〜30μmである。
負極活物質層は合金系負極活物質を含有し、さらに必要に応じて、結着剤、導電剤、増粘剤などを含有してもよい。合金系負極活物質は、リチウムと合金化することにより、リチウムを吸蔵および放出する金属または該金属を含有する化合物である。合金系負極活物質としては公知のものを使用でき、たとえば、珪素を含有する合金系負極活物質、錫を含有する合金系負極活物質、アルミニウムを含有する合金系負極活物質などが挙げられる。これらの中でも、珪素を含有する合金系負極活物質および錫を含有する合金系負極活物質が好ましい。
珪素を含有する合金系負極活物質としては、たとえば、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素含有合金、珪素化合物などが挙げられる。珪素酸化物としては、たとえば、組成式:SiOa(0.05<a<1.95)で表される酸化珪素が挙げられる。珪素窒化物としては、たとえば、組成式:SiNb(0<b<4/3)で表される窒化珪素が挙げられる。珪素含有合金としては、たとえば、珪素とFe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、SnおよびTiよりなる群から選ばれる1または2以上の元素を含む合金が挙げられる。珪素化合物としては、たとえば、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物または珪素含有合金に含まれる珪素の一部がB、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、NおよびSnよりなる群から選ばれる1または2以上の元素で置換された化合物が挙げられる。
錫を含有する合金系負極活物質としては、たとえば、錫、錫酸化物、錫含有合金、錫化合物などが挙げられる。錫酸化物としては、たとえば、SnO2、組成式:SnOd(0<d<2)で表される酸化珪素などが挙げられる。錫含有合金としては、たとえば、Ni−Sn合金、Mg−Sn合金、Fe−Sn合金、Cu−Sn合金、Ti−Sn合金などが挙げられる。錫化合物としては、たとえば、SnSiO3、Ni2Sn4、Mg2Snなどが挙げられる。
アルミニウムを含有する合金系負極活物質としては、たとえば、Al−Mn合金、Al−Mn−V合金、Al−Mn−Cr合金などのアルミニウム合金が挙げられる。
これらの中でも、珪素、錫、珪素酸化物、錫酸化物などが好ましく、珪素、珪素酸化物などが特に好ましい。合金系負極活物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
負極活物質層は、たとえば、負極合剤スラリーを負極集電体表面に塗布し、乾燥させ、必要に応じて圧延することにより形成できる。負極合剤スラリーは、合金系負極活物質および必要に応じて結着剤、導電剤、増粘剤などを溶媒に溶解または分散させることにより調製できる。結着剤、導電剤および溶媒としては、正極合剤スラリーに用いられるのと同様のものを使用できる。さらに結着剤として、スチレンブタジエンゴム粒子なども使用できる。増粘剤としては、たとえば、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。さらに必要に応じて、合金系負極活物質の好ましい効果を損なわない範囲で、炭素材料などの一般的な負極活物質を含有させることもできる。
また、負極活物質層は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長(CVD)法などの公知の薄膜形成法に従って、負極集電体の表面に形成できる。これらの方法で形成される負極活物質層は、合金系負極活物質の含有率がほぼ100%であり、高容量化および高出力化が可能になる。また、これらの方法を採用する場合、負極活物質層の厚みを従来よりも薄くすることができるので、たとえば、携帯用電子機器の小型化、薄型化への対応が容易である。したがって、本発明では、スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長(CVD)法などで形成された負極活物質層が好ましい。
また、本発明では、負極活物質層の表面に、さらにリチウム金属層を形成してもよい。このとき、リチウム金属の量は、初回充放電時に負極活物質層に蓄えられる不可逆容量に相当する量とすればよい。リチウム金属層は、たとえば、蒸着などによって形成できる。
図示しないセパレータは、正極5と負極6との間に設けられる。セパレータには、所定のイオン透過度、機械的強度、絶縁性などを併せ持つシート状物またはフィルム状物が用いられる。セパレータの具体例としては、たとえば、微多孔膜、織布、不織布などの、多孔性のシート状物またはフィルム状物が挙げられる。微多孔膜は単層膜および多層膜(複合膜)のいずれでもよい。単層膜は1種の材料からなる。多層膜(複合膜)は1種の材料からなる単層膜の積層体または異なる材料からなる単層膜の積層体である。
セパレータの材料には各種樹脂材料を使用できるが、耐久性、シャットダウン機能、電池の安全性などを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。なお、シャットダウン機能とは、電池の異常発熱時に貫通孔が閉塞し、それによりイオンの透過を抑制し、電池反応を遮断する機能である。必要に応じて、微多孔膜、織布、不織布などを2層以上積層してセパレータを構成してもよい。セパレータの厚さは一般的には10〜300μmであるが、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜30μm、さらに好ましくは10〜25μmである。また、セパレータの空孔率は好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜60%である。ここで空孔率とは、セパレータの体積に占める、セパレータ中に存在する細孔の総容積の比である。
正極リード7は、一端が正極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。正極リード7は、電極群1の厚み方向の表面1xよりも電極群1の外方に突出しない位置で、正極集電体に接続されている。正極リード7の接続位置は、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bにおける、電極群1の軸線1zを臨む位置である。これにより、正極リード7は、電極群1の厚み方向の表面1xよりも内側に設けられ、表面1xの外方に突出することがない。正極リード7の材質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウムなどが挙げられる。
負極リード8は、一端が負極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。負極リード8は、電極群1の厚み方向の表面1yよりも電極群1の外方に突出しない位置で、負極集電体に接続されている。負極リード8の接続位置は、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bにおける、電極群1の軸線1zを臨む位置である。これにより、負極リード8は、電極群1の厚み方向の表面1yよりも内側に設けられ、表面1yの外方に突出することがない。表面1yは、表面1xの対向面である。負極リード8の外部への導出方向は、正極リード7の外部への導出方向と同じである。負極リード8の材質としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ニッケルなどが挙げられる。
上記の構成により、電極群1を厚み方向に加圧する際に、電極群1に必要以上の圧力が掛かることを防止できる。たとえば、電極群1の厚み方向の表面1x、1yに正極リード7および負極リード8が接続された状態で、初回充放電を加圧下に行うと、電極群1に対して局所的に必要以上の圧力が付加され、活物質層の部分的な変形、剥離などを引き起こすおそれがあることが、本発明者らの研究により判明した。このような変形および剥離は、電池の膨れを発生させ、充放電サイクル特性を低下させるだけでなく、内部短絡を発生させる原因にもなりかねない。
したがって、本実施の形態のような構成を採用することにより、電池の膨れ、内部短絡などの発生、充放電サイクル特性の低下などがより一層抑制されたリチウムイオン二次電池を得ることができる。なお、特許文献1には、リードの取り付け位置については、特段の記載はない。
また、本実施の形態では、正極リード7および負極リード8の、リチウムイオン二次電池の外部への導出方向は同じであるが、それに限定されない。すなわち、図1(c)に示すように、正極リード7および負極リード8の導出方向が反対側である電極群1aを構成してもよい。
電極群1には、リチウムイオン伝導性を有する電解質が含浸される。リチウムイオン伝導性を有する電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質が好ましい。非水電解質としては、たとえば、液状非水電解質、ゲル状非水電解質、固体状電解質(たとえば高分子固体電解質)などが挙げられる。
液状非水電解質は、溶質(支持塩)と非水溶媒とを含み、さらに必要に応じて各種添加剤を含む。溶質は通常非水溶媒中に溶解する。液状非水電解質は、たとえば、セパレータに含浸される。
溶質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl4、ホウ酸塩類、イミド塩類などが挙げられる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO22NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO2)(C49SO2)NLi)、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C25SO22NLi)などが挙げられる。溶質は1種を単独で用いてもよくまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2モル/Lの範囲内とすることが望ましい。
非水溶媒としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。環状炭酸エステルとしては、たとえば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、たとえば、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、たとえば、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよくまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、たとえば、充放電効率を向上させる材料、電池を不活性化させる材料などが挙げられる。充放電効率を向上させる材料は、たとえば、負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、充放電効率を向上させる。このような材料の具体例としては、たとえば、ビニレンカーボネート(VC)、4−メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4−エチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、4−プロピルビニレンカーボネート、4,5−ジプロピルビニレンカーボネート、4−フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートおよびジビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。
電池を不活性化させる材料は、たとえば、電池の過充電時に分解して電極表面に被膜を形成することによって電池を不活性化する。このような材料としては、たとえば、ベンゼン誘導体が挙げられる。ベンゼン誘導体としては、フェニル基と、フェニル基に隣接する環状化合物基とを含むベンゼン化合物が挙げられる。環状化合物基としては、たとえば、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などが好ましい。ベンゼン誘導体の具体例としては、たとえば、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。ベンゼン誘導体は1種を単独で使用できまたは2種以上を組み合わせて使用できる。ただし、ベンゼン誘導体の液状非水電解質における含有量は、非水溶媒100体積部に対して10体積部以下であることが好ましい。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と液状非水電解質を保持する高分子材料とを含むものである。ここで用いる高分子材料は液状物をゲル化させ得るものである。高分子材料としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートなどが挙げられる。
固体状電解質は、たとえば、溶質(支持塩)と高分子材料とを含む。溶質は前記で例示したものと同様のものを使用できる。高分子材料としては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体などが挙げられる。
外装ケースには、たとえば、金属製ケース、積層ラミネートフィルム製ケースなどを使用できる。外装ケースには、捲回型電極群、電解質などを外装ケース内部に収容するための開口が形成されている。ガスケットは、外装ケースの開口を封止するために用いられる封口部材である。ガスケットと共に他の一般的な封口部材を併用してもよい。ガスケット以外の封口部材で外装ケースの開口を封口してもよい。また、封口部材を使用せずに、外装ケースの開口を溶着などによって直接封止してもよい。
リチウムイオン二次電池は、たとえば、次のようにして製造できる。まず、正極5と負極6とをセパレータを介して重ね合わせ、これを平板状に捲回し、電極群1を作製する。次に、正極5の正極集電体における所定の位置に正極リード7の一端を接続し、負極6の負極集電体における所定の位置に負極リード8の一端を接続する。これを外装ケースに挿入し、正極リード7および負極リード8の他端を外装ケースの外部に導出するとともに、外装ケースの内部に非水電解質を注液する。この状態で、外装ケースの内部を真空減圧しながら開口を、ガスケットを介して溶着させることによって、リチウムイオン二次電池が得られる。
本発明では、上記で得られるリチウムイオン二次電池に対して、加圧下に初回の充放電を行う。加圧方法は特に制限されず、たとえば、プレス加圧、静水圧加圧などが挙げられる。
プレス加圧では、主に、リチウムイオン二次電池の電極群1が収容される部分に対して加圧が行われ、電極群1に対してその厚み方向の圧力が付加される。プレス加圧に際しては、一般的なプレス加圧機を使用できる。圧力は、好ましくは1.0×105〜1.0×106N/m2である。圧力が1.0×105N/m2未満では、充放電の繰返しに伴う電池の膨れの発生を防止する効果が不十分になり、電池の膨れが発生し易くなるおそれがある。一方、圧力が1.0×106N/m2を超えると、効果のそれ以上の向上が認められず、場合によっては、活物質層の変形、集電体からの剥離などを引き起こし、電池の膨れ、内部短絡などが発生するおそれがある。プレス加圧は、好ましくは10〜30℃程度の温度下に行われ、5〜15時間程度で終了する。
静水圧加圧では、リチウムイオン二次電池の全体に対して、その厚み方向にほぼ均一な圧力が付加される。静水圧加圧には、CIP(Cold Isostatic press)法、HIP(HotIsostaticpress)法、ホットプレス法などがある。CIP法では、たとえば、5〜50℃程度、好ましくは10〜30℃程度の温度下に静水圧加圧を行う。HIP法では、たとえば、65℃以上の加熱下に静水圧加圧を行う。加圧対象物がリチウムイオン二次電池であることを考慮すると、これらの方法の中でも、CIP法を用いるのが好ましい。CIP法は、簡易な装置で行うことができ、後述する対象物被覆用の被膜に耐熱性が要求されないといった利点を有し、工業製品の製造工程として実用性に優れている。
静水圧加圧の具体的な方法としては、たとえば、リチウムイオン二次電池の表面を液体遮断性のある対象物被覆用被膜で覆い、これを静水圧加圧装置に装填し、静水圧加圧を施す方法が挙げられる。CIP法の場合、対象物被覆用被膜としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料、天然ゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料を使用できる。対象物被覆用被膜は、たとえば、ディッピング法、真空パッキング法などにより、リチウムイオン二次電池の表面に形成できる。
また、リチウムイオン二次電池を薄肉の金属カプセルに挿入し、真空中で該金属カプセルを密封すると共に電子ビーム溶接で密封し、これを静水圧加圧装置に装填し、静水圧加圧を施す方法が挙げられる。金属製カプセルの材質としては、たとえば、銅、ステンレス鋼などが挙げられる。
静水圧加圧の圧力(加圧圧力)は、特に制限されないが、好ましくは1.0×105〜1.0×106N/m2である。圧力が1.0×105N/m2未満では、充放電の繰返しに伴う電池の膨れの発生を防止する効果が不十分になり、電池の膨れが発生し易くなるおそれがある。一方、圧力が1.0×106N/m2を超えると、効果のそれ以上の向上が認められず、場合によっては、活物質層の変形、集電体からの剥離などを引き起こし、電池の膨れ、内部短絡などが発生するおそれがある。また、大型の装置が必要になり、製造コストが高価になるという問題もある。静水圧加圧は、たとえば、5〜50℃程度、好ましくは10〜30℃程度の温度下および前記圧力下に行われ、5〜15時間程度で終了する。
一方、初回の充放電の条件は、リチウムイオン二次電池に含まれる活物質の種類および活物質層の厚さ、活物質以外の構成、リチウムイオン二次電池の用途などに応じて広い範囲から適宜選択可能であるが、以下にその一例を示す。
定電流0.2ItAで電池電圧が4.05Vになるまで充電し、次いで、4.2Vで電流値が0.05ItAになるまで充電し、次に、0.2ItAの定電流で電池電圧が2Vに低下するまで放電させるサイクルを1回行い、初回の充放電とする。
このようにして、静水圧加圧下で初回の充放電が行われ、本発明のリチウムイオン二次電池が得られる。
図2は、本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部(電極群2)の構成を模式的に示す図面である。図2(a)は縦断面図である。なお、図2(a)においては、セパレータの図示を省略する。セパレータは正極5と負極6との間に介在している。図2(b)は上面図である。図2(c)は、別の実施形態の電極群2aの構成を模式的に示す上面図である。
電極群2は、電極群1に類似する平板状捲回型電極群であり、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。電極群2では、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bと、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bとが、電極群2の厚み方向に垂直な方向において、電極群2の一方の側に位置するように正極5と負極6とが捲回されている。
正極リード7は、一端が正極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。正極リード7は、電極群2の厚み方向の表面2xよりも電極群2の外方に突出しない位置で、正極集電体に接続されている。正極リード7の接続位置は、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bにおける、電極群2の軸線2zを臨む位置である。これにより、正極リード7は、電極群2の厚み方向の表面2xよりも内側に設けられ、表面2xよりも外方に突出することがない。
負極リード8は、一端が負極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。負極リード8は、電極群2の厚み方向の表面2xよりも電極群2の外方に突出しない位置で、負極集電体に接続されている。負極リード8の接続位置は、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bにおける、電極群2の軸線2zを臨む位置である。これにより、負極リード8は、電極群2の厚み方向の表面2xよりも内側に設けられ、表面2xの外方に突出することがない。
正極リード7および負極リード8は、電極群2の厚み方向に垂直な方向において、電極群2の同じ側の端部で、正極5および負極6にそれぞれ接続されている。その接続部分には、活物質層は形成していない。また、正極リード7および負極リード8の外部への導出方向は、電極群2の軸線2zが延びる方向における同じ方向である。リードの導出方向はそれに限定されず、たとえば、図2(c)に示す電極群2aのように構成してもよい。電極群2aでは、正極リード7および負極リード8が、電極群2aの軸線が延びる方向において、反対側に導出される。
上記の構成により、リチウムイオン二次電池を圧加圧する際に、電極群2に局所的に必要以上の圧力が掛からない。このため、活物質層の部分的な変形、剥離などが起こらず、電池の膨れ、内部短絡などが発生せず、充放電サイクルの低下が実用上問題のない程度であるリチウムイオン二次電池が得られる。
図3は、本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部(電極群3)の構成を模式的に示す図面である。図3(a)は縦断面図である。なお、図3(a)においては、セパレータの図示を省略する。セパレータは正極5と負極6との間に介在している。図3(b)は上面図である。図3(c)は、別の実施形態の電極群3aの構成を模式的に示す上面図である。
電極群3は、電極群1に類似する平板状捲回型電極群であり、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。電極群3は、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bと、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bとが、電極1の厚み方向に垂直な方向において、反対側に位置するように正極5と負極6とが捲回されている。電極群1と異なる点は、正極5の軸線側端部5aとは反対側の端部5bが、電極群3の厚み方向の表面3xよりも内方に折り曲げられていることである。同様に、負極6の軸線側端部6aとは反対側の端部6bが、電極群3の厚み方向の表面3yよりも内方に折り曲げられている。
正極リード7は、一端が正極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。正極リード7は、電極群3の厚み方向の表面3xよりも電極群3の外方に突出しないように正極集電体に接続されている。具体的には、正極リード7は、正極5の端部5bにおける、表面3xに続く面に露出する正極集電体に接続されている。しかしながら、正極5の端部5bは、上記したように、表面3xよりも内方に折り曲げられているので、正極リード7が表面3xの外方に突出することがない。
一方、負極リード8は、一端が負極集電体に接続され、他端が図示しない外装ケースの開口からリチウムイオン二次電池の外部に導出されている。負極リード8は、電極群3の厚み方向の表面2xよりも電極群3の外方に突出しないように負極集電体に接続されている。具体的には、負極リード8は、負極6の端部6bにおける、表面3yに続く面に露出する負極集電体に接続されている。しかしながら、負極6の端部6bは、上記したように、表面3yよりも内方に折り曲げられているので、負極リード8が表面3yの外方に突出することがない。
正極リード7および負極リード8は、電極群3の厚み方向に垂直な方向において、電極群3の反対側の端部で、正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている。その接続部分には、活物質層は形成していない。また、正極リード7および負極リード8の外部への導出方向は、電極群3の軸線3zが延びる方向と同じである。リードの導出方向はそれに限定されず、たとえば、図3(c)に示す電極群3aのように構成してもよい。電極群3aでは、正極リード7および負極リード8が、電極群3aの軸線が延びる方向において、反対側に導出される。
上記の構成により、捲回型電極群3を静水圧加圧する際に、捲回型電極群3に局所的に必要以上の圧力が掛からない。このため、活物質層の部分的な変形、剥離などが起こらず、電池の膨れ、内部短絡などが発生せず、充放電サイクルの低下が実用上問題のない程度であるリチウムイオン二次電池が得られる。
図4は、本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部の構成を模式的に示す上面図である。図4(a)は、正極集電体10(負極集電体11)の構成を模式的に示す上面図である。図4(b)〜図4(d)は電極群12、13、14の構成を模式的に示す上面図である。
正極集電体10は、集電体本体10aおよびリード取付け部10bを含む。集電体本体10aは長方形の金属製板状部材であり、その長手方向における一端が軸線側端部10xであり、他端が軸線側端部10xとは反対側の端部10yである。リード取付け部10bは、集電体本体10aの端部10yにおいて、集電体本体10aに続きかつ集電体本体10aから外方に突出するように形成されている。リード取付け部10bは、図4に示すように、正極集電体10の短手方向(すなわち正極集電体10を捲回した時の軸線が延びる方向)に突出するように形成するのが好ましい。正極集電体10の表面には、リード取付け部10bを除いて正極活物質層が形成される。
負極集電体11も、正極集電体10と同様の構成を有する。すなわち、負極集電体11は、集電体本体11aおよびリード取付け部11bを含む。集電体本体11aは長方形の金属製板状部材であり、その長手方向における一端が軸線側端部11xであり、他端が軸線側端部11xとは反対側の端部11yである。リード取付け部11bは、集電体本体11aの端部11yにおいて、集電体本体11aに続きかつ集電体本体11aから外方に突出するように形成されている。リード取付け部11bは、図4に示すように、負極集電体11の短手方向(すなわち負極集電体11を捲回した時の軸線が延びる方向)に突出するように形成するのが好ましい。負極集電体11の表面には、リード取付け部11bを除いて負極活物質層が形成される。
図4(b)に示す電極群12は、図示しないセパレータを介して、正極15と負極16とを重ね合わせ、平板状に捲回した平板状捲回型電極群である。正極15は、リード取付け部10bを除く正極集電体10の表面に正極活物質層を形成したものである。負極16は、リード取付け部11bを除く負極集電体11の表面に、合金系負極活物質を含有する負極活物質層を形成したものである。電極群12では、正極集電体10のリード取付け部10bおよび負極集電体11のリード取付け部11bが、電極群12の延びる方向において、同じ方向に突出するように、正極15と負極16とがセパレータを介して捲回されている。
本実施の形態では、リード取付け部10b、11bの裏面に正極リード7および負極リード8をそれぞれ接続しているが、それに限定されず、リード取付け部10b、11bの表面にこれらを接続してもよい。このように構成することにより、リチウムイオン二次電池の加圧時に、電極群17に局所的に余分な圧力が付加されることが防止される。その結果、活物質層の部分的な変形、剥落などが発生し難くなり、電池の膨れ、内部短絡などが発生しないリチウムイオン二次電池が得られる。
図4(c)に示す電極群13は、電極群12に類似の構成を有し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。電極群13では、正極集電体10のリード取付け部10bおよび負極集電体11のリード取付け部11bが、電極群13の軸線が延びる方向において反対側に突出し、かつ軸線の延びる方向に垂直な方向においてそれぞれ反対側の端部に位置するように構成されている。このような構成でも、電極群12と同様の効果が得られる。
図4(d)に示す電極群14は、電極群12に類似の構成を有し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。電極群14では、正極集電体10のリード取付け部10bおよび負極集電体10bが、電極群14の軸線が延びる方向において反対側に突出し、かつ軸線が延びる方向に垂直な方向においてそれぞれ同じ側の端部に位置するように構成されている。このような構成でも、捲回型電極12と同様の効果が得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池において、負極活物質層は、複数の柱状体の集合体であることが好ましい。この柱状体は、負極集電体表面から外方に延びるように形成され、かつ合金系負極活物質を含有する。隣り合う柱状体は、互いに間隙を有して離隔するように形成される。このような柱状体の集合体である負極活物質層を形成する場合には、負極集電体表面に複数の凸部を設け、凸部表面に柱状体を形成するのが好ましい。
図5は、本発明で使用する負極20の構成を模式的に示す縦断面図である。図6は、図5に示す負極20に含まれる負極集電体21の構成を模式的に示す斜視図である。図7は、図5に示す負極20の負極活物質層23に含まれる柱状体24の構成を模式的に示す縦断面図である。図8は、柱状体24を作製するための電子ビーム式蒸着装置30の構成を模式的に示す側面図である。
負極20は、負極集電体21と、負極活物質層23とを含む。負極20は、その負極活物質層23がセパレータ25を介して図示しない正極に対向するように設けられる。
負極集電体21は、図6に示すように、厚み方向の両方またはいずれか一方の表面に、複数の凸部22が設けられていることを特徴とする。
凸部22は、負極集電体21の厚み方向の表面21a(以下単に「表面21a」とする)から、負極集電体21の外方に向けて延びるように設けられる突起物である。凸部22の高さは、凸部22が形成されている表面21aに対して垂直な方向において、表面21aから、凸部22の表面21aに対して最も遠い部分(最先端部分)までの長さである。凸部22の高さは特に制限はないが、好ましくは、その平均高さが3〜10μm程度になるように形成される。また、凸部22の表面21aに平行な方向における断面径も特に制限されないが、たとえば、1〜50μmである。
凸部22の平均高さは、たとえば、負極集電体21の厚み方向における集電体1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、たとえば、100個の凸部22の高さを測定し、得られた測定値から平均値を算出することによって決定できる。凸部22も断面径も、凸部22の高さと同様にして測定できる。なお、複数の凸部22は全て同じ高さまたは同じ断面径に形成する必要はない。
凸部22は、その成長方向の先端部分にほぼ平面状の頂部を有する。成長方向とは、表面21aから負極集電体21の外方に向かう方向である。凸部22が先端部分に平面状の頂部を有することによって、凸部22と柱状体24との接合性が向上する。この先端部分の平面は、表面21aに対してほぼ平行であることが接合強度を高める上ではさらに好ましい。
凸部22の形状は、本実施の形態では、円形である。ここでの凸部22の形状は、負極集電体21の表面21aとは反対側の表面が水平面と一致するように集電体21を載置した場合に、鉛直方向上方から見た凸部22の形状である。なお、凸部22の形状は円形に限定されず、たとえば、多角形、楕円形などでもよい。多角形は、製造コストなどを考慮すると、3角形〜8角形が好ましい。さらには、平行四辺形、台形、ひし形などでもよい。
凸部22の個数、凸部22同士の間隔などは特に制限されず、凸部22の大きさ(高さ、断面径など)、凸部22表面に設けられる柱状体24の大きさなどに応じて適宜選択される。凸部22の個数の一例を示せば、1万〜1000万個/cm2程度である。また、隣り合う凸部22の軸線間距離が2〜100μm程度になるように、凸部22を形成するのが好ましい。
凸部22表面に、図示しない突起を形成してもよい。これによって、たとえば、凸部22と柱状体24との接合性が一層向上し、柱状体24の凸部22からの剥離、剥離伝播などがより確実に防止される。突起は、凸部22表面から凸部22の外方に突出するように設けられる。突起は、凸部22よりも大きさの小さいものが複数形成されてもよい。また、突起は、凸部22の側面に、周方向および/または凸部22の成長方向に延びるように形成されてもよい。また、凸部22がその先端部分に平面状の頂部を有する場合は、1または複数の、凸部22よりも小さな突起が頂部に形成されてもよく、さらに一方の方向に長く延びる1または複数の突起が頂部に形成されてもよい。
負極集電体21は、たとえば、金属箔、金属シートなどに凹凸を形成する技術を利用して製造できる。具体的には、たとえば、凸部22の形状を雄型とする場合、軸線方向の表面に凸部22に対応する雌型の形状を有する凹所が規則的に配置されたロール(以下「凸部形成ロール」とする)を使用する。負極集電体21に適する金属材料からなり、表面の平滑な箔、シート、フィルムなどの板状物(以下単に「負極集電体用板状物」とする)の片面に凸部22を形成する場合は、凸部形成ロールと表面の平滑なロールとをそれぞれの軸線が平行になるように圧接させ、その圧接部分に負極集電体用板状物を通過させて加圧成形すればよい。この場合、表面の平滑なロールは、少なくとも表面が弾性材料で形成されていることが好ましい。
また、負極集電体用板状物の両面に凸部22を形成する場合は、2本の凸部形成ロールをそれぞれの軸線が平行になるように圧接させ、その圧接部分に負極集電体用板状物を通過させて加圧成形すればよい。ここで、ロールの圧接圧は負極集電体用板状物の材質、厚み、凸部22の形状、寸法、加圧成形後の負極集電体用板状物すなわち負極集電体21の厚みの設定値などに応じて適宜選択される。
凸部形成ロールは、たとえば、セラミックロールの表面における所定位置に、凸部22に対応する雌型の形状を有する凹所である孔を形成することによって製造できる。ここで、セラミックロールとしては、たとえば、芯用ロールと、溶射層とを含むものが用いられる。芯用ロールには、たとえば、鉄、ステンレス鋼などからなるロールを使用できる。溶射層は、芯用ロール表面に、酸化クロムなどのセラミック材料を均一に溶射することによって形成される。溶射層に孔が形成される。孔の形成には、たとえば、セラミックス材料などの成形加工に用いられる一般的なレーザーを使用できる。
別形態の凸部形成ロールは、芯用ロールと、下地層と、溶射層とを含む。芯用ロールはセラミックロールの芯用ロールと同じものである。下地層は、芯用ロール表面に形成される。下地層表面には、凸部22に対応する雌型形状を有する凹所が形成される。下地層に凹所を形成するには、たとえば、片面に凹所を有する樹脂シートを成形し、該樹脂シートの凹所が形成された面とは反対側の面を芯用ロール表面に巻き付けて接着すればよい。ここで合成樹脂としては機械的強度の高いものが好ましく、たとえば、不飽和ポリエステル、熱硬化性ポリイミド、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。溶射層は、酸化クロムなどのセラミック材料を下地層の表面の凹凸に沿うように溶射することによって形成される。したがって、下地層に形成される凹所は、溶射層の層厚を考慮して、設計寸法よりも溶射層の層厚分だけ大きめに形成される。
別形態の凸部形成ロールは、芯用ロールと、超硬合金層とを含む。芯用ロールはセラミックロールの芯用ロールと同じものである。超硬合金層は芯用ロールの表面に形成され、炭化タングステンなどの超硬合金を含む。超硬合金層は、芯用ロールに、円筒状に形成した超硬合金を焼き嵌めするかまたは冷やし嵌めすることによって形成できる。超硬合金層の焼き嵌めとは、円筒状の超硬合金を暖めて膨張させ、芯用ロールに嵌めることである。また、超硬合金層の冷やし嵌めとは、芯用ロールを冷却して収縮させ、超硬合金の円筒に挿入することである。超硬合金層の表面には、たとえば、レーザー加工によって凸部22に対応する雌型形状を有する凹所が形成される。
別形態の凸部形成ロールは、硬質鉄系ロールの表面に、たとえば、レーザー加工によって凸部22に対応する雌型形状を有する凹所が形成されたものである。硬質鉄系ロールは、たとえば、金属箔の圧延製造に用いられる。硬質の鉄系ロールとしては、ハイス鋼、鍛鋼などからなるロールが挙げられる。ハイス鋼には、モリブデン、タングステン、バナジウムなどの金属が添加し、熱処理して硬度を高めた鉄系材料である。鍛鋼は、よう鋼を鋳型に鋳込んで造られた鋼塊またはその鋼塊から製造された鋼片を加熱し、プレスおよびハンマーで鍛造し、または圧延および鍛造することにより鍛錬成形し、これを熱処理することによって製造される鉄系材料である。
さらに、凸部22表面の1または複数の突起は、たとえば、フォトレジスト法により凸部22表面にレジストパターンを形成し、該パターンに従って金属めっきを施すことによって形成できる。また、凸部22を設計寸法よりも大きい寸法で形成しておき、エッチング法により凸部22表面の所定箇所を除去することによっても、突起を形成できる。なお、凸部22自体の形成にも、フォトレジスト法とめっき法とを組み合わせた方法が利用できる。
負極活物質層23は、たとえば、図5に示すように、凸部22表面から負極集電体21の外方に向けて延びるように設けられる複数の柱状体24の集合体として形成される。柱状体24は、負極集電体21の表面21aに対して垂直な方向または前記垂直な方向に対して傾きを有して延びるように設けられている。また、複数の柱状体24は、隣り合う柱状体24との間に間隙を有して互いに離隔するように設けられているので、充放電の際の膨張および収縮による応力が緩和され、負極活物質層23が凸部22から剥離し難くなり、負極集電体21の変形も起こり難い。
柱状体24は、図7に示すように、8個の柱状塊24a,24b,24c,24d,24e,24f,24g,24hを積層してなる柱状物として形成されるのがさらに好ましい。負極活物質層23を形成するに際しては、まず、凸部22の頂部およびそれに続く側面の一部を被覆するように柱状塊24aを形成する。次に、凸部22の残りの側面および柱状塊24aの頂部表面の一部を被覆するように柱状塊24bを形成する。すなわち、図7において、柱状塊24aは凸部22の頂部を含む一方の端部に形成され、柱状塊24bは部分的には柱状塊24aに重なるが、残りの部分は凸部22の他方の端部に形成される。さらに、柱状塊24aの頂部表面の残りおよび柱状塊24bの頂部表面の一部を被覆するように柱状塊24cが形成される。すなわち、柱状塊24cは主に柱状塊24aに接するように形成される。さらに、柱状塊24dは主に柱状塊24bに接するように形成される。以下同様にして、柱状塊24e,24f,24g,24hを交互に積層することによって、柱状体24が形成される。
負極活物質層23は、たとえば、図8に示す電子ビーム式蒸着装置30によって形成できる。図8では、蒸着装置30内部の各部材も実線で示す。蒸着装置30は、チャンバー31、第1の配管32、固定台33、ノズル34、ターゲット35、図示しない電子ビーム発生装置、電源36および図示しない第2の配管を含む。チャンバー31は内部空間を有する耐圧性の容器状部材であり、その内部に第1の配管32、固定台33、ノズル34およびターゲット35を収容する。第1の配管32は、一端がノズル34に接続され、他端がチャンバー31の外方に延びて図示しないマスフローコントローラを介して図示しない原料ガスボンベまたは原料ガス製造装置に接続される。原料ガスとしては、たとえば、酸素、窒素などが挙げられる。第1の配管32は、ノズル34に原料ガスを供給する。
固定台33は板状部材であり、角変位または回転自在に支持され、その厚み方向の一方の面に負極集電体21を固定できるように設けられる。固定台33の角変位(回転)は、図8における実線で示される位置と一点破線で示される位置との間で行われる。実線で示される位置は、固定台33の負極集電体21を固定する側の面が鉛直方向下方のノズル34を臨み、固定台33と水平方向の直線とが成す角の角度がα°である位置である。一点破線で示される位置は、固定台33の負極集電体21を固定する側の面が鉛直方向下方のノズル34を臨み、固定台33と水平方向の直線とが成す角の角度が(180−α)°である位置である。角度α°は、形成しようとする柱状体24の寸法などに応じて適宜選択できる。
ノズル34は、鉛直方向において固定台33とターゲット35との間に設けられ、第1の配管32の一端が接続されている。ノズル34は、ターゲット35から鉛直方向上方に上昇してくる合金系負極活物質の蒸気と第1の配管32から供給される原料ガスとを混合し、固定台33表面に固定される負極集電体21表面に供給する。ターゲット35は合金系負極活物質またはその原料を収容する。電子ビーム発生装置は、ターゲット35に収容される合金系負極活物質またはその原料に電子ビームを照射して加熱し、これらの蒸気を発生させる。電源36はチャンバー31の外部に設けられて、電子ビーム発生装置に電気的に接続され、電子ビームを発生させるための電圧を電子ビーム発生装置に印加する。第2の配管は、チャンバー31内の雰囲気になるガスを導入する。なお、蒸着装置30と同じ構成を有する電子ビーム式蒸着装置が、たとえば、アルバック(株)から市販されている。
電子ビーム式蒸着装置30によれば、まず、負極集電体21を固定台33に固定し、チャンバー31内部に酸素ガスを導入する。この状態で、ターゲット35において合金系負極活物質またはその原料に電子ビームを照射して加熱し、その蒸気を発生させる。本実施の形態では、合金系負極活物質として珪素を使用する。発生した蒸気は鉛直方向上方に上昇し、ノズル34を通過する際に、原料ガスと混合された後、さらに上昇し、固定台33に固定された負極集電体21の表面に供給され、図示しない凸部22表面に、珪素と酸素とを含む層が形成される。このとき、固定台33を実線の位置に配置することによって、凸部表面に図7に示す柱状塊24aが形成される。次に、固定台33を一点破線の位置に角変位させることによって、図7に示す柱状塊24bが形成される。このように固定台33の位置を交互に角変位させることによって、図7に示す8つの柱状塊24a、24b、24c、24d、24e、24f、24g、24hの積層体である負極活物質層23が形成される。
なお、合金系負極活物質がたとえばSiOa(0.05<a<1.95)で表される珪素酸化物である場合、柱状体24の厚み方向に酸素の濃度勾配が出来るように、柱状体24を形成してもよい。具体的には、集電体21に近接する部分で酸素の含有率を高くし、集電体21から離反するに従って、酸素含有量を減らすように構成すればよい。これによって、凸部22と柱状体24との接合性をさらに向上させることができる。
なお、ノズル34から原料ガスを供給しない場合は、珪素または錫単体を主成分とする柱状体24が形成される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の用途に使用でき、特にパーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯用情報端末、携帯用ゲーム機器などの携帯用電子機器の電源として好適に使用できる。
以下に実施例および比較例ならびに試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)正極活物質の作製
NiSO4水溶液に、Ni:Co:Al=7:2:1(モル比)になるようにCoおよびAlの硫酸塩を加えて金属イオン濃度2mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液に撹拌下、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を徐々に滴下して中和することにより、Ni0.7Co0.2Al0.1(OH)2で示される組成を有する三元系の沈殿物を共沈法により生成させた。この沈殿物をろ過により分離し、水洗し、80℃で乾燥し、複合水酸化物を得た。得られた複合水酸化物の平均粒径を粒度分布計(商品名:MT3000、日機装株式会社製)にて測定した結果、平均粒径10μmであった。
この複合水酸化物を大気中にて900℃で10時間加熱して熱処理を行い、Ni0.7Co0.2Al0.1Oで示される組成を有する三元系の複合酸化物を得た。ここでNi、CoおよびAlの原子数の和とLiの原子数とが等量になるように水酸化リチウム1水和物を加え、大気中にて800℃で10時間加熱して熱処理を行うことにより、LiNi0.7Co0.2Al0.12で示される組成を有するリチウムニッケル含有複合金属酸化物を得た。このリチウム含有複合金属酸化物を粉末X線回折にて分析した結果、単一相の六方晶層状構造であると共に、CoおよびAlが固溶していることが確認された。こうして、二次粒子の平均粒径が10μm、BET法による比表面積が0.45m2/gの正極活物質を得た。
(2)正極の作製
上記で得られた正極活物質の粉末100g、アセチレンブラック(導電剤)3g、ポリフッ化ビニリデン粉末(結着剤)3gおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50mlを充分に混合して正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストを厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、正極活物質層を形成した。その後、30mm×180mmのサイズに正極を切り出した。得られた正極において、アルミニウム箔の片面に担持された正極活物質層は、厚み60μm、30mm×180mmのサイズであった。アルミニウム箔の正極活物質層が形成される面とは反対側の面に正極リードを接続した。
(3)負極の作製
図9は、負極活物質層を形成するための蒸着装置40の構成を模式的に示す側面図である。蒸着装置40は、真空チャンバー41、集電体搬送手段42、原料ガス供給手段48、プラズマ化手段49、シリコンターゲット50a、50b、遮蔽板51および図示しない電子ビーム加熱手段を含む。真空チャンバー1は減圧可能な内部空間を有する耐圧性容器であり、その内部空間に、集電体搬送手段42、原料ガス供給手段48、プラズマ化手段49、シリコンターゲット50a、50b、遮蔽板51および電子ビーム加熱手段を収容する。
集電体搬送手段42は、巻き出しローラ43、キャン44、巻き取りローラ45および搬送ローラ46、47を含む。巻き出しローラ43、キャン44および搬送ローラ46、47は、それぞれ軸心回りに回転自在に設けられる。巻き出しローラ43には長尺状の負極集電体21が捲回されている。キャン44は他のローラよりも大径であり、その内部に図示しない冷却手段を備えている。負極集電体21がキャン44の表面を搬送される際に、負極集電体21も冷却される。これによって、合金系負極活物質の蒸気が冷却して析出し、薄膜が形成される。巻き取りローラ45は図示しない駆動手段によってその軸心回りに回転駆動可能に設けられている。巻き取りローラ45には負極集電体21の一端が固定され、巻き取りローラ45が回転することによって、負極集電体21が巻き出しローラ43から搬送ローラ46、キャン44および搬送ローラ47を介して搬送される。そして、表面に合金系負極活物質の薄膜が形成された状態の負極集電体21が巻き取りローラ45に巻き取られる。
原料ガス供給手段48は、珪素または錫の酸化物、窒化物などを主成分とする薄膜を形成する場合に、酸素、窒素などの原料ガスを真空チャンバー41内に供給する。プラズマ化手段49は、原料ガス供給手段48によって供給される原料ガスをプラズマ化する。シリコンターゲット50a、50bは、珪素を含む薄膜を形成する場合に用いられる。遮蔽版51は、キャン43の鉛直方向下方およびシリコンターゲット50a、50bの鉛直方向上方において、水平方向に移動可能に設けられている。遮蔽版51は、負極集電体21表面の薄膜の形成状況に応じて、その水平方向の位置が適宜調整される。電子ビーム加熱手段は、シリコンターゲット50a、50bに電子ビームを照射して加熱し、珪素の蒸気を発生させる。
蒸着装置40を用いて、下記の条件で、負極集電体21表面に、厚さ5μmの負極活物質層(ここではシリコン薄膜)を形成した。
真空チャンバー41内の圧力:8.0×10-5Torr
負極集電体21:長さ50m、幅10cm、厚み35μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル(株)製)
負極集電体21の巻き取りローラ45による巻き取り速度(負極集電体21の搬送速度):2cm/分
原料ガス:供給せず。
ターゲット50a、50b:純度99.9999%のシリコン単結晶(信越化学工業(株)製)
電子ビームの加速電圧:−8kV
電子ビームのエミッション:300mA
さらに、負極集電体21のもう一方の表面にも、上記と同様にして、厚さ5μmの負極活物質層を形成し、負極を作製した。得られた負極を35mm×185mmに裁断し、負極板を作製した。この負極板について、負極活物質層(シリコン薄膜)の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属を蒸着することによって、負極活物質層に初回充放電時に蓄えられる不可逆容量に相当するリチウムを補填した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置((株)アルバック製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を装填し、負極活物質層がタンタル製ボートを臨むように負極を固定し、アルゴン雰囲気内にて、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。これによって、本発明で使用する負極板を得た。
(4)電池の作製
ポリエチレン微多孔膜(セパレータ、商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成(株)製)を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、正極板、ポリエチレン微多孔膜および負極板を重ね合わせた。このものを平板状に捲回し、アルミニウム製正極リードおよびニッケル製負極リードを接続し、図1に示す平板状の捲回型電極群を作製した。この電極群を、アルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入し、電解質を注液した。電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。次に、正極リードおよび負極リードを外装ケースの開口部から外装ケースの外部に導出し、外装ケース内部を真空減圧しながら、外装ケースの開口を溶着させて、リチウムイオン二次電池を作製した。
(5)加圧下での初回充放電
上記で得られたリチウムイオン二次電池について、プレス加圧を行いながら、初回の充放電を行った。加圧は、温度25℃、圧力2×105N/m2、10時間の条件で行った。なお、プレス機の加圧子の加圧面は、捲回型電極群の厚み方向の側面全面によりも面積が大きいものを用い、厚み方向の側面全面を均一に加圧した。また、初回の充放電は、定電流0.2ItAで電池電圧が4.05Vになるまで充電し、次いで、4.2Vで電流値が0.05ItAになるまで充電し、さらに0.2ItAの定電流で電池電圧が2Vに低下するまで放電させることにより実施した。このとき、電池外部に導出した正極リードおよび負極リードはイミドテープで被覆して絶縁し、先端を充電器に接続した。
(実施例2)
負極の作製方法を次のように変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
径50mmの鉄製ロール表面に酸化クロムを溶射して厚さ100μmのセラミック層を形成した。このセラミック層の表面に、レーザー加工により、直径12μm、深さ8μmの円形の凹所である孔を形成し、凸部形成ロールを作製した。この孔は、隣り合う孔との軸線間距離が20μmである最密充填配置とした。この孔の底部は中央部がほぼ平面状であり、底部端部と孔の側面とが繋がる部分が丸みを帯びた形状であった。
一方、全量に対して0.03重量%の割合でジルコニアを含有する合金銅箔(商品名:HCL−02Z、厚さ20μm、日立電線(株)製)を、アルゴンガス雰囲気中、600℃で30分間加熱し、焼き鈍しを行った。この合金銅箔を、2本の凸部形成ロールを圧接させた圧接部に線圧2t/cmで通過させて、合金銅箔の両面を加圧成形し、本発明で使用する負極集電体を作製した。得られた負極集電体の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、負極集電体の表面には凸部が形成されていた。凸部の平均高さは約8μmであった。
負極活物質層は、図9に示す電子ビーム式蒸着装置30と同じ構造を有する市販の蒸着装置((株)アルバック製)を用いて、負極集電体表面に形成された凸部に形成した。蒸着における条件は次の通りである。なお、寸法35mm×185mmの負極集電体を固定した固定台が、水平方向の直線に対する角度α=60°の位置(図6に示す実線の位置)と、角度(180−α)=120°の位置(図6に示す一点破線の位置)との間を交互に角変位するように設定した。これにより、図9に示すような柱状塊が8層積層された柱状の負極活物質層を形成した。この負極活物質層は凸部の頂部および頂部近傍の側面から、凸部の延びる方向に成長していた。
負極活物質原料(蒸発源):ケイ素、純度99.9999%、(株)高純度化学研究所製
ノズルから放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製、
ノズルからの酸素放出流量:80sccm
角度α:60°
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:3分
形成された負極活物質層の厚みTは16μmであった。負極活物質層の厚みは、負極の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、凸部表面に形成された負極活物質層10個について、凸部頂点から負極活物質層頂点までの長さそれぞれを求め、得られた10個の測定値の平均値として求められる。また、負極活物質層に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、負極活物質層を構成する化合物の組成がSiO0.5であることが判った。
次に、負極活物質層の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属を蒸着することによって、負極活物質層に初回充放電時に蓄えられる不可逆容量に相当するリチウムを補填した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置((株)アルバック製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を装填し、負極活物質層がタンタル製ボートを臨むように負極を固定し、アルゴン雰囲気内にて、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。
(比較例1)
正極リードおよび負極リードの取り付け位置を、図1に示す捲回型電極群1の厚み方向の表面1x、1yに変更する以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(試験例1)
(電池容量評価)
実施例1および比較例1のリチウムイオン二次電池について、以下の条件で充放電サイクルを3回繰返し、3回目の放電容量を求めた。結果を表1に示す。
定電流充電:5mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:終止電流0.25mA、休止時間20分。
定電流放電:電流5mA、終止電圧2.5V、休止時間20分。
(充放電サイクル特性)
実施例1および比較例1のリチウムイオン二次電池について、0℃環境下において、電流値480mA(0.2C)で4.2V〜2.5Vの範囲で定電流充放電を行い、0.2C放電での放電容量を調べた。
また、20℃環境下において1680mA(0.7C)で4.2Vまで定電流充電した後、2400mA(1C)で2.5Vまで定電流放電する工程を繰り返した。そして、50サイクル後に、480mAで4.2V〜2.5Vの範囲で定電流充放電を行い、0.2C放電での放電容量を調べた。そして、初期の0.2C放電容量に対する50サイクル後の0.2C放電容量の比をサイクル容量維持率(%)として求めた。結果を表1に示す。
(電池の膨れ)
充放電サイクル特性の試験後の電池について、捲回型電極群の厚みを測定し、電池の膨れの有無を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2009266737
表1から、本発明の構成のようにリードの接続位置を変更することにより、合金系負極活物質を含有する捲回型電極群を用いても、充放電の繰返しに伴う電池の膨れの発生、充放電サイクル特性の低下が顕著に防止されることが明らかである。これに対し、捲回型電極群の厚み方向の側面(捲回型電極の平面部)にリードを接続した場合は、充放電の繰返しに伴う電池の膨れの度合が顕著であり、充放電サイクル特性も大きく低下した。これは、初回の充放電時に、リードの接続部分に大きな圧力が付加され、活物質層が部分的に変形や剥離を起こしたことによるものと推測される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の用途に使用でき、特に、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどの携帯用電子機器の電源として有用である。また、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車などにおいて電気モーターを補助する二次電池、電動工具、掃除機、ロボットなどの駆動用電源、プラグインHEVの動力源などとしての利用も期待される。
本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部の構成を模式的に示す縦断面図である。図1(a)は縦断面図である。図1(b)は上面図である。図1(c)は、別形態の電極群の構成を模式的に示す上面図である。 本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部(電極群)の構成を模式的に示す図面である。図2(a)は縦断面図である。図2(b)は上面図である。図2(c)は、別形態の電極群の構成を模式的に示す上面図である。 本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部(電極群)の構成を模式的に示す図面である。図3(a)は縦断面図である。図3(b)は上面図である。図3(c)は、別形態の電極群の構成を模式的に示す上面図である。 本発明の実施形態の1つであるリチウムイオン二次電池の要部の構成を模式的に示す図面である。図4(a)は、正極集電体または負極集電体の構成を示す上面図である。図4(b)〜図4(d)は電極群の構成を示す上面図である。 本発明で使用する負極の構成を模式的に示す縦断面図である。 図5に示す負極に含まれる負極集電体の構成を模式的に示す斜視図である。 図5に示す負極の負極活物質層に含まれる柱状体の構成を模式的に示す縦断面図である。 電子ビーム式蒸着装置の構成を模式的に示す側面図である。 別形態の蒸着装置の構成を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1,2,3 平板状捲回型電極群
11 正極
12 負極
13 正極リード
14 負極リード
15 正極集電体
16 負極集電体
15a,16a リード取付け部
20 負極
21 負極集電体
22 凸部
23 負極活物質層
23a 柱状体
30 電子ビーム式蒸着装置
40 蒸着装置

Claims (10)

  1. 電極群、正極リードおよび負極リードを含み、
    電極群は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、合金系負極活物質を含有する負極活物質層と負極集電体とを含む負極とをセパレータを介して平板状に捲回した平板状捲回型電極群であり、
    正極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように正極集電体に接続され、
    負極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように負極集電体に接続され、初回の充放電を加圧下に行うリチウムイオン二次電池。
  2. 正極リードおよび負極リードは、電極群の軸線側端部とは反対側の端部において、電極群の軸線を臨むように、正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 電極群の軸線側端部とは反対側の端部において、正極および負極が軸線側に折り曲げられた折り曲げ部を含み、電極群の厚み方向の表面に続く折り曲げ部の表面において、正極リードおよび負極リードは正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 正極集電体および負極集電体は、方形の集電体本体と、集電体本体の軸線側端部とは反対側の端部において集電体本体から外方に延びるように形成されるリード取付け部とをそれぞれ含み、リード取付け部において、正極リードおよび負極リードが正極集電体および負極集電体にそれぞれ接続されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. リード取付け部は、集電体本体から電極群の軸線が延びる方向に突出するように設けられている請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 負極活物質層が、蒸着、スパッタリングまたは化学的気相成長法により形成される請求項1〜5のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 合金系負極活物質が、珪素または錫を含有する合金系負極活物質である請求項1〜6のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 珪素を含有する合金系負極活物質が、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素含有合金および珪素化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 錫を含有する合金系負極活物質が、錫、錫酸化物、錫含有合金および錫化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
  10. 電極群、正極リードおよび負極リードを含み、
    電極群は、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、合金系負極活物質を含有する負極活物質層と負極集電体とを含む負極とをセパレータを介して平板状に捲回した平板状捲回型電極群であり、
    正極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように正極集電体に接続され、
    負極リードは、電極群の厚み方向の表面よりも、電極群の外方に突出しないように負極集電体に接続されるリチウムイオン二次電池に対して、加圧下に初回の充放電を行うリチウムイオン二次電池の製造方法。
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