JP2009256238A - 気相−固相接触反応の反応開始方法 - Google Patents

気相−固相接触反応の反応開始方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、へテロポリ酸触媒を吸湿させることなく反応開始させる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(1)触媒を充填した反応管と、該反応管の外部を循環する熱媒体とで熱交換するシェルアンドチューブ方式の反応器を使用して、有機化合物を原料とする気相−固相接触反応を行うに際し、該反応管にヘテロポリ酸触媒を充填した後、以下の(1)および(2)の方法で反応器全体を熱媒体の融点以上まで昇温させる気相−固相接触反応の反応開始方法。
(1)該反応器をスチームトレーサーおよび/または電気トレーサーにて外部から加熱することにより、反応器全体を70℃以上まで昇温させる。
(2)触媒層の全層内温度が70℃以上に達した後、反応器を熱媒体の融点以上まで昇温させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機化合物を原料とする気相−固相接触反応の反応開始方法に関する。
触媒を充填した反応管と、該反応管の外部を循環する熱媒とで熱交換するシェルアンドチューブ方式の反応器を使用して、有機化合物を気相−固相接触反応により酸化および/または酸化脱水素して、目的物を製造する方法は、古くから知られている。
例えば、プロピレンを気相接触酸化してアクロレインを得る方法、アクロレインを気相接触酸化してアクリル酸を得る方法、イソブチレン等を気相接触酸化してメタクロレインを得る方法、イソブチレン、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒド、イソブタン等を気相接触酸化および/または気相接触酸化脱水素して、メタクリル酸を得る方法等が知られている。
これらのうちメタクリル酸を得る方法では、通常、ヘテロポリ酸系の酸化物を触媒として使用するが、例えばイソブチレン、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒド、イソブタン等を気相接触酸化および/または気相接触酸化脱水素し、メタクリル酸を得る方法において使用されるヘテロポリ酸系触媒は、吸湿性が高く、一旦吸湿すると、その程度にもよるが、再び活性を高めるのは困難である。したがって、その輸送工程での吸湿をさけるための処置はもちろんのこと、反応管に充填した後、反応を開始するまでにおける吸湿を避ける方法が種々提案されている。例えばメタクロレインの気相接触酸化反応によりメタクリル酸を製造する方法における、反応開始方法についてはいくつか報告があり、例えば特許文献1にはヘテロポリ酸触媒を充填した反応管に窒素ガスを流通させながら290℃の反応浴に装入している例が記されている。通常、窒素は水分を含まないため、この方法で触媒の吸湿を防ぐことが出来る。また、瞬時に触媒が吸湿しなくなる温度まで昇温できるため、この点からも吸湿を防止するには確実な方法である。しかしながら、工業的に使用される反応器では、通常、数万本の反応管があるため、これを実施するのは困難である。
特許文献2には100℃から400℃の予熱ガスを流通させて昇温を開始する方法が記されており、予め反応器を十分加熱することで、熱媒体の凝固を防ぎ、迅速に反応を開始する方法が記されている。
特許文献3には触媒層内を相対湿度40%以下にするように空気を導入し、触媒の吸湿を防止する反応開始方法が記されている。ここに記載された方法では、触媒にアルカリ金属を含有するヘテロポリ酸系触媒、いわゆるヘテロポリ酸の部分中和塩触媒を使用し、空気を予熱して反応管に供給する手段が採られている。この方法は、ヘテロポリ酸系触媒の反応開始方法として有用な手段であると言えるが、下記のように本発明者らの検討では、必ずしも満足のいく方法ではなかった。
特開昭60−12134号公報 特開2001−310123号公報 特許第3884967号公報
本発明者らの検討によれば、メタクロレインの気相接触酸化によるメタクリル酸製造用触媒として、実質的にアルカリ金属を含有しないヘテロポリ酸触媒には、触媒寿命が使用条件によりヘテロポリ酸部分中和塩触媒より有利であること、また、水溶性の性質から触媒製造時のハンドリングが容易であるという利点がある。一方、ヘテロポリ酸触媒は吸湿性がヘテロポリ酸部分中和塩触媒より数段高く、公知の方法をもって反応を開始しても触媒が吸湿してしまい、活性を低下させることがあるという問題がある。
本発明者らは、こうした実状のもとで鋭意研究した結果、特許文献3におけるような予熱ガスを使用した昇温方法における触媒の吸湿の原因は、予熱ガスを触媒層入口から出口方向に流通させた場合、予熱ガスの温度と触媒層全体とが熱平衡になるまでの間における吸湿であることを見出した。即ち、予熱ガスによる加熱では、ガス入口側の触媒の温度は高くなるが、出口側に行くに従って温度が低くなるという状態が数時間にわたり続くので、このとき温度が高い触媒(ガス入口側の触媒)から脱離した水分が、温度の低い触媒(ガス出口側の触媒)に吸着して吸湿させてしまうことが活性低下の原因となっている。このような現象は、工業スケールの触媒充填長が数メートルに及ぶ場合に特に顕著に現れる。
本発明者らは、この現象を避けるため、予熱ガスの導入ではなく、反応器を外部から加熱して、触媒層内を触媒が吸湿しなくなる温度まで昇温することにより、このような課題を解決できることを見いだして、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、
(1)触媒を充填した反応管と、該反応管の外部を循環する熱媒体とで熱交換するシェルアンドチューブ方式の反応器を使用して、有機化合物を原料とする気相−固相接触反応を行うに際し、該反応管にヘテロポリ酸触媒を充填した後、以下の1)及び2)の方法で反応器全体を熱媒体の融点以上まで昇温させることを特徴とする気相−固相接触反応の反応開始方法、
1)該反応器をスチームトレーサーおよび/または電気トレーサーにて外部から加熱することにより、反応器全体を70℃以上まで水分不存在下に昇温させる。
2)触媒層の全層内温度が70℃以上に達した後、反応器を熱媒体の融点以上まで水分不存在下または存在下に昇温させる。
(2)原料の有機化合物がイソブチレン、t−ブチルアルコール、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒドまたはイソブタンから選ばれる少なくとも1つの化合物であり、気相−固相接触反応がメタクリル酸の製造を目的とする反応である、上記(1)に記載の反応開始方法、
(3)へテロポリ酸が、触媒成分として実質的にアルカリ金属を含有しないものである、上記(1)または(2)に記載の反応開始方法、
(4)ヘテロポリ酸が、下記一般式:
MoaPbVcAsdCueXfOg
(式中、Mo、P、V、As及びCuは、それぞれモリブデン、リン、バナジウム、砒素および銅を表す。Xは、銀、ジルコニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫、鉛、クロム、ビスマス、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、アンチモンまたはチタンから選ばれる一種以上の元素を表す。各元素記号の右下の添字は各元素の原子比であり、a=10とした時、bは0.1以上で6以下、好ましくは0.3以上で4.0以下、cが通常0.5以上で6以下、好ましくは0.6以上で2.0以下、dが通常0を含む5以下、好ましくは0.1以上で3以下、eが通常0.01以上で5以下、好ましくは0.1以上で3以下、fが通常0を含む5以下、好ましくは0.1以上で3以下であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
で表される、上記(3)に記載の反応開始方法、
に関する。
本発明によれば、ヘテロポリ酸触媒の吸湿を防ぎ、その優れた性能を損なうことなく反応を開始することが出来る。
本発明の反応開始方法は、触媒を充填した反応管と、該反応管の外部を循環する熱媒体とで熱交換するシェルアンドチューブ方式の反応器を使用して、有機化合物を気相−固相接触反応により酸化および/または酸化脱水素して、目的物を製造する方法において、触媒の吸湿を避ける必要がある反応に全般的に適用できる。
その典型的な例として本発明を適用するのに好ましい反応は、イソブチレン、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒドまたはイソブタンから選ばれる少なくとも1つの化合物を原料として、気相接触酸化および/または気相接触酸化脱水素してメタクリル酸を製造する方法が挙げられ、工業的に実用性のあるメタクロレインを気相接触酸化反応させてメタクリル酸を製造する方法が特に好ましい。なお、本発明を適用するのに好ましい反応には、t−ブチルアルコールをイソブチレンと水に分解して該原料として供する反応も含まれる。
以下、この特に好ましい方法を例にとって、本発明を具体的に説明するが、本発明の適用範囲は以下の方法に限定されるものではない。
本発明で使用できる酸化触媒は、メタクロレインを部分酸化してメタクリル酸を得るために使用されるヘテロポリ酸触媒であれば、それ自身公知の触媒が使用できるが、アルカリ金属を実質的に含有しない触媒が好ましく使用できる。アルカリ金属を含有するヘテロポリ酸系触媒は、一般にヘテロポリ酸部分中和塩触媒といわれ、本発明を適用することは充分可能であるが、反応条件によっては、触媒寿命が短いため、本発明の効果が顕著に発現されない場合がある。
本発明において使用可能な好ましい触媒としては、下記一般式:
MoaPbVcAsdCueXfOg
(式中、Mo、P、V、As及びCuは、それぞれモリブデン、リン、バナジウム、砒素および銅を表す。Xは、銀、ジルコニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫、鉛、クロム、ビスマス、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、アンチモンまたはチタンから選ばれる一種以上の元素を表す。各元素記号の右下の添字は各元素の原子比であり、a=10とした時、bは0.1以上で6以下、好ましくは0.3以上で4.0以下、cが通常0.5以上で6以下、好ましくは0.6以上で2.0以下、dが通常0以上で5以下、好ましくは0.1以上で3以下、eが通常0.01以上で5以下、好ましくは0.1以上で3以下、fが通常0以上で5以下、好ましくは0.1以上で3以下であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
で表される触媒が好ましい。
前記において、Xで表される成分の種類及びその使用割合は、その触媒の使用条件等に合わせて、最適な性能を示す触媒が得られるように適宜決定されるが、セリウムまたはアンチモンが特に好ましい。
この酸化触媒の調製方法及び原料については、特に制限はなく、この種の触媒の調製に一般的に使用されている方法及び原料を用いて調製することができ、該調製方法には、原料の水性スラリーの乾燥、酸化物化、必要に応じ粉砕、焼成などの工程が含まれる。
酸化触媒の形状に特に制限はなく、例えば円柱状、打錠状、球状、リング状等の形状が運転条件を考慮して適宜選択可能であるが、球状担体、特にシリカやアルミナ等の不活性担体に触媒活性成分を担持した、粒径3〜6mmの担持触媒が反応成績、除熱効率などの面から好ましい。
本発明においては、触媒をシェルアンドチューブ式反応器の反応管に充填するが、前述したとおりへテロポリ酸触媒は吸湿しやすいため、除湿した空気を流通しながら充填するのが好ましい。充填完了後、昇温開始までは必ずしも除湿ガスを流通させる必要は無く、反応器を密閉すれば触媒の吸湿を防止できる。
本発明においては、先ず反応器を外部から70℃以上まで加熱する。その加熱方法としては、スチームトレーサーおよび/または電気トレーサーによる加熱(トレース)が簡便で好ましい。なお、トレーサーとは、加熱部位に巻き付けて使用する線状ないしテープ状の加熱部材を指し、トレーサーによる加熱をトレースという。場合によってはオイルなどの熱媒体を循環させることも出来る。
この工程は、水分不存在下に行う。なお、本明細書において、「水分不存在下」とは、通常の空気よりも水分存在量が極めて低い状態を指し、例えば加熱中に除湿空気や窒素などの乾燥ガスを流通させることにより水分量を減少させて工程を行う。ここで、除湿空気は、室温付近のガスが好ましく、除湿の程度は露点−8℃以下であれば差し支えない。
触媒が吸湿しなくなる温度は、触媒組成によって多少異なるため、水の吸着等温線データなどを採取して、吸湿しなくなる温度を求めて適宜決定されるが、最低でも70℃以上であり、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上である。
上記の方法で外部から加熱することにより、触媒層内が吸湿しなくなる温度まで昇温されてしまえば、外気をそのまま触媒層に供給することも可能である。
上記の加熱に引き続いて、触媒が吸湿しなくなる温度から、反応器の熱媒体の融点以上まで更なる昇温を行う。この工程は、必ずしもガスを流通させなくても差し支えないが、前記と同様、除湿空気、窒素ガスなどの流通により水分不存在下、あるいは通常の空気流通下、すなわち、水分存在下に行ってもよい。
好ましい熱媒体としては亜硝酸ナトリウム40%、硝酸カリウム53%、硝酸ナトリウム7%の混合物が好ましく、その融点は142℃である。熱媒体の融点は、組成物やその混合比に依存するため、使用する熱媒体の融点を考慮し、反応器の温度が使用する熱媒体の融点まで上がっていれば、外部で加熱した熱媒体を反応器内に供給して更に昇温させることができる。
上記の昇温以後は、公知の方法で反応温度付近まで昇温させた後、原料であるメタクロレイン、空気、水、窒素などを反応器に供給して反応させ、目的とするメタクリル酸を得ることが出来る。本発明において、メタクロレインの供給方法に特に制約は無く、ビスマス−モリブデン系触媒の存在下、t−ブチルアルコール及び/またはイソブチレンを部分酸化してメタクロレイン含有ガスを得(以下、この反応を前段反応と呼び、これに対してメタクロレインの酸化反応の工程を後段反応と呼ぶことがある。)、必要に応じて空気、水を添加して供給しも良いし、前段反応で生成したメタクロレイン含有ガスを急冷して液化させ、蒸留などにより得たメタクロレインと、空気、水、窒素とを反応器に供給しても良い。前者の場合、前段反応用の触媒が水を含んでいることがあるので、前段反応器を同時にスタートする場合には、ヘテロポリ酸触媒層が吸湿しなくなる温度に上昇するまでは前段反応器の出口ガスを後段反応器に流入させないようにする。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
なお下記において転化率及び収率は次の通りに定義される。
・イソブチレン転化率=前段反応で反応したイソブチレンのモル数/前段反応に供給したイソブチレンのモル数×100
・前段反応メタクロレイン収率=前段反応で生成したメタクロレインのモル数/前段反応に供給したイソブチレンのモル数×100
・前段反応メタクリル酸収率=前段反応で生成したメタクリル酸のモル数/前段反応に供給したイソブチレンのモル数×100
・後段反応メタクロレイン収率=後段反応で生成したメタクロレインのモル数/前段反応に供給したイソブチレンのモル数×100
・後段反応メタクリル酸収率=後段反応で生成したメタクリル酸のモル数/前段反応に供給したイソブチレンのモル数×100
・後段反応メタクロレイン転化率=(前段反応メタクロレイン収率―後段反応メタクロレイン収率)/前段反応メタクロレイン収率×100
・後段反応メタクリル酸選択率=(後段反応メタクリル酸収率−前段反応メタクリル酸収率)/(前段反応メタクロレイン収率−後段反応メタクロレイン収率)×100
実施例1
室温の蒸留水10000mlに三酸化モリブデン1000g、85wt%燐酸水溶液92.1g、五酸化バナジウム63.2g、60wt%砒酸水溶液32.9g、酸化第二銅55.5gを仕込み、攪拌しながら95℃まで昇温し、加熱還流しながら95℃で10時間かけて溶解し、赤褐色の溶液を得た。これをスプレードライヤーで乾燥し、触媒顆粒を得た。
得られた触媒顆粒500重量部に、強度向上材70重量部を混合した。これを430重量部の不活性担体(粒径3.5mm)に80重量%エタノール水溶液をバインダーとして担持した。
こうして得た成型物を300℃で5時間焼成しヘテロポリ酸触媒を得た。得られた触媒の平均粒径は4.3mmであった。得られたヘテロポリ酸触媒の、酸素を除く組成比はモリブデン10に対しバナジウム1.0、リンが1.15、砒素が0.2、銅が0.4であった。この触媒を400℃のマッフル炉で3時間加熱した際の重量変化は約1wt%であった。この重量変化はヘテロポリ酸が持つ、結晶水に起因すると考えられる。
外部にスチームトレーサーを備えたシェルアンドチューブ式の反応器に設置され、外径6mmの熱電対を内部に備えた内径28mmのステンレス製反応管に、露点−15℃の乾燥空気を流通させながら、室温でヘテロポリ酸触媒を層高3.5mになるように充填した。充填完了後、乾燥空気の流通を停止し、反応管の上部および下部を密閉し、スチームトレーサーにて反応器全体を80℃まで昇温させた。これと平行して、同じくシェルアンドチューブ式の前段反応器の出口部分を大気に開放しながらビスマス−モリブデン系触媒を充填した前段反応器を180℃まで昇温し、その後、熱媒体を供給して350℃まで昇温させた。
後段反応器のヘテロポリ酸触媒層全体が80℃に達していることを確認した後、さらに142℃まで昇温させ、後段反応器にも熱媒体としての溶融塩を供給した。その後、後段反応器が180℃になったところで前段反応器と後段反応器を直結させ、前段および後段の反応器に露点30℃の空気を流通させながら昇温させ、後段反応器を290℃まで昇温させた。
前段反応にてイソブチレンを原料にし、反応温度350℃、空間速度1200h−1でイソブチレン:酸素:水:窒素=1:2:1.5:11でイソブチレンの部分酸化反応を行ったところ、イソブチレン転化率99.5%、メタクロレイン収率82.1%、メタクリル酸収率2.5%であった。このガスに後段反応器に空間速度=1000h−1、メタクロレイン:酸素:水=1:2.8:4になるように空気および水を追加してメタクロレインの酸化反応を行った。反応温度300℃で後段反応器の出口成分の分析を行ったところ、メタクロレイン転化率77.0%、メタクリル酸選択率82.2%であった。
比較例1
実施例1において、予め後段反応器に熱媒体を張り込み、窒素を流通させながら、290℃に加熱された反応管に触媒を充填したこと以外は実施例1と同様にして、メタクロレインの酸化反応を行い、反応温度300℃で後段反応器の出口成分の分析を行ったところ、メタクロレイン転化率77.2%、メタクリル酸選択率82.1%であった。
以上により、吸湿性の高いヘテロポリ酸触媒を工業的に反応開始させる方法として、反応器全体を触媒が吸湿しなくなる温度まで加熱する方法が有用であることが分る。
比較例2
実施例1において、充填完了後、露点30℃の空気を60℃に予熱し、相対湿度40%以下の予熱空気を得、これを触媒層に連続的に供給しながら反応器を140℃まで昇温し、その後熱媒体を張り込んで290℃まで昇温したこと以外は実施例1と同様にして、メタクロレインの酸化反応を行い、反応温度300℃で後段反応器の出口成分の分析を行ったところ、メタクロレイン転化率72.0%、メタクリル酸選択率83.0%であった。

Claims (4)

  1. 触媒を充填した反応管と、該反応管の外部を循環する熱媒体とで熱交換するシェルアンドチューブ方式の反応器を使用して、有機化合物を原料とする気相−固相接触反応を行うに際し、該反応管にヘテロポリ酸触媒を充填した後、以下の(1)および(2)の方法で反応器全体を熱媒体の融点以上まで昇温させることを特徴とする気相−固相接触反応の反応開始方法。
    (1)該反応器をスチームトレーサーおよび/または電気トレーサーにて外部から加熱することにより、反応器全体を70℃以上まで水分不存在下に昇温させる。
    (2)触媒層の全層内温度が70℃以上に達した後、反応器を熱媒体の融点以上まで水分不存在下または存在下に昇温させる。
  2. 原料の有機化合物がイソブチレン、t−ブチルアルコール、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒドまたはイソブタンから選ばれる少なくとも1つの化合物であり、気相−固相接触反応がメタクリル酸の製造を目的とする反応である、請求項1に記載の反応開始方法。
  3. へテロポリ酸が、触媒成分として実質的にアルカリ金属を含有しないものである、請求項1または2に記載の反応開始方法。
  4. ヘテロポリ酸が、下記一般式:
    MoaPbVcAsdCueXfOg
    (式中、Mo、P、V、As及びCuは、それぞれモリブデン、リン、バナジウム、砒素および銅を表す。Xは、銀、ジルコニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫、鉛、クロム、ビスマス、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、アンチモンまたはチタンから選ばれる一種以上の元素を表す。各元素記号の右下の添字は各元素の原子比であり、a=10とした時、bは0.1以上で6以下、好ましくは0.3以上で4.0以下、cが通常0.5以上で6以下、好ましくは0.6以上で2.0以下、dが通常0を含む5以下、好ましくは0.1以上で3以下、eが通常0.01以上で5以下、好ましくは0.1以上で3以下、fが通常0を含む5以下、好ましくは0.1以上で3以下であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。)
    で表される、請求項3に記載の反応開始方法。
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JP2012236161A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 固定床多管式反応器及び固定床多管式反応器の製造方法

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