JP2009248321A - 気化成分除去装置およびそれを用いた押出機と樹脂溶融体の混練方法 - Google Patents

気化成分除去装置およびそれを用いた押出機と樹脂溶融体の混練方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気化成分を多く含む原料を用いて樹脂を溶融混練させる際に、気化成分を良好に捕集、排出可能な技術を提供する。
【解決手段】樹脂溶融体混練時に発生する有機気化成分を除去する装置であって、有機気化成分の凝縮物を捕集する気化成分除去装置内側壁(1)と堰(2)で形成される溝(3)を有し、かつ、堰(2)と気化成分除去装置内側壁(1)間の角度(α)が鋭角を成すことを特徴とする気化成分除去装置、およびそれを具備した押出機とその押出機を用いた樹脂溶融体の混練方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂溶融体組成物をプラスチック押出機(以下、押出機)で製造する際に生じる気化成分を除去する気化成分除去装置(以下、ベントポートと呼ぶこともある。)と、それを具備した押出機と、成形性等に優れた樹脂溶融体組成物を得るために前記押出機を用いて樹脂溶融体を混練する方法に関する。
押出機においては、原料をバレル内で、スクリューを回転させて可塑化し、強化繊維や粒状フィラーなどを練りこみながら押し出す。押出機の内部で、溶融された原料中に含まれる気化成分や水分等を真空下で除去(以下、脱気と称する。)するため、押出機混錬部分下流にはバレルの内部と外部とを連通するための開口部を有する金属プレート(以下、ベント金物)と、その上部に円筒又は箱状の気化成分除去装置(ベントポート)が連結されている。また、ベントポートには、真空装置が接続されており、ベントポート側面から、押出機内部から発生する気化成分や水分等を排出している。
しかし、気化成分を多量に含む原料を用いて押出機の動作(プラスチック組成物の溶融混練動作)を続けていくうちに、次第にベントポート壁面で凝縮、酸化劣化した異色の揮発性成分の凝縮液が再度押出機内部に流入し、本来の組成物とは異色の樹脂溶融体組成物(以下、ペレットと称することもある。)が生じてしまう。また、ベント金物の開口部に凝縮物及び溶融した樹脂が付着して皮膜を形成し、開口部を閉塞させてしまうこともある。
ベント閉塞が生じると、脱気効率が著しく低下し、このような状態になった押出機により生産したペレットの内部には多量の気化成分が残留し、空隙として現れる。このようなペレットを用いて成形すると、成形物の内部にボイドが発生したり、嵩密度の変化によって成形時の計量時間が遅くなり、成形サイクル遅延が危惧される。更にベント閉塞がひどい場合には、混練をしている樹脂溶融体組成物から脱気ができないために、押し出されるストランドに泡切れが多発し、ペレットの製造自体が困難となる場合もある。このような状態になると、メンテナンスのために押出機の稼動を中断せざるを得ず、生産効率に著しい支障をきたすことになる。
そこで、酸化劣化した気化成分凝縮物の押出機への流入又はベント閉塞を防止するため、特許文献1には、傾斜溝付きのベントポートを加熱する技術、特許文献2には、ベント部に斜めの蓋及び水平な溝を設けて揮発性成分の凝集物が押出機内へ再流入を防ぐ装置が記載されている。また、特許文献3にはベントの閉塞防止のため、スクリューを用いてベント閉塞を形成する部位を押出機内に押し込むようにしたベント装置について記載されている。
特開平19−290384号公報 特開平18−26998号公報 特開昭55−159957号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、気化成分をトラップする溝の形状がL字形になっており、溝の底面部分で気化成分が凝縮し始め、時間経過に伴い酸化劣化した気化成分の凝縮液が再度押出機内に流入したり、凝縮液がトラップ用の溝内部で冷却固化する可能性がある。
特許文献2に記載の技術では、ベント内部の溝が水平であるため、気化成分が多いものを溶融混練する際には凝集物が溝からオーバーフローしてしまい、再度押出機内に凝集液が流入してしまう。更には、真空ポンプによる吸引を行っても、ベントポート内の気流により温度が低下し、溝の内部で流動性が著しく低下して流路を塞いでしまう可能性がある。
また、特許文献3に記載されたスクリューを用いてベント閉塞を形成する部位を押出機内に押し込むようにしたベント装置では、ベント開口面積がスクリューの羽根の面積で奪われて減少してしまい、樹脂溶融体内部の脱気が不十分になり、特に強化繊維や粒状フィラーを多く含む樹脂溶融体組成物を溶融混練する場合には、脱気効率が低下してしまうという問題がある。
そこで本発明の課題は、気化成分を多く含む原料を用いて樹脂を溶融混練させる際に、ベントポート内壁で冷却され液状となった気化成分を途絶えることなく捕集可能な溝を形成し、該溝に適度な熱を持たせ適度な傾斜を付けて流動性を与えることで捕集した凝縮物を系外に排出させることで、異色ペレットの発生抑制および、生産したペレット内部の空隙を減少させ、成形性に優れたペレットを製造できる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る気化成分除去装置は、樹脂溶融体混練時に発生する有機気化成分を除去する気化成分除去装置であって、有機気化成分の凝縮物を捕集する気化成分除去装置内側壁(1)と堰(2)で形成される溝(3)を有し、かつ、堰(2)と気化成分除去装置内側壁(1)間の角度(α)が鋭角を成すことを特徴とするものからなる。
有機気化成分の凝縮物を捕集する溝(3)を、基本的に平坦な溝底面を持たない、気化成分除去装置内側壁(1)と堰(2)で形成される鋭角の溝(3)に構成することにより、捕集される凝縮物に常に適度な流動性を与えることが可能になり、溝の底部で滞留凝縮物が劣化、変色したり、固化したりすることが防止されて、所望の系外への効率のよい迅速な排出が可能となる。その結果、捕集凝縮物が再度押出機内に流入することが防止されて異色ペレットの発生が抑制されるとともに、有機気化成分が適切に除去されて生産したペレット内部の空隙の減少が可能になる。
この本発明に係る気化成分除去装置においては、上記気化成分除去装置内側壁(1)が鉛直方向に延びていることが好ましく、この気化成分除去装置内側壁(1)と堰(2)間に形成される角度(α)が鋭角を成していることが好ましい。気化成分除去装置内側壁(1)が鉛直方向に延びていることにより、捕集される凝縮物は自然に鉛直下方に流下でき、溝(3)内での捕集凝縮物の流動性が良好に維持される。
また、上記溝(3)の延存方向において、該溝(3)に、該溝(3)内に捕集された凝縮物を流動可能とする傾斜が付与されている構成とすることが好ましい。このように構成すれば、溝(3)内に捕集された凝縮物に、傾斜に沿って流動性を付与することが可能になり、捕集された凝縮物がより適切に系外に向けて排出されるようになる。
また、気化成分除去装置外周が加温され、上記堰(2)の先端(4)の温度と上記気化成分除去装置内側壁(1)の温度との差が0〜70℃の範囲にあることが好ましい。このように、本気化成分除去装置部分に適度な熱を持たせておくことにより、より良好な流動性を確保可能となり、凝縮した有機気化成分を再度気化することも期待可能となる。
本発明は、上記のような気化成分除去装置を具備した押出機についても提供する。このような押出機では、樹脂溶融体混練時に有機気化成分を適切に系外に排出、除去するすることが可能になり、所望の優れた特性のペレットを生産することが可能になる。
また、本発明は、このような押出機を用いて樹脂溶融体を混練することを特徴とする樹脂溶融体の混練方法についても提供する。これにより、異色ペレットの発生抑制や、生産したペレット内部の空隙の減少が可能になり、成形性に優れたペレットを製造できるようになる。
本発明によれば、ベントポート内側壁で冷却されることで凝縮した有機気化成分を加熱したベントポート内側壁に伝わらせ、ベントポート内側壁と堰からなる鋭角の溝で凝縮物をトラップすることにより、劣化・変色した気化成分の凝縮物が押出機内に再度流入することで生じる色調異常ペレットの発生を防止できる。また、トラップした溝でも加熱されることで、凝縮した有機気化成分が再度気化することも期待できる。更には、ベント閉塞が発生しなくなるために、押出機内で発生する有機気化成分が連続して樹脂溶融体内部から抜けるため、空隙の少ないペレット得ることができる。従来、これらの問題は一度停機して解消する必要があり、生産効率を低下させるトラブルが生じていたが、本発明によって停機の必要はなくなり、連続生産性も大幅に向上する。また、本発明のベントポートを用いて製造したペレットを射出成形した場合には、異色ペレットおよび内部ボイドが存在しないペレットを得ることが可能となる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の一実施態様に係る気化成分除去装置(ベントポート)を示しており、ベントポートを押出機に設置した状態の横断面を示している。本発明に係るベントポートは、有機気化成分の凝縮物を捕集するためのベントポート内側壁1と堰2により形成される溝3を有する。本実施態様では、ベントポート内側壁1は鉛直方向に延びている。図2は、ベントポートの内側壁1と堰2で形成する溝3の拡大図であるが、ここで溝3は(1)ベントポートの内側壁1と堰2で形成される溝3の角度(α)が、鉛直方向に対して15〜45°の角度を成していること、(2)ベントポート内側壁1の温度と堰2の先端4の温度との温度差が0〜70℃の範囲であることが好ましい。また、ベントポート外側面には、加熱装置5が容易に設置可能であり、伝熱効率を高めるため、突起部分はなるべく少ないことが好ましい。また、溝3は、系外へと延設されているが、この溝3の延在方向において、溝3に、該溝3内に捕集された凝縮物を流動可能とする下方に向けた傾斜βが付与されていることが好ましく、これによって適切にかつ円滑に凝縮物を系外に排出できるようになる。加熱装置5は、排気される有機気化成分の性質により選定が必要であるが、ベントポート外側面を加熱することができる、リボンヒーター、金属式バンドヒーター、ヒーティングケーブル、埋め込み式カートリッジヒーター及びスチーム配管等、どんなものであってもよい。安全面を考慮すると、過昇温防止装置付のジャケットヒーターが好ましい。
図3は、上記のような本発明に係るベントポートが設置される押出機の一例を示している。本発明に係るベントポートの基本構成が、押出機がバレル6内にスクリュー7を有しており、バレル6の内部と外部とを連通する開口部にベント金物8が挿入されて、その上に設置する構成であることから、設置する押出機の基本構成については、従来の押出機と同様の構成でよい。尚、図1及び2では二軸式の押出機を用いた場合を示しているが、もちろん、これに限らず、一軸式のものや多軸式のものを用いても構わない。
本発明を用いて樹脂溶融体組成物を製造する方法においては、バレル6内に原料供給部9から供給された原料は、バレル6の加熱およびスクリュー7の回転により、バレル6の前方に溶融混練されながら運ばれる。その際、バレル6の中途にある副原料供給部10a及び10bから粒状フィラーおよび/または強化繊維を溶融した樹脂溶融体中に供給することが好ましい。そうすることで各原料がバレル6内下流までの間で均一に溶融混練されて樹脂溶融体組成物となる。この樹脂溶融体組成物がベント金物8の開口部8aに達すると、ここで圧力が開放され、樹脂溶融体組成物中に含まれていた有機気化成分等が分離されて開口部8aから排出される。
その際、図4に示す従来のベントポート内部では、外気によって温度低下したベントポートの内側壁11及び天板12に有機気化成分が接触することで気化成分が凝縮し、ベントポート内側壁11を伝ってベント金物13に流下し、いずれベント開口部13aから再度押出機内部に滴下する。また、ベント金物13上で滞留した一部の凝縮物においては、酸化劣化によって、黒色又は茶色の凝縮体となってベント金物13を経て押出機内に滴下し、異色のペレットとして押し出される。また、凝縮体の融点が高いほどベント開口部13a部で気流により冷却固化しやすく、ベント開口部13aに固化物が蓄積され続けるとベント閉塞を起こしてしまう。更には冷却固化した有機気化成分の破片が落下し、未溶融状態のまま押出機の口金まで運ばれ、口金のホールを詰まらせてしまい、ストランドが引けなくなることもある。
ところが、本発明では、ベントポートの外側壁面及び天板部をジャケットヒーター5により外側面から加熱することで、ベントポート内側壁1での有機気化成物凝縮を低減できる。たとえ凝縮したとしてもベントポート内側壁1上に設けた溝3で凝縮物をトラップすることで押出機内部への滴下を防止可能である。また、ベント閉塞においても加熱の効果によりベントポート内部が凝縮物の融点付近に維持されるため、ベント閉塞が低減され、脱気能力を高く保つことができる。
本発明を採用して溶融混練する際には、適用可能な樹脂として、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート(以降PBTと記載)、リキッドクリスタルポリエステル(以下、LCPと記載)及びポリフェニレンサルファイド(以降PPSと記載)などを溶融混練する際に好適に用いることができる。例えば、ナイロンであればベント内部の温度を180〜225℃、PBTの場合は180〜260℃、LCP、PPSの場合は、ベントポート内部温度は好ましくは200〜330℃に維持するよう制御することが好ましい。
また、本発明の樹脂溶融体の混錬方法は、表面処理剤を含む強化繊維および/または粒状フィラーを物の製造にも適している。とくに樹脂溶融体組成物100重量部に対して、強化繊維および/または粒状フィラーを5〜70重量部含有する組成物を製造する際に好ましく適用できる。ここで、強化繊維としては、従来樹脂溶融体組成物の強化繊維として使用されるものが使用でき、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維及びホウ素繊維などの無機強化繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウールなどの有機強化繊維等が挙げられる。また、粒状フィラーとしては、従来樹脂溶融体組成物の粒状フィラーとして使用されるものが使用でき、珪酸鉱物、珪酸塩鉱物や種々の鉱物類を粉砕などの加工により微粉化した板状、針状、および粒状ものが好ましく用いられる。具体例としては、ベントナイト、ドロマイト、モンモリロナイト、バーライト、微粉ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、ドーソナイト、シラスバルーン、クレー、セリサイト、長石粉、タルク、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、カオリン、ゼオライト(合成ゼオライトも含む)、滑石、マイカ、合成マイカおよびワラステナイト(合成ワラステナイトも含む)、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ハイドロタルサイトおよびシリカなどが挙げられる。
本実施例は、本発明のベントポートと図4の従来のベントポート及び特開平19−290384号公報に記載されているベントポートをそれぞれウェルナー社製ZSK−90 R240P押出機に設置し、ベントポート外側壁面に市販のジャケットヒーター5(YAGAMI社製:型式GYG)を設置した後、該部を330℃に加熱しながらPPSにガラス繊維及び炭酸カルシウム等のフィラー成分を30〜70重量部配合した樹脂溶融体組成物を24時間溶融混練して、色差選別機を用いて異色ペレット発生の有無を確認したものである。
結果は、従来のベントポートを用いた場合、4時間後には異色ペレットが発生した。また、特開平19−290384号公報にて作成したベントポートにおいても発生頻度は抑制されているものの20時間で異色ペレットが発生してしまった。一方、本発明のベントポートを使用した場合には1度も異色ペレットの発生は無かった。結果詳細を表1に示す。
Figure 2009248321
本実施例では、本発明のベントポートの堰2の長さを7mmと70mmで堰2を作成し、実施例1と同様にPPSを溶融混練を行った。具体的には、70mmの堰のベントポートで実施し着色ペレット発生時間を測定し、発生した時点で真空ポンプを停止後、ベント装置の上蓋を開け、開放直後に上部から表面温度計(安立計器株式会社製ハンディタイプ温度計:HA-400E)を用いてベントポート内側壁と、堰先端4の温度を測定した。7mmの堰を設けたベントポートについては、運転時間を前記の通りに合わせて実施した。結果を表2に示す。
Figure 2009248321
70mmの堰で異色ペレットが発生したのはベントポート内側壁面と堰先端4の温度差が67℃であった。一方、7mmの堰では前記温度差が17℃であり、低くなるにつれて異色ペレの発生率が低下していくことが判った。内部の凝縮物の状態を目視確認しても、7mmの堰をもったベントポートの方が堰の裏側表面に付着する凝縮物が少ない状態であった。
本実施例のように、5〜50mmの範囲でベントポート内側壁1と堰2を設けることで溝3を形成することと、ジャケットヒーター5をベントポート外側面に設置し、その温度を230〜330℃に維持すれば有機気化成分凝縮物発生が抑制され、異色ペレット発生、更にはベント閉塞を抑制し、空隙が少ない熱可塑性樹脂ペレット作成することができる。
上記実施例で作成したペレットを射出成形する際の一例に係る装置の概略構成図を図5に示す。
射出成形のメカニズムは、原料ホッパー部14に原料を投入し、スクリュー15の回転とバレル16の熱によりノズル17方向に可塑化させつつ樹脂を運搬する。この際、ペレット内の気泡は圧縮され、ノズル17先端方向に追いやられ、樹脂と一緒に外部へ放出される。型締め後、ノズル17を金型18に密着させ、油圧ピストン19によりノズル先端部に充満した可塑化済みの樹脂溶融体20(成形品)が金型18内に射出され金型18内に充満される。
金型18内に充満された後も、樹脂の冷却により収縮するため、型内の充満率を維持するために射出圧力はかけられたままとなる。充満された状態のまま低圧で維持され、金型18中で取り出しに支障のない温度まで冷却固化される。
可塑化の終了とともに、金型18が開き始め、射出装置は後退し、金型18にタッチしていたノズル17は金型18から切り離される。成形片は、成形品突き出し装置21が作動することで金型から分離される。
本実施例は、実施例2で用いたベントポート2種各々で作成したペレットを用い、前記射出成形プロセスで成形品を製造した際の成形品の品質を比較したものである。樹脂溶融体組成物として表3に示す種々のものについて行った結果を示す。
Figure 2009248321
本発明のベントポートを設置せずに作成したペレットは、内部の脱気能力低下により、微細な空隙が多量残留したことによりペレットの嵩密度はフィラー含有量40%の熱可塑性樹脂ペレットで0.648g/cm3、70%含有の該ペレットで0.724g/cm3であった。
このペレットを研磨し、中のボイドの存在を確認したが、ボイドは多量に存在していた。尚、嵩密度の測定は、JIS規格K6721に基づき実施した。
また、該ペレットを用いて成形を試みたが、成形機内部で脱気しきれずに成形片内部にもボイドとして残留した。空隙が成形品内にボイドとして残留すると、成形品の強度低下により客先でのトラブルにつながる。
一方、本発明のベントポートを設置し、ジャケットヒーターをベントポート外側面に巻きつけ、ベント金物の温度を270〜330℃に保持して作成した熱可塑性樹脂ペレットは、断面観察の結果ペレット内部の空隙が非常に少なくなっており、嵩密度はそれぞれ0.742(フィラー含有量40%)及び0.833 g/cm3(フィラー含有量70%)であり、嵩密度が高くなった。該ペレットを用いて成形した場合においても、成形片内部のボイドはほとんど存在していなかった。
なお、本実施例で用いた熱可塑性樹脂組成物は以下の通りである。
・東レ(株)製PPS:A305MX01(ガラス繊維45%、炭酸カルシウム5%)
・東レ(株)製PBT:1101GX65B(ガラス繊維40%)
・東レ(株)製ナイロン:CM3001RHB1(ガラス繊維15%、ワラステナイト25%)
本発明に係る気化成分除去装置およびそれを用いた押出機と樹脂溶融体の混練方法は、樹脂溶融体組成物を製造する際に生じる気化成分を除去することが要求されるあらゆる用途に適用できる。
本発明の一実施態様に係る気化成分除去装置(ベントポート)を押出機に設置した状態の横断面図である。 図1の装置の部分拡大断面図である。 本発明の一実施態様に係る気化成分除去装置(ベントポート)を設置した押出機の概略縦断面図である。 従来のベントポートの横断面図である。 本発明を適用した射出成形機の概略縦断面図である。
符号の説明
1 ベントポート内側壁
2 堰
3 溝
4 堰の先端
5 加熱装置
6 バレル
7 スクリュー
8 ベント金物
8a 開口部
9 原料供給部
10a、10b 副原料供給部
14 原料ホッパー部
15 スクリュー
16 バレル
17 ノズル
18 金型
19 油圧ピストン
20 可塑化済み樹脂溶融体(成形品)
21 成形品突き出し装置

Claims (6)

  1. 樹脂溶融体混練時に発生する有機気化成分を除去する気化成分除去装置であって、有機気化成分の凝縮物を捕集する気化成分除去装置内側壁(1)と堰(2)で形成される溝(3)を有し、かつ、堰(2)と気化成分除去装置内側壁(1)間の角度(α)が鋭角を成すことを特徴とする気化成分除去装置。
  2. 前記気化成分除去装置内側壁(1)が鉛直方向に延びている、請求項1に記載の気化成分除去装置。
  3. 前記溝(3)の延存方向において、該溝(3)に、該溝(3)内に捕集された凝縮物を流動可能とする傾斜が付与されている、請求項1または2に記載の気化成分除去装置。
  4. 気化成分除去装置外周が加温され、前記堰(2)の先端(4)の温度と前記気化成分除去装置内側壁(1)の温度との差が0〜70℃の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の気化成分除去装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の気化成分除去装置を具備したことを特徴とする押出機。
  6. 請求項5に記載の押出機を用いて樹脂溶融体を混練することを特徴とする樹脂溶融体の混練方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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