JP2009245794A - リチウムイオン二次電池用負極及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質としてSnCo合金を用いたリチウム二次電池用負極の容量維持率を改善する。
【解決手段】銅又は銅合金箔と、その表面に形成されたSnCo合金層とを有するリチウムイオン二次電池用負極であって、該銅又は銅合金箔は、銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材を被覆する複数の金属粒子を有する第1層と、各金属粒子を直接又は間接的にそれぞれ被覆する該金属粒子よりも径の小さな複数の突起を有するNiSn合金からなる最外層とを備えているリチウムイオン二次電池用負極。
【選択図】図2

Description

本発明はリチウムイオン二次電池用負極及びその製造方法に関し、より詳細には活物質層としてSnCo合金を、集電体として銅箔を用いたリチウムイオン二次電池用負極及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は高い電圧が得られ、エネルギー密度も高いことからノートパソコン、携帯端末及び医療機器等の電子機器として利用されおてり、更には自動車の駆動用電池として有望であり、多くの機関で研究開発が活発に行われている。リチウムイオン二次電池は、電解質中のリチウムイオンがセパレータによって絶縁された正極と負極の間を移動することによって充放電を繰り返す仕組みを基本とし、この仕組みを高いサイクル特性で実現できる正極、電解質及び負極の材料を見出すことが重要である。
リチウムイオン二次電池に使用する負極は銅箔を材料とする集電体とその上に形成された活物質層によって構成されるのが一般的である。負極の活物質層の材料として、従来は炭素材料を使用することが主流であったが、最近ではケイ素やスズを使用することも検討されている。これらの金属は充放電反応の際にリチウムを合金化することによりリチウムを吸蔵し、炭素材料に比べて数倍から数十倍の容量を有することができる。しかし、リチウムと合金化する金属を負極材料として用いると、リチウムの吸蔵及び放出に伴う活物質層の膨張及び収縮が激しく、活物質が微粉化して集電体から脱離するため、電池の寿命が短いという問題があった。
そこで、特開2002−373647号公報では、リチウムと合金化する金属に加えて、リチウムと合金化しないFeやCo等の金属を合金薄膜(活物質層)中に含ませることで、充放電時の活物質層の体積膨張及び収縮を制限し、サイクル特性の劣化を防止することが提案されている。該公報には、合金薄膜を厚み方向に形成された切れ目によって島状に分離することで、充放電反応時の合金薄膜の体積変化が周囲空間によって吸収され、サイクル特性が向上することも記載されている。このような切れ目は表面に凹凸を有する集電体上に合金薄膜を形成することで得られる。
また、サイクル特性の向上には、活物質層と集電体が強固に密着していることも重要である。そこで、集電体となる銅箔の表面に凹凸を形成する表面処理(粗化処理)を予め施すことが一般に行われている。粗化処理の方法としては、ブラスト処理、粗面ロールによる圧延、機械研磨、電解研磨、化学研磨及び電着粒のめっき等の方法が知られており、これらの中でも特に電着粒のめっきは多用されている。この技術は、硫酸銅酸性めっき浴を用いて、銅箔表面に樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて微細な凹凸を形成し、投錨効果による密着性の改善を狙っている。微細な凹凸は、体積変化の大きな活物質の膨張時に活物質層の凹部に応力を集中させて亀裂を形成せしめ、集電体界面に応力が集中することによる剥離を防ぐ効果もある。
しかしながら、硫酸銅酸性めっき浴によって得られた粗化粒子は、不均一で粗度が高いという問題があった。すなわち、リチウムイオン二次電池の場合、特に理論容量の大きな合金系負極活物質を用いた負極では充放電による体積変化が大きいが、このとき粗化粒子の粗度が高いと集電体界面への応力集中が緩和されるので、応力集中による剥離を有効に防止することができる。しかしながら、粗化粒子の粗度が高いと逆に投錨効果が弱くなり、集電体銅箔と負極活物質の高い密着性が得られなくなってしまう。
そのため、例えば特開2006−299291号公報においては、短時間で、粗化粒子の脱落危険性のない均一な粗化粒子が得られ、低粗度で、高い密着力を有し、薄箔に対する通箔性を向上させた銅箔を製造するのに適した表面処理方法(粗面化処理方法)を提供することを目的として、フェナントロリンやピリジル等の複素環式化合物を含有する硫酸酸性溶液を粗化処理液として用い、これに銅箔を限界電流密度以上で陰極処理することによって銅箔表面に銅の突起状電着物を形成する方法が記載されている。
特開2002−373647号公報 特開2006−299291号公報
以上のような背景の下、本出願人は未公開の特願2007−092230において、銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材の少なくとも一部を直接又は間接的に被覆するNiSn合金層とを備えた積層銅箔であって、該NiSn合金層は最外層を形成すると共に複数の針状又は柱状の突起を有する積層銅箔を開示し、この積層銅箔を用いてリチウム二次電池用負極を構成することを提案している。この発明は、銅箔上に順に形成されたNiとSnの2層めっきをリフロー処理した後に、表面の残留Sn層を電解除去して得られるNiSn合金層の表面が、低粗度性と密着性を両立できることを見出したことに基づくものである。参考用に、残留Sn除去前のNiSn合金層断面のSEM写真(倍率10,000倍)を図1に示す。
上記の先願発明によれば、活物質層との高い密着性を有する銅箔が得られる。しかしながら、リチウム二次電池用負極集電体として用いたとき、充放電による負極活物質の体積変化に起因する集電体界面への応力集中を緩和する能力が充分ではないため、充放電を繰り返すと集電体からの負極活物質の剥離が進行することによる容量低下が見られ、容量維持率については未だ改善の余地があった。特に、容量維持率の改善手段が負極活物質として有望視されているSnCo合金を用いた負極に対して有効に働けば、リチウムイオン二次電池の性能向上に大きく貢献すると考えられる。
そこで、本発明は活物質としてSnCo合金を用いたリチウムイオン二次電池用負極の容量維持率を改善することを課題とする。また、本発明はそのようなリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を提供することを別の課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、銅又は銅合金箔基材表面に複数の粗大な金属粒子を付着させ、次いで、該金属粒子それぞれの表面にNiめっき層及びSnめっき層を順に形成した後に残留Snめっき層を除去すると、粗大な金属粒子の上に微細な多数の突起が露出することを見出した。そして、このような表面構造をもつ銅又は銅合金箔は負極活物質との密着性を有し、且つ、活物質膨張時の集電体界面への応力集中を緩和することが可能であるため、リチウム二次電池用負極集電体として利用したときに容量維持率が向上することを見出した。粗大な金属粒子が活物質膨張時の集電体界面への応力集中を緩和する一方で、微細な突起が負極活物質との高い密着性を与えると考えられる。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅又は銅合金箔と、その表面に形成されたSnCo合金層とを有するリチウムイオン二次電池用負極であって、該銅又は銅合金箔は、銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材を被覆する複数の金属粒子を有する第1層と、各金属粒子を直接又は間接的にそれぞれ被覆する該金属粒子よりも径の小さな複数の突起を有するNiSn合金からなる最外層とを備えているリチウムイオン二次電池用負極である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の一態様においては、前記SnCo合金層の膜厚が充電前に1〜15μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の別の一態様においては、前記SnCo合金層のCuXαを用いたX線回折の最大ピークの半値幅が0.2〜0.6°である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記金属粒子はCuからなる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起により被覆されている金属粒子の平均径が2〜15μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起により被覆されている金属粒子のうち径1μm以上のものが100μm2当たり0.3〜50個存在する。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記金属粒子はCuからなる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起の平均径が0.1〜3μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、前記最外層の平均厚みが0.1〜2μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起のうち径0.1μm以上のものが金属粒子1個当たり10個以上存在する。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記銅又は銅合金箔は、第1層と最外層の間にNi層が形成されている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記Ni層は平均厚みが0.2〜1.5μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の更に別の一態様においては、前記SnCo合金層が湿式めっきにより形成されている。
本発明は別の一側面において、銅又は銅合金箔基材上に複数の金属粒子を付着させる工程1と、該金属粒子の表面にNiめっき層を形成する工程2と、該Niめっき層上にSnめっき層を形成する工程3と、該Niめっき層及びSnめっき層の界面に熱処理によってNiSn合金層を形成する工程4と、残留Snめっき層を除去する工程5とを行うことにより銅又は銅合金箔を製造し、次いで、得られた銅又は銅合金箔の表面にSnCo合金層をめっきする工程6を行うこと含むリチウムイオン二次電池用負極の製造方法である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の一態様においては、工程1で付着させた金属粒子の平均径は1〜10μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の別の一態様においては、工程2で形成されるNiめっき層は平均厚みが0.4〜2μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の更に別の一態様においては、工程3で形成されるSnめっき層は平均厚みが1μm以上である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の別の一態様においては、前記熱処理はリフロー処理である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の別の一態様においては、工程5は電解研磨により行われる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の別の一態様においては、工程6は湿式めっきにより行う。
本発明によって、容量維持率の高いリチウムイオン二次電池用負極集電体が得られる。
銅又は銅合金箔
本発明によれば、銅又は銅合金箔基材は複数の金属粒子を有する第1層によって被覆されている。そして、各金属粒子は直接又は間接的に該金属粒子よりも小さなNiSn合金からなる複数の突起を有する最外層によって被覆されている。その結果、本発明に係る銅又は銅合金箔の表面には大きく分けて、金属粒子の大きさに起因した粗大凹凸群と、突起の大きさに起因した微細凹凸群の二種類の凹凸群が混在する幾何学的形状が形成されている。
このうち、粗大凹凸群は負極活物質への投錨効果は低いが、活物質膨張時の集電体界面への応力集中を緩和する効果が高い。理論によって本発明が限定されることを意図しないが、これは粗大な凹凸が活物質層表面に反映されることで、充電時の活物質膨張時に負極凹部に応力が集中し膜厚方向に亀裂が入って活物質層が柱状に分断され、隙間が生じることにより、活物質と集電体界面での膨張時の応力集中が軽減し活物質が剥離しにくくなるからであると考えられる。一方、微細凹凸群は活物質膨張時の集電体界面への応力集中を緩和する効果は低いが、負極活物質への投錨効果が高い。よって、粗大凹凸群と微細凹凸群の両方を兼ね備えた本発明に係る銅又は銅合金箔は、負極活物質との密着性が高く、活物質膨張時の集電体界面への応力集中も緩和することが可能である。
本発明に使用する銅又は銅合金箔基材は電解銅箔及び圧延銅箔の何れを用いてもよく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば、圧延銅箔は特に高強度や耐屈曲性が要求される場合に使用するとよい。リチウムイオン二次電池用負極の集電体として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高容量の電池を得ることができるが、薄肉化すると強度低下による破断の危険性が生じることから、このような場合には電解銅箔よりも強度に優れている圧延銅箔を使用するのが好ましい。
銅又は銅合金箔基材に使用する銅又は銅合金の種類には特に制限はなく、電池の要求特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、限定的ではないが、高純度の銅(無酸素銅やタフピッチ銅等)の他、Sn入り銅、Ag入り銅、Ni、Si等を添加したCu−Ni−Si系銅合金、Cr、Zr等を添加したCu−Cr−Zr系銅合金のような銅合金が挙げられる。
銅又は銅合金箔基材の厚みも特に制限はなく、電池の要求特性に応じて適宜選択すればよい。一般的には1〜100μmであるが、リチウムイオン二次電池用負極の集電体として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高容量の電池を得ることができる。そのような観点から、典型的には2〜50μm、より典型的には5〜20μm程度である。
粗大凹凸群は大きすぎると応力分散が不十分になり、小さすぎると活物質凹部へ応力が集中しないことから、突起により被覆されている金属粒子の平均径は、好ましくは2〜15μmであり、より好ましくは3〜12μmであり、更により好ましくは5〜10μmである。ここで、「突起により被覆されている金属粒子の粒径」とは突起も含めて個々の金属粒子を囲むことのできる最小円の直径のことを指し、その平均値を「突起により被覆されている金属粒子の平均径」とする。該平均径は本発明に係る銅又は銅合金箔を表面からSEM観察することによって測定することができる。
突起により被覆されている金属粒子の個数密度は、個々の金属粒子の大きさにもよるが、高すぎると金属粒子の大きさが小さく、活物質膨張時の応力が分散しすぎるため、応力緩和に必要な活物質の亀裂が発生しない。逆に個数密度が低すぎると金属粒子の大きさが大きくなるため、凹凸が小さく厚みが厚い層になってしまう。そのため、活物質膨張時の応力が適度に分散し、凹凸が大きく、厚さが薄い個数密度を有するのが好ましい。本発明においては、突起により被覆されている金属粒子は、径1μm以上のものが典型的には100μm2当たり0.3〜50個存在し、より典型的には1〜40個存在し、更により典型的には2〜30個存在する。突起により被覆されている金属粒子の個数密度は本発明に係る銅又は銅合金箔を表面からSEM観察することによって測定することができる。
粗大凹凸群を形成する基盤となる金属粒子の材料としては、特に制限はないが、導電率、コスト等の理由により、Ni、Cu、Ag、Feが好ましく、Ni、Cuがより好ましく、Cuが更により好ましい。
NiSn合金からなる最外層の突起は通常針状又は柱状である。複数の突起が形成する微細凹凸群が投錨効果を示し、負極活物質との密着性向上に寄与する。突起の径が大きくなると粗度が高くなり、小さくなると粗度は低くなる。粗度は高すぎても低すぎても充分な投錨効果が得られず、樹脂との密着性が不充分となる。そこで、該突起の平均径は好ましくは0.1〜3μmであり、より好ましくは0.1〜1.5μmであり、更により好ましくは0.2〜1.2μmである。かかる範囲の平均径をもつ突起は脱落も生じ難い。本発明においては、突起の径とは、SEMで箔表面を観察したときに一つ一つの突起の凸部を取り囲むことのできる最小円の直径のことであり、その平均値を突起の平均径とする。例えば針状や柱状の突起の場合は針や柱の直径が突起の径に相当する。針状の場合、先端と付け根では径が異なる場合があるが、そのような場合は観察可能な針の長さの半分ところにおける径を採用する。また、突起が塊状の場合や突起同士が結合する場合等、正確に径を測定できない場合もあるが、突起同士の境界を全く見出せないものに限り一つの突起として扱い、境界が少しでも見出せるものは別々の突起と扱うこととする。
後述するように、突起は隣接するNi層とSn層の界面に熱を加えて拡散反応を起こすことによって形成することができるが、NiSn合金層が厚くなるにつれて突起同士が結合して一体化するため、突起が粗大化していく。一方、NiSn合金層が薄く、突起が未発達の状態にあるときは充分な投錨効果が得られず、負極活物質との密着性が不充分となる。そのため、NiSn合金層の平均厚みは0.1〜2μmであるのが好ましく、0.2〜1μmであるのがより好ましい。本発明においては、NiSn合金層の平均厚みとは蛍光X線分析でSn層の厚みとして測定された値をいう。NiSn層は突起の形態であるため、断面をSEMにより観察しても厚みを客観的に測定するのが困難だからである。
突起を箔表面からSEM観察すると、径0.1μm以上のものが金属粒子1個当たり一般的に10個以上存在し、典型的には20〜400個存在し、より典型的には30〜300個存在する。径0.1μm以上のものだけ数えることとしたのは、0.1μm未満のものはカウント困難なためである。NiSn合金層をNi層とSn層の界面に拡散反応によって形成する場合、突起の数は突起の径が大きくなると少なくなり、突起の径が小さくなると多くなる傾向にある。なお、上記の突起の個数密度はあくまで箔表面から観察できる突起を数えて得られる値を指し、1個当たりに実際に存在する突起の数ではない。
第1層は間接的に最外層によって被覆されていてもよく、その場合は第1層と最外層の間に中間層が挟まれる。中間層は一般的に金属層であり、典型的にはNi層である。Ni層は耐食性を向上させる働きがある。Ni層の平均厚みは好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.4μm以上である。厚くなると金属粒子に起因する凹凸の度合いが低下することや、得られる銅箔全体の厚みを抑える観点や経済性の観点から、1.5μm以下とするのが一般的であり、1μm以下とするのが好ましい。Ni層の平均厚みは箔断面をSEM観察することによって測定することができる。
SnCo合金層
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極においては、上記の銅又は銅合金箔の片面又は両面にSnCo合金層が設けられる。SnCo合金層は活物質としての役割を果たす。Snは充電時にリチウムと合金化することでリチウムを吸蔵することができる。一方、Coはリチウムと合金化しないが、Coが存在することによって、充放電反応における活物質の膨張及び収縮を緩和することができる。
また、CoはSnと特定の比率で化合した特定の結晶構造を有する金属間化合物を形成し得る。SnCo合金層中で、CoとSnは結晶性の金属間化合物を形成していてもよいが、結晶性が強くなるとSnによるリチウムの吸蔵能力が低下する傾向にあるので、その割合は低い方がよく、非晶質であるのがより好ましい。充放電に伴う活物質の膨張時に結晶粒界からの亀裂が入ることで活物質同士が分断され、導電率が低下してサイクル特性が悪化する。一方、非晶質では原子間隙間が結晶状態のものより大きく、充電に伴う原子の移動が容易であるため活物質に亀裂が入りにくく、サイクル特性が良好である。ただし、完全に非晶質であると応力を緩和する亀裂が入りにくいため、応力が集電体と活物質層間に集中し、活物質層が剥離することがあり、完全な非晶質の場合にはサイクル特性が悪化する可能性がある。SnCo合金層が非晶質であるかの確認はX線回折のピーク幅により行うことができ、本発明においてはCuKαを用いたX線回折の活物質層の最大ピークの半値幅が0.6°超える場合を結晶性として、0.6°以下の場合を非晶質とする。結晶性の度合いは0.2〜0.6°が好ましく、0.2〜0.55°がより好ましく、典型的には0.3〜0.5°である。結晶性を制御するために熱処理をしても良い。
SnCo合金層中で、リチウムと合金化しないCoの比率が高くなり過ぎると電池容量が小さくなる。一方、SnCo合金層中のCoの比率が低くなり過ぎると今度は活物質の膨張及び収縮の緩和効果が得られなくなるので、SnCo合金層中のCoの量はSnに対するモル比で表して、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%である。これはICPによる分析によって測定することができる。
SnCo合金層中には電池特性に悪影響を与えない範囲でその他の元素が含まれていてもよい。例えば、In、Mg、Ti,Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zr及びMoはSnCo合金層全体に対して合計で10重量%程度まで含まれていてもよい。
SnCo合金層の厚みは、厚いほど集電体単位面積あたりの充放電容量が大きくなるが、サイクル特性が低下する傾向があるので、充電前の平均厚みで1〜15μmとするのが好ましく、4〜12μmとするのがより好ましく、5〜10μmとするのが更により好ましい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法
本発明に係る銅又は銅合金箔は、銅又は銅合金箔基材上に複数の金属粒子を付着させる工程1と、該金属粒子の表面にNiめっき層を形成する工程2と、該Niめっき層上にSnめっき層を形成する工程3と、該Niめっき層及びSnめっき層の界面に熱処理によってNiSn合金層を形成する工程4と、残留Snめっき層を除去する工程5とを行うことにより銅又は銅合金箔を製造し、次いで、得られた銅又は銅合金箔の表面にSnCo合金層をめっきする工程6を行うことによって、製造可能である。
銅又は銅合金箔基材に金属粒子を付着させる部分は必要に応じて選択すればよく、特に制限はないが、例えば銅又は銅合金箔基材の片面又は両面に付着させることができ、側面(厚み部分)も含めて全面に付着させることもできる。部分的に付着させる方法は当業者に知られている任意の技術を使用することができる。例えば、付着させない部分をテープ等でマスキングし、残部をめっきする方法がある。
銅又は銅合金箔基材上に複数の金属粒子を付着させるには公知の任意の方法を用いることが出来、例示的には電気ニッケルめっきや無電解ニッケルめっきのような湿式めっき、或いはCVDやPVDのような乾式めっきにより施すことができる。コスト、生産性の観点からCuめっきが好ましく、硫酸銅酸性めっき浴でのヤケめっき、カブセめっき等により電着させる方法が用いられる。付着した金属粒子は最終的に得られる粗大凹凸群の基盤となることから、1〜10μmの平均径とするのが好ましく、1〜5μmとするのがより好ましい。金属粒子の粒径は個々の金属粒子を囲むことのできる最小円の直径のことを指すこととし、その平均値を「金属粒子の平均粒径」とする。該平均粒径は工程1を経た後の銅又は銅合金箔基材を表面からSEM観察することによって測定することができる。金属粒子の粒径はめっき時間を変えることによって制御することが可能であり、例えば粒径を大きくしたい場合にはめっき時間を長くし、逆に粒径を小さくしたい場合にはめっき時間を短くすればよい。
「Niめっき」にはNiめっきのほか、例えばNi−P合金、Ni−Pd合金、Ni−Co合金、Ni−Sn合金のようなニッケル合金めっきも含まれる。これらの中でもめっき速度が早い、コストが低い等の理由から特にNiめっきが好ましい。例示的には、電気ニッケルめっきや無電解ニッケルめっきのような湿式めっき、或いはCVDやPVDのような乾式めっきにより施すことができる。本発明では膜厚が数μmと比較的厚いため、CVDやPVDのような乾式めっきよりも成膜速度の速い湿式めっきが好ましい。また、液管理、コスト、時間等の観点から電気めっきがより好ましい。
また、本発明に係るNiSn合金層は隣接するNiめっき層とSnめっき層の界面に熱を加えて拡散反応を起こすことによって生成させることができるが、熱処理条件やNi層の厚みに応じて熱処理後にNi層が残留する場合と残留しない場合がある。Ni層が残留しない場合というのは、SnがNi層の厚みを超えて第1層の方にも拡散している状態といえ、こうなってしまうと第1層とNiSn合金からなる最外層の密着性が弱くなる。そこで、工程2で施すNiめっき層の厚みは熱処理後にNi層を残留させる観点から平均厚みで0.4μm以上とするのが好ましく、0.8μm以上とするのがより好ましい。Niめっき層が厚くなると金属粒子に起因する凹凸の度合いが低下することや、得られる銅箔全体の厚みを抑える観点や経済性の観点から、2μm以下とするのが好ましく、1.5μm以下とするのがより好ましい。そこで、Niめっき層の平均厚みは好ましい一実施形態において0.4〜2μmであり、より好ましい一実施形態において0.6〜1.5μmである。Ni層の平均厚みは工程2を経た後の銅又は銅合金箔基材を断面からSEM観察することによって測定することができる。
「Snめっき」はNiめっきの後に施され、例えば電気Snめっきや無電解Snめっきのような湿式めっき、或いはCVDやPVDのような乾式めっきにより施すことができる。本発明では膜厚が数μmと比較的厚いため、CVDやPVDのような乾式めっきよりも成膜速度の速い湿式めっきが好ましい。また、液管理、コスト、時間等の観点から電気めっきがより好ましい。Snめっき層の厚みは薄すぎると熱処理後にSn層が表面に残留せず、NiSn合金層が表面にまで達することとなる。こうなると針状又は柱状の突起構造をもつNiSn合金層は得られない。そこで、工程3で施すSnめっき層の厚みは後に除去することも考慮して1μm以上とするが好ましく、1.5μm以上とするのがより好ましい。Snめっき層が厚くなる分には特に支障はないが、後に除去する分が増加して無駄になるため4μm以下とするのが好ましく、3μm以下とするのがより好ましい。そこで、Snめっき層の平均厚みは好ましい一実施形態において1〜4μmであり、より好ましい一実施形態において1.5〜3μmである。Sn層の平均厚みは工程3を経た後の銅又は銅合金箔基材を断面からSEM観察することによって測定することができる。
上記のようにして得られたNiめっき層及びSnめっき層に熱を加えるとその界面に拡散反応が生じて針状又は柱状の突起を複数有するNiSn合金層を形成することができる(工程4)。加熱温度はNiとSnの拡散反応が生じる温度であれば制限はないが、あまり低いと拡散反応に長時間を要し、逆に高すぎるとNiSn合金層の成長が速くなって層厚の制御が困難となる。そこで、一般にはSnの融点である232℃から500℃までの温度で行うリフロー処理が好ましい。典型的には250〜400℃の温度でリフロー処理を行う。目安として、300℃×30sとして加熱したときのNiSn合金層の厚みは約0.3μmとなる。NiSn合金層の好ましい厚みは先述したとおりである。
針状又は柱状の突起は加熱の際の温度及び時間を変化させることによって成長の度合いを制御することが可能であり、微細な構造を求める場合には低温で短時間加熱し、粗大な構造を求める場合には高温で長時間加熱すればよい。
工程5では、表面に残留しているSn層を除去する。これによって、工程4で形成された突起を露出することができる。Snの除去方法としては、特に制限はないが、硫酸等の酸化剤を含有する研磨液に浸漬して溶かす化学研磨や、これに更に電流を流して電解研磨する方法がある。研磨液に単に浸漬する方法ではSnがなくなるところがわかり難いため、Snが残留する場合や、逆にNiSn層まで溶かしてしまう場合がある。その点、電解除去では、酸に浸漬することは同じだが、電流をかけることによってSnが溶けきってNiSn層が表れるタイミングが、電圧をモニターすることで容易に判断可能である。例えば、一定電流で電圧をモニターしていると、急激にSnが溶け終わった時点で急激に電圧が変化する。その変化が終了した直後に電流を停止することで、Snのみを除去することが可能である。そのため、電解研磨により残留Sn層を除去するのが好ましい。
工程1〜5を経て得られた銅又は銅合金箔の表面には、金属粒子の大きさに起因した粗大凹凸群と、突起の大きさに起因した微細凹凸群が形成されている。次いで、この銅又は銅合金箔の表面にSnCo合金めっきを施すことでSnCo合金層が形成される。SnCo合金層を形成する箇所は負極活物質として作用できる限り特に制限はないが、一般には片面又は両面に形成することができ、側面(厚み部分)も含めて全面に形成してもよい。
SnCo合金めっきは、電気めっきや無電解めっきのような湿式めっき、或いはCVDやPVDのような乾式めっきにより施すことができる。本発明では膜厚が数μmと比較的厚いため、CVDやPVDのような乾式めっきよりも成膜速度の速い湿式めっきが好ましい。また、液管理、コスト、時間等の観点から電気めっきがより好ましい。
SnCo合金層中のSn及びCoの比率は、めっき液中の濃度や電流密度を調節することにより変化させることができる。また、SnCo合金層はめっき液を塩化物浴やシアン浴にすると結晶化しやすく、めっき液をピロリン酸浴にすると非晶質となりやすい。そのため、非晶質のSnCo合金層を得るためには、ピロリン酸浴を用いてめっきするのがよい。めっきの厚みは主としてめっき時間により制御することができる。
リチウムイオン二次電池を構成する基本的要素としては、負極の他に正極、電解質及びセパレータがあるが、これらは当業者に知られた任意の材料を使用すればよい。限定的ではないが、例えば、正極には、集電体としてアルミニウム箔を用い、活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物を用いることができる。電解質は一般に非水系であり、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はジエチルカーボネート(DEC)を用い、溶質として六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムなどのリチウム塩を用いることができる。セパレータには、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンの多孔質膜を用いることができる。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例:No.1〜No.8
試験片としてCu−3.0Ni−0.65Si−0.15Mgの組成を有する60mm×45mm×18μmの寸法の銅合金箔基材(日鉱金属社製圧延銅箔:品名C7025)を用意した。該試験片をアルカリ脱脂及び酸洗した後に、硫酸銅浴中で基材全面にCuめっきを行った。Cuめっきは下地めっき2.3A/dm2×118s、粗化めっき4.6A/dm2×77s、カブセめっき2.3A/dm2×94sの順で実施した。次に、スルファミン酸浴中で基材全面にNiめっきを行い、次いでメタンスルホン酸浴中で基材全面にSnめっきを行った。
これらの試験条件を表1に示す。ただし、サンプルNo.5に関してはNiめっき厚を厚くするために5A/dm2×240sの条件にした。
その後、該試験片をフラックス液に浸漬することで表面酸化層を除去した後に、該試験片をホットプレートの上に乗せて熱処理を行った。加熱温度を232℃以上とした場合はリフロー処理となる。熱処理後、該試験片を電解液(コクールR−50)に浸漬して表面の残留Sn層を除去した。残留Sn層の除去には電気化学測定装置(型式HZ−3000、北斗電工)を使用した。カソードとしてSUS板を用い、参照極には標準電極を用いずカソードと同じSUS板に繋いだ。アノードとして試験片をセットし、電流密度10mA/cm2の一定電流を電圧が400mV変化するまで流してSnを除去した。これらの試験条件を表2に示す。
また、リフロー条件を変更してNiSn層の形態に与える影響を調べた。製造途中における銅箔の形態やリフロー条件は表3に、最終的に得られた銅箔の形態や特性は表4に示した。
Cu電着粒平均径
Cu電着層形成後に試験片の表面SEM写真(倍率3,500培)から10μm×10μmの範囲を任意に4箇所選択し、その中の粒子の径をすべて測定し、その平均値をCu電着粒の平均径とした。
リフロー前Ni層及びSn層の平均厚み測定
リフロー処理前のNi層及びSn層は試験片の断面をSEM観察することで測定した。具体的には倍率10,000倍として観察される観察視野:横幅10μm×縦幅10μm(縦方向=厚み方向)のSEM像について、任意の金属粒子を1個選び、その頂点で厚みを測定し、同試験片3箇所の平均値を平均厚みとした。
突起で被覆されたCu電着粒平均径
最終的に得られた試験片の表面SEM写真(倍率3,500培)から10μm×10μmの範囲を任意に4箇所選択し、突起で被覆されたCu電着粒のうち径1μm以上の粒子の径をすべて測定し、その平均値を突起で被覆されたCu電着粒の平均径とした。
突起で被覆されたCu電着粒数
最終的に得られた試験片の表面SEM写真(倍率3,500培)から30μm×30μmの範囲で、突起で被覆されたCu電着粒子のうち径1μm以上のものをすべて数え、その平均値を9で割り、100μm2当たりに換算して、突起で被覆されたCu電着粒の数とした。
突起の平均径
最終的に得られた試験片の表面SEM写真(倍率10,000培)から10μm×10μmの範囲を任意に4箇所選択し、その中の径0.1μm以上の突起のうち、平均的と思われるものの径を各視野につき10個測定し、その平均値を突起の平均径とした。
Cu電着粒1個当たりに存在する突起数
最終的に得られた試験片の表面SEM写真(倍率10,000培)から20μm×20μmの範囲を任意に4箇所選択し、各視野につき1個の電着粒を選び、その中の径0.1μm以上の突起をすべて数え、その平均値をCu電着粒1個当たりに存在する突起数とした。
NiSn合金層の平均厚み測定
Ni−Snの合金層の厚さは、電解にてSn層のみを除去した後、蛍光X線分析でSn層の厚みとして測定された数値とした。測定に用いた装置はSII社製型式SEA5100である。
残留Ni層の平均厚み測定
リフロー処理後に残留するNi層は最終的に得られた試験片の断面をSEM観察することで測定した。具体的には倍率10,000倍として観察される観察視野:横幅10μm×縦幅10μm(縦方向=厚み方向)のSEM像について、任意の金属粒子を1個選び、その頂点で厚みを測定し、同試験片3箇所の平均値を平均厚みとした。
容量維持率
(1)負極活物質層としてSnCu合金を使用した場合(参考例)
No.1〜8の銅合金箔表面全体に、以下に示す条件で湿式めっきを行ってSnCu合金からなる負極活物質層を形成し、対極に金属リチウム、電解液にECとDMCを体積比3:7で混合し、電解質としてLiPF6を1M溶かしたものを用い、セパレータにはポリプロピレン製の多孔質シートを用いて充放電試験を実施した。充放電条件は電流密度0.5mA/cm2、充電3mV(vs Li/Li+)、放電2.0V(vs Li/Li+)で20サイクルまでの充放電とした。1サイクル目放電容量に対する20サイクル目の放電容量を容量維持率(%)とした。活物質膨張収縮時の応力緩和効果及び活物質との密着性が高ければ、繰り返しの充放電後も高い容量を維持できる。
<湿式めっき条件>
電極:Pt−Ti
浴組成:石原薬品製 HTC516
浴温:25℃
電流密度:7A/dm2
平均めっき厚:3μm
めっき組成:Sn:63質量%、Cu:37質量%
(2)負極活物質層としてSnCo合金を使用した場合
No.1〜8の銅合金箔表面全体に、以下に示す条件で湿式めっきを行ってSnCo合金からなる負極活物質層を形成し、対極に金属リチウムを用いて充放電試験を実施した。充放電条件は(1)と同様とした。
<湿式めっき条件>
電極:カーボン
浴組成:日本化学産業製 ピロアロイSC
浴温:55℃
電流密度:2A/dm2
平均めっき厚:3μm
めっき組成:Sn:65質量%、Co:35質量%
実施例において、CuXαを用いたX線回折(Rigaku社製型式RINT2000)の最大ピークの半値幅はすべて0.39°〜0.49°であり、0.2〜0.6の間であることを確認した。
湿式めっき条件中、平均めっき厚はめっき直後の厚みを断面のSEM観察により測定した。また、めっき組成はICP(SII社製型式SPS7700)により測定した。結果を表4に示した。
考察
No.1〜No.3では、突起形態が適切に制御されているため、充分な容量維持率が得られた。
No.4では、Cu電着粒が大きすぎ、凹凸が十分でないことから、容量維持率がNo.1〜No.3に比べて低かった。
No.5では、Niめっき層が厚く、Cu電着層の凹凸が平らになったため、容量維持率がNo.1〜No.3に比べて低かった。
No.6では、箔表面にNiSnの突起のみが形成された。その結果、活物質との密着性は高いが、活物質膨張時の応力緩和効果がなく、容量維持率がNo.1〜No.3に比べて低かった。
No.7では、Cu粗化粒のみのため、活物質膨張時の応力緩和効果はあるが、活物質との密着性が弱く、容量維持率がNo.1〜No.3に比べて低かった。
No.8では、1つのCu電着粒に対して、突起数が少ないために容量維持率がNo.1〜No.3に比べて低かった。
また、集電体として本発明に係る銅合金箔を使用したことによる容量維持率の向上効果はNo.7との比較により認識できるが、その向上効果は負極活物質としてSnCu合金を用いたときよりも、SnCo合金を用いたときの方が大きいことが分かる。
残留Sn除去前のNiSn合金層断面の一例を示すSEM写真のである。 No.1の試験片表面のSEM写真(倍率3,500、10,000)である。 No.3の試験片表面のSEM写真(倍率3,500、10,000)である。 No.6の試験片表面のSEM写真(倍率10,000)である。 No.7の試験片表面のSEM写真(倍率3,500)である。

Claims (18)

  1. 銅又は銅合金箔と、その表面に形成されたSnCo合金層とを有するリチウムイオン二次電池用負極であって、該銅又は銅合金箔は、銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材を被覆する複数の金属粒子を有する第1層と、各金属粒子を直接又は間接的にそれぞれ被覆する該金属粒子よりも径の小さな複数の突起を有するNiSn合金からなる最外層とを備えているリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記SnCo合金層の膜厚が充電前に1〜15μmである請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記SnCo合金層のCuXαを用いたX線回折の最大ピークの半値幅が0.2〜0.6°である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起により被覆されている金属粒子の平均径が2〜15μmである請求項1〜3何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起により被覆されている金属粒子のうち径1μm以上のものが100μm2当たり0.3〜50個存在する請求項1〜4何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 前記金属粒子はCuからなる請求項1〜5何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起の平均径が0.1〜3μmである請求項1〜6何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 前記銅又は銅合金箔は、前記最外層の平均厚みが0.1〜2μmである請求項1〜7何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  9. 前記銅又は銅合金箔は、箔表面からSEM観察すると、前記突起のうち径0.1μm以上のものが金属粒子1個当たり10個以上存在する請求項1〜8何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  10. 前記銅又は銅合金箔は、第1層と最外層の間にNi層が形成されている請求項1〜9何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  11. 前記Ni層は平均厚みが0.2〜1.5μmである請求項10記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  12. 銅又は銅合金箔基材上に複数の金属粒子を付着させる工程1と、該金属粒子の表面にNiめっき層を形成する工程2と、該Niめっき層上にSnめっき層を形成する工程3と、該Niめっき層及びSnめっき層の界面に熱処理によってNiSn合金層を形成する工程4と、残留Snめっき層を除去する工程5とを行うことにより銅又は銅合金箔を製造し、次いで、得られた銅又は銅合金箔の表面にSnCo合金層をめっきする工程6を行うこと含むリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。
  13. 工程1で付着させた金属粒子の平均径は1〜10μmである請求項12記載の製造方法。
  14. 工程2で形成されるNiめっき層は平均厚みが0.4〜2μmである請求項12又は13記載の製造方法。
  15. 工程3で形成されるSnめっき層は平均厚みが1μm以上である請求項12〜14何れか一項記載の製造方法。
  16. 前記熱処理はリフロー処理である請求項12〜15何れか一項記載の製造方法。
  17. 工程5は電解研磨により行われる請求項12〜16何れか一項記載の製造方法。
  18. 工程6は湿式めっきにより行う請求項12〜17何れか一項記載の製造方法。
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