JP2009237464A - 画像コントラスト向上フィルター、その製造方法及び画像表示装置 - Google Patents

画像コントラスト向上フィルター、その製造方法及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表示画像のコントラストを向上させることができるとともに、画像の透過部位である透光性領域が汚染されたり傷が付かないようにした、画像コントラスト向上フィルター及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材4の一方の面S1に、透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部10と、隣接する暗色部10,10間の透光性領域と20を有するフィルター100を提供する。このフィルター100において、暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とで充填されてなり、透光性領域20は、透明基材4の表面(平坦部8)が透明樹脂2からなる透明保護層2Lで覆われてなる。そして、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PDP、LCD、CRT等の画像表示装置の前面に好ましく設けられる画像コントラスト向上フィルター、その製造方法及び画像表示装置に関する。
プラズマディスプレイ装置(PDP)、液晶ディスプレイ装置(LCD)、陰極線管ディスプレイ装置(CRT)、電界発光ディスプレイ装置(EL)等の画像表示装置においては、その画像品質を向上させるための検討が行われてきた。
特に画像表示装置の前面側に機能部材を設けて画質改善を図った例として、例えば特許文献1には、画像のチラツキを防止するため、素線を縦横に編んで交叉させた網状膜を画面の前面に配置することが提案されている。この網状膜は画像のチラツキを防止する点では効果があったものと考えられるが、日光や電燈光等の外光(外来光ともいう。)が画面に入射すると、画像コントラストが低下するという問題がある。こうした問題に対しては、例えば素線を光吸収性能のある黒色繊維とすることが考えられる。しかし、外光は画面の斜め方向から入射し、一方、画像光は画面と直交方向に出射するので、画像光を吸収せずに外光のみを高効率で吸収して画像コントラストを向上させようとするためには、黒色繊維の奥行き方向(すなわち画像表示装置と観察者とを結ぶ方向、言い換えれば画面の直交方向のこと。)の長さを長くして画面の斜め方向から入射する外光を広い面積で受ける必要がある。ところが、繊維の奥行き方向の長さを長くするためには繊維径を太くする必要があり、そうすると、必然的に幅(画面と平行な方向)が大きくなって観察者側に透過する画像光が黒色繊維で妨げられるという問題が生じる。
また、例えば特許文献2では、カラー陰極線管ディスプレイ装置の画面での反射を防止するためのマイクロメッシュタイプの反射防止フィルターが提案されている。この反射防止フィルターは、ナイロン単繊維をメッシュ状に平織りしたマイクロメッシュからなるものであり、そのマイクロメッシュを、蛍光膜のドットピッチの水平ピッチ及び垂直ピッチに対して一定のピッチ範囲とし、かつそのマイクロメッシュの横糸を水平走査線に対して一定の角度範囲としたものである。こうした反射防止フィルターは、モアレの発生を防止する点では効果があったものと考えられるが、日光や電燈光等の外光が画面に入射すると、画像コントラストが低下するという問題は解決できない。
画像コントラストを向上させるという問題を解決するため、例えば特許文献3では、画面に貼り合わされるPDP用前面フィルターを構成するコントラスト向上層として、層の面方向に沿った所定方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な断面が幅広の下底を観察者側に向ける台形となる形状を有し、且つ、光を透過するレンズ部と、そのレンズ部と平行な方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な断面が幅広の下底をPDP側に向ける楔型となる形状を有し、且つ、光を吸収する光吸収部とを、交互に多数噛み合わせて配列してなるものを提案している。この前面フィルターは、電磁波遮蔽機能を併せ持つ態様で、画像コントラストの向上を図っている。
特公昭34−8069号公報 特開昭62−136741号公報 特開2007−272161号公報
しかしながら、上記特許文献3で提案された前面フィルターは、より一層の実用化と高品質化に向けて不十分な点があり、その解決が要請される。
すなわち、上記特許文献3で提案された前面フィルターは、楔型の溝に暗色樹脂からなる塗料が充填されて光吸収部を形成しているが、その光吸収部は、楔型の溝部が並設された面に暗色樹脂からなる塗料を塗工した後、ドクターブレード等で掻き取って形成される。しかしながら、ドクターブレード等で掻き取る際に、溝以外の透明基材表面である透光性領域(前記の溝状凹部に対して凸部として現れる。)にも暗色樹脂が残留し、透光性領域の光透過率が低下して表示画像が暗くなるという難点がある。なお、暗色樹脂が透光性領域に残留する原因は、透光性領域の平坦性が硝子板や金属板等の平坦な剛体とは異なり不完全なこと、ドクターブレード等を押圧することにより変形や撓みが生じること、且つ暗色樹脂塗料が液状であり、僅かな隙間にも滲み出すこと、等のために完全に掻き取ることは不可能であることによる。
なお、透光性領域に残留した暗色塗料を、有機溶剤を滲み込ませた布で拭き取ったり、研磨したりすることも可能ではあるが、工程数が増える上に、有機溶剤により透光性領域が膨潤・溶出により白濁したり、研磨に付随して擦り傷が入ったりし、今度はこれらの要因によって表示画像が白濁するという問題が発生する。
さらに、前面フィルターは、その透光性領には暗色樹脂が残留するものの、基本的には露出状態となっている。最終的には、その透光性領域は何らかの部材(例えば前面板等)で被覆されるが、それまでの間の各種加工工程や、搬送工程や、あるいは保管工程の際に、露出した透光性領域が汚染されたり傷付いたりして、その結果、表示画像の画質が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、表示画像のコントラストを向上させることができるとともに、画像の透過部位である透光性領域が汚染されたり傷が付かないようにした、画像コントラスト向上フィルター及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そうした画像コントラスト向上フィルターを表示面に備えた画像表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の画像コントラスト向上フィルターは、透明基材の一方の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有する画像コントラスト向上フィルターであって、前記暗色部は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする。
この発明によれば、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部内に暗色粒子と透明樹脂とが充填されてなる暗色部と、透明基材の表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなる透光性領域とが、透明基材の面内方向に沿って交互に平行に並設されており、且つ、その暗色粒子の最小粒径及び最大粒径と透明保護層の厚さと溝状凹部の最大幅及び深さとが上記関係で構成されるので、その透光性領域には暗色粒子が存在せず、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下しない。その結果、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがなく、しかも、暗色部が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラストを向上させることができる。
さらに、この発明によれば、透明基材の透光性領域は透明樹脂からなる透明保護層で覆われているので、各種加工工程や搬送工程や保管工程の際においても、画像の透過部位である透光性領域が汚染されたり傷が付いたりしない。その結果、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
本発明の画像コントラスト向上フィルターの好ましい態様は、前記透明基材の前記透明保護層非形成側の面に、透明支持体をさらに積層してなるように構成する。
本発明の画像コントラスト向上フィルターの好ましい態様は、前記画像コントラスト向上フィルターの一方の面及び/又は他方の面に、さらに1層以上の光学フィルターを備えてなるように構成する。
上記課題を解決するための本発明の画像表示装置は、上記本発明の画像コントラスト向上フィルターを、画像表示部前面に対峙する位置で、且つ台形又は略台形からなる暗色部の幅の大きい方の底辺が画像表示部側を向くように配置してなることを特徴とする。
この発明によれば、上記した本発明に係るフィルターを画像表示部側に設けたので、表示画像の品質とコントラストを良好なものとすることができる。特に台形又は略台形からなる暗色部の幅の大きい方の底辺が画像表示部側を向くように配置したので、その暗色部で外光を効果的に吸収することができる。
上記課題を解決するための本発明の画像コントラスト向上フィルターの製造方法は、一方の面の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の溝状凹部が形成されてなる透明基材を準備する工程と、前記溝状凹部が形成された側の面に、暗色粒子と透明樹脂とを有する液状樹脂組成物を塗布する工程と、前記塗布された液状樹脂組成物を掻き取って、前記溝状凹部内には前記暗色粒子と前記透明樹脂とを充填し、前記溝状凹部以外の平坦部には前記暗色粒子は存在させずに前記透明樹脂を所定厚さで残す工程と、前記透明樹脂を固化して、前記溝状凹部を暗色部とし、前記平坦部を所定厚さの透明保護層で覆われた透光性領域とする工程と、を少なくとも備え、
前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記平坦部に残った透明樹脂の厚さt’と、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t’<dmin<dmax<W、且つ、t’<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする。
この発明によれば、暗色粒子の最小粒径及び最大粒径と平坦部に残った透明樹脂の厚さと溝状凹部の最大幅及び深さとが上記関係で構成されるので、液状樹脂組成物を掻き取った後の平坦部に残った所定厚さt’の中には暗色粒子が存在せず、透明樹脂のみが存在する。そして、その後に透明樹脂を固化することにより、溝状凹部を暗色部とし、平坦部を所定厚さの透明保護層で覆われた透光性領域としたフィルターを製造できる。こうして製造されたフィルターは、透光性領域には暗色粒子が存在しないことから、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下せず、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。しかも、暗色部が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、透光性領域が透明保護層で覆われるので、各種加工工程や搬送工程や保管工程等の各構成を経ても、画像の透過部位である透光性領域が汚染されたり傷が付いたりしない。その結果、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
本発明の画像コントラスト向上フィルターの製造方法の好ましい態様は、前記透明樹脂の所定厚さt’を、前記透明保護層の所定の厚さt以上の厚さで形成するように構成する。
本発明の画像コントラスト向上フィルターによれば、透光性領域には暗色粒子が存在せず、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下しないので、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。しかも、暗色部が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、透明基材の透光性領域は透明樹脂からなる透明保護層で覆われているので、各種加工工程や搬送工程や保管工程の際においても、画像の透過部位である透光性領域が汚染されたり傷が付いたりしない。その結果、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
本発明の画像コントラスト向上フィルターの製造方法によれば、液状樹脂組成物を掻き取った後の平坦部に残った所定厚さt’の中には暗色粒子が存在せず、透明樹脂のみが存在するので、その後に透明樹脂を固化することにより、溝状凹部を暗色部とし、平坦部を所定厚さの透明保護層で覆われた透光性領域としたフィルターを製造できる。その結果、こうして製造されたフィルターは、前記したような好ましい効果を奏するものとなり、画像のコントラストを向上させることができ、さらに表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
本発明の画像表示装置によれば、表示画像の品質とコントラストを良好なものとすることができる。
以下、本発明の画像コントラスト向上フィルター、その製造方法及び画像表示装置について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に限定解釈されるものではない。
[画像コントラスト向上フィルター]
図1は、本発明の画像コントラスト向上フィルター(以下、単に「フィルター」という。)の一例を示す模式的な断面図(A)と、これを暗色部側から見た平面図(B)であり、図2は、透明支持体を備えた本発明のフィルターの斜視図である。また、図3は、本発明のフィルターの他の例を示す模式的な断面図である。
本発明のフィルター100(100A,110B)は、図1及図2に示すように、透明基材4の一方の面に、その透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部10と、隣接する暗色部10,10間の透光性領域20とを有している。暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とで充填されて構成されている。また、透光性領域20は、透明基材4の平坦部8(溝状凹部3が形成されていない部分、図4(C)参照)の表面S1が透明樹脂2からなる透明保護層2Lで覆われて構成されている。そして、本発明は、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする。
こうした構成からなる本発明のフィルター10は、透光性領域20には暗色粒子1が存在せず、その透光性領域を通過する光の光透過性が低下しないので、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。また、暗色部10では、暗色粒子1が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラスト(画像の白部と黒部との輝度の比、差等で定義)を向上させることができる。また、透光性領域20が透明保護層2Lで覆われているので、各種加工工程や搬送工程や保管工程の際においても、画像の透過部位である透光性領域20が汚染されたり傷が付いたりせず、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
以下、本発明のフィルターの各構成要素について詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材4としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料、あるいは硝子等の無機透明材料が各種使用可能である。通常は、溝状凹部3を形成し易く、軽量で薄くすることが可能であり、可撓性にも優れるという点で、樹脂材料が好ましく用いられる。電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂については、後述の透明樹脂の説明箇所で例示したものと同様のものの中から選択して使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、等が使用できる。
この透明基材4には溝状凹部3が形成されるため、その厚さは溝状凹部3の深さHよりも厚い必要があり、通常、20μm〜5000μm程度の範囲である。即ち、透明基材4は厚さ的には、所謂フィルム、シート、或は板の各種形態をとり得る。
(暗色部)
暗色部10は、図1及び図2に示すように、透明基材4の一方の面に形成されており、透明基材4の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の形態からなるものである。そして、この暗色部10は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3内に、暗色粒子1と透明樹脂2とで充填されて構成されている。
先ず、溝状凹部3の形状について説明する。溝状凹部3は、図1及び図2に示すように、断面形状が台形又は略台形である。ここで、断面形状とは、直線状に延びる溝状凹部3の延長方向に直交する断面の形状をいう。また、台形の溝状凹部とは、図4(A)に示すように、透明基材4の一方の面S1側の辺(下底)の幅Wが広く、他方の面S2側の辺(上底)の幅が狭い態様で構成されたものである。また、略台形の溝状凹部としては、両辺(上底と下底)の幅の差が小さい形状、すなわち長方形や正方形に近い形状を含み、また、楔型の3角形の頂点近傍をS1側の辺(下底)に平行に切断した3角形に近似する形状も含む。なお、溝状凹部3はこうした台形又は略台形に限らず、正方形、長方形等の4角形や、3角形、5角形等の多角形であってもよいが、好ましくは上記した台形又は略台形である。
特に、外光存在下の画像コントラスト向上効果、画像の明るさ(輝度)、及び画像の高視野角との両立性の点では、溝状凹部3は、その断面形状が台形で、且つ対向する両辺(上底と下底)の幅に有意差があり、画像表示装置側(すなわち面S1側)に幅広の底辺、観察者側(すなわち面S2側)に幅狭の底辺を備え、且つ溝深さHが大きい方の辺(下底)の幅(最大幅)Wよりも大きいことが好ましい。
このように、溝状凹部3は、従来技術の黒色纖維とは異なり、最大幅Wと深さHとを独立に設定することができるので、最大幅Wを小さくし、必要であれば更に溝状凹部間の繰り返し周期を大きくて、開口率を大きくした上で、且つ深さHを大きくし、斜方向から入射する外光の大部分を吸収する暗色部10の側面部(深さH方向に伸びる側面)の表面積を大きくすることが可能である。その結果、黒色繊維メッシュでは不可能であった画像光の高光透過率と外光の高光吸収率との両立が可能となる。なお、ここでの開口率とは、フィルター100の法線方向から見た全面積に対する開口部(暗色部10を形成していない部分、すなわち透光性領域20)の面積の比率をいう。
溝状凹部3と透明基材4との界面からなる斜面5が出光面の法線(フィルター100に対する垂直入射光に平行な線P)となす角度θは、所定の角度に形成されていることが好ましく、例えばθが3°〜15°の範囲であることが好ましい。θが3°以上であると、画像表示装置からの表示光が観察者側に十分に到達し、輝度向上効果が得られる。しかも、画面に斜め方向に入射する外光については、十分な断面積を持つ暗色部10で吸収できるため、外光反射を抑止して画像コントラストを向上させることができる。一方、θが15°以下であると、外光を吸収する暗色部10の側面の断面積を維持しつつ、画像光が通過する透光性領域(暗色部非形成領域)の面積も高く保てるため、画像光の強度(輝度)を高く保つことができる。
なお、溝状凹部3の大きい方の底辺の長さ(すなわち最大幅W)は10μm〜100μm程度であることが好ましく、小さい方の底辺の長さは5μm〜50μm程度であることが好ましく、深さHは10μm〜200μm程度であることが好ましく、溝状凹部3の周期(ピッチ)は10μm〜900μm程度であることが好ましく、開口率は50%〜90%程度であることが好ましい。
次に、暗色部10を構成する材料、すなわち溝状凹部3に充填されてなる材料について説明する。暗色部10は、可視光線波長域の大部分を吸収し、入射する可視光線(外光)を高い割合で吸収することが望ましく、その結果、暗色部10で反射する外光が目立たず、その反射光が画像光に混入しても画像コントラストの低下が目立たないようになる。したがって、暗色部10には、そうした作用を発揮する色に設定することが望ましい。暗色部10の色は完全な黒色が理想であるが、実用上は完全な黒色にする必要はなく、上記の作用を発揮するものであれば有彩色であってもよい。具体的には、黒、濃い灰色等の無彩色、褐色、臙脂色、紺色、深緑色、濃紫色等の低明度の有彩色であってもよい。
暗色部10を構成する暗色粒子1としては、所定の粒径からなる各色の粒子を用いることができる。例えば、黒色粒子としては、カーボンブラック(墨)、黒色酸化鉄等の黒色顔料や、アクリル等の透明粒子をカーボンブラック等の黒色顔料で染色した樹脂粒子等が用いられる。
また、暗色粒子1は、黒色粒子以外の、青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料を混合して無彩色化した顔料粒子であってもよいし、それらの顔料で染色した樹脂粒子であってもよい。青色顔料としては、銅フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、コバルトブルー、群青等が用いられ、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット等が用いられ、黄色顔料としては、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、黄鉛等が用いられ、赤色顔料としては、クロモフタルレッドタイペル、キナクリドンレッド、弁柄等が用いられ、緑色顔料としては、銅フタロシアニングリーン、緑青等が用いられる。また、低明度の有彩色とした暗色粒子1であってもよく、その例としては、前記の青色、紫色、黄色、赤色、又は緑色の各種顔料を1種類又は2種類以上適宜混合分散し、必要に応じ、更に黒色顔料を混合した着色顔料、あるいは、アクリル等の透明粒子をこれら顔料で着色した樹脂粒子であってもよい。これらの暗色粒子1の中では、黒色粒子がもっとも光吸収性が高く、しかも本発明のフィルター自体の色相に影響を与えないので好ましい。
暗色粒子1の粒子径として、特にその最小粒径dminと最大粒径dmaxが後述する関係を満たすことが必要である。すなわち、少なくとも暗色粒子1の最大粒径dmaxは、溝状凹部3の最大幅Wよりも小さく、且つその深さHよりも小さいことが必要である。一方、暗色粒子1の最小粒径dminは透明保護層2Lの厚さよりは大きいことも必要である。したがって、暗色粒子1の粒子径はそうした条件を満たすものを任意に選択して用いられるが、通常は、0.1μm〜100μmの範囲内から任意に選択される。なお、暗色粒子1の最小粒径dminと最大粒径dmaxは、用いる暗色粒子1を電子顕微鏡観察して測定することができる。
暗色粒子1とともに暗色部10を構成する透明樹脂2としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が各種使用可能である。電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線、例えば紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋又は重合反応にて硬化する樹脂を意味する。このような電離放射線硬化性樹脂としては、例えば電離放射線重合性プレポリマー及び/又は電離放射線重合性モノマーを挙げることができる。
電離放射線重合性プレポリマー(オリゴマーも包含する)としては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリオール(メタ)アクリレート系、シリコン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル系等の分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性オリゴマー、あるいはノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等のエポキシ系樹脂等の分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの電離放射線重合性プレポリマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
また、電離放射線重合性モノマー(単量体)としては、分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーである多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。カチオン重合性官能基を有するモノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等グリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等ビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等オキセタン類等が挙げられる。これらの電離放射線重合性モノマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記電離放射線重合性プレポリマーと併用してもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1重量部〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂、汎用の2液硬化型アクリル樹脂(アクリルポリオール硬化物)等を例示することができる。
(透光性領域)
透光性領域20は、図1及び図2に示すように。隣接する暗色部10,10間に位置し、透明基材4の表面S1が透明保護層2Lで覆われて構成されている。この透明保護層2Lは、溝状凹部3に暗色粒子1とともに充填される透明樹脂2のみが、透明基材4の溝状凹部非形成部(凸部、又は透光性開口部ともいう。)、すなわち透光性領域20を被覆して構成されたものである。透明保護層2Lの厚さtは、用いる暗色粒子1の最小粒径及び最大粒径との関係で規定されるが、後述する関係を満たす範囲であれば、0.1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。透明保護層2Lの厚さtが0.1μm未満では、通常の製法において、透明基材4の溝状凹部3以外の平坦部8である凸部上に形成した透明保護層2Lを研磨や拭き取り無しで実現することは困難であるとともに、主に透光性領域20の表面の汚染や擦り傷からの保護層としても不十分となる。また、透明保護層2Lの厚さtが30μmを超えると、表面の保護機能としては過剰品質となり、不要な価格高騰をきたすため、好ましくない。透明保護層2Lを汚染や擦り傷から保護する上では、高硬度で耐擦傷性に優れる電離放射線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂が好ましい。
(暗色部と透光性領域の関係)
本発明の特徴は、暗色部10と透光性領域20の構成要素が以下の関係であるように構成した点にある、すなわち、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、透明保護層2Lの厚さtと、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つように構成されていることに特徴がある。
本発明のフィルター100がこうした関係を満たすことにより、暗色粒子1は溝状凹部3内にのみ存在し、透光性領域20には存在しない。一方、透明樹脂2は暗色部10と透光性領域20の両方に渡って存在し、透光性領域20には、透明樹脂2のみからなる透明保護層2Lが被覆される。ここで、暗色粒子1が溝状凹部3内にのみ存在するとは、厳密には図1(A)に示すように、溝状凹部3内に暗色粒子1の一部が掛かっているものを含む。なお、特に最小粒径dminと厚さtの関係では、dmin/t=1.5〜10であることがより好ましく、また、最大粒径dmaxとW乃至Hとの関係では、W/dmax=2〜50であることがより好ましく、H/dmax=2〜100であることがより好ましい。なお、外光を吸収してコントラストをより向上させるという観点からは、H>Wであることがより好ましい。
(透明支持体)
透明支持体6は、図2に示すように、透明基材3の透明保護層非形成側の面S2に必要に応じて設けることができる。なお、本願では、図2に示す透明支持体6を備えたフィルターを符号100Bで表し、図1に示す透明支持体6を備えないフィルターを符号100Aで表している。この透明支持体6は、透明基材4を支持し、透明基材4の機械的強度を補強したり、あるいは透明基材4の層形成、透明基材4上への溝状凹部3の形成、暗色部形成用組成物の溝状凹部3内への充填と透明保護層2Lの形成、フィルター100の他部材への積層等の加工工程における加工適性の付与等の目的で好ましく設けられるものである。この透明支持体6の材料は、上述した透明基材4のところで説明した材料から、透明支持体6を設ける目的に照らして適宜選択して適用できる。また、透明支持体6の厚さも透明支持体6を設ける目的に照らして適宜選択すればよい。
なお、図2の斜視図からわかるように、暗色部10は、透明基材4の面内方向に沿って平行に多数並設されており、直線状で形成されており、且つその延長方向(図2中ではy方向)に直交する断面形状が台形又は略台形の形態からなっている。
(他の部材との組合せ)
図3は、フィルターの一方の面及び/又は他方の面に、さらに1層以上の光学フィルターを備えてなるように構成した例を示す模式的な断面図である。図3(A)は、暗色部10と透光性領域20が形成された側の面に光学フィルター40Aを設けた例であり、図3(B)は、暗色部10と透光性領域20が形成された側の反対面S2に光学フィルター40Bを設けた例であり、図3(C)は、その両面に光学フィルター40A,40Bを設けた例である。
本発明のフィルター100は、光学フィルター(40A,40B)を任意に設けることができる。光学フィルターとしては、例えば、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、調色機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防眩機能等の中から選択される1種又は2種類以上の光学的機能を有する層、フィルム乃至シート、又は板材を挙げることができる。こうした光学フィルターは、単一層として設けてもよいし、複数積層して設けてもよい良い。また、こうしたフィルター機能を、上述した透明支持体6に担わせてもよい。なお、これらの機能フィルターについては、特開2007−272161号公報の第0064段落以降の記載のものを適用できる。また、本発明においては、かかる光学的機能を有する光学フィルターに更に、電磁波遮蔽機能、耐汚染機能、防擦傷機能、帯電防止機能等の他の機能を有する層を積層しても良い。
[フィルターの製造方法]
次に、本発明のフィルターの製造例を説明する。図4は、本発明のフィルターの製造方法の一例を示す工程フロー図である。
先ず、図4(A)に示すように、一方の面S1の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の溝状凹部3が形成されてなる透明基材4を準備する。溝状凹部3は各種の方法で加工することができる。例えば、加熱した賦形金型を熱可塑性樹脂に押圧する熱プレス法、熱可塑性樹脂組成物を賦形金型上に注入して固化させるキャスティング法、射出成形法、紫外線硬化型樹脂組成物を成形型内に注入して紫外線硬化させるUVキャスティング法、等の方法を任意に選択して形成することができる。これらの方法の中では、量産性に優れたUVキャスティング法がより好ましい。UVキャスティング法は、ロール状の金型を使用し、連続シートを供給しながら溝状凹部3を連続的に型押しして生産することができる。ロール状の金型は、例えば中空鉄円筒の表面に銅層を積層し、その銅層に形成すべき溝状凹部3の反転形状を賦形したものを例示できる。
次に、図4(B)に示すように、溝状凹部3が形成された側の面S1に、暗色粒子1と透明樹脂2とを有する液状樹脂組成物7を塗布する。塗布は、ノズル71等を用いて行うことができる。液状樹脂組成物は、既述の暗色粒子1と透明樹脂2を任意に選択し、必要に応じて溶剤を配合して所定の粘度となるように調製したものである。なお、液状樹脂組成物には、製造上の容易さを向上させるため、必要に応じて脱泡剤やレベリング剤等の添加剤を添加してもよい。
次に、図4(C)に示すように、塗布された液状樹脂組成物7を掻き取って、溝状凹部3内には暗色粒子1と透明樹脂2とを充填し、溝状凹部以外の平坦部8には暗色粒子1は存在させずに透明樹脂2のみを所定厚さt’で残す。掻き取りは、例えばドクターブレード72等を用いたワイピング法により行うことができるが、その際、ドクターブレード72等と平坦部8との間に所定の隙間を形成して行う。このときの所定の隙間としては、掻き取った後に平坦部8上に残る透明樹脂2の厚さt’が、次の固化工程によって形成される透明保護層2Lの厚さt以上となるように形成するとともに、後述の関係を満たすように形成する。
最後に、図4(D)に示すように、透明樹脂2を固化して、溝状凹部3を暗色部10とし、平坦部8を所定厚さtの透明保護層2Lで覆われた透光性領域20とする。こうして本発明のフィルター100を製造できる。
こうした各工程を経て本発明に係るフィルター100(100A)を製造するが、本発明では、得られたフィルター100が以下の関係を有するように製造条件を設定する。すなわち、暗色粒子1の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、平坦部8に残った透明樹脂2の厚さt’と、溝状凹部3の最大幅W及び深さHとの間に、t’<dmin<dmax<W、且つ、t’<dmin<dmax<H、の関係が成り立つようにする。したがって、準備する透明基材4に形成される溝状凹部3の最大幅Wと深さHの仕様については上記関係を満たすようにするとともに、液状樹脂組成物の調製にあたっても上記関係を満たすような暗色粒子1を選定し、ドクターブレード等で液状樹脂組成物を掻き落とす際にも上記厚さt’になるようにドクターブレード等と平坦部8との隙間を調製する。
以上、本発明に係るフィルターの製造方法によれば、液状樹脂組成物7を掻き取った後の平坦部8に残った所定厚さt’の中には暗色粒子1が存在せず、透明樹脂2のみが存在する。そして、その後に透明樹脂2を固化することにより、溝状凹部3を暗色部10とし、平坦部8を所定厚さtの透明保護層2Lで覆われた透光性領域10としたフィルターを製造できる。こうして製造されたフィルター100は、透光性領域20には暗色粒子1が存在しないことから、その透光性領域10を通過する光の光透過性が低下せず、表示画像が暗くなって表示画像の視認性を損なうことがない。しかも、暗色部10が外光を効果的に吸収するので、画像のコントラストを向上させることができる。さらに、透光性領域20が透明保護層2Lで覆われるので、各種加工工程や搬送工程や保管工程等の各構成を経ても、画像の透過部位である透光性領域20が汚染されたり傷が付いたりしない。その結果、表示画像の画質を低下することがなく、高品質の画像を表示することができる。
[画像表示装置]
図5は、本発明の画像表示装置の一例を示す模式的な斜視図である。本発明の画像表示装置60は、図5に示すように、上記本発明のフィルター100を、画像表示部50の前面に対峙する位置で、且つ台形又は略台形からなる暗色部10の幅の大きい方の底辺が画像表示部50の側を向くように配置してなるものである。本発明のフィルターを備えることにより、外光存在下での画像コントラストを向上させることができる。なお、図5中の符号40は、フィルター100の観察者側に設けられた光学フィルターである。
適用する画像表示装置としては、プラズマパネル表示装置(PDP)、陰極線管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、電場発光表示装置(EL)等を挙げることができる、特にプラズマパネル表示装置用として好適である。
フィルター100を画像表示部50の観察者側に直接貼り合わせる際には、画像表示部50とフィルター100とを接着剤層を介して貼り合わせてもよいし、他の光学フィルターと接着剤層を介して貼り合わせてもよい。なお、所謂粘着剤も本願でいう接着剤の1形態である。
以上、本発明の画像表示装置60によれば、本発明に係るフィルター100を画像表示部50の側に設けたので、表示画像の品質とコントラストを良好なものとすることができる。特に台形又は略台形からなる暗色部10の幅の大きい方の底辺が画像表示部50の側を向くように配置したので、その暗色部10で外光を効果的に吸収することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
(実施例1)
先ず、透明支持体6として、両面易接着処理された厚さ188μmのポロエチレンテレフタレート(PET)シート(東洋紡績社製;品名A4300)を準備し、その上に、ウレタンアクリレートプレポリマーからなる紫外線硬化性樹脂を厚さ300μmとなるように塗布し、未硬化状態の透明基材を形成した。この未硬化状態の透明基材表面に、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成できる金属製賦形型ロールを押し当て、所望の溝状凹部形状を刻設しながら背面から紫外線を照射して透明樹脂4を硬化させた。こうして、ピッチが70μmで溝状凹部3を形成した側の開口幅が20μmで深さが120μmの溝状凹部3を形成した。なお、賦形型ロールは、その円周方向に溝状凹部3が賦形されているので、シート部材上で回転させることにより、シート部材の長手方向に延びるように溝状凹部3を形成することができる。
次に、透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー100質量部中に、最小粒径が2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製)2質量部を混合して液状の紫外線硬化性樹脂組成物7を調製した。この液状樹脂組成物7を、上記のようにして得られた溝状凹部形成済みの透明基材4の該溝状凹部形成面側上に塗工し、その後、ドクターブレード72でワイピングした。ワイピングに際しては、同時に背面から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂である透明樹脂2を硬化させた。ワイピングでは、透明基材4の平坦部8とドクターブレード72との隙間を1.5μmとして行い、そのワイピングを2回繰り返した。その結果、溝状凹部3には透明樹脂2であるUV樹脂と暗色粒子1である黒い球状ビーズが充填され、一方、平坦部8の上には透明樹脂2のみを厚さ1.5μmで残留させることができ、同時に行ったUV照射によりその透明樹脂2を硬化させて厚さ1μmの透明保護層2Lを形成した。こうして、実施例1のフィルター100を得た。なお、上記において、[透明樹脂の屈折率]−[球状ビーズの屈折率]=−0.003であった。
(比較例1)
実施例1において、上記球状ビーズ状粒子に代えて、最小粒径が0.2μmで最大粒径が3μmの黒い球状ビーズ状粒子を用いた他は、実施例1と同様にして比較例1のフィルターを得た。
(評価)
実施例1と比較例1で得たフィルターの平坦部8を顕微鏡で拡大して観察した結果、実施例1のフィルターは、透光性領域20である平坦部8上に黒い球状ビーズは無かったが、比較例1のフィルターは、平坦部8上に黒い球状ビーズが載っていた。
本発明の画像コントラスト向上フィルターの一例を示す模式的な断面図(A)と、これを暗色部側から見た平面図(B)である。 透明支持体を備えた本発明の画像コントラスト向上フィルターの斜視図である。 本発明の画像コントラスト向上フィルターの他の例を示す模式的な断面図である。 本発明のフィルターの製造方法の一例を示す工程フロー図である。 本発明の画像表示装置の一例を示す模式的な斜視図である。
符号の説明
1 暗色粒子
2 透明樹脂
2L 透明保護層
3 溝状凹部
4 透明基材
5 斜面
6 透明支持体
7 液状樹脂組成物
8 平坦部
10 暗色部
20 透光性領域
40A,40B 光学フィルター
50 画像表示装置
60 画像表示部
100,100A,100B フィルター
dmin 暗色粒子の最小粒径
dmax 暗色粒子の最大粒径
t 透明保護層の厚さ
t’ 平坦部上の透明樹脂の厚さ
H 溝状凹部の深さ
W 溝状凹部の最大幅
P 法線
θ 斜面と法線との角度

Claims (6)

  1. 透明基材の一方の面に、該透明基材の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の暗色部と、隣接する前記暗色部間の透光性領域とを有する、画像コントラスト向上フィルターであって、
    前記暗色部は、断面形状が台形又は略台形の溝状凹部内に、暗色粒子と透明樹脂とで充填されてなり、
    前記透光性領域は、その表面が透明樹脂からなる透明保護層で覆われてなり、
    前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記透明保護層の厚さtと、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t<dmin<dmax<W、且つ、t<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする画像コントラスト向上フィルター。
  2. 前記透明基材の前記透明保護層非形成側の面に、透明支持体をさらに積層してなる、請求項1に記載の画像コントラスト向上フィルター。
  3. 請求項1又は2に記載の画像コントラスト向上フィルターの一方の面及び/又は他方の面に、さらに1層以上の光学フィルターを備えてなることを特徴とする画像コントラスト向上フィルター。
  4. 請求項1又は2に記載の画像コントラスト向上フィルターを、画像表示部前面に対峙する位置で、且つ台形又は略台形からなる暗色部の幅の大きい方の底辺が画像表示部側を向くように配置してなることを特徴とする画像表示装置。
  5. 一方の面の面内方向に沿って平行に並設された直線状の、且つその延長方向に直交する断面形状が台形又は略台形の溝状凹部が形成されてなる透明基材を準備する工程と、
    前記溝状凹部が形成された側の面に、暗色粒子と透明樹脂とを有する液状樹脂組成物を塗布する工程と、
    前記塗布された液状樹脂組成物を掻き取って、前記溝状凹部内には前記暗色粒子と前記透明樹脂とを充填し、前記溝状凹部以外の平坦部には前記暗色粒子は存在させずに前記透明樹脂を所定厚さで残す工程と、
    前記透明樹脂を固化して、前記溝状凹部を暗色部とし、前記平坦部を所定厚さの透明保護層で覆われた透光性領域とする工程と、を少なくとも備え、
    前記暗色粒子の最小粒径dmin及び最大粒径dmaxと、前記平坦部に残った透明樹脂の厚さt’と、前記溝状凹部の最大幅W及び深さHとの間に、t’<dmin<dmax<W、且つ、t’<dmin<dmax<H、の関係が成り立つことを特徴とする画像コントラスト向上フィルターの製造方法。
  6. 前記透明樹脂の所定厚さt’を、前記透明保護層の所定の厚さt以上の厚さで形成する、請求項5に記載の画像コントラスト向上フィルターの製造方法。
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