JP2009236131A - トルクコンバータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク比を高め且つ容量係数を低くS変化させることができ、車両の動力性能を十分に高めることができ、且つ、駆動力を車両の走行条件に応じて抑制できる可変容量型トルクコンバータの制御装置を提供する。
【解決手段】容量係数制御手段130は、車両の駆動力を抑制させる必要がある場合、必要がない場合と比較して、トルクコンバータ6の容量係数Cを大きくするため、車両の駆動力を抑制させる必要が生じると、トルクコンバータ6の容量係数Cが大きくなる。これにより、タービン翼車6tから出力される駆動力が小さくなるので、車輪に伝達される駆動力を抑制することができる。
【選択図】図8
【解決手段】容量係数制御手段130は、車両の駆動力を抑制させる必要がある場合、必要がない場合と比較して、トルクコンバータ6の容量係数Cを大きくするため、車両の駆動力を抑制させる必要が生じると、トルクコンバータ6の容量係数Cが大きくなる。これにより、タービン翼車6tから出力される駆動力が小さくなるので、車輪に伝達される駆動力を抑制することができる。
【選択図】図8
Description
本発明は、流体を介してトルクを増幅可能なトルクコンバータに関し、特に、電動機によってトルクコンバータの容量係数を変更可能な可変容量型トルクコンバータの制御装置に関するものである。
ポンプ翼車と、タービン翼車と、そのタービン翼車とポンプ翼車との間に回転可能に配設されたステータ翼車とを、有するトルクコンバータがよく知られている。このような従来のトルクコンバータでは、ステータ翼車が一方向クラッチを介して非回転部材に連結されており、可変容量特性を備えない。一般に、トルクコンバータの流体特性としては、燃費指向であるときは高い容量(容量係数)であることが望まれるが、上記従来の構造では、ポンプ翼車、タービン翼車、ステータ翼車の形状によって一義的に定められてしまうため、走行パターンに拘わらず同一流体特性となり、燃費性能および動力性能を同時に向上させることには限界があった。
これに対し、特許文献1に示されているように、ステータ翼車と非回転部材との間にブレーキ手段を設け、そのブレーキ手段の制動トルクを調節して容量を可変とした可変容量型トルクコンバータが提案されている。これによれば、ブレーキ手段による制動トルクを調節することによってトルクコンバータのトルク比および容量係数を無段階或いは多段階に変化させることが可能となり、運転条件や走行条件に応じて最適なトルク比および容量係数を設定でき、車両の走行性能を高めることができる。
しかしながら、上記従来の可変容量型トルクコンバータでは、そのステータ翼車の回転は、ポンプ翼車の回転方向とは反対の負回転方向の範囲で制御されるに過ぎず、それにより得られるトルク比の上限や容量係数の下限値には限界があり、運転条件や走行状態に応じて必ずしも十分にトルクコンバータのトルク比を高め、容量係数を低く変化させることができず、車両の動力性能を十分に高めることができなかった。
また、一般にアクセルペダルを踏み込まない状態であっても、トルクコンバータの流動特性によって、車両を前進させる、所謂クリープ力が発生する。このとき、例えば舗装路のクリープ走行では、ブレーキ操作のみで車両を制御できるようなクリープ力を生じさせることが望ましい。しかし、例えば舗装路のクリープ力で車両の動特性を決定すると、圧雪路面等の低摩擦路ではクリープ力が相対的に強くなるため、車両がスリップし易くなり不安定状態に陥る可能性があった。そこで、例えば車両発進時やクリープ走行時などにおいて、容易に駆動力を制限することができることが望まれていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、トルク比を高め且つ容量係数を低く変化させることができ、車両の動力性能を十分に高めることができ、且つ、駆動力を車両の走行条件に応じて容易に制限できる可変容量型トルクコンバータの制御装置を提供することにある。
そこで、発明者等は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、車両の駆動源とは別個の動力源である電動機を用いてステータ翼車をポンプ翼車の回転方向である正回転方向へ積極的に駆動させると、従来に比較して高いトルク比と低い容量係数が得られるということを見いだした。これより、電動機を用いてステータ翼車をポンプ翼車の回転方向である正回転方向へ回転(駆動)、並びにポンプ翼車の回転方向とは反対の負回転方向へ回転(制動、回生)させることにより、従来に比較してトルク比および容量係数の変化範囲が広範囲となるので、車両の燃費性能および動力性能を大幅に向上させることができる。
また、発明者等は、上記のように前記トルクコンバータの容量係数を可変に構成するに伴い、トルクコンバータの容量係数を変更することでクリープ力を変更することを見いだした。例えば、クリープ力を減少させたいとき、トルクコンバータの容量係数を高くすることで、トルク比(トルク増幅率)が小さくなり、クリープ力が小さくなる。
すなわち、上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)ポンプ翼車と、タービン翼車と、該タービン翼車とポンプ翼車との間に回転可能に配設されたステータ翼車とを、有するトルクコンバータを備えるトルクコンバータの制御装置であって、(b)前記ステータ翼車に動力伝達可能に連結された電動機と、(c)前記電動機の回転速度を制御することにより前記トルクコンバータの容量係数を制御する容量係数制御手段を備え、(d)前記容量係数制御手段は、車両の駆動力を抑制する必要がある場合、その駆動力を抑制する必要がない場合と比較して、前記トルクコンバータの容量係数を大きくすることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1のトルクコンバータの制御装置において、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、車両が走行抵抗の小さい路面を走行する場合であることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1のトルクコンバータの制御装置において、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、低駆動力走行が要求された場合であることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1のトルクコンバータの制御装置において、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、駆動輪がスリップしたときであることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1つのトルクコンバータの制御装置において、前記ステータ翼車と電動機との間の動力伝達経路を選択的に断続させる第1の断続手段が設けられていることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれか1つのトルクコンバータの制御装置において、前記ステータ翼車を非回転部材に選択的に断続させる第2の断続手段が設けられていることを特徴とする。
請求項1にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、ポンプ翼車とタービン翼車とそのタービン翼車とポンプ翼車との間に回転可能に配設されたステータ翼車とを有するトルクコンバータと、前記ステータ翼車を駆動させる電動機を備えることから、電動機を用いてステータ翼車をポンプ翼車の回転方向である正回転方向、およびポンプ翼車の回転方向とは反対の負回転方向へ回転させることにより、従来に比較してトルク比および容量係数の変化範囲が広範囲となるので、車両の燃費性能および動力性能を大幅に向上させることができる。
また、前記容量係数制御手段は、車両の駆動力を抑制させる必要がある場合、必要がない場合と比較して、前記トルクコンバータの容量係数を大きくするため、車両の駆動力を抑制する必要が生じると、トルクコンバータの容量係数が大きくなる。これにより、タービン翼車から出力される駆動力が小さくなるので、車輪に伝達される駆動力を容易に抑制することができる。
また、請求項2にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、車両が走行抵抗の小さい路面を走行する場合であるため、圧雪路面等の走行抵抗の小さい路面では、駆動力が低減されて、車両の不安定性が抑制されると共に、スリップの危険性から回避される。
また、請求項3にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、低駆動力走行が要求された場合であるため、低駆動力走行が要求されると、トルクコンバータの容量係数を大きくすることで、駆動力を容易に低減することができる。
また、請求項4にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、駆動輪がスリップしたときであるため、スリップが生じるとトルクコンバータの容量係数が大きくなって、駆動力が抑制される。これより、スリップを迅速に抑制させることができる。
また、請求項5にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、前記ステータ翼車と電動機との間の動力伝達経路を選択的に断続させる第1の断続手段が設けられているため、ステータ翼車を電動機によって駆動・制動させる必要のないときはステータ翼車と電動機との動力伝達経路を遮断させることができる。これにより、電動機による引き摺り等の影響を回避することができる。
また、請求項6にかかる発明のトルクコンバータの制御装置によれば、前記ステータ翼車を非回転部材に選択的に断続させる第2の断続手段が設けられているため、ステータ翼車を適宜回転停止させることができる。これより、例えばトルクコンバータレンジでは、第2の断続手段を接続させることでトルク増幅させ、カップリングレンジでは、第2の断続手段を遮断させることでステータ翼車を空転させる。すなわち、トルクコンバータを従来のトルクコンバータ同様に作動させることができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例のトルクコンバータ6(可変容量型トルクコンバータ)が適用された車両用駆動装置7の骨子図である。この車両用駆動装置7は縦置き型の自動変速機8を有するものであって、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動力源としてエンジン9を備えている。内燃機関にて構成されるエンジン9の出力は、流体伝動装置として機能するトルクコンバータ6、自動変速機8、図示しない差動歯車装置(終減速機)、一対の車軸などを介して左右の駆動輪へ伝達されるようになっている。
トルクコンバータ6は、エンジン9のクランク軸に連結され、そのエンジン9から回転駆動されることによってトルクコンバータ6内の作動油の流動による流体流を発生させるポンプ翼車6pと、自動変速機8の入力軸22に連結され、そのポンプ翼車6pからの流体流を受けて回転させられるタービン翼車6tと、タービン翼車6tからポンプ翼車6pへの流体流中に回転可能に配置されたステータ翼車6sとを備えており、作動油(流体)を介して動力伝達を行うようになっている。
また、上記ポンプ翼車6pとタービン翼車6tとの間にはロックアップクラッチL/Cが設けられており、後述の油圧制御回路30によってそのロックアップクラッチL/Cの係合状態、スリップ状態、或いは解放状態が制御されるようになっており、完全係合状態とされることによってポンプ翼車6pおよびタービン翼車6tが一体回転させられるすなわちエンジン9のクランク軸および入力軸22が相互に直結状態とされるようになっている。
また、車両用駆動装置7は、トルクコンバータ6のステータ翼車6sを回転駆動するための電動モータ(電動機)10と、その電動モータ10とステータ翼車6sとの間の動力伝達経路を選択的に連結(断続)させるクラッチCsと、ステータ翼車6sと非回転部材であるトランスミッションケース(以下、ケースと表す)11との間を選択的に連結(断続)させるブレーキBsとを、備えている。なお、電動モータ10が本発明の電動機に対応しており、クラッチCsが本発明の第1断続手段に対応しており、ブレーキBsが本発明の第2断続手段に対応している。
上記電動モータ10は、その駆動によってステータ翼車6sのポンプ翼車6pの回転方向である正回転方向の回転数を制御するようになっている。この際、ステータ翼車6sには、例えば、図2(a)に示すように後述の電子制御装置78から回転駆動のために電動モータ10に供給される駆動電流IDの大きさに比例する上記正回転方向の駆動トルクTDが与えられる。また、電動モータ10は、その駆動によってステータ翼車6sの負回転方向の回転数を制御するようになっている。この際、ステータ翼車6sには、例えば、電動モータ10に供給される駆動電流IDの大きさに比例する上記負回転方向の駆動トルクTDが与えられる。
また、電動モータ10は、その制動(回生)によってもステータ翼車6sのポンプ翼車6pの回転方向とは反対の負回転方向の回転数を制御するようになっている。この際、ステータ翼車6sには、例えば、図2(b)に示すように例えば車両に設けられた蓄電装置等に供給すなわち蓄電される発電電流IGの大きさに比例する上記負回転方向の負荷トルクすなわち制動(回生)トルクTBが与えられる。
上記クラッチCsおよびブレーキBsは、油圧アクチュエータとその油圧アクチュエータに供給される油圧により摩擦係合或いは解放される多板式のクラッチあるいはブレーキとを備える油圧式摩擦係合装置である。ステータ翼車6sは、ブレーキBsが係合されることによりケース11に固定され回転不能にされる。また、ステータ翼車6sは、ブレーキBsの係合度合いすなわち係合圧が調整されることで発生されるスリップによっても、上記正回転方向に回転するポンプ翼車6pに対して相対的にその正回転方向とは反対の負回転方向に回転させられるようになっている。この際、ステータ翼車6sには、例えば上記係合圧が大きくなるとともに増大する上記負回転方向の負荷トルクすなわち制動トルクTBが与えられる。また、ステータ翼車6sには、クラッチCsが係合されることにより上記電動モータ10による駆動トルクTDあるいは制動トルクTBがそのまま伝達されるようになっており、また、クラッチCsの係合度合いすなわち係合圧が調整されることで発生されるスリップによりその係合圧の大きさに応じて上記駆動トルクTDあるいは制動トルクTBの伝達割合が変化させられるようになっている。
自動変速機8は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース11内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを共通の軸心上に有し、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は、走行用の動力源であるエンジン9からの動力により回転駆動されるトルクコンバータ6のタービン軸でもある。なお、このトルクコンバータ6および自動変速機8はその軸心に対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはそれら軸心の下半分が省略されている。
上記第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持するキャリアCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えている。また、第2遊星歯車装置16は、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持するキャリアCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。また、第3遊星歯車装置18は、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2及びP3、そのピニオンギヤP2及びP3を自転及び公転可能に支持するキャリアCA3、ピニオンギヤP2及びP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。
図1において、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2は、クラッチCsおよびブレーキBsと同様に油圧アクチュエータとその油圧アクチュエータに供給される油圧により係合或いは解放される多板式のクラッチあるいはブレーキとを備える油圧式摩擦係合装置であって、第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1を介してケース11に選択的に連結されて回転停止され、第3クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1(すなわち第2中間出力経路PA2)に選択的に連結され、さらに第4クラッチC4を介して第1遊星歯車装置12のキャリアCA1(すなわち第1中間出力経路PA1の間接経路PA1b)に選択的に連結されるようになっている。
また、第2回転要素RM2(キャリアCA2およびCA3)は、第2ブレーキB2を介してケース11に選択的に連結されて回転停止され、第2クラッチC2を介して入力軸22(すなわち第1中間出力経路PA1の直結経路PA1a)に選択的に連結されるようになっている。また、第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。また、第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に連結されるようになっている。なお、第2回転要素RM2とケース11との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。
図3は、自動変速機8において各変速段を成立させる際の各係合要素の作動状態を説明する図表であり、「○」は係合状態を、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合状態を、空欄は解放状態をそれぞれ表している。図3に示すように、本実施例の自動変速機8は、上記各係合装置すなわち複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2)が選択的に係合させられることにより変速比(=自動変速機8の入力軸回転速度NIN/自動変速機8の出力軸回転速度NOUT)が異なる前進8段を含む複数の変速段が成立するようになっている。なお、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
図4は、図1のエンジン9や自動変速機8、あるいはトルクコンバータ6などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図である。電子制御装置78には、エンジン回転速度センサ80からのエンジン回転速度NEを示す信号、タービン回転速度センサ82からのタービン回転速度NTすなわち入力軸回転速度NINを示す信号、ステータ回転速度センサ83からのステータ回転速度NSを示す信号、吸入空気量センサ84からの吸入空気量QAを示す信号、吸入空気温度センサ86からの吸入空気温度TAを示す信号、車速センサ88からの車速Vすなわち出力軸回転速度NOUTを示す信号、スロットルセンサ90からのスロットル弁開度θTHを示す信号、冷却水温センサ92からの冷却水温TWを示す信号、油温センサ94からの油圧制御回路30の作動油温度TOILを示す信号、アクセル操作量センサ96からのアクセルペダル98等のアクセル操作部材の操作量ACCを示す信号、フットブレーキスイッチ100からの常用ブレーキであるフットブレーキ102の操作の有無を示す信号、レバーポジションセンサ104からのシフトレバー106のレバーポジション(操作位置)PSHを示す信号などが供給されるようになっている。
電子制御装置78は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って上記各入力信号を処理し、電子スロットル弁108や燃料噴射装置110、点火装置112、油圧制御回路30のリニアソレノイド弁等、あるいは電動モータ10などに信号すなわち出力信号をそれぞれ出力するようになっている。電子制御装置78は、このような入出力信号処理を行うことにより、エンジン9の出力制御やトルクコンバータ6のステータ6sの回転制御などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や変速制御用などに分けて構成される。
本実施例においては、上記エンジン9の出力制御は、電子スロットル弁108、燃料噴射装置110、点火装置112などによって行われる。
自動変速機8の変速制御は、油圧制御回路30によって行われ、例えば予め記憶された変速線図(変速マップ)から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機8の変速すべきギヤ段を決定し、その決定されたギヤ段を成立させるように前記図3に示す作動表に従ってクラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2の係合解放状態を切り換える。
トルクコンバータ6のステータ翼車6sの回転制御は、油圧制御回路30のクラッチCsやブレーキBs、あるいは電動モータ10によって行われる。具体的には、上記ステータ翼車6sの回転制御は、電子制御装置78の指令に従って図示しないインバータから電動モータ10に供給される駆動電流IDの大きさに比例する駆動トルクTD、あるいは例えばその電動モータ10から出力される発電電流IGの大きさに比例する制動トルクTBが適宜調整されることにより実行される。
ここで、本実施例のトルクコンバータ6において、遠心力により外周側に張り付く作動油は、トルクコンバータ6の断面において図1の流線FLに沿うようにポンプ翼車6p、タービン翼車6t、スタータ翼車6sの順に循環する。図5に示すように、ポンプ翼車6p、タービン翼車6t、ステータ翼車6sは、周方向において一定間隔に隔てられた複数の羽根を備えている。図5は、各翼車におけるトルクコンバータ6内の作動油の流線FLに沿った羽根の形状をそれぞれ表している。ポンプ翼車6pの羽根によってエネルギーが与えられることにより流動させられた作動油は、タービン翼車6tの羽根に作用してタービン翼車6tを回転させる。タービン翼車6tを通過した作動油は、コンバータ領域では、ステータ翼車6sの羽根に当たって方向変換させられた後、ポンプ翼車6pへ循環させられる。上記ステータ翼車6sの羽根に作動油が当たって方向変換させられることにより、そのステータ翼車6sに反力トルクが発生させられる。この反力トルクは、上記作動油の方向変換量(角度)に対応しており、後述のトルク比tの大きさに対応している。
角運動量の定義によれば各翼車(ポンプ翼車6p、タービン翼車6t、およびステータ翼車6s)が作動油(流体)に与えるトルクT[N・m]は、次式(1)のように表される。
T=(γ/g)×Q×△(r×vU) ・・・式(1)
式(1)において、γはトルクコンバータ6内の作動油の比重量[kg/m3]、gは重力加速度[m/s2]、Qは上記作動油の体積流量[m3/s]、△(r×vU)は各翼車における流体流の出口と入口とにおける作動油の各絶対速度のモーメントr×vU[m2/s]の差である。
上記式(1)から、ポンプ翼車6pが作動油に与えるトルクT1[N・m]、タービン翼車6tが作動油に与えるトルクT2[N・m]、およびステータ翼車6sが作動油に与えるトルクT3[N・m]は、次式(2)乃至(4)のように表される。式(2)乃至(4)において、TPはポンプトルク[N・m]すなわちエンジントルク、TTはタービントルク[N・m]すなわち出力トルク、TSはステータ翼車6sの反力トルクの大きさと一致するステータトルク[N・m]すなわちステータ翼車6sにより作動油の流れの向きが変えられる際にそのステータ翼車6sに対してポンプ翼車6pの回転方向である正回転方向に作用するトルクである。
T1= TP =(γ/g)×Q×(VUP×r2−VUS×r1)・・・式(2)
T2=−TT=(γ/g)×Q×(VUT×r3−VUP×r2)・・・式(3)
T3= TS =(γ/g)×Q×(VUS×r1−VUT×r3)・・・式(4)
T2=−TT=(γ/g)×Q×(VUT×r3−VUP×r2)・・・式(3)
T3= TS =(γ/g)×Q×(VUS×r1−VUT×r3)・・・式(4)
式(2)乃至(4)において、r1はポンプ翼車6pの流体流の出口bpおよびタービン翼車6tの流体流の入口atにおける回転軸心すなわち自動変速機8の入力軸(タービン軸)22からの距離[m]、r2はタービン翼車6tの流体流の出口btおよびステータ翼車6sの流体流の入口asにおける回転軸心からの距離[m]、r3はステータ翼車6sの流体流の出口bsおよびポンプ翼車6pの流体流の入口apにおける回転軸心からの距離[m]である。また、式(2)乃至(4)中において、VUPはポンプ翼車6pの絶対速度の円周分速度[m/s]、VUTはタービン翼車6tの絶対速度の円周分速度[m/s]、VUSはステータ翼車6sの絶対速度の円周分速度[m/s]である。
式(2)乃至(4)からT1+T2+T3=0(零)が成立するため、ポンプトルクTP、タービントルクTT、およびステータトルクTSは次式(5)のように表される。つまり、トルクコンバータ6におけるポンプトルクTPに対するタービントルクTTのトルク増加分は、ステータトルクTSに一致する。
TT=TP+TS ・・・式(5)
ここで、本実施例のトルクコンバータ6は、ステータ翼車6sの反力が前述の電動モータ10の回転制御により調整される駆動トルクTDあるいは制動トルクTBにより増減されることから、タービン翼車から出力される出力トルクが従来の一定容量のトルクコンバータで得られる出力トルクに対して増減させられるようになっている。
図6および図7は、上述の内容を示す本実施例のトルクコンバータ6の特性を示す図である。図6は、タービン翼車6tのタービン回転数NT[rpm]とポンプ翼車6pのポンプ回転数NP[rpm]との回転速度比すなわち速度比e(=NT/NP)に対する、タービントルクTTとポンプトルクTPとのトルク比(トルク増幅率)t(=TT/TP)を示す図であり、図7は、上記速度比e(=NT/NP)に対する、容量係数C(=TP/NP 2)[N・m/rpm2]を示す図である。
図6および図7において、制動トルクTBが所定の値に調整されるかあるいはブレーキBsが係合されることにより、ステータ翼車6sがケース11に固定され、図6の実線に示すベースラインBtで示すように従来の一定容量のトルクコンバータと同様に設計上定まる所定のトルク比tでトルクの伝達が行われる。なお、このときのトルクコンバータ6の容量係数Cは、図7の実線で示すベースラインBCで示すようになる。
また、クラッチCsが適宜係合された状態で電動モータ10により駆動トルクTDが所定の値に調整されてステータ翼車6sがポンプ翼車6pと同一回転方向で回転させられると、ステータトルクTSが増加し、図6のステータ正転を示す長鎖線のように従来の一定容量のトルクコンバータで得られるよりも大きいトルク比tでトルクの伝達が行われる。このときのトルクコンバータ6の容量係数Cは、図7のステータ正転を示す長鎖線のようになる。なお、トルク比tおよび容量係数Cは、同じ速度比eであっても、電動モータ10により駆動トルクTDがさらに増減されることにより図6および図7の矢印a、dに示すように図6のベースラインBtからステータ正転を示す長鎖線以上または図7のベースラインBCからステータ正転を示す長鎖線以下の範囲で適宜設定される。
また、クラッチCsおよびブレーキBsが解放されることによりステータトルクTSが零とされると、図6のステータフリーを示す1点鎖線で示すようにトルクの増大が行われず、トルク比t=1でトルクの伝達が行われる。その結果、トルクコンバータ6が流体継手として作動するようになる。このときのトルクコンバータ6の容量係数Cは、図7のステータフリーを示す1転鎖線のようになる。
また、制動(回生)トルクTBが所定の値に調整されるかあるいはブレーキBsの係合圧が所定の値に調整されてブレーキBsがスリップさせられると、ステータトルクTSがステータ翼車6sが固定される場合に比較して減少し、図6のステータモータ回生で示す短鎖線で示すように従来の一定容量のトルクコンバータで得られるよりも小さいトルク比tでトルクの伝達が行われる。このときのトルクコンバータ6の容量係数Cは、図6のステータモータ回生で示す短鎖線のようになる。なお、トルク比tおよび容量係数Cは、同じ速度比eであっても、制動(回生)トルクTBあるいはブレーキBsの係合圧がさらに増減されることにより図6および図7の矢印b、cに示すようにベースラインBt又はBCからステータフリーで示す1点鎖線までの範囲で適宜設定される。
つまり、本実施例における電動モータ10は、ステータ翼車6sをポンプ翼車6pの回転方向である正回転方向に回転制御することによりトルク比tを増加させるものである。さらに、本実施例における電動モータ10は、その制動(回生)によってステータ翼車6sをポンプ翼車6pの回転方向とは反対の負回転方向に回転制御することによりトルク比tを減少させるものである。さらに、本実施例におけるブレーキBsは、そのスリップによってステータ翼車6sをポンプ翼車6pの回転方向とは反対の負回転方向に回転制御することによりトルク比tを減少させるものである。
図8は、電子制御装置78による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。変速制御手段120は、自動変速機8の変速を行う制御手段として機能するものである。変速制御手段120は、記憶手段122に予め記憶された変速線図から車速Vとエンジン9の出力を操作するアクセル開度Accに基づいて、自動変速機8の変速比を段階的に切り換える。
路面状態判定手段124は、路面状態が走行抵抗の低い状態であるか否かを判定する。例えば、圧雪路面等が前記走行抵抗の低い路面に対応している。路面状態判定手段124は、例えば、圧雪路走行時に選択されるスノーモードスイッチが運転者によって選択されたか否かなどに基づいて判定される。ここで、例えばスノーモードスイッチが選択されると、車両の駆動力を抑制させる必要があると判定され、後述する容量係数制御手段130が実施される。
低駆動力要求判定手段126は、運転者が低駆動力走行を要求しているか否かを判定する。具体的には、低駆動力要求判定手段126は、例えば、予め運転席に設けられた低駆動走行スイッチやアクセルペダル98の踏み込み具合、或いはクリープ走行時の路面の勾配等に応じて、運転者が低駆動力走行を要求しているのか否かを判定する。ここで、低駆動走行スイッチが選択される、アクセルペダル98の操作量であるアクセル開度Accが零もしくは略零であるとき、或いは、進行方向に対して急な下り勾配であるとき、運転者が低駆動力走行を要求しているものと判定され、後述する容量係数制御手段130が実施される。
スリップ判定手段128は、車両の状態がスリップ状態であるか否かを判定する。スリップの判定は、例えば前輪および後輪の回転速度を検出し、それらの回転速度差がスリップが発生したと判定される予め設定された所定値以上であるとき、車両がスリップしているものと判定する。ここで、前記回転速度差が所定値以上であるとき、車両の駆動力を抑制させる必要があると判定され、後述する容量係数制御手段130が実施される。
容量係数制御手段130は、上記路面状態判定手段124、低駆動力要求判定手段126、或いはスリップ判定手段128に基づいて、車両の駆動力を抑制させる必要があると判定されると、必要がない場合と比較してトルクコンバータ6の容量係数Cを大きくする。具体的には、上記判定が為されると、容量係数制御手段130は、可変容量切換手段132に対して、クラッチCsを係合させる命令を出力して、電動モータ10とステータ翼車6sとを動力伝達可能な状態とし、ステータ翼車6sを制御することで容量係数Cを大きくする。なお、電動モータ10による可変容量制御を実施する必要のないとき、可変容量切換手段132は、クラッチCsを解放すると共に、ブレーキBsを適宜係合させてトルクコンバータ6を通常のトルクコンバータとして機能させる。具体的には、トルクコンバータレンジではブレーキBsを係合させてトルク増幅させ、カップリングレンジではブレーキBsを解放させてステータ翼車6sを空転させる。なお、容量係数C(=TP/NP 2)は、入力トルクTPおよびポンプ回転速度NPを検出することで算出される。ここで、入力トルクTPはエンジントルクTEであるので、予め設定されたエンジン回転速度NEとアクセル開度Acc(或いはスロットル弁開度θTH)とをパラメータとするエンジントルクマップに基づいて算出される。また、タービン回転速度NTは、エンジン回転速度NEと同様であるため、エンジン回転速度センサ80によって検出される。
図9乃至図11は、ベースとなるトルクコンバータの特性に応じて実施される、容量係数制御手段130による容量係数増加の制御態様を示すものである。図9は、ベースとなるトルクコンバータ6の容量が低い場合、図10は、ベースとなるトルクコンバータ6の容量が高いとき、図11は、ベースとなるトルクコンバータ6の容量がこれらの中間状態にあるときの制御態様をそれぞれ示している。なお、ベースとなるトルクコンバータ6は、予めポンプ翼車6p、タービン翼車6t、およびステータ翼車6sなどのトルクコンバータ6の形状に基づいて決定されるものである。
例えば、ベースとなるトルクコンバータ6の容量が低い場合、図9に示すように、通常走行時では、電動モータ10を回転停止させることで、容量係数Cが低くなると共に、トルク比tが高くなる。なお、電動モータ10の回転停止の変わりにブレーキBsを係合させてステータ翼車6sを回転停止させても構わない。この状態で、低駆動力走行を実施するとき、容量係数制御手段130は、電動モータ10に所定の制動トルクを付与することで、ステータ翼車6sによる逆転回生を実施する。これにより、容量係数Cが高くなると共に、トルク比tが低くなる。なお、ステータ翼車6sは、逆転回生だけでなく、逆転駆動であっても同様の効果を得ることができる。
また、ベースとなるトルクコンバータ6の容量が高い場合、図10に示すように、通常走行では、電動モータ10を正転駆動させることで、容量係数Cが低くなると共に、トルク比tが高くなる。この状態で、低駆動力走行を実施するとき、容量係数制御手段130は、電動モータ10を回転停止させる。これより、容量係数Cが高くなると共に、トルク比tが低くなる。なお、電動モータ10の回転停止の変わりにブレーキBsを係合させてステータ翼車6sを回転停止させても構わない。
さらに、ベースとなるトルクコンバータ6の容量が上記の中間状態(容量中程度)の場合、図11に示すように、通常走行時では、電動モータ10を正転駆動させることで、容量係数Cが低くなると共に、トルク比tが高くなる。この状態で、低駆動力走行を実施するとき、容量係数制御手段130は、電動モータ10の所定の制動トルクを付与することで、ステータ翼車6sによる逆転回生を実施する。これにより、容量係数Cが高くなると共に、トルク比tが低くなる。このように、容量係数制御手段130による容量係数Cの制御は、ベースとなるトルクコンバータ6の特性に応じて適宜変更される。
また、容量係数制御手段130は、現在のアクセル開度Accや車速Vに基づいてエンジン9の現在の使用領域を推定し、次のタイミングでのエンジン9の使用領域への到達を容量係数Cを変更することによって制御することができる。
図12は、電子制御装置78の制御作動の要部すなわち、車両の駆動力を抑制させる必要があるとき、トルクコンバータ6の容量係数Cを高くして低駆動力状態に変更する制御作動を説明するフローチャートである。
先ず、ステップSA1において、レバーポジションセンサ104からのシフトレバー106のレバーポジションPSHが「D]、「R」、或いは「L」レンジなどの走行レンジとされた状態で、フットブレーキ102の踏み込みがオン状態(踏み込み状態)からオフ(解除)されると、路面状態判定手段124に対応するSA2において、路面が走行抵抗の低い状態であるか否かが判定される。SA2が否定されると、低駆動力要求判定手段126に対応するSA4において、運転者が低駆動力走行を要求しているか否かが判定される。SA4が否定されると、容量係数制御手段130に対応するSA5において、容量係数制御を実施しない通常の通常発進(走行)指令が出力される。このときは、例えば可変容量切換手段132に切換ブレーキBsを係合させる命令を出力して、ステータ翼車6sを回転停止させる。これより、トルクコンバータ6を従来のトルクコンバータとして機能させることとなる。そして、スリップ判定手段128に対応するSA6において、走行中の車両がスリップ状態にあるか否かが判定される。SA6が否定されると、本ルーチンは終了させられる。
そして、SA2が肯定される、すなわち路面が走行抵抗の低い状態である、SA4が肯定される、すなわち運転者が低駆動力走行を要求している、或いは、SA6が肯定される、すなわち、車両がスリップ状態にある、のいずれか1つでもあてはまると、容量係数制御手段130に対応するSA3において、トルクコンバータ6の容量係数Cが大きくなるように制御される。これより、車輪に伝達される駆動力が通常時よりも小さくなる。
図13は、ブレーキオン状態からブレーキオフされた際に容量係数制御手段130によって容量係数Cを大きくしたときの状態を示すタイムチャートである。t1時点において、ブレーキオン状態からブレーキオフ(解除)されると、容量係数制御手段130は、容量係数Cを増加させる。このとき、トルクコンバータ6の特性に合わせて、電動モータ10の逆転回生もしくは無負荷空転が実行される。この容量係数制御手段130による容量係数Cの増加は、例えば図13の破線で示す容量係数C1のように、t1時点において目標となる容量係数Cまで急激に引き上げ、所定時間保持させる、或いは、一点鎖線に示す容量係数C2のように、容量係数Cを目標となる容量係数まで徐々に引き上げる。なお、目標となる容量係数は、予め実験的に求められて記憶手段122に記憶されている。そして、容量係数制御手段130は、容量係数Cが目標となる容量係数となるように速度比eに基づくフィードバック制御を実施する。或いは、容量係数Cが目標となる容量係数となる電動モータ10の回転速度が予め記憶されおり、そのデータに基づくフィードフォワード制御を実施する。なお、速度比e(=NT/NP)は、タービン回転速度NTとポンプ回転速度NPとを検出することで算出されるが、タービン回転速度NTはタービン回転速度センサ82によって検出され、ポンプ回転速度NPはエンジン回転速度NEによって検出される。
このように、容量係数Cを大きくすることで、タービン回転速度NTすなわち入力軸22の回転速度の立ち上がりが通常よりも滑らかとなり、駆動輪から出力されるアウトプットトルクも滑らかに立ち上がることとなる。また、アウトプットトルクも容量係数Cが増加されない場合に比べて小さくなる。
上述のように、本実施例によれば、ポンプ翼車6pとタービン翼車6tとそのタービン翼車6tとポンプ翼車6pとの間に回転可能に配設されたステータ翼車6sとを有するトルクコンバータ6と、ステータ翼車6sを駆動させる電動モータ10を備えることから、電動モータ10を用いてステータ翼車6sをポンプ翼車6pの回転方向である正回転方向、およびポンプ翼車6pの回転方向とは反対の負回転方向へ回転させることにより、従来に比較してトルク比tおよび容量係数eの変化範囲が広範囲となるので、車両の燃費性能および動力性能を大幅に向上させることができる。
また、本実施例によれば、容量係数制御手段130は、車両の駆動力を抑制させる必要がある場合、必要がない場合と比較して、トルクコンバータ6の容量係数Cを大きくするため、車両の駆動力を抑制させる必要が生じると、トルクコンバータ6の容量係数Cが大きくなる。これにより、タービン翼車6tから出力される駆動力が小さくなるので、車輪に伝達される駆動力を容易に抑制することができる。
また、本実施例によれば、駆動力を抑制させる必要がある場合とは、車両が走行抵抗の小さい路面を走行する場合であるため、圧雪路面等の走行抵抗の小さい路面では、駆動力が低減されて、車両の不安定性が抑制されてスリップの危険性から回避される。
また、本実施例によれば、駆動力を抑制させる必要がある場合とは、低駆動力走行が要求された場合であるため、低駆動力走行が要求されると、トルクコンバータ6の容量係数Cを大きくすることで、駆動力を容易に低減することができる。
また、本実施例によれば、駆動力を抑制させる必要がある場合とは、車輪がスリップしたときであるため、スリップが生じるとトルクコンバータの容量係数Cが大きくなって、駆動力が抑制される。これより、スリップを迅速に抑制させることができる。
また、本実施例によれば、ステータ翼車6sと電動モータ10との間の動力伝達経路を選択的に断続させるクラッチCsが設けられているため、ステータ翼車6sを電動モータ10によって駆動・制動させる必要のないときはステータ翼車6sと電動モータ10との動力伝達経路を遮断させることができる。これにより、電動モータ10による引き摺り等の影響を回避することができる。
また、本実施例によれば、ステータ翼車6sをケース11に選択的に断続させるブレーキBsが設けられているため、ステータ翼車6sを適宜回転停止させることができる。これより、例えばトルクコンバータレンジでは、ブレーキBsを接続させることでトルク増幅させ、カップリングレンジでは、ブレーキBsを遮断させることでステータ翼車を空転させる。すなわち、トルクコンバータ6を従来のトルクコンバータ同様に作動させることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、車両用駆動装置7の後段部には、有段式の自動変速機8が設けられているが、この自動変速機8は、有段式の変速機に限定されず、例えばベルト式無段変速機などの無段変速機であっても構わない。すなわち、変速機の構造は本発明において、矛盾のない範囲で自由に変更することができる。
また、前述の実施例では、電動モータ10とステータ翼車6sとを選択的に連結するクラッチCsおよびケース11とステータ翼車6sとを選択的に連結するブレーキBsが設けられているが、例えばさらに、電動モータ10と入力軸22とを選択的に連結するクラッチを設けた構成などであっても構わない。すなわち、電動モータ10と入力軸22とが連結されることで、電動モータ10をハイブリッド用の電動機として兼用することもできる。
また、前述の実施例では、電動モータ10とステータ翼車6sとがクラッチCsを介して直接的に連結されているが、例えば、遊星歯車装置をこれらの間に介装させるなどして、遊星歯車装置によるトルク変換を可能とする構成であっても構わない。
また、前述の実施例において、ベースとなるトルクコンバータ6に基づく容量係数制御手段130の制御態様が記載されている(図9乃至図11)が、これはあくまで一例であって、トルクコンバータの特性に基づいて変更されるものである。例えば、図10のベースとなるトルクコンバータが高容量である場合に低駆動力走行を実施させるとき、電動モータ10を回転停止させると記載されているが、電動モータ10を無負荷空転状態とする、もしくは逆転駆動させることによっても容量係数Cを大きくすることができる。
また、前述の実施例では、路面状態判定手段124、低駆動力要求判定手段126、およびスリップ判定手段128のそれぞれの判定結果に基づいて容量係数制御手段130が実施されるが、必ずしもこれら全てを判定する必要はなく、これらの判定手段のうちの何れかを選択的に適用しても構わない。例えば路面状態判定手段124のみを判定手段として適用しても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
6:トルクコンバータ 6p:ポンプ翼車 6t:タービン翼車 6s:ステータ翼車 10:電動モータ(電動機) 130:容量係数制御手段 Cs:クラッチ(第1断続手段) Bs:ブレーキ(第2断続手段)
Claims (6)
- ポンプ翼車と、タービン翼車と、該タービン翼車とポンプ翼車との間に回転可能に配設されたステータ翼車とを、有するトルクコンバータを備えるトルクコンバータの制御装置であって、
前記ステータ翼車に動力伝達可能に連結された電動機と、
前記電動機の回転速度を制御することにより前記トルクコンバータの容量係数を制御する容量係数制御手段を備え、
前記容量係数制御手段は、車両の駆動力を抑制する必要がある場合、該駆動力を抑制する必要がない場合と比較して、前記トルクコンバータの容量係数を大きくすることを特徴とするトルクコンバータの制御装置。 - 前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、車両が走行抵抗の小さい路面を走行する場合であることを特徴とする請求項1のトルクコンバータの制御装置。
- 前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、低駆動力走行が要求された場合であることを特徴とする請求項1のトルクコンバータの制御装置。
- 前記駆動力を抑制する必要がある場合とは、駆動輪がスリップしたときであることを特徴とする請求項1のトルクコンバータの制御装置。
- 前記ステータ翼車と電動機との間の動力伝達経路を選択的に断続させる第1の断続手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つのトルクコンバータの制御装置。
- 前記ステータ翼車を非回転部材に選択的に断続させる第2の断続手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つのトルクコンバータの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008079125A JP2009236131A (ja) | 2008-03-25 | 2008-03-25 | トルクコンバータの制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110822052A (zh) * | 2018-08-07 | 2020-02-21 | 株式会社艾科赛迪 | 车辆用动力传递装置 |
-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008079125A patent/JP2009236131A/ja active Pending
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