JP2009228104A - 表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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健志 安井
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Abstract

【課題】筋模様の発生を抑制し、めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.0001〜0.015%、Si:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.001〜0.1%、S:0.0001〜0.015%、Al:0.005〜0.1%、N:0.0005〜0.007%、Ti:0.001〜0.1%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板母材の表面に、質量%で、Fe:5.0〜20.0%、Al:0.01〜0.5%、Ni:0.01〜10%、を含有し、残部がZnからなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層から10μmの領域における、平均のNiの含有量が0.01〜13質量%であり、鋼板母材表層の未再結晶フェライト粒の密度が1mmあたり5個以内であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に係り、さらに詳しくは表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板として、種々の用途、例えば自動車用内外板として適用できる鋼板およびその製造方法に関する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装密着性、塗装後耐食性、溶接性などの点に優れることから、自動車用を始めとして、家電、建材等に多用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、直ちに亜鉛の融点以上の温度に加熱保持して、鋼板中からFeを亜鉛中に拡散させることで、Zn−Fe合金を形成させるものであるが、鋼板の組成や組織によって合金化速度が大きく異なるため、その制御はかなり高度な技術を要する。一方、複雑な形状にプレスされる自動車用鋼板には、非常に高い成形性が要求されるとともに、近年では自動車の防錆性能への要求が高まったことによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が自動車用鋼板に適用されるケースが増加している。さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が、自動車用の外板として用いられる場合は、塗装後の外観が非常に厳しく求められる。
ところが、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、筋状の合金化ムラ模様(以下、筋模様と称する)が存在すると、化成処理、電着塗装後にも筋模様が残存するため、外観を非常に悪化させることになる。そのため、筋模様が存在するような合金化溶融亜鉛めっき鋼板は製品として出荷できず、生産性や歩留まり低下の原因となっていた。
筋模様の原因は、鋼板母材を連続溶融亜鉛めっきライン(以下、CGLと称する)で焼鈍した後でさえも鋼板母材表層に残存する未再結晶粒、および、鋼板母材表層の{001}集合組織であり、未再結晶粒および{001}集合組織部では周囲よりも合金化が早いために、合金化速度差を生じ、合金化ムラとなっていた。
未再結晶粒および{001}集合組織の形成原因としては、これまで以下のように考えられてきた。従来、めっき原板の仕上熱間圧延は、圧延中にフェライト粒の出現を防止するため、Ar3点以上で行われていた。さらに、最終製品の加工性を向上させる目的で、仕上圧延終了時の結晶粒径を小さくするため、仕上圧延温度を、Ar3点直上とすることも度々行われていた。ところが、熱間圧延中であっても、鋼板母材表層部は、大気放冷、圧延ロールや冷却水との接触などにより、鋼板のバルクよりも温度が低下し易いため、狙いの仕上圧延温度をAr3点直上に設定した場合、鋼板母材表層部がAr3点を下回ってしまう場合があった。このような場合、熱間圧延後に冷間圧延を施したとしても、鋼板母材の表層部がCGLの焼鈍によっても再結晶しにくく、焼鈍後も未再結晶粒として残ると考えらてきた。また、未再結晶粒の方位は圧延集合組織である{001}を引き継ぐため、未再結晶部は、{001}集合組織となると考えられてきた。
この問題に対し、例えば特許文献1には、熱間圧延時の仕上げ温度を上昇し、筋模様を抑制する方法が開示されている。しかし、この方法では熱間圧延前の加熱温度を高くする必要があるためコストや生産性を阻害するという問題があった。また、TiやNbを添加したIF(Interstitial Free)鋼では再結晶温度が高いため、熱間圧延時の仕上げ温度を上昇したとしても、CGLでの焼鈍後に、鋼板母材に未再結晶が残り、筋模様を完全には抑制できないという問題があった。
特開平10−18011号公報
本発明は前述のような問題を解決し、熱間圧延の条件を特に制御しなくても製造できる、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、熱延条件に頼らずとも筋模様を抑制できる表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について鋭意検討した。その結果、熱延、酸洗、冷延後にNiを付着させ、その後CGLにて焼鈍を行い、溶融亜鉛めっき、合金化処理を施すことにより、めっき層及び鋼板母材表層にNiを含有させ、鋼板母材表層の地鉄集合組織を制御することにより、筋模様を抑制できることを見出して本発明をなした。
すなわち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)質量%で、
C:0.0001〜0.015%、
Si:0.001〜0.3%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.001〜0.1%、
S:0.0001〜0.015%、
Al:0.005〜0.1%、
N:0.0005〜0.007%
Ti:0.001〜0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板母材の表面に、質量%で、
Fe:5.0〜20.0%、
Al:0.01〜0.5%、
Ni:0.01〜10%、
を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層から10μmの領域における、平均のNiの含有量が0.01〜13質量%であり、鋼板母材表層の未再結晶フェライト粒の密度が1mmあたり5個以内であることを特徴とする、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)前記鋼板母材の表層の結晶粒が、{111}への集積度が0.2以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
Mo:0.005〜0.1%
を含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(4)前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
Nb:0.002〜0.1%
を含有することを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(5)前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
B:0.0002〜0.003%
を含有することを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化学成分からなる組成のスラブを、熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延を施し、Niを0.01〜10g/mめっきした後、連続溶融亜鉛めっき設備において焼鈍した後に、浴中Al濃度が質量%で0.07〜0.20%の溶融亜鉛めっき中で、溶融亜鉛めっき処理することによって、前記鋼板の表面上に溶融亜鉛めっき層を形成し、次いで、前記溶融亜鉛めっき層が形成された前記鋼板に対し、460〜580℃において合金化処理を施すことによって、前記鋼板の表面に質量%で、
Fe:5.0〜20.0%、
Al:0.01〜0.5%、
Ni:0.01〜10%、
を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を形成する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍温度ST(℃)が、前記Niの付着量W(g/m)と以下の式(1)を満たすことを特徴とする、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
750−5W≦ST≦850−5W・・・・式(1)
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法は、熱延条件に依らず、筋模様の発生を抑制することができ、めっき外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを可能としたものであり、自動車の内外板の用途に極めて有効である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、請求項1において、鋼中成分を限定している理由を説明する。なお、成分についての%は、質量%を意味する。
C:Cは鋼の強度を高める元素であって0.0001質量%以上を含有させることが有効であるが、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下するので上限含有量は0.015質量%とする。特に高い加工性を必要とする場合には、C含有量は0.010質量%以下とすることが好ましい。
Si:Siも鋼の強度を向上させる元素であって0.001質量%以上を含有させるが、過剰に含有すると外観およびめっき密着性を損なうので、上限は0.3質量%とする。また、同時に加工性も低下させるため、特に高い加工性を必要とする場合には、Si含有量は0.1質量%以下とすることが好ましい。
Mn:Mnも鋼の強度を高める一方で加工性を低下させる元素である。また、過剰な添加は外観、めっき密着性を損なうので、上限含有量は1.0質量%とする。Mnが少ないほど加工性は良好であるが、0.01質量%以下とするためには精錬コストが多大となるので下限含有量は0.01質量%とする。強度、加工性とコストのバランスから、0.1〜0.6質量%とすることが好ましい。
P:Pも鋼の強度を高めるが、過剰な添加は、外観、めっき密着性を損なうので、上限含有量は0.1質量%とする。P含有量を0.001質量%未満に低減するためには精錬コストが多大となるので、下限含有量は0.001質量%とする。強度、加工性とコストのバランスから、0.02〜0.08質量%とすることが好ましい。
S:Sは鋼の熱間加工性、耐食性を低下させる元素である。0.015質量%を超えると熱間加工性、耐食性を悪化させるため、上限を0.015質量%とする。0.0001質量%未満とするのはコスト的に不利であるため、下限を0.0001質量%とする。但し、Sを低減し過ぎると表面欠陥が発生し易くなるため、0.008質量%以上とすることが好ましい。
Al:Alは鋼の脱酸元素として、またAlNによる熱延素材の細粒化、および一連の熱処理工程における結晶粒の粗大化を抑制し材質を改善するために0.005質量%以上添加する必要がある。但し、0.1質量%を超えると溶接性を悪化させる恐れがあるため、その含有量は0.1質量%以下とする。さらに、アルミナクラスターによる表面欠陥を少なくする観点から、0.01質量%以下とすることが好ましい。
N:Nは鋼の強度を上昇させる一方で加工性を低下させるので上限は0.007%とする。特に高い加工性を必要とする場合には、0.003質量%以下とすることがより好ましく、0.002質量%以下とするとさらに好ましい。Nはより少ないほど好ましいが、0.0005%未満に低減することは過剰なコストを要するので、下限含有量は0.0005%とする。
Ti:Tiは鋼板の延性を向上させる効果を持ち、0.001質量%以上添加することでその効果を発現するため、下限を0.001質量%とした。また、0.1質量%を超えて添加すると、析出物により強度が上昇し、延性を阻害する恐れがあるため、上限を0.1質量%とした。特に高い加工性を必要とする場合は、0.005〜0.07質量%とすることが好ましい
本発明において、亜鉛めっき層中のFe含有量を5.0〜20.0質量%の範囲に限定しているのは、5.0質量%未満では、Fe−Zn反応がめっき層の全厚まで完了していないため、合金化ムラが存在する場合は目立ち易く、外観を損ねるためである。また、20.0質量%を超えると、めっき密着性および外観を損ねるからである。好ましくは9〜12質量%の範囲とすることである。
めっき層中のAl含有量を0.01〜0.5質量%の範囲に限定しているのは、めっき層中にAlを0.01質量%以上含有させることにより、過剰なζ相、Γ相の生成を抑制することができるからである。また、0.5質量%を超えてAlを添加すると、Alがめっき層表面に濃化して、スポット溶接性を悪化させる。そのため、上限を0.5質量%とした。好ましくは0.1〜0.3質量%の範囲とすることである。
めっき層中のNi含有量を0.01〜10質量%に限定しているのは、後述するように、鋼板母材の表層にNiを含有させることにより、めっき層が不可避的にNiを含有するからである。鋼板母材表層のNi含有量を、本発明の範囲とすることにより、めっき層中にはNiが0.01質量%以上含有する。また、10質量%を超えてNiを含有させると、外観や耐食性、スポット溶接性を悪化させる恐れがあるため、上限を10質量%とした。好ましくは5質量%以下とすることである。
めっき層中のFe、Al及びNiの濃度を測定するには、めっき層を酸で溶解し、溶解液を化学分析する方法を用いればよい。例えば、30mm×40mmに切断した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、インヒビタを添加した5%HCl水溶液で、鋼板母材の溶出を抑制しながらめっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光して得られた信号強度と、濃度既知溶液から作成した検量線からFe、Al及びNiの含有量を定量する方法を用いればよい。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m以上であることが望ましい。また、めっき密着性を確保すると言う観点からは、片面付着量で100g/mを超えないことが望ましい。本発明の溶融亜鉛めっき鋼板上に、塗装性、溶接性を改善する目的で、上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、非クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
以下、本発明の請求項1において、鋼板母材の表層の構造について規定している理由を述べる。鋼板母材の表層から10μm以内の領域における、平均のNiの含有量を0.01%〜13質量%としているのは、鋼板母材の表層から10μm以内の領域にNiを0.01質量%以上含有させることで筋模様を抑制する効果が発現するからである。また、13質量%を超えて含有させると、溶接性、耐食性に悪影響を及ぼす可能性があるため、上限を13質量%とした。めっき密着性の観点からは、5質量%以下とすることが好ましい。また、鋼板母材の表層から10μm超の深さにNiを含有していても、筋模様を抑制する効果を損ねるものではない。
鋼板母材表層から10μmの領域における、平均のNi含有量を測定する方法としては、鋼板を垂直に樹脂埋め込みして研磨し、断面から、鋼板母材表層を通るようにEPMAで線分析すればよい。得られた、Ni含有量のラインプロファイルから、鋼板母材表層から10μmのNi含有量の平均値を求めればよい。
鋼板母材表層のNi濃度を0.01%〜13質量%とする方法としては、特に限定されるものではないが、CGLの通板前に、鋼板表面にNiをめっきし、その後焼鈍すればよい。
鋼板母材表層にNiを含有させると筋模様を抑制できるのは、Niの含有により合金化ムラの原因となる未再結晶粒が減少するからであると考えられる。未再結晶粒が減少するのは、Niを含有すると再結晶温度が低下するためであると考えられる。再結晶温度が低下するのは、鋼中に固溶したNiが、再結晶温度を上昇させるような元素、例えばTiやMnなどと相互作用し、再結晶温度を上昇させる効果を打ち消すからであると考えられる。
鋼板母材表層の未再結晶フェライト粒の密度を1mmあたり5個以内としているのは、1mmあたり5個以内とすることで筋模様を抑制することができるからである。好ましくは1mmあたり5個未満、更に好ましくは3個未満とすることである。
鋼板母材表層の未再結晶フェライト粒の密度を測定する方法としては、めっき層をインヒビタ入りの希塩酸で溶解除去した後、鋼板母材表層をEBSD(電子後方散乱回折)装置を有するSEMを用いて分析すればよい。例えば、1mm×1mmの領域を測定して、EBSDの解析ソフトを用いて、隣接する測定点との角度差(以下、隣接角と称する)を、角度差毎にカラー表示したマップを描く。隣接角が15°〜180°の境界(大傾角粒界)で囲まれた粒を1つの結晶粒と定義し、1つの粒の長径と短径の平均を結晶粒径と定義し、結晶粒径が10μm以上の結晶粒で、粒内に、隣接角が2°から10°の境界(小傾角粒界)が、粒の面積の半分以上の領域に渡って存在する粒を、未再結晶粒と定義する。測定した領域内での、未再結晶粒の個数を、未再結晶粒の密度と定義する。
本発明の請求項2で、鋼板母材表層の結晶粒の{111}への集積度を0.2以上としているのは、0.2以上とすることで筋模様を抑制する効果がさらに高まるからである。
鋼板母材表層の結晶粒の{111}への集積度が高いと筋模様を抑制する効果が高まるのは、{111}の結晶粒は他の方位に比べて合金化速度が遅く、仮に結晶粒径のばらつきが存在しても、合金化速度差が生じにくいためであると考えられる。
鋼板母材表層の結晶粒の{111}への集積度を測定するには、未再結晶フェライト粒の密度を求めるのと同様に、めっき層をインヒビタ入りの希塩酸で溶解除去した後にEBSDで測定する方法を用いればよい。EBSDで測定したのち、解析ソフトを用いて、{111}からのずれが15°以内である粒を{111}であると定義し、測定領域に存在する粒の中で、{111}である粒の割合が集積度として求められる。
本発明の請求項3で、鋼板母材がさらにMoを質量%で0.005〜0.1%含有するとしているのは、Moを添加することにより、筋模様を抑制する効果がさらに高まるからである。Moの添加により、筋模様を抑制する効果がさらに高まるのは、合金化反応を均一化するためであると考えられる。0.005質量%以上の添加で、筋模様の抑制効果が現れ、0.1質量%を超えて添加しても、その効果が飽和するばかりか、コストの増加を招くため、0.005〜0.1質量%の範囲に限定した。好ましくは、0.005〜0.05質量%の範囲とすることである。
本発明の請求項4で、鋼板母材がさらに、質量%でNbを0.002〜0.1%含有するとしているのは、Nbの添加により鋼板の延性をさらに向上させることができるからである。0.002質量%以上の添加により、延性が向上し、0.1質量%を超えての添加は鋼板の再結晶温度を上昇させて溶融亜鉛めっきラインの生産性を低下させるため、0.002〜0.1質量%の範囲に限定した。好ましくは、0.005〜0.05質量%とすることである。
本発明の請求項5で、鋼板母材がさらに、質量%でBを0.0002〜0.003%含有するとしているのは、Bの添加により2次加工脆性が改善するからである。Bの添加量が0.0002質量%未満だと2次加工脆性改善効果が十分ではなく、0.003質量%を超えて添加してもその効果が飽和するのみならず、成形性が低下するため、0.0002〜0.003質量%の範囲に限定した。特に高い深絞り性を必要とする場合には、0.0015質量%以下とすることが好ましい。
次に、製造条件の限定理由について述べる。
熱間圧延に供するスラブは特に限定するものではなく、連続鋳造スラブや薄スラブキャスター等で製造したものであれば良い。また鋳造後直ちに熱間圧延を行う連続鋳造―直送圧延(CC−DR)のようなプロセスにも適合する。
熱間圧延の仕上げ温度は特に限定されるものではないが、鋼板のプレス成形性を確保するという観点から850〜970℃とすることが好ましい。熱延後の冷却条件や巻取温度は特に限定しないが、巻取温度はコイル両端部での材質ばらつきが大きくなることを避け、またスケール厚の増加による酸洗性の劣化を避けるためには750℃以下とし、また、巻取り温度が低すぎると冷間圧延時に耳割れを生じやすく、極端な場合には板破断することもあるため550℃以上とすることが望ましい。冷間圧延時の圧下率は通常の条件でよく、加工性の向上を最大限に得る目的からその圧延率は50%以上とすることが好ましい。一方、85%を超す圧延率で冷間圧延を行うことは多大の冷延負荷が必要となるため、85%以下とすることが好ましい。
前述のように、冷間圧延を施したのち、鋼板表面にNiを付着させる。その方法は特に限定されるものではないが、電気めっきや置換めっきなどの方法が簡便で制御しやすい。Niを含有する金属の付着量を0.01〜10g/mとすることで、筋模様を抑制することができる。好ましくは0.01〜5g/mとすることである。
焼鈍を施した後、溶融亜鉛めっき浴に浸漬する。その際の鋼板の温度は特に限定されないが、400℃以上、600℃以下とすることが好ましい。400℃以下では溶融亜鉛めっき浴中で、鋼板表面上で亜鉛が凝固する可能性があり、600℃以上では溶融亜鉛めっき浴中で、鋼板表面上で亜鉛が蒸発し、表面外観を損ねる可能性があるからである。
溶融亜鉛めっき浴の成分はAl濃度を0.07〜0.2質量%とする。Al濃度が0.07質量%未満ではめっき初期の合金化バリアとなるFe−Al−Zn相の形成が不十分であるために、合金化制御が困難となる。一方、Al濃度が0.2質量%超ではFe−Al−Zn相が形成しすぎるために、合金化制御が困難となる。好ましくは0.10〜0.20質量%とすることである。
溶融亜鉛めっき浴の浴温は特に限定されるものではないが、440℃〜470℃とすることが好ましい。440℃未満ではめっき浴の粘性が高く、めっき付着量の制御が困難となる可能性があり、470℃超では浴中で合金化が開始するため、めっき層の合金化制御が困難となる可能性があるからである。
鋼板が溶融亜鉛めっき浴から出た後、所定の付着量に制御した後、合金化処理を460℃〜580℃で行う。合金化処理の温度が460℃未満であると、合金化に長時間を要し、めっき層が垂れて表面外観を悪化させる。また、580℃超であると、合金化が早すぎて、合金化反応の制御が困難となる。そのため合金化処理の温度を460℃〜580℃に限定した。好ましくは460〜560℃とすることである。
さらに、本発明において、CGLにおける焼鈍温度が、冷間圧延後に施すNiめっきの付着量W(g/m)との関係が、下記式(1)を満足するような温度ST(℃)で行う。

750−5W≦ST≦850−5W・・・・式(1)
CGLにおける焼鈍温度を〔750−5W〕℃以上、〔850−5W〕℃以下に限定した理由は、焼鈍温度STが〔750−5W〕℃よりも低いと未再結晶フェライト粒の残存が多いため、筋模様が発生して外観を悪化させるからである。また、STが〔850−5W〕よりも高いと、焼鈍炉内ロールへ、鋼中の易酸化性元素の酸化物が堆積し、鋼板と擦れて疵が発生する確率が高くなり、歩留まりを落とす恐れがあるからである。上記式は種々の実験により決定したものである。
本発明において合金化炉加熱方式については特に限定するものではなく、本発明の温度が確保できれば、通常のガス炉による輻射加熱でも、高周波誘導加熱でも構わない。また、合金化加熱後の最高到達温度から冷却する方法も、問われるものではなく、合金化後、エアーシール等により、熱を遮断すれば、開放装置でも十分であり、より急速に冷却するガスクーリング等でも問題ない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成からなるスラブを1150〜1250℃に加熱し、850〜970℃で仕上げ熱間圧延をして、厚さ4mmの熱間圧延鋼帯とし、580〜680℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施して、厚さ1.0mmの冷間圧延鋼帯とし、表2に示すような付着量のNiをめっきした。その後、CGLにおいて、表2に示すような条件で焼鈍し(発明例はいずれも750−5W≦ST(℃)≦850−5Wで規定する焼鈍温度STの要件を満たしていた)、溶融亜鉛めっき、合金化処理を施した。
Figure 2009228104
Figure 2009228104
めっき層中のFe濃度、Al濃度、Ni濃度は、前述のように、インヒビタを添加した5%HCl水溶液でめっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光分析することにより測定した。
めっき後の鋼板母材表層における、Niの含有量は、前述のように、めっき後の鋼板を垂直に樹脂埋め込みして研磨し、断面から、鋼板母材表層を通るようにEPMAで線分析して求めた。
めっき後の鋼板母材表層における、未再結晶粒の密度、{111}への集積度は、前述のように、めっき層をインヒビタ入りの希塩酸で溶解除去した後、EBSDで分析した。
めっき後の外観評価は目視観察による評点で行った。3段階で、○:全く筋模様がない、△:極稀に僅かな筋模様が存在するが、外観上は問題ないもの、×:明確な筋模様が存在し、外観上問題があるもの、とし、○、△を合格とした。
めっき密着性の評価は、45°V曲げ試験により、行った。評価面が、曲げの内側に来るように、先端の曲率半径が1mmである金型を用いて、45°に曲げ加工し、曲げ部内側にテープを貼り、テープを引き剥がした。テープと共に剥離しためっき層の剥離状況から、3段階で耐パウダリング性を評価した。○:剥離幅3mm未満、△:剥離幅5mm未満、×:剥離幅5mm以上とし、○を合格とした。
評価結果を表3に示す。表3より、本発明例は全て、外観、およびめっき密着性の評価が合格レベルを満たしている。本発明の範囲を満たさない比較例は、いずれも外観の評価が低い。
Figure 2009228104

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.0001〜0.015%、
    Si:0.001〜0.3%、
    Mn:0.01〜1.0%、
    P:0.001〜0.1%、
    S:0.0001〜0.015%、
    Al:0.005〜0.1%、
    N:0.0005〜0.007%
    Ti:0.001〜0.1%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板母材の表面に、質量%で、
    Fe:5.0〜20.0%、
    Al:0.01〜0.5%、
    Ni:0.01〜10%、
    を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層から10μmの領域における、平均のNiの含有量が0.01〜13質量%であり、鋼板母材表層の未再結晶フェライト粒の密度が1mmあたり5個以内であることを特徴とする、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記鋼板母材の表層の結晶粒が、{111}への集積度が0.2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
    Mo:0.005〜0.1%
    を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
    Nb:0.002〜0.1%
    を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 前記鋼板母材が、さらに、質量%で、
    B:0.0002〜0.003%
    を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化学成分からなる組成のスラブを、熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延を施し、Niを0.01〜10g/mめっきした後、連続溶融亜鉛めっき設備において焼鈍した後に、浴中Al濃度が質量%で0.07〜0.20%の溶融亜鉛めっき中で、溶融亜鉛めっき処理することによって、前記鋼板の表面上に溶融亜鉛めっき層を形成し、次いで、前記溶融亜鉛めっき層が形成された前記鋼板に対し、460〜580℃において合金化処理を施すことによって、前記鋼板の表面に質量%で、
    Fe:5.0〜20.0%、
    Al:0.01〜0.5%、
    Ni:0.01〜10%、
    を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を形成する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、連続溶融亜鉛めっきラインにおける焼鈍温度ST(℃)が、前記Niの付着量W(g/m)と以下の式(1)を満たすことを特徴とする、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    750−5W≦ST≦850−5W・・・・式(1)
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