JP2009221329A - 弾性体の接着方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被着体に接着剤層を介して弾性体を接着する方法であって、弾性体を形成するための弾性材組成物中に光重合開始剤を含有し、接着剤層を形成するための接着剤組成物中に光重合開始剤及び発光物質を含有し、該発光物質が蛍光物質、燐光物質及び畜光物質からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差が20nmを超えることを特徴とする弾性体の接着方法である。
【選択図】なし
Description
例えば、コンピュータのハードディスク装置などの電子機器においては、ガスケットを使って塵の侵入を防ぐことが一般に行われ、ガスケット等の弾性材が金属製のカバー体等に接着剤層を介して接着されて用いられる。金属製のカバー体は光を乱反射するために接着剤層が視認しにくく、さらに弾性材が黒色の場合には、さらに視認し難い。従って、このような場合に、接着剤層の形成が不十分であることが認識されずに、ガスケット付きのカバー体が製造されるため、不良品の発生を事前に防止することが困難となる。
すなわち、本発明は、被着体に接着剤層を介して弾性体を接着する方法であって、弾性体を形成するための弾性材組成物中に光重合開始剤を含有し、接着剤層を形成するための接着剤組成物中に光重合開始剤及び発光物質を含有し、該発光物質が蛍光物質、燐光物質及び畜光物質からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差が20nmを超えることを特徴とする弾性体の接着方法を提供するものである。
光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差について、本発明の効果を奏するためには、20nmを超えることが必須であり、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがさらに好ましい。ここで光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差とは、光重合開始剤及び発光物質の極大吸収波長が複数ある場合には、必ずしもすべての極大吸収波長の差が20nmを超えることを要するものではなく、少なくとも、その一部において、極大吸収波長の差が20nmを超えればよい。
蛍光物質、燐光物質、及び蓄光物質は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。また、蛍光物質と燐光物質の組み合わせ、蛍光物質と蓄光物質の組み合わせ、燐光物質と蓄光物質の組み合わせ、さらにはこれら3種を組み合わせることもできる。
無機系蛍光物質としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム、カドミウム等の酸化物、硫化物、珪酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩等が挙げられる。
また、有機系蛍光物質としては、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジビニルスチルベン、トリアジニルアミノスチルベン、スチイルベンジル−2H−トリアオール、ベンズオキサゾール、フラン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、1,3−ジフェニル2−ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド、1,3,5−トリアジン−2−イル誘導体、キナクリドン誘導体、フルオレン誘導体、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、ビス(8−キノラト)亜鉛錯体等のアルミニウム、ベリリウム及び亜鉛の有機錯体、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、ペリレン、1,5−ジクロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,8−ジクロロ−9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、モノクロロ及びジクロロ置換9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、5,12−ビス(フェニルエチニル)テトラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、16,17−ジヘキシルオキシビオラントロン、2−メチル−9,10−ビス−(フェニルエチニル)アントラセン、9,10−ビス−(4−メトキシフェニル)−2−クロロアントラセン、9,10−ビス−(4−エトキシフェニル)−2−クロロアントラセン、16,17−ジデシクロキシビオラントロン、5,12−ビス−(フェニルエチニル)ナフタセン、5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン(ルブレン)などが挙げられる。
また、蓄光物質としても特に制限はなく、硫化亜鉛、硫化バリウム、硫化カルシウム、アルミン酸ストロンチウム等が挙げられる。なお、これらの物質は遷移金属化合物などの活性剤を数ppm〜数百ppm添加して発光体とされる。
また、上記発光物質は接着剤組成物に可溶状態で存在することが、分散性、保存安定性の点で好ましい。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。光重合開始剤の配合量は、接着剤組成物中に0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、さらに1〜3質量%の範囲が好ましい。
エポキシ樹脂としては、光硬化型エポキシ樹脂として慣用されるものを用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等の2官能以上の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
エステルアクリレート系樹脂としては、多塩基酸と3価アルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル基を導入することにより得ることができる。
具体的には、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリルモノマー、N−ビニルモノマーなどが挙げられる。アクリルモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステルなどが挙げられる。N−ビニルモノマーとしては、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
接着剤組成物中の反応性希釈剤の含有量は、5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
接着剤組成物中の該無機系充填剤の添加量は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
このようにして得られるカーボネートジオールは分子中にカーボネート構造を一つ有するモノカーボネートジオール又は分子中にカーボネート構造を二つ以上有するポリカーボネートジオールである。
また、クレー,珪藻土,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物,マイカ,カオリン,アルミナ,グラファイト,水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系添加剤、各種の金属粉,ガラス粉,セラミックス粉,粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填剤,その他の各種の天然または人工の短繊維,長繊維(例えば、ガラスファイバー,金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
また、制振材の場合には、主にゴム材料や熱可塑性樹脂等の合成樹脂、場合によっては金属を被着体として選択することができる。
接着剤組成物を被着体に塗布する際の粘度は、25℃において、10〜1000mPa・sの範囲が好ましい。10mPa・s以上であると接着剤組成物が硬化前に流れだす等の問題がなく、まただれがないため、寸法安定性が良好である。一方、1000mPa・s以下であると塗布性が良好である。以上の観点から、該接着剤の25℃における粘度は100〜500mPa・sの範囲がより好ましい。
なお、該粘度は上述の反応性希釈剤及び無機充填剤の添加量等によって制御することができる。
接着剤組成物の塗布量は弾性体が被着体に良好に接着する範囲であれば特に制限はないが、硬化後の接着剤層の層厚が50〜200μmの範囲となるように塗布することが好ましい。層厚が50μm以上であると十分な接着が可能であり、かつシール性も良好である。一方、200μm以下であると、深部まで十分な硬化が可能であり、また経済的にも有利である。以上の観点から、硬化後の接着剤層の層厚は50〜100μmの範囲がさらに好ましい。
接着剤の塗布部分の視認に際しては、発光物質として紫外線を吸収して蛍光又は燐光を発生するものを用いる場合には、暗所にてブラックライト等の光源によって、接着剤組成物の塗布部分を照射することで、容易に視認することができる。特に被着体が乱反射する材料からなる場合に有効である。
また、紫外線等の照射装置及び画像認識装置等の検出部を設けておき、接着剤組成物の塗布状態を自動的に検査することもできる。
弾性材組成物の粘度については、塗布できる範囲で特に限定されないが、通常、50℃での粘度が1〜1000Pa・sの範囲であることが好ましい。50℃での粘度がこの範囲内であると、流動性が適度であり、弾性体の形状を保持することができるとともに、弾性体の形状の賦形が行いやすい。
紫外線源としては、有電極方式としてメタルハライドランプ、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を、無電極方式としてエキシマランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気あるいは酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましいが、通常の空気雰囲気でも紫外線硬化性ガスケット材を用いた場合には、十分硬化させることができる。照射雰囲気温度は、通常10〜200℃とすることができる。
該カバープレートは、金属や熱可塑性樹脂等の合成樹脂で形成することができる。カバープレートを形成する金属としては、例えばニッケルめっきアルミニウム、ニッケルめっき鋼、冷延鋼、亜鉛めっき鋼、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金などの中から、適宜選択して用いることができる。
また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。耐食性の点から、無電解ニッケルめっき処理を施した金属が好適であり、本発明においては、ニッケルめっきアルミニウム及びニッケルめっき鋼が好ましい。
無電解ニッケルめっき処理方法としては、従来金属素材に適用されている公知の方法、例えば硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸などを適当な割合で含有するpH4.0〜5.0程度で、かつ温度85〜95℃程度の水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴中に、金属板を浸漬する方法などを用いることができる。
本発明の多段ガスケットは、特に、カバープレートとして、ニッケルメッキ及びクロメート処理された金属体を用いる場合に好適であり、例えば85℃程度の高温下での接着性が高い。
1.硬化性
ガラス板上に、各実施例及び比較例で得られた接着剤組成物を、バーコーターを用いて製膜し、厚さ約0.6mmの膜を得た。これに紫外線を照度150mW/cm2、積算光量9000mJ/cm2の条件で照射し、硬化した。評価は官能評価とトルエンに、常温で24時間浸漬した後の重量変化により行った。評価基準は以下のとおりである。
○;トルエン浸漬後の重量変化が15質量%以下であり、かつ硬化膜の表面及び底面においてべたつきがない。
×;トルエン浸漬後の重量変化が15質量%を超えるか、又は硬化膜の表面及び底面においてべたつきがある。
2.視認性
各実施例及び比較例で得られた接着剤組成物を鋼鈑(SUS304)の上に線状に塗布し、ブラックライト(波長;254nm)を照射した後、暗室において目視にて評価した。目視評価は比較例1との比較で行い、評価基準は以下のとおりである。
○;比較例1に対して、基板に線状に塗布された接着剤の見え方に明確な差があり、接着剤のかすれ、気泡の有無、基板と接着剤の界面を目視で観察することができた。
△;比較例1に対して、基板に線状に塗布された接着剤の見え方に明確な差があり、接着剤の塗布位置の確認は容易に行えた。
×;比較例1と同程度の見え方であり、暗室における目視では接着剤の塗布位置の確認が容易には行えなかった。
エポキシアクリレート(サートマー社製「CN104LC」)34質量%、アクリルモノマー(大阪有機化学工業(株)製「IBXA」)24質量%、充填材としてタルク(日本タルク(株)製「MS−P」)37質量%、畜光顔料であるアルミン酸ストロンチウム(根本特殊化学(株)製「Luminova GLL−300FS」、極大吸収波長;約240nm)3質量%、及び光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(極大吸収波長;340nm)2質量%を配合して、接着剤組成物を調製した。上記方法にて評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、畜光顔料の配合量を1質量%としたこと以外は実施例1と同様にした実施例1と同様の方法で評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、光重合開始剤及び発光物質を第1表に記載されるものに変更したこと以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を調製した。実施例1と同様の方法で評価した結果を第1表に示す。
発光物質を含有しないこと以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物を調製し、各実施例の評価に際してのリファレンスとした。
実施例1において、光重合開始剤及び発光物質を第1表に記載されるものに変更したこと以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を調製した。実施例1と同様の方法で評価した結果を第1表に示す。
一方、比較例2及び3で用いた光重合開始剤は実施例6の開始剤と同じものであり、極大吸収波長が2つ存在するが、いずれの極大吸収波長も、発光物質の極大吸収波長との差が20nm以下であるため、光重合開始剤が有効に機能せず、硬化性が不十分となった。
Claims (9)
- 被着体に接着剤層を介して弾性体を接着する方法であって、弾性体を形成するための弾性材組成物中に光重合開始剤を含有し、接着剤層を形成するための接着剤組成物中に光重合開始剤及び発光物質を含有し、該発光物質が蛍光物質、燐光物質及び畜光物質からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差が20nmを超えることを特徴とする弾性体の接着方法。
- 前記接着剤組成物が紫外線硬化型樹脂を主成分とするものである請求項1に記載の弾性体の接着方法。
- 前記紫外線硬化型樹脂がエポキシアクリレート系樹脂、エポキシ樹脂及びウレタンアクリレート系樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の弾性体の接着方法。
- 前記発光物質が接着剤組成物に可溶である請求項1〜3のいずれかに記載の弾性体の接着方法。
- 前記弾性材組成物が、ウレタン、エポキシ系重合体、シリコーン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソブチレン、フッ素含有ゴム、及びこれらを変性したものから選ばれる少なくとも1種を主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性体の接着方法。
- 被着体に接着剤組成物を塗布し、その上に弾性材組成物を塗布した後、紫外線を照射して硬化させる請求項1〜5のいずれかに記載の弾性体の接着方法。
- カバー体に接着剤層を介して弾性体が接着されたハードディスク装置用ガスケットであって、弾性体が弾性材及び光重合開始剤を含有する弾性材組成物を硬化したものであり、接着剤層が光重合開始剤と発光物質を含有する接着剤組成物を硬化したものであり、該発光物質が蛍光物質、燐光物質及び畜光物質からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差が20nmを超えるハードディスク装置用ガスケット。
- 請求項7に記載のガスケットを用いたハードディスク装置。
- カバー体に接着剤層を介して弾性体が接着された制振材であって、弾性体が弾性材及び光重合開始剤を含有する弾性材組成物を硬化したものであり、接着剤層が光重合開始剤と発光物質を含有する接着剤組成物を硬化したものであり、該発光物質が蛍光物質、燐光物質及び畜光物質からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、光重合開始剤の極大吸収波長と発光物質の極大吸収波長の差が20nmを超える制振材。
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