JP2009215924A - 燃料性状判別装置及びこれを備えた触媒劣化診断装置 - Google Patents

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寛史 宮本
Toru Kidokoro
徹 木所
Yutaka Sawada
裕 澤田
Yasushi Iwasaki
靖志 岩▲崎▼
Koichi Kimura
光壱 木村
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Abstract

【課題】燃料の硫黄濃度を推定可能な燃料性状判別装置及びこれを備えた触媒劣化診断装置を提供する。
【解決手段】触媒に供給される排気ガスの空燃比(目標空燃比A/Ft)をリッチ側からリーン側に徐変させ、このときに触媒後空燃比センサの出力Vrrがリーン側に反転するタイミングt1,t2における空燃比の値A/Ft1,A/Ft2に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定する。当該反転タイミングが燃料の硫黄濃度に応じて異なるので、このことを利用して燃料の硫黄濃度を推定する。また、所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたときには、誤診断を防止すべく触媒の劣化診断を保留する。
【選択図】図5

Description

本発明は、燃料性状判別装置及びこれを備えた触媒劣化診断装置に係り、特に、内燃機関における使用燃料の硫黄濃度を推定可能な燃料性状判別装置、及びその推定結果を利用して触媒の劣化を診断する触媒劣化診断装置に関する。
例えば車両用の内燃機関において、その排気系には排気ガスを浄化するための触媒が設置されている。この触媒の中には酸素吸蔵能(O2ストレージ能)を有するものがあり、これは、触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比(ストイキ)よりも大きくなると、即ちリーンになると排気ガス中に存在する過剰酸素を吸着保持し、触媒流入排気ガスの空燃比がストイキよりも小さくなると、即ちリッチになると吸着保持された酸素を放出する。例えばガソリンエンジンでは触媒に流入する排気ガスがストイキ近傍となるよう空燃比制御が行われるが、酸素吸蔵能を有する三元触媒を使用すると、運転条件により実際の空燃比がストイキから多少振れてしまっても、三元触媒による酸素の吸蔵・放出作用により、そのような空燃比ずれを吸収することができる。
ところで、触媒が劣化すると触媒の浄化効率が低下する。一方、触媒の劣化度と酸素吸蔵能の低下度との間にはともに貴金属を介する反応であるため相関関係がある。よって、酸素吸蔵能が低下したことを検出することで触媒が劣化したことを検出することができる。一般的には、燃焼室内の混合気ひいては触媒に流入する排気ガスの空燃比を強制的にリッチ又はリーンに切り替えるアクティブ空燃比制御を行い、このアクティブ空燃比制御の実行に伴って触媒の酸素吸蔵容量を計測し、触媒の劣化を診断する方法(所謂Cmax法)が採用される。
例えば特許文献1には、Cmax法を利用した触媒劣化判定装置であって、計測された酸素吸蔵容量と酸素吸蔵容量の算出回数とに基づいて触媒の劣化度合いを判定する装置が開示されている。
特開2004−176611号公報
一方、使用地域等によっては燃料中に硫黄(S)が比較的高濃度で含まれていることがある。このような燃料が給油された場合、硫黄成分が触媒に蓄積して触媒の性能が低下する被毒(S被毒)が発生する。S被毒が発生すると、触媒の酸素吸放出反応が妨げられて触媒の見掛け上の酸素吸蔵容量が低下する。しかしながら、硫黄濃度の低い燃料が再給油されると被毒状態はやがて解消される。S被毒による触媒の性能低下は一時的なものである。よって触媒の劣化診断においては、かかるS被毒による一時的劣化を、本来診断すべき熱劣化等の恒久的劣化ないし異常であると誤って診断しないようにする必要がある。とりわけ、正常と劣化との境目(クライテリア)付近にありながらなお正常である触媒について、誤って劣化と誤診断してしまわないようにする必要がある。
かかる誤診断を防止するためには、燃料性状を判別すること、特に燃料の硫黄濃度を推定することが好適である。かかる判別ないし推定を行えば、燃料が高硫黄濃度であると推定したときに診断を保留するなど必要な措置を執ることができ、誤診断を未然に防止できるからである。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、燃料の硫黄濃度を推定可能な燃料性状判別装置、及びその推定結果を利用して誤診断を未然に防止し得る触媒劣化診断装置を提供することにある。
本発明の一形態によれば、
内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、
前記触媒の下流側に設けられた触媒後空燃比センサと、
前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させる空燃比制御手段と、
前記空燃比制御手段により排気ガスの空燃比を徐変させたときに前記触媒後空燃比センサの出力がリーン側又はリッチ側に反転するタイミングにおける空燃比の値に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定する硫黄濃度推定手段と
を備えたことを特徴とする燃料性状判別装置が提供される。
触媒に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させると、触媒後空燃比センサの出力がリーン側又はリッチ側に反転するタイミングが燃料の硫黄濃度に応じて異なる。そこでこの相関性を利用し、触媒後空燃比センサ出力の反転タイミングにおける空燃比の値に基づき燃料の硫黄濃度が推定される。
好ましくは、前記燃料性状判別装置が、前記触媒の上流側に設けられた触媒前空燃比センサを備え、前記空燃比制御手段が、前記触媒前空燃比センサにより検出された排気ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比を制御すると共に、前記目標空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させることにより前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させ、前記硫黄濃度推定手段が、前記触媒後空燃比センサの出力がリーン側又はリッチ側に反転するタイミングにおける目標空燃比の値に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定する。
好ましくは、前記空燃比制御手段が、前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をストイキに対してリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させる。
好ましくは、前記空燃比制御手段が、前記目標空燃比を所定時間毎に所定値ずつ更新する。
本発明の他の形態によれば、
前記燃料性状判別装置を備えた触媒劣化診断装置であって、前記硫黄濃度推定手段により所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたとき、前記触媒の劣化診断を保留することを特徴とする触媒劣化診断装置が提供される。
これによれば、所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたときに触媒の劣化診断が保留されるので、燃料中の硫黄の影響による誤診断を未然に防止することができる。
好ましくは、前記触媒の劣化度に相関するパラメータを計測する計測手段を備え、前記計測されたパラメータが劣化触媒相当の値であるときに、前記空燃比制御手段による空燃比の徐変と前記硫黄濃度推定手段による硫黄濃度の推定とが実行される。
これによれば、まず当該パラメータの計測が実行され、この計測されたパラメータが劣化触媒相当の値であるときに、硫黄影響の有無を調べるべく空燃比の徐変と硫黄濃度の推定とが実行される。よって必要最小限の頻度で空燃比の徐変と硫黄濃度の推定とを実行することができる。
本発明のさらなる他の形態によれば、
前記燃料性状判別装置を備えた触媒劣化診断装置であって、前記触媒の劣化度に相関するパラメータを計測する計測手段を備え、前記硫黄濃度推定手段により所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたとき、前記計測されたパラメータを補正すると共に、この補正されたパラメータに基づいて触媒の劣化診断を実行することを特徴とする触媒劣化診断装置が提供される。
これによれば、所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたとき、計測されたパラメータが補正されて触媒の劣化診断が実行されるので、燃料中の硫黄の影響による誤診断を未然に防止することができる。
本発明によれば、燃料の硫黄濃度を推定可能な燃料性状判別装置、及びその推定結果を利用して誤診断を未然に防止し得る触媒劣化診断装置を提供することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の構成を示す概略図である。図示されるように、内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。内燃機関1は車両用多気筒エンジン(1気筒のみ図示)であり、火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。また、シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式スロットルバルブ10とが組み込まれている。なお吸気ポート、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設される。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁Viの開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストン4で圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。
一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されており、排気管6には、酸素吸蔵能を有する三元触媒からなる触媒11,19が直列に取り付けられている。なお排気ポート、枝管及び排気管6により排気通路が形成される。上流触媒11の上流側と下流側とにそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ、即ち触媒前空燃比センサ17及び触媒後空燃比センサ18が設置されている。触媒前空燃比センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、その空燃比に比例した値の信号を出力する。他方、触媒後空燃比センサ18は所謂O2センサからなり、理論空燃比を境に出力値が急変する特性を持つ。なお触媒後空燃比センサ18は上流触媒11と下流触媒19の間に設置されている。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前空燃比センサ17、触媒後空燃比センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
触媒11,19は、これに流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ、例えばA/Fs=14.55)近傍のときにNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。そしてこれに対応して、ECU20は、通常時、燃焼室3から排出され上流触媒11に供給される排気ガスの空燃比即ち触媒前空燃比A/Ffrを理論空燃比にフィードバック制御する(ストイキフィードバック制御)。具体的にはECU20は、理論空燃比に等しい目標空燃比A/Ftを設定すると共に、触媒前空燃比センサ17により検出された触媒前空燃比A/Ffrが目標空燃比A/Ftに一致するように、インジェクタ12から噴射される燃料噴射量、ひいては空燃比をフィードバック制御する。
ここで上流触媒11についてより詳細に説明する。なお以下の説明は下流触媒19にも同様に当てはまる。図2に示すように、触媒11においては、図示しない担体基材の表面上にコート材31が被覆され、このコート材31に微粒子状の触媒成分32が多数分散配置された状態で保持され、触媒11内部で露出されている。触媒成分32は主にPt,Pd等の貴金属からなり、NOx ,HCおよびCOといった排ガス成分を反応させる際の活性点となる。他方、コート材31は、排気ガスと触媒成分32との界面における反応を促進させる助触媒の役割を担うと共に、雰囲気ガスの空燃比に応じて酸素を吸収放出可能な酸素吸蔵成分を含む。酸素吸蔵成分は例えば二酸化セリウムCeO2やジルコニアからなる。例えば、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比よりリッチであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分に吸蔵されていた酸素が放出され、この結果、放出された酸素によりHCおよびCOといった未燃成分が酸化され、浄化される。逆に、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比よりリーンであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分が雰囲気ガスから酸素を吸収し、この結果NOxが還元浄化される。
このような酸素吸放出作用により、通常の空燃比制御の際に触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比に対し多少ばらついたとしても、NOx、HCおよびCOといった三つの排気ガス成分を同時浄化することができる。よって通常の空燃比制御において、触媒前空燃比A/Ffrを敢えて理論空燃比を中心に微小振動させ、酸素の吸放出を繰り返させることにより排ガス浄化を行うことも可能である。
ところで、新品状態の触媒11では前述したように細かい粒子状の触媒成分32が多数均等に分散配置されており、排気ガスと触媒成分32との接触確率が高い状態に維持されている。しかしながら、触媒11が劣化してくると、一部の触媒成分32に消失が見られるほか、触媒成分32同士が排気熱で焼き固まって焼結状態になるものがある(図の破線参照)。こうなると排気ガスと触媒成分32との接触確率の低下を引き起こし、浄化率を落としめる原因となる。そしてこのほかに、触媒成分32の周囲に存在するコート材31の量、即ち酸素吸蔵成分の量が減少し、酸素吸蔵能自体が低下する。
このように、触媒11の劣化度と触媒11の持つ酸素吸蔵能の低下度とは相関関係にある。そこで本実施形態では、特にエミッションへの影響が大きい上流触媒11の酸素吸蔵能を検出することにより、上流触媒11の劣化度を検出することとしている。ここで、触媒11の酸素吸蔵能は、現状の触媒11が吸蔵し得る最大酸素量である酸素吸蔵容量(OSC;O2 Storage Capacity、単位はg)の大きさによって表される。この酸素吸蔵容量OSCが、触媒11の劣化度に相関するパラメータとなる。
本実施形態の触媒劣化診断は前述のCmax法によるものを基本とする。そして触媒11の劣化診断に際しては、ECU20によりアクティブ空燃比制御が実行される。アクティブ空燃比制御において、混合気の空燃比ひいては触媒前空燃比A/Ffrは、所定の中心空燃比A/Fcを境にリッチ側及びリーン側にアクティブに(強制的に)交互に切り替えられる。なおリッチ側に切り替えられているときの空燃比をリッチ空燃比A/Fr、リーン側に切り替えられているときの空燃比をリーン空燃比A/Flと称す。このアクティブ空燃比制御によって触媒前空燃比A/Ffrがリッチ側又はリーン側に切り替えられている最中に触媒の酸素吸蔵容量OSCが計測される。
触媒11の劣化診断は、内燃機関1の定常運転時で且つ触媒11が活性温度域にあるときに実行される。触媒11の温度(触媒床温)の計測については、温度センサを用いて直接検出してもよいが、本実施形態の場合内燃機関の運転状態から推定することとしている。例えばECU20は、エアフローメータ5によって検出される吸入空気量Gaに基づいて、予め設定されたマップを利用し、触媒11の温度Tcを推定する。なお、吸入空気量Ga以外のパラメータ、例えばエンジン回転速度Ne(rpm)などを触媒温度推定に用いるパラメータに含めてもよい。
図3(A),(B)にはそれぞれ、アクティブ空燃比制御実行時における触媒前空燃比センサ17の出力及び触媒後空燃比センサ18の出力が実線で示されている。また、図3(A)には、ECU20内部で発生される目標空燃比A/Ftが破線で示されている。なお図3(A)に示すのは触媒前空燃比A/Ffrへの換算値、図3(B)に示すのは触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrrである。
図3(A)に示されるように、目標空燃比A/Ftは、中心空燃比としての理論空燃比(ストイキ)A/Fsを中心として、そこからリッチ側に所定の振幅(リッチ振幅Ar、Ar>0)だけ離れた空燃比(リッチ空燃比A/Fr)と、そこからリーン側に所定の振幅(リーン振幅Al、Al>0)だけ離れた空燃比(リーン空燃比A/Fl)とに強制的に、且つ交互に切り替えられる。そしてこの目標空燃比A/Ftの切り替えに追従して、実際値としての触媒前空燃比A/Ffrも、目標空燃比A/Ftに対し僅かな時間遅れを伴って切り替わる。このことから目標空燃比A/Ftと触媒前空燃比A/Ffrとは時間遅れがあること以外等価であることが理解されよう。
図示例においてリッチ振幅Arとリーン振幅Alとは等しい。例えば中心空燃比=理論空燃比A/Fs=14.55、リッチ空燃比A/Fr=14.05、リーン空燃比A/Fl=15.05、リッチ振幅Ar=リーン振幅Al=0.5である。通常のストイキフィードバック制御の場合に比べ、アクティブ空燃比制御の場合は空燃比の振り幅が大きく、即ちリッチ振幅Arとリーン振幅Alとの値は大きい。
ところで、目標空燃比A/Ftが切り替えられる時期ないしタイミングは、触媒後空燃比センサ18の出力がリッチからリーンに、又はリーンからリッチに切り替わる(或いは反転する)タイミングである。ここで図示されるように触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrrは理論空燃比A/Fsを境に急変する。そして当該出力電圧Vrrの反転時期、即ち当該出力電圧Vrrがリッチ側に反転したかどうか或いはリーン側に反転したかどうかを定めるため、当該出力電圧Vrrに関する二つの反転しきい値VR,VLが定められている。ここでVRをリッチ判定値、VLをリーン判定値という。VR>VLであり、例えばVR=0.59(V)、VL=0.21(V)とされる。出力電圧Vrrがリーン側即ち減少方向に変化してリーン判定値VLに達した時、出力電圧Vrrはリーン側に反転したとみなされ、触媒後空燃比センサ18によって検出された触媒後空燃比A/Frrは少なくとも理論空燃比よりリーンであると判断される。他方、出力電圧Vrrがリッチ側即ち増大方向に変化してリッチ判定値VRに達した時、出力電圧Vrrはリッチ側に反転したとみなされ、触媒後空燃比A/Frrは少なくとも理論空燃比よりリッチであると判断される。
図3(A),(B)に示されるように、触媒後空燃比センサ18の出力電圧がリッチ側の値からリーン側に変化してリーン判定値VLに等しくなった時(時刻t1)、目標空燃比A/Ftはリーン空燃比A/Flからリッチ空燃比A/Frに切り替えられる。その後、触媒後空燃比センサ18の出力電圧がリーン側の値からリッチ側に変化してリッチ判定値VRに等しくなった時(時刻t2)、目標空燃比A/Ftはリッチ空燃比A/Frからリーン空燃比A/Flに切り替えられる。このように、触媒後空燃比センサ18によって検出された触媒後空燃比A/Frrがリーン側又はリッチ側に反転する毎に空燃比がリッチ側又はリーン側にアクティブに切替制御される。
このような空燃比変化を行うアクティブ空燃比制御を実行しつつ、次のようにして触媒11の酸素吸蔵容量OSCが計測され、触媒11の劣化が判定される。
図3を参照して、時刻t1より前では目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flとされ、触媒11にはリーンガスが流入されている。このとき触媒11では酸素を吸収し続けているが、一杯に酸素を吸収した時点でそれ以上酸素を吸収できなくなり、リーンガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後空燃比A/Frrがリーン側に変化し、触媒後空燃比センサ18の出力電圧がリーン判定値VLに達した時点(t1)で、目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられ、或いは反転される。
そして今度は触媒11にリッチガスが流入されることとなる。このとき触媒11では、それまで吸蔵されていた酸素が放出され続ける。よって触媒11の下流側にはほぼ理論空燃比A/Fsの排気ガスが流出し、触媒後空燃比A/Frrがリッチにならないことから、触媒後空燃比センサ18の出力は反転しない。触媒11から酸素が放出され続けるとやがて触媒11からは全ての吸蔵酸素が放出され尽くし、その時点でそれ以上酸素を放出できなくなり、リッチガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後空燃比A/Frrがリッチ側に変化し、触媒後空燃比センサ18の出力電圧がリッチ判定値VRに達した時点(t2)で、目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flに切り替えられる。
酸素吸蔵容量OSCが大きいほど、酸素を吸収或いは放出し続けることのできる時間が長くなる。つまり、触媒が劣化していない場合は目標空燃比A/Ftの反転周期(例えばt1からt2までの時間)が長くなり、触媒の劣化が進むほど目標空燃比A/Ftの反転周期は短くなる。
そこで、このことを利用して酸素吸蔵容量OSCが以下のようにして計測される。図4に示すように、時刻t1で目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられた直後、僅かに遅れて実際値としての触媒前空燃比A/Ffrがリッチ空燃比A/Frに切り替わる。そして触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに達した時点t11から、次に目標空燃比A/Ftが反転する時点t2まで、次式(1)により、所定の微小時間毎の酸素吸蔵容量dOSC(酸素吸蔵容量の瞬時値)が算出され、且つこの微小時間毎の酸素吸蔵容量dOSCが時刻t11から時刻t2まで積算される。こうしてこの酸素放出サイクルにおける酸素吸蔵容量即ち放出酸素量(図4のOSC1)が計測される。
Figure 2009215924
ここで、Qは燃料噴射量であり、空燃比差ΔA/Fに燃料噴射量Qを乗じるとストイキに対し不足又は過剰分の空気量を算出できる。Kは空気に含まれる酸素割合(約0.23)を表す定数である。
基本的には、この1回で計測された酸素吸蔵容量OSCを用い、これを所定の劣化判定値OSCsと比較し、酸素吸蔵容量OSCが劣化判定値OSCsを超えていれば正常、酸素吸蔵容量OSCが劣化判定値OSCs以下ならば劣化、というように触媒の劣化を判定できる。しかしながら、本実施形態では精度を向上させるため、目標空燃比A/Ftがリーン側となっている酸素吸蔵サイクルでも同様に酸素吸蔵容量(この場合吸蔵酸素量)を計測し、これら酸素吸蔵容量の平均値を1吸放出サイクルに係る1単位の酸素吸蔵容量として計測している。そしてさらに、吸放出サイクルを複数回繰り返し、複数単位の酸素吸蔵容量の値を得、その平均値を最終的な酸素吸蔵容量計測値としている。
酸素吸蔵サイクルにおける酸素吸蔵容量(酸素吸蔵量)の計測については、図4に示すように、時刻t2で目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flに切り替えられた後、触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに達した時点t21から、次に目標空燃比A/Ftがリッチ側に反転する時点t3まで、前式(1)により微小時間毎の酸素吸蔵容量dOSCが算出され、且つこの微小時間毎の酸素吸蔵容量dOSCが積算される。こうしてこの酸素吸蔵サイクルにおける酸素吸蔵容量OSC即ち吸蔵酸素量(図4のOSC2)が計測される。酸素放出サイクルの酸素吸蔵容量OSC1と酸素吸蔵サイクルの酸素吸蔵容量OSC2とはほぼ等しい値となるのが理想的である。
次に、この酸素吸蔵容量計測値を用いて触媒の劣化判定がなされる。即ち、酸素吸蔵容量計測値OSCが所定の劣化判定値OSCsと比較され、酸素吸蔵容量計測値OSCが劣化判定値OSCsより大きければ触媒は正常、酸素吸蔵容量計測値OSCが劣化判定値OSCs以下ならば触媒は劣化と判定される。なお、触媒が劣化と判定された場合、その事実をユーザに知らせるため、チェックランプ等の警告装置を起動させるのが好ましい。以上が触媒劣化診断の基本的な内容である。
ところで前述したように、硫黄濃度が高い燃料(高硫黄燃料)が給油されると触媒がS被毒し、酸素吸蔵容量の計測値が低下する。そして正常な触媒であるにも拘わらず劣化と誤診断する可能性がある。かかる誤診断を防止するためには、燃料性状を判別すること、特に燃料中の硫黄濃度を推定することが好適である。かかる判別ないし推定を行えば、燃料が高硫黄濃度であると推定したときに診断を保留するなど必要な措置を執ることができ、誤診断を未然に防止できるからである。
そこで本実施形態では、かかる燃料性状の判別、特に燃料中の硫黄濃度の推定を行うようにしている。以下、その内容について説明する。
本実施形態では、触媒11に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に徐変させ、このときに触媒後空燃比センサ18の出力がリーン側に反転するタイミングにおける空燃比の値に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定することとしている。以下、予め使用が予定されている硫黄濃度が低い燃料、即ち硫黄濃度が所定値未満の燃料を低硫黄燃料又は低S燃料という。また、硫黄濃度がそれよりも高い燃料、即ち硫黄濃度が当該所定値以上の燃料を高硫黄燃料又は高S燃料という。低硫黄燃料は例えば硫黄濃度が30ppmの燃料であり、高硫黄燃料は例えば硫黄濃度が300ppmの燃料である。以下の例では理論空燃比即ちストイキを14.55とする。
図5に、かかる空燃比徐変を実行したときの各値の変化を示す。(A)は目標空燃比A/Ft、(B)は触媒前空燃比センサ17で検出された触媒前空燃比A/Ffr、(C)は触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrr(V)を示す。触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrrのリッチ/リーンの境界を規定するしきい値をVrefとする。当該しきい値はストイキ付近に相当する所定値とし、ここでは0.5Vとする。
(A)に示すように、目標空燃比A/Ftは、ストイキよりリッチ側の所定値からストイキよりリーン側の所定値に徐変されている。具体的には、目標空燃比A/Ftは、ストイキよりリッチ側の所定値からストイキよりリーン側の所定値に、一定速度で、ストイキを交差するように徐々に変化(スイープ)されている。一方、触媒前空燃比センサ17で検出された触媒前空燃比A/Ffrが目標空燃比A/Ftに一致するようフィードバック制御がなされているので、(B)に示すように、その触媒前空燃比A/Ffrも目標空燃比A/Ftと同じように変化する。但しフィードバック制御の特性上、触媒前空燃比A/Ffrは振動しながらその振動中心が目標空燃比A/Ftに一致するように変化する。この結果、触媒11に供給される排気ガスの空燃比も目標空燃比A/Ftと同じように変化する。
かかる空燃比の徐変を行うと、(C)に示すように、触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrrがあるタイミングでリッチ側からリーン側に反転する。即ち、徐変初期において目標空燃比A/Ftがストイキよりリッチ側にあるときは、触媒11にリッチガスが供給され、触媒11で反応しきれなかったリッチガスが触媒11下流に吹き抜けて触媒後空燃比センサ出力Vrrがリッチを示す。しかし、空燃比徐変が進むにつれ、触媒11に供給されるガスが徐々にリーンになっていくと、あるタイミングにおいて触媒11下流にリーンガスが吹き抜け、触媒後空燃比センサ出力Vrrがリーン側に反転する。
ここで特に、触媒後空燃比センサ出力Vrrがリーン側に反転するタイミングは燃料の硫黄濃度に応じて異なる。即ち、(C)に示すように、触媒後空燃比センサ出力Vrrがしきい値Vrefを下回ったタイミングをリーン側への反転タイミングとすると、高硫黄燃料のときの反転タイミングt2は低硫黄燃料のときの反転タイミングt1よりも遅くなり、前者は後者より目標空燃比A/Ftがリーン側にある時のタイミングとなる。このように燃料硫黄濃度と反転タイミングとの間には、燃料硫黄濃度が高いほど反転タイミングが遅れるという相関性があるので、このことを利用して、その反転タイミングにおける空燃比の値に基づき燃料の硫黄濃度が推定される。ここで触媒前空燃比A/Ffrの値は振動を伴うので、空燃比の値としては目標空燃比A/Ftの値が用いられる。これにより安定した空燃比の値を得ることが可能である。但し、ある程度の変動が許容されるような場合等であれば、触媒前空燃比センサ17で検出された触媒前空燃比A/Ffrの値を用いることも可能である。図示例では高硫黄燃料のときの反転タイミングt2に相当する目標空燃比はA/Ft2、低硫黄燃料のときの反転タイミングt1に相当する目標空燃比はA/Ft1である。
ここで、燃料硫黄濃度が高いほど反転タイミングが遅れる理由を図6に示した実験結果と併せて説明する。図6は、触媒への供給ガスの空燃比と、触媒におけるCO,HC,NOxの各浄化率(%)との関係を示したもので、黒塗りのプロットが低硫黄燃料のデータ、白抜きのプロットが高硫黄燃料のデータである。HC浄化率については燃料の違いによる差異は殆ど見られない。
一方、CO浄化率に着目すると、空燃比がストイキ(14.55)まで増大するときのCO浄化率の上昇ラインは低硫黄燃料時より高硫黄燃料時の方がリーン側にある。また空燃比がストイキのとき、高硫黄燃料時の浄化率の方が低硫黄燃料時の浄化率より低く、つまり触媒下流側には高硫黄燃料時の方が低硫黄燃料時より多くのCOが排出されることとなる。
また、NOx浄化率にも同様の傾向が見え、空燃比がストイキから増大するときのNOx浄化率の下降ラインは低硫黄燃料時より高硫黄燃料時の方がリーン側にある。またストイキより大きい(リーンの)一定空燃比(例えば14.59)で比較した場合、高硫黄燃料時の浄化率の方が低硫黄燃料時の浄化率より高く、つまり触媒下流側には高硫黄燃料時の方が低硫黄燃料時より少ないNOxしか排出されないこととなる。
これらCO浄化率とNOx浄化率の結果から、燃料を低硫黄燃料から高硫黄燃料にすると空燃比同一でも触媒下流側にはよりリッチなガスが排出されるようになり、その分、触媒に供給するガスをリーンにしないと触媒下流側にリーンガスを排出させることができないということがいえる。このことから、触媒後空燃比センサ出力Vrrがリーン側に反転するタイミングは、燃料の硫黄濃度が高いほど遅れるものと思料される。
次に、図7に基づき本実施形態の燃料性状判別処理を説明する。図示するルーチンはECU20により所定の演算周期(例えば16msec)毎に繰り返し実行される。なお、図8に、燃料性状判別処理実行時の(A)目標空燃比A/Ft及び(B)触媒後空燃比センサ出力Vrrの変化の様子を示す。
ステップS101では、目標空燃比A/Ftを所定値に設定して空燃比制御が実行される。目標空燃比A/Ftの初期値はストイキよりもリッチ側の所定値に設定されている。
次に、ステップS102では、触媒後空燃比センサ出力Vrrがしきい値Vrefを下回ったか否かが判断される。
触媒後空燃比センサ出力Vrrがしきい値Vrefを下回ってない場合、ステップS103に進んで、目標空燃比A/Ftの更新時から所定時間Tが経過したか否かが判断される。ここで目標空燃比A/Ftを徐変させるべく、目標空燃比A/Ftは所定時間T毎に所定値Dずつ増大、更新されるようになっており(ステップS104参照)、当該ステップS103ではこのような目標空燃比A/Ftの更新タイミングになったかどうかが実質的に判断されている。
目標空燃比A/Ftの更新時から所定時間Tが経過していないと判断された場合、ルーチンが終了される。他方、目標空燃比A/Ftの更新時から所定時間Tが経過したと判断された場合、ステップS104に進んで、目標空燃比A/Ftの現在値に所定値Dが加算され、目標空燃比A/Ftが更新され、ルーチンが終了される。
こうして目標空燃比A/Ftが所定時間T毎に所定値Dずつ増大、更新される結果、触媒11に供給される排気ガスの空燃比がリーン側に徐変される。そしてやがて触媒11から排出されるガスがリーンになっていくと、あるタイミングで触媒後空燃比センサ出力Vrrがしきい値Vrefを下回る。このリーン反転と同時にステップS102の判定結果がイエスとなり、ステップS105に進む。ステップS105では、リーン反転時の目標空燃比A/Ftの値が取得される。そしてステップS106においてその取得した目標空燃比A/Ftの値に基づき燃料の硫黄濃度が推定され、ルーチンが終了される。ここで燃料硫黄濃度の推定方法については、取得した目標空燃比A/Ftの値が所定値B以下であれば低硫黄燃料、所定値Bより大きいときは高硫黄燃料というように、二段階で推定することができる。或いは、目標空燃比A/Ftと燃料硫黄濃度の関係を予め実験的にマップ、関数等で定めておき、この関係を利用して、実際に取得した目標空燃比A/Ftの値に対応した燃料硫黄濃度の推定値を算出するようにしてもよい。これ以外にも種々の方法が可能である。
次に、図9を参照しつつ、上述の燃料性状判別を利用した触媒劣化診断処理の手順を説明する。図示する処理もECU20により実行される。
まずステップS201において、触媒11の酸素吸蔵容量OSCが前述のCmax法に基づき計測される。このステップではまず劣化診断を実行するのに適した前提条件が成立しているか否かが判断される。例えば、吸入空気量Ga及び機関回転速度Neの変動幅が所定範囲内であるなど、エンジンが定常運転状態にあり、且つ触媒11及び触媒前後センサ17,18が所定の活性温度に達していれば、前提条件成立となる。前提条件が成立していない場合には待機状態となる。他方、前提条件が成立した場合には酸素吸蔵容量OSCの計測が開始される。即ち前述したように、アクティブ空燃比制御が開始され、このアクティブ空燃比制御の実行に伴って触媒11の酸素吸蔵容量OSCが計測される。
こうして酸素吸蔵容量OSCの計測が終了したならば、次にステップS202において、酸素吸蔵容量計測値OSCが所定の劣化判定値OSCsと比較される。酸素吸蔵容量計測値OSCが劣化判定値OSCsより大きいときには、ステップS203において触媒11は正常と判定ないし診断される。
他方、酸素吸蔵容量計測値OSCが劣化判定値OSCs以下のときにはステップS204に進む。このステップS204では、図7に示したような燃料性状判別処理(但しステップS106を除く)が実行され、触媒後空燃比センサ出力Vrrがリーン反転した時の目標空燃比A/Ftの値(ステップS105で取得される値)が取得される。このように、酸素吸蔵容量計測値OSCが劣化判定値OSCs以下の劣化触媒相当の値であるときのみ、空燃比徐変と燃料硫黄濃度推定とが実行されるので、これらを必要最小限の頻度で実行することができる。
次に、ステップS205において、この取得された目標空燃比A/Ftの値が所定値Bと比較される。この所定値Bは実験結果等に基づき、低硫黄燃料と高硫黄燃料との境界を規定するような値に設定されている。目標空燃比A/Ftの値が所定値Bより大きい場合、高硫黄燃料が使用されているとみなされ、硫黄影響による誤診断が懸念されることから、ステップS206に進んで、触媒11が正常とも劣化とも判定ないし診断されず、即ち劣化判定ないし劣化診断が保留される。他方、目標空燃比A/Ftの値が所定値B以下の場合、低硫黄燃料が使用されており硫黄による影響はないことから、ステップS207に進んで、触媒11は劣化と判定ないし診断される。
なお、ステップS205において目標空燃比A/Ftの値が所定値Bより大きい場合、即ち高硫黄燃料が使用されているとみなされる場合、ステップS201で計測された酸素吸蔵容量OSCの値を補正し、この補正された酸素吸蔵容量OSCの値を劣化判定値OSCsと比較して触媒が正常か劣化かを判定ないし診断してもよい。即ち、高硫黄燃料使用中とみなされた場合にはその硫黄影響による酸素吸蔵容量計測値OSCの低下量を補うように補正する。こうすることにより硫黄影響を排除して誤診断を防止できる。この補正方法としては、例えば、目標空燃比A/Ftと補正係数の関係を予め実験的にマップ、関数等で定めておき、この関係を利用して、実際に取得した目標空燃比A/Ftの値に対応した補正係数の値を算出する。そしてこの算出した補正係数を酸素吸蔵容量計測値OSCに乗じて酸素吸蔵容量計測値OSCを増大補正する。なおこれ以外にも種々の補正方法が可能である。
ところで、上述の実施形態では燃料性状判別に際して空燃比をリッチ側からリーン側に徐変させたが、これとは逆に、空燃比をリーン側からリッチ側に徐変させてもよい。
図10にはかかる空燃比徐変を実行したときの各値の変化を示す。(A)は目標空燃比A/Ft、(B)は触媒前空燃比センサ17で検出された触媒前空燃比A/Ffr、(C)は触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrr(V)を示す。(A)に示すように、目標空燃比A/Ftは、ストイキよりリーン側の所定値からストイキよりリッチ側の所定値に、一定速度で、ストイキを交差するように徐々に変化(スイープ)されている。そして(B)に示すように、触媒前空燃比A/Ffrも目標空燃比A/Ftと同じように変化する。かかる空燃比徐変を行ったとき、(C)に示すように、触媒後空燃比センサ18の出力電圧Vrrはリーン側からリッチ側に反転する。
触媒後空燃比センサ出力Vrrがリッチ側に反転するタイミングは燃料の硫黄濃度に応じて異なる。触媒後空燃比センサ出力Vrrが所定のしきい値Vref(ここでは約0.55(V))を上回ったタイミングをリッチ側への反転タイミングとすると、高硫黄燃料のときの反転タイミングt3は低硫黄燃料のときの反転タイミングt4よりも早くなり、図5と逆の結果となる。但し、前者は後者より目標空燃比A/Ftがリーン側にある時のタイミングとなり、この点では図5と同じ結果となる。このような燃料硫黄濃度と反転タイミングとの間の相関性を利用し、その反転タイミングにおける空燃比、好ましくは目標空燃比A/Ftの値に基づき、燃料の硫黄濃度が推定可能である。なお各反転タイミングt3,t4に相当する目標空燃比をA/Ft3,A/Ft4で示す。
この逆方向の空燃比徐変を行う場合にも図7の燃料性状判別処理及び図9の触媒劣化診断処理が流用可能である。この場合、図7の燃料性状判別処理については、ステップS102において、触媒後空燃比センサ出力Vrrがしきい値Vrefを上回ったか否かが判断され、ステップS104において、目標空燃比A/Ftの現在値から所定値Dが減算されて目標空燃比A/Ftが更新される。他方、図9の触媒劣化診断処理については、ステップS204において、触媒後空燃比センサ出力Vrrがリッチ反転した時の目標空燃比A/Ftの値が取得される。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば、内燃機関の用途や形式は任意であり、例えば車両用以外であってもよいし、直噴式等であってもよい。触媒後空燃比センサに触媒前空燃比センサと同様の広域空燃比センサを用いてもよいし、触媒前空燃比センサに触媒後空燃比センサと同様のO2センサを用いてもよい。これら広域空燃比センサやO2センサを含め、広く、排気空燃比を検出するセンサを空燃比センサということとする。
本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の実施形態の構成を示す概略図である。 触媒の構成を示す概略断面図である。 アクティブ空燃比制御を説明するためのタイムチャートである。 図3と同様のタイムチャートであり、酸素吸蔵容量の計測方法を説明するための図である。 空燃比をリーン側に徐変させたときの各値の変化を示すタイムチャートである。 触媒における供給ガスの空燃比とCO,HC,NOxの各浄化率との関係を示すグラフである。 燃料性状判別処理のフローチャートである。 燃料性状判別処理実行時の各値の変化を示すタイムチャートである。 触媒劣化診断処理のフローチャートである。 空燃比をリッチ側に徐変させたときの各値の変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
6 排気管
11 上流触媒
12 インジェクタ
17 触媒前空燃比センサ
18 触媒後空燃比センサ
19 下流触媒
20 電子制御ユニット(ECU)
OSC 酸素吸蔵容量
OSCs 劣化判定値
Vrr 触媒後空燃比センサ出力
Vref しきい値
A/Ft 目標空燃比
A/Ffr 触媒前空燃比

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、
    前記触媒の下流側に設けられた触媒後空燃比センサと、
    前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させる空燃比制御手段と、
    前記空燃比制御手段により排気ガスの空燃比を徐変させたときに前記触媒後空燃比センサの出力がリーン側又はリッチ側に反転するタイミングにおける空燃比の値に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定する硫黄濃度推定手段と
    を備えたことを特徴とする燃料性状判別装置。
  2. 前記触媒の上流側に設けられた触媒前空燃比センサを備え、
    前記空燃比制御手段が、前記触媒前空燃比センサにより検出された排気ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比を制御すると共に、前記目標空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させることにより前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させ、
    前記硫黄濃度推定手段が、前記触媒後空燃比センサの出力がリーン側又はリッチ側に反転するタイミングにおける目標空燃比の値に基づいて、燃料の硫黄濃度を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料性状判別装置。
  3. 前記空燃比制御手段が、前記触媒に供給される排気ガスの空燃比をストイキに対してリッチ側からリーン側に又はその逆に徐変させる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料性状判別装置。
  4. 前記空燃比制御手段が、前記目標空燃比を所定時間毎に所定値ずつ更新する
    ことを特徴とする請求項2記載の燃料性状判別装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料性状判別装置を備えた触媒劣化診断装置であって、前記硫黄濃度推定手段により所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたとき、前記触媒の劣化診断を保留することを特徴とする触媒劣化診断装置。
  6. 前記触媒の劣化度に相関するパラメータを計測する計測手段を備え、前記計測されたパラメータが劣化触媒相当の値であるときに、前記空燃比制御手段による空燃比の徐変と前記硫黄濃度推定手段による硫黄濃度の推定とが実行される
    ことを特徴とする請求項5記載の触媒劣化診断装置。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料性状判別装置を備えた触媒劣化診断装置であって、前記触媒の劣化度に相関するパラメータを計測する計測手段を備え、前記硫黄濃度推定手段により所定値以上の燃料硫黄濃度が推定されたとき、前記計測されたパラメータを補正すると共に、この補正されたパラメータに基づいて触媒の劣化診断を実行することを特徴とする触媒劣化診断装置。
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