JP2009210060A - エンジンの過給機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加速時の加速度の低下を回避つつスーパーチャージャを作動する装置を提供する。
【解決手段】ターボチャージャ(5)と、コンプレッサ(5B)の下流に設けられるスーパーチャージャ(9)と、このスーパーチャージャ(9)の駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段(11)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、目標変速比が得られるように無段変速機(23)の変速比を制御する変速比制御手段(31)と、加速時にクラッチ手段(11)を用いてスーパーチャージャ(9)の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(15)と、この切換えられたスーパーチャージャ(9)の駆動状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ(9)の上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値に保たれるように無段変速機(23)の目標変速比を加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段(31)とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】ターボチャージャ(5)と、コンプレッサ(5B)の下流に設けられるスーパーチャージャ(9)と、このスーパーチャージャ(9)の駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段(11)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、目標変速比が得られるように無段変速機(23)の変速比を制御する変速比制御手段(31)と、加速時にクラッチ手段(11)を用いてスーパーチャージャ(9)の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(15)と、この切換えられたスーパーチャージャ(9)の駆動状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ(9)の上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値に保たれるように無段変速機(23)の目標変速比を加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段(31)とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明は、エンジン(内燃機関)の過給機制御装置、特に排気駆動式のターボチャージャと機械駆動式のスーパーチャージャと直列に配置しているもの関する。
所定の回転速度N1を境にしてこれより小さいエンジン回転速度域でかつエンジンの負荷が所定の負荷下限ライン以上の領域を定常状態でのスーパーチャージャの作動域とすると共に、このスーパーチャージャの作動域からの加速時には、エンジン回転速度域を拡大することで、加速要求に応じるようにしたものがある(特許文献1参照)。すなわち、特許文献1の技術では、上記所定の回転速度N1をスーパーチャージャの上限回転速度N2より余裕代(例えば数百〜千rpm程度)だけ低い回転速度に定めておき、定常状態でエンジン回転速度が所定回転速度N1を横切って大きくなるときには電磁クラッチをONからOFFに切換えてスーパーチャージャの作動を停止させるのに対し、スーパーチャージャの作動域からの加速時にはエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度N2になるまで電磁クラッチをON状態に保ってスーパーチャージャの作動を継続し、これにより加速時における所定回転速度N1を超えた時点での一時的なトルク低下を防止し良好な加速状態が得られるようにしている。
特開平2−55832号公報
ところで、上記特許文献1の技術によれば、エンジン回転速度が上昇してスーパーチャージャの上限回転速度N2に到達したタイミングで電磁クラッチをONからOFFへと切換えても、スーパーチャージャの出口圧は目標過給圧に到達していない場合があることが分かった。これは、スーパーチャージャの作動による過給圧の上昇がある状態であっても、電磁クラッチをONからOFFにしたタイミングにおいて、ターボチャージャの作動による過給圧の上昇に遅れが生じている場合には、スーパーチャージャの出口側の圧力が最終的な目標過給圧に到達し得ないためである。つまり、エンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度N2に到達したタイミングではスーパーチャージャの出口圧はまだ目標過給圧に到達し得ていない場合が生じるのである。
このように、加速時とはいえスーパーチャージャの出口圧がまだ目標過給圧に到達する前に電磁クラッチをONからOFFへ切換えてしまったのでは、電磁クラッチをONからOFFへと切換えた直後のスーパーチャージャの出口圧が一時的に低下しこれによって車両加速度も一時的に低下し、望みの加速感が得られない。言い替えると、上記特許文献1の技術によれば、加速時になおスーパーチャージャの過給能力を十分に発揮させないままとなっている。この場合に、望みの加速感を得ようと、上限回転速度N2の高いスーパーチャージャや容量の大きなスーパーチャージャを採用するとすればコストアップを招いてしまう。
そこで本発明は加速時に生じる加速度の低下を回避つつスーパーチャージャを作動する過給機制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、吸気通路の上流側にコンプレッサ(5B)が位置する排気駆動式のターボチャージャ(5)と、前記コンプレッサ(5B)の下流にあってエンジン(1)により駆動される機械駆動式のスーパーチャージャ(9)と、このスーパーチャージャ(9)の駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段(11)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジンに連結される無段変速機(23)を有する自動変速機(20)と、アクセル開度と車速に応じてこの無段変速機(23)の目標変速比を算出する目標変速比算出手段(31)と、この算出された目標変速比が得られるように無段変速機(23)の変速比を制御する変速比制御手段(31)と、加速時に前記クラッチ手段(11)を用いてスーパーチャージャ(9)の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(15)と、この切換えられたスーパーチャージャ(9)の駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャ(9)の上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値に保たれるように無段変速機(23)の目標変速比を前記加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段(31)とを備える。
また、本発明は、吸気通路の上流側にコンプレッサ(5B)が位置する排気駆動式のターボチャージャ(5)と、前記コンプレッサ(5B)の下流にあってエンジン(1)により駆動される機械駆動式のスーパーチャージャ(9)と、このスーパーチャージャ(9)の駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段(11)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジンに連結される有段変速機(51)を有する自動変速機(20)と、アクセル開度と車速に応じてこの有段変速機(51)の目標変速段を選択する目標変速段選択手段(31)と、この選択された目標変速段が得られるように有段変速機(51)の変速段を制御する変速段制御手段(31)と、加速時に前記クラッチ手段(11)を用いてスーパーチャージャ(9)の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(15)と、この切換えられたスーパーチャージャ(9)の駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャ(9)の上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値未満に保たれるように有段変速機(51)の目標変速段を前記加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更する目標変速段変更手段(31)とを備える。
本発明によれば、吸気通路の上流側にコンプレッサが位置する排気駆動式のターボチャージャと、前記コンプレッサの下流にあってエンジンにより駆動される機械駆動式のスーパーチャージャと、このスーパーチャージャの駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジンに連結される無段変速機を有する自動変速機と、アクセル開度と車速に応じてこの無段変速機の目標変速比を算出する目標変速比算出手段と、この算出された目標変速比が得られるように無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、加速時に前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段と、この切換えられたスーパーチャージャの駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度(N2)より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値(N3)に保たれるように無段変速機の目標変速比を前記加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段とを備えている。すなわち、加速時にはエンジン回転速度をスーパーチャージャの上限回転速度(N2)より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値(N3)に保った状態でスーパーチャージャが駆動状態に保たれる。スーパーチャージャを上限回転速度(N2)を超えない回転速度(しきい値N3)で働かせるのであれば、スーパーチャージャの耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもターボチャージャに空気を十分に圧縮する時間を取らせることが可能となる。これによって、本発明によれば、加速時にターボチャージャの出口圧が十分上昇した後にスーパーチャージャを非駆動状態へと切換えることが可能となり、無段変速機を有する自動変速機を備える場合にスーパーチャージャの上限回転速度(N2)を上げることなく加速レスポンスを向上させることができる。
また、本発明によれば、吸気通路の上流側にコンプレッサが位置する排気駆動式のターボチャージャと、前記コンプレッサの下流にあってエンジンにより駆動される機械駆動式のスーパーチャージャと、このスーパーチャージャの駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジンに連結される有段変速機を有する自動変速機と、アクセル開度と車速に応じてこの有段変速機の目標変速段を選択する目標変速段選択手段と、この選択された目標変速段が得られるように有段変速機の変速段を制御する変速段制御手段と、加速時に前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段と、この切換えられたスーパーチャージャの駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度(N2)より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値(N3)未満に保たれるように有段変速機の目標変速段を前記加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更する目標変速段変更手段(31)とを備えている。すなわち、加速時にはエンジン回転速度をスーパーチャージャの上限回転速度(N2)より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値(N3)未満に保った状態でスーパーチャージャが駆動状態に保たれる。スーパーチャージャを上限回転速度N2を超えない回転速度(しきい値N3)未満で働かせるのであれば、スーパーチャージャの耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもターボチャージャに空気を十分に圧縮する時間を取らせることが可能となる。これによって、本発明によれば、加速時にターボチャージャの出口圧が十分上昇した後にスーパーチャージャを非駆動状態へと切換えることが可能となり、有段変速機を有する自動変速機を備える場合にスーパーチャージャの上限回転速度(N2)を上げることなく加速レスポンスを向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のエンジンの過給機制御装置が適用される車両の概略構成図を示している。
図1において、1はエンジン、20はトルクコンバータ21、ロックアップクラッチ22、エンジン1の回転動力を無段階に変速する変速機構としてのトロイダル型無段変速機23、アクチュエータからなる自動変速機、25は無段変速機23を介して回転動力が伝達される駆動輪、15はエンジンコントローラ、31は自動変速機コントローラである。
上記の無段変速機23は、図示しないがエンジン1に連結される入力軸に対し一体に連結された入力側ディスクと、出力軸に対し一体に連結されると共に入力軸に対し遊嵌された出力側ディスクと、入力側及び出力側の各ディスクに対し摩擦接触することによりトルクの伝達を行う摩擦ローラと、この摩擦ローラの傾転角度を油圧作用により変更する変速制御アクチュエータ24とを備えている。摩擦ローラの傾転角度を変化させて各ディスクの接触点の回転半径を変更することにより、入力軸から入力する回転動力を無段階に変速させることができ、この変速後の回転動力が出力軸を介して駆動輪25に伝達される。つまり、上記傾転角度の変更によって変速比の変更が行われる。なお、無段変速機23はトロイダル型無段変速機に限定されるものでなく、ベルト式無段変速機でもかまわない。
上記自動変速機コントローラ32には入力軸回転速度センサ43からの無段変速機23の入力軸回転速度の信号、出力軸回転速度センサ44からの無段変速機23の出力軸回転速度の信号、車速センサ45からの車速の信号が入力され、自動変速機コントローラ32では基本的に車速とアクセル開度の信号に基づいて目標変速比を設定(算出)し、この目標変速比が得られるように、アクチュエータ24を介して無段変速機23の変速比制御を実行する。
エンジン1には排気駆動式のターボチャージャ5と機械駆動式のスーパーチャージャの二種類の過給機を備える。まず、排気通路3に設けられる排気タービン5Aと、吸気通路2に設けられるコンプレッサ5Bとを同一の軸5Cに連結したターボチャージャ5では、排気エネルギーによって排気タービン5Aを回転駆動し、この回転駆動力でコンプレッサ5Bを回転駆動して吸気の圧力を大気圧よりも高くする(過給する)。
排気タービン5Aをバイパスする通路6にデューティ制御可能なウェイストゲートバルブ7が設けられ、このウェイストゲートバルブ7はエンジンコントローラ15により制御される。例えば、加速時にコンプレッサ5Bの出口圧が目標過給圧に到達するまではウェイストゲートバルブ7は全閉状態に保たれ、コンプレッサ5Bの出口圧が目標過給圧を超えるとコンプレッサ5Bの出口圧が目標過給圧に維持されるようにウェイストゲートバルブ開度が制御される。実施形態のターボチャージャ5は可変ノズルを備えない固定容量型であるが、可変ノズルを備える可変容量型であってもかまわない。
コンプレッサ5Bの下流で、かつスロットルバルブ8の上流に設けられるスーパーチャージャ9は、例えばルーツ型で構成され、エンジン1により駆動される。すなわち、スーパーチャージャ9のプーリ9Aとクランクシャフトプーリ1Aとにベルト10が掛け回されており、クランクシャフトの回転力がベルト10を介してスーパーチャージャ9のプーリ9Aに伝えられる。プーリ9Aとスーパーチャージャ9の駆動軸9Bとの間には、エンジンコントローラ15によってON、OFF制御される電磁クラッチ11(クラッチ手段)が介装され、この電磁クラッチ11をONにしてプーリ9Aと駆動軸9Bとを接続すると、スーパーチャージャ9内部の2つのまゆ型ロータがケース中で逆方向に回転し空気を吸入して吐出する(過給する)。
スーパーチャージャ9をバイパスする通路12にデューティ制御可能なバイパスバルブ13が設けられ、このバイパスバルブ13もエンジンコントローラ15により制御される。例えば、スーパーチャージャ9の停止時にバイパスバルブ13は全開状態となり、吸気の全量がバイパス通路12を通してエンジン1に供給される。また、加速時にバイパスバルブ13は全開状態となり、吸気の全量がスーパーチャージャ9に案内される。スーパーチャージャ9の出口圧が目標過給圧を超えると、スーパーチャージャ9の出口圧が目標過給圧に維持されるようにバイパスバルブ開度が制御される。
図2はターボチャージャ5に対してスーパーチャージャ9を追加する場合の定常状態での制御方法を示している。エンジン出力トルクはエンジン回転速度に関係なく一定であることが扱いやすいので、図示のように目標エンジントルク(図では「目標トルク」で略記)が一定値で定められる。これに対してターボチャージャ5のみで得られるエンジントルクは低回転速度域では低く、エンジン回転速度が上昇するにつれて大きくなり、エンジン回転速度が上限回転速度N2に到達した後には目標エンジントルクが得られる(一点鎖線参照)。すなわち、ターボチャージャ5の出口に圧力センサ34(出口圧検出手段)を設けておき、この圧力センサ34により検出されるコンプレッサ5Aの出口圧(この出口圧を、以下単に「コンプレッサ圧」という。)が目標過給圧を超えるまではウェイストゲートバルブを7を全閉状態に保ち、コンプレッサ圧が目標過給圧を超えると、ウェイストゲートバルブ7を開き、コンプレッサ圧が目標過給圧に維持されるようにする。
一方、エンジン回転速度が上限回転速度N2以下の回転速度域においては、一点鎖線で示すターボチャージャ5のみでのトルクが実線で示す目標エンジントルクに及ばないため、目標エンジントルクが得られない。そこで、この上限回転速度N2以下の回転速度域でかつエンジン負荷が負荷下限ライン以上の領域をスーパーチャージャ9の作動域として定めている。すなわち、スーパーチャージャ9の作動域では電磁クラッチ11をONとしかつバイパスバルブ13を全閉位置にして吸気の全量をスーパーチャージャ9に導入しスーパーチャージャ9を働かせ、目標エンジントルクが得られるようにする。つまり、図2において上限回転速度N2以下の回転域において、実線と一点鎖線の間のトルクをスーパーチャージャ9によって補わせるのである。具体的には、スーパーチャージャ9の出口に圧力センサ33(出口圧検出手段)を設けておき、この圧力センサ33により検出されるスーパーチャージャ9の出口圧(この出口圧を、以下単に「スーパーチャージャ圧」という。)が目標過給圧を超えるまでは電磁クラッチ11をONとしかつバイパスバルブ13を全閉位置にしてスーパーチャージャ9を働かせ、スーパーチャージャ圧が目標過給圧を超えるとバイパスバルブ13を開いてスーパーチャージャ9の働きを弱め、スーパーチャージャ圧が目標過給圧に維持されるようにする。
ここで、上記の「上限回転速度N2」とは、スーパーチャージャ9の上限回転速度のことである。具体的には、スーパーチャージャ9を効率よく働かせることが可能な最大の回転速度のことである。
また、上記の「目標過給圧」とは、エンジン1全体での過給圧の目標値(一定値)のことである。図1に示したように、吸気通路2の上流側からコンプレッサ5B、スーパーチャージャ9が直列に配置されている場合には、スーパーチャージャ9下流の吸気圧力の目標値が目標過給圧となる。この目標過給圧に制御したとき図2に示す目標エンジントルクが得られることとなる。
しかしながら、図2は定常状態での特性であるため、加速時にも図2の特性が得られるわけではない。これについて図3を参照して説明すると、図3は低負荷状態よりアクセルペダルを一定量ステップ的に踏み込んで加速を行った場合に、車両加速度、電磁クラッチ11、無段変速機23の目標変速比tGtr、コンプレッサ圧Pcomp、スーパーチャージャ圧Psc、エンジン回転速度Neがどのように変化するのかを示している。なお、スーパーチャージャ圧Pscには、コンプレッサ圧Pcompが含まれており、スーパーチャージャ9単独での出口圧ではない。
なお、加速時にはターボチャージャ5、スーパーチャージャ9のそれぞれの働きを考慮する必要があるため、スーパーチャージャ9の目標過給圧を「tPm1」、コンプレッサ圧の目標過給圧を「tPm2」として区別する。従って、目標過給圧tPm1とはスーパーチャージャ圧の目標値、目標過給圧tPm2とはコンプレッサ圧の目標値のことである。ただし、これら各目標過給圧tPm1、tPm2の値が、スーパーチャージャ9の単独作動時もしくはターボチャージャ5の単独作動時にはそれぞれエンジン全体での上記目標過給圧と同じ値となることはいうまでもない。
低負荷状態のt1でアクセルペダルを一定量踏み込んで加速を行った場合に、従来技術では、スーパーチャージャの作動域が拡大され、エンジン回転速度Neが上昇してスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するt3のタイミングで電磁クラッチ11がONからOFFへと切換えられる(図3第3段目の破線参照)。
しかしながら、t3のタイミングでスーパーチャージャ圧Pscはスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達していない(図3第6段目の破線参照)。定常状態であれば、エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2の場合でも時間をかけて空気を十分に圧縮することができるためスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1が得られる。しかしながら、加速時には空気を十分に圧縮する時間を取れないためエンジン回転速度Neの上昇に遅れてスーパーチャージャ圧Pscが上昇せざるを得ない。このため、加速途中でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するタイミングではスーパーチャージャ圧Pscはまだスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達し得ていないのである。
そして、t3での電磁クラッチ11のONからOFFへの切換によってスーパーチャージャ圧Pscが一時期に低下し、その後に回復してスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1へと上昇している(図3第6段目の破線参照)。電磁クラッチ11をOFFにしている状態でスーパーチャージャ圧Pscが上昇してくるのはターボチャージャ5が遅れて働き初めてコンプレッサ圧Pcompが高くなってくるためである。
このように、従来技術においては加速時に電磁クラッチ11をONからOFFへと切換えるt3直後のスーパーチャージャ圧Pscの低下によって車両加速度が一時的に低下し(図3第2段目の破線参照)、望みの加速感が得られない。
そこで本発明の第1実施形態では、スーパーチャージャ9の上限回転速度N2より所定値(余裕代)だけ低い回転速度をしきい値N3として設け、加速時に電磁クラッチ11をONにしたままエンジン回転速度Neがこのしきい値N3に到達するt2のタイミングよりエンジン回転速度Neをこのしきい値N3に維持してスーパーチャージャ9を働かせ続ける(図3最下段の実線参照)。t2以降、エンジン回転速度Neはスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に届いていないので、電磁クラッチ11はON状態のままである(図3第3段目の実線参照)。スーパーチャージャ9を上限回転速度N2を超えない回転速度(しきい値N3)で働かせるのであれば、スーパーチャージャ9の耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもスーパーチャージャ9に空気を十分に圧縮する時間を取らせることが可能となる。これによって、第1実施形態によれば、t3からもスーパーチャージャ圧Pscが上昇してゆくのであり、その後t4のタイミングでスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に速やかに到達している。そして、t4からはスーパーチャージャ圧Pscをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持する(図3第6段目の実線参照)。
加速時にエンジン回転速度Neをしきい値N3に維持させる方法としては、無段変速機23の変速比制御を用いる。すなわち、t2の直前に所定値G1であった無段変速機23の目標変速比tGtrをt2のタイミングより徐々に小さくすることにより、エンジン回転速度Neをしきい値N3に維持させる。
一方、コンプレッサ圧Pcompはスーパーチャージャ圧Pscよりも遅れて上昇してくるため、t5のタイミングでターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達している。すなわち、スーパーチャージャ圧Pscをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持する終期は、原則としていわゆるターボラグにより遅れて上昇してくるコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt5のタイミングである。ここで、ターボチャージャ5の目標過給圧tPm2は、ウェイストゲートバルブ7が開き始めるときの圧力(一定値)である。
t4からt5までの期間でスーパーチャージャ圧Pscをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持するにはバイパスバルブ13をt4から徐々に開いてゆき、t5のタイミングで全開状態とすればよい。
また、t5のタイミングで無段変速機23の目標変速比tGtrが所定値G2に到達している。このように、本実施形態では加速時にエンジン回転速度Neがしきい値N3に到達するt2のタイミングからコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt5のタイミングまでの期間で無段変速機23の目標変速比tGtrを所定値G1から所定値G2へと減少させているのであるが、所定値G1は油圧式有段変速機でいう1速での変速比に、これに対して所定値G2は3速での変速比にほぼ相当する場合を図3に示している。
コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt5以降もエンジン1駆動のスーパーチャージャ9を働かせ続けることは燃費を悪化させる原因ともなる。そこで、t5のタイミングで電磁クラッチ11をONよりOFFへ切換え、スーパーチャージャ9の作動を停止させることが考えられる。
しかしながら、本実施形態ではそうはせず、t5での目標変速比tGtrである所定値G2を、t5のタイミングからもそのまま維持させている。この場合、目標変速比tGtrを所定値G2に維持させるための特別の操作は不要であり、通常時の変速比制御(車速とアクセルペダル開度からマップを検索することにより車速とアクセルペダル開度に応じた目標変速比(マップ値)を算出し、その得られた目標変速比をアクチュエータ23に出力する制御)を行えば、目標変速比tGtrが所定値G2に維持される。このt5からの目標変速比tGtrの所定値G2への維持により、エンジン回転速度Neがt5のタイミングより上昇していくので、エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するt6のタイミングで、電磁クラッチ11をONよりOFFへと切換えると共に、バイパスバルブ13を全開状態へと切換え、スーパーチャージャ9を停止する。このように、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt5のタイミングではなく、t5から所定の遅れ時間(t5からt6までの期間)が経過したt6のタイミングで電磁クラッチ11をONからOFFに切換えると共に、バイパスバルブ13を全開状態へと切換えることで(図3第3段目の実線参照)、電磁クラッチ11のONからOFFへの切換前後(スーパーチャージャ9の作動停止前後)でターボチャージャ5の状態を安定させることができる。
自動変速機コントローラ31とエンジンコントローラ15とで行われるこれらの制御を図4、図6のフローチャートを参照して説明する。
図4は無段変速機23の目標変速比tGtrを算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に自動変速機コントローラ31が実行する。
ステップ1、2では加速要求があるか否か、前回は加速要求があったか否かをみる。この加速要求があるか否かと、前回は加速要求があったか否かとは、次のようにして判定されている。アクセルセンサ32により検出されるアクセル開度の所定時間当たりの変化量が所定値を超えると、つまりアクセルペダルが短時間に所定量踏み込まれかつエンジン回転速度Neがしきい値N3未満であるときにはスーパーチャージャ9の作動域で加速要求があると判定され、加速要求フラグ=1となり、またアクセルペダルが短時間に所定量踏み込まれていないときにはエンジン回転速度Neがしきい値N3未満であってもスーパーチャージャ9の作動域で加速要求がないと判定され、加速要求フラグ=0のままである。また、この判定は一定周期で実行されるのであり、前回の判定結果も記憶されている。
加速要求フラグの今回と前回の各値をみて今回に加速要求フラグ=0であれば過給は必要ないのでステップ1よりステップ3に進み、電磁クラッチ11をOFF状態とすることをエンジンコントローラ15に指示した後、ステップ4で車速センサ45により検出される車速と、アクセルセンサ32により検出されるアクセル開度とから図5を内容とする基本変速比マップを検索することにより基本変速比Gmap(マップ値)を算出し、ステップ5においてこの基本変速比Gmapを目標変速比tGtrに移す。
今回に加速要求フラグ=1かつ前回に加速要求フラグ=0であった、つまり今回加速要求フラグがゼロから1に切換わったときにはステップ1、2よりステップ6に進み、電磁クラッチ11をOFFからONへと切換えることをエンジンコントローラ15に指示し、ステップ7で前回の目標変速比であるtGtr(前回)の値を今回の目標変速比tGtrとすることにより、目標変速比tGtrを維持する。
次回には、ステップ1、2よりステップ8に進む。すなわち、今回に加速要求フラグ=1かつ前回に加速要求フラグ=1であった、つまり加速要求フラグ1を継続しているときにはステップ1、2よりステップ8に進み、実際のエンジン回転速度Neとしきい値N3を比較する。実際のエンジン回転速度Neがしきい値N3未満であれば、ステップ7に進み目標変速比tGtrを維持する。ここで、しきい値N3は、上記のようにスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より所定値(余裕代)だけ低い回転速度(一定値)であり、適合により設定しておく。
加速を行っていることより実エンジン回転速度Neが上昇しやがてしきい値N3に到達する。このときにはステップ8よりステップ9に進んで圧力センサ34により検出されるコンプレッサ圧Pcompとターボチャージャ5の目標過給圧tPm2とを比較する。実エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達するタイミングでは、ターボラグによりコンプレッサ圧Pcompの上昇は遅く、ターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達していない、つまりコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に満たない。このときにはステップ10に進み、実際のエンジン回転速度Neをしきい値N3に維持するため、前回の目標変速比から所定値ΔGを差し引いた値を今回の目標変速比として、つまり次式により目標変速比tGtrを算出する。
tGtr=tGtr(前回)−ΔG …(1)
ただし、tGtr(前回):tGtrの前回値、
ここで、(1)式右辺の所定値ΔGは、実際のエンジン回転速度Neがしきい値N3に維持されるように、適合により設定しておく。(1)式右辺のtGtr(前回)の初期値はステップ7で維持されている目標変速比tGtrである。
ただし、tGtr(前回):tGtrの前回値、
ここで、(1)式右辺の所定値ΔGは、実際のエンジン回転速度Neがしきい値N3に維持されるように、適合により設定しておく。(1)式右辺のtGtr(前回)の初期値はステップ7で維持されている目標変速比tGtrである。
加速を行っているのでコンプレッサ圧Pcompが上昇してくるが、コンプレッサ圧Pcompの立ち上がりには遅れ(ターボラグ)があるので、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となるまでステップ10の操作を繰り返し、目標変速比tGtrを徐々に小さくし、これによって実際のエンジン回転速度Neをしきい値N3に維持する。
このエンジン回転速度Neのしきい値N3への維持によってスーパーチャージャ9の作動が継続し、エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達したタイミングからもスーパーチャージャ圧Pscが上昇しやがてスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達する。そして、スーパーチャージャ圧Pscがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達した後には、バイパスバルブ開度が制御され(図6で後述する)、スーパーチャージャ圧Pscがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持される。
やがて、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となればステップ9よりステップ11、12に進み、電磁クラッチ11のONよりOFFへの操作、つまりスーパーチャージャ9の作動停止を所定期間遅らせる操作を行う。すなわち、ステップ11で実回転速度Neとスーパーチャージャ9の上限回転速度N2を比較する。ここで、上限回転速度N2はスーパーチャージャ9の仕様により予め定まっている。コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となったタイミングでは実回転速度Neはスーパーチャージャ9の上限回転速度N2未満にあるので、ステップ12に進み、前回の目標変速比であるtGtr(前回)の値を今回の目標変速比tGtrとすることにより、目標変速比tGtrを維持する。
この目標変速比tGtrの維持により、実エンジン回転速度Neが上昇しやがてスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するので、実エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するまではステップ12の操作を繰り返す。実エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達したときには、ステップ11よりステップ3に進んで電磁クラッチ11をONよりOFFに切換えることをエンジンコントローラ15に指示してスーパーチャージャ9の作動を停止させる。
これで、本発明に係る加速時の変速比制御を終了するので、その後は加速前に行っていた変速比制御を再開する。すなわち、ステップ4、5で、車速とアクセル開度から図5を内容とする基本変速比マップを検索することにより基本変速比Gmap(マップ値)を算出し、この基本変速比Gmapを目標変速比tGtrに移す。
このようにして算出された目標変速比tGtrは自動変速機コントローラ31からアクチュエータ24に出力され、アクチュエータ24により無段変速機23の実際の変速比が目標変速比tGtrとなるように制御される。
図6はバイパスバルブ13及びウェイストゲートバルブ7の各開度を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)にエンジンコントローラ15が実行する。
なお、加速要求フラグの値は自動変速機コントローラ31からエンジンコントローラ15に送られている。
ステップ21では加速要求フラグをみる。加速要求フラグ=0であるときにはスーパーチャージャ8、ターボチャージャ5を共に働かせる必要がないので、ステップ22、23に進み、バイパスバルブ開度θ1、ウェイストゲートバルブ開度θ2を共に最大値(バイパスバルブ12、ウェイストゲートバルブ7を全開状態)とする。バイパスバルブ開度θ1が最大値の状態(バイパスバルブ12の全開状態)では吸気はバイパス通路12を通って流れ、またウェストゲートバル開度θ2が最大値の状態(ウェイストゲートバルブ7の全開状態)では排気はバイパス通路6を通って流れるため、スーパーチャージャ9、ターボチャージャ5がないのと同じになる。なお、加速要求フラグ=0であるときにウェイストゲートバルブ7を全閉状態に保持し排気タービン5Aをゆっくりでも回転させておくようにしてもかまわない。
加速要求フラグ=1であるときにはスーパーチャージャ9及びターボチャージャ5を働かせるためステップ24に進み、圧力センサ33により検出されるスーパーチャージャ圧Pspとスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1とを比較する。スーパーチャージャ圧Pspが目標過給圧tPm1に到達していないときにはステップ25に進んでバイパスバルブ開度θ1を最小値(バイパスバルブ13を全閉状態)とすると共にウェイストゲートバルブ開度θ2を最小値(ウェイストゲートバルブ7を全閉状態)とする。バイパスバルブ開度θ1が最小値の状態(バイパスバルブ13の全閉状態)では吸気の全量がスーパーチャージャ9に導入されると共に、ウェストゲートバル開度θ2が最小値の状態(ウェイストゲートバルブ7を全閉状態)で排気の全量が排気タービン5Aに流される。
加速要求フラグ=1となったときに電磁クラッチ11がON状態とされているので(図4のステップ6参照)、ステップ25でバイパスバルブ13を全閉状態にすると、スーパーチャージャ9がエンジン1により駆動され、スーパーチャージャ圧Pspが速やかに上昇していく。従って、スーパーチャージャ圧Pspがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達する前にはステップ25の操作を繰り返す。一方、ステップ26でウェイストゲートバルブ7を全閉状態にすると、排気タービン5Aが排気により駆動され、コンプレッサ圧Pcompが上昇しようとするが、ターボラグによりコンプレッサ圧Pcompの上昇は大きく遅れる。
スーパーチャージャ圧Pspがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達すると、ステップ24よりステップ27に進み、圧力センサ34により検出されるコンプレッサ圧Pcompとターボチャージャ5の目標過給圧tPm2とを比較する。コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達する前には、コンプレッサ圧Pcompをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持させるため、ステップ28に進みそのときのコンプレッサ圧Pcompから図7(A)を内容とするテーブルを検索することによりバイパスバルブ開度θ1を算出すると共にステップ26に進んでウェイストゲートバルブ開度θ2を最小値(全閉状態)に維持する。図7(A)に示したように、バイパスバルブ開度θ1は、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2未満の領域でコンプレッサ圧Pcompが大きくなるほど大きくなり、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上の領域で最大値(全開状態)となる特性である。この特性は、スーパーチャージャ圧Pspがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持されるように設定されている。
コンプレッサ圧Pcompがスーパーチャージャ圧Pscより遅れて上昇しターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となったときには、ステップ27よりステップ29に進み、バイパスバルブ開度θ1を最大値(全開状態)とすると共に、ステップ30でそのときのコンプレッサ圧Pcompから図7(B)を内容とするテーブルを検索することによりウェイストゲートバルブ開度θ2を算出する。図7(B)に示したように、ウェイストゲートバルブ開度θ2は、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以下である領域で最小値(全閉)であり、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2を超える領域になるとコンプレッサ圧Pcompが大きくなるほど大きくなる特性である。この特性は、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に維持されるように設定されている。
このようにして算出されたバイパスバルブ開度θ1、ウェイストゲートバルブ開度θ2はそれぞれデューティ値に変換され、バイパスバルブ開度θ1をデューティ値に変換した信号はバイパスバルブ13に、またウェイストゲートバルブ開度θ2をデューティ値に変換した信号はウェイストゲートバルブ7に、自動変速機コントローラ31から出力される。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、吸気通路2の上流側にコンプレッサ5Bが位置する排気駆動式のターボチャージャ5と、コンプレッサ5Bの下流にあってエンジン1により駆動される機械駆動式のスーパーチャージャ9と、このスーパーチャージャ9の駆動状態と非駆動状態とを切換え得る電磁クラッチ11(クラッチ手段)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジン1に連結される無段変速機23を有する自動変速機20と、アクセル開度と車速に応じてこの無段変速機23の目標変速比tGtrを算出する目標変速比算出手段(図4のステップ4、5参照)と、この算出された目標変速比tGtrが得られるように無段変速機23の変速比を制御する変速比制御手段(31)と、加速時に電磁クラッチ11を用いてスーパーチャージャ9の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(図4のステップ1、2、6参照)と、この切換えられたスーパーチャージャ9の駆動状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値N3に保たれるように無段変速機23の目標変速比を加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段(図4のステップ8、9、10参照)とを備えている。すなわち、加速時にはエンジン回転速度Neをスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値N3に保った状態でスーパーチャージャ9が駆動状態に保たれる。スーパーチャージャ9をスーパーチャージャ9の上限回転速度N2を超えない回転速度(しきい値N3)で働かせるのであれば、スーパーチャージャ9の耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもスーパーチャージャ9の作動をOFFにする(中断する)ことなく加速を続けることが可能となる。これによって、本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、加速時にスーパーチャージャ圧Pscが十分上昇した後にスーパーチャージャ9を非駆動状態へと切換えることが可能となり、無段変速機23を有する自動変速機20を備える場合にスーパーチャージャ9の上限回転速度N2を上げることなく加速レスポンスを向上させることができる。
本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、コンプレッサ圧Pcompを検出する圧力センサ34(出口圧検出手段)を備え、目標変速比低下手段はこの圧力センサ34により検出されるコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するまで無段変速機23の目標変速比tGtrを加速直前での目標変速比tGtrから徐々に低下させるので(図4のステップ9、10参照)、加速時にスーパーチャージャ9の過給能力の余裕分を引き出して十分に過給を行わせることができる。
本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達したら、コンプレッサ圧Pcompが目標過給圧tPm2に到達したときの目標変速比tGtrを維持し(図4のステップ9、11、12参照)、その目標変速比tGtrの維持状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2となったとき電磁クラッチ11をON状態からOFF状態へと切換える(クラッチ手段を用いてスーパーチャージャ9の駆動状態から非駆動状態へと切換える)ので(図4のステップ9、11、3参照)、電磁クラッチ11のONからOFFへの切換前後(スーパーチャージャ9の駆動状態から非駆動状態への切換前後)でターボチャージャ5の状態を安定させることができる。
図8は第2実施形態のエンジンの過給機制御装置が適用される車両の概略構成図を示しており、第1実施形態の図1と置き換わるものである。なお、第1実施形態の図1と同一部分には同一番号を付けている。
第1実施形態が無段変速機23の自動変速機20に本発明を適用した場合であったのに対し、第2実施形態は有段変速機51の自動変速機20に本発明を適用するものである。有段変速機51の自動変速機20を有する車両では、自動変速機コントローラ31内にアクセル開度と車速とをパラメータとする変速線図を有しており、自動変速機コントローラ31では、アクセル開度と車速とからこの変速線図を検索することによりアクセル開度と車速とに応じた目標変速段を選択し、この選択した目標変速段となるようにアクチュエータ24を介して有段変速機51の変速段制御を実行する。例えば、図9最上段のように、アクセル開度を所定値AよりBまでステップ的に踏み込む加速を行ったとき、図11において運転点が矢印のように辿れば、有段変速機51の変速段が1速から2速へと切換えられる(シフトアップされる)。
図9は第2実施形態の加速時の作用を説明するためのタイミングチャートで、第1実施形態の図3に対応する。なお、第2実施形態では簡単化のため、図9において、エンジン回転速度Neが加速後に初めてしきい値N3に到達するt12のタイミングで有段変速機51の変速段を1速から2速へと切換えた後に、エンジン回転速度Neが再びしきい値N3に到達するタイミング(t14)と、スーパーチャージャ圧Pscがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達するタイミング(t14)とをほぼ一致させて示している。
さて、第1実施形態では、エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達するt2のタイミングからエンジン回転速度Neをしきい値N3に維持するため目標変速比tGtrを徐々に小さくしたのであるが、自動変速機20が有段変速機51である第2実施形態では変速比が連続的に変化し得ないので、図9において、エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達するt12のタイミングから、目標変速比tGtrを連続的に徐々に小さくすることはできない。
そこで、第2実施形態では、t12のタイミングで図9第4段目に示したように変速比が小さくなる側に目標変速段を変更する。例えば、t12の直前まで目標変速段を1速として運転されていたとすれば、t12のタイミングで目標変速段を2速へと切換える。この目標変速段の変更により、変速比は1速を目標変速段とするときの変速比G3から2速を目標変速段とするときの変速比G4へと小さくなる。
このt12における目標変速段の1速から2速への変更(シフトアップ)により、エンジン回転速度Neが所定量ステップ的に減少し、そのステップ的に減少した回転速度から徐々に大きくなってゆく。この場合、t12以降にエンジン回転速度Neが上昇してスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達する直前まで、エンジン回転速度Neは上限回転速度N2に届いていないので、電磁クラッチ11はON状態のままである(図9第3段目の実線参照)。スーパーチャージャ9を上限回転速度N2を超えない回転速度(N3未満)で働かせるのであれば、スーパーチャージャ9の耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもの作動をOFFにする(中断する)ことなく加速を続けることが可能となる。これによって、第2実施形態によっても、t13(従来技術では電磁クラッチ11がONからOFFに切換えられるタイミング)からもスーパーチャージャ圧Pscが上昇してゆくのであり、t14のタイミングでスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1へと速やかに到達している。そして、t14からはスーパーチャージャ圧Pscをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持する(図9第6段目の実線参照)。
加速時にエンジン回転速度Neをしきい値N3未満に維持させる方法としては、有段変速機51の変速段制御を用いる。すなわち、従来技術で用いているシフトアップ用の変速線図を、第2実施形態では「定常用変速線図」とすると共に、新たに「加速用変速線図」を導入し、加速時には加速用変速線図を用いて目標変速段を設定することにより、エンジン回転速度Neをしきい値N2未満に維持させる。また、加速前の定常時と加速終了後には定常用変速線図を用いてそれぞれ目標変速段を設定する。
ここで、「定常用変速線図」は、例えば図11に示したように3つの変速線C、D、Eによって1速、2速、3速をそれぞれ基本変速段とする4つの各領域に区分けされている。従って、運転点が、区分けされた4つの各領域にあればその領域での基本変速段が選択され、その選択された基本変速段が目標変速段として設定される。また、過渡的に運転点が例えば変速線Cを左から右へと横切るとき基本変速段が1速から2速へと切換えられ、その切換後の2速が目標変速段として設定される。なお、変速線図には、通常、シフトアップ用とシフトダウン用の2つあるが、本発明では加速時を対象としているのでシフトダウン用は考えない。
一方、第2実施形態で新たに導入する「加速用変速線図」は図12に示したように、変速線C’(実線参照)が破線で示す変速線Cより左側(車速の小さな側)に少し移されている。ここで、破線で示す変速線Cは、定常用変速線図(図11参照)の変速線Cを図12に重ねて示したものである。このため、図9最上段に示したようにアクセル開度を所定値Aから所定値Bへとステップ変化させて加速を行ったとき、加速後の所定値Bは一定のまま車速が上昇してゆくため、図12においては矢印のように運転点が移ってゆく。このとき、図12に示す加速用変速線図によれば、図11に示す定常用変速線図による場合よりも2速へと切換わるタイミングが早くなる、つまり図12に示す加速用変速線図のほうが図11に示す定常用変速線図よりも2速へと切換わるタイミングでの車速が所定値ΔVSPだけ小さくなる。ここで、目標変速段が同じであれば車速とエンジン回転速度は連動し車速が大きくなればエンジン回転速度が高くなるので、目標変速段が1速から2速へと切換わるタイミングでの車速が所定値ΔVSPだけ小さくなれば、目標変速段が1速から2速へと切換わるタイミングでのエンジン回転速度が、所定値ΔVSPに対応して所定値ΔNだけ小さくなる。言い替えると、図9に示したスーパーチャージャ9の上限回転速度N2としきい値N3の差である余裕代ΔNと、図12の所定値ΔVSP(あるいはこれに対応する上記所定値ΔN)とが関連しており、2速へと切換わるタイミングでの車速減少代である所定値ΔVSPが大きくなるように図12に示した変速線C’を破線の変速線Cより左側に離すほど図9に示した余裕代ΔNが大きくなる。ということは、第2実施形態では、図12に示した変速線C’の位置により図9に示した余裕代ΔNを定めることができることを意味している。この結果、図9に示した余裕代ΔNが適合により定まれば、図12に示した変速線C’の位置も定まることとなる。
このようにして、新たに加速用変速線図を用意し、t12のタイミングでアクセル開度と車速とからこの加速用変速線図を検索させると、目標変速段が1速から2速へと変更される。
エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達するt12で目標変速段を1速から2速へと変更することにより、いったんしきい値N3よりもステップ的に低くなったエンジン回転速度Neが、その後再び上昇しt14のタイミングでしきい値N3に到達している。
一方、コンプレッサ圧Pcompはターボラグによりスーパーチャージャ圧Pscよりも遅れて上昇してくるため、t15のタイミングでターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達する。すなわち、スーパーチャージャ圧Pscをスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持する終期は、原則として、いわゆるターボラグにより遅れて上昇してくるコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt15のタイミングである。ここで、ターボチャージャ5の目標過給圧tPm2は、ウェイストゲートバルブ7が開き始めるときの圧力(一定値)である。
t14からt15までの期間でスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1を維持するにはt14からバイパスバルブ13を徐々に開いてゆき、t15のタイミングで全開状態とすればよい。
コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt15以降もエンジン1駆動のスーパーチャージャ9を働かせ続けることは燃費を悪化させる原因ともなる。そこで、t15のタイミングで電磁クラッチ11をONよりOFFへ切換え、スーパーチャージャ9の作動を停止させることが考えられる。
しかしながら、第2実施形態でもそうはせず、t15での目標変速段である2速を、t15のタイミングからもそのまま維持させる。この場合、目標変速段を2速に維持させるための特別の操作は不要であり、車速とアクセルペダル開度とから図12に示した加速用変速線図を検索することにより車速とアクセルペダル開度に応じた基本変速段を選択し、その選択した基本変速段を目標変速段として設定し、その得られた目標変速段をアクチュエータ23に出力する制御を行えば、目標変速段が2速に維持される。このt15からの目標変速段の2速への維持により、エンジン回転速度Neがt15のタイミングより上昇していくので、エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するt16のタイミングで、電磁クラッチ11をONよりOFFへと切換えると共に、バイパスバルブ13を全開状態へと切換え、スーパーチャージャ9を停止する。このように、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するt15のタイミングではなく、t15から所定の遅れ時間(t15からt16までの期間)が経過したt16のタイミングで電磁クラッチ11をONからOFFに切換えると共に、バイパスバルブ13を全開状態へと切換えることで(図9第3段目の実線参照)、電磁クラッチ11のONからOFFへの切換前後(スーパーチャージャ9の作動停止前後)でターボチャージャ5の状態を安定させることができる。
自動変速機コントローラ31とエンジンコントローラ15とで行われるこれらの制御を図10、図6のフローチャートを参照して説明する。
図10は有段変速機51の目標変速段を設定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に自動変速機コントローラ31が実行する。ただし、第2実施形態において第1実施形態と異なるのは、変速機の対象が無段変速機23から有段変速機51に変わるだけであり、本発明の基本的な考え方は同じであるので、第1実施形態の図4と同一部分には同一のステップ番号を付けている。
ステップ1で加速要求フラグ=0であるときにはステップ3に進み、電磁クラッチ11をOFFにすることをエンジンコントローラ15に指示した後、ステップ41で車速センサ45により検出される車速と、アクセルセンサ32により検出されるアクセル開度とから図11を内容とする定常用変速線図を検索することにより基本変速段DANmap1を選択し、ステップ32においてこの基本変速段DANmap1を目標変速段tDANに移す。
一方、今回に加速要求フラグ=1かつ前回に加速要求フラグ=0であった、つまり今回加速要求フラグがゼロから1に切換わったときにはステップ1、2よりステップ6に進み、電磁クラッチ11をOFFからONへと切換えることをエンジンコントローラ15に指示し、ステップ43で前回の目標変速段であるtDAN(前回)の値を今回の目標変速段tDANとすることにより、目標変速段tDANを維持する。
次回には、ステップ1、2よりステップ8に進む。すなわち、今回に加速要求フラグ=1かつ前回に加速要求フラグ=1であった、つまり加速要求フラグ1を継続しているときにはステップ1、2よりステップ8に進み、実際のエンジン回転速度Neとしきい値N3を比較する。実際のエンジン回転速度Neがしきい値N3未満であれば、ステップ43に進み目標変速段tDANを維持する。しきい値N3は、上記のようにスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より所定値(余裕代)だけ低い回転速度(一定値)であり、適合により予め設定しておく。
加速を行っていることより実エンジン回転速度Neが上昇しやがてしきい値N3に到達する。このときにはステップ8よりステップ9に進んで圧力センサ34により検出されるコンプレッサ圧Pcompと、ターボチャージャ5の目標過給圧tPm2とを比較する。コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に満たないときにはステップ44に進み、実際のエンジン回転速度Neをしきい値N3未満とするため、車速センサ45により検出される車速と、アクセルセンサ32により検出されるアクセル開度とから図12を内容とする加速用変速線図を検索することにより基本変速段DANmap2を選択し、ステップ45においてこの基本変速段DANmap2を目標変速段tDANに移す。
エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達したタイミングで図12に示した加速用変速線図を検索させることで、目標変速段tDANが1速より2速へと切換えられる車速が、図11に示した定常用変速線図を検索させる場合よりも所定値(ΔVSP)早くなり、これを受けて目標変速段tDANが1速より2速へと切換えられる回転速度が図11に示した定常用変速線図を検索させる場合よりも所定値(ΔN)早くなる。すなわち、エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2から余裕代ΔNをもったしきい値N3で目標変速段が1速から2速へと変更される。
加速を行っているのでコンプレッサ圧Pcompが上昇してくるが、コンプレッサ圧Pcompの立ち上がりには遅れがあるので、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となるまでステップ44、45の操作を繰り返し、これによって実際のエンジン回転速度Neをしきい値N3未満に維持する。
この目標変速段の1速から2速への変更によってエンジン回転速度Neがしきい値N3未満に維持されることからスーパーチャージャ9の作動が継続し、エンジン回転速度Neがしきい値N3に到達したタイミングからもスーパーチャージャ圧Pscが上昇しやがてスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達する。そして、スーパーチャージャ圧Pscがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に到達した後には、バイパスバルブ開度が制御され(図6のステップ21、24、27、28参照)、スーパーチャージャ圧Pscがスーパーチャージャ9の目標過給圧tPm1に維持される。
やがて、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となればステップ9よりステップ11、46に進み、電磁クラッチ11のONよりOFFへの操作、つまりスーパーチャージャ9の作動停止を所定期間遅らせる操作を行う。すなわち、ステップ11で実回転速度Neとスーパーチャージャ9の上限回転速度N1を比較する。ここで、上限回転速度N2は前述のようにスーパーチャージャ9の仕様により予め定まっている。コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2以上となったタイミングでは実回転速度Neはスーパーチャージャ9の上限回転速度N2未満にあるので、ステップ46に進み、前回の目標変速段であるtDAN(前回)の値を今回の目標変速段tDANとすることにより、目標変速段tDANを維持する。
この目標変速段tDANの維持により、実エンジン回転速度Neが上昇してスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するので、実エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達するまではステップ46の操作を繰り返す。実エンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2に到達したときには、ステップ11よりステップ3に進んで電磁クラッチ11をONよりOFFに切換えることをエンジンコントローラ15に指示してスーパーチャージャ9の作動を停止させる。
これで、本発明に係る加速時の変速段制御を終了するので、その後は加速前に行っていた変速段制御を再開する。すなわち、ステップ41、42で車速とアクセル開度とから図11を内容とする定常用変速線図を検索することにより基本変速段DANmap1を選択し、この基本変速段DANmap1を目標変速段tDANに移す。
このようにして算出された目標変速段tDANは自動変速機コントローラ31からアクチュエータ24に出力され、アクチュエータ24により有段変速機51の実際の変速段が目標変速段tDANとなるように制御される。
次に、図6は第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
第2実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、吸気通路2の上流側にコンプレッサ5Bが位置する排気駆動式のターボチャージャ5と、コンプレッサ5Bの下流にあってエンジン1により駆動される機械駆動式のスーパーチャージャ9と、このスーパーチャージャ9の駆動状態と非駆動状態とを切換え得る電磁クラッチ11(クラッチ手段)とを備えるエンジンの過給機制御装置において、エンジン1に連結される有段変速機51を有する自動変速機20と、アクセル開度と車速に応じてこの有段変速機51の目標変速段tDANを選択する目標変速段選択手段(図10のステップ41、42参照)と、この選択された目標変速段tDANが得られるように有段変速機51の変速段を制御する変速段制御手段(31)と、加速時に電磁クラッチ11を用いてスーパーチャージャ9の非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段(図10のステップ1、2、6参照)と、この切換えられたスーパーチャージャ9の駆動状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値N3未満に保たれるように有段変速機51の目標変速段を加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更する目標変速段変更手段(図10のステップ8、9、44、45参照)とを備えている。すなわち、加速時にはエンジン回転速度Neをスーパーチャージャ9の上限回転速度N2より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値N3未満に保った状態でスーパーチャージャ9が駆動状態に保たれる。スーパーチャージャ9を上限回転速度N2を超えない回転速度(しきい値N3)未満で働かせるのであれば、スーパーチャージャ9の耐久性に問題が生じることがなく、かつ加速時においてもスーパーチャージャ9の作動をOFFにする(中断する)ことなく加速を続けることが可能となる。これによって、第2実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、加速時にスーパーチャージャ圧Pscが十分上昇した後にスーパーチャージャ9を非駆動状態へと切換えることが可能となり、有段変速機51を有する自動変速機20を備える場合にスーパーチャージャ9の上限回転速度N2を上げることなく加速レスポンスを向上させることができる。
第2実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、コンプレッサ圧Pcompを検出する圧力センサ34(出口圧検出手段を備え、目標変速段変更手段はこの圧力センサ34により検出されるコンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達するまで有段変速機51の目標変速段tDANを加速直前での目標変速段tDANよりも変速比が小さくなる側に変更するので(図10のステップ9、44、45参照)、加速時にスーパーチャージャ9の過給能力の余裕分を引き出して十分に過給を行わせることができる。
第2実施形態(請求項6に記載の発明)によれば、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達したら、コンプレッサ圧Pcompがターボチャージャ5の目標過給圧tPm2に到達したときの目標変速段tDANを維持し(図10のステップ9、11、46参照)、その目標変速段tDANの維持状態でエンジン回転速度Neがスーパーチャージャ9の上限回転速度N2となったとき電磁クラッチ11をON状態からOFF状態へと切換える(クラッチ手段を用いてスーパーチャージャ9の駆動状態から非駆動状態へと切換える)ので(図10のステップ9、11、3参照)、電磁クラッチ11のONからOFFへの切換前後(スーパーチャージャ9の駆動状態から非駆動状態への切換前後)でターボチャージャ5の状態を安定させることができる。
第2実施形態(請求項7に記載の発明)によれば、目標変速段選択手段は、アクセル開度と車速とから定常用変速線図を検索することにより(図10のステップ41、図11参照)、有段変速機51の目標変速段tDANを選択し、かつ目標変速段変更手段は、1速の変速線の位置が定常用変速線図の1速の変速線より車速の小さな側にずれている加速用変速線図を、アクセル開度と車速とから検索することにより(図10のステップ44、図12参照)、有段変速機51の目標変速段tDANを加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更するので、簡単な構成で有段変速機51の目標変速段tDANを加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更できる。
実施形態のエンジンはガソリン、ディーゼルのいずれのエンジンでもかまわない。
請求項1に記載の目標変速比算出手段の機能は図4のステップ4、5により、変速比制御手段の機能は自動変速機コントローラ31により、切換手段の機能は図4のステップ1、2、6により、目標変速比低下手段の機能は図4のステップ8、9、10によりそれぞれ果たされている。
請求項4に記載の目標変速段選択手段の機能は図10のステップ41、42により、変速段制御手段の機能は自動変速機コントローラ31により、切換手段の機能は図10のステップ1、2、6により、目標変速段変更手段の機能は図10のステップ8、9、44,45によりそれぞれ果たされている。
1 エンジン
2 吸気通路
5 ターボチャージャ
7 ウェイストゲートバルブ
9 スーパーチャージャ
11 電磁クラッチ(クラッチ手段)
13 バイパスバルブ
15 エンジンコントローラ
20 自動変速機
23 無段変速機
31 自動変速機コントローラ
34 圧力センサ(出口圧検出手段)
32 アクセルセンサ
45 車速センサ
51 有段変速機
2 吸気通路
5 ターボチャージャ
7 ウェイストゲートバルブ
9 スーパーチャージャ
11 電磁クラッチ(クラッチ手段)
13 バイパスバルブ
15 エンジンコントローラ
20 自動変速機
23 無段変速機
31 自動変速機コントローラ
34 圧力センサ(出口圧検出手段)
32 アクセルセンサ
45 車速センサ
51 有段変速機
Claims (8)
- 吸気通路の上流側にコンプレッサが位置する排気駆動式のターボチャージャと、
前記コンプレッサの下流にあってエンジンにより駆動される機械駆動式のスーパーチャージャと、
このスーパーチャージャの駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段と
を備えるエンジンの過給機制御装置において、
エンジンに連結される無段変速機を有する自動変速機と、
アクセル開度と車速に応じてこの無段変速機の目標変速比を算出する目標変速比算出手段と、
この算出された目標変速比が得られるように無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、
加速時に前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段と、
この切換えられたスーパーチャージャの駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値に保たれるように無段変速機の目標変速比を前記加速直前での目標変速比から徐々に低下させる目標変速比低下手段と
を備えることを特徴とするエンジンの過給機制御装置。 - 前記コンプレッサの出口圧を検出する出口圧検出手段を備え、
前記目標変速比低下手段はこの出口圧検出手段により検出されるコンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達するまで無段変速機の目標変速比を前記加速直前での目標変速比から徐々に低下させることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの過給機制御装置。 - 前記コンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達したら、前記コンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達したときの目標変速比を維持し、その目標変速比の維持状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度となったとき前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの駆動状態から非駆動状態へと切換えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの過給機制御装置。
- 吸気通路の上流側にコンプレッサが位置する排気駆動式のターボチャージャと、
前記コンプレッサの下流にあってエンジンにより駆動される機械駆動式のスーパーチャージャと、
このスーパーチャージャの駆動状態と非駆動状態とを切換え得るクラッチ手段と
を備えるエンジンの過給機制御装置において、
エンジンに連結される有段変速機を有する自動変速機と、
アクセル開度と車速に応じてこの有段変速機の目標変速段を選択する目標変速段選択手段と、
この選択された目標変速段が得られるように有段変速機の変速段を制御する変速段制御手段と、
加速時に前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの非駆動状態から駆動状態へと切換える切換手段と、
この切換えられたスーパーチャージャの駆動状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度より余裕代だけ低い回転速度であるしきい値未満に保たれるように有段変速機の目標変速段を前記加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更する目標変速段変更手段と
を備えることを特徴とするエンジンの過給機制御装置。 - 前記コンプレッサの出口圧を検出する出口圧検出手段を備え、
前記目標変速段変更手段はこの出口圧検出手段により検出されるコンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達するまで有段変速機の目標変速段を前記加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの過給機制御装置。 - 前記コンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達したら、前記コンプレッサの出口圧が目標過給圧に到達したときの目標変速段を維持し、その目標変速段の維持状態でエンジン回転速度がスーパーチャージャの上限回転速度となったとき前記クラッチ手段を用いてスーパーチャージャの駆動状態から非駆動状態へと切換えることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの過給機制御装置。
- 前記目標変速段選択手段は、アクセル開度と車速とから定常用変速線図を検索することにより有段変速機の目標変速段を選択し、かつ
前記目標変速段変更手段は、1速の変速線の位置が前記定常用変速線図の1速の変速線より車速の小さな側にずれている加速用変速線図を、アクセル開度と車速とから検索することにより有段変速機の目標変速段を前記加速直前での目標変速段よりも変速比が小さくなる側に変更することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの過給機制御装置。 - 前記スーパーチャージャをバイパスする通路の通路断面積を可変に調整し得るバイパスバルブと、前記スーパーチャージャの出口圧を検出する出口圧検出手段とを備え、
この出口圧検出手段により検出されるスーパーチャージャの出口圧が目標過給圧に到達した後、スーパーチャージャの出口圧が目標過給圧に維持されるように前記バイパスバルブの開度を制御することを特徴とする請求項1または4に記載のエンジンの過給機制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008055047A JP2009210060A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | エンジンの過給機制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008055047A JP2009210060A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | エンジンの過給機制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009210060A true JP2009210060A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41183410
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008055047A Pending JP2009210060A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | エンジンの過給機制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009210060A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011186165A (ja) * | 2010-03-08 | 2011-09-22 | Nikon Corp | 変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法 |
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2008
- 2008-03-05 JP JP2008055047A patent/JP2009210060A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011186165A (ja) * | 2010-03-08 | 2011-09-22 | Nikon Corp | 変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法 |
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