JP2009209843A - スタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン停止時や、エンスト時等に発生する衝撃を低減できる衝撃吸収機能を備えた常時噛合い式のスタータを提供する。
【解決手段】本発明のスタータは、電機子の逆回転を防止する逆転防止クラッチ8を備え、その逆転防止クラッチ8には、クラッチアウタ81に衝撃吸収機能を持たせている。すなわち、クラッチアウタ81は、ハウジング等に回転不能に固定された固定アウタ部81aと、この固定アウタ部81aの内周に圧入嵌合して、固定アウタ部81aに対し所定の滑りトルクで回転規制される可動アウタ部81bとで構成され、前記滑りトルクより大きな負荷トルク(エンジンの逆回転によって生じるトルク)が電機子軸に加わると、可動アウタ部81bが固定アウタ部81aに対し周方向に滑ることで、負荷トルクを吸収して発生する衝撃を低減できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジン側のリングギヤにピニオンギヤが常時噛み合わされている常時噛合い式スタータに関する。
従来、エンジン側のリングギヤにピニオンギヤが直接または中間ギヤ等を介して常時噛み合っている常時噛合い式スタータが知られている(特許文献1参照)。この常時噛合い式スタータでは、エンジン始動後、ピニオンギヤがリングギヤから離脱することはなく、常時噛み合っているので、エンジンが停止する前の再始動も可能である。
ところが、常時噛合い式スタータでは、例えば、エンジンが停止する際に生じるクランク軸の揺動によってエンジンが逆回転した場合、あるいは、登板路でのエンストにより車両が後退する時にエンジンが逆回転すると、その逆回転がリングギヤからピニオンギヤに伝達されて、エンジン始動時とは逆方向の回転力がスタータの出力軸に伝わる。その結果、リングギヤとピニオンギヤとのギヤ比を乗じた回転数(内部減速機を有するスタータでは、更に内部減速比を乗じた回転数)でモータの電機子が回されることになり、ブラシの寿命低下を招くと共に、電機子が遠心力によって破損すること等が懸念される。
そこで、本出願人は、電機子の逆回転を防止できる逆転防止クラッチを備えたスタータを提案している(特許文献2参照)。
この逆転防止クラッチは、モータの電機子軸に設けられたインナと、このインナの外周面との間にくさび状のカム室を形成し、且つ、ハウジングに回転不能に固定されたアウタと、カム室に配設されるローラ等より構成され、エンジン始動時には、ローラが空転して電機子の回転を許容し、エンジンの逆回転が電機子軸に伝達された時は、ローラがカム室の狭小方向へ移動してインナとアウタとの間にロックされることにより、電機子の逆回転を防止する働きを有する。
ところで、エンジンの逆回転が電機子軸に伝達された時に、逆転防止クラッチが働く(ローラがインナとアウタとの間にロックされる)と、スタータのトルク伝達経路に大きな衝撃が発生する。特に、車両のエンスト時には、車両全体の慣性を逆転防止クラッチで受けることになるため、非常に大きな衝撃が発生する。
これに対し、上記の特許文献2では、過大衝撃の入力を想定して、電機子と出力軸との間に摩擦式のトルクリミッタを設定することを提案している。これにより、エンジン側から過大な衝撃が入力されると、摩擦板(回転ディスク)が滑ることによって過大な衝撃をカットできるので、トルク伝達経路に発生する衝撃を低減できる。
特開2004−225544号公報 特開2006−226146号公報
しかし、電機子と出力軸との間にトルクリミッタを設定した場合、スタータによってエンジンを始動させる時にもトルクリミッタは働くことになる。ここで問題となるのが、エンジンを確実に始動するために必要なトルクを確保することである。
つまり、エンジン始動時にトルクリミッタの摩擦板が滑ると、モータで発生したトルクをリングギヤに伝えることができず、エンジンを始動できなくなる。そこで、通常は、低温時や高温時でも確実にエンジンを始動できるように、低温時および高温時でのエンジンの最大フリクションを想定し、始動時に必要なトルクを算出した上で、トルクリミッタの滑りトルクを設定している(図5参照)。言い換えると、摩擦板が滑ってエンジンが始動できなくならない様に、トルクリミッタの最低滑りトルクが決められており、この最低滑りトルク以下には、滑りトルクを下げることができない。
このため、エンジン側から入力される過大な衝撃をトルクリミッタにより低減するにしても、エンジン始動時に必要なトルクリミッタの滑りトルクに支配されるため、発生衝撃を低減するのにも限界があった。
また、特許文献2に記載されるトルクリミッタは、内部減速機(遊星歯車減速機)の内歯歯車を利用して構成されているため、内部減速機を持たない構造に対してはトルクリミッタの設定が困難であった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、エンジン停止時や、エンスト時等に発生する衝撃を低減できる性能を向上できる衝撃吸収機能を備えた常時噛合い式のスタータを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、電機子軸に回転力を発生するモータと、このモータの回転力が伝達されて回転する出力軸と、この出力軸の外周に軸受を介して相対回転可能に配置されると共に、エンジン側のリングギヤに常時噛み合わされ、モータが発生する回転力をリングギヤに伝達するピニオンギヤと、電機子軸がエンジン始動時の回転方向と逆方向に回転することを防止する逆転防止クラッチとを備える。
逆転防止クラッチは、電機子軸上に設けられるクラッチインナと、このクラッチインナと同心に配置され、クラッチインナの外周面との間にくさび状のカム室を形成するクラッチアウタと、カム室に配設されるローラとを有し、エンジンの逆回転が電機子軸に伝達された時に、ローラがカム室の狭小方向へ移動してクラッチアウタとクラッチインナとの間にロックされることにより、クラッチインナの回転を阻止して電機子軸の逆回転を防止する。
逆転防止クラッチに用いられるクラッチアウタは、回転不能に固定された固定アウタ部と、この固定アウタ部の内側に配置されてクラッチインナの外周面との間にカム室を形成すると共に、固定アウタ部に対し所定の滑りトルクで回転規制されている可動アウタ部とを有し、エンジン側から入力される逆回転が電機子軸に伝達されて、滑りトルクより大きな負荷トルクが電機子軸に加わった時に、可動アウタ部が固定アウタ部に対し周方向に滑ることで、負荷トルクを吸収する働きを有することを特徴とする。
本発明の逆転防止クラッチは、モータが発生する回転力をピニオンギヤからリングギヤに伝達してエンジンを始動させる時(エンジン始動時)に、ローラが空転して電機子の回転を許容する。つまり、エンジン始動時に逆転防止クラッチが働く(ローラがクラッチアウタとクラッチインナとの間にロックされる)ことはなく、正常にエンジン始動を行うことができる。
一方、エンジン停止時に生じるクランク軸の揺動や、登板路でのエンストにより車両が後退する時等にエンジンが逆回転して、その逆回転がスタータに入力されると、逆転防止クラッチが働くことにより、電機子の逆回転を防止できる。
ところで、エンジンの逆回転が電機子軸に伝達された時に、逆転防止クラッチが働くと、スタータのトルク伝達経路に衝撃が発生する。特に、車両のエンスト時には、車両全体の慣性を逆転防止クラッチで受けることになるため、非常に大きな衝撃が発生する。これに対し、本発明の逆転防止クラッチは、クラッチアウタに持たせた衝撃吸収機能により、発生衝撃を低減できる。すなわち、クラッチアウタは、固定アウタ部に対し可動アウタ部が所定の滑りトルクで回転規制されているため、その滑りトルクより大きな負荷トルク(逆回転によって生じるトルク)が電機子軸に加わると、可動アウタ部が固定アウタ部に対し周方向に滑ることにより、負荷トルクを吸収して発生する衝撃を低減できる。
なお、可動アウタ部が固定アウタ部に対し滑る時に、ローラとクラッチインナも共に動き始める(回転する)ため、クラッチインナが設けられる電機子軸も回転(逆回転)する。しかし、過大な負荷トルクが加わるのは、滑りトルクの設定値にもよるが、入力速度の非常に高い衝撃を受けた時であり、長時間発生するものではないため、電機子が連続的に回転し続けることはない。すなわち、逆転防止クラッチは、電機子軸に負荷トルクが加わった時に、可動アウタ部が滑ることで瞬間的に電機子の逆回転を許容するが、可動アウタ部が滑ることにより負荷トルクが吸収された後は、本来の機能により電機子の逆回転を防止できる。
また、本発明の逆転防止クラッチは、エンジン始動時にローラが空転して衝撃吸収機能が働くことはないので、エンジンの最大フリクションを想定して滑りトルクを設定する必要はない。つまり、エンジン始動時に必要なトルクの影響を受けることなく、固定アウタ部に対する可動アウタ部の滑りトルクを任意に設定できる。これにより、従来の摩擦式トルクリミッタより、滑りトルクを低く設定できるので、発生衝撃を低減できる。
また、発生衝撃の低減により、各強度部品(例えば、逆転防止クラッチ、遊星歯車減速機等)の小型、軽量化が可能であり、且つ、低強度材を採用することによるコスト低減も可能となる。
さらに、クラッチアウタに持たせた衝撃吸収機能は、内部減速機を利用したものではないので、内部減速機を有しない常時噛合い式スタータにも、逆転防止クラッチを利用して衝撃吸収機能を持たせることができる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、クラッチアウタは、固定アウタ部の内周に可動アウタ部が圧入され、この圧入により得られる周方向の回転に対する固定力が滑りトルクとして設定されることを特徴とする。
クラッチアウタの衝撃吸収機能は、固定アウタ部の内周に可動アウタ部を圧入嵌合させるだけの簡易な構造によって提供でき、且つ、圧入荷重(圧入により得られる周方向の回転に対する固定力)に応じて滑りトルクを調整することができる。
(請求項3の発明)
請求項2に記載したスタータにおいて、固定アウタ部と可動アウタ部との圧入部には、潤滑材が塗布されていることを特徴とする。
圧入部に潤滑材を塗布することにより、摩擦係数のばらつきを小さくできるので、滑りトルクの狙い値をシビア(厳格)に設定できる。また、圧入面の摩耗を抑制できるので、耐久性を向上できる。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、モータの回転を減速して出力軸に伝達する減速機と、エンジンの始動時にエンジン側からピニオンギヤを介して出力軸に過大トルクが伝達された時に、その過大トルクを吸収するトルクリミッタとを備え、減速機は、電機子軸に設けられる太陽歯車と、この太陽歯車と同心に配置される環状の内歯歯車と、太陽歯車と内歯歯車とに噛み合う遊星歯車とを有し、この遊星歯車の公転運動が出力軸に伝達される遊星歯車減速機であり、トルクリミッタは、内歯歯車に係合して回転可能に設けられ、且つ、摩擦力によって回転規制される回転ディスクを有し、摩擦力によって得られる回転ディスクの滑りトルクを超える過大トルクが内歯歯車に加わった時に、回転ディスクが摩擦力に抗して滑ることにより、過大トルクを吸収することを特徴とする。
クラッチアウタに持たせた衝撃吸収機能は、エンジン始動時に働くことはないが、エンジン始動時でも、例えば、エンジンの誤爆やエンジン停止直前の再始動等で過大衝撃が発生することも考えられる。
これに対し、本発明のスタータは、減速機を利用した摩擦板(回転ディスク)式のトルクリミッタを備えることにより、エンジン始動時に発生する衝撃も低減できる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかのスタータは、エンジンの停止および再始動を自動制御するエンジン自動停止/再始動システムに用いられることを特徴とする。
エンジン自動停止/再始動システムを搭載する車両では、必然的にスタータによるエンジンの始動回数が増加する。このため、逆転防止クラッチを持たないスタータを上記システムに採用した場合、エンジン停止毎に発生する電機子の逆回転の頻度が大幅に増加するため、ブラシの寿命に影響を与える。また、整流子上をブラシが摺動する際に異音(摺動音)が発生する回数も多くなり、ユーザに不快感を与える。
これに対し、本発明では、逆転防止クラッチを備えることにより、電機子の逆回転を防止できるので、ブラシの寿命を向上でき、且つ、ユーザに与える不快感も解消できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は常時噛合い式スタータ1の断面図である。
実施例1に係るスタータ1は、図1に示す様に、電機子2aに回転力を発生するモータ2と、バッテリ(図示せず)から電機子2aに通電するためのモータ回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉する電磁リレー3と、電機子2aの回転を減速する減速機4(図2参照)と、この減速機4を介してモータ2の駆動トルクが伝達される出力軸5と、この出力軸5の外周に軸受6を介して嵌合するピニオンギヤ7と、電機子2aの逆回転を防止する逆転防止クラッチ8等より構成される。なお、このスタータ1は、エンジンの停止および再始動を自動制御するエンジン自動停止/再始動システム(アイドルストップ、エコランシステム等とも呼ばれる)に用いることができる。
モータ2は、電機子2aの回転を出力する電機子軸2bの一端側(図示右側)に整流子9が設けられ、この整流子9の外周に配置されるブラシ10を介して電機子2aに通電される周知の整流子電動機である。電機子軸2bは、整流子9が設けられる一端側の端部が、軸受11を介してエンドフレーム12に回転自在に支持され、反整流子側(他端側)の端部が、出力軸5のモータ側端部に穿設された凹部の内周に軸受13(図2参照)を介して相対回転可能に挿入されている。
エンドフレーム12は、モータ2の磁気回路を形成するヨーク14のエンド側開口部に嵌合して組み付けられ、複数本のスルーボルト(図示せず)をハウジング15に締め付けて固定される。
電磁リレー3は、電磁コイル16とプランジャ17とを内蔵するソレノイドにより構成され、このソレノイドに固定される樹脂カバー18の内部にメイン接点が配置される。
ソレノイドは、電磁コイル16への通電により電磁石を形成してプランジャ17を吸引する周知の働きを有し、このプランジャ17と一体に可動する可動接点19によりメイン接点を閉操作する。また、電磁コイル16への通電が停止して電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング20に蓄えられた反力により、プランジャ17が図示左方向へ押し戻されてメイン接点を開操作する。
メイン接点は、B端子ボルト21を介してモータ回路の高電位側(バッテリ側)に接続されるB固定接点22と、M端子ボルト23を介してモータ回路の低電位側(モータ側)に接続されるM固定接点24とで形成され、上記の可動接点19によって両固定接点22、24間を断続する。つまり、可動接点19が両固定接点22、24に当接して両固定接点22、24間が導通することによりメイン接点が閉状態となり、可動接点19が両固定接点22、24から離れて両固定接点22、24間の導通が遮断されることによりメイン接点が開状態となる。
B端子ボルト21とM端子ボルト23は、それぞれ樹脂カバー18に固定され、この樹脂カバー18より軸方向(図1の右方向)に突き出るB端子ボルト21にバッテリケーブル(図示せず)のターミナルが接続され、同様に、樹脂カバー18より軸方向に突き出るM端子ボルト23にモータリード線25のターミナルが接続される。なお、モータリード線25の反ターミナル側(モータ側)の端部は、ヨーク14とエンドフレーム12との間に挟持されるゴム製のグロメット26を介してモータ2の内部に引き込まれ、正極側のブラシ10と電気的に接続されている。
減速機4は、図2に示す様に、電機子軸2bと同軸上で減速できる遊星歯車減速機であり、電機子軸2bの反整流子側に形成された太陽歯車27と、以下に説明するトルクリミッタを介して回転規制される内歯歯車28と、両歯車27、28に噛み合う複数の遊星歯車29と、この遊星歯車29の公転運動を出力する遊星キャリア30とで構成され、この遊星キャリア30が出力軸5と一体に設けられている。
トルクリミッタは、図2に示す様に、センタケース31に回転不能に固定される固定ディスク32と、この固定ディスク32とセンタケース31との間に挟持され、摩擦力によって回転規制される回転ディスク33と、センタケース31と固定ディスク32との間に回転ディスク33を挟み込んで軸方向に弾力を付与する皿ばね34等より構成され、回転ディスク33の滑りトルクを超える過大なトルクが内歯歯車28に加わると、回転ディスク33が摩擦力に抗して滑る(回転する)ことにより、内歯歯車28の回転が許容されて、過大トルクの伝達を遮断する。
センタケース31は、ハウジング15の内部に出力軸5と直交して配置され、ハウジング15の内周に設けられた段差に当接して軸方向に位置決めされると共に、ハウジング15に対し周方向に回り止めされている。
出力軸5は、電機子軸2bと同一軸線上に配置されると共に、反減速機側の端部が軸受35(図1参照)を介してハウジング15の先端部に回転自在に支持され、減速機側の端部が軸受36(図2参照)を介してセンタケース31に回転自在に支持されている。
ピニオンギヤ7は、エンジン側のリングギヤ37に常時噛み合わされ、且つ、以下に説明する衝撃吸収装置を介して出力軸5に連結されている。
衝撃吸収装置は、図1に示す様に、ピニオンギヤ7に連結されるリングドライブ38と、出力軸5に連結されるリングドライブ39と、リングドライブ38とリングドライブ39との間にリングスペース40を介して組み込まれる複数個のゴムダンパ41等より構成される。
リングドライブ38は、径方向の中央部に円筒状のボス部38aが設けられ、このボス部38aがピニオンギヤ7と一体に設けられた円筒部7aの外周にスプライン嵌合して、ピニオンギヤ7に対し相対回転不能に連結されている。
リングドライブ39は、リングドライブ38と同様に、径方向の中央部に円筒状のボス部39aが設けられ、このボス部39aが出力軸5の外周にスプライン嵌合して、出力軸5に対し相対回転不能に連結されている。
リングスペース40は、リングドライブ38とリングドライブ39との間に配置され、リングドライブ39に設けられたボス部39aの外周に回転可能に嵌合している。
軸方向に対向するリングドライブ38とリングスペース40との間、および、リングスペース40とリングドライブ39との間には、それぞれ、ゴムダンパ41を収納するためのダンパスペースが周方向に複数ヶ所形成されている。
ゴムダンパ41は、上記のダンパスペースにそれぞれ1個ずつ(図1では1段あたり3個×2段の計6個)収納され、このゴムダンパ41を介して、リングドライブ38とリングスペース40、および、リングスペース40とリングドライブ39とが、それぞれ相対回転可能に設けられている。
次に、本発明に係る逆転防止クラッチ8について説明する。
逆転防止クラッチ8は、図3に示す様に、電機子軸2bに設けられたクラッチインナ80と、このクラッチインナ80と同心に配置されるクラッチアウタ81と、クラッチインナ80とクラッチアウタ81との間でトルクの伝達を断続するローラ82と、このローラ82を付勢するスプリング83等より構成される。
クラッチインナ80は、電機子軸2bの反整流子側に設けられ、太陽歯車27の歯先径より大きい外径を有している(図2参照)。なお、本実施例のクラッチインナ80は、電機子軸2bと一体に設けられているが、例えば、電機子軸2bとは別体でリング形状を設けて、電機子軸2bの外周に圧入嵌合しても良い。
クラッチアウタ81は、回転不能に固定される固定アウタ部81aと、この固定アウタ部81aの内側に配置されてクラッチインナ80の外周面との間にくさび状のカム室84を形成する可動アウタ部81bとで形成される。
固定アウタ部81aは、径方向の外側へ延設されるアウタ壁部81cを有し、このアウタ壁部81cの外周部が、モータ2のヨーク14とスペーサ部材42(図2参照)との間に挟持されて軸方向に位置決めされ、且つ、アウタ壁部81cの外周に設けられた一対の係合部81d(図3参照)が、ハウジング15の内周に形成される係合凹部(図示せず)に係合して回転規制されている。
スペーサ部材42は、センタケース31とアウタ壁部81cとの間を軸方向に覆う円筒形状を有し、図2に示す様に、センタケース31の外周部に設けられた段差部に軸方向の前端部が嵌合して径方向に位置決めされている。
可動アウタ部81bは、固定アウタ部81aの内周に圧入嵌合して、固定アウタ部81aに対し所定の滑りトルクで回転規制されており、且つ、クラッチインナ80の外周面との間に複数のカム室84を形成している。また、固定アウタ部81aと可動アウタ部81bとの圧入部には、グリース等の潤滑材が塗布されている。
カム室84は、図4(a)に示す様に、クラッチインナ80の外周面との間に形成される空間が、周方向の一方側(スプリング83側)から他方側へ向かって次第に狭くなる、くさび状に形成され、且つ、周方向の一方側では、ローラ82の外径(ローラ径)より広く形成され、周方向の他方側では、ローラ径より狭く形成されている。
ローラ82は、カム室84に配設され、スプリング83によってカム室84の空間が狭くなる方向(狭小方向)へ付勢されている。
次に、スタータ1の作動および効果を説明する。
電磁リレー3によりモータ回路のメイン接点が閉操作されると、バッテリから電機子2aに通電されて電機子軸2bに回転力を発生する。この時、逆転防止クラッチ8は、図4(b)に示す様に、電機子軸2bに設けられたクラッチインナ80が図中矢印で示す反時計回転方向に回転することにより、ローラ82がスプリング83を押し縮めながらカム室84の空間が広くなる方向へ移動して空転することにより、電機子軸2bの回転を許容する。つまり、エンジン始動時には、逆転防止クラッチ8が働くことはない。
電機子軸2bの回転は、減速機4で減速されて出力軸5に伝わり、更に、出力軸5からピニオンギヤ7に伝達され、このピニオンギヤ7の回転がリングギヤ37に伝達されて、エンジンをクランキングする。このクランキング時に生じる衝撃(例えば、リングギヤ37がピニオンギヤ7を叩くことにより生じる衝撃)は、衝撃吸収装置により吸収される。つまり、リングスペース40を介してリングドライブ38とリングドライブ39とが相対回転し、ゴムダンパ41が周方向に撓む(圧縮変形する)ことにより衝撃を吸収する。
また、衝撃吸収装置で吸収しきれない過大な衝撃、例えば、エンジンの誤爆やエンジン停止直前の再始動等で過大衝撃が発生した場合は、トルクリミッタの回転ディスク33が摩擦力に抗して滑ることにより、衝撃力の伝達を遮断する。これにより、スタータ1のトルク伝達経路に過大な衝撃が加わることはなく、エンジン側から受ける衝撃による損傷を回避できる。
エンジンが完爆してエンジン回転数がスタータ回転数を上回ると、例えば、リングギヤ37に内蔵された一方向クラッチ(図示せず)が空転して、エンジンのクランク軸とリングギヤ37との間でトルクの伝達が遮断されるため、エンジンの回転がピニオンギヤ7に伝達されることはなく、電機子2aのオーバランを防止できる。
ところで、エンジンに逆回転が発生した場合、例えば、エンジンが停止する際に生じるクランク軸の揺動による逆回転、あるいは、登板路でのエンストにより車両が後退する時にエンジンが逆回転した時には、リングギヤ37に内蔵された一方向クラッチが結合状態となる。このため、エンジンの逆回転がリングギヤ37からピニオンギヤ7→出力軸5→衝撃吸収装置→減速機4→電機子軸2bへと伝達され、図4(c)に示す様に、クラッチインナ80が図中矢印で示す時計回転方向に回転すると、ローラ82がカム室84の狭小方向へ移動してクラッチインナ80と可動アウタ部81bとの間にロックされることにより、クラッチインナ80の回転が阻止される。その結果、電機子軸2bがエンジン始動時と逆方向に回転することを防止できる。
また、エンジンの逆回転が電機子軸2bに伝達された時に、逆転防止クラッチ8が働くと、スタータ1のトルク伝達経路に衝撃が発生する。特に、車両のエンスト時には、車両全体の慣性を逆転防止クラッチ8で受けることになるため、非常に大きな衝撃が発生する。この時、クラッチアウタ81の固定アウタ部81aに対する可動アウタ部81bの滑りトルクより大きな負荷トルクが電機子軸2bに加わると、可動アウタ部81bが固定アウタ部81aに対し周方向に滑る(回転する)ことで、負荷トルクを吸収して発生する衝撃を低減できる。
なお、可動アウタ部81bが固定アウタ部81aに対し滑る時に、ローラ82とクラッチインナ80も共に動き始める(回転する)ため、クラッチインナ80が設けられる電機子軸2bも回転する。しかし、過大な負荷トルクが加わるのは、滑りトルクの設定値にもよるが、入力速度の非常に高い衝撃を受けた時であり、長時間発生するものではないため、電機子2aが連続的に回転し続けることはない。すなわち、逆転防止クラッチ8は、電機子軸2bに過大な負荷トルクが加わった時に、可動アウタ部81bが滑ることで瞬間的に電機子2aの逆回転を許容するが、可動アウタ部81bが滑ることにより負荷トルクが吸収された後は、本来の逆転防止機能により電機子2aの逆回転を防止できる。
また、逆転防止クラッチ8は、エンジン始動時にローラ82が空転して衝撃吸収機能が働くことはないので、エンジンの最大フリクションを想定して滑りトルクを設定する必要はない。つまり、従来の摩擦式トルクリミッタは、図5に示す様に、エンジンの最大フリクションに対し所定の余裕度を持たせた上で最低滑りトルクが決められているので、この最低滑りトルク以下には、滑りトルクを下げることができない。このため、エンジン側から入力される過大な衝撃をトルクリミッタにより低減するにしても、エンジン始動時に必要なトルクリミッタの滑りトルクに支配されるため、発生衝撃を低減するのにも限界があった。
これに対し、本実施例のスタータ1では、逆転防止クラッチ8のクラッチアウタ81に衝撃吸収機能を持たせているので、エンジン始動時に必要なトルクの影響を受けることなく、固定アウタ部81aに対する可動アウタ部81bの滑りトルクを任意に設定できる。その結果、図5に示す様に、従来のトルクリミッタより滑りトルクを低く設定できるので、図示矢印Aで示す様に、従来より発生衝撃を低減できる。
また、発生衝撃の低減により、スタータ1の各強度部品(例えば、逆転防止クラッチ8、遊星歯車減速機4等)の小型、軽量化が可能であり、且つ、低強度材を採用することによるコスト低減も可能となる。
さらに、実施例1に記載したスタータ1は、内部減速機4を有しているが、逆転防止クラッチ8のクラッチアウタ81に持たせた衝撃吸収機能は、内部減速機(遊星歯車減速機4)を利用したものではないので、内部減速機を有しない常時噛合い式スタータにも、逆転防止クラッチ8を利用して衝撃吸収機能を持たせることができる。
また、クラッチアウタ81の衝撃吸収機能は、固定アウタ部81aの内周に可動アウタ部81bを圧入嵌合させるだけの簡易な構造によって実現でき、且つ、圧入荷重(圧入により得られる周方向の回転に対する固定力)に応じて滑りトルクを任意に調整することができる。
さらに、固定アウタ部81aと可動アウタ部81bとの圧入部にグリース等の潤滑材を塗布することにより、摩擦係数のばらつきを小さくできるので、滑りトルクの狙い値をシビア(厳格)に設定できる。また、潤滑材によって圧入面の摩耗を抑制できるので、耐久性を向上できる。
本実施例のスタータ1は、ピニオンギヤ7がリングギヤ37に常時噛み合わされているので、エンジンの停止および再始動を自動制御するエンジン自動停止/再始動システムに用いることができる。このエンジン自動停止/再始動システムを搭載する車両では、必然的にスタータ1によるエンジンの始動回数が増加する。このため、逆転防止クラッチ8を持たないスタータを上記システムに採用した場合は、エンジン停止毎に発生する電機子2aの逆回転の頻度が大幅に増加するため、ブラシ10の寿命に影響を与える。また、整流子9の外周をブラシ10が摺動する際に異音(摺動音)が発生する回数も多くなり、ユーザに不快感を与える。
これに対し、本実施例のスタータ1は、逆転防止クラッチ8により電機子2aの逆回転を防止できるので、ブラシ10の寿命を向上でき、且つ、ユーザに与える不快感も解消できる。
スタータの断面図である。 逆転防止クラッチとトルクリミッタの断面図である。 逆転防止クラッチの構成を示す断面図である。 (a)逆転防止クラッチの一部を示す拡大断面図、(b)エンジン始動時の同クラッチの作動説明図、(c)エンジンの逆回転が入力された時の同クラッチの作動説明図である。 逆転防止クラッチの滑りトルクとエンジンフリクションとの関係を示す説明図である。
符号の説明
1 スタータ
2 モータ
2b 電機子軸
4 減速機
5 出力軸
6 軸受
7 ピニオンギヤ
8 逆転防止クラッチ
27 太陽歯車
28 内歯歯車
29 遊星歯車
33 回転ディスク
37 リングギヤ
80 クラッチインナ
81 クラッチアウタ
81a 固定アウタ部
81b 可動アウタ部
82 ローラ
84 カム室

Claims (5)

  1. 電機子軸に回転力を発生するモータと、
    このモータの回転力が伝達されて回転する出力軸と、
    この出力軸の外周に軸受を介して相対回転可能に配置されると共に、エンジン側のリングギヤに常時噛み合わされ、前記モータが発生する回転力を前記リングギヤに伝達するピニオンギヤと、
    前記電機子軸がエンジン始動時の回転方向と逆方向に回転することを防止する逆転防止クラッチとを備え、
    この逆転防止クラッチは、
    前記電機子軸上に設けられるクラッチインナと、このクラッチインナと同心に配置され、前記クラッチインナの外周面との間にくさび状のカム室を形成するクラッチアウタと、前記カム室に配設されるローラとを有し、エンジンの逆回転が前記電機子軸に伝達された時に、前記ローラが前記カム室の狭小方向へ移動して前記クラッチアウタと前記クラッチインナとの間にロックされることにより、前記クラッチインナの回転を阻止して前記電機子軸の逆回転を防止するスタータであって、
    前記クラッチアウタは、回転不能に固定された固定アウタ部と、この固定アウタ部の内側に配置されて前記クラッチインナの外周面との間に前記カム室を形成すると共に、前記固定アウタ部に対し所定の滑りトルクで回転規制されている可動アウタ部とを有し、エンジン側から入力される逆回転が前記電機子軸に伝達されて、前記滑りトルクより大きな負荷トルクが前記電機子軸に加わった時に、前記可動アウタ部が前記固定アウタ部に対し周方向に滑ることで、前記負荷トルクを吸収する働きを有することを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載したスタータにおいて、
    前記クラッチアウタは、前記固定アウタ部の内周に前記可動アウタ部が圧入され、この圧入により得られる周方向の回転に対する固定力が前記滑りトルクとして設定されることを特徴とするスタータ。
  3. 請求項2に記載したスタータにおいて、
    前記固定アウタ部と前記可動アウタ部との圧入部には、潤滑材が塗布されていることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記モータの回転を減速して前記出力軸に伝達する減速機と、
    前記エンジンの始動時に前記エンジン側から前記ピニオンギヤを介して前記出力軸に過大トルクが伝達された時に、その過大トルクを吸収するトルクリミッタとを備え、
    前記減速機は、前記電機子軸に設けられる太陽歯車と、この太陽歯車と同心に配置される環状の内歯歯車と、前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う遊星歯車とを有し、この遊星歯車の公転運動が前記出力軸に伝達される遊星歯車減速機であり、
    前記トルクリミッタは、前記内歯歯車に係合して回転可能に設けられ、且つ、摩擦力によって回転規制される回転ディスクを有し、前記摩擦力によって得られる前記回転ディスクの滑りトルクを超える過大トルクが前記内歯歯車に加わった時に、前記回転ディスクが摩擦力に抗して滑ることにより、前記過大トルクを吸収することを特徴とするスタータ。
  5. 請求項1〜4に記載した何れかのスタータは、エンジンの停止および再始動を自動制御するエンジン自動停止/再始動システムに用いられることを特徴とするスタータ。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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