JP2009209353A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマー、(b)重合性化合物、及び(c)光開始剤を含有するインク組成物である。前記(a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマーは、ガラス転移温度が50℃以上のホモポリマーを形成し得るモノマーを共重合成分としてさらに含むことが好ましい。被記録媒体上に、前記インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に、活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【選択図】なし
Description
インクジェット方式の一つとして、放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後に放射線照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インクの高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不充分硬化に基づく低分子物質の揮発発生の防止など、多くの利益が生じる。また、高感度化は、とくにインクジェット記録用インクにより形成された画像の強度を向上させる。
しかしながら、これらのインク(組成物)では、吐出されたインクにより形成された画像の耐擦過性、耐ブッロキング性が不十分であり、インクの吐出安定性と形成される画像の硬化性との両立を十分にとることができなかった。
<1> (a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマー、(b)重合性化合物、及び(c)光開始剤を含有するインク組成物である。
本発明のインク組成物は、(a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマー(以下、適宜、「(a)特定ポリマー」と称する。)、(b)重合性化合物、及び(c)光開始剤を含有する。
以下、本発明のインク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
前記(a)特定ポリマーは、アクリル酸などの通常のエチレン性重合単位を主鎖骨格としたポリマーであって、側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有する。即ち、本発明における(a)特定ポリマーの主鎖骨格には、シロキサン構造は含まれない。
前記(a)特定ポリマーは、側鎖にシロキサン構造を有する構造単位と、側鎖に重合性基を有する構造単位とを含んで構成されるポリマーであることが好ましい。本発明に係る(a)特定ポリマーを得る方法としては、例えば、重合性基がラジカル重合性基である場合、ラジカル重合性基の反応性を保護基により封止した二重結合前駆体を側鎖に有するモノマーと、側鎖にシロキサン構造を有するモノマーとを共重合させ、その後、二重結合前駆体の保護基を取り除いて二重結合とする方法や、特開2004−149699号公報に記載のように、側鎖にシロキサン構造を有する構造単位を含むポリマーに、ラジカル重合性基を有する低分子化合物を高分子反応により導入させる方法などが挙げられる。
前記(a)特定ポリマーが有する「シロキサン構造」は、シロキサン結合を有する構造として特定ポリマーの側鎖に含まれていればよく、シロキサン結合の数量、シロキサン結合のSi原子に結合する原子や官能基等に特に制限はない。前記(a)特定ポリマーの側鎖にシロキサン構造を持つことで、分子内に導入しうるシロキサン構造を有する末端基の数が増え、後述する(b)重合性化合物への溶解性が向上する。前記(a)特定ポリマーを含む本発明のインク組成物が液滴である時は、吐出性を向上し、本発明のインク組成物を塗膜とした時には偏析性が高いポリマーが得られる。
なお、偏析性(表面偏析性)とは、インク組成物の表面張力が小さいことにより、空気とインク組成物との界面において、ポリマーが高濃度で偏在することをいう。
前記構造式(A)中、x1、x2、及びx3は、x1、x2、及びx3の合計(x1+x2+x3)が1〜100となる関係を有する整数である。y1は、1〜10の整数である。
前記構造式(A)中、Xは、単結合または、下記構造式(C)で表わされる二価の基である。
前記構造式(A)におけるx1とx2とx3の合計は、1〜100の整数であることが好ましく、1〜10の整数であることがより好ましい。
前記構造式(A)におけるy1は、1 〜10の整数であることが好ましい。
また、前記構造式(C)におけるR3は、脂肪族、脂環族、及び芳香族から選ばれる炭素数6〜10の2価の基であることが好ましく、脂肪族、及び芳香族から選ばれる炭素数6〜8の2価の基であることがより好ましい。
前記構造式(E)におけるR5は、水素原子、メチル基、またはエチル基、であることが好ましく、水素原子、であることがより好ましい。
前記構造式(F)におけるR6は、炭素数4〜12の直鎖アルキレン基であることが好ましく、炭素数8〜12の直鎖アルキレン基であることがより好ましい。
前記構造式(A)におけるYは、構造式(D)または構造式(F)であることが好ましく、構造式(D)であることがより好ましい。
また、反応性末端を有するシロキサンとラジカル重合性基をもつ化合物を反応させて、合成することができる。
前記(a)特定ポリマー中、前記シロキサン化合物に由来する部位(シロキサン構造の構造単位)の分子量は、特定ポリマーがインク液滴の表面配向性を向上する観点から、300〜10,000あることが好ましく、300〜3,000であることがより好ましい。
前記(a)特定ポリマーは、前記シロキサン構造を含むほか、重合性基を含む。
前記(a)特定ポリマーに含まれる重合性基は、ラジカル重合性基でも、カチオン重合性基でもよい。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられ、ポリマー側鎖にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、およびスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
カチオン重合性基を導入するのに適した化合物としては、グリシジルメタクリレート、サイクロマーM−100,サイクロマーA−200(ダイセル化学工業(株)社製)、4HBAGE(日本化薬社製)、MEDOL10,MEDOL30、MIBDOL10,CHDOL10(大阪有機化学社製)、Epoxy DCPAcrylate,Epoxy DCP Oxyethyl Methacrylate、EpoxyDCPMethacrylate(ARKEMA社製)、などの化成品を好適に用いる事ができる。
カチオン重合性化合物としては、後述する、放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物が好ましく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
例えば、溶解性向上と、ハンドリング性向上、耐傷性向上の観点から、1種類以上の共重合性のよいラジカル重合性化合物を、前記(a)特定ポリマー中に50mol%以下の割合で、共重合単位として含むことも好ましい。
中でも、前記(a)特定ポリマー全体のガラス転移温度(Tg)をコントロールする観点から、分子量10,000 〜100,000程度のホモポリマーを構成したとき、該ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上となるようなラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
前記ホモポリマーのTgが50℃以上あると、インク塗膜の硬度が高く、耐傷性に優れる。前記ホモポリマーのTgは80℃以上であることがより好ましい。
そのようなラジカル重合性化合物としては、具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)メタクリレート、tert―ブチル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、メチル2−クロロ(メタ)アクリレート、エチルα−クロロアクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
GPC装置:HLC8220GPC(TOSOH製)、
カラム:TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ−2000、TSKgel SuperHZ−4000(TOSOH製)
流速:0.35ml/min
本発明のインク組成物中の(a)特定ポリマーの含有量は、インク組成物の全固形分に対し、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
前記含有量が0.1質量%以上であると、十分なブロッキング抑制効果が得られ易く、また、10質量%以下であると吐出性を阻害する懸念がなく好ましい。
本発明のインク組成物は、(b)重合性化合物を含有する。(b)重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよい。まず、ラジカル重合性化合物について説明する。
本発明に適用しうるラジカル重合性化合物は、前記特定ポリマーの説明において挙げたラジカル重合性化合物を用いることができる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル酸誘導体;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
ビニルエーテル化合物としては、Rapi−Cure DVE−3、Rapi−Cure DVE−2(いずれも、ISP Europe製)、等の市販品を用いることもできる。
ここで他の重合性化合物として列挙されているモノマーは、低分子量であっても感作性が小さいものであり、かつ、反応性が高く、粘度が低く、記録媒体への接着性に優れる。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%以下の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
本発明で用いることができるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
具体的には、単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の活性放射線硬化型重合性組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後の組成物と被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。
Ra5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又は、C(CH3)2を表す。
Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基を表し、nは0〜2000の整数である。
Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明のインク組成物は、(c)光開始剤を含有する。
(c)光開始剤としては、公知の重合開始剤を、併用する重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する(c)光開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種を生成する化合物である。光には、活性放射線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
本発明において(c)光開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。効果の観点からは、2種以上の(c)光開始剤を併用することが好ましい。
本発明のインク組成物には、前記(a)〜(c)の必須成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
本発明のインク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記(b)重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化するなどの問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(b)重合性化合物を用い、なかでも、最も粘度が低いラジカル重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著”New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年, Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著”Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−2〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィー装置により、作用極として炭素(GC)を、対極として回転白金電極を用いて酸化側(貴側)に掃引したときの酸化波を直線で近似して、この直線と残余電流・電位直線との交点と、直線と飽和電流直線との交点(又はピーク電位値を通る縦軸に平行な直線との交点)と、で作られる線分の中間電位値をSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
着色剤の含有量を1質量%以上であると色濃度が十分に得られ、20質量%以下であると硬化性が低下することがないため好ましい。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%程度である。
本発明のインク組成物には、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、前記特定ポリマーとは異なる各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体に、上記した本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に、活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物は、硬化時の熱収縮が少なく、基材(被記録媒体)との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。
本発明の印刷物は、上記のインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)によって、本発明のインク組成物により画像が形成されたものである。
そのため、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物となる。
〔実施例1〕
(特定ポリマーa−1の合成)
内容積1Lのオートクレーブに、下記成分を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、75℃、12時間反応させて重合体1の溶液を得た。
・メチルエチルケトン(MEK)〔溶剤〕 350g
・メタクリル酸2‐(2‐ブロモイソブチリルオキシ)エチル
(BBEM、マナック(株)製)〔重合性化合物1〕 165g
・片末端メタクリレート変性ジメチルシリコーン
(TM−0701、チッソ(株)製)〔シロキサン化合物〕 100g
・メチルメタクリレート〔重合性化合物2〕 35g
・ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 0.68g
(V−601、和光純薬(株)製、0.25mol%)〔光開始剤〕
なお、特定ポリマーa−1の構造は、本発明における(a)特定ポリマーの具体例として列挙したa−1〜a−20の中のa−1である。
下記成分を混合したものを目開き2μmのフィルターで濾過することにより実施例1のインク組成物を得た。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
・フェノキシエチルアクリレート 46質量部
・Actilane 421
(Akcros社製、アクリレートモノマー) 1.0質量部
・n−ビニルカプロラクタム 23質量部
・Solsperse 32000(Noveon社製、分散剤)0.4質量部
・Cinquasia Mazenta RT−355D 3.6質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、顔料)
・Genorad 16(Rahn社製、安定剤) 0.05質量部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製、ビニルエーテル) 8.0質量部
・Lucirin TPO(BASF社製、光開始剤分) 8.5質量部
・ベンゾフェノン(光開始剤) 4.0質量部
・Irgacure 184 4.0質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、光開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製、消泡剤) 0.05質量部
・特定ポリマーa−1(前記合成例で得た化合物) 0.9質量部
(特定ポリマーa−2〜a−6および比較化合物1〜3の合成)
特定ポリマーa−2の合成工程において、ポリマー組成を、下記表1に示す組成に代えたほかは実施例1と同様にして、特定ポリマーa−2〜a−6および比較化合物1〜3を合成した。
特定ポリマーa−2〜a−6の構造は、本発明における(a)特定ポリマーの具体例として列挙したa−1〜a−20の中のa−2〜a−6であり、比較化合物1〜3の構造は以下の通りである。
・TM−0701
片末端メタクリレート変性ジメチルシリコーン(チッソ(株)製)
・FM−0711
片末端メタクリレート変性ジメチルシリコーン(チッソ(株)製)
・BBEM
メタクリル酸2‐(2‐ブロモイソブチリルオキシ)エチル(マナック(株)製)
・MMA
メチルメタクリレート
(ホモポリマーのガラス転移温度;105℃)
・IBXMA
イソボルニルメタクリレート(共栄社化学(株)製)
(ホモポリマーのガラス転移温度;91℃)
・FA−513M
ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業社製)
(ホモポリマーのガラス転移温度;175℃)
実施例1のインク組成物の調製工程において、ポリマー(実施例1においては、特定ポリマーa−1)を、下記表2に示すポリマーに代え、またはポリマーを用いなかった他は、実施例1と同様にして、実施例2〜6および比較例1〜4のインク組成物を調製した。
カチオン重合性インクの調製
(特定ポリマーa−13の合成)
内容積1Lのオートクレーブに、下記成分を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、75℃、12時間反応させて重合体1の溶液を得た。
・メチルエチルケトン(MEK)〔溶剤〕 310g
・グリシジルメタクリレート
(ブレンマーG 日本油脂(株)製)〔重合性化合物〕 67g
・片末端メタクリレート変性ジメチルシリコーン
(チッソ(株)製、TM−0701)〔シロキサン化合物〕 100g
・メチルメタクリレート〔重合性化合物〕 8g
・ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 0.45g
(V−601、和光純薬(株)製、0.25mol%)〔光開始剤〕
なお、特定ポリマーa−13の構造は、本発明における(a)特定ポリマーの具体例として列挙したa−1〜a−20の中のa−13である。
下記成分を混合したものを目開き2μmのフィルターで濾過することにより実施例7のインク組成物を得た。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
・カチオン重合性化合物:
セロキサイド2021(エポキシ化合物:ダイセルUCB(株)製) 35質量部
OXT−221(オキセタン化合物:東亜合成(株)製) 55質量部
・光酸発生剤:
ユニオンカーバイド社製、製品名UVI−6990 10質量部
・着色剤:下記イエロー顔料分散物1 5質量部
・特定ポリマーa−13 1.1質量部
下記成分を混合して、イエロー顔料分散物1を調製した。
C.I.ピグメントイエロー12 10質量部
高分子分散剤(Zeneca社製 Solsperseシリーズ) 5質量部
トリエチレングリコールジビニルエーテル 85質量部
実施例7のインク組成物の調製工程において、ポリマー(実施例7においては、特定ポリマーa−13)を、下記表2に示す組成のポリマーに代え、またはポリマーを用いなかった他は、実施例7と同様にして、実施例8〜12および比較例5〜8のインク組成物を調製した。
前記表2中のポリマー組成の成分の詳細は、下記のとおりである。
・GMA
グリシジルメタクリレート(ブレンマーG 日本油脂(株)製)
・OXE−30
メチル−3−オキセタニルメチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
・CYCLOMER M100
ダイセル化学工業(株)社製
・MEDOL 10
大阪有機化学社製
・MEDOL 30
大阪有機化学社製
なお、前記表2中、TM−0701、FM−0711、MMA、IBXMA、及びFA−513Mは、表1中の成分と同じである。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度100mW/cm2に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01J/cm2〜15J/cm2の間で調整することができる。によりなお、照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなるまでとした。また、被記録媒体としては、軟質塩化ビニルシートを用いた。
この条件で、インクの転写感度、吐出安定性、延伸率、及びインクを用いて形成した画像のブロッキング感度、耐擦過性を評価した。結果を表3に示す。なお、表3中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm2)を感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
転写感度の許容範囲はラジカル系インクでは750mJ/cm2以下であり、350mJ/cm2以下であることが好ましい。カチオン系インクでは、50mJ/cm2以下であり、30mJ/cm2以下であることが好ましい。
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
ブロッキング感度の許容範囲はラジカル系インクでは12,000mJ/cm2以下であり、6,000mJ/cm2以下であることが好ましい。カチオン系インクでは、800mJ/cm2以下であり、600mJ/cm2以下であることが好ましい。
軟質塩化ビニルシートを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。評価基準は下記のとおりである。
−評価基準−
○ 転写が無い
× 転写がある
積算露光量12,000mJ/cm2、照度:2140mW/cm2とし、支持体をFassonPE(Fasson社製ポリエチレンフイルム:膜厚100um)を用いる以外は、タックフリ感度と同様にして、硬化膜を作成した。得られた硬化膜を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津社製)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。
ラジカル系インクでの延伸率の許容範囲は200%以上であり、300%以上であることが好ましい。カチオン系インクでの延伸率の許容範囲は、120%以上であり、150%以上であることが好ましい。
インクのヘッドノズルでの吐出安定性を評価するために、下記の条件でピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により60分連続吐出におけるノズルロス個数の評価を行った。
実験は、PET基板上にインク組成物を吐出して露光(露光量:1,000mW/cm2)を行った場合のノズルロス数(ノズルが詰まってしまった数)を数えた。ノズルロスが0以上5個未満の場合○、ノズルロスが5個以上10個未満を△、10個以上を×とした。
−条件−
チャンネル数:318/ヘッド
駆動周波数:4.8kHz/dot
インク滴:7滴、42pl
温度:45℃
一方、比較例のインク組成物は、転写感度および画像のブロッキング感度の少なくともいずれかが実施例に比較して劣るものであり、形成された画像の耐擦過性が十分でないことが判った。
Claims (6)
- (a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマー、(b)重合性化合物、及び(c)光開始剤を含有するインク組成物。
- 前記(a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマーが、ガラス転移温度が50℃以上のホモポリマーを形成し得るモノマーを共重合成分としてさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記(a)側鎖にシロキサン構造と重合性基とを有するポリマーの含有量が、インク組成物の全固形分に対して、0.1質量%〜10質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 被記録媒体上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、
吐出されたインク組成物に、活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、
を含むインクジェット記録方法。 - 請求項5に記載のインクジェット記録方法により作製された印刷物。
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